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特表2022-504306試料の表面の局所的な高さおよび/または配向をクロマティック共焦点測定するための装置および試料の高さまたは粗さを測定するための対応する方法
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  • 特表-試料の表面の局所的な高さおよび/または配向をクロマティック共焦点測定するための装置および試料の高さまたは粗さを測定するための対応する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】試料の表面の局所的な高さおよび/または配向をクロマティック共焦点測定するための装置および試料の高さまたは粗さを測定するための対応する方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220105BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20220105BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G01B11/00 C
G01B11/30 102
G01B11/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518692
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(85)【翻訳文提出日】2021-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2019076762
(87)【国際公開番号】W WO2020070220
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】1859112
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521135658
【氏名又は名称】シオンス エ テクニック アンダストリィエル デ ラ リュミエール
【氏名又は名称原語表記】SCIENCES ET TECHNIQUES INDUSTRIELLES DE LA LUMIERE
【住所又は居所原語表記】595 rue Pierre Berthier Domaine Saint-Hilaire P.A de Pichaury 13855 AIX-EN-PROVENCE FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ガイヤール グロレアス ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール セバスティエン
(72)【発明者】
【氏名】ムッシュ ガブリエル
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA24
2F065AA50
2F065FF10
2F065GG21
2F065HH04
2F065LL02
2F065LL04
2F065LL12
2F065LL46
2F065LL67
2F065QQ14
2F065QQ29
2F065QQ42
(57)【要約】
本発明は、試料の表面(S)の局所的な配向および/または高さを測定するためのクロマティック共焦点測定装置(1)であって、多色の光ビーム(9)を生成するように構成された光源(2)と、光ビーム(9)を試料の表面(S)に当てるように構成された軸上色収差対物レンズ(4)を含む投影対物レンズ(4)と、試料の表面(S)から反射された光ビーム(9)を受光し、積分区間において受光された前記反射された光ビーム(9)の総エネルギーを測定するように構成された光学センサと、投影対物レンズ(4)に結合され、光学センサによって測定される総エネルギーが、試料の表面(S)から反射された光ビーム(9)の総エネルギーの動的な空間平均に対応するように、投影対物レンズ(4)に対して光ビーム(9)の伝搬軸を移動させるように構成された走査システム(10)とを備えるクロマティック共焦点測定装置(1)に関する。
【選択図】 図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の表面(S)の局所的な配向および/または高さを測定するためのクロマティック共焦点測定装置(1)であって、
多色の光ビーム(9)を生成するように構成された光源(2)と、
所定の伝搬軸を有する前記光ビーム(9)を前記試料の表面(S)に当てるように構成された軸上色収差対物レンズ(4)を含む投影対物レンズ(4)と、
前記試料の表面(S)から反射された光ビーム(9)を受光し、積分区間において受光された前記反射された光ビーム(9)の総エネルギーを測定するように構成された光学センサと、
を備え、
前記クロマティック共焦点測定装置(1)は、前記投影対物レンズ(4)に結合された走査システム(10)であって、前記光学センサの前記積分区間において所定の経路(11)に沿って前記投影対物レンズ(4)に対して前記光ビーム(9)の前記伝搬軸を移動させるように構成された走査システム(10)をさらに備え、前記光学センサによって測定される総エネルギーは、前記所定の経路(11)に沿った、前記試料の表面(S)から反射された光ビーム(9)の総エネルギーの動的な空間平均に対応することを特徴とするクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項2】
前記光ビーム(9)は、低コヒーレンスである請求項1に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項3】
