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特表2022-504310局所投与のための鉄製剤および鉄欠乏症の処置の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】局所投与のための鉄製剤および鉄欠乏症の処置の方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/26 20060101AFI20220105BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220105BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61K33/26
A61P7/06
A61K47/24
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/06
A61K47/32
A61K47/40
A61K47/22
A61K47/18
A61K47/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518697
(86)(22)【出願日】2019-10-05
(85)【翻訳文提出日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 US2019054903
(87)【国際公開番号】W WO2020073030
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】62/742,180
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518259279
【氏名又は名称】アンパサンド バイオファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AMPERSAND BIOPHARMACEUTICALS INC.
【住所又は居所原語表記】2545 West Hillcrest Drive, Suite 215 Thousand Oaks, California 91320 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,キルマー
(72)【発明者】
【氏名】サンド,ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ミセル,リサ
(72)【発明者】
【氏名】フィッツシモンズ,ネイサン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076BB31
4C076CC14
4C076DD08
4C076DD29
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD41
4C076DD43
4C076DD46
4C076DD49
4C076DD59S
4C076DD63
4C076EE10
4C076EE23
4C076EE39
4C076EE49
4C076EE53
4C076FF34
4C076FF36
4C076FF51
4C076FF67
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA11
4C086HA17
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA11
4C086NA13
4C086ZA55
4C086ZC52
(57)【要約】
鉄または鉄含有化合物の経皮投与のための製剤を、本明細書において提供する。また、鉄キレート剤および抗酸化剤を含む製剤、ならびに鉄欠乏症、貧血、および貧血に関連する病態に関連する疾患および障害の処置のための本明細書中提供される製剤を使用する方法が、提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤であって、
約3.0~約40.0(w/w)%の量の1つ以上の鉄含有化合物;
0.0~15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;0.0~5.0(w/w)%のセチルアルコール;0.0~5.0(w/w)%のステアリン酸;0.0~40.0(w/w)%の量のトリアセチン;0.0~10.0(w/w)%の量のレシチン;0.0~15.0(w/w)%のアーモンド油;0.0~20.0(w/w)%のCetiol(登録商標)Ultimate;0.0~20.0(w/w)%のポロクサマー407;0.0~10.0(w/w)%の量の氷酢酸;0.0~5.0(w/w)%のプロパン酸;0.0~10.0(w/w)%のシクロヘキサン;0.0~10.0(w/w)%のtego 13-06;0.0~3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;0.0~1.0(w/w)%の量のHP beta CD;0.0~5.0(w/w)%の量のクエン酸;0.0~約5.0(w/w)%の量のビタミンC;0.0~約5.0(w/w)%の量のビタミンE;0.0~約20.0(w/w)%の量の鉄キレート剤(たとえばEDTA);0.0~約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および水、
を含む、製剤。
【請求項2】
前記鉄または1つ以上の鉄含有化合物が、硫酸第1鉄を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤であって、
約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄と、
以下のうちの少なくとも1つ:
約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;
約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;
約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;
約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;
約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;
約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;
最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンC;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンE;
最大約20.0(w/w)%の量のEDTA;
最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
O、

を含む、製剤。
【請求項4】
対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤であって、
約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;
約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;
約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;
約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;
約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;
約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;
約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
および任意選択で、
最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;
最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンC;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンE;
最大約20.0(w/w)%の量のEDTA;
最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
O、
を含む、製剤。
【請求項5】
対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤であって、
約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;
鉄キレート剤;
抗酸化剤;
任意選択で、以下のうちの1つ以上:
約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;
約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;
約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;
約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;
約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;
約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;
最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;
最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
O、
を含む、製剤。
【請求項6】
約3.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
約6.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄を含む、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
鉄キレート剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
それを必要とする対象において鉄欠乏症または関連する障害を処置する方法であって、請求項1~7のいずれか1項に記載の製剤の有効量を投与するステップを含み、前記投与が、鉄欠乏症または関連する病態もしくは障害を改善または処置するのに有効である、方法。
【請求項11】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、貧血である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、老人性貧血または老化に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、鎌状赤血球症に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、出血障害に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、鉄欠乏症に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、血液がんに関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、血液系疾患または障害に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、血液がんに関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、がんに関連する貧血性である、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記鉄欠乏症または関連する障害が、慢性腎臓疾患を有する非血液透析患者における鉄の補給である、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、治療用作用物質を含む局所製剤、特に経皮送達または局所送達に適した改良された鉄含有製剤、ならびに鉄欠乏症および関連する障害を処置する方法に関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、全体の全てが本明細書中参照により組み込まれている、2018年10月5日に出願された米国仮出願第62/742,180号に関するものであり、同号に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
以下は、本発明の理解に有用であり得る情報を含む。本明細書中提供される情報の全てが従来技術であるかもしくは現在記載もしくは請求されている発明に関連すること、または具体的または暗に言及されている全ての刊行物または文書が従来技術であることを承認するものではない。
【0004】
鉄欠乏症(またはsideropaenia)は、身体において鉄の必要性を満たすための鉄が不十分である状態を表す。鉄は、ヒトの身体の全ての細胞に存在し、いくつかの重要な機能、特には、ヘモグロビンタンパク質の鍵となる構成要素として肺から組織へと酸素を運搬し、シトクロムの形態で細胞の中で電子の輸送媒体として作用し、様々な組織での酸素酵素反応を促進させる。鉄が少なすぎることは、これらの重要な機能を妨げ、病的状態または死亡をもたらし得る。
【0005】
全身鉄平均量は、男性で約3.8g、女性で約2.3gである。血漿において、鉄は、タンパク質のトランスフェリンに密接に結合して輸送される。ヒトの鉄代謝を制御し、鉄欠乏症を回避するいくつかの機構が存在する。主要な制御機構は、消化管に位置している。
【0006】
鉄は、食事においては、遊離形態またはヘム鉄のいずれかで存在する。食事由来の遊離鉄は、腸管腔において第2鉄から第1鉄に変換され、腸細胞内に輸送される。鉄は、腸細胞に保存されるか、フェリチンに結合されるか、または血液に輸送され得る。全身的な循環に入る場合、鉄は、血清タンパク質のトランスフェリンに結合する。トランスフェリンは、鉄の輸送に寄与し、鉄を、ヘモグロビン合成のため骨髄へ、および身体の他の組織へ輸送する。この系における鉄のホメオスタシスは、身体からの鉄の排泄に関する生理的な機構が存在しないため、厳密に制御される。この系での過剰な鉄の蓄積は、フェントン反応を介して活性酸素種(ROS)を産生することにより臓器の機能不全をもたらす。ROSの産生は、身体の至る所で多くの酸化的課題をもたらし得る。
【0007】
鉄は、食事により供給されなければならない。鉄の欠乏が食事由来の鉄の適切な摂取により十分に補償されない場合、鉄欠乏症の状態が発症する。食物消費の米国の連邦政府の調査により、19歳超の女性および男性において、食事および飲料からの平均消費量は、それぞれ13.1および18.0mg/日であることが決定された。女性では、14~50歳の範囲の年齢の16%が、推定平均必要量(EAR)未満の量を摂取しており、19歳以上の男性では3%未満がこれにあたる。過少摂取および鉄欠乏症の状態が長期化し、訂正されない場合、これは、鉄欠乏症貧血をもたらす。
【0008】
