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特表2022-504276大容量用途で使用するための区画化された細胞培養
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】大容量用途で使用するための区画化された細胞培養
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220105BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C12M1/00 D
C12Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518624
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2019077380
(87)【国際公開番号】W WO2020074592
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】62/743,028
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521135038
【氏名又は名称】セレクトリコン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピール、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】カリラ、パウル
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA07
4B029AA08
4B029BB11
4B029CC02
4B029GA03
4B029GB02
4B029GB03
4B029GB06
4B063QA01
4B063QA05
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4B063QQ89
4B063QR58
4B063QR66
4B063QR72
4B063QR77
4B063QS39
4B063QX02
4B063QX04
(57)【要約】
本開示は、細胞培養基板を生成するのに有用であり、米国国家規格協会の実験室自動化及びスクリーニング学会(ANSI/SLAS)マイクロプレート規格に準拠する隣接ウェル間の流体接続を有するマルチウェルプレートに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェルを含むマルチウェルプレートであって、プレートの少なくとも2つの隣接するウェルは、少なくとも2つの隣接するウェルを分離する壁に少なくとも1つの流体接続を有する、上記マルチウェルプレート。
【請求項2】
前記マルチウェルプレートが、米国国家規格協会の実験室自動化及びスクリーニング学会(ANSI/SLAS)マイクロプレート規格に準拠している、請求項1に記載のマルチウェルプレート。
【請求項3】
前記マルチウェルプレートが、熱可塑性材料から製造された基板を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項4】
前記熱可塑性材料が、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(Nylon(登録商標))、ポリプロピレン又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テフロン(登録商標)、PDMS、及び/又は熱可塑性ポリエステル(TPE)を含む、請求項3に記載のマルチウェルプレート。
【請求項5】
前記マルチウェルプレートが、シクロオレフィンコポリマー(COP)、シクロオレフィンポリマー(COC)、又はポリスチレン(PS)から製造された基板を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項6】
前記マルチウェルプレートが、シリコン、ガラス、セラミック材料、又はアルミナから製造された基板を含む、請求項1又は2に記載のマルチウェルプレート。
【請求項7】
前記プレートが2つ以上の層を含む基板を含み、任意選択で、これらの層が超音波溶接、熱圧縮結合、プラズマ結合、溶媒を利用した結合、レーザーを利用した結合、又は接着剤又は二重粘着テープを使用した接着結合によって結合される、請求項1から6のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項8】
プレートが、タンパク質又はポリマーでコーティングされた基板を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項9】
前記プレートが、ポリ‐1‐リジン、ポリ‐L‐オルニチン、コラーゲン、ラミニン、マトリゲル(Matrigel)(登録商標)、又はウシ血清アルブミンのうちの1つ又は複数でコーティングされた基板を含む、請求項8に記載のマルチウェルプレート。
【請求項10】
プレートが、ポリ[カルボキシベタインメタクリレート](PCBMA)、ポリ[[2‐メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド](PMETAC)、ポリ[ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート](PPEGMA)、ポリ[2‐ヒドロキシエチルメタクリレート](PHEMA)、ポリ[3‐スルホプロピルメタクリレート](PSPMA)、及びポリ[2‐(メタクリロイルオキシ)エチルジメチル‐(3‐スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド](PMEDSAH)のうちの1つ又は複数で化学的に修飾された表面を含む基板を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項11】
前記プレートが、少なくとも1つの金属電極、少なくとも1つの金属酸化物電極、少なくとも1つの炭素電極、及び/又は流体接続に隣接するウェルにおける少なくとも1つの電界効果トランジスタ検出器をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項12】
前記プレートは、潜在的な記録、インピーダンス分光法、ボルタンメトリー及びアンペロメトリーのうちの1つ又は複数を含む電気的読み出しが可能である、請求項11に記載のマルチウェルプレート。
【請求項13】
前記プレートが、3つの流体接続されたウェルの少なくとも2つ、少なくとも4つ、少なくとも8つ、少なくとも16、少なくとも32、又は少なくとも96のグループを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項14】
前記少なくとも1つの流体接続は、少なくとも0.5×0.2mm及び最大で1.0×3.0mmの断面寸法を含み、任意選択でアスペクト比が1:5~2:1(高さ:幅)の範囲である、請求項1から13のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項15】
前記少なくとも1つの流体接続が、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2mm以上の断面寸法(H及び/又はW)、たとえば、0.1×0.1mmから1.0×2.0mm(H×W)までの範囲の寸法、たとえば、0.1×0.1mm、0.1×0.2mm、0.2×0.2mm、0.3×0.3mm、0.4×0.4mm、0.5×0.5mm、0.5×1mm、0.6×0.6mm、0.7×0.7mm、0.8×0.8mm、0.9×0.9mm、1×1mm、1×1.5mm、1×2mm、又は2×2mm(H×W)の寸法、又は上記の2つの寸法のいずれかで囲まれた範囲の寸法を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項16】
