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特表2022-503932RETキナーゼ阻害剤としての置換イミダゾ[1,2-A]ピリジン及び[1,2,4]トリアゾロ[1,5-A]ピリジン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】RETキナーゼ阻害剤としての置換イミダゾ[1,2-A]ピリジン及び[1,2,4]トリアゾロ[1,5-A]ピリジン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20220104BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220104BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20220104BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 31/4995 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C07D471/04 108Q
C07D471/04 CSP
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K45/00
A61P35/00
A61P17/06
A61P9/10
A61P13/08
A61P1/18
A61P13/12
A61P25/04
A61P29/00
A61P37/06
A61P9/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P9/10 101
A61P1/04
A61P17/00
A61P17/04
A61P3/10
A61P27/02
A61P11/06
A61P31/04
A61P43/00 105
A61P37/02
A61P25/00
A61P11/00
A61K31/496
C07D519/00 311
A61K31/444
C07D487/04 144
A61K31/519
A61K31/4545
A61K31/501
A61K31/5377
A61K31/506
A61K31/497
A61K31/4995
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517688
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2019108164
(87)【国際公開番号】W WO2020063751
(87)【国際公開日】2020-04-02
(31)【優先権主張番号】62/737,535
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/824,443
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516357177
【氏名又は名称】フォチョン・ファーマシューティカルズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FOCHON PHARMACEUTICALS, LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】515121070
【氏名又は名称】シャンハイ フォチョン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チェンシ・ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ルイ・タン
(72)【発明者】
【氏名】ズウェン・ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイペン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ユンリン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】チホン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】シンドン・ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンシン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ユウェイ・ガオ
(72)【発明者】
【氏名】シュ・リン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイボ・ワン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C065
4C072
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF05
4C050GG01
4C050HH04
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH06
4C065JJ01
4C065JJ03
4C065KK08
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP04
4C065PP08
4C065PP09
4C065PP10
4C065PP12
4C065PP15
4C065PP16
4C065PP17
4C065PP18
4C072MM02
4C072UU01
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA31
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA59
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA011
4C084ZA081
4C084ZA331
4C084ZA361
4C084ZA401
4C084ZA451
4C084ZA591
4C084ZA621
4C084ZA661
4C084ZA681
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZA961
4C084ZB071
4C084ZB081
4C084ZB111
4C084ZB151
4C084ZB261
4C084ZB351
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC351
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA31
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA59
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA08
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA40
4C086ZA45
4C086ZA59
4C086ZA62
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB35
4C086ZC20
4C086ZC35
(57)【要約】
特定のRET阻害剤、その医薬組成物、及びその使用の方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物又はその薬学的に許容される塩
[式中、
Q1は、アリール及びヘテロアリールから選択され;
Q2は、ヘテロシクリルであり;
Xは、CR4及びNから選択され;
Yは、CR5及びNから選択され;
Lは、単結合、-(CRC0RD0)u-、-(CRC0RD0)uO(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uS(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uC(O)NRA0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0C(O)(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0C(O)NRB0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uS(O)r(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uS(O)rNRA0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0S(O)r(CRC0RD0)t-及び-(CRC0RD0)uNRA0S(O)rNRB0(CRC0RD0)t-から選択され;
各R1は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、CN、NO2、-NRA1RB1、-ORA1、-C(O)RA1、-C(=NRE1)RA1、-C(=N-ORB1)RA1、-C(O)ORA1、-OC(O)RA1、-C(O)NRA1RB1、-NRA1C(O)RB1、-C(=NRE1)NRA1RB1、-NRA1C(=NRE1)RB1、-OC(O)NRA1RB1、-NRA1C(O)ORB1、-NRA1C(O)NRA1RB1、-NRA1C(S)NRA1RB1、-NRA1C(=NRE1)NRA1RB1、-S(O)rRA1、-S(O)(=NRE1)RB1、-N=S(O)RA1RB1、-S(O)2ORA1、-OS(O)2RA1、-NRA1S(O)rRB1、-NRA1S(O)(=NRE1)RB1、-S(O)rNRA1RB1、-S(O)(=NRE1)NRA1RB1、-NRA1S(O)2NRA1RB1、-NRA1S(O)(=NRE1)NRA1RB1、-P(O)RA1RB1及び-P(O)(ORA1)(ORB1)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各R2は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、CN、NO2、-NRA2RB2、-ORA2、-C(O)RA2、-C(=NRE2)RA2、-C(=N-ORB2)RA2、-C(O)ORA2、-OC(O)RA2、-C(O)NRA2RB2、-NRA2C(O)RB2、-C(=NRE2)NRA2RB2、-NRA2C(=NRE2)RB2、-OC(O)NRA2RB2、-NRA2C(O)ORB2、-NRA2C(O)NRA2RB2、-NRA2C(S)NRA2RB2、-NRA2C(=NRE2)NRA2RB2、-S(O)rRA2、-S(O)(=NRE2)RB2、-N=S(O)RA2RB2、-S(O)2ORA2、-OS(O)2RA2、-NRA2S(O)rRB2、-NRA2S(O)(=NRE2)RB2、-S(O)rNRA2RB2、-S(O)(=NRE2)NRA2RB2、-NRA2S(O)2NRA2RB2、-NRA2S(O)(=NRE2)NRA2RB2、-P(O)RA2RB2及び-P(O)(ORA2)(ORB2)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
R3は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、CN、NO2、-NRA3RB3、-ORA3、-C(O)RA3、-C(=NRE3)RA3、-C(=N-ORB3)RA3、-C(O)ORA3、-OC(O)RA3、-C(O)NRA3RB3、-NRA3C(O)RB3、-C(=NRE3)NRA3RB3、-NRA3C(=NRE3)RB3、-OC(O)NRA3RB3、-NRA3C(O)ORB3、-NRA3C(O)NRA3RB3、-NRA3C(S)NRA3RB3、-NRA3C(=NRE3)NRA3RB3、-S(O)rRA3、-S(O)(=NRE3)RB3、-N=S(O)RA3RB3、-S(O)2ORA3、-OS(O)2RA3、-NRA3S(O)rRB3、-NRA3S(O)(=NRE3)RB3、-S(O)rNRA3RB3、-S(O)(=NRE3)NRA3RB3、-NRA3S(O)2NRA3RB3、-NRA3S(O)(=NRE3)NRA3RB3、-P(O)RA3RB3及び-P(O)(ORA3)(ORB3)から選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はR6から独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
R4及びR5は、水素、ハロゲン、CN、C1~10アルキル及びC3~10シクロアルキルから独立して選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
R6は、水素、ハロゲン、OH、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリル-C1~4アルキルから選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各RA0、RA1、RA2、RA3、RB0、RB1、RB2及びRB3は、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いは各「RA0及びRB0」、「RA1及びRB1」、「RA2及びRB2」又は「RA3及びRB3」は、それらが結合している原子と一緒に、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選択される0個、1個又は2個の追加のヘテロ原子を含有し、1個、2個又は3個のRX基で任意選択により置換されていてもよい、4員から12員の複素環式環を形成し;
各RC0及びRD0は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRC0及びRD0は、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される0個、1個又は2個のヘテロ原子を含有し、1個、2個又は3個のRX基で任意選択により置換されていてもよい、3員から12員の環を形成し;
各RE1、RE2及びRE3は、水素、C1~10アルキル、CN、NO2、-ORa1、-SRa1、-S(O)rRa1、-C(O)Ra1、-C(O)ORa1、-C(O)NRa1Rb1及び-S(O)rNRa1Rb1から独立して選択され、ここで、アルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各RXは、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、ハロゲン、CN、NO2、-(CRc1Rd1)tNRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tORb1、-(CRc1Rd1)tC(O)Ra1、-(CRc1Rd1)tC(=NRe1)Ra1、-(CRc1Rd1)tC(=N-ORb1)Ra1、-(CRc1Rd1)tC(O)ORb1、-(CRc1Rd1)tOC(O)Rb1、-(CRc1Rd1)tC(O)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(O)Rb1、-(CRc1Rd1)tC(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(=NRe1)Rb1、-(CRc1Rd1)tOC(O)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(O)ORb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(O)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(S)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)rRb1、-(CRc1Rd1)tS(O)(=NRe1)Rb1、-(CRc1Rd1)tN=S(O)Ra1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)2ORb1、-(CRc1Rd1)tOS(O)2Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)rRb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)(=NRe1)Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)rNRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)2NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tP(O)Ra1Rb1及び-(CRc1Rd1)tP(O)(ORa1)(ORb1)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各Ra1及び各Rb1は、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRa1及びRb1は、それらが結合している原子と一緒に、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選択される0個、1個又は2個の追加のヘテロ原子を含有し、個、2個又は3個のRY基で任意選択により置換されていてもよい、4員から12員の複素環式環を形成し;
各Rc1及び各Rd1は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRc1及びRd1は、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される0個、1個又は2個のヘテロ原子を含有し。1個、2個又は3個のRY基で任意選択により置換されていてもよい、3員から12員の環を形成し;
各Re1は、水素、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、CN、NO2、-ORa2、-SRa2、-S(O)rRa2、-C(O)Ra2、-C(O)ORa2、-S(O)rNRa2Rb2及び-C(O)NRa2Rb2から独立して選択され;
各RYは、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、ハロゲン、CN、NO2、-(CRc2Rd2)tNRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tORb2、-(CRc2Rd2)tC(O)Ra2、-(CRc2Rd2)tC(=NRe2)Ra2、-(CRc2Rd2)tC(=N-ORb2)Ra2、-(CRc2Rd2)tC(O)ORb2、-(CRc2Rd2)tOC(O)Rb2、-(CRc2Rd2)tC(O)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(O)Rb2、-(CRc2Rd2)tC(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(=NRe2)Rb2、-(CRc2Rd2)tOC(O)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(O)ORb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(O)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(S)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)rRb2、-(CRc2Rd2)tS(O)(=NRe2)Rb2、-(CRc2Rd2)tN=S(O)Ra2Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)2ORb2、-(CRc2Rd2)tOS(O)2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)rRb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)(=NRe2)Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)rNRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)2NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tP(O)Ra2Rb2及び-(CRc2Rd2)tP(O)(ORa2)(ORb2)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はOH、CN、アミノ、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各Ra2及び各Rb2は、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ、ジ(C1~10アルキル)アミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRa2及びRb2は、それらが結合している原子と一緒に、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選択される0個、1個又は2個の追加のヘテロ原子を含有しハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される1個又は2個の置換基で任意選択により置換されていてもよい、4員から12員の複素環式環を形成し;
各Rc2及び各Rd2は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ、ジ(C1~10アルキル)アミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRc2及びRd2は、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される0個、1個又は2個のヘテロ原子を含有しハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される1個又は2個の置換基で任意選択により置換されていてもよい、3員から12員の環を形成し;
各Re2は、水素、CN、NO2、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、-C(O)C1~4アルキル、-C(O)C3~10シクロアルキル、-C(O)OC1-4アルキル、-C(O)OC3-10シクロアルキル、-C(O)N(C1~4アルキル)2、-C(O)N(C3~10シクロアルキル)2、-S(O)2C1-4アルキル、-S(O)2C3-10シクロアルキル、-S(O)2N(C1~4アルキル)2及び-S(O)2N(C3~10シクロアルキル)2から独立して選択され;
mは、1、2及び3から選択され;
nは、1、2及び3から選択され;
各rは、0、1及び2から独立して選択され;
各tは、0、1、2、3及び4から独立して選択され;
各uは、0、1、2、3及び4から独立して選択される]。
【請求項2】
Lが単結合であり、R3がピラゾリルであり、式(II)
【化2】
(式中、Q1、Q2、X、Y、R1、R2、R6、n及びmは、式(I)に定義されている通りである)
を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
LがOであり、式(III)
【化3】
(式中、Q1、Q2、X、Y、R1、R2、R3、n及びmは、式(I)に定義されている通りである)
を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
YがCHであり、式(IV)
【化4】
(式中、Q1、Q2、X、R1、R2、R6、n及びmは、式(I)に定義されている通りである)
を有する、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
YがNであり、式(V)
【化5】
(式中、Q1、Q2、X、R1、R2、R6、n及びmは、式(I)に定義されている通りである)
を有する、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R6がC1~10アルキルであり、ここで、アルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、請求項2、4、及び5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R6が、メチル、
【化6】
から選択される、請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R3が、C1~10アルキルから選択され、ここで、アルキルは、非置換であるか又はR6から独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、請求項3に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R3が、メチル及びエチルから選択され、メチル及びエチルが、各々非置換であるか又はR6から独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており、R6が、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル及びOHから選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、請求項8に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R6が、メチル、シクロプロピル及びOHから選択され、RXが、-(CRc1Rd1)tN=S(O)Ra1Rb1、ハロゲン及びOHから選択される、請求項9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