鉄欠乏症貧血は、世界中で15億(1.5B)超もの人々が罹患している深刻な栄養欠乏障害の1つである。鉄欠乏症貧血は、食事からの鉄の吸収の減少、慢性的な血液欠乏、および他の関連する疾患により起こる。最も一般的には、女性および小児が罹患し、また同様にベジタリアンおよび高頻度の血液のドナーが罹患する。血液欠乏の原因は、過多月経、出産、子宮筋腫、胃潰瘍、結腸がん、炎症性腸疾患、運動競技での過度の運動、および尿路出血を含み得る。鉄を吸収する能力が不十分であることは、クローン病または胃バイパス術の結果として起こり得る。発展途上国では、寄生虫、マラリア、およびHIV/AIDSが、このリスクを上げる。
【0009】
鉄が十分にない場合、身体は、十分なヘモグロビンを産生することができない。これは、極度の疲労、脱力、錯乱、血色の悪い肌、胸痛、頭痛、冷たい手および足、脆性の爪、食欲不振、ならびに小児の成長および発達の遅延を含む多くの症状をもたらす。
【0010】
診断は、通常、赤血球の大きさおよび色、ヘマトクリットのレベル、ヘモグロビンのレベル、ならびにフェリチンのレベルを評価する血液の分析を介して行われる。血液欠乏の原因を同定するためのさらなる試験はまた、内視鏡検査、結腸鏡検査、および超音波をも含み得る。
【0011】
鉄欠乏症に関する現在の処置は、主に、食事の修正および鉄の補給である。食事の修正は、赤身肉、魚介類、豆類、色の濃い葉野菜、ドライフルーツ、鉄を強化したシリアルなどの鉄を多く含む食事を追加することを含む。ビタミンCを多く含む食品もまた、消化管からの吸収を増大させることが知られている。
【0012】
鉄の錠剤または液体の形態を用いた鉄の補給が、多くの場合推奨されている。鉄の補給は、低体重児の出生および出生前の合併症を回避するために、妊娠中医師により著しく推奨されている。鉄の補給は、さらなるサプリメント、スポーツ用栄養素および医療用サプリメントなど様々な適用で使用され、経口的に摂取されるかまたは注射される。非経口的な鉄の治療は、重篤な鉄欠乏症の病態にのみ推奨されている。
【0013】
経口的な鉄の補給は、全般的な健康状態にきわめて重要な役割を果たしているが、その有効性は、低いバイオアベイラビリティおよび不十分な認容性により限定されている。さらに、経口的な鉄の補給は、下痢、便秘、および腹部疝痛/疼痛を含む多くの有害な副作用をもたらすことが知られている。さらに、鉄の塩の不快な味および臭いは、特に妊娠中の女性および小児において、不十分な患者のアドヒアランスをもたらす。不十分な認容性の様々な原因は、治療とのコンプライアンスの不十分さをもたらし、処置の効力の結果につながる。
【0014】
さらに、200mg/日を超える経口鉄サプリメントの摂取は、腸内に存在する細菌の種類を変更し得る相対的な鉄の過剰をもたらす。菌血症が存在する間に投与される非経口的な鉄に関する懸念が、臨床的な実務では裏付けられてはいないが、存在している。対照的に、中程度の鉄欠乏症は、急性感染症、特にマラリアおよび結核などの肝細胞およびマクロファージの中に存在する生物に対する保護を提供し得る。これは、主に、これら疾患の有病率が高く、標準的な処置が利用できない領域で好適である。
【0015】
非経口的な鉄の治療は、その侵襲性および非経口的な鉄製品のコロイドの性質による全身的な副作用のため重篤な鉄欠乏症の病態にのみ推奨されている。臨床的な使用で認可されている非経口的鉄製剤として、カルボキシマルトース第2鉄、鉄-デキストラン(ID)、フェルモキシトール(ferumoxytol)、鉄スクロース、およびグルコン酸第2鉄ナトリウムが挙げられる。非経口製剤を用いた鉄の過剰な充填は、アナフィラキシー反応、およびさらに希にではあるが死亡をもたらすことが報告されていた。
【0016】
鉄の経口送達および非経口送達に関連する全ての欠点のため、鉄製品の投与の別の安全な形式の開発が必要とされている。よって、鉄欠乏症の処置に関する様々な緩衝製剤の効力を決定するために、当該緩衝製剤における現在の欠点を克服する新規の処置、製剤、および製剤の投与方法が、開発される必要がある。
【発明の概要】
【0017】
本明細書中記載および請求される発明は、限定するものではないが、この簡潔な概要で説明または記載または言及されるものを含む多くの特性および実施形態を有する。本明細書中記載および請求される発明は、例示のためにのみ含まれており限定するものではない、この概要で同定される性質または実施形態に限定されるものではなく、またはこれらによって限定されるものではない。
【0018】
鉄は、酸素および電子の輸送ならびにDNAおよびRNAの合成を含む多くの生体機能にとって重要な成分である。鉄欠乏症は、今日もっとも一般的な栄養欠損症の1つであり、多くの深刻な臨床結果を有する鉄欠乏症貧血をもたらし得る。経口的な補給は、今日もっとも一般的な処置ではあるが、不十分なバイオアベイラビリティならびにそのアドヒアランスおよび効力を限定する重篤なGI障害に関連する。
【0019】
本出願人らは、鉄の補給の静脈内投与および経口投与の欠点が、鉄または1つ以上の鉄含有化合物を局所的および/または経皮的に投与することにより克服され得ることを見出した。
【0020】
局所的に送達される鉄は、GI障害を回避し、この病態に対して患者に優しい代替案を提供する。しかしながら、局所的に適用される鉄はまた、真皮に鉄の蓄積をもたらし、これにより患者を、特に皮膚がん、光線過敏、および光老化などの多くの皮膚の病態に関連する活性酸素種(ROS)の光酸化的な産生を行いやすくさせ得る。本発明は、鉄の安全かつ有効な局所送達の方法を提供する。鉄を全身に局所的に送達することに加え、本発明はまた、上皮での鉄の蓄積を最小限にするための鉄キレート剤、およびROS産生を削減するための抗酸化剤を含む。これら構成要素は、単回使用の製剤に組み合わせてもよく、またはあるいは別々に適用される製剤に組み合わせられ得る。
【0021】
よって、本発明の一態様は、対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤を提供することである。
【0022】
対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤の例示的な実施形態は、約3.0~約40.0(w/w)%の量の1つ以上の鉄含有化合物;0.0~15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;0.0~5.0(w/w)%のセチルアルコール;0.0~5.0(w/w)%のステアリン酸;0.0~40.0(w/w)%の量のトリアセチン;0.0~10.0(w/w)%の量のレシチン;0.0~15.0(w/w)%のアーモンド油;0.0~20.0(w/w)%のCetiol(登録商標)Ultimate;0.0~20.0(w/w)%の量のポロクサマー407(たとえばPluronic(登録商標));0.0~10.0(w/w)%の量の氷酢酸;0.0~5.0(w/w)%のプロパン酸;0.0~10.0(w/w)%のシクロヘキサン;0.0~10.0(w/w)%のtego 13-06;0.0~3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;0.0~1.0(w/w)%の量のHP beta CD;0.0~5.0(w/w)%の量のクエン酸;0.0~約5.0(w/w)%の量のビタミンC;0.0~約5.0(w/w)%の量のビタミンE;0.0~約20.0(w/w)%の量の鉄キレート剤(たとえばEDTA);0.0~約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および水を含む。
【0023】
鉄または1つ以上の鉄含有化合物は、硫酸第1鉄または他の鉄含有化合物、塩などであり得る。
【0024】
本製剤は、任意選択で、鉄キレート剤、抗酸化剤、または別の有効な作用物質を含み得る。よって、対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤の一実施形態は、約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;鉄キレート剤;抗酸化剤;および任意選択で、以下:約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および完成させるための水(HO)のうちの1つ以上を含む。本発明のこの実施形態に係る製剤は、約3.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄を含み得る。
【0025】
別の態様では、鉄欠乏症または関連する障害を処置する方法であって、本明細書中提供される製剤の有効量を投与するステップを含み、この投与が、鉄欠乏症または関連する病態もしくは障害の改善または処置に有効である、方法が提供される。鉄欠乏症または関連する障害の例として、限定するものではないが、貧血、老人性貧血または老化に関連する貧血、鎌状赤血球症に関連する貧血、出血障害に関連する貧血、鉄欠乏症に関連する貧血、血液がんに関連する貧血、血液系疾患または障害に関連する貧血、がんに関連する貧血、血液がんに関連する貧血、慢性腎臓疾患を有する非血液透析患者における鉄の補給、進行性腎不全、貧血を有するかまたは貧血になりやすい妊娠中の女性における鉄の補給、炎症性腸疾患に関連する貧血、非貧血性の女性における運動トレーニングに関連する鉄の欠乏における鉄の補給、およびダルベポエチンアルファでも処置された貧血性がん患者における鉄の補給が挙げられる。
【0026】
詳細な説明
本明細書記載される実務は、他の記載がない限り、当業者の範囲内にある組織培養、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、および組み換えDNAの従来の技術を使用する。たとえば、Harlow and Lane eds. (1999) Antibodies, A Laboratory Manual and Herzenberg et al. eds (1996) Weir’s Handbook of Experimental Immunologyを参照されたい。
【0027】
範囲を含む全ての数字表記、たとえばpH、温度、時間、濃度、および分子量は、当該分野での一般的な実務に合致した近似値として理解すべきである。本明細書中使用される場合、用語「約」は、適宜所定の文脈に応じて、記載の量の変分(+または-)1%、5%、または10%を含意し得る。常に明記されはないないが、本明細書中記載の試薬は、単なる例であること、および当該試薬の均等物が当該分野で知られていることを、理解されたい。
【0028】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他の意味を明記しない限り、複数形を含む。たとえば、用語「薬学的に許容される担体(a pharmaceutically acceptable carrier)」は、その混合物を含む複数の薬学的に許容される担体を含む。他方で、「1つの(one)」は、単数形を表す。
【0029】
本明細書中使用される場合、用語「~を含む(comprising)」は、本組成物および本方法が列挙した構成要素を含むが、他の列挙されていない構成要素を除外しないことを意味するように意図されている。「~から本質的になる」は、組成物および方法を定義するために使用される場合、本組成物および/または本方法の基本的な性質を変更する他の構成要素を除外するが、その他の列挙されていない構成要素を除外するものではない。よって、本明細書中定義される構成要素から本質的になる組成物は、微量の構成要素、たとえばリン酸塩緩衝生理食塩水、保存剤などの、何らかの単離および生成方法または薬学的に許容される担体からの混入物を除外するものではないが、特定されていない追加的なアミノ酸を除外する。「~からなる」は、微量の他の成分および本明細書中記載の組成物を投与するための実質的な方法ステップを超えるものを除外する。これら各移行句により定義される実施形態は、本開示およびそのなかで具現化される発明の範囲内にある。
【0030】
多くの既知の有用な化合物などが、Remington’s Pharmaceutical Sciences(13th Ed), Mack Publishing Company, Easton, PA-様々な種類の投与に関する標準的な参照文献で見出され得る。本明細書中使用される場合、用語「製剤」は、少なくとも1つの有効成分の、独立して活性または不活性であり得る、一般に賦形剤とも表される1つ以上の他の成分との組み合わせを意味する。用語「製剤」は、ヒトまたは動物への投与のための薬学的に許容される組成物を表してもよく、または表さなくてもよく、保存または研究の目的に有用な中間体である組成物を含み得る。
【0031】
本発明の方法の患者および対象は、ヒトに加え、獣医学的な対象であるため、これら対象に適した製剤もまた適切である。このような対象として、家畜およびペット、ならびにウマ、グレイハウンドなどのスポーツ用動物が挙げられる。
【0032】
一実施形態では、「医薬組成物」は、限定するものではないが、in vitro、in vivo、またはex vivoでの診断または治療での使用に適した無菌性組成物における有効成分の不活性または活性な担体との組み合わせを含むように意図されている。一態様では、医薬組成物は、使用される用量または濃度で、実質的にエンドトキシンを含まないか、またはレシピエントに対し非毒性である。
【0033】
一実施形態では、「有効量」は、限定するものではないが、定義される成分の、所望の化学組成物または所望の生物学的および/もしくは治療上の結果を達成するために十分な量を表す。一実施形態では、この結果は、所望のpHまたは化学的もしくは生物学的な特徴、たとえば製剤の安定性であり得る。他の実施形態では、所望の結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因の軽減もしくは寛解、または生体系の他のいずれかの望ましい変更である。所望の結果が治療上の応答である場合、有効量は、限定するものではないが、処置または軽減される特定の疾患または症状、処置される対象の年齢、性別、および体重、製剤の投与レジメン、疾患病態の重症度、投与方法などに応じて変化する。これら全ては、当業者により容易に決定され得る。望ましい作用は、必ずしも治療的であるわけではなく、特に、本明細書中記載される皮膚の障害の処置のための美容的な作用でもあり得る。
【0034】
一実施形態では、診断または処置の「対象」は、限定するものではないが、原核細胞または真核細胞、組織培養物、組織、または動物、たとえばヒトを含む哺乳類である。診断または処置される非ヒトの動物対象として、たとえば、限定するものではないが、サル、マウス、イヌ、ウサギなどのウサギ科、家畜、スポーツ用動物、およびペットが挙げられる。
【0035】
一実施形態では、本明細書中使用される場合、用語「~を処置する(treating)」、「処置(treatment)」などは、限定するものではないが、所望の薬理的および/または生理的作用を得ることを意味するように本明細書で使用される。この作用は、障害もしくはその兆候もしくは症状を完全もしくは部分的に予防する観点から防止的であってもよく、かつ/または疾患もしくは感染症の症状の寛解、もしくは障害および/もしくは当該障害に起因する有害作用の部分的もしくは完全な治癒の観点から治療的であってもよい。
【0036】
製剤
今日までに、人々は、イオン泳動、エレクトロポレーション、およびマイクロニードルを使用して様々な鉄錯体の浸透を駆動するように試みてきた。受動的な経皮送達は成功していなかった。鉄の経皮送達は、この経路が提供し得る非侵襲性、安全性、および患者のコンプライアンスなどの利点を有する、鉄欠乏症を処置する見込みのある方法であり得る。鉄の経皮送達は、この経路が、経口送達および非経口的送達のそれぞれに関連する潜在的な胃腸および全身の副作用を克服し得るという事実のため、患者にとって魅力的であろう。