前記投影対物レンズ(4)は、コリメータ(3)をさらに含み、前記走査システム(10)は、前記コリメータ(3)および前記軸上色収差対物レンズ(4)の間に配置される請求項1または2に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項4】
前記走査システム(10)は、前記軸上色収差対物レンズ(4)に統合される請求項1または2に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項5】
前記クロマティック共焦点測定装置(1)は、前記投影対物レンズ(4)を前記光源(2)に接続するように構成された光ファイバ(6)をさらに備え、前記投影対物レンズ(4)は、コリメータ(3)をさらに含み、前記走査システム(10)は、前記光ファイバ(6)および前記コリメータ(3)の間に配置される請求項1または2に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項6】
前記走査システム(10)は、前記積分区間において前記試料の表面(S)上で前記伝搬軸が移動する距離が、30μm~600μm、好ましくは50μm~400μmとなるように、所定の速度で前記試料の表面(S)上で前記伝搬軸を移動させるように構成される請求項1から5のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項7】
前記経路(11)は、閉ループである請求項1から6のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項8】
前記走査システム(10)は、1Hz以上、好ましくは50Hzより高い周波数で、前記経路(11)に沿って前記伝搬軸を移動させるように構成される請求項7に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項9】
前記経路(11)は、直線、閉曲線、円、スキャンのいずれかの形状を有する請求項1から8のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項10】
前記走査システム(10)は、
制御された偏心レンズ、
前記 光ビーム(9)が到達する際、前記光ビーム(9)の前記伝搬軸に垂直な平面に対してゼロでない角度をなすように配置された入射面を有するプリズムであって、該平面に垂直な軸周りに回転可能に設けられたプリズム、
前記光源(2)と前記投影対物レンズ(4)とを接続する少なくとも1つの光ファイバ(6)を移動させ、光源点を移動させることで前記光ビームの前記伝搬軸を偏向させるように構成された手段、
回転軸周りに移動可能に設けられた平面鏡であって、該回転軸に垂直な平面に対してゼロでない角度をなす表面(S)を有する平面鏡、および
前記光ビーム(9)に光学的な偏向を生じさせるように構成された方向可変ミラー
のうち少なくとも1つを含む請求項1から9のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項11】
前記表面(S)から反射された光ビーム(9)のスペクトル分布を求めるように構成されたスペクトル分析システム(5)をさらに備える請求項1から10のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)を用いて、試料の表面(S)の高さまたは位置を測定するためのクロマティック共焦点測定方法であって、
多色の光ビーム(9)を生成する工程と、
前記クロマティック共焦点測定装置(1)の前記投影対物レンズ(4)を用いて、所定の伝搬軸を有する前記光ビーム(9)を前記試料の表面(S)に当てる工程(S1)と、
前記クロマティック共焦点測定装置(1)の前記光学センサを用いて、前記表面(S)から反射された光ビーム(9)を受光する工程(S3)と、積分区間において受光された前記反射された光ビーム(9)の総エネルギーを測定する工程(S4)と、
を含み、
前記クロマティック共焦点測定方法は、前記光学センサが前記表面(S)から反射された光ビーム(9)を受光する間に、所定の経路(11)に沿って前記投影対物レンズ(4)に対して前記光ビーム(9)の前記伝搬軸を移動させる工程(S2)をさらに含み、前記光学センサは、前記所定の経路(11)に沿って、前記試料の表面(S)から反射された光ビーム(9)の総エネルギーの動的な空間平均をとることを特徴とするクロマティック共焦点測定方法。
【請求項13】
前記動的な空間平均から前記表面(S)の高さまたは位置を求めることをさらに含む請求項12に記載のクロマティック共焦点測定方法。
【請求項14】
前記反射された光ビーム(9)は、前記表面(S)上で前記光ビーム(9)が遭遇した界面に対応する1つまたは複数のピークを求めるように構成された分光器(5)に送られ、前記クロマティック共焦点測定方法は、前記積分区間において求めた前記ピークを合計し、平均ピークを取得する工程と、前記平均ピークの重心を求める工程と、をさらに含む請求項12または13に記載のクロマティック共焦点測定方法。
【請求項15】
閉路である経路(11)に沿って前記光ビーム(9)の前記伝搬軸を移動させる請求項12から14のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定方法。
【請求項16】
1Hz以上、好ましくは50Hzより高い周波数で、前記経路(11)に沿って前記光ビーム(9)の前記伝搬軸を移動させる請求項15に記載のクロマティック共焦点測定方法。
【請求項17】
前記積分区間において前記試料の表面(S)上で前記伝搬軸が移動する距離が、30μm~600μm、好ましくは50μm~400μmである請求項12から16のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定方法。
