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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ニラパリブ遊離塩基の結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/10 20060101AFI20220105BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C07D401/10 CSP
A61K31/454
A61K9/14
A61P35/00
A61P9/00
A61P3/10
A61P25/00
A61P29/00
A61P3/00
A61K9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518546
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 US2019054533
(87)【国際公開番号】W WO2020072796
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】62/740,869
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514118169
【氏名又は名称】テサロ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】アリスター、ジェームズ、スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】イー、ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ、ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジャングオ、イン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB06
4C063CC22
4C063DD10
4C063EE01
4C076AA29
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC11
4C076CC21
4C076CC27
4C076FF33
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC37
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA36
4C086ZB26
4C086ZC21
4C086ZC35
(57)【要約】
結晶性ニラパリブ遊離塩基が提供される。結晶性ニラパリブ遊離塩基を含んでなる医薬組成物、ならびにそれに関連する方法および使用も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態。
【請求項2】
Cu K線を使用して測定した場合に、約12.2°、約15.6°、約16.5°、約16.9°、約18.7°、約19.6°、約21.6°、約22.4°、約22.5°、約23.2°、約25.2°、約27.9°および約29.3°の2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
Cu K線を使用して測定した場合に、約15.6°、約16.5°、約16.9°、約18.7°、約19.6°、約21.6°、約22.4°、約22.5°、約23.2°および約29.3°の2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項4】
Cu K線を使用して測定した場合に、約15.6°、約16.5°、約18.7°、約19.6°、約21.6°、約22.4°、約22.5°および約23.2°の2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項5】
Cu K線を使用して測定した場合に、約15.6°、約16.5°、約16.9°、約18.7°、約19.6°、約21.6°および約22.5°の2θの回折角を含むXRPDパターンを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項6】
Cu K線を使用して測定した場合に、約18.7°、約19.6°、約21.6°および約22.5°の2θの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項7】
以下の表:
【表1】
に記載の、2θ値を有する回折角と場合により相対強度とを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項8】
実質的に図1に従うX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項9】
約25℃および相対湿度約90%以下において約1重量%未満の水を吸着することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項10】
2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態II、III、IVまたはV。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の結晶形態を含んでなる組成物であって、アモルファスニラパリブ、薬学的に許容可能なニラパリブ塩および/またはその他の任意の固体形態のニラパリブもしくはニラパリブ塩を実質的に含まない、前記組成物。
【請求項12】
前記組成物中の全ニラパリブの約10%未満または約5%未満が、前記アモルファスニラパリブ、前記薬学的に許容可能なニラパリブの塩および/またはその他の任意の固体形態のニラパリブもしくはニラパリブ塩の形態である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の結晶形態または請求項11もしくは12に記載の組成物と、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項14】
療法に使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の結晶形態、請求項11もしくは12に記載の組成物または請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
医薬の製造における、請求項1~10のいずれか一項に記載の結晶形態、請求項11もしくは12に記載の組成物または請求項13に記載の医薬組成物の使用。
【請求項16】
対象における癌、脳卒中、自己免疫性糖尿病、神経疾患、炎症性疾患、代謝性疾患または心血管疾患を処置する方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基、請求項11もしくは12に記載の組成物または請求項13に記載の医薬組成物の有効量を前記対象に投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項17】
前記方法が癌を処置する方法である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が、BRCA1変異および/またはBRCA2変異に関連する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記癌が、ATM、ATR、BAP1、BARD1、BLM、BRIP1、MRE11A、NBN、PALB2、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、RAD54LもしくはXRCC2の変異またはそれらの任意の組み合わせに関連する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記癌が、上皮性卵巣癌、卵管癌または原発性腹膜癌である、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項16~20のいずれか一項に記載の方法で使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の結晶形態、請求項11もしくは12に記載の組成物または請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項16~20のいずれか一項に記載の方法で使用するための医薬の製造における、請求項1~10のいずれか一項に記載の結晶形態、請求項11もしくは12に記載の組成物または請求項13に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月3日に出願された米国仮出願第62/740,869号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は、結晶性ニラパリブ、結晶性ニラパリブを含んでなる組成物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ニラパリブは、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミドの国際一般的名称である。この化合物は、以下の構造:
【化1】
を有し、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(「PARP」)タンパク質の強力な阻害剤であり、特にPARP-1およびPARP-2に選択的である(例えば、Thorsell et al., J. Med. Chem. (2017) 60:1262-1271を参照)。
【0004】
ニラパリブは、in vitroにおいてBRCA1欠損細胞株およびBRCA2欠損細胞株の増殖を阻害する。ニラパリブは、BRCA1およびBRCA2の欠損、または変異型もしくは野生型のBRCA1/2のいずれかを有する相同組換え欠損(HRD)を伴うヒト癌のマウス異種移植モデルにおける腫瘍増殖を減少させる。ニラパリブはまた、相同組換え修復(HRR)経路に関与する特定の遺伝子(非BRCAl/2であるHRR遺伝子を含む)の欠損を特徴とする癌の処置にも有用である可能性がある。ニラパリブは、PARP-DNA複合体を形成させ、DNA損傷、アポトーシスおよび細胞死を引き起こすことができる(Murai et al., Cancer Res. (2012) 72:5588-99)。ニラパリブはまた、PARP阻害に有効な濃度と同様の濃度においてドーパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニントランスポーターに対して薬理活性を有する(例えば、Ison et al., Clinical Cancer Research (2018) 24(17):4066-4071参照)。したがって、ニラパリブは、癌(特に白金に基づく化学療法に抵抗性の癌)を含む状態、ならびに脳卒中、自己免疫性糖尿病、神経疾患、炎症性疾患、代謝性疾患、心血管疾患などの状態を処置する可能性を有する。
【0005】
ニラパリブの発見およびPARP阻害剤としてのその活性は、Jones et al.(J. Med. Chem., 2009, 52:7170-7185)によって報告された。Jones et al.には、化合物の遊離塩基形態が凍結乾燥粉末として得られるニラパリブの合成が記載されている。
【発明の概要】
【0006】
アモルファスのニラパリブ遊離塩基は水に溶けにくく(約1mg/mL)、その溶解度はpH値が低くても大幅には向上しない。典型的には、有機化合物は、結晶状態にあるときよりもアモルファス状態にあるときの方が、より容易に溶解する。しかしながら、驚くことに、本発明者らは、ニラパリブ遊離塩基が結晶形態で得られ得、その結晶形態がアモルファス形態と比較して同様のまたは増加した溶解度を有することを見出した。結晶性ニラパリブ遊離塩基は、その他の望ましい特性、例えば、優れた安定性および非吸湿性を有する。
【0007】
したがって、本発明は、結晶性ニラパリブ遊離塩基、ならびに組成物およびその使用に関する。本発明は、医薬調合物に望ましい特性(例えば、改善された物理化学的および/または薬物動態学的特性)を有する新しい形態(例えば、経口剤形)のニラパリブの必要性を満たす。
【0008】
第1の態様において、本発明は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態を提供する。
【0009】
その他の態様および実施形態において、本発明は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態Iを提供する。
【0010】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約12.2°、約15.6°、約16.5°、約16.9°、約18.7°、約19.6°、約21.6°、約22.4°、約22.5°、約23.2°、約25.2°、約27.9°および約29.3°の2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0011】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約15.6°、約16.5°、約16.9°、約18.7°、約19.6°、約21.6°、約22.4°、約22.5°、約23.2°および約29.3°の2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0012】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約15.6°、約16.5°、約18.7°、約19.6°、約21.6°、約22.4°、約22.5°および約23.2°の2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0013】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約15.6°、約16.5°、約16.9°、約18.7°、約19.6°、約21.6°および約22.5°の2θの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0014】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約18.7°、約19.6°、約21.6°および約22.5°の2θの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0015】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、18.7°±0.2°の2θの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0016】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、18.7°±0.2°および22.5°±0.2°の2θの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0017】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、18.7°±0.2°および19.6±0.2°の2θの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0018】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0019】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのうちの1つまたは複数の回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0020】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのうちの少なくとも2つの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0021】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのうちの少なくとも3つの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0022】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのうちの少なくとも4つの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0023】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0024】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θのうちの1つまたは複数の回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0025】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θのうちの少なくとも2つの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0026】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θのうちの少なくとも3つの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0027】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θのうちの少なくとも4つの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0028】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0029】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°、22.4°±0.2°、22.5°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0030】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、以下の表:
【表1】
に従う、2θ値を有する回折角と場合により相対強度とを含むXRPDパターンを有する。
【0031】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、実質的に図1に示されるXRPDパターンを特徴とする。
【0032】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、約1652cm-1のピークおよび約1608cm-1のピークを含む赤外線(IR)スペクトルを特徴とする。
【0033】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、実質的に図4に示される赤外線(IR)スペクトルを特徴とする。
【0034】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、約960.3cm-1、約1457.5cm-1および約1607.0cm-1のピークを含むラマンスペクトルを特徴とする。
【0035】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、実質的に図5に示されるラマンスペクトルを特徴とする。
【0036】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、約185~195℃の融点を特徴とする。
【0037】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、実質的に図6に示されるDTAサーモグラムを特徴とする。
【0038】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、実質的に図6に示されるDSCサーモグラムを特徴とする。
【0039】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態(結晶形態I)は、約25℃および約90%の相対湿度において約1重量%未満の水を吸着することを特徴とする。
【0040】
その他の態様および実施形態において、本発明は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態II、III、IVまたはVを提供する。
【0041】
その他の態様において、本発明は、上記の結晶性ニラパリブ遊離塩基を含む組成物であって、アモルファスニラパリブ、薬学的に許容可能なニラパリブ塩および/またはその他の任意の固体形態のニラパリブもしくはニラパリブ塩を実質的に含まない、前記組成物を提供する。
【0042】
複数の実施形態において、前記組成物中の全ニラパリブの約10%未満または約5%未満は、前記アモルファスニラパリブ、前記薬学的に許容可能なニラパリブ塩および/または任意のその他の固体形態のニラパリブもしくはニラパリブ塩の形態である。
【0043】
その他の態様において、本発明は、上記の結晶性ニラパリブ遊離塩基と、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0044】
その他の態様において、本発明は、療法に使用するための、上記の結晶性ニラパリブ遊離塩基、組成物または医薬組成物を提供する。
【0045】
その他の態様において、本発明は、医薬の製造における、上記の結晶性ニラパリブ遊離塩基または医薬組成物の使用を提供する。
【0046】
その他の態様において、本発明は、対象における癌、脳卒中、自己免疫性糖尿病、神経疾患、炎症性疾患、代謝性疾患または心血管疾患を処置する方法であって、上記の結晶性ニラパリブ遊離塩基、組成物または医薬組成物の有効量を対象に投与することを含んでなる、前記方法を提供する。
【0047】
複数の実施形態において、前記方法は、癌を処置する方法である。
【0048】
複数の実施形態において、前記癌は、BRCA1変異および/またはBRCA2変異に関連する。
【0049】
複数の実施形態において、前記癌は、ATM、ATR、BAP1、BARD1、BLM、BRIP1、MRE11A、NBN、PALB2、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、RAD54LもしくはXRCC2の変異またはそれらの任意の組み合わせに関連する。
【0050】
複数の実施形態において、前記癌は、上皮性卵巣癌、卵管癌または原発性腹膜癌である。
【0051】
その他の態様において、本発明は、上記の方法で使用するための、上記の結晶性ニラパリブ遊離塩基、組成物または医薬組成物を提供する。
【0052】
その他の態様において、本発明は、上記の方法で使用するための医薬の製造における、上記の結晶性ニラパリブ遊離塩基、組成物または医薬組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態IのXRPDパターンを示す図である。
図2図2は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態Iの顕微鏡写真を示す図である。これらは標準光条件下(図2Aおよび2B)および偏光条件下(図2Cおよび2D)で得られる。
図3図3は、様々な倍率レベルでの本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態I結晶のSEM画像を示す図である。
図4図4は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態IのFT-IRスペクトルを示す図である。
図5図5は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態I(λex=785nm)のラマンスペクトルを示す図である。
図6図6は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態IのTG/DTAサーモグラムを示す図である。
図7図7は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態IのDSCサーモグラムを示す図である。
