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特表2022-504281クラフト紙の製造方法およびクラフト紙
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】クラフト紙の製造方法およびクラフト紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 25/04 20060101AFI20220105BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
D21H25/04
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518635
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(85)【翻訳文提出日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2019076953
(87)【国際公開番号】W WO2020070306
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】18198917.9
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517004997
【氏名又は名称】ビラールドコルスネス エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンドストレム、オーベ
【テーマコード(参考)】
3E086
4L055
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA02
3E086BB62
3E086CA40
3E086DA08
4L055AA02
4L055AG08
4L055AG48
4L055AG50
4L055AH09
4L055AH11
4L055CF41
4L055CF50
4L055CH30
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA12
4L055EA13
4L055EA23
4L055FA11
4L055GA05
(57)【要約】
ISO 534:2011に従って測定された密度が630~870kg/mであり、およびSS-ISO 1924-3:2011に従って測定された縦方向(MD)の破断歪みが1.0~8.9%であるクラフト紙を製造する方法であって、55~79%の乾燥含量で紙ウェブをカレンダー加工する工程を含み、カレンダー加工工程のライン荷重が、8~90kN/m、例えば10~70kN/m、例えば12~50kN/m、例えば15~40kN/mである方法が提供される。さらに、多孔質袋用紙の製造方法ならびに新たなクラフト紙品質も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ISO 534:2011に従って測定された密度が630~870kg/mであり、およびSS-ISO 1924-3:2011に従って測定された縦方向(MD)の破断歪みが1.0~8.9%であるクラフト紙を製造する方法であって、55~79%の乾燥含量で紙ウェブをカレンダー加工する工程を含み、前記カレンダー加工工程のライン荷重が、8~90kN/m、例えば10~70kN/m、例えば12~50kN/m、例えば15~40kN/mである、方法。
【請求項2】
ISO 534:2011に従って測定された前記クラフト紙の密度が、690~850kg/m、例えば700~830kg/m、例えば730~830kg/mである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
SS-ISO 1924-3:2011に従って測定された前記クラフト紙の縦方向(MD)の破断歪みが1.0~2.9%であり、ISO 2493-1:2010に従って測定された前記クラフト紙のMDの剛軟度指数が190~250Nm/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記紙ウェブがクルパック装置で圧縮され、SS-ISO 1924-3:2011に従って測定された前記クラフト紙の縦方向(MD)の破断歪みが、3.0~8.9%、例えば3.0~6.0%であり、ISO 2493-1:2010に従って測定された前記クラフト紙のMDの剛軟度指数が、90~120Nm/kg、例えば95~115Nm/kgである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
ISO 5636-5:2013によるガーレー値が2~15秒である袋用紙を製造する方法であって、紙ウェブをクルパック装置で圧縮する工程と、55~79%の乾燥含量で前記紙ウェブをカレンダー加工する工程とを含み、前記カレンダー加工工程のライン荷重が8~90kN/m、例えば10~70kN/m、例えば12~50kN/m、例えば15~40kN/mである、方法。
