(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】TPのないモノパイルおよびその形成方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/32 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
E02D27/32 A
E02D27/32 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021517991
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 NL2019050761
(87)【国際公開番号】W WO2020106146
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521129761
【氏名又は名称】シフ ホールディング エヌ.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Sif Holding N.V.
【住所又は居所原語表記】Mijnheerkensweg 33 6041 TA Roermond The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】カーストジンズ, ミヒール アントン マリー
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046DA05
2D046DA62
(57)【要約】
基礎の杭と、当該杭に取り付けられた少なくとも1つの海上要素とを含み、これらがスリップジョイントを形成する海上建造物であって、海上要素の内面と杭の外面との間において、コーティング、特に防汚コーティングが設けられ、前記2つの表面の間の摩擦を増加させ、および/または前記表面の一方もしくは両方の腐食を防止する、および/または少なくとも2つの離間した領域に物質が設けられることによって、前記杭の上端部と前記海上要素との近傍における、前記外面と前記内面との間、および前記海上要素の下端部と前記杭との間にシールを形成する、海上建造物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎杭(2)と、
前記杭(2)上に取り付けられたタワー(7)と、
前記杭(2)上に取り付けられ、前記杭(2)の上端部(5,9)とスリップジョイント(11)を形成するプラットフォーム(16)と、
を備え、
前記タワー(7)はボルトベースの取り付け手段を用いて、前記杭(2)の上端部(5,9)に取り付けられている、海上建造物。
【請求項2】
前記プラットフォーム(16)が前記スリップジョイント(11)によって前記杭(2)に取り付けられることにより、前記プラットフォーム(16)の歩行領域(17)が前記ボルトベースの取り付け手段(B)に対して所定の高さ(Hp)に設けられ、平均的な身長のメンテナンス作業員(120)が、好ましくは前記歩行領域(17)に立っている間、または前記杭(2)上の前記タワー(7)内に立っている間、前記ボルトベースの取り付け手段(B)に手が届く、請求項1に記載の海上建造物。
【請求項3】
前記ボルトベースの取り付け手段(B)は、
前記タワー(7)の下端部(8)またはその近傍に配置され、ボルト(131)によって前記杭(2)の上端部(5,9)に取り付けられたフランジ(132)、または
前記杭(2)の上端部(5,9)またはその近傍に配置され、前記タワー(7)の下端部(8)がボルト固定されたフランジ(130)、または
前記タワー(7)の下端部(8)に配置されたフランジ(132)および前記杭(2)の上端部(5,9)に配置されたフランジ(130)であって、当該フランジ(130,132)は互いにボルト固定され、前記タワー(7)を前記杭(2)に取り付けている、フランジ(132)およびフランジ(130)
を備える、請求項1または2に記載の海上建造物。
【請求項4】
前記プラットフォーム(16)は、取り付けられたときに前記杭(2)の上端部(5,9)の周囲全体に延在するように設計され、前記杭(2)の上端部(5,9)と、前記杭(2)の上端部(5,9)に取り付けられるかまたは前記杭(2)の上端部(5,9)に形成されたフランジ(130)が設けられている場合には、当該フランジ(130)との上方に持ち上げられて、前記杭(2)の上端部(5,9)と前記スリップジョイント(11)を形成する、請求項1から3のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項5】
前記杭(2)の上端部(5,9)は裁頭円錐形であり、裁頭された前記上端部(5,9)の高さは、好ましくは裁頭された前記上端部(5,9)の最大直径と略同じかまたはそれよりも小さく、裁頭された前記上端部(5,9)の外表面(13)が前記杭(2)の長手方向軸(X-X)に対してなす角度(α)は好ましくは1°と45°との間、より好ましくは2°と40°との間であり、例えば、2°と30°との間である、請求項1から4のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項6】
前記プラットフォーム(16)の取り付け部(19)の内面(12)と前記杭(2)の外面(13)との間において、
コーティング(14)、特に防汚コーティングが設けられ、前記2つの表面(12,13)の間の摩擦を増加させ、および/または前記表面(12,13)の一方もしくは両方の腐食を防止する、および/または
少なくとも2つの離間した領域(101,102)に物質(14A)が設けられることによって、前記杭の上端部(5,9)と前記プラットフォーム(16)の前記取り付け部(19)との近傍における、前記外面(13)と前記内面(12)との間、および前記プラットフォーム(16)の前記取り付け部(19)の下端部(8)と前記杭(2)との間にシール(107,108)を形成する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項7】
シール(107,108)を形成する前記物質(14A)は実質的に粘弾性を有する材料または複合材料であり、および/または、
前記物質(14A)は、成形可能で、自己接着性を有する材料で構成され、当該材料は、好ましくはNEN2768規格に従う水密性および気密性を有し、および/または、
前記材料は、前記海上要素(7)の下端部(8)および/または前記杭(2)の上端部(5,9)の上に少なくとも部分的に延在し、および/または、前記物質は、前記プラットフォーム(16)の前記取り付け部(19)と前記杭(2)との間に上部シール(108)および下部シール(107)を形成し、当該上部シール(108)および下部シール(107)の間において、前記取付け部(19)と前記杭(2)との間の空間が囲まれ、および/または、前記物質(14A)は、前記取付け部(19)と前記杭(2)の対向する傾斜面(12,13)の間に設けられる、
請求項1から6のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項8】
前記コーティング(14)および/または前記物質(14A)はフォイルとして、好ましくは接着性のフォイルとして、より好ましくは自己接着性のコーティングとして設けられる、請求項1から7のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項9】
前記コーティング(14)はキャリアフォイル上の繊維を含む層(14)からなり、当該繊維は樹脂に埋め込まれ、当該樹脂は好ましくは硬化したアクリルである、請求項1から8のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項10】
前記コーティング(14)および/または前記物質(14A)は前記杭(2)の外面(13)、特に前記杭(2)の裁頭円錐部分に付加され、および/または前記コーティング(14)および/または前記物質(14A)は前記海上要素(7)の内面(12)に付加される、請求項1から9のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項11】
前記コーティング(14)および/または前記物質(14A)は有機スズ化合物を含まない、請求項1から10のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項12】
前記海上要素(7)は重力によって前記杭(2)の上に設置される、請求項1から11のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項13】
前記コーティング(14)の表面粗さは、前記海上要素(7)の内面(12)および/または前記杭(2)の外面(13)の関連する部分の表面粗さよりも高い、請求項1から12のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項14】
前記コーティング(14)の表面(15)の少なくとも一部と隣接する表面との間に充填材が設けられる、請求項1から13のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項15】
