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特表2022-504317極低温条件で生物学的サンプルを保存および同定するための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】極低温条件で生物学的サンプルを保存および同定するための装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
G01N1/04 J
G01N1/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518707
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 US2019054772
(87)【国際公開番号】W WO2020072945
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】62/741,986
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/741,998
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/879,160
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/880,786
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/900,281
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521084389
【氏名又は名称】ティーエムアールダブリュ ライフサイエンシーズ,インコーポレイテツド
【氏名又は名称原語表記】TMRW Life Sciences, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 Hudson Street, Suite 701, New York, NY 10013 US
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ブレイアー,ウィリアム アラン
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,ティモシー アラン
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AD06
2G052AD12
2G052DA12
2G052DA13
2G052DA27
2G052DA33
2G052EB08
2G052HB04
2G052HC22
2G052HC42
(57)【要約】
容器はバイアルと、キャップと、キャップに固定された1つまたは複数の無線トランスポンダとを含み、バイアルまたはジャケットは例えば、極低温保存貯蔵デバイスによって保持された、極低温で生物学的材料のサンプル(例えば、ガラス化された生物学的サンプル)を貯蔵し、識別する。試料ホルダは、キャップから延びることができる。バイアルおよび/またはキャップは、ポートまたはベントを含む。キャリアはボックス、熱シャント、断熱体を含み、極低温で生物学的材料のサンプルを有する低温保存貯蔵デバイスを保持する容器のアレイを貯蔵し、識別する。様々な装置は、距離を向上させ、キャリア内に保持されている間に問い合わせを可能にするように配置され、配向された無線トランスポンダを含む。様々な装置は極低温冷却器から取り出された後、長期間にわたって、生体材料を極低温または極低温付近に維持することができ、生体サンプルを適切な低温に維持しながら、無線在庫管理を可能にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的材料のバイアルを担持し、極低温条件を拡張するためのキャリアであって、
前記キャリアは、
頂部と、底部と、少なくとも1つの側壁とを有する容器であって、前記底部は内向面と外向面を有し、少なくとも1つの前記側壁は内向面と外向面を有し、前記底部の内向面と少なくとも1つの前記側壁の内向面は内部コンパートメントプロファイルを有する内部コンパートメントを規定し、前記容器はその頂部に開口を有する、該容器と、
熱シャントであって、前記熱シャントは金属を含み、第1主面と第2主面とを有し、前記第2主面は基板の厚さを横切って前記第1主面に対向し、前記基板は前記基板の厚さを貫通して延在する複数のスルーホールのアレイを有し、前記基板の前記スルーホールの各々がそれぞれのバイアルの少なくとも一部を受容するように成形されてサイズ決めされ、前記基板が前記容器の前記内部コンパートメント内に密接に受容される、該熱シャントと、
前記容器の前記内部コンパートメント内に密接に受容されることが可能であり、前記熱シャントの前記基板の前記第1主面の上に位置し、前記第2主面の下に位置する少なくとも1つの断熱体であって、前記熱シャントの前記基板の前記第1主面の上に位置し、前記少なくとも1つの断熱体はそれを貫通して延びる複数のスルーホールのアレイを有し、前記少なくとも1つの断熱体の前記スルーホールの各々はそれぞれのバイアルを通してその少なくとも一部を受容するように成形されてサイズ決めされた、該少なくとも1つの断熱体と、
前記容器の前記内部コンパートメント内に密接に受容されることが可能なスペーサであって、前記スペーサはそれを貫通する複数のスルーホールのアレイを有し、前記スペーサの前記スルーホールのそれぞれはそれぞれのバイアルを通してその少なくとも一部を受容するように成形されてサイズ決めされた、該スペーサ
を有し、
前記スペーサ、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体が前記容器の前記内部コンパートメント内で積み重ねられたときに、前記スペーサの前記スルーホールの各々は前記熱シャントのそれぞれの前記スルーホールと軸方向で整列され、前記少なくとも1つの断熱体の前記スルーホールの少なくとも1つのそれぞれと軸方向に整列される、キャリア。
【請求項2】
前記バイアルは各々それぞれの無線トランスポンダを担持し、前記容器の前記底部、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体及び前記スペーサの組み合わせが前記バイアルを長手方向に位置決めして、前記無線トランスポンダを前記熱シャントに対して相対的に所定の距離だけ上方または下方に離間させる、請求項1に記載のキャリア。
【請求項3】
前記バイアルはそれぞれ、前記バイアルの頂部または底部のうちの少なくとも1つの近傍にそれぞれの無線トランスポンダを担持し、前記容器の前記底部、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体、および前記スペーサの任意の組合せが前記バイアルを長手方向に位置決めして、前記無線トランスポンダを前記熱シャントに対して相対的に少なくとも3ミリメートルの距離だけ上方または下方に離間させる、請求項1に記載のキャリア。
【請求項4】
前記容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体、および前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを長手方向に位置決めして、前記バイアルの前記底部を、前記底部の外面から規定された距離だけ離間させる、請求項1~3のいずれかに記載のキャリア。
【請求項5】
前記容器の前記底部の厚さ、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体、および前記スペーサの任意の組み合わせが、前記バイアルを長手方向に位置決めして、前記バイアルの前記底部を、前記底部の外面から20mm未満、より好ましくは15mm未満の距離だけ離間させる、請求項1~3のいずれかに記載のキャリア。
【請求項6】
前記少なくとも1つの断熱体は断熱体トレイと断熱体プレートとを備え、前記熱シャントの前記基板は前記断熱体トレイと前記断熱体プレートとの間に挟まれている、請求項1に記載のキャリア。
【請求項7】
前記少なくとも1つの断熱体は、断熱体トレイと断熱体プレートとを備え、前記トレイは外周と周壁とを有するベースを有し、前記周壁は前記ベースの前記外周から前記ベースの前記外周の周りに延在し、前記ベースは複数のスルーホールのアレイを有し、前記断熱体プレートは複数のスルーホールのアレイを有し、前記断熱体トレイの前記スルーホールは前記断熱体プレートのそれぞれの前記スルーホールと軸方向に整列し、前記熱シャントの前記基板のそれぞれのスルーホールと軸方向に整列している、請求項1に記載のキャリア。
【請求項8】
前記断熱体プレートは前記断熱体トレイの前記周壁によって密接に受容されることが可能であり、前記断熱体トレイと前記断熱体プレートとの組み合わせによって、前記熱シャントの全側部で前記熱シャントを封入する、請求項7に記載のキャリア。
【請求項9】
前記少なくとも1つの断熱体の前記断熱体がエアロゲルである、請求項1~3および6~8のいずれかに記載のキャリア。
【請求項10】
前記熱シャントの前記基板は、非鉄金属のブロックの形態のヒートシンクである、請求項1に記載のキャリア。
【請求項11】
前記熱シャントの前記基板は、アルミニウムのブロックの形態のヒートシンクである、請求項1に記載のキャリア。
【請求項12】
前記熱シャントの前記基板が、非鉄金属含浸ポリマーのブロックの形態のヒートシンクである、請求項1に記載のキャリア。
【請求項13】
前記容器の前記底部は前記内向面から上方に延在する複数のレセプタクルのアレイを含み、前記レセプタクルの各々はそれぞれのバイアルの底部をその中に受容するようにサイズ決めされた寸法を有し、
前記スペーサ、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体が前記容器の前記内部コンパートメント内に積み重ねられたとき、前記スペーサ、前記熱シャント、および前記少なくとも1つの断熱体のそれぞれのスルーホールは、前記レセプタクルのそれぞれ1つと軸方向に整列される、請求項1に記載のキャリア。
【請求項14】
前記スペーサ、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体の前記スルーホールは、2×2のアレイに配置される、請求項13に記載のキャリア。
【請求項15】
前記スペーサ、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体の前記スルーホールは、7×7のアレイに配置される、請求項13に記載のキャリア。
【請求項16】
前記スペーサ、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体の前記スルーホールは、それぞれ円形である、請求項13に記載のキャリア。
【請求項17】
前記スペーサ、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体が前記容器の前記内部コンパートメント内に積み重ねられたとき、前記容器の前記頂部の前記開口を閉鎖するように前記容器に結合可能なカバーをさらに含む、請求項1に記載のキャリア。
【請求項18】
前記容器の前記少なくとも1つの側壁は、断熱側壁であり、
前記容器に連結されたハンドルをさらに有する、請求項1に記載のキャリア。
【請求項19】
前記キャリアの一部に固定された受動温度センサであって、前記温度センサは、前記容器の前記内部コンパートメント内の温度を表す信号を提供するように動作可能である、該受動温度センサと、
前記キャリアの一部に固定された受動無線トランスポンダであって、約-150℃の温度に耐え、その後またはそれと同時に固有の識別子を無線送信するように動作可能な無線トランスポンダと、
前記キャリアの一部に固定された固有の識別子を符号化した機械可読記号と、
の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のキャリア。
【請求項20】
生物学的材料の極低温貯蔵のための容器であって、
第1の端部と、第2の端部と、側壁とを有するバイアルであって、前記第2の端部は前記第1の端部から前記バイアルの長さを横切って対向し、前記側壁は前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、前記バイアルの内部空洞がバイアルの外部から画定され、前記バイアルは前記第1の端部に開口を有する、該バイアルと、
前記バイアルの前記第1の端部の前記開口を取り外し可能に閉鎖するようなサイズおよび形状のキャップと、
第1のアンテナを有する第1の無線トランスポンダであって、前記第1のアンテナは前記第1のアンテナの放射プロットのメインローブと整列したビーム軸を有し、前記第1の無線トランスポンダはその前記ビーム軸が前記バイアルの長さと平行に延びる状態で前記バイアルに固定され、前記第1の無線トランスポンダはほぼ-150℃の温度に耐え、かつ固有の識別子を無線送信するように動作可能である、該第1の無線トランスポンダと、
第2のアンテナを有する第2の無線トランスポンダであって、前記第2のアンテナは前記第2のアンテナの放射プロットのメインローブと整列したビーム軸を有し、前記第2の無線トランスポンダはその前記ビーム軸が前記第1のアンテナの前記ビーム軸に対して垂直に延びる状態で前記バイアルに固定され、前記第2の無線トランスポンダはおよそ-150℃の温度に耐え、かつ固有の識別子を無線送信するように動作可能である、該第2の無線トランスポンダと、
を含む容器。
【請求項21】
前記第1のアンテナは、前記バイアルの前記第2の端部に少なくとも近接して固定される、請求項20に記載の容器。
【請求項22】
前記バイアルが管状である、請求項20に記載の容器。
【請求項23】
前記バイアルの前記開口が円形である、請求項22に記載の容器。
【請求項24】
前記バイアルの前記第2の端部は平坦な表面であり、前記平坦な表面は前記バイアルの長さに垂直であり、前記第1の無線トランスポンダの前記第1のアンテナは、前記バイアルの前記底部の前記平坦な表面と平行に延在する、請求項20に記載の容器。
【請求項25】
前記バイアルの前記第2の端部は平坦な表面であり、前記平坦な表面は前記バイアルの長さに垂直なであり、前記第1の無線トランスポンダは無線周波数識別ボタンセルであり、前記無線周波数識別ボタンセルは互いに前記無線周波数識別ボタンセルの厚さに渡って対向し、かつ前記バイアルの前記底部の前記平坦な表面と平行に延びる一対の主要面を有する、請求項20に記載の容器。
【請求項26】
前記第2の無線トランスポンダは無線周波数識別タグであり、前記無線周波数識別タグは前記バイアルの前記側壁の外周の少なくとも一部を包み込む、請求項20~25のいずれかに記載の容器。
【請求項27】
前記容器が試料極低温保存装置によって保持された前記生物学的材料を有する前記試料極低温保存装置を収容するサイズであり、
前記バイアルの前記内部空洞内に位置する固定されたサーマルマスをさらに有し、
前記固定されたサーマルマスは、前記試料極低温保存装置および前記生物学的材料に関連する熱容量よりも大きい熱容量を有する、請求項20~25のいずれかに記載の容器
【請求項28】
前記固定されたサーマルマスは、非鉄金属または金属含浸ポリマー片である、請求項27に記載の容器。
【請求項29】
前記固定されたサーマルマスは、前記バイアルの長さに沿って少なくとも規定された最小距離だけ前記第1の無線トランスポンダ及び前記第2の無線トランスポンダの両方から離間されて配置されている、請求項27に記載の容器。
【請求項30】
