(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】注射装置用の可撓性カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/28 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61M5/28 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021518622
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(85)【翻訳文提出日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 IB2019057977
(87)【国際公開番号】W WO2020070576
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】102018000009131
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】320001798
【氏名又は名称】オロフィーノ・ファーマシューティカルズ・グループ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】OROFINO PHARMACEUTICALS GROUP S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】エルネスト・オロフィーノ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC09
4C066GG20
(57)【要約】
カートリッジ本体(10、20)を有する、注射液の注射装置のための可撓性カートリッジ(10)は、少なくとも注射液の第1成分を収容する第1収容チャンバ(1)であって、少なくとも1つの第1圧縮変形可能な壁を有する第1収容チャンバ(11)と、少なくとも注射液の第2成分を収容する第2収容チャンバ(21)であって、第2成分を第1収容チャンバ(1)に移送できるように、少なくとも1つの第2圧縮変形可能な壁を有する第2収容チャンバ(21)と、前記第1収容チャンバ(1)と前記第2収容チャンバ(21)との間に操作可能に介在する分離装置(12、22)であって、装置本体内に画定された少なくとも1つの流体連通ダクト(2)を含む装置本体を有し、可撓性カートリッジ(1)は、前記流体連通ダクト(2)が前記第2成分の通過しない第1動作構成と、前記ダクト(2)が前記第2成分の通過可能な第2動作構成とを想定するように構成されている、分離装置(12、22)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ本体(10、20)を有する、注射液の注射装置用の可撓性カートリッジ(10)であって、
少なくとも注射液の第1成分の第1収容チャンバ(11)であって、する第1収容チャンバ(11)と、
少なくとも注射液の第2成分の第2収容チャンバ(21)であって、第1収容チャンバ(11)に第2成分を移動させるために、少なくとも1つの第2の圧縮変形可能な壁を備える第2収容チャンバ(21)と、
前記第1収容チャンバ(11)と前記第2収容チャンバ(21)との間に操作可能に介在する分離装置(12、22)であって、装置本体内に画定された少なくとも1つの流体連通ダクト(2)を含む装置本体を有し、前記可撓性カートリッジ(1)は、前記流体連絡ダクト(2)が前記第2成分の通過しない第1動作構成と、前記流体連通ダクト(2)が前記第2成分の通過可能な第2動作構成とを想定するように構成されている分離装置(12、22)と、
前記カートリッジ本体(10、20)に固定され、前記第1収容チャンバ(11)に流体接続されるように構成された針保持部品(3)であって、前記第1収容チャンバ(11)が、前記針保持部品(3)と前記分離装置(12、22)との間に動作可能に介在する針保持部品(3)と、
を備える、可撓性カートリッジ(1)。
【請求項2】
前記分離装置(12、22)は、フィルタ及び/又はバルブ及び/又はコネクタを備えている、請求項1に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項3】
前記分離装置(12、22)は、流体連通ダクト(2)内の一方向の流れを可能にするように構成された弁を備えている、請求項2に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項4】
前記カートリッジ本体(10、20)は、
第1収容チャンバ(11)を形成するために接合された第1シート部(13)及び第2シート部(14)と、
第2収容チャンバ(21)を形成するために接合された第3シート部(23)及び第4シート部(24)と、
を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項5】
前記分離装置(12、22)、特に装置本体は、第1シート部(13)と第2シート部(14)の間、及び第3シート部(23)と第4シート部(24)の間に介在している、請求項4に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項6】
第1シート部(13)及び第3シート部(23)の一方は、それぞれ第2シート部(14)及び第4シート部(24)よりも相対的に柔軟である、請求項4又は5に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項7】
前記第1シート部(13)及び前記第3シート部(23)は、それぞれ少なくとも第1及び第2の変形可能な丸みを帯びた凹部を含み、その下に前記第1収容チャンバ(11)及び前記第2収容チャンバ(21)がそれぞれ配置され、
前記第2シート部(14)と前記第4シート部(24)は、平坦で相互に補完的である、請求項4から6のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項8】
前記カートリッジ本体(10、20)はブリスターである、請求項1から7のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項9】
前記分離装置(12、22)は、第1接続要素(12)及び第2接続要素(22)を有するコネクタからなり、本体(10、20)は、第1接続要素(12)を有する第1部分(10)及び第2接続要素(22)を有する第2部分(20)からなり、前記第1接続要素(12)及び前記第2接続要素(22)は、互いに機械的に結合して前記コネクタを形成し、前記第1部分(10)及び前記第2部分(20)を結合して前記本体(10、20)を形成する、請求項1から8のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項10】
前記針保持部品(3)は、本体(10、20)の第1部分(10)に固定されている、請求項9に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項11】
前記第1収容チャンバ(11)と前記針保持部品(3)との間に、第1収容チャンバ(11)からの出口ダクト(18)が形成され、剥離可能な仕切りによって閉じられている、請求項1に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項12】
前記第1収容チャンバ(11)と分離装置(12、22)との間に、第1収容チャンバ(11)への入口ダクト(19)が形成され、剥離可能な仕切りによって閉じられている、請求項1から11のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項13】
前記第2収容チャンバ(21)と分離装置(12、22)との間に、第2収容チャンバ(21)からの出口ダクト(28)が形成され、剥離可能な仕切りによって閉じられている、請求項1から12のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項14】
前記第1収容チャンバ(11)が、空間的に互いに分離され、針保持部品(3)と分離装置(12、22)との間に平行に配置された2つのチャンバ部(11)を備える、請求項1から13のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項15】
カートリッジ本体(10、20)は、中央部(15、25)と、前記中央部(15、25)に対して反対側に配置された2つの側部(16、26)と、を備え、前記分離装置(12,22)は、前記中央部(15、25)に配置され、前記チャンバ部(11)は、前記側部(16、26)に配置されている、変形可能な請求項14に記載のカートリッジ(1)。
【請求項16】
前記第2収容チャンバ(21)は、空間的に分離された2つのチャンバ部(21)からなり、それぞれが各側部(26)に配置されている、請求項15に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項17】
前記第1収容チャンバ(11)の2つのチャンバ部(11)が、流体的に遮断され、
前記第2収容チャンバ(21)の2つのチャンバ部(21)が流体的に遮断され、
前記分離装置(12、22)は、第2収容チャンバの2つのチャンバ部のうちの一方のみを第1収容チャンバの2つのチャンバ部のうちの一方のみと流体接続するように構成された第1連通ダクトと、第2収容チャンバの2つのチャンバ部のうちの他方のみを第1収容チャンバの2つのチャンバ部分のうちの他方と流体接続するように構成された第2連通ダクトとを備えている、請求項16に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項18】
