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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】火炎止め製品
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20220104BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20220104BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
E04B1/94 T
E04B1/76 500F
E04B1/94 L
E04B1/94 G
E04B2/56 645A
E04B2/56 645F
E04B2/56 601H
E04B2/56 645G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517480
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(85)【翻訳文提出日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 GB2018052774
(87)【国際公開番号】W WO2020065243
(87)【国際公開日】2020-04-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518397216
【氏名又は名称】トレンコ シーピージー ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】プリンガー,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,シモン
【テーマコード(参考)】
2E001
2E002
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001DE01
2E001DE04
2E001FA04
2E001GA63
2E001GA76
2E001GA77
2E001GA82
2E001HD02
2E001HD03
2E001HD07
2E001HD08
2E001HD09
2E001HD11
2E001LA04
2E001LA12
2E001NA07
2E001ND12
2E002FB02
2E002FB08
2E002FB10
2E002MA32
2E002MA37
2E002MA38
(57)【要約】
本発明は、火炎止め製品、火炎止め製品を備えた断熱式建物前面体、および火炎止め製品を作る方法を提供する。火炎止め製品は、膨張剤を少なくとも部分的に含浸させた弾性多孔質材料を含み、弾性多孔質材料は、解放可能な拘束具によって圧縮状態で保持される。拘束具は、火からの高温ガスに露出されると降伏して、最初の拡大で弾性多孔質材料を解放し、それによって膨張剤を高温ガスに露出させ、急速な膨張が生じることを可能にする。換気式建物前面体内で実施されるとき、火炎止め製品は、空気間隙を短時間で閉じることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張剤を少なくとも部分的に含浸させた弾性多孔質材料を含む火炎止め製品であって、
前記弾性多孔質材料が、解放可能な拘束具によって圧縮状態で保持され、
前記拘束具が、熱または炎に露出されると降伏する、火炎止め製品。
【請求項2】
前記弾性多孔質材料が、接着剤を少なくとも部分的にさらに含浸されている、請求項1に記載の火炎止め製品。
【請求項3】
前記接着剤が、たとえばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド、またはポリアクリロニトリルなど、アクリル接着剤、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアクリレート、ポリ塩化ビニル混合重合体、ポリクロロプレン、およびカーボナイザのうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載の火炎止め製品。
【請求項4】
前記接着剤が、アクリル接着剤を含む、請求項2に記載の火炎止め製品。
【請求項5】
前記膨張剤が、グラファイト、ポリリン酸塩、メラミン、ペンタエリトリトール、二酸化チタン、およびバーミキュライト断熱材のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項6】
前記膨張剤が、グラファイトを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項7】
前記膨張剤が、グラファイトおよびポリリン酸アンモニウムを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項8】
前記弾性多孔質材料が、直線インチ当たり10~100孔(ppi)の多孔度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項9】
