(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ウォラストナイトを含む抗菌組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 59/06 20060101AFI20220104BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220104BHJP
A01N 43/80 20060101ALI20220104BHJP
A01N 47/12 20060101ALI20220104BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20220104BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220104BHJP
C09D 5/14 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A01N59/06 Z
A01P3/00
A01N43/80 102
A01N47/12 A
C09D201/00
C09D7/61
C09D5/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517936
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(85)【翻訳文提出日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2019076875
(87)【国際公開番号】W WO2020070268
(87)【国際公開日】2020-04-09
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルストゥイフト リーヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ボラール ジェローム
【テーマコード(参考)】
4H011
4J038
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011AA03
4H011BB10
4H011BB13
4H011BB18
4H011BC18
4H011BC19
4H011DA12
4H011DH10
4J038CF021
4J038HA456
4J038MA14
4J038NA05
(57)【要約】
本発明は、抗菌剤ブースターとしてウォラストナイトを含む抗菌組成物およびその使用に関する。本発明はまた、本発明による抗菌組成物を含む塗料またはコーティング組成物、および抗菌組成物で処理された物品にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌剤および抗菌剤ブースターとしてのウォラストナイトを含む、抗菌組成物。
【請求項2】
ウォラストナイトが未処理である、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項3】
ウォラストナイトが5~120μmの範囲のメジアン粒子径d
50を有する、かつ/またはウォラストナイトが0.2~5.0m
2/gの範囲のBET表面積を有する、請求項1または請求項2に記載の抗菌組成物。
【請求項4】
ウォラストナイトが組成物の質量に基づいて2.5~37.5質量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗菌組成物。
【請求項5】
抗菌剤が微生物の増殖を阻害し、微生物の増殖を停止させ、かつ/または微生物を死滅させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗菌組成物。
【請求項6】
微生物が細菌、古細菌、真菌、原生動物、藻類および/またはウイルスから選択される、請求項5に記載の抗菌組成物。
【請求項7】
抗菌剤が合成殺生物剤および/または合成殺真菌剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗菌組成物。
【請求項8】
全組成物の質量に基づいて最大0.10質量%、好ましくは全組成物の質量に基づいて0.001~0.1質量%、例えば、全組成物の質量に基づいて0.001~0.02質量%、例えば、全組成物の質量に基づいて0.001~0.01質量%の量の合成殺生物剤および/または合成殺真菌剤を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗菌組成物。
【請求項9】
樹脂、分散剤、合体剤、消泡剤、充填剤、増量剤、増粘剤および/または中和剤のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗菌組成物。
【請求項10】
二酸化チタンなどの顔料をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗菌組成物。
【請求項11】
コーティング組成物の総質量に基づいて0.001~0.01%、好ましくは0.001~0.02%、あるいは0.001~0.01%の抗菌剤;および
コーティング組成物の総質量に基づいて2.5~37.5%の抗菌剤ブースターとしてのウォラストナイト
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗菌組成物。
【請求項12】
タルクをさらに含む、請求項11に記載の抗菌組成物。
【請求項13】
2.5~37.5%のタルクを含む、請求項12に記載の抗菌組成物。
【請求項14】
10未満、好ましくは9.5未満のpHを有する、請求項11~13のいずれか1項に記載の抗菌組成物。