前記固定されたサーマルマスは、前記バイアルの長さに沿って少なくとも規定された最小距離である0.3mmだけ前記第1の無線トランスポンダ及び前記第2の無線トランスポンダの両方から離間されて配置されている、請求項27に記載の容器。
【請求項31】
前記バイアルによって保持される少なくとも1つの受動温度センサをさらに含み、
前記受動温度センサは約-150℃の温度に耐え、その後またはそれと同時に、前記容器の前記内部コンパートメント内の温度を表す信号を提供するように動作可能である、請求項20~25のいずれかに記載の容器。
【請求項32】
前記少なくとも1つの受動温度センサは前記第1または第2の無線トランスポンダのうちの少なくとも1つに一体化され、前記第1および第2の無線トランスポンダはそれぞれ少なくとも1つの固有の識別子を符号化する受動無線周波数識別トランスポンダである、請求項31に記載の容器。
【請求項33】
前記バイアルによって担持される少なくとも1つの機械可読記号をさらに含み、
前記機械可読記号は固有の識別子を符号化する、請求項20~25のいずれかに記載の容器。
【請求項34】
前記少なくとも1つの機械可読記号は、前記第2の無線トランスポンダによって担持される第1の機械可読記号を含む、請求項33に記載の容器。
【請求項35】
前記第1の無線トランスポンダは、エポキシによって前記バイアルの一部に固定される、請求項20~25のいずれかに記載の容器。
【請求項36】
前記第1の無線トランスポンダは、前記バイアルの一部に封入されている、請求項20~25のいずれかに記載の容器。
【請求項37】
前記第2の無線トランスポンダは、エポキシを介して前記バイアルの一部に固定される、請求項20~25のいずれかに記載の容器。
【請求項38】
前記第2の無線トランスポンダは、前記バイアルの一部に封入されている、請求項20~25のいずれかに記載の容器。
【請求項39】
前記第1の無線トランスポンダおよび前記第2の無線トランスポンダは、それぞれ、前記容器を一意に識別する、互いに同じ固有の識別子を符号化する、請求項20~25のいずれかに記載の容器。
【請求項40】
前記第1または第2の無線トランスポンダのうちの少なくとも1つは集積回路のメモリに少なくとも1つの固有の識別子を記憶する集積回路受動無線周波数識別トランスポンダである、請求項31に記載の容器。
【請求項41】
前記第1または第2の無線トランスポンダのうちの少なくとも1つは応答信号の少なくとも1つの固有の識別子を符号化するために機械的振動を使用する機械的トランスポンダである、請求項31に記載の容器。
【請求項42】
生物学的材料の極低温貯蔵のための容器であって、
第1の端部と、第2の端部と、側壁とを有するバイアルであって、前記第2の端部が前記第1の端部から前記バイアルの長さを横切って対向し、前記側壁は前記バイアルの内部空洞を前記バイアルの外部から画定するように前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、前記バイアルは前記第1の端部に開口を有する、該バイアルと、
前記バイアルの前記第1の端部の前記開口を取り外し可能に閉鎖するようなサイズおよび形状のキャップと、
第1のアンテナを有する第1の無線トランスポンダであって、前記第1のアンテナは前記第1のアンテナの放射プロットのメインローブと整列されたビーム軸を有し、前記第1の無線トランスポンダはその前記ビーム軸が前記バイアルの長さと平行に延在するように配置され、前記第1の無線トランスポンダは、ほぼ-150℃の温度に耐え、かつ固有の識別子を無線送信するように動作可能である、該第1の無線トランスポンダ
を含み、
前記バイアルまたは前記キャップのうちの少なくとも1つは、前記キャップが前記バイアルに固定されている状態で前記バイアルの前記内部空洞と前記外部との間の出入りを提供するための1つ以上のスルーホールを含む、容器。
【請求項43】
近位端と標本を担持するための遠位端を有する細長い標本ホルダをさらに有し、
前記細長い標本ホルダは、前記細長い標本ホルダの前記近位端でキャップに取り付けられている、請求項42に記載の容器。
【請求項44】
前記細長い試料ホルダは前記キャップに恒久的に固定される、請求項43に記載の容器。
【請求項45】
前記細長い標本ホルダおよび前記キャップは単一の一体部品構造であり、前記細長い標本ホルダはスパチュラを含み、前記スパチュラの遠位端は平坦な表面を有する、請求項43に記載の容器。
【請求項46】
前記第1の無線トランスポンダは、前記キャップに固定されている、請求項42~45のいずれかに記載の容器。
【請求項47】
前記バイアルの外部に固定されたジャケットをさらに有し、前記第1の無線トランスポンダは前記ジャケットに固定され、前記ジャケットが前記第1の無線トランスポンダを前記バイアルに固定する、請求項42~45のいずれかに記載の容器。
【請求項48】
前記ジャケットは、前記ジャケットが前記バイアルの外部に固定されたときに前記バイアルの前記第2の端部に少なくとも近接する終端部を含み、前記第1の無線トランスポンダが前記ジャケットの前記終端部に配置される、請求項47に記載の容器。
【請求項49】
前記スルーホールの少なくとも1つが、前記バイアルの前記第2の端部に少なくとも近接した前記バイアルの前記側壁を通って延在する、請求項42~45のいずれかに記載の容器。
【請求項50】
前記スルーホールの少なくとも1つが前記キャップを通って延在する、請求項42または49に記載の容器。
【請求項51】
前記第1のアンテナは、前記バイアルの前記第2の端部に少なくとも近接して固定される、請求項42に記載の容器。
【請求項52】
前記バイアルが管状である、請求項42に記載の容器。
【請求項53】
前記バイアルの前記開口が円形である、請求項52に記載の容器。
【請求項54】
前記バイアルの前記第2の端部は平坦な表面であり、前記平坦な表面は前記バイアルの長さに垂直であり、前記第1の無線トランスポンダの前記第1のアンテナは前記バイアルの前記底部の前記平坦な表面と平行に延在する、請求項42に記載の容器。
【請求項55】
前記バイアルの前記第2の端部は平坦な表面であり、前記平坦な表面は前記バイアルの長さに垂直であり、前記第1の無線トランスポンダは無線周波数識別ボタンセルであり、前記無線周波数識別ボタンセルは互いに前記無線周波数識別ボタンセルの厚さに渡って対向し、かつ前記バイアルの前記底部の前記平坦な表面と平行に延びる一対の主要面を有する、請求項42に記載の容器。
【請求項56】
前記容器が試料極低温保存装置によって保持された前記生物学的材料を有する前記試料極低温保存装置を収容するサイズであり、
前記バイアルの前記内部空洞内に位置する固定されたサーマルマスであって、前記固定されたサーマルマスは、前記試料極低温保存装置および前記生物学的材料に関連する熱容量よりも大きい熱容量を有する、請求項42~45または51~55のいずれかに記載の容器
【請求項57】
前記固定されたサーマルマスは、非鉄金属または金属含浸ポリマー片である、請求項56に記載の容器。
【請求項58】
前記固定されたサーマルマスは、前記バイアルの長さに沿って少なくとも規定された最小距離だけ前記第1の無線トランスポンダから離間されて配置されている、請求項56に記載の容器。
【請求項59】
前記固定されたサーマルマスは、前記バイアルの長さに沿って少なくとも規定された最小距離である0.3mmだけ前記第1の無線トランスポンダから離間されて配置されている、請求項56に記載の容器。
【請求項60】
前記バイアルによって保持される少なくとも1つの受動温度センサであって、約-150℃の温度に耐え、その後またはそれと同時に、前記容器の前記内部コンパートメント内の温度を表す信号を提供するように動作可能な受動温度センサをさらに含む、請求項42~45または51~55のいずれかに記載の容器。
【請求項61】
前記少なくとも1つの受動温度センサは前記第1の無線トランスポンダと一体化されており、前記第1の無線トランスポンダは、少なくとも1つの固有の識別子を符号化する受動無線周波数識別トランスポンダである、請求項60に記載の容器。
【請求項62】
前記バイアルによって担持される少なくとも1つの機械可読記号をさらに含み、前記少なくとも1つの機械可読記号は固有の識別子を符号化する、請求項42~45または51~55のいずれかに記載の容器。
【請求項63】
前記第1の無線トランスポンダは、エポキシを介して前記バイアルの一部に固定される、請求項42~45または51~55のいずれかに記載の容器。
【請求項64】
前記第1の無線トランスポンダが、前記バイアルの一部に封入されている、請求項42~45または51~55のいずれかに記載の容器。
【請求項65】
前記第1の無線トランスポンダは、集積回路のメモリに少なくとも1つの固有の識別子を記憶する集積回路受動無線周波数識別トランスポンダである、請求項42~45または51~55に記載の容器。
【請求項66】
前記第1の無線トランスポンダは、応答信号の少なくとも1つの固有の識別子を符号化するために機械的振動を使用する機械的トランスポンダである、請求項42~45または51~55に記載の容器。
【請求項67】
生物学的材料の極低温貯蔵のための容器であって、
第1の端部と、第2の端部と、側壁とを有するバイアルであって、前記第2の端部は前記第1の端部から前記バイアルの長さを横切って対向し、前記バイアルの内部空洞がバイアルの外部から画定されるように前記側壁は前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、前記バイアルは前記第1の端部に開口を有する、該バイアルと、
前記バイアルの前記第1の端部の前記開口を取り外し可能に閉鎖するように前記バイアルの前記側壁に係合するサイズおよび形状のキャップと、
近位端と標本を担持するための遠位端を有する細長い標本ホルダであって、前記細長い標本ホルダは前記キャップから延びている、該細長い標本ホルダと、
第1のアンテナを有する第1の無線トランスポンダであって、前記第1のアンテナは前記第1のアンテナの放射プロットのメインローブと整列したビーム軸を有し、前記第1の無線トランスポンダはそのビーム軸が前記バイアルの長さと平行に延在するように配置され、前記第1の無線トランスポンダは、ほぼ-150℃の温度に耐え、かつ固有の識別子を無線送信するように動作可能である、該第1の無線トランスポンダ、
を含む容器。
【請求項68】
前記細長い標本ホルダは、前記キャップに恒久的に固定される、請求項67に記載の容器。
【請求項69】
前記細長い標本ホルダおよび前記キャップは、単一の一体部品構造である、請求項67に記載の容器。
【請求項70】
前記第1の無線トランスポンダは、前記キャップに固定されている、請求項67~69のいずれかに記載の容器。
【請求項71】
前記バイアルまたは前記キャップの少なくとも1つが、外部から前記バイアルの前記内部空洞への流体の進入を提供するための1つ以上のポートと、前記内部空洞から外部へのガスの流出を提供するための1つ以上のベントとを含む、請求項70に記載の容器。
【請求項72】
前記バイアルまたは前記キャップの少なくとも1つが、外部から前記バイアルの前記内部空洞内への流体の進入を提供するための1つ以上のポートと、前記内部空洞から外部へのガスの流出を提供するための1つ以上のベントとを含む、請求項67~69までの容器。
【請求項73】
前記バイアルが、外部から前記バイアルの前記内部空洞への流体の進入を提供するために、前記バイアルの第2の端部に少なくとも近接する1つ以上のポートを含む、請求項67~69までの容器。
【請求項74】
前記バイアルが、前記内部空洞から外部へのガスの流出を提供するために、前記バイアルの前記第1の端部に少なくとも近接する1つ以上のベントを含む、請求項73に記載の容器。
【請求項75】
前記キャップは、前記内部空洞から外部へのガスの流出を提供するための1つ以上のベントを含む、請求項73に記載の容器。
【請求項76】
前記細長い標本ホルダがスパチュラを含み、その遠位端が、凍結された生物学的組織標本を担持するための平坦な表面を有する、請求項67~69に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、生物学的サンプル(例えば、卵、精子、胚)を極低温で少なくとも一時的に維持し、保存された生物学的サンプルの同定を容易にするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
極低温(又は、低温/凍結)保存による細胞・組織の長期保存は、組織工学、不妊・生殖医療、再生医療、幹細胞、血液バンキング、動物株保存、臨床検体保存、移植医療、in vitro薬物検査など多分野で幅広い影響を与えている。これは、貯蔵デバイス(例えば、極低温保存ストロー、極低温保存チューブ、スティックまたはスパチュラ)中またはその上に含まれる生物学的サンプル(例えば、卵母細胞、胚、生検)が生物学的サンプルおよび貯蔵デバイスを液体窒素などの物質中に置くことによって急速に冷却される、ガラス化(又は、溶固/vitrification)のプロセスを含み得る。これは生物学的サンプル(例えば、分子レベルでのガラス構造)のガラス様の固化またはガラス状態をもたらし、これは細胞内および細胞外の氷の不在を維持し(例えば、細胞損傷および/または死を減少させる)、そして解凍の際に、解凍後の細胞生存率を改善する。生存性を確保するために、ガラス化された生物学的サンプルは次いで、液体窒素デュワーまたは液体窒素を含む他の容器(これは摂氏マイナス196度の温度である)中に連続的に保存されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの生物学的サンプルがどのように保存され、同定され、管理され、インベントリされ、回収されているか等には、多くの懸念がある。
【0004】
例えば、各採取された胚は、硬い胚ストロー、スティックまたはスパチュラ上にロードされる。管の場合、管は一端で閉鎖(例えば、閉塞)され、他端で開放されてもよい。胚を含むかまたは保持する極低温保存装置は例えばガラス化を達成するために、約-196℃の温度で液体窒素中に生物学的材料を含む極低温保存装置を浸漬することによって、可能な限り迅速に冷却される。より詳細には、液体窒素貯蔵タンク内に配置するために、複数の極低温保存装置がゴブレット内に配置される。ゴブレットは複数の極低温保存装置が液体窒素中に懸架される(又は、吊り下げられる)ように、液体窒素貯蔵タンクに取り付けられる。適切なマーカーペンを使用して手動で書き込まれるか、またはカスタムプリンタを使用して印刷されるラベルが、ストローおよび/またはゴブレットに取り付けられる。このようなラベルは胚が採取された個体に対応する識別情報、および他の適切な情報(例えば、極低温保存貯蔵デバイス番号、実験者番号など)を含み得る。
【0005】
極低温保存貯蔵装置のサイズおよび液体窒素中の貯蔵条件は一般に、特別なラベルを必要とし、その場合でさえ、それぞれの極低温保存貯蔵装置上のマーキングの持続性に悪影響を及ぼし得る。例えば、胚が採取された個体に対応する識別情報を有するラベルが、対応する極低温保存貯蔵装置から分離することは珍しいことではない。たとえゴブレットが識別情報を含んでいても、極低温保存装置は、対応するゴブレットから分離されることが多く、その結果、1つ以上の極低温保存装置が液体窒素貯蔵タンク内で浮遊することにも留意されたい。
【0006】
これらの生物学的サンプルの貯蔵および管理に関して、施設は液体窒素貯蔵タンクを維持し(例えば、必要に応じて液体窒素を補充することによって)、貯蔵された生物学的サンプルの在庫を管理する(例えば、定期的な計数を実施することによって)ことが必要とされる職員を採用する。しかしながら、これらの生物学的サンプルの適切な保存に関する記録はほとんどない(又は、記録が適切に行われることはほとんどない)。例えば、ガラス化された生物学的サンプルのその後の同定または他の取り扱いは、温度制御された貯蔵からのサンプルの取り出しおよびサンプルの周囲温度への曝露を含み得、したがって、サンプルの生存能力(又は、生存可能性/viability)を潜在的に危険にさらす。