前記装置本体(12、22)は、第1収容チャンバ(11)に面する第1面(15)と、第1面の反対側で第2収容チャンバ(21)に面する第2面(2)との間に延び、流体連通ダクト(2)が、第1面(15)から第2面(25)まで延びる凹部又は穴である、請求項1から17のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項19】
前記分離装置の本体は独立した本体である、請求項1から18のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項20】
前記分離装置の本体は、第1収容チャンバの変形可能な壁及び第2収容チャンバの変形可能な壁よりも剛性が高い、請求項19に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)に含まれる注射液を注入するための注射器(100)であって、
前記可撓性カートリッジ(1)を受け入れるための受容区画(106)を備えた本体(101)と、
前記可撓性カートリッジ(1)の第1及び第2収容チャンバを変形させるように構成された破砕装置(200)であって、分離装置(12、22)の上を通過することができる凹部(204)を有する破砕装置(200)と、
を備える注射器(100)。
【請求項22】
前記凹部(204)は、分離装置(12、22)に接触することなく、及び/又は、破砕することなく、分離装置(12、22)上を通過できる形状及びサイズである、請求項21に記載の注射器(100)。
【請求項23】
前記破砕装置(200)は、本体(101)に対して摺動軸に沿って摺動するプランジャであり、凹部(204)は、第1収容チャンバ(11)及び第2収容チャンバ(21)を破砕することにより変形するように構成された摺動プランジャ(200)の頭部(201)に形成されている、請求項22に記載の注射器(100)。
【請求項24】
請求項21から23のいずれか1項に記載の注射器(100)と、請求項1から20のいずれか1項に記載の少なくとも1つの可撓性カートリッジ(10)とを備える、注射液を注入するための注射キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射装置の技術分野に関するものであり、特に注射装置用の可撓性カートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、粉末状の無菌原料は、主に有効成分メーカーによって、アルミ製の容器か、一般にはポリエチレンのプラスチック製の袋に包装されている。
【0003】
メーカーが販売するためには、各原料が無菌状態を維持していることに加えて、使用する容器や袋の中で一定期間安定していること、言い換えれば、そのような容器や袋の中で保管しても所定年数は腐敗しないことを保証しなければならない。
【0004】
無菌状態の原料は最終医薬品メーカーに販売される。メーカーは公知技術を用いて原料を分別し、無菌粉末状の最終製品をボトルに入れて販売する。このボトルには、溶媒が入ったガラス製のバイアルが添付される。
【0005】
バイアル(ガラス)に高品質の材料を使用し、無菌粉末に互換性のある材料を使用し、使い捨て注射器を使用することで、このシステムは全体として非常に高価なものとなる。
【0006】
使用の瞬間まで特別な柔らかい仕切りによって各収容チャンバに分離された医薬物質を含む柔軟な材料で形成された可撓性カートリッジを受け入れるための受容区画を備えた注射器を使用することが、この分野で公知である。そのような装置の例は、米国特許出願公開第2001/47162号明細書に記載されており、そのような公知の装置のさらなる例は、国際公開第2017/137854号に記載されている。
【0007】
しかしながら、先行技術の可撓性カートリッジにおける様々な収容キャビティの間に高度な隔離を維持することは特に困難であることが分かっている。これは、可撓性カートリッジを収容するチャンバに、例えば、予想よりも早く誤って混合される等、固体物質と液体物質のような相互に異なる物質が充填される場合、それぞれの有効成分の安定性を喪失させる2つの物質が充填されていれば特に問題となる。
【0008】
本発明の目的は、上述した先行技術の可撓性カートリッジの問題点を解決することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、隣接する収容チャンバの間で比較的高い分離度を維持することができる可撓性カートリッジを提供することである。
【0010】
このような目的は、請求項1に記載の注射装置用の可撓性カートリッジ及び請求項24に記載の注射キットによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明による可撓性カートリッジの特徴及び利点は、非限定的な例として与えられる以下の説明から、添付図面に従って明らかになる。
【
図1】本発明の非限定的な実施形態に係る可撓性カートリッジ装置の平面図である。
【
図3】
図1の可撓性カートリッジの分離装置の側面図である。
【
図4】
図1の可撓性カートリッジの軸方向の側面図である。
【
図5】
図1の可撓性カートリッジの2つの部分が互いに切り離された状態で示された軸方向の図である。
【
図6】
図1のカートリッジと、第1動作構成で示された注射器とを備えたキットの軸方向の斜視図である。
【
図7】
図6のキットの注射器を第1動作構成で示したさらなる側面図である。
【
図8】
図6の注射器を第2動作構成で示したさらなる軸方向の斜視図である。
【
図9】
図6の注射器の一部の軸方向の断面図である。
【
図10】
図6の注射器のさらなる部分の軸方向の斜視図である。
【
図11】
図1の可撓性カートリッジと、このカートリッジを収容するように構成された容器の可能な実施形態を示す軸方向の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
類似又は同等の要素は、前述の図において、同一の参照符号で示す。
【0013】
図1から
図5は、本発明に係る注射器で使用することができる可撓性カートリッジ1の非限定的な実施形態を示す。
可撓性カートリッジ1は、
少なくとも1つの注射液の第1成分の第1収容チャンバ11であって、少なくとも1つの第1圧縮変形可能な壁を備える第1収容チャンバ11と、
少なくとも1つの注射液の第2成分の第2収容チャンバ21であって、第2成分が第2収容チャンバ21から第1収容チャンバ11に移送されることを可能にするために、少なくとも1つの圧縮変形可能な第2壁を備え、第1成分に第2成分を混合させる第2収容チャンバ21と、
を含むカートリッジ本体10、20を備える。
【0014】
特に有利な実施形態によれば、カートリッジ本体10、20はブリスターである。この場合、前述の圧縮変形可能な壁は、第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21をそれぞれ構成する少なくとも2つのブリスターポケットの壁である。代替的な実施形態によれば、カートリッジ本体10、20は、柔軟な壁を有する1又は複数のバッグからなる。
【0015】
第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21は、以下、本明細書ではそれぞれ前方チャンバ11及び後方チャンバ21という表現も使用する。なお、後方チャンバ21の数を増やすことで、構造を変化させることも可能である。
【0016】
有利で非限定的な実施形態によれば、収容チャンバ11、12の外壁は、注射剤が再構成される前に除去することができる保護接着フィルムで少なくとも部分的に被覆されている。このようなフィルムは、保管条件下で収容チャンバ間の分離性を高めることを可能にする。
【0017】
各収容チャンバ11、21は、注射液の成分の1つを含む。例えば、前方チャンバ11は、滅菌薬剤粉末形態の第1成分を含む。後方チャンバ21は、液体成分である第2成分、一般には、溶媒又はさらなる活性医薬成分を含む。例えば、無菌薬剤粉末は、結晶化した粉末又は溶液の凍結乾燥によってバルクで得られた粉末である。粉末に代わるものとして、第1成分は、粒状物質、無菌錠剤又は圧縮された粉末である。可能な実施形態によれば、第1成分は、2つの異なる物質からなり、例えば、2つの異なる錠剤の形で、それぞれが前記2つの異なる物質のうちの1つを含む。
【0018】
第1成分は、例えば、セファロスポリン系抗生物質などのβ-ラクタム系抗生物質、細胞毒性抗がん物質、ホルモン、生物学的製剤などの高活性物質である。第1成分は、高活性物質として定義できない通常の活性物質であってもよい。
【0019】
可撓性カートリッジ1の実施形態では第1成分と第2成分の両方が液体物質であると想定できるので、前記第1成分は液体成分であってもよい。
【0020】
好ましくは、第2成分は注射用の溶媒であり、例えばWFI(Water For Injection)溶媒、リドカイン溶液、水とベンジルアルコールの溶液、塩化ナトリウムの生理食塩水、又は一般に別の固体又は液体物質を再構成することができる任意の注射用物質である。第2成分は、API(Active Pharmaceutical Ingredient)であってもよいし、APIを含んでいてもよい。
【0021】
可撓性カートリッジ1は、第1収容チャンバ11と第2収容チャンバ12との間に動作可能に介在する分離装置12、22であって、装置本体内に区画された少なくとも1つの流体連通ダクト2を含む装置本体を有する分離装置12、22をさらに備える。装置本体は、好ましくは単独の本体であり、第1収容チャンバの変形可能な壁及び第2の収容チャンバの変形可能な壁よりも剛性が高いのが好ましい。このような装置本体は、カートリッジ本体10、20に挿入されるか、又はカートリッジ本体10、20に取り付けられるか、例えば、カートリッジ本体10、20に挿入されるか、又はカートリッジ本体10、20に係合されるかのいずれかであり、変形可能なブリスター型カートリッジに挿入されるのが好ましい。複数の連通ダクト2を設けることが可能である。
【0022】