【0037】
皮膚での鉄の通常の生理機能は、複雑であり、明確に理解されてはいない。正常な表皮での鉄のレベルは幅広い範囲で変動すると考えられていることが知られている(Molin and Wester, 1976; Kurz et al., 1987)。正常な真皮の中でも鉄のレベルは同様に変動し、老化プロセスの間増大すると考えられている(Leveque et al., 2003)。さらに、鉄含有タンパク質は、プロコラーゲン・プロリンジオキシゲナーゼによるコラーゲンの代謝など特定の機能を有する(Richardson et al., 1996; Polefka et al., 2012; Figure 1)。鉄は、身体から能動的に排泄されないが、皮膚は、鉄のヘモスタシス(iron hemostasis)において鍵となる臓器であり、吸収される鉄のうちほぼ25%は、通常、表皮細胞の剥脱により身体から排出される(Weintraub et al, 1965; Jacob et al, 1981)。剥離の根底にある機構に関する現在の理論は、加水分解性プロテアーゼ消化による、ケラチノサイトの細胞間接着に関与するデスモソームの能動的な溶解を含む(Milstone, 2004)。ケラチノサイトの剥離は、失われる吸収される鉄の20~25%を占めると考えられている(Jacob et al., 1981)。さらに全体的な、剥離による鉄の毎日の喪失は、毎日の尿中の鉄の排泄の約25%である(Molin and Wester, 1976)。
【0038】
鉄のキレートを含む、油中水型および水中油型のエマルジョンタイプの軟膏からのマウスの皮膚を通した鉄の局所的な適用は、過去にMinatoらにより報告されている。この研究では、Minatoおよび同僚(1967)は、エチレンジアミン四酢酸と放射性鉄の錯体およびモデル物質としてのカプフェロンを使用して、親水性および吸収ベースの軟膏からの水溶性物質の吸収を評価した。水溶性鉄-エチレンジアミン四酢酸錯体を含む油中水型の軟膏からの鉄の吸収の平均は、約80%であり、水中油型の軟膏からは約55%のみであった。これらの実験は、放射標識された鉄-キレートを含む約0.1(w/w)%の製剤を用いて行われた。吸収は高いが、開始濃度は、合理的な供給の選択肢を提供するには低すぎた。
【0039】
以前に報告されるように、経皮的な鉄の補充治療の場合、鉄供給源の選択は、経口鉄治療で使用される全ての鉄塩が親水性であり、非経口療法で認可されている製品は、それらのコロイドの性質のためサイズが大きいため、課題があった。さらに、細胞レベルでの酸化ストレス後の活性酸素種(ROS)の産生のリスクのため、全身循環における鉄塩のイオン化からの遊離鉄の放出には、大きな懸念がある。
【0040】
皮膚での酸化ストレスの主な原因は、紫外線(UVA)-UVAスペクトルの320~400nm部分により皮膚で産生される活性酸素種(ROS)である。鉄は、2つの安定した状態Fe2+(電子供与体)およびFe3+(電子受容体)で存在する遷移金属であるため、酸化ストレスのプロセスにおいて重要な役割を果たす。細胞内の不安定な鉄は、最も安定した酸化状態(Fe2+/Fe3+)間でレドックス循環を経て、ROS、たとえばスーパーオキシドアニオン、過酸化水素と反応して、フェントン反応またはスーパーオキシドにより駆動されるフェントン化学を介してヒドロキシルラジカルを生じさせる可能性がある(Pelle et al., 2011)。
【0041】
UVAに対する皮膚線維芽細胞の曝露は、リソソーム膜、ミトコンドリア膜、核膜、および細胞膜の酸化的損傷を促進させるROSを産生し得る。最終的に、ミトコンドリアでのATPの欠乏を伴う細胞膜の完全性の喪失は、壊死性細胞死をもたらす(Aroun et al., 2012)。皮膚線維芽細胞と比較して、ケラチノサイトは、UVAが介在する膜損傷および細胞傷害性に耐性があると考えられている。in vitroでの試験は、UVAが、ケラチノサイトにおいて、リソソームの損傷、フェリチンの分解、および細胞質での不安定な鉄の放出を開始するが、UVAにより誘導される不安定な鉄の放出の絶対的なレベルは、線維芽細胞のレベルよりも数倍低く、不安定な鉄の放出とUVAが介在する損傷に対するケラチノサイトの耐性との間の関連が示唆されることを示している(Zhong et al., 2004)。
【0042】
紫外線(UV)照射に対する曝露による皮膚での活性酸素種(ROS)の産生は、多くの皮膚病態、たとえば特に、皮膚がん、光線過敏、および光老化を誘導する。皮膚の鉄は、ROSのUV産生を触媒する。鉄キレート剤の局所的な適用は、紅斑、表皮および真皮の肥大、しわの形成、腫瘍の出現を低減する。鉄キレート剤は、短期間および長期間のUV曝露の両方の損傷作用に対して有用な作用物質であり得ることが提案されている。
【0043】
限定するものではないが、sucrosomial iron、多糖類・鉄錯体、フマル酸第1鉄、グルコン酸第1鉄、硫酸第1鉄、カルボキシマルトース第2鉄、フェルモキシトール、iron isomaltoside 1000、グルコン酸第2鉄、鉄スクロース、およびピロリン酸第2鉄を含む多くの種類の鉄および鉄含有化合物が、対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤での使用に適している。
【0044】
本発明に係る対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤は、以下:
約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;
最大約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
最大約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
最大約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;
最大約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;
最大約10.0(w/w)%の量のレシチン;
最大約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;
最大約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
最大約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;
最大約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;
最大約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;
最大約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
最大約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;
最大約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;
約5.0(w/w)%の量のクエン酸;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンC;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンE;
最大約20.0(w/w)%の量のEDTA;
最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
完成させるためのH
を含み得る。
【0045】
一実施形態では、本製剤は、
約3.0~約15.0(w/w)%の硫酸第1鉄;
約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;
約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;
約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;
約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;
約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;
約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
約0.0(w/w)%~約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;
約0.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のクエン酸;
約0.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のビタミンC;
約0.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のビタミンE;
約1.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のEDTA;
約0.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
完成させるためのH
を含む。
【0046】
特定の実施形態では、本製剤は、
約6.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;
約8.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
約3.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
約2.0(w/w)%の量のステアリン酸;
約15(w/w)%の量のトリアセチン;
約4.0(w/w)%の量のレシチン;
約12(w/w)%の量のアーモンド油;
約10.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
約5.0(w/w)%の量のポロクサマー407(Pluronic(登録商標));
約5.0(w/w)%の量の氷酢酸;
約2.0(w/w)%の量のプロパン酸;
約5.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
約4.0(w/w)%の量のTego 13-06;
約1.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
約0.1(w/w)%の量のHP beta CD;
約2.0(w/w)%の量のクエン酸;
約2.0(w/w)%の量のビタミンC;
約2.0(w/w)%の量のビタミンE;
約10.0(w/w)%の量のEDTA;
約2.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
完成させるためのH
を含む。
【0047】
別の態様では、本明細書中提供される皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤は、鉄または1つ以上の鉄含有化合物に加えて鉄キレート剤を兼ね備え得る。よって、特定の実施形態は、鉄キレート剤と共に製剤化された1つ以上の鉄含有化合物を有する。一実施形態は、約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;鉄キレート剤;ならびに、任意選択で以下のうちの1つ以上:抗酸化剤;約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および水(HO)を含む。
【0048】
別の態様では、本明細書中提供される皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤は、鉄または1つ以上の鉄含有化合物に加え、抗酸化剤を兼ね備え得る。よって、特定の実施形態は、抗酸化剤と共に製剤化された1つ以上の鉄含有化合物を有する。一実施形態は、約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;抗酸化剤;ならびに、任意選択で以下のうちの1つ以上:鉄キレート剤;約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および水(HO)を含む。
【0049】
別の例示的な実施形態は、約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;鉄キレート剤;抗酸化剤;ならびに、任意選択で以下のうちの1つ以上:約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および水(HO)を含む。
【0050】
別の態様では、本明細書中提供される皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤は、鉄または1つ以上の鉄含有化合物に加え、抗酸化剤を兼ね備え得る。よって、特定の実施形態は、抗酸化剤と共に製剤化された1つ以上の鉄含有化合物を有する。
【0051】
よって、一部の実施形態では、本製剤は、
約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;
鉄キレート剤;
抗酸化剤
ならびに、任意選択で以下のうちの1つ以上:
約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;
約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;
約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;
約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;
約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;
約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;
最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;
最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
完成させるためのH
を含む。
【0052】
本明細書中提供される単一の製剤は、以下の3つの成分 i)局所的に適用される鉄(たとえば硫酸鉄)、ii)局所的に適用される鉄キレート剤、およびiii)局所的に適用される抗酸化剤のいずれかの組み合わせを含み得る。さらに、上記i)~iii)のうちの1つ以上は、別々にまたは任意の組み合わせで製剤化されてもよく、局所製剤として別々に適用されてもよい。よって、本製剤は、1日を通して、順次またはあるいは様々な時間に適用され得る(たとえば、夜に鉄および/または抗酸化剤が適用され、朝に鉄キレート剤および/または抗酸化剤が適用される)。
【0053】
鉄を含む製剤は、自然発生的なFe(II)のFe(III)への酸化を最小限にするために、酸性pHで製剤化され得る。
【0054】