RXが、
【化7】
、F及びOHから選択される、請求項10に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
Q1が、ピリジニル、ピリミジル、ピラジニル及びフェニルから選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
Q1がピリジニルである、請求項12に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
XがCR4である、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
R4がCNである、請求項14に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
XがNである、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
Q2が4~7員ヘテロシクリルである、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
Q2が、
【化8】
から選択される、請求項17に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
R1が、水素及びハロゲンから選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
R2が、水素、C1~10アルキル、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール-C1~4アルキル、-ORA2、-C(O)RA2、-C(O)ORA2及び-C(O)NRA2RB2から選択され、ここで、アルキル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
R2が、水素、エチル、ベンジル、ピリジニルメチル、Boc、-ORA2、-C(O)RA2、-C(O)NRA2RB2
【化9】
から選択される、請求項20に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
エチル、ベンジル、ピリジニルメチル、
【化10】
の置換基RXが、ハロゲン、C1~10アルキル、-(CRc1Rd1)tNRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)rRb及び-(CRc1Rd1)tORb1から独立して選択される、請求項21に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
RXが、ハロゲン、メチル、メトキシ、ジメチルアミノ、
【化11】
から独立して選択される、請求項22に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
RA2が、水素、C1~10アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから選択され、ここで、RA2におけるアルキル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、請求項20又は21に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
RA2が、水素、メチル、ブチル、ペンチル、ピリジニル、フェニル、メチルピリジン及びピリダジニルから選択され、RA2の置換基RXが、ハロゲン、C1~10アルキル、シクロプロピル、エチニル、ビニル、-OH、メトキシ、エトキシ、ジメチルアミノ、アミノメチル、フェニル、ベンジル及び
【化12】
から独立して選択され、ここで、アルキル、フェニル及びベンジルは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、請求項24に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
R2が、水素、メチル、エチル、-OH、Boc、
【化13】
から選択される、請求項20から25のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
【化14A】
【化14B】
【化14C】
【化14D】
【化14E】
から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
請求項1から27のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項29】
RETの阻害に応答する状態を処置、寛解又は防止する方法であって、こうした処置を必要とする対象に、請求項1から27のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又はその少なくとも1種の医薬組成物の有効量を、任意選択により第2の治療剤と組み合わせて投与することを含む、方法。
【請求項30】
RETによって媒介される状態を処置するための医薬の調製における、請求項1から27のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国仮出願第62/737,535号、及び同第62/824,443号に対する優先権を主張し、これらの各々は参照によりそれ全体で本明細書に組み込まれる。
【0002】
提供されるのは、RETチロシンキナーゼを阻害することができるとともにがんのような過剰増殖性疾患及び炎症、又は免疫及び自己免疫疾患の処置に有用であり得る特定の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【背景技術】
【0003】
がんのような過剰増殖性疾患及び炎症は、科学界を魅惑して治療的利益を提供させている。これに関して、疾患を増殖する際に役割を果たす特定の機序を同定及び標的化するための努力がなされている。
【0004】
RET(rearranged during transfection)キナーゼは、単一通過膜貫通受容体チロシンキナーゼである。RETは、様々な組織及び細胞型の正常な発達、成熟及び維持に重要な役割を果たす。RETは、受容体チロシンキナーゼの古典的な構造:システインリッチカドヘリン様細胞外ドメイン、膜貫通領域、及びチロシンキナーゼを触媒する細胞内領域を有する。RETシグナル伝達は、ニュールツリン(NRTN)、アルテミン(ARTN)及びパーセフィン(PSPN)も含むグリア細胞株誘導神経栄養因子(GDNF)ファミリーリガンド(GFL)の可溶性タンパク質のグループの結合によって活性化される。GFLは、最初に、4つのGDNFファミリー受容体α(GFRα)ファミリーメンバーの1つであるRETの追加の共受容体に結合する。引き続いて、リガンド-共受容体複合体は、RETの細胞外ドメインに結合することで、PI3K/Akt/mTOR、RAS/MAPK/ERKを介して下流シグナル伝達経路のRET二量体化、リン酸化及び活性化を誘発するか、又はユビキチンリガーゼのCBLファミリーの動員を誘発する。
【0005】
遺伝子融合及び単一ヌクレオチド変化を含めて、RET遺伝子における変化は、多数のやり方でRETシグナル伝達の機能を増強し、更に、キナーゼの活性化及びプロトオンコジーンの形質転換を促進する。そのため、RET遺伝子変化は、ヒト健康に負に影響する多くの異常な生理学的プロセスを強める。異常なRET発現及び/又は活性化は、延髄甲状腺がん、乳頭状甲状腺がん、多発性内分泌腫瘍症2型、非小細胞肺がん、胃腸障害、例えば過敏性腸症候群等を含めて、様々な疾患の発生と密接に関連する。RET遺伝子変化は、標的化治療のための予測バイオマーカーとして働くことができる。RETシグナル伝達経路の阻害剤は、がんの多重前臨床動物モデルのための有効な処置として働くことが示された。加えて、選択的RET阻害剤の進行中の臨床開発は、腫瘍がRET遺伝子変化を保有する患者において有益であると実証された。
【0006】
RET阻害剤は、当技術分野、例えばWO2009099801及びWO2009003136において開示されているが、多くが短い半減期又は毒性を欠点とする。そのため、過剰増殖性疾患の処置の代替として、効力、安定性、選択性、毒性及び薬力学の特性から選択される少なくとも1つの有利な特性を有する新たなRET阻害剤が必要である。これに関して、本明細書では新規なクラスのRET阻害剤が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2009099801
【特許文献2】WO2009003136
【特許文献3】WO2017/205536
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】T. W. Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、New York、1991
【非特許文献2】C. D. Jones、M. Kaselj、R. N. Salvatore、W. J. le Noble J. Org. Chem. 1998、63、2758~2760頁
【非特許文献3】IUPAC 1974 Recommendations for Section E、Fundamental Stereochemistry、Pure Appl. Chem. (1976) 45、13~10
【非特許文献4】Blakeら、J. Pharm. Sci. 64、3、367~391頁(1975)
【非特許文献5】Fosterら、Advances in Drug Research 14巻、2~36頁、Academic press、London、1985
【非特許文献6】Katoら、J. Labelled Comp. Radiopharmaceut.、36(10): 927~932頁(1995)
【非特許文献7】Kushnerら、Can. J. Physiol. Pharmacol、77、79~88頁(1999)
【非特許文献8】T.W. Greene、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、Inc. 1999
【非特許文献9】Journal of the American Chemical Society又はthe Journal of Biological Chemistry
【非特許文献10】T.W. Greene及びP. G. M. Wutsの「Protective Groups in Organic Chemistry」 John Wiley and Sons、1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書において開示されているのは、ある特定の新規な化合物、その薬学的に許容される塩及びその医薬組成物、並びに医薬品としてのそれらの使用である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本明細書において開示されているのは、式(I):
【0011】
【化1】
【0012】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であり、式中:
Q1は、アリール及びヘテロアリールから選択され;
Q2は、ヘテロシクリルであり;
Xは、CR4及びNから選択され;
Yは、CR5及びNから選択され;
Lは、単結合、-(CRC0RD0)u-、-(CRC0RD0)uO(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uS(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uC(O)NRA0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0C(O)(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0C(O)NRB0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uS(O)r(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uS(O)rNRA0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0S(O)r(CRC0RD0)t-及び-(CRC0RD0)uNRA0S(O)rNRB0(CRC0RD0)t-から選択され;
各R1は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、CN、NO2、-NRA1RB1、-ORA1、-C(O)RA1、-C(=NRE1)RA1、-C(=N-ORB1)RA1、-C(O)ORA1、-OC(O)RA1、-C(O)NRA1RB1、-NRA1C(O)RB1、-C(=NRE1)NRA1RB1、-NRA1C(=NRE1)RB1、-OC(O)NRA1RB1、-NRA1C(O)ORB1、-NRA1C(O)NRA1RB1、-NRA1C(S)NRA1RB1、-NRA1C(=NRE1)NRA1RB1、-S(O)rRA1、-S(O)(=NRE1)RB1、-N=S(O)RA1RB1、-S(O)2ORA1、-OS(O)2RA1、-NRA1S(O)rRB1、-NRA1S(O)(=NRE1)RB1、-S(O)rNRA1RB1、-S(O)(=NRE1)NRA1RB1、-NRA1S(O)2NRA1RB1、-NRA1S(O)(=NRE1)NRA1RB1、-P(O)RA1RB1及び-P(O)(ORA1)(ORB1)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各R2は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、CN、NO2、-NRA2RB2、-ORA2、-C(O)RA2、-C(=NRE2)RA2、-C(=N-ORB2)RA2、-C(O)ORA2、-OC(O)RA2、-C(O)NRA2RB2、-NRA2C(O)RB2、-C(=NRE2)NRA2RB2、-NRA2C(=NRE2)RB2、-OC(O)NRA2RB2、-NRA2C(O)ORB2、-NRA2C(O)NRA2RB2、-NRA2C(S)NRA2RB2、-NRA2C(=NRE2)NRA2RB2、-S(O)rRA2、-S(O)(=NRE2)RB2、-N=S(O)RA2RB2、-S(O)2ORA2、-OS(O)2RA2、-NRA2S(O)rRB2、-NRA2S(O)(=NRE2)RB2、-S(O)rNRA2RB2、-S(O)(=NRE2)NRA2RB2、-NRA2S(O)2NRA2RB2、-NRA2S(O)(=NRE2)NRA2RB2、-P(O)RA2RB2及び-P(O)(ORA2)(ORB2)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
R3は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、CN、NO2、-NRA3RB3、-ORA3、-C(O)RA3、-C(=NRE3)RA3、-C(=N-ORB3)RA3、-C(O)ORA3、-OC(O)RA3、-C(O)NRA3RB3、-NRA3C(O)RB3、-C(=NRE3)NRA3RB3、-NRA3C(=NRE3)RB3、-OC(O)NRA3RB3、-NRA3C(O)ORB3、-NRA3C(O)NRA3RB3、-NRA3C(S)NRA3RB3、-NRA3C(=NRE3)NRA3RB3、-S(O)rRA3、-S(O)(=NRE3)RB3、-N=S(O)RA3RB3、-S(O)2ORA3、-OS(O)2RA3、-NRA3S(O)rRB3、-NRA3S(O)(=NRE3)RB3、-S(O)rNRA3RB3、-S(O)(=NRE3)NRA3RB3、-NRA3S(O)2NRA3RB3、-NRA3S(O)(=NRE3)NRA3RB3、-P(O)RA3RB3及び-P(O)(ORA3)(ORB3)から選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はR6から独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
R4及びR5は、水素、ハロゲン、CN、C1~10アルキル及びC3~10シクロアルキルから独立して選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
R6は、水素、ハロゲン、OH、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリル-C1~4アルキルから選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各RA0、RA1、RA2、RA3、RB0、RB1、RB2及びRB3は、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いは各「RA0及びRB0」、「RA1及びRB1」、「RA2及びRB2」又は「RA3及びRB3」は、それらが結合している原子と一緒に、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選択される0個、1個又は2個の追加のヘテロ原子を含有し1個、2個又は3個のRX基で任意選択により置換されている4員から12員の複素環式環を形成し;
各RC0及びRD0は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRC0及びRD0は、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される0個、1個又は2個のヘテロ原子を含有し1個、2個又は3個のRX基で任意選択により置換されている3員から12員の環を形成し;
各RE1、RE2及びRE3は、水素、C1~10アルキル、CN、NO2、-ORa1、-SRa1、-S(O)rRa1、-C(O)Ra1、-C(O)ORa1、-C(O)NRa1Rb1及び-S(O)rNRa1Rb1から独立して選択され、ここで、アルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各RXは、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、ハロゲン、CN、NO2、-(CRc1Rd1)tNRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tORb1、-(CRc1Rd1)tC(O)Ra1、-(CRc1Rd1)tC(=NRe1)Ra1、-(CRc1Rd1)tC(=N-ORb1)Ra1、-(CRc1Rd1)tC(O)ORb1、-(CRc1Rd1)tOC(O)Rb1、-(CRc1Rd1)tC(O)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(O)Rb1、-(CRc1Rd1)tC(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(=NRe1)Rb1、-(CRc1Rd1)tOC(O)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(O)ORb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(O)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(S)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)rRb1、-(CRc1Rd1)tS(O)(=NRe1)Rb1、-(CRc1Rd1)tN=S(O)Ra1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)2ORb1、-(CRc1Rd1)tOS(O)2Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)rRb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)(=NRe1)Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)rNRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)2NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tP(O)Ra1Rb1及び-(CRc1Rd1)tP(O)(ORa1)(ORb1)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各Ra1及び各Rb1は、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRa1及びRb1は、それらが結合している原子と一緒に、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選択される0個、1個又は2個の追加のヘテロ原子を含有し1個、2個又は3個のRY基で任意選択により置換されている4員から12員の複素環式環を形成し;
各Rc1及び各Rd1は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRc1及びRd1は、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される0個、1個又は2個のヘテロ原子を含有し1個、2個又は3個のRY基で任意選択により置換されている3員から12員の環を形成し;
各Re1は、水素、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、CN、NO2、-ORa2、-SRa2、-S(O)rRa2、-C(O)Ra2、-C(O)ORa2、-S(O)rNRa2Rb2及び-C(O)NRa2Rb2から独立して選択され;
各RYは、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、ハロゲン、CN、NO2、-(CRc2Rd2)tNRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tORb2、-(CRc2Rd2)tC(O)Ra2、-(CRc2Rd2)tC(=NRe2)Ra2、-(CRc2Rd2)tC(=N-ORb2)Ra2、-(CRc2Rd2)tC(O)ORb2、-(CRc2Rd2)tOC(O)Rb2、-(CRc2Rd2)tC(O)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(O)Rb2、-(CRc2Rd2)tC(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(=NRe2)Rb2、-(CRc2Rd2)tOC(O)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(O)ORb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(O)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(S)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)rRb2、-(CRc2Rd2)tS(O)(=NRe2)Rb2、-(CRc2Rd2)tN=S(O)Ra2Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)2ORb2、-(CRc2Rd2)tOS(O)2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)rRb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)(=NRe2)Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)rNRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)2NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tP(O)Ra2Rb2及び-(CRc2Rd2)tP(O)(ORa2)(ORb2)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はOH、CN、アミノ、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1-10アルキル)アミノから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各Ra2及び各Rb2は、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ、ジ(C1-10アルキル)アミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1-10アルキル)アミノから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRa2及びRb2は、それらが結合している原子と一緒に、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選択される0個、1個又は2個の追加のヘテロ原子を含有しハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1-10アルキル)アミノから独立して選択される1個又は2個の置換基で任意選択により置換されている4員から12員の複素環式環を形成し;
