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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】眼内ガスインジェクタ
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A61F9/007 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517611
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(85)【翻訳文提出日】2021-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2019058431
(87)【国際公開番号】W WO2020079517
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】16/165,140
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャック ロバート オールド
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ レスクーリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン クリストファー ハキュラック
(72)【発明者】
【氏名】マーカス アントニオ ソーザ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マッコラム
(57)【要約】
ガス混合装置は、測定制御システムと、起動システムと、1つ以上のガスを有する加圧チャンバと、混合チャンバとを含む。フィルタは、混合装置の出口に事前に取り付けられ、フィルタを通して余剰ガスが排出され、且つその後、治療ガス混合物を生成するためにフィルタを通して混合装置に大気が引き込まれることを可能にし得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に治療ガスを送達するための手持式ガス用インジェクタであって、
出口を有するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体内において且つ前記シリンジ本体と共に摺動可能に配置されたプランジャであって、前記シリンジ本体内に第1チャンバを画定するプランジャと、
前記シリンジ本体及び前記プランジャの少なくとも1つの中に配置された第2チャンバであって、
少なくとも、大気における濃度と異なる濃度及び周囲大気の圧力を超える圧力の第1流体を収容する内容積と、
前記第2チャンバの第1端部における開口部と、
前記第1端部に隣接して位置する第1弁機構であって、前記開口部を封止するように構成された第1弁機構と
を含む第2チャンバと、
前記第2チャンバと前記第1チャンバとの間のチャネル及びアパーチャと、
前記第2チャンバに動作可能に結合された起動システムであって、前記チャネルを通した前記第2チャンバから前記第1チャンバへの前記第1流体の放出を引き起こすように構成される起動システムと、
前記プランジャの移動を、前記第1チャンバの複数の容量に対応する複数の使用者選択可能位置に限定するように構成された調節可能な容量リミッタと、
前記シリンジ本体の前記出口に接続された第1端部と、フィルタオリフィスを有する第2端部と、前記第1端部と前記第2端部との間に配置されたフィルタ要素とを有するフィルタと、
前記フィルタオリフィスに取り外し可能に接続され、且つ前記フィルタオリフィスよりも小さい制限器オリフィスを有する流量制限器であって、前記フィルタオリフィスを通る前記第1チャンバからの流体の流れを制限し、したがって、前記第1流体が前記第2チャンバから前記第1チャンバに放出されるとき、前記第1チャンバから前記フィルタオリフィスを通る流体の流れに対して追加的な背圧を生成して、前記プランジャを移動させる力を増大させ、且つそれにより前記第1チャンバを拡張させるように構成された流量制限器と
を含む手持式ガス用インジェクタ。
【請求項2】
前記フィルタは、前記シリンジ本体に取り外し可能に接続される、請求項1に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項3】
前記流量制限器は、前記フィルタオリフィスから流体を受け入れるように構成された第1端部と、前記制限器オリフィスを含む第2端部とを有する内腔を含み、前記内腔は、前記第1端部と前記第2端部との間でテーパしている、請求項1に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項4】
手持式ガス用インジェクタアセンブリであって、
出口を有するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体内において且つ前記シリンジ本体と共に摺動可能に配置されたプランジャであって、前記シリンジ本体内に第1チャンバを画定するプランジャと、
プランジャの移動を、前記第1チャンバの複数の容量に対応する複数の使用者選択可能位置に限定するように構成された調節可能な容量リミッタと、
前記シリンジの前記出口に接続された第1端部と、フィルタオリフィスを有する第2端部とを有するフィルタと、
前記フィルタオリフィスに取り外し可能に接続され、且つ前記フィルタオリフィスよりも小さい制限器オリフィスを有する流量制限器であって、前記フィルタオリフィスを通る前記第1チャンバからの流体の流れを制限するように構成された流量制限器と
を含む手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項5】
前記第1チャンバに第1流体を導くように構成された充填機構を更に含み、前記流量制限器は、前記フィルタオリフィスから出る流体の流れを制限して、前記フィルタオリフィスから出る前記流体の流れに対して追加的な背圧を生成するように構成される、請求項4に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項6】
前記フィルタは、前記シリンジ本体に取り外し可能に接続される、請求項4に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項7】
前記流量制限器は、前記フィルタオリフィスから流体を受け入れるように構成された第1端部と、前記制限器オリフィスを含む第2端部とを有する内腔を含み、前記内腔は、前記第1端部でのより大きいサイズから前記第2端部でのより小さいサイズにテーパしている、請求項4に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項8】
第1位置と第2位置とを有する弁機構を更に含み、前記弁機構は、前記第1位置にあるときに前記第1チャンバからの流体の流れを阻止し、且つ前記第2位置にあるときに前記第1チャンバからの流体の流れを許可するように構成される、請求項4に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項9】
手持式ガス用インジェクタアセンブリであって、
端壁と、前記端壁に接続された出口とを含むシリンジ本体と、
前記シリンジ本体内において且つ前記シリンジ本体と共に摺動可能に配置されたプランジャであって、前記シリンジ本体内において且つ前記プランジャと前記端壁との間に第1チャンバを画定し、前記第1チャンバが、前記プランジャの移動によって画定可能な最小容量を含むように前記シリンジ本体の前記端壁に配置されるプランジャと、
前記シリンジの前記出口に接続された第1端部と、フィルタオリフィスを有する第2端部とを有するフィルタと
を含む手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項10】
プランジャの移動を、前記第1チャンバの複数の容量に対応する複数の使用者選択可能位置に限定するように構成された調節可能な容量リミッタを更に含む、請求項9に記載の手持式ガス用アセンブリ。
【請求項11】
前記フィルタオリフィスに取り外し可能に接続され、且つ前記フィルタオリフィスを通る前記第1チャンバからの流体の流れを制限するように構成された流量制限器を追加的に含み、前記流量制限器は、前記フィルタオリフィスよりも小さい制限器オリフィスを含む、請求項9に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項12】
前記第1チャンバに第1流体を導くように構成された充填機構を更に含み、前記流量制限器は、前記フィルタオリフィスから出る流体の流れを制限して、前記フィルタオリフィスから出る前記流体の流れに対して追加的な背圧を生成するように構成される、請求項11に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項13】
前記フィルタは、前記シリンジ本体に取り外し可能に接続される、請求項9に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項14】
流量制限器は、前記フィルタオリフィスから流体を受け入れるように構成された第1端部と、制限器オリフィスを含む第2端部とを有する内腔を含み、前記内腔は、前記第1端部と前記第2端部との間でテーパしている、請求項10に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項15】
第1位置と第2位置との間で移動するように構成された弁機構を更に含み、前記弁機構は、前記第1位置にあるときに前記第1チャンバからの流体の流れを阻止し、且つ前記第2位置にあるときに前記第1チャンバからの流体の流れを許可するように構成される、請求項9に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項16】
前記弁機構は、弁体と、ピストンと、シールと、弁付勢部材と、内部突出部材とを含む、請求項15に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項17】
前記フィルタは、前記シリンジ本体に取り外し可能に接続され、前記フィルタは、前記シリンジ本体に結合されるとき、前記弁機構を前記第1構成から前記第2構成に移行させるために前記弁機構に係合するように構成される、請求項15に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項18】
第2チャンバを更に含み、前記第2チャンバは、少なくとも、大気における濃度と異なる濃度及び前記周囲大気の圧力を超える圧力の第1流体を収容する内容積を含む、請求項9に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項19】
前記第2チャンバは、第1端部における開口部と、前記第1端部に隣接して位置する内部弁機構であって、前記開口部を封止するように構成された内部弁機構とを含む、請求項18に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【請求項20】
前記内部弁機構は、ピストンと、シールと、付勢部材とを含み、且つ少なくとも前記アセンブリの起動前に前記開口部を封止するように構成される、請求項19に記載の手持式ガス用インジェクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される本発明は、概して、動物の眼にガスを注入するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科的処置では、特定の怪我、障害及び疾患の治療のために、標的領域へのガス又は他の流体の注入を必要とすることがある。黄斑円孔、網膜裂孔及び剥離などの眼の状態の治療では、外科的処置の一部は、眼へのガス又は他の流体の注入を含むことがある。
【0003】
例えば、網膜剥離は、網膜を所定の位置に保持する組織である網膜色素上皮(RPE)からの網膜の分離を伴う眼疾患である。網膜剥離は、網膜裂孔、網膜の牽引又は網膜下の空間に流体が蓄積することで網膜が支持RPE組織から分離し始める原因となる炎症によって起こり得る。この疾患は、後部硝子体剥離(PVD)、増殖糖尿病網膜症(PDR)、怪我又は網膜をRPEから剥離させる線維組織若しくは血管組織の血管新生によっても起こり得る。このような状態は、即座に処置されなければ、部分的な視力喪失及び場合により更に失明に至るおそれがある。
【0004】
複雑でない網膜剥離の治療法としては、空気式網膜復位術、レーザー光凝固術又は冷凍固定法などの非外科的手法が挙げられ得る。より複雑な網膜剥離には、外科的介入が必要である。場合により、失明の原因となり得る感染リスクのため、こうした手術は、感染の可能性を大幅に低下させるために無菌条件下で実施される。手術方法としては、硝子体液の除去である硝子体切除;牽引性網膜剥離の場合には膜の切離及び除去;及び更なる網膜裂孔の場合には光凝固術又は冷凍固定法が挙げられる。このような外科的処置に続いて、眼内ガスタンポナーデが使用され得る。眼内ガスタンポナーデにより、網膜組織をRPEと接触した状態に維持し、外科的処置後の治癒過程中に網膜を付着したままにすることができる。
【0005】
治癒過程中、眼圧を比較的一定に維持しなければならないため、選択されるガスは、通常、一定圧力(等圧過程)で膨張するものである。したがって、眼内ガスタンポナーデは、六フッ化硫黄(SF)、ヘキサフルロエタン(C)又はオクタフルオロプロパン(C)などの膨張性ガスと混合された空気の気泡であり得る。眼内ガスタンポナーデは、使用されるガス及び濃度に応じて、時間の経過と共に溶解する。例えば、六フッ化硫黄は、約20パーセントの濃度で空気と混合されると、1~2週間以内に溶解し、ヘキサフルオロエタンは、約16パーセントの濃度で空気と混合されると、約4~5週間で溶解し、オクタフルオロプロパンは、約12%の濃度で空気と、混合されると約6~8週間で溶解する。これらのガスの濃度の変更は、所要時間に影響を及ぼす。
【0006】
現在の手法は、別個の複数用量用加圧容器内に収容されたガスの使用を伴う。その後、これらのガスは、空気と混合し、患者の眼に注入するためにシリンジに移される。したがって、外科的処置中、シリンジを所望の濃度のガス及び空気で満たすために複数の非無菌工程及び無菌工程が必要とされる。これらの非無菌工程及び無菌工程は、通常、無菌領域内の外科医をサポートする非無菌手術室外回り看護師及び無菌手術器械出し専門職員によって実施される。第1非無菌工程中、外回り看護師は、ガス容器に接続された圧力調整器を適切な圧力に設定することによって非無菌再利用可能ガス容器を準備する。第2工程中、手術器械出し専門職員は、止め栓、フィルタ及び管をシリンジ上に直列に接続することによって無菌シリンジを準備する。第3工程中、管がガス容器に接続される。手術器械出し専門職員は、無菌管の自由端を、目に見えない無菌バリアを通して待機中の非無菌外回り看護師に慎重に渡す。非無菌外回り看護師は、管を受け取り、手術器械出し専門職員も任意の他の無菌表面も汚染させないことを慎重に確実にして、ガス容器上の調整器に管を接続する。第4工程中、シリンジは、次いで、容器からのガスで満たされる。手術器械出し専門職員と外回り看護師とは、接続された管、フィルタ、止め栓を通してシリンジにガスを放出するために加圧容器弁の開放を調整する。放出されるガスの圧力は、シリンジプランジャをシリンジバレルの長さに沿って押し、それによりシリンジをガスで満たすのに十分なものである。手術器械出し専門職員は、ガスがシリンジバレルの開端部からプランジャを押し出していないことを確実とし、シリンジが完全に満たされた状態に近づいたときにガス容器弁を閉じるように外回り看護師に合図する。第5工程中、次いで、シリンジは、ガスで満たす前にシリンジ、止め栓、フィルタ及び管内に存在していた可能性のある空気の大半をパージすることを確実にするために、全ての空気及びガスがパージされる。手術器械出し専門職員は、止め栓を回し、シリンジ内の空気及びガスを大気に放出するための手段を提供し、シリンジプランジャを押して、シリンジからその内容物を全て空にする。次いで、手術器械出し専門職員は、止め栓を反対方向に回し、接続経路を管及びガス容器に戻す。