前記少なくとも1つの流体接続は、0.1×0.1mmから2×2mmまでの断面寸法(H×W)、たとえば0.5×0.5mmから1×1mmまでの、又は0.1×0.1mmから1×1mmまでの、又は0.1×0.1mmから0.5×0.5mmまでの、又は0.5×0.5mmから2×2mmまでの、又は0.5×0.5mmから1×2mmまでの断面寸法を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項17】
前記少なくとも1つの流体接続は、1~20μmの間の断面寸法(H及び/又はW)、たとえば、1~5μm、1~10μm、5~10μm、10~20μm、10~15μm、15~20μm、5~15μmの寸法を含み、又は1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、又は20μmの断面寸法(H及び/又はW)を含み、任意選択で1:5~2:1の範囲のアスペクト比(H×W)をも有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項18】
流体接続が、0.5×0.2mm以下、又は100×100μmから0.5×0.2mm(H:W)までの断面寸法を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項19】
前記流体接続は、5×5μm以下、又は3×3μmから5×5μmまでの断面寸法を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項20】
前記流体接続の寸法、形状、及び数は、神経突起の浸透及び生産性を改善するために、少なくとも1つの流体接続の長さにわたって変化する、請求項17又は19に記載のマルチウェルプレート。
【請求項21】
前記少なくとも1つの流体接続の長さが少なくとも0.25mm、最大で2.0mmである、請求項1~13又は18のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項22】
少なくとも1つの流体接続の寸法のアスペクト比が20:1(W:H)から1:5(W:H)の範囲である、請求項1から21のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項23】
マルチウェルプレートが、6、12、24、48、96、384、1536、又は3456ウェルフォーマットを含み、任意選択で2:3長方形のマトリックスに編成される、請求項1から22のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項24】
マルチウェルプレートが、3つの隣接する流体的に相互接続されたウェルの少なくとも2つのグループを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項25】
マルチウェルプレートが、2つの隣接する流体的に相互接続されたウェルの少なくとも3つのグループを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項26】
前記マルチウェルプレートが、4つの隣接する流体的に相互接続されたウェルの少なくとも1つのグループを含む、請求項1から25のいずれか一項に記載のマルチウェルプレート。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載のマルチウェルプレートを使用して目的の材料をスクリーニングすることを含む、目的の材料のハイスループットスクリーニングのための方法。
【請求項28】
目的の材料が2D細胞培養物である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
目的の材料が3D細胞培養物である、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、大容量用途で使用するための区画化された細胞培養物を生成するための新規の基板に関する。具体的には、いくつかの実施形態では、本開示は、実験室自動化及びスクリーニング学会(ANSI/SLA)マイクロプレート規格に準拠したマルチウェルプレートに関するものであり、ウェルのグループが流体的に接続されて、神経生物学研究及び創薬における細胞アッセイの開発の広範囲に使用できる細胞培養基板を生成する。
【背景技術】
【0002】
1970年代半ばのその構想以来、区画化された細胞培養(CCC)は、神経生物学研究における重要な方法論として注目を集めてきた。Campenot, R.B., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 74: 4516-9 (1977)。たとえば、CCCは、ニューロンの個別の集団間のネットワーク通信を研究してシナプス通信(Vikman et al., J. Neurosci. Methods 105:175-184 (2001))、タンパク質及び細胞小器官の軸索輸送(Bousset et al., Ann. Neurol. 72:517-524 (2013))などのメカニズムを研究するために、又は細胞ネットワーク形成(Taylor et al., J. Neurosci. 33:5584-5589 (2013))を研究する目的で、使用することができる。さらに、CCCは、異なる細胞タイプ間の細胞シグナル伝達、たとえば、ニューロン‐筋細胞シグナル伝達(Zahavi et al., J. Cell Sci. 128:1241-1252 (2015))、又はさまざまな脳領域からのニューロン間のコミュニケーション(Berdichevsky, Y., Staley, K. J. & Yarmush, M. L. Lab Chip 10, 999-1004 (2010))を研究するための実験に使用されている。
【0003】
従来、CCCは主に、実験の高スループット又は並列化の必要性が限られていた基礎研究用途に使用されてきた。しかし、製薬業界から、より高度で翻訳に関連する細胞ベースのアッセイに対する需要が高まっているため、薬物スクリーニング用途でCCCを使用できるようにする必要がある。たとえば、今日、関連する方法でプリオン及びプリオン様メカニズムをモデル化し、比較的短い時間枠で数千の化合物のスクリーニングを可能にするアッセイプラットフォームにアクセスすることに大きな関心が寄せられている(Zhang, M., Luo, G., Zhou, Y., Wang, S. & Zhong, Z. Phenotypic screens targeting neurodegenerative diseases. J. Biomol. Screen. 19, 1-16 (2014)(神経変性疾患を標的とする表現型スクリーニング。))。しかし、現在の最先端の製品では、このような要求を満たすのに十分な堅牢性やスループットを提供できない。
【0004】