【0007】
従って、適切な低温で生物学的サンプル(例えば、ガラス化された生物学的サンプル)を保存し識別するための新規な装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
容器(又は、コンテナ/container)は例えば極低温保存貯蔵装置(例えば、ストロー、チューブ、スティック、スパチュラ)によって保持された、極低温で生物学的材料のサンプル(例えば、ガラス化された生物学的サンプル)を保存し、識別するためのバイアル(小瓶/vial)、キャップ、および無線トランスポンダを含む。キャリアはボックス、熱シャント、断熱体を含み、極低温で生物学的材料のサンプルを有する極低温保存装置を保持する容器のアレイを保存し、識別する。様々な装置は、レンジ(又は、範囲/range)を向上させ、キャリア内に保持されている間に問い合わせを可能にするように配置され、配向された無線トランスポンダを含む。様々な装置は極低温冷却器から取り出された後、長期間にわたって、生体材料を極低温または極低温付近に維持することができ、生体サンプルを適切な低温に維持しながら、無線在庫管理を可能にすることができる。
【0009】
生物学的材料のバイアルを担持し、極低温条件を拡張するためのキャリアは、
頂部と、底部と、少なくとも1つの側壁とを有する容器であって、前記底部は内向面と外向面を有し、前記底部は内向面と外向面を有し、少なくとも1つの前記側壁は内向面と外向面を有し、前記底部の内向面と少なくとも1つの前記側壁の内向面は内部コンパートメントプロファイルを有する内部コンパートメントを規定し、前記容器はその頂部に開口を有する、該容器と、
熱シャントであって、前記熱シャントは金属を含み、第1主面と第2主面とを有し、前記第2主面は基板の厚さを横切って前記第1主面に対向し、前記基板は前記基板の厚さを貫通して延在する複数のスルーホールのアレイを有し、前記基板の前記スルーホールの各々がそれぞれのバイアルの少なくとも一部を受容するように成形されてサイズ決めされ、前記基板が前記容器の前記内部コンパートメント内に密接に受容される、該熱シャントと、
前記容器の前記内部コンパートメント内に密接に受容されることが可能であり、前記熱シャントの前記基板の前記第1主面の上に位置し、前記第2主面の下に位置する少なくとも1つの断熱体であって、前記熱シャントの前記基板の前記第1主面の上に位置し、前記少なくとも1つの断熱体はそれを貫通して延びる複数のスルーホールのアレイを有し、前記少なくとも1つの断熱体の前記スルーホールの各々はそれぞれのバイアルを通してその少なくとも一部を受容するように成形されてサイズ決めされ、
前記容器の前記内部コンパートメント内に密接に受容されることが可能なスペーサであって、前記スペーサはそれを貫通する複数のスルーホールのアレイを有し、前記スペーサの前記スルーホールのそれぞれはそれぞれのバイアルを通してその少なくとも一部を受容するように成形されてサイズ決めされた、該スペーサ
を有し、
前記スペーサ、前記熱シャント、前記少なくとも1つの断熱体は前記容器の前記内部コンパートメント内で積み重ねられたときに、前記スペーサの前記スルーホールの各々は前記熱シャントのそれぞれの前記スルーホールと軸方向で整列され、前記少なくとも1つの断熱体の前記スルーホールの少なくとも1つのそれぞれと軸方向に整列される、キャリアと要約され得る。
【0010】
バイアルはそれぞれの無線トランスポンダと、容器の底部と、熱シャントと、少なくとも1つの断熱体と、スペーサとの組み合わせとをそれぞれ担持することができ、バイアルを長手方向に位置決めして、無線トランスポンダを熱シャントの比較的上方または比較的下方に所定の距離だけ離間させ、例えば、バイアルを長手方向に位置決めして、無線トランスポンダを熱シャントの比較的上方または比較的下方に少なくとも3ミリメートルの距離だけ離間させ得る。容器の底部の厚さ、熱シャント、少なくとも1つの断熱体、およびスペーサの任意の組み合わせは、バイアルを長手方向に位置決めして、底部の外面の規定された距離内、例えば、底部の外面の20mm未満、またはより好ましくは15mm未満の距離内にバイアルの底部を離間させてもよい。
【0011】
少なくとも1つの断熱体は断熱体トレイと断熱体プレートとを備え、この断熱体トレイの基板は、断熱体トレイと断熱体プレートとの間に挟まれ得る。前記トレイは外周と、前記ベースの外周から延びる周壁とを有するベースを有し、前記ベースは複数のスルーホールのアレイを有し、前記断熱体プレートは複数のスルーホールのアレイを有し、前記断熱体トレイのスルーホールは、前記断熱体プレートのそれぞれのスルーホールと軸方向に整列され、前記熱シャントの前記基板のそれぞれのスルーホールと軸方向に整列されている。断熱プレートは断熱トレイと断熱プレートとの組み合わせによって、熱シャントをその全側面に封入し、それを通る熱対流を防止するために、断熱トレイの周壁によって密接に受け入れることができる。断熱体は、エアロゲルを含んでもよく、またはエアロゲルからなってもよい。
【0012】
熱シャントは、非鉄金属のブロックの形態のヒートシンクであってもよい。熱シャントの基板は例えば、アルミニウム又は他の非鉄金属のブロックの形態のヒートシンクであってもよい。熱シャントの基板は、非鉄金属含浸ポリマーのブロックの形態のヒートシンクであってもよい。
【0013】
容器の底部は内向面から上方に延在する複数のレセプタクルのアレイを含んでもよく、レセプタクルの各々はその中にそれぞれのバイアルの底部を受け入れるような寸法を有し、スペーサ、熱シャント、少なくとも1つの断熱体は容器の内部コンパートメント内に積み重ねられ、スペーサ、熱シャント、および少なくとも1つの断熱体のそれぞれのスルーホールはレセプタクルのそれぞれの1つと軸方向に整列される。スペーサ、熱シャント、及び少なくとも1つの断熱体のスルーホールは、2×2のアレイに配置することができる。スペーサ、熱シャント、及び少なくとも1つの断熱体のスルーホールは、7×7のアレイに配置することができる。
【0014】
キャリアは、スペーサ、熱シャント、少なくとも1つの断熱体が容器の内部コンパートメント内に積み重ねられている際に容器の上部の開口を密閉するために容器に結合可能なカバーを含んでもよい。容器の少なくとも1つの側壁は、断熱された側壁である。キャリアは、ハンドルをさらに含んでもよい。
【0015】
キャリアは、キャリアの一部分に固定された受動温度センサであって、容器の内部コンパートメント内の温度を表す信号を提供するように動作可能な温度センサと、キャリアの一部分に固定された受動無線トランスポンダであって、約-150℃の温度に耐え、その後または同時に固有の識別子を無線送信するように動作可能な受動無線トランスポンダと、キャリアの一部分に固定され、固有の識別子を符号化する機械可読記号と、キャリアの一部分に固定され、情報を符号化する人間可読記号とのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0016】
生物学的材料を極低温貯蔵するための容器は、
第1の端部と、第2の端部と、側壁とを有するバイアルであって、前記第2の端部は前記第1の端部から前記バイアルの長さを横切って対向し、前記側壁は前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、前記バイアルの内部空洞がバイアルの外部から画定され、前記バイアルは前記第1の端部に開口を有する、該バイアルと、
前記バイアルの前記第1の端部の前記開口を取り外し可能に閉鎖するようなサイズおよび形状のキャップと、
第1のアンテナを有する第1の無線トランスポンダであって、前記第1のアンテナは前記第1のアンテナの放射プロットのメインローブと整列したビーム軸を有し、前記第1の無線トランスポンダはその前記ビーム軸が前記バイアルの長さと平行に延びる状態で前記バイアルに固定され、前記第1の無線トランスポンダはほぼ-150℃の温度に耐え、かつ固有の識別子を無線送信するように動作可能である、該第1の無線トランスポンダと、
第2のアンテナを有する第2の無線トランスポンダであって、前記第2のアンテナは前記第2のアンテナの放射プロットのメインローブと整列したビーム軸を有し、前記第2の無線トランスポンダはその前記ビーム軸が前記第1のアンテナのビーム軸に対して垂直に延びる状態で前記バイアルに固定され、前記第2の無線トランスポンダはおよそ-150℃の温度に耐え、かつ固有の識別子を無線送信するように動作可能である、該第2の無線トランスポンダと、
を含む容器と要約し得る。
【0017】
第1のアンテナは、バイアルの第2の端部に少なくとも近接して固定され、エポキシまたは封止材を介してバイアルに固定されるか、またはバイアル内にモデル化(又は、モールド)されてもよい。
【0018】
バイアルの第2の端部は平坦な表面であってもよく、平坦な表面はバイアルの長さに垂直であり、第1の無線トランスポンダの第1のアンテナはバイアルの底部の平坦な表面と平行に延在してもよい。第1の無線トランスポンダは無線周波数識別ボタンセルの厚さを横切って互いに対向し、バイアルの底部の平坦な表面と平行に延在する一対の主要表面を有する無線周波数識別ボタンセルであってもよい。第2の無線トランスポンダは無線周波数識別タグであってもよく、無線周波数識別タグはバイアルの側壁の外周に少なくとも部分的に巻き付けられてもよい。
【0019】
容器は、試料極低温保存装置によって保持された生物学的材料を有する試料極低温保存装置を保存するような大きさにすることができる。容器はバイアルの内部キャビティ内に配置された固定サーマルマスをさらに含んでもよく、固定サーマルマスはサンプル極低温保存装置および生物学的材料に関連するサーマルマス(又は、熱容量)よりも大きなサーマルマスを有する。固定されたサーマルマスは、非鉄金属片または金属含浸ポリマーの形態をとることができる。固定されたサーマルマスは、少なくとも規定された最小距離だけ、バイアルの長さに沿って第1の無線トランスポンダと第2の無線トランスポンダの両方から離間して配置されてもよい。例えば、固定されたサーマルマスは、バイアルの長さに沿って少なくとも定義された最小距離0.3mmだけ、第1の無線トランスポンダと第2の無線トランスポンダの両方から離間して配置されてもよい。
【0020】
容器はバイアルによって担持された少なくとも1つの受動温度センサをさらに含むことができ、受動温度センサは約-150℃の温度に耐え、その後、または同時に、容器の内部コンパートメント内の温度を表す信号を提供するように動作可能である。少なくとも1つの受動温度センサは第1または第2の無線トランスポンダの少なくとも1つに一体化されてもよく、第1および第2の無線トランスポンダはそれぞれ、少なくとも1つの固有識別子またはMEMSベースの識別トランスポンダを符号化する受動無線周波数識別トランスポンダであってもよい。
【0021】
容器は、バイアルによって担持される少なくとも1つの機械可読記号と、固有の識別子を符号化する少なくとも1つの機械可読記号とをさらに含んでもよい。少なくとも1つの機械可読記号は、無線トランスポンダの一方または両方によって担持されてもよい
【0022】
無線トランスポンダはエポキシまたは封入剤を介してバイアルの一部に固定されてもよく、または例えば成形によってバイアルに一体化されてもよい。
【0023】
生物学的材料の極低温貯蔵のための容器は
第1の端部と、第2の端部と、側壁とを有するバイアルであって、前記第2の端部が前記第1の端部から前記バイアルの長さを横切って対向し、前記側壁が前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在することで前記バイアルの内部空洞を前記バイアルの外部から画定し、前記バイアルは前記第1の端部に開口を有する、該バイアルと、
前記バイアルの前記第1の端部の前記開口を取り外し可能に閉鎖するようなサイズおよび形状のキャップと、
第1のアンテナを有する第1の無線トランスポンダであって、前記第1のアンテナは前記第1のアンテナの放射プロットのメインローブと整列されたビーム軸を有し、前記第1の無線トランスポンダはその前記ビーム軸が前記バイアルの長さと平行に延在するように配置され、前記第1の無線トランスポンダは、ほぼ-150℃の温度に耐え、かつ固有の識別子を無線送信するように動作可能である、該第1の無線トランスポンダ
を含み、
前記バイアルまたは前記キャップのうちの少なくとも1つは、前記キャップが前記バイアルに固定されている状態で前記外部から前記バイアルの前記内部空洞への進入(例えば、液体窒素)及び/又は前記バイアルの前記内部空洞から前記外部への流出(例えば、空気)を提供するための1つ以上のスルーホールを含むと要約され得る。
【0024】
容器は第1のアンテナを有する第1の無線トランスポンダを含んでもよく、第1のアンテナは第1のアンテナの放射プロットのメインローブと整列したビーム軸を有し、第1の無線トランスポンダはそのビーム軸がバイアルの長さに平行に延びる状態でバイアルに固定され、第1の無線トランスポンダはほぼマイナス150℃の温度に耐え、固有の識別子を無線送信するように動作可能である。スルーホールはバイアルが極低温浴中に置かれたとき、液体窒素がバイアルの内部キャビティを満たすことを可能にし、有利には、バイアルが液体窒素浴の表面に浮遊することを防止する。
【0025】
生物学的材料の極低温貯蔵のための容器は、
第1の端部と、第2の端部と、側壁とを有するバイアルであって、前記第2の端部は前記第1の端部から前記バイアルの長さを横切って対向し、前記側壁は前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、前記バイアルの内部空洞がバイアルの外部から画定され、前記バイアルは前記第1の端部に開口を有する、該バイアルと、
前記バイアルの前記第1の端部の前記開口を取り外し可能に閉鎖するサイズおよび形状のキャップと、
近位端と標本を担持するための遠位端を有する細長い標本ホルダであって、前記細長い標本ホルダは前記細長い標本ホルダの近位端で前記キャップに取り付けられている、該細長い標本ホルダを有すると要約され得る。細長い試料ホルダはキャップと一体であってもよく、例えば、細長い試料ホルダとキャップは(例えば、単一ユニットとして成形される)一体の単一部品構造を形成し、又は、極低温に耐えることができる接着剤又は摩擦もしくは締まりばめを介してキャップに固定されてもよい。
【0026】
生物学的材料の極低温貯蔵のための容器は、
第1の端部と、第2の端部と、側壁とを有するバイアルであって、前記第2の端部は前記第1の端部から前記バイアルの長さを横切って対向し、前記側壁は前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、前記バイアルの内部空洞がバイアルの外部から画定され、前記バイアルは前記第1の端部に開口を有する、該バイアルと、
前記バイアルの前記第1の端部の前記開口を取り外し可能に閉鎖するサイズおよび形状のキャップと、
バイアルの外部に固定されたジャケット、スリーブ又はフレームを有すると要約し得る。無線トランスポンダは例えば、例えば、キャップに対して遠位の先端でジャケット、スリーブ、またはフレーム上に、またはジャケット、スリーブ、またはフレームによって、担持されてもよい。
【0027】
生物学的材料の極低温貯蔵のための容器は、
第1の端部と、第2の端部と、側壁とを有するバイアルであって、前記第2の端部は前記第1の端部から前記バイアルの長さを横切って対向し、前記側壁は前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在し、前記バイアルの内部空洞がバイアルの外部から画定され、前記バイアルは前記第1の端部に開口を有する、該バイアルと、
