(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】3次元物体、3次元付加製造システム及び3次元物体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/223 20170101AFI20220105BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220105BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220105BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20220105BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220105BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20220105BHJP
B29C 64/236 20170101ALI20220105BHJP
B29C 64/232 20170101ALI20220105BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20220105BHJP
【FI】
B29C64/223
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y80/00
B33Y50/02
B29C64/393
B29C64/236
B29C64/232
B29C64/112
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518732
(86)(22)【出願日】2019-10-07
(85)【翻訳文提出日】2021-04-05
(86)【国際出願番号】 US2019055061
(87)【国際公開番号】W WO2020076734
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520272949
【氏名又は名称】サクウ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エウゲン ログレン
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP06
4F213AR07
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL73
4F213WL74
4F213WL85
(57)【要約】
【課題】魅力的な3D印刷システムを提供する。
【解決手段】3次元付加製造システムの第1および第2のプリンタモジュールは、第1および第2のキャリア基板上に、それぞれ、第1のパターン化された単層物体および第2のパターン化された単層物体を順次形成する。パターン化された単層物体は、アセンブリステーションのアセンブリプレート上の三次元物体に組立てられる。コントローラは、プリンタモジュールに形成されたパターン化された単層物体の順序およびパターン、ならびに第1のパターン化された単層物体および第2のパターン化された単層物体のアセンブリプレート上の3次元物体への組立の順序を制御する。第1の移送モジュールは、第1のパターン化された単層物体を、第1のキャリア基板から第1の移送ゾーンにあるアセンブリ装置に移送し、第2の移送モジュールは、第2のパターン化された単層物体を、第2のキャリア基板から第2の移送ゾーンにあるアセンブリ装置に移送する。第1および第2のプリンタモジュールは、それぞれ第1および第2の堆積条件下で第1および第2の材料を堆積させるように構成される。第1および第2の材料は異なり、および/または第1および第2の堆積条件は異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元付加製造システムであって、
第1のキャリア基板と、
第2のキャリア基板と、
第1のキャリア基板上に一連の第1のパターン化された単層物体を形成するための第1のプリンタモジュールと、
第2のキャリア基板上に一連の第2のパターン化された単層物体を形成するための第2のプリンタモジュールと、
アセンブリプレートを含むアセンブリステーションとを備え、
前記第1のパターン化された単層物体および前記第2のパターン化された単層物体は、前記アセンブリプレート上の3次元物体に組み込まれるものであり、
前記3次元付加製造システムは、さらに、
第1のパターン化された単層物体を、第1のキャリア基板から第1の移送ゾーンにあるアセンブリステーションに移送するための第1の移送モジュールと、
第2のパターン化された単層物体を、第2のキャリア基板から第2の移送ゾーンにあるアセンブリステーションに移送する第2の移送モジュールと、
コントローラとを備え、
前記コントローラは、(1)第1のプリンタモジュールに形成された第1のパターン化された単層物体の順序およびパターン、(2)第2のプリンタモジュールに形成された第2のパターン化された単層物体の順序およびパターン、および(3)第1のパターン化された単層物体および第2のパターン化された単層物体のアセンブリプレート上の3次元物体への組立の順序を制御するものであり、
第1のプリンタモジュールは、第1の堆積条件下で第1の材料を堆積するように構成され、
第2プリンタモジュールは、第2の堆積条件下で第2の材料を堆積するように構成され、第2の材料の少なくとも1つは第1の材料と異なり、第2の堆積条件は第1の堆積条件とは異なる、3次元付加製造システム。
【請求項2】
前記第1のプリンタモジュールは、ジェットバインダプリンタを含む、請求項1に記載の三次元付加製造システム。
【請求項3】
前記第2のプリンタモジュールは、ジェットバインダプリンタを含む、請求項2に記載の三次元付加製造システム。
【請求項4】
前記第2のプリンタモジュールは、電子写真プリンタを含む、請求項1に記載の3次元付加製造システム。
【請求項5】
前記第2の堆積条件が前記第1の堆積条件と異なる場合に、前記第1の堆積条件は25μm~2,000μmの範囲の堆積層厚さを含み、前記第2の堆積条件は、3μm~75μmの範囲の堆積層厚さを含む、請求項1に記載の三次元付加製造システム。
【請求項6】
前記第2の堆積条件が前記第1の堆積条件と異なる場合、前記第1の堆積条件は25μm~4,000μmの範囲のボクセル解像度を含み、前記第2の堆積条件は、3μm~150μmの範囲のボクセル解像度を含む、請求項1に記載の3次元付加製造システム。
【請求項7】
前記第2の材料が前記第1の材料と異なる場合、前記第1のパターン化された単層物体は第1の材料特性を特徴とし、前記第2のパターン化された単層物体は、前記第1の材料特性とは値が異なる第2の材料特性を特徴とする、請求項1に記載の三次元付加製造システム。
【請求項8】
前記第1の材料特性および前記第2の材料特性の一方が0%~10%の範囲の気孔率であり、前記第1の材料特性および前記第2の材料特性の他方が、25%~75%の範囲の気孔率である、請求項7に記載の三次元付加製造システム。
【請求項9】
第3のキャリア基板上に一連の第3のパターン化された単層物体を形成するための第3のプリンタモジュールと、
第3のパターン化された単層物体を、第3のキャリア基板から第3の移送ゾーンにあるアセンブリステーションに移送するための第3の移送モジュールとをさらに備え、
第1のパターン化された単層物体、第2のパターン化された単層物体、及び第3のパターン化された単層物体は、アセンブリプレート上の三次元物体に組み立てられるものであり、
前記コントローラは、さらに、(1)第3のプリンタモジュールに形成された第3のパターン化された単層物体の順序およびパターン、(2)第1のパターン化された単層物体、第2のパターン化された単層物体、および(3)第3のパターン化された単層物体のアセンブリプレート上の3次元物体への組立の順序を制御するものである、請求項1に記載の3次元付加製造システム。
【請求項10】
前記第1のキャリア基板および前記第2のキャリア基板のうちの少なくとも一方がベルトである、請求項1に記載の三次元付加製造システム。
【請求項11】
前記アセンブリステーションは、横方向ポジショナをさらに備え、前記横方向ポジショナは、前記アセンブリプレートを、前記第1移送ゾーンおよび前記第2移送ゾーンに関連するそれぞれの横方向位置にまで横方向に変位させるものである、請求項1に記載の三次元付加製造システム。
【請求項12】
前記アセンブリステーションは、前記アセンブリプレートを垂直方向に変位させるための垂直方向ポジショナをさらに備える、請求項1に記載の三次元付加製造システム。
【請求項13】
第1のキャリア基板及び第2のキャリア基板はそれぞれ、第1のパターン化された単層物体及び第2のパターン化された単層物体の各々に対する基準マーカーを含み、
アセンブリステーションは、基準マーカーをアセンブリプレートに位置合わせするためのアライメントセンサを含む、請求項1に記載の三次元付加製造システム。
【請求項14】
3次元物体を製造する方法であって、
コントローラによって命令された順序およびパターンに従って、第1のプリンタモジュールにおいて第1のキャリア基板上に第1のパターン化された単層物体を順次形成するステップと、
コントローラによって命令された順序およびパターンに従って、第2のプリンタモジュールにおいて第2のキャリア基板上に第2のパターン化された単層を順次形成するステップと、
第1のパターン化された単層物体を、第1のキャリア基板から第1の移送ゾーン内のアセンブリステーションに移送するステップと、
第2のパターン化された単層物体を、第2のキャリア基板から第2の移送ゾーンのアセンブリステーションに移送するステップと、
コントローラによって指示された組立順序に従って、第1のパターン化された単層物体および第2のパターン化された単層物体をアセンブリステーションのアセンブリプレート上の3次元物体に組立てるステップとを備え、
前記第1のプリンタモジュールは、第1の堆積条件下で第1の材料を堆積し、
前記第2のプリンタモジュールは、第2の堆積条件下で第2の材料を堆積し、
前記第2の材料の少なくとも1つは、第1の材料からであり、第2の堆積条件は第1の堆積条件とは異なる、3次元物体を製造する方法。
【請求項15】