各Rc2及び各Rd2は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ、ジ(C1-10アルキル)アミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1-10アルキル)アミノから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRc2及びRd2は、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される0個、1個又は2個のヘテロ原子を含有しハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1-10アルキル)アミノから独立して選択される1個又は2個の置換基で任意選択により置換されている3員から12員の環を形成し;
各Re2は、水素、CN、NO2、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、-C(O)C1~4アルキル、-C(O)C3~10シクロアルキル、-C(O)OC1-4アルキル、-C(O)OC3-10シクロアルキル、-C(O)N(C1~4アルキル)2、-C(O)N(C3~10シクロアルキル)2、-S(O)2C1-4アルキル、-S(O)2C3-10シクロアルキル、-S(O)2N(C1~4アルキル)2及び-S(O)2N(C3~10シクロアルキル)2から独立して選択され;
mは、1、2及び3から選択され;
nは、1、2及び3から選択され;
各rは、0、1及び2から独立して選択され;
各tは、0、1、2、3及び4から独立して選択され;
各uは、0、1、2、3及び4から独立して選択される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
式(I)の一実施形態において、本発明は、Lが単結合であり、R3がピラゾリルであり、式(II)
【0014】
【化2】
【0015】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、Q1、Q2、X、Y、R1、R2、R6、n及びmは、式(I)に定義されている通りである。
【0016】
式(I)の一実施形態において、本発明は、LがOであり、式(III)
【0017】
【化3】
【0018】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、Q1、Q2、X、Y、R1、R2、R3、n及びmは、式(I)に定義されている通りである。
【0019】
式(II)の一実施形態において、本発明は:
YがCHである場合、式(IV)
【0020】
【化4】
【0021】
を有し、YがNである場合、式(V)
【0022】
【化5】
【0023】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、Q1、Q2、X、R1、R2、R6、n及びmは、式(I)に定義されている通りである。
【0024】
なお別の態様において、本開示は、式(I)の化合物又はその少なくとも1種の薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0025】
なお別の態様において、本開示は、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又はその医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする系又は対象に投与し、それによって前記RETキナーゼをモジュレートすることを含む、RETキナーゼをモジュレートするための方法を提供する。
【0026】
なお別の態様において、開示されているのは、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又はその医薬組成物の有効量を、任意選択により第2の治療剤と組み合わせて、こうした処置を必要とする系又は対象に投与し、それによって前記状態を処置することを含む、RETキナーゼの阻害に応答する状態を処置、寛解又は防止するための方法である。
【0027】
代替として、本開示は、タンパク質キナーゼによって媒介された状態を処置するための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。特別な実施形態において、本開示の化合物は、単独で、又はRETキナーゼによって媒介された状態を処置するための第2の治療剤と組み合わせて使用することができる。
【0028】
代替として、開示されているのは、RETキナーゼによって媒介された状態を処置するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0029】
具体的に、本明細書における状態としては、以下に限定されないが、自己免疫疾患、移植疾患、感染性疾患又は細胞増殖性障害が挙げられる。
【0030】
更に、本開示は、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又はその医薬組成物の有効量を、任意選択により第2の治療剤と組み合わせて、こうした処置を必要とする系又は対象に投与し、それによって前記状態を処置することを含む、細胞増殖性障害を処置するための方法を提供する。
【0031】
代替として、本開示は、細胞増殖性障害を処置するための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。特別な例において、本開示の化合物は、単独で、又は細胞増殖性障害を処置するための化学療法剤と組み合わせて使用することができる。
【0032】
具体的に、本明細書において開示されている細胞増殖性障害としては、以下に限定されないが、リンパ腫、骨肉腫、黒色腫、又は乳房の腫瘍、腎臓、前立腺、結腸直腸、甲状腺、卵巣、膵臓、ニューロン、肺、子宮若しくは胃腸の腫瘍が挙げられる。
【0033】
本開示の化合物を使用するための上記方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、細胞又は組織を含む系に、又はヒト若しくは動物対象等の哺乳動物対象を含めた対象に投与することができる。
【0034】
特定の用語法
別段に定義されていない限り、本明細書において使用されている全ての技術的及び化学的用語は、特許請求される主題が属する当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において開示の全体にわたって参照されている全ての特許、特許出願、出版物は、別段に注記されていない限り、参照によりそれら全体で組み込まれる。本明細書において用語について複数の定義があるという場合には、このセクションにおけるものが優先する。
【0035】
前述の一般的記載及び以下の詳細な記載は説明のみであり、請求されているいずれの主題も限定するものではないと理解されるべきである。この出願において、単数形の使用は、別段具体的に明記されていない限り複数形を含む。本明細書及び添付の請求項において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、別段に文脈が明らかに指示していない限り、複数の参照対象を含むことが留意されなければならない。その上、「又は」の使用は、別段に明記されていない限り、「及び/又は」を意味することが留意されるべきである。更に、「含めた(including)」という用語、同様に他の形態、例えば「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含まれる(included)」の使用は、限定するものでない。同じく、「含む(comprising)」という用語、同様に他の形態、例えば「を含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含まれる(comprised)」の使用は、限定するものでない。
【0036】
別段に表示されていない限り、質量分析、NMR、HPLC、IR及びUV/Vis分光法及び薬理学の従来の方法は、当技術分野の技能内で用いられる。特定の定義が提供されない限り、本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学、並びに医化学及び製薬化学に関連して用いられる名称、並びにそれらの実験室手順及び技法は、当技術分野において知られているものである。化学合成、化学分析、医薬品調製、製剤化及び送達、並びに患者の処置のために、標準的技術が使用され得る。反応及び精製技法は、例えば、製造者の仕様書のキットを使用して、又は当技術分野において共通して達成される通り若しくは本明細書に記載されている通りに行うことができる。前述の技法及び手順は、一般に、当技術分野においてよく知られている従来の方法によって、並びに本明細書の全体にわたって引用及び考察されている様々な一般の及びより具体的な参照に記載されている通りに行うことができる。本明細書の全体にわたって、基及びその置換基は、安定な部分及び化合物を提供するように当業者によって選択することができる。
【0037】
置換基が、左から右に書かれるそれらの従来の化学式によって特定されている場合、それらは、構造を右から左へ書くことに起因する化学的に同一の置換基を同等に包含する。非限定的な例として、CH2OはOCH2と同等である。
【0038】
「置換されている」という用語は、水素原子が、置換基によって置き換えられていることを意味する。所与の原子での置換は、原子価によって制限されると理解されるべきである。
【0039】
本明細書において使用されている「Ci~j」又は「i~j員」という用語は、該部分がi~j個の炭素原子又はi~j個の原子を有することを意味する。例えば、「C1~6アルキル」は、前記アルキルが1~6個の炭素原子を有することを意味する。同じく、C3~10シクロアルキルは、前記シクロアルキルが3~10個の炭素原子を有することを意味する。
【0040】
任意の可変物(例えば、R)が化合物の構造で1回を超えて発生する場合、各場合で独立して定義されている。そのため、例えば、基が0~2つのRによって置換されているならば、該基は多くとも2つのRによって任意選択により置換されていてよく、Rは各場合で独立した選択肢を有する。追加として、置換基及び/又はその変形の組合せは、こうした組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許可される。
【0041】
「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」という表現は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上を指す。
【0042】
別段に明記されていない限り、「ヘテロ」という用語は、ヘテロ原子又はヘテロ原子基(即ち、ヘテロ原子を含有する基)、即ち、炭素及び水素原子又はこうした原子を含有する基以外の原子を意味する。好ましくは、ヘテロ原子は、O、N、S、P等からなる群から独立して選択される。2個以上のヘテロ原子が関与するある実施形態において、2個以上のヘテロ原子は同じであってよい、又は2個以上のヘテロ原子の一部又は全ては異なっていてよい。
【0043】
「アルキル」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、特定数の炭素原子を有する分岐又は直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を指す。別段に特定されていない限り、「アルキル」は、Cl~10アルキルを指す。例えば、C1~6は、「Cl~6アルキル」における通り、線状又は分岐の配置で1個、2個、3個、4個、5個又は6個の炭素を有する基を含むと定義されている。例えば、「Cl~8アルキル」としては、以下に限定されないがメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルが挙げられる。
【0044】
「シクロアルキル」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、単環式又は架橋の飽和炭化水素環系を指す。単環式シクロアルキルは、3~10個の炭素原子、ゼロ個のヘテロ原子及びゼロ個の二重結合を含有する単環式炭化水素環系である。単環式環系の例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられる。架橋シクロアルキルは、1個又は2個のアルキレン架橋を含有する、3~10個の炭素原子を含有する多環式環系であり、各アルキレン架橋は、1個、2個又は3個の炭素原子からなり、各々は、該環系の2個の隣接していない炭素原子を連結する。シクロアルキルは、アリール基又はヘテロアリール基と縮合され得る。一部の実施形態において、シクロアルキルは、ベンゾ縮合されている。こうした架橋シクロアルキル環系の代表例としては、以下に限定されないが、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[4.2.1]ノナン、トリシクロ[3.3.1.03,7]ノナン及びトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン(アダマンタン)が挙げられる。単環式又は架橋シクロアルキルは、環系内に含有されている任意の置換可能な原子を介して、親分子部分に結合することができる。
【0045】
「アルケニル」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、2~10個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含有する直鎖、分岐又は環式の非芳香族炭化水素基を指す。一部の実施形態において、1個の炭素-炭素二重結合が存在し、最大4個までの非芳香族炭素-炭素二重結合が存在し得る。したがって、「C2~6アルケニル」は、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基としては、以下に限定されないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、2-メチルブテニル及びシクロヘキセニルが挙げられる。アルケニル基の直鎖、分岐又は環式部分は、二重結合を含有することができ、置換アルケニル基が示されているならば置換されていてよい。
【0046】
「アルキニル」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、2~10個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含有する直鎖、分岐又は環式の炭化水素基を指す。一部の実施形態において、最大3個までの炭素-炭素三重結合が存在し得る。したがって、「C2~6アルキニル」は、2~6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基としては、以下に限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル及び3-メチルブチニルが挙げられる。アルキニル基の直鎖、分岐又は環式の部分は、三重結合を含有することができ、置換アルキニル基が示されているならば置換されていてよい。
【0047】
「ハロゲン」という用語は、(又は「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0048】
「アルコキシ」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、酸素原子に単結合されている、上記で定義されている通りのアルキルを指す。分子へのアルコキシ基の結合点は、酸素原子を介する。アルコキシ基は、-O-アルキルと表示することができる。「C1~10アルコキシ」という用語は、直鎖又は分岐の部分を有する、1~10個の炭素原子を含有するアルコキシ基を指す。アルコキシ基としては、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0049】
「シクロアルコキシ」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、酸素原子に単結合されている上記で定義されている通りのシクロアルキルを指す。分子へのシクロアルコキシ基の結合点は、酸素原子を介する。シクロアルコキシ基は、-O-シクロアルキルと表示することができる。「C3~10シクロアルコキシ」は、3~10個の炭素原子を含有するシクロアルコキシ基を指す。シクロアルコキシは、アリール基又はヘテロアリール基と縮合することができる。一部の実施形態において、シクロアルコキシは、ベンゾ縮合されている。シクロアルコキシ基としては、以下に限定されないが、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0050】
「アルキルチオ」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、硫黄原子に単結合されている上記で定義されている通りのアルキル基を指す。分子へのアルキルチオ基の結合点は、硫黄原子を介する。アルキルチオ基は、-S-アルキルと表示することができる。「C1~10アルキルチオ」という用語は、直鎖又は分岐の部分を有する、1~10個の炭素原子を含有するアルキルチオ基を指す。アルキルチオ基としては、以下に限定されないが、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、ヘキシルチオ等が挙げられる。
【0051】
「シクロアルキルチオ」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、硫黄原子に単結合されている上記で定義されている通りのシクロアルキルを指す。分子へのシクロアルキルチオ基の結合点は、硫黄原子を介する。シクロアルキルチオ基は、-S-シクロアルキルと表示することができる。「C3~10シクロアルキルチオ」は、3~10個の炭素原子を含有するシクロアルキルチオ基を指す。シクロアルキルチオは、アリール基又はヘテロアリール基と縮合することができる。一部の実施形態において、シクロアルキルチオは、ベンゾ縮合されている。シクロアルキルチオ基としては、以下に限定されないが、シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロヘキシルチオ等が挙げられる。
【0052】
「アルキルアミノ」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、窒素原子に単結合されている上記で定義されている通りのアルキルを指す。分子へのアルキルアミノ基の結合点は、窒素原子を介する。アルキルアミノ基は、-NH(アルキル)と表示することができる。「C1~10アルキルアミノ」という用語は、直鎖又は分岐の部分を有する、1~10個の炭素原子を含有するアルキルアミノ基を指す。アルキルアミノ基としては、以下に限定されないが、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ヘキシルアミノ等が挙げられる。
【0053】
「シクロアルキルアミノ」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、窒素原子に単結合されている上記で定義されている通りのシクロアルキルを指す。分子へのシクロアルキルアミノ基の結合点は、窒素原子を介する。シクロアルキルアミノ基は、-NH(シクロアルキル)と表示することができる。「C3~10シクロアルキルアミノ」は、3~10個の炭素原子を含有するシクロアルキルアミノ基を指す。シクロアルキルアミノは、アリール基又はヘテロアリール基と縮合することができる。一部の実施形態において、シクロアルキルアミノは、ベンゾ縮合されている。シクロアルキルアミノ基としては、以下に限定されないが、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロヘキシルアミノ等が挙げられる。
【0054】
「ジ(アルキル)アミノ」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、窒素原子に単結合されている上記で定義されている通りの2つのアルキルを指す。分子へのジ(アルキル)アミノ基の結合点は、窒素原子を介する。ジ(アルキル)アミノ基は、-N(アルキル)2と表示することができる。「ジ(C1~10アルキル)アミノ」という用語は、直鎖又は分岐の部分を有し、アルキル基が各々独立して1~10個の炭素原子を含有するジ(C1~10アルキル)アミノ基を指す。
【0055】
「アリール」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個又は14個の炭素原子を有する一価の、単環式、二環式又は三環式の芳香族炭化水素環系(「C6~14アリール」基)、特に、6個の炭素原子を有する環(「C6アリール」基)、例えばフェニル基;又は10個の炭素原子を有する環(「C10アリール」基)、例えばナフチル基;又は14個の炭素原子を有する環(「C14アリール」基)、例えばアントラニル基を指す。アリールは、シクロアルキル基又は複素環基と縮合することができる。
【0056】
置換ベンゼン誘導体から形成されるとともに環原子に遊離原子価を有する二価の基は、置換フェニレン基と名付けられる。遊離原子価を有する炭素原子から1個の水素原子の除去によって、名称が「-イル」で終わる一価の多環式炭化水素基から誘導される二価の基は、「-イル」を取り除くこと及び対応する一価の基の名称に「-イデン」を加えることによって名付けられ、例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと名付けられる。
【0057】
「ヘテロアリール」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個又は14個の環原子(「5員から14員のヘテロアリール」基)、特に5個又は6個又は9個又は10個の原子を有し同一であるか又は異なっていてよい少なくとも1個のヘテロ原子を含有する一価の、単環式、二環式又は三環式の芳香族環系を指し、前記ヘテロ原子は、N、O及びSから選択される。ヘテロアリールは、シクロアルキル基又は複素環基と縮合することができる。一部の実施形態において、「ヘテロアリール」は、
1個若しくは複数の、例えば、1個から4個、又は一部の実施形態において、1個から3個の、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である5員から8員の単環式芳香族環;或いは
1個又は複数、例えば、1個から6個、又は一部の実施形態において、1個から4個、又は一部の実施形態において、1個から3個の、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、8員から12員の二環式芳香族環系;或いは
1個若しくは複数、例えば、1個から8個、又は一部の実施形態において、1個から6個、又は一部の実施形態において、1個から4個、又は一部の実施形態において、1個から3個の、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である11員から14員の三環式の芳香族環系
を指す。
【0058】
ヘテロアリール基におけるS及びO原子の合計数が1を超える場合、それらのヘテロ原子は互いに隣接していない。一部の実施形態において、ヘテロアリール基におけるS及びO原子の合計数は、2以下である。一部の実施形態において、芳香族複素環におけるS及びO原子の合計数は、1以下である。
【0059】
ヘテロアリール基の例としては、以下に限定されないが、ピリド-2-イル、ピリド-3-イル、ピリド-4-イル、ピラジン-2-イル、ピラジン-3-イル、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、ピリミジン-5-イル、ピリミジン-6-イル、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル、イミダゾール-5-イル、ピリダジニル、トリアジニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリルが挙げられる。
【0060】
更にヘテロアリール基としては、以下に限定されないが、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノキサリニル、キノリニル及びイソキノリニルが挙げられる。「ヘテロアリール」は、任意の窒素含有ヘテロアリールのN-オキシド誘導体を含むとも理解される。
【0061】
遊離原子価を有する原子から1個の水素原子の除去によって名称が「-イル」で終わる一価のヘテロアリール基から誘導される二価の基は、対応する一価の基の名前に「-イデン」を添加することによって名付けられ、例えば、2つの結合点を有するピリジル基はピリジリデンである。
【0062】
「複素環」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて用いられて、(及びその変形、例えば「複素環式の」又は「ヘテロシクリル」)、通常3個から12個の環原子を有する、飽和又は非飽和単環式又は多環式(例えば二環式)脂肪族環系を広く指し、ここで、少なくとも1個の(例えば2個、3個又は4個)環原子は、O、S、N及びP(好ましくはO、S、N)から独立して選択されるヘテロ原子である。多環式複素環において。2個以上の環は、一緒に縮合若しくは架橋される又はスピロであってよい。複素環は、アリール基又はヘテロアリール基と縮合することができる。一部の実施形態において、複素環は、ベンゾ縮合されている。複素環は、1つ又は複数のオキソ又はイミノ部分で置換されている環系も含む。一部の実施形態において、複素環式環におけるC、N、S及びP原子は、オキソによって任意選択により置換されている。一部の実施形態において、複素環式環におけるC、S及びP原子は、イミノによって任意選択により置換されており、イミノは、非置換であるか又は置換されていてよい。結合点は、安定な構造をもたらすという条件で、複素環式環における炭素原子又はヘテロ原子であってもよい。複素環式環が置換基を有する場合、置換基は、ヘテロ原子であろうと炭素原子であろうと、安定な化学構造が生じるという条件で、該環中の任意の原子に結合することができると理解される。