前記バイアルの前記第1の端部の前記開口を取り外し可能に閉鎖するサイズおよび形状のキャップと、
キャップ上にまたはキャップによって担持され得る無線トランスポンダを含むものとして要約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面において、同一の参照番号は、同様の要素または作用を示す。図面における要素のサイズおよび相対位置は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。例えば、さまざまな要素の形状および角度は一定の縮尺で描かれず、これらの要素のいくつかは、図面を見やすくするために、随時適当に拡大および配置されている。さらに、描かれた要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関するいかなる情報も伝えることを意図しておらず、図面における認識を容易にするために単に選択されたものである。
図1図1は少なくとも1つの実施形態による、生物学的サンプルを保持するための容器と、容器によって保持されるサンプル極低温保存装置との等角図であり、容器は、バイアルと、キャップと、一対の無線トランスポンダと、センサと、機械可読記号と、固定サーマルマスとを含む。
図2図2は、少なくとも1つの実施形態による、図1の容器のキャップの上面等角図である。
図3図3少なくとも1つの実施形態による、図1の容器のキャップの底部等角図である。
図4図4は、少なくとも1つの実施態様による、図1の容器の無線トランスポンダの1つとして使用することができる無線周波数識別ボタンセルの等角図である。
図5図5は、少なくとも1つの実施形態による、49個の別個の容器のアレイを担持することができる、極低温状態を維持するためのバルクキャリアの等角図である。
図6図6図5のバルクキャリアの分解図である。
図7図7図5のバルクキャリアの上面平面図である。
図8図8図7のバルクキャリアの断面図であり、断面ラインA-Aに沿って切断されている。
図9図9A図5のバルクキャリアのボックスの上部等角図である。図9B図5のバルクキャリアのボックスの底部等角図である。
図10図10図5のバルクキャリアの熱シャントの等角図である。
図11図11図5のバルクキャリアの絶縁体(又は、断熱体/insulator)の一部の等角図である。
図12図12図5のバルクキャリアの上部スペーサの上部等角図である。
図13図13図5のバルクキャリアの上部スペーサの底部等角図である。
図14図14は少なくとも1つの実施形態による、4つの個々の容器のアレイを保持することができる患者キャリアの上面等角図である。
図15図15は少なくとも1つの実施形態による、図14の患者キャリアのキャリアボックスの上面等角図である。
図16図16は少なくとも1つの実施形態による、図14の患者キャリアのキャリアボックスの底面等角図である。
図17図17は少なくとも1つの実施形態による、患者キャリアの熱シャントプレートの等角図である。
図18図18は少なくとも1つの実施形態による、患者キャリアのための断熱トレイの上面等角図である。
図19図19は、少なくとも1つの実施形態による、患者キャリアのための絶縁プレートの上面等角図である。
図20図20は、少なくとも1つの実施形態による、患者キャリアのための上部スペーサの上面等角図である。
図21図21は、少なくとも1つの実施形態による、患者キャリアのための上部スペーサの底面等角図である。
図22図22は、少なくとも1つの実施態様による、所定の位置にカバー402を有する、生物学的サンプルおよび/または材料を保持する容器100(図1)を有するバルクキャリア200、300(図5、14)を保持するための携帯型キャリア400の上面等角図である。
図23図23図22の携帯型キャリアの底部等角図である。
図24図24は、少なくとも1つの実施形態による、カバー402が取り外された携帯型キャリア400の上面等角図である。
図25図25は少なくとも1つの実施に従って、カバーを取り外し、そこに装填されたバルクキャリア200、300(図5、14)を図示する、携帯型キャリア400の上部等角図である。
図26図26は、少なくとも1つの実施形態による、ポータブルキャリア400の内部インサートの上面等角図である。
図27図27は、少なくとも1つの実施形態による、図22の携帯型キャリアの絶縁片(又は、断熱体片)の上部等角図である。
図28図28は、少なくとも1つの実施形態による、図22の携帯型キャリアのカバー絶縁片(又は、断熱体片)の上部等角図である。
図29図29は生物学的サンプルを保持するための容器の等角図であり、この容器はバイアルおよびキャップを含み、このバイアルは、少なくとも1つの実施形態による、外側ジャケットまたはスリーブによって少なくとも部分的に覆われている。
図30図30図29の容器の等角図であり、キャップが取り外されており、細長い標本ホルダが、少なくとも1つの実施形態による、一体の、永久的に固定された、または取り外し可能に取り付けられた要素としてキャップから延びている。
図31図31は、少なくとも1つの実施形態による、キャップの底面に固定された標本ホルダを有する図30のバイアルのキャップの等角図である。
図32図32は、少なくとも1つの実施形態による、取り付けられた標本ホルダを有さない図30のバイアルのキャップの底面図および上面図である。
図33図33は、少なくとも1つの実施形態による、取り付けられた標本ホルダを有さない図30のバイアルのキャップの底面図および上面図である。
図34図34図29の容器の底面図であり、少なくとも1つの実施形態による、容器の外側ジャケットの下端でプラットフォームに固定された第1の無線トランスポンダを示す。
図35図35図29の容器の側面図であり、容器の外側ジャケットの側面に固定されたラベルを示し、ラベルは少なくとも1つの実施形態による、機械可読記号および人間可読情報を含み、第2の無線トランスポンダを覆うか、またはその近くに配置されている。
図36図36は少なくとも1つの実装形態による、バイアルのキャップの上面に固定された無線トランスポンダを示す、図29のものと同様の容器の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
種々の実施態様が正しく理解されるように、開示内容の詳細を以下に説明する。但し、当業者ならば、これら特定の細部の1つまたは2つ以上を欠いても、または他の方法、他の構成部材、他の材料でも実施が可能であることは容易に理解するところであろう。他の例では、コンピュータシステム、アクチュエータシステム、および/または通信ネットワークに関連する周知の構造は実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、詳細には示されておらず、または説明されていない。他の例では実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、1つまたは複数のオブジェクトなどの知覚データおよびボリュメトリック表現を生成するための周知のコンピュータビジョン方法および技法は詳細には説明されていない。
【0030】
本明細書及び特許請求の範囲において理由が必要ない限り、用語”を有する”及びその派生語は確定していない包括的な意味、即ち、”含む”であるとみなされるが、それに限定されるものではない
【0031】
「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造または特性が少なくとも一実施形態に含まれることを意味し、したがって、本明細書全体にわたって様々な場所における「一実施形態において」または「ある実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を言及しているわけではない。さらに、特別な特徴、構造又は特質は1以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
【0032】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は内容が別段の明確な指示をしない限り、複数の指示対象を含む。また、用語「または」は内容が別段の明確な指示をしない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用されることにも留意されたい。
【0033】
冒頭の説明及び要約は便宜上のものであり、本発明の範囲を表すものではなく、又は実施形態を意味するものでもない。
【0034】
図1図2および図3は少なくとも1つの例示された実施形態による、生物学的サンプルまたは材料103を保持するサンプル極低温保存装置(例えば、ストロー、チューブ、スティック、スパチュラ)102を保持する容器100を示す。
【0035】
容器100は、バイアル104と、キャップ106と、いくつかの無線トランスポンダ108a,108b(2つが示されている)と、任意選択でいくつかのセンサ110(1つが示されている)とを含む。
【0036】
バイアル104は、第1の端部112aと、第2の端部112bと、側壁114とを有する。第2の端部112bはバイアル104の長さLにわたって第1の端部112aから対向し、側壁114は、第1の端部112aと第2の端部112bとの間に延在して、バイアル104の内部キャビティ116をその外部118から画定する。バイアル104はその第1の端部112aに開口120を有し、第2の端部112bは、閉鎖または密閉可能であってもよい。バイアル104は管の形態をとり、これは円形の輪郭または断面を有してもよく、あるいは他の形状(例えば、長方形、六角形、八角形)を有し得る。バイアル104の開口120は例えば、円形であってもよいが、開口120は他の形状を有し得る。バイアル104の第2の端部112bは例えば、バイアル104の長さLまたは長手方向軸線に垂直な平坦面122を有することができる。バイアル104は極低温浴、例えば、種々のポリカーボネート、芳香族ポリイミド(例えば、PMMA, Kapton, Upilex)に浸漬される(又は、堆積される/deposited)のに適した任意の材料から形成することができ、好ましくは透明である。
【0037】
キャップ106は、バイアル104の第1の端部112aで開口120を取り外し可能に閉鎖するような大きさおよび形状である。図2および図3に最もよく示されるように、キャップ106は、上面124と、キャップ106の内部128(図3)を区切るように上面124から延びる側壁126とを有し得る。キャップ106はその端部に開口130を有し、開口130は、バイアル104の第1の端部112aを受け入れるように寸法決めされた形状および内部寸法を有する。キャップ106は例えば、側壁126の内側にねじ132を有し、バイアル104の側壁114の外側のねじに螺合する。キャップ106の側壁の頂部124はキャップ106がバイアル104に固定されたときに、バイアル104の内部キャビティ116を外部118に通気するための1つ以上のスルーホール(又は、貫通孔)134(図2、1つのみに符号が付されている)を含んでもよい。キャップ106の側壁126の外面は複数の隆起部136(1つに符号が付されている)を含んでもよく、これは、キャップ106を締め付けたり緩めたりするときに、握りやすくすることができる。キャップ106は様々な材料、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの熱可塑性樹脂などのポリマー、および/または低温用途で一般的な温度に劣化することなく耐える任意の他の適切な材料のいずれかで形成することができる。キャップ106は一般に、バイアル104の一部をその中に受け入れるように図示されているが、いくつかの実施形態では代替的にキャップ106がバイアル104の開口内にしっかりと受け入れられるように寸法決めされた部分を有してもよい。
【0038】
図1に戻ると、上述のように、容器100は、1つ以上の無線トランスポンダ108a,108b(集合的に108)、および有利には2つの無線トランスポンダを含むか、または担持することができる。無線トランスポンダ108は、様々な形態をとることができる。例えば、アクティブ、パッシブ、またはバッテリ支援無線周波数識別(RFID)トランスポンダは、固有の識別子を記憶して返すために集積回路(IC)を採用している。アクティブRFIDトランスポンダはRFIDトランスポンダに電力を供給するための専用の電源(例えば、化学電池セル)を含む。受動RFIDトランスポンダは専用の電源を含まず、むしろ、問合信号から電力を導き出し、典型的には、キャパシタを充電し、キャパシタに固有の識別情報が課された帰還信号(例えば、後方散乱信号)を提供するのに十分な電力を提供する。電池支援RFIDトランスポンダは一般に、問合信号を検出するが、主に動作に電力を供給するために、専用の電源(例えば、化学電池セル)を採用する。また、例えば、マイクロ電気機械システム(MEMS)トランスポンダは固有の識別子を返すために、それぞれの周波数で機械的に振動または発振する1つ以上の典型的な機械要素を使用する。これらのMEMSトランスポンダは機械に基礎を置いており、典型的にはICを使用せず、また典型的には固有の識別子をメモリに記憶しない。「集積回路RFIDトランスポンダ」及び「非MEMS RFIDトランスポンダ」という用語は、ここでは機械式RFIDトランスポンダと機械式トランスポンダ又はMEMSベースのトランスポンダとを区別するために使用される。
【0039】
無線トランスポンダ108は低温(例えば、マイナス150℃;マイナス196℃)に耐え、動作を継続することができる。特に、無線トランスポンダ108は低温(例えば、マイナス150℃;マイナス196℃)と、極低温クーラーまたはデュワー瓶から取り外されたときに容器がさらされ得る比較的暖かい温度との間の温度サイクルの複数のサイクル(又は、インスタンス/出来事)に耐えることができることが好ましい。無線トランスポンダ108は例えば後方散乱(backscattering)を介して回答を提供するために、問合信号からの電力に依存する受動無線トランスポンダの形態を有利にとることができる。MEMSトランスポンダは、低温での動作に特に適している場合がある。
【0040】
第1及び第2の無線トランスポンダ108a,108bの各々は、固有の識別子を記号化する。無線トランスポンダ108は、例えば後方散乱を介して、固有の識別子を符号化した応答信号を用いて無線問合信号に応答する。いくつかの実施形態においては、第1及び第2の無線トランスポンダ108a,108bは容器100を一意的に識別する互いに同一の固有識別子を記号化することができる。あるいは、非一時的プロセッサ可読媒体が同一のそれぞれの容器100によって担持又は担われる無線トランスポンダ108のペアに対応する固有識別子のペアの間の関係を記憶することができる。
【0041】