【0007】
工程4と工程5とは、シリンジ、止め栓、フィルタ及び管内に最初に存在する空気の量を更に低減するために数回繰り返され、シリンジ、止め栓、フィルタ及び管から空気の大半をフラッシュし、システムから空気をパージする。第6工程中、次いで、シリンジに容器からガスが補充される。手術器械出し専門職員は、フィルタから管を取り外し、外回り看護師に、管を慎重に取り、管を無菌領域から取り除くように合図する。第7工程中、手術器械出し専門職員は、シリンジの全内容物を排出せず、測定した容量のガスのみがシリンジ内に残るようにプランジャを停止させる。例えば、ガスは、12mLのみがシリンジ内に残るように排出され得る。第8工程中、手術器械出し専門職員は、使用済みフィルタを新たな無菌フィルタと交換し、濾過された室内気を、シリンジ内の空気/ガス混合物の合計が所望のガス濃度に対する適切な容量になるまでシリンジ内に引き込む。
【0008】
例えば、大気は、空気とガスとの合計容量が60mLであり、そのため、20パーセントの濃度を達成するようにシリンジ内に引き込まれ得る。加圧容器は、非無菌であり、シリンジ及び手術領域は、無菌であるため、上述の工程の完了は、非無菌領域(通常、外回り看護師)内の少なくとも1人の関係者と、無菌領域内の第2関係者(通常、手術器械出し専門職員)とによって実施されなければならず、2人の関係者間の連携及び意思疎通を必要とする。
【0009】
この手順は、複雑な一連の工程を要し、過失が起こる可能性が増大させるおそれがある。これらの工程の1つの過失は、圧力上昇又は網膜タンポナーデの継続時間の減少のいずれかをもたらすおそれのある誤った濃度のガスの使用につながる可能性があり、それにより虚血又は復位術の失敗を引き起こす可能性がある。これらは、両方とも失明の原因となる可能性がある。更に、現在の手法は、かなりの量の無駄なガスを生じさせ、コストが高く、且つ環境に有害である。したがって、特に、1回より多い用量を含む加圧容器内のこのようなガスの取り扱いは、誤って取り扱われた場合、オペレータに潜在的な危険をもたらすおそれがある。したがって、一部の国では、これらの加圧容器を手術室内で保管することさえ禁止している場合がある。
【0010】
米国特許第6,866,142号明細書(Lamborneら)、無菌領域内に配置することができる1回用量のための容器並びにガスの充填及びパージを可能にするAlcon(登録商標)Constellation(登録商標)システムなど、現在の手順を向上させるためのいくつかの手法が存在するものの、これらの手法は、潜在的な課題の全てに対処するには不十分である。シリンジ装置が容量制限機構内に膨張性ガスの内部加圧キャニスタを含む別の手法は、米国特許第8,986,242号明細書に開示されている。使用時、容量制限機構は、膨張性ガスと空気とを含み得るガスタンポナーデの最終的な望ましい濃度に対応する膨張性ガスの容量に設定される。膨張性ガスは、シリンジのプランジャが容量制限機構構造に当たるまでシリンジのチャンバに放出され、残りの膨張性ガスは、大気に排出される。その後、フィルタがシリンジ機構の出口に取り付けられ、後に注入する望ましい濃度の膨張性ガスと空気との混合物を作成するために、シリンジのチャンバにフィルタを通して大気が引き込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に開示される本発明の少なくとも1つの一態様は、眼内ガスインジェクタデバイスが、使用者に要求される操作を低減又は排除する手法で組み立てられ且つ包装され得、及び潜在的な汚染源を更に低減し得るという認識を含む。例えば、米国特許第8,986,242号明細書に開示されているデバイスの使用に関して上述したように、膨張性ガスは、シリンジデバイスの内部混合チャンバに供給され、いくらかの余分な膨張性ガスは、シリンジの出口を通して排出される。その後、シリンジの出口にフィルタが取り付けられ、フィルタを通して混合チャンバに大気が引き込まれる。
【0012】
本明細書に開示される本発明の少なくとも1つの一態様は、眼内ガス注入デバイスが、シリンジ本体と、治療ガスの供給源と、例えば出口を通した余分な治療ガスの排出前にシリンジの出口に事前に取り付けられたフィルタとを含み得るという認識を含む。いくつかの実施形態では、フィルタを事前に取り付けたガス注入デバイスは、外科的処置での使用のために無菌容器内に包装され得る。したがって、使用者が無菌容器を開封し、眼内ガス注入デバイスを取り出し、ガス混合プロセスの全体を通してフィルタが所定の位置にある状態で眼内ガス注入デバイスを動作させることができる。例えば、フィルタが事前に取り付けられた状態で、使用者は、シリンジの混合チャンバに膨張性ガスを供給して、混合チャンバを膨張性ガス又は選択した別のガスで少なくとも一部満たすことができ、いくつかの使用モードでは、余分な膨張性ガスを混合チャンバから、シリンジ本体の出口を通し、フィルタを通し、その後、大気に排出することを可能にする。余分な膨張性ガスのこのような排出中、膨張性ガスの濾過は、任意の周知の特段の直接的で有益な効果をもたらすわけではない。しかしながら、余分な膨張性ガスの排出中にフィルタが所定の位置にある状態で眼内ガスインジェクタをそのようなモードで使用すると、シリンジのプランジャとフィルタデバイスのフィルタ膜との間の空間容量を含むデバイス内の様々な空間容量の汚染のリスクの低下をもたらす。更に、余分な膨張性ガスの排出が完了したら、その後、使用者は、中間空間容量を大気に開放することなく、フィルタを通して大気を混合チャンバに引き込むことができる。したがって、フィルタ膜とシリンジのプランジャとの間の中間空間容量は、大気に対して閉鎖したままであり、フィルタデバイスを通して濾過された大気のみが受け入れられる。
【0013】
使用者が所望の量の大気を引き込み、フィルタデバイスを通して濾過した後、フィルタデバイスは、取り外すことができ、所望の器具をシリンジの出口に取り付けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、使用者は、混合済みの膨張性ガス及び大気を、剥離した網膜の治療のために動物又は患者の眼に注入するための針を取り付け得る。このような針の取り付け後、使用者は、混合チャンバ内の混合済みの膨張性ガス及び大気で針をフラッシュすることができる。したがって、外科的使用前に、フィルタ膜とシリンジプランジャとの間において、未濾過の大気に曝される空間容量はない。
【0014】
本明細書に開示される本発明の少なくとも1つの別の態様は、可変容量ガスミキサーを定量のソースガスで満たすと、可変容量チャンバの不十分な拡張、したがって所望の濃度の混合済みガスの生成の失敗に至る可能性があるという認識を含む。したがって、本明細書に開示される本発明の少なくとも1つの一態様は、眼内ガス注入デバイスの出口に取り付けられたフィルタの出口上に流量制限デバイスを設けると、混合チャンバが膨張性ガスなどの治療ガス又は治療ガスの成分の所望の容量に拡張することをより確実にするために有益となり得る、有益な及び/又は追加の背圧を提供することができるという認識を含む。
【0015】
本明細書に開示される本発明の少なくとも1つの別の態様は、混合チャンバが治療ガスで満たされた後、眼内ガスインジェクタの下流フィルタの出口に取り付けられた流量制限器が、フィルタを通して周囲空気又は大気を引き込むプロセス中、不必要に強力な流量制限を生じさせる可能性があるという認識を含む。したがって、本明細書に開示される本発明の少なくとも1つの一態様は、眼内ガス注入デバイスのフィルタの出口に取り外し可能な流量制限器を設けると、2つの有益な動作モードを提供することができ、混合チャンバの充填段階中の余分な治療ガスの排出中に望ましい背圧を発生させ、混合チャンバが所望の量の治療ガスを収容するための所望の容量まで完全に拡張することを確実とし、その後、流量制限器が取り外された状態で使用者が混合チャンバを手動で拡張させ、フィルタを通して大気を引き込むことができ、流量制限器が所定の位置にある場合にそのような動作に付随する困難が増すことはないという認識を含む。したがって、本明細書に開示される本発明の少なくとも1つの一態様は、下流フィルタデバイスと、フィルタデバイスの下流端部における取り外し可能な流量制限器とを有する眼内ガス注入デバイスを含む。
【0016】
本明細書に開示される本発明の少なくとも1つの別の態様は、フィルタデバイスが手術室でシリンジの出口に取り付けられる場合、フィルタデバイスの上流端部に異物又は混入物が入り、そのため、フィルタ膜とプランジャとの間に配置された容量内に含まれる可能性があるという認識を含む。したがって、いくらかの余分な膨張性ガスが、その後、フィルタを通して排出されても、そのような混入物及び/又は異物は、フィルタ膜によって捕捉される可能性があり、その後、フィルタを通して大気が逆方向に引き込まれるときに混合チャンバにバックフラッシュする可能性がある。したがって、本明細書に開示される本発明の少なくとも1つの一態様は、フィルタ膜とプランジャとの間に配置された空間容量に混入物及び/又は異物が入る可能性を低下させる構成及び動作方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1Aは、ガス混合デバイスの一実施形態の概略図である。
図1B図1Bは、ガス混合装置の更なる実施形態である。
図2A図2Aは、手術室で展開するように設計された密閉容器内に包装された状態で示されるガス混合装置の別の実施形態である。
図2B図2Bは、第1動作段階において示されるガス混合装置の概略側立面図である。
図2C図2Cは、第2動作段階において示されるガス混合装置である。
図2D図2Dは、第3動作段階において示されるガス混合装置である。
図3図3は、ガス混合装置の構成要素の分解図である。
図4図4は、ガス混合装置の測定制御システム及び起動システムの斜視図である。
図5A図5Aは、ガス混合装置の計測ダイヤルの斜視図である。
図5B図5Bは、図4の測定制御システムの計測ダイヤルの断面図である。
図6図6は、図4の測定制御システムのプランジャ本体の斜視図である。
図7図7は、図4の起動システムの斜視図である。
図8A図8Aは、第1又は「閉」位置にある図4の測定制御システム及び起動システムの断面図である。
図8B図8Bは、第2又は「開」位置にある図4の測定制御システム及び起動システムの断面図である。
図9図9は、ガス混合装置の第2実施形態の起動システム、加圧チャンバ及び第1圧力調整システムの一実施形態の側面図である。
図10図10は、第1位置にある図9の起動システム、加圧チャンバ及び第1圧力調整システムの断面図である。
図11図11は、第2位置にある図9の起動システム、加圧チャンバ及び第1圧力調整システムの断面図である。
図12図12は、ガス混合装置の混合チャンバ及び第2圧力調整システムを含む構成要素の断面図である。
図13図13は、図12の混合チャンバ及び第2圧力調整システムの拡大断面図である。
図14図14は、追加のアタッチメントを有する図12の混合チャンバ及び第2圧力調整システムの拡大断面図である。
図15A図15Aは、測定制御システムの一実施形態の計測ダイヤルの斜視図である。
図15B図15Bは、測定制御システムの一実施形態の計測ダイヤルの断面図である。
図16図16は、測定制御システムの一実施形態のプランジャ本体の斜視図である。
図17図17は、起動システムの一実施形態の構成要素の斜視図である。
図18図18は、インターロック機構の動作を示す、第1、「初期」又は「起動前」位置にある測定制御システム及び起動システムの断面図である。
図19図19は、インターロック機構の動作を示す、第2又は「開」位置にある測定制御システム及び起動システムの断面図である。
図20図20は、インターロック機構の動作を示す、第3又は「閉」位置にある測定制御システム及び起動システムの断面図である。
図21図21は、ラッチの動作を示す、第1、「初期」又は「起動前」位置にある測定制御システム及び起動システムの断面図である。
図22図22は、ラッチの動作を示す、第2又は「開」位置にある測定制御システム及び起動システムの断面図である。
図23図23は、ラッチの動作を示す、第3又は「閉」位置にある測定制御システム及び起動システムの断面図である。
図24図24は、起動システム、加圧チャンバ及び貯蔵部材圧力調整システムの一実施形態の拡大図である。
図25A図25Aは、第1、「初期」又は「起動前」位置にある図24の起動システム、加圧チャンバ及び貯蔵部材圧力調整システムの実施形態の断面図である。
図25B図25Bは、図25Aの起動システム、加圧チャンバ及び貯蔵部材圧力調整システムの実施形態の拡大図である。
図26A図26Aは、第2又は「開」位置にある図24の起動システム、加圧チャンバ及び貯蔵部材圧力調整システムの実施形態の断面図である。
図26B図26Bは、図26Aの起動システム、加圧チャンバ及び貯蔵部材圧力調整システムの実施形態の拡大図である。
図27A図27Aは、第3又は「閉」位置にある図24の起動システム、加圧チャンバ及び貯蔵部材圧力調整システムの実施形態の断面図である。
図27B図27Bは、図27Aの起動システム、加圧チャンバ及び貯蔵部材圧力調整システムの実施形態の拡大図である。
図28図28は、貯蔵部材の一実施形態をより詳細に示す、図25Aの起動システム、加圧チャンバ及び貯蔵部材圧力調整システムの実施形態の拡大図である。
図29図29は、貯蔵部材の一実施形態をより詳細に示す、図26Aの起動システム、加圧チャンバ及び貯蔵部材圧力調整システムの実施形態の拡大図である。
図30図30は、パッケージから取り出され、混合チャンバに治療ガス又はガス成分を導入する準備が整っており、フィルタデバイスの下流に接続された流量制限器を含む手持式ガス用インジェクタアセンブリの更に別の実施形態の概略側立面図である。
図31図31は、図30の手持式ガス用インジェクタデバイスの分解図である。
図32図32は、図30のインジェクタアセンブリの拡大部の断面図である。
図33図33は、図30の実施形態の流量制限器の拡大側立面図である。
図34図34は、図30の流量制限器の拡大斜視図である。
図35図35は、図30の流量制限器の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる実例にすぎず、本主題の実施形態又はこうした実施形態の用途及び使用を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、「例示の」という語は、「例、事例、実例として機能すること」を意味する。本明細書で例示として記載する任意の実装形態は、必ずしも他の実装形態よりも好ましい又は有利であると解釈すべきではない。更に、前述の技術分野、背景、概要又は以下の詳細な説明で提示されるいずれの明示又は示唆される理論によっても拘束されることを意図するものではない。
【0019】