前記ボルトベースの取り付け手段は、前記杭(2)および/または前記タワー(7)の中心線と実質的に平行に延びる中心線を有する少なくとも1つのボルト(131)を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項16】
前記タワー(7)は、前記杭(2)の実質的に横方向に延びる支持面により支持される実質的に横方向に延びる取り付け面を有し、前記タワー(7)の実質的に横方向に延びる取り付け面および前記杭(2)の実質的に横方向に延びる支持面は、具体的には、前記海上建造物が海上で垂直に配置されたときに水平に延びる表面である、請求項1から15のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項17】
海上基礎杭(2)であって、
防汚コーティング(14)、および/または前記杭(2)の上端部から離間し、シール(107)を形成するための物質(14A)を付加した領域(101)を有する上端部(5,9)を備え、
前記上端部(5,9)は裁頭円錐形であり、タワー(7)を前記上端部に取り付けるためのボルト手段(B)、好ましくは少なくともフランジ(130)を有する、海上基礎杭(2)。
【請求項18】
前記杭は好ましくはモノパイル(2)である、請求項1から16のいずれか1項に記載の海上建造物に用いる、好ましくは請求項17に記載の海上基礎杭(2)。
【請求項19】
タワー(7)を基礎杭(2)に設置する方法であって、前記タワー(7)は前記杭(2)の上端部(5,9)にボルト固定され、前記方法は、
プラットフォーム(16)の取り付け部(19)を海上基礎杭(2)の前記上端部(5,9)に上から嵌合する工程と、
前記杭(2)の裁頭された上端部(5,9)とのスリップジョイント(11)を形成する工程であって、形成後に前記タワー(7)が前記杭(2)および/または前記上端部もしくはその近傍に設けられたフランジ(130)にボルト固定され、前記プラットフォーム(16)に立っている、または前記杭(2)上の前記タワー内に立っている作業員(120)が、前記タワー(7)を前記杭(2)にボルト固定する、工程と、
を備える方法。
【請求項20】
前記海上要素(7)を配置する前に、前記杭(2)の上端部(5,9)の表面領域(13)および/または前記プラットフォーム(16)の取り付け部(19)の内面(12)の表面領域(12)には、防汚コーティング(14)および粘弾性物質(14A)のうちの少なくとも1つが設けられる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリップジョイントからなる、TPのないモノパイルに関する。
【背景技術】
【0002】
海上建造物では、海底に打ち込まれたモノパイルなどの基礎杭に海上要素(offshore element)を取り付けるために、スリップジョイントが使用される。これは、一般的に、中空部を有する海上要素を、裁頭円錐形の杭の上端部の上で滑らせることを意味する。この中空部は、円錐形の上端部に応じた形状の内面を有しており、上端部の上を滑らせたり、重力によって上端部に押し付けたりすることができるようになっている。このようなジョイントは、例えば波および/または風によって海上要素および基礎に高い負荷がかかる場合においても、海上要素を所定の位置に維持するために、重力および杭の上端部の外面と海上要素の内面との間の摩擦を利用する。スリップジョイントは、取り付けが容易な点では適しているが、海上建造物を杭から取り外すのは困難な場合がある。また、既存のスリップジョイントは、大掛かりで手間のかかるメンテナンスが必要である。さらに、既存のスリップジョイントは、比較的長い裁頭された上端部を必要とする。
【0003】
国際公開公報第2018/070868号明細書は、基礎の杭と、杭に取り付けられてスリップジョイントを形成する少なくとも1つの海上要素とを含む海上建造物を開示しており、海上要素の内面と杭の外面との間には、1)コーティング、特に防汚コーティングが施され、これら2つの表面間の摩擦を増加させ、および/または当該表面の一方または両方の腐食を防止し、および/または2)少なくとも2つの離間した領域に物質が設けられることによって、杭の上端部と海上要素との近傍における、上記外面と上記内面との間、および海上要素の下端部と杭との間にシールを形成する、ことを特徴とする。
【0004】
米国特許出願公開第2011/154777号明細書は、テーパー状の縁部を有する第1の実質的に管状の壁部と、第1の壁部と実質的に同一平面上に配置され、第1の壁部のテーパー状の縁部に対して着座するためのフレア状の縁部を有する第2の実質的に管状の壁部と、第1の壁部のテーパー状の縁部を第2の壁部のフレア状の縁部に固定するための少なくとも1つの締結具とを含む風車タワーを開示している。少なくとも1つの締結具は、テーパー状の縁部とフレア状の縁部を通って延びるボルトを含み、このボルトは、第1および第2の壁部の長手方向の軸に対して実質的に垂直に配置される。
【0005】
海上タワー建造物のスリップジョイントを改善することが求められている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つの態様では海上建造物が記載されており、この海上建造物は、基礎の杭と、杭に取り付けられた少なくとも1つの海上タワーとを備える。杭にはプラットフォームも取り付けられており、スリップジョイントを形成している。プラットフォーム取り付け部の内面と杭の外面との間に、防汚コーティングを設けることができる。このコーティングは、上記2つの表面の間の摩擦を増加させるため、および/または上記表面の一方または両方の腐食を防止するために選択される。タワーは、特にスリップジョイントを使用せずに、ボルトベースの取り付け手段で杭に取り付けられる。プラットフォームはスリップジョイントによって杭に取り付けられており、平均的な身長のメンテナンス作業員が、好ましくは歩行エリアに立っている間に、あるいはタワー内、例えば杭の上部またはその近傍に立っている間に、ボルトベースの取り付け手段に手が届くように、プラットフォームの歩行エリアは、ボルトベースの取り付け手段に対して相対的な高さに設けられている(後者の場合、例えば、タワー内に設けられ、作業員がプラットフォームから到達できるそれぞれの作業員用アクセス通路を介して、作業員はタワーの内部に到達することが可能である)。
【0007】
一態様では、ボルトベースの取り付け手段は、ボルトによって杭の上部に取り付けられるタワーの下端部またはその近傍のフランジを含むことができる。実施形態では、杭の上部には、タワーの下端部をボルトで取り付けることができるフランジを設けることができる。実施形態では、タワーの下端部と杭の上端部の両方にフランジを設けることができ、これらのフランジをボルトで互いに固定することによって、タワーを杭に取り付けることができる。
【0008】
例えば、一実施形態によれば、ボルトベースの取り付け手段は、杭の横方向に延びる取り付け面(例えば上面)をタワーの横方向に延びる取り付け面(例えば下面)に固定するように配置することができる。海上に設置した後(このとき、一般にタワーと杭は実質的に垂直に延びる)、杭とタワーの上記取り付け面は、例えば水平に延び、タワーを杭上に支持するために互いに機械的に接触することができる。したがって、建造物の海上配置後、タワーの重量は、これらの取り付け面に対して垂直に向けられる重力を及ぼすことになる。別の実施形態では、これらの取り付け面の少なくとも1つは、上記フランジの表面とすることができる。
【0009】
一態様では、プラットフォームは、取り付けられたときに杭の上端部の周囲全体に延在するように設計することができ、また、杭の上端部と、杭の上端部に取り付けられるかまたは杭の上端部に形成されたフランジ(設けられている場合)の上方に持ち上げられて、杭の上端部とスリップジョイントを形成することができる。
【0010】
タワーは、風車のタワーであってもよい。有利な実施形態では、杭の上端部は裁頭円錐形である。裁頭された部分の上端には、タワーをボルトで固定するための、少なくとも部分的に内側に延びるフランジを有することができる。
【0011】
一態様では、コーティングは、杭およびプラットフォームの一方の関連する表面の表面粗さを増加させることができる。表面粗さの差は、これら表面間の表面粗さの差に比べて大きくなり得る。実施形態では、コーティングは、プラットフォームの取り付け部の内面および/または杭の外面のうち、当該コーティングが付加された関連部分の表面粗さよりも高い表面粗さを有する。
【0012】
実施形態では、コーティングは、フォイル、好ましくは自己接着性フォイルなどの接着性フォイルとして提供することができる。
【0013】
実施形態では、コーティングは、キャリアフォイル上の繊維からなる層を含むことができる。この繊維は、樹脂または別のキャリアシステムに埋め込むことができる。この樹脂は、アクリル、特に硬化したアクリルであってよい。
【0014】
一態様では、本開示は、杭の外面、特に杭の裁頭円錐部にコーティングが付加されたスリップジョイントを開示しており、このコーティングは、上記2つの表面の間の摩擦を増加させるため、および/または上記表面の一方または両方の腐食を防止するために選択される。一態様では、本開示は、プラットフォームの取り付け部の内面にコーティングが付加されたスリップジョイントを開示しており、このコーティングは、上記2つの表面の間の摩擦を増加させるため、および/または上記表面の一方もしくは両方の腐食を防止するために選択される。実施形態では、コーティングは両方の表面に設けることができる。
【0015】