【請求項18】
前記経路(11)は、直線、閉曲線、円、スキャンのいずれかの形状を有する請求項12から17のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定方法。
【請求項19】
前記伝搬軸の変位速度を調整することをさらに含む請求項12から18のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定方法。
【請求項20】
請求項1から11のいずれか一項に記載のクロマティック共焦点測定装置(1)を用いて、試料の表面(S)の粗さを求める方法であって、
多色の光ビーム(9)を生成する工程と、
前記クロマティック共焦点測定装置(1)の前記投影対物レンズ(4)を用いて、所定の伝搬軸を有する前記光ビーム(9)を前記試料の表面(S)に当てる工程(S1)と、
前記クロマティック共焦点測定装置(1)の前記光学センサを用いて、前記表面(S)から反射された光ビーム(9)を受光する工程(S3)と、積分区間において受光された前記反射された光ビーム(9)の総エネルギーを測定する工程(S4)と、
を含み、
前記方法は、前記光学センサが前記表面(S)から反射された光ビーム(9)を受光する間に、所定の経路(11)に沿って前記投影対物レンズ(4)に対して前記光ビーム(9)の前記伝搬軸を移動させる工程(S2)をさらに含み、前記光学センサは、前記所定の経路(11)に沿って、前記試料の表面(S)の粗さを測定することを特徴とする方法。
【請求項21】
1Hz以上の周波数で、前記経路(11)に沿って前記光ビーム(9)の前記伝搬軸を移動させる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記積分区間において前記試料の表面(S)上で前記伝搬軸が移動する距離が、1μm~20μmである請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記所定の経路(11)に沿った前記光ビームの総エネルギーの極値を特定する工程をさらに含む請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記反射された光ビーム(9)は、前記表面(S)上で前記光ビーム(9)が遭遇した界面に対応する1つまたは複数のピークを求めるように構成された分光器(5)に送られ、前記方法は、前記積分区間における前記ピークを合計し、平均ピークを取得し、前記平均ピークの限界を決定することで、前記極値を求める工程をさらに含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記反射された光ビーム(9)は、前記表面(S)上で前記光ビーム(9)が遭遇した界面に対応する1つまたは複数のピークを求めるように構成された分光器(5)に送られ、前記方法は、前記積分区間において求めた前記ピークを合計し、平均ピークを取得する工程と、前記平均ピークの形状および/または対称性を求める工程と、をさらに含む請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の光学的点検および検査の分野に関し、より具体的には、光学装置を用いて、試料の表面の高さおよび/または配向を局所的に測定することに関する。
【背景技術】
【0002】
現在までに、試料の表面の局所的な高さおよび/または配向を非接触的な方法で点測定することができる光学センサを備えた光学コンパレータタイプの測定装置が知られている。試料の表面における光ビームの直径(一般に「スポット」と呼ばれる)は、選択した対物レンズにもよるが、一般に1.5μm~50μmである。
【0003】
しかしながら、これらの光学コンパレータは、検査する表面の粗さに敏感であり、測定の再現性が著しく欠如する可能性が高い。しかし、光学コンパレータは、主に粗さが数マイクロメートルから数十マイクロメートルを超える部品の検査に使用される。しかしながら、粗さに非常に敏感であるため、より信頼性が高く、サブマイクロメートルの再現性を持った堅牢な測定ができるという点で、機械的プローブタイプの接触式コンパレータが好まれることが多い。
【0004】
光学コンパレータによる測定の堅牢性、特に点検・検査対象の表面の粗さに対する感度を改善するために、測定スポットのサイズを大きくすることが想定される。しかし、光学コンパレータが測定のためにクロマティック共焦点顕微鏡を使用する場合、測定スポットのサイズを大きくすると、粗さに対するコンパレータの感度を増幅することで測定値を歪める光収差が必然的に生じてしまう。
【0005】
欧州特許出願公開第1505425号明細書には、単色コヒーレント光ビームを発生させるレーザダイオードを備えた非クロマティック測定装置が記載されている。この文献では、スペックル現象を抑制するために、光ビームを移動させる機構を追加することが提案されている。しかしながら、クロマティック共焦点測定装置の光源はコヒーレンスが低いため、測定時にはスペックル現象は発生しない。また、この文献では、クロマティック共焦点測定装置の表面粗さに対する感度の改善については教示されていない。
【0006】
米国特許出願公開第2017/0227352号明細書には、測定対象に追従するように装置を移動させる手段を備えたクロマティック共焦点測定装置が記載されている。一方で、この文献は、測定対象の表面の粗さに対する装置の感度を改善することができる解決策を提案していない。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、現在の光学測定装置と比較して表面状態に対する感度が向上しており、また、検査する試料の表面がマイクロメートルオーダーの粗さを有する場合でも、堅牢で再現性のある測定が可能なように、機械的プローブと同等の再現性を得ることができる、クロマティック共焦点顕微鏡を用いて試料の表面の局所的な高さおよび/または配向を測定する装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的のため、本発明は、試料の表面の局所的な配向および/または高さを測定するためのクロマティック共焦点測定装置であって、
