(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ポリエステル粉末及び3次元印刷プロセスにおけるその使用
(51)【国際特許分類】
B29C 64/153 20170101AFI20220104BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20220104BHJP
C08J 11/22 20060101ALI20220104BHJP
C08G 63/183 20060101ALI20220104BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20220104BHJP
C08K 7/20 20060101ALI20220104BHJP
B29C 64/357 20170101ALI20220104BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20220104BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220104BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20220104BHJP
【FI】
B29C64/153
B29B17/02 ZAB
C08J11/22
C08G63/183
C08L67/02
C08K7/20
B29C64/357
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021517805
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(85)【翻訳文提出日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 NL2019050707
(87)【国際公開番号】W WO2020085912
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521400615
【氏名又は名称】コベストロ (ネザーランズ) ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ベンタム, ルドルフス アントニウス テオドロス マリア
(72)【発明者】
【氏名】デルクス, フランシスカス ヨハネス マリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィッターズ, スタイン
(72)【発明者】
【氏名】ボーガールツ, アドリアヌス コルネリス バスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン, フランシスカス アドリアヌス コルネリス
【テーマコード(参考)】
4F213
4F401
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4F213AA24
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4J029KE15
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4J029KF07
(57)【要約】
本発明は、3D印刷プロセスにおける使用に適したポリエステル粉末、このようなポリエステル粉末を3D印刷プロセスで使用する方法、及びその製造方法に関する。本発明に従って調製されるポリエステル粉末は、このようなポリエステル粉末が3D印刷条件にさらされた後に容易にリサイクルされる。さらに、本発明は、廃棄ポリエステル粉末を3D印刷に適したポリエステル粉末に再生するリサイクルプロセスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造プロセスにより物体を形成する方法であって、
a.微粒子組成物の層を提供するステップであって、前記微粒子組成物が、融点開始温度(T
m,onset)、結晶化開始温度(T
c,onset)、及び焼結性領域(T
m,onset-T
c,onset)を有するポリエステル粉末を含み、前記ポリエステル粉末の焼結性領域が、ISO11357-1(2009)に従って決定したときに14℃よりも大きいステップと、
b.任意選択的に、前記微粒子組成物の層の上に液体組成物を選択的に付着させるステップであって、前記微粒子組成物又は前記液体組成物の少なくとも1つが融剤を含むステップと、
c.(i)前記微粒子組成物の層上の特定の位置、又は
(ii)前記液体組成物が前記微粒子組成物の上に選択的に付着された位置
のうちの少なくとも1つに対して電磁放射線を適用するステップであって、形成される3次元物体の一部に対応するコンピュータデータに従って、前記電磁放射線及び/又は前記液体組成物が適用された位置の少なくとも一部において、前記微粒子組成物が融解を受けて融合セクションを形成するステップと、
d.ステップ(a)、任意選択的に(b)、及び(c)を複数回繰り返して、融合した3次元物体を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ポリエステル粉末が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はそのコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリエステル粉末が、H-NMRで決定したときに20000g/mol~50000g/molの数平均分子量を有し、前記ポリエステル粉末の焼結性領域が14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記微粒子組成物が1つ又は複数の添加剤をさらに含み、前記添加剤が、難燃剤、流動助剤、充填剤、顔料、又は安定剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリエステル粉末がポリマー配合物粉末であり、1つ又は複数の難燃剤又はガラスビーズが前記ポリエステル粉末内に配合される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエステル粉末が30~80μm、又は40~60μmのD50粒径を有し、D50がISO13320-1に従って決定される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
9000g/mol未満、又は好ましくは1000g/mol~5000g/mol、又は2000g/mol~4000g/molの数平均分子質量を有するオリゴエステルを提供するステップと、
任意選択的に、前記オリゴエステルを微粉化して、オリゴエステル粉末を形成するステップと、
任意選択的に、前記オリゴエステル又はオリゴエステル粉末をエマルション凝固させて、エマルション凝固オリゴエステル粉末を形成するステップと、
前記オリゴエステル粉末又はエマルション凝固オリゴエステル粉末に固相後縮合(SSPC)プロセスを受けさせるステップと
を含むプロセスによって、前記ポリエステル粉末が形成され、前記微粉化ステップ若しくは前記エマルション凝固ステップのいずれか、又は両方が実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴエステルが、触媒の存在下、140~230℃の温度でテレフタル酸(TPA)ベースの化合物及びヒドロキシル含有化合物を結合させてオリゴエステルを形成することによって提供される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記微粉化ステップが粉砕を含み、前記粉砕がさらに、低温粉砕、ジェット粉砕、又は機械的研削プロセスを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記粉砕ステップがジェット粉砕又は機械的研削プロセスを含み、前記ジェット粉砕又は機械的研削プロセスが、15~35℃、又は15~30℃の温度で実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記エマルション凝固ステップが、シリコーンオイル又はイオン性液体溶媒中でのオリゴエステル又はオリゴエステル粉末の乳化を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記SSPCステップがさらに、以下のステップ:
(i)前記オリゴエステル粉末又はエマルション凝固オリゴエステル粉末を、165℃よりも高い温度で少なくとも5時間、又は5~80時間加熱するステップ、
(ii)任意選択的に、前記加熱の間に0.01ミリバール(mbar)~10mbarの圧力で真空を適用するステップ、及び
(iii)任意選択的に、前記加熱の間に不活性ガスを適用するステップ
のうちの1つ又は複数を含み、前記加熱ステップが、前記オリゴエステル粉末又はエマルション凝固粉末を、
A.前記オリゴエステル粉末若しくはエマルション凝固オリゴエステル粉末の融点よりも最大10℃低い温度、又は
B.前記オリゴエステル粉末若しくはエマルション凝固オリゴエステル粉末のT
m,onsetよりも低い温度
のいずれかの温度まで加熱することを含み、融点及びT
m,onsetがISO11357-3(2009)に従って決定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記TPAベースの化合物がTPA若しくはジメチルテレフタレートを含むか、TPA若しくはジメチルテレフタレートからなるか、又はTPA若しくはジメチルテレフタレートから本質的になり、前記ヒドロキシル含有化合物が1,4-ブタンジオールを含むか、1,4-ブタンジオールからなるか、又は1,4-ブタンジオールから本質的になり、前記オリゴエステルがオリゴブチレンテレフタレート(OBT)を含むか、オリゴブチレンテレフタレート(OBT)からなるか、又はオリゴブチレンテレフタレート(OBT)から本質的になる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリエステル粉末がPBT若しくはそのコポリマーから本質的になるか、又はPBT若しくはそのコポリマーからなり、前記PBT若しくはそのコポリマーが、14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間の焼結性領域を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリエステル粉末がPBTハードブロックを有するコポリマーを含むか、PBTハードブロックを有するコポリマーから本質的になるか、又はPBTハードブロックを有するコポリマーからなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリエステル粉末が二量体脂肪酸、ブタンジオール、ジメチルテレフタレート、若しくはポリテトラヒドロフランの反応生成物であるブロックを有するコポリマーを含むか、前記コポリマーから本質的になるか、又は前記コポリマーからなる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記コポリマーのT
m,onsetが少なくとも120℃、又は少なくとも130℃、又は少なくとも140℃、又は少なくとも150℃、又は少なくとも160℃、又は少なくとも175℃、又は少なくとも185℃、又は少なくとも200℃、又は120℃~250℃の間、又は130℃~240℃の間、又は150℃~230℃の間である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリエステル粉末のT
m,onsetが少なくとも210℃、又は少なくとも220℃、又は少なくとも225℃、又は220℃~250℃、又は225℃~240℃、又は220℃~230℃、又は235℃~250℃、又は225℃~230℃である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(b)が実行され、さらに、前記融剤が前記微粒子組成物の融解を促進すると共に、エネルギー吸収剤、熱開始剤、又は光開始剤をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリエステル粉末がリサイクル粉末を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
[0001]本発明は、3D印刷のための特定のポリエステル粉末、3D印刷プロセスにおけるその使用、及びその製造方法に関する。さらに、本発明は、特定のポリエステル粉末を含有する組成物と、それから製造される3D印刷物品と、特定のポリエステル粉末を含有する組成物を用いて3D印刷物品を製造する方法とに関する。さらに、本発明は、特定のポリエステル粉末をリサイクルする方法に関する。
【0002】
[背景]
[0002]様々な付加製造プロセスが知られており、使用されている。造形媒体として粉末を利用するこのようなプロセスの一部のプロセスは、いくつかの最終用途のために特に有用である。このような粉末ベースの付加製造プロセスには、選択的レーザー焼結(SLS)、高速焼結(HSS)、又はマルチジェットフュージョン(MultiJetFusion)(MJF)が含まれる。このようなプロセス間の違いは知られているが、粉末ベースの付加製造法は全て、通常、レーザーなどの高密度で高エネルギーの放射線源を適用して、粒子の一部を選択的に融解又は溶融させて所望の形状にすることを含む。制御メカニズムは、多くの場合は層ごとに、特定の境界内に配置された粉末を溶融するために、レーザーの経路及び強度の両方を指示する働きをする。各層、又は「スライス」は、特定の厚さで造形される最終コンポーネントの断面を表す。機械制御は、逐次的な粉末の層を焼結させるように選択的に作用し、互いに焼結された複数のスライスを含む完成部品を生じさせる。好ましくは、機械制御メカニズムはコンピュータ指向性であり、様々なフォーマットのCADファイルを利用して、各スライスについて画定境界を決定する。
【0003】
[0003]部品は、焼結可能な粉末の第1の部分を部品床の標的表面に付着させ、指向性レーザーを標的表面全体に走査し、標的表面上の粉末の第1の部分の第1の層を焼結させて、第1のスライスを形成することによって製造され得る。したがって、粉末は、粉末を焼結させるのに十分なエネルギー又はフルエンスを用いて第1のスライスを画定する境界内で指向性レーザービームを操作することによって焼結される。第1のスライスは、部品の第1の断面領域に相当する。
【0004】
[0004]次に、粉末の第2の部分が部品床の表面及びその上にある第1の焼結スライスの表面に付着され、第1の焼結スライスを覆う粉末全体に指向性レーザービームが走査される。したがって、粉末の第2の部分の第2の層は、第2のスライスを次に画定する境界内でレーザービームを操作することによって焼結される。第2の焼結スライスは、それを第1のスライスに焼結させるのに十分な温度で形成され、2つのスライスは融合して、造形される物体の単一の部分になる。粉末の連続的な層は前に焼結されたスライス上に付着され、各層は順に焼結されて、追加のスライスを形成する。
【0005】
[0005]粉末ベースの付加製造プロセスにおいて様々な種類の材料が使用され得る。多数の熱可塑性樹脂、金属又はセラミックが一般的に使用される。熱可塑性粉末は、数多くの最終用途のために適切であり得る様々な種類の特性を有する3次元コンポーネントの作製を促進するという理由で好ましい。好ましいポリマー粉末は、より結晶性の熱可塑性材料と比較して改善されたその焼結性のために、半結晶性熱可塑性樹脂を含む。
【0006】
[0006]粉末ベースの付加製造プロセスにおいて使用される可能性のある熱可塑性ポリマーのタイプには、ポリオレフィン、ポリアリールケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールケトン、液晶ポリマー、ポリアセタール、及びフルオロケミカル樹脂が含まれる。
【0007】
[0007]ポリオレフィンの特定の例としては、制限なく、ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
【0008】
[0008]ポリアリールケトンの特定の例としては、制限なく、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、及びポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)が挙げられる。
【0009】
[0009]多数のポリアミド(様々な理由から、必ずしもその全てが付加製造プロセスでの使用に適しているとは限らない)が知られている。最もよく知られているポリアミドのうちの2つは、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(PA66又はナイロン6,6)及びポリカプロラクタム(PA6又はナイロン6)である。PA6(CAS番号25038-54-4)及びPA66(CAS番号32131-17-2)はいずれも、高い引張強さ、靭性、可撓性、弾性、及び低クリープを含む優良な機械特性を有する。これらは染色するのが容易であると共に、低摩擦係数(自己潤滑性)のために優良な耐摩耗性を示す。ナイロンは、通常、高い融解温度及びガラス転移温度を有し、したがって、それから形成された固体ポリマーは、高温においても優れた機械特性を有することが可能になる。
【0010】
[0010]別の良く知られたポリアミドはナイロン6,12である。これは、ポリマー骨格中により多数のメチレン基があるために、ナイロン6,6及び6よりも親水性が低い。さらなるポリアミドには、制限なく、ポリアミド410(PA410)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、半芳香族ポリアミド4T(PA4T)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)、及びポリアミド10T(PA10T)が含まれる。またさらなる非限定的な市販のポリアミドの例としては、PA3、PA7、PA8、PA10、及びPA46が挙げられる。
【0011】
[0011]現在市販されている付加製造用の粉末の大部分はポリアミドであるが、ポリエステルは、いくつかの最終用途のために有用であり得るいくつかの利点を提供する。例えば、ナイロン6,12などのナイロンは、難燃剤などの特定の添加剤の配合を促進するのが容易ではない。むしろ、このような添加剤は、いわゆる「乾燥ブレンド」によって種々のナイロンに添加されなければならない。さらに、ポリエステルは一般に、同等のポリアミドよりも低い吸湿性を示す。
【0012】
[0012]ポリエステルは、制限なく、半芳香族コポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びこれらの他のコポリマー;脂肪族ホモポリマー、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びに脂肪族コポリマー、例えば、ポリブチレンスクシネート(PBS)を含み得る。半芳香族ポリエステルは改善された耐熱性を有することが多く、工業用途において一般的に使用される。1,4-ブタンジオール(BD)及びTPAの特定の反応によって合成されるPBTは、特にその低吸湿性能のために、ポリアミドを含む従来使用されている多数の他のポリマーよりも好ましい。これは、商品名Arnite(登録商標)でDSMを含む様々な供給源から市販されている。PBTはそのコポリマーと共に、比較的高いレベルの熱酸化安定性のために付加製造用途において潜在的に有用であると、本発明者らは考えた。
【0013】