【請求項15】
抗菌剤が、1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンと2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンとの混合物(CMIT/MIT)、4,5-ジクロロ-2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(DCOIT)、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(MIT)、2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(OIT)、ジブロモプロピオンアミド(DBNPA)、グルタルアルデヒド、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC)、テルブトリン、2-メチル-1,2-ベンゾチアゾール-3(2H)-オン(MBIT)、ベンズアミド、2,2’-ジチオビス(N-メチル)(DTBMA)、テトラメチロール-アセチレンジウレア(TMAD)、エチレングリコールビスヘミホルマール(EDDM)、2-ブロモ-2-(ブロモメチル)ペンタンジニトリル(DBDCB)、ペルメトリン、プロピコナゾール(DMI)、クロロクレゾール(PCMC)、ブロノポール、チアベンダゾール(TBZ)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU;ジウロン)、2-ベンジル-4-クロロフェノール(クロロフェン)、フェノキシカルブ、テブコナゾール、イソプロツロン、シプロコナゾール、フルジオキソニル、アゾキシストロビン、Zn-ピリチオン、アルベンダジム、およびチアメタキサムのリストから選択される、請求項11~14のいずれか1項に記載の抗菌組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の抗菌組成物を含む、塗料またはコーティング組成物。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載の抗菌組成物からなる、塗料またはコーティング組成物。
【請求項18】
合成殺生物剤および/または合成殺真菌剤が組成物の質量に基づいて最大0.10質量%の量で存在する、請求項16または請求項17に記載の抗菌組成物を含む塗料またはコーティング組成物。
【請求項19】
液体中および/または物体上における微生物の増殖を防止するための、請求項1~15のいずれか1項に記載の抗菌組成物の使用。
【請求項20】
抗菌ブースターとしてのウォラストナイトの使用。
【請求項21】
抗菌ブースターとしてのタルクとウォラストナイトとの混合物の使用。
【請求項22】
請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物を液体および/または物体に適用することにより、液体中および/または物体上における微生物の増殖を防止する方法。
【請求項23】
請求項1~18のいずれか1項に記載の抗菌組成物で処理された物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤ブースターとしてウォラストナイトを含む抗菌組成物およびその使用を対象とする。本発明はまた、本発明の抗菌組成物を含む塗料またはコーティング組成物、および本発明による抗菌組成物で処理された物品も対象とする。
【背景技術】
【0002】
塗料、コーティング、および表面上における微生物の増殖は、コーティングまたは塗装された表面の美的および物理的劣化の両方を導き得る。カビおよび白カビといった真菌、藻類ならびに細菌の増殖の明らかな美的影響に加えて、それらの酵素による物理的変質は、物理的劣化を導き得る。この劣化は、表面コーティングの多孔性の増加または基材への接着性の喪失を含み得る。例えば、木材上の塗料、コーティングまたはワニス外面の湿気の浸透は、下にある木材の真菌による腐敗を導き得る。生分解は、表面コーティングまたは乾燥塗膜に限定されず、塗料またはコーティングの製造および保管中にも発生し得る。
抗菌組成物に使用するための抗菌剤を選択する際には、多くの課題がある。課題の1つは、現在、比較的少ない殺生物剤、殺真菌剤および殺藻剤しか利用可能でないことである。そのような活性物質は、さまざまな要件を満たすことが要求される。広い微生物スペクトルをカバーすることに加えて、考慮すべき活性剤の規制の状況もある。したがって、例えば、塗料およびコーティングに使用するために、抗菌組成物中の抗菌剤の量を減らすことが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、添付の特許請求の範囲において定義される。
第1の態様によれば、抗菌剤ブースターとしてウォラストナイトを含む抗菌組成物が提供される。
第2の態様によれば、第1の態様による抗菌組成物を含む塗料またはコーティング組成物が提供される。
第3の態様によれば、液体中および/または物体上における微生物の増殖を防止するための、第1の態様による抗菌組成物の使用が提供される。
第4の態様によれば、第1の態様の組成物を液体および/または物体に適用することによって、液体中および/または物体上における微生物の増殖を防止する方法が提供される。
第5の態様によれば、第1の態様の抗菌組成物で処理された物品が提供される。
【0004】
本発明の特定の実施形態は、以下の利点のうちの1つまたは複数を提供し得る:
・望ましい抗菌効果;
・望ましい抗真菌効果;
・望ましい抗藻効果;
・望ましい環境への影響;
・皮膚の感受性に対する望ましい影響;
・望ましいコスト;