多色の光ビームを生成するように構成された光源と、
所定の伝搬軸を有する前記光ビームを前記試料の表面に当てるように構成された軸上色収差対物レンズを含む投影対物レンズと、
前記試料の表面から反射された光ビームを受光し、積分区間において受光された前記反射された光ビームの総エネルギーを測定するように構成された光学センサと、
前記投影対物レンズに結合された走査システムであって、前記光学センサの前記積分区間において所定の経路に沿って前記投影対物レンズに対して前記光ビームの前記伝搬軸を移動させるように構成された走査システムと、
を備え、前記光学センサによって測定される総エネルギーは、前記所定の経路に沿った、前記試料の表面から反射された光ビームの総エネルギーの動的な空間平均に対応するクロマティック共焦点測定装置を提案する。
【0009】
上述のクロマティック共焦点測定装置のいくつかの好ましいが非限定的な特徴は、以下の通りであり、個別にまたは組み合わせて用いられてよい。
前記光ビームは、低コヒーレンスである。
前記投影対物レンズは、コリメータをさらに含み、前記走査システムは、前記コリメータおよび前記軸上色収差対物レンズの間に配置される。
前記走査システムは、前記軸上色収差対物レンズに統合される。
前記測定装置は、前記投影対物レンズを前記光源に接続するように構成された光ファイバをさらに備える。また、前記投影対物レンズは、コリメータをさらに含み、前記走査システムは、前記光ファイバおよび前記コリメータの間に配置される。
前記走査システムは、前記積分区間において前記試料の表面上で前記伝搬軸が移動する距離が、30μm~600μm、好ましくは50μm~400μmとなるように、所定の速度で前記試料の表面上で前記伝搬軸を移動させるように構成される。
前記経路は、閉ループである。
前記走査システムは、1Hz以上、好ましくは50Hzより高い周波数で、前記経路に沿って前記伝搬軸を移動させるように構成される。
前記経路は、直線、閉曲線、円、スキャンのいずれかの形状を有する。
前記走査システムは、
制御された偏心レンズ、
前記 光ビームが到達する際、前記光ビームの前記伝搬軸に垂直な平面に対してゼロでない角度をなすように配置された入射面を有するプリズムであって、該平面に垂直な軸周りに回転可能に設けられたプリズム、
前記光源と前記投影対物レンズとを接続する少なくとも1つの光ファイバを移動させ、光源点を移動させることで前記光ビームの前記伝搬軸を偏向させるように構成された手段、
回転軸周りに移動可能に設けられた平面鏡であって、該回転軸に垂直な平面に対してゼロでない角度をなす表面を有する平面鏡、および
前記光ビームに光学的な偏向を生じさせるように構成された方向可変ミラー
のうち少なくとも1つを含む。
前記測定装置は、前記表面から反射された光ビームのスペクトル分布を求めるように構成されたスペクトル分析システムをさらに備える。
【0010】
第2の態様によると、本発明は、上述の装置を用いて、試料の表面の高さまたは位置を測定するためのクロマティック共焦点測定方法であって、
多色の光ビームを生成する工程と、
前記装置の前記投影対物レンズを用いて、所定の伝搬軸を有する前記光ビームを前記試料の表面に当てる工程と、
前記装置の前記光学センサを用いて、前記表面から反射された光ビームを受光する工程と、積分区間において受光された前記反射された光ビームの総エネルギーを測定する工程と、
前記光学センサが前記表面から反射された光ビームを受光する間に、所定の経路に沿って前記投影対物レンズに対して前記光ビームの前記伝搬軸を移動させる工程と、
を含み、前記光学センサは、前記所定の経路に沿って、前記試料の表面から反射された光ビームの総エネルギーの動的な空間平均をとるクロマティック共焦点測定方法を提案する。
【0011】
上述の測定方法のいくつかの好ましいが非限定的な特徴は、以下の通りであり、個別にまたは組み合わせて用いられてよい。
前記方法は、前記動的な空間平均から前記表面の高さまたは位置を求めることをさらに含む。
前記反射された光ビームは、前記表面上で前記光ビームが遭遇した界面に対応する1つまたは複数のピークを求めるように構成された分光器に送られ、前記方法は、前記積分区間において求めた前記ピークを合計し、平均ピークを取得する工程と、前記平均ピークの重心を求める工程と、をさらに含む。
閉路である経路に沿って前記光ビームの前記伝搬軸を移動させる。
1Hz以上、好ましくは50Hzより高い周波数で、前記経路に沿って前記光ビームの前記伝搬軸を移動させる。
前記積分区間において前記試料の表面上で前記伝搬軸が移動する距離が、30μm~600μm、好ましくは50μm~400μmである。
前記経路は、直線、閉曲線、円、スキャンのいずれかの形状を有する。
前記方法は、前記伝搬軸の変位速度を調整することをさらに含む。
【0012】
第3の態様によると、本発明は、上述の装置を用いて、試料の表面の粗さを求める方法であって、
多色の光ビームを生成する工程と、
前記装置の前記投影対物レンズを用いて、所定の伝搬軸を有する前記光ビームを前記試料の表面に当てる工程と、
前記装置の前記光学センサを用いて、前記表面から反射された光ビームを受光する工程と、積分区間において受光された前記反射された光ビームの総エネルギーを測定する工程と、