CCCを確立するために、個別の細胞培養領域(ウェル)が、ウェル間の流体接続を確立するのに十分大きいが、細胞が異なる細胞-培養領域の間を移動するのを防ぐのに十分小さい直径を有する非常に小さいチューブを介して流体的に相互接続される細胞培養基板が使用される。従来、CCCは手動で非常に大雑把な方法で実現されていた。メスを使用して、細胞培養皿の底に溝や引っかき傷を手動で作成していたのである。その引っかき傷を次に真空グリースを使用してシールし、シールされた引っかき傷の上にガラス又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)リングなどの物理的バリアを注意深く配置することにより、個別の領域を形成したのである。この方法の説明については、Campenot, R.B., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 74: 4516-9 (1977))を参照されたい。この方法は、CCCの形成に適した基板を製造するために使用できるが、非常に面倒で、高い故障率に悩まされている。近年、マイクロマシニング法がCCC形成用の基板の製造に使用されている。たとえば、ソフトリソグラフィーとポリジメチルシロキサン(PDMS、つまりシリコーンゴム)の鋳造が採用され、元の手作りの基板よりも非常に均一で取り扱いがはるかに簡単なマイクロ流体基板が製造されている。Taylor et al., Nat. Methods 2:599-605 (2005);及び Neto et al., J. Neurosci. 36:11573-11584 (2016)参照。しかし、CCCの形成を可能にするために必要なかなり複雑なマイクロチャネルネットワークのために、これらのマイクロ流体基板にもいくつかの欠点があり、効率的な実験に使用することを妨げているができない。たとえば、これらの基板は液体で満たすのが難しく、気泡が形成されやすく、表面改質が難しく、時間の経過とともに層間剥離が発生しやすくなる。さらに、これらの基板に必要な複雑なマイクロチャネルレイアウトのため、これらの設計を大容量のスクリーニングに必要な高密度フォーマットにスケールアップすることは困難である。
【発明の概要】
【0005】
ここでは、ハイスループットスクリーニング(HTS)などの大容量実験用途を可能にするCCCの生産のための新規の基板を提示する。基板は、標準の384ウェルプレートフォーマットに基づいており、隣接するウェルは、細胞の移動を防ぎ、ウェル間の化学的完全性を維持するために十分に小さくすることができる流体接続によって相互接続されているが、それに限定されるものではない。流体接続は、実験で高い成功率を確保するために堅牢な液体処理を可能にするように注意深く設計されている。さらに、基板は、湿式化学的アプローチを使用して簡単に表面改質することができる。HTS用途での使用を可能にするために、基板はすべてのANSI/SLASマイクロプレート規格に準拠するように設計されているため、市場で入手可能なほとんどの市販の液体処理ロボット及び光学読み出しシステムと互換性がある。
【0006】
説明によれば、本開示は、たとえば、ウェルを含むマルチウェルプレートを包含し、プレートの少なくとも2つの隣接するウェルは、その少なくとも2つの隣接するウェルを分離する壁に少なくとも1つの流体接続を有する。いくつかの実施形態では、マルチウェルプレートは、米国国家規格協会の実験室自動化及びスクリーニング学会(ANSI/SLA)マイクロプレート規格に準拠している。いくつかの実施形態では、マルチウェルプレートは、熱可塑性材料から製造された基板を含む。いくつかの実施形態では、熱可塑性材料は、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリプロピレン又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テフロン(登録商標)、PDMS、及び/又は熱硬化性ポリエステル(TPE)を含む。いくつかの実施形態では、マルチウェルプレートは、シクロオレフィンコポリマー(COP)、シクロオレフィンポリマー(COC)又はポリスチレン(PS)から製造された基板を含む。他の実施形態では、マルチウェルプレートは、シリコン、ガラス、セラミック材料、又はアルミナから製造された基板を含む。いくつかの実施形態では、プレートは、複数の層を含み、任意選択で、層が超音波溶接、熱圧縮結合、プラズマ結合、溶媒を利用した結合、レーザーを利用した結合、又は接着剤又は二重接着テープを使用する接着結合によって結合される基板を含む。いくつかの実施形態では、プレートは、タンパク質又はポリマーでコーティングされた基板を含む。場合によっては、プレートは、ポリ‐L‐リジン、ポリ‐L‐オルニチン、コラーゲン、ラミニン、マトリゲル(Matrigel)(登録商標)、又はウシ血清アルブミンの1つ又は複数でコーティングされた基板を含む。場合によっては、プレートは、ポリ[カルボキシベタインメタクリレート](PCBMA)、ポリ[[2‐メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド](PMETAC)、ポリ[ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート](PPEGMA)、ポリ[2‐ヒドロキシエチルメタクリレート](PHEMA)、ポリ[3‐スルホプロピルメタクリレート](PSPMA)、及びポリ[2‐(メタクリロイルオキシ)エチルジメチル‐(3‐スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド](PMEDSAH)の1つ又は複数で化学的に修飾された表面を含む基板を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、プレートは、流体接続に隣接するウェル内に、少なくとも1つの金属電極、少なくとも1つの金属酸化物電極、少なくとも1つの炭素電極、及び/又は少なくとも1つの電界効果トランジスタ検出器をさらに含む。いくつかの実施形態では、プレートは、潜在的な記録、インピーダンス分光法、ボルタンメトリー、及びアンペロメトリーのうちの1つまたは複数を含む電気的読み出しが可能である。
【0008】
いくつかの実施形態において、プレートは、3つの流体的に接続されたウェルの少なくとも2つ、少なくとも4つ、少なくとも8つ、少なくとも16、少なくとも32、又は少なくとも96のグループを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体接続は、少なくとも0.5×0.2mm及び最大で1.0×3.0mmの断面寸法を含み、任意選択で、1:5から2:1(高さ:幅)の範囲のアスペクト比を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体接続は、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2mm以上の断面寸法(H及び/又はW)、たとえば0.1×0.1mmから1.0×2.0mm(H×W)までの範囲の寸法、たとえば0.1×0.1mm、0.1×0.2mm、0.2×0.2mm、0.3×0.3mm、0.4×0.4mm、0.5×0.5mm、0.5×1mm、0.6×0.6mm、0.7×0.7mm、0.8×0.8mm、0.9×0.9mm、1×1mm、1×1.5mm、1×2mm、又は2×2mm(H×W)の寸法、又は上記の2つの寸法のいずれかで囲まれた範囲の寸法を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体接続は、0.1×0.1mmから2×2mm、たとえば、0.5×0.5mmから1×1mm又は0.1×0.1mmから1×1mm又は0.1×0.1mmから0.5×0.5mm又は0.5×0.5mmから2×2mm又は0.5×0.5mmから1×2mmの断面寸法(H×W)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体接続は、1~20μmの間の断面寸法(H及び/又はW)、たとえば、1~5μm、1~10μm、5~10μm、10~20μm、10~15μm、15~20μm、5~15μmを含むか、又は1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、又は20μmの断面寸法(H及び/又はW)を含み、任意選択で1:5~2:1の範囲のアスペクト比(H×W)をも有する。いくつかの実施形態では、流体接続は、0.5×0.2mm以下、又は100×100μmから0.5×0.2mm(H:W)の断面寸法を含む。いくつかの実施形態では、流体接続は、5×5μm以下、又は3×3μmから5×5μmの断面寸法を含む。いくつかの実施形態では、流体接続の寸法、形状、及び数は、神経突起の浸透及び生産性を改善するために、少なくとも1つの流体接続の長さにわたって変化する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体接続の長さは、少なくとも0.25mm、最大で2.0mmである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体接続の寸法のアスペクト比は、20:1(W:H)から1:5(W:H)の範囲である。