以下の説明では、特定の用語が参照のみを目的として使用される場合があり、そのため、それらは、限定を意図するものではない。例えば、「上側」、「下側」、「上方」及び「下方」などの用語は、参照される図面内での方向を指す。「近位」、「遠位」、「前部」、「後部」、「後方」及び「側部」などの用語は、記述中の構成要素を説明する本文及び関連図面を参照することにより明確になる、一貫しているが、任意の基準系の範囲内での構成要素の部分の向き及び/又は位置を説明するものである。このような用語は、具体的に上述された語、それらの派生語及び類似の意味の語を含み得る。同様に、用語「第1」、「第2」及び他のこのような数値的な用語も構造を参照する。
【0020】
本明細書で使用する場合、「前部」及び「遠位」という用語は、注入操作中に装置の使用者(例えば、外科医)から遠い方に位置する本主題の装置の部分を指す。本明細書で使用する場合、「後方」及び「近位」という用語は、注入操作中に装置の使用者(例えば、外科医)に近い方に位置する装置の部分を指す。
【0021】
2つのガスを混合するための装置
図1Aは、容器4内に封入されたガス混合装置10を含み得るガス混合キット2の一実施形態を示す。容器4は、外科用キットの構成要素の収容における使用、滅菌内部環境での使用、手術室の滅菌場内などの手術室での使用、手術中の使用に適した任意の種類の容器であり得る。いくつかのこのような容器では、熱成形プラスチックトレイは、外科用構成要素を含む構成要素を所定の配置に保持するための構造物と、薄膜型材料でできた壊れやすいシールとを含む。いくつかの実施形態では、ガス混合装置10を含む外科用構成要素は、滅菌されて、滅菌環境内で容器4に挿入され、いくつかの実施形態では容器4内に不活性ガスが封入される。他の種類の容器も使用することができる。
【0022】
ガス混合装置10は、治療ガス又は治療ガスの成分を形成するように構成され得る。例えば、ガス混合装置10は、治療的使用のために後に排出するために、治療ガス又は治療ガスの成分と、いくつかの実施形態では大気であり得る第2ガスとを混合チャンバに受け入れるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ガス混合装置10は、患者、いくつかの実施形態では患者の眼に注入するための治療ガス混合物を作成するために使用され得る。
【0023】
図1Aを引き続き参照すると、ガス混合装置10は、混合システム310、圧力調整システム710及びフィルタデバイス760を含み得る。混合システム310は、外部ハウジング311、治療ガス供給源410及び混合チャンバ510を含み得る。混合チャンバ510は、ハウジング311の一部分と、プランジャ460などの可動壁とによって画定され得る。プランジャ460は、シリンジデバイス内に一般に提供されるプランジャの形態であり得る。
【0024】
混合システム310は、供給源410と混合チャンバ510との間に配置された圧力調整システム610も含み得る。圧力調整システム610は、弁を含み得る。弁は、供給源410を閉じた状態に保持し、作動時、弁610を通して供給源410の内容物を混合チャンバ510に放出するように構成されている。
【0025】
圧力調整システム710は、混合チャンバ510に出入りするガスの流れを制御するように構成され得る。例えば、圧力調整システム710は、混合チャンバ510に供給された、元々は供給源410からの余剰ガスを大気に逃がすことを可能にするように構成され得る。例えば、圧力調整システム710は、大気圧を超える圧力の混合チャンバ510からガスを制御可能に放出するように構成され得る。更に、圧力調整システム710は、混合チャンバ510内の圧力が大気圧を下回るときにガスが混合チャンバ510に入ることを可能にするように構成され得る。
【0026】
フィルタデバイス760は、それを流れるガスから粒子、異物又は他の物質を除去するように構成されたフィルタ膜(図示せず)又は別のフィルタリングデバイスを含み得る。フィルタデバイス760は、大気と連通する出口端部761を含み得る。出口761は、混合チャンバ510からガスを排出し、且つ混合チャンバ510内で混合するための大気をフィルタデバイス760に入れるために使用され得る。任意選択的に、フィルタデバイス760は、流量制限器1300を更に含み得る。流量制限器1300は、出口761から出、且つ/又は出口761に入る流れを制限するように構成されている。
【0027】
キット2は、滅菌環境内で用意することができ、フィルタ部材760が混合装置310に取り付けられ、容器4内に密閉されるように、任意の流量制限器1300を有する又は有しないガス混合装置10を受け入れることができる。使用時、医師は、容器4を開封し、供給源410から混合チャンバ510に治療ガス又はガス成分を放出することができる。
【0028】
混合チャンバ510へのガスの導入により、プランジャ460は、左に(図1Aに見られるように)移動し、それにより供給源410から混合チャンバ510への治療ガスの導入に従って混合チャンバ510の容量を拡張することを可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、供給源410は、治療ガス又は治療ガスの成分の加圧容器である。そのため、混合チャンバ510に加圧ガスを放出すると、混合チャンバ510内の圧力が上昇し、それによりプランジャ460を付勢して移動させ、それにより混合チャンバ510の容量を拡張させる。
【0029】
圧力調整システム710は、弁機構を含み得る。弁機構は、大気を超える圧力に曝されると開くように構成されており、同時に、流量制限部を設け、それによりプランジャ460を移動させ、且つ混合チャンバ510を拡張させるのに十分なある程度の背圧を生じさせるように構成されている。プランジャ460が混合チャンバ510を治療ガスの所望の容量に拡張させるほど十分に移動したとき、圧力調整デバイスシステム710は、残りの余剰ガスを供給源410から放出し、フィルタデバイス760及び出口761を通して流出させる。デバイス10内の全ての内部空間は、事前滅菌され、容器4内の滅菌環境内で保管されていたであろうため、余剰ガスがフィルタデバイス760内を流れる際、フィルタデバイス760の上流側は、いかなる異物又は混入物も捕捉しないものと考えられる。したがって、混合チャンバ510からの余剰ガスの排出中、フィルタデバイス760は、任意の所望のフィルタリング機能を果たさないものと思われる。
【0030】
チャンバ510が所望の容量の治療ガス又は治療ガスの成分で満たされた後、プランジャ460は、出口761内に、フィルタデバイス760を通して、圧力調整システム710を通して且つ混合チャンバ510内に大気を引き込むために、例えば(図1Aに見られるように)左に向かって手動で移動させることができる。したがって、フィルタデバイス760は、大気中に存在し得る異物及び/又は他の望ましくないガスが入らないように捕捉し、これらの物質が混合チャンバ510に入ることを防ぎ得る。
【0031】
プランジャ460は、所望の供給源410からのガスと大気との混合物に対応する所望の位置に移動させることができる。混合チャンバ510内で所望の混合物が形成された後、使用者は、フィルタ760を取り外し、更なる排出のために、皮下針などの送達デバイス(図示せず)を圧力調整デバイス710に取り付けることができる。
【0032】
例えば、剥離した網膜の治療のために、供給源410からの膨張性ガスと大気とを混合するためのデバイス10を使用することに関連しては、使用者は、圧力調整システム710の下流側の、フィルタデバイス760の図示位置に皮下針を取り付けることができる。針をそのように取り付けた状態で、使用者は、プランジャ460を右に(図1Aに見られるように)手動で移動させ、混合チャンバ510内からの混入物のない混合済みガスで皮下針をフラッシュし、その後、例えば混合済みの膨張性ガスと大気との泡を混合チャンバ510から患者の眼に導入することにより、患者に治療を提供する手順を継続することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、上述のように、デバイス10は、流量制限器1300を含み得る。流量制限器1300は、出口761に出入りする流れの追加的な制限を提供することができる。したがって、混合チャンバ510への治療ガスの添加中、流量制限器1300は、追加的な背圧を提供することができ、そのため、プランジャ460を(左に)移動させ、それにより、混合チャンバ510を、混合チャンバ510内の混合物の所望の最終濃度に関連する所望の容量まで完全に拡張させるように、混合チャンバ510内に十分な正圧が発生するという確実性を提供することができる。
【0034】
図1Bは、全体として参照番号2aで示されるガス混合キット2の更なる実施形態を示す。キット2aは、容器4a内に収容されたガス混合装置10aを含む。容器4を参照して上述したように、容器4aは、システム10aを、手術環境で開封し且つ使用するために滅菌状態で収容することができる。ガス混合装置10aは、測定制御システム110aと、起動システム210aと、2つ以上のガスの混合物を所望の濃度比で作成するように構成された混合システム310aと、事前に取り付けられたフィルタ760aとを含み得る。更に、任意選択的に、キット2aは、フィルタデバイス760aの出口761aに取り付けられた取り外し可能な流量制限器1300を含み得る。混合システム310aは、任意選択的に、加圧チャンバ410a及び混合チャンバ510aも含み得る。
【0035】
混合システム310aは、混合システム310aの動作を向上させるための圧力調整システムも含み得る。いくつかの実施形態では、混合システム310aは、第1圧力調整システム610a及び第2圧力調整システム710aを追加的に含む。
【0036】
測定制御システム110aは、混合システム310a内に収容されたデバイスの特定の側面を制御するために混合システム310a内に収容された計測機構の形態であり得る。いくつかの実施形態では、測定制御システム110aは、可変且つ使用者調節可能なデバイスであり得る。起動システム210aは、デバイスの動作を起動し、混合システム310a内でのガスの混合を開始するために、加圧チャンバ410aに動作可能に結合され得る。
【0037】
任意の加圧チャンバ410aは、混合システム310a内で混合される2つ以上のガスの少なくとも1つを収容することができる。いくつかの実施形態では、加圧チャンバ410a内に収容されたガスは、周囲の環境条件よりも高い圧力であり得る。更に、加圧チャンバ410aは、大気における濃度と異なる濃度のガスを収容することができる。加圧チャンバ410aは、第1圧力調整システム610aと流体連通するように構成され得る。他の実施形態では、加圧チャンバ410aは、混合チャンバ510aと直接流体連通することができる。加圧チャンバ410aは、インジェクタ装置内において内部に収容されるように構成され得る。加圧チャンバ410aは、インジェクタ装置の外部にあるようにも構成され得る。第1圧力調整システム610aは、加圧チャンバ410aと混合チャンバ510aとの間の事前設定された圧力差を維持するように構成され得る。
【0038】
混合チャンバ510aは、加圧チャンバ410aからのガスを直接又は第1圧力調整システム610aを介して受け入れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、混合チャンバ510aは、混合される第2ガスを、外部ガス容器又は大気など、混合システム310aの外部から受け入れるように追加的に構成され得る。混合チャンバ510aは、混合チャンバ510aの出口点で第2圧力調整システム710aと流体連通するように構成され得る。他の実施形態では、混合チャンバ510aは、混合チャンバの出口点で大気と直接流体連通することができる。これらのサブシステムそれぞれの例については、以下で別々に記載する。
【0039】
いくつかの実施形態では、測定制御システム110aは、ガス混合装置10a内のガスの濃度を制御するように構成されている。いくつかの実施形態では、測定制御システム110aは、混合システム310aと動作可能に結合されている。好ましくは、測定制御システム110aは、測定制御システム110aが圧力チャンバ410a及び/又は混合チャンバ510aの可変的な側面を変更することができるように、加圧チャンバ410a又は混合チャンバ510aのいずれかと動作可能に結合されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、測定制御システム110aは、混合チャンバ510a内に収容されるガスの容量などであるが、それに限定されない特性を制御可能である。圧力などの他の特性も測定制御システム110aによって制御可能であると考えられる。好ましくは、ガス混合装置10aから放出され得るガスの所望の濃度比を使用者が選択することができるように、測定制御システム110aは、可変である。これにより、有利には、広範な所望の濃度比に対して単一のガス混合装置10aのみを使用者が有することを可能にする。したがって、測定制御システム110aは、加圧チャンバ410a、混合チャンバ510a、第1圧力調整システム610a及び第2圧力調整システム710aなど、混合システム310a内の構成要素の動作を変化させるダイヤルなどの使用者作動可能スイッチを含み得る。
【0041】
加圧チャンバ410aは、ガス混合装置10a内で2つ以上のガスを混合する前に、1つ以上のガスを加圧チャンバ410aの内部空間内にある期間にわたって貯蔵するように構成され得る。内部空間内の条件は、大気圧条件のものと異なるように構成されている。したがって、内部空間は、一般に、2つ以上のガスの混合が実施されるまで、内部空間からのそのようなガスの放出を低減するはずであるか、又は貯蔵されていないガスの内部空間への進入を低減するはずである。
【0042】
いくつかの実施形態では、内部空間内の1つ以上のガスは、周囲大気圧条件よりも高い圧力である。更に、1つ以上のガスは、周囲大気圧条件での濃度と異なる濃度のガスでもあり得る。いくつかの実施形態では、内部空間は、1つ以上のガスを保持するための別個のサブセクション又は部分に分割することができる。したがって、内部空間のこれらの別個の部分は、異なるガス圧力及び/又は異なるガス濃度に維持され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、ガスは、内部空間内の異なる構造ユニット内に追加的に配置することができる。このような構造ユニットは、貯蔵ガスの放出をより効果的に低減し、且つ/又は貯蔵されていないガスの進入をより効果的に低減するために使用され得る。いくつかの実施形態では、加圧チャンバ410aの貯蔵ガスは、製造時に事前装填されている。他の実施形態では、加圧チャンバ410aの内容物は、ガス混合装置10aの使用者によって装填され得ると考えられる。例えば、貯蔵ガスは、このようなガスの交換を有利に容易にすることができる取り外し可能なカートリッジ状のデバイス内に収容され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、起動システム210aは、ガス混合装置10aの動作を起動し、混合システム310a内で2つ以上のガスを混合するプロセスを開始するように構成されている。したがって、起動システム210aは、混合システム310aに動作可能に結合され、混合チャンバ310a及び加圧チャンバ410aの両方に結合され得る。起動システムは、加圧チャンバ410aを起動させ、加圧チャンバ410a内に収容されたガスを混合チャンバ510aに放出させることができる。いくつかの好適な実施形態では、第1圧力調整システム610aが起動され、それにより加圧チャンバ410aから混合チャンバ510aに流体が流れることを可能にするように、起動システム210aは、加圧チャンバ410a内の圧力の増加を生じさせることができる。起動システム210aは、加圧チャンバ410aの別個のセクション内の圧力が増加するように、加圧チャンバ410aの残部よりも高い圧力のガスを収容する、加圧チャンバ410aの別個の部分を起動するように構成されたデバイスを含み得る。好適な実施形態では、起動システム210aは、混合チャンバ510a内の密閉されたデバイスを開放して、加圧ガスを放出し、それにより加圧チャンバ410a全体の圧力を放出することができる。このような実施形態では、起動システム210aは、シールに穴を開けることができる穿刺デバイスを含み得る。他のデバイス及び手法も使用することができる。起動システム210aを使用すると、ガス混合装置10aを場合により使用前に事前充填すること及び安全に保管することを可能にすることによる利点が提供される。