前記弾性多孔質材料が、連続気泡発泡体または不織材料を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項10】
前記弾性多孔質材料が、ポリウレタン(PU)連続気泡発泡体を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項11】
前記弾性多孔質材料が、高分子繊維、金属繊維、および無機繊維のうちの少なくとも1つを含む不織材料を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項12】
前記弾性多孔質材料と任意の接着剤を含めた前記膨張剤との重量比が、乾燥重量で1:1~1:8である、請求項1から11のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項13】
テープの形態である、請求項1から12のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項14】
板の形状を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項15】
前記拘束具が、テープ、糸、フィルム、押出チューブ、網、または収縮包装された管材である、請求項1から14のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項16】
前記拘束具が高分子である、請求項1から15のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項17】
前記拘束具が、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、およびアクリロニトリルブタジエンスチレンから選択された1つまたは複数の高分子を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項18】
前記拘束具が、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項19】
前記拘束具が糸を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項20】
前記拘束具が、前記弾性多孔質材料に含浸させた融解可能な固体である、請求項1から14のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項21】
前記融解可能な固体がワックスである、請求項20に記載の火炎止め製品。
【請求項22】
前記拘束具が、物理的および/または化学的な変形を受けることによって降伏する、請求項1から21のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項23】
前記拘束具が、焼失、融解、軟化、またはガラス転移を受けることによって降伏する、請求項1から22のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項24】
前記膨張剤が膨張温度を有し、前記拘束具が、前記膨張温度を下回る温度で降伏する、請求項1から23のいずれか一項に記載の火炎止め製品。
【請求項25】
外壁と、前記外壁に実質上平行な被覆層とを備える断熱式建物前面体であって、前記外壁および前記被覆層が、前記外壁と前記被覆層との間に空気間隙を画定し、
火炎止め製品が、前記空気間隙内に配置され、前記被覆層の一面または前記外壁の一面の一部に取り付けられており、火の熱に接触すると前記被覆と前記断熱材との間の距離を埋めるように拡大可能であり、
前記火炎止め製品が、膨張剤を少なくとも部分的に含浸させた弾性多孔質材料を含み、
前記弾性多孔質材料が、解放可能な拘束具によって圧縮状態で保持されており、
前記拘束具が、火からの高温ガスに露出されると融解または軟化によって解放される、断熱式建物前面体。
【請求項26】
前記空気間隙に隣接する前記外壁の一面が断熱材層を備え、したがって前記空気間隙が、前記断熱材層および前記被覆層によって画定される、請求項25に記載の断熱式建物前面体。
【請求項27】
前記火炎止め製品が、前記前面体に対して実質上水平位置に向けられたテープの形態である、請求項25または26に記載の断熱式建物前面体。
【請求項28】
火炎止め材料を製造する方法であって、
a.弾性多孔質材料を提供するステップと、
b.膨張剤の溶液を提供するステップと、
c.前記弾性多孔質材料に前記溶液を含浸させるステップと、
d.前記溶液を乾燥させ、それによって液体を除去するステップと、
e.前記弾性多孔質材料を圧縮させるステップと、
f.拘束具によって前記弾性多孔質材料を圧縮状態に制限するステップとを含む方法。
【請求項29】
前記弾性多孔質材料を制限する前記ステップが、前記圧縮された弾性多孔質材料を液体の状態の融解可能な固体に含浸させ、次いで前記液体が冷えて凝固することを可能にし、それによって前記弾性多孔質材料を圧縮状態で維持することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記弾性多孔質材料を制限する前記ステップが、前記弾性多孔質材料の外側の少なくとも一部分の周りに高分子機械的拘束具を取り付けることを含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火炎止め製品、特に換気式前面体(ファサード)、カーテンウォール、または外部断熱システム内の火の広がりを防止するのに好適な火炎止め製品に関する。