【0009】
いくつかの実施形態において、マルチウェルプレートは、6、12、24、48、96、384、1536又は3456ウェルフォーマットを含み、そして任意選択で2:3長方形マトリックスに組織化される。いくつかの実施形態では、マルチウェルプレートは、3つの隣接する流体的に相互接続されたウェルの少なくとも2つのグループを含む。いくつかの実施形態では、マルチウェルプレートは、2つの隣接する流体的に相互接続されたウェルの少なくとも3つのグループを含む。いくつかの実施形態では、マルチウェルプレートは、4つの隣接する流体的に相互接続されたウェルの少なくとも1つのグループを含む。
【0010】
本開示はまた、本明細書の実施形態のいずれか1つのマルチウェルプレートを使用して目的の材料をスクリーニングすることを含む、目的の材料のハイスループットスクリーニングのための方法を包含する。いくつかの実施形態では、目的の材料は2D細胞培養物である。他の実施形態では、目的の材料は3D細胞培養物である。
【0011】
追加の目的及び利点は、一部は以下の説明に記載され、一部は説明から明らかであるか、又は実践によって学習され得る。目的及び利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素及び組み合わせによって実現及び達成されるであろう。
【0012】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0013】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、1つの(いくつかの)実施形態を示し、説明とともに、本明細書に記載された原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、マイクロプレートの製造及び組み立ての1つの方法を示している。2つの層(層2と3)は結合されてラミネート(積層体)を形成し、流体接続をシールして規定する。この図は、底なしの384ウェルプレート(層1)に結合されたラミネート(層2及び3)の組み合わせを示す。層2:厚い、+1mmの基板で、下側にトレンチを含む384ウェルプレートパターンに一致するミリングスルーホールを有する層1:底なしの標準384ウェルプレート下部(層3):薄い透明で、好ましくはHCA互換性のシート
【0015】
図2図2は、ウェル間の接続を含む基板を示し、前記ウェル間の2つの可能な流体接続を例示している。
【0016】
図3図3は、異なる設計、すなわち、対結合ウェル、3つの接続されたウェル、及び4つの接続されたウェルをマイクロプレートフォーマットにどのように詰めることができるかを示している。
【0017】
図4図4は、基板の側面図、及びこれを3層及び2層設計でどのように組み立てることができるかを示している。 以下を図4Aに示す。層1:384ウェルマイクロタイタープレートの標準上部。層2:厚い、+1mmの基板で、下側にトレンチを含む384ウェルプレートパターンに一致するミリングスルーホールを有する。層3‐プレートの底、すなわち、層2の上に結合された薄膜(100~200μm)。 以下を図4Bに示す。層1‐384ウェルマイクロタイタープレートの標準上部層3‐プレートの底、すなわち、層2の上に結合された薄膜(100~200μm)
【0018】
図5図5は、基板におけるシナプス機能アッセイ、及びシナプス伝達及び興奮性の概念を示しており、基板において調節されアッセイされる。以下を図5に示す。I:Ca5色素とインキュベートしたE‐18マウス皮質ニューロンを含むCCCの顕微鏡写真。青い四角は刺激ゾーン(ゾーン1)で、赤い四角は読み出しゾーン(ゾーン2)である。II:電気的又は化学的刺激の前は、培養物(culutes)は非蛍光性である。III:電気的又は化学的刺激により、ゾーン1の細胞は活動電位を発火し、カルシウム蛍光を増加させる。IV:ゾーン1で誘発された活動電位がシナプス結合細胞を介して培養全体に広がると、対応するカルシウム蛍光がゾーン2に移動し、そこで記録される。図5の注釈は次のとおりである。 D‐AP5(NMDAR拮抗薬;100μM)及びLY341495(mGluR拮抗薬;50μM);** テトラカイン(10μM);化合物のインキュベーション:30分。
【0019】
図6図6は、基板におけるシナプス機能アッセイから生成されたデータの例を示す。図6Aは、NMDAR遮断の例を示し、図6Bは、GABAR調節/アゴニスト作用の例を示す。電気的に誘発され、シナプスを介したCa2+蛍光の増加を検出することができる。これらのイベントは、AMPA及びNMDARのアクティブ化を介して仲介される。既知の機能の薬理学的ツールは、観察されたCa2+シグナルの予測可能な調節を引き起こす。
【0020】
図7図7は、プリオン進行及び調節アッセイの概念を示す。プリオン様メカニズムインデューサー(たとえば、病原性タウ)がウェル1に追加され、その後、病因の進行がウェル2で調節され、調節がウェル3で検出される。
【0021】
図8図8は、流体接続によって接続された隣接するウェルの細胞培養物間の蛍光標識NDAP(タウ粒子)の広がりの顕微鏡画像を示す。グラフはさらに、拡散が流体接続の数に依存していること、及び細胞がウェル間の輸送に必要であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、HTSなどの大容量用途で使用するための区画化された細胞培養物(以下、CCCと呼ぶ)を生成するための新規の基板に関する。具体的には、本開示は、ANSI/SLAS規格準拠のマルチウェルプレートに関するものであり、いくつかの実施形態では、これは384ウェルプレートであり得、これはウェルのグループが、細胞又は細胞のクラスターの移動を防ぐために、及び/又はウェル間の化学的完全性を維持するために十分に小さい微細加工された流体接続を介して流体接続されている。
【0023】
定義
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、たとえば、整数、分数、及びパーセンテージを含む数値を指す。約の用語は、一般に、当業者が記載された値と均等であると見なす(たとえば、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲(たとえば、記載された範囲の+/-5~10%)を指す。少なくとも及び約などの用語が数値又は範囲のリストの前にある場合、その用語はリストで提供される値又は範囲のすべてを修飾する。場合によっては、約という用語には、最も近い有効数字に丸められた数値が含まれることがある。
【0024】
本明細書で使用される「又は」という用語は、代替案のみが意図されているという文脈から別段のことが明らかにされない限り、「及び/又は」として解釈されるべきである。
【0025】
