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特表2022-503977加工性に優れたポリエステル共重合体およびこれを含む物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】加工性に優れたポリエステル共重合体およびこれを含む物品
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/668 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
C08G63/668
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517847
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(85)【翻訳文提出日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 KR2019012740
(87)【国際公開番号】W WO2020071708
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0119266
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513193923
【氏名又は名称】エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK Chemicals Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】310,Pangyo-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do 13494,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォン トンジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン ビョンクック
(72)【発明者】
【氏名】シム ジンスク
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA01
4J029AB01
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AE01
4J029BA03
4J029BD07
4J029BF30
4J029CB06
4J029FC12
4J029HA01
4J029HB01
4J029HB05
4J029HB06
4J029JA091
4J029JB171
4J029JF181
4J029JF361
4J029KB02
4J029KE05
(57)【要約】
本発明によるポリエステル共重合体は、加工性に優れ、特にせん断流動化特性に優れてEBM工法を通じた各種透明容器の製造に適用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)テレフタル酸を含むジカルボン酸成分の残基;
2)シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、およびイソソルビドを含むジオール成分の残基;および
3)3官能基化合物の残基を含み、
固有粘度が0.75~0.82dl/gである、ポリエステル共重合体。
【請求項2】
前記シクロヘキサンジメタノール残基は、前記全体ジオール成分残基100重量部に対して30~70重量部で含まれる、請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項3】
前記エチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100重量部に対して5~25重量部で含まれる、請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項4】
前記イソソルビド残基は、前記全体ジオール成分残基100重量部に対して0.1~5重量部で含まれる、請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項5】
前記3官能基化合物は、ベンゼントリカルボン酸、またはそのアンハイドライドである、請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項6】
前記3官能基化合物は、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸アンハイドライド、ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、またはベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸アンハイドライドである、請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項7】
前記3官能基化合物の残基は、前記ポリエステル共重合体100重量部に対して0.01~1重量部で含まれる、請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項8】
前記ポリエステル共重合体は、210℃および0.5s-1のせん断速度で溶融粘度が8000Pa.s以上であり、210℃および500s-1のせん断速度で溶融粘度が1200Pa.s以下である、請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項9】
前記ポリエステル共重合体は、210℃および200s-1のせん断速度で溶融粘度が2000Pa.s以下である、請求項8に記載のポリエステル共重合体。
【請求項10】
請求項1~9のうちのいずれか一項によるポリエステル共重合体を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加工性に優れたポリエステル共重合体およびこれを含む物品に関するものであって、特にEBM(extrusion blow molding)工法に適用可能なポリエステル共重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリア性が優れているため、飲料充填用容器や、包装用フィルム、オーディオ、ビデオ用フィルムなどの素材として最も適していて大量に使用されている。また、医療用繊維やタイヤコードなどの産業資材としても全世界的に広く生産されている。ポリエステルシート(sheet)や板材は透明性が良好であり機械的強度に優れて、ケース、ボックス、パーティション、店舗棚、保護パネル、ブリスターパッケージング、建築資材、インテリア内外装材などの材料として広範囲に使用されている。