【背景技術】
【0002】
火炎止めは、火災の場合に構造内の区画を分けて維持することに関する。これらの区画は、火の影響を受けていない領域にいる人に、火が広がる前に建物から避難する時間をさらに与えるために、煙、熱、および炎に対して互いから封止されるべきである。
【0003】
火炎止め製品は、区画間の間隙、建物の要素(床、壁、屋根)間の間隙およびパイプまたはケーブルのための貫通部などの建物の要素内の間隙の両方、ならびに扉およびその枠間の空間を封止するために提供される。
【0004】
一般に、2種類の技術が当技術分野で知られている。封止材、マスチック、および断熱材などの受動的な技術は、恒久的に耐火性を有しており、変化なく火災の状態に耐えるように設計されている。膨張テープまたはパイプカラーなどの反応性の技術は、膨張コーティングと同じように加熱されると拡大し、火のない状況では普通なら開いているはずの間隙を埋めるように設計されている。本発明は、反応性の火炎止め技術に関する。
【0005】
多くの現代の建物前面体は、換気式の設計であり、建物の壁の外側に断熱材が結合されており、次いで空気間隙が位置し、次いで耐候性の被覆が位置する。空気間隙は、空気の循環を提供し、断熱材が水浸しになって役に立たなくなることを防止する。
【0006】
火災の状況で、空気間隙は、煙突として作用する可能性があり、熱および炎は建物の外側よりはるかに速く間隙を上昇し、火が階と階の間を容易に飛び越えることが可能になる。これを防止するために、火災の場合に拡大して間隙を埋める膨張テープを設置することができる。
【0007】
既存の製品には、たとえば、膨張グラファイトを調合したEPDM(エチレンプロピレンジエンMクラスゴム)テープが含まれる。しかしこれは、熱伝導率が低い高密度材料であり、火災の際に空洞を閉じるのに約6分という長すぎる時間がかかる。ASFP Technical Guidance Document TGD19は、火災の場合に最大時間5分以内に空洞を閉じることを求めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、火災の場合に、換気空洞を閉じて建物中に火が広がるのを止めるまでの活性化時間がより短い火炎止め製品を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、膨張剤を少なくとも部分的に含浸させた弾性多孔質材料を含む火炎止め製品を提供し、弾性多孔質材料は、解放可能な拘束具によって圧縮状態で保持され、拘束具は、熱および/または炎に露出されると降伏する。
【0010】
「弾性」とは、多孔質材料が弾性を有し、拘束具を取り外すとそれが自律的に拡大することを意味する。言い換えれば、弾性多孔質材料は、圧縮することができ、圧縮状態で保持することができ、圧縮が解放されるとその元の形状を回復することができる。
【0011】
「火炎止め」とは、製品が最終的には機能しなくなる可能性があるが、火の広がりを少なくとも一定期間は防止することを意味する。火炎止め製品は、概して、建物の中にいる人が安全な場所に避難することを可能にするのに十分なほど長い一定期間にわたって火の広がりを止めるように設計される。
【0012】
火炎止め製品が火のない状態で休止中であるとき、弾性多孔質材料は膨張剤を支持する。加えて、弾性多孔質材料は、本発明の火炎止め作用で重要な機能を担う。火災の場合、拘束具は降伏し、したがって膨張剤の拡大とは無関係に弾性多孔質材料が拡大することが可能になる。膨張剤を含む弾性多孔質材料のこの最初の拡大により、火に起因する高温ガスに膨張剤を非常に迅速に露出させることが可能になる。最初の拡大の結果、火災の場合に早い段階で膨張が生じ、この火炎止め製品が従来の火炎止め製品より速く作用する。
【0013】
「降伏する(yield)」とは、弾性多孔質材料が保持される圧縮ひずみによって拘束具に作用する弾性多孔質材料の外向きの圧力が、弾性多孔質材料を圧縮状態で保持する拘束具の力を上回ることを意味する。
【0014】
拘束具は、拘束具の性質に応じて、様々な機構によって降伏する。いくつかの実施形態では、拘束具は、部分的または完全に融解することができる。他の実施形態では、拘束具は、部分的または完全に焼失することができる。さらなる実施形態では、拘束具は、弾性多孔質材料が拡大するにつれて弾性多孔質材料によって及ぼされる力によって軟化し、したがって細長くなり、または他の形で変形することができる。さらなる実施形態では、拘束具は、ガラス転移などの物理的変化を受け、したがって弾性を有するようになり、それによって弾性多孔質材料を圧縮状態で保持することができなくなる。
【0015】
融解または焼失の場合、拘束具が完全に消えてなくなる必要はない。弾性多孔質材料を圧縮状態から解放するには、たとえば糸、テープ、リボンなどの形態で、一箇所に破断があれば十分である。綿糸または絹糸などの細い糸の形態の拘束具にとって、焼失による解放は特に好適である。糸の拘束具は、弾性多孔質材料にコイル状に巻き付けることができ、網状の構成または任意の他の好適な配置で織ることができる。
