(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】可塑化ポリマーの製造方法、可塑化ポリマーを使用する組成物の製造方法、及び可塑化ポリマーを含む組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20220104BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220104BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20220104BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220104BHJP
C09J 123/00 20060101ALI20220104BHJP
C09D 123/00 20060101ALI20220104BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20220104BHJP
C08F 289/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C08F2/44 C
C09J201/00
C09D201/00
C09J11/06
C09J123/00
C09D123/00
C09K3/10 Z
C08F289/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517474
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(85)【翻訳文提出日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 US2019053475
(87)【国際公開番号】W WO2020069325
(87)【国際公開日】2020-04-02
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313011456
【氏名又は名称】ボスティック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シークリスト,キンブリー イー.
(72)【発明者】
【氏名】フー,ミャオ
【テーマコード(参考)】
4H017
4J011
4J026
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4H017AB07
4J011AA01
4J011AA05
4J011EA03
4J011EA08
4J011EA09
4J011HB03
4J011HB05
4J011HB28
4J011PA56
4J011PB40
4J026AA08
4J026BA01
4J026BA02
4J026BB03
4J026DB02
4J026DB19
4J026DB24
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4J038CB001
4J038CB041
4J038CB081
4J038KA08
4J038KA10
4J038PB04
4J038PB05
4J038PC08
4J040DA001
4J040DA041
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4J040KA29
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4J040KA38
4J040KA42
4J040LA01
4J040NA06
4J040NA12
(57)【要約】
可塑化ポリマーの製造方法は、鉱油などの可塑剤中及び触媒系の存在下、エチレン系不飽和モノマーなどの重合性モノマーを重合させることを含む。可塑化ポリマーは、接着剤の製造方法において、粘着付与樹脂と混合されてもよい。接着剤として有用であり得る組成物は、第1のポリマーを含んでいるポリマー系と、第1のポリマーを製造するための重合ステップの間に第1のポリマーの存在下にあった第1の可塑剤を含む可塑化された系と、粘着付与剤とを含む。本方法は、低密度若しくは低分子量又は両方のポリマーを有する組成物を製造するために使用することができる。本発明の方法によって製造される最終組成物は、接着剤、シーラント、コーティング又は潤滑油を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑化ポリマーを形成するために十分な時間及び温度で、可塑剤中及び触媒系の存在下、重合性モノマーを重合させるステップを含む、可塑化ポリマーの製造方法。
【請求項2】
前記重合ステップがバッチ式プロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重合ステップが連続式プロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーの分子量が、約5,000~約200,000g/モル、好ましくは7,500g/モル~約150,000g/モル、より好ましくは10,000g/モル~約100,000g/モル、及び最も好ましくは約10,000g/モル~約80,000g/モルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
添加されるモノマーの量が、約2重量%から、230℃の前記可塑化ポリマーの可溶化限度のすぐ下の量までの前記可塑化ポリマー中のポリマーの量をもたらすために十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モノマーが不飽和モノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記不飽和モノマーがアルケンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
可塑化ポリマーを形成するために十分な時間及び温度で、可塑剤中及び触媒系の存在下、重合性モノマーを重合させるステップと、
粘着付与樹脂を前記可塑化ポリマーと混合して、接着剤を製造するステップと
を含む、接着剤の製造方法。
【請求項9】
接着剤と前記可塑化ポリマーを混合することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
固体形態ポリマーのポリマーと前記可塑化ポリマーを混合することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第2の可塑化ポリマーを提供するための、前記重合ステップとは異なる第2の重合ステップをさらに含み、且つ前記混合ステップが前記第2の可塑化ポリマーを前記第1の可塑化ポリマーと混合して、二峰性ポリマーブレンドを形成することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記可塑化ポリマーの前記可塑剤と同一又は異なる追加的な可塑剤を前記可塑化ポリマーと混合することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記重合ステップと混合ステップの間に前記可塑化ポリマーを輸送することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記重合ステップ及び混合ステップが、任意の介在する溶媒除去ステップを行わずに実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記重合ステップ及び混合ステップが、任意の介在するペレット化又は押出成形ステップを行わずに実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