[0013]またPBTは、PETなどの他のポリエステルと比べて、融液から比較的急速に結晶化することが広く知られている。この特徴は、より短いサイクル時間、より低いモールド温度、及び優れた寸法安定性が結果として生じるために射出成形用途では有利であるが、レーザー焼結用途における加工性をより困難にする。これは、付加製造プロセスの実行可能な動作ウィンドウが、加工される特定の材料の融解と結晶化との間のギャップに直接相関するからである。したがって、融解と結晶化との間の差分が小さいと、実行可能な動作ウィンドウが小さくなり、効果的な付加製造プロセスを達成するのが困難になる、又は潜在的に不可能になる。例えば、SLSプロセスでは、焼結されたばかりのより温かい層の上に、より冷たい新たな粉末の層が付着される。焼結された材料の融解温度と結晶化温度との間のギャップが狭すぎると、より冷たい新たな粉末は、その材料の結晶化温度よりも低い点まで温度を降下させ得る。これは、あまりにも急速に冷却された部分の変形、湾曲、又は反りを生じることがあり、さらに、適切な密度又は部品均一性のない部品をもたらし得る。
【0014】
[0014]加えて、3次元印刷プロセスにおける固有の制限に起因して、ポリマー粉末のかなりの部分は所望の形状に変換されない。この残りのポリマー粉末(廃棄物、失敗形状、凝集粒子、及びフラッシュした粉末を含む)は通常、長時間、例えば1~24時間にわたって高温(例えば、150℃を上回る)、酸素、汚染物質、及び/又は加工流体に曝露されている。このような曝露の結果として、粉末は劣化し、例えば、融解特性に影響を与え得る。したがって、材料、特に、初めに焼結性領域が狭い材料は、再研削した後でも、MJF、HSS、又はSLS印刷プロセスにおいて再び信頼性を持って使用することができない。
【0015】
[0015]付加製造用のPBT粉末を含む付加製造用の現存のポリエステルは、粒径変動のために適切に流動しない、及び/又は融解温度と結晶化温度との間の十分なギャップを提供するように形成されないので、これらは、十分な加工性/再使用性を提供しない。
【0016】
[0016]PBTなどのポリエステルにより提供される優れた機械特性の利用を可能にする、付加製造プロセスのための粉末を提供することが望ましいであろう。代替的又は付加的に、優れた流動性及び/又は添加剤配合能力を可能にする、付加製造のための粉末を提供することが望ましいであろう。代替的又は付加的に、3D印刷プロセスで使用するための適合性を改善するために、より高い融点及び/又はより大きい「焼結性の領域」(ポリマーの融点開始温度とその結晶化開始温度との差である)を有するこのような粉末を提供することが有益であり得る。最後に、優れたリサイクル性及び/又は再使用性を確実に可能にする、付加製造のためのポリエステル粉末を提供することは、さらに又は代替的に望ましいであろう。
【0017】
[簡単な概要]
[0017]本発明は、3D印刷に適したポリマー粉末を製造するプロセスに関する。本発明はさらに、本プロセスによって製造されるポリマー粉末と、ポリマー粉末を含有するポリマー組成物とに関する。
【0018】
[0018]本発明はさらに、ポリマー粉末を利用する3D印刷プロセスと、それから得られる3D物体とに関する。
【0019】
[0019]本発明はさらに、廃棄ポリマー粉末を3D印刷に適したポリマー粉末に再生するリサイクルプロセスに関する。
【0020】
[図面の簡単な説明]
[0020]本発明の例示的な実施形態及びその利点のより完全な理解は、添付図面を考慮して以下の記載を参照することによって得ることができる。同じ参照番号は、同じ又は類似の特徴を示すために図面全体を通して使用される。説明及び理解を容易にするために、図示される要素が必ずしも正確な比率であるとは限らないことを理解した上で、図面は簡略化した略図を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】サンプル材料のDSC曲線を示し、さらに、特定の材料の種々の融点及び結晶化点の決定を容易にすることがその上に示される。
【0022】
[詳細な説明]
[0022]本発明は、3D印刷に対する適切性が向上されたポリエステル粉末を提供することに関する。一般に記載されるポリマー粉末の特徴は、結晶化温度(Tc)及び融点温度(Tm)である。しかしながら、本発明者らは、粉末の融点開始温度(Tm,onset)及び結晶化開始温度(Tc,onset)が、付加製造プロセスにおける使用に対するその潜在的な適合性を評価するためのより重要な決定因子であると仮定する。これは、本明細書において数学的にΔT=(Tm,onset-Tc,onset)で表現されるこれらの値の間の差が、付加製造プロセスにおける使用に粉末が適し得ると本発明者らが推測する温度領域を表すからである。本明細書においてその「焼結性領域」と同義的に言及される粉末のΔTは、粉末を使用する付加製造プロセスにおける自然の温度変動にもかかわらず粉末が一貫して挙動し得ることを保証するために、最大にされなければならない。本発明の粉末は、従来の同じタイプの粉末よりも大きい焼結性ウィンドウを示し得る。これを達成するために、本発明の粉末は、より高いTm,onset値も示し得る。本発明の粉末は、より低いTc,onset値を代替的に示し得る。さらに、本発明の粉末は、より高いTm,onset値及びより低いTc,onset値の両方を同時に示し得る。
【0023】
[0023]本発明に従って調製されるポリマー粉末は、3D印刷プロセスにおいて3D物体を造形するために有用である。さらに、本発明に従って調製されるポリマー粉末は、このようなポリマー粉末が3D印刷条件にさらされた後にリサイクルされ得る。
【0024】
[0024]本発明はさらに、廃棄ポリマー粉末を3D印刷に適したポリマー粉末に再生するリサイクルプロセスに関する。
【0025】
[0025]ポリエステル粉末の中で、好ましいタイプは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はそのコポリマーである。好ましくは、PBTのコポリマーは、少なくとも1つのPBTブロックを有し、少なくとも5%、又は少なくとも10%モル当量のグリコールを含有する任意のコポリマーである。したがって、本発明の第1の態様は、3D印刷のためのPBT粉末を製造するためのプロセスであって、オリゴエステル、好ましくは、9000g/mol未満の数平均分子質量を有するオリゴブチレンテレフタレート又はそのコポリマー(OBT)を提供するステップと、任意選択的に、オリゴエステル又はOBTを微粉化して、オリゴエステル又はOBT粉末を形成するステップと、任意選択的に、オリゴエステル/OBT又はオリゴエステル/OBT粉末をエマルション凝固させて、エマルション凝固したオリゴエステル又はOBT粉末を形成するステップと、オリゴエステル若しくはOBT粉末又はエマルション凝固したオリゴエステル若しくはOBT粉末に固相後縮合(solid-state post condensation)を受けさせて、ポリエステル、好ましくはPBT粉末又はそのコポリマーを形成するステップとを含むプロセスであり、粉砕ステップ若しくはエマルション凝固ステップのいずれか、又は両方が実施され、そしてポリエステル又はPBT粉末は、少なくとも10℃、又は少なくとも11℃、又は少なくとも12℃、又は少なくとも13℃、又は少なくとも14℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間の焼結性領域を有する。
【0026】
[付加製造のためのPBT粉末を作製するためのプロセス]
[0026]言及されるように、PBTはそのコポリマーと共に、本発明の第1の態様に従う好ましいポリエステル粉末を表す。3D印刷プロセスのためのPBT粉末は、いくつかの方法で作製され得る。PBTのいくつかの既知の合成は、概略的に、Devroede,J.(2007).「Study of the THF formation during the TPA-based synthesis of PBT」:Technische Universiteit Eindhoven DOI:10.6100/IR630627に記載されている。PBTの形成のための一般的な方法は、触媒の存在下でのテレフタル酸(TPA)ベースの化合物とヒドロキシル含有化合物との反応を含む。
【0027】
[0027]いくつかのテレフタル酸ベースの化合物がOBT/PBTの合成において利用され得る。好ましいのはテレフタル酸(TPA)及びジメチルテレフタレート(DMT)であるが、環状ブチレンテレフタレートオリゴマーも使用され得る。
【0028】
[0028]TPAの製造と比べて、DMTの製造における重要な利点は、DMTが対応する臭化物又は酢酸を使用しないことである。これにより、高価な高耐食性反応容器の利用の必要性が除外される。さらに、DMTは、蒸留によって比較的容易に精製される。最初の商業的なDMTの合成プロセスは、硝酸を用いてパラ-キシレンの酸化によって製造された粗製TPAとメタノールとの(トランス)エステル化を含んだ。ウィッテン(Witten)プロセスの開発により、コバルト-マンガン触媒系による空気酸化が高腐食性硝酸の必要性を置き換えた。DMTへのこのプロセスは、溶媒を使用することなく2つの別個の反応器内で実施される2つの酸化及び(トランス)エステル化ステップを必要とする。
【0029】
[0029]一方、Scientific Designにより開発された(そしてAmocoにより商品化された)改善された合成法によって、パラ-キシレンの硝酸酸化に依存する以前の方法において必要とされる、高価で腐食性のプロセスは、望ましくない副生成物の多くと共に除去されたので、TPAは優先的なモノマーになった。TPAの合成のための現在の経路は、パラ-キシレンがコバルト、マンガン及び臭化物化合物から構成される触媒の存在下で空気により酸化され、良好な収率でTPAを生じさせる一段階プロセスを含む。酢酸は溶媒として一般的に使用される。
【0030】
[0030]使用されるTPAベースの化合物に関係なく、本発明の第1の態様の実施形態は、前記化合物とヒドロキシル官能性化合物との組合せに依存する。
【0031】
[0031]エチレングリコールは、PETの合成において、ヒドロキシル官能性化合物の一例として使用され得る。1,4-ブタンジオール(BD)は、PBTの合成において好ましいヒドロキシル官能性化合物であるが、少量のコモノマーが付加的に使用され得る。したがって、実施形態において、ヒドロキシル官能性化合物はBDを含む。代替の実施形態では、ヒドロキシル官能性化合物は本質的にBDからなる。代替の実施形態では、ヒドロキシル官能性化合物はBDからなる。
【0032】
[0032]ポリマーの原料としてのBDの使用は、その主要な用途の1つである。これに加えて、BDはテトラヒドロフラン(THF)にも変換され、これは次に、主として、例えばコポリエステル-エーテル又はウレタンエラストマーの製造のための低分子量ポリ(テトラメチレングリコール)(ポリTHFとしても知られている)を合成するために使用される。工業的に、ほとんどの供給業者は、レッペ(Reppe)プロセスによってBDを合成する。この経路では、ホルムアルデヒドの水溶液中に気体アセチレンが導入される。この反応のために一般的に使用される触媒は、3~6%の酸化ビスマスと組み合わせたシリカ担持酸化銅(II)である。以下において、ブチンジオールは、ニッケル又はパラジウム触媒のいずれかによって水素化される。しかしながら、BDの作製のための他の経路も知られている。
【0033】
[0033]本発明の第1の態様に従うステップ(a)の好ましいオリゴエステルであるオリゴブチレンテレフタレート(OBT)は、(トランス)エステル化反応として知られる反応において、触媒の存在下でのTPAベースの化合物及びヒドロキシル含有化合物の組合せによって作製され得る。(トランス)エステル化は、アルコールをカルボン酸と反応させることを含む既知のプロセスである。(トランス)エステル化は触媒及び適切な温度を利用して、例えば、オリゴマーを生じさせる。オリゴマーは中間の相対分子質量を有する分子であり、その構造は、より低い相対分子質量を有する分子から実際又は概念的に得られる複数の単位を含む。したがって、オリゴ-ブチレンテレフタレートは、本明細書で使用される場合、ブチレンテレフタレート単位を含むオリゴマーである。
【0034】
[0034]本明細書で使用される場合、「オリゴマー」は、600g/mol~15000g/molの数平均分子質量(Mn)を有する。本明細書で使用される場合、他に明記されない限り、「分子質量」Mn、又は「数平均分子質量」は、プロトン核磁気共鳴分光法(H-NMR)で測定したときの数平均分子質量を意味する。H-NMRは、その分子の構造を決定するために、物質の分子内の水素-1核に関してNMR分光法を適用しようとする。物質の全分子量分布の分析のために、ガス浸透(gas permeation)クロマトグラフィ(GPC)法も使用され得る。本明細書に記載される物質の分子量分布を分析するために使用される場合、GPCは、35℃において0.1wt.%のトリフルオロ酢酸カリウムを含むヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の溶液中でポリメチルメタクリレート標準物と共に利用される。
【0035】
[0035]本発明に従うOBTを形成するための(トランス)エステル化は、使用されるTPAベースの出発化合物に応じて異なる。過剰のBDの存在下でDMTの反応によりOBTが製造される(DMT経路)場合、以下のスキームに従う:
【化1】
【0036】
[0036]いわゆるDMT経路では、これらのモノマーは2段階溶融重合プロセスにおいて反応させることができ、ここでは主として(エステル交換段階とも呼ばれる第1の段階において)、溶融DMT、及びBDと触媒の混合物が第1の反応器に投入される。酸化的副反応を防止するために一般的に不活性雰囲気中で実施されるこの(トランス)エステル化反応の間に、温度は上昇され、約140℃~約230℃の温度に維持される。OBTの(トランス)エステル化のために使用される触媒に関しては、プロセスの両方の段階で1つの同じ金属錯体が使用される。一般に、テトラアルコキシチタナートが適用され、特定の共触媒と組み合わせられることが多い。実施形態において、触媒は、酢酸チタン又は酢酸マグネシウムを含む。初期反応混合物中の過剰のBDは、一般に、100%未満である。(トランス)エステル化段階の最後に、非排他的にビスヒドロキシブチルテレフタレートが形成され、実際に、ヒドロキシル末端基を有するOBTオリゴマーも見られる。メタノールがそれ以上蒸留されなければ、2つのヒドロキシブチル末端基間の正方向の重縮合反応によって放出される過剰のBDを除去するために、反応混合物は、PBTの融解温度よりも十分に高い高温(例えば、250℃~260℃の間)で真空が適用された(約1mbar)第2の反応器(第2の段階又は重縮合段階のため)に移される。このようにして、1:1化学量論が徐々に回復され、最終的に十分に高分子量のOBTを提供する。DMT経路に関するさらなる詳細は、上記で引用される「Study of the THF formation during the TPA-based synthesis of PBT」に記載されている。
【0037】
[0037]代替的に、過剰のBDの存在下でTPAの反応によりOBTが製造される(TPA経路)場合、以下のスキームに従う:
【化2】
【0038】
[0038]TPAに基づいてOBTを作製するための(トランス)エステル化プロセスは、上記のDMTベースの経路と非常に類似している。このアプローチでは、TPAは、(トランス)エステル化平衡を生成物、すなわちヒドロキシブチル末端官能基化OBTの方へシフトさせるためにH2Oを蒸留して、過剰のBDでエステル化される。しかしながら、DMTはプロセスの第1の反応器に液体として添加され、反応混合物と完全に混合されるが、TPAは固体であり、溶融重合に適用される温度ではBD中にわずかに溶解するだけである。したがって、第1の(トランス)エステル化反応器へ供給するために、BD中のTPAのスラリーが調製される。事実上全てのカルボン酸基がBDでエステル化されたときに、反応混合物は均質になる。その時点で、いわゆる「透明点」が到達され、DMTベースのプロセスと基本的に同一である第2の段階が開始される。TPAベースのPBTの重合において適用される触媒系は、共触媒(例えば、テレフタル酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、又は他の有機/無機塩)の添加の有無にかかわらず、ほとんどの記載されるプロセスにおいてチタン系触媒からなる。
【0039】
[0039]使用されるプロセスに関係なく、第1の態様の好ましい実施形態によると、OBTは、本発明者らに知られている現在市販されているPBTと比べて、改変された重合の結果である。すなわち、9000g/mol未満の数平均分子質量を有するように制御される。このステップでOBTの分子量をこのような値に維持すると、それに由来する最終的なPBT粉末(又はPBTコポリマー)の流動性が改善されると考えられる。これは1つには、下流の微粉化ステップで形成されるより長鎖の糸状粒子の普及率が、それにより低減されるからである。さらに、このような値を有するOBTは、下流の微粉化ステップ及び任意選択的な乳化ステップが、それに由来する粉末粒子の球形度をさらに改善するのを促進すると考えられる。これらの粉末の特徴は全て、付加製造用途において有用である。
【0040】
[0040]好ましい実施形態では、OBTは、1000g/mol~9000g/mol、又は1000g/mol~8000g/mol、又は1000g/mol~5000g/mol、又は2000g/mol~4000g/molの数平均分子質量を有する。上記の量を超える分子質量値を有するOBTは、不十分に脆い傾向がある。これは、粉砕ステップの間に変形を誘発し、付加製造用途における加工の間の適切な粉末の流動を阻害し得る望ましくない分散を有する粉末をもたらす。逆に、分子質量が低くなりすぎると、形成されるOBTはそれにより脆くなりすぎ、粉砕ステップの間に粉々になる。これもまた、最適な最終粉末の加工性にとって有害である断片及び変動をもたらすであろう。
【0041】
[0041]実施形態において、OBTの分子量分布は、本明細書に記載される本発明の方法に従う粉末製造の下流プロセスの後に、そうすることでより均一なPBT粉末が保証され得るので、できるだけ狭く維持される。
【0042】
[0042](トランス)エステル化のための適切な触媒には、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、及びゲルマニウム(Ge)を含む金属酸化物がその塩及び混合物と共に含まれるが、これらに限定されない。例えば、適切な触媒は、ZrO2、WO3、TiO2、及びMoO3であり得る。さらに別の種類の潜在的な触媒には、酸触媒及び塩が含まれる。多数の酸はプロトン源としての役割を果たし、強酸は、ポリエステルの加水分解及び(トランス)エステル化を触媒するのに特に有用である。酸触媒作用の特定の例としては、フッ化水素酸(アルキル化プロセスにおける)、リン酸、トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホネート、ヘテロポリ酸、及びゼオライトが挙げられる。特定のさらなる例としては、Sn(EtHex)2、Ti(OBu)4、Ti(N(SiCH3)2)3、Sn(tOBu)4、Zr(OBu)4、Hf(OBu)4、Zn(OAc)2、Sb2O3、Bi(OAc)3、Al(sec-OBu)3、Nd(iOPr)3、Er(iOPr)3、Yx(OBu)y.2THF、Ce(iOPr)4.iPrOH、及びGeO2が挙げられる。
【0043】
[0043]純粋なOBT/PBTに加えて、これらのコポリマーが知られている。このようなコポリマーは、好ましくは、ハードセグメント及びソフトセグメントを含む。
【0044】
[0044]ハードセグメントは、好ましくは、エチレンテレフタレート(PET)、プロピレンテレフタレート(PPT)、ブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンビベンゾアート、ポリエテリエンナファタラート(polyethelyene naphatalate)、ポリブチレンビベンゾアート、ポリブチレンナファタラート(polybutylene naphatalate)、ポリプロピレンビベンゾアート及びポリプロピレンナファタラート(polypropylene naphatalate)並びにこれらの組合せからなる群から選択される繰返し単位を有する。好ましくは、結果として良好な加工特性、並びに優良な耐熱性及び耐薬品性を有する熱可塑性コポリエステルの作製を促進するので、ハードセグメントはブチレンテレフタレート(PBT)である。
