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  • 特表-船舶洗浄装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】船舶洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B63B 59/10 20060101AFI20220105BHJP
   B63B 59/08 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B63B59/10 A
B63B59/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518102
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(85)【翻訳文提出日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2019058329
(87)【国際公開番号】W WO2020070636
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】2018/5672
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521105938
【氏名又は名称】ファン ロンペイ,ボウデヴィン ガブリエル
【氏名又は名称原語表記】VAN ROMPAY, Boudewijn Gabriel
【住所又は居所原語表記】307 Spottis Woode CT, Clearwater, Florida 33756 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ファン ロンペイ,ボウデヴィン ガブリエル
(57)【要約】
本発明に係る洗浄装置は、表面処理コーティングをベースにした非毒性塗料層が施された船舶(1)の船体(2)の水中部分の洗浄装置において、該装置(6)が、第一洗浄モジュール(8)と、該洗浄モジュール(8)を船舶(1)の船体(2)の側面(4)に配置して移動させる手段(9)とを備えたプラットフォーム(7)を備え、かつ、該装置(6)に、第二洗浄モジュール(11)を備えた送り出しプラットフォーム(10)が設け、前記送り出しプラットフォーム(10)が、第二洗浄モジュール(11)を船体(2)の底面(5)に対して配置することができるように構成され、第二洗浄モジュール(11)が、その動作及び制御のために、第一ケーブル(12)を介して、送り出しプラットフォーム(10)に接続されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理コーティングをベースにした非毒性塗料層が施された船舶(1)の船体(2)の水中部分の洗浄装置において、該装置(6)が、第一洗浄モジュール(8)と、該洗浄モジュール(8)を船舶(1)の船体(2)の側面(4)に配置して移動させる手段(9)とを備えたプラットフォーム(7)を備え、かつ、該装置(6)に、第二洗浄モジュール(11)を備えた送り出しプラットフォーム(10)が設け、前記送り出しプラットフォーム(10)が、第二洗浄モジュール(11)を船体(2)の底面(5)に対して配置することができるように構成され、第二洗浄モジュール(11)が、その動作及び制御のために、第一ケーブル(12)を介して、送り出しプラットフォーム(10)に接続され、送り出しプラットフォーム(10)が、送り出しプラットフォーム(10)の制御のために第二ケーブル(14)によって前記プラットフォーム(7)に接続される
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
送り出しプラットフォーム(10)に、一つ又は複数の車輪又はフェンダークッション等の形態の、船舶(1)の船体(7)に対する停止部(17)を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第一及び第二洗浄モジュール(8,11)が、その中に設けられた複数のローラブラシ(20)を備えたフレーム(19)を有し、
ローラブラシ(20)がモータ(21)によって駆動され、
ローラブラシ(20)の軸線(22)が、動作中に船舶(1)の船体(2)と水平かつ平行に延びている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
第一及び第二洗浄モジュール(8,11)が、その中に設けられた複数のスポンジを有するフレーム(19)を備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
プラットフォーム(7)が、船舶等である
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
二つのプラットフォーム(7)、二つの第一洗浄モジュール(8)及び二つの第二洗浄モジュール(11)を備えた二つの送り出しプラットフォーム(10)を備えている