図8図8は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態IのGVS等温線プロットを示す図である。この図は、2つの完全な吸着/脱着サイクルを重ね合わせている。中抜きの円形マーカーが付いた実線は吸着#1(40%~90%RH)を示し、塗りつぶされたダイヤ形マーカーが付いた破線は脱着#1(90%~0%RH)を示す。中抜きの三角形のマーカーが付いた実線は吸着#2(0%~90%RH)を示し、塗りつぶされた正方形のマーカーが付いた破線は脱着#2(90%~0%RH)を示す。アスタリスクマーカーの付いた実線は、吸着#3(0%~40%RH)を示す。
図9図9は、本実施例に従って調製されたアモルファスニラパリブの遊離塩基のXRPDパターンを示す図である。
図10図10は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態IIのXRPDパターンを示す図である。
図11図11は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態IIIのXRPDパターンを示す図である。
図12図12は、事前に加熱および冷却されたニラパリブ遊離塩基のサンプルが再加熱されたDSCサーモグラムを示す図である。
図13図13は、ニラパリブ遊離塩基の形態I(上)対アモルファスニラパリブの遊離塩基(下)の融解および冷却によって得られたXRPDパターンのオーバーレイを示す図である(VT-XRPD)。
図14図14は、ニラパリブ遊離塩基の冷却されたサンプルを再加熱することによって得られたXRPDパターンのオーバーレイを示す図である(VT-XRPD)。一番上のスキャンは、最初の冷試料のXRPDパターンを示す。二番目のスキャンは、約122℃で形態IVへの再結晶の開始を示す。三番目のスキャンは、約168℃での融解開始時のXRPDパターンの変化を示す。一番下のスキャンは、融解後の200℃でのパターンを示す。
図15図15は、本実施例に従って調製されたニラパリブ遊離塩基の形態VのXRPDパターンを示す図である。
図16図16は、本実施例に従って調製された結晶性ニラパリブの形態I(上の線)および形態IV(下の線)のH-NMRスペクトルのオーバーレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な説明
本開示の具体的な実施形態は、説明および実施例を参照して説明されるが、そのような実施形態は、ほんの一例であり、本開示の原理の適用を示すことができる多くの可能な具体的な実施形態のほんの少数のうちの単なる例示であることが理解されるべきである。様々な変更および修正は、本開示の利益を考えると当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲でさらに定義されるように、本開示の趣旨および範囲内であると見なされる。
【0055】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法、装置および材料を次に説明する。本明細書で引用されたすべての技術文献および特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書のいかなるものも、本発明が先行発明のためにそのような開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0056】
本開示の実施は、他に示されない限り、当技術分野の技術の範囲内である、化学合成、組織培養、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組換えDNAの従来の技術を使用する。例えば、Michael R. Green and Joseph Sambrook, Molecular Cloning; 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press 2012を参照されたい。
【0057】
範囲を含む数値特定、例えば、pH、温度、時間、濃度、分子量などは、必要に応じて0.1または1.0の増分で(+)または(-)に変化する近似値である。すべての数値特定の前に「約」という用語が付いていることを常に明示的に述べているわけではないが、理解されるべきである。常に明示的に述べられているわけではないが、本明細書に記載の試薬は単なる例示であり、そのような同等物が当技術分野で知られている可能性があることも理解されるべきである。
【0058】
明細書および特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形への言及を含む。例えば、「細胞」(“a cell”)という用語は、複数の細胞(それらの混合物を含む)を含む。本明細書で使用される場合、具体的に述べられているか、文脈から明らかでない限り、「または」という用語は両立的であると理解される。「含む」という用語は、本明細書では、「含むがこれに限定されない」という句を意味するために使用され、互換的に使用される。
【0059】
本明細書で使用される場合、特に明記されていない限り、「約」および「およそ」という用語は、組成物または剤形の成分の用量、量または重量パーセントに関連して使用される場合、特定された用量、量または重量パーセントから得られる効果と同等の薬理学的効果を提供するために当業者によって認識される用量、量または重量パーセントを意味する。具体的には、「約」および「およそ」という用語は、この文脈で使用される場合、特定された用量、量または重量パーセントの15%以内、より具体的には10%以内、より具体的には5%以内の用量、量または重量パーセントを企図する。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「約」および「およそ」という用語は、特定の固体形態を特徴づけるために提供される数値または値の範囲(例えば、特定の温度または温度範囲、例えば、融解、脱水、脱溶媒和またはガラス転移温度を説明する温度または温度範囲;質量変化、例えば、温度または湿度の作用としての質量変化;溶媒または水分含有量、例えば、質量またはパーセンテージの観点からの溶媒または水分含有量;または、ピーク位置または回折角、例えば、IRまたはラマン分光法またはXRPDによる分析におけるピーク位置または回折角)に関連して使用される際には、特定の固体形態を説明する限り、その数値または値の範囲が当業者に合理的であるとみなされる程度まで逸脱する可能性があることを示す。具体的には、「約」および「およそ」という用語は、この文脈で使用される場合、数値または値の範囲が、特定の実施形態では、記載されている数値または値の範囲の20%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1.5%以内、1%以内、0.5%以内または0.25%以内で変化する可能性がある。XRPDに関しては、明示的に特定されていない限り、所与の値は±0.2°の2θである。
【0060】
本明細書で使用される場合、「含んでなる」(“comprising”)または「含んでなる」(“comprises”)という用語は、組成物および方法が記載された要素を含むが、その他のものを除外しないことを意味することを意図されている。組成物および方法を定義するために使用される場合には、「本質的にからなる」とは、記載された目的のための組み合わせに対して任意の本質的に重要なその他の要素を除外することを意味する。したがって、本質的に本明細書で定義される要素からなる組成物は、単離および精製方法からの汚染物質を除外せず、薬学的に許容可能な担体、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、防腐剤などを除外しない。「からなる」とは、その他の成分の微量元素以外を除外すること、および本開示の組成物を投与するための実質的な方法ステップ以外を除外すること、あるいは組成物を生成するか、または意図した結果を達成するためのプロセスステップ以外を除外すること意味するものとする。これらの移行部の用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。本明細書における「含んでなる」という用語の使用は、「含んでなる」という用語が「本質的にからなる」または「からなる」に置き換えられた対応する記載を包含し、開示することを意図している。
【0061】
「対象」、「個体」または「患者」は、本明細書では互換的に使用され、脊椎動物、例えば、哺乳動物を指す。哺乳動物には、げっ歯類、家畜、スポーツ動物、ペットおよび霊長類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、サル、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ウマおよびヒトが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、哺乳動物には、ウマ、イヌおよびネコが含まれる。好ましい実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0062】
「投与すること」は、本明細書において、薬剤が対象の体内にあるという結果をもたらす方法で、薬剤または薬剤を含む組成物を対象に提供する手段として定義される。そのような投与は、経口、経皮(例えば、膣、直腸または口腔粘膜による)、注射(例えば、皮下、静脈内、非経口、腹腔内または中枢神経系への)または吸入(例えば、経口または経鼻)を含むがこれらに限定されない任意の経路によることができる。当然、医薬品は各投与経路に適した形態で提供される。
【0063】
疾患を「処置すること」または疾患の「処置」には、(1)疾患を予防すること、すなわち、疾患の素因があるかもしれないが、未だその疾患の症状を経験していないまたは呈していない患者において、疾患の臨床症状を発症させないこと、(2)疾患を阻害すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の進行を停止または軽減すること、および/または(3)疾患を緩和すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の退行を引き起こすことが含まれる。
【0064】
「処置」という用語に関連する「罹患している」という用語は、疾患と診断された、または疾患の素因がある患者または個体を指す。患者はまた、家族の血統における疾患の病歴のため、または疾患に関連する遺伝子変異の存在のために、疾患に「罹患するリスクがある」ことを指す場合もある。疾患のリスクがある患者は、病気の特徴的な病状の全部または一部を未だ発症していない。
【0065】
「有効量」または「治療有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回または複数回の投与、適用または投薬量で投与可能である。そのような送達は、多くの変数、例えば、別個の剤形が使用される期間、治療薬のバイオアベイラビリティ、投与経路などに依存している。しかしながら、任意の特定の対象に対する本発明の治療薬の特定の用量レベルは、様々な要因、例えば、使用される特定の化合物の活性;対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;投与時間;排泄率;薬物の組み合わせ;処置されている特定の障害の重症度;および投与形態に依存することが理解される。処置用量は一般に、安全性および有効性を最適化するために滴定することができる。典型的には、in vitroおよび/またはin vivo試験からの用量-効果関係は、最初に、患者への投与のための適切な用量に関する有用なガイダンスを提供することができる。一般に、in vitroで有効であることが見出された濃度と同等の血清レベルを達成するのに有効な量の化合物を投与することを望むであろう。これらのパラメータの決定は、十分に当技術分野の技術の範囲内である。これらの考慮事項、ならびに効果的な調合物および投与手順は当技術分野で周知であり、標準的な教科書に記載されている。
【0066】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な賦形剤」という用語は、標準的な医薬賦形剤、例えば、担体(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、水およびエマルション(例えば、油/水または水/油エマルション)ならびに様々なタイプの湿潤剤のいずれかを包含する。医薬組成物はまた、その他の成分、例えば、安定剤および防腐剤を含むことができる。担体、安定剤およびアジュバントの例については、Remington’s Pharmaceutical Sciences (20th ed., Mack Publishing Co. 2000)を参照されたい。
【0067】
「遊離塩基」という用語は、対イオン種を実質的に含まないニラパリブ(固体(例えば、結晶性)状態にある場合)を意味するために本明細書では通常使用される。したがって、固体のニラパリブ遊離塩基において、ニラパリブは実質的に非イオン化(すなわち中性)の形態である。本開示のニラパリブ遊離塩基は、典型的には、少なくとも90%が非イオン化形態、好ましくは少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%が非イオン化形態、例えば、本質的に100%が非イオン化形態である。
【0068】
本明細書で使用される「アモルファス」および「アモルファス形態」という用語、ならびに関連する用語は、対象の物質、成分または生成物が、X線回折によって測定されたときに実質的に結晶性ではないことを意味する。特定の実施形態において、物質のアモルファス形態を含むサンプルは、その他のアモルファス形態および/または結晶形を実質的に含まなくてもよい。
【0069】
本明細書で使用される「結晶性」という用語および関連する用語は、物質、成分、生成物または形態を説明するために使用される場合には、物質、成分または生成物が、X線回折によって測定されたときに実質的に結晶性であることを意味する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 22nd ed., Pharmaceutical Press, 2012;およびThe United States Pharmacopoeia, 30th ed., 2011を参照)。
【0070】
本明細書における「結晶形」および「結晶形態」という用語ならびに関連する用語は、化合物を含む結晶性固体形態を指し、特定の単一成分結晶形または多成分結晶形(多形、溶媒和物、水和物またはその他の分子複合体を含むがこれらに限定されない)を指し得る。
【0071】
本明細書における「多形」および「多形形態」という用語ならびに関連する用語は、同一の分子、同一の複数の分子または同一の複数のイオンを含む2または3以上の結晶形を指す。異なる多形は、結晶格子内の分子またはイオンの配置または立体配座の結果として異なる物理的特性、例えば、融解温度、融解熱、溶解度、溶解速度および/または振動スペクトルを有し得る。多形によって示される物理的特性の違いは、医薬パラメータ、例えば、保存安定性、圧縮性および密度(調合物および製品製造において重要である可能性がある)、ならびに溶解速度(バイオアベイラビリティにおいて重要な要因である可能性がある)に影響を与える可能性がある。安定性の違いは、化学反応性の変化(例えば、剤形がある多形で構成される場合に別の多形で構成される場合よりも急速に変色するような酸化の違い)または機械的変化(例えば、速度論的に有利な多形が熱力学的により安定した多形に変換されるために、保存時に錠剤が砕ける)またはその両方(例えば、ある多形の錠剤は高湿度で崩壊しやすい)から生じる可能性がある。溶解度/溶解の違いの結果として、極端な場合、いくつかの多形転移は、有効性の変化、有効性の欠如または毒性の変化をもたらし、望ましくない副作用の発生率の増減または望ましくない副作用の重症度の変化を起こす可能性がある。加えて、結晶の物理的特性は加工において重要である場合がある。例えば、ある多形が溶媒和物を形成する可能性が高いか、あるいは、不純物を除去して洗浄するのが困難な場合がある(例えば、粒子の形状およびサイズ分布が多形間で異なる場合がある)。
【0072】
結晶形およびアモルファス形態を特徴付けるための技術には、熱重量分析(TGA)、融点、示差走査熱量測定(DSC)、X線粉末回折法(XRPD)、単結晶X線回折法、振動分光法(例えば、赤外線(IR)およびラマン分光法)、固体および溶液の核磁気共鳴(NMR)分光法、光学顕微鏡(例えば、偏光顕微鏡)、ホットステージ光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、電子結晶構造解析、動的蒸気吸着(DVS)および定量分析、粒子サイズ分析(PSA)、表面積測定、溶解度試験および溶解試験が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の例示的な実験値は、その分野の標準的な尺度、例えば、本明細書に記載の例示的な変動に従って可変であり得る。
【0073】
結晶形態が1つまたは複数のXRPD回折角を特徴とする場合、特に明記しない限り、XRPDパターンは標準条件下(例えば、本明細書に記載される)で得られ、2θ値は分野での標準的な測定に従って可変であり得ることが理解されるべきである。例えば、本明細書に記載されている2θ値は、±0.2°で変動し得る。さらに、結晶形態が1つまたは複数の特定されたXRPD回折角を特徴とする場合、それらの回折角は、典型的には、ディフラクトグラム内で少なくとも1%の相対強度、例えば、少なくとも2%、少なくとも5%または少なくとも10%の相対強度を有する回折角を表す。
【0074】
本明細書における変数または態様のための実施形態の記載は、その実施形態を任意の単一の実施形態として、またはその実施形態を任意のその他の実施形態またはその一部と組み合わせて含む。
【0075】
本明細書で提供される組成物および方法は、本明細書で提供されるその他の組成物および方法のいずれか1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0076】
以下の略語が本明細書では使用される。
℃=摂氏
DMSO=ジメチルスルホキシド
DTA=示差熱分析
DSC=示差走査熱量測定
GC=ガスクロマトグラフィー
h=時間
HPLC=高圧液体クロマトグラフィー
HRD=相同組換え修復異常
Hz=ヘルツ
MEK=メチルエチルケトン
2-MeTHF=2-メチルテトラヒドロフラン
MHz=メガヘルツ;
min=分
MS=質量分析
NMR=核磁気共鳴
PARP=ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ
rt/RT=室温
TBME=tert-ブチルメチルエーテル
TGA=熱重量分析
(VT-)XRPD=(可変温度)X線粉末回折
【0077】
結晶性ニラパリブ遊離塩基
本発明は、医薬調合物に望ましい特性、例えば、改善された物理化学的特性および/または薬物動態学的特性を有する新しい物理的形態(結晶性遊離塩基)の薬物ニラパリブに関する。遊離塩基形態でのニラパリブの使用はまた、その他の形態と比較して薬物積載量(drug loading)の増加を可能にする。例えば、ニラパリブの塩形態と比較して、ニラパリブの遊離塩基形態の薬物積載量は、少なくとも約40%増加する可能性がある。そのような薬物積載量の増加は、単位用量サイズの減少および/または剤形を受け取る対象の錠剤負担の減少に転換され得、これらは両方とも、薬学的な観点から望ましい結果である。
【0078】
したがって、第1の態様において、本発明は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態を提供する。
【0079】
一実施形態において、結晶性2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基は、形態I、形態II、形態III、形態IVおよび/または形態Vの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含んでなる。別の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、形態II、形態III、形態IVおよび/または形態Vの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を実質的に含まない。
【0080】
例示的な結晶形態は、本明細書に記載されている。例示的なX線粉末回折(XRPD)パターンも本明細書に記載されている。複数の実施形態において、XRPDパターンは、Cu K線を使用して測定される。複数の実施形態において、XRPDパターンは、本明細書に記載されるような特定の回折角(ピーク)を特徴とする。
【0081】
形態Iの結晶性ニラパリブ遊離塩基
一実施形態において、結晶性2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基は、形態Iの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含む。この態様の観点において、本発明は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態Iを提供する。
【0082】
結晶性ニラパリブ遊離塩基は、16.9°、18.7°、19.6°、21.6°および22.5°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角によって特徴付けられ得る。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、16.9°、18.7°、19.6°、21.6°および22.5°の2θ値のうちの少なくとも2つのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、16.9°、18.7°、19.6°、21.6°および22.5°の2θ値のうちの少なくとも3つのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、16.9°、18.7°、19.6°、21.6°および22.5°の2θ値のうちの少なくとも4つのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、16.9°、18.7°、19.6°、21.6°および22.5°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、22.4°、23.2°および29.3°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする(例えば、さらに特徴とする)。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、22.4°、23.2°および29.3°の2θ値のうちの少なくとも2つのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、22.4°、23.2°および29.3°の2θ値のうちの少なくとも3つのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、22.4°、23.2°および29.3°の2θ値のうちの少なくとも4つのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、22.4°、23.2°および29.3°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。
【0083】
一実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、18.7°の2θ値のXRPD回折角によって特徴付けられ、場合により1つまたは複数のXRPD回折角、例えば、22.5°、19.6°、21.6°、16.9°、16.5°、22.4°、23.2°、15.6°および29.32°の2θ値をさらに特徴とする。したがって、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、18.7°、22.5°、19.6°、21.6°、16.9°、16.5°、22.4°、23.2°、15.6°および29.3°の2θ値のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10の回折角を特徴とし得る。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、16.9°、18.7°、19.6°、21.6°、22.4°、22.5°、23.2°および29.3°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。
