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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】アルカンジオールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/44 20060101AFI20220105BHJP
   C07C 31/20 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C07C29/44
C07C31/20 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518062
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(85)【翻訳文提出日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2018076862
(87)【国際公開番号】W WO2020069731
(87)【国際公開日】2020-04-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ヘルシャー
(72)【発明者】
【氏名】マルク・マンスフェルト
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC41
4H006AD11
4H006BA93
4H006BB14
4H006BB17
4H006BC10
4H006BC11
4H006FE11
4H006FG29
(57)【要約】
本発明は、オレフィンへのアルキレングリコールのラジカル付加による、長鎖1,2-アルカンジオールおよび1,3-アルカンジオールの製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つのオレフィンおよび少なくとも1つのアルキレングリコール、ならびに、場合により少なくとも1つの溶媒を含む混合物を供給する工程;
(b)工程(a)の混合物に少なくとも1つのラジカル開始剤を加える工程;
(c)工程(b)の混合物を約100~200℃に加熱する工程;
(d)得られたアルカンジオールから未反応の反応物質および、場合により溶媒を分離する工程;並びに、場合により、
(e)アルカンジオールを精製する工程
からなるか、前記工程を含む、式(1):
【化1】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Rは水素またはメチル基であり、XはゼロまたはCH基である〕
で示されるアルカンジオールの製造方法。
【請求項2】
(a)少なくとも1つのアルキレングリコールおよび少なくとも1つの溶媒を含む第1混合物を供給する工程;
(b)少なくとも1つのオレフィン、少なくとも1つのラジカル開始剤、および少なくとも1つの溶媒を含む第2混合物を供給する工程;
(c)第1混合物を約100~200℃に加熱する工程;
(d)加熱された第1混合物に少量の第2混合物を加える工程;
(e)得られたアルカンジオールから未反応の反応物質および溶媒を分離する工程;並びに、場合により、
(e)アルカンジオールを精製する工程
からなるか、前記工程を含む、式(1):
【化2】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Rは水素またはメチル基であり、XはゼロまたはCH基である〕
で示されるアルカンジオールの製造方法。
【請求項3】
式(Ia)の1,2-アルカンジオールまたは式(Ib)の1,3-アルカンジオール:
【化3】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基である〕
を得ることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるオレフィンを用いることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
アルキレングリコールとして、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールを用いることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
オレフィンおよびアルキレングリコールを、約1:1~約1:50の当量比で用いることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ラジカル開始剤として、過酸化物および/またはアゾ化合物を用いることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ラジカル開始剤として金属酸化物を用いることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ラジカル開始剤を、オレフィンおよびアルキレングリコールの総重量に基づいて、約0.5~約2重量%の量で用いることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
光に曝露されている間に反応が行われることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ジアルキルエーテルおよびジアルキルカーボネートからなる群から選択される溶媒を用いることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
反応を約150~約180℃の範囲内の温度で行うことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