【0016】
軟化する場合、高分子などの拘束具は依然として固体のままであり、圧縮状態で保持された弾性多孔質材料によって及ぼされる力の結果として拘束具が塑性変形を受けうる温度にさらに到達することができる。この場合、温度が増大するにつれて、拘束具の引張り強度は減少する。言い換えれば、拘束具が臨界温度に到達したときに拘束具を変形させるために必要とされる力が、弾性多孔質材料によって及ぼされる力より小さくなり、したがって拘束具は降伏する。
【0017】
ガラス転移温度の場合、好ましくは、ガラス質からゴム状への転移は、明確で鮮明な転移である。そのガラス転移温度を上回る温度における弾性の拘束具の拘束力は、好ましくは、弾性多孔質材料によって拘束具に及ぼされる力より小さく、したがって弾性多孔質材料は圧縮状態から解放され、拡大することが可能になる。
【0018】
選択された材料に応じて、降伏機構の組合せが可能である。
【0019】
弾性多孔質材料の膨張温度、降伏温度、および弾性の関係により、火災の場合に本発明の火炎止め材料が迅速に活性化することが可能になる。特定の膨張剤が膨張する温度は、材料に依存する。この閾値から、拘束具が降伏する最大温度を選択することができる。降伏温度は、好ましくは、膨張剤の膨張温度より低いが、火炎止め製品の正常使用温度を上回るべきである。拘束具の強度は、弾性多孔質材料の弾性を知った上で選択することができる。
【0020】
全体として、火のない正常な状態で、拘束具は、弾性多孔質材料が圧縮状態で保持されるように、その完全性を維持するべきであるが、火災の場合、拘束具が降伏し、次いで弾性多孔質材料が拡大し、次いで膨張剤が膨張するべきである。
【0021】
好ましくは、弾性多孔質材料は、直線インチ当たり10~100孔(ppi)、好ましくは20~80ppiの多孔度を有する。
【0022】
弾性多孔質材料は、連続気泡発泡体または不織材料、好ましくは連続気泡発泡体を含むことができる。
【0023】
弾性多孔質材料が連続気泡発泡体である場合、好ましくは直線インチ当たり10~100孔(ppi)、好ましくは20~80ppiの多孔度を有する。
【0024】
好適な連続気泡発泡体には、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル発泡体、ポリオレフィン発泡体、ポリスチレン発泡体などの高分子発泡体、アクリロニトリル、スチレン、および場合によりブタジエンの共重合体ベースの発泡体、ならびにたとえばメラミンホルムアルデヒド樹脂またはフェノールホルムアルデヒド樹脂などの熱硬化性合成樹脂から作られた発泡体が含まれる。好ましくは、弾性多孔質材料は、ポリウレタン(PU)連続気泡発泡体(すなわち、網状のPU発泡体)を含む。PU発泡体は、本発明にとって好適な機械特性を有する。
【0025】
連続気泡発泡体に対する代替として、弾性多孔質材料は、高分子繊維、金属繊維、および無機繊維のうちの少なくとも1つを含む不織材料を含むことができる。好適な不織材料は、ポリプロピレン繊維を含むことができる。無機繊維は、耐火特性に関して好ましい。
【0026】
弾性多孔質材料は、接着剤を少なくとも部分的にさらに含浸させることができる。接着剤は、弾性多孔質材料と膨張剤との間の粘着性を改善することができる。接着剤は、たとえばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド、またはポリアクリロニトリルなど、アクリル接着剤、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアクリレート、ポリ塩化ビニル混合重合体、ポリクロロプレン、およびカーボナイザのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0027】
好ましくは、接着剤は、アクリル接着剤を含む。アクリル接着剤は、良好な粘着性、耐水性、および耐劣化性を呈することから好ましい。
【0028】
弾性多孔質材料の拡大に続いて、膨張剤は高温ガスに露出されて膨張し、高温ガスおよび/または炎のさらなる広がりに対する障壁を形成する。膨らんだ後、膨張剤は自立することができる。
【0029】
膨張剤は、好ましくは、グラファイト、ポリリン酸塩、メラミン、ペンタエリトリトール、二酸化チタン、およびバーミキュライト断熱材のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0030】
好ましくは、膨張剤は、グラファイトを含む。
【0031】
好ましくは、膨張剤は、リン含有化合物として、リン酸塩、好ましくはポリリン酸塩、特に好ましくはポリリン酸アンモニウムを含む。この場合、ポリリン酸アンモニウムは、5~8、好ましくは5.5~7.5のpH値を有することができる。有利には、25℃の温度および10%の懸濁液におけるポリリン酸アンモニウムの粘性は、200mPas未満、好ましくは150mPas未満、特に好ましくは100mPas未満である。概して、難燃性または不燃性を実現するために、たとえばハロゲン、ホウ素、または窒素化合物ベースの他の防炎加工剤も考慮されるはずである。
