(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】展開装置
(51)【国際特許分類】
B64G 1/22 20060101AFI20220105BHJP
B64G 1/66 20060101ALI20220105BHJP
B64G 4/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B64G1/22 100B
B64G1/66 C
B64G4/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518530
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(85)【翻訳文提出日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2019076426
(87)【国際公開番号】W WO2020070058
(87)【国際公開日】2020-04-09
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラバルト,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】テキシエ,エマニュエル
(57)【要約】
本発明は、支持構造(80)上に配置されるように意図される展開装置(20)において、第1の器具(11)及び第2の器具(12)、展開機構であって、○一方で第1の取付点において支持構造(80)の面(81)に接続され、且つ他方で第1の器具(11)に接続されるメインアーム(14)であって、第2の器具(12)は、メインアーム(14)に接続される、メインアーム(14)、○面(81)に対してメインアーム(14)を作動させるように構成されるメインモーター(15)、○メインアーム(14)に対して第2の器具(12)を作動させるように構成される二次モーター(16)を含む展開機構を含むことと、2つの器具(11、12)は、支持構造(80)の面(81)上で互いに重なり合う収納構成から、2つの器具(11、12)が互いから且つ支持構造(80)から離れている展開構成に且つ/又はその逆に移行するのに適していることとを特徴とする展開装置(20)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造(80)上に配置されるように設計される展開装置(10、20、30、40、50、60、70)において、
・第1の器具(11)及び第2の器具(12)、
・展開機構(13)であって、
○一方で第1の取付点(82)において前記支持構造(80)の面(81)に接続され、且つ他方で前記第1の器具(11)に接続されるメインアーム(14)であって、前記第2の器具(12)は、前記メインアーム(14)に接続される、メインアーム(14)、
○前記面(81)に対して前記メインアーム(14)を作動させるように構成されるメインモーター(15)、
○前記メインアーム(14)に対して前記第2の器具(12)を作動させるように構成される二次モーター(16)
を含む展開機構(13)
を含むことと、前記2つの器具(11、12)は、前記支持構造(80)の前記面(81)上で互いに重なり合う収納構成から、前記2つの器具(11、12)が互いから且つ前記支持構造(80)から離れている展開構成に且つ/又はその逆に移行することができることとを特徴とする展開装置(10、20、30、40、50、60、70)。
【請求項2】
前記展開機構(13)は、一方で第2の取付点(22)において前記メインアーム(14)に接続され、且つ他方で前記第2の器具(12)に接続される二次アーム(21)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の展開装置(20、30、40、50、60、70)。
【請求項3】
前記メインモーター(15)は、主回転軸(31)を中心とした前記支持構造(80)の前記面(81)に対する回転において、前記メインアーム(14)を作動させるように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の展開装置(30、40、50、60、70)。
【請求項4】
前記支持構造(80)の前記面(81)は、第1の軸(X)によって且つ前記第1の軸(X)と実質的に垂直な第2の軸(Y)によって画定される面(XY)に沿って広がることと、前記主軸(31)は、前記面(XY)と平行であることとを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の展開装置(40、70)。
【請求項5】
前記支持構造(80)の前記面(81)は、第1の軸(X)によって且つ前記第1の軸(X)と実質的に垂直な第2の軸(Y)によって画定される面(XY)に沿って広がることと、前記主軸(31)は、前記面(XY)と交差することとを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の展開装置(50、60、70)。
【請求項6】
前記主軸(31)は、前記面(XY)と垂直であることを特徴とする、請求項5に記載の展開装置(60、70)。
【請求項7】