前記第1のプリンタモジュールは、ジェットバインダプリンタを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のプリンタモジュールは、ジェットバインダプリンタを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のプリンタモジュールは、電子写真プリンタを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の堆積条件が前記第1の堆積条件と異なる場合に、前記第1の堆積条件は25μm~2,000μmの範囲の堆積層厚さを含み、前記第2の堆積条件は、3μm~75μmの範囲の堆積層厚さを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の堆積条件が前記第1の堆積条件と異なる場合、前記第1の堆積条件は25μm~4,000μmの範囲のボクセル解像度を含み、前記第2の堆積条件は、3μm~150μmの範囲のボクセル解像度を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の材料が前記第1の材料と異なる場合、前記第1のパターン化された単層物体は第1の材料特性を特徴とし、前記第2のパターン化された単層物体は、前記第1の材料特性とは値が異なる第2の材料特性を特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の材料特性および前記第2の材料特性のうちの一方が0%~10%の範囲の気孔率であり、前記第1の材料特性および前記第2の材料特性のうちの他方が、25%~75%の範囲の気孔率である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第1のパターン化された単層物体を第1のキャリア基板から第1の移送ゾーン内のアセンブリステーションに移送するステップは、アセンブリプレートを、第1の移送ゾーンに関連した横方向位置にまで横方向に変位させることを含み、
第2のパターン化された単層物体を第2のキャリア基板から第2の移送ゾーン内のアセンブリステーションに移送するステップは、アセンブリプレートを、第2の移送ゾーンに関連した横方向位置にまで横方向に変位させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
順次の組立が、少なくとも1つの第1のパターン化された単層物体及び少なくとも1つの第2のパターン化された単層物体を3次元物体の単層に組立てることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
複数の層を備え、
前記複数の層の少なくとも一つの層は、第1の材料特性を特徴とする第1のパターン化された単層物体と、第1の材料特性とは値が異なる第2の材料特性を特徴とする第2のパターン化された単層物体とを備える、3次元物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年10月7日に出願された米国特許出願第16/595,265号の優先権を主張する。この米国特許出願は、2018年10月8日に出願された米国特許仮出願第62/742,505号、名称「多方式3次元プリンタ」の優先権を主張する。上記出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の属する技術分野]
本発明は、3次元印刷のためのシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0003】
3次元付加製造(3D印刷)は、30年以上前に最初に考えられて以来、より迅速でより経済的な製造アプローチの可能性に高度の関心をもたらしてきた。しかし、今日まで、その可能性はほとんど満たされていない。今日、大多数の3Dプリンタは、主にプラスチック材料から、デモンストレーション部品または非機能性プロトタイプを作製するために使用されている。プラスチック材料は、最終部品の材料要件から選ばれているというよりもむしろ、主にプリンタとの適合性のために選択される。
【0004】
商業的に実行可能な製造方法としての3D印刷のより広範な受け入れを妨げる問題の中には、これらの用途に適合する特定の材料に対する特定の用途の要件がある。別の問題は、部品の残りのバルクと比較して、部品のいくつかのセクションの精度を高める必要があることである。現在の技術では、精度を向上させる必要性から、要求される精度を提供することができる3D印刷技術の選択を強制される。このことは、典型的には結果として、精度の低い方法よりも遅い形成速度となってしまう。これらのより遅い形成速度は、部品の総体積に適用されるならば、最終部品のコストに著しい影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
3D印刷は、材料をより効率的に使用し、最終的な物体の重量をより少なくして、3次元物体を製造する可能性を保持するが、従来の大部分の3D印刷技術は、一度に1つのボクセル(voxel)を、適所に堆積または固定する。溶融堆積モデリング(FDM)タイプの共通3Dプリンタは、溶融ポリマーのラインを押し出す。利用可能な材料セットによって厳しく制限されることに加えて、FDMもまた非常に遅い。指向性エネルギープリンタは、材料の層に相変化を生じさせる。相変化は、コンピュータにガイドされたレーザまたは電子ビームによる焼結または溶融によってもたらされるし、または選択された電磁放射線への指向性露出による重合によってもたらされ得る。指向性エネルギープリンタは、クラスとして、利用可能な材料セットを大幅に拡張し、迅速に配置された材料の層の上で動作するという事実のために、FDMプリンタよりも高速である可能性を有する。現在の3Dプリンタ技術のうち、材料の選択に最も柔軟性があり、最も速い速度を有するプリンタは、ジェットバインダ技術を採用するものである。これらのプリンタは、粉末の全層を迅速に堆積させ、次いで、インクジェットタイプの印刷ヘッドを介して結合剤を堆積させることによって、粉末中にパターンを定着させる。その結果、FDMプリンタよりも少なくとも1桁大きい速度で、幅広い種類の材料から目的物体を製造するシステムが得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
全体として、ジェットバインダプリンタは、現在の技術の中で最良であるが、物体に単一の材料のみを組み込むことができる。それらは単位時間当たりに大量の材料のパターニングを可能とするが、そのようなシステムで達成可能な最小の実用的な層の厚さは、典型的には、約25μmである。この制限はまた、印刷層の精度を制限する。
【0007】
電子写真のような印刷技術は、非常に高い精度で広い領域を非常に迅速に印刷することを可能にするが、非常に薄い層を印刷することに限定されている。電子写真の質量堆積速度が比較的遅く、電子写真システムの複雑さが加わるため、物体内の全てのボクセルが電子写真技術で形成されるのであれば、3D印刷システムは魅力的なものでなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、多材料多方式プリンタシステムとして本明細書に記載される3次元付加製造システムを対象とする。プリンタシステムは、プリンタモジュールのシステムを備える。すべてのモジュールは、中央コンピュータシステム(コントローラと呼ばれることもある)によって指示されて、必要に応じてモジュールを調整し、全体の構築速度を最大にしながら、適切な材料を必要な精度で単一の構築位置に堆積させるようにする。高い構築速度が経済的な操作に不可欠であるので、各モジュールに好ましい基本技術は、ジェットバインダである。ジェットバインダ技術が特定のボクセルに必要な特性を提供しない場合、プリンタモジュールは、より適切な技術に基づくことができる。例えば、指向性エネルギビームプリンタまたは電子写真プリンタを使用することができる。
【0009】
一実施形態では、ジェットバインダ技術を組み込んだプリンタモジュールが、他の技術に基づいたプリンタモジュールと組み合わされる。2018年6月7日に出願された「多材料3Dプリンタ」という名称の米国仮特許出願62/682,067、および2018年10月22日に出願された「多材料3次元プリンタ」という名称の米国特許出願16/167,088に記載されている多材料3Dプリンタは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるが、本発明の多材料多方式3Dプリンタのプリンタモジュールに組み込まれるジェットバインダ技術の1つを表す。
【0010】
上述の問題に対する解決策は、用途に必要な材料、および部品内の特定のボクセルに必要な精度に最適化された印刷技術を採用する能力である。本発明の実施形態は、複数の材料プリンタモジュールを含む3D印刷システムを提供することによる解決策を提供し、これらのモジュールの各々は、目的用途の特定のボクセルに必要とされる精度で特定の材料または材料のグループを堆積する能力のために選択される。
【0011】
本発明の一態様によれば、ジェットバインダ印刷システムが開示される。このシステムは、複数のパターン化された単層の物体が形成されるキャリア基板を含む。パターン化された単層物体は、キャリア基板上で互いから分離される。キャリア基板は進行方向に沿って変位されるものである。分配モジュールは、キャリア基板上に流動化粒子を分配し、材料層を形成する。圧縮モジュールは、進行方向に沿って分配モジュールから下流に配置されて、材料層の圧縮を所定の圧縮範囲にまで高める。バインダプリンタは、進行方向に沿って圧縮モジュールから下流に配置され、所定のパターンに従って材料層上にバインダ材料を印刷する。融解モジュールは、進行方向に沿ってバインダプリンタから下流に配置され、所定のパターンに従って材料層の選択的融解を生じさせる。材料除去モジュールは、進行方向に沿って融解モジュールから下流に配置され、パターン化された単層物体のうちの1つを形成するために材料層の非融着部分を除去する。移送モジュールは、材料除去モジュールから進行方向に沿って下流に配置され、パターニングされた単層物体のうちの1つを、キャリア基板からアセンブリプレートに移送する。アセンブリステーションは、アセンブリプレートを備える。パターン化された単層物体が、パターン化された単層物体を含む物体の所定の順序に従って、アセンブリプレート上の積み重ねに組み立てられる。コントローラは、所定の順序および所定のパターンを制御する。
【0012】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、キャリア基板はベルトであってもよい。
【0013】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、キャリア基板は、材料層がその上に形成される接着力制御層をさらに含んでもよい。
【0014】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、分配モジュールが、キャリア基板上に分配される流動化粒子の量を正確に計量するように構成された分配コントローラを備えてもよい。
【0015】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、分配モジュールが、キャリア基板上に流動化粒子を広げるためのローラを備えてもよい。
【0016】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、圧縮モジュールが、コンプライアント圧力カフ又は圧力プレートアセンブリを含むことができる。