【0063】
適当な複素環としては、例えば、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、イミダゾリジン-1-イル、イミダゾリジン-2-イル、イミダゾリジン-3-イル、イミダゾリジン-4-イル、イミダゾリジン-5-イル、ピラゾリジン-1-イル、ピラゾリジン-2-イル、ピラゾリジン-3-イル、ピラゾリジン-4-イル、ピラゾリジン-5-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、ピペラジン-1-イル、ピペラジン-2-イル、ピペラジン-3-イル、ヘキサヒドロピリダジン-1-イル、ヘキサヒドロピリダジン-3-イル及びヘキサヒドロピリダジン-4-イルが挙げられる。モルホリン-1-イル、モルホリン-2-イル及びモルホリン-3-イル等、モルホリニル基も企図される。1つ又は複数のオキソ部分を有する複素環の例としては、以下に限定されないが、ピペリジニルN-オキシド、モルホリニル-N-オキシド、1-オキソ-チオモルホリニル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。二環式複素環は、例えば以下が挙げられる:
【0064】
【化6】
【0065】
本明細書で使用される場合、「アリール-アルキル」は、上記で定義されている通りのアリール基によって置換されている上記で定義されている通りのアルキル部分を指す。例となるアリール-アルキル基としては、以下に限定されないが、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が挙げられる。一部の実施形態において、アリール-アルキル基は、7~20個又は7~11個の炭素原子を有する。「アリール-Cl~4アルキル」という成句において使用される場合、「C1~4」という用語は、該部分のアルキル部分を指し、該部分のアリール部分における原子の数を記載していない。
【0066】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル-アルキル」は、上記で定義されている通りのヘテロシクリルによって置換されている上記で定義されている通りのアルキルを指す。「ヘテロシクリル-C1~4アルキル」という成句において使用される場合、「C1~4」という用語は、該部分のアルキル部分を指し、該部分のヘテロシクリル部分における原子の数を記載していない。
【0067】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル-アルキル」は、上記で定義されている通りのシクロアルキルによって置換されている上記で定義されている通りのアルキルを指す。「C3~10シクロアルキル-Cl~4アルキル」という成句において使用される場合、「C3~10」という用語は、該部分のシクロアルキル部分を指し、該部分のアルキル部分における原子の数を記載しておらず、「C1~4」という用語は、該部分のアルキル部分を指し、該部分のシクロアルキル部分における原子の数を記載していない。
【0068】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール-アルキル」は、上記で定義されている通りのヘテロアリールによって置換されている上記で定義されている通りのアルキルを指す。「ヘテロアリール-Cl~4アルキル」という成句において使用される場合、「C1~4」という用語は、該部分のアルキル部分を指し、該部分のヘテロアリール部分における原子の数を記載していない。
【0069】
誤解を避けるため、例えば、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及び/又はヘテロアリールの置換への言及は、それらの基の各々の置換を個々に、同様にそれらの基の組合せの置換を指す。つまり、Rがアリール-Cl~4アルキルであるとともに非置換であるか又はRXから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個の置換基等少なくとも1個の置換基で置換されているならば、アリール部分は非置換であるか又はRXから独立して選択される1個、2個、3個若しくは4個の置換基等の少なくとも1個の置換基で置換されていてよく、アルキル部分も非置換であるか又はRXから独立して選択される1個、2個、3個又は4個の置換基等の少なくとも1個の置換基で置換されていてよいと理解されるべきである。
【0070】
「薬学的に許容される塩」という用語は、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を含めて、薬学的に許容される非毒性塩基又は酸から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、例えば、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、過マンガン塩、マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩及び亜鉛塩から選択することができる。更に、例えば、無機塩基から誘導される薬学的に許容される塩は、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩から選択することができる。固体形態における塩は、1つ若しくは複数の結晶性形態又は多形体で存在することができ、水和物等の溶媒和物の形態であってもよい。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、例えば、第1級、第2級及び第3級アミン、自然置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレン-ジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチル-モルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミンの樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン及びトリプロピルアミン、トロメタミンの塩から選択することができる。
【0071】
本明細書において開示されている化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸及び有機酸から選択される少なくとも1種の薬学的に許容される非毒性酸を使用して調製することができる。こうした酸は、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸及びp-トルエンスルホン酸から選択することができる。一部の実施形態において、こうした酸は、例えば、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸及び酒石酸から選択することができる。
【0072】
化合物又は薬学的に許容される塩「の投与」及び又は「を投与すること」という用語は、処置の必要が認識されている個体に、化合物又はその薬学的に許容される塩を提供することを意味すると理解されるべきである。
【0073】
「有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医によって求められている、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を導出する化合物又は薬学的に許容される塩の量を意味する。
【0074】
「組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、特定されている量における特定されている成分を含む生成物、同様に、特定されている量における特定されている成分の組合せに直接的又は間接的に起因する任意の生成物を包含すると意図される。医薬組成物に関するこうした用語は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む生成物、同様に、成分の任意の2つ以上の組合せ、複合体化若しくは凝集に、又は成分の1つ若しくは複数の解離に、又は成分の1つ若しくは複数の反応若しくは相互作用の他の型に直接的又は間接的に起因する任意の生成物を包含すると意図される。
【0075】
「薬学的に許容される」という用語は、製剤の他の成分と適合性があるとともにそのレシピエントに対して容認しがたいほどは有害でないと意味される。
【0076】
「対象」という用語は、障害、状態等を患う個体への言及において本明細書で使用される場合、哺乳動物及び非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、以下に限定されないが、哺乳動物クラスの任意のメンバー:ヒト、非ヒト霊長類、例えばチンパンジー、並びに他の類人猿及びモンキー種;農場動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;家庭動物、例えばウサギ、イヌ及びネコ;げっ歯類を含めた実験室動物、例えばラット、マウス及びモルモット等が挙げられる。非哺乳動物の例としては、以下に限定されないが、鳥類、魚類等が挙げられる。本明細書において提供されている方法及び組成物の一実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0077】
「処置する」、「処置すること」又は「処置」という用語、及び他の文法的同義語は、本明細書で使用される場合、疾患若しくは状態を軽減、緩解若しくは寛解させること、追加の症状を防止すること、症状の根本的代謝原因を寛解若しくは防止すること、疾患若しくは状態を阻害すること、例えば、疾患若しくは状態の発症を抑止すること、疾患若しくは状態を緩和すること、疾患若しくは状態の退行を引き起こすこと、疾患若しくは状態によって引き起こされる状態を緩和すること、又は疾患若しくは状態の症状を停止させることを含み、予防を含むと意図される。該用語は、治療的利益及び/又は予防利益を達成することを更に含む。治療的利益によって、処置されている根本的障害の根絶又は寛解が意味される。その上、治療的利益は、患者が根本的障害でまだ苦しめられ得るにもかかわらず、改善が患者において観察されるような、根本的障害と関連する生理学的症状の1つ又は複数の根絶又は寛解で達成される。予防的利益のため、該組成物は、特別な疾患を発症するリスクのある患者に、又は疾患の生理学的症状の1つ若しくは複数を報告している患者に、この疾患の診断がなされなかったことがあるにしても、投与することができる。
【0078】
「保護基」又は「Pg」という用語は、化合物上の他の官能性基を反応させながら、ある特定の官能性をブロック又は保護するために共通して用いることができる置換基を指す。例えば、「アミノ保護基」は、化合物におけるアミノ官能性をブロック又は保護する、アミノ基に結合している置換基である。適当なアミノ保護基としては、以下に限定されないが、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能性をブロック又は保護する、ヒドロキシ基の置換基を指す。適当な保護基としては、以下に限定されないが、アセチル及びシリルが挙げられる。「カルボキシ保護基」は、カルボキシ官能性をブロック又は保護する、カルボキシ基の置換基を指す。共通のカルボキシ保護基としては、-CH2CH2SO2Ph、シアノエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、2-(p-トルエンスルホニル)エチル、2-(p-ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2-(ジフェニルホスフィノ)-エチル、ニトロエチル等が挙げられる。保護基及びそれらの使用の一般的記載について、T. W. Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、New York、1991を参照されたい。
【0079】
「NH保護基」という用語は、本明細書で使用される場合、以下に限定されないが、トリクロロエトキシカルボニル、トリブロモエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、パラ-ニトロベンジルカルボニル、オルト-ブロモベンジルオキシカルボニル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、フェニルアセチル、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、tert-アミルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、パラ-メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジル-オキシカルボニル、4-(フェニルアゾ)-ベンジルオキシカルボニル、2-フルフリルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、1,1-ジメチルプロポキシ-カルボニル、イソプロポキシカルボニル、フタロイル、スクシニル、アラニル、ロイシル、1-アダマンチルオキシカルボニル、8-キノリルオキシカルボニル、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2-ニトロフェニルチオ、メタンスルホニル、パラ-トルエンスルホニル、N,N-ジメチルアミノメチレン、ベンジリデン、2-ヒドロキシベンジリデン、2-ヒドロキシ-5-クロロベンジリデン、2-ヒドロキシ-l-ナフチルメチレン、3-ヒドロキシ-4-ピリジルメチレン、シクロヘキシリデン、2-エトキシカルボニルシクロヘキシリデン、2-エトキシカルボニルシクロペンチリデン、2-アセチルシクロヘキシリデン、3,3-ジメチル-5-オキシシクロ-ヘキシリデン、ジフェニルホスホリル、ジベンジルホスホリル、5-メチル-2-オキソ-2H-1,3-ジオキソール-4-イル-メチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル及びトリフェニルシリルを含む。
【0080】
「C(O)OH保護基」という用語は、本明細書で使用される場合、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1,1-ジメチルプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、フェニル、ナフチル、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、パラ-ニトロベンジル、パラ-メトキシベンジル、ビス(パラ-メトキシフェニル)メチル、アセチルメチル、ベンゾイルメチル、パラ-ニトロベンゾイルメチル、パラ-ブロモベンゾイルメチル、パラ-メタンスルホニルベンゾイルメチル、2-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロフラニル、2,2,2-トリクロロ-エチル、2-(トリメチルシリル)エチル、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、フタルイミドメチル、スクシンイミドメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、ベンジルオキシメチル、メチルチオメチル、2-メチルチオエチル、フェニルチオメチル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、3-メチル-3-ブテニル、アリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル及びtert-ブチルメトキシフェニルシリルを含む。
【0081】
「OH又はSH保護基」という用語は、本明細書で使用される場合、以下に限定されないが、ベンジルオキシカルボニル、4-ニトロベンジルオキシカルボニル、4-ブロモベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、1,1-ジメチルプロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、2,2,2-トリブロモエトキシカルボニル、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2-(フェニルスルホニル)エトキシカルボニル、2-(トリフェニルホスホニオ)エトキシカルボニル、2-フルフリルオキシカルボニル、1-アダマンチルオキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、4-エトキシ-1-ナフチルオキシカルボニル、8-キノリルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、メチル、tert-ブチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、3-メチル-3-ブテニル、アリル、ベンジル(フェニルメチル)、パラ-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、2-メトキシエトキシメチル、2,2,2-トリクロロ-エトキシメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、1-エトキシエチル、メタンスルホニル、パラ-トルエンスルホニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル及びtert-ブチルメトキシフェニルシリルを含む。
【0082】
幾何異性体は、本化合物中に存在することができる。この発明の化合物は、E又はZ立体配置において炭素-炭素二重結合又は炭素-窒素二重結合を含有することができ、ここで、「E」という用語は、炭素-炭素又は炭素-窒素二重結合の反対側の高次置換基を表し、「Z」という用語は、炭素-炭素又は炭素-窒素二重結合の同じ側の高次置換基を表し、Cahn-Ingold-Prelog優先規則によって決定される通りである。この発明の化合物は、「E」及び「Z」異性体の混合物として存在することもできる。シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルの周りの置換基は、シス又はトランス立体配置であると指定される。更に、本発明は、アダマンタン環系の周りの置換基の配置に起因する様々な異性体及びその混合物を企図する。アダマンタン環系内の単一環の周りの2個の置換基は、Z又はE相対的立体配置であると指定される。例えば、C. D. Jones、M. Kaselj、R. N. Salvatore、W. J. le Noble J. Org. Chem. 1998、63、2758~2760頁を参照されたい。
【0083】
この発明の化合物は、R又はS立体配置において非対称置換炭素原子を含有することができ、ここで、「R」及び「S」という用語は、IUPAC 1974 Recommendations for Section E、Fundamental Stereochemistry、Pure Appl. Chem. (1976) 45、13-10によって定義されている通りである。等しい量のR及びS立体配置内に非対称置換炭素原子を有する化合物は、それらの炭素原子においてラセミである。一方の立体配置が他方よりも過剰である原子は、より高い量で、好ましくは約85~90%過剰、より好ましくは約95~99%過剰、更に好ましくは約99%超過剰で存在する立体配置が割り当てられる。したがって、この発明は、ラセミ混合物、相対及び絶対立体異性体、並びに相対及び絶対立体異性体の混合物を含む。
【0084】
同位体富化又は標識化化合物。
本発明の化合物は、天然で最も豊富に見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する1個又は複数の原子を含有する同位体標識化又は富化形態で存在することができる。同位体は、放射性又は非放射性同位元素であってよい。水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素等の原子の同位体としては、以下に限定されないが、2H、3H、13C、14C、15N、18O、32P、35S、18F、36Cl及び125Iが挙げられる。これらの及び/又は他の原子の他の同位体を含有する化合物は、この発明の範囲内である。
【0085】
別の実施形態において、同位体標識化化合物は、重水素(2H)、トリチウム(3H)又は14C同位体を含有する。この発明の同位体標識化化合物は、当業者によく知られている一般的方法によって調製することができる。こうした同位体標識化化合物は、好都合にも、本明細書において開示されている実施例に開示されている手順、及び非標識化試薬の代わりに容易に利用可能な同位体標識化試薬を代用することによりスキームを実施することによって調製することができる。一部の例において、化合物は、通常の原子をそれの同位体と交換するための同位体標識化試薬で処理してよく、例えば、水素は、D2SO4/D2O等の重水素化酸の作用によって重水素と交換することができる。
【0086】
本発明の同位体標識化化合物は、結合アッセイにおいてBcl-2阻害剤の有効性を決定するための標準として使用することができる。同位体含有化合物は、非同位体標識化親化合物の作用機序及び代謝経路の評価によって化合物のインビボ代謝的運命を調査するための医薬研究において使用されてきた(Blakeら、J. Pharm. Sci. 64、3、367~391頁(1975))。こうした代謝研究は、安全な有効な治療薬の設計において重要であり、というのは、患者に投与されるインビボ活性化合物が毒性又は発癌性であるとわかるからであるか又は親化合物から生成された代謝物が毒性又は発癌性であるとわかるからである。(Fosterら、Advances in Drug Research 14巻、2~36頁、Academic press、London、1985; Katoら、J. Labelled Comp. Radiopharmaceut.、36(10): 927~932頁(1995); Kushnerら、Can. J. Physiol. Pharmacol、77、79~88頁(1999)。
【0087】
加えて、「ヘビードラッグ」と呼ばれる重水素化薬物等、非放射性同位元素含有薬物は、Bcl-2活性に関連した疾患及び状態の処置のために使用することができる。化合物中に存在する同位体の量を、それの天然存在度を超えて増加させることは、富化と呼ばれる。富化の量の例としては、以下に限定されないが、約0.5mol%、1mol%、2mol%、3mol%、4mol%、5mol%、6mol%、7mol%、8mol%、9mol%、10mol%、12mol%、16mol%、21mol%、25mol%、29mol%、33mol%、37mol%、42mol%、46mol%、50mol%、54mol%、58mol%、63mol%、67mol%、71mol%、75mol%、79mol%、84mol%、88mol%、92mol%、96mol%から約100mol%が挙げられる。
【0088】
薬物の安定同位体標識化は、それの物理化学的特性、例えばpKa及び脂溶性を変化させ得る。同位体置換がリガンド受容体相互作用に関与する領域に影響するならば、これらの効果及び変化は薬物分子の薬力学応答に影響し得る。安定同位体標識化分子の物理的特性の一部が非標識化分子のものと異なる一方で、化学的及び生物学的特性は同じであるが、以下の1つの重要な例外がある:重同位体の質量の増加により、重同位体及び別の原子に関与する任意の結合は、軽い同位体とその原子との間の同じ結合よりも強い。したがって、代謝又は酵素転換の部位での同位体の組み込みは前記反応を遅くし、非同位体化合物と比べて薬物動態プロファイル又は効力を潜在的に変化させる。
【0089】
ある実施形態(1)において、本明細書において開示されているのは、式(I):
【0090】
【化7】
【0091】
の化合物又はその薬学的に許容される塩であり、式中:
Q1は、アリール及びヘテロアリールから選択され;
Q2は、ヘテロシクリルであり;
Xは、CR4及びNから選択され;
Yは、CR5及びNから選択され;
Lは、単結合、-(CRC0RD0)u-、-(CRC0RD0)uO(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uS(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uC(O)NRA0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0C(O)(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0C(O)NRB0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uS(O)r(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uS(O)rNRA0(CRC0RD0)t-、-(CRC0RD0)uNRA0S(O)r(CRC0RD0)t-及び-(CRC0RD0)uNRA0S(O)rNRB0(CRC0RD0)t-から選択され;