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
二つの第二洗浄モジュール(11)が、ケーブル(18)を用いて相互に接続されている
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
、二つの第二洗浄モジュール(11)が、船体(2)の底面(5)で同期して前後に移動するように、二つの第一ケーブル(12)を交互に巻き上げ及び巻き下げしたり、伸縮させたりすることで船舶(1)の船体(2)の底面(5)で第二洗浄モジュール(11)が動かされる
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
第二洗浄モジュール(11)に、一つ又は複数のフロート(23)又はフローティング要素が設けられている
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
コーティングが、ガラスフレークで強化された複合剤から成る
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶を洗浄する装置に関する。特に、本発明は、例えば、ガラスフレークで強化された複合材のような表面処理コーティングをベースにした非毒性塗料層で処理された船舶の船体及び他の部分の水中部分を洗浄することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来から、船舶の船体や他の構成部材は、殺生物剤を含有する塗料から成る毒性層で処理されている。
【0003】
このような塗料の毒性層は、所謂、生物付着に対抗するものである。
【0004】
船舶の船体、特に海で使用する船舶、より具体的には水中に位置する部分には、貝や藻等の生物が繁殖し、船が水中を移動する際の抵抗が大きくなることが知られている。その結果、燃料消費量が増加する。
【0005】
好ましくは、予防措置が取られ、新しい船体や洗浄された船体に堆積し、前記生物付着が生じる粘液層は定期的に洗浄される。
【0006】
既知の殺生物剤を含有する塗料から成る毒性層の欠点は、そのような塗料から成る層が、洗浄中に容易に摩耗し、及び/又は損傷することにある。その結果、複数回、洗浄した後に再び塗料を塗布することが必要になる。
【0007】
さらに、何度も洗浄を行うと、塗料層の効果が低下し、再び船舶を稼働させた時に、多くの生物付着が発生することになる。
【0008】
この生物付着により、船舶が水中を移動する際に抵抗を受けることになる。その結果、燃料消費量が増加する。
【0009】
また、このような塗装から成る層を施した船舶は、船舶が水の中に位置する時には洗浄することができない。
【0010】
このような従来の塗装を施した船舶を洗浄している間に、環境や海洋生物に有害な物質が多く排出される。
【0011】
そのため、船舶の船体やその他の部分の洗浄は、ドライドックで行う必要がある。
【0012】
この方法の欠点は、多くの時間を要することにあり、その結果、船舶を長い時間使用できないことにある。
【0013】
ガラスフレークで強化された複合材等の表面処理コーティングを施した船舶は、塗料層の耐性が高く、洗浄時に放出される可能性のある有害物質を含まないため、前記した欠点が殆どない。
【0014】
一般的には、表面処理された塗料層で処理された船舶の洗浄は、回転ブラシを備えた機械を使ってダイバーが水中で行う。
【0015】
表面処理された塗料層が施された船舶の洗浄は、従来の毒性のある塗料の層を施した船舶に比べると、はるかに速く、かつ、簡単に行うことができるが、ダイバーを使用することには幾つかの欠点がある。
【0016】
水中では視界が制限され得、適切な洗浄ができない場合がある。
【0017】
また、ダイバーが水中で強い潮流にさらされることがあり、洗浄作業に危険が伴うことがある。
【0018】
加えて、世界中の港に散らばる多くのプロのダイバーが必要になり、そのため適切なダイバーの雇用が問題となることがある。
【0019】
この方法でも、船舶の洗浄には一日以上の日数がかかり、その間、船舶は利用できない。
【0020】
同じ出願人のベルギー特許第1.013.429号、第1.014.204号、及び第1.015.235号には、船舶の船体から生物付着物を除去する装置が開示されており、該装置は、船舶の船体の下を横切るケーブルを用いて、船舶の船体に押し付けられる洗浄要素を備え、船舶の下方でケーブルを移動させることによって、洗浄要素が、船体を、その一側から他側にかけて横切って移動し、船体のマットの幅のストリップを洗浄する。
【0021】
前記ケーブルを船舶の下に通すために、このケーブルは、例えば、船舶の甲板の左右に対向して設置された二つのウインチに取り付けられ、船体を洗浄するために、一方のウインチでケーブルを巻き取り、他方のウインチでケーブルを巻き出す。
【0022】
前記各ウインチは、ストリップ単位で船体を洗浄することができるように、船舶の長手方向に移動可能に設置される。
【0023】
しかしながら、前記公知の装置は、特に、例えば400メートル以上の長さを有する大型外航船に通常見られるような平らな船底を有する船舶の場合はもちろんのこと、例えば80メートルの長さを有する比較的小さな船舶の場合にも、必ずしも期待される結果を得ることができない。