【0017】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、圧縮機モジュールが、流動化粒子の沈降を引き起こすための振動エネルギ源を含むことができる。
【0018】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、バインダプリンタはインクジェット印刷ヘッドを含むことができる。
【0019】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、融解モジュールが、紫外線(UV)源、赤外線(IR)源、電子ビーム源、および熱源から選択されるエネルギー源を含むことができる。
【0020】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、融解モジュールは、バインダ材料および流動化粒子と反応して流動化粒子を固定化する反応剤を分配する反応剤ディスペンサを含んでもよい。
【0021】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、材料除去モジュールは、機械的破壊機を備えてもよい。
【0022】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、材料除去モジュールはエアナイフを含むことができる。
【0023】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、材料除去モジュールは、真空ポートを備えることができる。
【0024】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、組立ステーションが、アセンブリプレートを横方向に変位させるための横方向ポジショナをさらに備えることができる。
【0025】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、組立ステーションが、アセンブリプレートを垂直方向に変位させるための垂直ポジショナをさらに備えることができる。
【0026】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、キャリア基板はパターン化された単層物体の各々についての基準マーカーを備えることができ、組立ステーションは、基準マーカーを組立プレートに位置合わせするためのアライメントセンサを備えることができる。
【0027】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、コントローラは、各材料層の所定の圧縮範囲をさらに制御してもよい。
【0028】
上述のジェットバインダ印刷システムにおいて、移送モジュールが加圧ローラまたは加圧プレートを備えることができる。
【0029】
本発明の他の態様によれば、3次元物体を製造する方法が開示される。この方法は、所定の順序及び所定のパターンに従って、パターン化された単層物体を繰り返し形成する工程と、アセンブリプレート上にパターン化された単層物体を順次組立てて三次元物体にする工程とを備える。パターン化された単層物体の各々を形成する工程は、キャリア基板上に流動化材料を分配して材料層を形成することと、材料層を所定の圧縮範囲に圧縮することと、所定のパターンに従って材料層上にバインダ材料を印刷することと、所定のパターンに従って材料層を選択的に融解することと、材料層の非融着部分を除去してパターン化された単層物体の1つを形成することと、パターン化された単層物体の一つを、キャリア基板からアセンブリプレートに移送することとを含む。
【0030】
本開示は、添付の図面に関連する本開示の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に従った3次元付加製造システムのいくつかの主要構成要素のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に従った3次元付加製造システムのいくつかの構成要素間の関係および通信経路の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に従ったジェットバインダプリンタモジュールの構成要素間の関係および通信経路の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に従った汎用プリンタモジュールの構成要素間の関係および通信経路の概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に従ったジェットバインダプリンタモジュールを含む3次元付加製造システムのいくつかの構成要素を示す概略図である。
【
図5a】本発明の一実施形態に従ったジェットバインダプリンタモジュールを含む3次元付加製造システムのいくつかの構成要素を示す概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に従った流動化材料除去モジュールを示す概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態に従った移送モジュールを示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に従った移送モジュールを示す概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態に従った移送モジュールを示す概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態に従った移送モジュールを示す概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態に従った3次元付加製造システムの一構成を示す概略図である。
【
図12】本発明の一実施形態に従った3次元付加製造システムの別の構成を示す概略図である。
【
図13】本発明の一実施形態に従った3次元物体の製造方法のフロー図である。
【
図14】本発明の一実施形態に従ったジェットバインダプリンタモジュール内のパターン化された単層物体の製造方法のフロー図である。
【
図15】本発明の一実施形態に従った単層物体の三次元物体への組み立てを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は添付の図面を参照して説明され、同様の参照番号は同様または同等の要素を示すために図面全体にわたって使用される。図面は、一定の縮尺で描かれておらず、単に本発明を例示するために提供されているに過ぎない。本発明のいくつかの態様を、例示的に図示した例を参照して以下に説明する。本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細、関係、および方法が記載されていることを理解されたい。しかし、当業者は、本発明が1つ以上の特定の詳細なしに、または他の方法を用いて実施され得ることを容易に認識する。他の例では、本発明を曖昧にすることを避けるために、周知の構造または動作は詳細には示されていない。本発明は、いくつかの行為が異なる順序で、および/または他の行為または事象と同時に起こり得るので、行為または事象の図示された順序によって限定されない。さらに、本発明による方法を実施するために、すべての例示された動作または事象が必要とされるわけではない。
【0033】
3次元付加製造システムが開示される。第1および第2のプリンタモジュールは、それぞれ、第1および第2のキャリア基板上に第1のパターン化された単層物体および第2のパターン化された単層物体を続けて形成する。パターン化された単層物体は、アセンブリステーションのアセンブリプレート上の三次元物体に組立てられる。コントローラは、プリンタモジュールに形成されたパターン化された単層物体の順序(シーケンス)およびパターン、ならびに第1のパターン化された単層物体および第2のパターン化された単層物体のアセンブリプレート上の3次元物体への組立のシーケンスを制御する。第1の移送モジュールは、第1の移送ゾーンにおいて、第1のパターン化された単層物体を第1のキャリア基板からアセンブリステーションに移送し、第2の移送モジュールは、第2の移送ゾーンにおいて、第2のパターン化された単層物体を第2のキャリア基板からアセンブリステーションに移送する。第1および第2のプリンタモジュールは、それぞれ、第1および第2の堆積条件下で第1および第2の材料を堆積させるように構成される。第1および第2の材料は異なり、および/または第1および第2の堆積条件は異なる。
【0034】
[定義]
本開示全体を通して理解を容易にするために、特定の定義を以下に提供する。
【0035】
プリンタモジュール:キャリア基板上に印刷物体(単層物体とも呼ばれる)を作成するように構成されたパターニングおよび堆積システム。
【0036】
移送モジュール:プリンタモジュールから印刷された物体を受け取り、その印刷された物体を印刷部品の印刷層に移送するように構成された搬送システム。
【0037】
組立装置:複数の移送モジュールから印刷物体を受け取り、受け取った印刷物体を所定の順序(コントローラによって指示される)に従って、所定の設計に従って印刷部品を形成すべく組み立てるように構成されたシステム。
【0038】
印刷部品:印刷された層の積み重ねで、所定のデザインに準拠した部品(三次元物体)を形成するように融合される。
【0039】
印刷層:1つ以上の印刷物体からなる、1ボクセル厚の材料層。ここにおいて、印刷層は、特定の印刷部品デザインの要件に適合する。例えば、印刷層は2つの印刷された物体から成り、そのうちの第1のものは第1のプリンタモジュールで作られ、第2のものは第2のプリンタモジュールで作られる。
【0040】
印刷物体:プリンタモジュールで形成された、1ボクセル厚の材料層。単層物体とも呼ばれる。所定の順序に従って印刷部品(三次元物体)に組み立てて融解すると、得られた三次元物体は特定の印刷部品設計の要件に適合する。印刷物体(単層物体)のパターンは、印刷部品の所定の位置のパターンに適合する。
【0041】
先に移送された物体:印刷物体(単層物体)が現在移送されるよりも前に、アセンブリ装置で組み立てられた印刷物体の全体アセンブリ。現在移送されている印刷物体を最上層に追加することが可能であり、この場合、最上層は、印刷部品のデザインに従って必要とされる印刷物体の全てをまだ有していない。
【0042】
[複数のプリンタモジュール]
本発明の多材料多方式3Dプリンタシステムは、複数のプリンタモジュールの配置を含む。各プリンタモジュールは、精密で堅牢な印刷物体(単層物体)を作成するための機構を備える。各印刷物体は、所定の材料を含み、所定の組の物理的要件に適合することができる。複数のプリンタモジュールの各々は、複数の搬送モジュールのうちの1つに結合され、通信することができる。複数の搬送モジュールの各々は、キャリア基板を備え、その上に関連するプリンタモジュールが3D印刷物体を形成することができる。各搬送モジュールはさらに、印刷物体をアセンブリ装置に移送するための移送機構を備えてもよい。アセンブリ装置は、構築ステーションを備えてもよく、さらに付加的に位置決め装置を備えてもよい。構築ステーションは、組み立て装置と呼ばれることもある。