【0045】
[0045]一方、ソフトセグメントは、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、二量体脂肪酸、二量体脂肪族ジオール、及び/又はこれらの組合せを含み得る。
【0046】
[0046]脂肪族ポリエステルから選択されるソフトセグメントは、脂肪族ジオール、及び脂肪族ジカルボン酸に由来する繰返し単位、又はラクトンに由来する繰返し単位を有する。適切な脂肪族ジオールは、一般に、2~20個のC原子、好ましくは3~15個のC原子を鎖中に含有し、脂肪族ジカルボン酸は、2~20個のC原子、好ましくは4~15個のC原子を含有する。その例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサメチレンジオール、1,4-ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、1,4-ブタンジオールが使用される。適切な脂肪族ジカルボン酸には、セバシン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、グルタル酸、2-エチルスベリン酸、シクロペンタンジカルボン酸、デカヒドロ-1,5-ナフチレンジカルボン酸、4,4’-ビシクロヘキシルジカルボン酸、デカヒドロ-2,6-ナフチレンジカルボン酸、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシル)カルボン酸及び2,5-フランジカルボン酸が含まれる。好ましい酸は、セバシン酸、アジピン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸である。最も好ましいのはアジピン酸である。
【0047】
[0047]実施形態において、ソフトセグメントは、1,4-ブタンジオール及びアジピン酸から得ることができるポリブチレンアジペート(PBA)である。ソフトセグメントは脂肪族ポリエーテルを含んでいてもよく、これはさらに、ポリアルキレンオキシド、例えば、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド及びポリテトラメチレンオキシド並びにこれらの組合せの単位を、個々のセグメントとして、又は1つのセグメント内で組み合わせて含み得る。例として、組合せには、エチレンオキシドでキャップされたポリプロピレンオキシドが含まれる。
【0048】
[0048]実施形態において、ソフトセグメントはポリテトラメチレンオキシド(PTMO)を含む。別の実施形態では、ソフトセグメントは、例えば、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)及びポリプロピレンオキシド(PPO)に基づいて、2つのタイプのグリコールが反応されてソフトセグメントが形成されたブロックコポリマーを含む。後者は、PEOがハードセグメントと最も良く反応するようにPEOブロックがソフトセグメントの端部にあるので、PEO-PPO-PEOとも呼ばれる。PTMO、PPO及びPEOに基づいたソフトセグメントは、より低密度を有する発泡体を可能にする。
【0049】
[0049]さらに他の種々の潜在的な実施形態では、ソフトセグメントは、好ましくは、少なくとも1つのアルキレンカーボネートからの繰返し単位から構成された脂肪族ポリカーボネートであり得る。
【0050】
[0050]またさらなる潜在的な他の実施形態では、ソフトセグメントは、二量体脂肪酸、二量体脂肪族ジオール、又はこれらの組合せを含み得る。二量体化脂肪酸は任意の数の炭素原子を含有し得るが、32~44個を含有するものがより好ましい。適切な二量体脂肪族ジオールは上記の二量体脂肪酸に由来することができ、例えば、二量体化脂肪酸のカルボン酸基、又はそれから作られたエステル基の水素化によって二量体化脂肪酸の誘導体として得ることができる二量体化脂肪族ジオールなどである。さらなる誘導体は、カルボン酸基、又はそれから作られたエステル基を、アミド基、ニトリル基、アミン基又はイソシアネート基に変換することによって得ることができる。
【0051】
[0051]ホモポリマー又はコポリマーの使用にかかわらず、実施形態において、ステップ(a)は、25~260℃、より好ましくは140~230℃の温度で実行され、これらの温度に維持される。
【0052】
[0052]結合ステップ(a)の後、本発明の第1の態様に従う粉末作製プロセスは、OBTを微粉化して、特に、所望の平均粒径又は粒径分布を有するOBT粉末を形成する任意選択的なステップを含む。微粉化は、本発明が適用される技術分野において知られている任意の方法によって起こり得る。
【0053】
[0053]好ましい微粉化方法は、OBTを粉砕してOBT粉末を形成することである。OBTは粉砕を受けて、意図される印刷プロセスに適した粒径を提供する。粉砕は室温又はその付近(例えば、10~30℃)で行うことができるが、低温粉砕(cryogenic milling)などの他の方法の場合はより低温であり得る。低温粉砕又は凍結粉砕(cryo-milling)では、ポリマーは、粉砕の間の装置の軟化及び目詰まりを防止するために液体窒素(N2の代替物には、固体又は液体二酸化炭素が含まれる)で冷却される。次に、粒子を所望の最大サイズよりも小さく維持するために、物理的なろ過又はふるい分けが実施され得る。
【0054】
[0054]他の周知の粉砕技術には、ジェット粉砕及び機械的粉砕が含まれる。ジェット粉砕プロセスは、例えば、圧縮した空気又は不活性ガスの高速ジェットを用いて粒子を互いに衝突させることによって材料を研削する。ジェット粉砕は、特定のサイズよりも小さい粒子を産出し、そのサイズよりも大きい粒子を連続的に粉砕するように設計又は使用することができ、得られた生成物の狭いサイズ分布をもたらす。ミルを出る粒子は、サイクロン分離によってガス流から分離することができる。
【0055】
[0055]粉砕技術、特に機械的粉砕は、ピン付ディスクミル(pinned-disk mill)、流動床対向ジェットミル(fluidized-bed opposed jet mill)、又はバッフルプレート衝撃ミル(baffle-plate impact mill)において実行され得る。使用される粉砕技術及び装置(その全ては、本発明が適用される技術分野において周知である)にかかわらず、プロセスは、得られる粒径分布が、1~650μmの範囲、又はより好ましくは1~400μm、又は例えば、10~200μm、20~100μm、若しくは40~50μmの範囲である中央粒径D50を有するように実行されなければならない。中央粒径D50は、TEM、SEM、動的光散乱、及び静的光散乱を含む種々の方法によって決定され得る。粒径を測定するための適切なデバイスの非限定的な例としては、Horiba Instruments,Inc.から入手可能なLB-550機が挙げられ、これは、動的光散乱によって粒子直径を測定する。D50中央粒径を決定するための好ましい方法は、ISO13320-1に従うレーザー回折粒径分析によるものである。
【0056】
[0056]好ましい実施形態では、OBTは、30~80μm、又は40~50μmの範囲のD50粒径を有する粒径分布になるまで粉砕される。記載されるサイズの平均粒子を有する狭い粒径分布は、それから作製される最終的な粉末の流動性を改善する傾向にあるので望ましい。これは、マルチジェットフュージョン又は選択的レーザー焼結などの粉末ベースの付加製造プロセスにおいてこのような粉末が使用される際に、優れた加工及び凝集の減少を保証する。
【0057】
[0057]好ましい実施形態では、微粉化ステップはジェット粉砕又は機械的研削プロセスを含み、ジェット粉砕又は機械的研削プロセスは、15~35℃、又は15~30℃の温度で実行される。
【0058】
[0058]微粉化の後、粒子は、粒子を丸くするために、好ましくは、ポリマーの融点開始温度又はガラス転移温度よりも低い温度で、激しいせん断を伴うミキサー内での後処理を受けることができる。流動の改善のために粒子を丸くするための粒子の他のさらなる処理は、ふるい分け、選別による分画ステップ、又は粉末流動助剤の添加であり得る。粒子を丸くすることは、球形度が増大した粒子の作製を容易にするので有利である。これは次に、3D印刷用途における適合性を最大にするための粉末の流動能力にプラスの影響を与える。
【0059】
[0059]代替の実施形態では、OBTは、任意選択的なエマルション凝固ステップも受ける。このステップは微粉化ステップの後に実行されてもよいし、或いは微粉化ステップの代わりに実行されてもよい。微粉化ステップ及びエマルション凝固ステップはいずれも個々に任意選択的であるが、本発明の第1の実施形態の好ましい態様によると、2つのステップのうちの少なくとも1つ(又は両方)が使用される。エマルションは、2つ以上の非混和性の液体の混合物である。2相エマルションにおいて、一方の液体は、いわゆる連続相の他方の液体中に液滴として分散される。本発明のOBTは、その固有の低溶融粘度によって、特に、2相エマルションにおいて加工できるようになる。
【0060】
[0060]エマルション凝固ステップは、いくつかの利点を提供する。第1に、粉砕プロセスよりも少ない廃棄物(例えば、「細かい粒子」及び「粗い粒子」)をもたらし、これは次に、より狭い優れた粒径分布を与える。また、エマルションにより付与される自然の表面張力で作り出される高度に球形の粒子の抽出は、より丸く、より流動性の粒子をもたらす。エマルションは、所望のサイズ分布を有する一連の高度に球形の粒子の捕集を容易にするので、このステップは、加工性を改善するための流動性改良剤/調整剤などの特定の添加剤への依存を除去又は低減する傾向にある。添加剤への依存の低減は次に、特性を構築するPBT(又はそのコポリマー)粉末がより高い割合で造形組成物中に使用され得るので、それから製造される物体の機械特性を改善する傾向がある。
【0061】
[0061]使用される場合、エマルション凝固ステップはそのためにOBT/OBT粉末を溶媒中に導入することを含む。溶媒は、好ましくは、プロセス全体を通して液体のままであることを保証するために高沸点を有するものである。この目的のために好ましい溶媒は、多数のイオン性液体又はシリコーンオイル、例えば、ポリジメチルシロキサン(例えば、Wacker Chemie AGからのIM-22;約2kgmol-1のMn)を含む。OBT及び溶媒を混合して、エマルションは、好ましくは、例えば約250℃まで加熱されてから、激しく攪拌される。攪拌は、例として、バッチ式重合反応器/バッチ式ガラスオートクレーブを含む任意の手段によって特定の期間行うことができる。攪拌が完了したら、又は攪拌が継続している間にも、エマルションは次に、OBTの凝固及びまだ液体である溶媒との迅速な相分離を容易にするような点(例えば、室温)まで冷却され得る。液体溶媒は次に、デカンテーションなどの既知の方法によって除去され得る。残りの固体OBT粒子は次に、アセトンなどの適切な洗浄剤で洗浄され得る。この後、清浄なエマルション凝固固体は次に、真空乾燥を含む従来の方法に従って乾燥され得る。
【0062】
[0062]十分に大きい分子量値及び許容できる機械特性を有するPBT(又はそのコポリマー)粉末の作製を促進するために、そしてさらに所望の焼結性領域の作製を促進して、付加製造用途での加工に適した加工性を保証するために、OBT粉末は次に、固相後縮合ステップを受ける。特定のポリマーの分子量を増大させるための固相後縮合プロセスは知られている。ポリアミドの分子量を増大させるためのこのような方法は、例えば、DSM IP Assets B.V.に譲渡された米国特許第7,767,782B2号明細書に記載されている。
【0063】
[0063]固相後縮合(SSPC)は、高温で固相の材料を不活性ガス雰囲気に曝露することによって、ポリマー(又はオリゴ-ブチレンテレフタレートなどのオリゴマー)の分子量を所望の値まで徐々に増大させるプロセスである。SSPCはポリアミドプレポリマーに適用されることが多く、産業において高分子量ポリアミドを調製するために使用される。本発明者らは、オリゴエステル粉末の分子量を増大させて、高分子量のポリエステル粉末を形成するためにも同様の概念を適用した。SSPCは特に、常に真空及び不活性雰囲気中で高温において実行される。例えば、SSPCは、不活性ガス雰囲気中真空下で熱を入力して、回転式反応器において行うことができる。反応速度を増大させる傾向がある窒素が、「掃引ガス」として添加されてもよい。或いは、縮合物を除去する窒素流を用いて大気圧で行うこともできる。好ましい実施形態では、SSPCプロセスは、不活性ガス下で実施される。
【0064】
[0064]実施形態において、効果を最大にするために、SSPCプロセスは、ポリエステル材料を高温、例えば、135℃超、又は150℃超、又は165℃超、又は175℃超、又は190℃超、又は200℃超まで加熱することによって実施される。最大の所望の効果を達成するために材料を加熱しなければならない時間は、使用される材料の特徴、SSPCプロセスを実施する温度及び圧力、並びに使用される不活性ガスの性質及び流速に依存する。しかしながら、SSPCによってPBTが形成されている実施形態において、加熱ステップは、好ましくは、最低3時間、好ましくは5時間超、又は5~100時間、又は5~80時間、又は10~70時間、又は10~50時間、又は5~50時間、又は20~60時間にわたって材料が少なくとも165℃に加熱されるように実施され得る。反応がより速く起こるように構成される特に最適化されたプロセスでは、3時間未満の加熱時間も想定され得る。
【0065】
[0065]有利に、材料は、プロセスの最初に加熱される温度よりもプロセスの次の時点でより高い温度に達するように、SSPCプロセスの間に次第に加熱される。これは、好ましさに応じて、連続的に又は別個の間隔で行うことができる。しかしながら、いずれの場合も、材料は、その融点に達する(特に、それを超えない)温度、又は粉末の凝集が起こり始める温度まで加熱されてはならない。好ましくは、材料は、その融点よりも5~10℃低い温度を上回って加熱されてはならない。或いは、材料は、そのTm,onset値を超える温度までは加熱されないであろう。この値は、本発明が適用される技術分野の当業者に知られているように、使用される特定のポリエステル粉末に依存し得る。実施形態において、OBT出発材料は、185℃で約7時間加熱した後、210℃でさらに15時間加熱することができ、この間ずっとほぼ0.8ミリバールの圧力の真空にさらされ、且つ1000リットルの反応器につき1時間当たり2グラムの窒素ガスの流量からなる不活性環境にさらされる。
【0066】
[0066]圧力及び温度は、他のプロセス変数である。高温及び低水蒸気含量は、固相後縮合の反応速度の増大に寄与する。しかしながら、ポリエステルは望まれない加水分解副反応に対してきわめて敏感であるため、PBTのSSPCの間に過剰の水蒸気を添加する場合は注意が勧められる。一方、静電気の蓄積を軽減する(さもなければ、壁の凝集及び/又は汚れ、並びに熱伝達の低下が起こり得る)ために、いくらかの水分、例えば過熱蒸気を窒素(使用される場合)に添加することは有益であり得る。
【0067】
[0067]固相とは、オリゴマー又はポリマーが、その融解温度よりも低い温度を有する状態を意味する。材料の融解温度は、本明細書では、10℃/分の加熱速度でオープンカップにおいて示差走査熱量測定(DSC)により測定される融解ピークのピーク温度であると理解される。加熱したときに融解ではなく分解する材料の場合、融解温度は、本出願では、10℃/分の加熱速度でオープンカップにおいてDSC又は熱重量分析(TGA)によって測定される、材料が最高の分解速度を示す(すなわち、ピーク)温度であると理解される。
【0068】
[0068]不活性ガス雰囲気は、本出願において、本質的に酸素を含まないガス雰囲気であると理解される。このような不活性ガス雰囲気は、例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気又はこれらの混合物を、反応性ポリマー塊からのガス生成物と共に含むことができる。ガス雰囲気に使用される典型的な圧力は、プロセス及び装置のタイプに応じて、0.001mbar~10bar、又は0.1mbar~10mbarで変化する。
【0069】
[0069]ガス雰囲気の露点温度は、ガス雰囲気の冷却時に、ガス雰囲気中の水蒸気が凝縮し始める温度であると理解される。ガス雰囲気の露点温度を制御するための適切な方法は、例えば、乾燥ガスを所要の露点温度に対応する比率で100%水蒸気と混合すること;過剰の水蒸気を含有するガス雰囲気を、例えばスクラバーを通過させて過剰の水を凝縮及び除去することによって、所要の露点温度に等しい温度まで冷却すること;並びにガスをモレキュラーシーブなどの吸収剤、又は五酸化リンなどの乾燥剤に通すことにより供給ガスを乾燥させることである。
【0070】
[0070]記載されるように、後縮合の間に、一般的に材料の分子量は増大する。分子量の増大は、例えば、材料を溶解させるのに適した溶媒中のオリゴマー又はポリマーの溶液の粘度を測定することによって追跡することができる。ポリエステル及びポリアミドの粘度は、例えば、ギ酸又は96%硫酸中で測定され得る。好ましくは、OBT/PBT/これらのコポリマーの粘度は、m-クレゾール中で測定される。粘度レベルは、例えば、粘度数(VN)として表すことができる。粘度数に関する粘度の測定は、90wt.%ギ酸中のポリエステル又はポリアミド濃度を0.005g/mlとしてISO307に従って実行される。材料がギ酸中に溶解しない場合、粘度数は、96wt.%硫酸中で測定される(International Organization for Standardization(国際標準化機構).Plastics-Polyamides-Determination of viscosity Number,ISO 307,second edition 1984-05-15)。
【0071】
[0071]後縮合に必要な時間は所定の時間であってもよいし、或いは特定の粘度を有する材料が得られる時点によって決定することもできる。
【0072】
[0072]本発明のプロセスは、オリゴマーポリエステルの固相後縮合に適した任意の反応器において実行することができる。適切な反応器は、例えば、Nylon Plastic Handbook(Kohan,Hanser Verlag Publishers,Munich,1995,pages 28-29)及びその中で引用される参考文献、並びにKunststof Handbuch,Band 3/4,Polyamiden(Vieweg/Muller,Carl Hanser Verlag,Muenchen,1998,pages 651-652)及びその中の参考文献において言及されている。適切な反応器の例は、例えば、固定床反応器、移動床反応器、回転ドラム、回転式乾燥器、流動床反応器などである。また、使用されるオリゴマー又はポリマー材料の固相後縮合に適した任意のプロセスタイプを、本発明のプロセスを実行するために選択することができる。バッチ運転及び連続運転はいずれもこの目的のために実行することができる。連続運転で実行される本発明のプロセスの場合、単一のフロースロー反応器又は2つ以上のフロースロー反応器の組合せが使用され得る。
【0073】
[0073]実施形態において、SSPCは、PBT粉末の数平均分子質量が増大されるように実施される。実施形態において、SSPCによって加工されるPBT粉末の数平均分子質量は、10000g/mol~50000g/mol、又は20000g/mol~40000g/molである。本発明者らは、驚くことに、このステップに従って記載されるような方法でオリゴエステル又はOBT粉末を再重合させると、それから製造されるPBT(又はそのコポリマー)粉末が他の既知のPBT(又はそのコポリマー)粉末よりも高い融解温度を有するようになると共に、融点開始温度と結晶化開始温度の間のより大きいギャップが誘発されるという驚くべき効果を有することを見出した。これらの特性はいずれも、MJF又はSLSなどの付加製造プロセスにおいて優れた加工性を有するPBT又はPBTベースの粉末をもたらす。
【0074】