【請求項6】
前記紙ウェブが、前記カレンダー加工の工程の前に前記クルパック装置で圧縮される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記カレンダー加工工程における乾燥含量が55~75%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記カレンダー加工工程が抄紙機の乾燥部で実行され、乾燥部では、前記カレンダー加工工程の前後に前記紙ウェブが乾燥される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記カレンダー加工工程にソフトニップカレンダーが使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ISO 8791-2に従って測定された前記クラフト紙または袋用紙の少なくとも1つの面のベントセン粗さが、300~700ml/分である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
単層クラフト紙であって、
ISO 534:2011に従って測定された密度が720~850kg/mであり、
SS-ISO 1924-3:2011に従って測定された縦方向(MD)の破断歪みが1.0~2.9%であり、および
ISO 2493-1:2010に従って測定されたMDの剛軟度指数が190~250Nm/kg、例えば200~240Nm/kgであり、
前記クラフト紙の少なくとも1つの面の、ISO 8791-2に従って測定されたベントセン粗さが300~700ml/分である単層クラフト紙。
【請求項12】
ISO 534:2011に従って測定された前記密度が、730~830kg/m、例えば750~830kg/mである、請求項11に記載のクラフト紙。
【請求項13】
ISO 536:2012に従って測定された前記坪量が、65~100g/m、好ましくは70~90g/m、より好ましくは75~85g/mである、請求項11または12に記載のクラフト紙。
【請求項14】
単層クラフト紙であって、
ISO 534:2011に従って測定された密度が735~835kg/mであり、
SS-ISO 1924-3:2011に従って測定された縦方向(MD)の破断歪みが3.0~4.5%、例えば3.5~4.5%であり、および
ISO 2493-1:2010に従って測定されたMDの剛軟度指数が118~158Nm/kgであり、
前記クラフト紙の少なくとも1つの面の、ISO 8791-2に従って測定されたベントセン粗さが250~700ml/分である単層クラフト紙。
【請求項15】
ISO 536:2012に従って測定された坪量が、50~140g/m、例えば80~130g/m、例えば95~130g/m、例えば100~125g/mである、請求項14に記載のクラフト紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クラフト紙の製造および新しいクラフト紙品質に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのクラフト紙用途では、例えば印刷品質を改善するために、平滑な表面が望ましい。このような平滑な表面を得る目的で、カレンダー加工が多用されている。従来、カレンダーは、製紙プロセスの最後に配置されてきた(オンライン)。紙は、製紙プロセスの下流で別途に(オフライン)カレンダー加工されてもいる。
【0003】
上述のオンラインおよびオフラインのカレンダー加工よって、紙の厚さは薄くなる。曲げ剛性は、周知のとおり、厚さに強く依存するため、高い曲げ剛性を必要とする製品にとって、これは一般に不利であると考えられている。
【0004】
カレンダー加工による厚さの減少を制限するために、ベルトカレンダーまたはシューカレンダーなどの延長ソフトニップカレンダーが開発されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明者は、紙ウェブを湿った状態(すなわち、乾燥が完了する前)で穏やかにカレンダー加工すると、得られる紙の表面特性が著しく改善され、厚さが減少するが、従来のカレンダー加工とは異なり、曲げ剛性(剛軟度として測定)が減少しないことを見出した。多くの場合、紙の両方向において剛軟度がさらに増す。
【0006】
したがって、クラフト紙を製造する方法であって、55~79%の乾燥含量で紙ウェブをカレンダー加工する工程を含み、カレンダー加工工程のライン荷重が8~90kN/m、例えば10~70kN/m、例えば12~50kN/m、例えば15~40kN/mである方法が提供される。クラフト紙は、SS-ISO 1924-3:2011に従って測定した縦方向(MD)の破断歪みが1.0~8.9%である。クラフト紙のISO 534:2011に従って測定された密度は、好ましくは630~870kg/mである。