実施形態では、コーティングは有機スズ化合物を含まない。有機スズ化合物は、スズを含む炭素化合物である。
【0016】
本開示の一態様では、プラットフォームがスリップジョイントによって杭に取り付けられ、タワーがボルトベースの取り付け手段によって、特にスリップジョイントを使用せずに、杭に取り付けられている海上建造物が提供される。プラットフォームと杭との間には、開示されているようなコーティングを設けることができる。本開示では、タワーは風車を含むがこれに限定されないと理解されなければならない。
【0017】
一態様では、本開示は、上端部に防汚コーティングが施された海洋杭に特徴付けられる。本開示において、杭とは、少なくとも海上建造物の基礎要素を形成するための杭を意味すると理解されるべきであり、この杭は巨大でもよく、あるいは中空でもよく、また例えば海底に打ち込むことによって海底に取り付けることができる。杭は任意の適切な材料で作ることができ、その非制限的な例は、コンクリート、金属、または強化プラスチックなどのプラスチック、あるいはそれらの組み合わせを含む。杭は、モノパイルであってもよいし、組み合わされた杭であってもよい。
【0018】
本開示の一態様では、海上建造物を形成するための方法は、海上建造物用の基礎杭の上端部を覆うようにプラットフォームの下端部を嵌めて、スリップジョイントを形成する工程を含むことができる。杭の上端部の表面領域および/またはプラットフォームの取り付け手段の内面の表面領域には、前述の海上要素を配置する前に、防汚コーティングを施すことができる。
【0019】
このコーティングは、任意の適切な方法で付加することができる。好適な実施形態では、このコーティングはフィルムコーティングによって付加される。このようなフィルムコーティングは、感圧性接着剤を有するフィルムなどの接着フィルムとして付加することができる。このようなフィルムコーティングは、フィルムおよび/またはコーティングを施す表面に塗布された接着剤を使用して付加することができる。
【0020】
スリップジョイントによって杭に設けられたプラットフォームを使用すれば、容易な取り付けが可能になる一方、杭に特別な取り付け手段を設ける必要がなく、杭を簡単な構造にすることができる。これにより、タワーを杭に取り付ける作業を支援する作業員が容易にプラットフォームを使用することができる。ボルトベースの取り付け手段によってタワーを杭に取り付けると、簡単かつ効果的に取り付けられるという利点がある。杭は、プラットフォームを取り付けるために裁頭されたとしても、比較的広い上部を有することができ、タワーを取り付けるための広くて適切なベースを提供することができる。
【0021】
実施形態では、コーティングが提供されるべき表面上に少なくとも部分的にコーティングを形成することができる。例えば、上記表面に樹脂を設け、この樹脂の中および/または上に繊維を設けることによって可能である。
【0022】
実施形態では、コーティングは、少なくとも杭の上端部とプラットフォームの取り付け部との表面が重なり合う部分が、前記コーティングによって互いに分離されるように付加することができる。
【0023】
以下、杭に取り付けられたタワーとプラットフォームおよび方法の実施形態について、図面を参照しながら説明するが、これらは例示として与えられているのみであり、決して開示または保護の範囲を何らかの方法または形態で限定するものと理解されるべきではない。これらの例は、本発明をよりよく理解するために与えられたものであり、制限的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】基礎杭を配置し、この基礎杭上に風車などのプラットフォームとタワーを配置する方法における工程を模式的に示す。
【
図2】基礎杭を配置し、この基礎杭上に風車などのプラットフォームとタワーを配置する方法における工程を模式的に示す。
【
図3】基礎杭を配置し、この基礎杭上に風車などのプラットフォームとタワーを配置する方法における工程を模式的に示す。
【
図4】基礎杭を配置し、この基礎杭上に風車などのプラットフォームとタワーを配置する方法における工程を模式的に示す。
【
図5】基礎杭を配置し、この基礎杭上に風車などのプラットフォームとタワーを配置する方法における工程を模式的に示す。
【
図6】ボルト固定のためにタワーを基礎杭上の規定の位置に位置付ける工程を模式的に示す。ここで、少なくとも1人の作業員がプラットフォーム上にいるものとする。
【
図7】ボルト固定のためにタワーを基礎杭上の規定の位置に位置付ける工程を模式的に示す。ここで、少なくとも1人の作業員がプラットフォーム上にいるものとする。
【
図8】基礎杭とタワーとのボルト固定手段の実施形態を模式的に示す。
【
図9】基礎杭とタワーとのボルト固定手段の実施形態を模式的に示す。
【
図10】基礎杭とタワーとのボルト固定手段の実施形態を模式的に示す。
【
図11】杭とプラットフォーム取り付け部との間のスリップジョイントの一部を填材とともに断面で模式的に示す。
【
図12】基礎杭の一部とその上に配置されるプラットフォームとの代替的な実施形態を断面で模式的に示す。
【
図13】プラットフォームを杭の上に配置する前の状態におけるシールの一部を模式的に示す。
【
図14】
図12の杭とプラットフォームが組み立てられた状態を示す。
【
図15】
図12から
図14の杭とプラットフォームとの間のジョイントの上部および下部の一部を模式的に示す。
【
図16】シールおよび/またはコーティングを設けるために物質を配設する工程の間の、一実施形態におけるプラットフォームの一部、特にその取り付け部、および水平位置にある杭を模式的に示す。
【
図17】ボルト固定のためにタワーを基礎杭上の規定の位置に位置付ける工程を模式的に示す。ここで、少なくとも1人の作業員が杭の上のタワー内にいるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この説明において、同一または類似の部分は、同一または類似の参照符号で示される。異なる実施形態またはその一部が示されているが、実施形態の組み合わせも本明細書に開示されていると考えるべきである。
【0026】
本明細書において、海上建造物は、水体の底に打ち込まれた、または水体の底に置かれた基礎を有する任意の建造物を少なくとも含むと理解されるべきである。ここで、水体の底とは海底を含むがそれに限定されない、本開示において、海上建造物は、例えば、風車、掘削リグ、変圧器などの電気ユニットなどであり、少なくともその一部は、この建造物が配置されている水体の水面上で支持されていることが好ましい。
【0027】
本明細書において、表面のコーティングとは、少なくとも、当該表面の少なくとも一部を覆うコーティング物質またはコーティングフィルムなどのコーティング層を設けることを包含すると理解すべきである。好ましい実施形態では、コーティングは、杭と、プラットフォームまたはタワーの取り付け部などの海上要素の関連部分との重なり合う領域を少なくとも覆う、実質的に閉じた層を形成する。
【0028】
本明細書において、開示されているように、杭に取り付けられたまたは取り付けられるべきプラットフォームは、杭および/または当該杭に取り付けられたタワーもしくは脚部の下部を少なくとも部分的に取り囲むプラットフォームを少なくとも意味すると理解されるべきであるが、これに限定されるものではない。このようなプラットフォームは、作業員および/または物品を海上建造物との間で移動させるための船舶の着岸に適しており、また、これに加えて/これに代えて、作業員が杭および/または杭に取り付けられたタワーもしくは脚部の周りを安全に移動するのに適している。本開示では、プラットフォームは、タワーを杭に固定する前に取り付けられ、作業員がプラットフォームに入り、位置決めおよび固定、特にタワーを杭にボルトで固定する作業を支援することができるようになっている(ここで、特に、タワーはスリップジョイントで杭に固定されていない)。
【0029】
一実施形態によれば、プラットフォームは実質的に金属、例えば、スチールから構成される。別の実施形態では、プラットフォームは、例えば注入成形によって、実質的にコンクリートで構成することができる。このような実質的にコンクリート製のプラットフォームは、特に海上環境において安定性と耐久性を有し、かつ容易に製造することができる。プラットフォームはまた、様々な材料で作ることができる。例えばスチールなどの金属、例えば強化プラスチックなどのプラスチック、またはこれらの材料の組み合わせなどを用い得るが、これらに限定されない。本明細書では、杭の外面部分および/またはプラットフォームの内面部分、特に杭に取り付けられるその取り付け部に設けられたコーティングの使用を開示する。このコーティングは、防汚コーティングおよび/または防錆コーティングであり得る。このコーティングは、コーティングが設けられる表面部分の表面粗さよりも高い表面粗さを有することができる。本開示によるコーティングは、フォイルとして設けられることが有利である、このフォイルは、例えば、フィルム、シートなどの表現でも言及できる。コーティングは、例えば、自己接着性のフォイル、例えば、感圧性接着剤を備えたフォイル、または接着剤によって対象の表面に付着させることができるフォイルによって形成することができる。また、コーティングは、例えば、上記表面にスプレー、ロール、ディップ、ブラシなどで塗布されるコーティング層として設けることもできる。塗布中に、例えば、樹脂または同様のキャリアを上記表面に設け、次に、当該樹脂上および/または当該樹脂内に繊維を設けることによってコーティングを形成することができる。コーティングは、例えば、表面の粗さを増すために、付加後に機械加工することができる。
