(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ベルトテンショニングシステムを備えた紡績機
(51)【国際特許分類】
D01H 1/241 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
D01H1/241 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517574
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(85)【翻訳文提出日】2021-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2019057480
(87)【国際公開番号】W WO2020070567
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】102018000009103
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518115263
【氏名又は名称】マルツォーリ・マシーンズ・テキスタイル・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】MARZOLI MACHINES TEXTILE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ロザリオ・アッセンツァ
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA02
4L056BA03
4L056BD32
4L056BD42
4L056DA32
4L056DA34
4L056DA52
4L056DA67
4L056DA68
4L056DA69
4L056DA70
4L056EB12
4L056EB13
4L056EC29
4L056EC56
4L056EC65
4L056EC68
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】 紡績機(1)は、長手方向に揃えて配置された複数のスピンドル(6
1~6
n、8
1~8
n)と、電動モータ(18
1~18
n、20
1~20
n)を備えるスピンドル用の駆動装置と、電気モータに係合し、スピンドルを接線方向に引っ張ることにより、スピンドルを回転させるベルト(14)と、スピンドルからモータに向けてベルトを迂回させるための送込み方向変え手段(32)と、モータからスピンドルに向かってベルトを迂回させるための送出し方向変え手段(34)と、を備える。主送込み方向(Wi)と送込み方向(Y)とが、送込み角度(A)を形成し、主送出し方向(Wu)および送出し方向(Z)とが、送出し角度(B)を形成する。送込み角度(A)は送出し角度(B)よりも大きく、送込み方向変え手段(32)上にベルト張力が作用することを制限する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗糸のボビンからの紡績糸のボビンを形成するための紡績ラインの紡績機(1)であって、
複数のスピンドル(6
1~6
n、8
1~8
n)を備え、長手方向に揃えて配置された少なくとも1つのバンク(2、4)と、
少なくとも1つの電動モータ(18
1~18
n、20
1~20
n)を備える、前記スピンドル用の少なくとも1つの駆動装置と、
前記電動モータに係合し、前記スピンドルを接線方向に引っ張ることにより、前記スピンドルを回転させるベルト(14)と、
前記スピンドルから前記モータに向けて前記ベルトを迂回させるための送込み方向変え手段(32)と、
前記モータから前記スピンドルに向かって前記ベルトを迂回させるための送出し方向変え手段(34)と、を備え、
前記ベルト(14)の送込み方向に関して、
前記送込み方向変え手段の上流で、前記ベルト(14)は、前記複数のスピンドルのうちの少なくともいくつかに接触して、主送込み方向Wiに沿った送込み部分(16a’)を移動させ;
前記送込み方向変え手段と前記モータとの間で、前記ベルト(14)は、送込み方向(Y)に沿った張力下部分(24)を移動させ;
前記送出し方向変え手段の下流で、前記ベルト(14)は、前記複数のスピンドルのうちの少なくともいくつかに接触して、主送出し方向Wuに沿った送出し部分(16a’’)を移動させ;
前記モータと前記送出し方向変え手段との間で、前記ベルト(14)は、送出し方向(Z)に沿った緩和部分(28)を移動させ;
前記主送込み方向(Wi)と前記送込み方向(Y)とが、送込み角度(A)を形成し、前記主送出し方向(Wu)および前記送出し方向(Z)とが、送出し角度(B)を形成し;
前記送込み角度(A)が前記送出し角度(B)よりも大きく、前記送込み方向変え手段上に前記ベルトの張力が作用することを制限する、紡績ラインの紡績機(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの駆動装置が、少なくとも1つのモータを移動自在に支持することに適した支持体群(40)を含む、請求項1に記載の紡績機。
【請求項3】
2つの対向するバンク(2、4)を備え、前記ベルト(14)が、第1のバンク(2)のスピンドル(6
1~6
n)と第2のバンク(4)のスピンドル(8
1~8
n)とに係合する、請求項1又は2に記載の紡績機。
【請求項4】
前記少なくとも1つの駆動装置は、前記第1のバンク(2)のスピンドル(6