【0043】
[印刷部品を形成するように積み重ねられた印刷物体]
図1は、本発明の実施形態による三次元付加製造システム100を示す。
図1に示す構成要素は、
図2に示すコンピュータシステム10(コントローラ)によって指示されるように、残りの構成要素と協働して機能する。コンピュータシステム10は、設計ファイル310のプログラムによって指示される。設計ファイル310のプログラムは、3D多材料多方式プリンタシステム100の複数のコンポーネントに、構築されるべき所定の多材料印刷部品(3次元物体)を作成させるために中央処理装置320に必要なすべての情報を含む。
【0044】
図1に示すように、三次元付加製造システム100は、複数の堆積およびパターニング(印刷)モジュールA、複数の移送モジュールB、および複数の移送機構Cを含むことができる。移送機構Cの各々は、位置決めモジュール230に接続されている組立ステーション110に接続される。多材料多方式プリンタシステムのプリントモジュールAは、所定の材料において必要な物理的特性の印刷物体を作成する能力のために選択されてもよい。一実施形態では、プリンタシステムに組み込まれたプリンタモジュールの少なくとも半分が、ジェットバインダ技術に基づくようにしてもよい。
【0045】
複数の印刷物体は、各々、複数のプリンタモジュールのうちの1つから組立ステーション110に移送されて印刷層を形成する。複数の印刷層を、一つまたは複数の多材料印刷部品(三次元物体)を形成するために、一つを他の上に順次積み重ねることができる。
【0046】
位置決めモジュール230は、アセンブリ(またはビルド)ステーション110を、複数の移送機構Cのうちの任意の指定された1つに対して位置決めするために使用されてもよい。組み合わせると、ビルドステーション110および位置決め装置230は、アセンブリ装置を備える。
【0047】
[コンピュータシステム]
図2は、製造システム100を制御するための例示的なコンピュータシステムを示す。各印刷モジュールまたはステーションAは、関連する印刷ステーションコントローラ401、402、403を備える。
図2に示すように、印刷ステーションコントローラ401、402、403は、インタフェースバス350を介して中央処理装置320によって指示される。中央処理ユニット320はまた、組立装置Cの動作を調整することができる。コンピュータシステム10はまた、設計ファイル310および他の操作命令をロードするための入力装置302と、中央処理ユニット320による直接アクセスのための設計ファイルを格納するためのメモリ306と、出力装置304とを備える。
【0048】
図3は、個々のジェットプリンタステーションコントローラを示す。
図3に示すように、中央処理装置320は、ジェットバインダプリンタモジュールの構成要素に接続されている。印刷ステーション制御ユニット401は、複数の印刷ステーション制御ユニットのうちの1つを表し、デバイスコントローラ420を介して、ジェットバインダプリンタモジュールのキャリアデバイス200、分配デバイス20、圧縮デバイス30、印刷デバイス40、定着デバイス50、および流動化材料除去デバイス60の動作を指示する。
【0049】
図4は、ジェットバインダプリンタモジュール以外の3Dプリンタモジュールの制御構成を示す図である。基本的な印刷技術にかかわらず、中央処理装置320と印刷ステーション制御装置401との間のインターフェースは同一であってもよい。プリントステーション制御ユニットと、プリンタモジュールの構成要素1(451)、構成要素2(452)、および構成要素n(453)との間のインターフェースは、プリントモジュール性能の要件に基づいて性能を最適化するようにカスタマイズすることができる。いくつかの実施形態では、デバイスコントローラ420が、印刷ステーション制御ユニット401と個々の構成要素451、452、453との間の中間にあってもよい。別の実施形態では、印刷ステーション制御ユニット401が、個々の構成要素451、452、453と直接通信することができる。
【0050】
一実施形態では、各プリンタモジュールが専用コントローラによって制御されてもよく、各プリンタ制御モジュールは、中央処理装置によって調整されて、印刷層および印刷部品を組み立てるのに適した順序で印刷物体を作成してもよい。
【0051】
[3Dプリンタシステム]
図5は、3Dプリンタシステムの基本構成要素のいくつかを示す。簡単にするために、複数のプリンタモジュールAおよび移送モジュールBのうちの1つだけが
図5に示されている。
図5は、プリンタモジュールA、移送モジュールB、および組立装置Cの間の可能な関係をさらに示す。
【0052】
[ジェットバインダプリンタモジュール]
図5のプリンタモジュールAは、ジェットバインダプリンタモジュール1として表され、所定の物理的仕様に準拠して、単一の粉末材料から印刷物体を作成するための構成要素を備える。ジェットバインダプリンタモジュール1は、移送モジュールBのキャリア基板200上に印刷物体を作成することができる。
【0053】
[移送モジュール]
キャリア基板200に加えて、移送モジュールBは、1つまたは複数のバッファ装置212および210と、移送装置76とを備えることができる。キャリア基板200は、鋼合金、銅合金、またはポリマー材料などの機械的に安定な材料のエンドレスループ(エンドレスベルト)を含むことができるが、これらに限定されない。キャリア基板200はまた、キャリア基板200への印刷物の接着力を制御するために、材料でコーティングされた機械的に安定な材料を含んでもよい。キャリア基板200上にコーティングされた接着力制御材料は、現在の印刷物体の3D印刷材料のための所定の範囲内で印刷材料の接着力を制御するように選択されてもよい。接着力制御材料は例えば、シリコーン材料、フルオロポリマー材料、または金などの薄膜金属を含むことができる。
【0054】
別の実施形態では、
図5aに示すように、キャリア基板200は、ソースリール(供給リール)214から移送モジュールB内に取り込まれるある長さの機械的に安定な材料を含むことができる。供給リール214は移送モジュールAの先端部に提供され得る。印刷物体が移送領域240においてキャリア基板200から離れて移送された後、キャリア200の使用された長さは、巻き取りリール216上に蓄積され得る。
図5aのキャリア基板200は、キャリア基板200への印刷物体の接着力を制御するための材料でコーティングされた機械的に安定な材料を含んでもよい。キャリア基板200上にコーティングされた接着力制御材料は、現在の印刷物体の3D印刷材料のための所定の範囲内で印刷材料の接着力を制御するように選択されてもよい。接着力制御材料は、例えば、シリコーン材料、フルオロポリマー材料、または金などの薄膜金属を含むことができる。いずれの場合も、キャリア基板は、プリンタシステムが動作している間、移動方向に沿って変位される。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、ジェットバインダプリンタモジュール1は、キャリア基板200上に3D印刷物体を作成するために、移送モジュールBのキャリア基板200と通信することができる。
【0056】
移送モジュールBの先端部には、分配装置20を設けることができる。分配装置は、分配モジュールと呼ばれることもある。分配装置20は単に、流動化された材料を分配するように構成されたディスペンサとすることができる。分配装置20は、材料貯蔵部21と分配コントローラ22とを含むことができる。分配コントローラ22は、キャリア基板200上の流動化材料の量を正確に計量するように構成することができる。分配コントローラ22は、堆積された流動化材料の均一性を正確に制御するように構成することもできる。分配モジュールは、キャリア基板上に流動化粒子を広げるためのローラを含むことができる。
【0057】
移送モジュールBの先端部の近くに、圧縮装置30を設けることができる。圧縮装置は、圧縮モジュールと呼ばれることもある。圧縮モジュールは、進行方向に沿って、分配モジュールから下流側に配置される。いくつかの実施形態では、圧縮装置30が円筒管として設計された硬化金属材料で構成されたローラを含むことができる。他の実施形態では、圧縮装置30がコンプライアント圧力カフ、または堆積された流動化材料およびキャリア基板200の平面に直交する制御された圧力を印加するように構成された別の装置を含むことができる。圧縮装置30はまた、振動を提供するように構成された沈降装置を含むことができる。圧縮装置30の振動は、流動化材料の分布および圧縮を改善することができる。いくつかの実施形態では、圧縮装置30が流動化材料を、流動化材料の理論密度の少なくとも40%の高密度に圧縮するように構成することができる。
【0058】
[印刷装置]
キャリア基板200の先端部付近には、印刷装置40(バインダプリンタとも呼ばれる)を設けることができる。バインダプリンタは、移動方向に沿って圧縮モジュールの下流側に配置される。印刷装置40は、液体結合材料を堆積させて、所定のパターンを流動化物質に固定するように構成することができる。正確なパターンは、流動化材料を連結された堅牢な塊に結合することによって、流動化材料に固定されることができる。いくつかの実施形態では、印刷装置40を、
図2および
図3のコンピュータシステムの直接制御下にあるインクジェットタイプの印刷ヘッドとすることができる。コンピュータシステムは、一組のパターニング指令、例えば所定のCAD(コンピュータ支援設計)プログラムを使用して、指令され得る。
【0059】
印刷装置40は、キャリア基板200の幅にまたがるジェットノズルを備えたインクジェット式のプリントヘッドを含むことができる。インクジェットタイプのプリントヘッドは、所望の印刷解像度を達成するのに十分な密度で設けることもできる。インクジェット式ヘッドを所定の位置に固定することができ、各ジェットノズルの機能は、キャリア基板200の動きと協調して、流動化材料内に所望のパターンを作り出すことができる。印刷装置40に対するキャリア基板200の運動は、制御されたコンピュータシステム10として、近位バッファ212および印刷装置モータ250によって実施することができる。さらなるバッファを近位バッファ212と先端部バッファ210との間に配置して、現像中の3D印刷物とジェットバインダプリンタモジュール1の構成要素のいずれかとの間の相互作用をより正確に制御することができる。
【0060】
代替の実施形態では、印刷装置40が、キャリア基板200の幅にまたがるのに必要な数よりも少ないジェットノズルを含むインクジェットヘッドを含むことができ、しかも、キャリア基板200の全幅および所望の解像度の印刷物体を達成することができる。インクジェットタイプのヘッドは、キャリア基板200の幅にわたってコンピュータ制御の下で移動可能であり、インクジェットタイプのプリントヘッド及び近位バッファ212及びプリント駆動モータ250の動きを協調させて、流動化材料中に所望の固定されたプリントパターンを達成することができる。