(a)第1のポリマーを含むポリマー系と、
(b)前記第1のポリマーを製造するための重合ステップで使用された第1の可塑剤を含む可塑化された系と、
(c)粘着付与剤と
を含む組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの安定剤及び酸化防止剤をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記第1のポリマーが、0.94g/ml未満、好ましくは0.92g/ml未満、より好ましくは0.91g/ml未満、及び最も好ましくは0.90g/ml未満の密度を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記第1のポリマーの数平均分子量が、200,000g/モル未満、好ましくは150,000g/モル未満、より好ましくは100,000g/モル未満、及び最も好ましくは80,000g/モル未満である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリマー系が第2のポリマーをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
(a)約10~約40重量%、好ましくは約15~約35重量%、より好ましくは約20~約30重量%のポリマー系と、
(b)約10~約40重量%、好ましくは約15~約35重量%、より好ましくは約20~約30重量%の可塑剤系と、
(c)約30~約70重量%、好ましくは約35~約65重量%、より好ましくは約40~約60重量%の粘着付与剤と
を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
前記可塑剤系が、少なくとも約25重量%の第1の可塑剤、好ましくは少なくとも約50重量%の第1の可塑剤、より好ましくは少なくとも約75重量%の第1の可塑剤、及び最も好ましくは少なくとも約90重量%の第1の可塑剤を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が接着剤、シーラント、コーティング又は潤滑剤の1つである、請求項16に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)により、2018年9月28日出願の米国特許出願第62/737,954号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ホットメルト接着剤などの最終製品で使用するのに適切な可塑剤を使用して、可塑化ポリマー、特にポリオレフィンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの特許に、可塑化ポリオレフィンの製造又は使用が記載されている。ホットメルト接着剤などの最終用途のための可塑化材料を生じるために、鉱油などの可塑剤で重合を実行することを記載する従来技術は知られていない。本明細書で使用される場合、「可塑剤」という用語は、可塑性及び可撓性を生じるためか又は促進するために、そして脆性を減少させるために合成樹脂に添加される任意の物質を意味し、且つ不織布産業で使用される接着剤配合物中などの所望の用途のための最終配合物中で有用である。したがって、本明細書での目的に関して、ポリマーを製造するために従来通りに使用されるが、重合後及びポリマーが接着剤配合物中に配合される前に除去(又は実質的に除去)されなければならない溶媒は、本明細書で使用される可塑剤の定義には合わないであろう。溶媒及び可塑剤の間の差異は周知である。好ましくは、本明細書で使用される可塑剤は、感知できる蒸気圧(例えば室温で1mm Hg未満)のみを有する。それに対して、本明細書で使用される溶媒は、150g/モル未満、より好ましくは125g/モル未満の分子量を有する化合物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低密度/低結晶化度/低分子量ポリオレフィン材料などの材料は、接着剤及びシーラント産業に関して特に十分に適合可能であったが、それらの固有特性は製造を困難にさせるものである。特に、この材料は反応器を汚染する可能性があり、ペレット化が困難となる可能性があり、そしてしばしば、最終用途のための長期貯蔵及び輸送における課題をもたらすコールドフロー特性を示す可能性がある。現在使用されるプロセスでは、従来の重合プロセスの間に使用される溶媒担体を除去及びリサイクルするために高価な装置の使用が必要とされる。これらのステップは、しばしば、有意なエネルギー及び水の使用を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、従来技術の多くの問題及び制約を回避する。本発明の実施形態において、可塑化ポリマーの製造方法は、可塑化ポリマーを形成するために十分な時間及び温度で、可塑剤中及び触媒系の存在下、重合性モノマーを重合させるステップを含む。可塑剤が最終配合物中で使用可能な物質であるため、本発明の方法を、モノマーのその場での重合としてみなすことができる。そのようにして、本発明では、重合後に溶媒を除去するステップが排除される。このことは本発明を環境的に、そして商業的にフレンドリーにさせ、そして水及びエネルギー消費を減少させる。本発明は、容易にペレット化又は押出成形をすることができないものを含む、より幅広い範囲のポリマーが、接着剤及びシーラント配合物などの配合物に組み込まれることを可能にする。そのような容易にペレット化又は押出成形をすることができないポリマーとしては、低密度若しくは低分子重量又はそれらの組合せを有するものが含まれる。本発明の実施形態は、鉱油中でのポリオレフィンの重合の成功、及び接着剤型配合物中への材料のさらなる組み込みに関する。
【0006】
本発明の別の実施形態によると、接着剤の製造方法は、可塑化ポリマーを形成するために十分な時間及び温度で、可塑剤中及び触媒系の存在下、重合性モノマーを重合させるステップと、粘着付与樹脂を可塑化ポリマーと混合して、接着剤を製造するステップとを含む。
【0007】
本発明の別の実施形態によると、組成物は、
(a)第1のポリマーを含むポリマー系と、
(b)第1のポリマーを製造するための重合ステップで使用された第1の可塑剤を含む可塑化された系と、
(c)粘着付与剤と、
(d)任意選択的に、安定剤又は酸化防止剤と、
(e)任意選択的に、さらなる添加剤と
を含む。
【0008】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面及びその説明を見ることによって、当業者にとって明らかとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の可塑化ポリマーを使用していない例と比較した、本発明の接着剤配合物の引張特性を示す。