適切な非限定的な例示的鉄キレート剤として、デフェロキサミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,2-ジエチル-3-ヒドロキシピリジン-4-オン(CP94)、Desferol、デフェリプロン、およびデフェラシロクス、サクシマー、トリエンチン、デスフェリチオシン、クリオキノール、O-トレンソックス、タクピル(Tachpyr)、デクスラゾキサン、トリアピン、ピリドキサールイソニコチノイルヒドラゾン、ジ-2-ピリジルケトンチオセミカルバゾン類、フラバン-3-オール、クルクミン、アポシニン、Kolaviron、フロラノール(Floranol)、バイカレイン、バイカリン、リグストラジン、クェルセチン、没食子酸エピガロカテキン、テアフラビン、フィチン酸、およびゲニステインが挙げられる。
【0055】
適切な非限定的な例示的抗酸化剤として、グルタチオン、ビタミンC、ビタミンE、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、pNaKtide、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、tert-ブチルヒドロキノン、HP beta CD、レスベラトロール、レチノール、コエンザイムq10、ナイアシンアミド、ポリフェノール、フラベノイド、βカロテン、ルテイン、およびリコピンが挙げられる。
【0056】
本明細書中提供される製剤の特定の実施形態は、2018年9月14日に出願された標題「Methods and Formulations For Transdermal Administration Of Buffering Agents」の米国特許出願番号第16/132,358号、2018年9月14日に出願された標題「Methods of Administration and Treatment」の国際特許公開公報第18/51250号、および2018年4月17日にBruce Sandにより出願された標題「Parental non-systemic administration of buffering agents for inhibiting metastasis of solid tumors, hyperpigmentation and gout」の国際特許公開公報第18/28017号を含む、本発明者らの関連する出願に、より詳細に記載されている製剤成分で補充され得る。これら全ての全体は、本明細書中に参照により組み込まれている。
【0057】
本製剤は、成分が相乗的に相互作用し、個々の成分により誘導されるものよりも良好な皮膚浸透亢進を誘導する混合物を含む。化学物質間の相乗作用は、単一の亢進剤の効力の限定を克服する強力な浸透亢進剤を設計するために利用され得る。本明細書中開示されるいくつかの実施形態は、3~5つの別々の浸透亢進剤を用いる。
【0058】
局所投与、特に経皮投与では、本製剤は、真皮および/または細胞膜を含む膜を通した透過を促進させる化学的な浸透剤(CPE)およびペプチドベースの細胞浸透剤(CPP)のいずれかまたは両方を含む浸透剤を含む。これは、特に座薬による投与または鼻腔内投与の場合のようにではあるが、経皮投与でも同様である。特にバッファー以外の少なくとも1つの作用物質を含むものに特に適した浸透剤は、本明細書中参照により組み込まれている米国特許公開公報第2009/0053290号、国際特許公開公報第2014/209910号、および同第2017/127834号に記載されているものを含む。浸透剤を含む製剤に加え、経皮送達は、浸透を促進させるために皮膚の表面を機械的に破壊するか、または単純に、皮膚に適用した製剤を閉鎖パッチの下に供給することにより、作用し得る。
【0059】
あるいは、浸透剤部分は、仕上げ成分(completion component)、ならびに粘度および粘弾性を提供するために十分な1つ以上の電解質、1つ以上の界面活性剤成分、ならびにアルコールを含む。仕上げ成分は、極性液体、非極性液体、または両親媒性の物質であり得る。浸透剤は、チオール結合を低減するため、水素結合を破壊するため、ならびに/またはケラチン溶解および/もしくは細胞透過ペプチド(場合により皮膚透過ペプチドと呼ばれる)および/または透過亢進剤に作用するために有効なケラチン分解活性作用物質をさらに含み得る。
【0060】
レシチンオルガノゲルは、ゲル化成分とレシチンの組み合わせであり、通常両親媒性である。適切なゲル化成分はまた、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、およびミリスチン酸イソプロピルを含む。一部の実施形態では、本製剤は、本製剤の5(w/w)%未満の量のゲル化剤を含む。また、特定の炭化水素、たとえばシクロペンタン、シクロオクタン、trans-デカリン、trans-ピナン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘキサデカンが使用され得る。よって、重要な浸透剤は、レシチンオルガノゲルであり、ここでレシチンおよび有機溶媒からもたらされる組み合わせは、浸透剤として作用する。一部の実施形態では、浸透剤部分は、レシチンオルガノゲル、アルコール、界面活性剤成分、および極性溶媒を含む。一部の実施形態では、レシチンオルガノゲルは、ダイズレシチンおよびパルミチン酸イソプロピルの組み合わせである。一部の実施形態では、浸透剤部分は、レシチン、およびパルミチン酸イソプロピル、ウンデカン、イソドデカン、ステアリン酸イソプロピル、またはそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、本製剤は、約1~20(w/w)%の量のLipmax(商標)(Lucas Meyer Cosmeticsにより販売)または同等のパルミチン酸イソプロピルおよびレシチンの50/50混合物を含む。レシチンオルガノゲルは、水和したリン脂質および適切な有機液体から構成される、透明であり、熱力学的に安定であり、粘弾性であり、生体適合性のジェリー様の相である。適切なレシチンオルガノゲルの一例は、パルミチン酸イソプロピルをレシチンの溶解のために使用する場合に形成される、パルミチン酸イソプロピルレシチン(lecithin isopropyl palmitate)である。レシチンのパルミチン酸イソプロピルに対する比は、50:50であり得る。パルミチン酸イソプロピルと組み合わせたダイズレシチンを含む製剤が以下の実施例に例示されている;しかしながら、タマゴのレシチンまたは合成レシチンなどの他のレシチンもまた使用され得る。長鎖脂肪酸の様々なエステルもまた包有され得る。このようなレシチンオルガノゲルを作製するための方法は、当該分野でよく知られている。大部分の実施形態では、レシチンオルガノゲルは、約20(w/w)%未満で最終的な製剤に存在する。脂肪沈着物を溶解するため、脂肪の除去からの疼痛を軽減するために使用される組成物、または無水組成物において、レシチンオルガノゲルの濃度は、わずか0.5(w/w)%、1(w/w)%、5(w/w)%、10(w/w)%、または20(w/w)%であり得る。一部の実施形態では、浸透剤部分は、本製剤の2(w/w)%未満、5(w/w)%未満、または10(w/w)%未満の量の、キサンタンガム、レシチン、スクレロチウムガム、プルラン、またはそれらの組み合わせの混合物を含む。一部の実施形態では、本製剤は、約1~5(w/w)%または5~15(w/w)%の量のSiligel(商標)または同等のキサンタンガム、レシチン、スクレロチウムガム、およびプルランの混合物を含む。一部の実施形態では、浸透剤部分は、本製剤の2(w/w)%未満、8(w/w)%未満、または10(w/w)%未満の量のトリカプリルグリセリルおよびトリカプリン酸グリセリルの混合物を含む。一部の実施形態では、本製剤は、約0.5~10(w/w)%の量のMyritol(登録商標)312または同等のトリカプリルグリセリルおよびトリカプリン酸グリセリルの混合物を含む。
【0061】
一部の実施形態では、浸透剤部分は、本製剤の12(w/w)%未満または18(w/w)%未満の量のホスファチジルコリンを含む。一部の実施形態では、浸透剤部分は、本製剤の12(w/w)%未満または18(w/w)%未満の量のリン脂質を含む。一部の実施形態では、浸透剤部分は、本製剤の2(w/w)%未満、5(w/w)%未満、または8(w/w)%未満の量のトリデカンおよびウンデカンの混合物を含む。一部の実施形態では、本製剤は、約2(w/w)%未満、5(w/w)%未満、もしくは10(w/w)%未満の量のCetiol Ultimate(登録商標)、または同等のトリデカンおよびウンデカンの混合物を含む。一部の実施形態では、浸透剤部分は、本製剤の2(w/w)%未満、5(w/w)%未満、または8(w/w)%未満の量のセチルアルコールを含む。一部の実施形態では、浸透剤部分は、約2(w/w)%未満、5(w/w)%未満、または8(w/w)%未満の量のベンジルアルコールを含む。一部の実施形態では、浸透剤部分は、本製剤の2(w/w)%未満、5(w/w)%未満、または8(w/w)%未満の量のステアリン酸を含む。
【0062】
レシチンオルガノゲルは、ベシクル、マイクロエマルジョン、およびミセルの系の形態であり得る。ベシクルまたはミセルなどの自己集合する構造の形態では、これらは、角質層の脂質二重層と融合することにより、カプセルに包まれた薬物の分配および整列した二重層構造の破壊を高めることができる。リン脂質ベースの浸透亢進剤の作用物質の一例は、3次元のネットワーク構造を利用できる空間の中で固定された外部溶媒相を有する半固体のフォーメーションとして定義されるマイクロエマルジョンベースの有機ゲルを含む。この液相におけるマイクロエマルジョンベースの有機ゲルは、1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリンと、ラウリン酸エチル(ethyl laureate)、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル;シクロペンタン、シクロオクタン、trans-デカリン、trans-ピナン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘキサデカン、およびトリプロピルアミンのうちの少なくとも1つである有機溶媒とを特徴とする。
【0063】
レシチンオルガノゲルは、ミセルまたは血管性の構造の形成を支援するためのさらなる成分と共に製剤化される。1つの手法では、オルガノゲルは、水、グリセロール、エチレングリコールまたはホルムアミドなどの極性成分を用いて、特には水を用いて製剤化される。一般的に、水溶液におけるポロクサマーなどの非イオン性界面活性剤が、仕上げ(top off)のために使用される。あるいは、無水組成物は、極性成分の代わりに、胆汁塩などの物質を使用することにより入手され得る。胆汁塩を用いて製剤化される場合、組成物のミセルの性質は、おおよそ球状の小胞状の形態よりはむしろ、ベシクルが虫のようになり、より大きなゲスト分子を提供でき、より有効に表皮に浸透できるように変更される。適切な胆汁塩として、デオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、タウロケノデオキシコール酸、グリコケノデオキシコール酸、コール酸などの塩が挙げられる。Tween(登録商標)80、またはSpan(登録商標)80などの特定の界面活性剤が、代替物として使用され得る。本組成物の無水形態におけるこれら成分のパーセンテージは、1(w/w)%~15(w/w)%の範囲にある。一部の実施形態では、胆汁塩の含有量の範囲は、2~6(w/w)%または1~3.5(w/w)%である。これらの本質的に無水物の形態では、粉末化または微粉化した非イオン性の界面活性剤が、通常20(w/w)%~60(w/w)%の量で仕上げのために使用される。胆汁塩の量を決定するための1つの手法では、%は、レシチンの(w/w)%を10で除算することにより計算される。
【0064】
本開示の製剤のさらなる成分は、アルコールである。ベンジルアルコールおよびエタノールが、実施例に例示されている。特に、ベンゼン環上に置換基、たとえばハロ、アルキルなどを含むベンジルアルコールの誘導体がある。最終的な組成物におけるベンジルアルコールまたは他の関連するアルコールの重量パーセンテージは、0.5~20(w/w)%であり、繰り返しになるが、1(w/w)%、2(w/w)%、5(w/w)%、7(w/w)%、10(w/w)%などの間のパーセンテージ、および他の中間の重量パーセンテージが含まれている。ベンジルアルコールなどの浸透亢進製剤に存在する芳香基のため、この分子は、極性端部(アルコール端部)および非極性端部(ベンゼン端部)を有する。これにより、この作用物質は、幅広い様々な薬物および作用物質を溶解することができる。アルコールの濃度は、本組成物において、レシチンオルガノゲルの濃度よりも実質的に低い。
【0065】
一部の実施形態では、上述のように、本製剤の性質は、非イオン性界面活性剤および極性ゲル化剤を含むか、または胆汁塩および粉末状の界面活性剤成分を含むことによりさらに改善される。本組成物の水性形態および無水形態の両方において、界面活性剤、通常は非イオン性界面活性剤が添加される。一般的に、非イオン性界面活性剤は、少なくとも2(w/w)%~60(w/w)%の量で存在する。通常、製剤が界面活性剤を含む極性または水性の溶液で仕上げされる組成物では、界面活性剤の量は、比較的低く、たとえば2~25(w/w)%、または5~15(w/w)%、または7~12(w/w)%である。しかしながら、本質的に無水物であり、粉末状の界面活性剤により仕上げされる胆汁塩を含む組成物では、通常、比較的高いパーセンテージ、たとえば20~60(w/w)%が、使用される。
【0066】
一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、適切な取り扱い特性を提供することにより、製剤は、室温でゲル様またはクリームである。この効果を発揮するために、界面活性剤、通常ポロクサマーは、極性製剤において、約2~12(w/w)%、好ましくは約5~25(w/w)%の量で存在する。無水形態の組成物では、界面活性剤は、本組成物を100%にするために粉末化または微粉化した形態で添加され、より多くの量が使用される。極性構成成分を含む組成物では、胆汁塩よりはむしろ、非イオン性界面活性剤が、組成物を100%にするための溶液として添加される。残りの成分のより高いレベルのためにより少量の界面活性剤溶液が必要である場合、より濃縮した非イオン性界面活性剤の溶液が使用される。よって、たとえば溶液中の界面活性剤のパーセントは、他の成分のパーセンテージに応じて、10%~40%、または20%、または30%、および中間の値であり得る。
【0067】
適切な非イオン性界面活性剤として、ポロクサマー407(たとえばPluronic(登録商標))などのポロクサマー、ならびに親水性部分および疎水性部分の組み合わせを特徴とする他のいずれかの界面活性剤成分が挙げられる。ポロクサマーは、ポリエチレンオキシドの2つの親水性鎖と隣接した中央にあるポリオキシプロピレンの疎水性鎖のトリブロックコポリマーである。他の非イオン性界面活性剤成分として、長鎖アルコールならびに親水性部分および疎水性部分のブロックが使用される親水性モノマーおよび疎水性モノマーのコポリマーが挙げられる。
【0068】
一部の実施形態では、本製剤はまた、極性溶媒に加え、2~25(w/w)%の界面活性剤成分、通常は非イオン性界面活性剤成分を含み、ここで極性溶媒は、少なくとも非イオン性界面活性剤成分のモル過剰量で存在する。これら実施形態では、通常、本組成物は、それ自体が組成物を100%にするために十分な量の、10~40%の界面活性剤成分、通常は非イオン性界面活性剤成分を含む極性溶液、通常は水溶液またはポリエチレングリコール溶液と炭酸塩に加え、上記で参照される量のレシチンオルガノゲルおよびベンジルアルコールを含む。