前記光学センサが前記表面から反射された光ビームを受光する間に、所定の経路に沿って前記投影対物レンズに対して前記光ビームの前記伝搬軸を移動させる工程と、
を含み、前記光学センサは、前記所定の経路に沿って、前記試料の表面の粗さを測定する方法を提案する。
【0013】
上述の粗さを求める方法のいくつかの好ましいが非限定的な特徴は、以下の通りであり、個別にまたは組み合わせて用いられてよい。
1Hz以上の周波数で、前記経路に沿って前記光ビームの前記伝搬軸を移動させる。
前記積分区間において前記試料の表面上で前記伝搬軸が移動する距離が、1μm~20μmである。
前記方法は、前記所定の経路に沿った前記光ビームの総エネルギーの極値を特定する工程をさらに含む。
前記反射された光ビームは、前記表面上で前記光ビームが遭遇した界面に対応する1つまたは複数のピークを求めるように構成された分光器に送られ、前記方法は、前記積分区間における前記ピークを合計し、平均ピークを取得し、前記平均ピークの限界を決定することで、前記極値を求める工程をさらに含む。
前記反射された光ビームは、前記表面上で前記光ビームが遭遇した界面に対応する1つまたは複数のピークを求めるように構成された分光器に送られ、前記方法は、前記積分区間において求めた前記ピークを合計し、平均ピークを取得する工程と、前記平均ピークの形状および/または対称性を求める工程と、をさらに含む。
【0014】
本発明の他の特徴、目的および利点は、以下の詳細な説明を読み、非限定的な例として与えられた添付の図面を参照することで、より明確となるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】「ポイントセンサ」および反射走査システムを備える本発明の一実施形態による装置の例示的な実施形態を示す概略図であり、連続した経路のいくつかの例が、試料の表面に示される。
図2】「ラインセンサ」および透過走査システムを備える本発明の一実施形態による装置の例示的な実施形態を示す概略図であり、複数の同時経路が示される試料の表面の上面図である。
図3】「マルチポイントセンサ」および反射走査システムを備える本発明の一実施形態による装置の例示的な実施形態を示す概略図であり、連続した経路のいくつかの例が示される試料の表面の上面図である。
図4】本発明の一実施形態による、局所的な配向および/または高さ、または粗さを測定する方法の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
試料の表面Sの局所的な配向および/または高さを測定するための装置1、あるいはコンパレータは、既知の方法では、
多色の光ビーム9を生成するように構成された光源2、例えば白色発光ダイオードなどの白色光源と、
コリメータ3と、 生成された光ビーム9を試料の表面S上で集束し、表面Sから反射された光ビーム9を受光するように構成された軸上色収差対物レンズ4(またはライトペン)を連続して含む投影対物レンズ4と、
投影対物レンズを通過した後、反射された光ビーム9のスペクトル分布を求めるように構成された分光器などのスペクトル分析システム5と、
このスペクトル分布を解析して、表面Sの軸方向位置を算出する信号処理手段と、
を備える。
【0017】
光源2、投影対物レンズ、および分光器5は、少なくとも1つの光ファイバ6によって接続することができる。既知の方法では、光源2および分光器5をオプトロニックボックスに収容することができ、このオプトロニックボックスを、少なくとも1つの光ファイバ6によって投影対物レンズに接続し、ケーブルによって処理手段に接続することができる。適切な場合には、投影対物レンズ3、4もオプトロニックボックスに収容することができる。なお、この場合、光ファイバ6は任意である。
【0018】
光源2は、レーザーのような単色光源とは対照的に、多色光ビーム9を生成する。多色光ビームにより、クロマティック共焦点測定を行うことができ、特に測定軸に沿った軸上色収差を提供することで、測定装置を変位させずに距離測定を行うことができる。
【0019】
また、光ビームは、空間的および時間的にコヒーレントなレーザービームとは対照的に、低い(空間的および時間的な)コヒーレント性を有する。
【0020】
ライトペンシル4は、既知の軸上色収差を有し、既知の方法では、対物レンズに光軸が同軸になるように配置された一連のレンズから構成される。
【0021】
図1に示される第1の実施形態では、装置1は「ポイントセンサ」である。光源2は多色性であり、ライトペンシル4は、光源(より具体的には、ピンホールのように作用する光ファイバ6の端部)の単色像のセットを形成する。これらの像は、空間における観察用直線セグメントを定義し、光源の各像は、その波長とライトペンシル4に対する集束距離によって定義される。さらに、このライトペンシル4は、後方散乱した光ビーム9を集光し、空間フィルタリングホールとして機能する光ファイバ6の端部に、単色像のセットの共通多色像を形成する。この多色像は、光ビーム9が試料内で遭遇する異なる界面の波長から構成される。
【0022】
次に、多色像は、光ファイバ6を介して、分光器5に送られる。ここで測定されるスペクトルは、色収差によってカバーされる空間(観察用直線セグメント)内に試料が配置されたときに光ビーム9が遭遇する界面に対応する1つ以上のピークを示す。例えば、試料が不透明な表面Sを有する場合、表面Sに鮮明な像が得られる光源2の波長は1つである。信号処理手段は、分光器5によって特定された波長から、ライトペンシル4と表面Sの間の距離を推定することができる。
【0023】