【0007】
ISO 5636-5:2013によるガーレー値が15秒未満の多孔質袋用紙を製造する方法であって、紙ウェブをクルパック装置で圧縮する工程と、55~79%の乾燥含量で紙ウェブをカレンダー加工する工程とを含み、カレンダー加工工程のライン荷重が8~90kN/m、例えば10~70kN/m、例えば12~50kN/m、例えば15~40kN/mである方法も提供される。したがって、多孔質袋用紙の最も広範な実施形態では、MDの破断歪みに関する制限がない代わりに、ガーレー値に関する制限がある。
【0008】
本開示よって、新しい紙品質をもたらすことができる。
【0009】
したがって、単層クラフト紙であって、
ISO 534:2011に従って測定された密度が720~850kg/mであり、
SS-ISO 1924-3:2011に従って測定された縦方向(MD)の破断歪みが1.0~2.9%、例えば1.9~2.5%であり、および
ISO 2493-1:2010に従って測定されたMDの剛軟度指数が190~250Nm/kg、例えば200~240Nm/kgである単層クラフト紙が提供され、
クラフト紙の少なくとも1つの面の、ISO 8791-2に従って測定されたベントセン粗さが300~700ml/分である。
【0010】
さらに、単層クラフト紙であって、
ISO 534:2011に従って測定された密度が735~835kg/mであり、
SS-ISO 1924-3:2011に従って測定された縦方向(MD)の破断歪みが3.0~4.5%、例えば3.5~4.5%であり、および
ISO 2493-1:2010に従って測定されたMDの剛軟度指数が118~158Nm/kg、例えば118~148Nm/kg、例えば118~138Nm/kgである単層クラフト紙も提供され、
クラフト紙の少なくとも1つの面の、ISO 8791-2に従って測定されたベントセン粗さが、250~700ml/分、例えば300~700ml/分である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の第1の態様によれば、縦方向(MD)の破断歪みが1.0~8.9%のクラフト紙の製造方法が提供される。本開示において、破断歪み値は、規格SS-ISO 1924-3:2011に従って測定される。
【0012】
クラフト紙の密度は、好ましくは630~870kg/mである。第1の態様の実施形態では、690~850kg/m、例えば700~830kg/m、例えば730~830kg/mである。本開示において、密度は、ISO 534:2011に従って測定される。
【0013】
クラフト紙の坪量は、50~140g/mであり得る。好ましくは、60~125g/mである。
【0014】
特に好ましい実施形態では、MDの破断歪みが1.0~2.9%である場合、坪量は70~90g/m、例えば75~85g/mである(以下に説明する第3の態様を参照)。本開示において、坪量は、ISO 536:2012に従って測定される。
【0015】
別の特に好ましい実施形態では、MDの破断歪みが3.0~4.5%である場合、坪量は95~130g/m、例えば100~125g/mである(以下に説明する第4の態様を参照)。
【0016】
第1の態様の方法は、55~79%の乾燥含量で紙ウェブをカレンダー加工する工程を含み、カレンダー加工工程のライン荷重は、8~90kN/mである。カレンダー加工工程における好ましい乾燥含量は、55~75%である。ライン荷重は、好ましくは10~70kN/m、例えば12~50kN/mである。特に好ましい実施形態では、15~40kN/mである。40kN/m以下のライン荷重の利点を以下の例のセクションに示す。
【0017】
このタイプの「湿式」カレンダー加工は、比較的低いライン荷重を使用し、驚くべきことに、縦方向(MD)の曲げ剛性を低下させることなく表面特性を改善する。紙の厚さを減少させても、特にMDの曲げ剛性を改善することさえできる。これについては、上記の概要の項でさらに説明し、以下の例のセクションに示す。
【0018】
改善された表面特性は、比較的低いベントセン粗さ値によって表すことができる。一例として、第1の態様のクラフト紙の少なくとも1つの面のベントセン粗さは、300~700ml/分の範囲内であり得る。本開示では、ベントセン粗さは、ISO 8791-2に従って測定される。
【0019】
紙の一方向で破断歪みが増すと、通常、同方向の剛軟度が低下する。したがって、剛性が所望の特性である場合、高すぎる破断歪み値を避けることが好ましい場合がある。したがって、第1の態様のクラフト紙のMDの破断歪みは、1.0~6.0%の範囲内に維持され得る。
【0020】
クラフト紙の縦方向(MD)の破断歪みが1.0~2.9%である第1の態様の実施形態では、クラフト紙のMDの剛軟度指数は、190~250Nm/kgであり得る(以下に説明する第3の態様を参照)。
【0021】