【0030】
タワーとして示される本実施形態では、特に風車のタワーが杭上に設けられている。あるいは、タワーは、オイルリグや発電所など、他の海上要素のタワーや脚部であってもよい。
【0031】
本明細書では、「ボルトベースの取り付け手段」、「ボルト固定手段」などの表現は、主に、当該手段の1つまたは複数のボルトによって与えられ、受けられ、および/または作用される1つまたは複数の力から、および/または、ボルト締めの行為(すなわち、ボルトを、例えばナットなどの適切なボルト受け構造に対して作動させること、および/または、その逆)から、その機械的強度が得られると理解される。スリップジョイントは、そのようなボルトに基づく力やボルトを締める行為から機械的強度を得るものではないので、スリップジョイントはボルトベースの取り付け手段とは定義上異なるものであることはよく知られており、当業者であれば理解できるであろう。
【0032】
図1~
図5は、基礎杭2を設ける工程と、海上で水体3に配置された杭2にプラットフォーム16と風車1を配置する工程を模式的に示している。水体3は、例えば海である。
図1に示すように、杭2は適切な方法で水体3の底4に打ち込まれ、少なくとも上部5が水体3の表面6の上まで延在するようになっている。当技術分野で知られているように、杭は、例えば、打込み、振動、掘削、および/または吸引によって底に設置される。水体3の表面6は、表面6が実質的に平坦であるとき、波がないものと見なされることが理解されよう。
【0033】
図1および
図2に見られるように、例えば船舶V
1を用いて杭2を配置する際に、例えばクレーンCを使用することができる。杭2が適切に配置された後、同じまたは異なるクレーンCまたは他の適切な機械を用いて、プラットフォーム16を杭2の上端部9の上に配置することができる。この目的のために、プラットフォーム16は、以降で説明するように、杭の上端部9とスリップジョイントを形成することができる取り付け部19を有している。
【0034】
図3は、プラットフォームが杭2の上端部9上に配置される態様を模式的に示しており、プラットフォーム16の歩行面17が、杭2の上端部9の高さ付近、例えば、上端部9の下方約2メートル以下から上方約2メートル以下までの間に位置するようになっている。好ましくは歩行面17は、上端部9に対する、または少なくとも端面9Aに設けられたボルト固定手段B(以下に説明する)に対する相対的な高さにあり、平均的な身長の作業員が、静止した状態、例えば、歩行面に立った状態で、上記端面9Aまたはボルト固定手段Bに手が届くようになっている。平均的な身長H
opの作業員120は、立ち姿勢での身長が1.6~2メートルの間である作業員として理解されるべきである。
【0035】
図4は、作業員がプラットフォーム16上に移動することを可能にするために、移送船Vtがプラットフォーム16に着岸する様子を示す。このような船舶Vtは、例えば、オランダのAmpelmann BVが提供するシステムなどの運動補償型の移送システム200を備えることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
図5は、風車1のタワー7が杭2の上端部9上に下ろされ、ボルト固定手段Bなどのボルトベースの取り付け手段によって上端部9にボルト固定される様子を模式的に示している。このようなボルトベースの取り付け手段の例について説明する。
【0037】
風車1は、下端部8が杭2の上端部9に嵌め込まれたタワー7を有している。杭2およびその上に取り付けられたタワー7は、平行な、好ましくは同一直線上の長手方向軸XーXを有する。杭2は、実質的に円形の断面を有しているが、異なる断面を有してもよい。例えば、正方形、六角形、長円形、多辺形などが可能であるが、これらに限定されない。
【0038】
図示の実施形態では、杭2の上端部5は、実質的に裁頭円錐形を有している。プラットフォーム16の下端部または取り付け部19は、軸方向に開口する開口部10を有し、当該開口部10は杭2の上端部5の少なくとも一部に対応する内部形状および構成を有する。このように、プラットフォーム16の取り付け部19は、開口部10が杭2の上記端部5を覆うように嵌合して、スリップジョイント11を形成することができる。スリップジョイント11は、好ましくは、開口部10の内面領域12と杭2の外面領域13との間にコーティング層14が形成される。
【0039】
杭2は全体的にスチールなどの金属で構成することができる。ただし、コンクリートなどの異なる材料、またはそれらの組み合わせにより構成することもできるが、これに限定されない。長手方向軸X-Xは、実質的に垂直に延び、上記裁頭された上端部5を通る。上端部5は、長手方向軸X-Xに対して傾斜した外面領域13を有する。外面13と長手方向軸との間の角度αは、例えば1°から45°の間、例えば2°から40°の間、例えば2°から35°の間とすることができる。コーティング層14を外面領域13に設けることで、実施形態では、外面領域13の実質的に閉じた被覆を形成することができる。実施形態において、コーティング層14は、接着剤によって外面領域13に接着されたフォイルとして付加され得る。接着剤は感圧接着剤でもよく、例えば、上記フォイルの裏面に設けられたこの種の接着剤の層として用い得る。
【0040】
実施形態において、コーティング層14は、外面領域13と反対側に表面15を有することができ、この表面15は、外面領域13の表面粗さよりも高い表面粗さを有することができる。これにより、取り付け部19と杭2との間の摩擦が増加する。実施形態において、コーティング層は、樹脂と樹脂の中に埋め込まれた繊維で構成され得る。樹脂は、例えば、アクリル樹脂とすることができる。繊維は、例えばナイロン繊維などのプラスチック繊維とすることができる。樹脂および繊維は、例えばポリエステルキャリアなどのプラスチックキャリアをキャリアとして担持させることができるが、これに限定されるものではない。このようなコーティング14を外面領域13に付着させる前に、外面領域13にタイコート、例えばエポキシまたはビニルプライマーを設けることができる。コーティング層14は、例えば数μmから数mmの間、好ましくは約1mm以下の小さな厚さを有することができる。薄いコーティング層は、後述するように、プラットフォーム16が杭2に対して横方向または角度方向に移動する可能性を制限または防止することができるという利点がある。設けられるコーティング14は、有機スズ化合物のような毒性成分を含まない。
【0041】
実施形態では、杭2の外面領域13にコーティング層14を設ける代わりに、またはそれに加えて、同様のコーティング層を、プラットフォーム16の開口部10の内面領域12に設けることができる。
【0042】
本開示では、コーティング14はオランダのMicanti社が提供する防汚フォイルとすることができる。
【0043】
本開示では、複数の図で見ることができるように、スリップジョイント11はプラットフォーム16に作用する重力によって実質的に形成される。
【0044】
開示されているようなコーティング14をプラットフォームのスリップジョイントに使用すると、単純かつ効果的な方法で、杭2とプラットフォーム16との間の摩擦を増加させることができ、杭2とプラットフォームとの間の接続を改善することができるという利点がある。さらに、実施形態では、コーティングにより、内面12および/または外面13の腐食を防止または少なくとも低減することができる。コーティングはさらに、コーティング14なしで内面領域12と外面領域13との間に直接そのようなスリップジョイントを形成する場合よりも、スリップジョイントの解放を容易にすることができる。このようなコーティングを使用することで、スリップジョイントを介する堅固な接続を提供できる一方で、コーティングによって、一定期間後、例えば数年後のスリップジョイントの解放が、内面領域12と外面領域13との間に従来通り直接スリップジョイントを形成する場合よりも困難になることはないことが分かっている。
【0045】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、コーティング14は、関連する表面の腐食、および/または、構造要素を杭から解放する際の表面領域のスティックスリップを防止し、および/または、そのような解放の前および/または間に、軸方向以外の方向に杭に対する構造要素の小さな相対的な動きを作り出す可能性を防止すると考えられる。
【0046】
図に示すように、コーティング14は、外面13および内面12に沿ってタワー7よりもさらに延びることができ、タワー7の下端部8よりも下の外面領域13または杭2の上部5の一部も覆うことができる。
【0047】
図6~
図7では、プラットフォーム16を用いて、タワー7を杭2に取り付ける様子が示されている。プラットフォーム16は杭2の上に置かれ、スリップジョイント11を形成している。
【0048】
本実施形態では、プラットフォーム16は、実質的にリング状の歩行面17からなり、手すり18を備え、取り付け部を形成するリング要素19に支持されている。構造的強度のために、支持体20を取り付け部19とプラットフォーム表面17との間に設けることができる。本実施形態のリング要素または取り付け部19は、実質的に裁頭円錐形のブッシュまたはパイプであり、
