(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】調整可能な電気活性ビームスプリッタを有する拡張現実デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20220105BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220105BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220105BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20220105BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20220105BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02F1/1347
G02F1/15 503
G09G5/00 550C
G09G5/00 510G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518109
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 US2019055083
(87)【国際公開番号】W WO2020076741
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517235258
【氏名又は名称】イー-ビジョン スマート オプティックス, インク.
【氏名又は名称原語表記】E-VISION SMART OPTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ヒューフテン アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】トライコフスカ-ブローチ アニタ
(72)【発明者】
【氏名】ミルトン ハリー
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H199
2H291
2K101
5C182
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088EA35
2H088GA02
2H088GA03
2H088HA18
2H088HA20
2H088JA05
2H088JA06
2H088JA10
2H088JA11
2H088JA13
2H088JA15
2H088MA01
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2H189JA16
2H189LA17
2H189MA15
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2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FD04
2H291FD09
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2H291HA07
2H291HA09
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2H291HA17
2H291MA20
2K101AA22
2K101DA01
2K101DB01
2K101DB33
2K101EG52
2K101EK04
5C182AA03
5C182AB35
5C182BA25
5C182BA45
5C182CA01
(57)【要約】
明るい周辺光は、従来の拡張現実デバイスにおいて仮想画像をかき消す可能性がある。幸いなことに、この問題は、反射/透過比を、周囲レベルに基づいて、デューティサイクルで迅速に変化させる、またはオンとオフを切り替えることができる可変電気活性ビームスプリッタによって防止することができる。周辺光がより明るくなるにつれて、ビームスプリッタの透過/反射比をシフトさせることができ、それによってビームスプリッタがディスプレイからのより多くの光を反射し、かつより少ない周辺光をユーザーの目に透過する。ビームスプリッタはまた、高反射状態と高透過性状態の間で、選択されるデューティサイクルで切り替えることができ、それによって目は透過した周辺光を統合するよりも、反射したディスプレイの光を統合するのにより多くの時間を費やす。ユーザーに最適な経験を提供するために、周辺光レベルが変化するにつれて、分割比および/またはデューティサイクルを調整することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張現実デバイスであって、
ディスプレイと、
コントローラと、
周辺光レベルを感知するために前記コントローラに動作可能に連結された光検出器と、
前記コントローラに動作可能に連結され、かつ前記ディスプレイと光学的に連通する可変ビームスプリッタであって、前記ディスプレイからの光を反射し、かつ前記コントローラによって前記周辺光レベルに基づいて決定される割合でユーザーの目に周辺光を透過する、可変ビームスプリッタと、を備える、拡張現実デバイス。
【請求項2】
前記可変ビームスプリッタが、一対の基材の間に挟まれた少なくとも一つの液晶層を備える、請求項1に記載の拡張現実デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも一つの液晶層が、
第一のキラリティを有する第一のコレステリック液晶層と、