・不透明度などの、塗料の望ましい美的特性;
・光沢などの、塗料の望ましい美的特性
・明るさなどの、塗料の望ましい美的特性
・硬度などの、コーティングの望ましい物理的特性。
・耐スクラブ性などの、コーティングの望ましい物理的特性
・耐クラック性などの、コーティングの望ましい物理的特性
記載された本発明の態様の特定の1つまたは複数に関連して提供される詳細、例、および選好は、本発明の全ての態様に等しく当てはまる。本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本明細書に記載されている実施形態、例、および選好の任意の組み合わせが、本発明により包含される。
本発明は、以下の図面への参照によって、さらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本発明による組成物の抗真菌特性を示し、以下について表10に示されている結果を描写している: a)配合物9; b)配合物10;および c)配合物11。
【
図2】
図2は、本発明による組成物の抗藻特性を示し、以下について表11に示されている結果を描写している: a)配合物9; b)配合物10;および c)配合物11。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明および図面への参照は、本発明の例示的な実施形態に関するものであり、特許請求の範囲を限定するものではないことが理解される。
本発明は、ウォラストナイトが抗菌剤の抗菌活性に対してブースター効果を示すという驚くべき所見に基づいている。ウォラストナイトは、カルシウム、珪素、酸素から化学的に構成される工業用鉱物である。その分子式はCaSiO3であり、その理論的組成は48.28%のCaOおよび51.72%のSiO2からなる。天然のウォラストナイトは、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムといった、さまざまな金属イオンを微量または少量に含み得る。
特定の実施形態では、ウォラストナイトは未処理であり、これは、ウォラストナイトが、組成物に使用される前に、いかなる材料または化学物質によってもコーティングまたは結合されていないことを意味する。特定の実施形態では、ウォラストナイトは、採掘および粉砕され、本発明の組成物に直接使用される。特定の実施形態では、選鉱後、ウォラストナイトは、空気分類ミルを介して加工され、それから、トップサイズを制御しながら、ペブルミルまたはジェットミルに付された。
【0007】
本明細書に開示されるウォラストナイトは、粒子サイズを有する。粒子サイズは、当業者に現在知られている、または今後発見される任意の適切な測定技術によって測定され得る。特に明記しない限り、粒子サイズおよび粒子サイズ分布(「psd」)などの粒子サイズ特性は、0.12μm~704μmまでの粒子サイズ範囲にわたる粒子サイズ分布を決定可能なリーズ・アンド・ノースラップMicrotrac X100レーザー粒子サイズアナライザー(リーズ・アンド・ノースラップ、米国ペンシルベニア州ノースウェールズ)を使用して測定される。所与の粒子のサイズは、懸濁液を介して沈殿する相当径の球の直径で表され、これは球相当径または「esd」としても知られる。メジアン粒子径、つまりd50値は、50質量%の粒子がそのd50値よりも小さいesdを有する値である。d10値は、10質量%の粒子がそのd10値よりも小さいesdを有する値である。d90値は、90質量%の粒子がそのd90値よりも小さいesdを有する値である。
特定の実施形態において、ウォラストナイトは、約5~約120μm、または約6~約100μm、または約7~約80μm、または約9~約60μm、または約10~約40μm、または約11~約20μm、または約12~約18μm、または約13~約16μmの平均粒子サイズd50を有する。
鉱物の表面積は、BET法を使用して、粒子の表面を完全に覆う単分子層を形成するように粒子の表面に吸着された窒素の量によって測定される(BET法による測定、AFNOR標準X11-621および622またはISO9277)。
特定の実施形態において、BET表面積は約0.2~約5.0m2/g、または約0.4~約4.8m2/g、または約0.6~約4.6m2/g、または約0.8~約4.4m2/g、または約0.6~約4.2m2/g、または約1.0~約4.0m2/g、または約1.2~約3.8m2/g、または約1.4~約3.6m2/g、または約1.6~約3.0m2/g、または約1.7~約2.7m2/g、または約1.8~約2.5m2/g、または約1.9~約2.2m2/gの範囲である。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、ウォラストナイトの形態は、アスペクト比によって特徴付けられ得る。粒子のアスペクト比は一般に、粒子の長さと幅の比率を指す。所与の粒子サンプルについて、アスペクト比は平均として決定され得る。例えば、いくつかの実施形態によるウォラストナイト粒子のアスペクト比は、最初に、標準的なSEMステージ上にウォラストナイト粒子のサンプルを含むスラリーを置き、そしてスラリーを白金でコーティングすることによって決定され得る。その後、スラリーの画像が取得され、粒子の寸法は例えば、粒子の厚さと幅が等しいと仮定されるコンピュータベースの分析を使用して決定され得る。それから、アスペクト比は、個々の粒子の長さと幅のアスペクト比のいくつかの計算(例えば、50回の計算)を平均することによって決定され得る。アスペクト比を決定する他の方法も考えられる。
特定の実施形態において、ウォラストナイト粒子は少なくとも2:1のアスペクト比を有し得る。例えば、ウォラストナイト粒子は、少なくとも3:1のアスペクト比、少なくとも4:1のアスペクト比、少なくとも7:1のアスペクト比、少なくとも12:1のアスペクト比、少なくとも15:1のアスペクト比、または少なくとも20:1のアスペクト比を有し得る。
