IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウィンテック・デジタル・システムズ・テクノロジー・コーポレーションの特許一覧

特表2022-5041273D検出用光学エンジンおよび3D検出デバイス
<>
  • 特表-3D検出用光学エンジンおよび3D検出デバイス 図1
  • 特表-3D検出用光学エンジンおよび3D検出デバイス 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】3D検出用光学エンジンおよび3D検出デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20220105BHJP
   G01B 11/245 20060101ALI20220105BHJP
   G01B 11/25 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01B11/245 H
G01B11/25 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518164
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(85)【翻訳文提出日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2018116042
(87)【国際公開番号】W WO2020097941
(87)【国際公開日】2020-05-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521131339
【氏名又は名称】ウィンテック・デジタル・システムズ・テクノロジー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウエンジーン
(72)【発明者】
【氏名】ドーン,ヨーンホーン
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA53
2F065BB05
2F065DD02
2F065FF01
2F065FF05
2F065FF07
2F065FF09
2F065GG07
2F065GG22
2F065JJ00
2F065LL04
2F065LL12
2F065LL18
2F065MM09
(57)【要約】
3D検出用光学エンジンおよび3D検出デバイス。光学エンジンは、光源(1)と、照明光学システム(6)と、DMD光変調器(7)と、投射撮像システム(8)と、投射面(9)とを備え、これらは光路に沿って順次配置されている。光源によって放出された光は、平行化、方向転換、または収束され、DMD光変調器上に均一に照射され、DMD光変調器によって変調されたビームは、投射撮像システムによって、投射面上に投射される。光学エンジンは、小型であり、傾斜スキャンを実現することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D検出用光学エンジンであって、
ビームを放出する光源(1)と、
入射ビームのディジタル・パルス幅を変調するDMD光変調器(7)と、
前記DMD光変調器(7)上にビームを均一に照射する照明光学システム(6)と、
前記DMD光変調器(7)からの出射ビームを受光し、前記出射ビームを投射面(9)上に投射する投射撮像システム(8)と、
を備え、
等価DMD光変調器(7’)、前記投射撮像システムのレンズ配置面(10)、および投射面(9)によって構成される光路構造が、シャインプールの原理を満たすように、前記DMD光変調器(7)と前記照明光学システムの出射面との間に、小さい角度(α)が存在する、3D検出用光学エンジン。
【請求項2】
請求項1記載の3D検出用光学エンジンにおいて、前記光源(1)が青色LEDである、3D検出用光学エンジン。
【請求項3】
請求項1記載の3D検出用光学エンジンであって、更に、前記光源(1)によって放出された発散ビームを平行ビームに変換する平行化レンズ群(2)を備える、3D検出用光学エンジン。
【請求項4】
請求項1記載の3D検出用光学エンジンであって、更に、前記ビームを方向転換する方向転換デバイス(3、4、5)を備える、3D検出用光学エンジン。
【請求項5】
請求項4記載の3D検出用光学エンジンにおいて、前記方向転換デバイスがマイクロレンズ・アレイ(3)と、反射器(4)と、リレー・レンズ(5)とを含み、前記マイクロレンズ・アレイが、前記ビームを前記反射器上に収束するために使用され、前記リレー・レンズが、前記反射器からのビームを収束するために使用される、3D検出用光学エンジン。
【請求項6】
請求項1記載の3D検出用光学エンジンにおいて、前記照明光学システムが、前記DMD光変調器上に照射するために前記ビームを通過させ、前記DMD光変調器からの出射ビームを前記入射ビームから分離することを可能にするRTIRプリズム(6)を含む、3D検出用光学エンジン。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項記載の光学エンジンを少なくとも1つ備える3D検出デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、3D検出デバイスの分野に関し、特に、3D検出用光学エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の3D寸法を測定する技法というような3D検出は、空間形状および物体の構造をスキャンして、物体の表面の空間座標を得るために主に使用され、エンティティの3D情報を、コンピュータによって直接処理することができるディジタル信号に変換するときに非常に重要であり、したがって、エンティティのディジタル化を実現するための便利な高速手段を提供する。3D検出技法は、非接触測定を実現することができ、高速および高精度であるという利点があり、測定結果を直接異なるソフトウェア・インターフェースに入力できるので、CAD、CAM、およびCIMSというような技法の普及に合わせて、3D検出技法は今日非常に普及しつつある。