図6に示すように、杭2の外面領域13の一部と実質的に相補的な形状および寸法を有する開口部10を形成する内部流路を有し、リング要素19は杭の上端部5にスライドして当該杭2の比較的低い位置に配置できるようになっている。好ましくは、リング要素19はこの位置でコーティング層14に支持されている。
【0049】
図6及び
図7に見られるように、歩行面17は、杭2の上端部9のすぐ下の高さHp、例えば上端部9の約1メートル下の高さHpに設けられている。本実施形態では、第1のフランジ130が、杭2の上端部9に接続されているか、またはそれによって形成されている。第1のフランジ130は、上端部9に溶接されるか、ボルトで固定されるか、その他の適切な方法で取り付けられるか、また杭2と一体であるかのいずれでもよい。ボルト131は、第1フランジ130から上方に向かって延びている(この場合、特に、ボルト131は、フランジに対して垂直に延びている)。ボルトとは広い意味を有すると理解されるべきであり、タワー7の下端部8にある類似のまたは少なくとも相補的な連結手段と協働するために、ねじ筋または同様の連結手段を備えたあらゆる要素を含むが、これらに限定されない。例えば、ボルトおよび相補的なナットによって提供されるそのような接続手段として、ねじ筋のみが例示されている。
【0050】
図面から導かれるように、特に、杭の第1の(取り付け)面または取り付けフランジ130は、横方向に延びるフランジ面、すなわち杭の長手方向の中心軸に対して半径方向に延びる面であるか、またはそれを有することができる(ここで、その横方向のフランジ面は、建造物が海上に、例えば、海底を含むがこれに限定されない水体の底に配置されたときに、好ましくは水平方向に延びる)。取り付け面または取り付けフランジ130は、タワーとの接合後にタワーに機械的に接触して支持することができる。
【0051】
同様に、タワーの下端部は、接合後に杭2に機械的に接触して支持される横方向に延びる取り付け/支持面(例えば、フランジ132のフランジ面)を含むことができる。これにより、建造物が海上に配置されたときに、タワーの上記横方向の支持面が好ましくは水平方向に延びる。
【0052】
また、図面から導かれるように、ボルト131は、それぞれの中心線がタワー7および杭2の中心線と実質的に平行に延びるように配置されることが好ましい(ボルト131は、建造物の海上配置後に、実質的に垂直に配向される、すなわち、垂直に配置された中心ボルト軸を有する)。
【0053】
図7に見られるように、人、例えば作業員120は、上記歩行面17上に立つことができ、適切なツールを用いて、特に梯子や登攀具などを必要とせずに、容易にボルト131に手が届く。タワー7は、例えばクレーンCによって下ろされて、杭2の上端部9の上に配置することができる。その後、ボルトベースの取り付け手段のボルト131を用いて、タワー7を杭2に固定することができる。この目的のために、タワー7の下端部8は、例えば、ボルト131の上方に適合するように適切に配置された複数の開口部133を有する第2のフランジ132を備えることができ、ナット134を各ボルト131にねじ固定することができるようになっている。このようなボルト固定手段Bは、当該技術分野でよく知られており、タワー7の杭2への確実で簡単かつ信頼性の高い取り付けを提供する。
【0054】
代替の実施形態(
図17参照)では、特に、図示された外向きに延びるフランジ132の代わりにタワーの内向きに延びる取り付けフランジ132を用いた場合には、ボルトに手を届かせるために作業員120がタワー7の内部に立っている場合もあることに留意されたい。例えば、タワー7の下部に通路D、アクセス経路、ドアなどを設けて、作業員120がプラットフォームの歩行面17からタワー7の内部に入ることができるようにすることができる。
【0055】
プラットフォーム16には、1つまたは複数の係留用アイ、ボラード、スリングなどの係留手段21を設けることができる。さらに、プラットフォーム16は、人がプラットフォーム16に上り下りするために使用するための、梯子22または同様の手段を備えることができる。さらに、プラットフォーム16および特に歩行面17は、タワー7などの海上要素への入口23、および/または、例えば階段またはエレベータへのアクセスを可能にするために設けられてもよい。
【0056】
図8~
図10は、それぞれ杭2とタワー7との間の接続部135の一部と、スリップジョイント11を使用して取り付けられたプラットフォーム16の一部とを模式的に示したものである。
【0057】
図8は接続部135を示し、当該接続部135において第1のフランジ130が杭2の上端部9に接続されている。ボルト131は、例えば溶接や圧入などの適切な方法で、第1フランジ130に固定されている。フランジ130は、上端部9から外側に延びており、すなわち、杭2の上端9の外径D
out(9)よりも大きな外径D
out(130)を有している。プラットフォーム16は、第1のフランジ130の上に下ろされるように形成されており、そのために、開口部10は、フランジ130の外径D
out(130)よりも大きい最小の内径D
in(10)を有している。これはまた、歩行面17が最終的に第1のフランジ130よりも低い高さHpになることを提供する。タワー7の第2フランジ132には、各ボルト131が貫通する複数の開口部133が設けられている。ナット134は、第2のフランジ132、またはその上に設けられた例えばワッシャまたはリングなどを押圧するように、ボルト131の端部に強固にねじ固定されることによって、タワー7を杭2に固定する。
【0058】
図9は類似の接続部135を示しているが、この場合、第1フランジ130は杭2の端部9から内側に延びている。ここでは、ボルトおよびナット131,134が、2つのフランジ130,132をボルト固定するために使用されている。
【0059】
図10に示す実施形態において、例えばコンクリートで構成された、少なくとも部分的に中実の杭2の上面9Aにボルト131が固定されている。タワー7には、既知の方法でボルトに固定されるフランジ132が設けられている。
【0060】
第1および/または第2のフランジ130,132を使用する代わりに、ボルトおよび/またはナットなどを、杭2および/またはタワー7に直接設けてもよい、この際、例えば、杭の上端部9および/またはタワー7の下端部8を貫通して、これらの中に、および/またはこれらの上に設けることができる。
【0061】
実施形態では、杭2およびプラットフォーム16のうちの一方の表面領域12または13に付加されたコーティング14の表面15と、プラットフォーム16および杭2のうちの他方の表面領域13または12の隣接部分との間に、充填材30を使用することができる。このとき、少なくとも表面15と上記隣接する表面領域12,13との間の表面粗さの違いにより、コーティングと上記隣接する表面領域12,13との間に小さな流路が形成されることが分かっている。これらの流路は、嵌合面15と12または13との間の流体の流れ、例えば自由な流れまたは毛細管現象による流れを可能にする。実施形態では、これらの流路は、流体、特に硬化流体をこれらの流路の少なくとも一部に導入するために使用され、これらの流路の少なくとも一部を充填し、硬化後に前記流路が水や空気の流れなどの流体の流れに対して閉塞されるようにする。硬化流体としては、例えば、2液硬化型組成物を挙げることができる。その非制限的な例は、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂と、当該熱硬化性樹脂の硬化剤との組成物、例えば不飽和ポリエステル樹脂と当該樹脂の硬化剤との組成物、または、エポキシ樹脂とアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも1つの有機酸とのエステルを主成分とするエポキシアクリレート樹脂と、反応性モノマーとの硬化性樹脂組成物であって、前記硬化剤が有機過酸化物からなる硬化性樹脂組成物である。使用される組成物は、例えば、当業界で知られているポリエステル、ビニルエステルまたはエポキシ樹脂ベースの組成物で、硬化後に耐海水性を有するものであるが、これらに限定されない。充填材は、例えば空気、熱、湿気、または任意の適切な方法によって硬化可能な単一の構成要素によって形成することもできる。
【0062】
実施形態では、硬化性組成物または充填材30は、例えば圧力注入によって、または重力および/または毛細管現象によって、コーティング層14の上端31から流路内に注入される。例えば、
図11(縮尺は正確ではない)に示すように、杭2の外面領域13にコーティングが付加され、前記隣接する表面領域がプラットフォーム16の内面領域12であるスリップジョイントの場合を説明する。これを逆にするか、または両方の表面領域12、13にコーティング14を施すことも当然可能である。この実施形態では、硬化性組成物または充填材30が、注入器32によって模式的に示されるように、上端31から注がれたか、または注入された。他の任意の適切な注入方法を使用することができ、例えば、上端31に組成物を注ぐか、または表面15の少なくとも表面粗さによって形成された流路33に組成物を直接注入することができるが、これらに限定されない。流路33の内部では、その後充填材30を硬化させて、流路33を少なくとも部分的に充填する。実施形態では、充填材30は、少なくとも硬化後に、表面15および/または隣接する関連表面領域12、13に接着してもよい。実施形態では、充填材30は、例えば、コーティング14および充填材30の特定の選択によって、および/または、関連する表面すなわち表面15と表面12または13とにコーティングを付加して、そのような接着を防止することによって、表面15と表面12または13とのいずれかまたは両方に付着しなくてもよい。