反応を不活性ガス下で行うことを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
反応を自生圧力下で行うことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
アルカンジオールをSpaltrohr(登録商標)カラムで精製することを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品原料の分野であり、ラジカル鎖付加反応による長鎖アルカンジオールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカンジオール、特に1,2-アルカンジオールおよび1,3-アルカンジオールは、化粧品産業における重要な添加剤であり、香料産業で使用されるアセタールの合成のための出発物質として役立つ。
【0003】
最も重要なアルカンジオールには、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、および、特に1,2-ペンタンジオールが含まれる。しかしながら、重大な欠点は、特に化粧品の最終調製物において、製品が常に不快な臭いを示し、それを相当な労力でマスキングする必要があることである。さらに、従来それらの製造は技術的に複雑であり、大量の水の投入を必要とし、その後、相当の労力で精製する必要がある。
【0004】
例えば、1,2-ペンタンジオールの製造は、穀物からの糖の製造の廃棄物として大量に得られるフルフリルアルコールに基づいている。
例えば、AdkinsおよびConnor[Journal of American Chemical Society 53、1091(1931)]は、触媒として銅クロマイトを使用する液相中での175℃でのフルフリルアルコールの水和または水素化分解が40%の1,2-ペンタンジオール、30%の1,5-ペンタンジオール、10%のアミルアルコールおよび20%のテトラヒドロフルフリルアルコールとメチルテトラヒドロフランの混合物を生成することを報告している。
【0005】
KaufmannおよびAdams[Journal of American Chemical Society 45、3029(1923)]には、プラチナブラックの存在下、室温でフルフラールの水和が、フルフリルアルコール、1-ペンタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、2-ペンタンジオールおよび1,5-ペンタンジオールの混合物を生じることが記載されている。
【0006】
さらに、SmithおよびFuzekによる論文[Journal of American Chemical Society71,415(1949)]には、二酸化白金触媒による液相中でのフランおよびフラン誘導体の接触水和または水素化分解に関する研究が記載されている。反応は、酢酸中で20、40または60psiの水素圧で行われ、言及される触媒は、指南書[有機合成8、92(1928)]に従って調製された。二酸化白金を触媒として使用するフルフリルアルコールの水和または水素化分解中に、1,2-ペンタンジオールがほぼ同じ定量的収率で得られると言われており、1,2-ペンタンジオールは、ジアセテートの形態で酢酸から分離された。
【0007】
不均一系触媒の存在下で1,2-ペンタンジオールを得るためのフルフリルアルコールの水和もWO2012/152849A1(SYMRISE)に記載されている。
【0008】
EP1876162A1は、エポキシ化およびその後の加水分解による各オレフィンからのアルカンジオールの製造を記載している。このようにして得られた原料は、不快な臭いのある副生成物を除去するために、後処理によってさらに精製された。US6,528,665B1によれば、精製は、エポキシアルカンを加水分解して対応するアルカンジオールを得る前に、エポキシアルカンの工程で行われる。
【0009】
今日では、1,2-ペンタンジオールの製造は一般に石油化学源から入手可能なn-ペント-1-エンに基づく。n-ペント-1-エンは過酸化物(例えば、過酸化水素)によって反応して対応するエポキシドが得られ、次いでギ酸や鉱酸などの有機酸と反応して1,2-ペンタンジオールが得られる(EP0257243A1またはEP0141775A1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2012/152849号
【特許文献2】欧州特許出願第1876162号明細書
【特許文献3】米国特許第6,528,665号明細書
【特許文献4】欧州特許出願第0257243号明細書
【特許文献5】欧州特許出願第0141775号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Journal of American Chemical Society 53、1091(1931)、AdkinsおよびConnor
【非特許文献2】Journal of American Chemical Society 45、3029(1923)、KaufmannおよびAdams
【非特許文献3】Journal of American Chemical Society71,415(1949)、SmithおよびFuzek
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の第1の目的は、先に記載の欠点を示さない、より長鎖のアルカンジオール、具体的には5~12個の炭素原子を含む1,2-アルカンジオールおよび1,3-アルカンジオールの製造のための代替方法を提供することである。製品は無臭である必要があり、方法は、できる限り容易な設計と得られる製品の廃棄物量が少ないことを特徴とすべきである。さらに、再生可能な資源を使用してこの方法を実行し得るべきである。これは、オレフィンが天然アルコールから製造され、ジオールが天然資源から製造されている場合に確保される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の主題は、