【0061】
印刷装置40は、1つまたは複数の市販のプリントヘッドを含むことができる。例えば、富士フイルムは、予想される幅広い要求に対応するために、幅広い特性を有するプリントヘッドのアレイを供給している。好ましい実施形態では、印刷装置40が、印刷ヘッドのパルス毎に、計量された調節可能な体積のバインダを印刷物91の目標ボクセルに送出することができる。印刷装置40は、コンピュータシステムの制御下で、1つ以上の計量された体積を各ボクセルに提供してもよい。好ましい実施形態では、プリントヘッド40が、600dpiの解像度を有することができ、各ジェットは各パルス中に200ピコリットル(pl)まで堆積することができる。
【0062】
[定着装置]
キャリア基板200の中央付近に、定着装置(または融解モジュール)50を設けることができる。融解モジュールまたは定着装置50は、バインダプリンタから移動方向に沿って下流に配置される。定着装置50は、液体結合材料を固化させることによって、液体結合材料に曝された流動化材料を強固な固体パターンで定着させるように構成することができる。定着装置50は、液体結合材料と相互作用して液体結合材料を固体にすることができる放射エネルギー源とすることができる。いくつかの実施形態では、放射エネルギーがIR放射線、UV放射線、電子ビーム、または他の公知の放射線タイプであり得る。代替的に、融解モジュール50は、熱源を含むことができる。上記に列挙したリストは例示的な実施形態のために提示したものであり、網羅的であることを意図していないので、定着装置50は、開示された放射線タイプに限定される必要はないことを理解されたい。あるいは、定着装置50が反応剤を分散させるための装置を含むことができる。反応剤は、液体結合材料および流動化材料と反応して、流動化材料を強固な塊に変換するように構成することができる。
【0063】
[流動化材料除去装置]
キャリア基板200の運動に対して、定着装置50の下流側に流動材料除去装置60を設けることができる。流動化材料除去装置60は、材料除去モジュールと呼ばれることもある。材料除去モジュールは、進行方向に沿って融解モジュールから下流側に配置される。流動化材料除去装置60は、キャリア基板200上に堆積され圧縮された流動化材料の全てを除去するように構成することができる。流動材料除去装置60は、キャリア基板上に堆積され圧縮されているが、液体バインダ材料によって定位置に固定されていない流動化材料を除去することができる。
【0064】
流動化材料除去装置60は、
図6に詳細に示されている。
図6に示すように、流動化材料除去装置60は、遠位端および近位端を有することができるエンクロージャ(囲い)63を含む。印刷物体91の固定された流動化材料88および圧縮された流動化材料85を有するキャリア基板200は、エンクロージャ63の先端部から近位端に搬送され得る。エンクロージャ63は、圧縮された粉末84を緩めるために、ブラシまたはプローブなどの破壊装置61(機械的破壊装置)を含むことができる。破壊装置61は、印刷装置40からのバインダによって適所に固定されていない圧縮粉末を破壊するのに十分な破壊強度を有するように設計されているが、印刷装置40からのバインダで処理され、
図5の固定装置50によって固定された圧縮粉末を破壊するのに十分な破壊強度を有さないように設計することができる。
図5の印刷装置40からバインダによって適所に固定された粉末への付着を一旦緩めると、残留粉末86は、エアナイフ装置62によってさらに移動され、エアロゾル化されてもよい。固定されていない圧縮粉末84が、エンクロージャ63内で完全に取り除かれ、エアロゾル化されると、固定粉末88はキャリア基板200に付着したままとなる。エアロゾル化された圧縮粉末84は、真空ポート64に取り付けられた真空力によってエンクロージャ63から除去することができる。
【0065】
[移送モジュール]
上述のように、各多方式プリンタシステムは複数の転送モジュールBを備えることができる。一実施形態では、1つの移送モジュールBが、プリンタシステムに関連付けられた複数のプリンタモジュールAのそれぞれと通信するように設けられてもよい。移送モジュールBは、材料除去モジュールから進行方向に沿って下流側に位置している。移送モジュールBは印刷物体を作成するための基板を提供し、印刷物体をその基板(キャリア基板200)からアセンブリ装置Cへ移送する。
図5に示すように、移送モジュールBは、基板200と、1つまたは複数のバッファ210および/または212と、1つまたは複数の基板駆動装置250、260と、移送領域240とを備える。いくつかの実施形態では、移送領域240に対する3D印刷物体の滞留時間をジェットバインダ印刷モジュール1の構成要素と調和させるために、近位バッファ212が、流動化材料除去デバイス60と移送領域240(移送ゾーンとも呼ばれる)との間に提供されてもよい。
【0066】
基板200は、その幅が構築プレート80に等しいか、またはそれよりも広くなるような大きさの、ある長さの可撓性材料を備え得る。キャリア基板200の材料は、鋼合金、またはポリエステルもしくはポリテトラフルオロエチレンなどのポリマー材料、または複合材料であってもよいが、これらに限定されない。キャリア基板200の表面は、基板200と、関連するプリンタモジュールによって印刷される材料との間の接着力を制御するように選択することができる。一実施形態では、基板200が材料のループを備えるものであってもよく、その材料のループは、移送モジュールBを、先端部バッファ装置210から近位バッファ装置212を通り、移送装置76を通って先端部バッファ装置212に戻るように動かすことができる。
【0067】
移送モジュールBは、先端部バッファ210および近位バッファ212に加えて、バッファを備えることができ、これにより、プリンタモジュールAおよび移送装置76の構成要素に対するキャリア基板200の差動運動を提供して、堆積、パターニング、および印刷物体の構築プレート80への移送または以前に移送された物体90の積み重ねの上部への移送の間の異なる運動要件に対応することができる。
【0068】
キャリア基板200は、印刷駆動モータ250および移送駆動モータ260によって動かされることができる。また、基板200には、印刷物体の形成および構築ステーション110への移送の個々のステップの要件に従って基板200の運動を制御するための追加の装置を設けることもできる。移送装置76は、キャリア基板200の漸進的な運動に対して、流動化材料除去装置60の下流で実行することができる。移送領域240を通るキャリア基板200上の3D印刷物体の運動は先端部バッファ装置210および移送モータ駆動装置260によって調整することができ、これは、
図2および
図3のコンピュータシステムによって制御され得る。
【0069】
[ローラ移送装置]
図7に示されるように、移送装置76は、印刷物体91と構築プレート80または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部との間に接触および圧力を生じさせることによって、印刷物体91をキャリア基板200から移送するように構成されてもよい。移送装置76の実施形態において、
図7に示すように、移送装置76は、ローラ79と、ローラ79を支持しかつ上下方向に移動させるキャリアとを含む。いくつかの実施形態において、キャリアは、2軸キャリア77であり、キャリア基板200に対してローラ79を上下方向及び水平方向に移動させる。2軸キャリア77の上下方向の動きは、キャリア基板200を偏向させ、印刷物体91が構築プレート80または前もって移送された印刷物体90の積み重ね体の上部と圧力接触するようにさせることができる。次いで、2軸キャリア77の水平方向の移動によって、一端側の印刷物体91から他端側の印刷物体91への所定の方向に移動する漸進的移動線接触を生じさせることができる。印刷物体91を横切る移動線接触は、印刷物体91を構築プレート80または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部に移送することができる。移送装置76は、接着修正装置74をさらに含むことができる。
【0070】
[接着修正装置]
印刷物体91のキャリア基板200への接着強度を調整して、印刷物体91のビルドプレート80への解放、または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部への解放を容易にする接着修正装置74を設けることができる。接着修正装置74は、印刷物体91の構築プレート80の表面への接着、または印刷物体91の、以前に移送された印刷物体の積み重ねの上部への接着を修正し、それによって印刷物体91とキャリア基板200との間の接着強度が、印刷物体91と構築プレート80との間の接着強度、または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部との接着強度よりも小さくなるようにしている。接着調整装置74は、キャリア基板200または印刷物体91、あるいはその両方に刺激を加えることによって、キャリア基板200と印刷物体91との間の界面に作用することができる。刺激を加えることにより、印刷物体91のキャリア基板200への接着力を減少させることができる。接着修正装置74からの接着力の調整を引き起こす刺激は、熱刺激、放射線刺激、磁気刺激、機械的刺激、または粒子ビーム刺激であってもよいが、これらに限定されない。また、印刷物体91は、アライメント基準点102を含んでもよい。
【0071】
[プレス装置]
別の実施形態では
図8に示すように、移送装置76はプレス装置82を含むことができる。プレス装置82には、プレス装置82の上下方向の動きを与えるための一軸キャリア78を設けることができる。プレス装置82の上下方向の動きによって、キャリア基板200を上下方向に偏向させ、それにより、印刷物体91が、圧力をもって、構築プレート80または前に移送された印刷物体の積み重ねの上部に接触するようになる。
図8の移送装置76はまた、
図7の接着修正装置74と同様の接着修正装置74を含むことができる。
【0072】
[形状修正装置]
本発明の別の実施形態では、
図9に示すように、移送装置76に、プレス装置82及び形状修正装置72を設けることができる。また、