【0069】
界面活性剤成分の他の例として、ポリオキシエチル化ヒマシ油誘導体、たとえばHallStar Companyが販売するHCO-60界面活性剤成分;ノノキシノール;オクトキシノール;フェニルスルホネート;ポロクサマー、たとえばPluronic(登録商標)F68、Pluronic(登録商標)Fl27、およびPluronic(登録商標)L62としてBASFが販売するもの;ポリオレエート;Rewopal(登録商標)HVIO、ラウリン酸ナトリウム、硫酸ラウリルナトリウム(硫酸ドデシルナトリウム);オレイン酸ナトリウム;ソルビタンジラウレート;ソルビタンジオレエート;ソルビタンモノラウレート、たとえばSigma-Aldrichが販売するSpan(登録商標)20;ソルビタンモノオレエート;ソルビタントリラウレート;ソルビタントリオレエート;ソルビタンモノパルミタート、たとえばSigma-Aldrichが販売するSpan(登録商標)40;ソルビタンステアラート、たとえばSigma-Aldrichが販売するSpan(登録商標)85;ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、たとえばSigma-Aldrichが販売するSynperonic(登録商標)NP;Sigma-AldrichによりTriton(商標)X-100として販売されるp-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテル;ならびにポリソルベート、たとえばSigma-AldrichによりTween(登録商標)20として販売されるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、Tween(登録商標)40として販売されるポリソルベート40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミタート)、Tween(登録商標)60として販売されるポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート)、Tween(登録商標)80として販売されるポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、およびTween(登録商標)85として販売されるポリオキシエチレンソルビタントリオレエートが挙げられる。非イオン性界面活性剤成分の重量パーセンテージの範囲は、3(w/w)%-15(w/w)%の範囲になり、繰り返しになるが、5(w/w)%、7(w/w)%、10(w/w)%、12(w/w)%などの中間のパーセンテージを含む。一部の実施形態では、界面活性剤部分は、本製剤の約2~25(w/w)%の量の非イオン性界面活性剤成分;および本製剤の5(w/w)%未満の量の極性溶媒を含む。一部の実施形態では、非イオン性界面活性剤成分は、ポロクサマーであり、極性溶媒は、水、アルコール、またはそれらの組み合わせである。一部の実施形態では、界面活性剤部分は、ポロクサマー、プロピレングリコール、グリセリン、エタノール、50(w/v)%の水酸化ナトリウム溶液、またはそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、界面活性剤部分は、本製剤の3(w/w)%未満の量のグリセリンを含む。
【0070】
水、グリセロール、エチレングリコール、またはホルムアミドなどの極性ゲル化剤の存在下では、多くの場合、ミセルの構造も同様に達成される。通常、極性の作用物質は、非イオン性界面活性剤のモル過剰量である。非イオン性界面活性剤/極性ゲル化剤の組み合わせの包有は、皮膚への直接の適用に適した、より粘性でありクリーム様またはゲル様の製剤をもたらす。これは、本組成物の水性形態の典型例である。
【0071】
一部の実施形態では、ゲル化剤、分散剤、および保存剤などの他の添加剤が含まれる。適切なゲル化剤の一例は、ヒドロキシプロピルセルロースであり、一般的に約5cps~約25,000cps、たとえば約1500cpsの粘度でのグレードで入手可能である。全ての粘度の測定は、特段記載のない限り室温でなされると想定されている。ヒドロキシプロピルセルロースの濃度は、本組成物の約1(w/w)%~約2(w/w)%の範囲であり得る。他のゲル化剤が、当該分野で知られており、ヒドロキシプロピルセルロースの代わりまたはこれに加えて使用され得る。適切な分散剤の一例は、グリセリンである。グリセリンは、通常、本組成物の約5(w/w)%~約25(w/w)%の濃度で含まれている。保存剤は、微生物の成長、紫外線および/または酸素により誘導される組成物成分の崩壊などの阻害に有効な濃度で含まれ得る。保存剤が含まれる場合、これは、本組成物の約0.01(w/w)%~約1.5(w/w)%の濃度の範囲であり得る。
【0072】
同様に本製剤に含まれ得る典型的な成分は、脂肪酸、テルペン、脂質、ならびに陽イオン性および陰イオン性の界面活性剤である。一部の実施形態では、本製剤は、本製剤の2(w/w)%未満、5(w/w)%未満、または10(w/w)%未満の量のトラネキサム酸をさらに含む。一部の実施形態では、本製剤は、本製剤の2(w/w)%未満、5(w/w)%未満、10(w/w)%未満、または20(w/w)%未満の量の極性溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、本製剤は、保水剤、乳化剤、皮膚軟化薬、またはそれらの組み合わせをさらに含む。一部の実施形態では、本製剤は、約2(w/w)%未満、5(w/w)%未満、または10(w/w)%未満の量のエチレングリコール四酢酸をさらに含む。一部の実施形態では、本製剤は、約5(w/w)%未満の量のアーモンド油をさらに含む。一部の実施形態では、本製剤は、約5(w/w)%未満の量の熱可塑性ポリウレタンおよびポリカーボネートの混合物をさらに含む。一部の実施形態では、本製剤は、約5(w/w)%未満の量のホスファチジルエタノールアミンをさらに含む。一部の実施形態では、本製剤は、約5(w/w)%未満の量のイノシトールホスファチドをさらに含む。
【0073】
一部の実施形態で使用され得る他の溶媒および関連する化合物として、アセトアミドおよび誘導体、アセトン、n-アルカン(7~16鎖長)、アルカノール、ジオール、短鎖脂肪酸、シクロヘキシル-1,1-ジメチルエタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、エタノール、エタノール/d-リモネンの組み合わせ、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エトキシジグリコール(Gattefosse,Lyon, France)によるTranscutol(登録商標))、グリセロール、グリコール、ラウリルクロリド、リモネン N-メチルホルムアミド、2-フェニルエタノール、3-フェニル-1-プロパノール、3-フェニル-2-プロペン-l-オール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル、ポリプロピレングリコール425、第1級アルコール(トリデカノール)、1,2-プロパンジオール、ブタンジオール、C-Cトリオールまたはそれらの混合物、およびC16またはC18一不飽和アルコール、C16またはC18分岐飽和アルコールおよびそれらの混合物から選択される極性脂質化合物、プロピレングリコール、Sigma-AldrichによりSpan(登録商標)20として販売されるソルビタンモノラウレート、スクアレン、トリアセチン、トリクロロエタノール、トリフルオロエタノール、トリメチレングリコール、およびキシレンが挙げられる。
【0074】
脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪エステルは、一部の実施形態で使用され得る二重層流動化剤である。適切な脂肪アルコールの例として、脂肪族アルコール、デカノール、ラウリルアルコール(ドデカノール)、ウノレニル(unolenyl)アルコール、ネロリドール、1-ノナノール、n-オクタノール、およびオレイルアルコールが挙げられる。適切な脂肪酸エステルの例として、酢酸ブチル、乳酸セチル、デシルN,N-ジメチルアミノアセタート、デシルN,N-ジメチルアミノイソプロピオナート、ジエチレングリコールオレアート、ジエチルセバカート、ジエチルスクシナート,ジイソプロピルセバカート、ドデシルN,N-ジメチル(dimethy)アミノアセタート、ドデシル(N,N-ジメチルアミノ)-ブチラート、ドデシルN,N-ジメチルアミノイソプロピオナート、ドデシル2-(ジメチル(dimethy)アミノ)プロピオナート、E0-5-オレイルエーテル、酢酸エチル、エチルアセトアセテート、エチルプロピオナート、グリセロールモノエーテル、グリセロールモノラウラート、グリセロールモノオレアート、グリセロールモノリノレアート(monolinoleate)、イソプロピルイソステアラート、イソプロピルリノレアート(linoleate)、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル/脂肪酸モノグリセリドの組み合わせ、パルミチン酸イソプロピル、酢酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、メチルプロピオナート、吉草酸メチル、1-モノカプロイル(monocaproyl)グリセロール、モノグリセリド(中鎖長)、ニコチン酸エステル(ベンジル)、酢酸オクチル、オクチルN,N-ジメチルアミノアセタート、オレイン酸オレイル、n-ペンチルN-アセチルプロリナート、プロピレングリコールモノラウラート、ソルビタンジラウラート、ソルビタンジオレアート、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノラウラート、ソルビタントリラウラート、ソルビタントリオレアート、スクロースココナッツ脂肪エステル混合物、スクロースモノラウラート、スクロースモノオレアート、テトラデシルN.N-ジメチルアミノアセタートが挙げられる。適切な脂肪酸の例として、アルカン酸、カプリン酸(caprid acid)、二酸、エチルオクタデカン酸、ヘキサン酸、乳酸、ラウリン酸、リノエライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ペラルゴン酸、プロピオン酸、およびバクセン酸が挙げられる。適切な脂肪アルコールエーテルの例として、a-モノグリセリルエーテル、E0-2-オレイルエーテル、E0-5-オレイルエーテル、E0-10-オレイルエーテル、ポリグリセロール、およびアルコールのエーテル誘導体、ならびに(1-O-ドデシル-3-O-メチル-2-O-(2’,3’-ジヒドロキシプロピルグリセロール)が挙げられる。
【0075】
一部の実施形態で使用され得る仕上げ剤(completing agent)の例として、β-およびγ-シクロデキストリン錯体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(たとえばCarbopol(登録商標)934)、リポソーム、ナフタレンジアミドジイミド、およびナフタレンジエステルジイミドが挙げられる。
【0076】
ビタミンC、ビタミンE、プロアントシアニジン、およびα-リポ酸などの1つ以上の抗酸化剤が、通常、0.1~2.5(w/w)%の濃度で含まれ得る。
【0077】
一部の実施形態では、対象において鉄含有化合物および/または他の標的化合物の浸透を支援するためまたはこの性質を調節するために、本製剤のpHを調節することが望ましい。一部の例では、pHは、pH9~11または10~11のレベルに調節され、これは、適切なバッファーを提供するかまたは単純に塩基でpHを調節することにより行われ得る。他の実施形態では、対象において、鉄の酸化を低減または予防するため、浸透を支援するためまたは鉄含有化合物および/または他の標的化合物の性質を調節するために、本製剤のpHを、pH4~6のレベルに調節することが望ましく、これは、適切なバッファーを提供するかまたは単純に酸でpHを調節することにより行われ得る。
【0078】
一部の適用では、経皮送達用の製剤は、たとえばAveeno(登録商標)を、たとえば約10~95(w/w)%、約20~85(w/w)%、約20~75(w/w)%、約20~50(w/w)%の量で含み得る。
【0079】
一部の特定の適用では、特に鉄含有化合物を別の治療用作用物質と共に投与する場合、麻酔剤をさらに含むことが望ましいとされ得、エピネフリンまたは別の血管収縮剤、たとえばフェニレフリン、または硫酸エピネフリンが、安定化剤が存在する場合に本製剤に含まれ得る。
【0080】
いずれかの麻酔剤組成物において、経皮麻酔剤と並行してエピネフリンを投与することが望ましいとされ得る。あるいは、鉄キレート剤Desferal(登録商標)などのキレート剤を伴うエピネフリンの処置は、経皮製剤にエピネフリンを含めるために十分にエピネフリンを安定化させ得る。
【0081】
別の態様では、特定の実施形態は、徐放薬物送達プラットフォームを対象としており、これは、限定するものではないが、投与後約3日間、投与後約7日間、投与後約10日間、投与後約15日間、投与後約20日間、投与後約25日間、投与後約30日間、投与後約45日間、投与後約60日間、投与後約75日間、または投与後約90日間の期間にわたり、本明細書中開示され本明細書中記載される製剤として作製される治療用化合物を放出する。この実施形態の他の態様では、徐放薬物送達プラットフォームは、限定するものではないが、投与後少なくとも3日間、投与後少なくとも7日間、投与後少なくとも10日間、投与後少なくとも15日間、投与後少なくとも20日間、投与後少なくとも25日間、投与後少なくとも30日間、投与後少なくとも45日間、投与後少なくとも60日間、投与後少なくとも75日間、または投与後少なくとも90日間の期間にわたり、本明細書中開示される治療用化合物を、実質的に一次の放出動態で放出する。
【0082】
投与に関するパッケージングおよび器具は、限定するものではないが、投与される物質の容量、保存条件、熟練した医療従事者が投与するかまたは患者自身の服薬順守によるものかどうか、投与レジメン、地理的な環境(たとえば発展途上国の極端な温度条件への曝露)、および他の実務的な検討事項などの様々な検討事項により決定され得る。
【0083】
特定の実施形態では、キットは、限定するものではないが、本明細書中記載の1つ以上の製剤を含む1つ以上のクリームまたはローションを含み得る。様々な実施形態では、本キットは、エマルジョンでコーティングされたパッチとして投与されるように製剤化される、経皮投与、局所投与、または皮下投与のための製剤成分を含み得る。これら実施形態およびその他の実施形態の全てにおいて、本キットは、上記のいずれかにしたがい、1つ以上のローション、クリーム、パッチなどを含み得、ここで各パッチは、対象への投与用の単一の単位用量を含む。
【0084】
イメージング用の成分が、任意選択で含まれてよく、パッケージングはまた、本製剤を使用するための取り扱い説明書またはウェブアクセス可能な説明書を含み得る。容器は、たとえば、バイアル、ビン、パッチ、シリンジ、予め充填されたシリンジ、チューブ、または複数のディスペンサーパッケージングに関して当該分野でよく知られている様々な形式のいずれかを含み得る。
【0085】
投与(administrationおよびdosing)