[0074]代替の実施形態では、1つ又は複数の添加剤を導入することが可能である。ポリマー組成物は、新しい又はリサイクルされたポリマー粉末のいずれか、又はこれらの組合せのために上記のように形成される低分子量ポリマー又は後縮合ポリマー粉末に、少なくとも1つの添加剤を添加することによって形成される。このような添加剤は、制限なく、難燃剤、流動助剤、充填剤、顔料、及び安定剤などの3D印刷に使用される任意の適切な添加剤であり得る。適切な流動助剤はヒュームドシリカ、沈降シリカを含み、適切な充填剤は、ガラス粒子及びガラス繊維(100μm以下の長さを有するが、好ましくは、より小さい)、ガラスビーズ、金属粒子、並びにセラミック粒子を含み、適切な顔料は、二酸化チタン、ルチルに基づく粒子、アナターゼに基づく粒子、カーボンブラック粒子、炭素繊維を含み、そして安定剤は熱安定剤及びUV安定剤などである。
【0075】
[0075]添加剤の導入は、提供(a)ステップと微粉化(b)ステップとの間、又は結合(a)ステップとエマルション凝固(c)ステップとの間に行うことができる。これらの時点のいずれかで導入される場合、添加剤は、「分子混合される(molecularly mixed)」と言われる。導入される添加剤が固体であり、好ましいようにOBTが液体である場合、このような組合せは、「配合(compounding)」と呼ばれ得る。例えば、種々の難燃剤は、この段階で適切に液体OBTに導入され得る。本発明が適用される技術分野の当業者によって認識されるように、他の添加剤も同様に利用され得る。
【0076】
[0076]本発明の第1の態様に従うプロセスの利点は、この段階で配合又は分子混合ができることを含む。オリゴマー段階の(比較的)低分子量のポリエステル(OBTなど)を用いてそうすることにより、脆く且つ官能基化されたオリゴエステルの作製が可能になり、これは次に、均一に且つ容易に粉砕され得る。それから得られるこのような均一に粉砕された粉末は十分に流動性の官能基化粒子をもたらし、これは、付加製造プロセスにおいて、既知の代替手段を超える著しい利点を提供するであろう。
【0077】
[0077]代替的又は付加的に、添加剤の導入は、微粉化(b)ステップとSSPC(d)ステップとの間、又はエマルション凝固(c)ステップとSSPC(d)ステップとの間に行うことができる。導入がステップ(b)と(d)との間、又はステップ(c)と(d)との間に行われる場合、混合物はあまり均質でなく、このような添加剤は、OBT構造の中心部にほとんど存在しないであろう。例えば、種々の酸化防止剤は、この段階で適切にOBT粉末に導入され得る。本発明が適用される技術分野の当業者により認識されるように、他の添加剤も同様に利用され得る。
【0078】
[0078]さらに、乾燥ブレンドが作製される場合、本発明の第1の態様に従う全てのステップの後、さらなる添加剤が粉末中に含まれ得る。
【0079】
[0079]上記のプロセス段階の1つ又は複数において本発明に従う粉末組成物中に導入することができる様々な添加剤が知られている。本発明の種々の実施形態に従う付加製造のための粉末への適切な添加剤には、例えば、流動性調整剤(本明細書中の他の箇所に記載されるモノマー、オリゴマー、又はポリマー流動性調整剤以外)、充填剤(分散強化材料、例えば、細断又は粉砕したガラス繊維、細断又は粉砕した炭素繊維、ナノ充填剤、クレイ、ウォラストナイト及びマイカ、並びに連続強化材料を含む)、顔料、加工助剤(離型剤など)、安定剤(酸化防止剤及びUV安定剤など)、可塑剤、衝撃改質剤、及び担体ポリマーが含まれる。
【0080】
[0080]熱可塑性樹脂組成物において既知であり、一般的に使用されている充填剤の他の例としては、鉱物充填剤、例えば、クレイ、マイカ、タルク、及びガラス球又はビーズが挙げられる。強化繊維は、例えば、ガラス繊維である。ガラス繊維を含む樹脂組成物の利点は、特に、より高い温度においても増大したその強度及び剛性であり、関連の組成物中のポリマーの融点に近い温度までの使用が可能になる。
【0081】
[0081]無機物質は、耐水性、耐熱性、及び強固な機械特性を組成物に付与するその傾向のために、充填剤として特に適している。本発明の実施形態において、充填剤は無機であり、セラミック、例えば、シリカ(SiO2)ナノ粒子、すなわち、1ナノメートル(nm)~999nmの間の平均粒径を有する粒子、又はマイクロ粒子、すなわち、1マイクロメートル(μm)~999μmの間の平均粒径を有する粒子を含む。平均粒径は、ISO13320-1に従ってレーザー回折粒径分析を用いて測定され得る。シリカナノ粒子のさらなる例については米国特許第6,013,714号明細書を参照されたい。
【0082】
[0082]本発明の他の実施形態では、代替の無機充填剤物質、例えば、ガラス又は金属粒子を含有するものなどが使用され得る。このような物質の特定の非限定的な例としては、ガラス粉末、アルミナ、アルミナ水和物、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩鉱物、ケイ藻土、ケイ砂、シリカ粉末、酸化チタン、アルミニウム粉末、青銅、亜鉛粉末、銅粉末、鉛粉末、金粉末、銀ダスト、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカー、カーボンウィスカー、サファイアウィスカー、ヴェリフィケーションリヤ(verification rear)ウィスカー、炭化ホウ素ウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、及び窒化ケイ素ウィスカーが挙げられる。
【0083】
[0083]しかしながら、実施形態において、本発明に従う粉末組成物は、実質的に、充填剤を全く含まない。充填剤が存在しないことは、それから形成された焼結生成物の加工性(すなわち、流動性、表面仕上げ)の改善が保証されるので有益であり得る。
【0084】
[0084]適切な衝撃改質剤は、オレフィンなどの無極性モノマーだけでなく、特に、アクリレート及びエポキシド、酸又は無水物含有モノマーなどの極性又は反応性モノマーも含有するゴム様ポリマーである。例としては、エチレンと(メタ)アクリル酸とのコポリマー、又は無水物基で官能基化されたエチレン/プロピレンコポリマーが挙げられる。衝撃改質剤の利点は、樹脂組成物の衝撃強度を改善するだけでなく、粘度の増大にも寄与することである。適切な衝撃改質剤は、例えば、無水マレイン酸官能基化ポリオレフィンである。
【0085】
[0085]顔料又は色素などの着色剤も、種々の実施形態において任意選択的に包含され得る。着色剤として、例えば、カーボンブラック又はニグロシンを使用することができる。EP2935430号明細書には、その3つの結晶形態(ルチル、アナターゼ、及びブルッカイト)のうちの1つ又は複数の形態の二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄、バナジン酸ビスマス、効果顔料(アルミニウムフレークなどの金属顔料、及びマイカなどの真珠光沢顔料を含む)、並びに有機顔料、例えば、フタロシアニン、ペリレン、アゾ化合物、イソインドリン、キノフタロン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、及びインダントロンを含む、本明細書において適切に使用され得る種々の他の一般的な顔料が記載される。
【0086】
[0086]本組成物はさらに、1つ又は複数の安定剤を含み得る。安定剤の存在は任意選択的である。安定剤はそれ自体知られており、例えば、熱、光及びそれにより形成されるラジカルの影響の結果としての悪化に対抗することが意図される。組成物中に適用することができる既知の安定剤は、例えば、ヒンダードアミン安定剤、ヒンダードフェノール、フェノール系酸化防止剤、銅塩及びハロゲン化物(好ましくは、臭化物及びヨウ化物)、及び銅塩とハロゲン化物の混合物(例えば、ヨウ化銅/ヨウ化カリウム組成物)、並びにホスファイト、ホスホナイト、チオエーテル、置換レオルシノール(reorcinol)、サリチレート、ベンゾトリアゾール、ヒンダードベンゾエート、及びベンゾフェノンである。好ましくは、安定剤は、無機、ヒンダードフェノール系酸化剤、ヒンダードアミン安定剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される。より好ましくは、安定剤は、無機安定剤、フェノール系酸化防止剤及びヒンダードアミンの組合せである。実施形態において、組成物が安定剤成分を含む場合、このような成分は、組成物全体に対して、約0.05wt.%~約2.0wt.%、又は約0.1~1.5wt.%、又は0.3wt.%~1.2wt.%の重量で存在する。
【0087】
[0087]実施形態において、樹脂組成物は1つ又は複数の潤滑剤も含む。このような物質には、長鎖脂肪酸(特に、ステアリン酸又はベヘン酸)、これらの塩(特に、ステアリン酸Ca又はZn)、及びこれらのエステル誘導体又はアミド誘導体(特に、エチレン-ビス-ステアリルアミド)、モンタンワックス、並びに低分子量ポリエチレン又はポリプロピレンワックスが含まれる。実施形態において、適切な潤滑剤には、8~40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸と、2~40個の炭素原子を有する飽和脂肪族アルコール又はアミンとのエステル又はアミド、並びにエチレン-ビス-ステアリルアミド及びステアリン酸カルシウムと共に使用される、8~40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸の金属塩が含まれる。
【0088】
[0088]上記の添加剤のリストは限定を意図せず、本発明が適用される技術分野の当業者に一般的に知られているように、任意の他の適切な添加剤が使用され得る。さらにこのような例として、UV安定剤、ガンマ線安定剤、加水分解安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、乳化剤、造核剤、ドリップ剤(例えば、ポリテトラフルオロエチレン又はポリビニルピロリドンなど)、及び可塑剤が挙げられる。
【0089】
[0089]包含される場合、本明細書に記載される添加剤は単独又は2つ以上の組合せで使用することができ、ポリマー粉末組成物を形成するために、本発明に従う付加製造のための粉末と配合されてもよいし、分子混合されてもよいし、又は乾燥ブレンドされてもよい。好ましくは、本発明に従うPBT粉末は、ポリマー粉末組成物の全重量に対して1~99wt.%の範囲の量でポリマー組成物中に存在する。ポリマー粉末組成物はさらに、ポリマー組成物の全重量に対して0.001wt.%~80wt.%、又は0.1wt.%~60wt.%、又は0.5wt.%~25wt.%の添加剤を含むことができる。
【0090】
[0090]本発明の第2の態様は、本発明に従う3D印刷に適した新しいポリマー粉末を形成するプロセスであり、熱可塑性ポリエステルポリマー、好ましくは、500~10000g/mol、又は500~6000g/molの範囲の数平均分子質量を有する熱可塑性ポリエステルポリマーを粉砕するステップと、任意選択的に、熱可塑性ポリエステルポリマーをエマルション凝固させるステップと、次に、粉砕した粉末に固相後縮合を受けさせて、分子量を、好ましくは、8000~60000g/mol、又は10000~50000g/molの範囲に増大させるステップとを利用する。
【0091】
[0091]第2の態様に従う熱可塑性ポリエステルポリマーは、半芳香族熱可塑性ポリエステル、例えば、ポリ(アルキレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、及びポリ(アルキレンナフタナート(alkylene naphthanate))、例えば、ポリエチレンナフタナート(polyethylene naphthanate)(PEN)、並びにこれらの任意のコポリマー及び任意の混合物、又はこれらと、低含有量の別のジカルボン酸若しくはジオールとのコポリマーを含む。しかしながら、好ましい実施形態では、熱可塑性ポリエステルポリマーはPBT若しくはそのコポリマーを含むか、PBT若しくはそのコポリマーから本質的になるか、又はPBT若しくはそのコポリマーからなる。ポリエステルは、(トランス)エステル化反応によって形成され得る。種々の実施形態において、上記のものを含む任意のポリエステル粉末は、本発明の第1の態様の実施形態のいずれかに従って同様に製造され得る。
【0092】
[0092]第2の態様に従う熱可塑性ポリエステルポリマーは、本発明の第1の態様の実施形態のいずれかに従って記載される合成ステップ(結合、粉砕、SSPC)のいずれかを用いて形成され得る。
【0093】
[0093](トランス)エステル化、粉砕、及びSSPCのプロセスは、215~260℃、又は220~245℃のTm,onset、及び180~195℃のTc,onsetを有するポリマー粉末をもたらし、焼結性領域は、少なくとも10℃、又は少なくとも11℃、又は少なくとも12℃、又は少なくとも13℃、又は少なくとも14℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間である。
【0094】
[0094]1つの例示される実施形態では、オリゴブチルテレフタレート(OBT)は、ジメチルテレフタレート(DMT)の1,4-ブタンジオール(BD)とのトランス-エステル化によって形成される。
【化3】
【0095】
[0095]OBTは、1000g/mol~6000g/mol、又は1000g/mol~5000g/mol、又は2000g/mol~4000g/molの数平均分子質量(Mn)を有する。
【0096】
[0096]この例では、OBTは次に室温で粉砕されて、レーザー回折により測定される30~60μmの範囲のD50粒径を有する流動粉末を提供する。OBT粉末は次に固相後縮合を受けて、20000~50000g/molの数平均分子質量(Mn)を有するPBT粉末を形成する。
【0097】
[0097]本発明の第3の態様は、40~50μmの範囲のD50粒径、20000g/mol~40000g/molの数平均分子質量(Mn)、及び少なくとも210℃、又は少なくとも220℃、又は少なくとも225℃の融点開始温度(Tm)を有する、3D印刷のためのポリブチレンテレフタレートベースの(PBTベースの)粉末、若しくはPBTを含むポリマー粉末、又はこれらのコポリマーである。
【0098】
[0098]本発明の第3の態様に従う付加製造のためのPBTベースの粉末は、特定の粒径分布、分子質量、及び融点開始温度(Tm,onset)値を含む所望の最終粉末特性に達するために、任意の方法に従って加工され得る。しかしながら、好ましい実施形態では、第3の態様に従うPBTベースの粉末を作製するために、本発明の第1又は第2の態様の実施形態の説明において本明細書中の他の箇所に記載される方法及びプロセスが使用される。
【0099】
[0099]特定の粒径分布が付加製造プロセスにおける最適な加工性及び流動性を容易にし得ることは、当業者に知られている。したがって、本発明の第3の態様に従う実施形態において、PBTベースの粉末は、20~50μm、又は40~50μmの範囲のD50粒径を有する。過度に小さい粒子、例えば、20μm未満の粒子は、粉末粒子の流動性を阻害する。逆に、粒子があまりに大きくなりやすく、例えば、50μmを超えると、最終的な物体の解像度が損なわれる。さらに、大きすぎる粒子は十分に固まらない傾向もあり、したがって、それから融合した物体に空隙が導入され得る。
【0100】
[0100]粒径分布について、中央値は、D50(又は特定のISOガイドラインに従う場合はx50)と呼ばれる。D50は分布を分割するサイズ(他に記載されない限り、本明細書ではミクロンで明記される)であり、半分がこの直径よりも大きく、半分がこの直径よりも小さい。本明細書中の第3の態様の実施形態で使用されるように、粒径分布及びD50粒径は、ISO13320-1に従ってレーザー回折粒径分析により決定される。他の関連用語は、粒子の分布を分析する他の方法の中央値に対応する。Dv50(又はDv0.5)は、例えば、体積分布の中央値である。同様に、Dn50は数分布のために使用され、Ds50は表面分布のために使用される。レーザー回折からの初期結果は体積分布なので、引用されるデフォルトのD50は体積中央値であり、D50は通常「v」を付けなくてもDv50を指す。
【0101】
[0101]同様に、第3の態様に従うPBTベースの粉末は、規定の分子質量値を有する。したがって、この態様に従うPBTベースの粉末は、20000g/mol~40000g/molの数平均分子質量を有する。非常に低い分子量、特に10000~20000g/mol以下の値を有するPBTベースの粉末は、機械特性が劣った3次元物体を生じる傾向にある。一方、分子質量が大きすぎる、例えば40000~60000g/mol以上であると、得られる粘度が高くなりすぎて、粒子の圧密化/焼結が阻害されるという点で十分な加工性が得られない。
【0102】
[0102]本発明の第3の態様に従うPBTベースの粉末のさらに別の特徴は、少なくとも210℃、又は少なくとも220℃、又は少なくとも225℃、又は220℃~250℃、又は225℃~240℃、又は220℃~230℃、又は235℃~250℃、又は225℃~230℃のTm,onset値を有することである。これらの限界以上のTm,onset値は、付加製造のための既知のPBTベースの粉末に対する増大を表す。同様の結晶化温度を仮定すると、融点開始温度の相対的な増大は、当然ながら、本発明の粉末の焼結性領域をより大きくする。
【0103】
[0103]本明細書を通して使用されるように、Tm,onsetの値は、Tc,onsetの値と共に、ISO11357-1(2009)に規定される方法によって決定される。ISO11357-1法ではTi,mと呼ばれるTm,onsetは、10℃/分の一定の加熱速度における第1の加熱サイクル中に示差走査熱量測定(DSC)によって明らかなように、評価される材料が加熱されるにつれて、融解ピーク曲線の外挿スタートベースラインからの曲線の最初の検出可能な逸脱(例えば、0.1mW)を決定することによって測定される。Tc,onsetは、ISO11357-1(そこではTf,cと呼ばれる)に従って関連の方法で決定され、評価される材料の結晶化ピーク曲線の外挿エンドベースラインからの曲線の最後の検出可能な逸脱を表す。
【0104】
[0104]ISO11357-1(2009)に明記される関連の点を有する仮想のDSC曲線は
図1に示される。
図1を見ると、サーモグラフは、x軸の温度の関数として、評価中のサンプルに関して測定された熱流量(dQ/dtとも呼ばれる)をy軸に示す。このグラフの点1は測定されたT
c値を表し、これは、ISO11357-1では互換的にT
p,cと呼ばれる。いずれの場合も、この点は、曲線と内挿ベースライン7との間の負の最大距離(すなわち、より下方)を表す。一方、内挿ベースライン7と曲線との上方の最大距離は、融点温度T
m(T
p,mに等しい)6を表す。点2(T
ef,c)及び点5(T
ei,m)はそれぞれ、ステップの変曲点で引かれた、外挿エンドベースラインと接線との交点、及び外挿スタートベースラインと接線との交点を表す。これらの点は他者によって焼結性領域を決定するために使用されているが、以下に記載される理由から、本明細書中ではこのような目的のためにこれらの点は使用されない。図示されるように、それぞれT
c,onset点及びT
m,onset点を表す(そして、ISO法ではT
f,c及びT
i,mと呼ばれる)点3と点4との間の領域によって(そして近接した垂直破線間の領域によって視覚的に支援されるように)、幾分より狭いウィンドウが画定される。
【0105】
[0105]測定されたT
m,onset及びT
c,onset値を用いて、粉末の焼結性領域は、本明細書において定義されるように、4における温度の値(T
c,onset)を3における値(T
m,onset)から差し引く(ISO11357-1によると、T
i,mマイナスT