【0045】
起動システム210aは、混合チャンバ510aに動作可能に結合させることもでき、デバイスの特定の側面を使用者が手動で変化させることを可能にする。いくつかの実施形態では、起動システム210aは、混合チャンバ510aの容量を変更するために使用され得る。起動システム510aは、混合チャンバ510aの圧力を変更するためにも使用され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1圧力調整システム610aは、加圧チャンバ410aと混合チャンバ610aとの間の分離機構としての役割を果たすように構成されている。第1圧力調整システム610aは、加圧チャンバ410aと混合チャンバ510aとの両方間の事前設定された圧力差に達すると起動することができる。いくつかの好適な実施形態では、第1圧力調整システム610aは、少なくとも1つの弁アセンブリを含み得る。弁アセンブリは、加圧チャンバ410aの一部分内の圧力が混合チャンバ510a内の圧力よりも高いときに開くことができる。弁アセンブリは、逆止弁、羽打弁、逆流防止弁又は一方向弁であり得る。このような弁としては、ボール逆止弁、ダイヤフラム逆止弁、スイング逆止弁、ねじ締め逆止弁、リフト逆止弁、インライン逆止弁及びダックビル弁も挙げられ得る。他の圧力調整機構も使用することができる。更に、第1圧力調整システム610aは、システム610aの圧力差以外の他の手段によっても起動させることができると考えられる。
【0047】
いくつかの実施形態では、混合チャンバ510aは、その内部で2つ以上のガスを混合して、ガスの所望の濃度比を得ることができる空間として機能するように構成されている。混合チャンバ510aは、起動機構の使用時に調整可能な可変容量を有するように構成され得る。混合チャンバ510aは、混合するガスを、加圧チャンバのみから又は混合チャンバ510a内に既に存在するガスから受け入れることができる。混合チャンバ510aは、二次供給源からもガスを受け入れることができる。いくつかの実施形態では、混合チャンバ510aは、圧力チャンバ310aから及び/又は混合チャンバ510a内に既に存在するガスから受け入れたガスと混合するために、大気から空気を受け入れることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、第2圧力調整システム710aは、混合チャンバ510aと周囲大気との両方間の分離機構としての役割を果たすように構成されている。第2圧力調整システム710aは、混合チャンバ510aと周囲大気との両方間の事前設定された圧力差に達すると起動することができる。いくつかの好適な実施形態では、第2圧力調整システム710aは、少なくとも1つの弁アセンブリを含み得る。弁アセンブリは、混合チャンバ510a内の圧力が周囲大気の圧力よりも高いときに開くことができる。弁アセンブリは、逆止弁、羽打弁、逆流防止弁又は一方向弁であり得る。このような弁としては、ボール逆止弁、ダイヤフラム逆止弁、スイング逆止弁、ねじ締め逆止弁、リフト逆止弁、インライン逆止弁及びダックビル弁も挙げられ得る。他の圧力調整機構も使用することができる。更に、第2圧力調整システム710aは、システム710aの圧力差以外の他の手段によっても起動させることができると考えられる。
【0049】
キット2aは、混合チャンバ510aの出口及び/又は第2圧力調整システム710aの出口に取り付けられたフィルタデバイス760aも含み得る。フィルタデバイス760aは、外部ハウジングと、不要な異物、物質及び/又はガスを濾過して除去するための所望の気孔率又はアパーチャサイズを有する膜などの内部フィルタリング構成要素とを含み得る。フィルタデバイス760aは、大気と連通する出口761aを含み得る。キット2aの組み立て中、混合デバイス10aは、構成要素110a、210a、310a、410a、510a、610a、710aとフィルタデバイス760aとが滅菌包装室で取り付けられ、滅菌状態で容器4a内に密閉され、任意選択的に滅菌された不活性ガスが充填される。したがって、構成要素110a、210a、310a、410a、610a、510a、710a及び760a内並びにこれらの間の空の内容積は、全て密閉されたパッケージ410a内の不活性ガスで滅菌されており、且つ/又は不活性ガスで満たされているかのいずれかである。任意選択的に、上述したように、キット210aは、フィルタデバイス760aの出口761aに取り付けられた追加的な流量制限器1300も含み得る。
【0050】
動作概要
図2A図2Dを参照すると、ガス混合装置10bの一実施形態の動作が示されている。図2Aを参照すると、装置10bは、起動システム210bが第1又は「閉」位置にあり、パッケージ4b内に収容されている初期段階にあり得る。この段階において、デバイス10bは、フィルタデバイス760のフィルタ要素とプランジャ460(図示せず)との間の内容積を含む全ての内容積が、滅菌されている及び/又は滅菌された不活性ガスで満たされている、完全滅菌状態である。
【0051】
医師又は他の使用者は、パッケージ4bからデバイス10bを取り出し、測定制御システム110bを使用して、混合する治療ガスの所望の濃度を選択することができる。その後、使用者は、起動システム210bを使用して、ガス供給源410bから混合チャンバ510bにガスを放出することができる。
【0052】
例えば、図2Bを参照すると、加圧チャンバ410b内に収容されたガスは、放出することができ、第1圧力調整システムを含む実施形態では、第1圧力調整システムは、チャンバ内の圧力の変化に応答して開放することができる。したがって、加圧チャンバから混合チャンバ510bに流体が流れることができ、それにより混合チャンバ510bの容量の増加を生じさせる。しかしながら、測定制御システム110bの構成要素により、混合チャンバ510bのプランジャ460bは、使用者が選択した第1容量で停止し、この第1容量を超えて拡張することはできない。この第1容量は、注入可能容量の所望の濃度に基づいて設定され得る。この第1動作段階中、余剰ガスも混合チャンバ510bから第2圧力調整システム710bを介して放出され得る。混合チャンバがこの第1容量に到達したら、第1動作段階が完了し、第2動作段階が開始する。
【0053】
第2動作段階中、混合チャンバ510b内の圧力がフィルタ760及び第2圧力調整システム710bを介してシステムから放出される間、混合チャンバ510bは、第1容量に留まることができる。混合チャンバ510bに所望のガスを過剰充填し、その後、そのガスを放出することにより、これは、起動前に混合チャンバ510b内に収容されている可能性のある、混合チャンバ510b内に包装時に容器に供給された任意の量の大気ガス又は不活性ガスを混合チャンバ510bから実質的にパージし、加圧チャンバ内に本来収容されているガスが取って代わることを確実にするのに役立つ。混合チャンバ510b内の圧力が、第2圧力調整システム710bの構成に基づく設定値に到達したら、混合チャンバ510b内のガスの放出が停止し、第2動作段階が完了する。
【0054】
第3動作段階中、図2Cに示すように、ガスが大気圧に到達するのに十分な時間が経過したら、その後、使用者は、起動システム210bを第1又は「閉」位置に設定し、それにより測定制御システム110bをロック解除することができる。その後、使用者は、混合チャンバ510bの容量を注入可能容量に手動で拡張させることができる。使用者が混合チャンバ510の容量を手動で拡張させる際、フィルタデバイス760bを通して混合チャンバ510b内に大気から周囲空気が引き込まれる。それにより、フィルタ760bは、周囲空気から、この空気がチャンバ510bに入る前に異物又はガスを濾過して除去することができる。
【0055】
第3段階が完了したら、図2Dを参照すると、フィルタデバイス760bを取り外すことができ、混合チャンバ510b内の治療ガスを送達するように構成された追加的なデバイスを取り付けることができる(図示せず)。例えば、混合チャンバ510b内の治療ガスの患者への治療的送達を支持するために、デバイス10bに皮下針が取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、混合チャンバ510b内のガスは、剥離した網膜の治療のための、膨張性ガスと、濾過された大気との混合物であり得る。このような場合、デバイスに取り付けられた皮下針は、460bが混合チャンバ510bから皮下針を通してガスの一部を排出するためのプランジャの押し込みにより、皮下針内に存在し得る任意のガスをパージすることができる。その後、患者の眼に針を挿入することができ、混合チャンバ510bからのガスを使用して、剥離した網膜の治療のために患者の眼内で1つ以上の気泡を発生させることができる。他の使用も可能である。
【0056】
他の実施形態では、より少数又は多数の動作段階を実施することができる。いくつかの実施形態では、1つの動作段階のみを実施することができる。例えば、加圧チャンバ410aは、事前設定された濃度レベルのガスを収容することができる。1つの動作段階中、使用者は、チャンバが、設定された容量に達するまで、加圧チャンバ410aから混合チャンバ510aなどの第2チャンバにガス又は流体が流れるように装置10bを起動させることができる。ガス又は流体は、チャンバ内の所望の圧力が得られるまで圧力調整システムを使用して排出又は放出することもできる。ガスの排出後、装置10bは、使用する準備ができた状態となり得る。当業者に明らかであるように、このような実施形態では、実際には、混合は、ほとんど実施されない場合がある。
【0057】
システム概要
図3を参照すると、測定制御システム110b、起動システム210b、加圧チャンバ410b、混合チャンバ510b、第1圧力調整システム610b及び第2圧力調整システム710bを含むガス混合装置10bの一実施形態の構成要素が示されている。測定制御システム110bは、計測ダイヤル120と、計測ダイヤル120に挿入され得るプランジャ本体160とを含み得る。起動システム210bは、作動ロッド220及び起動スイッチ260を含み得る。起動システム210bは、ガス混合装置10bの動作を制御するための測定制御デバイス110bに動作可能に結合され得る。起動システム210bは、プランジャ本体160に挿入され得る。
【0058】
加圧チャンバ410bは、ハウジング420、ガスを収容するキャニスタ436、キャニスタ436内に収容されたガスを放出するための放出機構444、ハウジング420から流出する非ガス又は細菌物質の量を低減するためのフィルタ448及びプランジャシール460を含み得る。混合チャンバ510bは、シリンジ本体520を含み得る。第1圧力調整システム610bは、弁体及び関連する弁構成要素を含み得る。第2圧力調整システム710bは、関連する弁構成要素も含み得る。
【0059】
測定制御システム及び起動システム
図4を参照すると、組み合わされた測定制御システム110b及び起動システム210bの一実施形態が示されている。測定制御システム110bは、計測ダイヤル120及びプランジャ本体160を含み得る。起動システムは、作動ロッド220(図7に示される)及び起動スイッチ260を含み得る。
【0060】
図5A及び図5Bを参照すると、装置10bの使用者が注入可能容量の濃度を選択的に変化させることを可能にするように構成されている、ガス混合装置10bの計測ダイヤル120の一実施形態が示されている。計測ダイヤル120は、2つの構造部品、計測本体122と計測キャップ124とを含み、計測キャップ124は、計測ダイヤル120を装置10bの別の構成要素に取り外し可能に取り付けることを可能にするために計測本体122に結合され得る。これにより、有利には、装置の組み立てを容易にすることができ、いくつかの実施形態では、再利用可能な装置を再滅菌のために取り外すことを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、計測キャップ124は、当技術分野で周知のねじ、リベット、クリップ及び他の締結機構などの締結具を使用して、計測本体122に取り外し可能に取り付けることができる。計測本体122に計測キャップ124を取り付けると、計測ダイヤル120を装置10bの別の構成要素に取り付けることができるように、環状スロット126及び環状リップ128を形成することができる。例えば、環状スロット126及び環状リップ128は、シリンジ本体520上に位置するフランジ526に対応することができる。
【0061】
計測本体122は、その上端部におけるフランジ132と、円筒状部材130の実質的に中心にあり、メータ本体122の全体にわたって延びるチャネル134とを有する略円筒状の部材130を有することができる。メータ本体122は、注入可能容量内のガスの濃度を制御するように構成されているため、メータ本体122は、完全に組み立てられた状態において装置10bの使用者が視認できる表面に沿って計測インジケータ136を含み得る。図示される実施形態では、計測インジケータ136は、フランジ132の頂面に位置するが、使用者に見える任意の位置を使用することができる。計測インジケータ136は、デバイスの使用者に、装置10bの動作に関する情報を提供することができる。図示される実施形態では、計測インジケータ136は、装置10bが起動された場合に注入可能容量内で生成される六フッ化硫黄(SF)の濃度に対応する18、19、20、21及び22の範囲の数を示す。当業者に明らかであるように、使用される範囲は、使用されるガス及びガスの用途次第であり得る。更に、いくつかの実施形態では、この範囲は、所望の濃度にわたる制御の強化を提供するために更に分割することができる。
【0062】
計測本体122は、計測インジケータ136に対応するスロット138、スロット138及び可変停止部142を有し得る。図示される実施形態では、計測本体122は、チャネル134の内部表面に沿って位置する、上記した5つの整数値に対応する5つの別個のスロット138を有する。他の実施形態では、計測本体122は、計測インジケータ136によって提供される値の数よりも少数又は多数のスロットを有することができる。
【0063】
これらのスロット138のそれぞれと対応しているのは、スロット138から内向きに延びる可変停止部142である。上述したように、これらの可変停止部142は、筒状本体130の下端部から、設定された距離を開けて配置された下端面142aを有するフランジ132の頂面から延びる表面の形態であり得る。いくつかの実施形態では、可変停止部142は、頂面から延びる必要はなく、代わりに円筒状部材130の下端部に向かう設定された距離に配置された下端面142aを有する小さい突起である。これらの可変停止部142は、ラッチ228などのプランジャ本体160内に収容された構成要素又はプランジャ本体160自体と相互作用し、第1及び第2動作段階中における混合チャンバ510bの拡張容量を、これらの段階中のプランジャ本体160の後方の延びを制限することによって制御するように構成されている(図2Bを参照されたい)。したがって、可変停止部142は、停止部142が対応する濃度に応じて異なる距離で延びる。例えば、21パーセントの濃度では、20パーセントの濃度よりも短い距離で下向きに延び、それにより混合チャンバ510bがより多くの量の第1ガスを保持することを可能にする。第4段階(図2D)中に濾過された周囲空気が添加される前の第3動作段階(図2C)の終了である。したがって、21パーセントの濃度が選択された場合、プランジャ本体160を後方により大きい距離で延ばすことができ、それにより第1動作段階中における混合チャンバ510bのより大きい拡張を可能にする。したがって、明らかであるように、可変停止部142は、第1動作段階の第1拡張容量を制御するために使用される。