紙ウェブがクルパック装置で圧縮される第1の態様の実施形態では、クラフト紙のMDの破断歪み値は、典型的にはより高く、すなわち3.0~8.9%、好ましくは3.0~6.0%である。そのような実施形態では、クラフト紙のMDの剛軟度指数は、90~120Nm/kg、例えば95~115Nm/kgであり得る(以下に説明する第4の態様を参照)。
【0022】
本開示において、剛軟度は、ISO 2493-1:2010に従って測定される。この方法では、15°の曲げ角度および10mmの試験スパン長さが使用される。剛軟度指数を得るために、剛軟度を坪量の3乗で割る。
【0023】
第1の態様のカレンダー加工に用いられるカレンダーは、ソフトニップカレンダー、すなわち、金属表面などの硬質表面を有するロールと、ポリマー被覆ロールなどの軟質表面を有するロールとの間にニップが形成されたカレンダーであることが好ましい。
【0024】
第1の態様の方法でクルパック装置が使用される場合、紙ウェブは、カレンダー加工工程の前にクルパック装置で圧縮されることが好ましい。当業者にはよく知られているように、クルパック装置は、MDの破断歪み値が増加するように紙ウェブをマイクロクレープ(micro-crepe)する(紙ウェブを縦方向に圧縮する)。
【0025】
第1の態様のカレンダー加工工程用カレンダーは、好ましくは、抄紙機の乾燥部に配置される。このような乾燥部では、紙ウェブは、カレンダー加工工程の前後に乾燥される。
【0026】
第1の態様のクラフト紙は、好ましくは単層クラフト紙である。2つ以上のヘッドボックスを使用して製造された紙は、本開示による「単層」紙ではない。積層体も、本開示による「単層」紙ではない。
【0027】
多孔質袋用紙の場合も、比較的高い剛性と比較的微細な表面との組み合わせが重要である。一例として、高い剛性は、袋用紙が袋に変換される場合に有益であることが多く、より微細な表面は、袋用紙上の印刷の品質を改善する。したがって、本開示の第2の態様として、袋用紙の製造方法が提供される。第2の態様の袋用紙は、ガーレー値が15秒未満であるという意味で比較的多孔質である。ガーレー値の典型的な下限は、2秒または3秒である。当業者は、そのようなガーレー値の袋用紙を製造する方法を知っている(例えばWO99/02772を参照されたい。それは、本発明者らのHC精製を行うこと、LC精製の度合いを下げること(またはLC精製を省略すること)、および補強剤の投入量を増やすことを教示している)。本開示において、ガーレー値は、ISO 5636-5:2013に従って測定される。
【0028】
改善された表面特性は、比較的低いベントセン粗さ値によって表すことができる。一例として、第2の態様の袋用紙の少なくとも1つの面のベントセン粗さは、300~700ml/分の範囲であり得る。
【0029】
第2の態様の方法は、紙ウェブをクルパック装置で圧縮する工程と、紙ウェブを55~79%の乾燥含量でカレンダー加工する工程とを含み、カレンダー加工工程のライン荷重は、8~90kN/mである。好ましい乾燥含量および好ましいライン荷重は、第1の態様に関連して上述されている。
【0030】
袋用紙の密度は、典型的には670~800kg/m、例えば680~750kg/mである。袋用紙の坪量は、50~140g/mであり得る。好ましくは、坪量は、60~120g/m、例えば65~100g/mである。
【0031】
袋用紙の場合、高い破断歪み値は、高いTEA値に対応するので特に好ましい(TEAは、一般に紙袋の壁の適切な強度を最もよく表す値であると考えられ、それは、TEAと落下試験結果との間の相関によって裏付けられる)。したがって、袋用紙のMDの破断歪みは、5.0~15.0%であり得る。当業者によく知られているように、そのような破断歪み値は、製造にクルパック装置が使用される場合に得られ得る。
【0032】
強度を与えるために、第2の態様の袋用紙は、クラフト紙であることが好ましい。
【0033】
しかしながら、第1の態様に関連して上記で説明したように、剛性の低下は、破断歪み値の上昇の副作用であることが多い。したがって、第2の態様によって製造された好ましい袋用紙は、5.0~7.0%、例えば5.0~6.5%の範囲のMD破断歪み値、および86~108Nm/kgのMDでの剛軟度指数を有する。
【0034】
第2の態様のカレンダー加工に使用されるカレンダーは、好ましくはソフトニップカレンダーである(第1の態様に関連して上記でさらに説明した)。
【0035】
第2の態様の方法では、紙ウェブは、カレンダー加工工程の前にクルパック装置で圧縮されることが好ましい。
【0036】
第2の態様のカレンダー加工工程用カレンダーは、好ましくは、抄紙機の乾燥部に配置される。このような乾燥部では、紙ウェブは、カレンダー加工工程の前後に乾燥される。
【0037】
当業者に理解されるように、第1および第2の態様の方法は、成形部(例えば、ワイヤ部)、プレス部、および乾燥部を含む抄紙機で実行される。紙ウェブをこのように形成部で形成し、プレス部で脱水し、乾燥部で乾燥して、クラフト紙(第1の態様)または多孔質袋用紙(第2の態様)を製造する。