f,cに等しい)ことによって決定され得る。第3の態様のPBT粉末は、特定の焼結性領域を有する。既に記載したように、付加製造のための既知のPBT粉末よりも大きい焼結性領域を維持することにより、本発明の粉末は、選択的レーザー焼結又はマルチジェットフュージョンプロセスなどのこのような粒子が関連する付加製造プロセスにおける使いやすさの改善を促進する。さらに、記載されるように、より大きい焼結性領域を有する粉末は、寸法精度がより高く、反り、湾曲、及び変形がより少なく、且つ構造及び均質性が改善された3次元コンポーネントをより容易に製造させることになる。本明細書で定義されるように「焼結性領域」を特徴付けることは、融解曲線及び結晶化曲線上でそれぞれより高い点及びより低い点を取る他の方法よりも、実世界での有用性に対する優れたプロキシ(proxy)であると考えられる。これは、理論的には、さらに融解曲線に沿った温度において粉末は動作可能であり続けることができるにもかかわらず、実際には、適用された粉末の一部分が、融点曲線に沿ったこれらの初期段階においても凝集し始める可能性があるからである。したがって、最適な印刷適性を保証するために、任意のこのような凝集又は粉末劣化のリスクが可能な限り最大限に回避され得る正確な領域を知ることは有用であり得る。表面上はより大きい動作性ウィンドウを記載する(例えば、ISO11357-1に従ってT
ei,mとT
ef,cとの差を取る)他の方法は、部品の反り又は湾曲のリスクが最小限にされ得る範囲を正確に表示しない。上記のことに関係する種々の点は、
図1に示される。
【0106】
[0106]したがって、実施形態において、PBTベースの粉末の焼結性領域(ΔT=(Tm,onset-Tc,onset)は、少なくとも14℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は14~40℃の間、又は15~40℃の間、又は20~40℃の間、又は20~30℃の間、又は25~30℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間である。
【0107】
[0107]第3の態様に従うPBTベースの粉末は材料のキットとして提供され得る。すなわち、これらは1つ又は複数の添加剤を含み得る。実施形態において、PBTベースの粉末は、1つ又は複数の添加剤と乾燥ブレンドされる。別の実施形態では、PBTベースの粉末は、ポリマー配合物粉末である。難燃剤、流動助剤、充填剤、顔料、安定剤、及びガラス充填剤を含む添加剤が一般的であり、それから作製される3次元部品の所望の最終用途に要求されるように、単独又は任意の組合せで使用され得る。実際、本発明の第1の態様の実施形態に関連する上記の添加剤はどれも、この態様に従う粉末においても使用され得る。このような添加剤は、当業者に認識されるように、いずれかの段階又はステップにおいて、そして本明細書中の他の箇所にも記載されるいずれかの方法でポリマーに包含又は添加され得る。
【0108】
[0108]本発明はさらに、廃棄粉末をリサイクルして、3D印刷に再度適したポリマー粉末を提供することに関する。本プロセスは、使用済み及び未使用の粉末、並びにSLS、HSS及び/又はMJFプロセスにおいて印刷された部品を印刷可能な粉末にリサイクルする。
【0109】
[0109]したがって、本発明の第4の態様は、3D印刷から得られるPBTベースの粉末をリサイクルするプロセスであり、(a)ある量のPBTベースの粉末を提供するステップと、(b)PBTベースの粉末を脱重合させて、500g/mol~5000g/molの数平均分子質量を有するオリゴマーポリエステルを形成するステップと、(c)任意選択的に、添加剤又はモノマー断片を除去するステップと、(d)任意選択的に、新しい添加剤を導入するステップと、(e)オリゴマーポリエステルを粉砕して、好ましくは、1~650μm、又はより好ましくは40~50μmの範囲のD50粒径を有する粉末を形成するステップと、(f)オリゴマーポリエステル粉末に固相後縮合を受けさせ、リサイクルされたPBTベースの粉末を形成するステップとを含む。
【0110】
[0110]3D印刷プロセスの固有の性質に起因して、提供された粉末の主要なパート又は部分は所定のパターンに印刷されないであろう。それにもかかわらず、印刷プロセスはそれでもまだ、未使用(又は一部使用された)粉末に、その融解特性が不可逆的に変化し得るようないくつかの外的刺激を与えるであろう。使用される付加製造プロセスの性質に応じて、これらの刺激は、長期(例えば、1~24時間又はそれ以上)の高温、例えば150℃よりも高温への曝露;粉末の一部を酸化し得るか、或いは他の方法で粉末の一部と反応し得る酸素及び他のガス;又は特にMJFプロセスなどの場合に、ディテーリング融剤を含む加工流体により導入される汚染物質を含み得る。このような曝露の後、ほとんどの重縮合物、ポリアミド、及びポリエステルを含む従来の粉末では、再使用に適切な焼結性領域が許容できないほど狭くなる。このような粉末により提供される加工ウィンドウは、再研削の後でも許容できないままである。
【0111】
[0111]驚くことに、本発明者らは、融合又は部分融合粉末に本発明の第4の態様に従うプロセスを受けさせると、粉末の元の焼結性領域の回復が促進されるか、又は代替手段では、さらなる操作のために必要とされる機械の特定の最小加工ウィンドウに適合する焼結性領域の回復が促進されることを発見した。これにより、本発明に従って加工された粉末は、他の粉末、特に、従来のPBTベースの粉末と比べて向上されたリサイクル性及び/又は再使用性を有することが可能になる。
【0112】
[0112]第4の態様の実施形態によると、提供されるPBTベースの粉末は、500g/mol~5000g/molの数平均分子質量を有するオリゴマーポリエステルを形成するために脱重合ステップを受ける。次に、廃棄粉末の分子量を5000g/mol未満にまで低下させるために、廃棄粉末は解糖、メタノリシス、又は加水分解などの部分脱重合プロセスを受ける。例えば、高分子量ポリエステルは、エチレングリコールなどのグリコールと接触されて、ポリエステル又は半結晶性ポリエステルのオリゴマー及び/又はモノマーを生じさせる。上記で本明細書中の他の箇所に記載されるプロセスにおいてリサイクルするために、ポリエステル廃棄物の回収は、高温で過剰のエチレングリコールによるポリエステルの解糖によって達成され、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート、及びその低分子量ポリマーを形成し得る。
【0113】
[0113]ポリエステルの脱重合のためのこのようなプロセスは、必ずしも3D印刷プロセスに適切である粉末の製造のためのものではないが、既知である。このようなプロセスは、特に、米国特許第4,078,143号明細書及び米国特許第6,410,607号明細書に記載されている。
【0114】
[0114]次に、本発明の第4の態様に従うPBTベースの粉末をリサイクルするプロセスは、添加剤及び/又はモノマー断片を除去する任意選択的なステップを含む。微粒子添加剤には、カーボンブラック、ガラス繊維、ガラスビーズ、顔料、又は難燃剤を含むがこれらに限定されない、本明細書中の他の箇所に記載される種類が含まれる。これらは、ろ過、デカンテーション、又は他の分離技術を含む任意の既知の技術によって除去され得る。さらに、本発明が適用される技術分野の当業者によって認識されるように、劣化したモノマー断片はろ過又は蒸留技術によって回収され得る。本発明者らは、微粒子添加剤、及び/又は低分子量の劣化モノマー断片、例えば、500g/mol未満、又は400g/mol未満の数平均分子質量(Mn)を有するものの除去のために、ろ過が特に適していることを見出した。
【0115】
[0115]添加剤及び/又はモノマー断片を除去した後、新しい添加剤をオリゴマーポリエステルに添加することが可能である。乾燥ブレンドとして添加されるか、配合されるか、又は分子混合されるかにかかわらず、添加剤を導入するために本明細書中の他の箇所に記載される方法はどれも、この態様の実施形態においても適切であり得る。さらに、本明細書中の他の箇所で既に言及されたものを含む任意の適切な添加剤が導入され得る。
【0116】
[0116]第4の態様の実施形態によると、オリゴマーポリエステルは次に、固相後縮合の後に付加製造プロセスにおいてリサイクル/再使用粉末として使用するのに適した粒径の形成を促進するために、粉砕又は研削ステップを受ける。粉砕は、室温又はその付近、例えば、10~30℃で行うことができる。粉砕は、ジェット粉砕などの任意の適切な粉砕であり得る。粉砕は、ピン付ディスクミル、流動床対向ジェットミル、バッフルプレート衝撃ミルにおいて実行することができ、上記で議論されたようにさらに処理され得る。得られるD50粒径は、1~650μm、又はより好ましくは1~400μm、例えば、10~200μm、20~100μmなど、又は最も好ましくは40~50μmである。このような粒径は、動的若しくは静的光散乱、又は他のSEM/TEM法を含む様々な技術によって測定され得る。実施形態において、粒径は、ISO13320-1に従ってレーザー回折粒径分析によって測定される。
【0117】
[0117]付加的に、第4の態様に従う実施形態において、粉砕した粉末は、その分子量を増大させるために、固相後縮合(SSPC)を受ける。本発明の第4の態様の実施形態に従って使用されるこのようなSSPC技術は、本明細書中の他の箇所、例えば、本発明の第1の態様の実施形態において記載されるものと同じである。得られるリサイクルポリマー粉末は、40~50μmの範囲のD50粒径、20000~40000g/molの数平均分子質量値、及び少なくとも25℃の焼結性領域を有し得る。
【0118】
[0118]1つの特定の実施形態では、3D印刷から得られる廃棄粉末は、PBTを脱重合させて半結晶性ポリエステルOBTを形成し;次にOBTを粉砕して、40~50μmの範囲のD50粒径を有する粉末を形成し;そして最後に、OBT粉末に固相後縮合を受けさせ、リサイクルPBT粉末を形成することによってリサイクルされる。
【0119】
[0119]本発明に従う粉末は、上記に従って加工される場合、リサイクル性又は再使用性の改善を示し得る。
【0120】
[0120]本発明の第5の態様は3次元物体を形成する方法であり、(a)微粒子組成物の層を提供するステップであって、微粒子組成物が、融点開始温度(Tm,onset)、結晶化開始温度(Tc,onset)、及び焼結性領域(Tm,onset-Tc,onset)を有するポリエステル粉末を含み、ポリエステル粉末の焼結性領域が、ISO11357-1(2009)に従って決定したときに14℃よりも大きいステップと、(b)任意選択的に、微粒子組成物の層の上に液体組成物を選択的に付着させるステップであって、微粒子組成物又は液体組成物の少なくとも1つが融剤を含むステップと、(c)(i)微粒子組成物の層上の特定の位置、又は(ii)液体組成物が微粒子組成物の上に選択的に付着された位置のうちの少なくとも1つに対して電磁放射線を適用するステップであって、形成される3次元物体の一部に対応するコンピュータデータに従って、電磁放射線及び/又は液体組成物が適用された位置の少なくとも一部において、微粒子組成物が融解を受けて融合セクションを形成するステップと、(d)ステップ(a)、任意選択的に(b)、及び(c)を複数回繰り返して、融合した3次元物体を形成するステップとを含む。
【0121】
[0121]第5の態様に従う実施形態において、ポリエステル粉末はポリブチレンテレフタレート(PBT)を含むか、ポリブチレンテレフタレート(PBT)から本質的になるか、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる。別の実施形態では、ポリエステル粉末はPBTコポリマーを含むか、PBTコポリマーから本質的になるか、又はPBTコポリマーからなる。PBTコポリマーは、少なくとも1つのPBTブロックを有し、及び/又は少なくとも5%、又は少なくとも10%モル当量のグリコールを含有する任意のコポリマーであり得る。実施形態において、PBTコポリマーは、二量体脂肪酸、ブタンジオール、ジメチルテレフタレート、又はポリテトラヒドロフランの反応生成物であるブロックを有する。
【0122】
[0122]本発明において定義されるポリマー粒子は特に、選択的レーザー焼結(SLS)、粉末/結合剤法、及びマルチジェットフュージョン(MJF)を含むがこれらに限定されない、様々なラピッドプロトタイピング/迅速製造方法に適している。SLSプロセスにおいて、ポリマー粒子はチャンバ内に導入され、選択的にレーザービームに短時間曝露され、したがってレーザービームにより影響を受けた粒子は融解する。融解した粒子は合体し、急速に再度凝固して、固体塊を与える。このプロセスは、新しい層を絶えず適用し、繰り返しそれらをレーザー光に曝露して融解させ、続いて3次元物体の形態に合体することによって、簡単且つ迅速に3次元構造を製造することができる。
【0123】
[0123]本発明の粉末を適切に組み込むことができる他の付加製造法は、高速焼結(HSS)及びマルチジェットフュージョン(MJF)である。このような方法は、粉末材料上に赤外線吸収流体の連続層を付着させる多重ジェットを利用し、その後、粉末層を選択的に融解するために、エネルギー、通常は赤外線エネルギーの曝露が適用される。さらに別の適切な付加製造プロセスは、電子写真3D印刷である。この方法は、基部から層ごとに物体を造形する回転光伝導体を用いる。
【0124】
[0124]どのプロセスでも、このような各3D印刷法は、物体の製造のために使用される移動可能な粉末床の同様の配置を利用する。さらに、やや異なる加熱メカニズムが使用されるにもかかわらず、どの場合も構築される物体には同様の応力が適用され得るので、各プロセスは、それと共に利用される粉末の同様の材料性能を必要とする。したがって、実施形態において、本発明の記載される態様のいずれかのポリマー粒子、又は本発明の記載される態様のいずれかによって形成される任意の粒子は、SLSプロセス、又はMJFプロセス、又はHSSプロセス、又は粉末/結合剤プロセス、又は電子写真3D印刷プロセスにおいて使用される。
【0125】
[0125]本発明の粒子が適切であると考えられる別の既知の付加製造技術は、米国特許第5204055号明細書に開示されるものなどの粉末/結合剤型システムである。この技術において、粉末材料の層がまず形成される。次に、3次元物体の少なくとも一部の形状に対応するコンピュータデータに従って選択された領域において粉末材料の層の上に液体結合剤が付着される。液体結合剤は、選択された領域において粉末材料を結合させる。粉末材料の層を形成するステップ、及び粉末材料の層の選択された領域に液体結合剤を付着させるステップは所定回数繰り返されて、3次元物体が製造される。粉末は固体又は多孔質でよく、セラミック、金属、又はプラスチック材料であり得る。しかしながら、本発明の関連の実施形態では、使用される粉末は、本明細書中の他の箇所に記載されるようなポリエステル粉末、好ましくは、本発明の第3の態様の実施形態に従うPBT粉末、又は本発明の第1、第2、又は第4の態様の実施形態のいずれかによって形成されるPBT粉末である。
【0126】
[0126]したがって、実施形態において、本発明は、微粒子組成物の層を形成するステップと、3次元物体の少なくとも一部の形状に対応するコンピュータデータに従って、微粒子組成物の層の上に液体組成物を選択的に付着させるステップであって、微粒子組成物又は液体組成物の少なくとも1つが融剤を含むステップと、液体組成物が付着された微粒子組成物の層の少なくとも1つの位置に対して電磁放射線を適用するステップであって、微粒子組成物が少なくとも1つの位置において融解を受けるステップと、上記のステップを複数回繰り返して3次元物体を形成するステップとを含む、3次元物体を形成する方法を含む。
【0127】
[0127]第5の態様に従う方法は、本発明の最初の4つの態様のいずれかの実施形態のいずれかに記載されるか、又はそれによって作製される粉末を利用する。有利に、第5の態様に従う方法は、好ましくは、第1若しくは第4の態様の実施形態のいずれかに従って製造される粉末か、又は第2若しくは第3の態様の実施形態のいずれかに従う粉末のいずれかを使用する。例として、本プロセスは、以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する粉末を含む:40~50μmの範囲のサイズ分布D50;10000g/mol~50000g/mol、又は20000g/mol~40000g/molの数平均分子質量(Mn);少なくとも210℃、又は少なくとも220℃、又は少なくとも225℃、又は220℃~250℃、又は225℃~240℃、又は220℃~230℃、又は225℃~240℃、又は225℃~230℃の融点開始温度(Tm,onset);或いは少なくとも10℃、又は少なくとも11℃、又は少なくとも12℃、又は少なくとも13℃、又は少なくとも14℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間の焼結性領域。使用される粉末は新しくてもよいし、或いは付加製造プロセスにおいて既に使用されており、上記の本明細書中の他の箇所に概説されるプロセスに従ってリサイクルされていてもよい。このようなリサイクルPBT粉末は1回、2回、3回、4回、5回、又はそれ以上、既に付加製造プロセスにおいて使用されており、第5の態様の方法の実施形態において使用される前に本明細書中の他の箇所に記載されるプロセスに従ってリサイクルされ得る。
【0128】
[0128]ポリマー粉末からの3次元物体の形成は、追加の材料を包含することで促進又は支援され得る。微粒子固体又は液体であり得るこのような材料はポリマー粉末内に散在してもよいし、又は選択的ジェッティングなどによって粉末上に付着されてもよい。特に、国際公開第2017/196361号パンフレットに記載される融剤は、一般に包含される追加の材料の例であり、MJF又はHSSプロセスにおいて広く使用される、融剤は、通常、活性成分として、1つ又は複数のエネルギー吸収剤、又は熱を生じるために電磁放射線を吸収することができる成分を含む。これらは、熱及び/又は光開始剤を含むこともできる。このような成分は、スペクトルのUV、UV-vis、可視、近赤外、又は赤外部分における電磁放射線を吸収することができる。選択的な位置に適用される場合、これらの融剤は、これらが適用された領域、及び/又は磁放射線がポリマー粉末に適用された領域においてのみ、融解を付与することができる。
【0129】
[0129]融剤の非限定的な例としては、顔料、例えば、カーボンブラック、タングステンブロンズ、モリブデンブロンズ、及び金属ナノ粒子、銅、亜鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、及びストロンチウムなどの様々な対イオンを有するリン酸塩、並びにケイ酸塩、特に、リン酸塩と同一又は同様の対イオンを有するものが挙げられる。付加的に、レーザー色素及び環状ラクトン色素前駆体が使用され得る。近赤外線吸収色素がさらに使用されてもよく、アミニウム色素、テトラアリールジアミン色素、シアニン色素、プタロシアニン(pthalocyanine)色素、ジチオレン色素、及びこれらの組合せなどの例が含まれる。
【0130】
[0130]付加的に、共役ポリマーが融剤として使用されてもよい。近赤外線吸収共役ポリマーの例としては、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、ポリチオフェン、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリアニリン、ポリ(ピロール)、ポリ(アセチレン)、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリパラフェニレン、又はこれらの組合せが挙げられる。
【0131】
[0131]融剤の量は、使用される成分に応じて異なり得る。実施形態において、融剤は0.1wt.%~20wt.%であり得る。1つの例では、融剤中のエネルギー吸収剤の濃度は0.1wt.%~15wt.%であり得る。別の例では、濃度は0.1wt.%~8wt.%であり得る。さらに別の例では、濃度は0.5wt.%~2wt.%であり得る。特定の例では、濃度は0.5wt.%~1.2wt.%であり得る。
【0132】
[0132]また融剤は、樹脂成分の重合を開始させることができる1つ又は複数の開始剤も含み得る。これらの開始剤は、熱開始剤及び光開始剤を含む。
【0133】