【0064】
スロット138の両側において、チャネル134の内部表面から内向きに延びるスロット138がある。いくつかの実施形態では、スロット138は、可変停止部142よりも大きい距離でチャネル134の内部表面から内向きに延びる。スロット138は、装置10bが起動されたら、装置10bが異なる濃度値に切り替わることを防ぐように構成され得る。これは、特定の濃度のガスが必要な場合があり、この値のいかなるわずかな変化でも極めて有害な効果をもたらすおそれがある用途において特に重要となり得る。図示される実施形態では、スロット138は、プランジャ本体160が少なくとも最初の2つの動作段階中に異なる可変停止部142に回転する可能性を大幅に低下させるように構成されている。特定の実施形態では、常時変化する測定デバイスが望ましい場合、これらのレールは、取り外すことができる。代わりに、このような実施形態では、可変停止部142は、複数の階段を有するのではなく、むしろ傾斜形状を有することができる。
【0065】
計測本体122は、チャネル134の内部表面に沿ってチャネル134の中心に向かって内向きに延びるラチェットポール144を追加的に含み得る。ラチェットポール144は、ヒンジ連結され、ラチェットポール144は、可動的に変形可能であり、変形中に抵抗を与えるように構成され得る。このラチェットポール144は、選択した濃度に対する適切な向きを促すために、プランジャ本体160上に位置する特徴に対応し得る。このような機構は、適切なアライメントが得られたことを示す触覚フィードバックをデバイスの使用者に追加的に提供することができる。この触覚フィードバックは、不適当な向きへの起動の可能性を有利に低下させることができる。他の種類のフィードバック機構及びアライメント機構も使用することができる。
【0066】
図6を参照すると、略筒状のフレーム162と、プランジャ本体160の一端におけるハンドル164と、略筒状のフレーム162とハンドル164との間に位置するセレクタリング166と、筒状フレーム162の中心にあり、プランジャ本体160の全長にわたって延びるチャネル168とを含むプランジャ本体160の一実施形態が示されている。筒状フレーム162は、計測ダイヤル120のチャネル134内において摺動可能に並進可能及び部分的に摺動可能に回転可能であるように構成されている。
【0067】
筒状フレーム162は、筒状フレーム162にヒンジ式に取り付けられたクリップの形態の保持機構170を有する。保持機構170は、加圧チャンバ410bのハウジング420などの構成要素を保持するように構成され得る。保持機構170は、ツールを使用することなく構成要素を取り付けることを有利に可能にし、それによりデバイス全体の組み立てプロセスを容易にする。更に、保持機構170は、構成要素を筒状フレーム162から取り外すことができるようにも構成され得る。それにより、装置10bの再使用を可能にするか、又は装置10bの再使用が可能な他の実施形態では、再滅菌プロセスを、そのようなプロセスがデバイスに対して使用される場合に容易にする。図示実施形態に示されるクリップの代わりに他の種類の保持機構も使用され得、ねじなどの締結具を含み得る。
【0068】
筒状フレーム162は、筒状フレーム162の外部表面から外向きに延びるガイド172を追加的に含み得る。ガイド172は、筒状フレーム162の下端部から、筒状フレーム162の上端部に対してある距離まで延びることができる。ガイド172は、計測本体122のチャネル134の内部表面に沿って位置するスロット138及びスロット138内に収まるように構成されている。したがって、ガイド172は、スロット138間に配置されているとき、プランジャ本体160が回転することを防ぎ得る。これにより、第1動作段階の開始後、プランジャ本体160が、異なる可変停止部142に移動することを有利に防ぎ、それにより注入可能容量の不適当な濃度のリスクを低下させることができる。ガイド172は、初期動作段階中、プランジャ本体160が、異なる濃度値に自由に回転することができるように、プランジャ本体160が完全に挿入されたとき、ガイド172がスロット138よりもわずかにのみ下にあるような大きさにされることが好ましい(図2Aを参照されたい)。しかしながら、ガイド172がスロット138のわずかにのみ下にあるため、ガイド172は、短い距離を延びたら、選択したレール140内にロックされることになり得る。この位置決めにより、装置10bの起動後、間もなくガイド172がロックすることを有利に可能にする。更に、ガイド172は、スロット138に接触することができるには十分な距離であるが、スロット138間に位置する可変停止部142に接触するには十分でない距離だけ筒状フレーム162から外向きに延びることが好ましい。したがって、これにより、動作中にガイド172が可変停止部142によって妨げられないようにすることができる。
【0069】
筒状フレーム162は、起動ロッド220上に位置するラッチ228(図7)が筒状フレーム162から外向きに突出することを可能にするように構成されたラッチアパーチャ174を追加的に含むことができる。ラッチアパーチャ174は、ガイド172の最上部の真上の中央に配置されていることが好ましい。以下で詳細に記載するように、第1又は「閉」位置において、ラッチ228は、ガイド172を越えて延びないように引き込まれており、そのため、可変停止部142に接触しない(図8Aを参照されたい)。第2位置にあるとき、ラッチ228は、ラッチ228が下面142aなどの可変停止部140に接触することができるように筒状フレーム162からガイド172を越えて外向きに延び、それによりラッチが第2位置にある間のプランジャ本体160の更なる延びを防ぐ(図8Bを参照されたい)。したがって、チャンバ510bが拡張することができる容量は、ラッチ228及び表面142aによって制限される。いくつかの実施形態では、ラッチアパーチャ174は、プランジャ本体160が初期動作段階中(図2Aに示される)に計測ダイヤル120内で不適当に方向付けられた場合、ラッチ228が第2又は「開」位置に外向きに延びることを計測ダイヤル120のレール140によって阻止することができるように配置され得る。これにより、不適当に方向付けられた場合に装置10bが起動することを有利に防ぎ得る。
【0070】
筒状フレーム162は、その外部表面に沿って位置する切抜部の形態のラチェットスロット176を追加的に含み得る。ラチェットスロット176は、計測本体122のラチェットポール144を受け入れるように構成されており、それにより、ポール144がラチェットスロット176の1つの内部に受け入れられているときに回転に対して抵抗を与えることにより、プランジャ本体160が計測本体122内で適切に方向付けられることを確実にするための機構を提供する。更に、有利には、ラチェットポール144がラチェットスロット176内で受け入れられている各地点において、プランジャ本体160が計測本体120内で適切に方向付けられているとき、装置10bの使用者は、触覚フィードバックを受け取ることもできる。
【0071】
図6を引き続き参照すると、リング166は、筒状フレーム162の外部表面から延びる環状突起を含み得る。セレクタリング166は、セレクタリング166上に位置する小さい突起の形態をとることができるセレクタインジケータ178を追加的に含むことができる。セレクタインジケータ178は、ラッチ228と、対応する表面142aとのアライメントに対応するその位置にプランジャ本体160が方向付けられると得られる濃度レベルを示すために、計測本体122上に位置する計測インジケータ136(図5A)と対応し、且つこれと位置合わせ可能であり得る。このようなシステムは、デバイスの使用者に、選択した濃度レベルに関して容易に視認できる情報を有利に提供することができる。セレクタインジケータ178は、有利には、装置10bの使用を容易にするために着色することができる。
【0072】
ハンドル164は、筒状フレーム162の長手方向軸線に対して半径方向に延び得る。ハンドル164は、装置10bの使用者がハンドル164を把持することができ、プランジャ本体160を後方に且つ装置10bから外に更に延ばすか、又はプランジャ本体160を前方に装置10b内に更に押し込むかのいずれかのためにハンドルを使用することができるように形作られ得る。ハンドル164は、起動スイッチ260のカップリング機構を受け入れるためのアパーチャ180を追加的に含み得る。起動スイッチ260は、それにより、プランジャ本体160内に位置する作動ロッド220を動作させるために、カップリング機構を中心に回転することができる。
【0073】
図7を参照すると、作動ロッドアセンブリ220と起動スイッチ260とを含む起動システム210bの一実施形態が示されている。作動ロッドアセンブリ220は、第1端部におけるアクチュエータピン222、第2端部におけるアクチュエータステム224及び中間部に位置するラッチ移動部226を有する略長尺状の本体を有する。第2又は「開」位置にあるとき、アクチュエータピン222は、加圧チャンバ410bのハウジング420内に受け入れられ、ハウジング420内に収容されているガスの放出を起動させるように構成されている。
【0074】
アクチュエータステム224は、起動部スイッチ260の曲線状の表面262(図9)に当接し、追従するように構成されている。アクチュエータステム224は、その断面外形が、プランジャ本体160のハンドル164の近くに位置するチャネル169の上部分の断面外形(図8に示すような)に一致するように形作られていることも好ましい。好ましくは、断面外形は、アクチュエータロッド220がプランジャ本体160のチャネル168内で回転することが実質的に阻止されるように、実質的に円形ではない。ラッチ移動部226は、ラッチ228が作動ロッド220のラッチ移動部226に沿って摺動可能に並進するとき、ラッチ228を並進させるように形作られている。したがって、ラッチ228は、ラッチ移動部226の断面形状に類似する断面形状を有するアパーチャ230を有する。
【0075】
起動部スイッチ260は、プランジャ本体160の一部を通して且つ加圧チャンバ410bのハウジング420を通してアクチュエータロッド220を並進させて、ハウジング420内に収容されたガスの放出を起動させるように構成されている。したがって、起動部スイッチ260は、アクチュエータステム224に接触するように構成された、表面に沿って曲線状の外形262を有するカムを含み得る。起動部スイッチ260は、起動部スイッチ260がピン266を中心に回転することができるように、ピン266を受け入れるように構成されたアパーチャ264も有し得る。図示される実施形態では、起動部スイッチ260は、第1又は「閉」位置で示されている。この第1位置では、アクチュエータロッドが第1又は「閉」位置に留まるように、ピン266と、アクチュエータステムに接触している曲線状の表面262との間の距離は、低減された距離であり得る。
【0076】
ピン266を中心に第2又は「開」位置に回転させると、ピン266と、アクチュエータステム224に接触している曲線状の表面262との間の距離は、増加した距離になり、それによりアクチュエータロッド220を更に加圧チャンバ410bのハウジング420内へと第2又は「開」位置に並進させる。図10及び図11に関して以下でより詳細に記載するように、第2又は「開」位置への移動は、加圧チャンバ410b内のガスを放出するように構成され得る。起動部スイッチ260は、好ましくは、第1位置又は第2位置に留まることができ、使用者がスイッチをその位置に維持する必要がない任意の種類のスイッチであり得る。図示される実施形態では、回転レバーが使用される。ねじ、ラッチ、ばね荷重式ピン又は当技術分野で周知の任意の他のスイッチなどの他のスイッチも使用することができる。
【0077】
図8A及び図8Bを参照すると、測定制御システム110b及び起動システム210bのいくつかの構成要素を含む起動システム210bの動作の図が示される。ここで示されるように、ラッチがプランジャ本体160の前端部又は後端部に向かって並進することができないように、ラッチ228は、ラッチアパーチャ174内に収容されている。したがって、アクチュエータロッド220が前方又は後方方向に並進するとき、ラッチ228は、アクチュエータロッド220のラッチ移動部226の外形に追従しなければならない。したがって、これにより、起動部スイッチ260、したがってアクチュエータロッド220が対応する第2位置にあるとき、第2位置におけるラッチ228のカップリング運動の利点を提供する。更に、ラッチ228の運動は、他の起動部スイッチ260及びアクチュエータロッド220の運動と結合されているため、ラッチ228が第2位置に移動することを阻止されれば、起動部スイッチ260及び起動部ロッド220も第2位置に移動することを阻止される。上述のように、第2又は「開」位置にある間、ラッチ228は、プランジャ本体160から突出することができ、それにより、図8Bに示すように、プランジャ本体160の延びを制限することに留意されたい。
【0078】
加圧チャンバ及び第1圧力調整システム
図9を参照すると、起動システム210b、混合システム310bの加圧チャンバ410bの両方及び混合システム310bの第1圧力調整システム610bのいくつかの構成要素を含む実施形態が示されている。示されるように、加圧チャンバ410bは、ハウジング420の第1端部の近くに位置する環状スロット422を有するハウジング420を有し得る。環状スロット422は、プランジャ本体160上に位置する保持機構170を受け入れるように構成され得る。ハウジング420は、ハウジング420の第2端部に位置するプランジャシール460も有し得る。プランジャシール460は、混合チャンバ510bを画定する気密シールを提供するように構成されている。
【0079】
加圧チャンバ410b及び第1圧力調整システム610bの断面図である図10を参照する。環状スロット422は、第1又は後方端部に位置し、第2又は前方端部に位置する円錐形又は円錐台表面424は、プランジャシール460の形状に対応する。ハウジング420は、環状突起426と、プランジャシール460のリップ462を受け入れるように構成された環状スロット428とを有するように追加的に形作られ得る。この構成は、プランジャシール460がハウジング420に接続されたままになり、シールを形成して、ハウジング本体420内に収容された任意のガスの漏れを防ぐことを有利に確実にする。プランジャシール460のリップ462は、ハウジング420の環状スロット428内に密に収まり、シールの強化を提供することができる。
【0080】