【0063】
図示の実施形態では、充填材は、コーティング層14の少なくとも一部の周りに閉じたリングを形成しており、特に、少なくともタワー7と杭2との間の重複領域34において、実質的にすべての流路33を充填している。好ましくは、スリップジョイント11の上端31および下端35の両方で、上記充填材30の閉じたリングが形成され、空気および/または水(海水)がスリップジョイント11内に入るのを防ぐ。これがさらに、関連する表面領域の腐食を防ぐ。あるいは、充填材は流路33の一部のみを充填するように設けてもよい。例えば、下端35から、または上端31から、またはその両方からの環状注入によって、または、例えば、実質的に垂直方向に延びる前記充填材のストリップのように、断面の一部分のみを充填することによって、上端および下端31,35の間に流路を開いたままとすることもできる。
【0064】
上述のようにスリップジョイント11の流路の少なくとも環状部分に充填材を使用することで、油、作動油、ガソリン製品、潤滑油など、タワー内でこぼれる可能性のある液体が、スリップジョイント11を介して浸透し、杭の周囲の水に流出するのを防ぐことができる。充填材は、さらに、スリップジョイント11の機械的強度と耐久性を高めることができる。
【0065】
充填材または充填材組成物30は、スリップジョイント11を形成した後に付加することができ、または、その形成中に提供することができる。後者の場合、例えば、プラットフォーム16を杭2上に配置する前、好ましくは直前に、充填材または充填材組成物30で関連する表面領域、例えば領域12または15をコーティングすればよい。これは、例えば、組成物または充填材30が比較的高い粘度を有するか、または、例えば化学的不適合のために毛細管現象によって流路に十分に流れ込むことができない場合に有利となり得る。
【0066】
図12~
図15は、海上で水体3に配置された杭2に取り付けられたプラットフォームを模式的に示したものである。水体3は、例えば海である。プラットフォーム16は、やはり杭2の上端部9の上に嵌め込まれた取り付け部19を有している。
【0067】
図示の実施形態では、やはり杭2の上端部5は、実質的に裁頭円錐形を有している。プラットフォーム16の取り付け部19は、軸方向に開口する開口部10を有し、当該開口部10は杭2の上端部5の少なくとも一部に対応する内部形状および構成を有する。このように、プラットフォーム16は、開口部10が杭2の端部5を覆うように嵌合して、スリップジョイント11を形成することができる。本実施形態では、スリップジョイント11は、開口部10の内面領域12と杭2の外面領域13との間に、説明したコーティング14と同様であっても異なっていてもよい物質14Aの少なくとも2つの別個の領域101,102によって形成される。表面領域12,13は、垂直軸X-Xに対して相対的に、および/または、互いに相対的に傾斜した表面領域を形成している。
【0068】
本実施形態では、コーティング14を含む単一の領域の代わりに、物質14Aを含む少なくとも2つの領域101,102が、杭2およびタワー7の長手方向、すなわち軸X-Xの方向に見て、互いに分離して設けられている。図示の実施形態では、第1の領域101は、杭2上に杭2の上端部9から距離N101にわたって離間して配置され、第2の領域102は、取り付け部19内に配置されている。2つの領域101、102は、前述のようにプラットフォーム16が杭2に重なり合うように取り付けられたときに、第1の領域101が取り付け部19の下端部に近接または隣接し、第2の領域102が杭2の上端部9の下方で取り付け部の上端部9に近接または隣接するように配置されている。例として、領域101および102は、組み立て後の位置において、杭2の上端部9とプラットフォーム16の取り付け部19との間、および取り付け部19の下端部と杭2との間に囲まれ、接合されたときのオーバーラップの長さLoに実質的に等しい長さLdにわたって分離されるように設けることができ、この長さLoは、例えば、約1~10m、例えば1~5mのオーダーであることができる。
【0069】
図12~
図15に開示した実施形態では、物質14Aは、先に開示したようなコーティング14とすることができる。開示された実施形態では、物質14Aは、自己接着性材料などの接着性材料とすることができる。開示された実施形態では、物質14Aは粘弾性材料とすることができる。粘弾性は、少なくとも、変形を受ける際に粘性および弾性の両方の特性を示す材料の特性を意味するが、これに限定されないと理解されるべきである。実施形態では、物質14Aは、杭2または取り付け部19の関連する表面に付加すると、当該表面の少なくとも一部に、例えば当該表面の細孔または間隙に入り込むようなものとすることができる。実施形態では、物質14Aは、自己接着性の粘弾性材料とすることができる。
【0070】
例えば
図13に見られるように、物質14Aは、関連する表面12、13、すなわち領域101、102に付加されたとき、関連する表面12、13の上の高さHs、すなわち表面12、13に実質的に垂直な方向に測定された高さを有することができ、この高さHsは実質的に、例えば1mmより大きく、例えば1~30mm、例えば1~10mmである。実施形態では、高さHsは、平均して約2~5mmの間、例えば2~4mmの間にすることができる。物質14Aは、表面12、13に平行に測定された長さLsが高さHsよりも実質的に長くなり得るように付加することができる。長さLsは、例えば、高さが10mm未満の場合には、10mmより大きくすることができる。長さLsは、例えば、高さが30mm未満の場合、30mmとすることができる。長さLsは、例えば、30~500mm、例えば、30~300mm、例えば、75~250mmとすることができる。実施形態では、長さLsは、例えば、100~200mm、例えば、約150mmとすることができる。実施形態では、例えば
図12~
図15に示すように、物質14Aは、杭2の周囲および/またはタワー7内で、リング103を実質的に形成するか、またはそれぞれの領域101、102を形成するように設けることができる。そのようなリング103は、前述の高さHsおよび長さLsを有することができる。
【0071】
実施形態では、前述の物質14Aは、シール材であり得る。実施形態では、使用されるシール材は、成形可能で、自己接着性で、粘弾性のある材料とすることができる。さらに好ましくは、NEN2768規格に従う水密性および気密性を有する。シール材は、工具、プライマー、および表面の前処理を必要とせずに手作業で付加できるものとすることができる。使用される材料は、それが付加される表面の良好な含浸性を提供するために、低い表面張力および液体のような挙動を有することができ、それにより、好ましくはPE、PP、FBEのようなポリマーにおけると同様に、杭2および/またはタワー7のスチール表面において優れた湿潤性が達成される。好ましくは、そのような材料は、破れたり、壊れたり、内部応力が蓄積することなく、これらの特性を-20℃の環境まで持続させることができる。実施形態では、上記物質としてまたは上記物質のために使用される材料は、オランダのStopaq BVが提供するStopaqTM、特にStopaqTMペースト、または同様のシーラントとすることができる。
【0072】
実施形態では、2つ以上のリング103を、杭2上および/または取り付け部19内に適切に間隔を空けて設けることができる。
【0073】
実施形態では、シール材などの物質14Aは、関連する杭2および/またはプラットフォーム16が実質的に水平な位置にあるとき、すなわち、長手方向軸X-Xが水平に延びているとき、例えば、
図16に示すように、陸上で、杭2および/または取り付け部19の上に付加することができる。その後、杭2とプラットフォーム16をある場所に輸送し、そこで、例えば
図1および
図2に示すように、杭2を海底4に打ち込んだり、別の方法で垂直に取り付けたりすることができる。そして、前述のように、プラットフォーム16を持ち上げて、杭2の上に下ろすことができる。プラットフォーム16は、表面領域101,102のいずれの物質14Aをも損傷するおそれなく、容易に下降させることができる。取り付け部19が最大オーバーラップLoの端部位置までほぼ下降したときにのみ、取り付け部の下端は、下側の領域101にある物質14Aの外向きの表面105上をスライドして、プラットフォームの内面領域に接触し、一方、第2の領域102にある物質14Aの内向きの表面106は、杭2の外面にその上端部9の近くで接触することになる。取り付け部19をさらに下方に滑らせると、前記領域101,102の物質14Aが圧縮されて部分的に変形し、プラットフォーム16の取り付け部19と杭2との間に2つの間隔を空けたシール107,108が形成され、スリップジョイント11が形成される。
【0074】
図15に模式的に示されているように、物質14Aは、第1の領域101上の物質14Aの一部がタワー7の下端部8の外側に部分的に押し出されるように変形することができ、効果的に水密かつ気密の第1の下部シール107を形成する。同様に、好ましくは、第2の領域102の物質は、部分的に杭の上端部9に押し上げられ、効果的に水密かつ気密の第2の上部シール108を形成する。好ましくは、シール107、108は、必要に応じてタワー7を杭から持ち上げて再度分離することができるように形成される。