【0024】
前記したような平らな船底は、例えば400メートル×55メートルの相当広い表面をカバーし得る。このような広い表面のダイバーによる洗浄は、相当な作業量になることは明らかである。
【0025】
他の欠点は、ビルジキールに関するものであり、ビルジキールは、船体における底面から側面に変わる位置に、船体と直交する方向に配置される長い板である。
【0026】
ビルジキールの位置では、洗浄要素がビルジキールの上を移動しなければならないため、洗浄要素が船体の底面に接触できないか、又は、接触が難しくなる。
【0027】
また、この位置では、ケーブルがビルジキールに沿って擦れてしまうという問題もある。
【発明の概要】
【0028】
本発明の目的は、前記及びその他の欠点の少なくとも一つに対する解決策を提供することにある。
【0029】
この目的のために、本発明は、表面処理コーティングをベースにした非毒性塗料層が施された船舶の船体の水中部分の洗浄装置に関し、該装置が、第一洗浄モジュールと、該洗浄モジュールを船舶の船体の側面に配置して移動させる手段とを備えたプラットフォームを有し、かつ、該装置に、第二洗浄モジュールを備えた送り出しプラットフォームが設けられ、前記送り出しプラットフォームが、第二洗浄モジュールを船体の底面に対して配置することができるように構成され、第二洗浄モジュールが、その動作及び制御のために、第一ケーブルを介して、送り出しプラットフォームに接続されていることを特徴とする。
【0030】
これにより、このような装置を用いて、船体を迅速かつ産業規模で洗浄することができるという利点が提供される。
【0031】
さらに、水中で洗浄ができるため、船舶をドライドックに入れる必要がない。また、ダイバーを必要としない。
【0032】
表面処理コーティングを使用することで、生物付着が殆ど発生せず、船舶の船体に生物付着が発生せず、船舶が受ける抵抗が少なくなる。これにより、燃料の節約やCO排出量の削減が可能になる。
【0033】
また、表面処理コーティングを洗浄する時に、殺生物剤が放出されず、局所的な汚染を引き起こすこともない。
【0034】
また、表面処理コーティングは、洗浄によって損傷を受けたり、部分的に剥がれたりすることがないので、腐食の問題も発生しない。
【0035】
また、表面処理コーティングは、メンテナンスの必要性が少ない。
【0036】
さらに別の利点として、特に、船体の船底のために送り出しプラットフォーム及び第二洗浄モジュールを使用することで、洗浄モジュール又はケーブルがビルジキールの上を通ったり、ビルジキールに沿って動いたりすることを避けることができる。このようにして、ビルジキールの位置での船体の洗浄不良や、ビルジキールに沿ったケーブルの擦れを回避することができる。
【0037】
さらに、第一洗浄モジュール及び第二洗浄モジュールの両方をビルジキールに接近させることで、ビルジキール自体やビルジキールの高さにある船舶の船体を洗浄することもできるようになる。
【0038】
好ましくは、第一及び第二洗浄モジュールは、複数のローラブラシがその中に取り付けられたフレームを備え、ローラブラシがモータによって駆動され、ローラブラシの軸線が、動作中に船舶の船体に対して水平かつ平行に延びるようになっている。
【0039】
このような洗浄モジュールは大きなサイズで形成することができ、かつ、大きな洗浄面を得ることができる。
【0040】
ローラブラシは、それらの軸線周りの回転によって水中に渦が発生させ、水中での動作中にそれら自身を船体に吸い付くようにされている。
【0041】
実施可能な実施形態では、プラットフォームは船舶等で構成される。
【0042】
該装置は、港等に設置され得、船舶がプラットフォームに沿って航行した後に、二つの洗浄要素が船舶を洗浄するために船舶の側面及び底面に対して配置され得るという利点を有する。
【0043】
船舶は、例えば、作業船や平底船であり得る。
【0044】
本発明の特徴をよりよく示すために、船舶の洗浄のための本発明による装置のいくつかの好ましい実施形態を、添付の図を参照して、非限定的な実施例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明による装置を模式的に示す図である。
図2図1においてF2で示す部分の拡大詳細図である。
図3】洗浄要素の実施可能な実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、船体2が水中に配置されている外航船1を模式的に示している。
【0047】
船体2には、いわゆるビルジキール3が設けられており、これらビルジキール3は、船体2の側面4が船体2の底面5に変化する位置で、船舶1の長手方向に延びている。
【0048】
ビルジキール3は、船体2に対して垂直に設置されている。
【0049】
船体2、又は少なくとも船体2の水中部分は、表面処理コーティングをベースとした非毒性塗料層で処理されている。
【0050】
この場合、この表面処理コーティングは、ガラスフレークで強化された複合剤を有する。
【0051】