[0133]熱開始剤は、特に制限なしに、熱フリーラジカル重合開始剤及び過酸化物を含む。熱フリーラジカル重合開始剤の例としては、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’-アゾ-ビス(シクロヘキサンニトリル)、1,1’-アゾ-ビス(2,4,4-トリメチルペンタン)などのアゾ化合物、ベンゾピナコール、過酸化物、及びこれらの混合物などのC-C不安定化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
[0134]熱開始剤として潜在的に適している過酸化物の例としては、例えば、ペルカーボネート(式-OC(O)O-を有する)、ペルオキシエステル(式-C(O)OO-を有する)、ペルアンヒドリド(peranhydride)としても知られているジアシルペルオキシド(式-C(O)OOC(O)-を有する)、ジアルキルペルオキシド又はペルエーテル(式-OO-を有する)、ヒドロペルオキシド(式-OOHを有する)などが挙げられる。過酸化物は本質的にオリゴマー又はポリマーであってもよい。有機過酸化物の例は、第3級アルキルヒドロペルオキシド(例えば、t-ブチルヒドロペルオキシドなど)、他のヒドロペルオキシド(例えば、クメンヒドロペルオキシドなど)、ケトンペルオキシド(過酸化水素及びケトンの付加生成物であるペルケトン、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド及びアセチルアセトンペルオキシドなど)、ペルオキシエステル又は過酸(例えば、t-ブチルペルエステル、ベンゾイルペルオキシド、ペルアセテート及びペルベンゾエート、ラウロイルペルオキシドなどなどであり、(ジ)ペルオキシエステルを含む)、ペルエーテル(例えば、ペルオキシジエチルエーテルなど)である。
【0135】
[0135]熱フリーラジカル重合開始剤は、例えば、ペルカーボネート、ペルエステル又はペルアンヒドリドを含み得る。ペルアンヒドリドは、例えば、ベンゾイルペルオキシド(BPO)及びラウロイルペルオキシド(Laurox(商標)として市販されている)である。ペルエステルは、例えば、t-ブチルペルベンゾエート及び2-エチルヘキシルペルラウレートである。ペルカーボネートは、例えば、ジ-t-ブチルペルカーボネート及びジ-2-エチルヘキシルペルカーボネート又はモノペルカーボネートである。
【0136】
[0136]最後に、3次元印刷のための光開始剤も知られており、特に、米国特許第9,951,198号明細書に記載されている。
【0137】
[0137]本明細書に記載されるポリマー粉末及び融剤は1つの単一の組成物/製剤で存在してもよいし、又は別々に貯蔵されて、付加製造造形プロセスの間に互いに選択的に適用されてもよい。したがって、本発明の実施形態は材料のキットに関し、キットは、(a)本明細書中の他の箇所に記載される方法によって形成されるポリブチレンテレフタレート(PBT)ベースの粉末;本明細書中の他の箇所の実施形態のいずれかに従って記載されるポリブチレンテレフタレート(PBT)ベースの粉末;又は本明細書中の他の箇所に記載される前記の実施形態のいずれかの方法によって形成されるポリエステル粉末と、(b)融剤であって、さらに、エネルギー吸収剤、熱開始剤、又は光開始剤を含む融剤との、少なくとも1つの組合せを含む。
【0138】
[実施例]
[0138]以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態の説明であることが意図され、本発明の限定を意味しない。表1には、出発材料、及び各実施例又は比較例を引き続いて加工する特定の条件が記載される。表2には、D50粒径(ミクロン、又はμmで表される)、融解温度(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、融点開始温度(Tm,onset)、結晶化開始温度(Tc,onset)、及び焼結性領域(Tm,onset-Tc,onset)のリストを含む、各実施例/比較例の性能の概要が提供される。他に明記されない限り、全ての温度は、摂氏温度で表される。上記の測定値を決定するために使用される方法は、以下に明記される。
【0139】
[0139]本明細書中の実施例は、いくつかの出発材料の調製を経て調製された。比較例1及び実施例2~3は、本明細書において「PBT-1」と呼ばれる出発材料から形成した。PBT-1は、約15000g/molの数平均分子質量を有する純粋なポリブチレンテレフタレート粉末である。
【0140】
[0140]PBT-1は、触媒系として0.1159gのMg(Oacetate)2・4H2O及び10.55gのBD溶液中40.22mg/gのTBTを用いて、881.8gのDMTと516.4gのBDとの反応によって提供された。次に、メカニカルスターラー、凝縮器及びオイル加熱を備えた1.3リットルの反応器に、上記の成分を全て投入した。次に、反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて大気圧にすることにより空気を除去した(このプロセスは別々に3回行った)。次に、90分間かけて温度を210℃まで上昇させ、スターラーを100rpmで開始させた。メタノールが放出され、これを凝縮器により捕集した。留出物がそれ以上形成されなければ、15分間かけて圧力を300mbarまで低下させた。凝縮器の容器からメタノールを除去した後、約30分間かけて温度を255℃まで上昇させ、その後すぐに約30分間かけて真空を7.5mbarまで低下させた。1Nmのトルクに達したら、攪拌速度を25回転/分(rpm)まで低下させた。25rpmにおいて、4Nmのトルクに達したら重合反応を停止させ、そして反応器を窒素で大気圧までパージした。超過圧力の助けにより、反応器から出てくるポリマーストレイン(polymer strain)を次に水浴中で冷却し、顆粒に切断した。
【0141】
[0141]比較例4及び実施例5~8は、オリゴマー出発材料のオリゴブチルテレフタレート(OBT)から誘導した。このようなOBTは、以下のようにジメチルテレフタレート(DMT)と1,4-ブタンジオール(BD)との(トランス)エステル化によって形成した:
【化4】
【0142】
[0142]OBTは、室温において200mlの反応器に、BD中1.283グラムのチタン(IV)ブトキシド(TBT)溶液(49.8619mg/gTBT/BD)、40.322mgの酢酸マグネシウム四水和物、132.27グラム(680.8mmol)のDMT、及び(1.15当量のBD/DMT)のBDを添加することによって作製した。反応器を220℃まで加熱し、反応器蓋の温度を80℃に設定した。20分後(固体の約80%が融解)、スターラーを低速(約12rpm)に設定した。10分後(約95%においてほぼ完全に溶解)に、スターラーを400rpmに設定した。1分攪拌した後、混合物は透明になった。スターラーを高速に設定してから0分~4分後の間に蒸留が開始した。1時間後(およそ少なくとも85%が蒸留された)に、真空プロファイル(大気圧から50mbarまで60分)を開始し、反応器温度を230℃に設定した。所望の真空プロファイルが達成されたら、反応器の内容物を攪拌しながら1リットルの水でクエンチした。次に真空下、80℃のオーブン内でポリマーを一晩乾燥させた。
【0143】
[0143]OBTは、以下に記載されるH-NMR法に従って測定したときに3100g/molの数平均分子質量(Mn)を有した。比較例4及び実施例5~7を室温でジェット粉砕して、レーザー回折によって測定される(そして、以下の表2において個々に明記される)40~50μmの範囲のD50粒径を有する流動性の粉末を提供した。実施例8は、代替的に、低温粉砕ステップにより微粉化して流動性の粉末を形成した。次に、実施例5~8のOBTに、次の段落及び以下の表1に明記される条件に従って示される固相後縮合を受けさせて、以下に記載される方法に従って測定したときに、20000~40000g/molの数平均分子質量(Mn)を有するPBT粉末を形成した。表1及び2に記載される定量値を決定するための方法は、以下において説明される。
【0144】
[0144]特に、固相後縮合は、回転する250mlのバッフル付きガラス反応器をオイルバッチ(oil batch)中に入れ、その後、30gのオリゴマーPBT粉末を添加することによって実施した。反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて大気圧にすることにより空気を除去した(このプロセスは別々に3回行った)。SSPCの間の温度、真空、及び反応時間は、表1に記載されるように変更した。プロセスの最後に、反応器を真空下で室温まで冷却した。最後に、室温で真空を解放し、流動性の粉末を単離した。
【0145】
[0145]比較例9は、付加製造プロセスにおいて既に使用された材料の部分を含む。この材料は、以下の表1において「使用済みPBT」と呼ばれる。ここで、PBT粉末(これ自体は、実施例8の粉末と類似のプロセスで調製した)は、200℃に設定されたチャンバ温度を有するレーザー焼結プリンタセットにおいて少なくとも4時間使用した後に得た。次に材料を200μmフィルタによりふるい分けし、そのうち100gを200mlのガラス反応器に添加した。次に、3gの1,4-ブタンジオールを添加した。次に反応器を閉め、反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて大気圧にすることにより空気を除去した(このプロセスは別々に3回行った)。次に反応混合物の温度を250℃に設定した。反応混合物が均質に溶融したら(観察されるように約1時間後)、反応器の内容物を攪拌しながら1リットルの水でクエンチした。次にオリゴマーPBTをろ過し、80℃において真空下で一晩乾燥させた。材料は、以下に記載されるH-NMR法に従って測定したときに約4000g/molの数平均分子質量(Mn)を有した。
【0146】
[0146]使用済みPBTをリサイクルしたものから得られ、本明細書では「Re-OBT」と呼ばれる実施例10は、まずリサイクルされた使用済みPBT材料を提供することを包含した。次に、IKA A11ベーシックミルにおいて粉砕した、その後、固相後縮合プロセスを適用した。SSPCは、回転する250mlのバッフル付きガラス反応器をオイルバッチに入れ、50gのRe-OBTを充填することによって実施した。反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて大気圧にすることにより空気を除去した(このプロセスは別々に全部で3回行った)。SSPCの間の特定の温度、真空、及び反応時間は、表1に記載される条件に従って実施した。プロセスの最後に、反応器を真空下で室温まで冷却した。次に、室温で真空を解放し、流動性の粉末を単離した。
【0147】
[0147]実施例11は、本明細書ではPBTコポリマー1と呼ばれる出発材料を利用する。このような材料は、二量体脂肪酸(DFA)と、ブタンジオール(BD)及びジメチルテレフタレート(DMT)との反応によって形成された熱可塑性コポリエステルであった。得られるコポリマーは、ブタンジオールとDMTとの反応生成物を表すPBT「ハード」セグメントと、DFAとブタンジオールとの反応生成物を表す「ソフト」セグメントとを含む。
【0148】
[0148]PBTコポリマー1は、触媒系として0.3gのMg(Oacetate)2・4H2O及び10gのBD(テトラブトキシチタナートとしてのTi)溶液中50mg/gのTiを用いて、685.3gのDMT、496.6gのBD、及び200gのDFAの反応によって作られた。次に、メカニカルスターラー、凝縮器及びオイル加熱を備えた1.3リットルの反応器に上記の成分を全て投入した。次に、反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて大気圧にすることにより空気を除去した(このプロセスは別々に3回行った)。次に、温度を90分間かけて210℃まで上昇させ、スターラーを100rpmで開始させた。メタノールが放出され、これを凝縮器により捕集した。留出物がそれ以上形成されなければ、15分間かけて圧力を300mbarまで低下させた。凝縮器の容器からメタノールを除去した後、約30分間かけて温度を240℃まで上昇させ、その後すぐに約30分間かけて真空を1.0mbarまで低下させた。7Nmのトルクに達したら、攪拌速度を低下させて、このトルクレベルに維持した。25rpmにおいて、重合反応を停止させ、そして反応器を窒素で大気圧までパージした。超過圧力の助けにより、反応器から出てくるPBTコポリマーストレイン(copolymer strain)を次に水浴中で冷却し、顆粒に切断した。
【0149】
[0149]次に、得られた顆粒を脱重合によりオリゴマーに調製した。このような脱重合は、まずポリマーを80℃において真空条件下で16時間乾燥させてから、電気加熱及びスターラーを有するガラス反応器内において、乾燥ポリマーを3wt.%(粉末の全重量に関して)のBDと混合することによって達成され得る。次に、好ましくは反応器が閉められ、反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて真空を大気圧まで上昇させることにより空気が除去され得る(このプロセスは、好ましくは別々に3回行われ得る)。この後、反応混合物の温度は、好ましくは250℃に設定され得る。反応混合物が均質に溶融したら(通常、約1時間)、反応器の内容物は、1リットルの脱イオン水中で攪拌しながらクエンチされ得る。得られたOBTコポリマーは次にろ過され、80℃において真空下で一晩乾燥され得る。
【0150】
[0150]内部2mmふるいを有するRetsch ZM-1粉砕デバイス(「ZM1」)を用いて、得られたフレークを粉砕した。得られた粉末は、単にそれ自体本発明の原理の証明に使用しただけなので、3D印刷プロセスに最適な所望の粒径分布を得るためにそれ以上粉砕又はふるい分けしなかった。
【0151】
[0151]次に固相後縮合は、回転する25mlの丸底フラスコを電気オーブン内に入れ、3gのOBTコポリマー粉末を充填することによって実施した。次に反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて大気圧にすることにより空気を除去した(このプロセスは全部で3回実施した)。SSPCの間の温度、真空、及び反応時間は、表1に記載される条件に従って設定した。プロセスの最後に、反応器を真空下で室温まで冷却した。最後に、室温において、真空を解放し、流動性の粉末を単離した。
【0152】
[0152]実施例12は、本明細書では「PBTコポリマー2」と呼ばれる出発材料を利用する。この材料は、ポリテトラヒドロフラン(供給業者が主張する1000g/molの分子量を有する;本明細書では「pTHF1000」と呼ばれる)と、1,4-ブタンジオール(BD)及びジメチルテレフタレート(DMT)との反応によって形成される熱可塑性コポリエステルである。得られるコポリマーは、ブタンジオールとDMTとの反応生成物を表すPBT「ハード」セグメントと、pTHF1000を表す「ソフト」セグメントとを含む。PBTコポリマー2は特に、触媒系として0.3gのMg(Oacetate)2・4H2O及び10gのBD(テトラブトキシチタナートとしてのTi)溶液中50mg/gのTiを用いて、718.42gのDMT、477.3gのBD、及び200gのpTHF1000の反応によって形成した。
【0153】
[0153]実施例12のオリゴマーの合成、研削及びSSPCは、実施例11に関するものと同じ方法で行った。
【0154】
[0154]一方、比較例13は、本明細書では「PBTコポリマー3」と呼ばれる出発材料を利用する。さらなる加工のために顆粒形態でも提供されたこの材料は、ポリテトラヒドロフラン(供給業者が主張する1000g/molの分子量を有する;本明細書では「pTHF1000」と呼ばれる)と、ブタンジオール、ジメチルテレフタレート及びジメチルイソフタレート(DMI)との反応によって形成される熱可塑性コポリエステルである。得られるコポリマーは、ブタンジオールとDMTとの反応生成物を表すPBT「ハード」セグメントと、pTHF1000を表す「ソフト」セグメントとを含む。
【0155】
[0155]PBTコポリマー3は、触媒系として0.03gのMg(Oacetate)2・4H2O及び0.043gのテトラブトキシチタナートを用いて、45.6gのDMT、3.0gのDMI、12.12gのBD及び55gのpTHF1000の反応によって作られた。実施例13のオリゴマーの合成、研削及びSSPCは、実施例11に関するものと同じ方法で行った。
【0156】
[0156]実施例14は、本明細書では「PBTコポリマー4」と呼ばれる出発材料を利用する。さらなる加工のために顆粒形態でも提供されたこの材料は、ポリテトラヒドロフラン(供給業者が主張する2000g/molの分子量を有する;本明細書では「pTHF2000」と呼ばれる)と、ブタンジオール及びジメチルテレフタレートとの反応によって形成される熱可塑性コポリエステルである。得られるコポリマーは、ブタンジオールとDMTとの反応生成物を表すPBT「ハード」セグメントと、DMTとpTHF2000との反応生成物を表す「ソフト」セグメントとを含む。
【0157】
[0157]実施例14のPBTコポリマー4は、触媒系として0.3gのMg(Oacetate)2・4H2O及び10gのBD(テトラブトキシチタナートとしてのTi)溶液中50mg/gのTiを用いて、375.31gのDMT、244.3gのBD及び598gのpTHF2000の反応によって形成した。
【0158】
[0158]次に、ポリマー顆粒は脱重合ステップを受けた。このステップにおいて、137.2gのポリマーを80℃において真空下で16時間乾燥させた。次に、電気加熱及びスターラーを有する200mlのガラス反応器に乾燥したポリマーを添加し、その後、1.69gのBDを添加した。次に反応器を閉め、反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて大気圧にすることにより空気を除去した(このプロセスは全部で3回実施した)。反応混合物の温度を250℃に設定した。反応混合物が均質に溶融したら(観察されるように約1時間)、反応器の内容物を攪拌しながら1リットルの水でクエンチした。得られたOBTコポリマーをろ過し、80℃において真空下で一晩乾燥させた。次に、IKA A11ベーシックミルにおいて液体窒素中で予冷したコポリマーフレークを粉砕することにより、コポリマー粉末を得た。
【0159】
[0159]実施例14のオリゴマーのSSPCは、実施例11に関して実施されたものと同じ方法で行った。
【0160】
[0160]実施例15はPBT及びガラスビーズの配合物を示す。このポリマー配合物は、まず電気加熱及びスターラーを有する反応器において、70重量部で存在するPBT顆粒(「PBT-1」のPBT粉末)と、ガラスビーズ(20ミクロンのD50粒径を有するSovitecからのMicroperl(登録商標)050-20-216)及び2.1重量部のBDとを混合することによって作製され得る。次に、好ましくは反応器が閉められ、反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて真空を大気圧まで上昇させることにより空気が除去され得る(このプロセスは、好ましくは別々に3回行われ得る)。この後、反応混合物の温度は、好ましくは250℃に設定され得る。反応混合物が均質に溶融したら(通常、約1時間)、反応器の内容物は、1リットルの脱イオン水中で攪拌しながらクエンチされ得る。得られた配合PBTオリゴマーは次にろ過され、80℃において真空下で一晩乾燥され得る。
【0161】
[0161]材料を提供した後(フレークの形態)、次に内部2mmふるいを有するRetsch ZM-1粉砕デバイスを用いて粉砕した。
【0162】
[0162]固相後縮合は、回転する250mlのバッフル付きガラス反応器をオイルバッチに入れ、71gのオリゴマーPBT粉末を充填することによって行った。次に、反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて大気圧にすることにより空気を除去した(このプロセスは別々に全部で3回行った)。SSPCの間の温度、真空、及び反応時間は、以下の表1に記載されるように維持した。プロセスの最後に、反応器を真空下で室温まで冷却した。最後に、室温で真空を解放し、流動性の粉末を単離した。