「マルチウェルプレート」は、小さな試験管として利用することができるウェル又はコンパートメント(区画)を有する平板を指す。マルチウェルプレートは、いくつかの実施形態では、2:3長方形マトリックスに編成された、いくつかの例では、6、12、24、48、96、384、1536、又は3456ウェルを有することができる。プレートの「基板」とは、プレート構造及びプレートのウェルを形成する一般的な材料を指す。基板は、1つ又は複数の層並びに1つ又は複数のコーティングを含むことができる。
【0026】
「384ウェルフォーマット」は、2:3の長方形マトリックスに編成された384ウェル、すなわち、16×24ウェルを有するマルチウェルプレートを指す。この文脈では、「フォーマット」という用語は、ウェルの列が編成される方法を単に指す(たとえば、2:2、2:3、及びウェルの総数を提供する各行のウェルの数)。たとえば、32×48ウェルを有するより高いマルチウェルプレートフォーマット(1536ウェル)又は8×12ウェルを有するより低いマルチウェルプレートフォーマット(96ウェル)も使用することができる。想定されるプレートフォーマットは、たとえば、6、12、24、48、96、384、1536又は3456ウェルであり得る。
【0027】
「接続されたウェル」、「相互接続されたウェル」、又は「流体的に接続されたウェル」という用語は、それらの間に直接流体接続を有するウェルを指す。「隣接するウェル」とは、近接(隣接)するウェルを指し、1つ又は複数の流体接続によって相互接続され、いわゆるウェルの「グループ」を形成する場合がある。本明細書で使用されるウェルの「グループ」は、流体接続によって直接的又は間接的に接続されたウェルを指す。いくつかの実施形態では、そのようなウェルのグループは、「アッセイ可能な構造」又は「アッセイ可能な実体」又は「アッセイ可能なグループ」、すなわち、意図されたアッセイに使用される構造又は実体を形成し得る。たとえば、少なくとも3つの相互接続されたウェルのグループは、アッセイ可能なエンティティを形成する場合がある。このようなウェルのグループは、384ウェルプレート上で個別に、又は複数のグループで並行して、又は順番に処理できる。
【0028】
ウェル間などの「流体接続」という用語は、1つ又は複数の接続又は導管を有するウェルを指し、目的に応じて、制御された輸送又は材料の輸送の防止を可能にすることができる。一実施形態では、流体接続は、軸索及び/又は樹状突起の輸送を可能にするが、細胞又はミトコンドリアなどの細胞体の輸送を妨げる。この実施形態では、小分子、ポリマー、タンパク質、及びナノ粒子は、流体接続を介して輸送することができるが、細胞又はミトコンドリアなどのより大きな材料は、輸送するには大きすぎ、前記輸送は、静水圧を操作することによって調節することができる。別の実施形態では、流体接続は、細胞、細胞のクラスター、並びに軸索及び樹状突起の輸送を可能にする。「断面寸法」という用語は、2つのウェル間の流体接続の幅と高さを指す。
【0029】
「実験室自動化及びスクリーニング学会(Society for Laboratory Automation and Screening)(ANSI/SLAS)マイクロプレート規格」とは、フットプリント寸法、高さ寸法、外側下部フランジ寸法、ウェル位置、及びウェル下部高さの物理的寸法と公差を概説する一連の規格を指す。たとえば、いくつかの実施形態では、マルチウェルプレートは、有効なANSI/SLAS規格、すなわちANSI/SLAS 1‐2004(R2012):フットプリント寸法、ANSI/SLAS 2‐2004(R2012):高さ寸法、ANSI/SLAS 3‐2004(R2012):下部外側フランジ寸法、ANSI/SLAS 4‐2004(R2012):ウェル位置、及び/又はANSI/SLAS 6‐2012:ウェル下部高さに準拠している。
【0030】
「熱可塑性材料」という用語は、特定の温度を超えると成形可能又は柔軟になり、冷却すると固化するプラスチック材料、最も一般的にはポリマー材料を指す。
【0031】
組成と方法
a.基板の特性
商業的ハイスループットスクリーニング(HTS)システムの現在の要件を満たすために、本開示の基板は、いくつかの実施形態では、ANSI/SLAマイクロプレート規格で指定されているような物理的フットプリント及び外形を有し得る。これらの基準に従うことにより、本開示の実施形態は、確立されたロボットプレート処理システム、液体処理システム、及びHTSで利用される光学読み出しシステムと互換性があり得る。しかしながら、マイクロプレートの規格は、形状又は設計の将来の変更の対象となるため、本発明はまた、マルチウェルプレートの様々な形状及びサイズとも互換性がある。
【0032】
本開示の一実施形態では、基板は3つの部分から構成される:
【0033】
第1に、基板は、基板の外形寸法及び形状を規定する上部で構成される。また、第1の部分は、ウェル又は細胞培養領域の巨視的な部分を規定する。これらのウェルのサイズと形状は、液体の取り扱いと細胞培養プロセスを容易にするように設計する必要がある。本開示の一実施形態では、384ウェルフォーマットが使用される。しかしながら、本開示の他の実施形態では、6、12、24、48、96、1536又は3456ウェルを有するマルチウェルプレートを使用することができる(図1)。たとえば、384ウェルプレートを使用する実施形態では、プレートは、3つの隣接する流体的に相互接続されたウェルの少なくとも96グループ、2つの隣接する流体的に相互接続されるウェルの少なくとも192グループ、又は4つの隣接する流体的に相互接続されるウェルの少なくとも96グループを含む。2つ又は3つの相互接続されたウェルのグループを有する6、12、24、48、96、1536又は3456ウェルを備えたマルチウェルプレートも使用することができた。
【0034】
基板の第2の及び中間の部分は、隣接するウェル間の流体接続を規定する。(図1)用途に応じて、これらの流体接続のサイズと長さは変化する可能性があり、基板が使用される細胞ベースのアッセイのタイプに依存する。たとえば、シナプス有効性アッセイの場合、細胞培養における局所的な化学的刺激の誘導を可能にするために局所的な化学的完全性を維持することができる細胞培養の作成に焦点が当てられる。本開示のこの実施形態では、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2mm以上の断面直径、たとえば、0.1×0.1mmから1.0×2.0mm(H×W)までの寸法、たとえば0.1×0.1mm、0.1×0.2mm、0.2×0.2mm、0.3×0.3mm、0.4×0.4mm、0.5×0.5mm、0.5×1mm、0.6×0.6mm、0.7×0.7mm、0.8×0.8mm、0.9×0.9mm、1×1mm、1×1.5mm、1×2mm、又は2×2mm(H×W)、又は上記の2つの寸法のいずれかで囲まれた範囲を有する流体接続を使用することができる。いくつかの実施形態では、寸法は、0.1×0.1mmから2×2mm、たとえば、0.5×0.5mmから1×1mm又は0.1×0.1mmから1×1mm又は0.1×0.1mmから0.5×0.5mm又は0.5×0.5mmから2×2mm又は0.5×0.5mmから1×2mmの範囲であり得、たとえば、アスペクト比(H×W)が1:5~2である。
【0035】
プリオン様メカニズムをアッセイするために、例えば、異なる細胞培養ゾーン(ウェル)間での細胞の移動を防ぐために、はるかに小さい接続を使用することができる。(図2)。流体接続の断面寸法は、この場合、1~20μm、たとえば1~5μm、1~10μm、5~10μm、10~20μm、10~15μm、15~20μm、5~15μmの寸法を有する、又は1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、又は20μmの寸法(H又はW)を有する、及び任意選択で、1:5~2:1の範囲のアスペクト比(H×W)をも有する1つ又は複数の接続を含み得る。いくつかの実施形態では、流体接続の断面寸法は、少なくとも1×0.5mmを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、流体接続の断面寸法は、1×0.5mm未満を含む。一実施形態では、流体接続は、3×3μmという小さな寸法を有する1つ又は複数の接続から構成される。接続は、最大100×100μmのより大きな寸法にすることもできる。アスペクト比、すなわち、断面寸法の幅と高さの比は、20:1(W:H)から1:5(W:H)、たとえば20:1から10:1、10:1から5:1、5:1から1:1、2:1から1:2、1:1から1:2、1:1から1:5、又は1:2から1:5(すべてW:H)のアスペクト比の範囲であり得る。。