1~6
n)に係合する第1のモータ(18
1~18
n)と、前記第2のバンク(4)のスピンドル(8
1~8
n)に係合する第2のモータ(20
1~20
n)とを備え、前記第1のモータ及び前記第2のモータは、前記支持体群(40)に隣接して支持されている、請求項2に従属する請求項3に記載の紡績機。
【請求項5】
前記支持体群(40)は、前記第1のモータと前記第2のモータとの長手方向の間に配置されたプレート軸(44)を中心に回転自在であり、所定の角度位置で固定可能である、前記モータを支持するプレート(42)を含み、請求項4に記載の紡績機。
【請求項6】
前記支持体群が、前記回転をガイドする手段を含む、請求項5に記載の紡績機。
【請求項7】
前記回転をガイドするための前記手段が、前記プレート(42)上または前記プレート(42)を貫通して形成され、ガイドピンが摺動するアーチ状のスロット(46)を含む、請求項6に記載の紡績機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、粗糸のボビンから紡績糸のボビンを製造するための、紡糸ラインの紡績機である。
【0002】
よく知られているように、紡糸機は、粗糸を延伸し、撚った後に、粗糸のボビンを処理して紡績糸のボビンを得ることができる。
【背景技術】
【0003】
この目的のために、紡績機は、粗糸のボビンに吊り下げられた長手方向軸に沿って延びるブリッジと、ブリッジの下に配置され、間を粗糸が引き出されるために通過し、長手方向の延長部を有する一組のシリンダから構成される引き出し装置と、長手方向軸に沿って一列で、スピンドル(紡錘)を運び、引き出され撚られた糸が巻かれた垂直軸を中心に回転するバンクと、からなる。
【0004】
紡糸機の生産性を高めるためには、各々がスピンドルの列を備える、通常2つの対向するバンクを有する。
【0005】
スピンドルはベルト駆動装置によって垂直軸の周りに回転され、ベルトは電動モータによって駆動され、2つのバンクのスピンドルと係合する。
【0006】
紡糸機のための駆動装置に関する多くの解決策が存在する。
【0007】
例示は、同一の出願人による、国際公開第2009/040734号、国際公開第2009/040839号、欧州特許出願公開第0400260号明細書に記載されている。特に、国際公開第2009/040734号は、スピンドル駆動装置の異なる構成を有する解決策を示し、これにより、以下に説明するように、ベルトの送出し部分および送込み部分は、スピンドルと接触していない。他の解決策は、米国特許第5,590,514号明細書、米国特許第4,944,144号明細書、国際公開第2007/039260号および独国特許出願公開第2125597号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、該分野における現在の傾向は、紡糸ラインの生産性を高めるために、非常に多数のスピンドルを有するバンクを提供することである。従って、多数のスピンドルを駆動するのに有効なスピンドル用の駆動装置を有する必要があり、特に、モータによって引っ張られた張力の下でのブランチと緩められたブランチとの間のベルトに生じる張力の差の問題を克服することが望まれている。
【0009】
本発明の目的は、上記の要件を満たし、上述の問題を克服するスピンドル用ベルト駆動装置を備えた紡績機を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の紡績機によって達成される。特許請求の範囲は、さらなる有利な実施形態を記載している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明による紡績機の特徴および利点は、以下に示す説明から、添付の図面に従って、非限定的な例によって提供される。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るスピンドル用ベルト駆動装置を備えた紡績機の図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るベルト駆動装置の支持体群を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照して、符号1は、粗糸のボビンから紡績糸のボビンを得るように構成された紡績ラインの紡績機であり、粗糸のボビンが吊るされる長手方向軸Xに沿って延びるブリッジと、ブリッジの下に配置され、間を粗糸が引き出されるために通過し、長手方向の延長部を有する、連続した又はセクションにおける1組の連結されたシリンダから構成される引き出し装置と、長手方向軸に沿って一列でスピンドルを運び、引き出され撚られた糸が巻かれた垂直軸を中心に回転するバンクと、を含む。
【0013】
好ましくは、紡糸フレーム1は、2つの対向するバンク2、4を備え、これらのバンク2、4に沿って、紡績機のヘッド10とテール12との間に長手方向に揃えて配置されたスピンドルの各グループ61~6n、81~8nが配置されている。
【0014】
紡績機1は、さらに、スピンドルをその垂直軸を中心に回転駆動するための少なくとも1つの駆動装置を備えている。
【0015】
この駆動装置は、第1のバンク2に沿った第1の部分16aと、第2のバンク4に沿った第2の部分16bと、第1の部分と第2の部分とを紡績機械のヘッド10に結合するヘッド部分16cと、第1の部分と第2の部分とを紡績機械のテール12に結合するテール部分16dと、を含む閉鎖経路に沿って配置されたベルト14を含む。