好ましくは、可撓性カートリッジ1は、分離装置12、22の流体連通ダクト2が第2の構成要素により連通できなくなる第1の操作形態と、流体連通ダクト2が第2の構成要素によって連通可能となる第2の操作形態とを取るのに適している。言い換えれば、第1の操作形態では、分離装置12、22は第2チャンバ21と第1チャンバ11との間で流体を流動させないが、第2の操作形態では、分離装置12、22は第2チャンバ21と第1チャンバ11との間で流体を流動可能とする。
【0023】
分離装置12、22がコネクタで構成されている場合、そのようなコネクタは、コネクタ自体に組み込まれたフィルタ及び/又はバルブをさらに備えていてもよい。
【0024】
好ましくは、分離装置の本体は、第1収容チャンバ11に面する第1面31と、第1面31とは反対側で第2収容チャンバ21に面する第2面32との間に延びている。より好ましくは、流体連通ダクト2は、第1面31から第2面32まで延びる凹部又は穴である。
【0025】
分離装置12、22の本体の第1面31と第2面32との間には、第3平坦面33と第4湾曲凸状面34とがある。
【0026】
有利な実施形態によれば、流体連通ダクト2は、分離装置本体12、22よりも断面が小さい。
【0027】
可撓性カートリッジ1は、カートリッジ本体10、20に固定され、第1チャンバ11に流体接続されるように構成された針保持部品3をさらに備え、第1チャンバ11は、針保持部品3と分離装置12、22との間に動作可能に介在、例えば配置されている。好ましくは、可撓性カートリッジ1は、針保持部品3に取り付けた注射針4と、注射針4又は針保持部品3のいずれかに取り付けた取り外し可能な保護キャップ5とをさらに備える。
【0028】
有利な実施形態によれば、カートリッジ本体10、20は、
第1収容チャンバ11を形成するために、例えば溶接又は接着で接合された第1シート部13及び第2シート部14と、
第2収容チャンバ21を形成するために、例えば溶接又は接着で接合された第3シート部23及び第4シート部24と、を備える。
【0029】
シート部は、加熱するか高周波又は超音波エネルギーを付与するか、あるいは他の適切な溶接技術によって溶接することができる。
【0030】
例えば、第1シート部13及び第3シート部23は、同じ第1シートの2つの部分であり、例えば、最内層が好ましくはポリエチレン層である多層フィルム、又は単層のポリエチレンフィルムである。例えば、第2シート部14及び第4シート部24も、同じ第2シートの2つの部分である。また第2シートは、内層が好ましくはポリエチレン層である多層フィルムであってもよいし、単層のポリエチレンフィルムであってもよい。このような態様では、例えば、収容チャンバ11、21に凹部を形成するように第1シートを成形し、そのような凹部の外側で、第1シートと第2シートとを、前記シートの周縁部である接合縁部で、例えば溶接又は接着により互いにシールすることによりカートリッジ本体10、20が得られる。
【0031】
特に有利な実施形態によれば、分離装置12、22、特に装置本体は、第1シート部13と第2シート部14との間、及び第3シート部23と第4シート部24との間に介在しており、例えば、分離装置12、22は、前述の第1シートと第2シートとの間に介在して固定され、例えば、前述の第1のシートに画定されている相互に対向する形状の凹部に収容されている。
【0032】
好ましくは、第1シート部13及び第3シート部23は、それぞれ第2シート部14及び第4シート部24よりも相対的に柔軟であり、第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21の上述の変形可能な壁をそれぞれ構成する。
【0033】
一実施形態によれば、第1シート部13及び第3シート部23は、それぞれ少なくとも1つの第1及び第2の変形可能な丸みを帯びた凹部を構成し、その下に第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21がそれぞれ設けられる。このような実施形態では、第2シート部14及び第4シート部24は、
図2に示すように、平坦であり、同一平面に位置している。
【0034】
これらの考察は、第1シート部13及び第3シート部23が相互に異なるシート部であり、第2シート部14及び第4シート部24が相互に異なるシート部である場合にも適用される。本明細書の目的のため、「別個のシート」とは、単一の連続したシートを形成するために連続して接合されていないシートを意味する。したがって、この定義では、単一のシートから得たが、その後、例えば切断されるなどして分離されたシートも含む。
図4を参照すると、前述のケースでは、カートリッジ本体10、20は2つの異なる部分10、20で構成されており、これらの部分は分離装置12、22によって機械的結合又は結合可能となっている。
【0035】
特に有利な実施形態として、分離装置12、22が第1接続要素12と第2接続要素22を有するコネクタを備え、カートリッジ本体10、20が第1接続要素12を有する第1部分10と第2接続要素22を有する第2部分20を備え、第1接続要素12と第2接続要素22は互いに補完的であり、機械的に結合して前記コネクタを形成し、第1部分10と第2部分20を固定して前記カートリッジ本体10、20を形成することができる実施形態を想定することができる。
【0036】
カートリッジ本体10、20が2つの離間した部品によって形成されている前記実施形態では、少なくとも最初は、例えば、針保持部品3はカートリッジ本体10、20の第1部分10に固定されている。
【0037】
分離装置12、22のいずれかがコネクタであるか、又はコネクタを備える実施形態では、そのようなコネクタを、回転して閉鎖されるコネクタとして想定すると都合が良い。例えば、接続要素12、22は、挿入回転固定システム、例えば1/4回転の挿入回転固定システムによって互いに接合してもよい。
【0038】
例えば、そのような接続要素12、22は互いに切り離されている必要はない。例えば、そのような接続要素12、22間の回転(例えば、180°に等しい)により、例えば、最初にそのようなダクトを閉鎖する障壁を破壊又は除去して流体連通ダクト2を開放するような実施形態を想定することができるからである。さらなる実施形態では、接続要素21及び接続要素22にそれぞれ画定された、当初外れていた2つのダクト部分が、接続要素12、22間の回転によって軸方向に整列して第2収容チャンバ21を第1収容チャンバ11と連通させることができるダクト22を形成することができる。
【0039】
好ましい実施形態によれば、剥離可能な仕切りによって閉じられた第1チャンバ11からの出口ダクト18が、第1収容チャンバ11と針保持部品3との間に形成されている。このような剥離可能な仕切りは、例えば、第1シート部13と第2シート部14との間の弱い溶接、例えば、薄い溶接によって得られる。このような溶接部は、第1収容チャンバ11内の溶液の圧力が設計仕様に従って選択された圧力値に到達したときに開放するように構成されている。第1収容チャンバ11と分離装置12、22との間には、剥離可能な仕切りによって閉鎖された第1収容チャンバ11への入口ダクト19が、追加又は代替で形成されている。このような剥離可能な仕切りは、例えば、第1シート部13と第2シート部14との間の弱い溶接(例えば、薄い溶接)によって得られる。このような溶接は、第2収容チャンバ21内の溶液の圧力が、設計仕様に従って選択された圧力値に達したときに降伏するように構成されている。さらに、この段落に記載の実施形態に追加的又は代替的に、剥離可能な仕切りによって閉じられた第2チャンバ21からの出口ダクト28が、第2収容チャンバ21と分離装置12、22との間にも形成されている。このような剥離可能な仕切りは、上述のものと同様である。
【0040】
好ましくは、第2収容チャンバ21も、空間的に分離された2つのチャンバ部21からなり、それぞれが各側部26に配置されている。このように、添付図面に示す実施形態では一貫して、カートリッジ本体10、20は、好ましくは、しかし非限定的な例として、最初は互いに分離された第1部分10と第2部分20とによって形成される。第1部分10は、第1収容チャンバの2つの部分1が中央部15によって互いに分離されて収容される2つの側部16を備える。好ましくは、第1収容チャンバの2つの部分11は、台形又はほぼ台形の平面形状である。第2部分20は、第2収容チャンバの2つの部分21が中央部25によって互いに分離して収容される2つの側部26を備える。好ましくは、第2収容チャンバの2つの部分21は、台形又はほぼ台形の平面形状を有する。分離装置12、22は、2つの中央部15、25の間に介在している。有利な実施形態によれば、第1部分10及び第2部分20は、六角形状又はほぼ六角形状の平面、例えば、丸みを帯びた角を有する六角形状の平面を有する。2つの部分10、20は、六角形の一辺で結合されており、カートリッジ本体10、20はほぼ蝶形である。
【0041】
可能な実施形態によれば、第1収容チャンバ11の2つの部分は、最初から、又は1以上の介在する剥離可能なパーティションの破壊後に、互いに流体連通している。第2収容チャンバ21の2つのチャンバ21も同様である。
【0042】
しかしながら、有利なことに、第1成分と第2成分との間の混合のより良い制御を保証することができる実施形態では、
第1収容チャンバ11の2つのチャンバ部11が互いに流体的に隔離され、
第2収容チャンバ21の2つのチャンバ部21は、互いに流体的に隔離され、
分離装置12、22は、第2収容チャンバ21の2つのチャンバ部の一方のみを、第1収容チャンバの2つのチャンバ部11の一方のみと相互に流体接続するように構成された第1連通ダクト、及び第2収容チャンバ21の2つのチャンバ部の他方を、第1収容チャンバの2つのチャンバ部11の他方のみと相互に流体接続するように構成された第2連通ダクトと、
を備えている。
【0043】
上述の最後の実施形態では、第1収容チャンバの2つのチャンバ部11内で2つの成分を混合した後に含まれる溶液は、第1収容チャンバ11の2つの部分の一方と他方にそれぞれ接続した3つのポートを有する、図示しない、例えばT字型又はY字型の分岐した流体ダクトを設けることにより針4に移送することができ、場合によっては針保持部品3を用いて針4に移送することができる。