【
図2】本発明の可塑化ポリマーを使用していない例と比較した、本発明の接着剤配合物の引きはがし接着力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記の通り、ポリマーの製造及び使用のプロセスステップを減少することが望ましい。ポリマーは、最も多くは溶媒中の液体形態で製造され、そしてポリマーが最終配合物中で使用される前に、溶媒からのポリマーの分離が必要とされる。しばしば、ポリマーは、ペレット化又は押出成形されることなどによって、固体として形成されなければならない。本発明は、最終組成物中での使用に適切な可塑剤中でのポリマーの重合を実行する。そのような可塑剤は、例えば、多くのホットメルト接着剤組成物で使用される鉱油であることが可能である。そのような可塑剤中で重合ステップを実行することによって、ポリマーを溶媒から分離して、ポリマーを固体化するステップが回避されるか、又は負担の少ないものとなる。さらにまた、本発明の実施形態は、装置を汚染することも、他の課題を引き起こすこともなく固体化するのが従来は困難であった最終組成物中でのポリマーの使用を可能にする。そのようなポリマーとしては、低分子量及び/又は低密度ポリマーが含まれる。
【0011】
本発明の実施形態によると、可塑化ポリマーの製造方法は、可塑化ポリマーを形成するために十分な時間及び温度で、可塑剤中及び触媒系の存在下、重合性モノマーを重合させるステップを含む。可塑剤は、本明細書で使用される場合、可塑性及び可撓性を生じるためか又は促進するために、そして脆性を減少するために合成樹脂に添加される任意の物質を意味し、且つ所望の用途のための最終配合物中で有用である。例えば、鉱油は最終配合物としての接着剤配合物のために本明細書中で使用される1つのそのような可塑剤である。そのような接着剤配合物は、テープ及びラベル用途、ガラス又はプラスチックボトルの飲料ラベル、フローリング又は壁部接着剤のための、又は不織布産業におけるものなどの広範囲の用途で使用可能である。他の可塑剤としては、炭化水素油及び合成油脂及び下記に記載される他のものが含まれ、且つシーラント、コーティング又は潤滑油として最終配合物中で使用可能である。
【0012】
重合性モノマーとしては広範囲のモノマーが含まれ得るが、1つ又はそれ以上の不飽和モノマーが好ましい。そのような不飽和モノマーとしては、アルケン、(メタ)アクリレート又はマロネートなどの広範囲のモノマーが含まれ得るが、特にエテン、プロペン、ブテン又はオクテンなどのアルケンが好ましい。重合性モノマーは単一種類のモノマーからなってよく、それによって、重合ステップによって、特にポリエチレン又はポリプロピレンなどのホモポリマーが形成される。或いは、重合性モノマーは二種以上のモノマーからなってもよく、それによって、重合ステップによってコポリマー(又は三種のモノマーの場合はターポリマー)が形成される。一実施形態において、本発明では二種のモノマー、エテン及び1-オクテンが使用され、オクテン単位を有するポリエチレンコポリマーが形成される。
【0013】
重合ステップは、当該技術分野において既知の従来の触媒及び条件を使用する連鎖反応重合などの任意の既知の重合プロセスであることが可能である。例えば、触媒系は、チグラー-ナッタ(Ziegler-Natta)触媒、メタロセン触媒又は後期遷移金属触媒を含有していてもよい。時間、温度及び他の条件の選択は、その分子量を含む所望のポリマー生成物、所望の反応速度及び使用される系に基づき、周知である。当該技術分野において既知であるように、触媒系は、触媒、担体(シリカゲル又はゼオライトなど)及び共触媒を含み得る。本発明の実施形態において、添加されるモノマーの量は、(系の全重量に基づき)約2重量%から、230℃の可塑化ポリマーの可溶化限度のすぐ下の量までの可塑化ポリマー中のポリマーの量をもたらすために十分である。(230℃の温度は、ポリプロピレンのために多くのホットメルト指数測定が実行される温度である。)可溶化限度は、明示された温度で、ポリマーが可塑剤中にそれ以上溶解することが不可能であるポリマーのその量である。一実施形態において、添加されるモノマーの量は、約2重量%~約60重量%、好ましくは約10重量%~約55重量%、最も好ましくは約15重量%~約50重量%の可塑化ポリマー中のポリマーの量をもたらすために十分である。反応媒体は完全に可塑剤からなることが可能である(したがって、測定可能な量の溶媒を含有しないか、又は溶媒を含有しない)か、或いはそれはいくらかの量のトルエンなどの溶媒を含むことが可能である。反応媒体は、好ましくは、(可塑剤及び溶媒の全重量に基づき)10重量%未満の溶媒を含有し、より好ましくは5重量%未満の溶媒を含有し、より好ましくは2重量%未満の溶媒を含有し、さらにより好ましくは1重量%未満の溶媒、そしてなおさらにより好ましくは0.5重量%未満の溶媒を含有する。
【0014】
本明細書で議論される本発明の実施形態の方法では、接着剤などの最終配合物の成分としてその後使用可能である可塑化ポリマーが製造される。「可塑化ポリマー」という用語は、本明細書中、「可塑化された系」とも称する。可塑化ポリマーは、未反応のモノマーと一緒にポリマー、そして触媒系と一緒に可塑剤を含み得る。上記の通り、ポリマーの量は、広範囲に異なり得る。好ましくは、製造されるポリマーの種類は、低分子量及び/又は低密度ポリマーなどの押出成形又はペレット化が困難なものである。
【0015】
本発明の実施形態によると、重合ステップはバッチ式プロセスである。或いは連続式又は半バッチ式プロセスであることも可能である。一般に、半バッチ式プロセスである一実施形態のプロセスステップは、モレキュラーシーブ及び酸化銅の充填床からの極性汚染物質の第1の除去を含む。次いで、可塑剤(例えば鉱油)、モノマー(例えばオクテン及びエテン)及び任意の溶媒を精製し、そして全ての空気に影響を受けやすい化合物は不活性雰囲気下で取り扱われる。温度制御されたオートクレーブ反応器を使用する。反応器は予熱されていてもよく、次いで酸素パージされてもよい。任意の溶媒が使用される場合、それは共触媒又は捕捉剤と一緒に最初に添加されてよい。可塑剤、触媒及びモノマーが添加された後、反応温度を一定に保持し、そして反応器内容物を窒素圧下でブローアウトする。
【0016】
上記のとおり、好ましくは、製造されるポリマーの種類は、低分子量及び/又は低密度ポリマーなどの押出成形又はペレット化が困難なものであるが、本方法は、任意のポリマーを製造するために使用してよく、容易に押出形成又はペレット化が可能なポリマーの製造にも使用してよい。好ましくは、ポリマーは、0.94g/ml未満、好ましくは0.92g/ml未満、より好ましくは0.91g/ml未満、及び最も好ましくは0.90g/ml未満であり、且つ好ましくは0.75超、より好ましくは0.8g/ml超の密度を有する。低密度の代わりに、又はそれに加えて、ポリマーの分子量は、約5,000~約200,000g/モル、好ましくは7,500g/モル~約150,000g/モル、より好ましくは10,000g/モル~約100,000g/モル、及び最も好ましくは約10,000g/モル~約80,000g/モルである。