図9の移送装置76には、プレス装置82の上下方向の動きを与えることができる一軸キャリア78を設けることもできる。プレス装置82の上下方向の動きによって、キャリア基板200を上下方向に偏向させ、それにより、印刷物体91が、圧力をもって、構築プレート80に、または以前に移送された印刷物体の積み重ねの上部に接触するようになる。形状修正装置72は、予備成形された成形構造を備え得る。その構造は、成形表面に垂直に加えられる機械的圧力によって平坦化され得る弾性材料から構成され得る。単一軸キャリア78が印刷物体を構築プレート80または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部と接触させると、形状修正装置72は、印刷物体91を徐々に平らにし、したがって、印刷物体91を徐々に構築プレート80または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部に接触させるようになる。構築プレート80との間、または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部との間で漸進的に移動する接点は、印刷物体91と構築プレート80との間、または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部との間に均一な付着を保証し得る。
図9の移送装置76はまた、
図7の接着修正装置74と同様な接着修正装置74を含むことができる。
【0073】
[関節式移送装置]
本発明のさらに別の実施形態では
図10に示すように、移送装置76は、成形されたプレス装置84および関節運動装置83を備えることができる。
図10の移送装置76には、成形プレス装置84の水平および上下方向の動きを与えることができる2軸キャリア77を設けることもできる。コンピュータシステム10の制御の下で、成形プレス装置84の上下方向及び水平方向の動きにより、キャリア基板200を上下方向に偏向させ、それにより印刷物体91が、圧力をもって、構築プレート80または先に移送された印刷物体の積み重ねの上部に接触するようになる。2軸キャリアの上下方向の移動により、成形プレス装置84の所定の端部が、キャリア基板200と圧力接触するようになる。したがって、印刷物体91の所定の端部が、構築プレート80または先に移送された印刷物体90の積み重ねの上部に接触するようになる。2軸キャリア77の更なる上下方向及び水平方向の移動を関節装置83と協調させることによって、成形プレス装置84の成形表面全体が、圧力をもって、キャリア基板200に線接触するようになる。キャリア200への進行する線接触により、キャリア基板200の偏向を生じさせて、印刷物体91との間、または構築プレート80の間、または先に移送された印刷物体90の積み重ねの上部との間に進行性線接触を生じさせ得る。印刷物体91と構築プレート80との間、または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部との間の進行性線接触は、印刷物物体91の、構築プレート80への移送、または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部への移送に十分である。
図10の移送装置76はまた、
図7の接着修正装置74と同様な接着修正装置74を含むことができる。
【0074】
[組立装置]
組立装置Cは、その一部が
図5に示されているが、X-Y位置決め装置230と構築ステーション110とを備えることができる。構築ステーション110は、構築プレート80を備えることができる。AZ軸位置決め装置100(上下方向位置決め装置)が設けられてもよい。この位置決め装置は、構築プレート80の上下方向位置を調節し、先に移送された印刷物体90の上面の高さを所定の上下方向位置に維持する。これにより、印刷物体の、構築プレート80への移送、または先に移送された物体90の積み重ねの上部への移送を容易にする。構築プレート上のパターン化された単層物体の完成アセンブリは、関係する材料に適した条件下で融合される。
【0075】
[接着力低減装置]
構築プレート80は、構築プレート80からの印刷物体の完成した積み重ねの取り外しを容易にするために、接着力低減装置68を備えてもよい。接着力低減装置68は、加えられた刺激によって、以前に移送された物体90の積み重ねの接着力を低減するように作動されてもよい。以前に移送された物体90の積み重ねを解放させるために接着低減層68に与えられる刺激は、熱刺激、放射刺激、磁気刺激、化学刺激、または機械的刺激であってもよい。
【0076】
[アライメントシステム]
構築プレート80は、アライメントセンサ105を更に備えることができる。印刷物体91は1つまたは複数のアライメント基準点102を備えることができ、この基準点は、1つまたは複数のアライメントセンサ105と相互作用して、印刷物体91を構築プレート80に、または先に移送された印刷物体の上部に正確に位置合わせすることができる。アライメントセンサ105は、UVスペクトル、視覚スペクトル、またはIRスペクトルにおいて、または磁気的に、または機械的に、アライメント基準102と相互作用することができる。コンピュータシステム10と関連して、アライメントセンサ105は、アライメント基準点102の位置を実際の位置の0.01mm以内にまで検出し、構築プレート80をアライメント基準点102に対して所定位置の0.01mm以内に位置決めさせることができるようにする。
【0077】
[組立装置ポジショナ]
組立装置Cは、X-Y位置決め装置230と構築ステーション110とを備えることができる。構築ステーション110は、Z位置決め装置および構築プレート80を備えることができる。構築ステーション110は、構築プレート80およびX-Y位置決め装置230と相互作用して、コンピュータシステム10の指令で、構築プレート80を、多材料多モジュールプリンタシステムを含む複数の移送モジュールのいずれか1つの移送領域240に対して所定位置の0.01mm以内にまで位置決めさせることができる。
【0078】
X-Y位置決め装置230は、コンピュータ制御のX-Y移動システムを備えることができる。移動システムは、直交して接続された一対のリニアアクチュエータまたは平面リニアモータであってもよいが、これらに限定されない。構築ステーション110は、X-Y移動システムと通信可能であってもよく、その場合には、構築ステーション110が、
図11および
図12に示すように、X-Y位置決め装置230の制限内の任意の地点にまで移動され得る。X-Y移動システムの大きさは、以下の動作を達成するように選ばれている。すなわち、構築ステーション110が、プリンタに関連付けられた移送モジュールBの複数の装置のいずれかの移送領域240から移送された印刷層にまで動かされ、その印刷層を受け入れるように正確に位置決めできるように、その大きさが選ばれている。X-Y位置決め装置230はさらに、構築ステーション110がすべてのプリンタモジュールAおよびプリンタに関連する移送モジュールBからクリアするアンロード位置に移動することが可能となるように、その大きさが選ばれている。モジュールAおよびBからのクリアランスは、X-Y平面において設けられるか、またはX-Y平面に対して直交方向に離れることによって提供されてもよい。構築ステーション110は、さらに、構築プレート80と移送領域240との回転位置合わせを提供するための回転移動システムを備えることができる。
【0079】
[ヘキサポッド(hexapod)]
本発明の別の実施形態では、構築プレート80の正確な位置が,X、YおよびZ軸に沿った運動、ならびに少なくとも1つの軸の周りの回転を提供することができるヘキサポッドによって提供されてもよい。
【0080】
組立装置Cは、多材料多方式3Dプリンタの一体化構成要素であってもよい。組立装置Cは、プリンタモジュールA及び関連する移送モジュールBの取り付けを収容することができる複数の受け入れ装置を備えることができる。組立装置Cの受け入れ装置は、プリンタモジュール及び移送モジュールを所定の態様で組立装置Cと物理的に関連付けるための機械的取り付け装置を備えることができる。組立装置Cの受信装置には、プリンタモジュール処理ユニットを
図2および
図3の中央処理ユニットと一体化するための論理アタッチメント装置を設けることもできる。
【0081】
図11は、本発明の多方式3Dプリンタの一実施形態を示す。
図11は、組立装置Cに関連する4つのプリンタモジュールA及び4つの移送モジュールBを示している。4つのプリンタモジュールは、全て、異なるパターニング及び堆積技術を実施することができる。
図11に示すように、バインダジェットモジュール1は、4つのプリンタモジュールのうちの1つに使用される。タイプ2のプリンタモジュール2、タイプ3のプリンタモジュール3、およびタイプ4のプリンタモジュール4は、ジェットバインダ以外の堆積およびパターニング技法を使用することができる。プリンタモジュール2、3、および4は、電子写真、オフセット印刷、ジェット材料印刷、および選択的レーザ溶融などの堆積およびパターン技術を採用するプリンタモジュールから選択することができるが、これらに限定されない。
【0082】
図11において、4つのプリンタモジュール/移送モジュールは、X-Y位置決め装置230の中心に向かって、その近位端部が2列に並んでいる。また、水平面内のプリンタモジュールから離れた構築ステーション印刷部品除去領域も示されている。
【0083】
図11に示す構成は、4つのプリンタモジュールAに限定されるものではなく、2つのプリンタモジュール、3つのプリンタモジュール、または4つ以上のプリンタモジュールから構成することができることが理解されよう。印刷部品除去領域は、X-Y位置決め装置230上の任意の開放空間における水平方向の分離によって提供されてもよく、またはプリンタモジュールAおよび移送モジュールBからの構築ステーション110の垂直方向の分離によって提供されてもよいことがさらに理解される。
【0084】
図12は、多方式3Dプリンタの代替構成を表し、4つのプリンタモジュールが、それらの最も近い隣接するものに対して90度で整列し、プリンタモジュール間の空間またはX-Y位置決め装置230の隅に可能なアンロードステーションを残す。他の構成は、当業者には明らかであろう。
【0085】
[複数のプリンタモジュール]
本発明の多材料多方式3Dプリンタは、関連する移送モジュールBを有する複数のプリンタモジュールAに基づいており、それらはすべて組立装置Cによって一体化されている。各プリンタモジュールAは、印刷厚さ、バインダ濃度、バインダの種類、及び材料の種類などの操作パラメータを調整することができる。操作パラメータの調節は最終印刷物体の特性に著しく影響を及ぼす可能性があるが、各プリンタモジュールは、1つの特定の方法に基づいて印刷物体を作成する。潜在的な方法の例の非網羅的なリストには、ジェットバインダ印刷、電子写真印刷、オフセット印刷、およびジェット材料印刷が含まれる。所与の印刷物体を作成するための好ましい方法は、実際の厚さ範囲、最小フィーチャサイズ、精度、および印刷速度などの別個の方法の能力に基づいて選択することができる。ほとんどの印刷方法は1つ以上の材料と適合し得るが、基礎材料は特定の方法で使用するための特定の調製を必要とし得る。
【0086】
実用上、本発明の多材料多方式3Dプリンタ、プリンタ方法と最終的に製造される部品に必要とされる材料との各組合せに対して、1つのプリンタモジュールAを用いて構成されてもよい。本発明の好ましい実施形態では、多方式3Dプリンタシステムを構成する複数のプリンタモジュールのうちの少なくとも1つは、特定の最終部品に必要とされるように、迅速かつ容易に別のモジュールと交換され得る。