本明細書中提供される製剤は、任意の形態で局所的に投与され得る。たとえば、皮膚病態の処置での投与では、十分量の局所組成物を、所望の領域および周辺の皮膚に、たとえば所望の皮膚表面をカバーするために十分な量で、適用され得る。本製剤は、たとえば顔の皮膚、ならびに手、首、胸、および/または頭皮の皮膚を含むいずれかの皮膚表面に適用され得る。
【0086】
本発明の製剤を適用する際に、本製剤自体は、単純に皮膚に載置され、表面に広げられ、および/または浸透を支援するためにマッサージされる。使用される製剤の量は、通常、所望の表面領域をカバーするために十分である。一部の実施形態では、保護カバーが、適用された後に本製剤の上に載置され、適切な量の時間、すなわち5分間、10分間、20分間以上;一部の実施形態では1時間または2時間、そのまま置かれる。保護カバーは、単純に、水分を通さないカバーで提供されている包帯を含む包帯であり得る。これは、皮膚に対する本製剤の接触を本質的に固定し、場合により蒸発による本製剤のゆがみを予防する。本組成物は、ブラシ、シリンジ、ガーゼパッド、スポイト、またはいずれかの簡便なアプリケーターなどの適用にとって標準的な手法を使用して皮膚に適用され得る。送達デバイスの使用を含むより複雑な適用方法もまた使用され得るが、必要ではない。インタクトな皮膚へ局所的に投与する代わりに、皮膚の表面はまた、ばねシステム、レーザー出力システム、ローレンツ力またはガスもしくは超音波を含むショック波により推進されるシステムの使用により機械的に破壊されてもよく、たとえばサンドペーパーもしくはその均等物を使用するか、またはマイクロニードルもしくはエレクトロポレーション装置を使用することにより、マイクロ削皮術を使用し得る。インタクトな皮膚に浸透する作用物質の単純な溶液および上記に列挙した製剤は、マイクロパッチの形態などの閉鎖パッチを使用して適用され得る。長期の投与のための製剤の外部のリザーバーもまた使用され得る。
【0087】
インタクトな皮膚へ局所的に投与する代わりに、皮膚の表面はまた、ばねシステム、レーザー出力システムの使用、イオン泳動の使用、ローレンツ力またはガスもしくは超音波を含むショック波により推進されるシステムにより、機械的に破壊されてもよく、たとえばサンドペーパーもしくはその均等物を使用するか、またはマイクロニードルもしくはエレクトロポレーション装置を使用することにより、マイクロ削皮術を使用し得る。インタクトな皮膚に浸透する作用物質の単純な溶液および上記に列挙した製剤は、マイクロパッチの形態などの閉鎖パッチを使用して適用され得る。長期の投与のための製剤の外部のリザーバーもまた使用され得る。
【0088】
よって、特定の実施形態では、インタクトな皮膚を介して1つ以上の緩衝剤、治療用化合物、作用物質、薬物を投与する代替的な方法が提供される。非限定的な例として、これら代替的な方法は、以下のリストから選択され得る:作用機構に基づき、ばねシステム、レーザー出力、エネルギー推進、ローレンツ力、推進されるガス/空気、ショック波(超音波を含む)、充填の種類に基づき、液体、粉末、噴出、薬物送達機構に基づき、ナノパッチ、サンドペーパー(マイクロ削皮術)、有効なイオン泳動、マイクロニードル、送達部位に基づき、皮内注射、筋肉内注射、および皮下注射。他の適切な送達機構として、限定するものではないが、マイクロニードル薬物送達、たとえば3M Systems、Glide SDI(「firing」薬物とは反対に薬物を押圧する)、MIT低圧注射器、マイクロパッチ(単回使用の粒子挿入装置)、MEMS(微小電気機械システム:microelectro mechanical systems)皮膚用(dermo)エレクトロポレーション装置(DEP)、transderm iontoシステム(DEP)、TTS経皮治療システム、膜調節システム(membrane-moderated systems)(浅い区画に全てがカプセル化された薬物リザーバー)、接着性拡散制御システム(薬物を通さない金属的なプラスチックの裏打ちから作製された区画の薬物リザーバー)、マトリックス分散タイプのシステム(薬を加えたディスクに親水性または親油性ポリマーマトリックス成形機中の薬物の固体を均一に分散させることにより形成される薬物リザーバー)、ならびにマイクロリザーバーシステム(リザーバーおよびマトリックス分散タイプの薬物送達システムの組み合わせ)が挙げられる。
【0089】
全般的に、有効な作用物質としてのバッファーの場合に皮膚の有効な浸透のための必要条件は、がんの転移の予防に有用な別の作用物質に必要とされるものよりも制限が少ないことが見出されている。さらに、メラノーマを含む固形腫瘍、または肝斑もしくは痛風の位置へのこれら効能の送達が望ましいが、局所投与が使用される場合に浸透の有効性を診断するための方法として、有効な全身pHの変更が使用され得る。
【0090】
適用方法は、処置の性質により決定されるが、製剤自体の性質よりは重要ではない場合がある。適用が皮膚領域に対するものである場合、クレンジングまたは剥脱により皮膚を調製することが場合によって有用であり得る。一部の例では、本製剤自体の適用の前に、皮膚領域のpHを調節することが有用である。本製剤の適用は、皮膚上への単純なマッサージを行うことによるものか、またはシリンジもしくはポンプなどの装置の使用によるものであり得る。パッチもまた使用され得る。一部の場合では、本製剤の蒸発または喪失を予防するために、適用領域をカバーすることが有用である。
【0091】
適用領域が本質的に皮膚である場合、皮膚バリアを回復させるために、本製剤を供給し浸透を起こさせた後に、適用領域を密閉することが有用である。これを行うための簡便な方法は、本発明の浸透剤により提供されたエントランス経路を効率的に閉鎖するリノール酸を含む組成物を適用することである。この適用もまた、皮膚領域に直接塗り付けることにより行われるか、または測定した量でより正確に適用され得る。
【0092】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書中提供される鉄含有化合物または製剤と組み合わせて治療用作用物質を投与することを対象とする。麻酔剤、脂肪除去化合物、栄養素、片頭痛の処置のための非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、発毛調節剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、ワクチン成分、組織容量増強化合物、抗セルライト治療薬、創傷治癒化合物、禁煙をもたらすために有用な化合物、コラーゲンの縮小の予防のための作用物質、Botox(登録商標)などのしわ軽減化合物、皮膚美白化合物、皮下出血を軽減するための化合物、てんかんの処置のためのカンナビジオールを含むカンナビノイド、脂肪分解(adipolysis)のための化合物、多汗症の処置のための化合物、ニキビ治療剤、医学的または美容上の刺青のための皮膚着色用の色素、日焼け止め化合物、ホルモン、インスリン、魚の目/たこのリムーバー、疣贅のリムーバー、および一般に経皮送達が望まれるいずれかの治療上または防止的な作用物質を含む、幅広い様々な治療用作用物質が、本製剤または組成物、および他の投与経路のための製剤で使用され得る。上述のように、送達は、爪水虫の処置または発毛の調節などの局在化した皮下位置への皮膚を介した輸送に単純に影響を与えてもよく、またはワクチンが使用される一部の場合で望ましいように、全身送達に影響し得る。
【0093】
本発明の組成物および製剤自体に加えて、本方法は、リノール酸を用いたその後の処置を使用し得る。経皮処置は、全般的に、実際にそれらの目的である皮膚バリアを開口するため、処置が終了した後に適用領域を密閉することが有用である。よって、本製剤での処置を行った後に、適用領域を密閉するためにリノール酸を含む組成物で皮膚領域を処置し得る。リノール酸の適用は、皮膚の特性を損なわせるいずれの経皮手法にも適用可能であり、保護層として作用する。実際に、ほとんどの経皮処置は、これらの機能が、炭酸塩を少なくとも表皮を介して真皮へ通過させること、全身投与が達成される場合は真皮自体を通過させることであるため、この作用を有する。
【0094】
さらなる治療用作用物質が、本組成物に含まれ得る。たとえば、ヒドロコルチゾンまたはヒドロコルチゾン酢酸塩は、0.25(w/w)%~約0.5(w/w)%の範囲の量で含まれ得る。メントール、フェノール、およびテルペノイド、たとえばカンファーが、冷却疼痛の軽減のために組み込まれ得る。たとえばメントールは、約0.1(w/w)%~約1.0(w/w)%の範囲の量で含まれ得る。
【0095】
本製剤は、単一の、1回の適用、1週間に1回、2週間に1回、1カ月に1回、または毎日1~12回、病態、疾患、障害、症状を軽減させるために十分な期間の間、たとえば1週間、1~12週間以上、1~6週間、2~12週間、2~12週間、2~8週間、2~6週間、2~4週間、4~12週間、4~8週間、または4~6週間の間、適用され得る。本組成物は、たとえば、必要に応じて1日1回から1時間ごとまでの頻度で投与され得る。本明細書中記載の製剤は、1~4週間、1~2週間、1週間、2週間、3週間、4週間、または4週間以上、1日1回以上、局所的に投与され得る。また一部の例では、たとえば、発がんを阻害もしくは予防するため、またはがんもしくは別の疾患もしくは障害の改善、寛解の期間の延長、または寛解の維持のために、無期限に処置を続行することが望ましいとされ得る。皮膚のクリーム、ローション、または軟膏を含む製剤の適切な投与は、たとえば、必要に応じて1日に1回、2回、3回、4回、または1時間ごとである。
【0096】
上述のように、適宜、他の治療用作用物質が、上述の組成物で提供されるものと組み合わせて使用され得る。単一剤形を生成するためのキャリア物質と組み合わせられ得る有効成分の量は、処置される宿主、疾患、障害、または病態の性質、および有効成分の性質に応じて変動する。
【0097】
いずれかの特定の患者に特有の投与レベルは、特有の有効成分の活性;患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別、および食事;投与時間;排泄の比率;可能性のある薬物の組み合わせ;処置される特定の病態の重症度;処置される領域および投与形態を含む様々な要因に応じて変動することを理解されたい。当業者は、このような要因の可変性を理解しており、単なる規定の実験を使用して特定の投与レベルを確立できる。
【0098】
バイオアベイラビリティ、吸収比率定数、明確な分布容量、未結合のフラクション、総クリアランス、変化せず排泄されたフラクション、初回通過代謝、排泄比率定数、半減期
および平均滞留時間などの薬物動態学的なパラメータは、当該分野でよく知られている方法により決定され得る。
【0099】
本明細書中記載の主題に係る製剤は、たとえばチューブ、トトル、ポンプ、容器、またはボトル、バイアル、ジャー、パケット、またはブリスターパッケージを含む、たとえば複数回使用または単回使用のパッケージにパッケージングされた局所剤形であり得る。
【0100】
1日1回量の局所製剤を含む単回の投与キットおよびパッケージが調製され得る。局所製剤の単回投与、ユニットドーズ、および1日1回の使い捨ての容器もまた、提供される。
【0101】
本発明の局所製剤は、最大約5年間、約3カ月~約5年間、約3カ月~約4年間、約3カ月~約3年間、あるいは約6カ月~約3年間のいずれかの期間を含む期間の間、保存の際に安定したままである。
【0102】
本明細書中記載の局所製剤は、最大少なくとも3年間、40℃以下の温度で安定したままである。一実施形態では、本明細書中記載の局所製剤は、少なくとも2年間、40℃以下の温度で安定したままである。一実施形態では、本明細書中記載の製剤またはエマルジョンは、少なくとも3年間、40℃以下の温度、および最大75%のRHの湿度でか、少なくとも2年間、40℃以下の温度、および最大75%のRHの湿度でか、または少なくとも3年間、30℃以下の温度、および最大75%のRHの湿度で、安定したままである。さらなる実施形態では、本明細書中記載の主題に係る本明細書中記載の生体適合性組成物は、複数回使用の容器、たとえばボトルディスペンサなどにパッケージングされる場合、長期間安定したままであり、単回使用のパッケージでパッケージングされる場合、同等またはさらにより高い安定性を呈する。
【0103】
対象(たとえばヒト患者)用の製剤として局所的に投与される鉄または鉄含有化合物の適切な用量は、少なくとも約500mg、少なくとも約750mg、少なくとも約1000mg、少なくとも約1.5g、少なくとも約2.0g、少なくとも約2.5g、少なくとも約3.0g、少なくとも約3.5g、少なくとも約4.0g、少なくとも約4.5g、少なくとも約5.0g、少なくとも約6.0g、少なくとも約7.0g、少なくとも約8.0g、少なくとも約9.0g、少なくとも約10.0g、少なくとも約11g、少なくとも約12g、少なくとも約13g、少なくとも約14g、少なくとも約15g、少なくとも約20g、少なくとも約25g、少なくとも約30g、少なくとも約35g、少なくとも約40g、少なくとも約45g、少なくとも約50g、またはそれ以上である。この用量は、通常、毎日、1日2回、または1日3回で投与されるが、同様に、1日に4回、1日に5回、または1日に5回超で投与され得る。
【0104】
あるいは、対象用の製剤として局所的に投与される鉄または鉄含有化合物の適切な1日用量は、少なくとも約10mg/kg、少なくとも約25mg/kg、少なくとも約30mg/kg、少なくとも約35mg/kg、少なくとも約40mg/kg、少なくとも約45mg/kg、少なくとも約50mg/kg、少なくとも約55mg/kg、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約100mg/kg、少なくとも約125mg/kg、少なくとも約150mg/kg、少なくとも約160mg/kg、少なくとも約170mg/kg、少なくとも約175mg/kg、少なくとも約180mg/kg、少なくとも約190mg/kg、少なくとも約200mg/kg、少なくとも約225mg/kg、少なくとも約250mg/kg、少なくとも約275mg/kg、少なくとも約300mg/kg、少なくとも約325mg/kg、少なくとも約350mg/kg、少なくとも約375mg/kg、少なくとも約400mg/kg、少なくとも約425mg/kg、少なくとも約450mg/kg、少なくとも約475mg/kg、最大少なくとも約500mg/kg、またはそれ以上である。
【0105】
別の態様では、対象用の製剤として局所的に投与される鉄または鉄含有化合物の適切な1日用量は、約10mg/kg~約1.0g/kgであり、より典型的には、1日用量は、約10mg/kg~約500mg/kg、約25mg/kg~約500mg/kg、約50mg/kg~約300mg/kg、約75mg/kg~約300mg/kg、約75mg/kg~約250mg/kg、約100mg/kg~約300mg/kg、約75mg/kg~約200mg/kg、約100mg/kg~約200mg/kg、または別の範囲である。
【0106】
本明細書の態様は、本明細書中記載される疾患または障害に関連する症状が、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減し、本明細書中記載される疾患または障害に関連する重症度が、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減することを開示している。本明細書の態様は、疾患または障害に関連する症状が、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減することを開示している。
【0107】
本明細書中記載の製剤は、医薬の製造で使用することができ、従来の手法による投与によりヒトおよび他の動物の処置のために使用することができる。