【0009】
本方法の特定の実施形態では、ウォラストナイト粒子は、例えば、約1μm以下などの、約2μm以下の板厚中央値を有し得る。いくつかの実施形態によれば、ウォラストナイトは、約3~約60μm、または約4~約50μm、または約5~約40μm、または約6~約30μm、または約7~約20μm、または約8~約15μm、または約9~約12μmの範囲の板厚中央値を有し得る。
特定の実施形態において、ウォラストナイトは抗菌組成物中に、組成物の質量に基づいて約2.5質量%~約37.5質量%、または約5.0質量%~約35.0質量%、または約7.5質量%~約32.5質量%、または約10.0質量%~約30.0質量%、または約12.5質量%~約27.5質量%、または約15.0質量%~約25.0質量%、または約17.5質量%~約22.5質量%、または約18.0質量%~約20.0質量%の量で存在する。
本発明による抗菌剤は、微生物の増殖を阻害し、微生物の増殖を停止させ、かつ/または微生物を死滅させる効果を有し得る。本発明による抗菌剤は、合成殺生物剤および合成殺真菌剤を含み得る。微生物は、例えば、細菌、古細菌、真菌、原生動物、藻類、および/またはウイルスから選択される。特定の実施形態において、本発明の抗菌剤とウォラストナイトとの組み合わせを使用する場合、微生物の増殖は未処理のサンプルと比較して、最大約10%、最大約20%、最大約30%、最大約40%、最大約50%、最大約60%、最大約70%、最大約80%、最大約85%、最大約90%、最大約100%まで低減される。
【0010】
理論に拘束されることは望まないが、ウォラストナイトの抗菌ブースター活性は、ウォラストナイトを含む組成物におけるpHの上昇と関連づけられ得る。
合成殺生物剤および合成殺真菌剤は、塗料やコーティングなどの多くの製品において微生物の増殖を制御するために広く使用されている。本明細書で使用される場合、「合成」は、化学合成を用いて共有化学結合を形成および/または切断することを指す。広く使用されている合成殺生物剤および合成殺真菌剤は、以下を含むが、これらに限定はされない:1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンと2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンとの混合物(CMIT/MIT)、4,5-ジクロロ-2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(DCOIT)、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(MIT)、2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(OIT)、ジブロモプロピオンアミド(DBNPA)、グルタルアルデヒド(glutraldehyde)、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC)、テルブトリン、2-メチル-1,2-ベンゾチアゾール-3(2H)-オン(MBIT)、ベンズアミド、2,2’-ジチオビス(N-メチル)(DTBMA)、テトラメチロール-アセチレンジウレア(TMAD)、エチレングリコールビスヘミホルマール(EDDM)、2-ブロモ-2-(ブロモメチル)ペンタンジニトリル(DBDCB)、ペルメトリン、プロピコナゾール(DMI)、クロロクレゾール(PCMC)、ブロノポール、チアベンダゾール(TBZ)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU;ジウロン)、2-ベンジル-4-クロロフェノール(クロロフェン)、フェノキシカルブ、テブコナゾール、イソプロツロン、シプロコナゾール、フルジオキソニル、アゾキシストロビン、Zn-ピリチオン、アルベンダジム、チアメタキサム。
【0011】
特定の実施形態において、合成殺生物剤および/または合成殺真菌剤は、抗菌組成物中に少なくとも0.01質量%、および最大約0.1質量%、または最大約0.09質量%、または最大約0.08質量%、または最大約0.07質量%、または最大約0.06質量%、または最大約0.05質量%、または最大約0.04質量%、または最大約0.03質量%、または最大約0.02質量%の量で存在する。
【0012】
特定の実施形態において、合成殺生物剤および/または合成殺真菌剤は、抗菌組成物中に、組成物の総質量に基づいて少なくとも約0.005質量%、または少なくとも約0.0025質量%、または少なくとも約0.00015質量%、または少なくとも約0.0001質量%の量で存在する。特定の例において、合成殺生物剤または合成殺真菌剤は、以下のリストに従った量で存在し得る:組成物の質量に基づいて、最大0.006%の量の1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)、最大0.00035%の量の5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンと2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンとの混合物(CMIT/MIT)、最大0.01%の量の4,5-ジクロロ-2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(DCOIT)、最大0.01%の量の2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(MIT)、最大0.005%の量の2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(OIT)、最大0.1%の量のジブロモプロピオンアミド(DBNPA)、最大0.01%の量のグルタルアルデヒド、最大0.1%の量の3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC)、最大0.01%の量のテルブトリン、最大0.01%の量の2-メチル-1,2-ベンゾチアゾール-3(2H)-オン(MBIT)、ベンズアミド、最大0.1%の量の2,2’-ジチオビス(N-メチル)(DTBMA)、最大0.1%の量のテトラメチロール-アセチレンジウレア(TMAD)、最大0.1%の量のエチレングリコールビスヘミホルマール(EDDM)。