【0017】
好ましくは、最終配合物は、その主要ポリマー成分として、本発明の実施形態によって製造されるポリマーを含む。好ましくは、主要ポリマー成分は、本発明の実施形態によって製造されるポリマーのみからなる。或いは本発明の実施形態によって製造されるポリマーは、主要ポリマー成分のいくらかの量(例えば1~100重量%のいずれか、好ましくは10~98重量%のいずれか、及び最も好ましくは50重量%より多く)を占めることが可能である。好ましくは、本発明の方法によって製造されるポリマーは、「ポリオレフィンベース」である。そのように、最終配合物は、その主要ポリマー成分としてポリオレフィンを使用するか、又は本明細書で記載される方法によって製造される少なくともいくらかのポリオレフィンは、主要ポリマー成分のいくらかの割合として機能する。最終配合物の主要ポリマー成分は、最大量の任意の他のポリマー中に存在するポリマーである成分である。例えば、接着剤では、主要ポリマー成分は、樹脂、可塑剤、酸化防止剤/安定剤又は他の添加剤とは対照的に、粘着性成分として機能するポリマー成分である。ポリオレフィンベースのポリマーは、モノマーとして不飽和オレフィンから得られるポリマーである。そのようなオレフィンは、典型的にエチレン、プロピレン、ブチレン及びオクテン、又はそのいくつかの組合せである。ポリオレフィンベースの接着剤は、ポリオレフィン及びその混合物のホモポリマー又はコポリマーを含み得る。さらにまた、それらには、官能化ポリオレフィン(酸素含有モノマーとのエチレン又はプロピレンコポリマー)が含まれる。好ましくは、最終配合物が接着剤である実施形態において、接着剤は、スチレンブロックコポリマーなど、そのポリマー成分として他の種類のポリマー(ポリオレフィン以外)を含まないか、又は40%未満(全て重量による)、より好ましくは20%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは1%未満、そしてさらにより好ましくは0.1%未満の量でそのような他の種類のものを有する。しかしながら、実施形態において、多くの接着剤は、そのような他のポリマーを含有するか、又は慣例方法(すなわち、可塑剤が不在の方法)によって製造される他のポリオレフィンを含み得る。
【0018】
本発明の方法によって製造するために適切なポリマーを含有する1つのポリマーブレンドは、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第10,011,744号明細書に記載される。そのようなポリマーブレンドは、少なくとも1つの半結晶質LMW SSC-PPポリマー及び少なくとも1つの本質的に非晶質のHMW SSC-PPコポリマーを含有しており、これらは両方ともSSC触媒を使用することによって調製されるα-オレフィンコモノマーとのプロピレンのホモポリプロピレン又はコポリマーであり、ブレンド中のLMW SSC-PPポリマー対HMW SSC-PPポリマーの重量比は9:1~1:9の範囲であり、且つ本発明の組成物中のポリマーブレンドの全量は約20重量%~約80重量%である。本発明での使用のために適切なポリマーを使用する別のポリマーブレンドは、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第62/624,369号明細書に記載されている。以下の特許及び出願に開示されるポリマーは、本発明の方法によって製造され得る:参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0177142号明細書、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,670,388号明細書、記載される第2のポリマーがプロピレンベースのポリマーである、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0121014号明細書、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,188,200号明細書、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0203310号明細書、及び参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2002/0045536号明細書。
【0019】
本発明の別の実施形態によると、(ホットメルト接着剤を含む接着剤、シーラント、コーティング又は潤滑剤などの)最終配合物の製造方法は、可塑化ポリマーを形成するために十分な時間及び温度で、可塑剤中及び触媒系の存在下、重合性モノマーを重合させるステップと、少なくとも1つの成分を可塑化ポリマーと混合して、最終配合物、例えば粘着付与剤を製造し、接着剤を製造するステップとを含む。接着剤を製造する場合、任意選択的に粘着付与剤、安定剤又は酸化防止剤が添加されてよく、そして他の任意選択的な添加剤も含まれてよい。
【0020】
適切な可塑剤は、鉱油などの通常の可塑化油を含む群から選択されてよいが、オレフィンオリゴマー及び低分子量ポリマーからも選択されてもよい。利用されてもよい石油から誘導される油は、微小な割合の芳香族炭化水素類のみを含有する、比較的高沸点の材料である。この点に関して、芳香族炭化水素類は、芳香族炭素原子のフラクションによって測定される場合、好ましくは油の30%未満、より特に15%未満でなければならない。オリゴマーは、約350g/モル~約10,000g/モルの平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエンなどであり得る。他の有用な可塑剤は、従来のジベンゾエート、ホスフェート、フタレートエステル、並びにモノ-又はポリエチレングリコールのエステルの系統群に見出すことができる。そのような可塑剤の例としては、限定されないが、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ペンタエリトリトールテトラベンゾエート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ポリエチレングリコール400-ジ-2-エチルヘキソエート;ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート及びジオクチルフタレートが含まれる。本発明において有用性が見出される可塑剤は、任意の数の種々の可塑剤であることが可能であるが、しかし本発明者は、5,000未満の平均分子量を有する鉱油及び液体ポリブテンが特に有利であることを発見した。認識されるように、可塑剤は、典型的に、接着剤の接着剤強度及び/又は使用温度を実質的に低下させることなく全体的な接着剤組成物の粘度を低下させるため、並びにオープン時間を延長し、接着剤の可撓性を改善するために使用されてきた。