【0003】
3D検出デバイスのような、3Dレーザ検出機材は、高精度、低環境要件、非接触検出等を特徴とし、近年において急速に発達した。3Dレーザ検出機材の重要な部品は光学エンジンであり、光学エンジンの最も肝要な部品はDMD(ディジタル・マイクロミラー・デバイス)光変調器である。DMDは、Texas Instruments(TI)社が独占し、Texas Instruments(TI)社によって開発され、微細電気機械構造の回路ユニットと統合し、COMSまたはSRAMのようなメモリ・ユニットによって形成されるディジタル撮像チップである。DMDが正常に動作するとき、光が光学コンポーネントによってDMD上に照射され、DMDの表面上に分散された複数のレンズによって反射され、最終的に、照明光学システムおよび投射撮像システムの協働によって、所望の画像を投射することができる。複数のレンズは、小さな体積を有し、回路の制御下で回転することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の市場における3D検出用光学エンジンは、サイズが大きく、光学エンジンは投射面と空間において平行であるので、3D検出デバイスが2つ以上の光学エンジンを採用すると、これらの光学エンジンの効果的な空間配置を実現することが不可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本発明は、3D検出用光学エンジンを提供する。この3D検出用光学エンジンは、ビームを放出する光源と、入射ビームのディジタル・パルス幅を変調するDMD光変調器と、DMD光変調器上にビームを均一に照射する照明光学システムと、DMD光変調器からの反射ビームを受光し、反射ビームを投射面上に投射する投射撮像システムとを備え、等価DMD光変調器、投射撮像システムのレンズ配置面、および投射面によって構成される光路構造が、シャインプールの原理を満たすように、DMD光変調器と照明光学システムの出射面との間に、小さい角度αが存在する。
【0006】
一実施形態では、光源は青色LEDである。
【0007】
一実施形態では、光学エンジンは、更に、光源によって放出された発散ビームを平行ビームに変換する平行化レンズ群を備える。
【0008】
一実施形態では、光学エンジンは、更に、平行ビームを方向転換する方向転換デバイスを備える。方向転換デバイスは、マイクロレンズ・アレイと、反射器と、リレー・レンズとを含む。
【0009】
一実施形態では、照明光学システムはRTIRプリズムを含む。
【0010】
第2の態様において、本発明は、第1の態様において述べた光学エンジンを少なくとも1つ備える3D検出デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によって提供される光学エンジンは、サイズが小さく、傾斜スキャンを実現できる等の有益な効果を有する。
【0012】
本願の実施形態の技術的解決策および利点の理解を深めるために、本願の例示的な実施形態について、添付図面と関連付けて以下に更に詳しく説明する。以下の説明における実施形態は、単に例示的なものであり、本願の実施形態の可能な全てではないことは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による3D検出用光学エンジンの模式図である
図2】シャインプルーフの原理を満たす3D検出用光学エンジンの等価模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の技術的解決策について、添付図面および実施形態を参照しながら、以下に更に詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による3D検出用光学エンジンの模式図である。図1に示すように、光学エンジンは、青色LED1、平行化レンズ群2、マイクロレンズ・アレイ3、反射器4、リレー・レンズ5、RTIRプリズム6、DMD光変調器7、および投射撮像システム8を備えている。
【0016】
青色LED1によって放出されるビームの中心波長は、例えば460nm程度であり、青色LED1の光量は、5.5w程度である。平行化レンズ群2を通過した後、青色発散ビームは青色平行ビームに変換される。青色LEDは、光学エンジンに高いパワーを供給することができる。勿論、青色LEDを、白色LEDのような、他の光源と置き換えることもできる。
【0017】
次いで、青色平行ビームは、マイクロレンズ・アレイ3を通過し、マイクロレンズ・アレイ3によって収束される。
【0018】
マイクロレンズ・アレイ3によって収束されたビームは、反射器4に達し、反射4によって方向転換させられる。反射器4は、光路の方向を変化させることができ、したがって、光学エンジンの空間を圧縮し、光学エンジンを小型化することができる。
【0019】