【0032】
しかし、処理および使用の両方において、リン化合物を膨張性グラファイトとともに使用することが特に有利であることも判明している。5%~20%、好ましくは7%~18%、好ましくは8%~12%のポリリン酸アンモニウム懸濁液が、特に好適であることが判明している(これらの詳細は、いずれの場合も重量パーセントに関する)。そのようなポリリン酸アンモニウム懸濁液は、好ましくは水中でスラリーを形成し、特に軽い粉末は、水中で非常にうまく懸濁したまま維持される。一方、10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.5%未満の割合のみが溶解する。
【0033】
好ましくは、特にリン含有化合物と膨張性グラファイトの相乗効果によって、すでに十分な防火性または十分な火炎抑制を実現することができ、したがって追加の難燃剤としての層状のケイ酸塩を省くことができる。さらに好ましい実施形態では、さらなる難燃剤を完全に省くことが可能である。
【0034】
有利には、上述したように、リン酸塩、特に好ましくはポリリン酸塩、特に好ましくはポリリン酸アンモニウムが、リン含有化合物として使用される。このポリリン酸アンモニウムは、有利には、25~36、好ましくは28~35、特に好ましくは31~33のリン含有量(%(w/w)単位)を有する。窒素の割合(同様に、%(w/w)単位)は、好ましくは10~20、好ましくは12~18、特に好ましくは14~15である。
【0035】
物質中の水の割合(同様に、%(w/w)単位)は、好ましくは1未満、特に好ましくは0.5未満、特に好ましくは0.4未満、特に好ましくは0.3未満である。水への溶解度(10%の溶液に基づく)(%(w/w)単位)は、好ましくは1.0未満、好ましくは0.8未満、好ましくは0.7未満、好ましくは0.6未満、特に好ましくは0.55未満である。これらの百分率の詳細は、いずれの場合も重量パーセントに関する。
【0036】
ポリリン酸アンモニウムの平均粒径(μm単位)は、5~25、好ましくは10~20、特に好ましくは15~18である。
【0037】
膨張性グラファイトの粒径は(メッシュ単位で測定)、好ましくは20メッシュより大きく、好ましくは30メッシュより大きく、特に好ましくは40メッシュより大きく、特に好ましくは50メッシュより大きい(この情報は、対応するメッシュサイズを有するふるいによってふるい分けられた材料の粒径を示す)。いずれの場合も、メッシュ単位のメッシュサイズの上述した詳細は、粒子の少なくとも80%がふるい内に留まるメッシュサイズを表す。標準ASTM E11が考慮される。好ましくは、8%~12%は500μを超えるサイズを有し、かつ/または80%~90%は200μを超える(かつ、500μ未満)サイズを有し、かつ/または1%~4%は、100μを超える(かつ、200μ未満)サイズを有する。
【0038】
好ましい膨張剤は、比較的低温での急速な膨張性から、グラファイト、ならびにグラファイトおよびポリリン酸アンモニウムの混合物である。
【0039】
好ましくは、弾性多孔質材料と接着剤を含めた膨張剤との重量比は、乾燥重量で1:1~1:8、最も好ましくは1:2~1:6である。好ましくは、弾性多孔質材料と接着剤を除外した膨張剤との重量比は、1:0.2~1:6、最も好ましくは1:1~1:3である。
【0040】
弾性多孔質材料が火のない状態で不要に拡大することを防止するために、弾性多孔質材料は、拘束具によって圧縮状態で保持される。拘束具は、火災中に生成された高温ガスに露出されると破断する点まで融解、軟化、または焼失するように構成される。
【0041】
拘束具は、弾性多孔質材料の外部に位置するテープ、糸、フィルム、押出チューブ、網、または収縮包装された管材など、弾性多孔質材料の外部に位置する機械的機構の形態とすることができる。
【0042】
拘束具は、火からの高温ガスに露出されると融解、軟化、焼失、ガラス転移または別の物理的および/もしくは化学的変化を受けるが、火のない正常な状態では固体としてのその完全性を維持することが可能な高分子から作ることができる。
【0043】
好ましくは、拘束具は、ポリエチレン(低密度ポリエチレンなどの異なる形態のポリエチレンを含む)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、およびアクリロニトリルブタジエンスチレンから選択された1つまたは複数の高分子を含む。拘束具は、膨張剤の膨張温度を下回りかつ火のない状態での正常使用温度を上回る温度で降伏するように設計することができる。
【0044】
好ましくは、拘束具は、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。LDPEは、試験中、火災状態で融解を呈し、それによって弾性多孔質材料の解放を呈するが、火のない状態では完全性を維持することが確認された。
【0045】
拘束具は、炎に接触すると急速に焼失し、または高温ガスに接触すると融解することができる糸から作ることができ、それによって弾性多孔質材料を圧縮状態から迅速に解放することができる。好適な糸は、綿、絹、リネン、麻、竹、羊毛、セルロース系繊維などの天然繊維を含むことができ、さらにまたは別法として、高分子、たとえばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維などの合成繊維を含むこともできる。