【0021】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、150℃未満の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂(本明細書中、「粘着付与剤」とも記載される)を含んでもよい。樹脂の軟化点の範囲は広く、液体樹脂に関しては5℃程度の低さ、そして固体樹脂に関しては60℃であることが可能である。本明細書で定義される通り、粘着付与剤は、分子又は高分子であることが可能であり、且つ一般に、天然供給源由来又は化学プロセス若しくはそれらの組合せ由来の化合物又は一般的なポリマーと比較して非常に低分子量のポリマーであり、一般に最終ホットメルト接着剤組成物の接着性を強化するものである。代表的な樹脂としては、C5/C9炭化水素樹脂、合成ポリテルペン、ロジン、ロジンエステル、天然テルペンなどが含まれる。より特に、有用な粘着付与樹脂としては、いずれかの適合性のある樹脂又はそれらの混合物が含まれ、例えば(1)ガムロジン、ウッドロジン、タル油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量体化ロジン及び重合ロジンを含む天然及び変性ロジン;(2)ペール、ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル及びロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステルを含む天然及び変性ロジンのグリセロール及びペンタエリトリトールエステル;(3)スチレン/テルペン及びアルファメチルスチレン/テルペンなどの天然テルペンのコポリマー及びターポリマー;(4)一般に、適度に低い温度において、フリーデル-クラフツ触媒の存在下でピネンとして既知の二環式モノテルペンなどのテルペン炭化水素の重合の結果として得られるポリテルペン樹脂;水素化ポリテルペン樹脂も含まれる;(5)フェノール変性テルペン樹脂及びその水素化誘導体、例えば酸性媒体中、二環式テルペン及びフェノールの縮合の結果として得られる樹脂生成物;(6)主にオレフィン及びジオレフィンからなるモノマーの重合の結果として得られる脂肪族石油炭化水素樹脂;水素化脂肪族石油炭化水素樹脂も含まれる;並びに(7)環式石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体である。上記の粘着付与樹脂の2つ以上の混合物がいくつかの配合物に必要とされ得る。環式又は非環式C5樹脂及び芳香族変性非環式又は環式樹脂も含まれる。
【0022】
本発明の実施形態において、粘着付与剤は、脂肪族及び脂環式炭化水素樹脂並びにそれらの水素化誘導体、水素化芳香族炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族又は脂環式樹脂及びそれらの水素化誘導体、ポリテルペン及びスチレン化ポリテルペン樹脂並びにそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の別の実施形態において、粘着付与剤は、C-5脂肪族炭化水素樹脂、水素化C-5樹脂、水素化C-9樹脂、水素化DCPD樹脂及び芳香族変性DCPD樹脂からなる群から選択される。
【0023】
本発明の一実施形態において、粘着付与樹脂は、少なくとも約40℃、最も好ましくは約80℃~115℃の(ASTM E28に従って測定された)環球式軟化点を有する。なおより好ましくは、本明細書中で使用される粘着付与剤は、110℃未満、最も好ましくは105℃未満の環球式軟化点を有する。
【0024】
本発明の一実施形態は、約25%~約75%の量で粘着付与樹脂を含むホットメルト接着剤組成物を提供する。好ましくは、粘着付与樹脂は、約30重量%~約70重量%、より好ましくは約35重量%~約65重量%、最も好ましくは約40重量%~約60重量%の量で存在する。
【0025】
本発明のホットメルト接着剤はまた、有効量、好ましくは約0.1重量%~約5重量%の量で安定剤及び/又は酸化防止剤を含み得る。好ましくは、約0.1%~2%の安定剤又は酸化防止剤が組成物に組み込まれる。本発明のホットメルト接着剤組成物中で有効な安定剤は、組み込まれて、接着剤の製造及び適用中並びに周囲環境への最終生成物の通常の暴露において通常生じる熱及び酸化分解の影響から、上記で指摘されたポリマー、したがって全接着剤系を保護するのに有用である。適用可能な安定剤の中でも、ヒンダードフェノール並びに硫黄及びリン含有フェノールなどの多官能性フェノールが挙げられる。ヒンダードアミンフェノールなどの酸化防止剤は、そのフェノール系ヒドロキシル基の付近に嵩高い基も含有するフェノール系化合物として特徴付けられ得、且つ好ましい。特に、第三級ブチル基は、一般に、フェノール系ヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つにおいてベンゼン環上に置換される。ヒドロキシル基の近辺のこれらの立体的に嵩高い置換基の存在は、その伸縮振動数、したがってその反応性を遅らせるように機能し、したがって、このような立体障害は、フェノール系化合物に安定化特性を提供する。
【0026】
ポリオレフィン核剤も本発明の接着剤において存在し得る。本発明に適切な核剤は、一般に、ポリオレフィン添加剤パッケージにおいて迅速な結晶化を促進するために一般に利用される清澄剤として既知の核剤の下位分類である。適切な材料としては、Millikenによって供給されるMillad 3988及びMillad NX8000並びにBASFによって製造されるIrgaclear Dなどのジベンジリデンソルビトール誘導体が含まれる。他の適切な試剤としては、New Japan Chemical Companyによって提供されるNJ Star NU-100などの芳香族アミド系が含まれる。含まれる場合、核剤は、一般に、組成物の約0.05重量%~5重量%の量で接着剤組成物中に存在する。好ましくは、約0.1重量%~2.5重量%、及び最も好ましくは約0.2重量%~1.0重量%が利用される。2つ以上の核剤のブレンドも使用され得る。例えば、第1の核剤と、第1の核剤と異なる第2の核剤のブレンドとも利用され得る。必要に応じて、約0.05重量%~約5重量%の1つ以上の追加の核剤が第1の核剤と一緒にブレンドされ得る。核剤は、直接、粉末として、適切な可塑剤の一部におけるスラリーとして、又はMilliken NX-10などの適切なポリマーマスターバッチのマスターバッチ中の成分として使用され得る。米国特許出願公開第2015/0299526号明細書に記載されるものなどの核剤パッケージも、ホットメルト接着剤のセットアップレート及び結合特性を調整するために含まれ得る。
【0027】
他の任意選択的な添加剤は、特定の物理的特性を変更するために本発明の接着剤組成物中に組み込まれ得ることが理解されるべきである。これらとしては、例えば、紫外線光(UV)吸収剤、ワックス、界面活性剤、不活性着色剤、二酸化チタン、蛍光剤及び充填剤などの材料が含まれ得る。典型的な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、粘土シリカ、マイカ、ウォラストナイト、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、熱可塑性ミクロスフェア、バライト及び木材粉が含まれ、且つ最大で60重量%、好ましくは1~50重量%の量で含まれ得る。
【0028】