(a)少なくとも1つのオレフィンおよび少なくとも1つのアルキレングリコール、ならびに、場合により少なくとも1つの溶媒を含む混合物を供給する工程;
(b)工程(a)の混合物に少なくとも1つのラジカル開始剤を加える工程;
(c)工程(b)の混合物を約100~200℃に加熱する工程;
(d)得られたアルカンジオールから未反応の反応物質および、場合により溶媒を分離する工程;並びに、場合により、
(e)アルカンジオールを精製する工程
からなるか、前記工程を含む、式(1):
【化1】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Rは水素またはメチル基であり、XはゼロまたはCH基である〕
で示されるアルカンジオールの製造方法に関する。
【0014】
本発明の第2の主題は、第1の代替法と比較して修正されたバージョンであり、
(a)少なくとも1つのアルキレングリコールおよび少なくとも1つの溶媒を含む第1混合物を供給する工程;
(b)少なくとも1つのオレフィン、少なくとも1つのラジカル開始剤、および少なくとも1つの溶媒を含む第2混合物を供給する工程;
(c)第1混合物を約100~200℃に加熱する工程;
(d)加熱された第1混合物に少量の第2混合物を加える工程;
(e)得られたアルカンジオールから未反応の反応物質および溶媒を分離する工程;並びに、場合により、
(e)アルカンジオールを精製する工程
からなるか、前記工程を含む、式(1):
【化2】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Rは水素またはメチル基であり、XはゼロまたはCH基である〕
で示されるアルカンジオールの製造方法に関する。
【0015】
驚くべきことに、式(Ia)および(Ib)の1,2-アルカンジオールまたは1,3-アルカンジオール:
【化3】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基である〕
を得るラジカル鎖付加反応中に、オレフィンをアルキレングリコールと反応させ得ることが見出された。ラジカル鎖付加反応は短時間で進行し、高収率につながる。製品は無臭であり、技術的な労力は少なく、労力をかけて排出する必要のある副産物や副生成物は実際上ない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<オレフィン>
オレフィンの選択は、所望のアルカンジオールがどのような鎖長を有するべきかの考慮に依存する。1,2-アルカンジオールが必要な場合、最終的な鎖長は、オレフィンの鎖長に2を加えたものにより決定され、1,3-アルカンジオールが必要な場合は、オレフィンの鎖長に3を加えたものである。この目的に適するものは、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンおよびそれらの混合物である。好ましくは、これらは末端オレフィンであるが、内部オレフィンを使用してもよい。オレフィン自体は再生可能な資源、特にアルコールから得ることができるため、本発明のアルカンジオールも石油化学出発生成物を全く使用せずに得られ得る可能性がある。
【0017】
<アルキレングリコール>
1,2-アルカンジオールを得るべき場合、アルキレングリコールとしてエチレングリコールが用いられる。1,3-アルカンジオールを所望する場合は、1,3-プロピレングリコールが用いられる。混合物も当然使用し得る。通常、オレフィンおよびアルキレングリコールは、約1:1~約1:50、好ましくは約1:10~約1:40、より好ましくは約1:20~約1:30の当量比で使用される。
【0018】
本発明の方法(プロセス)は、以下のように進行するラジカル鎖付加反応である。
【化4】
【0019】
ラジカル鎖付加反応を開始するために、ラジカルが必要である。したがって、ラジカル開始剤が混合物に添加され、これは、例えばtert-ブチルペルオキシドまたはベンゾイルペルオキシドなどの過酸化物であってよく、さらなる例は、DE2136496A1およびDE19853862A1においても見出せる。あるいは、例えばアゾイソブチロニトリルなどのアゾ化合物も採用し得る。
【0020】
過酸化物に代えて、金属酸化物、具体的には遷移金属の金属酸化物が適しており、それらは、特に、銅酸化物、第二鉄酸化物、マンガン酸化物、インジウム酸化物、コバルト酸化物、銀酸化物およびそれらの混合物である。このプロセスを行うのに特に適しているものは、AgO、CuO、Fe、Fe、CuFe、Co、CoO、MnO、In、およびそれらの混合物から選択される金属酸化物である。好ましくは、金属酸化物は、粉末または顆粒として使用され得る。金属酸化物はまた、例えば、酸化アルミニウムなどの適当な無機担体材料上に適用されていてもよい。
【0021】
通常、ラジカル開始剤は、オレフィンおよびアルキレングリコールの総量に基づいて、約0.5~約2重量%、特に約1~約1.5重量%の量で使用される。
【0022】
最後に、光誘起法によりラジカル反応を開始すること、すなわち、適切な波長の光に曝露されている間に反応を行うことが有利であり得る。
【0023】
<溶媒>
好ましい実施態様において、ラジカル鎖付加反応は可溶化剤内で行われる。この目的のために、それ自体はラジカルを形成できないまたは形成することが難しい、エーテル(例えば、メチル-tert-ブチルエーテル)などの特定の非極性溶媒、および、炭酸ジメチルまたは炭酸ジエチルなどの特定のジアルキルカーボネートが適している。それらは、反応終了後に蒸留によって分離され、プロセス中に戻すことができる。
【0024】
<反応条件および精製>