【0163】
[Mn]
[0163]明記される場合、数平均分子質量(Mn)は、末端基シグナルと主鎖シグナルの比率に基づいてH-NMRで決定した。これを達成するために、5~10%のヘキサフルオロイソプロパノール-d2(HFIP-d2)をそれ自体が含有する重水素化クロロホルム(CDCl3)の混合物1ml中に、約15mgの各サンプルを溶解させた。H-NMRスペクトルから、例えば、テレフタル酸単位及びブタンジオール単位の相対量を以下のように計算した:テレフタル酸について、7.8~8.4ppmの芳香族C-Hシグナルは、(主鎖又は鎖末端のいずれかに)存在する単位の総量を表した。さらに、OCH3末端基は、4.0ppmで観察された。一方、ブタンジオールは、4.2~4.6ppm及び2.0~2.2ppmのシグナル(いずれも主鎖のBDを表す)を用い、3.7~3.8ppm及び1.7~1.8ppmのシグナル(いずれも鎖末端のBDを表す)を用いて定量した。
【0164】
[0164]次に、主鎖シグナル対末端基シグナルの比率から、全てのポリマー鎖が正確に2個の末端基を有すると仮定し、さらに全ての末端基がBDに由来する-OH、又はDMTに由来する-OCH3のいずれかであると仮定して、1本の鎖当たりのテレフタル酸及びブタンジオール単位の平均量を計算した。次に、単位の平均数と、その対応するモル質量とを掛け合わせることにより、数平均モル質量を計算した。
【0165】
[0165]或いは、明記される場合、数平均分子質量は、35℃においてヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)及び0.1wt.%のトリフルオロ酢酸カリウムの溶液中で、ポリメチルメタクリレート標準物を用いてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定した。使用した分離カラムは、Polymer Standards Service GmbH(独国)によって提供された。プレカラムを有する3つのモデルのPFG Linear XL 7μm、300x8.0mmカラム(粒径:7μm)を次に適用した。一方、使用した検出器は、屈折率(RI)、直角光散乱(RALS)及び粘度(IV)検出を含有するTriple Detection Array 302を有するMalvern GPCMax V2001溶媒/サンプルモジュールであった。最後に、Malvern OmniSEC 4.7.0ソフトウェアを用いてデータ獲得及び計算を実施した。
【0166】
[0166]各サンプルの値を記録し、以下の表1に示す。上付き文字「b」で指定されるサンプルは、このようなサンプルのMnがH-NMRにより実施されたという事実を指し、上付き文字「a」で指定されるサンプルのMn値は、GPCにより決定した。
【0167】
[D50粒径]
[0167]D50粒径は、本明細書中の他の箇所で言及されるISO13320-1に従って測定した。D50値が由来する粉末の粒径分布(PSD)は、RODOS乾燥分散装置、R5 4.5~875μmを有するSYMPATEC HELOSシステム(モデルHELOS/H3982)においてレーザー回折を用いて測定した。D50は、粒子の統計的体積中央値を表す。種々のサンプルのD50値を記録し、以下の表2に報告した。値は、他に言及されない限り、ミクロンで報告される。
【0168】
[Tm、Tc、Tm,onset、Tc,onset、及び焼結性領域]
[0168]Tm、Tc、Tm,onset、Tc,onset、及び焼結性領域は、示差走査熱量測定(DSC)により決定した。DSC測定は、FS0812R0サンプルロボット及びMettler TS0800GC1ガス制御を備えたMettler DSC823eにおいて実施した。密封アルミニウムパンにおいて全てのサンプルを記録した。DSC機器の較正は、インジウムを用いて実行した。次に、-80~250℃の温度範囲において10℃/分の走査速度で、材料(3~10mgの量)のDSCサーモグラムを記録した。データ収集は、STAReソフトウェアを用いて実行した。
【0169】
[0169]次に、ISO11357-3(2009)に従って、DSCサーモグラフによりTm、Tc、Tm,onset、Tc,onset、及び焼結性領域の値を決定した。最初に、10℃/分の一定の加熱速度における第1の加熱サイクル中に示差走査熱量測定(DSC)によって明らかなように、評価されるサンプルが加熱されるにつれて、融解ピーク曲線の外挿スタートベースラインからの曲線の最初の検出可能な逸脱をとることによって、Ti,mを決定した。さらに、「外挿スタートベースラインからの曲線の最初の検出可能な逸脱」は、サーモグラフが少なくとも0.1mWのベースラインからの偏差を示す点と定義した。このISO法から得られるTi,mの値を記録し、Tm,onsetとして表2に報告する。
【0170】
[0170]一方、次に同じISO法に従って、評価される材料の結晶化ピーク曲線の外挿エンドベースラインからの曲線の最後の検出可能な逸脱を表すTf,cを決定した。ここで、「最後の検出可能な逸脱」は、ベースラインからの偏差が0.1mW未満になる点と定義した。このISO法から得られるTf,cの値を記録し、Tc,onsetとして表2に報告する。
【0171】
[0171]同様にして、同じISO法に従って、その中ではそれぞれTp,m及びTp,cで指定されるTm及びTcを決定した。これらの値も以下の表2に報告される。
【0172】
[0172]最後に、サンプルごとに、Tc,onsetの値をTm,onsetから差し引くことによって、又はISO11357-3のTi,m-Tf,cから焼結性領域を決定した。
【0173】
[0173]本明細書で報告されるTm、Tm,onset、Tc、Tc,onset、及び焼結性領域の値は全て、他に言及されない限り摂氏温度(℃)で表される。
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
[実施例16a~d]
[0174]この実験のために、本発明に従う粉末のリサイクル性を調べた。最初に、PBT粉末の一部(実施例16a)を提供した。このようなPBT粉末は実施例10に記載されるプロセスにより作製され、上記の表1~2に記載されるものと同じ特徴を有する。
【0178】
[0175]次に、粉末は脱重合ステップを受けた。最初のリサイクル繰返しでは、メカニカルスターラー及び電気加熱を有する200mlのガラス反応器に、60グラムの粉末(実施例16a)及び1.8gのBDを添加した。次に反応器を閉めてから、反応器に完全真空を適用し、窒素を用いて圧力を大気圧まで上昇させることにより、その中の空気を除去した(このプロセスは別々に全部で3回行った)。次に、反応混合物の温度を260℃に設定し、光学的に透明になるまで200rpmで着実に混合した。反応混合物が均質に溶融したら(約1時間で観察される)、反応器の内容物を1リットルの脱イオン水中で攪拌しながらクエンチした。得られたオリゴマーPBTをろ過し、80℃において真空下で一晩乾燥させた。
【0179】
[0176]乾燥プロセスが完了したら、次に乾燥オリゴマーPBT材料(ここではフレークに見える)をIKA A11ベーシックミルに移し、続いてすぐにフレークを約200ミクロンのD50粒径まで粉砕した。
【0180】
[0177]次に、粉砕した材料は固相後縮合プロセスを受け、このプロセスにおいて、50gの粉砕粉末は、190摂氏温度の温度及び完全真空に48時間さらされた。最後に、本明細書中の他の箇所に記載されるDSC法により、リサイクルPBT粉末の焼結性領域を測定した。この1回リサイクルしたPBT粉末のDSC測定の結果は、16bの見出しで以下の表3に示される。
【0181】
[0178]リサイクルPBTが、複数回のリサイクル繰返しの後でも付加製造プロセスにおいて有用であるその能力を失わないことを保証するために、同じ出発PBT粉末の少なくとも一部において上記のステップをさらに2回行った。2回リサイクルしたPBT粉末の作製において、1回リサイクルしたPBT粉末に関するステップの全てが繰り返される。
【0182】
[0179]一方、3回リサイクルしたPBT粉末の作製では、50gのサンプルの代わりに7gのPBT粉末サンプルを利用し、他の脱重合、クエンチ、乾燥、及び粉砕ステップは全て同一のままとした。さらに、3gの粉砕粉末をとり、SSPCにおいて190摂氏温度までわずか20時間加熱することにより、3回目のリサイクルの試みにおけるSSPCを変更した。2回及び3回リサイクルしたPBT粉末のDSC測定の結果は、16c及び16dの見出しで以下の表3に示される。
【0183】
【0184】
[0180]表1及び2から分かるように、本発明に従う粉末はより大きい焼結性領域を有し、これは、選択的レーザー焼結(SLS)及びマルチジェットフュージョン(MJF)法などの付加製造プロセスにおけるその迅速な加工性を促進する。純粋なPBT粉末、PBTコポリマー粉末、並びに配合PBT粉末(又は配合PBTコポリマー粉末)における、いわゆる焼結性領域を増大する能力が実証される。
【0185】
[0181]表3により、本明細書に記載される材料は、やはり本明細書に記載される処理を受けたときに、最初に付与される有益な特性が複数回の使用にわたって保持され得るように、容易にリサイクルされることが示される。これは、本発明に従う材料が、付加製造プロセスにおける複数回の使用にもかかわらず再使用及びリサイクルされ得ることを示唆する。
【0186】
[追加の例示的な実施形態]
[0182]第1の追加の例示的な態様の第1の実施形態は、3D印刷のためのポリブチレンテレフタレート(PBT)粉末又はPBTコポリマー粉末を含む微粒子組成物を製造するためのプロセスであり、
a.オリゴマーブチレンテレフタレート(OBT)又はOBTコポリマーを提供するステップと、
b.任意選択的に、OBT又はOBTコポリマーを微粉化して、OBT粉末又はOBTコポリマー粉末を形成するステップと、
c.任意選択的に、OBT粉末又はOBTコポリマー粉末をエマルション凝固させて、エマルション凝固OBT粉末又はエマルション凝固OBTコポリマー粉末を形成するステップと、
d.OBT粉末、OBTコポリマー粉末、エマルション凝固OBT粉末、又はエマルション凝固OBTコポリマー粉末に固相後縮合を受けさせて、20~200μm、又は20~15μm、又は20~100μm、又は30~80μm、又は40~50μmの範囲のD50粒径を有するPBT粉末又はPBTコポリマー粉末を形成するステップと
を含み、
粉砕ステップ若しくはエマルション凝固ステップのいずれか、又は両方が実施され、且つ
PBT粉末又はPBTコポリマー粉末は、少なくとも10℃、又は少なくとも11℃、又は少なくとも12℃、又は少なくとも13℃、又は少なくとも14℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間の焼結性領域を有する。
【0187】
[0183]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、提供されるOBT又はOBTコポリマーが9000g/mol未満の数平均分子質量を有する、前述の実施形態のプロセスである。
【0188】
[0184]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、OBT又はOBTコポリマーが、触媒の存在下でのテレフタル酸(TPA)ベースの化合物及びヒドロキシル含有化合物の反応生成物であり、9000g/mol未満の数平均分子質量を有するOBT又はOBTコポリマーが形成される、前述の実施形態のプロセスである。
【0189】
[0185]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、微粉化ステップが粉砕を含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0190】
[0186]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、TPAベースの化合物がTPA又はジメチルテレフタレートを含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0191】
[0187]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、ヒドロキシル含有化合物が1,4-ブタンジオールを含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0192】
[0188]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、OBT又はOBTコポリマーが、1000g/mol~5000g/mol、又は2000g/mol~4000g/molの数平均分子質量を有する、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0193】
[0189]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、OBT又はOBTコポリマーが1つ又は複数の末端基を含み、NMRにより測定したときに、末端基の少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%がヒドロキシル基である、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0194】
[0190]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBT粉末又はPBTコポリマー粉末が、10000g/mol~100000g/mol、又は20000g/mol~40000g/molの数平均分子質量(Mn)を有する、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0195】
[0191]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、触媒が酢酸チタン又は酢酸マグネシウムを含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0196】
[0192]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、OBT又はOBTコポリマーを形成する反応が、140~230℃の温度で実行される、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0197】
[0193]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、少なくとも1つの添加剤を導入することをさらに含み、添加剤が、難燃剤、流動助剤、充填剤、顔料、安定剤、又はガラス充填剤を含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0198】
[0194]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、導入ステップが、提供ステップ(a)と粉砕ステップ(b)の間に行われる、前述の実施形態のプロセスである。
【0199】
[0195]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、導入ステップが、粉砕ステップ(b)と固相後縮合を受けるステップ(d)の間に行われる、2つの前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0200】
[0196]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、微粉化ステップが粉砕を含み、粉砕がさらにジェット粉砕又は機械的研削プロセスを含み、ジェット粉砕又は機械的研削プロセスが、15~35℃、又は15~30℃の温度で実行される、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0201】
[0197]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、エマルション凝固ステップが、OBT、OBTコポリマー、OBT粉末、又はOBTコポリマー粉末をシリコーンオイル又はイオン性液体溶媒中で乳化させることを含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0202】
[0198]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、OBT粉末又はOBTコポリマー粉末に少なくとも1つ又は複数の添加剤を配合することをさらに含み、添加剤が、難燃剤、流動助剤、充填剤、顔料、安定剤、又はガラス充填剤を含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0203】
[0199]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、OBTコポリマーがOBTコポリエステルである、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0204】
[0200]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、OBTコポリマー及び/又はPBTコポリマーが、少なくとも120、又は少なくとも130、又は少なくとも140、又は少なくとも150、又は少なくとも160、又は少なくとも175、又は少なくとも185、又は少なくとも200℃、又は120~250℃の間、又は130~240℃の間、又は150~230℃の間のTm,onset値を有する、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0205】
[0201]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、OBTコポリマー及び/又はPBTコポリマーが、二量体脂肪酸、1,4-ブタンジオール、ジメチルテレフタレート、若しくはポリテトラヒドロフランの反応生成物であるブロックを有するコポリマーを含むか、このようなコポリマーから本質的になるか、又はこのようなコポリマーからなる、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0206】
[0202]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBTコポリマーがさらにPBTハードブロックを含む、前述の実施形態のプロセスである。
【0207】
[0203]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBTコポリマーが、少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%モル当量のグリコールを含有する、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0208】
[0204]第1の追加の例示的な態様の別の実施形態は、微粒子組成物がPBT粉末を含むか、PBT粉末から本質的になるか、又はPBT粉末からなる、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0209】
[0205]本発明の第2の追加の例示的な態様の第1の実施形態は、20000g/mol~40000g/molの数平均分子質量と、少なくとも10℃、又は少なくとも11℃、又は少なくとも12℃、又は少なくとも13℃、又は少なくとも14℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間の焼結性領域とを有する、3D印刷のためのポリブチレンテレフタレート(PBT)粉末(又はそのコポリエステル)である。
【0210】
[0206]第2の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBT粉末(又はそのコポリエステル)が、少なくとも210℃、又は少なくとも220℃、又は少なくとも225℃の融点開始温度(Tm,onset)を有する、前述の実施形態の粉末である。