【0038】
本開示によって新しいクラフト紙品質を作り出すことができ、それは、小麦粉および砂糖用のパッケージ、特に食料品店に見られる0.5~2.5kgのより小さいパッケージに特に適している。本開示の第3の態様として提供されるこの紙は、単層クラフト紙であり、
密度が720~850kg/mであり、
縦方向(MD)の破断歪みが1.0~2.9%、例えば1.9~2.5%であり、および
MDでの剛軟度指数が190~250Nm/kg、例えば200~240Nm/kgであり、
単層クラフト紙の少なくとも1つの面のベントセン粗さが、300~700ml/分のである。
【0039】
第3の態様のクラフト紙の密度は、好ましくは730~830kg/m、例えば750~830kg/mである。第3の態様のクラフト紙の坪量は、好ましくは50~140g/m、例えば60~120g/m、例えば65~100g/m、例えば70~90g/mである。特に好ましい実施形態では、坪量は75~85g/mである。
【0040】
第3の態様のクラフト紙の横方向(CD)の破断歪みは、6.0~10.0%、例えば7.0~9.0%であり得る。このような比較的高いCD伸縮性は、小麦粉および砂糖パッケージにおいて(パッケージ破裂を防止するのに)有益である高いTEA値をもたらすので、有益である。
【0041】
第3の態様のクラフト紙の幾何学的引張エネルギー吸収(TEA)指数は、例えば1.9~2.2J/gであり得る。本開示では、TEA値は規格SS-ISO 1924-3:2011に従って測定される。TEA指数を得るために、TEA値を坪量で割る。
【0042】
幾何学的TEA指数は、MDおよびCDにおけるTEA指数の積の平方根として計算される。
幾何学的TEA指数=√(TEA指数(MD)×TEA指数(CD))
【0043】
第3の態様のクラフト紙のCDの剛軟度指数は、70~110Nm/kg、例えば80~100Nm/kgであり得る。
【0044】
第3の態様のクラフト紙のガーレー値は、好ましくは25~60秒、例えば25~45秒である。このようなガーレー値は、小麦粉または砂糖パッケージの充填中に有益である。
【0045】
小麦粉または砂糖用のパッケージを形成するための、第3の態様のクラフト紙の使用も提供される。同様に、第3の態様の紙をパッケージに変換する工程を含む、小麦粉または砂糖用のパッケージを形成する方法が提供される。方法は、パッケージに砂糖または小麦粉または別の粉末食品を充填する工程、および場合により充填後にパッケージを密封する工程をさらに含んでもよい。これは、第3の態様の紙の他の使用を排除するものではない。
【0046】
本開示によって、別の新たなクラフト紙品質を作り出すことができる。それは、特に小麦粉および砂糖用の袋、特に、例えば製パン所に配達される10~20kgの、より大きな袋に適している。本開示の第4の態様として提供されるこの紙は、単層クラフト紙であり、
密度が735~835kg/mであり、
縦方向(MD)の破断歪みが3.0~4.5%、例えば3.5~4.5%であり、および
MDの剛軟度指数が118~158Nm/kg、例えば118~148Nm/kg、例えば118~138Nm/kgであり、
クラフト紙の少なくとも1つの面の、ISO 8791-2に従って測定されるベントセン粗さが、250~700ml/分、例えば300~700ml/分である。
【0047】
第4の態様のクラフト紙の密度は、好ましくは750~830kg/m、例えば750~820kg/mである。
【0048】
第4の態様のクラフト紙の坪量は、50~140g/m、例えば80~130g/mであり得る。上述の小麦粉または砂糖用の袋に十分な強度を提供するために、坪量は95~130g/mであることが好ましい。特に好ましい実施形態では、坪量は100~125g/mである。
【0049】
第4の態様のクラフト紙の横方向(CD)の破断歪みは、6.0~10.0%、例えば7.0~9.0%であり得る。このような比較的高いCD伸縮性は、高いTEA値をもたらすので有益であり、これは小麦粉および砂糖袋において有益である(袋の破裂を防止するため)。
【0050】
第4の態様のクラフト紙の幾何学的引張エネルギー吸収(TEA)指数は、例えば2.4~2.8J/gであり得る。
【0051】
第4の態様のクラフト紙のガーレー値は、好ましくは18~60秒、例えば20~40秒である。
【0052】
小麦粉または砂糖用の袋を形成するための、第4の態様のクラフト紙の使用も提供される。同様に、第4の態様の紙を袋に変換する工程を含む、小麦粉または砂糖用の袋を形成する方法が提供される。方法は、袋に砂糖または小麦粉または別の粉末食品を充填する工程、および場合により充填後に袋を密封する工程をさらに含んでもよい。これは、第4の態様の紙の他の使用を排除するものではない。
【0053】