内部空間430は、ハウジング420によって実質的に囲まれており、第1の別個の部分432と第2の別個の部分434とに分離され得る。ハウジング420の第2の別個の部分434内に収容されているのは、キャニスタ436などの構造ユニットの形態の第3の別個の部分であり得る。このキャニスタは、混合チャンバ510bで混合するためのガスを収容することができる。キャニスタ内にガスを提供すると、キャニスタを加圧チャンバ410bの他の構成要素と別々に製造することを可能にできることから、装置10bの製造が容易になるために有利である。装置10bが再使用可能であるいくつかの実施形態では、キャニスタを交換することができる。
【0081】
キャニスタ436は、アクチュエータピン222と接触する第1又は後方端部と、密閉された第2又は前方端部437とを有する。キャニスタ436の一端にあるのは、第1の別個の部分432から第2の別個の部分434へのいかなるガスの漏れも実質的に低減するシール438である。これにより、アクチュエータアパーチャ440及び装置10bからガスが漏れる可能性を有利に低下させる。
【0082】
ハウジング420は、ハウジング420の第2端部から遠ざかる方向の力をシールに作用させる、ばねなどの付勢機構442も含み得る。図示される実施形態では、付勢機構442は、第1の別個の部分432内に位置する。これにより、キャニスタ436が第1の別個の部分432に移動し、キャニスタ436内に収容されたガスが、使用者によって起動されることなく潜在的に放出される可能性が低下する。更に、付勢機構442は、使用者がデバイスを誤って起動することができないように、起動に抗する反力を提供することもできる。付勢機構442は、第1及び第2動作段階が完了し、起動スイッチ160が第1又は「閉」位置に戻った後、アクチュエータロッド220がその第1又は「閉」位置に戻り、それによりラッチ228をその第1又は「閉」位置に戻すように付勢機構442が十分な力を作用させるように、十分な力を作用させるように構成され得る。ラッチ228がその第1又は「閉」位置に戻ると、プランジャ本体160の延びは、もはや制限されず、第3動作段階が開始され得る。付勢機構442がアクチュエータロッド220に十分な力を作用させなければ、第3動作段階に入ることは、より困難になり得る。
【0083】
ハウジング420は、この実施形態の装置10bに示されるような、針又はパイロットティップなどの放出機構444を有することもできる。放出機構444は、キャニスタ436の密閉された第2端部437を穿刺し、放出機構444内に軸方向に延びるチャネル446により、放出機構444を介して第1の別個の部分432にガスを放出するように構成され得る。第1の別個の部分432内の高い圧力によって第1圧力調整システム610bが開放し、プランジャシール460の前部及び混合チャンバ510b内にガスが出ることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、異物が混合チャンバ510bに入る可能性が低下するように、フィルタ448が流路に沿って配置され得る。いくつかの実施形態では、フィルタ448は、細菌を濾過して除去するように構成され得る。
【0084】
プランジャシール460は、混合チャンバ510bのシールを作成することにより、混合チャンバ510bの注入可能容量を部分的に画定するように構成されている。プランジャシール460は、混合チャンバ510bの内部表面に接触するように構成された環状突起464と、前方端部における円錐形又は円錐台形面466とを有する略円筒状の本体を有し得る。円錐台形面466は、円筒状本体の中央に配置された、第1圧力調整システム610bの構成要素を受け入れるように構成されたアパーチャ468を追加的に含み得る。更に、本体は、リップ462によって画定される、ハウジング420を受け入れるように構成された開口部470も後方端部に有し得る。
【0085】
図10を引き続き参照すると、第1又は「閉」位置にある第1圧力調整システム610bの一実施形態が示されている。第1圧力調整システム610bは、一端に複数のアパーチャ622を含む弁体620と、弁体620内に延びる弁ステム624であって、後端部における、付勢機構628に接触するように構成された弁座626と、前端部における、シールリング632に接触するように構成されたヘッド630とを有する弁ステム624とを含み得る。
【0086】
動作中、ヘッド630がシールリング632及び弁体620に対して付勢され、それにより、ガスの流れが弁体620を通して最終的に混合チャンバ510bに入ることを低減又は阻止するように、付勢機構628は、弁座626に対して後方方向に付勢力を作用させることができる。付勢機構628の向きのため、第1圧力調整システム610bは、加圧チャンバ410b内の圧力が閾値を超えるまで閉じられたままである。この閾値は、付勢機構628を圧縮するために必要な力の量を変更することによって設定され得る。
【0087】
図11を参照すると、加圧チャンバ410b内の圧力が混合チャンバ510b内の圧力を超える「開」位置にある第1圧力調整システム610bの一実施形態が示されている。いくつかの好適な実施形態では、圧力の差は、相当なものである。この圧力差により、付勢機構628に打ち勝つのに十分な力が弁構成要素にかけられ、それにより、ガスが弁体620から流れ出て混合チャンバ510bに入ることを可能にする。
【0088】
装置10bの複数の動作段階により、第1圧力調整システム610bのこの構成は、有利である。第1動作段階及び第2動作段階の少なくとも一部中、圧力差により、弁は、開いたままになる。しかしながら、圧力差が閾値に打ち勝つのに不十分になると、弁は、閉位置に留まり、任意の追加のガスが混合チャンバに流入することを阻止し、場合により計算された圧力/濃度を狂わせる。
【0089】
図12を参照すると、シリンジ本体520と、第2圧力調整システム710bと、上述のシステムの様々な構成要素とを含む混合チャンバ510bの一実施形態が示されている。シリンジ本体520は、円筒状本体であり得、後端部におけるアパーチャ522と、前端部におけるねじ付きノズル524とを含み得る。シリンジ本体は、計測デバイス120と係合するように構成されたフランジ526も有する。混合チャンバ510bは、シリンジ本体520の内壁とプランジャシール460とによって画定され得る。更に、シリンジ本体は、その外部表面に沿って、選択した濃度に対応するインジケータ528を含み得る。これらのインジケータ528は、選択した濃度の視覚的な確認を使用者に有利に提供することができる。
【0090】
図13を参照すると、ボール722と、付勢機構724と、弁座726と、封止機構728とを含み得る弁体720を含む第2圧力調整システム710bの一実施形態が示されている。第2圧力調整システム710bは、第2付勢機構730及びピンアクチュエータ732も含み得る。
【0091】
弁体720は、シリンジ本体520のノズル524の近くの内部空間734内を並進可能であり得る。いくつかの実施形態では、第2付勢機構730により、弁体720は、弁体720のフランジ735がノズル524の内部リップ736に押し付けられるように並進する。更に、付勢機構724は、付勢力に打ち勝つための十分な力がボール722にかけられるまで、弁体720を通る流れを封止し、阻止することができる。これは、混合チャンバ510bと大気との間の圧力差が閾値を超えると起こり得る。
【0092】
動作中、第2圧力調整システム710bは、第1及び第2動作段階中、混合チャンバ510b内に含まれる圧力の増加によって開放される。弁体720を開かせるための圧力差が不十分になると、第2動作段階は、完了し、使用者は、第3動作段階に移行することができる。
【0093】
図14を参照すると、フィルタ760は、第2圧力調整システム710bの出口に取り付けられている。フィルタ760は、ねじ付きノズル524の内側のねじ山と係合するように構成されたフランジ764を有する第1開端部762と、第2開端部766と、第1開端部762と第2開端部766との間に位置するフィルタ要素768とを有する。したがって、ガスは、第1開端部762と第2開766との間を両方の方向に通過することができ、このプロセスで濾過され得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1開端部762の内部表面は、その形状が弁体720の形状に対応するように、第2開端部766の方向にテーパしている。アタッチメント760がねじ付きノズル524内にねじ込まれると、アタッチメント760は、弁体720に係合し、弁体720を、第2付勢機構730の付勢力に反し、シリンジ本体520の後端部に向かって並進させる。これがボール722をピンアクチュエータ732に接触させ、それによりボールを弁体720の内部表面から離れさせ、それによりガスが弁体720内をいずれかの方向に流れることを可能にする。この構成は、大気圧で混合チャンバ510bを更に拡張させること及び混合チャンバ510bに引き込まれる空気を濾過することを可能にすることができる。したがって、この位置において、第3動作段階が実施され得る。第3動作段階が完了したら、フィルタ760は、取り外すことができる。使用者が、例えば患者に治療ガスを注入するための注入針を取り付けることにより、混合チャンバ510内の治療ガスを使用することを決定するまで、弁体720が閉じたままになるように、第2付勢機構730の力により、弁体720は、ピンアクチュエータ732から遠ざかる方に並進させることができる。
【0095】
測定制御システム及び起動システムの実施形態
図15図31は、装置の測定制御システムの構成要素の更なる実施形態を示す。
【0096】
図15A及び図15Bは、デバイスの使用者が注入可能容量の流体の濃度を選択することを可能にするように構成され得る計測ダイヤル820の一実施形態を示す。他の実施形態と同様に、計測ダイヤル820は、計測本体822及び計測本体822に取り外し可能に取り付けられ得る計測キャップ824などの2つの構成要素を含み得る。
【0097】
図15A及び図15Bを引き続き参照すると、計測本体822は、略円筒状の部材830を有することができ、フランジ832が計測本体822の上部分に位置する。計測本体822は、実質的に円筒状部材830の中央にあり、計測本体822の全体にわたって延びるチャネル834を含み得る。図15Aに示されるもののようないくつかの実施形態では、略円筒状の部材830は、略円筒状の部材830を挿入するデバイスに対して場合により固定され得る直径増加部831などの追加的な表面特徴を含み得る。
【0098】
計測ダイヤル又は類似の計測機構の他の実施形態と同様に、この実施形態も、計測本体820の表面に沿って位置する計測インジケータ836を含み得る。この図示実施形態では、計測インジケータ836は、フランジ832の頂面に位置するが、例えばフランジ832の周辺部に沿うなど、任意の他の視認可能な位置を使用することができる。図示される実施形態では、計測インジケータ836は、アセンブリの注入可能容量内で生成され得る六フッ化硫黄(SF)の濃度に対応する18、19、20、21及び22の範囲の数を示す。
【0099】
計測ダイヤル及び他の計測機構の他の実施形態と同様に、計測本体822は、スロット838、レール840及び計測インジケータ836に対応する可変停止部を有し得る。
【0100】
計測ダイヤル820の図示実施形態の可変停止部の動作は、計測ダイヤル及び計測機構の他の実施形態のものに類似し得る。可変停止部は、少なくともいくつかの動作段階中に注入可能容量のチャンバの拡張を制御するために、ラッチ928又は同様の突出構造など、プランジャ本体860内に収容された構成要素と相互作用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、可変停止部は、このタスクを、異なる段階中にプランジャ本体860の後方の延びを制限することによって実施することができる。したがって、可変停止部は、停止部が対応する濃度に応じて異なる距離で延びる。
【0101】
図16を参照すると、略筒状のフレーム862と、プランジャ本体860の一端におけるハンドル864と、略筒状のフレーム862とハンドル864との間に位置するセレクタ部材866と、筒状フレーム862の中心にあり、プランジャ本体860の全長にわたり延び得るか、又は筒状フレーム862の長さの少なくとも一部にわたり延び得るチャネル868とを含み得るプランジャ本体860の一実施形態が示されている。筒状フレーム862は、計測ダイヤルのチャネル内において摺動可能に並進し且つ摺動可能に回転するように構成され得る。
【0102】
図16を引き続き参照すると、筒状フレーム862は、起動ロッド920上に位置し、チャネル868内に収容されたラッチ928が筒状フレーム862から外向きに突出することを可能にするように構成されたラッチアパーチャ874を含むことができる。図示実施形態に示されるように、ラッチアパーチャ874は、ガード872の最上部の真上の中央に配置され得る。他の実施形態では、ラッチアパーチャ874は、筒状フレーム862に沿った異なる位置に位置することもでき、複数のラッチが使用される場合には2つ以上のラッチアパーチャを含むことができる。
【0103】
以下でより詳細に記載するように、ラッチ928は、第1、「初期」又は「起動前」位置において、ガード872を越えて延びないような大きさにされており、そのため、可変停止部又は類似の構造に接触することができない。第2又は「開」位置にあるとき、ラッチ928は、ラッチ928が可変停止部又は類似の構造に接触することができるように筒状フレーム862からガード872を越えて外向きに延びることができ、それにより、ラッチが第2位置にある間にプランジャ本体860が更に延びる可能性を防ぐか又は大幅に低下させる。
【0104】
図16図25a及び図25bを引き続き参照すると、起動部スイッチ960は、プランジャ本体860を通して第1ハウジング部材1020に向かってアクチュエータロッド920を並進させて、第1ハウジング部材1020内に収容されたガスを放出するための機構を起動するように構成され得る。したがって、他の実施形態の起動部スイッチのような起動部スイッチ960は、アクチュエータ本体922に接触するように構成された、表面に沿って位置する曲線状の外形962を有するカムであり得る。起動部スイッチ960は、起動部スイッチ960がピンを中心に回転することができるように、ピンを受け入れるように構成されたアパーチャ964を追加的に含み得る。起動スイッチ960は、好ましくは、第1位置、第2位置又はこれより多くの位置に留まることができ、使用者がスイッチをその位置に維持する必要のない任意の種類のスイッチであり得ることが当業者に理解されるであろう。図示される実施形態では、回転レバーが使用される。ねじ、ラッチ、ばね荷重式ピン又は当技術分野で周知の任意の他のスイッチなどの他のスイッチも使用することができる。
【0105】
図18を参照すると、第1、「初期」又は「起動前」位置にある起動部スイッチ960が示されている。例えば、これは、第1動作段階前の位置であり得る。この第1位置では、アクチュエータ本体922がプランジャ本体860の筒状フレーム862の端部から第1距離に位置するように、ピン966とアクチュエータ本体922と、接触している曲線状の表面962との間の距離は、第1距離であり得る。
【0106】
図19に示すように、いくつかの実施形態では、起動部スイッチ960は、より垂直に向いた位置である、第2又は「開」位置に向かって回転させることができる。この位置では、アクチュエータ本体922がプランジャ本体860の筒状フレーム862の端部から第2距離に位置するように、ピン966から、アクチュエータ本体922に接触している曲線状の表面962までの距離は、第2距離であり得る。これは、第1及び第2動作段階中における起動スイッチ960の位置に対応し得る。いくつかの実施形態では、第2距離は、第1距離よりも大きくすることができる。図25図27に関してより詳細に記載するように、これにより、アクチュエータ本体922を加圧チャンバの第1ハウジング部材1020に向かって並進させることができる。この並進により、加圧チャンバ内に収容された流体又はガスの放出を起動させることができる。