各R1は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、CN、NO2、-NRA1RB1、-ORA1、-C(O)RA1、-C(=NRE1)RA1、-C(=N-ORB1)RA1、-C(O)ORA1、-OC(O)RA1、-C(O)NRA1RB1、-NRA1C(O)RB1、-C(=NRE1)NRA1RB1、-NRA1C(=NRE1)RB1、-OC(O)NRA1RB1、-NRA1C(O)ORB1、-NRA1C(O)NRA1RB1、-NRA1C(S)NRA1RB1、-NRA1C(=NRE1)NRA1RB1、-S(O)rRA1、-S(O)(=NRE1)RB1、-N=S(O)RA1RB1、-S(O)2ORA1、-OS(O)2RA1、-NRA1S(O)rRB1、-NRA1S(O)(=NRE1)RB1、-S(O)rNRA1RB1、-S(O)(=NRE1)NRA1RB1、-NRA1S(O)2NRA1RB1、-NRA1S(O)(=NRE1)NRA1RB1、-P(O)RA1RB1及び-P(O)(ORA1)(ORB1)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各R2は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、CN、NO2、-NRA2RB2、-ORA2、-C(O)RA2、-C(=NRE2)RA2、-C(=N-ORB2)RA2、-C(O)ORA2、-OC(O)RA2、-C(O)NRA2RB2、-NRA2C(O)RB2、-C(=NRE2)NRA2RB2、-NRA2C(=NRE2)RB2、-OC(O)NRA2RB2、-NRA2C(O)ORB2、-NRA2C(O)NRA2RB2、-NRA2C(S)NRA2RB2、-NRA2C(=NRE2)NRA2RB2、-S(O)rRA2、-S(O)(=NRE2)RB2、-N=S(O)RA2RB2、-S(O)2ORA2、-OS(O)2RA2、-NRA2S(O)rRB2、-NRA2S(O)(=NRE2)RB2、-S(O)rNRA2RB2、-S(O)(=NRE2)NRA2RB2、-NRA2S(O)2NRA2RB2、-NRA2S(O)(=NRE2)NRA2RB2、-P(O)RA2RB2及び-P(O)(ORA2)(ORB2)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
R3は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、CN、NO2、-NRA3RB3、-ORA3、-C(O)RA3、-C(=NRE3)RA3、-C(=N-ORB3)RA3、-C(O)ORA3、-OC(O)RA3、-C(O)NRA3RB3、-NRA3C(O)RB3、-C(=NRE3)NRA3RB3、-NRA3C(=NRE3)RB3、-OC(O)NRA3RB3、-NRA3C(O)ORB3、-NRA3C(O)NRA3RB3、-NRA3C(S)NRA3RB3、-NRA3C(=NRE3)NRA3RB3、-S(O)rRA3、-S(O)(=NRE3)RB3、-N=S(O)RA3RB3、-S(O)2ORA3、-OS(O)2RA3、-NRA3S(O)rRB3、-NRA3S(O)(=NRE3)RB3、-S(O)rNRA3RB3、-S(O)(=NRE3)NRA3RB3、-NRA3S(O)2NRA3RB3、-NRA3S(O)(=NRE3)NRA3RB3、-P(O)RA3RB3及び-P(O)(ORA3)(ORB3)から選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるまたR6から独立して選択されるは少なくとも1個の置換基で置換されており;
R4及びR5は、水素、ハロゲン、CN、C1~10アルキル及びC3~10シクロアルキルから独立して選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
R6は、水素、ハロゲン、OH、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル及びヘテロシクリル-C1~4アルキルから選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各RA0、RA1、RA2、RA3、RB0、RB1、RB2及びRB3は、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いは各「RA0及びRB0」、「RA1及びRB1」、「RA2及びRB2」又は「RA3及びRB3」は、それらが結合している原子と一緒に、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選択される0個、1個又は2個の追加のヘテロ原子を含有し1個、2個又は3個のRX基で任意選択により置換されている4員から12員の複素環式環を形成し;
各RC0及びRD0は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRC0及びRD0は、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される0個、1個又は2個のヘテロ原子を含有し1個、2個又は3個のRX基で任意選択により置換されている3員から12員の環を形成し;
各RE1、RE2及びRE3は、水素、C1~10アルキル、CN、NO2、-ORa1、-SRa1、-S(O)rRa1、-C(O)Ra1、-C(O)ORa1、-C(O)NRa1Rb1及び-S(O)rNRa1Rb1から独立して選択され、ここで、アルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各RXは、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、ハロゲン、CN、NO2、-(CRc1Rd1)tNRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tORb1、-(CRc1Rd1)tC(O)Ra1、-(CRc1Rd1)tC(=NRe1)Ra1、-(CRc1Rd1)tC(=N-ORb1)Ra1、-(CRc1Rd1)tC(O)ORb1、-(CRc1Rd1)tOC(O)Rb1、-(CRc1Rd1)tC(O)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(O)Rb1、-(CRc1Rd1)tC(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(=NRe1)Rb1、-(CRc1Rd1)tOC(O)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(O)ORb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(O)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(S)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1C(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)rRb1、-(CRc1Rd1)tS(O)(=NRe1)Rb1、-(CRc1Rd1)tN=S(O)Ra1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)2ORb1、-(CRc1Rd1)tOS(O)2Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)rRb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)(=NRe1)Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)rNRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)2NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tNRa1S(O)(=NRe1)NRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tP(O)Ra1Rb1及び-(CRc1Rd1)tP(O)(ORa1)(ORb1)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各Ra1及び各Rb1は、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRa1及びRb1は、それらが結合している原子と一緒に、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選択される0個、1個又は2個の追加のヘテロ原子を含有し1個、2個又は3個のRY基で任意選択により置換されている4員から12員の複素環式環を形成し;
各Rc1及び各Rd1は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRc1及びRd1は、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される0個、1個又は2個のヘテロ原子を含有し1個、2個又は3個のRY基で任意選択により置換されている3員から12員の環を形成し;
各Re1は、水素、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、CN、NO2、-ORa2、-SRa2、-S(O)rRa2、-C(O)Ra2、-C(O)ORa2、-S(O)rNRa2Rb2及び-C(O)NRa2Rb2から独立して選択され;
各RYは、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1~4アルキル、ハロゲン、CN、NO2、-(CRc2Rd2)tNRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tORb2、-(CRc2Rd2)tC(O)Ra2、-(CRc2Rd2)tC(=NRe2)Ra2、-(CRc2Rd2)tC(=N-ORb2)Ra2、-(CRc2Rd2)tC(O)ORb2、-(CRc2Rd2)tOC(O)Rb2、-(CRc2Rd2)tC(O)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(O)Rb2、-(CRc2Rd2)tC(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(=NRe2)Rb2、-(CRc2Rd2)tOC(O)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(O)ORb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(O)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(S)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2C(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)rRb2、-(CRc2Rd2)tS(O)(=NRe2)Rb2、-(CRc2Rd2)tN=S(O)Ra2Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)2ORb2、-(CRc2Rd2)tOS(O)2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)rRb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)(=NRe2)Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)rNRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tS(O)(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)2NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tNRa2S(O)(=NRe2)NRa2Rb2、-(CRc2Rd2)tP(O)Ra2Rb2及び-(CRc2Rd2)tP(O)(ORa2)(ORb2)から独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はOH、CN、アミノ、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
各Ra2及び各Rb2は、水素、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ、ジ(C1~10アルキル)アミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRa2及びRb2は、それらが結合している原子と一緒に、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選択される0個、1個又は2個の追加のヘテロ原子を含有しハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される1個又は2個の置換基で任意選択により置換されている4員から12員の複素環式環を形成し;
各Rc2及び各Rd2は、水素、ハロゲン、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ、ジ(C1~10アルキル)アミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-C1~4アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている;
或いはRc2及びRd2は、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される0個、1個又は2個のヘテロ原子を含有しハロゲン、CN、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10シクロアルキル、OH、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、C1~10アルキルチオ、C3~10シクロアルキルチオ、アミノ、C1~10アルキルアミノ、C3~10シクロアルキルアミノ及びジ(C1~10アルキル)アミノから独立して選択される1個又は2個の置換基で任意選択により置換されている3員から12員の環を形成し;
各Re2は、水素、CN、NO2、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル、C3~10シクロアルキル-C1~4アルキル、C1~10アルコキシ、C3~10シクロアルコキシ、-C(O)C1~4アルキル、-C(O)C3~10シクロアルキル、-C(O)OC1-4アルキル、-C(O)OC3-10シクロアルキル、-C(O)N(C1~4アルキル)2、-C(O)N(C3~10シクロアルキル)2、-S(O)2C1-4アルキル、-S(O)2C3-10シクロアルキル、-S(O)2N(C1~4アルキル)2及び-S(O)2N(C3~10シクロアルキル)2から独立して選択され;
mは、1、2及び3から選択され;
nは、1、2及び3から選択され;
各rは、0、1及び2から独立して選択され;
各tは、0、1、2、3及び4から独立して選択され;
各uは、0、1、2、3及び4から独立して選択される。
【0092】
別の実施形態(2)において、本発明は、Lが結合であり、R3がピラゾリルであり、式(II)
【0093】
【化8】
【0094】
を有する実施形態(1)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、Q1、Q2、X、Y、R1、R2、R6、n及びmは、式(I)に定義されている通りである。
【0095】
別の実施形態(3)において、本発明は、LがOであり、式(III)
【0096】
【化9】
【0097】
を有する実施形態(1)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、Q1、Q2、X、Y、R1、R2、R3、n及びmは、式(I)に定義されている通りである。
【0098】
別の実施形態(4)において、本発明は、YがCHであり、及び式(IV)
【0099】
【化10】
【0100】
を有する実施形態(2)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、Q1、Q2、X、R1、R2、R6、n及びmは、式(I)に定義されている通りである。
【0101】
別の実施形態(5)において、本発明は、YがNであり、式(V)
【0102】
【化11】
【0103】
を有する実施形態(2)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、Q1、Q2、X、R1、R2、R6、n及びmは、式(I)に定義されている通りである。
【0104】
別の実施形態(6)において、本発明は、R6がC1~10アルキルであり、ここで、アルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、実施形態(2)、(4)~(5)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0105】
別の実施形態(7)において、本発明は、R6が、メチル、
【0106】
【化12】
【0107】
から選択される、実施形態(6)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0108】
別の実施形態(8)において、本発明は、R3がC1~10アルキルから選択され、ここで、アルキルは、非置換であるか又はR6から独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、実施形態(3)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0109】
別の実施形態(9)において、本発明は、R3が、メチル及びエチルから選択され、メチル及びエチルが、各々非置換であるか又はR6から独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されており、R6が、C1~10アルキル、C3~10シクロアルキル及びOHから選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、実施形態(8)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0110】
別の実施形態(10)において、本発明は、R6が、メチル、シクロプロピル及びOHから選択され、RXが、-(CRc1Rd1)tN=S(O)Ra1Rb1、ハロゲン及びOHから選択される、実施形態(9)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0111】
別の実施形態(11)において、本発明は、RXが、
【0112】
【化13】
【0113】
、F及びOHから選択される、実施形態(10)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0114】
別の実施形態(12)において、本発明は、Q1が、ピリジニル、ピリミジル、ピラジニル及びフェニルから選択される、実施形態(1)~(11)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0115】
別の実施形態(13)において、本発明は、Q1がピリジニルである、実施形態(12)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0116】
別の実施形態(14)において、本発明は、XがCR4である、実施形態(1)~(13)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0117】
別の実施形態(15)において、本発明は、R4がCNである、実施形態(14)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0118】
別の実施形態(16)において、本発明は、XがNである、実施形態(1)~(13)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0119】
別の実施形態(17)において、本発明は、Q2が4~7員ヘテロシクリルである、実施形態(1)~(16)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0120】
別の実施形態(18)において、本発明は、Q2が、
【0121】
【化14】
【0122】
から選択される、実施形態(17)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0123】
別の実施形態(19)において、本発明は、R1が、水素及びハロゲンから選択される、実施形態(1)~(18)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、R1は、Br及びClから選択される。別の実施形態において、R1は、水素から選択される。
【0124】
別の実施形態(20)において、本発明は、R2が、水素、C1~10アルキル、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール-C1~4アルキル、-ORA2、-C(O)RA2、-C(O)ORA2及び-C(O)NRA2RB2から選択され、ここで、アルキル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、実施形態(1)~(19)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0125】
別の実施形態(21)において、本発明は、R2が、水素、エチル、ベンジル、ピリジニルメチル、Boc、-ORA2、-C(O)RA2、-C(O)NRA2RB2
【0126】
【化15】
【0127】
から選択され;例えば、エチル、ベンジル、ピリジニルメチル、Boc、-ORA2、-C(O)RA2、-C(O)NRA2RB2
【0128】
【化16】
【0129】
特にエチル、ベンジル、ピリジニルメチル、
【0130】
【化17】
【0131】
は、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、実施形態(20)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0132】
別の実施形態(22)において、本発明は、エチル、ベンジル、ピリジニルメチル、
【0133】
【化18】
【0134】
の置換基RXが、ハロゲン、C1~10アルキル、-(CRc1Rd1)tNRa1Rb1、-(CRc1Rd1)tS(O)rRb及び-(CRc1Rd1)tORb1から独立して選択される、実施形態(21)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0135】
別の実施形態(23)において、本発明は、RXが、ハロゲン、メチル、メトキシ、ジメチルアミノ、
【0136】
【化19】
【0137】
から独立して選択される、実施形態(22)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0138】
別の実施形態(24)において、本発明は、RA2が、水素、C1~10アルキル、アリール、アリール-C1~4アルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリール-C1~4アルキルから選択され、ここで、RA2におけるアルキル、アリール及びヘテロアリールは、各々非置換であるか又はRXから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、実施形態(20)~(21)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0139】
別の実施形態(25)において、本発明は、RA2が、水素、メチル、ブチル、ペンチル、ピリジニル、フェニル、ピリジニルメチル及びピリダジニルから選択され、RA2の置換基RXが、ハロゲン、C1~10アルキル、シクロプロピル、エチニル、ビニル、-OH、メトキシ、エトキシ、ジメチルアミノ、アミノメチル、フェニル、ベンジル及び
【0140】
【化20】
【0141】
から独立して選択され、ここで、アルキル、フェニル及びベンジルは、各々非置換であるか又はRYから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、実施形態(24)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0142】
別の実施形態(26)において、本発明は、R2が、水素、メチル、エチル、-OH、Boc、
【0143】
【化21】
【0144】
から選択される、実施形態(20)~(25)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0145】
別の実施形態(27)において、本発明は、
【0146】
【化22A】
【化22B】
【化22C】
【化22D】
【化22E】
【0147】
から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0148】
別の実施形態(28)において、本発明は、実施形態(1)から(27)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩及び少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0149】
別の実施形態(29)において、本発明は、RETの阻害に応答する状態を処置、寛解又は防止する方法であって、こうした処置を必要とする対象に、実施形態(1)から(27)のいずれか1つの化合物若しくはその薬学的に許容される塩の又はその少なくとも1種の医薬組成物の有効量を、任意選択により第2の治療剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。