【0044】
図6から
図10までは、本発明に係る注射器100の有利で非限定的な実施形態を示す。
【0045】
一般的な実施形態では、注射器100は、
可撓性カートリッジ1を受容するための受容区画106を備えた本体101であって、第1開口部103のある第1端部102と第2開口部105のある対向する第2端部104との間に延在する本体101と、
可撓性カートリッジ1の第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21を変形、特に破砕するように形成された少なくとも1つの破砕部材201を有する破砕装置200であって、分離装置12、22を通過することを可能にする凹部204を有する破砕装置200と、
を備える。
【0046】
好都合なことに、凹部204は、分離装置12、22に接触することなく、及び/又は破砕することなく、分離装置12、22を通過できる形状及び大きさである。
【0047】
破砕部材201は、可撓性カートリッジ1に対して、並進のみの運動、又は並進及び回転を組み合わせた運動に従って移動するように構成することができる。後者の場合、破砕部材201は、可撓性カートリッジ1で回転して摺動するように構成された少なくとも1つのロールであるか、又はロールを備えることができる。例えば、ロールの凹部204は、ロールの円筒形の壁に設けた連続した円形の溝である。
【0048】
一実施形態によれば、注射器100の本体101は、例えば管状、好ましくは平板状であり、好ましくは、第1開口部103を設けた第1端部102と、第2開口部105を設けた第2対向端部104との間で主軸Xに沿って延びている。
【0049】
さらに、破砕装置200は、後退位置と前進位置との間で摺動するプランジャ200であるか、又はプランジャ200を備える。本明細書では、後退位置及び前進位置という表現は、注射器100の本体101に関するものである。摺動プランジャ200は、第1開口部102から本体101内に挿入可能な破砕部材201、例えば破砕ヘッド201を備え、摺動プランジャ200と共に本体101内を摺動することができる。
【0050】
スライド式プランジャ200は、好ましくは、少なくとも1つのステム202を備える。このステム202は、一端に破砕ヘッド201を有し、他端にスラスト要素203を有する。ユーザは、プランジャ200、ひいては破砕ヘッド201の本体101、及び可撓性カートリッジ1に対して摺動させるために、例えば親指を用いて、このようなスラスト要素203に手動でスラスト力を付与することができる。有利な実施形態によれば、摺動プランジャ200は、相互に間隔を空けて配置した2つの平行なステム202を有する。これにより、プランジャ200の後退位置から前進位置への摺動中に、ステムの不要な撓みを制限又は防止することができる。また、スライド動作がよりスムーズで安定したものとなる。
【0051】
上述のように、注射器100の本体101は、内部に受容区画106を有している。このような受容区画106は、第1開口部103からアクセス可能であり、可撓性カートリッジ1を収容するように構成されている。有利な実施形態によれば、受容区画106は、可撓性カートリッジ1の受容区画106への挿入を、主軸Xに沿ってガイドしてスライドできるように構成した1以上のガイド溝107、例えば2つの平行で間隔を空けた溝を備えている。そのようなガイド溝107は、カートリッジ本体10、20のそれぞれの周縁部を受け入れるように構成されているのが好ましい。
【0052】
第2開口部105は、可撓性カートリッジ1の受容区画106への挿入中に、針4を通過させることができる。さらに、針保持部材3は、例えば形状結合又は干渉によって第2開口部105に固定できるのが好ましい。
【0053】
破砕部材が、可撓性カートリッジ1に対して単独で移動する(すなわち、ロールから解放される)ように構成された破砕ヘッド201を備える場合、有利な実施形態によれば、そのような破砕ヘッド201は、可撓性カートリッジ1側で優先的に破砕するために、主軸Xに対して非対称な形状となっている。有利な実施形態によれば、破砕ヘッド201は、平坦な面と、反対側の凸状に膨らんだ面とを有する。凹部204は、好ましくは、平坦面に形成されている。平坦面は、カートリッジ1の変形可能な壁を破砕するように構成されている。
【0054】
有利な実施形態によれば、受容区画106は、破砕ヘッド201と相補的であり、可撓性カートリッジ1の破砕に追従するように、破砕ヘッド201に対して逆形状をした凹状の底部107を有している。
【0055】
特に有利な実施形態によれば、注射器100は、プランジャ200が摺動可能に支持される支持固定要素120を備える。
【0056】
特に有利な実施形態によれば、注射器100は、支持固定要素120の本体101への取り外し可能な結合を可能にする結合手段、及び/又は、支持固定要素120と本体101との間の相互位置を変更できるように支持固定要素120を本体101に結合することができる結合手段を備える。
【0057】
例えば、前述の結合手段が、支持固定要素120の本体101への取り外し可能な結合を可能にするのであれば、支持固定要素120及び本体101にそれぞれ設けた可逆的な連動スナップ要素を活用してもよい。この方法により、本体101に支持固定要素120を繰り返し着脱することが可能となる。
【0058】
例えば、前記結合手段が、支持固定要素120と本体101の間で相互の位置を変更するように、支持固定要素120を本体101に結合することを可能にし、かつ、前記結合手段が、本体101に対して支持固定要素120を回転又は摺動可能とする場合、このような結合手段を用いることができる。この結合手段は、例えば、支持固定要素120と本体101との間で回転軸を中心に相互に回転することを可能にする円筒形のヒンジを備える。例えば、このような円筒形のヒンジは、注射器1の本体101から突出する円筒形のピン109、さらには支持固定要素120に設けられ、ピン109が挿入される穴又は開口部を備える。なお、ピンの配置と穴や開口部の配置とは逆にすることもできる。
【0059】
前述の結合手段によって、注射器100は少なくとも2つの操作形態を取ることができる。そのような操作形態の1つである
図8に示す操作形態では、支持固定要素120が第1開口部103を閉鎖している。したがって、そのような操作形態は閉鎖動作位置として言及することができる。
図6及び
図7に示す他の操作形態では、可撓性カートリッジ1を受容区画106に挿入するために、及び/又は可撓性カートリッジ1を受容区画106から取り出すために、支持固定要素120が第1開口部103へのアクセスを可能にしている。したがって、そのような操作形態は開放操作位置として言及することができる。
【0060】
有利な実施形態によれば、スライド式プランジャ200の支持固定要素120は、スライド式プランジャ200が格納位置にあるときに破砕ヘッド201を受け入れるように構成された受け座121を備える。スライド式プランジャ200の支持固定要素120は、スライド式プランジャ200の少なくとも1つのステム202が通過する受け座121と連通する貫通開口122を備えるのが好ましい。図に示す例では、2つの貫通開口122があり、各貫通開口122をそれぞれのステム202が通過する。
【0061】
特に有利な実施形態によれば、プランジャ200の支持固定要素120は、可撓性カートリッジ1を受容区画106に挿入する前に、場合によってはカートリッジ自体の挿入中にも、本体101に対する可撓性カートリッジ1の少なくとも部分的な整列を可能にする少なくとも1つの事前整列要素を備える。前記事前整列要素は、例えば、ガイド溝127を備える。
【0062】
通常の動作では、注射器100は最初、可撓性カートリッジ1を収容するように構成された受容区画106を自由にするために、スライド式プランジャ200が後退位置にある開始構成となっている。
【0063】
注射器100のそのような構成では、プランジャ200の支持固定要素120は、注射器1の本体101から離脱しているか、又は第1開口部103へのアクセス及び第1開口部103からの可撓性カートリッジ1の受容区画106への挿入を可能にするように方向付けられ、すなわち一般的に配置されている。分離装置12、22がコネクタであるか、又はコネクタを備える場合、カートリッジ本体10、20は、例えば、最初は2つの部分に分離されている。注射器1への挿入の前に、カートリッジ本体の2つの部分10、20は、コネクタ12、22を用いて固定される。
【0064】
その後、可撓性カートリッジ1が挿入され、針4は第2開口部105を通過する。挿入が完了すると、プランジャ200の支持固定装置120は、第1開口部103を閉鎖するように、例えば回転して配置される。このようにして、
図8に示す構成が達成され、この時点で、注射器1は使用可能な状態となる。
【0065】
プランジャ200に作用することにより、破砕ヘッド201は可撓性カートリッジ1を破砕する。特に、破砕ヘッド201は、最初に、第2収容チャンバ21の変形可能な壁を破砕する。第2収容チャンバ21内が所定圧力に到達すると、第2収容チャンバ21に収容された液体成分は、分離装置12、22に設けた流体連通ダクト2を通過して第1収容チャンバ11に入る。破砕ヘッド201は、第2収容チャンバ21が完全に空になるまで前進し続ける。凹部204により、破砕ヘッド201は、通過する分離装置12、22を妨害することなく乗り越える。この時、オペレータは、スライド式プランジャ200の前進を中断し、第1収容チャンバ11内の注射液の再構成を容易にするために注射器を振ることができる。破砕ヘッド201は分離装置12、22を通過した後も前進を続け、第1収容チャンバ11の変形可能な壁を破砕する。第1収容チャンバ11内が所定圧力に到達すると、第1収容チャンバ11の間に設けた剥離可能な仕切りが剥がされ、場合によっては不要な空気が放出された後、破砕ヘッド201がさらに前進して注入可能な溶液を注入する。
【0066】