【0003】
このようなポリエステルから製品を作る方法としては、IBM(injection blow molding)工法が主に適用されており、これを通じて大量生産が可能である。また、ポリエステルのうちの非晶質のポリエステルの場合には、EBM(extrusion blow molding)工法を適用することができる。EBMに適用する高分子は、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)が全体市場の50%以上を占め、透明性に代表されるPVCやPETG、PCなどがその残りを占める。
【0004】
このうち、優れた耐化学性を有するPETG(glycol-modified poly(1,4-cyclohexylenedimethylene terephthalate))は主に化粧品容器をはじめとする染色剤、洗剤入れなどに使用され、優れた耐化学性は強い溶媒や溶剤または生活用品の洗浄剤などによる外観透明度損失を減らすことができて市場が次第に大きくなっている傾向にある。PETGはポリエステルの耐化学性的長所を有し、非結晶性の特徴によってIBMより温度が低い領域でEBM工法を通じた製品生産、特に容器の製造が可能である。
【0005】
しかし、PEやPPに比べてPETGは粘度が低くて十分に成形温度を低めなければ成形が不可能であり、PEやPPより相対的に低い粘度を有していて大きなパリソン(parison)を作るのに困難がある。このようなPETGの低い粘度はEBM工法中に複数のパリソンを作れる多重ヘッド方式の適用も難しくし、多重ヘッド方式に適用する場合、パリソンの長さ差が発生して生産に困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、加工性に優れたポリエステル共重合体を提供するためのものである。また、本発明は、前記ポリエステル共重合体を含む物品を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明は、1)テレフタル酸を含むジカルボン酸成分の残基;2)シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、およびイソソルビドを含むジオール成分の残基;および3)3官能基化合物の残基を含む、固有粘度0.75~0.82dl/gである、ポリエステル共重合体を提供する。
【0008】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0009】
[用語の定義]
本発明による共重合体はジカルボン酸成分とジオール成分が共重合されて製造される共重合体に関するものであって、前記共重合過程で3官能基化合物が反応に参加して製造されるポリエステル共重合体に関するものである。
【0010】
本明細書で、「残基」は特定の化合物が化学反応に参加した時、その化学反応の結果物に含まれ前記特定化合物に由来した一定の部分または単位を意味する。具体的に、前記ジカルボン酸成分の「残基」またはジオール成分の「残基」それぞれは、エステル化反応または縮重合反応で形成されるポリエステル共重合体においてジカルボン酸成分に由来した部分またはジオール成分に由来した部分を意味する。また、前記3官能基化合物の「残基」は前記官能基が前記ジオール成分とエステル化反応で形成されるエステル構造において前記3官能基化合物に由来した部分を意味する。
【0011】
[ジカルボン酸成分]
本発明で使用されるジカルボン酸成分は、ジオール成分と共にポリエステル共重合体を構成する主要単量体を意味する。特に、前記ジカルボン酸はテレフタル酸を含み、テレフタル酸によって本発明によるポリエステル共重合体の耐熱性、耐化学性、耐候性などの物性が向上できる。
【0012】
前記ジカルボン酸成分は、テレフタル酸以外に、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、またはこれらの混合物を追加的に含むことができる。この場合、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分は、全体ジカルボン酸成分の総重量に対して1~30重量%で含まれるのが好ましい。
【0013】
前記芳香族ジカルボン酸成分は、炭素数8~20、好ましくは炭素数8~14の芳香族ジカルボン酸またはこれらの混合物などであってもよい。前記芳香族ジカルボン酸の例として、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、2,5-チオフェンジカルボン酸などがあるが、前記芳香族ジカルボン酸の具体的な例がこれに限定されるのではない。前記脂肪族ジカルボン酸成分は炭素数4~20、好ましくは炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸成分またはこれらの混合物などであってもよい。前記脂肪族ジカルボン酸の例として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸などの線状、分枝状または環状脂肪族ジカルボン酸成分などがあるが、前記脂肪族ジカルボン酸の具体的な例がこれに限定されるのではない。
【0014】
[ジオール成分]
本発明で使用されるジオール成分は、前述のジカルボン酸成分と共にポリエステル共重合体を構成する主要単量体を意味する。特に、前記ジオール成分は、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、およびイソソルビドを含む。
【0015】
前記シクロヘキサンジメタノール(例えば、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノールまたは1,4-シクロヘキサンジメタノール)は、製造されるポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記シクロヘキサンジメタノール残基は、前記全体ジオール成分残基100重量部に対して30~70重量部で含まれる。
【0016】
前記エチレングリコールは、シクロヘキサンジメタノールと共に製造されるポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記エチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100重量部に対して5~25重量部で含まれる。