図2に示される第2の実施形態では、装置1は「ラインセンサ」であり、ラインに沿って整列した複数の点を同時に測定することができる。ラインセンサは、ポイントセンサとは異なり、光源2によって生成された光をライトペンシル4の入力まで導き、ライトペンシル4から分光器5に戻すように構成された一連の光ファイバ6を含む。より具体的には、これらの光ファイバ6の端部は、横方向の測定領域(特にライン)を画定するように空間的に編成されている。これらの光ファイバ6によってそれぞれ放出された光ビーム9は、スプリッタ8を介してライトペンシル4内を表面Sまで伝搬し、そこで光軸に沿って分散される。ポイントセンサと同様に、横方向領域の点毎に、完全に集束された各波長が、試料の表面Sから反射され、ライトペンシル4内を反対方向に伝搬し、スプリッタ8および光ファイバ6を介して、分光器5に入力される。分光器5は、ラインの各測定点に対応するスペクトルを可視化する光検出器を備える。
【0024】
図3に示される第3の実施形態では、装置1は「マルチポイントセンサ」である。これは、複数の光源が並んだセンサであるが、ラインセンサのように必ずしも整列している必要はなく、例えば、三角形の3点、正方形や長方形の4点、円上に分布するN点、または幾何学的なパターンに従って分布するN点などでよい。これらの光源点は、図3に示されるように、1つのポイントコントローラからそれぞれ延びる光ファイバの端部であってもよく、各点が必ずしも整列している必要はないが、図2のようなファイバビームの端部であってもよい。
【0025】
信号処理手段は、積分区間(s)において投影対物レンズを介して試料の表面Sから反射された光ビーム9の総エネルギー(J)を測定するように構成された光学センサ7と、以下でより詳細に説明される方法を実行するように適合された、例えばコンピュータやサーバなどの処理ユニットとを含む。処理ユニットは、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどのコンピュータで構成されていてもよい。また、機器には、制御手段(タッチスクリーン、キーボード、マウス、ボタンなど)も含まれる。
【0026】
点検または検査される表面Sの粗さに対する装置1の感度を下げるため、装置1は、投影対物レンズに結合され、光学センサ7の積分区間において所定の経路11に沿って投影対物レンズの光軸に対して光ビーム9の伝搬軸を移動させるように構成された走査システム10をさらに備える。この走査システム10により、光学センサ7によって測定される総エネルギーは、所定の経路11に沿った、試料の表面Sから反射された光ビーム9の総エネルギーの動的な空間平均に対応する。したがって、装置1は、積分区間中に測定スポットが表面S上で固定される点測定ではなく、機械的プローブの端部と同等に、光学センサ7の積分区間中に測定スポットが表面S上で移動することで、光学的に平均化された空間測定を行う。このように、収差を発生させることなく測定する表面Sを拡大することで、装置1の測定の信頼性を高めることができる。
【0027】
なお、光学センサ7は、積分区間において経路11に沿って光ビームを変位させながら、測定スポットから反射された光ビーム9の総エネルギーを単一測定(光学平均化)するだけであり、複数の測定後に平均化(各測定値の平均)を行うわけではない。したがって、平均化はリアルタイムで行われ、平均化された測定値を得ながら、センサを公称速度で使用することができる。また、この平均化は光学的に行われるため、追加のソフトウェア処理が必要なく、必要な演算能力を抑えることができる。
【0028】
装置1による動的な空間平均化により、開口数や測定スポットの大きさに関わらず、試料の実際の表面Sの粗さを平均化することができる。実際、ライトペンシル4の開口数が少ない場合や測定スポットが大きい場合、光学センサ7によって表面Sの粗さが必然的に増幅される。このように、走査システム10を追加することで、試料の表面の粗さSだけでなく、粗さとライトペンシル4の特性の組み合わせによりライトペンシル4によってもたらされるアーティファクトも光学的に平均化することができる。したがって、当初は局所的な配向や高さの測定には不向きであったが、作動距離の大きさ、測定範囲、測光効率の高さなどの他の利点を持つライトペンを使用して、その理論的な限界を克服して精度の高い測定を行うことが可能となる。
【0029】
このため、信号処理手段によって光学センサ7の出力で得られる信号は、光学センサ7の積分区間で積分されたすべてのピークの合計に対応する。したがって、得られたピーク、あるいは平均ピークは、表面の反射率によって重み付けされた、この積分区間で遭遇した異なる高度の分布に応じて広がる。平均ピークの重心は、高度の平均値に対応しており、したがって所望の高さおよび/または配向の測定値に対応する。
【0030】
適切な場合には、処理手段は、平均ピークの限界、より詳細にはその極値(粗さのピークおよびトラフ)、対称性、あるいは形状(ピーク型またはトラフ型)を求め、そこから表面Sの構造および/またはテクスチャに関する情報を推定するように構成することもできる。一実施形態では、例えば、この極値を用いて表面Sの粗さを求めることもできる。これにより、「Ra」(平均偏差)や「Rt」(全偏差)などの既存の規格で定義された標準パラメータや、「Rsk」(高さ分布の非対称性)や「Rku」(高さ分布の幅)などの対称性パラメータを得ることができる。別の実施形態では、ピークの上限値を用いて、凹凸の平均値ではなく頂点の位置を求めることができ、したがって、本質的に表面粗さの頂点に依存する機械的プローブによって提供されるものに近い距離測定を提供することができる。
【0031】
オペレータが測定スポットの動きを感知するのを防ぎ、網膜の抵抗によるちらつきが生じるのを避けるため、光学センサ7の測定速度は、50Hz以上であることが好ましい。しかしながら、必要に応じて、例えば、より大きな積分時間を必要とする非常に反射の悪い表面上の場合は、より低速度で精度を落とさず測定を行うことができる。一般的には、1Hzより高い周波数を使用することができる。
【0032】