【0150】
別の実施形態(30)において、本発明は、RETによって媒介される状態を処置するための医薬の調製における、実施形態(1)から(27)のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0151】
別の態様において、本明細書において開示されている化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物が提供される。
【0152】
なお別の態様において、本明細書において開示されている化合物又はその薬学的に許容される塩;並びに組成物が投与されるべき疾患状態についての表示、組成物についての貯蔵情報、投薬情報、及び組成物をどのように投与するかに関する指示からなる群から選択される情報の1つ又は複数の形態を含む指示を含むキットが提供される。1つの特別な変形において、キットは、該化合物を複数用量形態で含む。
【0153】
また別の態様において、本明細書において開示されている化合物又はその薬学的に許容される塩;及び包装材料を含む製造品が提供される。1つの変形において、包装材料は、化合物を収容するための容器を含む。1つの特別な変形において、容器は、化合物が投与されるべき疾患状態、貯蔵情報、投薬情報、及び/又は化合物をどのように投与するかに関する指示からなる群の1つ又は複数のメンバーを表示するラベルを含む。別の変形において、製造品は、複数用量形態で化合物を含む。
【0154】
さらなる態様において、本明細書において開示されている化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む治療方法が提供される。
【0155】
別の態様において、RETキナーゼを本明細書において開示されている化合物又はその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、RETキナーゼを阻害する方法が提供される。
【0156】
なお別の態様において、本明細書において開示されている化合物又はその薬学的に許容される塩を対象に存在させることでRETキナーゼインビボを阻害することを含む、RETキナーゼを阻害する方法が提供される。
【0157】
さらなる態様において、インビボで第2の化合物に変換される第1の化合物を対象に投与することを含む、RETキナーゼを阻害する方法が提供され、ここで、第2の化合物は、RETキナーゼインビボを阻害し、第2の化合物は、上記実施形態及び変形のいずれか1つによる化合物である。
【0158】
別の態様において、RETキナーゼが疾患状態の病理学及び/又は症候学に寄与する活性を所有する疾患状態を処置する方法が提供され、該方法は、本明細書において開示されている化合物又はその薬学的に許容される塩を、疾患状態のための治療有効量で対象に存在させることを含む。
【0159】
さらなる態様において、RETキナーゼが疾患状態の病理学及び/又は症候学に寄与する活性を所有する疾患状態を処置する方法が提供され、該方法は、インビボで第2の化合物に変換される第1の化合物を対象に投与することを含み、ここで、第2の化合物は、インビボでRETキナーゼを阻害する。本発明の化合物は、第1又は第2の化合物であり得ることに留意されたい。
【0160】
上記方法の各々の1つの変形において、疾患状態は、がん性過剰増殖性障害(例えば、脳、肺、扁平細胞、膀胱、胃、膵臓、乳房、頭部、頸部、腎、腎臓、卵巣、前立腺、結腸直腸、類表皮、食道、精巣、婦人科又は甲状腺のがん);非がん性過剰増殖性障害(例えば、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、及び良性前立腺肥大(BPH));膵炎;腎臓疾患;疼痛;未分化胚芽細胞移植の防止;脈管形成又は血管形成に関連の疾患の処置(例えば、腫瘍の血管新生、急性及び慢性炎症性疾患、例えば関節リウマチ、アテローム動脈硬化症、炎症性腸疾患、皮膚疾患、例えば乾癬、湿疹及び強皮症、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、年齢関連性黄斑変性、血管腫、神経膠腫、黒色腫、カポジ肉腫、並びに卵巣、乳房、肺、膵臓、前立腺、結腸及び類表皮のがん);喘息;好中球走化性(例えば、心筋梗塞及び脳卒中における再灌流損傷、並びに炎症性関節炎);敗血症性ショック;免疫抑制が価値のあるT細胞媒介疾患(例えば、臓器移植拒絶の防止、グラフト対宿主病、ループス・エリテマトーデス、多発性硬化症及び関節リウマチ);アテローム動脈硬化症;成長因子カクテルに対するケラチノサイト応答の阻害;慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び他の疾患からなる群から選択される。
【0161】
別の態様において、RET遺伝子における突然変異が、例えば、黒色腫、肺がん、結腸がん及び他の腫瘍型を含めて、疾患状態の病理学及び/又は症候学に寄与する疾患状態を処置する方法が提供される。
【0162】
また別の態様において、本発明は、上記実施形態及び変形のいずれかの化合物の医薬としての使用に関する。それのなお別の態様において、本発明は、RETキナーゼを阻害するための医薬の製造における、上記実施形態及び変形のいずれか1つによる化合物の使用に関する。
【0163】
さらなる態様において、本発明は、RETキナーゼが、疾患状態の病理学及び/又は症候学に寄与する活性を所有する疾患状態を処置するための医薬の製造における、上記実施形態及び変形のいずれか1つによる化合物の使用に関する。
【0164】
投与及び医薬組成物
一般に、本開示の化合物は、単独、又は1種若しくは複数の治療剤との組合せのいずれかで、当技術分野において知られている通常の及び許容されるモードのいずれかを介して治療有効量で投与される。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康、使用された化合物の効力、並びに当業者に知られている他の因子に広く依存して変動することができる。例えば、新生物疾患及び免疫系障害の処置のため、必要とされる投与量は、その上、投与のモード、処置されるべき特別な状態、及び所望される効果に依存して変動する。
【0165】
一般に、満足な結果は、体重当たり約0.001mg/kgから約100mg/kg、又は特に、体重当たり約0.03mg/kgから2.5mg/kgの1日投与量で全身的に得られることが示される。より大きい哺乳動物、例えばヒトにおける表示1日投与量は、例えば、最大1日4回までの分割用量で又は遅延形態で好都合にも投与される約0.5mgから約2000mg、又は更に特に約0.5mgから約1000mgの範囲であってよい。経口投与のための適当な単位剤形は、約1mgから50mgの活性成分を含む。
【0166】
本開示の化合物は、医薬組成物として任意の従来の経路によって;例えば、経腸的に、例えば、経口的に、例えば、錠剤又はカプセルの形態で;非経口的に、例えば、注射可能な溶液又は懸濁液の形態で;或いは局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏若しくはクリームの形態で、又は経鼻若しくは坐剤形態で、投与することができる。
【0167】
少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は希釈液と併せて、遊離形態で又は薬学的に許容される塩形態で本開示の化合物を含む医薬組成物は、混合、顆粒化、コーティング、溶解又は凍結乾燥するプロセスによって従来の方式で製造することができる。例えば、少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は希釈液と併せて本開示の化合物を含む医薬組成物は、薬学的に許容される担体又は希釈剤と混合することによって従来の方式で製造することができる。経口投与のための単位剤形は、例えば、約0.1mgから約500mgの活性物質を含有する。
【0168】
一実施形態において、医薬組成物は、懸濁液又は分散体、例えば等張水溶液を含めて、活性成分の溶液である。活性成分を単独で又はマンニトール等の担体と一緒に含む凍結乾燥組成物の場合において、分散体又は懸濁液は、使用の前に構成することができる。医薬組成物は滅菌することができ、並びに/又はアジュバント、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤若しくは乳化剤、溶液促進剤、浸透圧及び/若しくは緩衝液を調節するための塩を含有することができる。適当な保存料としては、以下に限定されないが、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、又は殺微生物剤、例えばソルビン酸若しくは安息香酸が挙げられる。溶液又は懸濁液は、以下に限定されないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ゼラチンを含めた粘度増加剤、又は可溶化剤、例えばツイーン80 (ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)を更に含むことができる。
【0169】
油中懸濁液は、注射目的で通例の植物油、合成油又は半合成油を油成分として含むことができる。例としては、以下に限定されないが、8~22個の炭素原子、又は一部の実施形態において12~22個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸を酸成分として含有する液体脂肪酸エステルが挙げられる。適当な液体脂肪酸エステルとしては、以下に限定されないが、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸又は対応する不飽和酸、例えばオレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及びリノール酸が挙げられ、所望であれば、抗酸化剤、例えばビタミンE、3-カロチン又は3,5-ジ-tert-ブチル-ヒドロキシトルエンを含有することができる。これらの脂肪酸エステルのアルコール成分は、6個の炭素原子を有してよく、一価又は多価、例えば一価、二価又は三価のアルコールであってよい。適当なアルコール成分としては、以下に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール若しくはペンタノール又はその異性体;グリコール及びグリセロールが挙げられる。
【0170】
他の適当な脂肪酸エステルとしては、限定されないが、エチル-オレエート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、LABRAFIL(登録商標) M 2375、(ポリオキシエチレングリセロール)、LABRAFIL(登録商標) M 1944 CS(杏仁油の加アルコール分解によって調製されるとともにグリセリド及びポリエチレングリコールエステルを含む不飽和ポリグリコール化グリセリド)、LABRASOL(登録商標)(TCMの加アルコール分解によって調製されるとともにグリセリド及びポリエチレングリコールエステルを含む飽和ポリグリコール化グリセリド;全てGaKefosse社、Franceから利用可能)、及び/又はMiglyol(登録商標) 812 (鎖長C8からC12の飽和脂肪酸のトリグリセリド、Huls AG社、Germanyから)、及び植物油、例えば綿実油、アーモンド油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、大豆油又は落花生油が挙げられる。
【0171】
経口投与のための医薬組成物は、例えば、活性成分と1種又は複数の固体担体とを組み合わせること、及び所望であれば、結果として得られた混合物を顆粒化すること、並びに追加の賦形剤の包含によって混合物又は顆粒を加工することで錠剤又は錠剤コアを形成することによって得ることができる。
【0172】
適当な担体としては、以下に限定されないが、充填剤、例えば糖、例えばラクトース、ショ糖、マンニトール若しくはソルビトール、セルロース調製物及び/若しくはリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウム、並びにその上バインダー、例えばデンプン、例えば、コーン、小麦、イネ若しくはバレイショデンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/若しくはポリビニルピロリドン、並びに/又は所望であれば崩壊薬、例えば上述のデンプン、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸若しくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムが挙げられる。追加の賦形剤としては、以下に限定されないが、流動調整剤及び滑沢剤、例えば、ケイ酸、タルク、ステアリン酸若しくはその塩、例えばマグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム、及び/又はポリエチレングリコール、或いはその誘導体が挙げられる。
【0173】
錠剤コアは、とりわけ、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/若しくは二酸化チタン、又は適当な有機溶媒若しくは溶媒混合物中のコーティング溶液、又は腸溶コーティングの調製のための適当なセルロース調製物の溶液、例えばアセチルセルロースフタレート若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを含むことができる濃縮糖溶液の使用を介して、適当な、任意選択により腸溶性のコーティングを用いて提供され得る。染料又は顔料は、例えば、同定目的で又は活性成分の異なる用量を示すために、錠剤又は錠剤コーティングに添加することができる。
【0174】
経口投与のための医薬組成物は、その上、ゼラチンを含む硬カプセル、又はゼラチンを含む軟密封カプセル、及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトールを含むことができる。硬カプセルは、活性成分を顆粒の形態で、例えば充填剤、例えばコーンスターチ、バインダー、及び/又は流動促進剤、例えばタルク若しくはステアリン酸マグネシウム、並びに任意選択により安定剤との添加混合物中に含有することができる。軟カプセルにおいて、活性成分は、適当な液体賦形剤、例えば脂肪油、パラフィン油若しくは液体ポリエチレングリコール、又はエチレン若しくはプロピレングリコールの脂肪酸エステル中に溶解又は懸濁させることができ、ここに、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型の安定剤及び洗剤も添加することができる。
【0175】
直腸投与に適当な医薬組成物は、例えば、活性成分及び坐薬基剤の組合せを含む坐剤である。適当な坐薬基剤は、例えば、天然若しくは合成トリグリセリド、パラフィン炭化水素、ポリエチレングリコール又は高級アルカノールである。
【0176】
非経口投与に適当な医薬組成物は、水溶性形態での活性成分、例えば水溶性塩の水溶液、又は粘度増加物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/若しくはデキストラン、並びに所望であれば安定剤を含有する水性注射懸濁液を含むことができる。活性成分は、任意選択により賦形剤と一緒に、凍結乾燥物の形態であってもよく、非経口投与の前に適当な溶媒の添加によって溶液に作製することができる。例えば、非経口投与のために使用されるような溶液は、注入溶液として用いることもできる。注射可能な調製物の製造は、通常、例えばアンプル又はバイアル中への充填及び容器の密閉のように、滅菌条件下で実施される。
【0177】
本開示は、薬学的組合せ、例えば、a)本明細書において開示されている通りの本開示の化合物である第1の薬剤を、遊離形態で又は薬学的に許容される塩形態で、及びb)少なくとも1種の共薬剤を含むキットも提供する。キットは、それの投与のための指示を含むことができる。
【0178】
組合せ治療
本開示の化合物又は薬学的に許容される塩は、単独治療として、又は他の治療剤若しくは薬剤と一緒に投与することができる。
【0179】
例えば、本明細書に記載されている化合物の1種の治療的有効性は、アジュバントの投与によって増強され得る(即ち、それ自体で、アジュバントは最小の治療的利益のみを有し得るが、別の治療剤と組み合わせて、個体への全体的な治療的利益は増強される)。或いは、例のみとして、個体によって経験される利益は、本明細書に記載されている化合物の1種を、治療的利益も有する別の治療剤とともに投与することによって増加され得る。例のみとして、本明細書に記載されている化合物の1種の投与を伴う痛風のための処置において、痛風のための別の治療剤を個体に提供することによっても、治療的利益の増加が結果として得られる。或いは、例のみとして、本明細書に記載されている化合物の1種を受けることで個体によって経験される副作用の1つが吐き気であるならば、該化合物と組み合わせて抗吐き気剤を投与することが適切であり得る。或いは、追加の治療又は治療としては、以下に限定されないが、理学療法、心理療法、放射線治療、罹患部域への湿布の適用、休息、食療法の変化等が挙げられる。処置されている疾患、障害又は状態にかかわらず、個体によって経験される全体的な利益は、2つの治療薬の付加的なものであり得る、又は個体は、相乗的利益を経験し得る。
【0180】
本明細書に記載されている化合物が他の治療剤と組み合わせて投与される例において、本明細書に記載されている化合物は、他の治療剤と同じ医薬組成物中で投与することができる、又は異なる物理的及び化学的特徴のため、異なる経路によって投与することができる。例えば、本明細書に記載されている化合物は、その良好な血中レベルを発生及び維持するために経口的に投与することができ、一方、他の治療剤は、静脈内に投与することができる。したがって、本明細書に記載されている化合物は、他の治療剤と同時に、逐次に投与する又は別々に投薬することができる。
【実施例
【0181】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を合成するために、様々な方法が開発され得る。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を合成するための代表的な方法は、実施例に提供されている。しかしながら、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、他者が考案し得る他の合成経路によって合成することもできることに留意されたい。
【0182】
式(I)の特定の化合物が、化合物に特別な立体化学(例えば、キラル中心)を与える他の原子への連結を有する原子を有することは、容易に認識される。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の合成は、異なる立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)の混合物の創出をもたらし得ることが認識される。特別な立体化学が特定されていない限り、化合物の列挙は、異なる可能な立体異性体の全てを包含すると意図される。
【0183】
式(I)の化合物は、例えば、少なくとも1種の化合物の遊離塩基形態を薬学的に許容される無機酸又は有機酸と反応させることによって、薬学的に許容される酸付加塩として調製することもできる。代替として、式(I)の少なくとも1種の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、例えば、少なくとも1種の化合物の遊離酸形態を薬学的に許容される無機又は有機塩基と反応させることによって調製することができる。式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の調製に適当な無機及び有機の酸及び塩基は、この出願の定義セクションにおいて説明されている。代替として、式(I)の化合物の塩形態は、出発材料又は中間体の塩を使用して調製することができる。
【0184】
式(I)の化合物の遊離酸又は遊離塩基形態は、対応する塩基付加塩又は酸付加塩の形態から調製することができる。例えば、酸付加塩の形態における式(I)の化合物は、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニア溶液、水酸化ナトリウム等)で処理することによって、その対応する遊離塩基に変換することができる。塩基付加塩形態における式(I)の化合物は、例えば、適当な酸(例えば、塩酸等)で処理することによって、その対応する遊離酸に変換することができる。
【0185】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩のN-オキシドは、当業者に知られている方法によって調製することができる。例えば、N-オキシドは、式(I)の化合物の未酸化形態を、酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、過マレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ-クロロペルオキシ安息香酸等)で、適当な不活性な有機溶媒(例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素)中にて、およそ0℃から80℃で処理することによって調製することができる。代替として、式(I)の化合物のN-オキシドは、適切な出発材料のN-オキシドから調製することができる。
【0186】
未酸化形態における式(I)の化合物は、式(I)の化合物のN-オキシドから、例えば、還元剤(例えば、硫黄、硫黄ジオキシド、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化物等)で、適当な不活性な有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、含水ジオキサン等)中にて、0℃から80℃で処理することによって調製することができる。
【0187】
式(I)の化合物の保護誘導体は、当業者に知られている方法によって作製することができる。保護基の創出及びそれらの除去に適用可能な技法の詳細な記載は、T.W. Greene、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、Inc. 1999に見出すことができる。
【0188】
本明細書で使用される場合、これらのプロセス、スキーム及び実施例において使用されている記号及び慣例は、現代の化学文献、例えば、Journal of the American Chemical Society又はthe Journal of Biological Chemistryにおいて使用されるものと一致する。標準的な一文字又は三文字略語は、別段に注記されていない限り、L立体配置であると想定されるアミノ酸残基を指定するために一般に使用される。別段に注記されていない限り、全ての出発材料は市販供給元から得て、更に精製することなく使用した。例えば、以下の略語は、実施例において及び本明細書の全体にわたって使用することができる:g(グラム);mg(ミリグラム);L(リットル);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);psi(ポンド毎平方インチ);M(モル);mM(ミリモル);i.v.(静脈内);Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);mol(モル);mmol(ミリモル);RT(室温);min(分);h(時間);mp(融点);TLC(薄層クロマトグラフィー);Rt(保持時間);RP(逆相);MeOH(メタノール);i-PrOH(イソプロパノール);TEA(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);TFAA(トリフルオロ酢酸無水物);THF(テトラヒドロフラン);DMSO(ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);DME(1,2-ジメトキシエタン);DCM(ジクロロメタン);DCE(ジクロロエタン);DMF(N,N-ジメチルホルムアミド);DMPU(N,N'-ジメチルプロピレン尿素);CDI(1,1-カルボニルジイミダゾール);IBCF(クロロギ酸イソブチル);HOAc(酢酸);HOSu(N-ヒドロキシスクシンイミド);HOBT(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール);Et2O(ジエチルエーテル);EDCI(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩);BOC(tert-ブチルオキシカルボニル);FMOC(9-フルオレニルメトキシカルボニル);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド);CBZ(ベンジルオキシカルボニル);Ac(アセチル);atm(雰囲気);TMSE(2-(トリメチルシリル)エチル);TMS(トリメチルシリル);TIPS(トリイソプロピルシリル);TBS(t-ブチルジメチルシリル);DMAP(4-ジメチルアミノピリジン);Me(メチル);OMe(メトキシ);Et(エチル);tBu(tert-ブチル);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);BOP(ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド);TBAF(テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド);m-CPBA(メタ-クロロ過安息香酸)。
【0189】
エーテル又はEt2Oへの言及は、ジエチルエーテルへの言及であり;ブラインは、NaClの飽和水溶液を指す。別段に表示されていない限り、全ての温度は、℃(セ氏度)で表される。全ての反応は、別段に注記されていない限り、不活性雰囲気下にてRTで行った。
【0190】