注入後、注射器100を開き、カートリッジ1を取り出して、例えば材料回収サイクルに回すことができる。他方、注射器100は再使用可能であるのが好ましい。
【0067】
注射器100と可撓性カートリッジ1とを備えた注射キットは、本発明のさらなる目的である。変形実施形態では、注射キットは、注射器100と、複数の可撓性カートリッジ1とを備える。
【0068】
本発明による注射器は、先行技術の注射器を参考にして、上述した要件を満足するようにした革新的なものである。実際、上述の注射器によれば、注射器内に可撓性カートリッジを容易かつ正確に挿入することができる。
【0069】
有利なことに、分離器がコネクタである場合、第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21は、別々の機械又は部屋で充填することができるので、生産コストを大幅に低減することが可能である。
【0070】
また、本システムは、注射器100が再利用可能であるため、エンドユーザにとっては低コストであり、環境にとっても有益である。
【0071】
当業者は、偶発的なニーズを満たすために、以下の特許請求の範囲で定義される保護の範囲に含まれるすべての上述の可撓性カートリッジに変更を加えてもよいことが明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2020-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射装置の技術分野に関するものであり、特に注射装置用の可撓性カートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、粉末状の無菌原料は、主に有効成分メーカーによって、アルミ製の容器か、一般にはポリエチレンのプラスチック製の袋に包装されている。
【0003】
メーカーが販売するためには、各原料が無菌状態を維持していることに加えて、使用する容器や袋の中で一定期間安定していること、言い換えれば、そのような容器や袋の中で保管しても所定年数は腐敗しないことを保証しなければならない。
【0004】
無菌状態の原料は最終医薬品メーカーに販売される。メーカーは公知技術を用いて原料を分別し、無菌粉末状の最終製品をボトルに入れて販売する。このボトルには、溶媒が入ったガラス製のバイアルが添付される。
【0005】
バイアル(ガラス)に高品質の材料を使用し、無菌粉末に互換性のある材料を使用し、使い捨て注射器を使用することで、このシステムは全体として非常に高価なものとなる。
【0006】
使用の瞬間まで特別な柔らかい仕切りによって各収容チャンバに分離された医薬物質を含む柔軟な材料で形成された可撓性カートリッジを受け入れるための受容区画を備えた注射器を使用することが、この分野で公知である。そのような装置の例は、米国特許出願公開第2001/47162号明細書に記載されており、そのような公知の装置のさらなる例は、国際公開第2017/137854号に記載されている。
【0007】
しかしながら、先行技術の可撓性カートリッジにおける様々な収容キャビティの間に高度な隔離を維持することは特に困難であることが分かっている。これは、可撓性カートリッジを収容するチャンバに、例えば、予想よりも早く誤って混合される等、固体物質と液体物質のような相互に異なる物質が充填される場合、それぞれの有効成分の安定性を喪失させる2つの物質が充填されていれば特に問題となる。
【0008】
本発明の目的は、上述した先行技術の可撓性カートリッジの問題点を解決することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、隣接する収容チャンバの間で比較的高い分離度を維持することができる可撓性カートリッジを提供することである。
【0010】
このような目的は、請求項1に記載の注射装置用の可撓性カートリッジ及び請求項23に記載の注射キットによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明による可撓性カートリッジの特徴及び利点は、非限定的な例として与えられる以下の説明から、添付図面に従って明らかになる。
【
図1】本発明の非限定的な実施形態に係る可撓性カートリッジ装置の平面図である。
【
図3】
図1の可撓性カートリッジの分離装置の側面図である。
【
図4】
図1の可撓性カートリッジの軸方向の側面図である。
【
図5】
図1の可撓性カートリッジの2つの部分が互いに切り離された状態で示された軸方向の図である。
【
図6】
図1のカートリッジと、第1動作構成で示された注射器とを備えたキットの軸方向の斜視図である。
【
図7】
図6のキットの注射器を第1動作構成で示したさらなる側面図である。
【
図8】
図6の注射器を第2動作構成で示したさらなる軸方向の斜視図である。
【
図9】
図6の注射器の一部の軸方向の断面図である。
【
図10】
図6の注射器のさらなる部分の軸方向の斜視図である。
【
図11】
図1の可撓性カートリッジと、このカートリッジを収容するように構成された容器の可能な実施形態を示す軸方向の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
類似又は同等の要素は、前述の図において、同一の参照符号で示す。
【0013】
図1から
図5は、本発明に係る注射器で使用することができる可撓性カートリッジ1の非限定的な実施形態を示す。
可撓性カートリッジ1は、
少なくとも1つの注射液の第1成分の第1収容チャンバ11であって、少なくとも1つの第1圧縮変形可能な壁を備える第1収容チャンバ11と、
少なくとも1つの注射液の第2成分の第2収容チャンバ21であって、第2成分が第2収容チャンバ21から第1収容チャンバ11に移送されることを可能にするために、少なくとも1つの圧縮変形可能な第2壁を備え、第1成分に第2成分を混合させる第2収容チャンバ21と、
を含むカートリッジ本体10、20を備える。
【0014】
特に有利な実施形態によれば、カートリッジ本体10、20はブリスターである。この場合、前述の圧縮変形可能な壁は、第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21をそれぞれ構成する少なくとも2つのブリスターポケットの壁である。代替的な実施形態によれば、カートリッジ本体10、20は、柔軟な壁を有する1又は複数のバッグからなる。
【0015】
第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21は、以下、本明細書ではそれぞれ前方チャンバ11及び後方チャンバ21という表現も使用する。なお、後方チャンバ21の数を増やすことで、構造を変化させることも可能である。
【0016】
有利で非限定的な実施形態によれば、収容チャンバ11、12の外壁は、注射剤が再構成される前に除去することができる保護接着フィルムで少なくとも部分的に被覆されている。このようなフィルムは、保管条件下で収容チャンバ間の分離性を高めることを可能にする。
【0017】
各収容チャンバ11、21は、注射液の成分の1つを含む。例えば、前方チャンバ11は、滅菌薬剤粉末形態の第1成分を含む。後方チャンバ21は、液体成分である第2成分、一般には、溶媒又はさらなる活性医薬成分を含む。例えば、無菌薬剤粉末は、結晶化した粉末又は溶液の凍結乾燥によってバルクで得られた粉末である。粉末に代わるものとして、第1成分は、粒状物質、無菌錠剤又は圧縮された粉末である。可能な実施形態によれば、第1成分は、2つの異なる物質からなり、例えば、2つの異なる錠剤の形で、それぞれが前記2つの異なる物質のうちの1つを含む。
【0018】
第1成分は、例えば、セファロスポリン系抗生物質などのβ-ラクタム系抗生物質、細胞毒性抗がん物質、ホルモン、生物学的製剤などの高活性物質である。第1成分は、高活性物質として定義できない通常の活性物質であってもよい。
【0019】
可撓性カートリッジ1の実施形態では第1成分と第2成分の両方が液体物質であると想定できるので、前記第1成分は液体成分であってもよい。
【0020】
好ましくは、第2成分は注射用の溶媒であり、例えばWFI(Water For Injection)溶媒、リドカイン溶液、水とベンジルアルコールの溶液、塩化ナトリウムの生理食塩水、又は一般に別の固体又は液体物質を再構成することができる任意の注射用物質である。第2成分は、API(Active Pharmaceutical Ingredient)であってもよいし、APIを含んでいてもよい。
【0021】
可撓性カートリッジ1は、第1収容チャンバ11と第2収容チャンバ12との間に動作可能に介在する分離装置12、22であって、装置本体内に区画された少なくとも1つの流体連通ダクト2を含む装置本体を有する分離装置12、22をさらに備える。装置本体は、好ましくは単独の本体であり、第1収容チャンバの変形可能な壁及び第2の収容チャンバの変形可能な壁よりも剛性が高いのが好ましい。このような装置本体は、カートリッジ本体10、20に挿入されるか、又はカートリッジ本体10、20に取り付けられるか、例えば、カートリッジ本体10、20に挿入されるか、又はカートリッジ本体10、20に係合されるかのいずれかであり、変形可能なブリスター型カートリッジに挿入されるのが好ましい。複数の連通ダクト2を設けることが可能である。
【0022】
好ましくは、可撓性カートリッジ1は、分離装置12、22の流体連通ダクト2が第2の構成要素により連通できなくなる第1の操作形態と、流体連通ダクト2が第2の構成要素によって連通可能となる第2の操作形態とを取るのに適している。言い換えれば、第1の操作形態では、分離装置12、22は第2チャンバ21と第1チャンバ11との間で流体を流動させないが、第2の操作形態では、分離装置12、22は第2チャンバ21と第1チャンバ11との間で流体を流動可能とする。
【0023】
分離装置12、22がコネクタで構成されている場合、そのようなコネクタは、コネクタ自体に組み込まれたフィルタ及び/又はバルブをさらに備えていてもよい。
【0024】