【0108】
実験的な実施例
本明細書中記載の組成物および方法は、単なる例であると意図されている以下の実施例を参照することにより、さらに理解されるであろう。本明細書中記載の組成物および方法は、単に単一の態様の例示として意図されている例示された実施形態により範囲において限定されない。機能的に均等である全ての方法は、本発明の範囲内にある。本明細書中明記されるものに加え本明細書中記載の組成物および方法の様々な修正は、上記の説明および添付の図面から、当業者に明らかとなるであろう。このような修正は、本発明の範囲内にある。
【0109】
以下の実施例は、本発明を例示するように意図されており、限定するようには意図されていない。
【0110】
実施例1-エリスロポエチンで処置された進行性腎不全を有する患者における局所的に送達される鉄の補給の使用
この実験において、本発明の製剤における鉄(硫酸第1鉄の形態)を、進行性腎不全を有する患者において貧血を処置するその特性について試験し、経口的または静脈内で送達される鉄の補給と比較した。
【0111】
in vivoでの試験を、以下のように行った:進行性腎不全を有する貧血性のヒト患者を、局所的、経口的、または静脈内での鉄の補給のいずれかで処置し、ベースライン、3カ月、および6カ月で評価した。試験設計は、これらの主要評価項目:ヘモグロビン応答、血清中フェリチンレベル、赤血球低色素血の変化、および有害事象の発生頻度を評価するように構築された。処置グループは、以下のように無作為化した:
経口鉄補給グループ(硫酸第1鉄 200mg tds)
静脈内鉄補給グループ(300mgの鉄スクロース 毎月)
局所鉄補給グループ(3.34gの局所製剤を適用した tds)
製剤は、以下の表1に詳述した。
全てのグループにおいて、エリスロポエチン(rHuEpo)の処置を、同時に開始した。
【表1】
【0112】
全ての処置グループは、ヘモグロビン応答または赤血球低色素血の変化において統計的な差異を示さなかった。血清中フェリチンレベルは、経口処置のグループと比較して、局所処置グループおよび静脈内処置グループにおいて統計的に有意に高かったが、互いに統計的に異なるものではなかった。
【0113】
経口グループの患者は、軽度の胃腸管系の症状を報告したが、使用を中止するほどには十分ではなかった。静脈内患者の10%でアレルギー反応が報告されたが、経口患者または経皮患者では報告はなかった。
【0114】
実施例2-慢性腎臓疾患を有する非血液透析依存性患者における鉄欠乏症の処置のための局所的に送達される鉄の補給の使用
この実験において、本発明の製剤における鉄(硫酸第1鉄の形態)を、慢性腎臓疾患を有する非血液透析依存性患者において鉄欠乏症を処置するその特性について試験し、経口的または静脈内により送達された鉄の補給と比較した。
【0115】
in vivoでの試験を、以下のように行った:進行性腎不全を有する貧血性ヒト患者を、局所的、経口的、または静脈内での鉄の補給のいずれかで処置した。試験設計は、これらの主要評価項目:ヘモグロビン応答および有害事象の発生頻度を評価するように構築された。処置グループは、以下のように無作為化した:
a.経口鉄補給グループ(硫酸第1鉄 325mg 1日に3回、合計195mgの元素鉄 毎日)
b.静脈内鉄補給グループ(15分間にわたる静脈内カルボキシマルトース第2鉄 1000mg(2週間間隔で最大2回のさらなる500mgの投与を伴う))
c.局所鉄補給グループ(5.42gの局所製剤を適用した tds)
製剤は、以下の表2に詳述した。
【表2】
【0116】
いずれかの時点で1g/dL以上のヘモグロビンの増加を達成した対象の割合は、静脈内グループでは60.4%、局所グループでは52.1%、経口グループでは34.7%であった。処置に関連する有害事象は、経口鉄を用いる場合よりもカルボキシマルトース第2鉄および局所鉄を用いる場合で有意に少なかった(2.7%および4.3%vs26.2%)。
【0117】
実施例3-妊娠中の貧血の処置における局所的に送達される鉄の補給の使用
この実験において、本発明の製剤における鉄(硫酸第1鉄の形態)を、妊娠中の患者の貧血を処置するためのその特性について試験し、経口的または静脈内で送達される鉄の補給と比較した。
【0118】
in vivoでの試験を、以下のように行った:貧血性の妊娠中のヒト患者を、妊娠14~34週の間に、局所的、経口的、または静脈内での鉄の補給のいずれかで処置した。試験設計は、これらの主要評価項目:ヘモグロビン(haemoglobin)および血清中フェリチンレベルを評価するように構築した。処置グループは、以下のように無作為化した:
a.経口鉄補給グループ(1日あたり200mgのフマル酸第1鉄)
b.静脈内鉄補給グループ(1日あたり100mlの0.9%の塩化ナトリウムにおいて200mgの鉄スクロースを投与した)
c.局所鉄補給グループ(1日あたり3.34gの局所製剤を適用した)
製剤は、以下の表3に詳述した。
【表3】
【0119】
静脈内鉄を投与された妊娠中の女性におけるヘモグロビンの変化は、局所鉄の15±10.5g/Lおよび経口鉄の12±9g/Lと比較して22±11.5g/Lであった。静脈内グループの55%の参加者が、局所グループのわずか16%および経口療法グループの11%と比較して、20g/L超のヘモグロビンの改善が見られた。I.Vグループの患者の48%は、局所グループの35%および経口グループのわずか3.5%と比較して、51~100ng/mlのフェリチンレベルの増加を示した。
【0120】
実施例4-ダルベポエチンアルファを投与された鉄欠乏症を伴わない貧血性がん患者の局所的に送達される鉄の補給の使用
この実験において、本発明の製剤における鉄(硫酸第1鉄の形態)を、赤血球生成促進薬(ESA)と組み合わせる場合に、がん患者における化学療法により誘導される貧血の処置を支援するためのその特性について試験し、経口的または静脈内で送達される鉄の補給と比較した。
【0121】
in vivoでの試験を以下のように行った:化学療法に関連する貧血(Hb>8g/dL<10g/dL)を有し、絶対的または機能的な鉄欠乏症を伴わないヒト患者を、ダルベポエチンアルファ(3週間ごとに1回、500mcg)で処置し、8週間、局所的、経口的、または静脈内での鉄の補給のいずれかで処置した。試験設計は、この主要評価項目:Hbの増加≧ベースラインから2g/dLまたは達成Hb≧12g/dLとして定義されるHb応答を評価するように構築した。処置グループは、以下のように無作為化した。
a.経口鉄補給グループ(sucrosomial iron 毎日30mg)
b.静脈内鉄補給グループ(グルコン酸第2鉄 125mg 毎週)
c.局所鉄補給グループ(0.50gの局所製剤を毎日適用した)
製剤は以下の表4に詳述した。
【表4】
【0122】
3つの処置アーム間でHb応答の比率の差異はなかった。経口鉄で処置した患者の70%および局所鉄で処置した患者の68%と比較して、IV鉄で処置した患者の71パーセントが、赤血球新生応答を達成した。この差異は、統計的に有意なものではなかった。また、赤血球細胞の輸血を必要とする患者の割合およびQoLの変化においても差異はなかった。
【0123】
実施例5-炎症性腸疾患における貧血の処置のための局所的に送達される鉄の補給の使用
この実験において、本発明の製剤における鉄(硫酸第1鉄の形態)を、炎症性腸疾患(IBD)患者において貧血の処置を支援するためのその特性について試験し、経口的または静脈内で送達される鉄の補給と比較した。
【0124】
in vivoでの試験を、以下のように行った:貧血を有するヒトIBD患者を、12週間、局所的、経口的、または静脈内での鉄の補給のいずれかで処置した。試験設計は、この主要評価項目:ベースラインから12週目までのヘモグロビン(Hb)の変化を評価するように構築した。処置グループは、以下のように無作為化した。
a.経口鉄補給グループ(100mgの第1鉄(II)を含むFeSulf。患者は、12週間、1つのカプセルを、1日2回、摂取した)。
b.静脈内鉄補給グループ(Ganzoniの処方により計算された個別の患者の用量を用いて水においてミリリットルあたりカルボキシマルトース第2鉄(FeCarb) 50mgの第2鉄(III))
c.局所鉄補給グループ(1.67gの局所製剤を1日2回適用した)
製剤は、以下の表5に詳述した。
【表5】
【0125】
3つの処置アーム間でHbの変化の比率に統計的有意差はなかった。Hbの中央値は、経口グループにおいて9.1から12.1g/dL、IVグループにおいて8.7から12.3g/dL、局所グループにおいて9.0から12.3g/dLへと改善した。
【0126】
実施例6-鉄を欠乏した非貧血性の女性におけるトレーニング後の耐久性を向上させるための局所的に送達される鉄の補給の使用
この実験において、本発明の製剤における鉄(硫酸第1鉄の形態)を、鉄を欠乏した非貧血性の女性におけるトレーニング後の耐久性の向上を支援するためのその特性について試験し、経口的に送達される鉄の補給と比較した。
【0127】
in vivoの試験を、以下のように行った:ヒトの鉄を欠乏した(血清中フェリチン<16μg/l)、非貧血性(Hb>12g/dl)の女性(18~33歳)を、6週間、局所的または経口的な鉄の補給のいずれかで処置した。対象は、試験の最後の4週の間、30分/日、5日/週間にて、最大心拍数の75~85%でトレーニングを行った。試験設計は、この主要評価項目:ベースラインから12週目までの15kmのタイムの変化を評価するように構築された。処置グループは、以下のように無作為化した。
a.対照グループ:経口プラセボ
b.経口鉄補給グループ(1日あたり100mgの硫酸第1鉄)
c.局所鉄補給グループ(毎日1.67gの局所製剤を適用した)
製剤は、以下の表6に詳述した。
【表6】
【0128】
全てのグループは、試験の過程にわたり15kmのタイムが減少した。15kmのタイムの減少は、プラセボ対照グループと比較して経口および局所的な補給グループにおいて統計的に有意に大きかった。経口と経皮との間に統計的な差は存在しなかった。
【0129】
実施例7-慢性腎臓疾患を有する非血液透析依存性患者の鉄欠乏症の処置のための変動する粒径の局所的な鉄の補給
この実験において、本発明の製剤における様々な粒径の鉄(硫酸第1鉄の形態)を、慢性腎臓疾患を有する非血液透析依存性患者の鉄欠乏症を処置するためのその特性について試験し、経口的に送達される鉄の補給と比較した。
【0130】
in vivoでの試験を、以下のように行った:進行性腎不全を有する貧血性ヒト患者を、局所的または経口的な鉄の補給のいずれかで処置した。試験設計は、これら主要評価項目:ヘモグロビン応答、および有害事象の発生頻度を評価するように構築した。処置グループは、以下のように無作為化した。
d.経口鉄補給グループ(硫酸第1鉄325mg 合計195mgの元素鉄で1日3回、毎日)
e.局所鉄(大きな粒径)補給グループ(5.42gの局所製剤を適用した tds)製剤は以下に詳述した。
f.局所鉄(中程度の粒径)補給グループ(5.42gの局所製剤を適用した tds)製剤は以下に詳述した。
g.局所鉄(小さな粒径)補給グループ(5.42gの局所製剤を適用した tds)製剤は以下に詳述した。
【表7】
【表8】

【表9】
【0131】
いずれかの時点で1g/dL以上のヘモグロビンの増加を達成した対象の比率は、経口グループでは34.7%、局所グループB(大きな粒子)では52.1%、局所グループC(中程度の粒子)では64.7%、局所グループD(小さな粒子)では78.1%であった。処置に関連する有害な事象は、経口鉄よりも局所鉄で有意に少なかった(4.3%、5.0%、および3.8%vs26.2%)。
【0132】
また本明細書の態様は、以下のように記載され得る。
1.対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤であって、
約3.0~約40.0(w/w)%の量の1つ以上の鉄含有化合物と、
0.0~15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;0.0~5.0(w/w)%のセチルアルコール;0.0~5.0(w/w)%のステアリン酸;0.0~40.0(w/w)%の量のトリアセチン;0.0~10.0(w/w)%の量のレシチン;0.0~15.0(w/w)%のアーモンド油;0.0~20.0(w/w)%のCetiol(登録商標)Ultimate;0.0~20.0(w/w)%のポロクサマー407;0.0~10.0(w/w)%の量の氷酢酸;0.0~5.0(w/w)%のプロパン酸;0.0~10.0(w/w)%のシクロヘキサン;0.0~10.0(w/w)%のtego 13-06;0.0~3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;0.0~1.0(w/w)%の量のHP beta CD;0.0~5.0(w/w)%の量のクエン酸;0.0~約5.0(w/w)%の量のビタミンC;0.0~約5.0(w/w)%の量のビタミンE;0.0~約20.0(w/w)%の量の鉄キレート剤(たとえばEDTA);0.0~約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および水と
を含む、製剤。
2.前記鉄または1つ以上の鉄含有化合物が、硫酸第1鉄を含む、請求項1に記載の製剤。
3.対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤であって、
約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄と、
以下のうちの少なくとも1つ:
約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;
約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;
約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;
約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;
約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;
約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;
最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンC;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンE;
最大約20.0(w/w)%の量のEDTA;
最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
完成させるためのH

を含む、製剤。
4.対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤であって、
約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;
約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;
約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;
約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;
約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;