【0107】
図20に示すように、いくつかの実施形態では、起動スイッチ960は、より水平に向いた位置である、第3又は「閉」位置に向かって回転させることもできる。この位置では、アクチュエータ本体922がプランジャ本体860の筒状フレーム862の端部から第3距離に位置するように、ピン966から、アクチュエータ本体922に接触している曲線状の表面962までの距離は、第3距離であり得る。これは、第3動作段階及び/又は注入可能容量を患者に注入する前の最終段階に対応し得る。この第3距離は、第1距離及び/又は第2距離以下であり得る。いくつかの実施形態では、流体又はガスが加圧チャンバから放出されないように、第3位置への回転により、加圧チャンバの第1ハウジング部材1020から遠ざかる方にアクチュエータ本体922を並進させることができる。
【0108】
任意選択的に、起動スイッチ960の移動を制御及び制限するためにインターロック機構が含まれ得る。
【0109】
図21図23を参照すると、起動システムの一実施形態の動作が示されている。図示される実施形態及び類似する他の実施形態に示されるように、ラッチがプランジャ本体860の前端部又は後端部に向かって並進することができないように、ラッチ928は、ラッチアパーチャ874内に収容され得る。このような実施形態では、アクチュエータロッド920が前方方向又は後方方向に並進するとき、ラッチ928は、アクチュエータロッド920のラッチ移動部926の外形に追従するように構成されている。
【0110】
図21は、第1、「初期」又は「起動前」位置にある実施形態を示す。ここで示されるように、ラッチ928は、後方に延ばされる場合、ラッチ928が計測本体922上に位置する可変停止部に接触し、それ以上の延びが阻止されるように、プランジャ本体860から十分に外向きに突出するように配置され得る。他の実施形態では、第1位置にあるとき、ラッチ928は、そのような延びを阻止するために、本体860から外向きに突出しないように構成され得る。図22に示すような第2又は「開」位置に移動すると、ラッチ928が、計測ダイヤル820上に位置する可変停止部又は類似の構造に接触し、それによりいかなるそれ以上の後方の延びも阻止することができるように、ラッチ928は、プランジャ本体860から十分に外向きに突出することができる。図23に示すような第3又は「閉」位置に回転すると、ラッチ928が、計測ダイヤル820上に位置する可変停止部又は類似の構造にもはや接触せず、それによりプランジャ本体860が更に後方に延びることを可能にするように、ラッチ928は、ラッチアパーチャ874内に十分に引き込まれ得る。
【0111】
図21図23を引き続き参照すると、プランジャ本体860にポールなどのラチェット部材886を取り付けることができる。ラチェット部材886は、ヒンジ連結され、ラチェット部材886は、可動的に変形可能であり、変形中に抵抗を与えるように構成され得る。ラチェット部材886は、選択した濃度に対する適切な向きを促すために、切欠部842(図15b)など、プランジャ本体計測ダイヤル820上に位置する特徴に対応し得る。ラチェット部材886の内向きの変形を可能にするために、アクチュエータ本体924は、凹部又は窪み980を含み得る。この凹部980は、ラチェット部材886が第1位置及び第3位置でのみ内向きに変形することを可能とする一方、ラチェット部材886が第2位置にある間は内向きに変形することを制限するように構成され得る。これにより、デバイスの動作中にプランジャ本体860が回転し得る可能性を低下させる手段を提供することができる。
【0112】
加圧チャンバの実施形態
図24図25Bを参照すると、加圧チャンバの一実施形態が起動システムの構成要素と共に示されている。図示されるように、加圧チャンバは、互いに対して並進可能な第1ハウジング部材1020と第2ハウジング部材1022とを有する2部分ハウジングを有し得る。図示実施形態に示されるように、2つの部材1020、1022は、2つの部材1020、1022の一部又は全部をプランジャ本体860のチャネル868内に受け入れることができるように、略円筒状の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、2つの部材1020、1022を互いに分離し、2つの部材1020、1022の自由並進を可能にすることができる。他の実施形態では、2部分ハウジングは、部材1020、1022の互いに対する並進を依然として可能にしつつ取り付けることができる。こうした取り付けは、2つの部材1020、1022の安定性を増すために使用され得る。
【0113】
図示実施形態に示されるように且つ加圧チャンバの他の実施形態と同様に、第2ハウジング部材1022上に環状スロット1024が位置し得る。図示される実施形態では、環状スロット1024は、第1ハウジング部材1020に対向する端部に位置する。しかしながら、考えられる他の位置を選択することもできる。環状スロット1024は、プランジャ本体860の保持翼870(図25A)を受け入れるような大きさに作られ、且つそのように構成され、スナップフィット接続を用いてプランジャ本体860に第2ハウジング部材1022を締結することを可能にできる。プランジャ本体860のチャネル868への第2ハウジング部材1022の挿入を容易にするために、挿入される端部部分は、わずかにテーパ状であり得る。いくつかの実施形態では、第2ハウジング部材1022は、プランジャ本体860に取り外し可能に取り付けることができ、それにより第2ハウジング部材1022内に収容された特定の部品の交換を可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、貯蔵部材1030又はキャニスタを2部分ハウジング内に収容することができる。2部分ハウジングは、プランジャ端部1060も有し得る。プランジャ端部1060は、シリンジ本体1120に密閉的に接触し、注入可能容量を収容するためのチャンバ(このようなチャンバは、場合により、混合チャンバとして機能する)を画定するシールを形成するように構成されたゴム製Oリングなどのプランジャシール1061を有する。このようなシールを形成するために、プランジャ端部1060の周りに他の種類の封止部材を使用することもできる。
【0114】
図25A及び図25Bは、装置が第1、「初期」又は「起動前」位置にあるときの、図24に示される実施形態の断面図である。図25Bにより明確に示されるように、第1位置において、コイルばねなどのロッド付勢部材924は、アクチュエータ本体922及び第1ハウジング部材1020の両方に接触することができる。しかしながら、アクチュエータ本体922は、第1ハウジング部材1020と直接接触しなくてもよい。第1位置において、ロッド付勢部材924は、第1ハウジング部材1020に対して前方方向の力を作用させることができ、且つアクチュエータ本体922が起動スイッチ960と接触したままになるようにアクチュエータ本体922に対して後方方向の力を作用させることができる。この位置では、第1ハウジング部材1020に対する前方の力により、第1ハウジング部材1020が第2ハウジング部材1022に向かって並進しようとする際、第1ハウジング部材1020がその中に収容された貯蔵部材1030に力を印加することができる。好ましくは、第1位置では、貯蔵部材1030内に収容されている機構(図28図29で更に詳細に説明する)のために、第1ハウジング部材1020が貯蔵部材1030に対して印加する力は、貯蔵部材1030を第2ハウジング部材1022に向かって並進させるには不十分である。したがって、第1位置にある間、貯蔵部材1030内に収容された任意のガス又は流体は、貯蔵部材1030内に収容されたままである。
【0115】
図26A及び図26Bは、装置が第2又は「開」位置にあるときの、図24に示される実施形態の断面図である。図26Bにより明確に示されるように、第2位置にある間、アクチュエータ本体922及びロッド付勢部材924は、両方とも第1ハウジング部材1020と直接接触することができる。この直接接触により、第1ハウジング部材1020が前方方向に並進することができ、それにより貯蔵部材1030を前方方向に並進させるようにより大きい力を第1ハウジング部材1020に印加することができる。その後、貯蔵部材1030のこの前方並進により、貯蔵部材1030からのガスの放出を起動させることができる。他の実施形態では、アクチュエータ本体922は、第1ハウジング部材1020に直接接触する必要はない。なぜなら、このような実施形態では、ロッド付勢部材924の圧縮によりロッド付勢部材924によって印加される力の増大は、第1ハウジング部材1020を前方方向に並進させて、貯蔵部材1030からのガスの放出の起動を生じさせるのに十分なものであり得るからである。
【0116】
図27A及び図27Bは、装置が第3又は「閉」位置にあるときの、図24に示される第2実施形態の断面図である。図27Bに示されるように、第3位置にある間、アクチュエータ本体922は、第1ハウジング部材1020と接触している。更に、いくつかの実施形態では、ピン966と曲線状の表面962との間の距離が減少したことで、アクチュエータ本体922が起動スイッチ960と接触したままになるように、ロッド付勢部材924によってアクチュエータ本体922に後方方向に作用される力により、アクチュエータ本体922を曲線状の表面962に向かって並進させることができる。このロッド付勢部材924の拡張は、ロッド付勢部材924によって第1ハウジング部材1020に作用される力の減少をもたらす。この減少した力の結果及び貯蔵部材1030又はキャニスタ内に位置する他の機構の結果、貯蔵部材1030は、閉状態に復帰することができ、それにより、混合チャンバとしても機能し得る、注入可能容量を収容するためのチャンバに任意の追加のガスが放出されることを阻止する。
【0117】
図28は、加圧チャンバの一実施形態の断面図である。第1及び第2ハウジング部材1020、1022は、その中において、ガスなどの流体を収容するマイクロシリンダなどの貯蔵部材1030又はキャニスタを収容している。いくつかの実施形態では、第2部材1022は、第1部材1020と反対側の端部において、円錐形又は円錐台表面を形成するプランジャ端部1060を有する。いくつかの実施形態では、第2部材1022とプランジャ端部1060とは、一体ユニットを形成する。プランジャ端部1060は、混合チャンバとしても機能し得る注入可能容量のチャンバを形成するために、ゴム製Oリングなどのプランジャシール1061を受け入れるように構成された環状スロットを有し得る。
【0118】
第1ハウジング部材1020は、貯蔵部材1030の第1端部に接触し、これを受け入れるように構成された凹設部1026又は陥没部を含み得る。凹設部1026の形状は、好ましくは、貯蔵部材1030の第1端部の形状に対応すべきである。他の実施形態では、第1ハウジング部材1020は、凹設部1026を含まなくてもよい。第2ハウジング部材1022は、貯蔵部材1030の第2端部を受け入れるような大きさにされ、且つそのように構成された内部空間1028を含み得る。いくつかの実施形態では、内部空間1028は、貯蔵部材1030の第2端部と接触するハウジングシール1029を含み得る。いくつかの実施形態では、ハウジングシール1029は、内部空間1028を通して後方にガス漏れがほとんどないように十分なシールを作成する。いくつかの実施形態では、内部空間1028は、貯蔵部材1030が全般的に前方方向及び後方方向にのみ並進することを確実にするために、貯蔵部材1030の周りに概ね密な嵌合を提供することもできる。これにより、貯蔵部材1030の第2端部とハウジングシール1029との間のシールが破損する可能性を有利に低下させる。
【0119】
図28を引き続き参照すると、図示されるキャニスタ又はマイクロシリンダなどの貯蔵部材1030は、本体部分1040及びヘッド1042を含み得る。図示実施形態に示されるように、本体部分1040は、半球形の第1端部を有する略円筒状の形状を有し得る。本体部分1040は、ヘッド1042と共に、気体若しくは液体形態のいずれか又はこれらの両方の組み合わせのガスなどの流体を、大気ガスと異なり得る第1圧力及び濃度で収容するための内容積1041を形成することができる。例えば、このようなガスとしては、膨張性ガス、SF、C、C又は類似のガスなどの眼科用ガス、COなどの推進剤ガス、NOなどの冷媒ガス及び他の様々な種類のガスが挙げられ得るが、これらに限定されない。内部空間1041の大きさは、ユニット又は単回使用用量が容量内に収容され得るように選択され得る。本体部分1040に関しては、他の形状も選択することができる。
【0120】
ヘッド1042は、本体部分1040の内径に一致する外径を有する略筒状の形状を有することができる。ヘッド1042は、内部チャネル及びフランジ1044を有し得る。図示実施形態に示されるように、ヘッド1042の第1端部は、チャネルの直径に一致する直径を有する開口部を有することができ、ヘッドの第2端部は、チャネルの直径よりも小さい直径を有する開口部1046を有することができる。いくつかの実施形態では、本体部分1040とヘッド1042とは、後に取り付けられる別個の構成要素であり得る。これにより、場合により、組み立て前にヘッド1042の内部構成要素の組み立てを有利に可能にする。ヘッド1042内の全ての構成要素が組み立てられたら、ヘッド1042を本体部分1040内に受け入れ、接着剤、溶接等などのデバイス及び機構を用いて締結することができる。図28に示されるものなどのいくつかの実施形態では、フランジ1044が本体部分1040に当接し、この表面に沿って接着又は溶接され得る。他の実施形態では、本体部分1040とヘッド1042とは、一体ユニットを形成することができる。
【0121】
ヘッド1042は、貯蔵部材圧力調整システムを収容することができる。貯蔵部材圧力調整システムは、第1圧力調整システムの一部を形成することができ、チャネル内の内部弁機構の形態をとることができる。内部弁機構は、保持リング1048と、弁座1050と、ばねなどの内部付勢部材又は機構1052と、弁ピストン1054と、ピストンシール1056とを含み得る。保持リング1048は、ヘッド1042上に位置する環状スロット1058内に配置され得る。保持リング1048は、保持リングがスロット1058に嵌合する前に変形することができるように、弾性材料で作成され得る。弁座1050は、保持リング1048とヘッド1042の第2端部との間に配置され得る。いくつかの実施形態では、弁座1050は、ヘッド1042の内径に略等しい外径を有するリングであり得る。
【0122】