好ましくは、分離装置の本体は、第1収容チャンバ11に面する第1面31と、第1面31とは反対側で第2収容チャンバ21に面する第2面32との間に延びている。より好ましくは、流体連通ダクト2は、第1面31から第2面32まで延びる凹部又は穴である。
【0025】
分離装置12、22の本体の第1面31と第2面32との間には、第3平坦面33と第4湾曲凸状面34とがある。
【0026】
有利な実施形態によれば、流体連通ダクト2は、分離装置本体12、22よりも断面が小さい。
【0027】
可撓性カートリッジ1は、カートリッジ本体10、20に固定され、第1チャンバ11に流体接続されるように構成された針保持部品3をさらに備え、第1チャンバ11は、針保持部品3と分離装置12、22との間に動作可能に介在、例えば配置されている。好ましくは、可撓性カートリッジ1は、針保持部品3に取り付けた注射針4と、注射針4又は針保持部品3のいずれかに取り付けた取り外し可能な保護キャップ5とをさらに備える。
【0028】
有利な実施形態によれば、カートリッジ本体10、20は、
第1収容チャンバ11を形成するために、例えば溶接又は接着で接合された第1シート部13及び第2シート部14と、
第2収容チャンバ21を形成するために、例えば溶接又は接着で接合された第3シート部23及び第4シート部24と、を備える。
【0029】
シート部は、加熱するか高周波又は超音波エネルギーを付与するか、あるいは他の適切な溶接技術によって溶接することができる。
【0030】
例えば、第1シート部13及び第3シート部23は、同じ第1シートの2つの部分であり、例えば、最内層が好ましくはポリエチレン層である多層フィルム、又は単層のポリエチレンフィルムである。例えば、第2シート部14及び第4シート部24も、同じ第2シートの2つの部分である。また第2シートは、内層が好ましくはポリエチレン層である多層フィルムであってもよいし、単層のポリエチレンフィルムであってもよい。このような態様では、例えば、収容チャンバ11、21に凹部を形成するように第1シートを成形し、そのような凹部の外側で、第1シートと第2シートとを、前記シートの周縁部である接合縁部で、例えば溶接又は接着により互いにシールすることによりカートリッジ本体10、20が得られる。
【0031】
特に有利な実施形態によれば、分離装置12、22、特に装置本体は、第1シート部13と第2シート部14との間、及び第3シート部23と第4シート部24との間に介在しており、例えば、分離装置12、22は、前述の第1シートと第2シートとの間に介在して固定され、例えば、前述の第1のシートに画定されている相互に対向する形状の凹部に収容されている。
【0032】
好ましくは、第1シート部13及び第3シート部23は、それぞれ第2シート部14及び第4シート部24よりも相対的に柔軟であり、第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21の上述の変形可能な壁をそれぞれ構成する。
【0033】
一実施形態によれば、第1シート部13及び第3シート部23は、それぞれ少なくとも1つの第1及び第2の変形可能な丸みを帯びた凹部を構成し、その下に第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21がそれぞれ設けられる。このような実施形態では、第2シート部14及び第4シート部24は、
図2に示すように、平坦であり、同一平面に位置している。
【0034】
これらの考察は、第1シート部13及び第3シート部23が相互に異なるシート部であり、第2シート部14及び第4シート部24が相互に異なるシート部である場合にも適用される。本明細書の目的のため、「別個のシート」とは、単一の連続したシートを形成するために連続して接合されていないシートを意味する。したがって、この定義では、単一のシートから得たが、その後、例えば切断されるなどして分離されたシートも含む。
図4を参照すると、前述のケースでは、カートリッジ本体10、20は2つの異なる部分10、20で構成されており、これらの部分は分離装置12、22によって機械的結合又は結合可能となっている。
【0035】
特に有利な実施形態として、分離装置12、22が第1接続要素12と第2接続要素22を有するコネクタを備え、カートリッジ本体10、20が第1接続要素12を有する第1部分10と第2接続要素22を有する第2部分20を備え、第1接続要素12と第2接続要素22は互いに補完的であり、機械的に結合して前記コネクタを形成し、第1部分10と第2部分20を固定して前記カートリッジ本体10、20を形成することができる実施形態を想定することができる。
【0036】
カートリッジ本体10、20が2つの離間した部品によって形成されている前記実施形態では、少なくとも最初は、例えば、針保持部品3はカートリッジ本体10、20の第1部分10に固定されている。
【0037】
分離装置12、22のいずれかがコネクタであるか、又はコネクタを備える実施形態では、そのようなコネクタを、回転して閉鎖されるコネクタとして想定すると都合が良い。例えば、接続要素12、22は、挿入回転固定システム、例えば1/4回転の挿入回転固定システムによって互いに接合してもよい。
【0038】
例えば、そのような接続要素12、22は互いに切り離されている必要はない。例えば、そのような接続要素12、22間の回転(例えば、180°に等しい)により、例えば、最初にそのようなダクトを閉鎖する障壁を破壊又は除去して流体連通ダクト2を開放するような実施形態を想定することができるからである。さらなる実施形態では、接続要素21及び接続要素22にそれぞれ画定された、当初外れていた2つのダクト部分が、接続要素12、22間の回転によって軸方向に整列して第2収容チャンバ21を第1収容チャンバ11と連通させることができるダクト22を形成することができる。
【0039】
好ましい実施形態によれば、剥離可能な仕切りによって閉じられた第1チャンバ11からの出口ダクト18が、第1収容チャンバ11と針保持部品3との間に形成されている。このような剥離可能な仕切りは、例えば、第1シート部13と第2シート部14との間の弱い溶接、例えば、薄い溶接によって得られる。このような溶接部は、第1収容チャンバ11内の溶液の圧力が設計仕様に従って選択された圧力値に到達したときに開放するように構成されている。第1収容チャンバ11と分離装置12、22との間には、剥離可能な仕切りによって閉鎖された第1収容チャンバ11への入口ダクト19が、追加又は代替で形成されている。このような剥離可能な仕切りは、例えば、第1シート部13と第2シート部14との間の弱い溶接(例えば、薄い溶接)によって得られる。このような溶接は、第2収容チャンバ21内の溶液の圧力が、設計仕様に従って選択された圧力値に達したときに降伏するように構成されている。さらに、この段落に記載の実施形態に追加的又は代替的に、剥離可能な仕切りによって閉じられた第2チャンバ21からの出口ダクト28が、第2収容チャンバ21と分離装置12、22との間にも形成されている。このような剥離可能な仕切りは、上述のものと同様である。
【0040】
好ましくは、第2収容チャンバ21も、空間的に分離された2つのチャンバ部21からなり、それぞれが各側部26に配置されている。このように、添付図面に示す実施形態では一貫して、カートリッジ本体10、20は、好ましくは、しかし非限定的な例として、最初は互いに分離された第1部分10と第2部分20とによって形成される。第1部分10は、第1収容チャンバの2つの部分1が中央部15によって互いに分離されて収容される2つの側部16を備える。好ましくは、第1収容チャンバの2つの部分11は、台形又はほぼ台形の平面形状である。第2部分20は、第2収容チャンバの2つの部分21が中央部25によって互いに分離して収容される2つの側部26を備える。好ましくは、第2収容チャンバの2つの部分21は、台形又はほぼ台形の平面形状を有する。分離装置12、22は、2つの中央部15、25の間に介在している。有利な実施形態によれば、第1部分10及び第2部分20は、六角形状又はほぼ六角形状の平面、例えば、丸みを帯びた角を有する六角形状の平面を有する。2つの部分10、20は、六角形の一辺で結合されており、カートリッジ本体10、20はほぼ蝶形である。
【0041】
可能な実施形態によれば、第1収容チャンバ11の2つの部分は、最初から、又は1以上の介在する剥離可能なパーティションの破壊後に、互いに流体連通している。第2収容チャンバ21の2つのチャンバ21も同様である。
【0042】
しかしながら、有利なことに、第1成分と第2成分との間の混合のより良い制御を保証することができる実施形態では、
第1収容チャンバ11の2つのチャンバ部11が互いに流体的に隔離され、
第2収容チャンバ21の2つのチャンバ部21は、互いに流体的に隔離され、
分離装置12、22は、第2収容チャンバ21の2つのチャンバ部の一方のみを、第1収容チャンバの2つのチャンバ部11の一方のみと相互に流体接続するように構成された第1連通ダクト、及び第2収容チャンバ21の2つのチャンバ部の他方を、第1収容チャンバの2つのチャンバ部11の他方のみと相互に流体接続するように構成された第2連通ダクトと、
を備えている。
【0043】
上述の最後の実施形態では、第1収容チャンバの2つのチャンバ部11内で2つの成分を混合した後に含まれる溶液は、第1収容チャンバ11の2つの部分の一方と他方にそれぞれ接続した3つのポートを有する、図示しない、例えばT字型又はY字型の分岐した流体ダクトを設けることにより針4に移送することができ、場合によっては針保持部品3を用いて針4に移送することができる。
【0044】
図6から
図10までは、本発明に係る注射器100の有利で非限定的な実施形態を示す。
【0045】
一般的な実施形態では、注射器100は、
可撓性カートリッジ1を受容するための受容区画106を備えた本体101であって、第1開口部103のある第1端部102と第2開口部105のある対向する第2端部104との間に延在する本体101と、