前記第一のキラリティと反対の第二のキラリティを有し、前記第一のコレステリック液晶層と平行で、かつ光学的に連通する第二のコレステリック液晶層と、を備える、請求項2に記載の拡張現実デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも一つの液晶層と光学的に連通する偏光子構造であって、前記偏光子構造が隣接する偏光セクションおよび非偏光セクションを有する、偏光子構造をさらに備える、請求項2に記載の拡張現実デバイス。
【請求項5】
前記コントローラが、前記ユーザーのフリッカー融合閾値よりも速い速度で、かつ前記周辺光レベルに基づいて前記プロセッサによって決定される前記割合を提供するように選択されるデューティサイクルで、前記可変ビームスプリッタを第一の分割比と第二の分割比の間で切り替えるように構成されている、請求項1に記載の拡張現実デバイス。
【請求項6】
前記コントローラが、前記光検出器によって感知される前記周辺光レベルの変化に基づいて、前記デューティサイクルを変化させるように構成されている、請求項5に記載の拡張現実デバイス。
【請求項7】
ディスプレイ、コントローラ、光検出器、および可変ビームスプリッタを含む拡張現実デバイスを動作する方法であって、前記方法が、
前記ディスプレイで画像を表示することと、
前記光検出器で周辺光レベルを感知することと、
前記ディスプレイからの前記画像を反射し、かつ前記周辺光レベルに基づいて前記コントローラによって決定される割合で、前記可変ビームスプリッタを経由してユーザーの目に周辺光を透過することと、を含む、方法。
【請求項8】
前記画像を反射し、かつ前記周辺光を透過することが、前記可変ビームスプリッタ内の少なくとも一つの液晶層に前記画像を反射させ、かつ前記可変ビームスプリッタ内の少なくとも一つの液晶層を通して前記周辺光を透過することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも一つの液晶層と光学的に連通する偏光子構造を通して前記周辺光を透過することであって、前記偏光子構造が隣接する偏光セクションおよび非偏光セクションを有する、透過することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記周辺光レベルの変化を感知することと、
前記周辺光レベルの前記変化に基づいて、前記少なくとも一つの液晶層の透過率を変化させることと、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記画像を反射し、かつ前記周辺光を透過する一方で、
前記ユーザーのフリッカー融合閾値よりも速い速度で、かつ前記周辺光レベルに基づいて前記プロセッサによって決定される前記割合を提供するように選択されるデューティサイクルで、前記可変ビームスプリッタを第一の分割比と第二の分割比の間で切り替えることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記光検出器によって感知される前記周辺光レベルの変化に応答して、前記デューティサイクルを変化させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
拡張現実デバイスであって、
ディスプレイと、
コントローラと、
周辺光レベルを感知するために前記コントローラに動作可能に連結された周辺光センサと、
前記コントローラに動作可能に連結され、かつ前記ディスプレイと光学的に連通する可変透過性・反射性(半透過性)デバイスであって、前記ディスプレイからの光を反射し、かつ前記コントローラによって前記周辺光レベルに基づいて決定される割合でユーザーの目に周辺光を透過する、可変透過性・反射性(半透過性)デバイスと、を備える、拡張現実デバイス。
【請求項14】
前記半透過性デバイスが、
前記ディスプレイからの前記光の一部を反射し、かつ前記周辺光の一部を前記周辺光レベルに基づいて前記プロセッサによって決定される前記割合で前記ユーザーの目に透過するための透過性セクションと、
前記透過性セクションの隣の反射性セクションであって、前記ディスプレイからの前記光の一部を前記ユーザーの目に反射し、かつ前記周辺光の一部を遮断する反射性セクションと、を備える、請求項13に記載の拡張現実デバイス。
【請求項15】
前記透過性セクションが、少なくとも一つの液晶層を備える、請求項13に記載の拡張現実デバイス。
【請求項16】
前記透過性セクションがエレクトロクロミック層を備える、請求項13に記載の拡張現実デバイス。
【請求項17】
前記コントローラが、前記ユーザーのフリッカー融合閾値よりも速い速度で、かつ前記周辺光レベルに基づいて前記プロセッサによって決定される前記割合を提供するように選択されるデューティサイクルで、前記可変半透過性デバイスを第一の分割比と第二の分割比の間で切り替えるように構成されている、請求項13に記載の拡張現実デバイス。
【請求項18】
前記コントローラが、前記周辺光センサによって感知される前記周辺光レベルの変化に基づいて、前記デューティサイクルを変化させるように構成されている、請求項17に記載の拡張現実デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許出願第62/742,800号(2018年10月8日出願)の米国特許法119条(e)の下での優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
拡張現実デバイスは、ユーザーが、現実世界の光景の上に重ねられた仮想画像とともに現実世界を見ることを可能にする。典型的な拡張現実デバイスにおいて、ビームスプリッタまたはビームコンバイナは、現実世界からの光とディスプレイからの光とを一緒にする。ディスプレイからの光は仮想画像として見える。
【0003】