本発明の一実施形態において、ホットメルト接着剤組成物はワックスを含まない。ワックスが含まれる本発明の実施形態において、ワックスは、最大20重量%、好ましくは0.1重量%~18重量%の量で含まれてよい。ワックスは、石油ワックス、低分子重量ポリエチレン及びポリプロピレン、合成ワックス及びポリオレフィンワックス及びその混合物からなる群から選択されてよい。好ましい実施形態において、ワックスは、約400~約6,000g/モルの数平均分子量を有する低分子量ポリエチレンである。
【0029】
本発明による接着剤材料の粘度は、一般に、処理及びその基材への適用のために適切な適用温度における粘度におけるものであるべきである。標準的なホットメルト接着剤装置によって処理され、そして適用温度において所望のパターン、したがって適切な結合性能を達成するために、低い適用温度において比較的低い粘度を有する接着剤が必要とされる。一般に、粘度は、ASTM D3236に従って、121℃において約35,000cP以下、好ましくは121℃において約30,000cP以下、なおより好ましくは121℃において約25,000cP未満、なおより好ましくは121℃において約20,000cP未満である。本明細書で示される全ての粘度は、このような修正されたASTM標準に従って測定される。好ましくは、組成物の粘度は、121℃において、少なくとも1,000cP、より好ましくは少なくとも5,000cP、なおより好ましくは少なくとも約7,500cP、最も好ましくは少なくとも約15,000cPである。本明細書中で特性の値のいくつかの下限及び上限が記載される場合、本発明は、下限のいずれかから上限のいずれかの間であり、且つそれらを含む範囲を含む。したがって、粘度は、121℃において、1,000cP~35,000cP及び5,000cP~20,000cPであることが可能である。他の実施形態において、組成物の粘度は、121℃、127℃、135℃及び149℃などの121℃~149℃の種々の典型的に使用される適用温度において本明細書中考慮されるいずれかの範囲の間である。
【0030】
本発明の実施形態において、最終配合物を形成するために、上記される任意のものなどの添加剤を可塑化ポリマーと混合する。例えば、接着剤を形成するために、粘着付与剤、安定剤及び酸化防止剤を可塑化ポリマーと混合してもよい。いくつかの実施形態において、二峰性ポリマーの効果が望ましい場合など、可塑化ポリマーに第2のポリマー成分を添加することが望ましくなり得る。本発明のさらに別の実施形態において、可塑化ポリマーの可塑剤と同一又は異なる追加的な可塑剤を可塑化ポリマーと混合する。さらなる実施形態は、例えば適用の直前にその使用部位において接着剤配合物を製造することが望ましい場合、重合ステップ、及び追加的な成分と可塑化ポリマーとの混合の間に、可塑化ポリマーを輸送することを含む。
【0031】
追加的なポリマーが可塑化ポリマーに添加される場合、添加ポリマーは、液体又は分散した形態であってもよい。一実施形態において、添加ポリマーは固体状態であり、且つ可塑化ポリマーと混合される。例えば、本発明の実施形態による方法は、第2の可塑化ポリマーを提供するための一次重合ステップとは異なる第2の重合ステップ、及び第2の可塑化ポリマーを第1の可塑化ポリマーと混合して、二峰性ポリマーブレンドを形成するステップを含み得る。第2の重合ステップは、以下の様式の少なくとも1つにおいて、第1の重合ステップとは異なり得る:(1)第2の重合ステップは、第1の重合ステップで使用されるモノマーとは異なる第2のモノマーを使用する;(2)第2の重合ステップは、第1の重合ステップで使用されるモノマーの量とは異なるモノマーの量、又は2つ以上のモノマーの場合、異なる相対量を使用する;そして(3)第2の重合ステップは、異なる分子量又は異なる密度の少なくとも1つを有する可塑化ポリマーを提供するための第2の条件の組合せを使用する。他方、追加的なポリマーは、溶媒を用いるなどの従来の方法によって製造され、次いで押出成形又はペレット化されてよい。
【0032】
好ましくは、本発明の方法は、混合ステップの前に、いくつか、又は好ましくは実質的に全ての未反応のモノマーをフラッシュ除去するために、可塑化ポリマーを脱気することを含む。本発明の別の実施形態において、重合及び混合ステップは、任意の介在する溶媒除去ステップを行わずに実行される。本発明の別の実施形態において、重合及び混合ステップは、任意の介在するペレット化又は押出成形ステップを行わずに実行される。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態によると、組成物は、
(a)第1のポリマーを含むポリマー系と、
(b)第1のポリマーを製造するための重合ステップで使用された第1の可塑剤を含む可塑剤系と(言い換えると、第1の可塑剤は、重合ステップの間、第1のポリマーの存在下にあった)、
(c)粘着付与剤と、
(d)任意選択的に、安定剤又は酸化防止剤と、
(e)任意選択的にさらなる添加剤と
を含む。
【0034】
上記のとおり、第1の可塑剤は、第1のポリマーを製造するための重合ステップの間、第1のポリマーの存在下にあった。したがって、本発明は、その場(in situ)重合ステップを使用すると記載することができる。重合ステップの間に少量の他の溶媒が存在してもよく、且ついくらかの溶媒は最終接着剤配合物中に存在していてもよい。反応媒体は完全に可塑剤からなることが可能である(したがって、測定可能な量の溶媒を含有しないか、又は溶媒を含有しない)か、或いはそれはいくらかの量のトルエンなどの溶媒を含むことが可能である。反応媒体は、好ましくは、(可塑剤及び溶媒の全重量に基づき)10重量%未満の溶媒を含有し、より好ましくは5重量%未満の溶媒を含有し、より好ましくは2重量%未満の溶媒を含有し、さらにより好ましくは1重量%未満の溶媒、そしてなおさらにより好ましくは0.5重量%未満の溶媒を含有する。最終配合物中、可塑剤系は、重合ステップの間に反応媒体として存在した全ての他の成分(モノマー反応物及びポリマー生成物以外)に基づき、90重量%より多くの、好ましくは95重量%より多くの、より好ましくは98重量%より多くの、なおより好ましくは99重量%より多くの、さらにより好ましくは99.5重量%より多くの溶媒の量で第1の可塑剤を含む。最も好ましくは、可塑剤系は、重合ステップの間に反応媒体として存在した全ての他の成分(モノマー反応物及びポリマー生成物以外)と比較して第1の可塑剤の全て又は実質的に全てである。好ましくは、第1のポリマーは、好ましくは0.94g/ml未満、好ましくは0.92g/ml未満、より好ましくは0.91g/ml未満、及び最も好ましくは0.90g/ml未満であり、且つ好ましくは0.75超、より好ましくは0.8g/ml超の密度を有する。好ましくは、第1のポリマーの数平均分子量は、200,000g/モル未満、好ましくは150,000g/モル未満、より好ましくは100,000g/モル未満、最も好ましくは80,000g/モル未満である。実施形態において、第1のポリマーは、これらの特性のいずれか又は両方を有する。本発明の別の実施形態において、ポリマー系は、さらに第2のポリマーを含む。
【0035】
本発明の別の実施形態によると、組成物は、
(a)約10~約40重量%、好ましくは約15~約35重量%、より好ましくは約20~約30重量%のポリマー系と、