可撓性カートリッジ1の第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21を変形、特に破砕するように形成された少なくとも1つの破砕部材201を有する破砕装置200であって、分離装置12、22を通過することを可能にする凹部204を有する破砕装置200と、
を備える。
【0046】
好都合なことに、凹部204は、分離装置12、22に接触することなく、及び/又は破砕することなく、分離装置12、22を通過できる形状及び大きさである。
【0047】
破砕部材201は、可撓性カートリッジ1に対して、並進のみの運動、又は並進及び回転を組み合わせた運動に従って移動するように構成することができる。後者の場合、破砕部材201は、可撓性カートリッジ1で回転して摺動するように構成された少なくとも1つのロールであるか、又はロールを備えることができる。例えば、ロールの凹部204は、ロールの円筒形の壁に設けた連続した円形の溝である。
【0048】
一実施形態によれば、注射器100の本体101は、例えば管状、好ましくは平板状であり、好ましくは、第1開口部103を設けた第1端部102と、第2開口部105を設けた第2対向端部104との間で主軸Xに沿って延びている。
【0049】
さらに、破砕装置200は、後退位置と前進位置との間で摺動するプランジャ200であるか、又はプランジャ200を備える。本明細書では、後退位置及び前進位置という表現は、注射器100の本体101に関するものである。摺動プランジャ200は、第1開口部102から本体101内に挿入可能な破砕部材201、例えば破砕ヘッド201を備え、摺動プランジャ200と共に本体101内を摺動することができる。
【0050】
スライド式プランジャ200は、好ましくは、少なくとも1つのステム202を備える。このステム202は、一端に破砕ヘッド201を有し、他端にスラスト要素203を有する。ユーザは、プランジャ200、ひいては破砕ヘッド201の本体101、及び可撓性カートリッジ1に対して摺動させるために、例えば親指を用いて、このようなスラスト要素203に手動でスラスト力を付与することができる。有利な実施形態によれば、摺動プランジャ200は、相互に間隔を空けて配置した2つの平行なステム202を有する。これにより、プランジャ200の後退位置から前進位置への摺動中に、ステムの不要な撓みを制限又は防止することができる。また、スライド動作がよりスムーズで安定したものとなる。
【0051】
上述のように、注射器100の本体101は、内部に受容区画106を有している。このような受容区画106は、第1開口部103からアクセス可能であり、可撓性カートリッジ1を収容するように構成されている。有利な実施形態によれば、受容区画106は、可撓性カートリッジ1の受容区画106への挿入を、主軸Xに沿ってガイドしてスライドできるように構成した1以上のガイド溝107、例えば2つの平行で間隔を空けた溝を備えている。そのようなガイド溝107は、カートリッジ本体10、20のそれぞれの周縁部を受け入れるように構成されているのが好ましい。
【0052】
第2開口部105は、可撓性カートリッジ1の受容区画106への挿入中に、針4を通過させることができる。さらに、針保持部材3は、例えば形状結合又は干渉によって第2開口部105に固定できるのが好ましい。
【0053】
破砕部材が、可撓性カートリッジ1に対して単独で移動する(すなわち、ロールから解放される)ように構成された破砕ヘッド201を備える場合、有利な実施形態によれば、そのような破砕ヘッド201は、可撓性カートリッジ1側で優先的に破砕するために、主軸Xに対して非対称な形状となっている。有利な実施形態によれば、破砕ヘッド201は、平坦な面と、反対側の凸状に膨らんだ面とを有する。凹部204は、好ましくは、平坦面に形成されている。平坦面は、カートリッジ1の変形可能な壁を破砕するように構成されている。
【0054】
有利な実施形態によれば、受容区画106は、破砕ヘッド201と相補的であり、可撓性カートリッジ1の破砕に追従するように、破砕ヘッド201に対して逆形状をした凹状の底部107を有している。
【0055】
特に有利な実施形態によれば、注射器100は、プランジャ200が摺動可能に支持される支持固定要素120を備える。
【0056】
特に有利な実施形態によれば、注射器100は、支持固定要素120の本体101への取り外し可能な結合を可能にする結合手段、及び/又は、支持固定要素120と本体101との間の相互位置を変更できるように支持固定要素120を本体101に結合することができる結合手段を備える。
【0057】
例えば、前述の結合手段が、支持固定要素120の本体101への取り外し可能な結合を可能にするのであれば、支持固定要素120及び本体101にそれぞれ設けた可逆的な連動スナップ要素を活用してもよい。この方法により、本体101に支持固定要素120を繰り返し着脱することが可能となる。
【0058】
例えば、前記結合手段が、支持固定要素120と本体101の間で相互の位置を変更するように、支持固定要素120を本体101に結合することを可能にし、かつ、前記結合手段が、本体101に対して支持固定要素120を回転又は摺動可能とする場合、このような結合手段を用いることができる。この結合手段は、例えば、支持固定要素120と本体101との間で回転軸を中心に相互に回転することを可能にする円筒形のヒンジを備える。例えば、このような円筒形のヒンジは、注射器1の本体101から突出する円筒形のピン109、さらには支持固定要素120に設けられ、ピン109が挿入される穴又は開口部を備える。なお、ピンの配置と穴や開口部の配置とは逆にすることもできる。
【0059】
前述の結合手段によって、注射器100は少なくとも2つの操作形態を取ることができる。そのような操作形態の1つである
図8に示す操作形態では、支持固定要素120が第1開口部103を閉鎖している。したがって、そのような操作形態は閉鎖動作位置として言及することができる。
図6及び
図7に示す他の操作形態では、可撓性カートリッジ1を受容区画106に挿入するために、及び/又は可撓性カートリッジ1を受容区画106から取り出すために、支持固定要素120が第1開口部103へのアクセスを可能にしている。したがって、そのような操作形態は開放操作位置として言及することができる。
【0060】
有利な実施形態によれば、スライド式プランジャ200の支持固定要素120は、スライド式プランジャ200が格納位置にあるときに破砕ヘッド201を受け入れるように構成された受け座121を備える。スライド式プランジャ200の支持固定要素120は、スライド式プランジャ200の少なくとも1つのステム202が通過する受け座121と連通する貫通開口122を備えるのが好ましい。図に示す例では、2つの貫通開口122があり、各貫通開口122をそれぞれのステム202が通過する。
【0061】
特に有利な実施形態によれば、プランジャ200の支持固定要素120は、可撓性カートリッジ1を受容区画106に挿入する前に、場合によってはカートリッジ自体の挿入中にも、本体101に対する可撓性カートリッジ1の少なくとも部分的な整列を可能にする少なくとも1つの事前整列要素を備える。前記事前整列要素は、例えば、ガイド溝127を備える。
【0062】
通常の動作では、注射器100は最初、可撓性カートリッジ1を収容するように構成された受容区画106を自由にするために、スライド式プランジャ200が後退位置にある開始構成となっている。
【0063】
注射器100のそのような構成では、プランジャ200の支持固定要素120は、注射器1の本体101から離脱しているか、又は第1開口部103へのアクセス及び第1開口部103からの可撓性カートリッジ1の受容区画106への挿入を可能にするように方向付けられ、すなわち一般的に配置されている。分離装置12、22がコネクタであるか、又はコネクタを備える場合、カートリッジ本体10、20は、例えば、最初は2つの部分に分離されている。注射器1への挿入の前に、カートリッジ本体の2つの部分10、20は、コネクタ12、22を用いて固定される。
【0064】
その後、可撓性カートリッジ1が挿入され、針4は第2開口部105を通過する。挿入が完了すると、プランジャ200の支持固定装置120は、第1開口部103を閉鎖するように、例えば回転して配置される。このようにして、
図8に示す構成が達成され、この時点で、注射器1は使用可能な状態となる。
【0065】
プランジャ200に作用することにより、破砕ヘッド201は可撓性カートリッジ1を破砕する。特に、破砕ヘッド201は、最初に、第2収容チャンバ21の変形可能な壁を破砕する。第2収容チャンバ21内が所定圧力に到達すると、第2収容チャンバ21に収容された液体成分は、分離装置12、22に設けた流体連通ダクト2を通過して第1収容チャンバ11に入る。破砕ヘッド201は、第2収容チャンバ21が完全に空になるまで前進し続ける。凹部204により、破砕ヘッド201は、通過する分離装置12、22を妨害することなく乗り越える。この時、オペレータは、スライド式プランジャ200の前進を中断し、第1収容チャンバ11内の注射液の再構成を容易にするために注射器を振ることができる。破砕ヘッド201は分離装置12、22を通過した後も前進を続け、第1収容チャンバ11の変形可能な壁を破砕する。第1収容チャンバ11内が所定圧力に到達すると、第1収容チャンバ11の間に設けた剥離可能な仕切りが剥がされ、場合によっては不要な空気が放出された後、破砕ヘッド201がさらに前進して注入可能な溶液を注入する。
【0066】
注入後、注射器100を開き、カートリッジ1を取り出して、例えば材料回収サイクルに回すことができる。他方、注射器100は再使用可能であるのが好ましい。
【0067】
注射器100と可撓性カートリッジ1とを備えた注射キットは、本発明のさらなる目的である。変形実施形態では、注射キットは、注射器100と、複数の可撓性カートリッジ1とを備える。
【0068】
本発明による注射器は、先行技術の注射器を参考にして、上述した要件を満足するようにした革新的なものである。実際、上述の注射器によれば、注射器内に可撓性カートリッジを容易かつ正確に挿入することができる。