【0013】
特定の実施形態では、抗菌組成物は、樹脂、分散剤、合体剤(coalescent agent)、消泡剤、充填剤、増量剤(extender)、中和剤、および/または増粘剤(thickener)を含み得る。
適当な樹脂は、ポリマー樹脂、オリゴマー樹脂、および天然樹脂である。ポリマー樹脂は、ホモポリマーまたはコポリマーを形成するのに適したものであり得る。適当な例は、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリウレア、ポリエーテル、ポリシリコーン、酢酸ビニルエチレン(VAE)、アクリル酸スチレン、脂肪酸エステル、アミン、アルコール、酸、ケトン、エステル、フッ素化、ならびにこれらのポリマー樹脂の芳香族官能化バージョン、ならびにこれらの物理的な混合物および共重合体を含む。
適当な合体剤は、例えば、親水性グリコールエーテル、例えば、Dowanol(登録商標)DPMおよびDowanol(登録商標)DPnBなどのDowanol(登録商標)レンジ、疎水性グリコールエーテル、Texanol(登録商標)およびブロックコポリマーを含む。
【0014】
適当な消泡剤は、例えば、界面活性剤の混合物、リン酸トリブチル、脂肪ポリオキシエチレンエステルと脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、シリコーンエマルジョンおよびその他のシリコーン含有組成物、ワックスおよび鉱油中の無機粒子、乳化炭化水素の混合物および消泡剤として商業的に販売されている他の化合物を含む。適当な分散剤は、Dispex(登録商標)レンジなどのポリアクリレート、親水性ブロックコポリマー、アクリルブロックコポリマー、および非イオン性界面活性剤を含む。
適当な充填剤または増量剤は、含水カオリン、焼成カオリン、凝集カオリン、炭酸カルシウム(粉砕または沈殿)、タルク、石膏または他の既知の白色粒子状鉱物または顔料材料のうちの1つまたは複数を含み得る。適当な中和剤は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、ならびにジメチルアミン、トリメチルアミンおよびエチルアミンなどの有機アミンを含み得る。
特定の実施形態では、抗菌組成物は、二酸化チタンおよび着色剤などの顔料を含む。
塗料またはコーティング組成物は、水性ベースまたは非水性ベースであり得る。
本発明による抗菌組成物は、さまざまな物品または基材への適用に適している。適当な基材は、木材、プラスチック、金属および繊維を含む。物品をコーティングするための方法は当業者に知られており、ブラッシング、スプレー、およびローラーによる塗布を含む。
【0015】
特定の実施形態において、粒子状鉱物および/または組成物は、以下の効果のうちの1つまたは複数を有し得る:
- 抗菌効果;
- 抗真菌効果;
- 抗藻効果;
- 抗菌ブースト効果;
- 抗真菌ブースト効果;
- 抗藻ブースト効果;
- 合成殺生物剤および/または合成殺真菌剤の使用の削減;
- より環境に優しい微生物の制御;
- 不透明度、光沢硬度、耐スクラブ性、耐クラック性、耐QUV性などの塗料またはコーティングの1つまたは複数の特性を保持すること。
【0016】
不確かさを避けるために、本出願は、以下の番号が付された段落に記載の主題を対象とする。
1.抗菌剤および抗菌剤ブースターとしてのウォラストナイトを含む、抗菌組成物。
2.ウォラストナイトが未処理である、付番段落1の抗菌組成物。
3.ウォラストナイトが5~120μmの範囲のメジアン粒子径d50を有する、付番段落1または付番段落2の抗菌組成物。
4.ウォラストナイトが5~20μmの範囲のメジアン粒子径d50を有する、付番段落1または付番段落2の抗菌組成物。
5.ウォラストナイトが0.2~5.0m2/gの範囲のBET表面積を有する、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
6.ウォラストナイトが組成物の質量に基づいて2.5~37.5質量%の量で存在する、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
7.ウォラストナイトが2:1~20:1の形状係数を有する、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
8.抗菌剤が微生物の増殖を阻害し、微生物の増殖を停止させ、かつ/または微生物を死滅させる、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
9.微生物が細菌、古細菌、真菌、原生動物、藻類および/またはウイルスから選択される、付番段落8の抗菌組成物。
【0017】
10.微生物が細菌、真菌および/または藻類から選択される、付番段落8または付番段落9の抗菌組成物。