【0084】
一実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、18.7°および22.5°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。別の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、18.7°および19.6°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。さらに別の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、18.7°、22.5°および19.6°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。さらなる実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、18.7°および22.5°のXRPD回折角に加えて、19.6°、21.6°、16.9°、16.5°、22.4°、23.3°および15.6°のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは7つのXRPD回折角を特徴とする。さらなる実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、18.7°および19.6°のXRPD回折角に加えて、22.5°、21.6°、16.9°、16.5°、22.4°、23.2°および15.6°のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは7つを特徴とする。さらなる実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、18.7°、22.5°および19.6°のXRPD回折角に加えて、21.6°、16.9°、16.5°、22.4°、23.2°および15.6°の1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つを特徴とする。さらなる実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、16.9°、18.7°、19.6°、21.6°および22.5°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。さらに別の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、16.9°、18.7°、19.6°、21.6°、22.4°、22.5°、23.2°および29.3°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。
【0085】
一実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、23.2°、25.2°および27.9°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、23.2°、25.2°および27.9°の2θ値のうちの少なくとも2つのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、23.2°、25.2°および27.9°の2θ値のうちの少なくとも3つのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、23.2°、25.2°および27.9°の2θ値のうちの少なくとも4つのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、15.6°、16.5°、23.2°、25.2°および27.9°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、18.7°の2θ値でのXRPD回折角を特徴とし、さらに、15.6°、16.5°、23.2°、25.2°および27.9°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。
【0086】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約12.2°、約15.6°、約16.5°、約16.9°、約18.7°、約19.6°、約21.6°、約22.4°、約22.5°、約23.2°、約25.2°、約27.9°および約29.3°の2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0087】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約15.6°、約16.5°、約16.9°、約18.7°、約19.6°、約21.6°、約22.4°、約22.5°、約23.2°および約29.3°の2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0088】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約15.6°、約16.5°、約18.7°、約19.6°、約21.6°、約22.4°、約22.5°および約23.2°の2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0089】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約15.6°、約16.5°、約16.9°、約18.7°、約19.6°、約21.6°および約22.5°の2θの回折角を含むXRPDパターンを有する。
【0090】
複数の実施形態において、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態は、Cu K線を使用して測定した場合に、約18.7°、約19.6°、約21.6°および約22.5°の2θの回折角を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0091】
一実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、以下の表:
【表2】
に記載の、2θ値を有するXRPD回折角(および、場合により相対強度値)を特徴とする。
【0092】
一実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、実質的に例1の表1に従うXRPDパターンを特徴とする。複数の実施形態において、XRPD回折角の位置は、表1に特定された値の±0.2000°2θ以内であり、d-面間隔は、表1に特定された値の±0.2000Å以内または±0.1000Å以内であり、かつ/あるいは、相対強度は、表1に特定された値の±10%以内または±5%以内である。一実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、図1に示される(または実質的に示される)XRPDパターンを特徴とする。
【0093】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、本明細書に記載のFT-IR法を使用して測定した場合に、約1652cm-1のピークおよび約1608cm-1のピークを含む赤外線スペクトルを有することを特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、実質的に例1の表2に従う赤外線ピークを特徴とする。複数の実施形態において、吸収ピークは、表2に特定された値の±1.00cm-1以内、±0.50cm-1以内または±0.20cm-1以内である。複数の実施形態において、透過率の値は、表2に特定された値の±10%以内または±5%以内である。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、図4に示される(または実質的に示される)赤外線スペクトルを有することを特徴とする。
【0094】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、約960.3cm-1、約1475.5cm-1および約1607.0cm-1のシフト値でのピークを含むラマンスペクトルを有することを特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、実質的に例1の表3に従うラマンピークを特徴とする。複数の実施形態において、吸収ピークは、表3に特定された値の±1.00cm-1以内、±0.50cm以内-1または±0.20cm-1以内である。複数の実施形態において、透過率の値は、表3に特定された値の±10%以内または±5%以内である。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、図5に示される(または実質的に示される)ラマンスペクトルを有することを特徴とする。
【0095】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、約185~195℃の範囲の融点、例えば、約190℃の融点を有することを特徴とする。
【0096】
融点は、例えば、DTAによって(例えば、以下の実施例に記載されるように)測定され得る。したがって、複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、融解の開始(吸熱ピーク)が約188.0℃であり、かつ/あるいは、ピーク最小値が約191.8℃であるDTAサーモグラムを特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、図6(低い方の線)に示される(または実質的に示される)DTAサーモグラムを有することを特徴とする。
【0097】
融点はまた、例えば、DSCによって(例えば、以下の実施例に記載されるように)測定され得る。したがって、複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、融解の開始(吸熱ピーク)が約189.0℃であり、かつ/あるいは、ピーク最小値が約193.9℃であるDSCサーモグラムを特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、図7に示される(または実質的に示される)DSCサーモグラムを特徴とする。
【0098】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、吸湿性ではないことを特徴とする。吸湿性は、例えば、GVSによって(例えば、以下の実施例に記載されるように)測定され得る。したがって、複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、約90%の相対湿度(例えば、約25℃で)において約1重量%未満の水を吸着することを特徴とする。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、約90%の相対湿度(例えば、約25℃で)において約0.7重量%の水を吸着することを特徴とする。
【0099】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、高湿度の条件下および/または水性懸濁液中で安定であることを特徴とする。
【0100】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基の実質的にすべて(例えば、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または約100%)は、室温(約25℃など)で約90%の相対湿度に曝露された場合、同じ形態(例えば、XRPDによって評価される多形形態)を保持する。その他の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基の実質的にすべて(例えば、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または約100%)は、高温(例えば、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃または約75℃)で約90%の相対湿度に曝露された場合、同じ形態(例えば、XRPDによって評価される多形形態)を保持する。
【0101】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基の実質的にすべて(例えば、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または約100%)は、水に懸濁または水でスラリー化された場合、同じ形態(例えば、XRPDによって評価される多形形態)を保持する。その他の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基の実質的にすべて(例えば、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または約100%)は、約1~約7のpHを有する水性緩衝液(例えば、本実施例における緩衝液)に懸濁または該水性緩衝液でスラリー化された場合、同じ形態(例えば、XRPDによって評価される多形形態)を保持する。
【0102】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、水または有機溶媒を含まない(例えば、カールフィッシャー分析またはガスクロマトグラフィーによって評価される)ことを特徴とする
【0103】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、実質的に水を含まない(例えば、カールフィッシャー分析によって評価される)。これらの実施形態において、水分含有量は、好ましくは、約1%未満、例えば、約0.9%未満、約0.8%未満、約0.7%未満、約0.6%未満、約0.5%未満、約0.4%未満、約0.3%未満、約0.2未満%または約0.1%未満である。水分含有量は、例えば、約0.25%~約0.35%、例えば、約0.30%であってもよい。
【0104】
複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、有機溶媒、例えば、2-MeTHFを実質的に含まない(例えば、GCによって評価される)。これらの実施形態において、各(およびあらゆる)有機溶媒の含有量は、好ましくは約1%未満であり、例えば、約0.5%未満、約0.4%未満、約0.3%未満、約0.2%未満、約0.1%未満または約0.05%未満である。例えば、2-MeTHFの含有量は、約0.1%未満、例えば、約0.07%未満であってもよい。
【0105】
さらなる態様において、本開示は、結晶性の形態II、III、IVおよび/またはVニラパリブ遊離塩基を提供する。結晶性ニラパリブ遊離塩基は、形態IIの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含んでもよい。結晶性ニラパリブ遊離塩基は、形態IIIの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含んでもよい。結晶性ニラパリブ遊離塩基は、形態IVの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含んでもよい。結晶性ニラパリブ遊離塩基は、形態Vの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含んでもよい。
【0106】
形態IIの結晶性ニラパリブ遊離塩基
一実施形態において、結晶性の2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基は、形態IIの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含む。この態様の観点において、本発明は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態IIを提供する。
【0107】
複数の実施形態において、結晶形態IIは、17.3°、21.7°、21.8°、25.8°および21.6°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IIは、8.6°、26.4°、22.6°、20.1°および21.3°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IIは、8.6°、17.3°、20.1°、21.3°、21.6°、21.7°、21.8°、22.6°、25.8°および26.4°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IIは、3.2°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。
【0108】
複数の実施形態において、結晶形態IIは、実質的に例3の表4に記載の2θ値を有するXRPD回折角(および、場合により相対強度値)を特徴とする。複数の実施形態において、XRPD回折角の位置は、表4に特定された値の±0.2000°2θ以内であり、d-面間隔は、表4に特定された値の±0.20000Å以内または±0.10000Å以内であり、かつ/あるいは、相対強度は、表4に特定された値の±10%以内または±5%以内である。複数の実施形態において、結晶形態IIは、図10に示される(または実質的に示される)XRPDパターンを特徴とする。
【0109】
形態IIIの結晶性ニラパリブ遊離塩基
一実施形態において、結晶性の2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基は、形態IIIの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含む。この態様の観点において、本発明は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態IIIを提供する。
【0110】
複数の実施形態において、結晶形態IIIは、17.3°、20.5°、13.6°、21.3°および21.7°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IIIは、22.3°、13.8°、24.1°、23.7°および14.6°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IIIは、13.6°、13.8°、14.6°、17.3°、20.5°、21.3°、21.7°、22.3°、23.7°および24.1°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IIIは、20.5°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IIIは、20.5°および23.7°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IIIは、20.5°、23.7°および10.1°の2θ値でのXRPD回折角を特徴とする。
【0111】
複数の実施形態において、結晶形態IIIは、実質的に例3の表5に記載の2θ値を有するXRPD回折角(および、場合により相対強度値)を特徴とする。複数の実施形態において、XRPD回折角の位置は、表5に特定された値の±0.2000°2θ以内であり、d-面間隔は、表5に特定された値の±0.20000Å以内または±0.10000Å以内であり、かつ/あるいは、相対強度は、表5に特定された値の±10%以内または±5%以内である。複数の実施形態において、結晶形態IIIは、図11に示される(または実質的に示される)XRPDパターンを特徴とする。
【0112】
形態IVの結晶性ニラパリブ遊離塩基
一実施形態において、結晶性の2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基は、形態IVの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含む。この態様の観点において、本発明は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態IVを提供する。
【0113】
複数の実施形態において、結晶形態IVは、21.9°、20.1°、18.9°、22.1°および19.7°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IVは、14.4°、17.3°、17.1°、19.8°および17.6°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IVは、14.4°、17.1°、17.3°、17.6°、18.9°、19.7°、19.8°、20.1°、21.9°および22.1°の2θ値のうちのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IVは、27.6°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IVは、27.6°および24.8°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態IVは、27.6°、24.8°および7.3°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。
【0114】
複数の実施形態において、結晶形態IVは、実質的に例4の表6に記載の2θ値を有するXRPD回折角(および、場合により相対強度値)を特徴とする。複数の実施形態において、XRPD回折角の位置は、表6に特定された値の±0.2000°2θ以内であり、d-面間隔は、表6に特定された値の±0.20000Å以内または±0.10000Å以内であり、かつ/あるいは、相対強度は、表6に特定された値の±10%以内または±5%以内である。複数の実施形態において、結晶形態IVは、図14に示される(または実質的に示される)XRPDパターン(122℃の線)を特徴とする。
【0115】
形態Vの結晶性ニラパリブ遊離塩基
一実施形態において、結晶性の2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基は、形態Vの結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、本明細書で特徴付けられる)を含む。この態様の観点において、本発明は、2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態Vを提供する。
【0116】
複数の実施形態において、結晶形態Vは、20.8°、21.6°、5.9°、21.3°および14.4°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態Vは、14.8°、16.7°、15.8°、19.5°および29.2°の2θ値のうちの1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ)のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態Vは、5.9°、14.4°、14.8°、15.8°、16.7°、19.5°、20.8°、21.3°、21.6°および29.2°の2θ値でのXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態Vは、5.9°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態Vは、5.9°の2θ値のXRPD回折角を特徴とし、さらに、15.1°および/または9.7°の2θ値のXRPD回折角を特徴とする。複数の実施形態において、結晶形態Vは、5.9°、15.1°、9.7°および8.0°の2θ値でのXRPD回折角を特徴とする。
【0117】