【0017】
前記イソソルビドは、製造されるポリエステル共重合体の加工性を向上させるために使用される。前述のシクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールのジオール成分によってポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度が向上するが、加工性のためにせん断流動化特性が改善されなければならず結晶化速度が遅延されなければならないが、シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールのみではその効果を達成しにくい。よって、ジオール成分としてイソソルビドを含む場合、透明性と耐衝撃強度が維持されながらもせん断流動化特性が改善され結晶化速度が遅延されることによって、製造されるポリエステル共重合体の加工性が改善される。好ましくは、前記イソソルビド残基は、前記全体ジオール成分残基100重量部に対して0.1~5重量部で含まれる。
【0018】
[3官能基化合物]
本発明で使用される3官能基化合物は、前述のジカルボン酸成分およびジオール成分以外にポリエステル共重合体の製造に使用される成分であって、加工性、特にせん断流動化特性をさらに向上させるために添加される成分である。
【0019】
EBM工法では、成形機のスクリュー内部の高いせん断応力区間では低い粘度を維持し、せん断応力が低いパリソン形成区間では高い粘度を示すせん断流動化特性が必要である。このようなせん断流動化特性は、スクリュー内部で発生されるせん断応力摩擦による発生熱を最少化し、パリソン自体の温度を低めることによって成形機に設定した成形温度より高い温度で摩擦熱が発生することを防止する。
【0020】
また、さらに高いせん断応力を受けたマルチヘッドEBMの場合、1個のスクリューで複数のパリソンを作り、高い押出量のためにスクリューのRPMがさらに高まってさらに高いせん断応力を受けるようになるので、より優れたせん断流動化特性が要求される。
【0021】
前述のジオール成分の調節を通じて、製造されるポリエステル共重合体の加工性が改善できるが、特にせん断流動化特性を改善するためにはポリエステル共重合体の主鎖にブランチまたはグラフトを形成する必要がある。この場合、単純な線状ポリエステル共重合体に比べて結晶化を難しくし、これはせん断流動化特性の向上を意味する。
【0022】
後述の実施例のように、前記3官能基化合物を使用した場合には、これを使用しない比較例に比べて加工性が向上するのを確認することができ、理論的に制限されるわけではないが、前述のようにポリエステル共重合体の主鎖にブランチまたはグラフトの形成を通じて複雑な鎖で製造されたことに起因する。
【0023】
好ましくは、前記官能基とはトリカルボン酸またはそのアンハイドライドを意味する。より好ましくは、前記3官能基化合物は、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸アンハイドライド、ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、またはベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸アンハイドライドである。
【0024】
好ましくは、前記3官能基化合物の残基は、前記ポリエステル共重合体100重量部を基準にして0.01~1重量部で含まれる。前記含量が1重量部を超過すれば、製造されるポリエステル共重合体の透明度が低下するという短所があり、前記含量が0.01重量部未満である場合には、加工性の改善が微小であるという短所がある。
【0025】
[ポリエステル共重合体]
本発明によるポリエステル共重合体は、前述のジカルボン酸成分、ジオール成分、および3官能基化合物を共重合して製造することができる。この時、前記共重合は、エステル化反応と重縮合反応を順次に行うことができる。
【0026】
前記エステル化反応はエステル化反応触媒の存在下に行い、亜鉛系化合物を含むエステル化反応触媒を使用することができる。このような亜鉛系触媒の具体的な例としては、亜鉛アセテート、亜鉛アセテートジハイドレート、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛シトレート、グルコン酸亜鉛、またはその混合物が挙げられる。
【0027】
前記エステル化反応は、0~10.0kg/cmの圧力および150~300℃の温度で行うことができる。前記エステル化反応条件は、製造されるポリエステルの具体的な特性、各成分の比率、または工程条件などによって適切に調節できる。具体的に、前記エステル化反応条件の好ましい例として、0~5.0kg/cm、より好ましくは0.1~3.0kg/cmの圧力;200~270℃、より好ましくは240~260℃の温度が挙げられる。
【0028】
そして、前記エステル化反応はバッチ(batch)式または連続式で行うことができ、それぞれの原料は別途に投入できるが、ジオール成分にジカルボン酸成分および3官能基化合物を混合したスラリー形態で投入することが好ましい。そして、常温で固形粉であるイソソルビドなどのジオール成分は、水またはエチレングリコールに溶解させた後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分に混合してスラリーに作ることができる。または、60℃以上でイソソルビドが溶融された後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分とその他のジオール成分を混合してスラリーに作ることもできる。また、前記混合されたスラリーに水を追加的に投入してスラリーの流動性増大を助けることもできる。
【0029】
前記エステル化反応に参加するジカルボン酸成分とジオール成分のモル比は1:1.05~1:3.0であってもよい。前記ジカルボン酸成分:ジオール成分のモル比が1.05未満であれば、重合反応時に未反応ジカルボン酸成分が残留して樹脂の透明性が低下することがあり、前記モル比が3.0を超過する場合、重合速度が低まるか、ポリエステル共重合体の生産性が低まることがある。
【0030】
前記重縮合反応は、前記エステル化反応生成物を150~300℃の温度および600~0.01mmHgの減圧条件で1~24時間反応させて行うことができる。
【0031】