ビームスプリッタおよびビームコンバイナは、部分的にのみ反射する光の反射体である。すなわち、それらは入射光を透過し、かつ反射する。ビームスプリッタが、二つの入力ポート(現実世界からの光のための入力ポートと、ディスプレイからの光のための入力ポート)と二つの出力ポートとを有する場合、ビームスプリッタは各出力ポートを通して各入力ポートから一部の光を送ることになる。この特質は、現実世界からの光とディスプレイからの光とを、ビーム分割比(例えば、50/50)によって設定された比で組み合わせることを可能にする。
【0004】
残念なことに、この特質はまた、周辺光レベルが変動する時に問題を引き起こす。現実世界からの周辺光が、ディスプレイからの光よりもはるかに明るい場合、仮想画像を見ることが困難である場合がある。この問題に対する一つの解決策は、ディスプレイ(仮想画像源)の輝度を増加することである。残念なことに、ディスプレイの輝度を増加させることは、拡張現実デバイスのサイズ、重量、電力消費量、および/またはコストの望ましくない増加につながる。
【発明の概要】
【0005】
本技術は、拡張現実デバイスにおいて仮想画像をかき消す明るい周辺光の問題に対する解決策を提供する。反射/透過比を変化させることができる、または迅速にオンとオフを切り替えることができる電気活性ビームスプリッタを利用することによって、仮想画像源からより多くの光が目に対して反射することができ、一方で現実世界からの光の量は減少する場合があり、仮想画像光と現実世界の画像光との比が増加し、明るい周辺光条件下にある時、仮想画像がより明るく見えるようになる。例えば、可変ビームスプリッタコンバイナの分割比は、周辺光レベルに基づいて、現実世界からの光と仮想画像源とのバランスを取るように連続的に調節可能であってもよい。現実世界の光が仮想画像光の2倍明るい場合、ビームスプリッタは、現実世界の光の33%を送信し、かつ仮想画像光の67%を反射するように調整され、可視性バランスを回復する可能性がある。
【0006】
可変ビームスプリッタ/コンバイナは、ユーザーが切り替えを知覚できるよりも迅速に(すなわち、フリッカー融合閾値より速く)、現実世界の光の完全透過から仮想画像の光の完全反射に切り替えてもよい。ビームスプリッタがこの閾値を上回って切り替わる間、ユーザーは現実世界からの画像と仮想世界からの画像とを一つのものとして観察する。このモードにおいて、光強度のバランスは、デューティサイクル、または反射モード対透過モードにある時間の量の比を調整することによって調整されてもよい。例えば、10ミリ秒の透過モードおよび20ミリ秒の反射モードは、現実には仮想画像より2倍明るい現実世界の情景を仮想画像と同様の明るさに見えさせる。
【0007】
このタイプの可変ビームスプリッタの例は、ディスプレイ、コントローラ、およびコントローラに動作可能に連結された光検出器も含む拡張現実デバイスで使用することができる。動作時に、光検出器は周辺光レベルを感知する。コントローラと動作可能に連結され、かつディスプレイと光学的に連通する可変ビームスプリッタは、ディスプレイからの光を反射し、かつ周辺光のレベルに基づいてコントローラによって決定される割合で、周辺光をユーザーの目に透過する。
【0008】
可変ビームスプリッタは、一対の基材の間に挟まれた少なくとも一つの液晶層を備えてもよい。例えば、可変ビームスプリッタは、少なくとも二つの液晶層、つまり第一のキラリティを有する第一のコレステリック液晶層と、第一のコレステリック液晶層と平行であり、かつ光学的に連通していて、第一のキラリティの反対側の第二のキラリティを有する第二のコレステリック液晶層とを含んでもよい。これは、液晶層(複数可)と光学的に連通する偏光子構造も含んでもよい。この偏光子構造は、隣接する偏光および非偏光セクションを有し、その各々は、マイクロメートルのサイズの幅および高さを有する。
【0009】
コントローラは、ユーザーのフリッカー融合閾値よりも速い速度で、かつ周辺光レベルに基づいてプロセッサによって決定される割合を提供するように選択されるデューティサイクルで、可変ビームスプリッタを第一の分割比と第二の分割比の間で切り替えてもよい。コントローラは、光検出器によって感知される周辺光レベルの変化に基づいて、デューティサイクルを変化させることができる。
【0010】
代替的な拡張現実デバイスは、ディスプレイと、コントローラと、コントローラに動作可能に連結された周辺光センサと、コントローラに動作可能に連結され、かつディスプレイと光学的に連通する可変透過性・反射性(半透過性)デバイスとを備える。この場合も、周辺光センサは周辺光レベルを検出する。また、可変半透過性デバイスは、ディスプレイからの光を反射し、かつ周辺光レベルに基づいてコントローラによって決定される割合で、周辺光をユーザーの目に透過する。
【0011】
半透過性デバイスは、透過性セクションおよび反射性セクションを含んでもよい。透過性セクションは、ディスプレイからの光の一部を反射し、かつ周辺光レベルに基づいてプロセッサによって決定される割合で、周辺光の一部をユーザーの目に透過する。透過性セクションの隣にある反射性セクションは、ディスプレイからの光の一部をユーザーの目に反射し、かつ一部の周辺光を遮断する。透過性セクションは、液晶層またはエレクトロクロミック層を含んでもよい。
【0012】
コントローラは、ユーザーのフリッカー融合閾値よりも速い速度で、かつ周辺光レベルに基づいてプロセッサによって決定される割合を提供するように選択されるデューティサイクルで、可変半透過性デバイスを第一の分割比と第二の分割比の間で切り替えることができる。コントローラはまた、周辺光センサによって感知される周辺光レベルの変化に基づいて、デューティサイクルを変化させることができる。
【0013】