複数の実施形態において、結晶形態Vは、実質的に例5の表8に記載の2θ値を有するXRPD回折角(および、場合により相対強度値)を特徴とする。複数の実施形態において、XRPD回折角の位置は、表8に特定された値の±0.2000°2θ以内であり、d-面間隔は、表8に特定された値の±0.20000Å以内または±0.10000Å以内であり、かつ/あるいは、相対強度は、表8に特定された値の±10%以内または±5%以内である。複数の実施形態において、結晶形態Vは、図15に示される(または実質的に示される)XRPDパターンを特徴とする。
【0118】
組成物
本開示は、結晶性2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基を含んでなる組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。複数の実施形態において、組成物は、アモルファスニラパリブを実質的に含まない。複数の実施形態において、組成物は、(例えば、任意の)薬学的に許容可能なニラパリブ塩を実質的に含まない。複数の実施形態において、組成物は、その他の固体形態のニラパリブ遊離塩基またはニラパリブ塩(本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基を除く)を実質的に含まない。複数の実施形態において、組成物中の全ニラパリブの約10%未満(例えば、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満または約1%未満)が、上記アモルファスニラパリブ、上記薬学的に許容可能なニラパリブ塩および/またはその他の固体形態のニラパリブ遊離塩基もしくはニラパリブ塩の形態で含まれる。
【0119】
本開示は、本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基と、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。医薬組成物は、本明細書に開示される方法に従って使用可能である。
【0120】
一実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態Iを含んでなる。複数の実施形態において、医薬組成物は、(例えば、XRPDによって評価されるように)形態II、形態III、形態IVおよび/または形態Vの結晶性ニラパリブ遊離塩基を実質的に含まない。複数の実施形態において、医薬組成物は、(例えば、XRPDによって評価されるように)形態II、形態III、形態IVおよび形態Vの結晶性ニラパリブ遊離塩基を実質的に含まない。複数の実施形態において、医薬組成物は、(例えば、XRPDによって評価されるように)アモルファスニラパリブ遊離塩基を実質的に含まない。
【0121】
複数の実施形態において、医薬組成物は、約20~80重量%の結晶性ニラパリブ遊離塩基、例えば、約45~70重量%、約40~50重量%、約45~55重量%、約50~60重量%、約55~65重量%、約60~70重量%、約65~75重量%、約70~80重量%または約40~60重量%の結晶性ニラパリブ遊離塩基を含んでなる。
【0122】
薬学的に許容可能な賦形剤は、当技術分野で既知の任意の賦形剤、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載の賦形剤であり得る。本開示の化合物の医薬組成物は、当技術分野で既知の従来の手段、例えば、少なくとも1種の本開示の化合物を薬学的に許容可能な賦形剤と混合することによって調製することができる。
【0123】
本明細書に開示される医薬組成物の目的のための例示的な薬学的に許容可能な賦形剤には、結合剤、崩壊剤、超崩壊剤、潤滑剤、希釈剤、充填剤、香味料、流動促進剤、吸着剤(sorbent)、可溶化剤、キレート剤、乳化剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、懸濁剤、吸着剤(adsorbent)、造粒剤、防腐剤、緩衝剤、着色剤および甘味料、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。複数の実施形態において、薬学的に許容可能な賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。複数の実施形態において、薬学的に許容可能な賦形剤は、ラクトース、例えば、ラクトース一水和物を含む。複数の実施形態において、薬学的に許容可能な賦形剤は、ステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施形態において、薬学的に許容可能な賦形剤は、ラクトース一水和物およびステアリン酸マグネシウムである。
【0124】
様々な有用な充填剤または希釈剤には、炭酸カルシウム(Barcroft(商標)、MagGran(商標)、Millicarb(商標)、Pharma-Carb(商標)、Precarb(商標)、Sturcal(商標)、VivapresCa(商標))、リン酸カルシウム無水二塩基(EmcompressAnhydrous(商標)、Fujicalin(商標))、リン酸カルシウム二塩基性二水和物(Calstar(商標)、Di-Cafos(商標)、Emcompress(商標))、リン酸カルシウム三塩基性(Tri-Cafos(商標)、TRI-TAB(商標))、硫酸カルシウム(Destab(商標)、Drierite(商標)、SnowWhite(商標)、Cal-Tab(商標)、Compactrol(商標))、粉末セルロース(Arbocel(商標)、Elcema(商標)、Sanacet(商標))、シリカ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、圧縮性糖(Di-Pac(商標))、製菓用糖、デキストレート(dextrates)(Candex(商標)、Emdex(商標))、デキストリン(Avedex(商標)、Caloreen(商標)、Primogran W(商標))、デキストロース(Caridex(商標)、Dextrofin(商標)、Tab fine D-IOO(商標))、フルクトース(Fructofin(商標)、Krystar(商標))、カオリン(Lion(商標)、Sim 90(商標))、ラクチトール(Finlac DC(商標)、Finlac MCX(商標))、ラクトース(Anhydrox(商標)、CapsuLac(商標)、Fast-Flo(商標)、FlowLac(商標)、GranuLac(商標)、InhaLac(商標)、Lactochem(商標)、Lactohaie(商標)、Lactopress(商標)、Microfme(商標)、Microtose(商標)、Pharmatose(商標)、Prisma Lac(商標)、Respitose(商標)、SacheLac(商標)、SorboLac(商標)、Super-Tab(商標)、Tablettose(商標)、Wyndale(商標)、Zeparox(商標))、ラクトース一水和物、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム(MagGran MO(商標))、マルトデキストリン(C*Dry MD(商標)、Lycatab DSH(商標)、Maldex(商標)、Maitagran(商標)、Maltrin(商標)、Maltrin QD(商標)、Paselli MD 10 PH(商標)、Star-Dri(商標))、マルトース(Advantose 100(商標))、マンニトール(Mannogem(商標)、Pearlitol(商標))、微結晶性セルロース(AvicelPH(商標)、Celex(商標)、Celphere(商標)、Ceolus KG(商標)、Emcocel(商標)、Pharmacel(商標)、Tabulose(商標)、Vivapur(商標))、ポリデキストロース(Litesse(商標))、シメチコン(Dow Corning Q7-2243 LVA(商標)、Cow Corning Q7-2587(商標)、Sentry Simethicone(商標))、アルギン酸ナトリウム(Keltone(商標)、Protanal(商標))、塩化ナトリウム(Alberger(商標))、ソルビトール(Liponec 70-NC(商標)、Liponic 76-NCv、Meritol(商標)、Neosorb(商標)、Sorbitol Instant(商標)、Sorbogem(商標))、でんぷん(FlufiexW(商標)、Instant Pure-Cote(商標)、Melojei(商標)、Meritena Paygel 55(商標)、Perfectamyl D6PH(商標)、Pure-Cote(商標)、Pure-Dent(商標)、Pure-Gel(商標)、Pure-Set(商標)、Purity 21(商標)、Purity 826(商標)、Tablet White(商標))、アルファ化デンプン、スクロース、トレハロースおよびキシリトール、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。複数の実施形態において、充填剤は、ラクトース一水和物を含む。
【0125】
複数の実施形態において、組成物は、約5~90重量%の充填剤を含んでなり、例えば、充填剤は、約10~80重量%、約15~70重量%、約20~60重量%または約25~50重量%の量で存在する。例えば、組成物は、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%または約80重量%の充填剤を含んでなってもよい。複数の実施形態において、組成物は、約25mg~約1000mgの充填剤を含んでなり、例えば、充填剤は、約50mg~約750mg、約100mg~約600mg、約150mg~約500mgまたは約200mg~約450mgの量で存在する。例えば、組成物は、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mgまたは約500mgの充填剤を含んでなってもよい。
【0126】
様々な有用な潤滑剤には、ステアリン酸カルシウム(HyQual(商標))、モノステアリン酸グリセリン(Imwitor(商標)191および900;Kessco GMS5(商標)、450および600;Myvaplex 600P(商標);Myvatex(商標);Rita GMS(商標);Stepan GMS(商標);Tegin(商標);Tegin(商標)503および515;Tegin 4100(商標);Tegin M(商標);Unimate GMS(商標))、ベヘン酸グリセリル(Compritol 888 ATO(商標))、パルミトステアリン酸グリセリル(Precirol ATO 5(商標))、硬化ヒマシ油(Castorwax MP 80(商標)、Croduret(商標)、Cutina HR(商標)、Fancol(商標)、Simulsol 1293(商標))、硬化植物油0タイプI(Sterotex(商標)、Dynasan P60(商標)、Hydrocote(商標)、Lipovol HS-K(商標)、Sterotex HM(商標))、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、中鎖トリグリセリド(Captex 300(商標)、Labrafac CC(商標)、Miglyol 810(商標)、Neobee M5(商標)、Nesatol(商標)、Waglinol 3/9280(商標))、ポロキサマー(Pluronic(商標)、Synperonic(商標))、ポリエチレン 5 グリコール(Carbowax Sentry(商標)、Lipo(商標)、Lipoxol(商標)、Lutrol E(商標)、Pluriol E(商標))、ナトリウム安息香酸塩(Antimol(商標))、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(Elfan 240(商標)、Texapon K1 2P(商標))、ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(商標))、ステアリン酸(Hystrene(商標)、industrene(商標)、Kortacid 1895(商標)、Pristerene(商標))、タルク(Altaic(商標)、Luzenac(商標)、Luzenac Pharma(商標)、Magsil Osmanthus(商標)、0 Magsil Star(商標)、Superiore(商標))、ステアリン酸スクロース(Surfhope SE Pharma D-1803 F(商標))およびステアリン酸亜鉛(HyQual(商標))またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。適切な潤滑剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、DL-ロイシン、コロイダルシリカが含まれるが、これらに限定されない。複数の実施形態において、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムを含む。
【0127】
複数の実施形態において、組成物は、約0.1~5重量%の潤滑剤を含んでなり、例えば、潤滑剤は、約0.2~2重量%、約0.3~1重量%、約0.4~0.75重量%または約0.5~0.7重量%の量で存在する。例えば、組成物は、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%または約0.8重量%の潤滑剤を含んでなってもよい。複数の実施形態において、組成物は、約0.01mg~約10mgの潤滑剤を含んでなり、潤滑剤は、約0.01mg~約0.05mg、約0.05mg~約0.1mg、約0.1mg~約0.2mg、約0.2mg~約0.25mg、約0.25mg~約0.5mg、約0.5mg~約0.75mg、約0.7mg~約0.95mg、約0.9mg~約1.15mg、約1.1mg~約1.35mg、約1.3mg~約1.5mg、約1.5mg~約1.75mg、約1.75mg~約1.95mg、約1.9mg~約2.15mg、約2.1mg~約2.35mg、約2.3mg~約2.55mg、約2.5mg~約2.75mg、約2.7mg~約3.0mg、約2.9mg~約3.15mg、約3.1mg~約3.35mg、約3.3mg~約3.5mg、約3.5mg~約3.75mg、約3.7mg~約4.0mg、約4.0mg~約4.5mg、約4.5mg~約5.0mg、約5.0mg~約5.5mg、約5.5mg~約6.0mg、約6.0mg~約6.5mg、約6.5mg~約7.0mg、約7.0mg~約7.5mg、約7.5mg~約8.0mg、約8.0mg~約8.5mg、約8.5mg~約9.0mg、約9.0mg~約9.5mgまたは約9.5mg~約10.0mgの量で存在する。例えば、組成物は、重量で約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.5mg、約0.7mg、約0.9mg、約1.1mg、約1.3mg、約1.5mg、約1.7mg、約1.9mg、約2.mg、約2.3mg、約2.5mg、約2.75mg、約3.0mg、約3.1mg、約3.3mg、約3.5mg、約3.7mg、約4.0mg、約4.5mg、約5.0mg、約5.5mg、約6.0mg、約6.5mg、約7.0mg、約7.5mg、約8.0mg、約8.5mg、約9.0mg、約9.5mgまたは約10.0mgの潤滑剤を含んでなってもよい。
【0128】
様々な有用な崩壊剤には、アルギン酸(Protacid(商標)、SatialgineH8(商標))、リン酸カルシウム三塩基性(TRI-TAB(商標))、カルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG505(商標))、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Akucell(商標)、Finnfix(商標)、Nymcel TyloseCB(商標))、コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil(商標)、Cab-O-Sil(商標)、WackerHDK(商標))、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol(商標)、Pharmacel XL(商標)、Primellose(商標)、Solutab(商標)、Vivasol(商標))、クロスポビドン(Collison CL(商標)、Collison CL-M(商標)、Polyplasdone XL(商標))、ドキュセートナトリウム、グアーガム(Meyprodor(商標)、Meyprofm(商標)、Meyproguar(商標))、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Magnabite(商標)、Neusilin(商標)、Pharmsorb(商標)、Veegum(商標))、メチルセルロース(Methocel(商標)、Metolose(商標))、微結晶性セルロース(Avicel PH(商標)、Ceoius KG(商標)、Emcoel(商標)、Ethispheres(商標)、Fibrocel(商標)、Pharmacel(商標)、Vivapur(商標))、ポピドン(Collison(商標)、Plasdone(商標))アルギン酸ナトリウム(Kelcosol(商標)、Ketone(商標)、Protanal(商標))、デンプングリコール酸ナトリウム、ポラクリリンカリウム(Amberlite IRP88(商標))、シリカ化微結晶性セルロース(ProSotv(商標))、デンプン(Aytex P(商標)、Fluftex W(商標)、Melojel(商標)、Meritena(商標)、Paygel 55(商標)、Perfectamyl D6PH(商標)、Pure-Bind(商標)、Pure-Cote(商標)、Pure-Dent(商標)、Purity 21(商標)、Purity 826(商標)、Tablet White(商標))またはアルファ化デンプン(LycatabPGS(商標)、Merigel(商標)、National 78-1551(商標)、Pharma-Gel(商標)、Prejel(商標)、Sepistab ST 200(商標)、Spress B820(商標)、Starch 1500 G(商標)、Tablitz(商標)、Unipure LD(商標))、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。複数の実施形態において、組成物は、約0~約10重量%の崩壊剤を含んでなる。
【0129】
様々な有用な流動促進剤には、三塩基性リン酸カルシウム(TRI-TAB(商標))、ケイ酸カルシウム、粉末セルロース(Sanacel(商標)、Solka-Floe(商標))、コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil(商標)、Cab-O-Sil M-5P(商標)、Wacker HDK(商標))、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、デンプン(Melojel(商標)、Meritena(商標)、Paygel 55(商標)、Perfectamyl D6PH(商標)、Pure-Bind(商標)、Pure-Cote(商標)、Pure-Dent(商標)、Pure-Gel(商標)、Pure-Set(商標)、Purity 21(商標)、Purity 826(商標)、Tablet White(商標))およびタルク(Luzenac Pharma(商標)、Magsil Osmanthus(商標)、Magsil Star(商標)、Superiore(商標))、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。複数の実施形態において、組成物は、約0~約15重量%の流動促進剤を含んでなる。
【0130】
薬学的に許容可能な界面活性剤には、医薬剤形での使用に適した非イオン性およびイオン性界面活性剤の両方が含まれるが、これらに限定されない。イオン性界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性または双性イオン性界面活性剤のうちの1種または2種以上を含み得る。様々な有用な界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム;オリオキシエチレンソルビタンのモノオレエート、モノラウレート、モノパルミテート、モノステアレートもしくは別のエステル;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;レシチン;ステアリン酸アルコール;セトステアリルアルコール;コレステロール;ポリオキシエチレンリシンオイル;ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド;ポロキサマー;またはその他の市販の共処理界面活性剤(co-processed surfactant)、例えば、SEPITRAP(登録商標)80もしくはSEPITRAP(登録商標)4000;およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。複数の実施形態において、組成物は、約0~約5重量%の界面活性剤を含んでなる。
【0131】
複数の実施形態において、本開示の固形医薬組成物は、本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基、希釈剤および潤滑剤を含んでなる。複数の実施形態において、固形医薬組成物は、本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態I)、ラクトース一水和物およびステアリン酸マグネシウムを含んでなる。
【0132】
複数の実施形態において、本開示の固形医薬組成物は、(組成物の重量で)約20~60%の結晶性ニラパリブ遊離塩基、約20~80%の希釈剤および約0.1~5%の潤滑剤を含んでなる。複数の実施形態において、医薬組成物は、(組成物の重量で)約40~60%の結晶性ニラパリブ遊離塩基、約40~70%の希釈剤(例えば、ラクトース一水和物)および約0.2~2%の潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含んでなる。
【0133】
医薬組成物は、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な比率のヒドロキシプロピルメチルセルロース;その他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを使用することにより、その活性成分の徐放、持続放出または制御放出を提供するように調合することができる。医薬組成物はまた、場合により乳白剤を含んでなることができ、例えば、腸溶コーティングを使用することにより、有効成分のみを、または有効成分を優先的に、胃腸管の特定の部分で、放出する(場合により遅延して放出する)組成物であり得る。埋め込み組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。有効成分はまた、適切な場合には、当技術分野で周知の1種または2種以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤(例えば、Remington’sを参照)とともにマイクロカプセル化された形態であり得る。現在開示されている化合物は、当業者に周知の方法に従って持続送達用に調合することができる。そのような調合物の例は、米国特許第3,119,742号、第3,492,397号、第3,538,214号、第4,060,598号および第4,173,626号に見出すことができる。
【0134】
合成
結晶性ニラパリブ遊離塩基は、アモルファスニラパリブ遊離塩基から、例えば溶解/再結晶;水などの溶媒でのスラリー化;または加熱/冷却によって、調製可能である。それはまた、塩基、例えば、希NaOHで変換することにより、ニラパリブ酸付加塩(例えば、ニラパリブトシレート一水和物)から調製可能である。結晶性ニラパリブ遊離塩基の調製方法を下記の実施例に示す。
【0135】
特に、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、有機溶媒、例えば、2-MeTHFからの再結晶化によって、またはそれでスラリー化することによって調製可能である。
【0136】
結晶性ニラパリブ遊離塩基を調製するための代わりの方法は、当業者の一般的な知識および本出願の教示に基づいて、当業者には明らかであろう。
【0137】
医学的適応