反射器4によって方向転換させられた後、ビームはリレー・レンズ5に達し、リレー・レンズ5によって収束される。
【0020】
勿論、マイクロレンズ・アレイ3、反射器4、およびリレー・レンズ5に加えて、他の光均質化および/または方向転換デバイスも、ビームを平行化、収束、および/または方向転換するために使用することができる。
【0021】
更に収束された後、ビームはRTIR(反射全内反射)プリズム6を通って、DMD光変調器7上に均一に照射され、ビームはDMD光変調器によって反射され、RTIRプリズムに再度入射する。RTIRプリズムは、全反射の臨界角に近い表面を有し、特定の角度をなすビームは、この表面上で完全に内反射し、他の角度のビームはこの表面を通過する。具体的には、直角プリズム、即ち、RTIRプリズム6の斜辺に達すると、レンズ5からRTIRプリズム6に入射するビームは、直角プリズムの斜辺を完全に貫通し、次いでDMD光変調器7に入射する。次いで、ビームはDMD光変調器7によって反射され、直角プリズムの斜辺を再度通過するときに、全反射される。RTIRプリズムによって、入射照射ビームは出射撮像ビームから分離される。RTIRプリズム6からのビームは、投射撮像システム8に入射する。
【0022】
勿論、RTIRプリズムを、TIRプリズムのような、他のプリズムと置き換えることができる。RTIRプリズムは、2つのプリズムの貼り付け面間の空隙が投射面9上の画像の品質に及ぼす影響を排除できるという利点を有する。
【0023】
DMD光変調器7の動作は、主に、バックエンド回路によってCMOSチップに送信される異なる信号に応じて、マイクロレンズ上に照射される光を異なる方向に選択的に反射することができるように、チップ上における各マイクロレンズの回転位置を制御し、こうしてビームのディジタル・パルス幅を変調する。
【0024】
光路構造にシャインプルーフの原理を満たさせる目的で、DMD光変調器7とRTIRプリズム6との間に、小さい角度αを確保する。
【0025】
最後に、DMD光変調器7上の画像を、投射撮像システム8によって、投射面10上に投射する。投射撮像システム8は、複数の光学レンズを含むことができ、特定の倍率にしたがって、投射面9上に、DMD光変調器7上の画像を投射するために使用され、傾斜スキャンを実現できるように、投射撮像システム8の光軸と、投射面9の法線との間に形成される角度がβとなっている。
【0026】
DMD光変調器7’から投射撮像システム8の主面までの距離をtに設定し、投射面9から投射撮像システム8の主面までの距離をdに設定し、投射撮像システム8の焦点距離をfに設定する。
【0027】
物像関係は、次のようになる。
1/t+1/d = 1/f (1)
【0028】
模式図における幾何学的関係によって得られる関係は、次のようになる。
t/tanα = d/tanβ (2)
【0029】
関係(1)および関係(2)を組み合わせることにより、tが打ち消され、αとβとの関係が得られる。
α = atan[f*tanβ/(d-f)]
【0030】
一例では、図2に示すように、投射撮像システムの光軸と投射面の法線との間に形成される角度はβ=30°であり、投射撮像システム8の焦点距離は、f=17.94mmであり、投射面9から投射撮像システム8の主面までの距離はd=133.09mmであり、対応して、DMD光変調器とRTIRプリズムとの間の角度はα=5.14°となる。最終的に、RTIRプリズムによって反射されるビームによって形成される等価DMD光変調器7‘によって定められる平面、レンズ配置面10、および投射面9は線Lにおいて交差し、等価DMD光変調器7’、レンズ配置面10、および投射面9によって構成される光路構造は、シャインプルーフの原理を満たす。等価DMD光変調器7’からのビームは投射面上に合焦されるので、投射面に基づいて得られる画像は、包括的で明確である。
【0031】
方向転換デバイスの採用により、本発明の実施形態における光学エンジンのサイズは、大幅に減少する。一例では、光学エンジンのサイズは、105mm×80mm×55mm程度である。
【0032】
この光学エンジンを3D検出デバイスに応用することによって、物体の表面の明確な空間画像を得ることができる。
【0033】
一実施形態では、物体表面の3D画像を得ることができるように、投射面と光路の延長線との交点において物体が回転することを可能にするために、3D検出デバイス内に回転デバイスを配置する。
【0034】
他の実施形態では、3D検出デバイス内に2つの光学エンジンを配置し、物体の表面の相当な部分の3D画像を直接得ることができるように、投射面の法線に関して左右対称にする。勿論、物体の表面全体の3D画像も、回転デバイスによって得ることができる。光学エンジンと投射面との間に角度が存在するので、3D検出デバイスにおける光学エンジンの効果的な空間配置を実現することができる。
【0035】
以上では、物体の回転に基づく3D検出について説明した。物体の実際の形状が得られるように、光学エンジンを回転させることによって、物体の異なる側面をスキャンすることもできる。
【0036】
尚、以上の実施形態は、本発明の技術的解決策を説明するために使用されたに過ぎず、本発明を限定することは意図していないことは、最後に注記してしかるべきである。好ましい実施形態を参照しながら本発明について詳細に説明したが、本発明の技術的解決策の主旨および範囲から逸脱することなく、本発明の技術的解決策に対して変更または等価な交換も行えることは、当業者には認められよう。
図1
図2
【国際調査報告】