反応は高温で行われる。適切な温度範囲は約100~約200℃である。特に好ましくは、約150~約180℃の範囲内の温度である。
【0025】
不活性ガス下、特に窒素雰囲気下で反応を行うのが有利であることが判明している。窒素雰囲気は初期に1~5barの圧力を有していてもよく、これは反応条件下で対応して増加し得る。その後、反応は、例えば10~20barに達し得る自生圧力下で進行する。
【0026】
クレームされた2つの方法(プロセス)は、連続的または非連続的に行われ得る。例えば、非連続的なプロセスを行うためには、非連続撹拌槽型反応器が適している。連続的なプロセスには、例えば、連続管反応器、撹拌槽型反応器、固定床反応器またはトリクルベッド反応器が適している。
【0027】
プロセスを実行した後、該プロセスの時間および使用されるプロセスパラメータに応じて、様々な濃度の抽出物と生成物との混合物である生成混合物が存在する。生成混合物は適切な分離方法によって、特に蒸留によって分離することができ、これにより、所望するアルファ-モノアルキル生成物の高い純度をさらに高めることができ、場合により、未反応の抽出物を回収および再利用することができる。好ましくは、精製はSpaltrohr(登録商標)カラムで行われる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の方法により得られるアルカンジオールは、化粧品産業のための添加剤としてだけでなく、洗剤および洗浄剤のための添加剤としても適する。それらはまた、アセタール化後に香料またはそれらの前駆体としても使用され得る。
【実施例
【0029】
<一般的な製造方法>
1当量のオレフィン、30当量のアルキレングリコール、および、オレフィンとグリコールの合計に基づいて1重量%のジ-tert-ブチルペルオキシドの、50重量%炭酸ジメチル溶液/混合物をオートクレーブに入れ、5barの初期窒素圧で155~160℃まで加熱する。圧力は、15~20barに上昇するであろう。混合物をこの温度で1時間撹拌し、次いで室温まで冷却する。炭酸ジメチルと過剰のグリコールを真空条件下で蒸留除去する。30cmカラムで得られた残留物を真空条件下蒸留する。
【0030】
実施例1:1,2-デカンジオールの製造
149g(1.33mol)の1-オクテン、816g(13.16mol)の1,2-エチレングリコール、975gの炭酸ジメチルおよび19.4g(0.13mol)のジ-tert-ブチルペルオキシドを5リットルのオートクレーブに入れ、5barの初期窒素圧で攪拌しながら加熱した。混合物を155~160℃で1時間撹拌した。それにより、圧力が11barに上昇した。混合物を冷却し、蒸留した。
【0031】
フラクション1(回転蒸発器:バス:60~80℃、ヘッド:43~48℃、真空:170~60mbar)=983g、GCによると90%炭酸ジメチル、
フラクション2(ウォーターバス付き10cmVigreuxカラム:バス:73~90℃、ヘッド:63~65℃、真空:0.5mbar):797g、GCによると95%1,2-エチレングリコール、
フラクション3(マルチリム真空レシーバーアダプターを備えた10cmVigreuxカラム:液だめ:135~175℃、ヘッド:116~135℃、真空:0.5mbar):17.3g、GCによると97%1,2-デカンジオール。
【0032】
<投与量を含む一般的な製造方法>
アルキレングリコール(オレフィンに基づいて40当量)と炭酸ジメチルとの1:1混合物をオートクレーブに入れ、5バールの初期窒素圧で155~160℃に加熱する。この温度で、約1当量のオレフィン、0.35当量のジ-tert-ブチルペルオキシドからなる約75重量%炭酸ジメチル溶液を、1.5時間かけて少量ずつ添加する。圧力は15~20barに上昇するであろう。これらの条件下で混合物をさらに15分間撹拌し、次いで室温まで冷却する。炭酸ジメチルと過剰のジオールを蒸留除去する。Spaltrohr(登録商標)カラム(Fischer Spaltrohr(登録商標)カラム HMS 500 AC)において生成物の精製蒸留を行う。収率は、理論上(使用されるオレフィンに基づき)35~50%になる。
【0033】
実施例2:1,2-デカンジオールの調製
1.200g(19.4mol)の1,2-エチレングリコールと900gの炭酸ジメチルを5リットルのオートクレーブに入れ、5barの初期圧力で155~160℃の温度に加熱した。この温度で、54g(0.48モル)の1-オクテン、210gの炭酸ジメチルおよび24.6g(0.17モル)のジ-tert-ブチルペルオキシドの溶液を、1.5時間かけて少量ずつ加えた。続いて、混合物をさらに15分間撹拌した後、室温まで冷却した。炭酸ジメチルと過剰の1,2-エチレングリコールをロータリーエバポレーターで蒸留除去した。GCによると、52%の純度で62.1gの1,2-デカンジオールの残留物が残った。この生成物を30cmカラムで蒸留した。その後、GCによると、98%の純度で34.6gの1,2-デカンジオールの収量に達した。
【0034】
実施例3~23:
同様の方法で、下記の1,2-アルカンジオールを調製した。表1に、構造、モル質量および質量分析のデータを示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【手続補正書】
【提出日】2021-08-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つのオレフィンおよび少なくとも1つのアルキレングリコール、ならびに、場合により少なくとも1つの溶媒を含む混合物を供給する工程;
(b)工程(a)の混合物に少なくとも1つのラジカル開始剤を加える工程;
(c)工程(b)の混合物を約100~200℃に加熱する工程;
(d)得られたアルカンジオールから未反応の反応物質および、場合により溶媒を分離する工程;並びに、場合により、