本明細書に記載の結晶性2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基および医薬組成物は、療法、特に対象におけるPARP-1およびPARP-2媒介性の状態の治療的処置において有用である。PARP-1およびPARP-2媒介性の状態を処置する方法は、WO2018/005818に記載されている。
【0138】
特定の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、異なる形態のニラパリブ(例えば、結晶性ニラパリブトシレート一水和物)の投与と比較して、改善された治療上の利益を提供し得る。複数の実施形態において、改善された治療上の利益は、異なる形態のニラパリブで観察される望ましくない副作用の発生率および/または重症度の変化(例えば、低下)であり得る。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、血小板減少症、貧血、好中球減少症、白血球減少症、動悸、悪心、便秘、嘔吐、腹痛/腹部膨満、粘膜炎/口内炎、下痢、消化不良、口渇、倦怠感/無力症、食欲減退、尿路感染症、AST/ALT上昇、筋肉痛、背中の痛み、関節痛、頭痛、めまい、味覚異常、不眠症、不安、鼻咽頭炎、呼吸困難、咳、発疹または高血圧である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、血液学的副作用(例えば、血小板減少症、貧血、好中球減少症または白血球減少症)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、非血液学的副作用である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、心血管作用(例えば、動悸)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、胃腸障害(例えば、悪心、便秘、嘔吐、腹痛/腹部膨満、粘膜炎/口内炎、下痢、消化不良または口渇)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、倦怠感または無力症である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、代謝または栄養障害(例えば、食欲減退)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、感染または侵入(infestation)(例えば、尿路感染症)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、AST/ALTの上昇である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、筋骨格または結合組織障害(例えば、筋肉痛、背中の痛みまたは関節痛)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、神経系障害(例えば、頭痛、めまいまたは味覚障害)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、精神障害(例えば、不眠症または不安)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、呼吸器、胸腔または縦隔の障害(例えば、鼻咽頭炎、呼吸困難または咳)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、皮膚または皮下組織の障害(例えば、発疹)である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、血管障害(例えば、高血圧症)である。
【0139】
複数の実施形態において、望ましくない副作用は、骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病である。複数の実施形態において、望ましくない副作用は、骨髄抑制である。
【0140】
本明細書に記載の方法に従って処置される対象には、脊椎動物、例えば、哺乳動物が含まれる。好ましい実施形態において、哺乳動物はヒト患者である。
【0141】
一態様において、本開示は、療法に使用するための本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基、例えば、結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態Iを提供する。また、医薬の製造における、本明細書に記載されるような結晶性ニラパリブ遊離塩基、例えば、結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態Iの使用も提供される。
【0142】
別の態様において、本開示は、対象における癌、脳卒中、自己免疫性糖尿病、神経疾患、炎症性疾患、代謝性疾患または心血管疾患を処置する方法であって、本明細書に記載のニラパリブ遊離塩基、例えば、結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態Iの有効量を対象に投与することを含んでなる、方法を提供する。また、癌、脳卒中、自己免疫性糖尿病、神経疾患、炎症性疾患、代謝性疾患または心血管疾患を処置する方法に使用するための本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基、例えば、結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態Iも提供される。さらに提供されるのは、癌、脳卒中、自己免疫性糖尿病、神経疾患、炎症性疾患、代謝性疾患または心血管疾患を処置する方法で使用するための医薬の製造における本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基、例えば、結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態Iの使用である。
【0143】
さらなる態様において、本開示は、対象におけるPARP-1および/またはPARP-2媒介性の状態を処置する方法であって、本明細書に記載のニラパリブ遊離塩基、例えば、結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態Iの有効量を対象に投与する方法を提供する。また、PARP-1および/またはPARP-2媒介性の状態を処置する方法で使用するための本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基、例えば、結晶性ニラパリブ遊離塩基も提供される。さらに提供されるのは、PARP-1および/またはPARP-2媒介性の状態を処置する方法で使用するための医薬の製造における本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基、例えば、結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態Iの使用である。
【0144】
腫瘍性状態(癌)
PARP阻害剤は、BRCA1やBRCA2などの既存のDNA修復欠陥を伴う腫瘍に対する単剤療法としての、およびDNA損傷を誘発する抗がん剤と併用した場合の併用療法としての活性を示す。卵巣癌の処置におけるいくつかの進歩にもかかわらず、ほとんどの患者は最終的に再発し、追加の処置に対するその後の応答はしばしば期間が限定される。生殖細胞系にBRCA1変異またはBRCA2変異を有する女性は、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)を発症するリスクが高く、その腫瘍はPARP阻害剤による処置に特に感受性であるようである。さらに、公表された科学文献では、生殖細胞系におけるBRCA1変異もBRCA2変異も有さない白金感受性HGSOCの患者も、PARP阻害剤による処置から臨床的利益を経験する可能性があることが示されている。PARP阻害剤はDNA修復を阻害するため、BRCA変異を有する癌細胞との関連で、PARP阻害は合成致死性をもたらす。このため、BRCA遺伝子に生殖細胞変異がある患者は、PARP阻害剤による処置後に顕著な臨床的利益を示す。
【0145】
一実施形態において、処置される状態は、癌、特に、DNA修復欠陥、例えば、BRCA1変異および/またはBRCA2変異に関連する癌である。
【0146】
複数の実施形態において、癌は再発性癌である。
【0147】
複数の実施形態において、癌は、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、上皮性卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、子宮内膜癌、前立腺癌、精巣癌、膵臓癌、食道癌、頭頸部癌、胃癌、膀胱癌、肺癌(例えば、腺癌、NSCLCおよびSCLC)、骨癌(例えば、骨肉腫)、結腸癌、直腸癌、甲状腺癌、脳および中枢神経系癌、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、神経内分泌癌、ラブドイド癌、角化棘細胞腫、類表皮癌、セミノーマ、黒色腫、肉腫(例、脂肪肉腫)、膀胱癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、骨髄性障害(例えば、AML、CML、骨髄異形成症候群および前骨髄球性白血病)、およびリンパ性障害(例えば、白血病、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、ALL、CLL、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛細胞リンパ腫)であり、本明細書に記載の化合物および方法で処置し得る
【0148】
癌は、頭頸部癌、乳癌(例えば、転移性乳癌)、前立腺癌(例えば、転移性前立腺癌)、精巣癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸癌、直腸癌、肺癌(例えば、非小細胞性肺癌)、膀胱癌、膵臓癌(例えば、転移性膵臓癌)、脳および中枢神経系癌(例えば、原発性悪性脳腫瘍)、神経内分泌癌、ラブドイド癌、婦人科癌、腹膜癌、皮膚癌、甲状腺癌、食道癌、子宮頸癌、胃癌、肝臓癌、胃癌、腎細胞癌、胆道癌、血液癌、骨癌、血液癌から選択され得る。
【0149】
複数の実施形態において、癌は、結腸直腸癌、大腸癌、頭頸部癌、セミノーマ、肉腫、肺癌、肺腺癌、膀胱癌、バレット腺癌、腎臓癌、類表皮癌および肝臓癌から選択される。複数の実施形態において、癌は、膠芽腫、星状細胞腫、黒色腫(例えば、転移性黒色腫)、中皮腫、骨髄腫、角化棘細胞腫、神経芽細胞腫、組織球性リンパ腫およびリンパ球性白血病から選択される。複数の実施形態において、癌は、進行期の固形腫瘍であり得る固形腫瘍(例えば、悪性固形腫瘍)である。
【0150】
複数の実施形態において、癌は婦人科癌であり、例えば、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、乳癌から選択される。いくつかの実施形態において、婦人科癌は、HRDおよび/またはBRCA1/2変異に関連する。いくつかの実施形態において、婦人科癌は白金感受性である。その他の実施形態において、婦人科癌は白金感受性ではない。複数の実施形態において、婦人科癌は、以前は白金に基づく療法に(例えば、部分的または完全に)応答したが、その後に白金に基づく療法に対する耐性を発達させている。
【0151】
複数の実施形態において、癌は、卵巣癌、卵管癌または腹膜癌(例えば、原発性腹膜癌)である。その他の実施形態において、癌は乳癌である。
【0152】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、卵巣癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、上皮性卵巣癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、卵管癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、原発性腹膜癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、再発性卵巣癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、再発性上皮性卵巣癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、再発性卵管癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、再発性原発性腹膜癌を有する対象を処置する。
【0153】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、化学療法、例えば、白金に基づく化学療法に対する完全または部分的な応答の後に再発性卵巣癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、化学療法、例えば、白金に基づく化学療法に対する完全または部分的な応答の後に再発性上皮性卵巣癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、化学療法、例えば、白金に基づく化学療法に対する完全または部分的な応答の後に再発性卵管癌を有する対象を処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、化学療法、例えば、白金に基づく化学療法に対する完全または部分的な応答の後に再発性原発性腹膜癌を有する対象を処置する。
【0154】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、白金に基づく化学療法に対する完全または部分的な応答後の再発性卵巣癌、再発性上皮性卵巣癌、再発性卵管癌および/または再発性原発性腹膜癌を有する対象を治療し、ここで、対象は最新の白金含有レジメンから8週間以内に処置を開始する。例えば、対象は、最新の白金含有レジメンの約7週間後にニラパリブによる処置を開始することができる。例えば、対象は、最新の白金含有レジメンの約6週間後にニラパリブによる治療を開始することができる。例えば、対象は、最新の白金含有レジメンの約6週間後にニラパリブによる治療を開始することができる。例えば、対象は、最新の白金含有レジメンの約5週間後にニラパリブによる治療を開始することができる。例えば、対象は、最新の白金含有レジメンの約4週間後にニラパリブによる治療を開始することができる。例えば、対象は、最新の白金含有レジメンの約3週間後にニラパリブによる治療を開始することができる。例えば、対象は、最新の白金含有レジメンの約2週間後にニラパリブによる治療を開始することができる。例えば、対象は、最新の白金含有レジメンの約1週間後にニラパリブによる治療を開始することができる。
【0155】
複数の実施形態において、この方法は、HRD陽性状態を示す対象の癌を処置する。いくつかの実施形態において、対象は、BRCA1および/またはBRCA2に変異がないことをさらに特徴とする。HRD陽性状態は、患者サンプルにおいていくつかの指標となる染色体異常領域(Indicator Chromosomal Aberration region)を定量化することによって決定され得る。いくつかの実施形態において、対象からの腫瘍サンプルは、HRD陽性状態を有する。
【0156】
その他の実施形態において、方法は、HRDの非存在を示す対象、例えば、白金感受性の再発性卵巣癌を有する対象の癌を処置する。HRDの欠如は、染色体異常(3つの重複するカテゴリー:ヘテロ接合性の喪失、対立遺伝子の不均衡(例えば、テロメアの対立遺伝子の不均衡)または大規模な転移のうちの少なくとも1つに分類され得る染色体DNAの検出可能な変異)の欠如を特徴とし得る。
【0157】
複数の実施形態において、本明細書に記載の方法は、DNA修復経路に関与する少なくとも1種の遺伝子の欠損に関連する癌を処置する。DNA修復には、様々な経路、例えば、塩基除去修復(BER)、直接修復(DR)、二本鎖切断(DSB)修復、相同組換え修復(HRR)、ミスマッチ修復(MMR)、ヌクレオチド除去修復(NER)および非相同末端結合(NHEJ)修復が存在する。これらの経路の混乱は、癌の発症および/または成長につながる可能性がある(例えば、Kelley et al., Future Oncol. (2014) 10(7):1215-1237参照)。
【0158】
DNA修復経路に関与する例示的な遺伝子を表Aに記載する。
【表3】
【0159】
複数の実施形態において、方法は、BRCA1にもBRCA2にも生殖細胞変異がないことを示す対象の癌を処置する。いくつかの実施形態において、この方法は、BRCA1にもBRCA2にも生殖細胞変異がないことを示す白金感受性腫瘍を有する対象の癌を処置する。
【0160】
一態様において、本発明は、表Aに記載された少なくとも1種の遺伝子が欠損している癌患者を特定することを含む、癌を処置する方法を特徴とする。
【0161】
複数の実施形態において、本明細書に記載の方法は、相同組換え修復(HRR)経路に関与する少なくとも1種の遺伝子の欠損に関連する癌を処置する。複数の実施形態において、欠損は非BRCA欠損である。複数の実施形態において、欠損は、RFC2、XRCC6、POLD2、PCNA、RPA1、RPA2、ERCC3、UNG、ERCC5、MLH1、LIG1、MSH6、POLD4、RFC5、DDB2///LHX3、POLD1、FANCG、POLB、XRCC1、MPG、ERCC1、TDG、FANCA、RFC4、RFC3、APEX2、RADI、EXO1、FEN1、MLH3、MGMT、RAD51、XRCC4、RECQL、ERCC8、FANCC、OGGI、MRE11A、RAD52、WRN、XPA、BLM、MSH3、POLE2、RAD51C、LIG4、ERCC6、LIG3、RAD17、XRCC2、MUTYH、RFC1、RAD50、DDB1、XRCC5、PARP1、POLE3、XPC、MSH2、RPA3、MBD4、NTHL1、PMS2///PMS2CL、UNG2、APEX1、ERCC4、RECQL5、MSH5、POLD3、ERCC2、RECQL4、PMS1、ZFP276、POLE、XRCC3、NBN、SMUG1、FANCF、NEILI、FANCE、ATM、ATR、BAP1、BARD1、BRIP1、PALB2、RAD51B、RAD51DおよびRAD54Lからなる群から選択された2種もしくは3種以上、3種もしくは4種以上、4種もしくは5種以上、5種もしくは6種以上、6種もしくは7種以上、7種もしくは8種以上、8種もしくは9種以上、9種もしくは10種以上、10種もしくは11種以上、11種もしくは12種以上、12種もしくは13種以上、13種もしくは14種以上、14種もしくは15種以上、15種もしくは16種以上、16種もしくは17種以上、17種もしくは18種以上、18種もしくは19種以上、19種もしくは20種以上、20種もしくは21種以上、21種もしくは22種以上、22種もしくは23種以上、23種もしくは24種以上、24種もしくは25種以上、25種もしくは26種以上、26種もしくは27種以上、27種もしくは28種以上、28種もしくは29種以上、29種もしくは30種以上、または30種もしくは31種以上の遺伝子に存在する。
【0162】
複数の実施形態において、表Bに記載された16種の遺伝子のうちの少なくとも1種に起因するHRR欠損を有する癌患者は、本明細書に記載された方法から利益を得ることができる。
【0163】
【表4】
【0164】
複数の実施形態において、HRR経路に関与する遺伝子の欠損は、事前に指定された遺伝子パネルを使用して特定される。複数の実施形態において、事前に指定された遺伝子パネルは、表Aまたは表Bに記載された遺伝子、あるいはそれらの任意の組み合わせを含む。複数の実施形態において、事前に指定された遺伝子パネルは、ATM、ATR、BAP1、BARD1、BLM、BRIP1、MRE11A、NBN、PALB2、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、RAD54LおよびXRCC2のうちの少なくとも1種、ならびにそれらの任意の組み合わせと;BRCA1およびBRCA2のうちの少なくとも1種とを含む。複数の実施形態において、事前に指定された遺伝子パネルは、ATM、ATR、BAP1、BARD1、BLM、BRIP1、MRE11A、NBN、PALB2、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、RAD54LおよびXRCC2のそれぞれと;BRCA1およびBRCA2のうちの少なくとも1種とを含む。複数の実施形態において、事前に指定された遺伝子パネルは、ATM、ATR、BAP1、BARD1、BLM、BRIP1、MRE11A、NBN、PALB2、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、RAD54L、XRCC2、BRCA1およびBRCA2を含む。
【0165】
複数の実施形態において、この方法は単剤療法処置である。その他の実施形態において、この方法は、併用療法処置である。
【0166】
複数の実施形態において、この方法は、結晶性ニラパリブ遊離塩基の投与が、DNA損傷を誘発する第2の療法と併用される併用療法処置である。複数の実施形態において、第2の療法は、放射線増感(電離放射線の投与)および/または化学増感(1種または2種以上のDNA損傷剤の投与)を含む。DNA損傷剤は、例えば、DNAメチル化剤(例えば、ダカルバジンまたはテモゾロミドなど)、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、カンプトテシン、トポテカンまたはイリノテカンなど)、および細胞障害剤(例えば、白金に基づく薬剤、例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)から選択される。結晶性ニラパリブ遊離塩基の投与は、第2の療法による処置の前、最中および/または後に行うことができる。このような併用療法のレジメンは、臨床医によって容易に決定可能である。
【0167】
非腫瘍性状態
複数の実施形態において、本開示の方法は、神経学的疾患または神経変性疾患、炎症性疾患、代謝性疾患、および心血管疾患または心血管状態から選択される対象の状態を処置するために使用される。そのような病気の例は、Curtinら(Mol Aspects Med. (2013) 34(6):1217-1256)によって記載されている。
【0168】
一実施形態において、この方法は、脳卒中に罹患している対象または罹患するリスクがある対象を処置する。別の実施形態において、この方法は、外傷性脳損傷に苦しんでいる対象を処置する。さらなる実施形態において、この方法は、自己免疫性糖尿病に罹患している対象または罹患するリスクがある対象を処置する。
【0169】
複数の実施形態において、神経変性疾患はパーキンソン病である。複数の実施形態において、炎症性疾患は喘息または多発性硬化症である。複数の実施形態において、心血管疾患または心血管状態は、心筋梗塞、循環ショック、多発外傷または急性呼吸窮迫症候群である。
【0170】
投与および用量
本明細書に記載の結晶性2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基は、経口、頬側、非経口(例えば静脈内、腹腔内、筋肉内または皮下)、局所、直腸または鼻腔内投与用の医薬組成物、あるいは吸入または吹送による投与に適した形態の医薬組成物として調合されてもよい。そのような投与様式および適切な医薬組成物を調製するための方法は、例えば、Gibaldi’s Drug Delivery Systems in Pharmaceutical Care (1st ed., American Society of 15 Health-System Pharmacists 2007)に記載されている。
【0171】
複数の実施形態において、ニラパリブの例示的な投与レジメンは、1日1回経口摂取される1つまたは複数の100mg用量(例えば、200mgの総1日用量に相当する2用量または300mgの総1日用量に相当する3用量)である。患者は毎日ほぼ同じ時間にこれらの用量を摂取するように勧められる場合がある。就寝時の投与は、吐き気に対処するための方法の可能性である場合がある。