【0037】
流体接続の形状及びサイズは、生産性、流体の湿潤及び充填、並びに流体コネクタへの細胞プロセスの入口などのパラメータを最適化するために、接続の長さ軸全体にわたって変化し得る。たとえば、流体接続の入口に漏斗状構造を組み込むことにより、神経突起の誘導及び浸透を改善することができ、流体接続の高さを変えることにより、機械的安定性、したがって生産性を改善することができる。一実施形態では、6×8μm(W×H)寸法を有するチャネルは、200μmの距離にわたって20×8μm(W×H)に拡張され、それにより、流体接続への軸索及び樹状突起の誘導を改善する。別の実施形態では、これらの漏斗状構造は、入口で1つの大きな流体接続を形成するために一緒に結合され、神経突起の誘導及び浸透をさらに改善する。一実施形態では、入口でのこの大きな流体接続はまた、マルチウェルプレートの生産収率をより高く、大幅に改善する。一実施形態では、流体接続の高さは、8μmから50μmに増加するが、他の高さも想定することができる。
【0038】
また、アッセイ用途に応じて、接続されたウェルの数は変動し得る。本開示の一実施形態では、基板は、ペア結合ウェル(すなわち、2つの接続されたウェル)のいくつかのユニットを含み、本開示の第2の実施形態では、基板は、3つの接続されたウェルのいくつかのユニットを含み、本開示の第3の実施形態では、基板は、4つ以上の接続されたウェルのいくつかのユニットを含む。(図3)。本開示の一実施形態では、流体接続は、基板の第1の層に直接形成され、したがって、基板に第2の層を含める必要性を完全に省く(図4)。
【0039】
基板の第3の部分は、基板の底部を規定する。高解像度のイメージング読み出しを可能にするために、いくつかの実施形態では、基板のこの底部は、可視及び遠紫外線スペクトル範囲内で光学的に透明であり、高開口数顕微鏡対物レンズを使用するイメージングを可能にするのに十分に薄い。したがって、いくつかの実施形態では、第3の底部の厚さは、200μm未満、たとえば、10~50μm、50~100μm、又は100~200μmである。高解像度イメージングが利用されない本開示の他の実施形態では、基板の最下層をより厚くして、基板の機械的堅牢性を高めることができる。(図1)。したがって、いくつかの実施形態では、第3の底部の厚さは、200~1000μmの範囲、たとえば、200~500μm、又は300~700μm、又は500~1000μm、又は200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は1000μmである。
【0040】
いくつかの実施形態では、基板は、流体コネクタに隣接するウェル内に、金属電極、金属酸化物電極、炭素電極、又は電界効果トランジスタ検出器などの追加の部品を備えて、電気的読み出しを可能にすることができ、これは提出された電位記録、インピーダンス分光法、又はボルタンメトリーとアンペロメトリーを含むが、これらに限定されない。
【0041】
B.基板生産の方法
本開示の基板は、熱可塑性プラスチックなどの広範囲の材料から製造することができる。例示的な熱可塑性材料には、たとえば、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィンコポリマー(COC)又はシクロオレフィンポリマー(COP)、ポリ(メチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリプロピレン又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられ得る。追加の材料グループには、Teflon(登録商標)などの過フッ素化材料、PDMSなどのシリコーンポリマー、熱硬化性ポリエステル(TPE)などの熱硬化性ポリマー、又はシリコン、ガラスなどの硬い結晶性又はアモルファス材料、又はアルミナなどのセラミックなどが挙げられ得る。しかし、使い捨て基板が好まれ、大量の基板が消費される可能性があるハイスループットスクリーニングのコスト基準を満たすために、基板はPS、COC、又はCOPから製造できる。これらの材料は、射出成形、熱エンボス加工、又はコンピューター支援製造(CAM)マイクロマシニングなどの費用効果の高い大量生産方法に適している場合があるからである。いくつかの実施形態では、基板で使用される材料は、細胞の培養を可能にする表面コーティングに適している。たとえば、いくつかの実施形態では、物理的表面処理、たとえばプラズマ処理又はコロナ放電を実施すること、並びにポリ‐L‐リジン、ポリ‐L‐オルニチン、コラーゲン、ラミニン、マトリゲル(Matrigel)(登録商標)、ウシ血清アルブミン又は他のタンパク質溶液などの材料タンパク質又は高分子材料で基板をコーティングすることが望ましい場合がある。さらに、化学修飾、たとえばポリ[カルボキシベタインメタクリレート](PCBMA)、ポリ[[2‐メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド](PMETAC)、ポリ[ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート](PPEGMA)、ポリ[2‐ヒドロキシエチルメタクリレート](PHEMA)、ポリ[3‐スルホプロピルメタクリレート](PSPMA)、及びポリ[2‐(メタクリロイルオキシ)エチルジメチル‐(3‐スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド](PMEDSAH)も表面にグラフトすることができる。
【0042】
基板の異なる層を組み立てるために、様々な結合方法を利用することができる。たとえば、超音波溶接、熱圧着、プラズマ接合、溶剤を利用した結合、レーザーを利用した結合、又は接着剤又は二重接着テープを使用した接着結合などの方法を使用することができる。製造の観点からは好ましくないが、基板は異なる材料で構成されていてもよい。本開示の一実施形態では、最下層はガラスで構成され、他の層は熱可塑性プラスチック又はシリコーンポリマー材料で構成される。
【実施例
【0043】
例1‐シナプスの有効性を研究するためのアッセイ
複雑な神経回路網の環境における微妙な変化は、シナプス接続の破壊又は形成のいずれかを引き起こし得る。したがって、神経疾患及び精神疾患の創薬スクリーニングは、神経機能の変化を監視する堅牢で自動化された定量的なインビトロアッセイの恩恵を受けるであろう。シナプス機能アッセイは、特に神経変性疾患に関連する治療領域に関連するデータを生成するはずであり、また、目的の化合物がネイティブターゲットと結合して神経機能に変化をもたらすという証拠も提供するはずである。従来の電気生理学的手法のスループットが低いということは、創薬プロジェクトの現実的な時間枠でテストできる化合物の数が極めて少ないことを意味する。
【0044】
この例では、本開示の細胞培養基板を光電気生理学プラットフォームと組み合わせて使用して、より大きな化合物セットのスクリーニングを可能にし、研究者が無傷の神経組織における標準的な電気生理学的技術の利用に進む前に正しい化合物及び濃度を選択していることをより確信できるようにする方法を示す。