(e)アルカンジオールを精製する工程
からなるか、前記工程を含む、式():
【化1】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Rは水素またはメチル基であり、XはゼロまたはCH基である〕
で示されるアルカンジオールの製造方法。
【請求項2】
(a)少なくとも1つのアルキレングリコールおよび少なくとも1つの溶媒を含む第1混合物を供給する工程;
(b)少なくとも1つのオレフィン、少なくとも1つのラジカル開始剤、および少なくとも1つの溶媒を含む第2混合物を供給する工程;
(c)第1混合物を約100~200℃に加熱する工程;
(d)加熱された第1混合物に少量の第2混合物を加える工程;
(e)得られたアルカンジオールから未反応の反応物質および溶媒を分離する工程;並びに、場合により、
(e)アルカンジオールを精製する工程
からなるか、前記工程を含む、式():
【化2】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Rは水素またはメチル基であり、XはゼロまたはCH基である〕
で示されるアルカンジオールの製造方法。
【請求項3】
式(Ia)の1,2-アルカンジオールまたは式(Ib)の1,3-アルカンジオール:
【化3】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基である〕
を得ることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるオレフィンを用いることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
アルキレングリコールとして、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールを用いることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
オレフィンおよびアルキレングリコールを、約1:1~約1:50の当量比で用いることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ラジカル開始剤として、過酸化物および/またはアゾ化合物を用いることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ラジカル開始剤として金属酸化物を用いることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ラジカル開始剤を、オレフィンおよびアルキレングリコールの総重量に基づいて、約0.5~約2重量%の量で用いることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
光に曝露されている間に反応が行われることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ジアルキルエーテルおよびジアルキルカーボネートからなる群から選択される溶媒を用いることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
反応を約150~約180℃の範囲内の温度で行うことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
反応を不活性ガス下で行うことを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
反応を自生圧力下で行うことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
アルカンジオールをSpaltrohr(登録商標)カラムで精製することを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の第1の主題は、
(a)少なくとも1つのオレフィンおよび少なくとも1つのアルキレングリコール、ならびに、場合により少なくとも1つの溶媒を含む混合物を供給する工程;
(b)工程(a)の混合物に少なくとも1つのラジカル開始剤を加える工程;
(c)工程(b)の混合物を約100~200℃に加熱する工程;
(d)得られたアルカンジオールから未反応の反応物質および、場合により溶媒を分離する工程;並びに、場合により、
(e)アルカンジオールを精製する工程
からなるか、前記工程を含む、式():
【化1】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Rは水素またはメチル基であり、XはゼロまたはCH基である〕
で示されるアルカンジオールの製造方法に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の第2の主題は、第1の代替法と比較して修正されたバージョンであり、
(a)少なくとも1つのアルキレングリコールおよび少なくとも1つの溶媒を含む第1混合物を供給する工程;
(b)少なくとも1つのオレフィン、少なくとも1つのラジカル開始剤、および少なくとも1つの溶媒を含む第2混合物を供給する工程;
(c)第1混合物を約100~200℃に加熱する工程;
(d)加熱された第1混合物に少量の第2混合物を加える工程;
(e)得られたアルカンジオールから未反応の反応物質および溶媒を分離する工程;並びに、場合により、
(e)アルカンジオールを精製する工程
からなるか、前記工程を含む、式():
【化2】
〔式中、Rは1~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基であり、Rは水素またはメチル基であり、XはゼロまたはCH基である〕
で示されるアルカンジオールの製造方法に関する。
【国際調査報告】