前述の概念および以下でより詳細に論じる追加的概念のすべての組み合わせは(このような概念は相互に矛盾していないという前提で)、本明細書に開示する本発明の主題の一部である。特に、本開示の最後に現れる請求項に記載する主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示する本発明の主題の一部である。参照により本明細書に組み込まれる、いずれの開示においても現れうる、本明細書に使用する用語には、本明細書に開示する特定の概念と最も一致する意味を与える必要がある。
【0014】
当業者であれば、図面が主として例示的な目的で提示されていて、本明細書に記載の本発明の主題の範囲を制限することを意図していないことを理解するであろう。図面は必ずしも一定の比率ではなく、幾つかの実例において、本明細書に開示する本発明の主題のさまざまな態様は、異なる特徴の理解を容易にするために、図面内で誇張または拡大されて示されうる。図面において、同様の参照文字は概して、同様の特徴(例えば、機能的に類似したおよび/または構造的に類似した要素)を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、周囲輝度を減少させるための可変液晶減衰器を有する拡張現実デバイスを図示する。
【
図2】
図2は、
図1の拡張現実デバイス内の固定(静止)ビームスプリッタを図示する。
【
図3】
図3は、
図1の拡張現実デバイス内の固定ビームスプリッタおよび可変液晶減衰器と置き換えることができる可変ビームスプリッタを図示する。
【
図4】
図4は、
図1の拡張現実デバイス内の固定ビームスプリッタおよび可変液晶減衰器と置き換えることができる可変コレステリック液晶シャッターを有するビームスプリッタを図示する。
【
図6】
図6は、拡張現実システムで周辺光に対するシャッターまたは可変減衰器として使用される液晶デバイスで使用するチェッカーボード偏光子構造を示す。
【
図7】
図7は、液晶デバイス内の染料分子と液晶分子の配向を図示する。
【
図8】
図8は、透過性エレクトロクロミックデバイスを図示する。
【
図9】
図9は、組み合わされた透過性液晶およびエレクトロクロミックデバイスを図示する。
【
図10】
図10は、周囲照明の輝度を制御するための透過性・反射性(半透過性)を有する拡張現実デバイスを図示する。
【
図11】
図11は、
図10の拡張現実デバイスで使用するのに適切な半透過性エレクトロクロミックデバイスを図示する。
【
図12】
図12は、
図10の拡張現実デバイスで使用するのに適切な半透過性液晶デバイスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、小型液晶ディスプレイ(LCD)などの仮想画像源101に由来する光101aを、現実世界(現実の物体)102からの周辺光102aと組み合わせるビームスプリッタ/コンバイナ103を有する拡張現実(AR)デバイス100を示す。ビームスプリッタ103は典型的に、
図2に示す通り、ユーザーの目105に向かって周辺光102aの約50%を透過し、ディスプレイの光101aの約50%を反射する。ユーザーに対して、この組み合わされた光103aは、現実世界の物体102上に重ねられた仮想画像として見える。残りの周辺光102aおよびディスプレイの光101aは、ビームスプリッタ103(図示せず)のもう一方のポートから外に伝搬される。
【0017】
ARデバイス100はまた、ビームスプリッタ103と現実世界界の物体102との間に可変電気活性減衰器104を含む。この減衰器104はプロセッサまたコントローラ110に連結されていて、これはまた、ディスプレイ101および光検出器112に連結されている。動作時に、光検出器112は入射周辺光102aを感知する。光検出器112は、入射周辺光102aの強度または放射照度を表す電気信号(光電流など)を生成する。コントローラ110は、この電気信号を受信し、使用して、ディスプレイ101の輝度および/または減衰器104の透過率を変化させる。
【0018】
例えば、ユーザーが明るい日光の中でARデバイス100を着用している場合、光検出器112は明るい周辺光102aを検出する場合があり、コントローラ101は、ディスプレイ101の輝度を増加させ、かつ/または減衰器104の透過率を減少させる場合がある。減衰器104が、0%の透過性(環境のみが見える)と100%の透過性(仮想画像のみが見える)との間で可変(例えば、連続可変または段階的可変)である透過率を有する場合、コントローラ110は、透過率を60%などの中間値(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または0%~100%の任意の他の値)に設定してもよい。
【0019】
減衰器104が二つの設定のみ(例えば、0%または100%の透過性)を有する場合、コントローラ110は、周辺光102aの相対輝度を減少させるように選択されるデューティサイクルで、それらの設定の間で減衰器104を切り替えさせてもよい。このデューティサイクルは、0%~100%の範囲(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または0%~100%の任意の他の値または値の範囲)であってもよい。例えば、減衰器104は、周辺光102aの見かけの輝度を約50%だけ減少させるために50%のデューティサイクルで、設定を切り替えてもよい。デューティサイクルを増加させる(すなわち、減衰器104が周辺光102aを遮断する期間の部分を増加させる)ことは、ユーザーによって知覚される周辺光102aの強度を減少させる。減衰器104が三つ以上の設定(例えば、25%、50%、または75%の透過性)を有する場合、コントローラ110は、より複雑な仕方で設定を切り替えてもよい。
【0020】