このようなコーティングの利点は、船舶の船体2の生物付着を防止するのにはるかに効果的であるだけでなく、船舶の船体2を洗浄する際に殺生物剤が放出されないことにある。さらに、コーティングが損傷したり、摩耗したりすることがなく、コーティング自体のメンテナンスや修理が実質的に必要ない。
【0052】
また、図1には、船舶1の船体2の水中部分を洗浄するための装置6が示されている。
【0053】
本発明によれば、装置6は、以下の構成要素を備えている。
・第一洗浄モジュール8と、第一洗浄モジュール8を船舶1の船体2の側面4に配置して移動させる手段とを備えたプラットフォーム7及び
・第二洗浄モジュール11を備え、第二洗浄モジュール11を船体2の底面5に対して配置できる送り出しプラットフォーム10
【0054】
図に示すように、この実施例では、二つのプラットフォーム7、二つの第一洗浄モジュール8、二つの第二洗浄モジュール11を備えた二つの送り出しプラットフォーム10が設けられている。言い換えれば、装置6は、左右対称に形成されている。この構成は本発明に必須ではない。
【0055】
図示実施例のプラットフォーム7は、例えば、フローティング平底船又は作業船のような船舶として形成される。しかし、これは必ずしも必須ではない。プラットホーム7は、岸壁に設置することも可能である。
【0056】
船体2の側面4に対して洗浄モジュール8を配置して移動させる前記手段9は、異なる方法で実現することができる。装置6の効率的な動作のためには、これらの手段9が船舶1の船体2に対して洗浄モジュール8を上下に移動させることができれば十分である。
【0057】
送り出しプラットフォーム10は、一種のケージとして形成され得、その中に必要な装置が設置され、そこに、又は、その中に第二洗浄モジュール11が設けられ得る。
【0058】
この送り出しプラットフォーム10は、水中に沈められることを意図している。以下の説明から明らかになるように、この送り出しプラットフォーム10は、「水没可能なエンジン室(submergable engine room)」とも称される水中エンジン室として構成され得る。
【0059】
本発明によれば、第二洗浄モジュール11は、その移動と制御のために、第一ケーブル12を介して送り出しプラットフォーム10に接続されている。
【0060】
図2は、装置6の断面をより詳細に示している。
【0061】
この図では、プラットフォーム7に、プラットフォーム7及び第一洗浄モジュール8の動作を制御するための制御ユニット13が設けられている。
【0062】
送り出しプラットフォーム10は、送り出しプラットフォーム10を制御するために、第二ケーブル14によって、プラットフォーム7、具体的には、プラットフォーム7の制御ユニット13に接続されている。
【0063】
送り出しプラットフォーム10は、第二ケーブル14及び制御ユニット13以外の他の方法でも制御できることは明らかである。
【0064】
また、第二洗浄モジュール11が第二ケーブル14によって制御されることも排除されない。
【0065】
しかしながら、この実施例では、送り出しプラットフォーム10には、第二洗浄モジュール11を制御するための制御ユニット15が設けられている。
【0066】
その制御は、前記第一ケーブル12を介して行われる。このケーブル12は、いわゆる「アンビリカルケーブル」と呼ばれるもので、硬くて太く、かつ、あまり柔軟性のないケーブル12であり、送り出しプラットフォーム10、特に、制御ユニット15から、必要な制御信号、電気及び油圧エネルギー等の全てを第二洗浄モジュール11に送る。
【0067】
送り出しプラットフォーム10を第二洗浄モジュール11のために作動させることで、この第一ケーブル12を、第二洗浄モジュール11がプラットフォーム7を介して接続される場合よりもはるかに短く保つことができる。
【0068】
また、第一ケーブル12は、第二洗浄モジュール11の動作を制御するためにも使用される。
【0069】
また、送り出しプラットフォーム10には、水中を移動するために、例えばプロペラ、ローター、スラスター等の推進手段16が設けられている。
【0070】
さらに、送り出しプラットフォーム10には、一つ又は複数の車輪、フェンダークッション等の形態の船舶1の船体2のための停止部17が設けられている。
【0071】
これにより、送り出しプラットフォーム10が、船舶1と送り出しプラットフォーム10の両方にダメージを与える可能性なしに、船舶1の船体2に対して非常に接近することを可能にしている。
【0072】
図1に示すように、二つの第二洗浄モジュール11は、ケーブル18によって互いに接続されており、当該ケーブルは、以下、「接続ケーブル18」として参照される。
【0073】
この接続ケーブル18は、通常のケーブルでよく、いわゆる「アンビリカルケーブル」である必要はない。また、このケーブル18は、第二洗浄モジュール11を互いに物理的に結合するためにのみ使用され、制御やエネルギー伝達などには使用されない。
【0074】
このケーブル18は、以下に説明するように、引っ張ることで両方の洗浄モジュールを移動させることができるように使用される。
【0075】