【0046】
拘束具の厚さは、火災状態と火のない状態との両方における弾性多孔質材料の機械特性、特に弾性、ならびに拘束具自体の引張り強度および/または可燃性などの他の特性に関して選択される。このようにして、当業者であれば、火がなければ拘束具が完全性を維持するように、特定の使用状態に基づいて、拘束具に対する適当な厚さを選択することができる。
【0047】
そのような拘束具は、拘束具が弾性多孔質材料の外部に位置するように弾性多孔質材料を少なくとも部分的に封入すると考えることができる。
【0048】
代替の構成では、拘束具は、弾性多孔質材料に含浸させたワックスなどの融解可能な固体の形態とすることができる。この場合、拘束具は、弾性多孔質材料を液体の状態の拘束具に浸漬させることによって、その拡大状態で弾性多孔質材料に吸収される。次いで、弾性多孔質材料は圧縮および拡大され、液体を吸い込むことが可能になる。次いで、弾性多孔質材料は再び圧縮され、それによって余分な液体を絞り出す。最後に、弾性多孔質材料は、液体の拘束具が凝固するまで圧縮状態で保持される。凝固したとき、拘束具は単独で、弾性多孔質材料を圧縮状態で保持することができる。
【0049】
融解可能な固体は、使用状態に適するように選択されており、火災状態では融解し、火のない状態では固体のまま残らなければならない。ワックスは、C20を上回る鎖長、たとえばC25-100、好ましくはC30-70の範囲内の鎖長の炭化水素と、天然または合成由来の脂質とを含むことができる。固体が十分な程度まで融解または軟化したとき、弾性多孔質材料は、弾性多孔質材料の外部に位置する拘束具が利用されるときと同様に、迅速に拡大することが可能である。
【0050】
好ましいワックスには、蜜蝋、中国蝋、セラック蝋、ラノリン、カルナウバ蝋、およびオリキュリーワックスなどの植物および動物ワックスが含まれる。好ましいワックスには、パラフィンなどの石油および炭化水素由来のワックス、ならびにポリアルキレン由来のワックスも含まれる。
【0051】
拘束具が含浸された融解可能な材料であるか、それとも外部の拘束具であるかにかかわらず、拘束具が軟化、融解、焼失、または他の手段にかかわらず弾性多孔質材料を圧縮状態で保持できなくなる温度は、拘束具が火災状態でのみ降伏するように選択される。「周囲」温度は、たとえば建物の地理的な場所、および建物内の火炎止め製品の場所、たとえば高温のパイプ付近、または建物のうち日光をほとんど受けない面に応じて、25℃より著しく高くすることができる。
【0052】
好ましくは、拘束具が降伏し、したがって弾性多孔質材料を解放する温度は、225℃以下、好ましくは80℃~130℃、好ましくは100℃~120℃である。拘束具の降伏温度は、膨張剤が活性化する温度より低くなるように選択されるべきである。この関係により、火災の場合、弾性多孔質材料が拡大することが可能になってから、膨張剤が膨張し始め、膨張剤が高温ガスに急速に露出される。
【0053】
グラファイトが膨張剤または膨張剤の成分としてとして使用される場合、拘束具の降伏温度に対する最大閾値を225℃、好ましくは130℃、またはさらに120℃とすることが好適である。拘束具の降伏温度に対する最小閾値を80℃、好ましくは90℃、またはさらに100℃とすることで、火のない状態で、たとえば温かいパイプが火炎止め製品付近を通過する場合、または火炎止め製品に直射日光が当たっている場合、高温箇所を局所化することが可能になる。
【0054】
本発明で使用するのに好適な膨張剤であるグラファイトは、典型的に100℃を超えると膨張し、したがって弾性多孔質材料は、この膨張温度に到達する前に拡大しなければならない。一部のグラファイト系は、235℃の温度で膨張することができる。膨張剤の組成は、好ましくは、特有の温度でその拡大が始まるように選択され、この温度は、好ましくは、140℃~270℃、150℃~250℃など、160℃~240℃など、170℃~235℃などの範囲内である。
【0055】
完全な火炎止め製品は、任意の好適な寸法を有することができる。たとえば、火炎止め製品は、テープ、板、または事前に切断された細片の形態とすることができる。
【0056】
好ましくは、火のない状態の火炎止め製品は、50mm未満、好ましくは25mm未満、好ましくは20mm未満の厚さを有する。
【0057】
好ましくは、弾性多孔質材料の弾性は、事前定義された圧縮、特に元の厚さの50%までの圧縮が与えられると、好ましくは元の厚さの少なくとも60%まで、好ましくは元の厚さの少なくとも70%まで、好ましくは元の厚さの少なくとも75%まで、非常に好ましくは元の厚さの少なくとも80%まで、少なくとも部分的に戻るような弾性である。これらのデータは特に、まだ含浸されていない材料に関する。
【0058】
任意選択で、換気空洞内の表面への取付けを容易にするために、火炎止め材料の少なくとも一面の少なくとも一部が、接着剤、機械的締結手段、または機械的締結のための孔などの事前に形成された取付け手段で被覆される。別法として、火炎止め材料は、事前に形成された取付け手段を備えていないこともあり、釘などの従来の取付け手段によって空洞壁に取り付けられる。