1H NMRスペクトルは、Varian Mercury Plus 400上で記録した。化学シフトは、百万分の一(ppm)で表される。カップリング定数は、ヘルツの単位(Hz)である。スプリットパターンは、見かけの多重度を記載し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)及びbr(ブロード)として指定される。
【0191】
低分解能質量スペクトル(MS)及び化合物純度データは、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)供給源、UV検出器(220nm及び254nm)及び蒸発光散乱検出器(ELSD)が備えられているShimadzu LC/MSシングル四重極システム上で獲得した。薄層クロマトグラフィーは、UV光、5%エタノール性リンモリブデン酸、ニンヒドリン、又はp-アニスアルデヒド溶液で可視化された、0.25mmのSuperchemgroupシリカゲルプレート(60F-254)上で行った。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(200~300メッシュ、Branch of Qingdao Haiyang Chemical社)上で行った。
【0192】
合成スキーム
本発明の化合物を調製するための合成方法は、以下のスキーム実施例に例示されている。出発材料は、市販で利用可能であるか又は当技術分野において知られている手順に従って、若しくは本明細書に例示されている通りに作製することができる。
【0193】
本明細書に記載されている反応において、反応性官能性基、例えばヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、チオ基又はカルボキシル基を保護することが必要であることがあり、ここで、これらは、反応におけるそれらの望まれない参加を回避するために、最終生成物において所望される。従来の保護基は、標準的手法に従って使用することができ、例えば、T.W. Greene及びP. G. M. Wutsの「Protective Groups in Organic Chemistry」 John Wiley and Sons、1991を参照されたい。
【0194】
本発明の化合物を調製するための合成方法は、以下のスキーム実施例に例示されている。出発材料は、市販で利用可能であるか又は当技術分野において知られている手順に従って、若しくは本明細書に例示されている通りに作製することができる。
【0195】
以下のスキームに示されている中間体は、文献において知られているか、又は当業者に精通した様々な方法によって調製することができるかのいずれかである。
【0196】
本開示の式Iの化合物の1つの合成手法は、スキーム1に示されている。市販で利用可能であるか又は文献において知られているかのいずれかである中間体IIから出発し、式IVの中間体は、文献において知られている遷移性金属触媒クロスカップリング反応を使用するIIと中間体IIIとのカップリングによって調製することができる。クロスカップリング又は誘導体化反応等の反応を介する、中間体IV中の官能性基Z2のさらなる操作により式Iの化合物がもたらされる。
【0197】
【化23】
【0198】
式Iの化合物の合成の例示として、式Iaの化合物の合成手法の1つが、スキーム2に概説されている。市販で利用可能な対称性二臭化物IIa-Aから出発し、アミンIIa-Dは、選択的なブッフバルトアミノ化及びBoc脱保護によって得ることができる。二環式ヘテロ環IIaは、アミンIIa-Dから、DMF-DMA IIa-Eとの縮合、ブロモアセトニトリルIIa-Gを用いるピリジン環のアルキル化、及びDIPEA等の有機塩基によって実行される分子内環化を含めた一連の転換を介して容易に調製することができる。鈴木反応等の遷移性金属触媒カップリング条件を使用するハロゲン化物IIaとボロン酸IIIaとのカップリングは、三環式中間体IVaを提供する。DCE等の溶媒中でのAlCl3等のルイス酸によって促進されるIVaのメトキシ基からフェノール性ヒドロキシル基への変換、及び結果として得られたフェノール性ヒドロキシル基とエポキシドIa-Bとの反応により、Ia-Cの式の化合物がもたらされる。Iaにおける官能基に依存して、Ia-Cのピリジン部分は、適宜SNAr置換等の反応を介して更に修飾することができる。
【0199】
【化24】
【0200】
式Iの化合物の合成のさらなる例示として、式Ibの化合物の合成手法の1つは、スキーム3に概説されている。Ia-A中のヒドロキシル基からOTf等の脱離基への変換により、Ib-Aがもたらされる。ハロゲン化物Ib-Aとボロン酸Vbとの間の鈴木クロスカップリングで、Ib-Bを得る。Ib-Bのピリジン部分のさらなる官能化は、SNAr置換等の反応を介して実行され、その後、他の必要な誘導体化反応が続いて、式Ibの化合物を得ることができる。
【0201】
【化25】
【0202】
一部の場合において、前述の反応スキームを実施する順序は、反応を容易にするために又は望まれない反応生成物を回避するために変動することができる。以下の実施例は、本発明が、より完全に理解され得るように提供されている。これらの例は例示のみであり、本発明を限定すると決して解釈されるべきでない。
【0203】
(実施例1)
5-(6-(4-(4-フルオロベンジル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1)
【0204】
【化26】
【0205】
Tert-ブチル(6-ブロモ-4-メトキシピリジン-2-イル)カルバメート(1a)
WO2017/205536に記載されている方法に従って、Tert-ブチル(6-ブロモ-4-メトキシピリジン-2-イル)カルバメート(1a)を調製した。
【0206】
6-ブロモ-4-メトキシピリジン-2-アミン(1b)
DCM(5.0mL)及びTFA(5.0mL)中のtert-ブチル(6-ブロモ-4-メトキシピリジン-2-イル)カルバメート(1a)(1.30g、4.29mmol)の混合物を、RTで0.5hの間撹拌した。混合物を濃縮し、H2O(20mL)で希釈し、混合物をNaHCO3で中和し、EA(2×50mL)で抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮することで、標題化合物6-ブロモ-4-メトキシピリジン-2-アミン(1b)を得た。MS-ESI (m/z): 203/205 [M + 1]+
【0207】
5-ブロモ-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1c)
6-ブロモ-4-メトキシピリジン-2-アミン(1b)(200mg、1.00mmol)及びDMF-DMAの混合物を、100℃で1hの間撹拌した。混合物を濃縮し、AcCN(3.0mL)中に溶解させ、2-ブロモアセトニトリル(480mg、4.00mmol)を添加し、80℃で6hの間撹拌した。次いで、混合物をRTに冷却し、DIPEA (645mg、5.00mmol)を添加し、2hの間撹拌した。沈殿物を濾過によって回収し、乾燥することで、標題化合物5-ブロモ-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1c)を得た。MS-ESI (m/z): 252/254 [M + 1]+
【0208】
5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1d)
ジオキサン(3mL)及び2M Na2CO3水溶液(0.42ml)中の5-ブロモ-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-3-カルボニトリル(1c)(70mg、0.28mmol)、(4-フルオロフェニル)ボロン酸(47mg、0.33mmol)及びPd(PPh3)4(16mg、0.014mmol)の混合物を、80℃でN2雰囲気下にて6hの間撹拌した。混合物を濃縮し、DCM/MeOH(30:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1d)を得た。MS-ESI (m/z): 269 [M + 1]+
【0209】
5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1e)
DCE(10mL)中の5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1d)(270mg、1.00mmol)及びAlCl3 (540mg、4.00mmol)の混合物を、80℃で6hの間撹拌した。混合物をNa2SO4.10H2Oでクエンチし、r.t.で1hの間撹拌した。次いで、混合物を濾過し、濃縮することで、標題化合物5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1e)を得た。MS-ESI (m/z): 255 [M + 1]+
【0210】
3-シアノ-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルトリフルオロメタンスルホネート(1f)
DMA(10.0mL)中の5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1e)(254mg、1.00mmol)の溶液に、DIPEA(258mg、2.00mmol)及びN,N-ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリン(393mg、1.10mmol)を添加した。反応物をr.t.で0.5hの間撹拌した。混合物をH2Oでクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮することで、残渣を得た。残渣を、石油エーテル/EtOAc(10:1~5:1~2:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物3-シアノ-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルトリフルオロメタンスルホネート(1f)を得た。MS-ESI (m/z): 387 [M + 1]+
【0211】
5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1g)
ジオキサン(10mL)及び2M Na2CO3水溶液(0.78ml)中の3-シアノ-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルトリフルオロメタンスルホネート(1f)(200mg、0.520mmol)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(162mg、0.780mmol)及びPd(PPh3)4(60.0mg、0.0520mmol)の混合物を、80℃でN2雰囲気下にて2hの間撹拌した。混合物を濃縮し、DCM/MeOH(30:1~20:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1g)を得た。MS-ESI (m/z): 319 [M + 1]+
【0212】
Tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(1h)
DMSO(4mL)中の5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ-[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1g)(100mg、0.314mmol)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(117mg、0.628mmol)及びK2CO3(217mg、1.57mmol)の混合物を、120℃でN2雰囲気下にて15hの間撹拌した。混合物をRTに冷却し、H2Oで希釈し、DCM(3×50mL)で抽出した。有機相をH2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、DCM/MeOH(100:1~40:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(1h)を得た。MS-ESI (m/z): 485 [M + 1]+
【0213】
7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(6-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1i)
DCM(4mL)中のtert-ブチル4-(5-(3-シアノ-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(1h)(110mg、0.227mmol)の溶液に、TFA(1ml)を添加した。混合物をRTで1hの間撹拌した。混合物を濃縮した。残渣を飽和NaHCO3水溶液(20mL)で希釈し、DCM/MeOH(10:1)(4×20ml)で抽出した。有機相をH2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、DCM/MeOH(50:1~10:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(6-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1i)を得た。MS-ESI (m/z): 385 [M + 1]+
【0214】
5-(6-(4-(4-フルオロベンジル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1)
DCM(1mL)中の7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(6-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1i)(10mg、0.026mmol)の溶液に、4-フルオロベンズアルデヒド(6.4mg、0.052mmol)、続いてNaBH(OAc)3(17mg、0.078mmol)を添加した。次いで、混合物をRTで0.5hの間撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液に注ぎ入れ、DCM(4×20ml)で抽出した。有機相をH2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、DCM/MeOH(20:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって、精製することで標題化合物5-(6-(4-(4-フルオロベンジル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1)を得た。MS-ESI (m/z): 493 [M + 1]+
【0215】
(実施例2)
5-(6-(4-(6-メトキシニコチノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(2)
【0216】
【化27】
【0217】
DCM(1.0mL)中の7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(6-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1i)(10mg、0.026mmol)の溶液に、6-メトキシニコチン酸(6.0mg、0.039mmol)、EDCI(15mg、0.078mmol)、HOBT(11mg、0.078mmol)、続いてTEA(8.0mg、0.083mmol)を添加した。RTで終夜の間撹拌された後、混合物を濃縮し、残渣を、DCM/MeOH(30:1~10:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物5-(6-(4-(6-メトキシニコチノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(2)を得た。MS-ESI (m/z): 520 [M + 1]+
【0218】
実施例1~2について記載されている同じ手順に基本的に従って、Table 1(表1)にリストされている実施例3~55を、市販で利用可能であるか又は文献において知られているかのいずれかである適切な出発材料から調製した。実施例3~55の構造及び名称は、Table 1(表1)中に示されている。
【0219】
【表1A】
【0220】
【表1B】
【0221】
【表1C】
【0222】
【表1D】
【0223】
【表1E】
【0224】
【表1F】
【0225】
【表1G】
【0226】
(実施例56)
7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(56)
【0227】
【化28】
【0228】
5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(56a)
DMF(1mL)中の5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1e)(25.0mg、0.100mmol)、2,2-ジメチルオキシラン(72.0mg、1.00mmol)及びK2CO3(41.0mg、0.300mmol)の混合物を、80℃で密閉チューブ中にて終夜の間撹拌した。混合物をRTに冷却し、H2Oで希釈し、EA(4×50mL)で抽出した。有機相をH2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、DCM/MeOH(100:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(56a)を得た。MS-ESI (m/z): 327 [M + 1]+
【0229】
7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(56)
1の合成方法に従って、5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1g)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート及び4-フルオロベンズアルデヒドを、5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(56a)、tert-ブチル3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボキシレート及び6-メトキシニコチンアルデヒドと置き換えることによって、標題化合物7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(56)を調製した。MS-ESI (m/z): 526 [M + 1]+
【0230】
(実施例57A/B)
7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57A及び57B)
【0231】
【化29】
【0232】
メチル1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロパン-1-カルボキシレート(57a)
DMF中のメチル1-ヒドロキシシクロプロパン-1-カルボキシレート(2.32g、20.0mmol)及びイミダゾール(1.43g、21.0mmol)の溶液に、0℃で、TBSCl(3.17g、21.0mmol)を添加した。次いで、混合物をRTで終夜の間撹拌した。混合物をH2Oで希釈し、Et2Oで抽出し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮することで、標題化合物メチル1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロパン-1-カルボキシレート(57a)を得た。MS-ESI (m/z): 231 [M + 1]+
【0233】
(1-((Tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メタノール(57b)
THF中の1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロパン-1-カルボキシレート(57a)(4.60g、20.0mmol)の溶液に、0℃で、DIBAL(トルエン中1.5Mの溶液、33.3mL、50.0mmol)を滴下により添加し、RTで1.5hの間N2下で撹拌した。混合物を0℃に冷却し、0.5M酒石酸カリウムナトリウム四水和物水溶液(30mL)でクエンチした。混合物をEt2Oで希釈し、RTで15minの間撹拌した。濾過され、濾液をH2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮することで、標題化合物(1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メタノール(57b)を得た。MS-ESI (m/z): 203 [M + 1]+
【0234】
7-((1-((Tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57c)
THF/DCM(1mL/1mL)中の5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1e)(50.0mg、0.196mmol)、(1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メタノール(57b)(120mg、0.594mmol)、PPh3(157mg、0.599mmol)及びDIAD(120mg、594mmol)の混合物を、RTでN2下にて終夜の間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を、PE/EtOAc(5:1~3:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物7-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57c)を得た。MS-ESI (m/z): 439 [M + 1]+
【0235】
5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57d)
THF(2mL)中の7-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57c)(18.0mg、0.041mmol)及びTBAF(THF中1mol/L)(0.2mL)の混合物を、RTで1hの間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮することで、標題化合物5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57d)を得た。MS-ESI (m/z): 325 [M + 1]+
【0236】
Tert-ブチル3-(5-(3-シアノ-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボキシレート(57e)
DMSO(1mL)中の5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57d)(17.0mg、0.0523mmol)、tert-ブチル3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボキシレート(16.0mg、0.0785mmol)及びKOAc(11.0mg、0.105mmol)の混合物を、80℃で終夜の間撹拌した。混合物をRTに冷却し、EtOAcで希釈し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、PE/EA(1:2)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物tert-ブチル3-(5-(3-シアノ-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボキシレート(57e)を得た。MS-ESI (m/z): 503 [M + 1]+
【0237】
5-(6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57f-A)及び(57f-B)
HCl/EA(4M、1mL)中のtert-ブチル3-(5-(3-シアノ-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル)ピリジン-2-イル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボキシレート(57e)(7.0mg、0.014mmol)の混合物を、RTで1hの間撹拌した。反応溶液を濃縮し、標題化合物5-(6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57f-A)及び(57f-B)の塩酸塩の混合物を得た。MS-ESI (m/z): 403 [M + 1]+
【0238】
7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57A)
1の合成方法に従って、4-フルオロベンズアルデヒド及び7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(6-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1i)を、6-メトキシニコチンアルデヒド、5-(6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57f-A)及び(57f-B)と置き換えることによって、標題化合物7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57A)を調製した。分取TLCによる精製後に、上部スポットを、標題化合物7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57A)として分離した。MS-ESI (m/z): 524 [M + 1]+