【0172】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、1mg、5mg、10mg、20mg、25mg、35mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg~275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mg、1600mg、1650mg、1700mg、1750mg、1800mg、1850mg、1900mg、1950mgまたは2000mgの用量のニラパリブまたはその薬学的に許容可能な塩で、癌を有する対象を1日1回、1日2回または1日3回処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、150mg~175mg、170mg~195mg、190mg~215mg、210mg~235mg、230mg~255mg、250mg~275mg、270~295mg、290mg~315mg、310mg~335mg、330mg~355mg、350mg~375mg、または370mg~400mgの用量のニラパリブまたはその薬学的に許容可能な塩で、癌を有する対象を1日1回、1日2回または1日3回処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、22.5mg、25mg、27.5mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mgまたは100mgの用量のニラパリブまたはその薬学的に許容可能な塩で、癌を有する対象を1日1回、1日2回または1日3回処置する。
【0173】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約1mg~5mg、5mg~10mg、10mg~20mg、20mg~25mg、35mg~50mg、50mg~75mg、70mg~95mg、90mg~115mg、110mg~135mg、130mg~155mg、150mg~175mg、170~195mg、190mg~215mg、210mg~235mg、230mg~255mg、250mg~275mg、270mg~300mg、290mg~315mg、310mg~335mg、330mg~355mg、350mg~375mg、370mg~400mg、400mg~450mg、450mg~500mg、500mg~550mg、550mg~600mg、600mg~650mg、650mg~700mg、700mg~750mg、750mg~800mg、800mg~850mg、850mg~900mg、900mg~950mg、950mg~1000mg、1000mg~1050mg、1050mg~1100mg、1100mg~1150mg、1150mg~1200mg、1200mg~約1250mg、1250mg~1300mg、1300mg~1350mg、1350mg~1400mg、1400mg~1450mg、1450mg~1500mg、1500mg~1550mg、1550mg~1600mg、1600mg~1650mg、1650mg~1700mg、1700mg~1750mg、1750mg~1800mg、1800mg~1850mg、1850mg~1900mg、1900mg~1950mgまたは1950mg~2000mgの用量のニラパリブまたはその薬学的に許容可能な塩で、癌を有する対象を1日1回、1日2回または1日3回処置する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約5mg~7.5mg、7mg~9.5mg、9mg~11.5mg、11mg~13.5mg、13mg~15.5mg、15mg~17.5mg、17~19.5mg、19mg~21.5mg、21mg~23/5mg、23mg~25.5mg、25mg~27.5mg、27mg~30mg、30mg~35mg、35mg~40mg、40mg~45mg、45mg~50mg、50mg~55mg、55mg~60mg、60~65mg、65mg~70mg、70mg~75mg、75mg~80mg、80mg~85mg、85mg~90mg、90mg~95mgまたは95mg~100mgの用量のニラパリブまたはその薬学的に許容可能な塩で、癌を有する対象を1日1回、1日2回または1日3回処置する。
【0174】
好ましい実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、経口投与用に、例えば、固形形態に調合される。
【0175】
好ましい実施形態において、医薬組成物は、経口組成物、より好ましくは固形経口剤形(例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒または小袋)である。経口組成物は、単位用量の形態で提供され得、ここで、1つまたは複数の単位用量は、一緒にされて、対象への投与のための有効量を提供する。
【0176】
経口投与用の固形剤形(例えば、カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、有効成分は、1種または2種以上の本明細書に記載の薬学的に許容可能な賦形剤と混合される。カプセル、錠剤およびピルの場合には、医薬組成物はまた、緩衝剤を含むことができる。同様のタイプの固形組成物はまた、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤、賦形剤(例えば、ラクトースまたは乳糖)ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して調製可能である。一例として、医薬組成物がカプセルの形態で提供される場合には、組成物は、カプセルを満たすために使用される粉末ブレンドを作製するために組み合わされる1種または2種以上の成分を含むことができる。粉末ブレンドは、ゼラチンカプセル、例えば、サイズ0のゼラチンカプセルに充填可能である。そのような場合には、「医薬組成物」という用語は、一般に、カプセルの内容物、すなわち粉末ブレンドを指すものとして理解されるべきである。
【0177】
タブレットは、圧縮または成形によって、場合により1つまたは複数の補助的な成分を使用して、作製されてもよい。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤および/または分散剤を使用して調製可能である。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末有効成分の混合物を適切な機械で成形することによって製造可能である。錠剤およびその他の固形剤形(例えば、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒)は、場合により、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティングおよび当技術分野で周知のその他のコーティングでスコアリングまたは調製可能である。
【0178】
複数の実施形態において、治療有効量のニラパリブを対象に投与するための固形剤形は、本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基を約1mg~約1000mgの量で含む。複数の実施形態において、固形剤形は、約25mg~約750mgの結晶性ニラパリブ遊離塩基、例えば、約50mg~約500mg、約60mg~約400mgまたは約75mg~約300mgの結晶性ニラパリブ遊離塩基を含む。その他の実施形態において、固形剤形は、約50~約300mgの結晶性ニラパリブ遊離塩基を含む。複数の実施形態において、固形剤形は、約50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mgまたは350mgの結晶性ニラパリブ遊離塩基を含む。複数の実施形態において、治療有効量のニラパリブを対象に投与するための固形剤形は、約100mgを超える量の本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基を含む。複数の実施形態において、固形剤形は、約120mg、140mg、160mg、180mg、200mg、220mg、240mg、260mgまたは280mgを超える量の本明細書に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基を含む。
【0179】
複数の実施形態において、固形剤形における結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、上記の量)の充填量は、医薬組成物の重量の少なくとも25%が結晶性ニラパリブ遊離塩基であるようにされる。複数の実施形態において、結晶性ニラパリブ遊離塩基の充填量は、医薬組成物の少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%または少なくとも80重量%である。
【0180】
複数の実施形態において、固形剤形は、1つ、2つまたは3つの単位用量として提示される。複数の実施形態において、固形経口剤形は、本明細書に記載の方法で使用のための治療有効量の結晶性ニラパリブ遊離塩基を提供するように、1日1回、1日2回または1日3回投与される。好ましい実施形態において、固形剤形は、1日1回投与される単回単位用量として提示される。すなわち、それは、治療上有効な1日量の結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、約300mg)を提供する。別の好ましい実施形態において、固形剤形は、一緒にまたは別々に投与される2つの単位剤形として提示される。すなわち、それらの間で治療上有効な1日量の結晶性ニラパリブ遊離塩基(例えば、単位用量あたり約150mg)を提供する。
【0181】
頬側投与の場合、組成物は、従来の方法で調合された錠剤またはロゼンジの形態をとることができる。
【0182】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、非経口手段、例えば、局所適用、経皮適用、注射などによって投与される。関連する実施形態において、医薬組成物は、注射、注入または移植(例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、皮下など)によって非経口的に投与される。いずれの場合も、結晶性ニラパリブ遊離塩基の特性を利用するために、医薬組成物が固形形態で保存および/または使用されることが好ましい。
【0183】
医薬組成物は、非経口投与(従来のカテーテル法または注入を使用することを含む)のための注射可能な調合物の調製に適している可能性がある。注射用調合物は、防腐剤を加えた単位剤形(例えば、アンプルまたは複数回投与容器)で提示されてもよい。組成物は、油性ビヒクル中または水性ビヒクル中の懸濁液または乳濁液などの形態をとることができ、当業者によって認識される配合剤、例えば、懸濁剤、安定剤および/または分散剤を含むことができる。あるいは、有効成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば、無菌パイロジェンフリー水で再構成するための粉末形態であり得る。
【0184】
医薬組成物は、無菌の注射可能な調合物の調製に適している可能性がある。これらの調合物は、例えば、細菌保持フィルターによる濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくはその他の滅菌注射媒体に溶解可能な滅菌固形組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって滅菌可能である。そのような組成物を調製するために、有効成分は、非経口的に許容可能な液体ビヒクルに溶解または懸濁される。例示的なビヒクルおよび溶媒には、水;適切な量の塩酸、水酸化ナトリウムまたは適切な緩衝液の添加によって適切なpHに調整された水;1,3-ブタンジオール;リンゲル液;および等張塩化ナトリウム溶液が含まれるが、これらに限定されない。医薬組成物はまた、1種または2種以上の防腐剤、例えば、メチル、エチルまたはn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエートを含み得る。溶解性を改善するために、溶解促進剤または可溶化剤を添加することができ、あるいは、溶媒は10~60重量%のプロピレングリコールなどを含むことができる。
【0185】
医薬組成物は、1種または2種以上の薬学的に許容可能な滅菌等張性の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液、または滅菌粉末を含むことができ、これらは使用直前に滅菌注射可能溶液または分散液に再構成可能である。そのような医薬組成物は、抗酸化剤;緩衝液;静菌薬;調合物を目的のレシピエントの血液と等張にさせる溶質;懸濁剤;増粘剤;防腐剤などを含むことができる。
【0186】
本発明の医薬組成物に使用することができる適切な水性および非水性担体の例には、水;エタノール;ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物;植物油(例えば、オリーブオイル);ならびに注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が含まれる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料(例えば、レシチン)の使用、分散液の場合には必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。いくつかの実施形態において、有効成分の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅延させることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶性材料の液体懸濁液を使用することによって達成され得る。この場合には、有効成分の吸収速度はその溶解速度に依存し、ひいては、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与された有効成分の吸収遅延は、化合物を油性ビヒクルに溶解させるまたは懸濁することによって達成される。さらに、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0187】
放出制御される非経口組成物は、水性懸濁液、ミクロスフェア、マイクロカプセル、磁性ミクロスフェア、油溶液、油懸濁液、乳濁液の形態であり得、あるいは有効成分は、生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラントまたは注入デバイスに組み込まれ得る。ミクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製に使用するための材料には、生分解性ポリマー/生体内分解性ポリマー、例えば、ポリグラクチン、ポリ-(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-L-グルタミン)およびポリ(乳酸)が含まれるが、これらに限定されない。制御放出される非経口調合物を調合するときに使用され得る生体適合性担体には、炭水化物、例えば、デキストラン;タンパク質、例えば、アルブミン、リポタンパク質または抗体が含まれる。インプラントに使用する材料は、非生分解性、例えば、ポリジメチルシロキサン、または生分解性、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)またはポリ(オルトエステル)であり得る。
【0188】
局所投与の場合、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、軟膏またはクリームとして調合されてもよい。結晶性ニラパリブ遊離塩基はまた、直腸組成物、例えば、坐剤または保持浣腸に調合され得、直腸組成物は、例えば、従来の坐剤ベース、例えば、カカオバターまたはその他のグリコシドを含む。
【0189】
鼻腔内投与または吸入による投与の場合、結晶性ニラパリブ遊離塩基は、患者によって圧搾または圧送されるポンプスプレー容器からの溶液または懸濁液の形態で、または適切な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適切なガスの使用を伴う加圧容器またはネブライザーからのエアロゾルスプレーの提示として都合よく送達され得る。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、計量された量を供給するためのバルブを提供することによって決定され得る。加圧された容器またはネブライザーは、溶液または懸濁液を含み得る。吸入器または吹送器で使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンから作製される)は、結晶性ニラパリブ遊離塩基と適切な粉末ベース(例えば、ラクトースまたはデンプン)との粉末混合物を含むように調合され得る。
【0190】
その他の態様において、本発明は、療法において使用するための、例えば、本明細書で定義される方法で使用するための本明細書に記載されるような剤形または医薬組成物を提供する。
【0191】
その他の態様において、本発明は、使用説明が記載された密封容器内に本明細書に記載の医薬組成物の複数の単位用量を含む製造品(例えば、キット)を提供する。複数の実施形態において、製造品は、誘導シール、乾燥剤またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0192】
併用療法
本明細書に記載のニラパリブ遊離塩基の結晶形態は、単剤療法として、または1つまたは複数の追加の治療薬の投与または治療ラインとの併用療法として有用であり得る。
【0193】
例えば、本明細書に記載のニラパリブ遊離塩基の結晶形態は、外科手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、抗血管新生剤または抗炎症剤と組み合わせて投与され得る。
【0194】
ニラパリブ遊離塩基の結晶形態が1種または2種以上の異なる治療薬(例えば、本明細書に記載されるような)と組み合わせて投与される場合、ニラパリブ遊離塩基の結晶形態の投与は、1種または2種以上の異なる治療薬の投与と連続して起こり得る。例えば、ニラパリブ遊離塩基の結晶形態の投与は、1種または2種以上の異なる治療薬の投与の前に行われる。複数の実施形態において、ニラパリブ遊離塩基の結晶形態の投与は、1種または2種以上の異なる治療薬の投与後に行われる。その他の実施形態において、ニラパリブ遊離塩基の結晶形態の投与は、1種または2種以上の異なる治療薬の投与と同時に行われる。
【0195】
複数の実施形態において、本明細書に記載のニラパリブ遊離塩基の結晶形態は、1種または2種以上の免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。複数の実施形態において、チェックポイント阻害剤は、PD-1(例えば、抗PD-1、抗PD-L1または抗PD-L2療法による阻害)、CTLA-4、TIM-3、TIGIT、LAG(例えば、LAG-3)、CEACAM(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)、VISTA、BTLA、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GALS、アデノシン、TGFR(例えば、TGFRベータ)、B7-H1、B7-H4(VTCN1)、OX-40、CD137、CD40、IDOまたはCSF-1Rのいずれかを阻害することができる薬剤である。複数の実施形態において、チェックポイント阻害剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属または毒素である。複数の実施形態において、チェックポイント阻害剤は、抗体、抗体コンジュゲートまたはそれらの抗原結合フラグメントである。
【0196】
複数の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤である。複数の実施形態において、PD-1阻害剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体、抗体コンジュゲートまたはそれらの抗原結合フラグメント)、炭水化物、脂質、金属または毒素である。複数の実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-1結合剤(例えば、抗体、抗体コンジュゲートまたはそれらの抗原結合フラグメント)である。複数の実施形態において、PD-1結合剤は、抗体、抗体コンジュゲートまたはそれらの抗原結合フラグメントである。複数の実施形態において、PD-1結合剤は、TSR-042、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、PDR-001、チスレリズマブ(BGB-A317)、セミプリマブ(REGN2810)、LY-3300054、JNJ-63723283、MGA012、BI-754091、IBI-308、カムレリズマブ(HR-301210)、BCD-100、JS-001、CX-072、BGB-A333、AMP-514(MEDI-0680)、AGEN-2034、CS1001、Sym-02l、SHR-1316、PF-06801591、LZM009、KN-035、AB122、ジェノリムズマブ(CBT-501)、FAZ-053、CK-301、AK 104またはGLS-010である。複数の実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-L1またはPD-L2結合剤、例えば、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BGB-A333、SHR-1316、FAZ-053、CK-301またはPD-L1ミラモレキュールまたはそれらの誘導体である。複数の実施形態において、抗PD-1剤はペンブロリズマブである。複数の実施形態において、抗PD-1剤はニボルマブである。いくつかの実施形態において、PD-1抗体剤は、国際特許出願公開番号WO2014/179664、WO2018/085468またはWO2018/129559に開示されている通りである。さらなる実施形態において、PD-1抗体剤は、国際特許出願公開番号WO2014/179664、WO2018/085468またはWO2018/129559に開示された方法に従って投与される。複数の実施形態において、抗PD-1剤は、TSR-042である。
【0197】
複数の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、TIM-3阻害剤である。複数の実施形態において、TIM-3阻害剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体、抗体コンジュゲートまたはそれらの抗原結合フラグメント)、炭水化物、脂質、金属または毒素である。複数の実施形態において、TIM-3阻害剤は、TIM-3結合剤(例えば、抗体、抗体コンジュゲートまたはそれらの抗原結合フラグメント)である。複数の実施形態において、TIM-3結合剤は、抗体、抗体コンジュゲートまたはそれらの抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態において、TIM-3抗体剤は、MBG453、LY3321367、Sym023、TSR-022またはそれらの誘導体である。いくつかの実施形態において、TIM-3抗体剤は、国際特許出願公開番号WO2016/161270、WO2018/085469またはWO2018/129553に開示されている通りである。いくつかの実施形態において、TIM-3抗体剤は、国際特許出願公開番号WO2016/161270、WO2018/085469またはWO2018/129553に開示されているように投与される。いくつかの実施形態において、TIM-3抗体剤は、TSR-022である。
【0198】