【0211】
[0207]第2の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBT粉末(又はそのコポリエステル)がポリマー配合物粉末である、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0212】
[0208]第2の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBT粉末(又はそのコポリエステル)に1つ又は複数の添加剤が配合され、添加剤が、難燃剤、流動助剤、充填剤、顔料、安定剤、又はガラス充填剤を含む、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0213】
[0209]第2の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBTコポリエステル粉末が、PBTハードブロックと、二量体脂肪酸、ブタンジオール、ジメチルテレフタレート、及び/又はポリテトラヒドロフランの1つ又は複数の反応生成物を含むソフトブロックとを含む、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0214】
[0210]第2の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBTコポリエステル粉末が、少なくとも120℃、又は少なくとも150℃、又は150~230℃の間のTm,onset値を有する、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0215】
[0211]第2の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBTコポリエステルが、少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも35%、又は少なくとも50%モル当量のグリコールを含有する、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0216】
[0212]第2の追加の例示的な態様の別の実施形態は、粉末が純粋なPBT粉末から本質的になるか、又は純粋なPBT粉末からなる、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0217】
[0213]第3の追加の例示的な態様の第1の実施形態は、3D印刷のためのポリエステル粉末を製造するためのプロセスであり、
a.オリゴエステルを提供するステップと、
b.オリゴエステルを(i)微粉化するか、(ii)エマルション凝固させるか、又は(iii)微粉化すると共にエマルション凝固させて、20~200μm、又は30~80μmの範囲のD50粒径を有するオリゴエステル粉末を形成するステップと、
c.オリゴエステル粉末に固相後縮合を受けさせて、ポリエステル粉末を形成するステップと
を含み、ポリエステル粉末は、少なくとも10℃、又は少なくとも11℃、又は少なくとも12℃、又は少なくとも13℃、又は少なくとも14℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間の焼結性領域を有する。
【0218】
[0214]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、オリゴエステルが、触媒の存在下でのテレフタル酸(TPA)ベースの化合物又はナフタレンジカルボン酸ベースの化合物と、ヒドロキシル含有化合物との反応生成物である、前述の実施形態のプロセスである。
【0219】
[0215]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、オリゴエステルが9000g/mol未満の数平均分子質量を有する、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0220】
[0216]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、ポリエステル粉末が、10000g/mol~100000g/mol、又は20000g/mol~40000g/molの数平均分子質量を有する、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0221】
[0217]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、TPAベースの化合物がTPAを含むか、又はナフタレンジカルボン酸がナフタレンジカルボン酸を含む、2つの前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0222】
[0218]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、ヒドロキシル含有化合物が、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、又は1,3-プロパンジオールを含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0223】
[0219]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、ポリエステル粉末が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0224】
[0220]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、ポリエステル粉末が、40~50μmの範囲のD50粒径と、20000g/mol~40000g/molの数平均分子質量と、少なくとも210℃、又は少なくとも220℃、又は少なくとも225℃の融点開始温度(Tm,onset)とを有する、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0225】
[0221]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、ポリエステル粉末に1つ又は複数の添加剤が配合され、添加剤が、難燃剤、流動助剤、充填剤、顔料、安定剤、又はガラス充填剤を含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0226】
[0222]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、ポリエステル粉末がポリマー配合物粉末である、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0227】
[0223]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、少なくとも1つの添加剤をさらに含み、添加剤が、難燃剤、流動助剤、充填剤、顔料、安定剤、又はガラス充填剤を含む、前述の実施形態のプロセスである。
【0228】
[0224]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、前述の実施形態のいずれかにおいて記載されるポリエステル配合物粉末から調製された3D印刷物品である。
【0229】
[0225]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、ポリエステル粉末がPBT粉末若しくはPBTコポリマー粉末を含むか、PBT粉末若しくはPBTコポリマー粉末から本質的になるか、又はPBT粉末若しくはPBTコポリマー粉末からなる、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0230】
[0226]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBTコポリマー粉末が、PBTハードブロックと、二量体脂肪酸、ブタンジオール、ジメチルテレフタレート、及び/又はポリテトラヒドロフランの1つ又は複数の反応生成物を含むソフトブロックとを含む、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0231】
[0227]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBTコポリマー粉末が、少なくとも120℃、又は少なくとも150℃、又は150~230℃の間のTm,onset値を有する、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0232】
[0228]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、PBTコポリマーが、少なくとも5%、又は少なくとも10%モル当量のグリコールを含有する、前述の実施形態のいずれかの粉末である。
【0233】
[0229]第3の追加の例示的な態様の別の実施形態は、ポリエステル粉末がPBT粉末を含むか、PBT粉末から本質的になるか、又はPBT粉末からなる、前述の態様のいずれかの粉末である。
【0234】
[0230]第4の追加の例示的な態様の第1の実施形態は、付加製造プロセスによって物体を形成する方法であり、
微粒子組成物の層を提供するステップであって、微粒子組成物が、融点開始温度(Tm,onset)、結晶化開始温度(Tc,onset)、及び焼結性領域(Tm,onset-Tc,onset)を有するポリエステル粉末を含み、ポリエステル粉末の焼結性領域が、10℃よりも大きい、又は14℃よりも大きい、又は15℃よりも大きい、又は20℃よりも大きい、又は25℃よりも大きい、又は30℃よりも大きいステップと、
微粒子組成物の層上の少なくとも1つの位置に対して電磁放射線を適用するステップであって、形成される3次元物体の一部に対応するコンピュータデータに従って、電磁放射線が適用された位置の少なくとも一部において、微粒子組成物が融解を受けて融合セクションを形成するステップと、
前述のステップを複数回繰り返して、融合した3次元物体を形成するステップと
を含む。
【0235】
[0231]第4の追加の例示的な態様の追加の実施形態は、適用ステップの前に、微粒子組成物の層の上に液体組成物を選択的に付着させるステップをさらに含み、微粒子組成物又は液体組成物の少なくとも1つが融剤を含む、前述の実施形態に従う方法である。
【0236】
[0232]第4の追加の例示的な態様の追加の実施形態は、適用ステップが、代替的に、微粒子組成物上に選択的に付着された液体組成物上の特定の位置で行われ、液体組成物が適用された位置の少なくとも一部において、微粒子組成物が融解を受けて融合セクションを形成する、前述の実施形態に従う方法である。
【0237】
[0233]第4の追加の例示的な態様の追加の実施形態は、ポリエステル粉末が、第1若しくは第3の追加の例示的な態様の実施形態のいずれかによって形成される粉末、又は第2の追加の例示的な態様の実施形態のいずれかの粉末のどちらかによって定義される、前述の実施形態のいずれかの方法である。
【0238】
[0234]第4の追加の例示的な態様の追加の実施形態は、融剤が、エネルギー吸収剤、熱開始剤、又は光開始剤をさらに含む、前述の実施形態に従う方法である。
【0239】
[0235]第5の追加の例示的な態様の第1の実施形態は、3D印刷から得られるポリエステル粉末をリサイクルするプロセスであり、
ある量のポリエステル粉末を提供するステップと、
ポリエステルを脱重合させて、500g/mol~6000g/molの数平均分子質量を有するオリゴマーポリエステルを形成するステップと、
任意選択的に、添加剤又はモノマー断片を除去するステップと、
任意選択的に、新しい添加剤を導入するステップと、
任意選択的に、オリゴマーポリエステルを粉砕して、20~650μm、又は20~200μm、又は40~50μmの範囲のD50粒径を有する粉末を形成するステップと、
任意選択的に、粉末をふるい分けして、30~80μm、又は40~50μmの範囲のD50粒径を有する粉末を形成するステップと、
任意選択的に、オリゴマーポリエステル又はオリゴマーポリエステル粉末をエマルション凝固させるステップと、
リサイクルされたオリゴマーポリエステル粉末に固相後縮合を受けさせて、ポリエステル粉末を形成するステップであって、ポリエステル粉末の最大100%、又は1~80%、又は20~100%、又は20~80%、又は30~100%、又は30~80%、又は25~75%がリサイクルされるステップと
を含む。
【0240】
[0236]第5の追加の例示的な実施形態の追加の実施形態は、ポリエステル粉末がポリブチレンテレフタレート(PBT)又はそのコポリマーであり、オリゴマーポリエステルがオリゴ-ブチレンテレフタレート(OBT)又はそのコポリマーであり、オリゴマーポリエステル粉末がOBT粉末又はそのコポリマーである、前述の実施形態のプロセスである。
【0241】
[0237]第5の追加の例示的な実施形態の追加の実施形態は、オリゴマーポリエステルがオリゴ-ブチレンテレフタレート(OBT)である、前述の2つの実施形態のいずれかのプロセスである。
【0242】
[0238]第5の追加の例示的な実施形態の追加の実施形態は、粉砕の前に、微粒子添加剤及び劣化モノマー断片の少なくとも1つを除去するステップを含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0243】
[0239]第5の追加の例示的な実施形態の追加の実施形態は、除去ステップがろ過を含む、前述の実施形態のプロセスである。
【0244】
[0240]第5の追加の例示的な実施形態の追加の実施形態は、粉砕の前又は後に、新しい微粒子又は添加剤を導入するステップを含む、前述の実施形態のいずれかのプロセスである。
【0245】
[0241]第5の追加の例示的な実施形態の追加の実施形態は、前述の実施形態のいずれかのプロセスから形成されるリサイクルされたポリマー粉末であり、リサイクルポリマー粉末はPBT粉末を含む。
【0246】
[0242]第5の追加の例示的な実施形態の追加の実施形態は、リサイクルポリマー粉末が、40~50μmの範囲のD50粒径と、10000g/mol~100000g/mol、又は20000g/mol~40000g/molの数平均分子質量(Mn)とを有する、前述の実施形態のプロセスである。
【0247】
[0243]第5の追加の例示的な実施形態の追加の実施形態は、融点開始温度(Tm,onset)及び結晶点開始温度(Tc,onset)をさらに有し、Tm,onsetマイナスTc,onsetが焼結性領域であり、PBTの焼結性領域が、少なくとも10℃、又は少なくとも11℃、又は少なくとも12℃、又は少なくとも13℃、又は少なくとも14℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間である、前述の実施形態のプロセスである。
【0248】
[0244]本発明の第6の追加の例示的な態様の第1の実施形態は、3次元物体を形成する方法であり、
a.微粒子組成物の層を提供するステップであって、微粒子組成物が複数のリサイクルポリマー粒子を含むステップと、
b.3次元物体の少なくとも一部の形状に対応するコンピュータデータに従って微粒子組成物の層の上に電磁放射線を選択的に適用するステップであって、電磁放射線が適用された位置の少なくとも一部において、微粒子組成物が融解を受けるステップと、
c.ステップa~bを複数回繰り返して、焼結3次元物体を形成するステップと
を含む。
【0249】
[0245]第6の追加の例示的な態様の追加の実施形態は、微粒子組成物が、第5の追加の例示的な実施形態の実施形態のいずれかに従って記載されたもののいずれかに従うリサイクルポリマー粒子を含む、前述の実施形態の方法である。
【0250】
[0246]第6の追加の例示的な態様の追加の実施形態は、微粒子組成物が、第5の追加の例示的な実施形態の実施形態のいずれかに従って形成されたリサイクルポリマー粒子を含む、前述の実施形態の方法である。
【0251】
[0247]第6の追加の例示的な態様の追加の実施形態は、リサイクルポリマー粒子が3D印刷に適しており、40~50μmの範囲のD50粒径と、10000g/mol~100000g/mol、又は20000g/mol~40000g/molの数平均分子質量(Mn)とを有する、前述の実施形態のいずれかの方法である。
【0252】
[0248]第6の追加の例示的な態様の追加の実施形態は、リサイクルポリマー粒子の焼結性領域が、少なくとも10℃、又は少なくとも11℃、又は少なくとも12℃、又は少なくとも13℃、又は少なくとも14℃、又は少なくとも15℃、又は少なくとも20℃、又は少なくとも25℃、又は14~40℃の間、又は15~35℃の間、又は20~35℃の間、又は25~35℃の間、又は15~25℃の間、又は15~20℃の間、又は30~40℃の間、又は35~40℃の間である、前述の実施形態のいずれかの方法である。第6の追加の例示的な態様の追加の実施形態は、リサイクルポリマー粒子が、少なくとも210℃、又は少なくとも220℃、又は少なくとも225℃、又は220℃~250℃、又は225℃~240℃、又は220℃~230℃、又は225℃~240℃、又は225℃~230℃のTm,onsetを有する、前述の実施形態のいずれかの方法である。
【0253】
[0249]第7の追加の例示的な態様の第1の実施形態は、3次元物体を形成する方法であり、
a.微粒子組成物の層を形成するステップであって、微粒子組成物が、複数のリサイクルポリマー粒子及び樹脂成分を含むステップと、
b.3次元物体の少なくとも一部の形状に対応するコンピュータデータに従って、微粒子組成物の層の上に液体組成物を選択的に付着させるステップであって、微粒子組成物又は樹脂成分の少なくとも1つが融剤を含み、融剤が、エネルギー吸収剤、熱開始剤、又は光開始剤をさらに含むステップと、
c.少なくとも、液体組成物が選択的に付着された微粒子組成物の層の位置に対して電磁放射線を適用するステップであって、液体組成物が選択的に付着された位置において、微粒子組成物が融解を受け、且つ融解を受けている間、又は溶融している間に、融剤が少なくとも第1の樹脂の重合を開始させるステップと、
d.ステップa~cを複数回繰り返して、3次元物体を形成するステップと
を含む。
【0254】
[0250]第7の追加の例示的な態様の別の実施形態は、微粒子組成物が、本発明の第5の追加の態様の実施形態のいずれかに従うリサイクルポリマー粒子を含む、前述の実施形態の方法である。
【0255】
[0251]第7の追加の例示的な態様の別の実施形態は、微粒子組成物が、本発明の第5の追加の態様の実施形態のいずれかの方法のいずれかに従って形成されたリサイクルポリマー粒子を含む、前述の実施形態のいずれかの方法である。
【0256】
[0252]本発明の第8の追加の態様は、
(i)第1の例示的な態様の実施形態のいずれかの方法によって形成されたポリブチレンテレフタレート(PBT)粉末又はPBTコポリエステル粉末;
(ii)第2の追加の例示的な態様の実施形態のいずれかのポリブチレンテレフタレート(PBT)粉末又はPBTコポリエステル粉末;又は
(iii)第3の追加の例示的な態様の実施形態のいずれかの方法によって形成されたポリエステル粉末
のうちの少なくとも1つと、融剤であって、エネルギー吸収剤、熱開始剤、又は光開始剤をさらに含む融剤とを含む、付加製造のための材料のキットである。
【0257】
[0253]本発明の第8の追加の態様の追加の実施形態は、キットがPBT粉末を含むか、PBT粉末から本質的になるか、又はPBT粉末からなる、前述の実施形態の付加製造のための材料のキットである。
【0258】
[0254]本発明は、本発明を実施する現在好ましい態様を含む特定の実施例に関して説明されたが、当業者は、特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨及び範囲内に包含される上記のシステム及び技術の多数の変形及び置換が存在することを認識するであろう。
【国際調査報告】