弁ピストン1054は、略円筒状の形状を有することができ、弁座1050とヘッド1042の第2端部との間に配置され得る。弁ピストン1054の外径は、ヘッド1042の内径に略等しくなるように選択され得る。図示実施形態に示されるように、弁ピストンは、ピストンシール1056と、ピストンの周囲に沿って位置する流体経路1055又はチャネルと、突起1057とを受け入れるように構成された環状スロットを含み得る。流体経路1055は、弁ピストン1054とヘッド1042との間を流体が通過することを可能にするように構成され得る。図示される実施形態では、合計4つの流体経路が含まれているが、より少数又は多数の経路を使用することもできる。いくつかの実施形態では、突起1057は、開口部1046の直径に対応するより小さい直径を有する円筒状部材であり得る。突起1057は、開口部1046内に収まるように構成され得る。いくつかの実施形態では、突起1057は、ヘッド1042の端面と面一であり得る。他の実施形態では、突起1057は、開口部内に引っ込むか又は端面を越えて延びることができる。ピストンシール1056とヘッド1042との間にシールが形成されるように、弁ピストン1054に前方方向の力を印加するための付勢機構1052が弁座1050とピストン1054との間に配置され得る。他の実施形態では、ボールバルブ、ポペット弁又は本明細書で言及した若しくは当技術分野で周知の任意の他の弁などの他の種類の弁設計を使用することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、内部付勢機構1052は、起動スイッチが第1又は「起動前」位置にあるとき、第1ハウジング部材1020を介してロッド付勢機構924により貯蔵部材1030に印加される力など、内部弁機構に印加される任意の力によって内部弁機構が開かないように構成され得る。いくつかの実施形態では、内部付勢機構1052は、起動スイッチが第2又は「開」位置にあるとき、内部弁機構に印加された力によって内部弁機構が開くように構成され得る。いくつかの実施形態では、内部付勢機構1052は、起動スイッチが第3又は「閉」位置にあるとき、第1ハウジング部材1020を介してロッド付勢機構924により貯蔵部材1030に印加される力など、内部弁機構に印加される任意の力によって内部弁機構が開かないように構成され得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、貯蔵部材1030は、ヘッド1042などの貯蔵部材1030の一部分に内蔵されたフィルタなどの他の構造を含み得る。貯蔵部材1030は、貯蔵部材1030の保管寿命を有利に延長することができる追加のシールを提供するために、ヘッド1042上及び開口部1046上に配置された膜又は他の封止構造を含み得る。膜又は封止構造は、ピン1059などの突出部材又は任意の他の類似の放出機構によって穿刺され得る。いくつかの実施形態では、放出機構は、例えば、「フリット」として知られる多孔質材料であり得る。貯蔵部材1030は、貯蔵部材1030内に含まれる圧力が特定の動作限界を超えた場合に破壊する可能性を低下させるためのリリーフ弁として機能し得る追加の弁部材も含み得る。貯蔵部材1030は、破滅的な損傷の可能性を低下させるために、制御された方式で破壊するように構成することもできる。
【0125】
いくつかの実施形態では、貯蔵部材1030及び内部弁などの内部構成要素は、小型且つ軽量の材料から製造される。材料は、可撓性でもあり得る。いくつかの実施形態では、貯蔵部材1030の材料及び寸法は、貯蔵部材1030が貯蔵部材1030の壁を通したガスの拡散に耐えるように選択され得る。これにより、貯蔵部材1030内にガスが収容されている場合の貯蔵部材1030の貯蔵寿命が増加するという利点を提供することができる。いくつかの実施形態では、本体1040の最も後方の端部からヘッド1042の最も前方の端部までの貯蔵部材1030の長さは、約15mm~約65mm、約20mm~約45mm及び29mmなど、約25mm~約35mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、本体1040の外径は、約4mm~約25mm、約6mm~約20mm及び9.5mmなど、約8mm~約15mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、フランジ部を含まないヘッド1042の外径は、約2mm~約20mm、約4mm~約15mm及び7.5mmなど、約6mm~約10mmの範囲であり得る。
【0126】
図28を引き続き参照すると、放出機構として機能し得るピン1059は、チャネル1062内に位置し得る。放出機構1059は、弁ピストン1054の突起1057上の実質的に中央に配置され、開口部1046の直径に一致する直径を有することができ、貫通通路(図示せず)を画定することができる。図29に示されるように、放出機構1059が弁ピストン1056をヘッド1042から退座させ、それにより、流体の流れが貯蔵部材1030から経路1055及び放出機構1059を越え、チャネル1062を通り、最終的に混合チャンバなどの注入可能容量のチャンバに流入できるようにすることができるように、動作中、貯蔵部材1030が放出機構1059に向かって前方方向に並進するとき、放出機構1059は、静止したままである。いくつかの実施形態では、放出機構1059は、内部若しくは外部チャネルを含み得るか、又は放出機構1059自体がチャネル1062内を流れる流体の予備的なフィルタリング機構として機能するように多孔質材料で作成され得る。いくつかの実施形態では、材料を濾過して除去するために、放出機構1059とチャネル1062の端部との間又は任意の他の位置にフィルタを付加することができる。
【0127】
図30図32を参照すると、ガス混合デバイス10cを有する容器4cを含む外科用キット2cの更なる実施形態が示されている。ガス混合デバイス10cは、以下に示すもの以外、ガス混合デバイス10、10a及び10bを参照して上述したものと同じ又は類似の構成要素を含み得る。
【0128】
混合デバイス10cは、混合チャンバなどの注入可能容量のチャンバを含み得る。混合チャンバは、シリンジ本体1120と、第2圧力調整システムの一部を形成することができるシリンジ圧力調整システムと、上述のシステムの様々な構成要素とを含み得る。シリンジ本体1120は、円筒状本体と、前端部における突出部1122とを有し得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、圧力調整システムの複数構成要素を含み得るねじ付きノズル1124は、シリンジ本体1120の突出部1122に取り外し可能に取り付けられ得る。これにより、シリンジ本体1120に組み込まれる前に圧力調整システムをより小さいノズル1124内で組み立てることを可能にすることによって装置の組み立てを有利に容易にすることができる。ノズル1124は、ねじ、接着剤、スナップフィット、溶接等などの複数の締結デバイス及び手段を使用して突出部1122に取り付けることができる。注入可能容量のチャンバは、シリンジ本体1120の内壁とプランジャシール1061とによって画定され得る。更に、シリンジの他の実施形態と同様に、シリンジ本体1120はまた、その外部表面に沿った、選択した濃度に対応するインジケータと、計測ダイヤルに取り付けられるように構成されている、本体1120の後端部におけるフランジとを含み得る。任意選択的に、外科用キット2cは、フィルタデバイス760cの761cに接続された流量制限器1300を含み得る。
【0130】
図30図32を引き続き参照すると、弁体1220と、弁端部1222と、弁ピストン1224と、ピストンシール1226と、ピストン付勢部材又は機構1228と、弁付勢部材又は機構1230と、弁端部シール1232とを含むシリンジ圧力調整システムの一実施形態が示されている。圧力調整システムの他の実施形態と同様に、弁体1220及び弁端部1222は、ねじ付きノズル1124内を摺動的に並進することができる。
【0131】
図32に示される位置などの第1位置において、弁付勢部材1230によって弁体1220及び弁端部1222に対して前方方向に作用される力により、弁端部1222は、ねじ付きノズル1124の肩部1234に載ることができる。第1位置において、弁ピストン1224と弁シール1226とは、シールを形成することができ、弁体1220内を流体が通過することを制限又は阻止することができる。しかしながら、注入可能容量のチャンバ内の圧力がピストン付勢部材1228によって作用される付勢力に打ち勝つための閾値を超えて増加すると、弁ピストン1224は、ピストン付勢部材1228によって印加される力に抗して前方方向に並進することができ、流体は、弁体1220及び弁端部1222を通過し、大気に入ることができる。圧力が閾値に再び低下すると、力の平衡により、弁ピストン1224及び弁シール1226が弁体1220に再度密閉的に接触することが可能になる。
【0132】
第2位置において、弁体1220及び弁端部1222は、弁付勢部材1230に抗して後方方向に並進することができる。例えば、これは、弁端部1222に後方方向の力を印加することによって達成することができる。第2位置において、弁ピストン1224が弁体1220にもはや密閉的に接触しないように、弁ピストン1224とシリンジ本体1120の内部突出部材1126との間の接触により、弁ピストン1224を弁体1220及び弁端部1222に対して後方方向に移動させることができる。いくつかの実施形態では、これにより、注入可能容量のチャンバへの及び注入可能容量のチャンバからの流体の通過を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、インラインフィルタ760cをねじ付きノズル1124上にねじ止めすると、圧力調整システムを強制的に第2位置にすることができる。止め栓、弁、管等などの他の種類のアタッチメントもねじ付きノズル1124に取り付けることができる。
【0133】
図32図35を参照すると、流量制限器1300cは、フィルタデバイス760cの出口及び761cに係合するように構成されたキャップの形態であり得る。例えば、流量制限器1300cは、出口761cの内部表面上のねじ山に係合するように構成されたねじ付き端部1032を含み得る。更に、流量制限器1300cは、外科用グローブを着用しているときの流量制限器1300cの取り外しを簡単にするために、指での把持を容易にするように構成された任意の指グリップ1304を含み得る。
【0134】
流量制限器は、流量制限ポート1306も含み得る。いくつかの実施形態では、ポート1306の最低直径は、出口761c(図30)の出口開口部1308の最小直径よりも小さくされ得る。したがって、出口ポート1306の最小断面積は、出口開口部1308の最小断面積よりも小さくなり得る。したがって、図1A及び流量制限器1300cを参照して上述したようなものである。図30を引き続き参照すると、動作する混合デバイス10cは、容器4c内に包装され、外科用キット2cを形成することができる。他の混合デバイス10、10a、10及び10bと同様に、混合デバイス10cは、フィルタデバイス760cが滅菌状態で事前に取り付けられた状態で容器4c内に包装することができ、任意選択的に流量制限器1300も含み得る。
【0135】
使用時、医師又は他の使用者は、パッケージ4cから、フィルタ760cが事前に取り付けられた混合デバイス10cを取り出すことができる。その後、使用者は、デバイス10cの混合チャンバに治療ガス及び/又は治療ガスの成分を供給することができ、所望の混合済みガス濃度を提供する治療ガスの所望の容量に対応する位置にプランジャ1061が移動するまで、プランジャ1061をフィルタデバイス760cから遠ざかる方向(図30に見られるように)に移動させる。プランジャ1061が所望の位置に移動した後、余分な治療ガスは、フィルタデバイス760cを通して排出することができる。したがって、フィルタデバイス760cは、混合デバイス10cに事前に取り付けられているため、未濾過の大気がフィルタデバイス760cのフィルタ部材763とプランジャ1061との間のいかなる開放容量にも存在することは、決してない。したがって、このフィルタデバイス760cを通した治療ガスの排出中、フィルタ部材763の上流側で混入物、異物又は望ましくないガスが捕捉されることはない。
【0136】
治療ガス又は治療ガスの成分の所望の容量が混合チャンバ内に収容された後、使用者は、プランジャ1061をフィルタデバイス760cから遠ざかる方向に手動で更に移動させ、それにより大気を、フィルタデバイス760cの出口761cを通して、フィルタ部材763を通して且つ混合チャンバ内に引き込むことができる。したがって、フィルタ部材763は、あらゆる微粒子、異物又は望ましくないガスを濾過して除去し、そのようなものが混合チャンバに入ることを阻止し得る。混合チャンバが所望の容量に拡張し、それにより所望の濃度の治療的混合物を形成した後、フィルタデバイス760cは、取り外すことができ、代わりに更なる送達デバイスを接続することができる。例えば、治療ガスの送達のために、皮下針をフィルタデバイス760cの代わりに取り付けることができる。
【0137】
上述したように、混合デバイス10cは、任意選択的に、流量制限器1300cが事前に取り付けられた状態で容器4c内に包装され得る。流量制限器1300cを事前に取り付けることで、余剰ガスの排出中に追加的な背圧を提供し、それにより、シリンジ本体1120内の治療ガス又は治療ガスの成分の所定の容量を画定するための任意の制限デバイスに対してプランジャ1061を完全に押し付けることを確実にするのに役立つことができるという任意の更なる利益を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態では、加圧チャンバは、装置の外部にあり得る。このような実施形態では、加圧チャンバは、液体又は気体(又はこれらの組み合わせ)形態のガスを収容するタンク又は他のキャニスタであり得る。いくつかの実施形態では、タンクは、管又は他の機構を介してねじ付きノズルに取り付けられ得る。ねじ付きノズルと管との間の接続により、装置上に位置する圧力調整システムを強制的に開放させ、それによりタンクからのガスをチャンバに投入することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、タンクからのガスの導入は、第1動作段階中に実施され得る。したがって、装置が、設定された第1容量に到達するまで、タンクからのガスにより装置をガスで満たすことができる。いくつかの実施形態では、タンクは、圧力が調整されたガスで装置が満たされるように調整器を有することができる。その後、接続は、ねじ付きノズルから取り外され、弁が正常に機能することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ガスは、大気よりも高い圧力となる可能性があり、圧力調整システムの閾値を超える可能性があるため、装置の設定圧力が達成されるまでガスをシステムから排出又は放出することができる。装置内の設定圧力が達成されたら、その後、上記の実施形態の手法と同様の手法で残りの動作段階を完了することができる。
【0139】
前述の記載は、本発明による特定の特徴、態様及び利点を有する、ガスを混合及び/又は注入するための装置及び方法のものである。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記のガス混合装置及び方法に対する様々な変更形態及び修正形態もなされ得る。したがって、例えば、当業者であれば、本明細書で教示又は提案され得るような他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような1つの利点又は利点の群を達成又は最適化するような手法で本発明を具現化又は実行できることを理解するであろう。更に、本発明のいくつかの変形形態を示し、詳述してきたが、本発明の範囲内にある他の修正形態及び使用方法は、本開示に基づいて当業者に容易に明らかになるであろう。実施形態の特定の特徴及び態様の様々な組み合わせ又は部分的組み合わせを作成することができ、これらは、依然として本発明の範囲内にあると考えられる。したがって、開示された実施形態の様々な特徴及び態様は、開示されたガス混合装置の様々な態様を形成するために互いに組み合わされ得るか又は互いに置換され得ることが理解されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
【国際調査報告】