このような重縮合反応は、150~300℃、好ましくは200~290℃、より好ましくは260~280℃の反応温度;および600~0.01mmHg、好ましくは200~0.05mmHg、より好ましくは100~0.1mmHgの減圧条件で行うことができる。前記重縮合反応の減圧条件を適用することによって重縮合反応の副産物であるグリコールを系外に除去することができ、これにより、前記重縮合反応が400~0.01mmHgの減圧条件範囲から外れる場合、副産物の除去が不充分なことがある。また、前記重縮合反応が150~300℃の温度範囲外で起こる場合、縮重合反応が150℃以下で行われば重縮合反応の副産物であるグリコールを効果的に系外に除去されず最終反応生成物の固有粘度が低くて製造されるポリエステル樹脂の物性が低下することがあり、300℃以上で反応が行われる場合、製造されるポリエステル樹脂の外観が黄変(yellow)される可能性が高まる。そして、前記重縮合反応は最終反応生成物の固有粘度が適切な水準に達するまで必要な時間、例えば、平均滞留時間1~24時間で行うことができる。
【0032】
また、前記重縮合反応はチタン系化合物、ゲルマニウム系化合物、アンチモン系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物またはこれらの混合物を含む重縮合触媒を使用することができる。
【0033】
前記チタン系化合物の例としては、テトラエチルチタネート、アセチルトリプロピルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、2-エチルヘキシルチタネート、オクチレングリコールチタネート、ラクテートチタネート、トリエタノールアミンチタネート、アセチルアセトネートチタネート、エチルアセトアセティックエステルチタネート、イソステアリルチタネート、チタニウムジオキシドなどが挙げられる。前記ゲルマニウム系化合物の例としては、ゲルマニウムジオキシド、ゲルマニウムテトラクロライド、ゲルマニウムエチレングリコキシド、ゲルマニウムアセテート、これらを用いた共重合体、またはこれらの混合物などが挙げられる。好ましくは、ゲルマニウムジオキシドを使用することができ、このようなゲルマニウムジオキシドとしては結晶性または非結晶性全てを使用することができ、グリコール可溶性も使用することができる。
【0034】
一方、本発明によるポリエステル共重合体は、固有粘度が0.75~0.82dl/gであり、好ましくは0.78~0.80dl/gである。前記固有粘度の測定方法は後述の実施例で具体化する。
【0035】
また、好ましくは、本発明によるポリエステル共重合体は、210℃および0.5s-1のせん断速度で溶融粘度が8000Pa.s以上であり、210℃および500s-1のせん断速度で溶融粘度が1200Pa.s以下である。また、好ましくは、本発明によるポリエステル共重合体は、210℃および200s-1のせん断速度で溶融粘度が2000Pa.s以下である。
【0036】
また、本発明は、前記ポリエステル共重合体を含む物品を提供する。
【発明の効果】
【0037】
前述の本発明によるポリエステル共重合体は加工性に優れ、特にせん断流動化特性に優れてEBM工法を通じた各種透明容器の製造に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、これによって本発明の内容が限定されるのではない。
【実施例
【0039】
[実施例1]
7L容積の反応器に、下記表1に記載されているように、TPA(terephthalic acid)、EG(ethylene glycol)、CHDM(1,4-cyclohexanedimethanol)、およびISB(isosorbide)を投入して混合物を製造した。ここに前記混合物100重量部に対してTMA(trimellitic anhydride)を下記表1の含量で添加した。
【0040】
前記製造した混合物100重量部に対して亜鉛アセテートを20ppmwを添加および混合し、2.0kg/cmの圧力および255℃の条件で約260分間エステル化反応を行わせた。前記エステル化反応が完了した後、副産物である水が系外に80~99%流出した時、全体反応物の重量に対してゲルマニウムジオキシド200ppmwを投入(中心元素基準)し、0.5mmHgの真空および275℃の条件で反応を行い(重縮合反応)、目標粘度に到達した時に反応を終了してポリエステル共重合体を得た。
【0041】
[実施例2]
TMA含量を下記表1の含量で変更したことを除いて、前記実施例1と同様な方法で共重合体を製造した。
【0042】
[比較例1]
TMAを使用しないことを除いて、前記実施例1と同様な方法で共重合体を製造した。
【0043】
[比較例2]
ISBを使用しないことを除いて、前記実施例1と同様な方法で共重合体を製造した。
【0044】
[比較例3]
ISBを使用しないことを除いて、前記実施例2と同様な方法で共重合体を製造した。
【0045】
[比較例4]
ISBとTMAを使用しないことを除いて、前記実施例1と同様な方法で共重合体を製造した。
【0046】
[実験例]
前記実施例および比較例で製造した共重合体に対して、以下のように物性を評価した。
【0047】
1)固有粘度:150℃オルトクロロフェノール(OCP)に0.12%濃度でポリエステル共重合体を溶解させた後、35℃の恒温槽でウベローデ型粘度計を使用して測定した。
【0048】
2)Haze:厚さ3mmのポリエステル共重合体試片を製造して、ASTM D1003によって測定した。
【0049】
3)成形可能な瓶の容量:500mL、1L、および2Lにして2headで成形を行った。具体的に、Bekum EBM設備で190~210℃内外の温度でパリソンを形成して瓶を成形した。
【0050】
4)落下強度高さ:前記3)で製造した瓶に水を満たして、落下高さ1m、1.5mから落下した時、瓶の状態が維持されるか確認し、維持される最大落下高さを以下表1に記載した。
【0051】
前記結果を下記表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
5)溶融粘度:TA Instruments社のアドバンスドレオメトリックエキスパンションシステム(Advanced Rheometric Expansion System、ARES)装置を用いて、前記ポリエステル共重合体に対する窒素下210℃で0.5~500s-1のせん断速度で溶融粘度を測定した。測定時には直径が25mmであるパラレルプレートを約1.5~2mm間隔で平行に位置させて使用した。実施例1のポリエステル共重合体の結果を下記表2に示した。
【0054】
【表2】
【国際調査報告】