特に、第1の無線トランスポンダ108aはそれぞれのトランスポンダ回路139(例えば、図4に図示されている無線、送信機、後方散乱回路)に結合されるそれぞれのアンテナ138a(例えば、第1のアンテナ)を有する。第1のアンテナ138aは、通常、第1のアンテナ138aの放射プロットのメインローブと位置合わせされたビーム軸140aを有する。第1の無線トランスポンダ108aは、そのビーム軸140aがバイアル104の長さL又は縦軸に平行に延びる状態でバイアル104に固定される。第2の無線トランスポンダ108bはそれぞれのトランスポンダ回路に結合されるそれぞれのアンテナ138b(例えば、第2のアンテナ)を有する。第2のアンテナ138bは、第2のアンテナ138bの放射プロットのメインローブと位置合わせされたビーム軸140bを有する。第2の無線トランスポンダ108bは、そのビーム軸140bが第1のアンテナ138aのビーム軸140aに対して垂直に延びる状態でバイアル104に固定される。第1のアンテナ138aは、バイアル104の端部112a、112bに近接して、好ましくはバイアル104の第2の端部112bに少なくとも近接して固定することができる。例えば、第1の無線トランスポンダ108aの第1のアンテナ138aは、バイアル104の底部の平坦面122と平行に延在する。特に、第1および第2の無線トランスポンダ108a,108bを別個の異なる(separate and distinct)基板として提供することによって、バイアルの形状は、ビーム軸140a、140bが互いに垂直または直交することを確実にするために有利に採用されてもよい。この配置および位置決めは、例えば、極低温冷却容器内に保管されたときに、バイアルの下からの問い合わせまたは読み取りを容易にすることができる。図4に最もよく示されているように、第1の無線トランスポンダ108aは例えば、無線周波数識別(RFID)ボタンセルの形態をとることができる。RFIDボタンセルはRFIDボタンセルの厚さtBを横切って互いに対向し、バイアル104の底部の平坦面122(図1)と並行に延びる一対の主面142a、142bを有する。第2の無線トランスポンダ108bは、無線周波数識別(RFID)タグの形態をとることができる。RFIDタグは、第2のアンテナ138b及びトランスポンダ回路を担持するフレキシブル基板又はキャリアを有することができる。RFIDタグは、バイアル104の側壁114の外周に少なくとも部分的に巻き付けられてもよい。無線トランスポンダ108の一方または両方は図29図36に関して以下に説明するように、キャップ106に物理的に結合または固定することができる。
【0042】
第1の無線トランスポンダ108aは、例えばエポキシによってバイアル104の一部に固定される。エポキシは第1の無線トランスポンダ108aをカプセル化してもよく、またはバイアル104とエポキシとの組み合わせは第1の無線トランスポンダ108aをカプセル化して、それにしっかりと取り付け、環境保護を提供してもよい。あるいは、第1の無線トランスポンダ108aがバイアル104自体の一部に成形または封入(又は、カプセル化)されてもよい。第2の無線トランスポンダ108bは、例えばエポキシによってバイアル104の一部に固定される。エポキシは第2の無線トランスポンダ108bをカプセル化してもよく、またはバイアル104とエポキシとの組み合わせは第2の無線トランスポンダ108bをカプセル化して、それにしっかりと取り付け、環境保護を提供してもよい。あるいは、第2の無線トランスポンダ108bがバイアル104自体の一部に成形または封入されてもよい。
【0043】
上述のように、容器100はまた、1つ以上のセンサ110(1つのみが示される)を含み得るか、または支持し得る。センサ110は例えば、状態を感知するだけでなく、センサ110から感知された状態の測定値または他の表示を無線で送信するためのアンテナおよびトランスポンダ回路(例えば、無線、送信機、後方散乱回路)を含む無線センサなど、様々な形態をとることができる。センサ(複数可)110は低温(例えば、マイナス150℃;マイナス196℃)に耐えることができ、動作を継続する。特に、センサ110は好ましくは低温(例えば、マイナス150℃;マイナス196℃)と、極低温クーラーまたはデュワー瓶から取り外されたときに容器100がさらされ得る比較的暖かい温度との間の温度サイクルの複数のインスタンスに耐えることができる。
【0044】
1つまたは複数のセンサ110は、バイアル104内、バイアル104における、および/またはバイアル104の外部の温度を感知するように動作可能な1つまたは複数の温度センサ、好ましくは受動温度センサを含むことができる。温度センサは光学ベースの温度センサ(例えば、レーザ温度センサ、赤外線温度センサ)、または熱電対、サーミスタ、および/または抵抗温度検出器、または振動素子の機械的振動または振動の周波数が温度と共に変化するMEMSベースの温度センサのうちの任意の1つまたは複数を含むことができる。
【0045】
センサ110は、例えばエポキシによってバイアル104の一部に固定することができる。エポキシはセンサ110を封入(又は、カプセル化)することができ、あるいはバイアル104とエポキシとの組合せは、センサ110を封入することができ、これをしっかりと取り付け、環境保護を提供する。あるいは、センサ110がバイアル104自体の一部に成形または封入されてもよい。
【0046】
少なくともいくつかの実装形態では、センサ110が容器100から外向きに情報を送信するために、無線トランスポンダ108a,108bのアンテナ138a、138bおよびトランスポンダ回路109を使用して、無線トランスポンダ108a,108bに一体化することができる。あるいは、1つまたは複数のセンサ110が無線トランスポンダ108a,108bとは別個で相違してもよい。
【0047】
容器100はまた、任意選択で、1つまたは複数の機械可読記号(又は、シンボル/図柄)144a、144bを含むか、または担持することができる。機械で読取可能な記号144a、144bは種々の形態をとり、例えば、一般にバーコード記号と呼ばれる一次元の機械で読取可能な記号、または、例えば、マトリックスコード記号などの二次元マシンで読取可能な記号をとることができる。機械で読取可能な記号144a、144bは、多種多様な記号のいずれかから選択された機械で読取可能な記号・キャラクタ(又は、文字)から構成され、また、任意の種類の機械で読取可能な記号読取装置から読み取ることができる。機械可読記号(例えば、インク、媒体)144a、144bは低温(例えば、マイナス150℃、マイナス196℃)に耐え、動作し続けることができる。特に、機械可読記号144a、144bは好ましくは低温(例えば、マイナス150℃;マイナス196℃)と、極低温クーラーまたはデュワー瓶から取り外されたときに容器がさらされ、光学的に読み取り可能なままであり得る比較的暖かい温度との間の温度サイクルの複数の場合に耐えることができる。
【0048】
1つの機械読取可能記号144a、144bは、固有の識別子を符号化する。いくつかの実施形態では第1及び第2の両方の機械読取可能記号144a、144bは容器100を一意に識別する他方と同じ固有の識別子を符号化することができる。代わりに、非一時的プロセッサ可読媒体は、同じ各々の容器100によって担持又は担われる1つの機械可読記号144a、144bのペアに対応する固有の識別子のペア間の関係を記憶することができる。
【0049】
機械可読記号144a、144bは、例えばエポキシによってバイアル104の一部に固定することができる。エポキシは機械可読記号144a、144bを封止し、又はバイアル104とエポキシとの組合せは機械可読記号144a、144bを封止して、これらに確実に取り付けて環境保護を提供することができる。代わりに、機械可読記号144a、144bをバイアル104自体の一部に成型または封止することができる。エポキシおよび/またはバイアルは機械可読記号144a、144bを光学的に走査または読み取ることができる1組の波長(例えば、可視波長、赤外波長、紫外波長)で十分に透明でなければならない。
【0050】
図示されていないが、容器100は任意選択で、1つまたは複数の人間が読み取り可能な記号、例えば英数字、単語、またはシリアル番号を含んでもよく、または担持していてもよい。
【0051】
少なくともいくつかの実装形態では、機械可読記号144a、144bは無線トランスポンダ108a,108bに一体化されてもよく、例えば、印刷され、エンボス加工され、刻まれ、または他の方法で適用されてもよい。
【0052】
容器100は任意選択で、熱伝導を防止または阻止するために、固定されたサーマルマス146と、サーマルマス146を少なくとも部分的に取り囲む断熱体148とを含むことができる。サーマルマス146は、バイアル104の内部キャビティ116内に配置することができる。サーマルマス146は、サンプル極低温保存装置102およびサンプル極低温保存装置102によって保持される生体材料103に関連するサーマルマス(又は、熱容量/熱容量/thermal mass)よりも大きなサーマルマスを有する。サーマルマス146は非鉄金属片または金属含浸ポリマーの形態をとることができ、金属は、それを通る電流の形成を防止または遅延させるように十分に小さくかつ不連続である小片、粒子またはストランドの形態である。断熱体148はエアロゲル(例えば、分散相が気体である微孔性固体、流体成分が気体、例えば、シリカベース、アルミナベース、クロミアベース、酸化スズベース、および炭素ベースのエアロゲルで置き換えられるゲル)を含むがこれらに限定されない様々な形態をとることができる。
【0053】
サーマルマス146はバイアル104の長さLに沿って配置され、好ましくは、第1の無線トランスポンダ108aおよび第2の無線トランスポンダ108bの両方から、少なくとも規定された最小距離(例えば、3mm)だけ離間して、無線トランスポンダ108a,108bを介した無線通信との干渉を防止する。
【0054】
図5図6図7、および図8は極低温状態を維持するためのバルクキャリア200を示しており、少なくとも1つの実施形態によれば、別個の容器100(図1)のアレイ、例えば49個の別個の容器100を搬送することができる。バルクキャリアはポータブル・バルクキャリアとすることができ、極低温を維持しながら、バルクキャリア内に搬送される試料を担持することができる。図6に最もよく示されているように、バルクキャリア200は、キャリアボックス202、熱シャント(thermal shunt)204、熱シャント204の周囲の断熱体206a,206b(まとめて206)、および上部スペーサ208を含む。図9Aおよび9Bは、図5~8のバルクキャリア200のキャリアボックス202を示す。図10は、図5図8のバルクキャリア200の熱シャント204を示す。図11は、図5図8のバルクキャリア200の絶縁体206の一部を示す。図12および図13は、図5図8のバルクキャリア200の上部スペーサ208を示す。
【0055】
図6図9A、および図9Bに最もよく示されるように、キャリアボックス202は、キャリアボックス202の内部212をその外部214から画定するいくつかの壁210を含む。キャリアボックス202は、その外部214からキャリアボックス202の内部212へのアクセスを提供するための開口216を有する。キャリアボックス202は、様々な材料のいずれかから作製されてもよく、壁210は断熱材料(例えば、ポリマー、プラスチック)から形成されてもよく、壁210の内側部分と外側部分との間に真空、不活性ガス、または空気を閉じ込めるキャビティを含んでも含まなくてもよい。
【0056】
キャリアボックス202は、キャリアボックス202の内部212の底部220にレシーバ(又は、受信機/receiver)218のアレイ(図9Aでは1つだけに符号が付されている)を含む。レシーバ218は、容器100(図1)のそれぞれの底部をそれぞれ密接に受け入れ、それによって容器100を支持するような形状および大きさにされている。アレイは代替的にカセットと呼ばれ、個々のレシーバは代替的にバイアルウェルと呼ばれる。例えば、いくつかの実施形態では、各バイアルウェルまたはレシーバ218は、挿入された容器100が手動および/または自動もしくはロボットピッカーもしくはエンドエフェクターなどによって手動でおよび/または自動的に除去のために操作されることを可能にするように挿入された容器100の少なくとも上部を露出させつつ、その中に挿入された容器100の少なくとも下部を断熱するための適切な深さを有する。
【0057】
レシーバ218の数および配置は、キャリアボックス202の内部の寸法、容器100の寸法、およびそれらの間の所望の間隔に基づいてもよい。図示の実施形態では、レシーバ218が合計49個の容器100を収容するように7×7のアレイに配置される。レシーバ218のアレイはキャリアボックス202の一体部分であってもよく、例えば、キャリアボックス202の成形品の一部として成形されてもよい。あるいは、レシーバ218のアレイは別個の異なる構造であってもよく、例えば、キャリアボックスに圧入または摩擦嵌めされてもよく、またはタブおよびスロットまたは他の係合または固定機構を介してキャリアボックスにスナップ嵌めされてもよい。レシーバ218のアレイは例えば、ポリカーボネートで作ることができる。
【0058】
図6及び図10に最もよく示されているように、熱シャント204は、キャリアボックス202の内部212に密接に収容されるような大きさ及び形状の外部プロファイル(外部の立体形状)を有する。プロファイルは熱シャント204がキャリアボックス202の内部212内に正しく配置されることを確実にするために、非対称であってもよい。熱シャント204は、好ましくはキャリアボックス202内に格納される材料と比較して比較的大きな熱容量を有する様々な材料のいずれかから作製されてもよい。熱シャント204に適した材料は例えば、非鉄金属のスラブ(又は、板材)、または金属が非鉄金属であるか、または金属がそれを通る電流の形成を防止または遅延させるように十分に小さく不連続である小片、粒子、またはストランドの形態である金属含浸ポリマーを含むことができる。少なくともいくつかの実施態様では、熱シャント204がアルミニウム板またはスラブの形態をとる。
【0059】
熱シャント204は、そこを通って延びるスルーホール222(図10では1つのみに参照符号が付されている)のアレイを有する。スルーホールは、スルーホールを通って延びる容器100(図1)の それぞれを密接に受け入れるような形状および大きさである。熱シャント204内のスルーホール222の数および配置は、キャリアボックス202のレシーバ218の数および配置と一致してもよい。熱シャント204がキャビティボックス202の内部212に配置されるとき、熱シャント204のスルーホール222は、それぞれのレシーバ218と位置合わせされるべきである。図示の実施において、熱シャント204のスルーホール222は、合計49個の容器100を収容するために7×7のアレイに配置される。
【0060】
図6および図11に最もよく示されているように、断熱体(複数可)206は、キャリアボックス202の内部に密接に受け入れられるような寸法および形状とされる。断熱体206は、断熱トレイ206aと断熱プレート206bの2つの部分に設けることができる。断熱トレイ206aはベース224(図6)と直立側壁226(図6)を有し、それらの間に空間228を形成する。直立側壁226の外面は、キャリアボックス202の内部212に密接に受け入れられるように形作られ寸法決めされている。断熱プレート206bは断熱トレイ206aの直立側壁226の内面によって空間228に密着して収容されるような形状・大きさの外周を有しており、入れ子状の構成となっている。断熱トレイ206aおよび断熱プレート206bは熱シャント204を挟み込むことができ、例えば、その全側部で熱シャント204を断熱する。断熱トレイ206aおよび断熱プレート206bは、好ましくは比較的大きな熱抵抗またはR係数を有する種々の材料のいずれかで作製されてもよい。いくつかの適切な材料としてはエアロゲルが挙げられるが、これに限定されない。
【0061】