本開示のすべての紙は、好ましくは漂白されており、これは、典型的には、ISO 2470-1:2016による少なくとも78%または少なくとも80%の輝度を意味する。好ましくは、本開示の漂白紙の輝度は、少なくとも81%、例えば81~89%(ISO 2470-1:2016)である。
【0054】
高い引張強度(高いTEAに寄与する)を提供するために、本開示の紙の形成用に使用されるパルプを調製するために使用される出発材料は、好ましくは針葉樹(長い繊維を有し、強い紙を形成する)を含む。したがって、本開示の紙は、好ましくは、少なくとも50%の針葉樹パルプ、例えば少なくとも70%の針葉樹パルプを含む紙パルプから形成される。いくつかの実施形態では、少なくとも80%、例えば少なくとも90%が針葉樹パルプである。他の実施形態では、最大30%、例えば10~25%を広葉樹パルプにして、形成および表面特性を改善する。パーセンテージは、パルプの乾燥重量に基づく。
【0055】
好ましくは、バージンパルプのみが本開示の紙の形成用に使用される。
【実施例
【0056】

例1
袋用紙の製造にも使用される抄紙機で白色の伸縮性紙を製造するための、実用規模の試作を実施した。湿式カレンダー加工紙および非カレンダー加工(対照標準)紙の両方を製造した。
【0057】
以下、製造について説明する。
【0058】
漂白された針葉樹硫酸パルプを用意した。パルプを約39%の稠度で高稠度(HC)精製(紙1トン当たり180kWh)、および約4.3%の稠度で低稠度(LC)精製(紙1トン当たり65kWh)に供した。カチオン性デンプン(紙1トン当たり7kg)、ロジンサイズ(紙1トン当たり2.4kg)およびミョウバン(紙1トン当たり3.5kg)をパルプに添加した。ヘッドボックスにおいて、パルプ/完成紙料のpHは約5.8であり、パルプ/完成紙料の稠度は約0.3%であった。ワイヤ部に紙ウェブを形成した。ワイヤ部分を離れる紙ウェブの乾燥含量は、約19%であった。紙ウェブを2つのニップを有するプレス部で脱水して、約38%の乾燥含量を得た。次いで脱水された紙ウェブを、直列に配置された10個の乾燥機群を有し、一つのクルパック装置を含む後続の乾燥部で乾燥させた。よってこの状況においては、クルパック装置は、「乾燥機群」であるとみなされた。クルパック装置を乾燥機群7として配置した。つまり、紙ウェブをクルパック装置で圧縮される前および後の両方で乾燥部にて乾燥した。
【0059】
クルパック装置トに入る時の紙ウェブの含水量は、40%であった。ニップバーに作用する油圧シリンダー圧力を30バールに設定し、33kN/mのライン荷重を得た。ゴムベルトを伸張させる油圧シリンダー圧力を31バールに設定し、7kN/mのベルト張力を得た。クルパック装置における紙ウェブと鋼シリンダーとの間の摩擦を低減するために、リリース(release)液(1.5%ポリエチレングリコール)を250リットル/時の量で添加した。クルパック装置のすぐ下流に配置された乾燥機群である乾燥機群8における紙ウェブの速度は、クルパック装置に入る紙ウェブの速度より11%低かった。
【0060】
乾燥機群9の下流部分は、ソフトカレンダーニップ(すなわち、硬質(鋼)表面を有するロールと軟質(ゴム)表面を有するロールとの間のニップ)を備えるように再構築した。紙ウェブが35%の含水量でカレンダー加工されるように、紙ウェブをクルパック装置とソフトカレンダーニップとの間で、このようにわずかに乾燥させた。ライン荷重を変動させた(表1参照)。ソフトカレンダーニップの鋼ロールの温度は、約100℃であった。対照標準の紙にはカレンダー加工をしなかった。
【0061】
試作で製造された紙の特性を以下の表1に示す。
【0062】
表1.湿式カレンダー加工紙および非カレンダー加工紙の紙特性。「ジャンボロール巻き付け後」に取得したサンプルは、カスタマーロール(customer roll)の上部(すなわち、外層)から得た。
【表1】
【0063】
表1は、例1の方法が、高い伸縮性および高いガーレー値のために本発明の範囲外であることを示す。しかしながら、表1は、湿式カレンダー加工が表面特性を著しく改善することを依然として実証している。特に、湿式カレンダー加工工程において(硬質)鋼ロールに接触する紙の面は、ライン荷重とは無関係に微細な表面(低いベントセン粗さ)を得た。したがって、驚くべきことに、ベントセン粗さを大幅に低減するために高いライン荷重を使用する必要はなかったと結論付けることができる。さらに驚くべきことに、湿式カレンダー加工は、紙の剛性(剛軟度指数として測定)を一般に低下させないことが分かった。代わりに、湿式カレンダー加工によって厚さが減少したにもかかわらず、試験したすべてのライン荷重についてMDの剛軟度指数が増加した。より低いライン荷重(40kN/m以下)では、MDおよびCDの両方において剛軟度がさらに増加した。
【0064】
表1はまた、紙のジャンボロールへの巻き付けおよびその後のカスタマーロール(customer roll)への巻き付けによって、表面特性が向上することを示している。ジャンボロールの上部から得た紙サンプルの特性は、顧客に出荷される紙を正しく表現しない。しかしながら、同じ位置から得た紙サンプルを比較することによって見られる効果は、依然として有効である。