【0069】
有利なことに、分離器がコネクタである場合、第1収容チャンバ11及び第2収容チャンバ21は、別々の機械又は部屋で充填することができるので、生産コストを大幅に低減することが可能である。
【0070】
また、本システムは、注射器100が再利用可能であるため、エンドユーザにとっては低コストであり、環境にとっても有益である。
【0071】
当業者は、偶発的なニーズを満たすために、以下の特許請求の範囲で定義される保護の範囲に含まれるすべての上述の可撓性カートリッジに変更を加えてもよいことが明らかである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ本体(10、20)を有する、注射液の注射装置用の可撓性カートリッジ(10)であって、
少なくとも注射液の第1成分の第1収容チャンバ(11)であって、する第1収容チャンバ(11)と、
少なくとも注射液の第2成分の第2収容チャンバ(21)であって、第1収容チャンバ(11)に第2成分を移動させるために、少なくとも1つの第2の圧縮変形可能な壁を備える第2収容チャンバ(21)と、
前記第1収容チャンバ(11)と前記第2収容チャンバ(21)との間に操作可能に介在する分離装置(12、22)であって、装置本体内に画定された少なくとも1つの流体連通ダクト(2)を含む装置本体を有し、前記可撓性カートリッジ(1)は、前記流体連絡ダクト(2)が前記第2成分の通過しない第1動作構成と、前記流体連通ダクト(2)が前記第2成分の通過可能な第2動作構成とを想定するように構成されている分離装置(12、22)と、
前記カートリッジ本体(10、20)に固定され、前記第1収容チャンバ(11)に流体接続されるように構成された針保持部品(3)であって、前記第1収容チャンバ(11)が、前記針保持部品(3)と前記分離装置(12、22)との間に動作可能に介在する針保持部品(3)と、
を備え
、
前記第1収容チャンバ(11)は、空間的に互いに分離され、前記針保持部品(3)と前記分離装置(12、22)との間に並列に配置された2つのチャンバ部(11)を有し、
前記カートリッジ本体(10、20)は、中央部(15、25)と、前記中央部(15、25)に対して互いに反対側に配置された2つの側部(16、26)とを備え、前記分離装置(12、22)は、前記中央部(15、25)上に配置され、前記チャンバ部(11)は、前記中央部によって互いに分離された前記側部(116、26)上に配置されている、可撓性カートリッジ(1)。
【請求項2】
前記分離装置(12、22)は、フィルタ及び/又はバルブ及び/又はコネクタを備えている、請求項1に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項3】
前記分離装置(12、22)は、流体連通ダクト(2)内の一方向の流れを可能にするように構成された弁を備えている、請求項2に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項4】
前記カートリッジ本体(10、20)は、
第1収容チャンバ(11)を形成するために接合された第1シート部(13)及び第2シート部(14)と、
第2収容チャンバ(21)を形成するために接合された第3シート部(23)及び第4シート部(24)と、
を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項5】
前記分離装置(12、22)、特に装置本体は、第1シート部(13)と第2シート部(14)の間、及び第3シート部(23)と第4シート部(24)の間に介在している、請求項4に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項6】
第1シート部(13)及び第3シート部(23)の一方は、それぞれ第2シート部(14)及び第4シート部(24)よりも相対的に柔軟である、請求項4又は5に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項7】
前記第1シート部(13)及び前記第3シート部(23)は、それぞれ少なくとも第1及び第2の変形可能な丸みを帯びた凹部を含み、その下に前記第1収容チャンバ(11)及び前記第2収容チャンバ(21)がそれぞれ配置され、
前記第2シート部(14)と前記第4シート部(24)は、平坦で相互に補完的である、請求項4から6のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項8】
前記カートリッジ本体(10、20)はブリスターである、請求項1から7のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項9】
前記分離装置(12、22)は、第1接続要素(12)及び第2接続要素(22)を有するコネクタからなり、本体(10、20)は、第1接続要素(12)を有する第1部分(10)及び第2接続要素(22)を有する第2部分(20)からなり、前記第1接続要素(12)及び前記第2接続要素(22)は、互いに機械的に結合して前記コネクタを形成し、前記第1部分(10)及び前記第2部分(20)を結合して前記本体(10、20)を形成する、請求項1から8のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項10】
前記針保持部品(3)は、本体(10、20)の第1部分(10)に固定されている、請求項9に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項11】
前記第1収容チャンバ(11)と前記針保持部品(3)との間に、第1収容チャンバ(11)からの出口ダクト(18)が形成され、剥離可能な仕切りによって閉じられている、請求項1に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項12】
前記第1収容チャンバ(11)と分離装置(12、22)との間に、第1収容チャンバ(11)への入口ダクト(19)が形成され、剥離可能な仕切りによって閉じられている、請求項1から11のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項13】
前記第2収容チャンバ(21)と分離装置(12、22)との間に、第2収容チャンバ(21)からの出口ダクト(28)が形成され、剥離可能な仕切りによって閉じられている、請求項1から12のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項14】
前記中央部が接着又は溶接された領域である、請求項1に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項15】
前記第2収容チャンバ(21)は、空間的に分離された2つのチャンバ部(21)からなり、それぞれが各側部(26)に配置されている、請求項
1に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項16】
前記第1収容チャンバ(11)の2つのチャンバ部(11)が、流体的に遮断され、
前記第2収容チャンバ(21)の2つのチャンバ部(21)が流体的に遮断され、
前記分離装置(12、22)は、第2収容チャンバの2つのチャンバ部のうちの一方のみを第1収容チャンバの2つのチャンバ部のうちの一方のみと流体接続するように構成された第1連通ダクトと、第2収容チャンバの2つのチャンバ部のうちの他方のみを第1収容チャンバの2つのチャンバ部分のうちの他方と流体接続するように構成された第2連通ダクトとを備えている、請求項
15に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項17】
前記装置本体(12、22)は、第1収容チャンバ(11)に面する第1面(15)と、第1面の反対側で第2収容チャンバ(21)に面する第2面(2)との間に延び、流体連通ダクト(2)が、第1面(15)から第2面(25)まで延びる凹部又は穴である、請求項1から
16のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項18】
前記分離装置の本体は独立した本体である、請求項1から
17のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項19】
前記分離装置の本体は、第1収容チャンバの変形可能な壁及び第2収容チャンバの変形可能な壁よりも剛性が高い、請求項
18に記載の可撓性カートリッジ(1)。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の可撓性カートリッジ(1)に含まれる注射液を注入するための注射器(100)であって、
前記可撓性カートリッジ(1)と協働するように構成され、
前記可撓性カートリッジ(1)を受け入れるための受容区画(106)を備えた本体(101)と、
前記可撓性カートリッジ(1)の第1及び第2収容チャンバを変形させるように構成された破砕装置(200)であって、分離装置(12、22)の上を通過することができる凹部(204)を有する破砕装置(200)と、
を備える注射器(100)。
【請求項21】
前記凹部(204)は、分離装置(12、22)に接触することなく、及び/又は、破砕することなく、分離装置(12、22)上を通過できる形状及びサイズである、請求項
20に記載の注射器(100)。
【請求項22】
前記破砕装置(200)は、本体(101)に対して摺動軸に沿って摺動するプランジャであり、凹部(204)は、第1収容チャンバ(11)及び第2収容チャンバ(21)を破砕することにより変形するように構成された摺動プランジャ(200)の頭部(201)に形成されている、請求項
21に記載の注射器(100)。
【請求項23】
請求項
20から
22のいずれか1項に記載の注射器(100)と、請求項1から
19のいずれか1項に記載の少なくとも1つの
可撓性カートリッジ(
10)とを備える、注射液を注入するための注射キット。
【国際調査報告】