Nは、1以上の整数であり、少なくとも前記メインアーム(14)及び/又は存在する場合には前記二次アーム(21)は、前記器具(11、21)に接続され、前記器具(11、21)には、前記アームがN個のアームセクション(71N)及びN個のモーター(72N)によって接続され、各モーターは、前記アームが接続されている前記器具(11、12)を前記2つの器具の他方に対して配置するために、アームセクションに関連し、且つ前記関連するアームセクションを作動させるように構成されることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の展開装置(70)。
【請求項8】
前記器具は、アンテナであることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の展開装置(10、20、30、40、50、60、70)。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の少なくとも1つの展開装置(10、20、30、40、50、60、70)を含むことを特徴とする衛星(90)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの器具を展開するための装置に関する。本発明は、とりわけ、軌道内に展開する必要がある宇宙機器、より具体的にはアンテナ、ミラー又は他の器具等の衛星のための宇宙機器の分野に適用される。しかし、本発明は、支持構造から少なくとも2つの器具のアセンブリを展開することが望ましい任意の他の分野に適用される。
【背景技術】
【0002】
本発明にはアンテナが特に関連するため、本特許出願では、本発明は、本発明の主たる器具の例をアンテナとして宇宙分野で説明される。それでもなお、本発明は、他の器具及び/又は宇宙以外に関連して同様に適用され得る。
【0003】
地球に帯域幅を伝送するために衛星上にアンテナを配置することは、一般的な習慣である。既存の解決策は、衛星上にアンテナを収納するためのシングル又はダブルスタック機構と、各アンテナを展開するために各アンテナに割り当てられるモーターのアセンブリを有するアームのアセンブリとを使用することを含む。かかる解決策は、衛星の各面上のアンテナの数を制限する。更に、複数のアンテナを展開できるようにするために、従来技術の解決策は、多数のアーム及びモーターを含む。これは、衛星の外部構成にマイナスの結果を有し、展開の運動学を複雑にする。最後に、多数のアーム及びモーターを運ばなければならないことは、アンテナの展開に関連する機構のアセンブリの質量が大きいことも意味し、それは、望ましいことではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、衛星上の空間及び搭載質量を節約し、外部構成を単純化できるようにする、コンパクトである利点を有する展開装置を提案することにより、上記の問題の全て又は一部を是正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明は、支持構造上に配置されるように設計される展開装置であって、
・第1の器具及び第2の器具、
・展開機構であって、
○一方で第1の取付点において支持構造の面に接続され、且つ他方で第1の器具に接続されるメインアームであって、第2の器具は、メインアームに接続される、メインアーム、
○面に対してメインアームを作動させるように構成されるメインモーター、
○メインアームに対して第2の器具を作動させるように構成される二次モーター
を含む展開機構
を含み、2つの器具は、支持構造の面上で互いに重なり合う収納構成から、2つの器具が互いから且つ支持構造から離れている展開構成に且つ/又はその逆に移行することができる、展開装置に関する。
【0006】
有利には、この展開機構は、一方で第2の取付点においてメインアームに接続され、且つ他方で第2の器具に接続される二次アームを含む。
【0007】
有利には、メインモーターは、主回転軸を中心とした支持構造の面に対する回転において、メインアームを作動させるように構成される。
【0008】
有利には、支持構造の面は、第1の軸Xによって且つ第1の軸Xと実質的に垂直な第2の軸Yによって画定される面XYに沿って広がり、及び主軸は、面XYと平行である。
【0009】
有利には、主軸は、面XYと交差する。
【0010】
有利には、主軸は、面XYと垂直である。
【0011】
一実施形態によれば、Nは、1以上の整数であり、少なくともメインアーム及び/又は存在する場合には二次アームは、器具に接続され、器具には、アームがN個のアームセクション及びN個のモーターによって接続され、各モーターは、前記アームが接続されている器具を2つの器具の他方に対して配置するために、アームセクションに関連し、且つ関連するアームセクションを作動させるように構成される。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、器具は、アンテナである。
【0013】
本発明は、本願に記載の少なくとも1つの展開装置を含む衛星にも関する。
【0014】
例として与えられる一実施形態についての詳細な説明を読むと、本発明がよりよく理解され、更なる利点が明らかになり、添付図面によってその説明を示す。
【0015】