約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;
約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
および任意選択で、
最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;
最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンC;
最大約5.0(w/w)%の量のビタミンE;
最大約20.0(w/w)%の量のEDTA;
最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
完成させるためのH
を含む、製剤。
5.対象の皮膚を介した鉄または1つ以上の鉄含有化合物の経皮送達のための製剤であって、
約3.0~約40.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄;
鉄キレート剤;
抗酸化剤;
および任意選択で、以下のうちの1つ以上:
約5.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90G;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のセチルアルコール;
約0.5(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のステアリン酸;
約5.0(w/w)%~約25.0(w/w)%の量のトリアセチン;
約1.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のレシチン;
約3(w/w)%~約15.0(w/w)%の量のアーモンド油;
約3.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimate;
約2.0(w/w)%~約20.0(w/w)%の量のポロクサマー407;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量の氷酢酸;
約1.0(w/w)%~約5.0(w/w)%の量のプロパン酸;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のシクロヘキサン;
約2.0(w/w)%~約10.0(w/w)%の量のTego 13-06;
約0.5(w/w)%~約3.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SG;
最大約1.0(w/w)%の量のHP beta CD;
最大約5.0(w/w)%の量のクエン酸;
最大約5.0(w/w)%の量の二酸化チタン;および
完成させるためのH
を含む、製剤。
6.約3.0(w/w)%~約15.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の製剤。
7.約6.0(w/w)%の量の硫酸第1鉄を含む、請求項6に記載の製剤。
8.鉄キレート剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の製剤。
9.抗酸化剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の製剤。
10.それを必要とする対象において鉄欠乏症または関連する障害を処置する方法であって、請求項1~7のいずれか1項に記載の製剤の有効量を投与するステップを含み、前記投与が、鉄欠乏症または関連する病態もしくは障害を改善または処置するのに有効である、方法。
11.前記鉄欠乏症または関連する障害が、貧血である、請求項10に記載の方法。
12.前記鉄欠乏症または関連する障害が、老人性貧血または老化に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
13.前記鉄欠乏症または関連する障害が、鎌状赤血球症に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
14.前記鉄欠乏症または関連する障害が、出血障害に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
15.前記鉄欠乏症または関連する障害が、鉄欠乏症に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
16.前記鉄欠乏症または関連する障害が、血液がんに関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
17.前記鉄欠乏症または関連する障害が、血液系疾患または障害に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
18.前記鉄欠乏症または関連する障害が、血液がんに関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
19.前記鉄欠乏症または関連する障害が、がんに関連する貧血性である、請求項10に記載の方法。
20.前記鉄欠乏症または関連する障害が、慢性腎臓疾患を有する非血液透析患者における鉄の補給である、請求項10に記載の方法。
21.前記鉄欠乏症または関連する障害が、進行性腎不全である、請求項10に記載の方法。
22.前記鉄欠乏症または関連する障害が、貧血を有するかまたは貧血になりやすい妊娠中の女性における鉄の補給である、請求項10に記載の方法。
23.前記鉄欠乏症または関連する障害が、炎症性腸疾患に関連する貧血である、請求項10に記載の方法。
24.前記鉄欠乏症または関連する障害が、非貧血性の女性における運動トレーニングに関連する鉄の欠乏における鉄の補給である、請求項10に記載の方法。
25.前記鉄欠乏症または関連する障害が、ダルベポエチンアルファでも処置された貧血性がん患者における鉄の補給である、請求項10に記載の方法。
26.約8.0(w/w)%の量のPhospholipon(登録商標)90Gを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
27.約3.0(w/w)%の量のセチルアルコールを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
28.約2.0(w/w)%の量のステアリン酸を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
29.約15(w/w)%の量のトリアセチンを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
30.約4.0(w/w)%の量のレシチンを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
31.約12(w/w)%の量のアーモンド油を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
32.約10.0(w/w)%の量のCetiol(登録商標)Ultimateを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
33.約5.0(w/w)%の量のポロクサマー407を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
34.約5.0(w/w)%の量の氷酢酸を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
35.約2.0(w/w)%の量のプロパン酸を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
36.約5.0(w/w)%の量のシクロヘキサンを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
37.約4.0(w/w)%の量のTego 13-06を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
38.約1.0(w/w)%の量のDurosoft(登録商標)PK-SGを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
39.約0.1(w/w)%の量のHP beta CDを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
40.約2.0(w/w)%の量のクエン酸を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
41.約2.0(w/w)%の量のビタミンCを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
42.約2.0(w/w)%の量のビタミンEを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
43.約10.0(w/w)%の量のEDTAを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
44.約2.0(w/w)%の量の二酸化チタンを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
【0133】
本発明を行うために本発明者らに知られているベストモードを含む本発明の特定の実施形態が、本明細書に記載されている。当然これらの記載される実施形態のバリエーションは、上記説明を読むことにより当業者に明らかとなるであろう。本発明者は、適宜このようなバリエーションを当業者が使用することを予測しており、本発明者らは、本発明が、本明細書中具体的に記載されるもの以外の他の方法で行われることを意図している。よって、本発明は、適用法により認められる限り、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載の主題の全ての修正および均等物を含む。さらに、その可能性のある全てのバリエーションにおける上述の実施形態の全ての組み合わせは、本明細書中他の意味が記載されないかまたは文脈と明確に矛盾しない限り、本発明により包有される。
【0134】
本発明の別の実施形態、構成要素、またはステップのグループ分けは、限定と解釈すべきではない。各グループのメンバーは、個々に、または本明細書中開示される他のグループのメンバーとのいずれかの組み合わせで、表されてもよく、請求されてもよい。あるグループの1つ以上のメンバーが、簡便性および/または特許性の理由のため、当該グループに包有されてもよく、または当該グループから削除されてもよいことが予想される。このような何らかの包含または削除が起こる場合、本明細書は、修正されたグループを含み、よって、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュグループの記載を満たしているとみなされる。
【0135】
他の意味が記載されない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される特徴、項目、量、パラメータ、性質、用語などを表現する全ての数字は、全ての例において用語「約」により修飾されていると理解すべきである。本明細書中使用される場合、用語「約」は、上記にしたがい定量化された特徴、項目、量、パラメータ、性質、または用語が、記載の特徴、項目、量、パラメータ、性質、または用語の値の±10%超および未満の範囲を包有することを意味する。よって、矛盾する記載がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数学的なパラメータは、変動し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲の均等物の原則の適用を限定する試みとしてではなく、各数字の記載は、少なくとも、報告される有効桁数の観点から、および通常の丸め技術を適用することにより解釈されるべきである。本発明の幅広い範囲を記載している数学的な範囲および値は近似値であるにも関わらず、特定の実施例に記載される数学的な範囲および値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、全ての数学的な範囲または値は、それらの各試験の測定から見出される標準偏差から必然的にもたらされる特定の誤差を本質的に含む。本明細書中の値の数学的な範囲の記載は、単に、その範囲内にある各別々の数値を個別に表す簡便な方法として作用するように意図されている。本明細書中他の意味が記載されない限り、数学的範囲の各個別の値は、本明細書中個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれている。
【0136】
本発明を記載する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)で使用される用語「a」、「an」、「the」、および類似の言及は、他の意味が本明細書中記載されていないかまたは文脈と明確に矛盾していない限り、単数および複数の両方をカバーすると解釈されるべきである。本明細書中記載される全ての方法は、他の意味が本明細書中記載されるかまたは他の意味が文脈と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で行われ得る。本明細書中提供されるあらゆる例または例示的な言語(たとえば~など(such as))の使用は、単に、本発明を良好に例示するように意図されており、他の方法で請求される本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書における言語は、本発明の実務に必須の請求されていないいずれの構成要素をも表すと解釈すべきではない。
【0137】
本明細書中開示される特定の実施形態は、言語からなる(consisting of)または言語から本質的になる(consisting essentially of)を使用して特許請求の範囲でさらに限定され得る。特許請求の範囲で使用される場合、出願されるかまたは補正を通して追加されるかどうかに関わらず、移行句「~からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲で特定されていない全ての構成要素、ステップ、または成分を排除する。移行句「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、特定された物質またはステップおよび基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しないものに、特許請求の範囲を限定する。よって請求される本発明の実施形態は、本明細書中実質的または明確に記載されており、有効化されている。
【0138】
本明細書において参照および同定されている全ての特許、特許公報、および他の刊行物は、たとえば本発明と関連して使用され得る当該刊行物に記載の組成物および方法を記載および開示する目的のためにそれら全体を参照することにより、本明細書において、個別かつ明示的に組み込まれている。これら刊行物は、単に、本出願の出願日より前にそれらを開示するために提供されている。これに関しては、本発明者らは、従来の発明の効力によるかまたは他のいずれかの理由のため、当該開示に先行する権利がないことの承認として解釈すべきではない。これら文書の内容に関する日付または提示に関する全ての陳述は、本出願人らが入手可能な情報に基づくものであり、これら文書の日付または内容の正確性に関する承認として解釈するものではない。
【国際調査報告】