複数の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG-3阻害剤である。複数の実施形態において、抗LAG-3剤は、抗体、抗体コンジュゲートまたはそれらの抗原結合フラグメントである。複数の実施形態において、抗LAG-3剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属または毒素である。複数の実施形態において、抗LAG-3剤は小分子である。複数の実施形態において、抗LAG-3剤は、LAG-3結合剤である。複数の実施形態において、抗LAG-3剤は、抗体、抗体コンジュゲートまたはそれらの抗原結合フラグメントである。複数の実施形態において、抗LAG-3剤は、IMP321、レラトリマブ(BMS-986016)、BI 754111、GSK2831781(IMP-731)、ノバルティスLAG525(IMP701)、REGN3767、MK-4280、MGD-013、GSK-2831781、FS-118、XmAb2284l、INCAGN-2385、FS-18、ENUM-006、AVA-017、AM-0003、Avacta PD-L1/LAG-3二重特異性抗体、iOnctura抗LAG-3抗体、Arcus抗LAG-3抗体、Sym022またはTSR-033である。いくつかの実施形態において、LAG-3抗体剤は、国際特許出願公開WO2016/126858または国際特許出願番号PCT/US18/30027に開示されている通りである。いくつかの実施形態において、LAG-3抗体剤は、国際特許出願公開WO2016/126858または国際特許出願番号PCT/US18/30027に開示されているように投与される。複数の実施形態において、LAG-3抗体剤は、TSR-033である。
【0199】
複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、PD-1阻害剤(例えば、TSR-042、ペンブロリズマブまたはニボルマブ)と組み合わせて投与される。複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、TIM-3阻害剤(例えば、TSR-022)と組み合わせて投与される。複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、LAG-3阻害剤(例えば、TSR-033)と組み合わせて投与される。複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、PD-1阻害剤(例えば、TSR-042、ペンブロリズマブまたはニボルマブ)およびTIM-3阻害剤(例えば、TSR-022)と組み合わせて投与される。複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、PD-1阻害剤(例えば、TSR-042、ペンブロリズマブまたはニボルマブ)およびLAG-3阻害剤(例えば、TSR-033)と組み合わせて投与される。複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、TIM-3阻害剤(例えば、TSR-022)およびLAG-3阻害剤(例えば、TSR-033)と組み合わせて投与される。複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、PD-1阻害剤(例えば、TSR-042、ペンブロリズマブまたはニボルマブ)、TIM-3阻害剤(例えば、TSR-022)およびLAG-3阻害剤(例えば、TSR-033)と組み合わせて投与される。
【0200】
複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、1種または2種以上の化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0201】
複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、白金に基づく化学療法剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチンおよびサトラプラチンのうちの1種または2種以上)と組み合わせて投与される。
【0202】
複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カンプトテシン(campothecin)、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラジオール、エストラムヌスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニスタイン、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、二塩化チタノセン、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンまたはビノレルビンである化学療法剤と組み合わせて投与される。
【0203】
複数の実施形態において、ニラパリブ錠剤組成物は、制御性T細胞(Treg)阻害剤、マクロファージ阻害剤、抗原特異的免疫応答増強剤、抗血管新生剤化学療法剤またはそれらの組み合わせである第2の薬剤と組み合わせて投与される。複数の実施形態において、第2の薬剤は、国際出願番号PCT/US18/33437(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている任意の第2の薬剤である。
【0204】
複数の実施形態において、マクロファージ阻害剤は、マクロファージ動員阻害剤(例えば、抗CCL2/CCR2剤、抗IL6剤、抗M-CSFR剤およびそれらの組み合わせ)、M2マクロファージ抗生存剤、M1マクロファージ増強剤、M2からM1への分極剤、マクロファージ活性阻害剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、マクロファージ動員阻害剤は、トラベクテジン、RS102895、PF-04136309、CNTO888、MLN1202、シルツキシマブ、JNJ-28312141、GW2580、IMC-CS4(LY3022855)、エマクツズマブ、AMG820、ペキシダルチニブ、リニファニブ、OSI-930、CEP-32496、PLX7846、BLZ945、ARRY-382、JNJ-40346527、MCS110、PLX3397、PLX6134、PD-0360324、FPA008およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、M2マクロファージ抗生存剤は、MMP阻害剤、クロドロネート、ゾレドロン酸、ジクロロメチレンビスホスホネート、トラベクテジン、ダサチニブ、レチノイン酸、弱毒化細菌(例えば、Shigella flexneri、Salmonella typhimurium、Listeria monocytogens、Chlamydia psittaci、Legionella pneumophila)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、M1マクロファージ増強剤またはM2からM1への分極剤は、抗CD40剤、抗IL-10R剤、CD47アンタゴニスト(例えば、Hu5F9-G4、CC-90002およびCD47-Fc融合タンパク質TTI-621)PolyI:C、LPS、モノホスホリルA、イミキモド、R-848、CpG-ODN、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、GM-CSF、IL-12、IL-2、IL-15、Tαl、イブルチニブ、EF-022およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、マクロファージ活性阻害剤は、STAT3阻害剤、STAT6阻害剤または抗腫瘍薬剤からなる群から選択される(例えば、マクロファージ活性阻害剤は、WP1066、スニチニブ、ソラフェニブ、STA-21、IS3 295、S3I-M2001、AS1517499、レフルノミド、TMC-264、ヒスチジンリッチ糖タンパク質(HRG)、銅キレート(CuNG)、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(MDXAA)、バジメザン(ASA404)、シスプラチン、シリビニン、プロトンポンプ阻害剤パントプラゾール(PPZ)、CNI-1493またはそれらの組み合わせである)。複数の実施形態において、マクロファージ阻害剤は、抗IL-1α剤(例えば、キシロニックス)である。
【0205】
複数の実施形態において、制御性T細胞(Treg)阻害剤は、Treg除去剤、Treg遊走阻害剤、Treg機能阻害剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、Treg除去剤は、シクロホスファミド、パクリタキセル、イマチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、テモゾロミド、ダクリズマブ、デニロイキンジフチトックスおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、Treg遊走阻害剤は、AMD3100、モガムリズマブ、カジュアリニン、フコイダンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、Treg機能阻害剤は、抗CTLA4剤(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ)、抗OX40剤、抗GITR剤、アデノシン受容体アンタゴニスト(例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミンおよび8-フェニルキサンチン)、P60およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0206】
複数の実施形態において、抗原特異的免疫応答増強剤は、抗PD-1剤、抗PD-L1剤、GITR(グルココルチコイド誘発性TNFR関連タンパク質)刺激剤、抗CTLA4剤、抗TIM-3剤、抗LAG-3剤、抗IDO剤、腫瘍抗原提示を増強する薬剤(例えば、個別化癌ワクチン、自己抗原提示細胞、自己樹状細胞、人工抗原提示細胞)、ケモカインシグナル伝達剤、抗VEGF剤、サイトカインシグナル刺激剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0207】
複数の実施形態において、GITR刺激剤は、DTA-1、mGITRL、pGITRLおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、抗CTLA4剤は、イピリムマブ、トレメリムマブおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、ケモカインシグナル伝達剤は、CXCL16、CXCR6ケモカイン受容体(CD186)アゴニストおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、抗VEGF剤は、ベバシズマブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、バンデタニブ、ラムシルマブ、レンバチニブ、ジブアフリベルセプトおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、サイトカインシグナル刺激剤は、インターロイキンまたはインターフェロンである。複数の実施形態において、インターロイキンは、IL-2、IL-1、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。複数の実施形態において、インターフェロンは、IFNアルファである。
【0208】
複数の実施形態において、抗原特異的免疫応答増強剤は、フラボノイド(例えば、フラボノイド配糖体)、リドカイン、ラモトリジン、スルファメトキサゾール、フェニトイン、カルバマゼピン、スルファメトキサゾール、フェニトイン、アロプリノール、パラセタモール、メピバカイン、p-フェニレンジアミンおよびモキシフロキサシンからなる群から選択される。
【0209】
複数の実施形態において、抗血管新生剤は、TNP-470、血小板第4因子、トロンボスポンジン-1、メタロプロテアーゼの組織阻害剤(TIMP1およびTIMP2)、プロラクチン、アンギオスタチン、エンドスタチン、bFGF可溶性受容体、トランスフォーミング成長因子ベータ、インターフェロンアルファ、可溶性KDR受容体、可溶性FLT-1受容体、胎盤プロリフェリン関連タンパク質およびそれらの組み合わせである。複数の実施形態において、抗血管新生剤は、血管新生促進因子の産生の減少、血管新生促進因子と血管新生促進受容体との間の相互作用の阻害、血管新生促進因子の機能の阻害、血管新生促進受容体の機能の阻害、血管の破壊による血流の減少、血管の成長の阻害、またはそれらの任意の組み合わせを引き起こす。複数の実施形態において、抗血管新生剤は、小さな有機または無機分子;サッカリン;オリゴ糖;多糖類;炭水化物;ペプチド;タンパク質;ペプチド類似体;ペプチド誘導体;脂質;抗体;抗体フラグメント、ペプチド模倣物;核酸;核酸類似体;核酸誘導体;生体材料から作られた抽出物;天然または合成の組成物;金属;毒素;またはそれらの任意の組み合わせである。複数の実施形態において、抗血管新生剤は、ベバシズマブ、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470、フマギリン、CM101、IL-12、血小板第4因子、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、血管新生抑制ステロイド、ヘパリン、軟骨由来血管新生阻害因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、アンギオスタチン、エンドスタチン、2-メトキシエストラジオール、テコガラン、テトラチオモリブデート、トロンボスポンジン、サリドマイド、プロラクチン、αVβ3阻害剤、レナリドミド、リノミド、ラムシルマブ、タスキニモド、ラニビズマブ、ソラフェニブ、スニチニブ、パソパニブ、エベロリムス、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP1およびTIMP2)、bFGF可溶性受容体、トランスフォーミング成長因子ベータ、インターフェロンアルファ、可溶性KDR受容体、可溶性FLT-1受容体、胎盤プロリフェリン関連タンパク質、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、ポナチニブ、カボザンチニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、レンバチニブ、セマキサニブ、SU6668、バタラニブ、チボザニブ、セディラニブ、プロタミン、ヘパリン、ステロイド、アスコルビン酸エーテル、硫酸化多糖類DS4152、フマギリン、AGM 12470、ネオバスタット、RO4929097、MRK-003、MK-0752、PF03084014、MEDI0639、クルクミン、3,3’-ジインドリルメタン(DIM)、レスベラトロール、3,5-ビス(2,4-ジフルオロベンジリデン)-4-ピペリドン(DiFiD)およびエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)、ホノキオール、OMP-21M18、navicixizumab(OMP-305B83)、Flt2-11、CBO-P11、Je-ll、V1およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0210】
いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、DLL4/Notchシグナル伝達経路を阻害する。
【0211】
いくつかの実施形態において、DLL4/Notchシグナル伝達経路を阻害する血管新生阻害剤は、ガンマ-セクレターゼ阻害剤(GSI)、siRNA、またはNotch受容体もしくはリガンドに対するモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、RO4929097、MRK-003、MK-0752、PF03084014、MEDI0639、クルクミン、3,3’-ジインドリルメタン(DIM)、レスベラトロール、3,5-ビス(2,4-ジフルオロベンジリデン)-4-ピペリドン(DiFiD)およびエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)、ホノキオールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0212】
いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、血管内皮増殖因子(VEGF)/血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)経路を阻害する。いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、Akt阻害剤、カルシニューリン自己阻害ペプチド、ET-18-OCH3、Go 6983、NG-ニトロ-L-アルギニンメチルエステル、p2l活性化キナーゼ阻害剤、cPLA2α阻害剤、PI-103、PP2、SB203580、U0126、VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤V、VEGFR2キナーゼ阻害剤VI、VEGFR2キナーゼ阻害剤III、ZM336372およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0213】
いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、VEGFファミリータンパク質および/またはVEGFRファミリータンパク質を阻害する。いくつかの実施形態において、VEGFファミリータンパク質は、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、PlGF(胎盤成長因子)、VEGF-E(Orf-VEGF)、ハブsvVEGFまたはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、ベバシズマブ、ラニビズマブ、OPT-302、ジブアフリベルセプト、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、Flt2-11、CBO-P11、Je-11、V1またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、ポナチニブ、カボザンチニブ、レゴラフェニブ、バンデタニブ、レンバチニブ、セマキサニブ、SU6668、バタラニブ、チボザニブ、セディラニブまたはそれらの任意の組み合わせである。
【0214】
本明細書で一般的に説明されてきたが、本発明をさらに説明するために、以下の非限定的な例が提供される。
【0215】
本発明の例示的な態様および実施形態
本発明の例示的な態様および実施形態は、本明細書に記載されており、項1~40を含む。
【0216】
項1
結晶性2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基。
【0217】
項2
2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態I。
【0218】
項3
18.7°±0.2°の2θのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、項2のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0219】
項4
18.7°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのピークを含むXRPDパターンを有する、項2または3のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0220】
項5
18.7°±0.2°および19.6°±0.2°の2θのピークを含むXRPDパターンを有する、項2または3のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0221】
項6
18.7°±0.2°、19.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~5のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0222】
項7
16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのうちの1つまたは複数のピークを含むXRPDパターンを有する、項2~6のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0223】
項8
16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのうちの少なくとも2つのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~7のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0224】
項9
16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのうちの少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~8のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0225】
項10
16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのうちの少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~9のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0226】
項11
16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°および22.5°±0.2°の2θのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~10のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0227】
項12
15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θのうちの1つまたは複数のピークを含むXRPDパターンを有する、項2~11のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0228】
項13
15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θのうちの少なくとも2つのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~12のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0229】
項14
15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θのうちの少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~13のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0230】
項15
15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および/または29.3°±0.2°の2θのうちの少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~14のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0231】
項16
15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、22.4°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~15のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0232】
項17
15.6°±0.2°、16.5°±0.2°、16.9°±0.2°、18.7°±0.2°、19.6°±0.2°、21.6°±0.2°、22.4°±0.2°、22.5°±0.2°、23.2°±0.2°および29.3°±0.2°の2θのピークを含むXRPDパターンを有する、項2~16のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0233】
項18
以下の表:
【表5】