【0075】
図示の実施形態では、物質14Aは、杭2の上および取り付け部19の内部に閉じたリング103として設けられている。しかし、同様にして、物質14Aは、例えばパッチのように異なる形態で設けることもできる。実施形態では、物質14Aは、例えば、関連する表面領域101、102上にドレープすることができるような十分な内部凝集力を有する材料のストリップとして提供することができる。実施形態では、この物質は、例えば、
図11に示すように、注入器32を使用して、関連する表面領域101、102上に送達することができるペーストとして提供することができる。実施形態では、物質14Aは、ブラシまたはローラーを使用して関連する表面領域に塗布するのに十分な粘性を有することができる。実施形態では、この物質は、例えば、練ることができ、手で塗布することができるようなペースト状またはガム状の粘性を有するように、粘弾性を有することができる。物質14Aを関連領域101および102に付加するための他の任意の適切な方法を使用することができる。
【0076】
タワー7は、前述の方法を用いて、杭2に取り付けることができる。
【0077】
杭2、プラットフォーム16およびタワー7は、陸上で製造することができ、ここで、杭2およびタワー7は、例えば、
図16に示すように、実質的に水平な姿勢で、すなわち、長手方向軸X-Xを実質的に水平にして支持することができる。プラットフォーム16は、例えば、長手方向軸X-Xが実質的に垂直になるように、その取り付け部19を下にして立てることができる。好ましくはこの姿勢で、物質14Aは少なくとも1つの、好ましくは両方の領域101,102に付加される。物質14Aを付加する際に杭2が水平姿勢にある場合、関連する領域には、例えば、梯子や足場を用いて、比較的容易に作業員120の手が届く。妥当な場合、開口部10は、作業員120によってアクセスされ、そこに任意の物質を付加することができる。これにより、特に陸上で付加する場合に、例えば天候条件などの考え得る影響を低減して、物質14Aを容易にかつ良好に制御して付加することができる。
【0078】
領域101および102に物質14Aを付加した後、少なくとも杭2およびプラットフォーム16を適切な船舶に積み込み、例えば前述のように、杭2およびプラットフォームを設置する場所に運搬することができる。そしてタワー7も、杭2に取り付けられるように、同時にまたは遅れて出荷することができる。
【0079】
杭2には、その上端部9から十分に離れた位置に第1の領域101が設けられているので、当該領域101の上方で上端部を係合させることにより、杭を容易に持ち上げることができる。また、第1の領域101に設けられた物質14Aを損傷することなく、例えば、杭2の上端部9に力を加えて、前述したように、杭を底4に打ち込むことができる。
【0080】
第2の領域102は、プラットフォームの取り付け部分の内側に設けられているので、第2の表面領域102に付加された物質14Aを損傷する危険性を伴わずに、プラットフォーム16を容易に操作することができる。
【0081】
プラットフォーム16は、前述のように、杭2の上端部9よりも上方の位置まで垂直に持ち上げた後、杭2の上に降ろして、スリップジョイント11を形成することで、杭2に取り付けることができる。第1の領域101は、杭の上端部9よりも相当下方に設けられ、第2の領域102は、タワー7の下端部8よりも相当上方に設けられているので、プラットフォーム16が相当な距離、例えば完成時のスリップジョイント11のオーバーラップの長さLoの少なくとも半分、例えば前記長さLoの少なくとも75%にわたって杭2上に降ろされるまでは、杭2と第2の領域102上の物質14Aとの接触、およびプラットフォーム取り付け部19と第1の領域101上の物質14Aとの接触は防止される。実施形態では、このような接触は、長さLoから領域101、102のうちの少なくとも1つに付加された物質14Aの長さLsを差し引いた長さに実質的に等しい距離にわたってプラットフォームを杭の上方で降ろした後にのみ生じる。
【0082】
プラットフォーム16を杭2の上にさらに降ろすと、第1の領域の物質14Aの外面105とプラットフォーム取り付け部19の内面との間、および第2の領域102の物質の外面106と杭2の外面との間に接触が生じる。杭2および取り付け部19の関連する表面が実質的に円錐形であるため、プラットフォーム16をさらに下げると、前記外面105および106とそれに接触する表面との間の摩擦が増大し、物質がプラットフォーム16および杭2の関連する対向する表面に対してさらに押し付けられ、同時に物質14Aの少なくとも一部が上記表面に沿って引きずられ、その結果、例として
図15に示すようなシール107、108が形成されることになる。
【0083】
好ましくは、物質14Aは、上下のシール107,108の間で、プラットフォーム取り付け部19と杭2の上記対向する表面の間に囲まれた空間109を封止することになる。好ましくは、シール107,108は、杭2の上端部9および取り付け部19の下端部の露出した端面110,111の少なくとも一部も覆う。好ましくは、シール107,108を形成する物質14Aは、タワー7を上方に引いて杭2から離すことにより、スリップジョイント11が比較的容易に外せるように、杭2および/またはプラットフォームの上記表面の少なくとも1つに付着する。
【0084】
物質14Aは海上で、例えば輸送船上で、あるいは杭2が底4に配置された後に、杭2および/またはプラットフォーム16に付加することもできることは明らかであろう。
【0085】
実施形態では、物質14Aによって形成されたシールは、コーティング14、特に防汚コーティングと組み合わせることができ、例えば、当該コーティングが下方のシール107の下、2つのシール107、108の間、および/または上方のシール108の上に延びるようにしてもよい。
【0086】
上記の説明および図面から明らかなように、一方ではプラットフォーム16と杭2との間にスリップジョイント11が形成され(このスリップジョイント11は特にボルトベースの取り付け手段を含まない)、他方ではタワー7がボルトベースの取り付け手段Bを用いて杭2に取り付けられており、このようなボルトベースの取り付け手段Bはスリップジョイントとは異なり、またスリップジョイントを含まず、好ましくはスリップジョイント11はボルトベースの取り付け手段とは異なり、またボルトベースの取り付け手段を含まない。プラットフォーム16およびタワー7は、このようにそれぞれ実質的に別々に杭2に取り付けられており、タワー7の杭2への取り付けは、タワー7と杭2との間の実際のスリップジョイントの形成を一切伴わないようになっている。
【0087】
開示されている実施形態は、例としてのみ示されており、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で、多くの変形が可能である。例えば、杭に取り付けられた海上要素は、異なる構造とすることができ、例えば、開示されているように一連の杭によって支持することができる。コーティングは、異なる方法で形成および/または付加することができる。例えば、コーティングは、異なる樹脂または樹脂の組み合わせで提供することができる。異なる種類の繊維を使用することができ、例えば異なる材料で作られているか、または繊維の代わりにまたは繊維に加えて、例えばパレット、フレークなどの他の材料および要素をコーティングの樹脂上に設けるかまたは埋め込むことによって、コーティング14の表面15の例えば表面粗さを増加させることができる。フィルムコーティングまたはフォイルコーティングの代わりに、またはそれに加えて、コーティング層14を、例えば、硬化可能であってもよい単一または複数の成分の流体またはペーストを使用して、スプレー、ローリング、ディッピング、ブラッシングなどによって提供することができる。コーティング層14の表面15および/または物質14Aの表面105、106は、例えば、杭および/またはタワーへの付加後に、表面、特に表面粗さまたは表面プロファイルを操作するために、例えば、機械加工またはエッチングによって処理することができる。例えば、表面15、105および/または106に、凹部または溝を設けることができる。プラットフォーム16は、異なる方法で設けることができ、また異なる方法で形成することができる。例えば、歩行面をリング要素に直接取り付けるか、またはそれらを1つの人工物に統合してもよい。スリップジョイントは、水面の上に形成されたものとして示されている。しかし、本開示によるスリップジョイントは、水面にまたは水面下に形成することもできる。
【0088】
これらおよびその他の修正は、開示された実施形態またはその一部の組み合わせを含むがこれに限定されないものであるが、やはり特許請求の範囲の範囲内で開示されていると考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2020-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノパイル基礎杭(2)と、
前記杭(2)上に取り付けられたタワー(7)と、
前記杭(2)上に取り付けられ、前記杭(2)の