【0065】
例2
袋用紙の製造にも使用される抄紙機で白色紙を製造するための、実用規模の試作を実施した。2枚の湿式カレンダー加工紙(試作2および5)、1枚の最終カレンダー加工紙(試作1)および2枚の非カレンダー加工紙(試作3および4)を製造した。
【0066】
以下、製造について説明する。
【0067】
例2-試作1~3
漂白針葉樹クラフトパルプ(100%バージン繊維)を用意した。パルプを約35%の稠度で高稠度(HC)精製(紙1トン当たり159kWh)、および約4%の稠度で低稠度(LC)精製(紙1トン当たり84kWh)に供した。カチオン性デンプン(紙1トン当たり7.1kg)、ロジンサイズ(紙1トン当たり2kg)およびミョウバン(紙1トン当たり2.9kg)をパルプに添加した。ヘッドボックスにおいて、パルプ/完成紙料のpHは約5であり、パルプ/完成紙料の稠度は約0.25%であった。ワイヤ部に紙ウェブを形成した。ワイヤ部分を離れる紙ウェブの乾燥含量は約18%であった。紙ウェブをプレス部で脱水して、約42%の乾燥含量を得た。
【0068】
次いで脱水された紙ウェブを、直列に配置された8個の乾燥機群を有し、一つのクルパック装置を含む後続の乾燥部で乾燥させた。よってこの状況においては、クルパック装置は、「乾燥機群」であるとみなされた。クルパック装置を乾燥機群5として配置した。つまり、紙ウェブをクルパック装置の前および後の両方で乾燥部にて乾燥した。
【0069】
試作1~3では、クルパック装置は動作しておらず、紙ウェブは圧縮されることなく通過した。しかしながら、試作4および5では、紙をクルパック装置で圧縮した(以下に記載)。
【0070】
ソフトニップカレンダーを、クルパック装置と以下の乾燥機群との間に配置した(ソフトニップカレンダーの鋼ロールが紙ウェブのワイヤ側に面した)。ソフトカレンダーニップの鋼ロールの温度は、約50℃であった。試作2では、紙ウェブを約65%の乾燥含量で、ソフトニップカレンダーでカレンダー加工した。ソフトニップカレンダーの圧力は、15kN/mのライン荷重に対応する2.6バールに設定した。試作1および3では、ソフトニップカレンダーは動作しておらず、紙ウェブはカレンダー加工されることなく通過した。
【0071】
ソフトニップカレンダーの後、紙を乾燥機群6~8でさらに乾燥させて、7.5%の含水量を得た。
【0072】
最後の乾燥機群の後に、ソフトニップカレンダーを配置した(鋼ロールが紙ウェブのワイヤ側に面した)。このソフトカレンダーニップの鋼ロールの温度は、約100℃であった。試作1では、紙ウェブをこのソフトニップカレンダーで、100kN/mのライン荷重で最終カレンダー加工した。試作2および3では、最終的なソフトニップカレンダーは動作しておらず、紙ウェブはカレンダー加工されることなく通過した。
【0073】
例2-試作4および5
漂白針葉樹クラフトパルプ(100%バージン繊維)を用意した。パルプを約35%の稠度で高稠度(HC)精製(紙1トン当たり284kWh)、および約4%の稠度で低稠度(LC)精製(紙1トン当たり93kWh)に供した。カチオン性デンプン(紙1トン当たり8.6kg)、ロジンサイズ(紙1トン当たり3.7kg)およびミョウバン(紙1トン当たり4.9kg)をパルプに添加した。ヘッドボックスにおいて、パルプ/完成紙料のpHは約5であり、パルプ/完成紙料の稠度は約0.25%であった。ワイヤ部に紙ウェブを形成した。ワイヤ部分を離れる紙ウェブの乾燥含量は約18%であった。紙ウェブをプレス部で脱水して、約42%の乾燥含量を得た。
【0074】
次いで脱水された紙ウェブを、直列に配置された8個の乾燥機群を有し、一つのクルパック装置を含む後続の乾燥部で乾燥させた。よってこの状況においては、クルパック装置は、「乾燥機群」であるとみなされた。クルパック装置を乾燥機群5として配置した。つまり、紙ウェブをクルパック装置の前および後の両方で乾燥部にて乾燥した。
【0075】
試作4および5では、紙をクルパック装置で圧縮した。
【0076】
ソフトニップカレンダーを、クルパック装置と以下の乾燥機群との間に配置した(ソフトニップカレンダーの鋼ロールが紙ウェブのワイヤ側に面した)。ソフトカレンダーニップの鋼ロールの温度は、約50℃であった。試作5では、紙ウェブを65%の乾燥含量で、ソフトニップカレンダーでカレンダー加工した。ソフトニップカレンダーの圧力は、15kN/mのライン荷重に対応する2.6バールに設定した。試作4では、ソフトニップカレンダーは動作しておらず、紙ウェブはカレンダー加工されることなく通過した。
【0077】
ソフトニップカレンダーの後、紙を乾燥機群6~8でさらに乾燥させて、7.5%の含水量を得た。
【0078】
最後の乾燥機群の後に、ソフトニップカレンダーを配置した(鋼ロールが紙ウェブのワイヤ側に面した)。試作4および5では、しかしながら最終的なソフトニップカレンダーは動作しておらず、紙ウェブはカレンダー加工されることなく通過した。