減衰器104は、断続的光刺激が平均的なヒトに対して完全に安定しているように見える周波数であるフリッカー融合速度またはフリッカー融合閾値よりも速い速度で、設定を切り替え、そのため切り替えはユーザーに知覚されない。実際的に、減衰器104は、24Hz、25Hz、30Hz、48Hz、60Hz、72Hz、75Hz、100Hz、またはそれ以上の速度で設定の間を切り替える場合がある。
【0021】
拡張現実デバイスにおける輝度制御のための可変ビームスプリッタ
図3は、
図1のARデバイス100でビームスプリッタ103および可変電気活性減衰器104の代わりに使用することができる可変ビームスプリッタ303を示す。可変ビームスプリッタ303は、一対の透明な基材307aと307bの間に挟まれた一つ以上のコレステリック液晶層305を有する。コレステリック液晶層(複数可)305内のコレステリック液晶は、右巻きまたは左巻きらせん構造を有する液晶である。液晶のこの構造に起因して、ブラッグ反射は、液晶らせんのピッチが光の波長の程度である時に起こる。反射帯域は、液晶のピッチ長および複屈折によって規定される。反射は、液晶ヘリックス構造と同じ構成で偏光された光(すなわち、右巻きおよび左巻きのらせんに対して、右巻きまたは左巻きの円偏光した光)に対して生じる。
【0022】
高複屈折液晶材料は、可視スペクトルを包含する波長帯域にわたって光を反射することができる。別の方法として、異なるピッチ長を有するコレステリック液晶の幾つかの層は、可視波長帯域全体にわたって光を反射することができ、各層は可視スペクトル内の特定の波長サブ帯域を反射する。各層内の反射帯域が可視スペクトルを包含することを確実にすることによって、層は一緒に可視スペクトル全体にわたって光を反射する。
【0023】
標準的なコレステリック液晶層は、およそ50%を反射し、またコレステリック液晶材料の偏光感受性の性質に起因して、入射非偏光光のおよそ50%を反射する。反対向きのキラリティを有する二つのコレステリック液晶層(例えば、右巻きのらせんを有する層と左巻きのらせんを有する層)は、入射非偏光光の100%を反射することができる。らせんが巻かれていない場合、100%の透過性となり、液晶は垂直に配向するようになる。らせん構造の巻きと巻き戻しは反射率を変える。
【0024】
図3の可変ビームスプリッタ303において、反対向きのキラリティを有する一つ以上の対のコレステリック液晶層305を使用することは、可変ビームスプリッタの分割比を変えることを可能にする。(層305は、所望の波長範囲に応じて、広帯域層の単一対または狭帯域層の一つ以上の対であってもよい。)コレステリック液晶層305の対(複数可)が反射性および透過性状態で消費する時間の量を変えることによって、環境および仮想画像からの光の比を制御することができる。例えば、層305が、時間の75%で反射状態であり、時間の25%で透過状態である場合、ユーザーの目105は、可変ビームスプリッタ303によって透過される周辺光を感知する時間の3倍の長さにわたって、可変ビームスプリッタ303によって反射されたディスプレイの光を感知する。この比を調整することは、仮想画像の輝度に対する周辺光の見かけの輝度に重きを置く。
【0025】
上記に簡潔に述べた通り、コレステリック液晶(キラルネマティック液晶とも呼ばれる)は、液晶ディレクターがキラルねじれまたはらせん構造を形成するネマティック液晶構成である。一部の構成において、液晶システムは、ブラッグ反射体として作用することができ、また液晶は、キラルピッチと同じ構成で偏光された光を反射する。反射偏光光のブラッグ条件を満たすために、液晶のピッチは、波長のようであるべき(例えば、可視光については約450nm~約750nm)である。ブラッグ反射のピークは、λ
0の波長で以下のように定義される。
式中、Pは液晶構造のピッチであり、n
aνは液晶の平均屈折率である。通常の屈折率1.5および並外れた屈折率1.8の液晶については、550nm(ヒトの視覚のピーク応答)での反射に対して、液晶ピッチは333nmであるべきである。本発明の範囲は、複屈折およびピッチ長の範囲を有する液晶を含むことができ、それによって可視スペクトル内の光のすべての波長が、構成に応じて反射される。
【0026】
反射波長の範囲(Δλ)は、液晶の複屈折(Δn)とピッチによって決定され、また以下の式によって規定される。
通常の屈折率1.5、並外れた屈折率1.8、液晶ピッチ333nmの液晶に対して、反射光の波長の範囲は100nmである。可視スペクトル(例えば、約380nm~約740nm)における広帯域反射率については、波長範囲は360nmであるべきである。
【0027】
液晶の複屈折またはピッチを増加させると、反射率波長範囲が増加する。同様に、広帯域反射率は、異なるピーク反射率波長およびより短い波長範囲を有する幾つかの液晶層を一緒に積み重ねることによって達成することができる。
【0028】
ピーク波長における高反射率に対する液晶デバイスのピッチ数は、液晶の複屈折に依存する。高複屈折液晶(例えば、Δn=0.35)の場合、90%以上の反射率を四つのピッチで達成することができる。所与の反射率に対するピッチの数を減少させることは、より薄い液晶デバイスを使用することを可能にする。
【0029】
キラルネマティック液晶は、液晶層にわたる電界を使用して切り替えることができる。切り替えることは、液晶のキラル構造を巻く、および巻き戻す。らせん液晶は、液晶誘電特性および電界方向に応じて、垂直配向または平面配向とすることができる。電界は、液晶の反射特性をオフにし、液晶デバイス(例えば、
図3の可変ビームスプリッタ303)を反射状態と透過状態の間で切り替えさせる。液晶の応答時間は液晶層の厚さとともに増加し、そのためピッチの数を減少させること、従って、より薄い液晶層を使用することは、液晶の切り替え速度を増加させ、液晶の応答時間を減少させる。
【0030】
動作時に、
図3の可変ビームスプリッタ303は、可変電気活性減衰器104に関して上述した通り、