【0059】
本発明はまた、外壁と、外壁に実質上平行な被覆層とを備える断熱式建物前面体を提供し、外壁および被覆層は、外壁と被覆層との間に空気間隙を画定するように互いから隔置され、
空気間隙内に火炎止め製品が配置され、被覆層の一面または外壁の一面の一部に取り付けられており、火の熱に接触すると被覆と断熱材との間の距離を埋めるように拡大可能であり、
火炎止め製品は、膨張剤を少なくとも部分的に含浸させた弾性多孔質材料を含み、
弾性多孔質材料は、解放可能な拘束具によって圧縮状態で保持されており、
拘束具は、火からの高温ガスおよび/または炎に露出されると融解、軟化、または焼失によって解放される。
【0060】
空気間隙は、断熱材に湿気またはかびが伴うことを防止するように作用する換気空洞を形成する。
【0061】
換気空洞内で、火炎止め製品は、前面体に対して実質上水平位置に向けられたテープの形態とすることができる。この向きにより、火炎止め製品が建物の階層間で火の広がりを防ぐことが可能になる。
【0062】
別法または追加として、火炎止め製品は、建物前面体の横方向への火の広がりを防ぐために、実質上垂直位置に向けることができる。
【0063】
好ましくは、空気間隙に隣接する外壁の面が断熱材層を備え、したがって空気間隙は、断熱材層および被覆層によって画定される。したがって、火炎止め製品は、断熱材層に直接取り付けることができ、または断熱板間の接合部に取り付けることができる。
【0064】
被覆層は、れんが壁、金属薄板、高分子薄板、セメント板、または下見板のうちの少なくとも1つを含むことができる。好ましくは、被覆層は耐候性を有する。
【0065】
本発明は、火炎止め材料を製造する方法をさらに提供し、この方法は、
a.弾性多孔質材料を提供するステップと、
b.膨張剤の溶液を提供するステップと、
c.弾性多孔質材料に溶液を含浸させるステップと、
d.溶液を乾燥させ、それによって液体を除去するステップと、
e.弾性多孔質材料を圧縮させるステップと、
f.拘束具によって弾性多孔質材料を圧縮状態に制限するステップとを含む。
【0066】
弾性多孔質材料に膨張剤の溶液を含浸させるステップは、弾性多孔質材料を圧縮し、圧縮された弾性多孔質材料を溶液に接触させ、次いで弾性多孔質材料が拡大することを可能にし、それによって溶液を孔に吸い込むことによって実施することができる。
【0067】
弾性多孔質材料は、膨張剤を完全または部分的に含浸させることができる。
【0068】
接着剤が使用される場合、接着剤は、膨張剤と同じステップで弾性多孔質材料に含浸させることができる。ステップbで提供される溶液は、膨張剤と接着剤または接着剤前駆体との両方を含むことができる。
【0069】
本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】典型的な換気式前面体設計を示す図である。
図2】換気式前面体内の活性の火炎止め材料の典型的な設置を示す図である。
図3】実施例に対する試験設定を示す図である。
図4a】典型的な換気式前面体内に設置された火災の場合の本発明の火炎止め材料の動作機構を示す図である。
図4b】典型的な換気式前面体内に設置された火災の場合の本発明の火炎止め材料の動作機構を示す図である。
図4c】典型的な換気式前面体内に設置された火災の場合の本発明の火炎止め材料の動作機構を示す図である。
図4d】典型的な換気式前面体内に設置された火災の場合の本発明の火炎止め材料の動作機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
上述したように、図1に示す典型的な換気式建物の前面体(ファサード)1は、建物壁2と、建物壁2に取り付けられた断熱材3と、耐候性の被覆4と、耐候性の被覆4と断熱材3との間の空間によって画定された換気空洞5として作用する空気間隙とを備える。
【0072】
図1に示す換気空洞5により、外部断熱材が耐候性と通気性との両方を有し、したがってかびおよび湿気の蓄積を防止することが可能になる。図1に矢印で示すように、換気空洞5内では換気式建物前面体1中に空気が循環することができる。換気空洞5には、火災の場合に煙突として作用して、建物中への火の広がりを加速させる可能性があるという欠点がある。
【0073】
この欠点を克服するために、図2に示すように、換気空洞5内に膨張性耐火障壁(火炎止め製品)6を提供することが知られており、耐火障壁6は、換気空洞5に向かって外向きの断熱材3の表面、または換気空洞5に向かって内向きの耐候性の被覆4の表面に配置される。膨張性耐火障壁6は、火が生じたときのみ拡大して断熱材3と耐候性の被覆4との間の空気間隙5を埋めることから、正常状態で空気を循環させる能力が保持される。空気間隙5を火のない状態で維持することで、破片の蓄積を防止することもできる。
【0074】
既存の膨張性耐火障壁は、高分子マトリックスに封入されたグラファイトを含む。高分子マトリックスは、グラファイトが高温ガスに露出され、膨張して空気間隙を閉じることが可能になる前に融解しなければならない。グラファイトは、包まれている高分子が融解して初めて露出される。そのような機構は多くの状況では遅すぎ、実際にいくつかの規制では、空気間隙を閉じる時間を現在可能な時間より短くすることが必要とされる。