【0087】
一実施形態では、プリンタモジュールのうちの少なくとも1つは、多材料3Dプリンタへの応用のためのジェットバインダ技術に基づくことができる。
【0088】
一例として、第1のプリンタモジュールと第2のプリンタモジュールとを含むプリンタシステムを考える。第1の材料(第1のプリンタモジュールによって堆積される)と第2の材料(第2のプリンタモジュールによって堆積される)は、異なる必要はない。(1)第1のプリンタモジュールにジェットバインダプリンタを使用し、第2のプリンタモジュールに電子写真プリンタを使用する場合を考える。ジェットバインダプリンタは、典型的には、25μm~2,000μmの範囲の堆積層厚さを含む堆積条件下で材料を堆積することができ、電子写真プリンタは、典型的には、3μm~75μmの範囲の堆積層厚さを含む堆積条件下で材料を堆積することができる。ジェットバインダプリンタおよび電子写真プリンタに関連する堆積層の厚さは異なる。したがって、プリンタシステムは、異なる厚さを有する複数の単層物体を単一の3次元物体(印刷物体)に組み立てることができる。
【0089】
(2)ジェットバインダプリンタは、典型的には、25μm~4,000μmの範囲のボクセル分解能を含む堆積条件下で材料を堆積させることができ、電子写真プリンタは、典型的には、3μm~150μmの範囲のボクセル分解能を含む堆積条件下で材料を堆積させることができる。ジェットバインダプリンタおよび電子写真プリンタに関連するボクセル解像度は異なる。したがって、プリンタシステムは、異なるボクセル解像度を有する複数の単層物体を単一の3次元物体(印刷物体)に組み立てることができる。
【0090】
別の例として、第1のプリンタモジュールと第2のプリンタモジュールとを含むプリンタシステムを考える。第1および第2のプリンタモジュールは、異なる必要はない(両方とも、ジェットバインダプリンタであってもよい)。プリンタモジュールは、異なる材料を堆積するように構成される。第1のプリンタモジュールは、第1の材料特性によって特徴付けられる第1のパターン化された単層物体を形成し、第2のプリンタモジュールは、第2の材料特性によって特徴付けられる第2のパターン化された単層物体を形成する。以下の場合を考える。すなわち、第1の材料が無視できる濃度の気孔形成剤を有するセラミック前駆体であり、その濃度は0%~10%の範囲の気孔率を有するセラミックを作成するように構成されたものであり、第2の材料は、より高い濃度の気孔形成剤を有するセラミック前駆体であり、この濃度は、25%~75%の範囲の気孔率を有するセラミックを作成するように構成された場合を考える。したがって、プリンタシステムは、異なる気孔率を有する複数の単層物体を単一の三次元物体(印刷物体)に組み立てることができる。
【0091】
一実施形態では、プリンタは、複数の移送モジュールBのうちの1つにそれぞれ関連することができる複数のプリンタモジュールAを含み、これらのすべてはアセンブリ装置Cと調整することができる。複数のプリンタモジュールは、少なくとも2つの異なる堆積およびパターン形成技法を採用するプリンタモジュールを含むことができ、複数のプリンタモジュールAのそれぞれは、1つの材料の印刷物体を作成するように構成され得る。各プリンタモジュールAは、異なる材料を用いて印刷物体を作成することができ、又は幾つかのプリンタモジュールAは同じ材料を使用することができ、又は3D多方式プリンタシステムのプリンタモジュールの全ては、同じ材料を使用することができる。関連する移送モジュールBを有するプリンタモジュールAは、組立装置Cと容易に結合されるか、または組立装置Cから容易に取り外されるように構成されてもよく、プリンタの容易なカスタム構成が構築要件に適合することを可能にする。中央コンピュータシステム10(コントローラ)は、プリンタのすべての構成要素の動作を調整することができる。
【0092】
[パターン生成]
上述の3D印刷システムは、複雑な3次元パターンで2つ以上の材料の構造を作成するために使用され、その構造は層状に構築され、各層は1つ以上の材料で構成される。各層の各材料のパターンは、従来の3Dプリンタの各層のパターン生成と同様の方法で生成され得る。具体的には、各層のパターンが、例えばSolidWorksなどのCAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアを使用することによって、構造全体のスライスから取り出され得る。従来の3Dプリンタとは異なり、本発明の実施形態では、コンピュータシステム10が各層のパターンを、2つ以上の材料と、材料が他のボクセルと同じであっても異なる特性を必要とするボクセルとに分離することができる。例えば、材料が基本的に同じであっても、より微細な解像度、したがってより小さいボクセルサイズを必要とするボクセルを、高解像度堆積およびパターニング技術を使用するプリンタモジュールに送ることができる。
【0093】
[材料のタイプ]
材料のタイプは、少なくとも2つの基本的なカテゴリ、すなわち、堅牢な材料および一過性(fugitive)材料から選択することができる。
【0094】
堅牢な材料は、印刷後の処理ステップに耐えて、最終印刷物体の非圧縮性ボクセルになる。堅牢な材料は、印刷されたときの材料と組成および構造が同じ後処理ステップに耐えることができる。堅牢な材料はまた、最終材料の前駆体として出発してもよい。後処理は、堅牢な材料の前駆体を、新しい化合物を生成するか、または相を変化させるか、または結晶タイプを変化させるように反応させることができる。
【0095】
一過性材料は、後処理ステップの直後に気体または真空によって占有されるように設計された、印刷部分内のボクセルを占有することができるものである。一過性材料は、印刷処理中、および印刷物体を印刷部品に組み立てる処理中に、固体または半固体材料から構成されてもよい。後処理工程の間に、逃散性材料(一過性材料)は、気体または液体のような、印刷部分から容易に逃げることができるフォーマットに変換される。堅牢な材料の体積内に一過性材料のボクセルからなる連続した塊を含む結果、後処理ステップの後に、所定の形態のキャビティが形成される。キャビティは、予め設計された通路を介して印刷部品の外側と連通していてもよいし、完全に密封されていてもよい。密閉されたキャビティは、所定のガスまたは真空によって占有されてもよい。
【0096】
[処理]
3Dプリント部品を製造するための基本プロセスを
図13に示す。
図13に示すように、プロセスは、所望の部品の構造、材料、および仕様を完全に定める設計ファイル310から開始する。設計ファイルは層にスライスされ(510)、各層の厚さは、最終的な厚さおよびパターン公差のような、印刷部品内の各位置に対する仕様によって決定される。次いで、各層は、異なる材料および/または異なる印刷技術を必要とする領域に分離されてもよい(520)。次に、異なる材料/技術要件の領域の各々に対するプリンタ制御命令を、プリンタシステムの適切なプリンタモジュールAに移送することができる。
【0097】
図2に示される中央処理ユニットのような中央処理ユニットは、プリンタ制御ファイルを生成し、それらを各プリンタモジュールAのための適切なプリンタ制御ユニットに転送する能力を有する。中央処理ユニットはまた、アセンブリ装置Cを直接制御してもよく、その制御は、
図5の構築プレート80の位置決めを引き起こすことを含むものである。その結果、印刷物体91が、所定のシーケンス(順序)でキャリア基板200から移送され得る。
【0098】
構築シーケンスは。複数のプリントモジュールAの各プリントモジュールAに適切な材料を提供することから始まる。各異なるパターニングおよび堆積技術は例えば、粒子サイズ、粒子形態、バインダ含有量、およびキャリア媒体に関して、異なるフォーマットの材料を必要とし得る。粉末床およびジェットバインダ技術に基づくプリンタモジュールの場合、供給原料材料は、0.0001mm~0.25mmの範囲の粒子サイズを有し、優れた流動性および自己充填特性を示す流動化材料であってもよい。
【0099】
引き続き
図13を参照すると、印刷される部品が複数の層にスライスされ(510)、第1の2D層が選択され(515)、層が物体に分離された(520)後、印刷命令が、所望の印刷物体のための正しい流動化材料が装填されたジェットバインダプリンタモジュールに送られ(525)、印刷物体が移送モジュール内に生成される(530)。次に、印刷物体は、構築ステーション110と位置合わせされる(540)。次に、印刷物体91は、構築ステーション110に移送される(550)。各印刷層上の各印刷物体が整列され(580)、構築ステーションに移送された(110)後、構築ステーションは、多材料多方式プリンタシステムの別の印刷ステーション1から印刷物体を受け取るように移動することができる。印刷層の最後の印刷物体が構築ステーション110上に配置されると、印刷ステーション110の構築プレート80は、次の層の厚さまでインクリメントされ(590)、次の印刷層の構築命令が選択され、印刷層内の異なる材料に分離される(520)。このプロセスは、印刷部品90の最後の印刷物体が構築ステーション110上に組み立てられるまで、ステップ520からステップ560まで続くことができる。最後の印刷物体91が印刷部品90に追加されると、構築ステーション110は部品除去領域に移動され(565)、構築ステーション110から解放される。
【0100】
図14は、ジェットバインダプリンタモジュールの詳細なプロセスを示す。印刷される部品が層にスライスされ(610)、層が物体に分離され(620)、適切な印刷ステーションに列をなして並んだ後、印刷命令は、所望の印刷物体のための正しい流動化材料が装填されたジェットバインダプリンタモジュールに送られてもよい。各印刷ステーションA上の印刷物体の生成は、それぞれのキャリア装置200上の関連する各印刷ステーションからの流動化材料の堆積(640)によって、選択された印刷層を完成させることを必要とした。次いで、キャリアデバイス200をインデックスし(650)、堆積した流動化材料をそれぞれの圧縮装置30にまで移動させることができる。次いで、流動化材料は、圧縮装置30によって所定のレベルに圧縮される(660)。
【0101】
次に、キャリア装置200は、プリンタ装置40にまでインデックスされ(670)、所定のパターンが印刷装置40によってその上に印刷される(680)。次いで、パターン化された流動化材料は、キャリア装置200上で材料定着装置50にまでインデックスされ(690)、固定(定着)されて印刷パターンを堅牢なものにする。パターン化され固定された流動性粉末はその後、キャリア装置200上で流動性粉末除去装置60にまで割り出され(710)、そこで、パターン化され固定されていない流動性粉末はキャリア装置200から除去されてもよく(720)、所定の印刷物体のみを残す。キャリア装置200は更に、キャリヤ装置200上で移送ステーション240にまでインデックスされ、印刷物体を構築ステーション110と整列させる。
【0102】