【0239】
7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57B)
1の合成方法に従って、4-フルオロベンズアルデヒド及び7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(6-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1i)を、6-メトキシニコチンアルデヒド、5-(6-(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57f-A)及び(57f-B)と置き換えることによって、標題化合物7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57B)を調製した。分取TLCによる精製後に、より低いスポットを、標題化合物7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57B)として分離した。MS-ESI (m/z): 524 [M + 1]+
【0240】
(実施例58)
7-(2-((ジメチル(オキソ)-λ6-スルファニリデン)アミノ)エトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(58)
【0241】
【化30】
【0242】
5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(2-オキソエトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(58a)
DMSO(2mL)中の5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1e)(50.0mg、0.196mmol)、2-ブロモ-1,1-ジメトキシエタン(132mg、0.786mmol)及びK2CO3(35.0mg、0.978mmol)の混合物を、100℃で終夜の間撹拌した。混合物をRTに冷却し、EtOAcで希釈し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をDCM(2mL)中に溶解し、次いでTFA(1mL)を添加した。混合物をRTで4hの間撹拌し、濃縮することで、標題化合物5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(2-オキソエトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(58a)を得た。MS-ESI (m/z): 297 [M + 1]+
【0243】
7-(2-((ジメチル(オキソ)-λ6-スルファニリデン)アミノ)エトキシ)-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(58b)
DCM(2mL)中の5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(2-オキソエトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(58a)(59.0mg、0.199mmol)及びイミノジメチル-λ6-スルファノン(60.0mg、0.638mmol)の溶液を、RTで1hの間撹拌した。次いで、NaBH(OAc)3(212mg、1.00mmol)を添加し、混合物をRTで0.5hの間撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液で希釈し、DCM/MeOH(10:1)で抽出した。有機相をH2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を分取TLCによって精製することで、標題化合物7-(2-((ジメチル(オキソ)-λ6-スルファニリデン)アミノ)エトキシ)-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(58b)を得た。MS-ESI (m/z): 374 [M + 1]+
【0244】
7-(2-((ジメチル(オキソ)-λ6-スルファニリデン)アミノ)エトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(58)
1の合成方法に従って、5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1g)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート及び4-フルオロベンズアルデヒドを、7-(2-((ジメチル(オキソ)-λ6-スルファニリデン)アミノ)エトキシ)-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(58b)、tert-ブチル3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボキシレート及び6-メトキシニコチンアルデヒドと置き換えることによって、標題化合物7-(2-((ジメチル(オキソ)-λ6-スルファニリデン)アミノ)エトキシ)-5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(58)を調製した。MS-ESI (m/z): 573 [M + 1]+
【0245】
(実施例59)
5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-7-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(59)
【0246】
【化31】
【0247】
5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(59a)
DMF(1mL)中の5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1e)(25mg、0.098mmol)、2-(トリフルオロメチル)オキシラン(112mg、1.00mmol)及びK2CO3(41mg、0.297mmol)の混合物を、80℃で密閉チューブ中にて3hの間撹拌した。混合物をrtに冷却し、EtOAcで希釈し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、DCM/MeOH(20:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(59a)を得た。381 [M + 1]+
【0248】
5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-7-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(59)
1の合成方法に従って、5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1g)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート及び4-フルオロベンズアルデヒドを、5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(59a)、tert-ブチル3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-6-カルボキシレート及び6-メトキシニコチンアルデヒドと置き換えることによって、標題化合物5-(6-(6-((6-メトキシピリジン-3-イル)メチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-イル)ピリジン-3-イル)-7-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(59)を調製した。MS-ESI (m/z): 580 [M + 1]+
【0249】
(実施例60)
7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-5-(6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(60)
【0250】
【化32】
【0251】
Tert-ブチル4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(60a)
THF(10mL)中のtert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(840mg、4.18mmol)、6-メトキシピリジン-3-オール(500mg、4.00mmol)、PPh3(1.36g、5.20mmol)及びDIAD(1.05g、5.20mmol)の混合物を、40℃でN2雰囲気下にて3hの間撹拌した。混合物をRTに冷却し、濃縮した。残渣を、PE/EtOAc(20:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物tert-ブチル4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(60a)を得た。MS-ESI (m/z): 309 [M + 1]+
【0252】
2-メトキシ-5-(ピペリジン-4-イルオキシ)ピリジン(60b)
HCl/EA(4M、1mL)中のtert-ブチル4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(60a)の混合物を、RTで1hの間撹拌した。混合物を濃縮した。残渣をH2Oで希釈し、PE/EtOAc(1:1)で洗浄した。水性層をpH=8に調整した。DCMで抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮することで、標題化合物2-メトキシ-5-(ピペリジン-4-イルオキシ)ピリジン(60b)を得た。MS-ESI (m/z): 209 [M + 1]+
【0253】
7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-5-(6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(60)
1hの合成方法に従って、5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1g)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートを、5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(56a)及び2-メトキシ-5-(ピペリジン-4-イルオキシ)ピリジン(60b)と置き換えることによって、標題化合物7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-5-(6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(60)を調製した。MS-ESI (m/z): 515 [M + 1]+
【0254】
(実施例61)
7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-5-(6-(4-((6-(メトキシ-d3)ピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(61)
【0255】
【化33】
【0256】
5-ブロモ-2-(メトキシ-d3)ピリジン(61a)
CD3OD(1mL)中の2,5-ジブロモピリジン(237mg、1.00mmol)及びNaOH(40mg、1.00mmol)の混合物を、70℃で終夜の間撹拌した。混合物を濃縮した。残渣をDCM中に溶解し、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、PE/EtOAc(10:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物5-ブロモ-2-(メトキシ-d3)ピリジン(61a)を得た。MS-ESI (m/z): 191/193 [M + 1]+
【0257】
(6-(メトキシ-d3)ピリジン-3-イル)ボロン酸(61b)
THF(5mL)中の5-ブロモ-2-(メトキシ-d3)ピリジン(61a)(949mg、4.99mmol)の溶液に、n-BuLi(ヘキサン中2.5M、3mL、7.50mmol)を-78℃で添加した。混合物を-78℃で5minの間撹拌し、ホウ酸トリイソプロピル(1.41g、7.5mmol)を滴下により添加した。混合物をRTに加温し、1hの間撹拌した。反応物をHCl(1N)でクエンチし、pH=7にNaOH (3N)で調整し、EtOAcで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮することで、(6-(メトキシ-d3)ピリジン-3-イル)ボロン酸(61b)の粗生成物が得られ、これを更に精製することなく次のステップのために使用した。MS-ESI (m/z): 157 [M + 1]+
【0258】
6-(メトキシ-d3)ピリジン-3-オール(61c)
THF(45mL)中の(6-(メトキシ-d3)ピリジン-3-イル)ボロン酸(61b)(660mg、4.23mmol)の溶液に、NaOH水溶液(2M、10.6mL)を0℃で、続いてH2O2(30%、3.8mL、33.8mmol)を添加し、2hの間撹拌した。混合物を飽和Na2S2O3水溶液(20mL)で希釈し、0℃で0.5hの間撹拌し、MTBEで洗浄した。水性層をpH=2に濃HClで調整し、EtOAcで抽出し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、PE/EtOAc(5:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物6-(メトキシ-d3)ピリジン-3-オール(61c)を得た。MS-ESI (m/z): 129 [M + 1]+
【0259】
7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-5-(6-(4-((6-(メトキシ-d3)ピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(61)
60の合成方法に従って、6-メトキシピリジン-3-オールを6-(メトキシ-d3)ピリジン-3-オール(61c)と置き換えることによって、標題化合物7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-5-(6-(4-((6-(メトキシ-d3)ピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(61)を調製した。MS-ESI (m/z): 518 [M + 1]+
【0260】
(実施例62)
5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62)
【0261】
【化34】
【0262】
(5,6-ジフルオロピリジン-3-イル)ボロン酸(62a)
ジオキサン(10mL)中の5-ブロモ-2,3-ジフルオロピリジン(600mg、3.09mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(1.2g、4.72mmol)、Pd(dppf)Cl2(110mg、0.150mmol)及びKOAc(882mg、9.00mmol)の混合物を、100℃でN2雰囲気下にて終夜の間撹拌した。混合物をRTに冷却し、セライトに通して濾過した。フィルターケーキをEtOAcで洗浄した。合わせた濾液を濃縮することで、標題化合物(5,6-ジフルオロピリジン-3-イル)ボロン酸(62a)を得た。MS-ESI (m/z): 160 [M + 1]+
【0263】
(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)ボロン酸(62b)
ジオキサン(5mL)中の(5,6-ジフルオロピリジン-3-イル)ボロン酸(62a)(94mg、0.585mmol)、2-メトキシ-5-(ピペリジン-4-イルオキシ)ピリジン(60b)(129mg、0.620mmol)及びK2CO3(849mg、6.15mmol)の混合物を、80℃で終夜の間撹拌した。混合物をRTに冷却し、濃縮した。残渣を、DCM/MeOH(100:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)ボロン酸(62b)を得た。MS-ESI (m/z): 348 [M + 1]+
【0264】
5-ブロモ-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62c)
DCE(10mL)中の5-ブロモ-7-メトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1c)(820mg、3.25mmol)及びAlCl3(2.17g、16.3mmol)の混合物を、80℃で1.5hの間撹拌した。混合物をRTに冷却し、THF(20mL)で希釈し、Na2SO4 .10H2O(10g)を添加し、次いで、RTで0.5hの間撹拌した。混合物をセライトに通して濾過し、THFで洗浄し、濾液を濃縮することで、標題化合物5-ブロモ-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62c)の粗生成物を得た。MS-ESI (m/z): 238/240 [M + 1]+
【0265】
5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62d)
ジオキサン(1mL)及びNa2CO3水溶液(2M、0.15ml)中の5-ブロモ-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62c)(24.0mg、0.101mmol)、(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)ボロン酸(62b)(52.0mg、0.149mmol)及びPd(PPh3)4(6.00mg、0.00519mmol)の混合物を、90℃でN2雰囲気下にて6hの間撹拌した。混合物をRTに冷却し、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、DCM/MeOH(10:1)で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製することで、標題化合物5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62d)を得た。MS-ESI (m/z): 461 [M + 1]+
【0266】
5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62)
DMF(1mL)中の5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62d)(33.0mg、0.0717mmol)、2,2-ジメチルオキシラン(52.0mg、0.722mmol)及びK2CO3(30.0mg、0.219mmol)の混合物を、80℃で密閉チューブ中にて終夜の間撹拌した。混合物をRTに冷却し、H2Oで希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をH2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残渣を分取TLC(DCM/MeOH=15:1)によって精製することで、標題化合物5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62)を得た。MS-ESI (m/z): 533 [M + 1]+
【0267】
(実施例63)
5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(63)
【0268】
【化35】
【0269】
5-ブロモ-7-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(63a)
57cの合成方法に従って、5-(6-フルオロピリジン-3-イル)-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(1e)を5-ブロモ-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62c)と置き換えることによって、標題化合物5-ブロモ-7-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(63a)を調製した。MS-ESI (m/z): 422/424 [M + 1]+
【0270】
7-((1-((Tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)-5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(63b)
62dの合成方法に従って、5-ブロモ-7-ヒドロキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(62c)を5-ブロモ-7-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(63a)と置き換えることによって、標題化合物7-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)-5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(63b)を調製した。MS-ESI (m/z): 645 [M + 1]+
【0271】
5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(63)
57dの合成方法に従って、7-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)-5-(6-フルオロピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(57c)を7-((1-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)シクロプロピル)メトキシ)-5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(63b)と置き換えることによって、標題化合物5-(5-フルオロ-6-(4-((6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-((1-ヒドロキシシクロプロピル)メトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-カルボニトリル(63)を調製した。MS-ESI (m/z): 531 [M + 1]+
【0272】
実施例56~63について記載されているものと同じ手順に基本的に従って、Table 2(表2)にリストされている実施例64~97を、市販で利用可能であるか又は文献において知られている適切な出発材料から調製した。実施例64~97の構造及び名称は、Table 2(表2)に示されている。
【0273】
【表2A】
【0274】
【表2B】
【0275】
【表2C】
【0276】
【表2D】
【0277】
【表2E】
【0278】
細胞増殖アッセイ
MTS試験用キットをPromega社から購入した。RPMI-1640、F12、F12K、ウシ胎児血清及びペニシリン-ストレプトマイシンをBI社から購入した。グルタミン及びジメチルスルホキシド(DMSO)をSigma社から購入した。TT細胞を、10% FBSが補充されたF12K中で培養し、LC-2/ad細胞を、10% FBS及び2mMグルタミンが補充されたHamF12: RPMI1640(1:1)中で培養した。
【0279】
化合物が、細胞においてRET融合及び/又は突然変異の活性を阻害するかどうかを調査するため、TT(RET C634W)及びLC-2/ad(CCDC6-RET)細胞株を使用する機序ベースのアッセイを開発した。このアッセイにおいて、RET融合及び/又は突然変異の阻害をTT及びLC-2/ad細胞の細胞増殖の阻害によって反映させた。細胞を96ウェルプレート中に最適化された細胞密度(TT:5000細胞/ウェル;LC-2/ad:5000細胞/ウェル)で平板培養した。プレートを37℃で5%のCO2にて24hの間インキュベートした。化合物を系列希釈し、10000nM、3333.3nM、1111.1nM、270.4nM、123.5nM、41.2nM、13.7nM、4.6nM及び1.5nMのような最終濃度でプレートに添加した。プレートを37℃で5%のCO2にて72hの間インキュベートした。20μLのMTS/100μLの培地混合物溶液のアリコートを各ウェルに添加し、プレートを正確に2hの間インキュベートした。25μLの10% SDSを各ウェルに添加することによって、反応を停止させた。吸光度をマイクロプレートリーダーによって490nmで及び650nm(参照波長)によって測定した。GraphPad Prism 5.0を使用して、IC50を算出した。
【0280】
上に記載されている通りに調製された選択化合物を、本明細書に記載されている生物学的手順に従ってアッセイした。結果は、Table 2(表3)に示されている。
【0281】
【表3A】
【0282】
【表3B】
【国際調査報告】