(b)約10~約40重量%、好ましくは約15~約35重量%、より好ましくは約20~約30重量%の可塑剤系と、
(c)約30~約70重量%、好ましくは約35~約65重量%、より好ましくは約40~約60重量%の粘着付与剤と
を含む。
【0036】
本発明のさらに別の実施形態において、可塑剤系は、少なくとも約25重量%の第1の可塑剤、好ましくは少なくとも約50重量%の第1の可塑剤、より好ましくは少なくとも約75重量%の第1の可塑剤、及び最も好ましくは少なくとも約90重量%の第1の可塑剤を含む。さらに別の実施形態において、組成物は、ホットメルト接着剤、シーラント、コーティング又は潤滑油の1つである。
【0037】
ホットメルト接着剤は、種々のコーティング技術を使用して基材に適用され得る。例としては、ホットメルトスロットダイコーティング、ホットメルトホイールコーティング、ホットメルトローラーコーティング、メルトブローンコーティング並びにスロット、スパイラルスプレー及びラッピングスプレー法、例えば弾性ストランドを添付するために使用されるものが含まれる。スプレー技術は、数多くあり、接着剤スプレーパターンを形成するであろう圧縮空気の補助の有無にかかわらず実行され得る。ホットメルト接着剤材料は、一般に、基材上の最終コーティングスポットまでホースを通してポンプ溶融される。
【0038】
本発明の態様
態様1.可塑化ポリマーを形成するために十分な時間及び温度で、可塑剤中及び触媒系の存在下、重合性モノマーを重合させるステップを含む、可塑化ポリマーの製造方法。
【0039】
態様2.重合ステップがバッチ式プロセスである、態様1の方法。
【0040】
態様3.重合ステップが連続式プロセスである、態様1の方法。
【0041】
態様4.ポリマーの分子量が、約5,000~約200,000g/モル、好ましくは7,500g/モル~約150,000g/モル、より好ましくは10,000g/モル~約100,000g/モル、及び最も好ましくは約10,000g/モル~約80,000g/モルである、態様1~3のいずれか1つの方法。
【0042】
態様5.添加されるモノマーの量が、約2重量%から、230℃の可塑化ポリマーの可溶化限度のすぐ下の量までの可塑化ポリマー中のポリマーの量をもたらすために十分である、態様1~4のいずれか1つの方法。
【0043】
態様6.モノマーが不飽和モノマー、好ましくはアルケンを含む、態様1~5のいずれか1つの方法。
【0044】
態様7.可塑化ポリマーを形成するために十分な時間及び温度で、可塑剤中及び触媒系の存在下、重合性モノマーを重合させるステップと、粘着付与樹脂を可塑化ポリマーと混合して、接着剤を製造するステップとを含む、接着剤の製造方法。
【0045】
態様8.接着剤と可塑化ポリマーを混合することをさらに含む、態様7の方法。
【0046】
態様9.固体形態ポリマーのポリマーと可塑化ポリマーを混合することをさらに含む、態様7又は8の方法。
【0047】
態様10.第2の可塑化ポリマーを提供するための、上記重合ステップとは異なる第2の重合ステップをさらに含み、且つ混合ステップが第2の可塑化ポリマーを第1の可塑化ポリマーと混合して、二峰性ポリマーブレンドを形成することを含む、態様7~9のいずれか1つの方法。
【0048】
態様11.可塑化ポリマーの可塑剤と同一又は異なる追加的な可塑剤を可塑化ポリマーと混合することをさらに含む、態様7~10のいずれか1つの方法。
【0049】
態様12.重合及び混合ステップの間に可塑化ポリマーを輸送することをさらに含む、態様7~11のいずれか1つの方法。
【0050】
態様13.重合及び混合ステップが、任意の介在する溶媒除去ステップを行わずに実行される、態様7~12のいずれか1つの方法。
【0051】
態様14.重合及び混合ステップが、任意の介在するペレット化又は押出成形ステップを行わずに実行される、態様7~13のいずれか1つの方法。
【0052】
態様15.
(a)第1のポリマーを含むポリマー系と、
(b)第1のポリマーを製造するための重合ステップで使用された第1の可塑剤を含む可塑化された系と、
(c)粘着付与剤と
を含む組成物。
【0053】
態様16.少なくとも1つの安定剤及び酸化防止剤をさらに含む、態様15の組成物。
【0054】
態様17.第1のポリマーが、0.94g/ml未満、好ましくは0.92g/ml未満、より好ましくは0.91g/ml未満、及び最も好ましくは0.90g/ml未満の密度を有する、態様15又は16の組成物。
【0055】
態様18.第1のポリマーの数平均分子量が、200,000g/モル未満、好ましくは150,000g/モル未満、より好ましくは100,000g/モル未満、最も好ましくは80,000g/モル未満である、態様15~17のいずれか1つの組成物。
【0056】
態様19.ポリマー系が第2のポリマーをさらに含む、態様15~18のいずれか1つの組成物。
【0057】
態様20.
(a)約10~約40重量%、好ましくは約15~約35重量%、より好ましくは約20~約30重量%のポリマー系と、
(b)約10~約40重量%、好ましくは約15~約35重量%、より好ましくは約20~約30重量%の可塑剤系と、
(c)約30~約70重量%、好ましくは約35~約65重量%、より好ましくは約40~約60重量%の粘着付与剤と
を含む、態様15~19のいずれか1つの組成物。
【0058】
態様21.可塑剤系が、少なくとも約25重量%の第1の可塑剤、好ましくは少なくとも約50重量%の第1の可塑剤、より好ましくは少なくとも約75重量%の第1の可塑剤、及び最も好ましくは少なくとも約90重量%の第1の可塑剤を含む、態様15~20のいずれか1つの組成物。
【0059】
態様22.組成物が接着剤、シーラント、コーティング又は潤滑剤の1つである、態様15~21のいずれか1つの組成物。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態のいくつかの態様を実証するが、その制限としては解釈されない。
【0061】
CGC-Ti触媒を使用する半バッチ式溶液反応器中で、エチレン単独重合及び鉱油中での1-オクテンとの共重合の実現可能性を調査した。共触媒として、そして不純物捕捉剤として、メチルアルミノキサン(MAO)を使用した。
【0062】
モレキュラーシーブ(4-A°及び133シーブの混合物)及び酸化銅(II)が装填された床に、極性汚染物質を除去するために、エチレン及び窒素(Praxair)を通した。鉱油、Sonneborn,Inc.からのKaydol White USPは、430g/molの分子量、57のパラフィン系C%及び0.869~0.885の25℃における比重を有し、モレキュラーシーブ5-A°が装填されたカラム上にそれを流すことによって精製された。類似の様式で1-オクテン(Sigma-Aldrich)を精製した。40時間、金属ナトリウム上でそれを還流し、次いで窒素雰囲気下でそれを蒸留することによって、HPLCグレードのトルエン(Aldrich)を精製した。CGC-Ti(Boulder Scientific)を固体で購入し、そして重合のために蒸留トルエン中で溶解した。全ての空気に影響を受けやすい化合物は、グローブボックス中の不活性雰囲気下で取り扱われた。
【0063】