に記載の、2θ値を有するピークと場合により相対強度とを含むXRPDパターンを有する、項1~17のいずれか一項のニラパリブ遊離塩基の結晶形態I。
【0234】
項19
実質的に図1に示されるXRPDパターンを特徴とする、項1~18のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基。
【0235】
項20
約1652cm-1のピークおよび約1608cm-1のピークを含む赤外線(IR)スペクトルを特徴とする、項1~19のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基。
【0236】
項21
実質的に図4に示される赤外線(IR)スペクトルを特徴とする、項1~20のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基。
【0237】
項22
約960.3cm-1、約1457.5cm-1および約1607.0cm-1のピークを含むラマンスペクトルを特徴とする、項1~21のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基。
【0238】
項23
実質的に図5に示されるラマンスペクトルを特徴とする、項1~22のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基。
【0239】
項24
約185~195℃の融点を特徴とする、項1~23のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基。
【0240】
項25
実質的に図6に示されるようなDTAサーモグラムを特徴とする、項1~24のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基。
【0241】
項26
実質的に図7に示されるようなDSCサーモグラムを特徴とする、項1~25のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基。
【0242】
項27
約25℃および相対湿度約90%以下において約1重量%未満の水を吸着することを特徴とする、項1~26のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基。
【0243】
項28
2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミド(ニラパリブ)遊離塩基の結晶形態II、III、IVまたはV。
【0244】
項29
項1~28のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基を含む組成物であって、アモルファスニラパリブ、薬学的に許容可能なニラパリブの塩および/またはその他の任意の固体形態のニラパリブもしくはニラパリブ塩を実質的に含まない、前記組成物。
【0245】
項30
組成物中の全ニラパリブの約10%未満(または約5%未満)が、前記アモルファスニラパリブ、前記薬学的に許容可能なニラパリブの塩および/またはその他の任意の固体形態のニラパリブまたはニラパリブ塩の形態である、項29の組成物。
【0246】
項31
項1~28のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基または項29もしくは30の組成物と、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【0247】
項32
療法に使用するための、項1~28のいずれか一項に記載の結晶性ニラパリブ遊離塩基、項29もしくは30の組成物または項31の医薬組成物。
【0248】
項33
医薬の製造における、項1~28のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基、項29もしくは30の組成物または項31の医薬組成物の使用。
【0249】
項34
対象における癌、脳卒中、自己免疫性糖尿病、神経疾患、炎症性疾患、代謝性疾患または心血管疾患を処置する方法であって、項1~28のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基、項29もしくは30の組成物または項31の医薬組成物の有効量を前記対象に投与することを含んでなる、前記方法。
【0250】
項35
前記方法が癌を処置する方法である、項34の方法。
【0251】
項36
前記癌が、BRCA1変異および/またはBRCA2変異に関連する、項35の方法。
【0252】
項37
前記癌が、ATM、ATR、BAP1、BARD1、BLM、BRIP1、MRE11A、NBN、PALB2、RAD51、RAD51B、RAD51C、RAD51D、RAD52、RAD54LもしくはXRCC2の変異またはそれらの任意の組み合わせに関連する、項35または36の方法。
【0253】
項38
前記癌が、上皮性卵巣癌、卵管癌または原発性腹膜癌である、項35~37のいずれか一項の方法。
【0254】
項39
項34~38のいずれか一項に定義された方法で使用するための、項1~28のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基、項29もしくは30の組成物または項31の医薬組成物。
【0255】
項40
項34~38のいずれか一項に定義された方法で使用するための医薬の製造における、項34~38のいずれか一項に定義された方法で使用するための、項1~28のいずれか一項の結晶性ニラパリブ遊離塩基、項29もしくは30の組成物または項31の医薬組成物の使用。
【実施例
【0256】
分析手順
X線粉末回折
通常、PANalytical X’pert proでXRPD分析を実施し、3~35°の2θにおいてサンプルをスキャンした。試料を穏やかに粉砕して、凝集をなくし、サンプルをサポートするためのカプトンまたはマイラーポリマーフィルムを備えたマルチウェルプレートにロードした。次いで、マルチウェルプレートを回折計に配置し、40kV/40mAジェネレーター設定を使用する透過モード(ステップサイズ0.0130°の2θ)で実行するCu K線(αλ=1.54060Å;α=1.54443Å;β=1.39225Å;α:α比=0.5)を使用して分析した。
【0257】
特に明記しない限り、XRPD分析は、室温、室内圧力および約30~約50%(例えば、約40%)の相対湿度において実施された。
【0258】
NMR分析
通常、DCHクライオプローブを備えたBrukerAVIIIHD分光計でNMR法を実施した。試験を重水素化DMSO中で行い、各サンプルを約10mMの濃度に調製した。特に明記しない限り、NMRスペクトルは室温(例えば約300K)で取得された。
【0259】
高速液体クロマトグラフィー-紫外線検出(HPLC-UV)
通常、以下のパラメータを使用してHPLCを実行した。
カラム:Waters Symmetry C18、150×3.9mm、5μm
カラム温度:40℃
オートサンプラー温度:5℃
UV波長:220nm
注入量:4.3μL
流量:1.962mL/min
移動相A:0.1%過塩素酸水溶液
移動相B:アセトニトリル
【0260】
通常使用される勾配プログラムは以下の通りであった。
【表6】
【0261】
ガスクロマトグラフィー(GC)
通常、水素炎イオン化検出器(240℃)を備えたDB-624カラム(30m×0.32mm、1.8μm)を使用する島津GC2010機器で、CG分析を実施した。キャリアガスは窒素(30mL/min)であり、水素および空気の流量はそれぞれ40mL/minおよび400mL/minであった。1.00μLの注入量を使用し、カラム流量は1.2mL/min(線速度)であった。通常使用されるプログラムは以下の通りであった。
射出温度:200℃
45℃における保持:5分
傾斜:10℃/分
220℃における保持:5分
実行時間:25.5分
【0262】
偏光顕微鏡(PLM)
通常、Moticのカメラおよび画像キャプチャソフトウェア(Motic Images Plus 2.0)を備えたOlympusBX50偏光顕微鏡を使用して、結晶化度(複屈折)の存在を決定した。特に明記しない限り、20倍の対物レンズを使用して、すべての画像を記録した。
【0263】
走査型電子顕微鏡(SEM)
通常、カールツァイスシグマ電界放出SEMを使用して、SEM分析を実施した。サンプルを、カーボンタブを使用してスタブにマウントし、15nm AuPdでコーティングして、5KV、30μmの開口部、5mmの作動距離で画像化した。
【0264】
赤外分光法(FT-IR)
通常、Bruker ALPHA P分光計で赤外分光法を実施した。十分な試料を分光計のプレートの中央に配置し、以下のパラメータを使用してスペクトルを取得した。
解像度:4cm-1
バックグラウンドスキャン時間:16スキャン
サンプルスキャン時間:16スキャン
データ収集:4000~400cm-1
結果スペクトル:透過率
ソフトウェア:OPUSバージョン6
【0265】
熱重量分析(TGA)
通常、約5mgの試料を開いたアルミニウムパンに量り取り、熱重量/示差熱同時測定装置(TG/DTA)にロードし、室温で保持した。次いで、10℃/minの速度で20℃から350℃にサンプルを加熱した。その間、サンプル重量の変化を温度差イベント(DTA)とともに記録した。パージガスとして窒素を300cm/minの流量で使用した。
【0266】
示差走査熱量測定(DSC)
通常、約5mgの試料をアルミニウムDSCパンに量り取り、穴の開いたアルミニウム蓋で非密封的に閉じた。次いで、サンプルパンをセイコーDSC6200(クーラーを装備)にロードし、冷却して20℃に保持した。安定した熱流応答が得られたら、サンプルおよびリファレンスを10℃/minのスキャン速度で、(可能であれば)融解するまで、加熱し、得られた熱流応答をモニターした。パージガスとして窒素を50cm/minの流量で使用した。
【0267】
可変温度X線粉末回折(VT-XRPD)
通常、温度チャンバーを備えたPhilips X’Pert Pro多目的回折計でVT-XRPD分析を実施した。40kV/40mAジェネレーター設定を使用するBragg-Brentanoジオメトリ(ステップサイズ0.008°の2θ)により実施するCu K線(αλ=1.54060Å;α=1.54443Å;β=1.39225Å;α:α比=0.5)を使用して4~35°の2θにおいて、サンプルをスキャンした。プログラムは以下の通りであった(特に明記されていない限り)。
・10℃/minで25℃に加熱→5分間保持→スキャン
・10℃/minで200℃に加熱→5分間保持→スキャン
・-10℃/minで25℃に冷却→5分間保持→スキャン
・10℃/minで122℃に加熱→5分間保持→スキャン
・10℃/minで132℃に加熱→5分間保持→スキャン
・10℃/minで150℃に加熱→5分間保持→スキャン
・10℃/minで168℃に加熱→5分間保持→スキャン
・10℃/minで171℃に加熱→5分間保持→スキャン
・10℃/minで200℃に加熱→5分間保持→スキャン
・-10℃/minで25℃に冷却→5分間保持→スキャン
【0268】
重量法蒸気吸着測定(GVS)
通常、約10~20mgのサンプルをメッシュ蒸気吸着秤量皿に入れ、Hiden Analytical製のIGASorp水分吸着測定装置の天秤に載置した。サンプルを10%の増分で40%から90%の相対湿度(RH)までの傾斜プロファイルに供し、安定した重量が達成されるまで各ステップでサンプルを25℃で維持した(98%でステップ完了、最小ステップ長30分、最大ステップ長60分)。吸着サイクルの完了後、サンプルを同じ手順を使用して0%RHまで乾燥させ、最後に開始点の40%RHに戻した。2度のサイクルを実施した。吸着/脱着サイクル中の重量変化をプロットし、サンプルの吸湿性を測定できるようにした。
【0269】
例1:結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態I
ニラパリブトシレート一水和物(例えば、WO2014/088983またはPCT/US2018/029131に記載のニラパリブから得られる)の水酸化ナトリウムによる変換と、それに続く2-MeTHFからの結晶化によって、ニラパリブ遊離塩基(形態I)を調製した。
【0270】
ニラパリブ遊離塩基の調製(形態I)
50.0g(97.9mmol)のニラパリブトシレート一水和物の2-MeTHF(1L)混合液に、室温で1%NaOH溶液(500mL)を添加した。混合液を30分間撹拌した後、水層を分離し、2-MeTHF(0.5L、2回)で抽出した。合わせた有機層を水(1L)で洗浄した。約20mLの懸濁液が残るまで、溶液を30℃未満でゆっくりと部分真空下で濃縮した。混合液を室温で30分間撹拌し、固体を濾過により回収して、23.8g(75.9%)のオフホワイトの結晶性固体(m.p.189℃)を得た。[M+H]はm/z 321であり、予想される同位体パターンであった。純度はHPLCにより約99.9%であることが見出された。
【0271】
1H NMR (500.12 MHz, DMSO-d6) δ 9.27 (s, 1H), 8.59 (dd, 1H, J=1.8, 4.7 Hz), 8.07 (dd, 1H, J=1.1, 7.0 Hz), 8.04 (d, 2H, J=8.7 Hz), 8.02 (dd, 1H, J=1.1, 8.1 Hz), 7.90 (br. s, 1H), 7.46 (d, 2H, J=8.5 Hz), 7.27 (dd, 1H, J=7.2, 8.3 Hz), 3.00 (br. d, 1H, J=12.1 Hz), 2.94 (br. d, 1H, J=12.1 Hz), 2.70 (m, 1H), 2.51 (m, 2H), 1.91, (d, 1H, J=13.0 Hz), 1.68 (m, 1H), 1.61 (m, 1H), 1.49 (m, 1H).
【0272】
13C NMR (125.77 MHz, DMSO-d6) δ 166.1, 146.5, 146.4, 138.0, 130.1, 128.7 (2C), 125.8, 123.9, 123.8, 122.3, 121.9, 121.1 (2C), 54.0, 46.4, 43.6, 32.3および27.0.
【0273】
ニラパリブ遊離塩基(形態I)の特性評価
様々な分析的な物理的および化学的方法によって、ニラパリブ遊離塩基の形態Iを特徴付けた。その結果、形態Iの遊離塩基が高度に結晶性で非吸湿性であることが示された。
【0274】
図1は、ニラパリブ遊離塩基の形態IのXRPDディフラクトグラムを示す。以下の表1に、回折角の値および相対強度を示す。
【0275】
【表7】
【0276】
可視光分光法(図2Aおよび2B)によって、ニラパリブ遊離塩基の形態Iが10μmオーダーのサイズの様々な凝集体からなることが示された。この試料は、偏光下で複屈折性であると考えられた(図2Cおよび2D)。
【0277】
図3は、様々なスケールでのニラパリブ遊離塩基の形態IのSEM分析を示す。
【0278】
図4は、ニラパリブ遊離塩基の形態IのFT-IRスペクトルを示す。以下の表2に、回折角を示す。
【0279】
【表8】
【0280】
主要な吸収バンドは構造と一致しており、3373-2807cm-1のピークはN-HおよびC-H伸縮(アミド、NHおよびアルカン/アルケン)として割り当てられ、1652のピークはC=O伸縮(アミド)として割り当てられる。1608のバンドは、NH屈曲(アミド)として割り当てられる。
【0281】
図5は、ニラパリブ遊離塩基のラマンスペクトラム(λex=785nm)を示す。以下の表3に、ピークを示す。
【0282】
【表9】
【0283】
TGサーモグラムが図6に示されており(上の線、右側の軸)、これは、最初から質量の大幅な損失がないことを示す。DTAサーモグラム(図6、対角線、左側の軸)は、鋭い吸熱イベント(ΔH=96.2J/g)を示し、これは、約188℃で開始した試料の融解のためであると思われる。
【0284】
DSCサーモグラムが図7に示されており、おそらくサンプルの融解のために、単一の鋭い吸熱イベント(開始~189.0℃)を示す。
【0285】
GVS等温線(二重サイクル)が図8に示されている。GVS分析では、90%RHにおいて約0.7%の質量増加が見られた。したがって、試料は非吸湿性である。
【0286】
カールフィッシャー滴定により、水分含有量は0.29%であると決定された(2回の実験の平均)。
【0287】
例2:アモルファスニラパリブ遊離塩基
アモルファス2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミドは、例えば、Jones et al. (J. Med. Chem., 2009, 52:7170-7185)に記載されている合成スキームに従って調製することができる。簡単に説明すると、表題化合物は、超臨界溶離液としてCOを使用するキラルSFC精製によるラセミ3-{4-[7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル]フェニル}ピペリジニウムクロリドの分離によって調製される(カラム、Chiralpak AS-H、1mm×25mm;流量=10mL/min;Tcol=35℃;Pcol=100bar;修飾剤、55%PrOH含有4%EtNH)。2-{4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル}-2H-インダゾール-7-カルボキサミドは2番目のピークとして溶出され(RT=6.51min)、溶媒を蒸発させた後、凍結乾燥すると、表題の化合物が白色の粉末(99.2%ee)として得られた。
【0288】
あるいは、表題化合物は、本明細書に開示されるニラパリブの結晶形態の1つ、例えば、例1で説明されている形態Iを溶解することによって調製された溶液の凍結乾燥によって調製され得る。簡単に説明すると、140mgのニラパリブ遊離塩基の形態Iを1,4-ジオキサン(~10mL)および水(~8mL)に(穏やかに加熱して)溶解させ、14本のバイアルに均等に分割した。次いで、これらのバイアルを-50℃で凍結させた後、一晩凍結乾燥させた。XRPDによる分析のために凍結乾燥試料の1本のバイアルを採取した。
【0289】
図9は、凍結乾燥によって調製されたアモルファスニラパリブ遊離塩基のXRPDディフラクトグラムを示しており、そこから、試料が実質的にアモルファス形態であることが観察され得る。
【0290】
例3:結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態IIおよび形態III
エタノール(形態II)ならびにMEK、2-プロパノール、アセトン、TBME、THFおよびトルエン(形態III)の溶液/懸濁液から、結晶性ニラパリブ遊離塩基を結晶形態で得た。
【0291】
簡単に説明すると、適切な溶媒の50μLアリコートを、アモルファスニラパリブ遊離塩基(例2に記載されているように得られた)のバイアルに逐次的に添加した。各添加の間に、混合物の溶解をチェックし、溶解がみられない場合には、混合物を約50℃に加熱し、再度チェックした。300μLの溶媒を添加した後、100μLのアリコートを逐次的に添加した。溶解が観察されるまで、または1mLの溶媒が添加されるまで、この手順を続けた。溶解が起こらなかった場合には、固体を濾過により単離し、XRPDパターンを収集した。溶解が起こった場合には、溶媒を蒸発させ、残った固体についてXRPDパターンを収集した。完全な溶解はエタノールでのみ観察された(約40℃に加熱)。ニラパリブ遊離塩基は2-プロパノールに部分的に溶解した。
【0292】
ニラパリブ遊離塩基の形態II(エタノールから)および形態III(アセトンから)のXRPDディフラクトグラムをそれぞれ図10および11に示す。以下の表4および5は、それぞれ図10および11の回折角の値および相対強度を示す。
【0293】
【表10】
【0294】
【表11】
【0295】
例4:結晶性ニラパリブ遊離塩基の形態IV
ニラパリブ遊離塩基の形態IVは、融解冷却サイクルを使用して得られた。
【0296】
5mgのニラパリブ遊離塩基の形態IをアルミニウムDSCパンに量り取り、穴を開けたアルミニウム蓋で非密封的に閉じた。次いで、サンプルパンをセイコーDSC6200(クーラーを装備)にロードし、冷却して20℃に保持した。安定した熱流応答が得られたら、サンプルおよびリファレンスを10℃/minのスキャン速度で、融解するまで加熱し、得られた熱流応答をモニターした。パージガスとして窒素を50cm/minの流量で使用した。試料を、融解をちょうど超えて(約200℃)加熱し、20℃に冷却し、次いで、再び融解するまで加熱した。
【0297】
最初の融解および冷却サイクルの後、DSCサーモグラム(図12に示す)は形態Iのサーモグラムとは異なり、おそらく再結晶による発熱イベント(約122℃で開始)を示した。同じ熱プロファイルでVT-XRPDを使用して評価した場合、XRPDパターンは、最初の融解冷却サイクル後にアモルファス試料が得られたことを示した(図13)。約122℃に再加熱すると、XRPDパターンは形態IVへの再結晶を示し、それはさらなる再結晶が起こった約168℃で融解が始まるまで持続した(図14)。以下の表6は、ニラパリブ遊離塩基の形態IVのXRPDディフラクトグラムからの回折角値および相対強度を示す(図14、122℃トレース)。
【0298】
【表12】
【0299】
形態IVのH-NMRスペクトル(図16、下のトレース)は形態Iのスペクトル(図16、上のトレース)と同一であり、再加熱プロセス中に化学反応は起こらなかったが、いくつかの構造変化が起こったことを示す。
【0300】
例5:ニラパリブ遊離塩基の溶解度試験
ニラパリブ遊離塩基(形態Iおよびアモルファス)の水溶解度は、様々な(生理学的に関連する)pHの条件下で評価された。
【0301】
各サンプルについて、30mgの遊離塩基をバイアルに(3回ずつ)秤量し、1mLの水または緩衝液を添加した。以下の緩衝液(いずれの場合も50mM)を使用した。
pH1:25mLのKCl溶液(1.49gを100mLの水に溶解)および42.5mLのHCl溶液(1.66mLを水で100mLにしたもの)を一緒に添加し、水で100mLにした。
pH4.5:無水酢酸ナトリウム(1.07g)を水(約150mL)に溶解した後、5.9mLの酢酸溶液(11.6mLの氷酢酸を水で100mLにしたもの)を添加した。得られた溶液を水で500mLにした。
pH6.8:25mLのKHPO溶液(2.72gを約80mLの水に溶解し、水で100mLにした)および11.2mLのNaOH溶液(800mgの水酸化ナトリウムを溶解し、水で100mLに希釈した)を一緒に添加し、水で100mLにした。
【0302】
得られたサンプルを37℃で1時間振盪した。さらに20mgの結晶性遊離塩基をpH1緩衝液サンプルに添加した。次いで、すべてのサンプルを37℃で23時間振盪した。次いで、各サンプルを濾過し、母液中のニラパリブの濃度をHPLCで評価した。濾過によって分離された固体をXRPDによって評価し、材料の形態が変化したか否かを判断した。
【0303】
アモルファスニラパリブ遊離塩基およびニラパリブ遊離塩基の形態Iの溶解度を以下の表7に示す。いずれの場合も、記録された溶解度の値は、溶液中のニラパリブの濃度に関する3回の測定の平均である。
【表13】
【0304】
表7のデータは、結晶性ニラパリブ遊離塩基が、化合物のアモルファス形態と同等(より良くはないにしても)である低pH媒体への溶解度を有することを示唆している。これは、インビボ、例えば、胃の低pH環境での化合物の投与の利点の可能性を示唆している。
【0305】
結晶性サンプルの濾過後に残った固体試料で得られたXRPDデータは、結晶形態がいずれの場合も変化していないことを示した。アモルファスサンプルの濾過後に残った固体試料で得られたXRPDデータは、新しい結晶形態が得られたことを示唆した(形態V)。図15に(水と共に振盪されたサンプルからの)例示的なXRPDスペクトルを示す。以下の表8には、図15のXRPDディフラクトグラムからの回折角の値および相対強度が記載されている。
【0306】
【表14】
【0307】
本明細書で引用されたすべての特許、公開された出願および参考文献の教示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0308】
本発明は、それらの例示的な実施形態を参照して特に示され、説明されてきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更を行うことができることが理解される。
図1
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【国際調査報告】