【0045】
シナプス機能アッセイを確立するために、CCCを利用する主な目的は、細胞培養において少なくとも2つの化学的及び電気的に別個のゾーンを形成することである。第1のゾーンは細胞活動電位の誘導に使用され、第2のゾーンはシナプス接続された細胞を介してゾーン1からの活動電位がゾーン2に伝播したかどうかを監視するための読み出しゾーンとして利用される。したがって、CCC基板の目的は、細胞培養でゾーン1とゾーン2を形成し、これらのゾーンが化学的及び電気的完全性を維持できるようにすることである。
【0046】
これを達成するために、胚の18日目(E‐18)のマウス皮質組織を機械的に解離し、単一細胞溶液を、流体接続が0.2×2.0mmの断面寸法を有する1つの大きな接続で構成された192対の結合ウェルを含む384ウェルプレートフォーマットを有する細胞培養基板にプレーティングした。細胞を播種する前に、まず基板を0.01%ポリ‐L‐オルニチン溶液で37℃で一晩コーティングした。その後、ウェルをCa2+/Mg2+を含むPBSで洗浄した後、Ca2+/Mg2+を含むPBSで10μg/mlに希釈したラミニンを添加し、37℃で2時間インキュベートした。ラミニンは細胞播種の直前に除去された。培養14日後及び実験当日に、基板中の細胞にカルシウム指示薬をロードし、続いて濃度応答形式で目的の化合物との急性インキュベーション(1時間)を行った。
【0047】
基板のゾーン1に活動電位を誘導するために、プレート内のすべてのウェルのカルシウム蛍光を並行して監視することができる動的蛍光イメージングプレートリーダー(Cellaxess Elektra(登録商標)、Cellectricon AB、Moelndal、スウェーデン)にプレートを配置した。この例では、キャピラリー電極アレイ(Cellaxess Elektra(登録商標)電気刺激モジュール、Cellectricon AB、Moelndal、スウェーデン)を使用して、プレート内のすべてのゾーン1に平行で均一な外部電界を提供した。あるいは、高濃度のカリウム(通常、浸透圧調整溶液で供給される25~100mM)、又はベラトリジンなどの他の活動電位活性化剤をゾーン1に追加して、活動電位を誘導した。シナプス伝達は、プレートのゾーン2のカルシウム蛍光トランジェントを分析することによって評価された。上記の実験プロトコルを使用して、ゾーン1で電気的又は化学的に誘発されたカルシウムトランジェントを研究することにより、細胞培養におけるニューロンの興奮性を監視することも可能であった。アッセイの概念を図5に詳細に示す。
【0048】
方法
簡単に言えば、マウス皮質の解剖は、無菌条件下で行われた。解剖後、エッペンドルフチューブを氷で満たされた断熱容器に入れ、準備と細胞播種まで解剖中ずっと維持した。マウス皮質の準備は、無菌条件下で、出願人であるCellectricon(セレクトリコン社)の細胞実験室で行われた。組織を、最小量の培地(Hibernate EマイナスCa2+BrainBits LLC、Springfield、IL、USA)を含む元のバイアルから、火仕上げした大口径パスツールピペットを使用して、Hibernate Eにトリプシン0.05%+EDTAを事前に充填したチューブに移した。組織を37℃のウォーターバスで15分間インキュベートした。その後、トリプシン+EDTA溶液を除去し、10%ウシ胎児血清を添加したHibernate Eを添加した。組織を滅菌9”シラン処理ガラスパスツールピペットで穏やかに粉砕して組織を解離させた。解離していない組織を沈殿させるために、溶液を1分間放置した。次に、各チューブの上清を移し、チューブにプールした。残りの各ペレットに、新鮮なHibernate EからCa2+を差し引いたものを加えた。上記の粉砕手順を繰り返し、細胞懸濁液を細胞懸濁液チューブに移した。最後の粉砕後、細胞懸濁液を2つの別々のチューブに分け、室温で250×gで5分間遠心分離した。各チューブの上清を除去し、NbActiv4(BrainBits LLC、Springfield、Il、USA)を1つのチューブに、DMEMを1つのチューブに順次添加することにより、ペレットを注意深く再懸濁した。細胞懸濁液を各添加の間に注意深く粉砕して、細胞凝集体を解離させた。細胞懸濁液を孔径40μmのセルストレーナーで濾して、大きな細胞の塊の量を減らした。適切な培地を各細胞懸濁液に加えて合計3mlにし、Scepterセルカウンター(Scepter(登録商標)Cell counter 2.0、Merck Millipore、製造元のマニュアルによる)を使用して細胞をカウントした。細胞懸濁液を1,000,000細胞/mlに希釈し、ウェルあたり50μlの細胞懸濁液を384ウェルプレートに添加した。すべての実験において、プレートを37℃、5%CO、95%湿度で13~15日間インキュベートした。細胞の生存率と栄養供給をサポートするために、3日目に50%培地を交換し、その後の半分の培地交換を3~4日ごとの間隔で実行した。
【0049】
EFS及びカルシウムイメージング実験は、14DIVの後に実施された。これらの実験は、イメージングモジュールを備えたCellaxess Elektra(登録商標)プラットフォーム(Cellectricon AB、Moelndal、スウェーデン)で実施された。実験中、機器内の温度は31~32℃に保たれた。実験の日に、カルシウム指示薬Calcium5をNbActiv4(マウス皮質ニューロン)又は完全培地(ヒトiPSCニューロン)のいずれかに溶解した。細胞培養物をCalcium5で染色した(10%の培地交換をもたらした)。次に、細胞を37℃、5%COでインキュベートした。Calcium5を添加してから約1時間後、細胞プレートをCellaxess Elektra(登録商標)に挿入し、カルシウムシグナルの経時変化として自発的な神経活動を測定した。その後、一連の電界刺激をマルチウェルプレートのゾーン1に適用した。刺激に対する応答は、カルシウム強度の変化として同時に監視された(カメラ画像取得周波数は20Hzに設定され、カメラは4×4にビニングされた39msの露出/画像であった。次いで、カルシウム応答比(ピーク反応/ベースラインレベル)の違いを使用して、%効果を決定した。このアッセイを使用して、シナプス機能を調節して薬理学的データを生成するさまざまな化学物質の特性を明らかにした。たとえば、さまざまなメカニズムを標的とする化合物の濃度応答データが実行された。例として、NMDR受容体拮抗薬とGABAAR受容体モジュレーターが挙げられる。ほとんどの場合、シナプス機能アッセイのデータは文献データとよく一致している。図6の上の2つのグラフは、NMDA受容体、シナプス内のシグナルの伝播に最も重要な受容体の阻害を通じてシナプス伝達をブロックする化合物の濃度応答データの概要を示す。図6の下の2つのグラフは、シナプスの主要な抑制性受容体であるGABAA受容体の正の調節によってシナプス伝達をブロックする方法の概要を示す。どちらの場合も、結果は既存の文献データとよく相関している。さらに、アッセイは、中レベルのスループット(たとえば、20,000未満の化合物)を維持するフォーマットに簡単にスケーリングできるため、たとえば、フォーカスされたHTSライブラリーのスクリーニングに役立つ。これは、たとえば、192のグループを有する384ウェルフォーマットのマルチウェルプレートを利用することによって達成することができた。このフォーマットを使用すると、15%が実験対照を追加し、10%がプレートを再スクリーニングし、10プレート/日のスクリーニングペースであると仮定すると、20,000の化合物のライブラリーを3営業週未満で重複してスクリーニングできる。
【0050】
複雑で多因子の精神障害及び神経障害の疾患メカニズムに対処するための革新的で機能的なスクリーニングアプローチが必要である。この点に関して、CNS疾患の細胞モデルと組み合わせた本開示の適用は、異常なシナプス機能を回復し、新しいメカニズムに基づく治療の基礎として役立つ新規の化合物又は標的の発見につながる可能性がある。