一般的に、点検または検査の対象となる試料は機械部品である。そのため、その粗さは、その製造方法に起因するものであり、特定の方向、例えばその加工方向を向いている可能性がある。したがって、走査システム10が表面Sの凹凸の動的な空間平均化(光学的な平均化)を確実に行うためには、経路11がこの機械加工方向に平行な直線ではないことが好ましい。機械加工方向は、通常、点検や検査を行うオペレータにはわからないため、経路11は、全方向であることが好ましい。全方向性の経路11の例としては、円、楕円、卵型などの閉曲線や、スキャン(すなわち、スキャナのように2つの垂直方向に沿って測定スポットを同時または連続的に変位させること)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。閉曲線、特に円曲線の経路11を選択することで、粗さの種類に関わらず、より均質な空間平均を得ることができる。
【0033】
光学センサ7の積分区間において経路11に沿って測定スポットが移動する距離は、効果的な空間平均化を得て、表面Sの粗さを平滑化するのに十分な距離でなければならず、特に表面Sの粗さに依存する。特に、表面Sの粗さが大きいほど、積分区間において表面S上で測定スポットが移動する距離を大きくするために、表面S上の伝搬軸の変位速度を上げる必要がある。そのため、通常、積分区間において測定スポットが移動する距離は、30μm~600μm、好ましくは50μm~400μmである。この距離により、機械的プローブの接触面と同等の結果を得ることができる。
【0034】
好ましくは、光学センサ7の積分区間において、測定スポットは、経路11に沿って位置する表面Sの各領域に一度だけ照射される。言い換えれば、光学センサ7の積分区間において、測定スポットが同じ場所を複数回通過することはない。例えば、円形の経路11の場合、測定スポットは、測定間隔の間に最大で円の外周分を移動する。同じ積分区間で測定スポットが同じ場所を複数回通過する場合、積分区間において経路11に沿って測定スポットが重複せずに移動する距離が、十分な空間平均化のために決定的な意味を持つ。すなわち、この非重複距離は、好ましくは30μm~600μm、典型的には50μm~400μmである。
【0035】
適切な場合、走査システム10が可能であれば、表面S上での伝搬軸の変位速度をプログラムすることができる。また、伝搬軸の変位速度をプログラムできる場合、装置1を使用して表面Sの粗さを求めることもできる。この目的のために、伝搬軸の変位速度は、経路11に沿った積分間隔における測定スポットの移動距離が小さくなるように選択される。この移動距離は、測定する表面Sの粗さに依存し、表面Sが粗いほど、移動距離は大きくなる。一般に、移動距離は好ましくは30μm未満、例えば1μm~20μmのオーダーである。実際、このような距離を移動すると、積分区間において測定される総エネルギーは非常に短い経路11に対応するため、光学センサ7は光学的な平均化を行わない。したがって、測定されるのは表面Sの粗さであり、その光学的な平均化は実行されない。
【0036】
これに代わって、またはこれに加えて、上述したように、処理手段を用いて極値を求めることによって表面Sの粗さを求めることができる。
【0037】
走査システム10は、測定スポットが非点状経路11を移動するように伝搬軸を移動させることができる任意の手段を含んでもよい。例えば、走査システム10は、伝搬軸を曲げずに(または偏向させずに)、透過動作して、装置1に組み込まれてもよい。変形例では、走査システム10は、光ビーム9の光路に少なくとも1つの屈曲部を設けることで、反射動作してもよい。
【0038】
第1の実施形態では、走査システム10は、ライトペンシル4の上流側で、装置1に組み込まれている。好ましくは、走査システム10は、コリメータ3とライトペンシル4との間に組み込まれている。
【0039】
あるいは、走査システム10は、光源点を動かすように光ファイバ6とコリメータ3の間に、またはライトペンシル4の下流側に固定されてもよい。
【0040】
例えば、第1の実施形態では、走査システム10は、制御された偏心レンズ、すなわち、スペックルリデューサや写真カメラの光学安定装置のように、光軸を偏心させるための振動を起こすように構成された機構と関連付けられたレンズを含む。この機構によって発生した振動により、光ビーム9を曲げることなく、光軸を偏向させることができる。
【0041】
本実施形態では、光軸の初期経路11を曲げずに維持することができ、省スペースの走査システム10を得ることができる。
【0042】
また、レンズの偏心を制御する他の手段を用いることもできる。代表的なものとしては、電気的な指令によって光学機能(焦点距離、センタリング)を変更できる液体レンズや液晶レンズが挙げられる。
【0043】
第2の実施形態では、走査システム10は、 光ビーム9が到達する際、光ビーム9の伝搬軸に垂直な平面に対してゼロでない角度をなすように配置された入射面を有するプリズムを含む。プリズムは、該平面に垂直な軸周りに回転可能に設けられており、専用のモータ12によって回転される。
【0044】
例えば、プリズムは、コリメータ3とライトペンシル4との間、光ビーム9の光路上に配置されたウェッジプリズムで構成することができる。また、試料の表面S上の測定スポットがたどる経路11は、半径が一定な、入射面と平面との間の角度に応じた円である。
【0045】
25μm~30μmの伝搬軸の偏心を得るために、プリズムの入射面と平面との間の角度を0.5°にすることができる。また、経路11は、直径50μm~60μmの円である。
【0046】