全ての重合を、半バッチ式モードで操作される500mlのParrオートクレーブ反応器中で実行した。電気バンド加熱器及び内部冷却コイルを使用して、重合温度を制御した。1,000rpmで回転する磁気ドライバー撹拌器に接続された傾斜ブレードインペラーを使用して、反応媒体を混合した。使用前に、反応器を125℃まで加熱し、反応器中の酸素濃度を減少するために排気及び窒素再充填を6回行い、そして最後に200mlのトルエン及び捕捉剤としての1gのMAOを装填した。次いで、反応器温度を120℃まで高め、20分間一定に保った。最後に、反応器内容物を窒素圧下でブローアウトした。この手順によって、反応器壁からの不純物の優れた除去が確実となる。
【0064】
典型的な重合の実験において、173gの鉱油を反応器中に装填し、続いて、適切な量のMAOを装填し、そして室温で10mlのバイアルに導入した。次いで、温度を120℃まで高め、エチレンを供給し、所望の圧力まで鉱油を飽和させた。40psigのエチレン圧力差で、直列に連結した5mlの管及び20mlのサンプリングシリンダーを通して触媒溶液を注入した。全ての残留する触媒溶液から管壁部を洗浄するために、注入の前に体積3mlのトルエンをサンプリングシリンダー中に入れた。一定の反応器圧を維持するために、必要に応じてエチレンを供給し、質量フローメーターで監視した。いくつかの実験に関しての触媒注入時の温度の1~3℃の変動を除いて、温度は重合を通して120℃±0.5℃に保持された。必要な時間の後、モノマー原材料バルブを閉じて、すぐに反応器内容物を2Lのビーカーにブローアウトすることによって、重合を停止した。
【0065】
1mL/分の1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)のフロー速度で145℃において実施されるPolymer Char高温ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって、分子量分布(MWD)を決定した。このGPCは、直列する3台の検出器を備えており(赤外線、光散乱及び示差粘度計)、ポリスチレンナロー標準で較正された。IR-4検出器は、MWD全体のより一般的な含有量を推定するために使用された。
【0066】
ポリマー収量は、反応の間に消費されるエチレン、ポリマーの1-オクテン含有量及び反応器中の油の初期重量に基づいて推定された。
【0067】
反応器中に供給される液相中の1-オクテン濃度を変えて、8回の重合を実行した。全反応器圧力は、全実験に関して、120psigの値で一定に保った。重合条件を表1にまとめる。
【0068】
【0069】
表2に、表1に報告された試料に関する分子量平均、ポリマー含有量、及び組み込まれた1-オクテンの重量%、並びに多分散指数及び収量をまとめる。全ての試料に関する多分散指数は、2.0の期待理論値よりも高い。これは、質量移動効果(おそらく重合媒体の高い粘度による)が重合の間に一役担っている可能性を示す。他方、以下に記すように、MWD全体のコモノマー組み込みは、シングルサイト触媒によって製造されるコポリマーに関する予想に従う。
【0070】
試料A及びBは両方ともホモポリマーであるが、重合Aの間により高い反応温度が使用されるため、試料Aの分子量はより低い。
【0071】
【0072】
このデータは、重合媒体として鉱油を使用して、エチレン/1-オクテンコポリマーを製造可能であることを示す。おそらく反応媒体の高い粘度によって引き起こされる質量移動の制限のため、予想されるよりもいくらか広いMWDを有するが、シングルサイトコポリマーに関して予想される微細構造を有するポリマーが合理的な収量で製造される。最も特に、トルエンなどのより標準的な溶媒と比較して、鉱油において反応速度又は温度制御の有意な減少は見られなかった。エチレンホモポリマー及びエチレン/1-オクテンコポリマーは、両方とも問題なく調製され、パラフィン系ベース油において特徴決定された。最終溶液は、約5~15重量パーセントのポリマーを含有した。驚くべきことに、1-オクテンとのエチレンコポリマーでは46重量パーセントまでのコモノマーの組み込みが可能であった。
【0073】
いくつかの接着剤配合物は、本発明のポリマー/油パッケージ、及びペレットを生じる商業的な技術を使用して製造されたエチレン/オクテンコポリマーとの鉱油の従来のブレンドの両方を組み込んで調製された。接着剤配合物を以下の表3に示す。
【0074】
【0075】
上記の表中、以下の成分が使用された:
Kaydol油、Sonneborn Inc.,Parsippany,NJから購入された白色鉱油。
Irganox 1010、BASF Corporation,Florham,NJから購入されたヒンダードフェノール酸化防止剤。
ExxonMobilから購入された、Escorez 5400。非常に淡色、約103℃のR&B軟化点を有する水素化された脂環式炭化水素粘着付与剤。
INFUSE 9807は、The Dow Chemical Companyから入手可能な、高い溶融指数、低密度オレフィンブロックコポリマーである。
Affinity GA 1900、The Dow Chemical Companyから入手可能なポリオレフィンエラストマー。
また、「実験試料」の列のパーセンテージは、接着剤配合物に基づく、可塑化ポリマーのものである。「実験試料ポリマー」の列で提供されるパーセンテージは、可塑化ポリマー中のポリマーのものである。
【0076】
次いで、引張特性及び接着力引きはがし性能に関して、接着剤配合物をスクリーニングした。全体として、
図1に示すように、本発明の接着剤配合物の引張特性は、望ましく高い荷重及び伸び性能を示した。種々の条件(基材、付属品及びオープン時間)において、接着力引きはがしに関して、複数の配合物をスクリーニングした。大部分の配合物は、初期の、及び老化後の比較可能な性能を示す。
図2に示すように、いくつかの選択された配合物は、性能向上を示した。
【0077】
値の範囲が提供される場合、その範囲及びその明記された範囲内のいずれかの他の明記された又はその間に入る値の上限と下限との間のそれぞれの間に入る値、及びその間に入る値のいずれの組合せ又は部分的組合せも、列挙された値の範囲内に含まれることが理解される。加えて、本発明は、その構成要素の第1の範囲の下限及び第2の範囲の上限である構成要素の範囲を含む。
【0078】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に特に引用される全ての刊行物及び特許は、本発明に関連して使用され得る刊行物に報告される化学物質、機器、統計的分析及び方法論の記載及び開示を含む全ての目的に関して、それら全体が参照により組み込まれる。
本明細書中に引用される全ての参照は、当業者の水準を示すものとして見なされる。本明細書中、本発明が、先行発明に基づきそのような開示に先行する権利を与えられないという承認として解釈されるものはない。
【0079】
本明細書では、特定の実施形態を参照して例証及び記載されるが、それにもかかわらず、本発明は、示された詳細に限定されるように意図されない。むしろ、請求項の均等物の領域及び範囲内において且つ本発明の趣旨から逸脱することなく、詳細における種々の変更形態がなされ得る。
【国際調査報告】