図1のコントローラ110に連結することができ、かつコントローラ110によって作動することができる。より具体的に、コントローラ110は、フリッカー融合閾値以上の速度で、かつ周辺光レベルの光センサの測定に依存するデューティサイクルで、透過状態と反射状態の間でコレステリック層305を切り替えてもよい。
【0031】
図4は、
図1のARデバイス100でビームスプリッタ103および可変電気活性減衰器104の代わりに使用することができる代替的な可変ビームスプリッタ403を示す。これは、ディスプレイの光101aの強度を調節するための一つの入力ポート上の第一のコレステリック液晶層401と、周辺光102aの強度を調節するためのもう一方の入力ポート上の第二のコレステリック液晶層402とを含む。第一のコレステリック液晶層401および第二のコレステリック液晶層402は独立して、光検出器112による光のレベルの読み取り値に基づいて、コントローラ110からのコマンドに従って、環境およびディスプレイ101からビームスプリッタ403に入る光の量を制御する。コントローラ110は、コレステリック液晶デバイス401、402によって提供される減衰比を変えることによって、仮想画像の可視性を最適化することができる。例えば、コレステリック液晶層401および402がフリッカー融合速度より速い速度で、かつ仮想画像の所望の可視性を提供するように選択されるデューティサイクルで、脈動してオンおよびオフするように、コントローラ110はコレステリック液晶層401および402を駆動してもよい。
【0032】
液晶デバイスおよびエレクトロクロミックデバイス
図5~
図9は、
図4のARデバイス100および可変ビームスプリッタ400内で可変減衰器として使用することができる液晶およびエレクトロクロミックデバイスを示す。
【0033】
図5は、配向層508と、透明電極506と、直交偏光子または平行偏光子504と、基材502との間に挟まれた液晶層510を有する液晶デバイス500を示す。液晶層510は、ねじれネマティック、超ねじれネマティック、平面配向または垂直配向ネマティックの構造の形態を取ることができる。電極506を用いて液晶層510の両側に電圧を印加することによって、またはインプレーンスイッチングを使用することによって、入射非偏光光の光学的透過を50%~0%で変化させることができる。
【0034】
図6は、
図5の液晶デバイス500内の通常の偏光子504のいずれかまたは両方の代わりに使用することができる偏光子アレイ600を示す。偏光子アレイ600は、偏光子601およびクリアな(非偏光)セクション602のチェッカーボード配置を有する。(他の配置も可能である。)偏光子601およびクリアなセクション602は、小さすぎて(例えば、幅約15マイクロメートル×高さ15マイクロメートル)、観察者によって解像されない。偏光子アレイ600は、偏光子の薄いシートのセクションをアブレーションしてクリアなセクション602を生成することによって、またはクリアな基材上に偏光セクション601をプリントすることによって、形成されることができる。
【0035】
クリアなセクション602を偏光子601とインターリーブする、または交互にすることは、液晶素子で使用される場合、従来の偏光子の透過性と比較して、偏光子アレイ600の全体的な透過性を増加させる。例えば、液晶素子面積の半分が偏光子601を含有し、かつ残りの半分がクリア(クリアなセクション602)である場合、液晶はオフ状態で75%の透過を有する。偏光感受性領域で液晶の向きを変化させることによって、液晶素子の総透過性は50%に減少することができる。従って、このシステムでは、最大光透過と透過範囲の間に妥協がある。
【0036】
図7は、一対の基材703の間の液晶材料701の中に混合された二色性染料702を含む液晶素子700の二つの図を示す。この場合、二色性染料702は、染料702の長分子軸に対して平行または垂直である、特定の偏光の光を吸収する。液晶701は、基材703に対して平行(左)または垂直(右)に、液晶701の向きに従って染料702と整列することができる。例えば、平行配向状態(左)において、染料の分子軸の方向に対して平行に偏光された光は吸収され、液晶素子700を通して50%の透過性がある。液晶701が垂直状態(右)で整列される時、染料分子702は基材703に対して垂直の向きにされる。この場合、染料702の分子軸は、もはや光の偏光と整列せず、100%の透過性がある。液晶701および染料702は、平面内電極(図示せず)を用いて垂直状態と平行状態の間で切り替えることができ、液晶701および染料702の緩和された向きに応じて、オフ状態で100%の透過率、オン状態で50%の透過率を提供することができ、またはその逆も可能である。
【0037】
図8は、陰極エレクトロクロミック層806と陽極エレクトロクロミック層807の間に挟まれた電解質層808を有する透過性エレクトロクロミック(EC)デバイス800を示し、これら陰極エレクトロクロミック層806と陽極エレクトロクロミック層807は透明電極804と基材802の間にある。このECデバイス800は、ARデバイス内の環境またはディスプレイ源からの光強度を制御するために使用することができる。ECデバイス800に電圧を印加すると、エレクトロクロミック層806および807は特定の酸化還元反応を経て、色を変化させる。ECデバイス800の全体的な透過率(色)は、例えば透明な(クリア)状態からダークな色の状態に変化し、またその逆も可能である。この効果は、ARデバイス内のビームスプリッタに、またはビームスプリッタを通して透過される周辺光を制御するために使用することができる。
【0038】