プリズムは、モータ12によって回転させることができる。好ましくは、モータ12は、50Hzより高い周波数で、振動を発生させることなく、均一な回転運動にしたがってプリズムを回転させることができる。例えば、中空軸のDCモータ12を用いることができる。このようなモータ12は、装置1において、コリメータ3とライトペンシル4との間に、プリズムとともに固定することができ、これによりプリズムの動源のズレを防ぐことができる。そのため、この走査システム10は、ライトペンシル4を適合させる必要がなく、任意のライトペンシル4と組み合わせて使用することができる。また、測定を妨げる振動を低減するために、装置のバランスをとることが好ましい。装置のバランスが十分でない場合には、振動を制限し、オペレータにとって不都合となり得るノイズを低減するため、装置の共振周波数を励起しないように、測定速度を上げることが好ましい。
【0047】
第3の実施形態では、走査システム10は、光源と投影対物レンズとを接続する光ファイバを移動させ、光源点を移動させることで光ビームの伝搬軸に変位を生じさせるように構成された手段を備える。
【0048】
図1に示される第4の実施形態では、走査システム10は、 回転軸周りに移動可能に設けられた平面鏡であって、該回転軸に垂直な平面に対してゼロでない角度をなす表面を有する平面鏡を含む。すなわち、走査システム10は、反射走査システムであり、走査システム10によって反射された光ビーム9のライトペンシル4の出力における位置を変化させることができる非対称の動きを課す。測定スポットの経路11と速度は、平面鏡によって与えられる動きによって定義される。
【0049】
この実施形態では、投影対物レンズは、角度付けられている。好ましくは、走査システム10は、光ビーム9がコリメートされるコリメータ3とライトペンシル4との間に配置される。
【0050】
例えば、鏡は、その回転軸と伝搬軸との間の角度が45°になるように配置され、これにより、コリメータ3とペンシルとが90°に配置される。
【0051】
鏡の表面Sと回転軸との間の角度は、例えば0.1°である。また、経路11は、直径50μmオーダーの円である。
【0052】
鏡は、例えば、シャフトの端部と鏡の間にシムを設けることによって、その回転軸に垂直な平面に対して傾斜させることができる。シムの厚さの差(最薄部と最厚部の差)は、以下の式によって決定される。
【0053】
【数1】
【0054】
式中、eはシムの厚さの差、Φmirrorは鏡とシムの直径、Φpathは、試料の表面S上で測定スポットが移動する円の直径を表す。
【0055】
例えば、直径56μm、焦点距離10mmの経路11の場合、シムの厚さの差は70μmに相当する。
【0056】
鏡は、モータ12によって回転軸周りに回転させることができる。例えば、周波数が1Hz以上、例えば100Hz程度のモータ軸12を含むDCモータ12を用いることができる。鏡はモータ軸12の先端に固定され、回転軸はモータ軸と同軸である。
【0057】
例えば、光学センサ7の積分区間が10ms(すなわち、取得速度が100Hz)の場合、モータ12の回転速度は6,000rpmとすることができ、これにより、センサの積分区間ごとに1回転以上の平均を得ることができる。
【0058】
有利には、DCモータ12を使用することで、鏡の回転速度を変更することができ、これにより、光学センサ7の積分区間において測定スポットが移動する距離を変更することができる。さらに、そのアーキテクチャにより、装置1に容易に組み込むことができる。また、コストは適度である。
【0059】
また、ステッピングモータ12によって鏡を回転させることもできる。
【0060】
第5の実施形態では、走査システム10は、光ビーム9に光学的な変位を生じさせるように構成された方向可変ミラーを含む。このような走査システム10は、複数のアクチュエータを備えることができ、これらの動きを組み合わせることで、閉曲線や開曲線など任意の曲線を形成する二次元経路11を得ることができる。このような方向可変ミラーの反応性は、ミリ秒オーダーであり、非常に低ノイズである。
【0061】
アクチュエータは、以下のうち少なくとも1つを含むことができる。
・ 傾斜可能な表面(ミラー)に接合された1つ以上の磁石に関連づけられた参照基板に固定された磁気コイル。コイルに電流を流すことで、磁石を引き寄せたり反発させたりする磁界を形成し、ミラーの光学表面Sを角運動させることができる。
・電極が取り付けられた2枚の圧電板を有し、電極に電圧を印加することにより、一方の圧電板が膨張し、他方の圧電板が圧縮されるバイモルフ圧電機構。
・電極と参照基板に接続された圧電板を備えたモノモルフ圧電機構。
・使用する材料に応じて、圧電効果や電歪効果により伸縮可能な板状または円盤状のアクチュエータを積層して構成された圧電・電歪積層体。
・連続した、あるいは分割された反射膜を、上部電極となる中間膜の特定の位置(アクチュエーター)に取り付け、下部電極をシリコン層にエッチングした MEMS(Micro Electro Mechanical System)。2つの電極に電圧を印加することにより、静電界が発生し、膜が動き、ミラーが動く。
【0062】
例えば、少なくとも1つの圧電型アクチュエータを備えた方向可変ミラーの場合、選択された技術に応じて1kHz~10kHzの最大周波数と、5μm~40μmの機械的ストロークを得ることが可能である。
【0063】
第2の実施形態では、走査システム10はライトペンシル4に統合されている。
【0064】
例えば、一実施形態では、ライトペンシル4のレンズの1つは、偏心制御されている。また、走査システム10は、伝搬軸を偏心させるため、ライトペンシル4のレンズの1つを振動させるように構成された機構を備える。この機構によって生じた振動により、光ビーム9を曲げることなく、光ビーム9の伝搬軸を偏心させる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】