裁頭円錐形の上端部(5,9)とスリップジョイント(11)を形成するプラットフォーム(16)と、
を備え、
前記タワー(7)はボルトベースの取り付け手段を用いて、前記杭(2)の上端部(5,9)に取り付けられている、海上建造物。
【請求項2】
前記プラットフォーム(16)が前記スリップジョイント(11)によって前記杭(2)に取り付けられることにより、前記プラットフォーム(16)の歩行領域(17)が前記ボルトベースの取り付け手段(B)に対して所定の高さ(Hp)に設けられ、平均的な身長のメンテナンス作業員(120)が、好ましくは前記歩行領域(17)に立っている間、または前記杭(2)上の前記タワー(7)内に立っている間、前記ボルトベースの取り付け手段(B)に手が届く、請求項1に記載の海上建造物。
【請求項3】
前記ボルトベースの取り付け手段(B)は、
前記タワー(7)の下端部(8)またはその近傍に配置され、ボルト(131)によって前記杭(2)の上端部(5,9)に取り付けられたフランジ(132)、または
前記杭(2)の上端部(5,9)またはその近傍に配置され、前記タワー(7)の下端部(8)がボルト固定されたフランジ(130)、または
前記タワー(7)の下端部(8)に配置されたフランジ(132)および前記杭(2)の上端部(5,9)に配置されたフランジ(130)であって、当該フランジ(130,132)は互いにボルト固定され、前記タワー(7)を前記杭(2)に取り付けている、フランジ(132)およびフランジ(130)
を備える、請求項1または2に記載の海上建造物。
【請求項4】
前記プラットフォーム(16)は、取り付けられたときに前記杭(2)の上端部(5,9)の周囲全体に延在するように設計され、前記杭(2)の上端部(5,9)と、前記杭(2)の上端部(5,9)に取り付けられるかまたは前記杭(2)の上端部(5,9)に形成されたフランジ(130)が設けられている場合には、当該フランジ(130)との上方に持ち上げられて、前記杭(2)の上端部(5,9)と前記スリップジョイント(11)を形成する、請求項1から3のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項5】
前記杭(2)の上端部(5,9)は裁頭円錐形であり、裁頭された前記上端部(5,9)の高さは、好ましくは裁頭された前記上端部(5,9)の最大直径と略同じかまたはそれよりも小さく、裁頭された前記上端部(5,9)の外表面(13)が前記杭(2)の長手方向軸(X-X)に対してなす角度(α)は好ましくは1°と45°との間、より好ましくは2°と40°との間であり、例えば、2°と30°との間である、請求項1から4のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項6】
前記プラットフォーム(16)の取り付け部(19)の内面(12)と前記杭(2)の外面(13)との間において、
コーティング(14)、特に防汚コーティングが設けられ、前記2つの表面(12,13)の間の摩擦を増加させ、および/または前記表面(12,13)の一方もしくは両方の腐食を防止する、および/または
少なくとも2つの離間した領域(101,102)に物質(14A)が設けられることによって、前記杭の上端部(5,9)と前記プラットフォーム(16)の前記取り付け部(19)との近傍における、前記外面(13)と前記内面(12)との間、および前記プラットフォーム(16)の前記取り付け部(19)の下端部(8)と前記杭(2)との間にシール(107,108)を形成する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項7】
シール(107,108)を形成する前記物質(14A)は実質的に粘弾性を有する材料または複合材料であり、および/または、
前記物質(14A)は、成形可能で、自己接着性を有する材料で構成され、当該材料は、好ましくはNEN2768規格に従う水密性および気密性を有し、および/または、
前記材料は、前記海上要素(7)の下端部(8)および/または前記杭(2)の上端部(5,9)の上に少なくとも部分的に延在し、および/または、前記物質は、前記プラットフォーム(16)の前記取り付け部(19)と前記杭(2)との間に上部シール(108)および下部シール(107)を形成し、当該上部シール(108)および下部シール(107)の間において、前記取付け部(19)と前記杭(2)との間の空間が囲まれ、および/または、前記物質(14A)は、前記取付け部(19)と前記杭(2)の対向する傾斜面(12,13)の間に設けられる、
請求項1から6のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項8】
前記コーティング(14)および/または前記物質(14A)はフォイルとして、好ましくは接着性のフォイルとして、より好ましくは自己接着性のコーティングとして設けられる、請求項1から7のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項9】
前記コーティング(14)はキャリアフォイル上の繊維を含む層(14)からなり、当該繊維は樹脂に埋め込まれ、当該樹脂は好ましくは硬化したアクリルである、請求項1から8のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項10】
前記コーティング(14)および/または前記物質(14A)は前記杭(2)の外面(13)、特に前記杭(2)の裁頭円錐部分に付加され、および/または前記コーティング(14)および/または前記物質(14A)は前記海上要素(7)の内面(12)に付加される、請求項1から9のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項11】
前記コーティング(14)および/または前記物質(14A)は有機スズ化合物を含まない、請求項1から10のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項12】
前記海上要素(7)は重力によって前記杭(2)の上に設置される、請求項1から11のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項13】
前記コーティング(14)の表面粗さは、前記海上要素(7)の内面(12)および/または前記杭(2)の外面(13)の関連する部分の表面粗さよりも高い、請求項1から12のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項14】
前記コーティング(14)の表面(15)の少なくとも一部と隣接する表面との間に充填材が設けられる、請求項1から13のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項15】
前記ボルトベースの取り付け手段は、前記杭(2)および/または前記タワー(7)の中心線と実質的に平行に延びる中心線を有する少なくとも1つのボルト(131)を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項16】
前記タワー(7)は、前記杭(2)の実質的に横方向に延びる支持面により支持される実質的に横方向に延びる取り付け面を有し、前記タワー(7)の実質的に横方向に延びる取り付け面および前記杭(2)の実質的に横方向に延びる支持面は、具体的には、前記海上建造物が海上で垂直に配置されたときに水平に延びる表面である、請求項1から15のいずれか1項に記載の海上建造物。
【請求項17】
海上基礎杭(2)であって、
前記杭(2)の上端部から離間し
た領域(101)を有する
裁頭円錐形の上端部(5,9)を備え、
前記領域(101)は、前記裁頭円錐部分の上に配置されてスリップジョイントを形成するプラットフォームとの間のシール(107)を形成するための物質(14A)を付加され、
前記上端部(5,9)
は、タワー(7)を前記上端部に取り付けるための
、少なくともフランジ(130)からなるボルト手段(B
)を有する、海上基礎杭(2)。
【請求項18】
前記杭
はモノパイル(2)である、請求項1から16のいずれか1項に記載の海上建造物に用いる
、請求項17に記載の海上基礎杭(2)。
【請求項19】
タワー(7)を基礎杭(2)に設置する方法であって、前記タワー(7)は前記杭(2)の上端部(5,9)にボルト固定され、前記方法は、
プラットフォーム(16)の取り付け部(19)を海上基礎杭(2)の前記上端部(5,9)に上から嵌合する工程と、
前記杭(2)の裁頭
円錐形の上端部(5,9)とのスリップジョイント(11)を形成する工程であって、形成後に前記タワー(7)が前記杭(2)および/または前記上端部もしくはその近傍に設けられたフランジ(130)にボルト固定され、前記プラットフォーム(16)に立っている、または前記杭(2)上の前記タワー内に立っている作業員(120)が、前記タワー(7)を前記杭(2)にボルト固定する、工程と、
を備える方法。
【請求項20】
前記海上要素(7)を配置する前に、前記杭(2)の
裁頭された上端部(5,9)の表面領域(13)および/または前記プラットフォーム(16)の取り付け部(19)の内面(12)の表面領域(12)には
、粘弾性物質(14A
)が設けられ
て、前記杭と前記プラットフォームの前記取り付け部(19)との間にシールを形成する、請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】