11.抗菌剤が合成殺生物剤を含む、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
12.抗菌剤が合成殺真菌剤を含む、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
13.全組成物の質量に基づいて最大0.10質量%、好ましくは全組成物の質量に基づいて0.001~0.1質量%、例えば、全組成物の質量に基づいて0.001~0.02質量%、例えば、全組成物の質量に基づいて0.001~0.01質量%の量の合成殺生物剤および/または合成殺真菌剤を含む、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
14.樹脂、分散剤、合体剤、消泡剤、充填剤、増量剤、増粘剤および/または中和剤のうちの1つまたは複数をさらに含む、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
15.二酸化チタンなどの顔料をさらに含む、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
16.顔料が二酸化チタンである、付番段落15の抗菌組成物。
【0018】
17.コーティング組成物の総質量に基づいて、
- 0.001~0.1%の抗菌剤;および
- 2.5~37.5%の抗菌剤ブースターとしてのウォラストナイト
を含む、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
18.コーティング組成物の総質量に基づいて0.001~0.02%の抗菌剤を含む、付番段落17の抗菌組成物。
19.コーティング組成物の総質量に基づいて0.001~0.01%の抗菌剤を含む、付番段落17の抗菌組成物。
20.タルクをさらに含む、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
21.2.5~37.5%のタルクを含む、付番段落20の抗菌組成物。
22.組成物が10未満、好ましくは9.5未満のpHを有する、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
【0019】
23.抗菌剤が、1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンと2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンとの混合物(CMIT/MIT)、4,5-ジクロロ-2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(DCOIT)、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(MIT)、2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(OIT)、ジブロモプロピオンアミド(DBNPA)、グルタルアルデヒド、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC)、テルブトリン、2-メチル-1,2-ベンゾチアゾール-3(2H)-オン(MBIT)、ベンズアミド、2,2’-ジチオビス(N-メチル)(DTBMA)、テトラメチロール-アセチレンジウレア(TMAD)、エチレングリコールビスヘミホルマール(EDDM)、2-ブロモ-2-(ブロモメチル)ペンタンジニトリル(DBDCB)、ペルメトリン、プロピコナゾール(DMI)、クロロクレゾール(PCMC)、ブロノポール、チアベンダゾール(TBZ)、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU;ジウロン)、2-ベンジル-4-クロロフェノール(クロロフェン)、フェノキシカルブ、テブコナゾール、イソプロツロン、シプロコナゾール、フルジオキソニル、アゾキシストロビン、Zn-ピリチオン、アルベンダジム、およびチアメタキサムのリストから選択される、先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物。
24.先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物を含む、塗料またはコーティング組成物。
25.先行する付番段落のいずれかの抗菌組成物からなる、塗料またはコーティング組成物。
26.合成殺生物剤および/または合成殺真菌剤が組成物の質量に基づいて最大0.10質量%の量で存在する、付番段落25の抗菌組成物を含む塗料またはコーティング組成物。
27.液体中および/または物体上における微生物の増殖を防止するための、付番段落1~26のいずれかの抗菌組成物の使用。
28.抗菌ブースターとしてのウォラストナイトの使用。
29.抗菌ブースターとしてのタルクとウォラストナイトとの混合物の使用。
30.付番段落1~26のいずれかの組成物を液体および/または物体に適用することにより、液体中および/または物体上における微生物の増殖を防止する方法。
31.付番段落1~26の抗菌組成物で処理された物品。
【実施例】
【0020】
以下の実施例において、ウォラストナイト1は、メジアン粒子径d50が8μm(レーザーMicrotracで測定)、表面積BETが1.8m2/gのウォラストナイトである。ウォラストナイト2は、メジアン粒子径d50が9μm(レーザーMicrotracで測定)、表面積BETが1.6m2/gのウォラストナイトである。
【0021】
(実施例1)
細菌、酵母およびカビに対する容器内保護
表1に従って、いくつかの塗料配合物を調製した。配合物3および4は、本発明によるウォラストナイトを含む。配合物1および2は、鉱物炭酸カルシウムおよびタルクを含む比較例であり、ここで、配合物1は典型的な量の殺生物剤を含み、配合物2は9分の1に減らした殺生物剤を含んでいる。