【0051】
例2-神経回路における神経変性疾患関連ペプチド(NDAP)の拡散を研究するためのアッセイ。
脳内での神経変性疾患関連ペプチド(NDAP)の拡散は、アルツハイマー病及びパーキンソン病などの進行性神経変性疾患における主要な病理学的メカニズムの1つと見なされている。この概念では、アミロイドベータ、α‐シヌクレイン、タウタンパク質などの病理学的に可溶な形態のNDAPがニューロンに組み込まれ、タンパク質の誤った折り畳み、シナプスの除去、神経細胞の喪失を引き起こす。さらに、多数の文献が、細胞内NDAPのプリオン様メカニズム、つまりNDAPの細胞内輸送と、あるニューロンから別のニューロンへの拡散を報告している。神経変性疾患は依然として事実上治療不可能であるため、これらすべての複雑な神経病理学的特徴をインビトロで反映し、この神経変性カスケードを防ぐためのより大きな化合物セットのスクリーニングとプロファイリングを可能にするハイスループットアッセイプラットフォームは、緊急の満たされていない臨床ニーズを表す。
【0052】
本開示の基板を使用して、我々は、CNS神経回路内の神経変性疾患カスケードのすべての特徴を反映する、独特のハイスループットインビトロアッセイを作成することができた。マウス大脳皮質ニューロン培養は、これらの培養のニューロンが広範なプロセスを発達させ、インビトロで機能的なシナプス結合を形成するために使用されている。
【0053】
詳細には、マウス皮質E18ニューロンは、流体的に接続された3つの隣接するウェルから構成される96の実験ユニットを含む384ウェルプレートフォーマットを有するカスタマイズされたCCC基板にプレーティングされた。この用途では、細胞が隣接するウェル間を移動できないことが最も重要であるため、流体接続は神経細胞体よりも小さくなった。したがって、各流体接続は、断面直径が6×8μmの10~30個の穴で構成されていた。細胞を播種する前に、まず基板を0.01%ポリ-L-オルニチン溶液で37℃で一晩コーティングした。その後、ウェルをCa2+/Mg2+を含むPBSで洗浄した後、Ca2+/Mg2+を含むPBSで10μg/mlに希釈したラミニンを添加し、37℃で2時間インキュベートした。ラミニンは細胞播種の直前に除去された。次に、実施例1に記載のように細胞を調製し、培養した。培養7日後、プレート内のすべての実験ユニットのゾーン1の細胞を、NDAPポリマーの50nM溶液、たとえばアルツハイマー病患者のCSFから抽出された病原性タウタンパク質オリゴマーなどの患者由来の材料で処理した。その後、プレートをインキュベーターに戻し、細胞をさらに7日間培養した。14DIV後、プレート内の細胞を固定し、免疫細胞化学的プロトコルを使用してニューロン及びアッセイ固有のマーカーを染色し、ハイコンテントイメージングを使用して、NDAPの取り込み、ニューロン内の拡散、及びNDAPを介したシナプスの変化とニューロンの生存を記載する。簡単に説明すると、PBS又はメタノール中の4%PFAを使用して細胞を固定した。ニューロンは、マウスMAP‐2AB(1:1000)、ニワトリMAP‐2AB(1:10000)、又はbTubIII(1:1000)に結合する抗体を使用して評価された。ヘキスト(核)染色も含まれた。抗bTubIII(Sigma-Aldrich Sweden AB、ストックホルム、スウェーデン)(1:1000)、‐PSD‐95(1:1000)、‐シナプトフィシン(Synaptophysin)(1:1000)、‐タウ(1:1000)をそれぞれMAP‐2AB抗体(Sigma‐Aldrich Sweden AB、ストックホルム、スウェーデン)と組み合わせた。ハイコンテントイメージング(HCA)分析は、Operetta(登録商標)ハイコンテントイメージャーを10倍、20倍、又は40倍の倍率で使用して実行された(PerkinElmer)。
【0054】
シナプス結合ニューロンを横切るNDAPの拡散のモジュレーターをスクリーニングするために、化学的、生物学的又は遺伝的介入を実験ユニットのウェル2で実施して、NDAPを拡散する細胞培養能力を調節することができ、ユニットのウェル3はウェル1から細胞培養を介して広がった細胞内のNDAPの存在を測定するために使用される。アッセイの概念の図を画像7に示す。このアッセイの概念を使用して、NDAPの取り込みと調節を示した。7DIVの後、ヒトAD患者のCSFから抽出された病理学的タウが、すべての実験ユニットのゾーン1の細胞に上記のように追加された。実験ユニットのウェル間で液面のバランスをとることにより、実験ユニットのウェル間でタウ物質の物質移動が起こらないことが保証された。病理学的タウは培養物によって急速に取り込まれ、9DIVの後、培養物におけるタウ病理学の伝播を調節することを目的として、すべての実験ユニットのゾーン2に調節抗体が追加された。この場合も、実験ユニットのウェル間で抗体物質の物質移動が起こらないように、液面のバランスを取った。14~16DIVで、カルシウム蛍光トランジェントを分析することにより、プレート内のすべての実験ユニットのゾーン3でシナプス機能を評価した。これに続いて、培養物を固定し、ベータチューブリンタイプ3及び内因性タウ(MAPT)について染色し、高解像度画像を高含有量イメージャーを使用して取得した。自動画像分析によって分析されたネットワークの完全性及び内因性タウレベルへの影響とともに、培養物のシナプス機能への影響は、タウオパチー進行のモジュレーターの大容量スクリーニングを可能にした。
【0055】
我々の知る限り、このアプローチは、シナプス結合ニューロンを横切るNDAPの拡散を防止する分子の探索において、より大きな化合物セットのスクリーニング及びプロファイリングを可能にするのに十分な能力及び堅牢性を示すであろう。
参照
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3.Bousset, L., Sourigues, Y., Covert, M. & Melki, R. Neuron‐to‐neuron transmission of α‐synuclein fibrils through axonal transport. Ann. Neurol. 72, 517-524 (2013).(軸索輸送を介したα‐シヌクレインフィブリルのニューロンからニューロンへの伝達。)
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10.ANSI/SLAS 1-2004 (R2012): Footprint Dimensions(フットプリント寸法)
11.ANSI/SLAS 2-2004 (R2012): Height Dimensions(高さ寸法)
12.ANSI/SLAS 3-2004 (R2012): Bottom Outside Flange Dimensions(下部外側フランジ寸法)
13.ANSI/SLAS 4-2004 (R2012): Well Positions(ウェル位置)
14.ANSI/SLAS 6-2012: Well Bottom Elevation(ウェル下部高さ)
【0056】
前述の書面による明細書は、当業者が実施形態を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。前述の説明及び例は、特定の実施形態を詳述している。しかしながら、前述のものがテキストにどれほど詳細に現れても、実施形態は多くの方法で実施することができ、添付の特許請求の範囲及びその均等物に従って解釈されるべきであることが理解されよう。
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【国際調査報告】