図9は、組み合わされたEC/液晶デバイス900を示す。これは、一対のクリアな基材902の間で光学的に直列であるエレクトロクロミックデバイス800と液晶500を含む。これらの基材902は、エレクトロクロミックデバイス800および液晶デバイス500の外部基材を置き換えてもよく、または拡張してもよい。
【0039】
拡張現実のための透過性・反射性(半透過性)電気活性デバイス
図10は、現実世界の物体102に由来する光と仮想画像源101に由来する光との比を制御するための、電気活性透過性・反射性(半透過性)装置1004を有するARデバイス1000を示す。半透過性電気活性デバイス1004はコントローラ1010に連結され、かつ反射性セクション1014の隣の可変透過性セクション1016を有する。反射性セクション1014は、仮想画像源101からの光101aをユーザーの目105に反射する。反射性セクション1014は、一定の反射率または電気的に調整可能な反射率を有してもよい。一定である場合、反射率は100%未満であってもよく、そのため仮想画像源101からの光101aによって形成される仮想画像は、現実世界の物体102または情景の少なくとも一部の上に重ねられたように見える。可変である場合、反射率は、仮想画像を現実世界の情景に対してより暗くまたはより明るく見えるようにするために、光検出器112によって測定される周辺光レベルに基づいて、あるレベルに調整されてもよく、またはコントローラ1010によって選択されるデューティサイクルで切り替えられてもよい。
【0040】
半透過性デバイス1004の可変透過性セクション1016は、ユーザーの目105に到達する現実世界の物体102からの光102aの強度を制御する。コントローラ1010は、光検出器112によって測定される周辺光のレベルに基づいて、可変透過性セクション1016の透過率を設定する。例えば、コントローラ1010は、現実世界の情景に対して仮想画像をより暗くまたはより明るく見えるようにするために、可変透過性セクションの透過率を所与のレベル(例えば、0%~100%の任意のレベル)に設定してもよい。可変透過性セクションの透過率が、二つの離散レベル(例えば、「クリア」な状態と「ダーク」な状態)の間で切り替えられる場合、コントローラ1010は、現実世界の情景に対して仮想画像をより暗くまたはより明るく見えるようにするために選択されるデューティサイクルで、それらのレベルの間で可変透過性セクションの透過率を切り替えてもよい。
【0041】
図11および
図12は、
図10の半透過性ARデバイス1000での使用に適切な半透過性エレクトロクロミックデバイスおよび液晶デバイスをそれぞれ示す。
図11に示す通り、半透過性エレクトロクロミックデバイス1100は、陰極エレクトロクロミック層1106と陽極エレクトロクロミック層1107の間に挟まれた電解質層1108を有する一方の側を有し、これら陰極エレクトロクロミック層1106と陽極エレクトロクロミック層1107は透明電極1104と基材1102の間にある。基材1102の間の一定の反射体1100は、半透過性エレクトロクロミックデバイス1100のもう一方の側を占める。エレクトロクロミックデバイス1100に電圧を印加すると、エレクトロクロミック層1106および1107は特定の酸化還元反応を経て、色を変化させる。エレクトロクロミックデバイス800の一方の側の全体的な透過率(色)は、例えば透明な(クリア)状態からダークな色の状態に変化し、またその逆も可能である。この効果は、ARデバイス内で透過される周辺光を制御するために使用することができる。
【0042】
図12に示す通り、半透過性液晶デバイス1200は、一方の側で配向層1208と、透明電極1206と、直交偏光子または平行偏光子1204(例えば、
図6の偏光子構造600のような)と、基材1202との間に挟まれた液晶層1210を含む。半透過性液晶デバイス1200のもう一方の側で、反射体1220は、液晶1210の少なくとも一部分、一つの配向層1208、および一つの透明電極1206に取って代わる。この場合も、液晶層1110は、ねじれネマティック、超ねじれネマティック、平面配向または垂直配向ネマティック構造の形態を取ることができる。電極1106を用いて液晶層1110の両側に電圧を印加することによって、またはインプレーンスイッチングを使用することによって、入射非偏光光の光学的透過を連続的に変化させる(例えば、50%~0%にする)ことができる。
【0043】
結論
発明に関する様々な実施形態を本明細書に記述し、かつ例示してきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施するための、ならびに/または結果および/もしくは一つ以上の利点を得るための、様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形および/または修正のそれぞれは、本明細書に記載の発明に関する実施形態の範囲内であるものと見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示であることを意味することと、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される特定の用途(複数可)に依存することとを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載の特定の発明に関する実施形態の多くの同等物を、単に通常の実験を用いて認識し、または確認することができるであろう。従って、前述の実施形態は、例としてのみ提示されていて、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、発明に関する実施形態は、具体的に記述および特許請求される以外の形で実践されうることが理解される。本開示の発明に関する実施形態は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、二つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0044】