【表1】
【0022】
表1の配合物は、ヒドロキシエチルセルロース増粘剤、pH中和剤、殺生物剤、分散剤、0.3%の消泡剤、二酸化チタンおよび炭酸カルシウム、タルクおよび/またはウォラストナイト(wollasonite)を混合し、10m/秒で20分間撹拌することによって調製した。続いて、酢酸ビニル-エチレンおよび消泡剤を、穏やかに攪拌しながら懸濁液に加えた。
【0023】
配合物1~4の粘度、粉砕の細かさ、および光学特性などの特性を表2に示す。
【表2】
【0024】
無菌制御:
試験サンプル(0.1gまたは0.1ml)をSkandex450 SK450ペイントシェーカーで5分間ホモジナイズし、以下の培養培地各々3つずつ、その表面にプレーティングした。
1)細菌計数のためのトリプティックソイ寒天培地(TSA)(インキュベーション:30℃±2℃で5日間)
2)酵母およびカビの計数のための選択培地である麦芽エキス+クロラムフェニコール寒天培地(インキュベーション:23℃±2℃で5日間)。
5日後、微生物数(1グラムまたは1ミリリットルの製品あたりの「コロニー形成単位」(CFU/gまたはCFU/ml)で表される)を視覚的に決定した。試験の結果を表3に示す。
表3に見られるように、全てのサンプルが酵母およびカビの試験において良好に機能し、10未満のCFU/gを示した。細菌を含む試験においては、本発明による配合物3が非常に良好に機能し、10未満のCFU/gも示した。本発明による配合物4については、26のCFU/gが観察され、これは配合物2による比較例にまさる改善である。この試験は、本発明による配合物が細菌、酵母およびカビに対して活性であり、ウォラストナイトが非常に少量の殺生物剤により優れた結果を得ることを可能とすること;すなわち、ウォラストナイトが驚くべきことに抗菌剤ブースターとなることを実証している。2つの鉱物、ウォラストナイトとタルクとの組み合わせは、さらに改善された抗菌剤ブースター効果を示すことに注目する必要がある。
【0025】
【0026】
容器内負荷試験
負荷試験の期間中、表1の配合物1~4の各々50gの試験サンプルを23℃±2℃で保存した。5週間にわたって週1回4回の接種を行った。表4に示されている接種組成物をサンプルに接種し、5日後に細菌、酵母、カビの量を測定した。この接種および評価のステップを4回繰り返した。これらの実験の結果を表5に示す。
各接種後の汚染を評価するために、以下に対して3つずつ、0.1mlのサンプルを表面にプレーティングした:
1)細菌計数のためのトリプティックソイ寒天培地(TSA)(インキュベーション:30℃±2℃で5日間)、
2)酵母およびカビの計数のための選択培地である麦芽エキス+クロラムフェニコール寒天培地(インキュベーション:23℃±2℃で5日間)。
5日後、微生物数(1グラムまたは1ミリリットルの製品あたりの「コロニー形成単位」(CFU/gまたはCFU/ml)で表される)を視覚的に決定した。試験の結果を表5に示す。
【0027】
【0028】
【0029】
表5の結果から分かるように、本発明による配合物3および4は、4回の接種サイクルにわたる微生物汚染に対する最適な保護を実証している。特に配合物3は各種の汚染菌、すなわち、細菌、酵母またはカビに対して、0~9CFU/gという非常に低い微生物汚染を実証した。配合物4も非常に良好に機能し、1回目および2回目の接種では酵母およびカビを呈さず、絶対表記でそれぞれ16CFU/gおよび13CFU/gに相当する「1」で表される細菌濃度のみを呈した。3回目および4回目の接種後、細菌は「1」に分類されたままで、細菌の絶対量はそれぞれ36CFU/gおよび16CFU/gであった。さらに、カビも接種3および4の間存在し、カテゴリー「1」に分類され、カビの絶対量はそれぞれ16CFU/gおよび13CFU/gであった。
【0030】
本発明による配合物3および4について得られた結果は、少量の合成殺生物剤または合成殺真菌剤のみを含みウォラストナイトを含まない、比較例の配合物2に対する顕著な改善であった。配合物3の結果はまた、典型的な量の合成殺生物剤を含む比較例の配合物1に対する改善であった。配合物4はまた、特に最初の接種サイクルにおいて、比較配合物1と同等であった。これは、容器内配合物において、環境に優しくなく、より毒性のある合成殺生物剤が、同じ優れた抗菌特性を示しながらも、部分的にウォラストナイトによって置き換えられ得ることを実証している。
【0031】
(実施例2)
表6に従って、他の塗料配合物を調製した。配合物7および8は、ウォラストナイト1を含む。配合物5および6は、殺生物剤、鉱物炭酸カルシウムおよびタルクを含む比較例であり、ここで、配合物5は典型的な量の殺生物剤を含み、配合物6は80分の1に減らした殺生物剤を含んでいる。配合物7は、比較配合物5の80分の1に減らした殺生物剤を含み、一方、配合物8は、9分の1に減らした殺生物剤を含んでいる。
【表6】
【0032】
無菌性および容器内特性は、実施例1において説明したのと同じ方法で評価されている。
表7に見られるように、この試験は、本発明による配合物が細菌、酵母およびカビに対して活性であり、ウォラストナイトが非常に少量の殺生物剤により優れた結果を得ることを可能とすること;すなわち、ウォラストナイトが驚くべきことに抗菌剤ブースターとなることを実証している。
【表7】
【0033】
表8の結果から分かるように、本発明による配合物8は、4回の接種サイクルにわたる微生物汚染に対する最適な保護を実証している。特にそれは各種の汚染菌、すなわち、細菌、酵母またはカビに対して、非常に低い微生物汚染を実証する。配合物7も非常に良好に機能し、1回目および2回目の接種では細菌、酵母、カビは呈さず、3回目の接種でのみ、絶対表記で16CFU/gおよび13CFU/gに相当する「1」で表される酵母濃度を呈した。