【0016】
経路の第1の部分16aに沿って、ベルト14は第1のバンク2のスピンドル61~6nに接しし、経路の第2の部分16bに沿って、ベルト14は第2のバンク4のスピンドル81~8nに接し、各スピンドルをそのそれぞれの各垂直軸の周りに回転させる。
【0017】
駆動装置は、ベルト14を駆動するための少なくとも1つの電動モータをさらに備え、例えば、好ましい実施形態によれば、駆動装置は、ベルト14の経路内に配置された複数の電動モータ181~18n、201~20nを備える。
【0018】
各モータ181~18n、201~20nに係合するために、ベルト14は、閉鎖経路の係合部分22を移動し、係合部分22は、第1の部分16aまたは第2の部分16bからモータに向かって延びる張力下部分24と、モータの駆動プーリに巻かれた引っ張り部分26と、モータから第1の部分16aまたは第2の部分16bに向かう緩和部分28とを含む。
【0019】
例えば、モータの時計回り方向が規定されると、張力下部分24はモータによって引っ張られる。
【0020】
係合部分22から閉鎖経路の第1の部分16aまたは第2の部分16bにベルト14を迂回させるために、駆動装置は、例えば、送込み(インフィード)の方向変え手段(迂回手段)の一例である送込み方向変えローラ32と、送出し(アウトフィード)の方向変え手段の一例である送出し方向変えローラ34とを含む一対の方向変え手段30を備える。
【0021】
例えば、送込み方向変えローラ32は、経路の第1の部分16aを内側に、すなわち、張力下部分24に向かって進路方向を変え、一方、送出し方向変えローラ34は、送出し部分28を、すなわち第1の部分16aの方に向きを変える。
【0022】
係合部分22の張力下部分24は、典型的には直線であり、送込み方向Yに沿って延びており、第1の部分16aは、内側に向けられる前に、すなわち、送込み方向変え手段の上流で、ベルトが複数のスピンドルの少なくともいくつかと接触している、典型的には直線状の送込み部分16a’を有し、送込み部分16a’は、主送込み方向Wiに沿って延びている。
【0023】
同様に、係合部分22の緩和部分28は、典型的には直線状であり、送出し方向Zに沿って延びており、第1の部分16aは、外側に向けられた後、すなわち、送出し方向変え手段の下流で、ベルトが複数のスピンドルの少なくともいくつかと接触している典型的には直線状の送出し部分16a’’を有し、送出し部分16a’’は、主送出し方向Wuに沿って延びている。
【0024】
張力下部分24の送込み方向Yは、ベルト14の経路の送込み部分16a’の主送込み方向Wiとの送込み角度Aを形成し、同様に、緩和部分28の送出し方向Zは、ベルト14の経路のうち、送出し部分16a’’の主送出し方向Wuとの間で送出し角度Bを形成する。
【0025】
図示されている解決策では、モータの回転は時計回りであり(張力下部分24におけるベルトの張力は、緩和部分28におけるベルトの張力よりも大きい)、送込み角度Aは、送込み方向変え手段上、例えば、第1の方向変えローラ32上のベルトの張力の作用を減少させるために、送出し角度Bよりも大きい。
【0026】
有利なことに、これにより、従来技術の解決策では過負荷である、送込みローラ32上でのベルト14の作用を減少させることができ、同時に、従来技術の解決策では引っ張りを減少させる、送出しローラ34上でのベルトの張力の作用を増大させることができる。
【0027】
好ましい実施形態によれば、駆動装置は、少なくとも1つのモータ181~18n、201~20nを移動自在に支持するのに適した少なくとも1つの支持体群40を備える。
【0028】
例えば、前記駆動装置は、前記第1のバンク6のスピンドル61~6nに係合する第1のモータ181~18nと、前記第2のバンク8のスピンドル81~8nに係合する第2のモータ201~20nとを備えている。
【0029】
第1のモータ及び第2のモータは、並んで配置されており、前記支持体群40に支持されている。
【0030】
好ましくは、支持体群40は、前記モータを支持し、プレート軸44を中心に回転自在なプレート42を備え、前記プレート軸は、第1のモータと第2のモータとの長手方向の間に配置される。プレートは、所定の角度位置に固定されてもよい。
【0031】
好ましくは、前記支持体群は、例えば、プレート42上に、又はプレート42を貫通して形成されたアーチ形のスロット46を含み、そこでガイドピン48が摺動する。
【0032】
例えば、支持体群40は、プレート42を回転自在に支持する少なくとも1つのバーを備え、例えば、支持体群40は、プレート42を回転自在に支持する一対の短手方向の支持バー50、52を備える。
【0033】
有利には、ベルトの張力を調節する、または保守作業を行う、特に、破損したベルトを新しい無端ベルトに交換する、または駆動プーリを異なる直径の別のプーリと交換するために、プレート42の回転は、特に、係合部分22において、ベルト14を弛緩させることができる。
【0034】
革新的なことに、本発明による紡績機は、従来技術を参照して述べた欠点を克服し、特に、従来技術の解決策では、より力を受けやすい構成要素上のベルトの張力を適切に減少させることを可能にする。
【0035】
付随する要件を満たすために、当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって定義される保護の範囲内に含まれる、上述した紡績機に変更を加えることができることは明らかである。
【国際調査報告】