簡潔にするために、同じ要素は、様々な図中で同じ参照指示を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による、収納構成にある展開装置を概略的に示す。
【
図2】本発明による、展開構成にある展開装置を概略的に示す。
【
図4】収納構成にある、展開中の及び展開構成にある本発明による展開装置を概略的に示す。
【
図5】本発明による展開装置の一実施形態が載る支持構造の面の上方からの図を概略的に示す。
【
図6】本発明による展開装置の別の実施形態が載る支持構造の面の上方からの図を概略的に示す。
【
図7】展開構成にある本発明による展開装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図8】本発明による2つの展開装置の展開の運動学の図を概略的に示す。
【
図9】本発明による少なくとも1つの展開装置を含む衛星を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明による収納構成にある展開装置10を概略的に示す。本発明による展開装置10は、支持構造80、例えば衛星上に配置されるように設計される。展開装置10は、第1の器具11及び第2の器具12、例えばアンテナ及び展開機構13を含む。2つの器具11、12は、(
図1に示すように)支持構造80の面81上で互いに重なり合う収納構成から、2つの器具11、12が互いから且つ支持構造80から離れている展開構成に且つ/又はその逆に移行することができる。収納構成では、器具11、12が互いに重なり合う。器具11、12は、一方の面が他方の面と接触した状態で重ね合わせることができる。但し、器具11、12は、物理的接触なしに同様に重ねることもできる。加えて、収納構成で互いに重なり合う器具11、12は、必ずしも完全に重なるとは限らない。一方の器具が他方の器具を部分的に覆い得る。
【0018】
収納構成では、2つのアンテナを互いの方に向けて又は向けないで収納することができる。換言すれば、アンテナの一方の活性面は、別のアンテナの活性面に向く場合も非活性面に向く場合もある。
【0019】
本発明は、2つのアンテナを用いて説明されるが、収納位置において重ね合わされ、以下で説明するのと同様の方法で展開される3つ以上のアンテナに同じ原理が適用されることが明白であることに留意すべきである。
【0020】
図2は、本発明による展開構成にある展開装置10を概略的に示す。展開機構13は、一方で第1の取付点82において支持構造80の面81に接続され、且つ他方で第1の器具11に接続されるメインアーム14を含む。第2の器具12は、メインアーム14に接続される。展開機構13は、面81に対してメインアーム14を作動させるように構成されるメインモーター15及びメインアーム14に対して第2の器具12を作動させるように構成される二次モーター16も含む。メインモーター15は、有利には、第1の取付点82に配置される。メインモーター15は、単一のモーターであり得る。作動要件にもよるが、メインモーター15は、モーター、例えば2つ又は3つのモーターのアセンブリとして理解すべきである。従って、本発明による展開装置は、2つのモーターアセンブリ(メインモーター及び二次モーター)及び単一のアームのみを使用して2つのアンテナを展開することを可能にする。
【0021】
図3は、本発明による展開装置10を概略的に示す。展開装置10は、第1の器具11を方向付ける役割を果たす追加のモーター17も含み得る。
【0022】
図4は、収納構成にある、展開中の及び展開構成にある本発明による展開装置20を概略的に示す。
【0023】
収納構成では、2つの器具11、12が互いに重なり合い、支持構造80の面81の近くにある。
【0024】
衛星がそのミッションを実行する適切な位置に入ると、展開構成に移行するために展開装置20が活性化される。メインモーター15がメインアーム14を作動させ、その後、メインアーム14が支持構造80に対して動かされる。器具11、12は、依然として互いに向き合う位置にある。
【0025】
展開構成では、メインアーム14がその展開された位置に達すると、2つの器具が互いに対して動かされる。二次モーター16が第2の器具12を作動させ、第2の器具12を所望の位置に方向付ける。展開の終了時、即ち展開構成において、2つの器具11、12は、互いから且つ支持構造80から離れている。
【0026】
2つの器具の互いに対する動きに関して、2つの可能なシナリオがある。一方の器具、例えば11の活性面が器具12の非活性面に向いた(換言すれば、器具12が器具11に「背を向けた」)状態で、器具11が器具12上に収納される場合、メインアーム14と実質的に垂直な軸を中心に第2の器具12を回転させるように二次モーター16を構成することができる。こうして、オフセット位置にある2つの器具が同じ方向を向く。
【0027】
一方の器具、例えば11の活性面が器具12の活性面に向いた(換言すれば、器具12が器具11に向いた)状態で、器具11が器具12上に収納される場合、収納位置にある2つの器具間の面の1つの中にある軸を中心に第2の器具を回転させるように二次モーター16が構成される。こうして、展開位置にある2つの器具が同じ方向を向く。それぞれの非活性面が互いに向き合った状態で収納される2つの器具11、12についても同じ展開が行われる。