次に、印刷物体は、構築プレート80にまで、または印刷部品90の以前に印刷された物体の上部にまで動かされる(740)。印刷物体が印刷部品760に必要な印刷物体の最後でない場合、次の印刷層が選択され、選択された層を完成するために必要な印刷命令が印刷ステーションに送られる(770)。最後の印刷物体が構築ステーション110に移送されるまで、印刷部品の残りの部分の印刷がステップ770からステップ760を通るループで継続し、構築ステーション110は、部品除去領域に除去される(780)。
【0103】
目的の印刷物体に適した流動化材料は、分配装置20によってキャリア基板200上に分散され得る。分配装置20はプリンタモジュールの先端部に配置されてもよい。分配装置20は、流動化材料の均一な層を所定の厚さの正確に制御された層に分配するために、流動化材料の状態を調節することができる材料調節ユニット24を備えてもよい。
【0104】
流動化材料の堆積に続いて、キャリア基板200は、堆積した流動化材料を印刷モジュールAの近位端に向かって圧縮装置30にまで移動させることができる。圧縮装置30を作動させて、流動化材料の層に刺激を加えて、流動化材料の層内の充填密度を材料の理論密度の少なくとも40%まで増大させることができる。
【0105】
流動化材料の圧縮に続いて、キャリア基板200はプリンタモジュールAの近位端に向かって移動することができ、したがって、圧縮された流動化層をプリンタ装置40の近傍にまで搬送する。プリンタ装置40は、正確に測定された体積のバインダ材料を、印刷物体の作成に備える流動化材料の全てのボクセルに堆積させることができる。プリンタ装置40によって分配されるバインダ材料は、流動化材料の粒子を強固な塊に確実に結合するように選択されてもよい。プリンタ装置40は、印刷物体内のあらゆるボクセルに所定の体積のバインダ材料を堆積させることができる。ジェットバインダ印刷物のボクセルサイズは、0.010mm程度に小さくてもよい。
【0106】
バインダ材料を印刷物体の流動化材料になるように堆積することに続いて、キャリア基板200は、プリンタモジュールAの近位端に向かって定着装置50にまで移動させられてもよい。定着装置50は、バインダ材料に流動化材料の粒子を一緒に結合させ、それらを所定のパターンおよび厚さの堅牢な塊に固定させることができる放出源を含むことができる。定着装置50からの放射は、熱放射、UV放射、可視放射、IR放射、磁気波、または粒子ビームとすることができるが、これらに限定されない。
【0107】
堅牢な塊として一緒に固定され、キャリア基板200に固着された印刷物体を伴って、キャリア基板200は、
図6の流動材料除去装置60にまで移動させられ得る。流動化材料除去装置60には、破壊装置61、エアナイフ装置62、および真空ポート64を設けることができる。破壊装置61は、定着装置50からのバインダ材料で定位置に固定されていない印刷物体の近傍にある流動化材料を機械的に破壊することができる。部分的に固定されていない流動化材料86をさらに破壊するために、エアナイフ装置は、部分的に固定されていない流動化材料を固定された流動化材料88およびキャリア200から吹き飛ばすことができる。エアナイフ装置61はまた、外部真空源の影響下で真空ポート64を通してエンクロージャから除去され得る全ての固定されていない流動化材料をエアロゾル化し得る。
【0108】
プリンタモジュールAの先端部からのキャリア基板200の運動は、
図5の近位バッファデバイス212および印刷駆動モータ250の協調動作によって制御され得る。プリンタモジュールAの構成要素間の印刷物体の運動をより便利に調整するために、分配装置20と近位バッファ装置212との間に追加のバッファ装置を設けることができる。
【0109】
固定されていない流動化材料および部分的に破壊された流動化材料を含まない印刷物体91は、キャリア基板200によって移送装置76にまで搬送されてもよい。コンピュータシステム10が組立装置Cと移送装置200の動作を調整することにより、印刷物体91は、アライメントセンサ105の案内を受けて、構築プレート80にまで、または以前に移送された印刷物体90の積み重ねの上部にまで移送される。アライメントセンサは、基準マーカーを構築プレート(アセンブリプレート)に合わせる。
【0110】
[移送]
複数のプリンタモジュールAのそれぞれは、
図7、
図8、
図9、
図10に示すような印刷物体91を作成することができる。印刷物体は印刷層の全部または一部を含むことができ、各印刷物体は単一の材料からなることができ、単一のパターニングおよび堆積技術によって作成され得る。移送モジュールBのキャリア基板200上で印刷物体91が完成した後、例えば、
図5に示すように、それを移送領域240にまで移動させることができる。構築ステーション110は、コンピュータシステム10からの指示の下で、X-Yポジショナ装置230によって所定の位置に移動され得る。構築プレート80は、Zポジショナ装置100によって、キャリア基板200に対して所定の垂直位置にまで移動され得る。キャリア基板200に固定された印刷物体91と構築プレート80との最終的な正確な位置合わせは、位置合わせ基準点102、コンピュータシステム10、X-Yポジショナ装置230、およびZポジショナ装置100を参照して位置合わせセンサ105間の調整によって行うことができる。キャリア基板は、キャリア基板上のパターン化された単一層物体の各々に対する基準マーカー102を備える。
【0111】
印刷物体91と構築プレート80との間に正確な位置合わせが確立されると、移送装置76が印刷物体91を構築プレート80に、または以前に移送された印刷物の積み重ねの上部に接触するように移動させるので、印刷物体の移送を完了することができる。移送を完了するために、移送装置76はキャリア基板200に所定の圧力を加えることができ、接着修正装置74は、適切な刺激を加えることによって作動され得る。印刷層が複数の印刷物体91から構成される場合、印刷層を構成する全てのボクセルが印刷物体91のボクセルで占められるように、複数の印刷物体91の各々は、複数の印刷物体91の他のものと相補的であってもよい。
【0112】
各印刷物体が以前に移送された印刷物体にまで移送されると、接着修正装置74の作動により、印刷物体91とキャリア200との間の接着を減少させることができる。接触する印刷物体91および以前に移送された印刷物体90の表面は、印刷物体91がキャリア基板200に接着するよりも強く互いに接着するように準備されてもよい。印刷物体91および以前に移送された印刷物体の表面の調製は、印刷物体および以前に移送された印刷物体を含む材料の表面の工学的特性によって、または放射源による現場での表面処理によって、または化学源による現場での処理によって、または機械源による現場での処理によって、または磁気源による現場での処理によって達成され得るが、これらに限定されない。
【0113】
[印刷層の作成]
印刷部品の第1の層は、1つ以上の印刷物体91として、構築プレート80の上面と関連付けられ得る接着力低減装置68上に移送され得る。後続のすべての層は、1つ以上の印刷物体として、先に移送された印刷物体90上に移送されてもよい。
図15は、この例では5つの印刷物体を順次移送することによって印刷層92を生成するステップを表している。シーケンスは上から下に進む。作成ステップ85の間に、印刷物体93は、以前に移送された印刷層の積み重ねにまで移送されてもよい。作成ステップ86は、異なる材料から構成され、および/または異なる技術形態の印刷物体93によって作成された印刷物体94を、作成ステップ85のオープン領域にまで移送することであってもよい。作成ステップ87は作成ステップ86と同様に、印刷された物体95を作成ステップ86のオープンエリアに転送することによって継続することができる。作成ステップ88は、印刷物体96を追加してもよい。作成ステップ89は、印刷物体97を移送することによって、印刷層92を完成させてもよい。各層の各材料が印刷されるにつれて、それは、3次元および2つ以上の材料で所望の構造を生成するように、順番に、先の印刷物体上に積み重ねられる。この例は印刷層を構成する5つの異なる印刷物体を示しているが、印刷層は、設計要件を満たすのに必要な数だけの1つの印刷物体または任意の数を構成することができることを理解されたい。
【0114】
様々な例および他の情報が添付の特許請求の範囲内の態様を説明するために使用されたが、当業者はこれらの例を使用して、多種多様な実施を行うことができるので、特許請求の範囲の限定はそのような例における特定の特徴または構成に基づいて暗示されるべきではない。さらに、いくつかの主題を、構造的特徴および/または方法ステップの例に特有の言語で説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は必ずしもこれらの説明された特徴または動作に限定されないことを理解されたい。例えば、そのような機能は、本明細書で識別されるもの以外の構成要素において、異なるように分散されるか、または実行され得る。むしろ、記載された特徴およびステップは、添付の特許請求の範囲内のシステムおよび方法の構成要素の例として開示される。集合の「少なくとも1つ」を列挙する請求項言語は、集合の1つのメンバーまたは集合の複数のメンバーが請求項を満たすことを示す。
【0115】
本発明の様々な実施形態が上述されてきたが、それらは限定ではなく、単に例として提示されてきたことを理解されたい。本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に従って、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。したがって、本発明の幅および範囲は、上述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物に従って定義されるべきである。
【0116】
本発明を、1つまたは複数の実施形態に関して図示し、説明したが、本明細書および添付の図面を読んで理解すると、他の当業者は同等の変更および修正を思いつこう。さらに、本発明の特定の特徴はいくつかの実施形態のうちの1つのみに関して開示されているが、そのような特徴は任意の所与のまたは特定の応用に対して所望され、有利であり得るように、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【0117】
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は文脈が別段の明確な指示をしない限り、複数形も同様に含むことが意図される。さらに、用語「含む」、「含む」、「有する」、「有する」、「有する」、「伴う」、またはそれらの変形が詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用される程度まで、そのような用語は、用語「備える」と同様に包括的であることが意図される。
【0118】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが理解されるのであろう。
【国際調査報告】