また、様々な発明の概念が、一つ以上の方法として具現化されてもよく、その例を提供してきた。方法の一部として行われる行為は、任意の適切なやり方で順序付けられうる。その結果、行為が例示するものとは異なる順序で実施される実施形態を構築してもよく、それは、例示的な実施形態に連続する行為として示されている場合であってさえも、一部の行為を同時に実施することを含んでもよい。
【0045】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書による定義、参照により組み込まれる文書中の定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制するものと理解されるべきである。
【0046】
本明細書および特許請求の範囲で使用する不定冠詞「a」および「an」は、明確にそうでないと示されない限り、「少なくとも一つ」を意味すると理解されるべきである。
【0047】
本明細書および特許請求の範囲で使用する「および/または」という語句は、結合された要素の「いずれかまたは両方」を意味し、すなわち一部の場合において接続的に存在し、他の場合において離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で挙げられる複数の要素は、同じ形式、すなわち等位接続される要素のうちの「一つまたは複数」と解釈されるべきである。具体的に識別される要素に関連するかまたは関連しないかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に識別される要素以外に、他の要素が随意に存在しうる。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの制限のない語法と連動して使われる時に、一実施形態においてAのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態においてBのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態においてAとBの両方(任意選択的に他の要素を含む)を指すことなどができる。
【0048】
本明細書および特許請求の範囲において使用する「または」は、上で定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離する時、「または」または「および/または」は包括的なもの、すなわち多数の要素または要素のリスト、および随意にリストに無い追加の項目のうちの少なくとも一つを含むが、二つ以上も含むと解釈されるものとする。それとは反対であると明確に指示される用語、例えば「のうちの一つのみ」もしくは「のうちのまさに一つ」、または特許請求の範囲において使用する時の「から成る」などの用語のみ、多数のまたは列挙された要素のうちのまさに一つの要素を包含することを指す。一般に、本明細書で使用する「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの一つ」、「のうちの一つのみ」、または「のうちのまさに一つ」など、排他的な用語が先行する時に、排他的な選択肢(すなわち「両方ではなく一方または他方」)を示すとのみ解釈されるものとする。「から基本的に成る」は、特許請求の範囲で使用する場合、特許法の分野において使用される通常の意味を有するものとする。
【0049】
本明細書および特許請求の範囲で使用する、一つまたは複数の要素のリストに関連する「少なくとも一つ」という語句は、要素のリストの中の要素のいずれか一つまたは複数から選択される、少なくとも一つの要素を意味するが、要素のリスト内で具体的に列挙したありとあらゆる要素のうちの、少なくとも一つを必ずしも含むわけではなく、要素のリストのいかなる要素の組み合せも除外するものではないと理解されるべきである。この定義は、「少なくとも一つ」という語句が指す、要素のリスト内で具体的に識別される以外の要素が、具体的に識別される要素に関連するかまたは関連しないかにかかわらず、任意に存在しうることを許容する。それ故に、非限定的な例として、「AおよびBのうち少なくとも一つ」(または等価的に「AまたはBのうちの少なくとも一つ」、もしくは等価的に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一つ」)は、一実施形態においてBは存在せず、任意選択的に二つ以上のAを含む、少なくとも一つのA(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態においてAは存在せず、任意選択的に二つ以上のBを含む、少なくとも一つのB(任意選択的にA以外の要素を含む)、また別の実施形態において任意選択的に二つ以上のAを含む、少なくとも一つのA、および任意選択的に二つ以上のBを含む、少なくとも一つのB(任意選択的に他の要素を含む)を指すことなどができる。
【0050】
特許請求の範囲、ならびに上記の明細書において、すべての移行句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、「保つ(holding)」、「から構成される(composed of)」、および類似のものは制限がないと理解され、すなわち含むがそれに限定はされないということを意味する。「から成る(consisting of)」および「から本質的に成る(consisting essentially of)」という移行句のみが、米国特許局の特許審査手続便覧、セクション2111.03に規定の通り、それぞれ閉鎖的または半閉鎖的な移行句であるものとする。
【国際調査報告】