断熱トレイ206aおよび断熱プレート206bの両方はそれぞれスルーホール232,234(各アレイに対して1つのみに参照符号が付されている)のそれぞれのアレイを有し、それらを貫通して延在する。スルーホール232,234は、貫通して延びる容器100(図1)のそれぞれを密接に受け入れるような形状及び大きさにされる。断熱トレイ206aおよび断熱プレート206b内のスルーホール232,234の数および配置は、キャリアボックス202のレシーバ218の数および配置と一致してもよい。断熱トレイ206aおよび断熱プレート206bがキャビティボックス202の内部212に配置されるとき、断熱トレイ206aおよび断熱プレート206bのスルーホール232,234は、熱シャント204のスルーホール222と同様にレシーバ218のそれぞれと位置合わせされるべきである。図示された実施において、断熱トレイ206aおよび断熱プレート206bのスルーホール232,234は、合計49個の容器100を収容するために7×7のアレイに配置されている。
【0062】
図12および図13に最も良く例示されているように、上部スペーサ208は、キャリアボックス202の内部212に密接に収容されるような寸法および形状を有するプレート236を有する。プレート236は上部スペーサ208がキャリアボックス202の内部212に正しく配置されることを確実にするために、非対称プロファイルを有していてもよい。
【0063】
上部スペーサ208は、各々がそれぞれのスルーホール240を有する管238のアレイ(1つだけが呼び出される)を有する。スルーホール240は、貫通して延びる容器100(図1)のそれぞれを密接に受け入れるような形状および大きさにされている。上部スペーサ内の管238およびスルーホール240の数および配置は、キャリアボックス202のレシーバ218の数および配置と一致してもよい。上部スペーサ208がキャビティボックス202の内部212に配置されるとき、上部スペーサ208のスルーホール240は、それぞれのレシーバ218並びに熱シャント204のスルーホール222及び断熱トレイ206aおよび断熱プレート206bのスルーホール232,234と位置合わせされるべきである。図示の実施形態では、上部スペーサ208のスルーホール240が合計49個の容器100を収容するように7×7の配列で配置されている。
【0064】
上部スペーサ208は、様々な材料、好ましくはポリマーのいずれかで作ることができる。上部スペーサ208は、一組のスペーサ242を含んでいてもよく、該スペーサはキャリアボックス202の壁210に支持係合するために、上部スペーサの外側で管240から横方向外側に延びている。
【0065】
図14は極低温状態を維持するためのバルクキャリア300を示し、これは、少なくとも1つの実施形態による、別個の容器100(図1)のアレイ、例えば、4つの別個の容器100を担持することができる。バルクキャリア300はキャリアボックス302と、キャリアボックス302内に取り外し可能に配置されたより小さい「患者」キャリア303とを含み、以下に説明するように、より小さい「患者」キャリア303は、別個の容器100(図1)のアレイ、例えば4つの別個の容器100を担持することができる。
【0066】
キャリアボックス302は、図5図6図9Aおよび図9Bのキャリアボックス202と同様であっても同一であってもよい。キャリアボックス202を記述する際に使用されるのと同じ参照番号を使用して、類似の、または同一でさえある構造が識別される。キャリアボックス302は、キャリアボックス202の内部212をその外部214から画定するいくつかの壁210を含む。キャリアボックス202は、その外部214からキャリアボックス202の内部212へのアクセスを提供するための開口216を有する。キャリアボックス202は、様々な材料のいずれかから作製されてもよく、壁210は断熱材料(例えば、ポリマー、プラスチック)から形成されてもよく、壁210の内側部分と外側部分との間に真空、不活性ガス、または空気を閉じ込めるキャビティを含んでも含まなくてもよい。
【0067】
キャリアボックス202は、キャリアボックス202の内部212の底部220にレシーバ218のアレイ(図9Aでは1つだけに符号が付されている)を含む。レシーバ218は、容器100(図1)のそれぞれの底部をそれぞれ密接に受け入れ、それによって容器100を支持するような形状および大きさにされている。レシーバ218の数および配置は、キャリアボックス202の内部の寸法、容器100の寸法、およびそれらの間の所望の間隔に基づいてもよい。図示の実施形態では、レシーバ218が最大49個の容器100を収容するように7×7のアレイに配置されている。以下に説明するように、より小さい「患者」キャリア303は、より小さい「患者」キャリア303の一部のスルーホールがレシーバ218のサブセットのそれぞれの1つと位置合わせされた状態で、キャリアボックス202の内部212に配置されてもよい。
【0068】
図14、15および16に最も良く示されるように、より小さい「患者」キャリア303はより小さい「患者」キャリア303の内部312をその外部314から画するいくつかの壁310を含む。より小さい「患者」キャリア303がその外部314からより小さい「患者」キャリア303の内部312へのアクセスを提供するための開口316を有する。より小さい「患者」キャリア303が様々な材料のいずれかで作製されてもよく、壁310は断熱材料(例えば、ポリマー、プラスチック)で形成されてもよく、壁310の内側部分と外側部分との間に真空、不活性ガスまたは空気を閉じ込めるキャビティを含んでも含まなくてもよい。より小さい「患者」キャリア303は基部および直立部分を有するペデスタル(又は、台座)に似ていてもよい。
【0069】
より小さい「患者」キャリア303はより小さい「患者」キャリア303の内部312の底部320にレシーバ318のアレイ(図15では1つだけに参照符号が付されている)を含む。レシーバ318は容器100(図1)のそれぞれの底部をそれぞれ密接に受容し、それによって容器100を支持するような形状およびサイズである。レシーバ318の数および配置はより小さい「患者」キャリア303の内部の寸法、容器100の寸法、およびそれらの間の所望の間隔に基づくことができる。図示の実施形態ではレシーバ318が最大49個の容器100を収容するように2×2のアレイで配置される。レシーバ318はそれぞれより小さい「患者」キャリア303の底部320の壁を貫通するそれぞれのスルーホール323(1つだけに参照符号が付されている)を有する。スルーホール323はレシーバ318の内部寸法よりも小さく、各レシーバ318内に容器100(図1)をより小さい「患者」キャリア303内の特定の深さまたは高さで支持するための止め具を形成することができ、したがって、容器100の底部とキャリアボックス202の底部220との間の距離を確立する。これは有利にはキャリアボックス202がインタロゲータまたはリーダーのアンテナに対して位置決めされるときに、1つ以上のアンテナの規定された範囲内に容器100によって担持される無線トランスポンダ108aを位置決めし得る。前述のように、より小さい「患者」キャリア303は、より小さい「患者」キャリア303のスルーホール323をキャリアボックス202のレシーバ218のサブセットのそれぞれと整列させた状態でキャリアボックス202の内部212に位置決めされ得る。
【0070】
より小さい「患者」キャリア303はバルクキャリア200を参照して上述したものと同様の構造、例えば、熱シャント304(図17)、断熱体306a、306b(集合的に306)(図18および19)、および上部スペーサ308(図20および21)を含み得る。
【0071】
図17に示すように、熱シャント304は「患者」キャリア303の内部312にぴったりと受け入れられるような大きさおよび形状の外側プロファイルを有する。このプロファイルは熱シャント304が「患者」キャリア303の内部312に正確に位置決めされることを確実にするために非対称(又は、asymmetrical)であってもよい。熱シャント304は様々な材料のいずれかから作製されてもよく、好ましくは「患者」キャリア303に貯蔵される材料と比較して比較的大きな熱容量を有する。熱シャント304に適した材料は例えば、非鉄金属のスラブ、または金属が非鉄金属であるか、または金属が、それを通る電流の形成を防止または遅延させるように十分に小さく不連続である小片、粒子またはストランドの形態である金属含浸ポリマーを含むことができる。少なくともいくつかの実施態様では、熱シャント304がアルミニウム板またはスラブの形態をとる。
【0072】
熱シャント304は、そこを通って延びるスルーホール322のアレイ(図17は1つのみ参照符号が付されている)を有する。スルーホール322は、貫通して延在する容器100(図1)のそれぞれを密接に受け入れるような形状および大きさである。熱シャント304のスルーホール322の数および配置は、「患者」キャリア303のレシーバ318の数および配置と一致してもよく、熱シャント304が「患者」キャリア303の内部312に配置される場合、熱シャント304のスルーホール322はレシーバ318のそれぞれのスルーホール及び関連するレシーバ318のスルーホール323と整列するべきである。図示の実施において、熱シャント304のスルーホール322は、合計4つの容器100を収容するように2×2のアレイに配置される(図1)。
【0073】
図18および19に示されるように、1つ以上の断熱体306a、306b(集合的に306)は「患者」キャリア303の内部312にぴったりと受容されるような大きさおよび形状である。断熱体306は2つの部分、すなわち断熱トレイ306a(図18に示される)および断熱プレート206b(図19に示される)で提供されてもよい。断熱トレイ306aは基部324および直立側壁326(図6)を有し、それらの間に空間328を形成する。直立側壁326の外面は「患者」キャリア303の内部312にぴったりと受容されるような形状および寸法である。断熱プレート306bは、断熱トレイ306aの直立側壁326の内面によって空間328に密着して入れ子状に収容されるような形状・大きさの外周を有している。有利には、断熱トレイ306aおよび断熱プレート306bは熱シャント304を挟むことができ、例えば、その全側部で熱シャント304を断熱する。断熱トレイ306aおよび断熱プレート306bは、好ましくは比較的大きな熱抵抗またはR係数を有する種々の材料のいずれかで作製されてもよい。いくつかの適切な材料としてはエアロゲルが挙げられるが、これに限定されない。
【0074】
断熱トレイ306aおよび断熱プレート306bの両方はそれぞれスルーホール332,334(各アレイについて1つのみ参照符号が付されている)のそれぞれのアレイを有し、それらを貫通して延在する。スルーホール332,334は、それらを貫通して延びる容器100(図1)のそれぞれを密接に受け入れるような形状および大きさである。断熱トレイ306aおよび断熱プレート306b内のスルーホール332,334の数および配置は、「患者」キャリア303のレシーバ318の数および配置と一致してもよい。断熱トレイ306aおよび断熱プレート306bが「患者」キャリア303の内部312内に配置される場合、断熱トレイ306aおよび断熱プレート306bのスルーホール332,334は熱シャント304のスルーホール322と同様に、レシーバ318のそれぞれと位置合わせされるべきである。図示された実施において、断熱トレイ306aおよび断熱プレート306bのスルーホール332,334は、合計4つの容器100を収容するように2×2のアレイに配置されている。
【0075】
図20および図21に最もよく示されているように、「患者」キャリア303のための上部スペーサ308は「患者」キャリア303の内部312にぴったりと受容されるような大きさおよび形状の輪郭を有するプレート336を有し、プレート336は上部スペーサ308が「患者」キャリア303の内部312に正確に配置されることを確実にするために、非対称の輪郭を有し得る。
【0076】
上部スペーサ308は、それぞれスルーホール340を有する管338のアレイ(1つのみ参照符号が付されている)を有する。スルーホール340は、それを貫通して延びる容器100(図1)のそれぞれを密接に受け入れるような形状および大きさにされる。上部スペーサ308内の管338およびスルーホール340の数および配置は「患者」キャリア303のレシーバ318の数および配置と一致してもよく、上部スペーサ308が「患者」キャリア303の内部312に配置される場合、上部スペーサ308のスルーホール340はレシーバ318のそれぞれ、ならびに熱シャント304のスルーホール322および断熱トレイ306a(図18)および断熱プレート306b(図19)のスルーホール332,334と整列しなければならない。図示の実施形態では、上部スペーサ308のスルーホール340が合計4つの容器100(図1)を収容するように2×2のアレイに配置される。
【0077】
上部スペーサ308は、種々の材料、好ましくはポリマーのいずれかで作ることができる。上部スペーサ308は、上部スペーサ308の外側の管340から横方向外向きに延びて「患者」キャリア303の壁310に支持係合する一組のスペーサ342(2つのみ参照符号が付されている)を含むことができる。
【0078】
図22、23、24、25、26、27および28は、生物学的サンプルおよび/または材料を保持する容器100(図1)を有するバルクキャリア200、300(図5、14)を保持するための携帯型キャリア400およびその構成要素を示す。特に、図22はカバー402が所定の位置にある携帯型キャリア400を示し、図24はカバー402が取り外された携帯型キャリア400を示し、図25は、カバー402が取り外され、2つのバルクキャリア200、300がその中に装填された携帯型キャリア400を示す。
【0079】
図22に最もよく示されるように、携帯型キャリア400は、ハウジング404および取り外し可能カバー402を含む。ポータブルキャリア400はポータブルキャリア400の内部をその外部から封止するために、取り外し可能なカバー402を閉鎖位置または構成に固定するように移動可能な1つ以上のラッチ406(1つのみに符号が付されている)を含んでもよい。図22および図23に最も良く示されるように、携帯型キャリア400は任意に、担持ハンドル408を含み得る。
【0080】
図24および図25に最もよく示されるように、ハウジング404は、外部シェル410によって形成されてもよい。具体的には、外部シェル410が外部底部414(図23)と、外部底部414の周囲から上方に延びる少なくとも1つの外壁416とを含むことができ、外部底部414および外壁416は第1のキャビティを画定し、その頂部で開放している。
【0081】
図26は、少なくとも1つの実装に従った、携帯型キャリア400の内部インサート412aを示す。内部インサート412aは、内部インサート412aと外部シェル410との間に空間を形成しつつ、外部シェル410に受け入れられるか、または挿入される。
【0082】
内部インサート412sは内部底部418と、内部底部418の周囲から上方に延在する少なくとも1つの内部壁410とを含むことができ、内部底部418および内部壁420は第2のキャビティ422を画定し、その上部に開口424を有する。内部インサート412aはさらに、内部壁420の上縁から横方向に延在する縁又は棚部426を含んでもよい。内部インサート412aは外部シェル410の第1のキャビティ内に挿入または受容され、縁または棚部426の外周はその頂部で外部壁416の内面と接触する。外部シェル410の外部壁416と内部インサート412aの内部壁420との間、および外部シェル410の外部底部414と内部インサート412aの内部底部418との間に空間が形成される。空間は、例えばエアロゲルのような隆起した又は半隆起した断熱体で満たされてもよい。あまり好ましくないが、空間は真空にされてもよいし、真空を閉じ込めてもよい。あまり好ましくないが、空間は流体、例えば不活性ガス、またはあまり好ましくない空気で満たされてもよい。
【0083】