【0034】
本発明による配合物7および8について得られた結果は、少量の殺生物剤を含むがウォラストナイトを含まない比較例の配合物6に対する顕著な改善であった。配合物8の結果はまた、非常に少量の合成殺生物剤のみを使用しながら同じ優れた結果を得ることができることから、典型的な量の合成殺生物剤を含む比較例の配合物5に対する改善であった。これは、容器内配合物において、環境に優しくなく、より毒性のある合成殺生物剤が、同じ優れた抗菌特性を示しながらも、部分的にウォラストナイトによって置き換えられ得ることを実証している。
【0035】
【0036】
(実施例3)
真菌(カビおよび酵母)に対する塗膜の保護
表9に記載の配合物9、10、および11を使用して、手順NFX41520に従って、真菌(カビおよび酵母)に対する塗膜の保護を試験した(試験B)。
【表9】
【0037】
乾燥厚が約100μmの塗膜を得るために、配合物9、10、および11、約±330μmの液体塗料をガラス繊維組織に塗布し、室温で5週間乾燥させた。次に、ガラス繊維組織上の塗膜を、真菌の栄養素を含むペトリ皿中に置いた(サンプルごとに別々のペトリ皿で3回反復実施)。9種の接種物(アルテルナリア・アルタネート(Alternaria alternate)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、アウレオバシジウム・プラランス(Aureobasidium pullalans)、チャエトミウム・グロボサム(Chaetomium globosum)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)、パエシロミセス・バロティ(Paecilomyces varotii)、およびスタキボトリス・アトラ(Stachybotrys atra)を栄養素(1ml)と塗膜(1ml)とに加えた。それから、ペトリ皿を95%±1%の制御された相対湿度および30℃±1%の温度の下に4週間置いた。それから、サンプルを視覚的に検査し、以下のスコアを割り当てた:
0=目に見える真菌の発生なし;
1=真菌の限定的な発生(表面に分散);
2=表面の25%未満の真菌の発生;
3=表面の25~50%の真菌の発生;
4=表面の50%超の真菌の発生;
5=表面の100%の真菌の発生。
【0038】
【0039】
図1および表10に示されているように、本発明による配合物11(
図1c))は、同じ少量の合成殺生物剤および合成殺真菌剤、すなわち配合物10(
図1b))を含む塗膜よりも改善された真菌耐性を提供する。配合物9(
図1a))は、最も良い抗真菌活性を示したが、配合物9は非常に大量、すなわち、組成物の質量に基づいて1.3質量%もの合成殺生物剤および合成殺真菌剤を含んでいる。この大量の合成殺生物剤および合成殺真菌剤は、それらの皮膚刺激特性および毒性のために、この配合物9の比較例を望ましくないものにする。結果は、望ましくない合成殺生物剤および合成殺真菌剤を部分的にウォラストナイトで置き換えて、抗真菌特性を有する配合物を提供できることを示している。
【0040】
(実施例4)
藻類に対する塗膜の保護
表9に記載の配合物9、10、および11は、藻類に対する塗膜の保護を試験するためにも使用された。
乾燥厚が約100μmの塗膜を得るために、配合物9、10および11、約±330μmの液体塗料をセメント繊維板(10cm×20cm)に塗布し、2カ月間乾燥させた。それから、塗膜を1日12時間の昼光照明、28~30℃の温度、85~100%の相対湿度の昼夜条件でシミュレートした水槽中に置いた。1日1回、塗膜に接種培地を1時間噴霧した。接種培地は、硝酸ナトリウム(1g/L)、硫酸マグネシウム(0.513g/L)、リン酸二カリウム(0.187g/L)、リン酸二ナトリウム(0.063g/L)、塩化カルシウム(0.058g/L)、塩化アンモニウム(0.05g/L)、および塩化第二鉄(0.003g/L)を含む1リットルの水溶液中にスチココックス・バシラリス(Stichococcus bacillaris)、ネンジュモ・コミューン(Nostoc commune)およびセネデスムス・バキュオラツス(Scenedesmus vacuolatus)を含んでいた。サンプルを11週間モニターし、視覚的に検査して、以下のスコアを割り当てた。
0=目に見える藻類の発生なし;
1=藻類の限定的な発生(表面に分散);
2=表面の10%未満の藻類の発生;
3=表面の25%未満の藻類の発生;
4=表面の50%未満の藻類の発生;
5=表面の50%超の藻類の発生。
【0041】
【0042】
図2および表11に示されているように、本発明による配合物11(
図2c))は、少量の合成殺生物剤および合成殺真菌剤、すなわち配合物10(
図2b))のみを含む塗膜よりも改善された耐藻性を提供する。配合物9(
図2a))は、最も良い抗藻活性を示したが、上記のように、配合物9は非常に大量、すなわち、組成物の質量に基づいて1.3質量%もの合成殺生物剤および合成殺真菌剤を含んでいる。配合物11(ウォラストナイトを含む)の結果はまた、配合物10(少量の合成殺生物剤/合成殺真菌剤を含む)よりも、配合物9(典型的な量の合成殺生物剤/合成殺真菌剤を含む)で得られる結果にはるかに近い。結果は、ウォラストナイトが抗藻効果の優れたブースターでもあることを示しており、少量の望ましくない合成殺生物剤および合成殺真菌剤の存在下においても良好な結果を実証している。したがって、ウォラストナイトは、合成殺生物剤および合成殺真菌剤を部分的に置き換えて、抗藻特性を備えた配合物を提供できることが実証された。
【国際調査報告】