【0075】
本発明は、図4a~図4dに示すように、この問題を克服する。
【0076】
図4aは、本発明による例示的な火炎止め製品6を示しており、火炎止め製品6は、耐候性の被覆4および建物壁(図示せず)に取り付けられた断熱材層3によって画定された換気空洞5内に配置されている。この例の火炎止め製品は、膨張グラファイト8を含浸させた圧縮された発泡体7を備えており、発泡体7は、この拘束具9によって圧縮状態で保持される。この図では、火炎止め製品は、耐候性の被覆4の内面に取り付けられている。しかし、火炎止め製品は、断熱材3の外面に取り付けられた場合、または断熱材層がなく、建物壁2の外面に直接取り付けられた場合でも、等しく十分に機能する。
【0077】
図4bは、火10が換気空洞5を介して建物の周りに容易に広がりうることを実証する。
【0078】
図4cは、火10に起因する高温ガス11を示し、高温ガス11が拘束具9を融解させている。拘束具がなくなると、発泡体7は空気間隙5中に拡大する。多孔質高分子である発泡体7は、それ自体が高温ガスまたは炎の広がりを防止することはできない。しかし、図4cに示すように、発泡体の多孔性およびその拡大状態により、高温ガス11が膨張グラファイト8に短時間で接触することが可能になる。この作用は、膨張が非常に迅速に生じることが可能であることを意味する。
【0079】
グラファイト8が膨張した後、図4dに示すように、換気空洞5は高温ガスの通過に対して塞がれ、前面体1中への火10の広がりが止められる。膨張グラファイト8は、高温ガス11を通さない炭12を形成する。
【実施例
【0080】
既存の市販の火炎止め製品と比較して本発明の火炎止め製品の利益を示すために、比較試験が実施された。実施された試験は、火災状況での火炎止め製品をシミュレートする。炉(0.5m×0.5m×0.5m)を使用して、ISO834のセルロース火災曲線まで加熱した。
【0081】
試験条件の概略的な配置について、図3を参照して以下に説明する。炉は本質的に立方体であり、2つの取外し可能な壁と、2つの固定された垂直壁と、ガスバーナを有する底部と、煙道を有する頂部とを備える。取外し可能な壁は、接合部および貫通部の試験を可能にするために設けられた開口を有する。図3は、本発明の火炎止め製品を試験するために設定されたこれらの取外し可能な壁のうちの1つの平面図を示す。
【0082】
炉(31)は、2つの垂直壁(32)を備えており、各垂直壁(32)は厚さ100mmであり、高さ300mmおよび幅210mmの試験片のための開口(33)を有し、開口(33)は100mmの厚さ全体に延びていた。
【0083】
火炎止め製品の動作状態をシミュレートするために、高さ300mm×幅90mm×厚さ100mmの2つの通気性コンクリートブロック(34)が各開口(33)に位置し、幅25mm、高さ300mm、および厚さ100mmのスロット(35)を提供するように配置され、スロット(35)は、炉(高温区間)から外側(周囲温度)まで延びていた。ブロックと炉の開口との間の残りの空間は、ミネラルウール(36)で封止された。
【0084】
これらのスロット(35)を火炎止め製品(36)が部分的に埋めており、次いで火炎止め製品(36)は、火災試験中に拡大、膨張し、スロット(35)を閉じるはずである。
【0085】
1つのスロットは、膨張グラファイトを調合した熱可塑性高分子キャリアを含むFiretherm Rainbar 60-25という市販の製品を備えた。供給されているこの製品は、60mm×4mmの断面を有し、300mmの長さに切断され、高温区間と外側との間に厚さ21mmの開口を残すようにスロット内に配置された。
【0086】
第2の壁は同じであったが、この市販の製品が本発明による火炎止め材料に置き換えられた。これは、300mm×100mm×25mmの寸法を有する材料ブロックであり、10mmに圧縮され、約105℃の軟化点を有する融解可能な(低密度ポリエチレン)プラスチックラップによって圧縮状態で保持された。
【0087】
本発明による製品の開始厚さはより大きかったが、より大きい厚さの従来の火炎止め材料を使用すると、熱質量をさらに増大させ、したがって膨張を引き起こすまでの加熱時間を増大させるため、より速くならないはずである。
【0088】
火炎止め製品が拡大、膨張し、間隙を埋める時間を以下に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
本発明の火炎止め製品は、普通なら火が迅速に広がるはずの空洞を塞ぐためにかかる時間量を減少させることによって、既存の製品に対する明らかな改善を実証する。
【符号の説明】
【0091】
1 換気式建物前面体
2 建物壁
3 断熱材
4 耐候性の被覆
5 換気空洞
6 膨張性耐火障壁
7 発泡体
8 膨張グラファイト
9 拘束具
10 火
11 高温ガス
12 炭
31 炉
32 垂直壁
33 開口
34 通気性コンクリートブロック
35 スロット
36 ミネラルウール、火炎止め製品
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
【国際調査報告】