図27は、断熱体428の剛性又は半剛性片を示す。断熱体片428は例えば、外部シェル410の外部底部414と内部インサート412aの内部底部418との間の空間に配置されてもよい。あるいは、断熱体片428をカバーとして使用して、開口216(図6)を取り外し可能に閉じ、それによってキャリアボックス202の内部212とその外部214との間の熱伝達を制限してもよい。断熱体片は例えば、エアロゲルを含むことができる。
【0084】
図28は、少なくとも1つの実装に従った、図22の携帯型キャリア400のカバー断熱体430のピース(又は、一片)を示す。カバー断熱体430はバルクキャリア200、300が携帯型キャリア400に積載されるときに例えばバルクキャリア200、300を覆うように、携帯型キャリア400の内容物を覆うように位置決め可能である。カバー断熱体430は、取り外し可能カバー402の下にある。あるいは、カバー断熱体430をカバーとして使用して、開口216(図6)を取り外し可能に閉じ、それによってキャリアボックス202の内部212とその外部214との間の熱伝達を制限してもよい。カバー断熱体430はカバー断熱体430を通過する対流を排除または実質的に排除するように、内壁420によって密接に受容されるような形状および大きさにされた外形または外周432を有し、カバー断熱体430は断熱体の剛性または半剛性片の形態をとることができ、例えば、エアロゲルを含むことができる。カバー断熱体430は例えば、積載時に容器100の高さを収容するために、バルクキャリア200、300の内容物(又は、コンテンツ/contents)を収容する凹部又はキャノピー434を有することができる。
【0085】
図29は生物学的サンプルを保持するための容器1100の等角図であり、容器はバイアル1104およびキャップ1106を含み、バイアル1104は少なくとも1つの実施形態によれば、外側スリーブまたはフレームとも呼ばれる外側ジャケット1107によって少なくとも部分的に覆われている。キャップ1106は、バイアル1104の第1の端部1112aで開口1120を取り外し可能に閉鎖するような大きさおよび形状である。バイアル1104は、第1の端部1112aと、第2の端部1112bと、側壁1114とを有する。第2の端部1112bはバイアル1104の長さを横切って第1の端部1112aから対向し、側壁1114は、第1の端部1112aと第2の端部1112bとの間に延在して、バイアル1104の内部をその外部から画定する。バイアル1104はその第1の端部1112aに開口1120を有し、第2の端部1112bは、閉鎖可能または密閉可能であってもよい。バイアル1104は管の形態をとり、これは円形の輪郭または断面を有してもよく、あるいは他の形状(例えば、長方形、六角形、八角形)を有し得る。バイアル1104の開口1120は例えば、円形であってもよいが、開口1120は他の形状を有し得る。バイアル1104の第2の端部1112bは例えば、半球形の先端で終端してもよく、またはバイアル1104の長手方向軸に垂直な平坦な表面1122で終端する切頭円錐形であってもよい。
【0086】
図30は少なくとも1つの実施形態による、キャップ1106が取り外された状態の容器の等角図であり、細長い試料ホルダ1102がキャップ1106から、一体の、恒久的に固定された、または取り外し可能に取り付けられた要素として延びている。細長い試料ホルダ1102は貫通路を有さない概ね中実の形態(例えば、スティック、スパチュラ、サンプリングロッド)を有し得る。細長い試料ホルダ1102はキャップの底面1113、すなわち、内部に面する表面から延びてもよい。図31は、少なくとも1つの実施に従った、キャップ1106の底面1113に固定された試料ホルダ1102を示すキャップ1106の等角図である。試料ホルダ1102は、様々な方法のいずれかでキャップ1106の底面1113に固定することができる。例えば、試料ホルダ1102およびキャップ1106は単一の一体部品構造または構成の形態をとることができ、例えば、単一の一体部品および任意選択で一体部品として成形することができる。また、例えば、試料ホルダ1102は、キャップ1106の底面1113の開口に対して干渉または摩擦嵌合されてもよい。また、例えば、試料ホルダ1102は、キャップ1106の底面1113に接着されてもよい。
【0087】
図32および33は、少なくとも1つの実施形態による、取り付けられた試料ホルダ1102を有さないキャップ1106の底面図および上面図である。
【0088】
試料ホルダ1102は生物学的材料および/または試料(例えば、卵子、精子、および接合子)などの試料1103を担持するための遠位端と、キャップ1106に取り付けられるか、またはそれと一体化される近位端とを有する。実施態様では試料ホルダ1102およびキャップ1106が単一の一体構造であってもよく、試料ホルダ1102は試料ホルダ1102の遠位端に平坦な表面1145を有するスパチュラ1143を含んでもよく、試料(又は、サンプル/標本/specimen)1103は平坦な表面1145に凍結される。
【0089】
キャップ1106は頂部1125と、頂部1125から延びる側壁1126とを有することができ、側壁1126はバイアル1104の長手方向軸を横切る方向において頂部1125に対してより小さい範囲でキャップ1106の一部を区切っており、その結果、側壁1126はバイアル1104の内部に挿入され、頂部1125はストッパとして作用して、側壁1126のバイアル1104への挿入の深さを制限する。キャップ1106は例えば、バイアル1104の側壁1114の内面上の対応するねじ山1132bと嵌合するように、側壁1126の外面上にねじ山1132aを有し得る。
【0090】
実施形態は、有利にはいくつかのポート1205及び/又はベント(又は、通気口)1210を含むことができる(図33及び図35参照)。ポート1205はキャップ1106がバイアル1104上の適所にある間に、バイアル1104の内部への流体(例えば、液体窒素)の進入を有利に可能にし、一方、ベントはキャップ1106がバイアル1104上の適所にある間に、流体がバイアル1104に進入するときにバイアル1104の内部から気体(例えば、空気)が逃げることを可能にする。ポート1205は、バイアル1104に(図35に1つを見ることができる)、キャップ1106に、またはバイアル1104とキャップ1106の両方に配置することができる。ベント1210は、キャップ1106(図30~33に4つ示されている)に、バイアル1104(図30に1つ示されている)に、またはキャップ1106とバイアル1104の両方に配置することができる。ポート1205およびベント1210は、キャップ1106がバイアル1104に固定されている間、バイアル1104の内部と外部との間の出入りを提供する。好ましくは、ベント1210が頂部に向かって(例えば、キャップ内またはバイアルの頂部に少なくとも近接して)配置され、ポート1205は底部に向かって(例えば、バイアルの底部に少なくとも近接して)配置され、これにより、容器100が例えば、デュワー瓶内の極低温浴内に下げられるときに、流体が容器1100の底部から浸出し(又は、濾過され/leach)、ガスが頂部から排出されることが可能になる。
【0091】
用語「ベント」は本明細書ではバイアル1104からガス(例えば、空気)を逃がすことを可能にするスルーホール(必ずしも丸くない)を説明するために使用され、用語「ポート」はバイアル1104内に液体窒素を入れることを可能にするスルーホールを説明するために使用されたが、これらの用語は場合によっては交換可能である。例えば、ベント1210およびポート1205に使用されるスルーホールの構造は単純な開口であってもよく、したがって、容器1100の上部および下部に対するそれらの位置に応じて、および動作条件(例えば、容器1100が低温槽内に降下されているか、または低温槽外に持ち上げられているかに応じて)に応じて、主にベント1210またはポート1205として機能し得る。いくつかの実施態様ではポート1205およびベント1210がバイアル1104の内部に対して特定の方向への気体または流体の流れを制限するために、弁、フラップ、スクリーン、フィルタ、または他の構造を含むことができ、これは専用ポート1205またはベント1210として機能する構造をもたらすことができる。場合によっては、外側ジャケット1107(以下で論じる)がバイアル1104のスルーホールに対応するスルーホールを含み、流体および/または空気の出入りを容易にすることができる。
【0092】
キャップ1106は様々な材料、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの熱可塑性樹脂などのポリマー、および/または極低温用途で一般的な温度に著しい劣化なしに耐える任意の他の適切な材料のいずれかで形成することができる。キャップ1106の頂部1125の外面はキャップ1106を締め付けまたは緩めるときに、把持を容易にするために、複数のファセット1136を含んでもよい。キャップ1106は概して、その一部がバイアル1104の開口内にしっかりと受け入れられるように図示されているが、いくつかの実施形態ではキャップ1106が代替的に、図1の例のように、キャップ1106の開口内にバイアル1104の一部を受け入れるように寸法決めされてもよい。
【0093】
容器は、バイアルの外面の少なくとも一部を覆う外側ジャケット1107を含む(図29、30、および35を参照のこと)。外側ジャケット1107は、バイアル1104がジャケット1107の上部開口内に受容されることを可能にするような形状および大きさである。バイアル1104および外側ジャケット1107の両方は例えば、バイアル1104の外面の円周がジャケット1107の内面の円周にほぼ等しくなるように、円形断面を有し得る。このような構成は、バイアル1104と外側ジャケット1107との間のぴったりとした嵌合を可能にする。実施態様ではバイアル1104の第2の端部1112b、例えば、平坦な表面1122で終端する切頭円錐形の先端はジャケット1107の底部開口から延びることができる。
【0094】
ジャケット1107の内面は容器1100のライフサイクルの間中、外側ジャケット1107が特定のバイアルに関連付けられたままである実施態様では、バイアルの外面に、例えば摩擦嵌め、熱嵌め、および/または接着剤を介して取り付けることができる。いくつかの実施態様では、例えば、外側ジャケット1107が2つ以上のバイアル1104と関連付けられる場合(またはその逆)、外側ジャケット1107の取り外しおよび交換を可能にするために、ジャケット1107の内側表面をバイアル1104の外側表面に取り外し可能に取り付けることができる。そのような場合、バイアル1104と外側ジャケット1107との間に弾性圧縮嵌合および/または摩擦嵌合があってもよい。実施態様では、ジャケット1107の内面および/またはバイアル1104の外面が弾性的に圧縮してバイアル1104と外側ジャケット1107との間に圧縮嵌めを形成する変形可能な突起(図示せず)を含むことができる。実施態様では、ジャケット1107の内面および/またはバイアル1104の外面がバイアル1104を外側ジャケット1107内に固定するために(すなわち、言い換えれば、外側ジャケットをバイアルに固定するために)、対向するねじ山または隆起部を含むことができる。実施形態では、外側ジャケット1107がバイアル1100とは別個に製造されてもよく、例えば、既存のバイアル1104に後付けされてもよい。
【0095】
外側ジャケット1107は、バイアル1104の外面がそれを通して見える開口1151(図29および30を参照のこと)を有し得、それによって、バイアル1104が透明または半透明である実施形態において、バイアル1104の内容物が見られることを可能にする。開口1151は外側ジャケット1107の縦軸に沿った方向に延びる長い側面と、外側ジャケット1107の縦軸に横断し、バイアルの円周の周りにカーブする方向に延びる短い側面とを有し得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、アーム1152の配列は、外側ジャケット1107の長手方向にジャケット1107の底部開口から延在して、外側ジャケット1107の長手軸(図29、30、および35参照)に対して横断方向である平面に配向されたプラットフォーム1150、例えば中実でディスク形状のプラットフォームを支持してもよい。例えば、外側ジャケット1107の円周の周りに90度離れた位置に4つのアーム1152があってもよい。アーム1152およびプラットフォーム1150はプラットフォーム1150の内面がジャケット1107の底部内面を形成するように、位置決めされ、サイズ決めされてもよい。ジャケット1107の底部内面はバイアルが外側ジャケット1107内に受容されるときに、バイアル1104の底部と接触してもよく、またはほぼ接触してもよい。プラットフォーム1150はアーム1152の端部に取り付けられてもよく、または、例えば、熱可塑性プラスチック製造プロセスにおいて、アーム1152と一体的に形成されてもよい。
【0097】
容器1100は、1つまたは複数の無線トランスポンダ1108a、1108b、1108c(集合的に1108)を含むことができる。図1の文脈で先に議論したように、無線トランスポンダ1108は例えば、能動、受動、またはバッテリ支援無線周波数識別(RFID)トランスポンダおよび/またはマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)トランスポンダなどの様々な形態をとることができる。無線トランスポンダ1108の各々は固有の識別子を符号化することができ、例えば後方散乱を介して、固有の識別子を符号化する応答信号を用いて無線問合信号に応答することができる。ある実施形態(又は、実装/implementation)では、特定の容器1100に関連する無線トランスポンダ1108のすべては容器1100を一意に識別する識別子で互いに同じ識別子を符号化してもよい。あるいは、非一時的プロセッサ可読媒体が同一のそれぞれの容器1100に関連する無線トランスポンダ1108に対応する固有識別子間の関係を記憶することができる。無線トランスポンダ1108は低温(例えば、マイナス150℃;マイナス196℃)に耐え、動作を継続することができる。無線トランスポンダ1108は応答を提供するために、例えば、後方散乱を介して、問合信号(又は、問い合わせ信号)からの電力に依存する受動無線トランスポンダの形態をとることができる。
【0098】
図34は、少なくとも1つの実施形態による、容器1100の外側ジャケット1107の下端でプラットフォーム1150上に固定された第1の無線トランスポンダ1108aを示す容器1100の底面図である。第1の無線トランスポンダ1108aはプラットフォーム1150の外面上に固定されてもよく、トランスポンダ1108aは例えば、それぞれのトランスポンダ回路1139a(例えば、図4に示すような、無線、送信機、後方散乱回路)に結合された第1のアンテナ1138a(例えば、パッチアンテナ、コイルアンテナ、スパイラルアンテナ、平面逆Fアンテナなどのマイクロストリップまたはプリントアンテナ)を含む。第1のアンテナ1138aは、典型的には外側ジャケット1107の長手方向軸に平行な方向の第1のアンテナ1138aの放射プロットのメインローブと整列したビーム軸を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、プラットフォーム1150自体の少なくとも一部が例えば、アーム1152の配列(又は、構成/arrangement)に取り付けられ、第1の無線トランスポンダ1108aとして機能する無線周波数識別(RFID)ボタンセル(例えば、図4を参照)の形態をとることができる。場合によっては、プラットフォームの一部、例えば、上述したプラットフォーム1150の厚さよりも薄いディスク状プレートは、アーム1152の配列に取り付けられることができ、その上に取り付けられたRFIDボタンセルを有し得る。これらの構成のいずれにおいても、すなわち、トランスポンダがプラットフォーム上に固定されるか、またはプラットフォーム自体の少なくとも一部分がRFIDボタンセルである場合、第1の無線トランスポンダ1108aはバイアル1104の底部に形成された凹部内に受け入れられるか、または位置決めされるか、あるいはバイアル1104に直接固定されるのではなく、外側ジャケット1107の構造に固定される。