【0079】
例2の試作1~5で製造された紙の特性を以下の表2に示す。
【0080】
表2.「BR」は、剛軟度を意味する。「BRI」は、剛軟度指数を意味する。「B.roug」は、ベントセン粗さを意味する。「TS」は上面を意味する。「WS」はワイヤ面を意味する。
【表2】
【0081】
表2は、湿式カレンダー加工が表面特性を有意に改善することを示す(試作2を試作3と比較し、試作5を試作4と比較する)。「湿式」カレンダー加工のライン荷重を、例えば30または40kN/mに上げて、ベントセン粗さ値、特に試作2の値をさらに改善することができる。さらに、表2は、厚さの減少にもかかわらず、湿式カレンダー加工によって紙の剛性(剛軟度指数として測定される)が一般に低下しないことを立証する(試作2と試作3とを比較し、試作5と試作4とを比較する)。代わりに、MDの剛軟度指数は、クルパック圧縮紙および非圧縮紙の両方について増加した。非圧縮紙については、CDにおいても剛軟度指数が増加した(試作2と試作3とを比較)。
【0082】
試作5の紙のクルパックでの圧縮を低減することにより、3.0~4.5%の範囲のMD伸縮性を得ることができる。このようなMD伸縮性の低下により、MDの剛軟度指数が118~158Nm/kgの範囲の値に上昇することが予想される。
【0083】
表1および表2のデータに基づいて、湿式カレンダー加工紙は、同じ剛軟度指数の最終カレンダー加工紙よりも著しく良好な表面特性を有すると予想される。したがって、本開示は、とりわけ、剛性を犠牲にすることなく、表面特性が著しく改善された紙の製造を容易にする。
【0084】
例3
袋用の抄紙機で多孔質袋用紙を製造するために、実用規模の試作を実施した。2枚の湿式カレンダー加工袋用紙(試作2および3)および1枚の非カレンダー加工袋用紙(試作1)を製造した。
【0085】
漂白針葉樹クラフトパルプ(100%バージン繊維)を用意した。パルプを高稠度(HC)精製および低稠度(LC)精製に供した。カチオン性デンプン、ロジンサイズおよびミョウバンをパルプに添加した。ヘッドボックスにおいて、パルプ/完成紙料のpHは約5.8であり、パルプ/完成紙料の稠度は約0.25%であった。ワイヤ部に紙ウェブを形成した。ワイヤ部分を離れる紙ウェブの乾燥含量は約18%であった。紙ウェブをプレス部で脱水して、約42%の乾燥含量を得た。
【0086】
次いで脱水された紙ウェブを、直列に配置された10個の乾燥機群を有し、一つのクルパック装置を含む後続の乾燥部で乾燥させた。よってこの状況においては、クルパック装置は、「乾燥機群」であるとみなされた。クルパック装置を乾燥機群7として配置した。つまり、紙ウェブをクルパック装置で圧縮される前および後の両方で乾燥部にて乾燥した。
【0087】
乾燥機群9の下流部分は、ソフトカレンダーニップ(すなわち、硬質(鋼)表面を有するロールと軟質(ゴム)表面を有するロールとの間のニップ)を備えるように再構築した。このようにして、紙ウェブを、クルパック装置とソフトカレンダーニップとの間で少し乾燥させた。ソフトカレンダーニップの鋼ロールの温度は、約100℃であった。試作2および3では、紙ウェブを約70%-75%の乾燥含量でソフトニップカレンダーでカレンダー加工に供した。試作2ではライン荷重は25kN/mであり、試作3では55kN/mであった。試作1では、ソフトニップカレンダーは動作しておらず、紙ウェブはカレンダー加工されることなく通過した。
【0088】
ソフトニップカレンダーの後、紙をさらに乾燥させて7.7%の含水量を得た。
【0089】
例3の試作1~3で製造された紙の特性を以下の表3に示す。
【0090】
表2.「BR」は、剛軟度を意味する。「BRI」は、剛軟度指数を意味する。「B.roug」は、ベントセン粗さを意味する。「TS」は、上面(ソフトカレンダーニップの鋼ロールに面する)を意味する。「WS」は、ワイヤ面(クルパック装置の鋼シリンダーおよびソフトカレンダーニップの軟質ロールに面する)を意味する。
【表3】
【0091】
表3は、湿式カレンダー加工によって表面特性が著しく改善したが、ライン荷重の25から55kN/mへの上昇は、この点に関して有意な影響を与えなかったことを示す。さらに、表3は、厚さの減少にもかかわらず、湿式カレンダー加工が紙の剛性(剛軟度指数として測定される)に著しい悪影響を与えないことを立証する。一部の剛軟度指数値は、湿式カレンダー加工実施によってさらに増加した。25kN/mでの湿式カレンダー加工によるガーレー値の上昇が、1.0秒のみであったことがさらに注目される(ライン荷重が55kN/mの場合、上昇は1.8秒であった)。上昇が大きくなかったという事実は、無論、多孔質でなければならない紙を製造する場合に有利である。
【0092】
例3からの結論は、湿式カレンダー加工は非カレンダー加工よりも優れていること、および湿式カレンダー加工が選択された場合、ライン荷重は、55kN/mよりも25kN/mが好ましいことである。
【国際調査報告】