図3は、洗浄モジュール8及び11の実施可能な実施形態をより詳細に示している。
【0076】
洗浄モジュール8及び11は、複数のローラブラシ20を備えたフレーム19を有し、ローラブラシ20はモータ21によって駆動され、ローラブラシ20の軸線22は、運転中に船舶1の船体2と水平かつ平行に延びている。
【0077】
従って、ローラブラシ20は、互いに平行に延びており、一種の互い違いのセットアップで配置されている。
【0078】
この実施例では、三つのローラブラシ20が設けられており、これらローラブラシ20は、それらの軸線22周りで回転し得る。また、ローラブラシ20が一つだけ、二つ、四つ、五つ、又はそれ以上であることも可能である。
【0079】
ローラブラシ20は、軸線22に垂直な方向にわずかに重なっており、洗浄モジュール8及び11が船舶1の船体2の上を移動する時に、完全に途切れない洗浄面が得られるようになっている。
【0080】
この実施例では、送り出しプラットフォーム10はまた、浮力を発生させる一つ又は複数のフロート23又はフローティング要素などを含む。好ましくは、これらのフロート23の浮力は調整可能である。これは、例えば、フロート23をエアクッション等の形態で形成し、フロート23の浮力を調整するために、空気を充填できるようにすることで実現可能である。装置6の操作は非常に簡単であり、以下の通りである。
【0081】
始めに、プラットフォーム7及び送り出しプラットフォーム10を、洗浄すべき船舶1に向けて進める。
【0082】
プラットフォーム7は、第一洗浄モジュール8を船体2の側面4に向けた状態で、船舶1の両側に位置する。
【0083】
前記送り出しプラットフォーム10は、船体2の底面5のレベルに配置され、適切なレベルになるように水中で昇降させることが可能であり、それにより、第二洗浄モジュール11が船体2の底部5のレベルに配置される。前記フロート23は、このために使用することができる。
【0084】
停止部17は、船体2又はビルジキール3に接触する。
【0085】
次に、図1に示すように、装置6全体が船舶1に沿って移動し、それによって、第一洗浄モジュール8が側面4に接触し、第二洗浄モジュール11が底面5に接触する。
【0086】
勿論、装置6が所定の場所に設置され、そこに船舶1が航行してくることも可能である。
【0087】
その後、装置6は作動状態にされ得る。洗浄モジュール8,11のローラブラシ20は、モータ21を作動させることで動作状態になる。洗浄モジュール20は、いわば自分自身を船舶1の船体2に吸い付けることになる。
【0088】
その後、船体2の洗浄が開始され、第一洗浄モジュール8が、プラットフォーム7によって側面4に対して上下方向に移動する。
【0089】
それらは、ビルジキール3に接触するまで移動し、ビルジキール3のレベルで船体2を洗浄し、かつ、ビルジキール3の上向きの側面自体を洗浄する。
【0090】
第二洗浄モジュール11は、両方の洗浄モジュール11間の接続ケーブル18の作用によって、二つの第二洗浄モジュール11が、船体2の底面5で同期して前後に移動するように、二本の第一ケーブル12を交互に上下に巻き上げたり、伸縮させたりすることで、底面で前後に動かされる。
【0091】
また、第二洗浄モジュール11は、ビルジキール3に接触するまで動かされ、ビルジキール3のレベルで船体2を洗浄し、かつ、ビルジキール3自体の下向きの側面を洗浄する。
【0092】
第一洗浄モジュール8の一回の上下動と、第二洗浄モジュール11の一回の横方向の前後動との後に、生物付着は除去される。
【0093】
洗浄モジュール8,11の二回目の移動を実行することも可能である。その後、装置は、船体2の次のセクションに移動して洗浄を行う。代わりに、船舶1を、装置6に対して再配置することも可能である。
【0094】
洗浄モジュール8,11は、上述した方法と同様の方法で、洗浄すべき船体2の次のセクションに動かされる。
【0095】
また、洗浄モジュール8,11が、上下移動及び前後移動を継続しながら、装置6が船舶1に沿ってゆっくりと移動するか、又は、船舶1がそれに沿ってゆっくり移動することも可能である。
【0096】
このようにして、船体2及びビルジキール3は迅速に洗浄され得る。船舶の前部と後部を洗浄するために、ダイバーが使用され得る。これらの部分は、船舶の全表面積のほんの一部に過ぎない。
【0097】
上記した実施例では、洗浄モジュール8,11はローラブラシを備えているが、第一及び第二洗浄モジュール8,11が、そこに複数のスポンジが取り付けられたフレーム19を備えていることは排除されない。洗浄モジュール8,11が船舶の船体2に対して上下及び前後に移動することにより、スポンジが船舶の船体2に擦り付けられ、その結果、船体2を洗浄することができる。
【0098】
本発明は、実施例として説明され、図面に示された実施形態に限定されるものではなく、船舶の洗浄のための本発明による装置は、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる種類の形態及び寸法で実現することができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】