【0100】
いくつかの実施形態では第1のアンテナ1138aの回路、および場合によってはトランスポンダ回路1139aは容器1100の底部に見えるように機械可読記号および/または人間可読情報が形成された非導電性ラベル1144a(図29および図30参照)によって少なくとも部分的に覆われてもよい。いくつかの実施形態では、無線トランスポンダが存在せずに、機械可読記号が形成されたラベル1144aをプラットフォーム1150の外面に貼付することができる。ラベル1144aは後の時点で、例えば、接着剤裏剤(又は、バッキング)を有するキャリア、または接着剤、例えばエポキシを使用して取り付け可能なキャリアなどの上に形成された回路などの取り付け可能な無線トランスポンダ回路によって少なくとも部分的に覆われてもよい。エポキシは第1の無線トランスポンダ1108aをカプセル化してもよく、またはプラットフォーム1150とエポキシとの組み合わせは第1の無線トランスポンダ1108aをカプセル化してもよく、それにより、それにしっかりと取り付け、環境保護を提供してもよい。あるいは、第1の無線トランスポンダ1108aがプラットフォーム1150自体の一部に成形または封入(又は、カプセル化)されてもよい。
【0101】
図35は少なくとも1つの実施形態による、第2の無線トランスポンダ1108bを覆うか、またはその近くに配置されてもよい、外側ジャケット1107の側面に固定されたラベル1144を示す、容器1100の側面図である。第2の無線トランスポンダ1108bはそれぞれのトランスポンダ回路1139bに結合されるそれぞれのアンテナ1138b(例えば、第2のアンテナ)を有する。第2のアンテナ1138bは、第2のアンテナ1138bの放射プロットのメインローブに位置合わせされた(又は、と整列された/一線上にそろえられた)ビーム軸を有する。第2の無線トランスポンダ1108bは、そのビーム軸が第1のアンテナ1138aのビーム軸に対して垂直に延びる状態で、外側ジャケット1107に固定される。実施態様では、第2の無線トランスポンダ1108bは無線周波数識別(RFID)タグの形態をとることができる。RFIDタグは、第2のアンテナ1138bおよび関連するトランスポンダ回路1139bを担持するフレキシブルな基板またはキャリアを有し得る。RFIDタグは、外側ジャケット1107の外周に少なくとも部分的に巻き付けることができる。第2の無線トランスポンダ1108bは例えば、エポキシまたは他の接着剤を介して、外側ジャケット1107の一部に固定されてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、第2のアンテナ1138bおよびトランスポンダ回路1139bの回路は、(たとえば、図1に関して上述した種類の)機械可読記号および/または人間可読情報がその上に形成されたラベル1144(たとえば、非導電性材料で形成されたラベル)によって少なくとも部分的に覆われ、たとえば、容器1100の長手方向に延在して容器1100の側面上で見えるようにすることができる。いくつかの実施形態では、無線トランスポンダが存在せずに、機械可読記号が形成されたラベルをプラットフォーム1150の外面に固定することができる。ラベルは例えば、接着剤裏材を有するキャリア、または接着剤、例えばエポキシを使用して取り付け可能なキャリアの上に形成された回路などの取り付け可能な無線トランスポンダ回路によって、後の時点で少なくとも部分的に覆われてもよい。
【0103】
エポキシは第2の無線トランスポンダ1108bをカプセル化してもよく、またはジャケット1107とエポキシとの組み合わせは第2の無線トランスポンダ1108bをカプセル化してもよく、それにより、それにしっかりと取り付け、環境保護を提供してもよい。あるいは、第2の無線トランスポンダ1108bが外側ジャケット1107自体の一部分に少なくとも部分的に成形または封入(又は、カプセル化)されてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、機械可読記号が例えばエポキシによって、バイアル1104、キャップ1106、および/または外側ジャケット1107の他の部分に固定されてもよい。少なくともいくつかの実装形態では、機械可読記号が無線トランスポンダ1108に一体化されてもよく、例えば、印刷され、エンボス加工され、刻まれ、または他の方法で適用されてもよい。
【0105】
上述のように、第1のアンテナ1138aはジャケット1107の底部端部のプラットフォーム1150の外側表面上に固定されてもよく、その場合、第1の無線トランスポンダ1108aの第1のアンテナ1138aのビーム軸は外側ジャケット1107の長手方向軸に沿った方向でプラットフォーム1105の平面に直交する方向に延びる。上述のように、第1および第2の無線トランスポンダ1108a、1108bを、別個の異なる基板として提供することによって、ビーム軸が互いに直交することを確実にするように外側ジャケット1107の形状および特徴が有利に採用され得る。そのような配置および位置決めは、例えば、極低温冷却容器内に保管されたときに、バイアルの下からの問い合わせまたは読み取りを容易にすることができる。
【0106】
図36は、少なくとも1つの実施形態による、キャップ1106の上面1124に固定された第3の無線トランスポンダ1108cを示す容器1100の上面図である。第3の無線トランスポンダ1108cはキャップ1106の外面、例えば上面1124上に固定されてもよく、トランスポンダはそれぞれのトランスポンダ回路1139c(例えば、(図4に示されるような無線、送信機、後方散乱回路)に結合されるアンテナ1138c(例えば、第3のアンテナ)を含む。第3のアンテナ1138cは、典型的には外側ジャケット1107の長手方向軸に平行な方向であり得る第3のアンテナ1138cの放射プロットのメインローブに整列したビーム軸を有する。第3のアンテナ1138cのビーム軸の方向は第1のアンテナ1138aのビーム軸の方向と整列(又は、一致)するが、第1のアンテナ1138aのビーム軸の方向とは反対の方向、すなわち、第3のアンテナ1138cのビーム軸は容器1100の頂部から離れた方向を指向し、一方、第1のアンテナ1138aのビーム軸は容器1100の底部から離れた方向を指向する。いくつかの実施形態では、無線周波数識別(RFID)ボタンセル(例えば、図4を参照)をキャップ1106の上面1124に取り付けて、第3の無線トランスポンダ1108cとして機能させることができる。第3の無線トランスポンダ1108cは上述したように、バイアル1104または外側ジャケット1107に直接固定されるのではなく、キャップ1106の構造に固定される。したがって、キャップ1106が試料ホルダ1102に固定される。したがって、第3の無線トランスポンダ1108c(およびその関連する識別情報)は特定の試料に関連付けられたままであり、すなわち、通信可能に結合されたままであり、これは、動作上の利点をもたらすことができる。
【0107】
実施態様では、第3のアンテナ1138cおよびトランスポンダ回路1139cの回路が容器1100の上部に見えるように、機械可読記号が形成された非導電性ラベルによって少なくとも部分的に覆われてもよい。実施態様では、無線トランスポンダが存在せずに、機械可読記号が形成されたラベル(図示せず)がキャップ1106の外面(例えば、上面1124)に貼付され得る。ラベルは例えば、接着剤裏材を有するキャリアまたは接着剤、例えばエポキシを使用して取り付け可能なキャリアの上に形成された回路などの取り付け可能な無線トランスポンダ回路によって、後の時点で少なくとも部分的に覆われてもよい。エポキシが第3の無線トランスポンダ1108cを封止し、またはキャップ1106とエポキシとの組合せが第3の無線トランスポンダ1108cを封止して、それにより、それにしっかりと取り付け、環境保護を提供してもよい。あるいは、第3の無線トランスポンダ1108cがキャップ1106自体の一部に成形または封入(又は、カプセル化)されてもよい。
【0108】
無線トランスポンダをキャップの一部に物理的に取り付けることは、細長い試料ホルダ(例えば、スパチュラ、スティック、またはストロー)が単一の一体構造として、または接着剤または溶接(例えば、高周波または高周波溶接、超音波溶接)を介して、キャップに固定される場合に特に有利であり得る。そのような実施態様では固有の識別情報(例えば、固有の識別子)を符号化する無線トランスポンダはキャップを介して細長い試料ホルダに取り外し不能または永久的に物理的に結合され、したがって、細長い試料ホルダおよび/または試料がバイアルから引き出される場合であっても、取り外し不能または永久的に試料に物理的に関連付けられ得る。
【0109】
容器1100は、1つ以上のセンサ1110(図35を参照のこと)を含み得るか、または支持し得る。図1に関して上述したように、センサ1110は例えば、測定値または感知された状態の他の指標を無線で送信するためのアンテナおよびトランスポンダ回路を含む無線センサなど、様々な形態をとることができる。センサ1110は例えば、エポキシまたは他の接着剤を介して、バイアル1104、キャップ1106、および/または外側ジャケット1107の一部に固定されてもよい。エポキシはセンサ1110を封入(又は、カプセル化)することができ、あるいは、エポキシとセンサ1110が固定される構造との組合せはセンサ1110を封入することができ、それにより、それにしっかりと取り付け、環境保護を提供し得る。いくつかの実施形態では、センサ1110がバイアル1104、キャップ1106、および/または外側ジャケット1107の一部分に成形または封入されてもよい。1つまたは複数のセンサは、無線トランスポンダ1108と一体であってもよく、または無線トランスポンダ1108とは別個で相違してもよい。
【0110】
本明細書に記載される様々な構造は標準化されたフォーマット(例えば、American National Standards Institute(ANSI)フォーマット、Society for Biomolecular Screening(SBS)フォーマット、Society for Laboratory Automation and Screeningフォーマット)に従う寸法を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、レセプタクルのアレイまたは他の記載された構造が自動化された保管施設での使用を容易にするために、SBSフォーマットのラックに適合するフットプリント(又は、設置面積/footprint)を有することができる。
【0111】
本明細書に記載された様々な構造は多種多様な材料のいずれかから構成されてもよいが、無線またはマイクロ波周波数通信と干渉する材料は典型的には回避され、そのような材料は無線トランスポンダのアンテナおよび/またはそのような無線トランスポンダと通信するために使用されるインタロゲータまたはリーダーの予想位置から十分(例えば、3mm)に離される。さらに、本明細書で説明される様々な構造は2次元平面(例えば、水平面またはXY面)における位置決めまたは間隔を確立するだけでなく、第3の次元(例えば、垂直軸またはZ軸)における位置決めまたは間隔も確立する。本明細書に記載される構造の少なくともいくつかは、コンテナの所与の位置(例えば、ボタンコインRFIDトランスポンダを有する底面)がキャリア200、300、400の外部の所与の距離または範囲(例えば、20mm;15mm)内、および/またはキャリア200、300、400が読取り位置に配置されるときに問い合わせ器(又は、インタロゲータ)またはリーダーのアンテナが置かれる位置(例えば、低温冷却器の近くに配置されるインタロゲータステーションまたはリーダーステーション)において間隔を置くことを確実にするように容器100を支持する。
【0112】
エアロゲルを使用するものとして本明細書に記載される様々な構造は、いくつかの実施態様ではエアロゲルから構成することができる。他の実施態様では、そのような構造が1つまたは複数の他の構成要素と共にエアロゲルを含むことができる。例えば、いくつかの構造はエアロゲルでドープされたプラスチック(例えば、ポリプロピレン)を使用することができ、これは、構造の寸法安定性を有利に高めることができる。例えば、アレイ又はカセットは、複数の容器を保持するような大きさ及び形状にされた開口のアレイを有するアルミニウムバケットと、複数の容器を保持するような大きさ及び形状にされた開口のアレイを有するエアロゲルでドープされたプラスチックの上部スペーサと、アルミニウムバケット及び上部スペーサを少なくとも部分的に取り囲むエアロゲルでドープされたプラスチックの外側スリーブとを含むことができる。
【0113】
上述の様々な実装および実施形態は、さらなる実装および実施形態を提供するために組み合わせることができる。本明細書に言及され、および/または2019年9月13日に出願された米国特許出願62/900,281、2019年7月31日に出願された米国特許出願62/880,786、2019年7月26日に出願された米国特許出願62/879,160、2018年10月5日に出願された米国特許出願62/741,986、および2018年10月5日に出願された米国特許出願62/741,998を含むがこれらに限定されない、共通に譲渡された米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、および外国特許出願のすべてがそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。上記の詳細説明に照らして、上記の及び他の変形がそれらの実施形態に対して行われることが可能である。
【0114】
上記の詳細な説明に照らして、実施形態に様々な変更を加えることができる。例えば、断熱体はエアロゲルから構成されてもよく、またはエアロゲルおよび別の非エアロゲル断熱体(例えば、プラスチック)を含んでもよい。いくつかの実施態様では、断熱体が保護シェル(例えば、プラスチックシェル)またはハウジングによって収容されたエアロゲルを含むことができる。1つ以上の断熱構造、例えば、1つ以上の断熱部(例えば、真空または真空に近いキャビティを画定する壁、または不活性ガス、または非不活性ガスさえも保持する壁)が、追加的または代替的に使用されてもよい。
【0115】
一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語が特許請求の範囲を、明細書および特許請求の範囲に開示された特定の実施形態および実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、すべての可能な実施形態および実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
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図20
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図35
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【国際調査報告】