【0028】
逆に進めること、即ち第2の器具12が第1の器具に向くように二次モーター16が第2の器具12を作動させ、支持構造80の面81の近くにメインアーム14を戻すようにメインモーター15がメインアーム14を作動させることにより、2つの器具11、12を展開位置から収納構成に移行させることもできる。
【0029】
本発明の別の実施形態では、展開機構13は、一方で第2の取付点22においてメインアーム14に接続され、且つ他方で第2の器具12に接続される二次アーム21を含み得る。二次アーム21は、第1の器具11及び支持構造80に対する第2の器具12の向きを決定する役割を果たす。
【0030】
図5は、本発明による展開装置40の一実施形態が載る支持構造80の面81の上方からの図を概略的に示す。上記で説明したように、メインモーター15は、メインアーム14を作動させるように構成される。好ましくは、メインアーム14の作動は、主回転軸31を中心とした支持構造80の面81に対する回転である。
【0031】
支持構造80の面81が、第1の軸Xによって且つ第1の軸Xと垂直な又は実質的に垂直な第2の軸Yによって画定される面XYに沿って広がるものとして定められる場合、
図5に示すように主軸31は、面XYと平行であり得る。
【0032】
図6は、本発明による展開装置30、50、60の別の実施形態が載る支持構造80の面81の上方からの図を概略的に示す。この実施形態では、主軸31が面XYと交差し得る。他の図では、主軸31が展開構成において面81との角度を作り、その角度は、20°~40°、好ましくは約30°である。
図6に示すように、主軸31は、面XYに対して垂直、即ち90°であり得る。
【0033】
図7は、展開構成にある本発明による展開装置70の別の実施形態を概略的に示す。少なくとも1つのアーム、即ちメインアーム14及び/又は二次アーム21を器具11又は別々に器具12に接続することができ、それらの器具には、アームが1つ又は複数のアームセクション711、712及び1つ又は複数のモーター721、722によって接続され、各モーターは、前記アームが接続されている器具11又は別々に器具12を2つの器具の他方に対して配置するために、アームセクションに関連し、且つ関連するアームセクションを作動させるように構成される。図示の例では、衛星の直線部上に配置される展開装置のメインアーム14は、アームセクション711及びアームセクション711に関連するモーター721であって、メインアーム14に接続される器具11を配置するためにアームセクション711を作動させることができるモーター721によって器具11に接続される。
【0034】
同じ原理に基づき、二次アーム21は、二次アーム21に接続される器具12を方向付けるためのモーター723を有する別のアームセクション713(71N及び72N、Nは、3に等しい)によって器具12に接続され得る。他のアームセクションも想定され得る。アームが例えば3つのアームセクションによって自らの器具に接続される場合、他の3つのモーターがそれらのアームセクションに関連する。
【0035】
Nは、1以上の整数であり、アーム14、21の少なくとも1つを器具11、12に接続することができ、器具11、12には、アームがN個のアームセクション71N及びN個のモーター72Nによって接続され、各モーターは、前記アームが接続されている器具11、12を2つの器具の他方に対して配置するために、アームセクションに関連し、且つ関連するアームセクションを作動させるように構成される。
【0036】
図8は、本発明による2つの展開装置の展開の運動学の図を概略的に示す。各装置は、第1の器具11及び第2の器具12(上記で論じたように3つ以上の器具を含み得る)、一方で支持構造80の面81に接続され、且つ他方で第1の器具11に接続されるメインアーム14を含む展開機構13、面81に対してメインアーム14を作動させるように構成されるメインモーター及びメインアーム14に対して第2の器具12を作動させるように構成される二次モーター16を含む。
【0037】
各展開装置は、展開時に予め定められた一定の軌道をたどり、この軌道中、展開装置の要素(アーム及び器具)は、同じく予め定められた一定の体積を占める。装置が衝突なしに正しく展開するために、(メイン及び二次)アーム、アームセクション及びモーターは、個々の場合に応じて要件及び構成の制約に従って配置される。
【0038】
本発明は、衛星面上のアーム及び機構の数を2の倍数で減らすことができる解決策を提供する。この解決策は、搭載質量及びコストも機器に関して減らす。最後に、支持構造80から距離を置いてメインアーム14を展開した後、2つの器具を互いに隔てて展開することは、アンテナの構成に関して新たな可能性をもたらす。
【0039】
図9は、本発明による少なくとも1つの展開装置を含む衛星90を概略的に示す。
図8では、衛星が2つの展開装置10、20を含む。衛星は、3つ以上の展開装置を含み得る。上記で示した改変形態に従い、展開装置は、互いに同一であるか又は異なり得る。
【0040】
ここで示す装置は、2つのアンテナ11、12を含むが、各展開装置は、3つ以上の器具を含み得る。
【0041】
最後に、器具の所望の使用法に応じて、展開装置は、支持構造80の単一の面上又は支持構造80の異なる面上にあり得る。
【国際調査報告】