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特表2022-504362アンテナ構造体及びそれを含むディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】アンテナ構造体及びそれを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/26 20060101AFI20220105BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220105BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01Q3/26 Z
H01Q1/22 Z
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518780
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(85)【翻訳文提出日】2021-04-05
(86)【国際出願番号】 KR2019012456
(87)【国際公開番号】W WO2020071680
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0119072
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(71)【出願人】
【識別番号】520337569
【氏名又は名称】ポステック リサーチ アンド ビジネス デベロップメント ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】(Jigok-dong) 77, Cheongam-ro, Nam-gu, Pohang-si, Gyeongsangbuk-do 37673 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ドン ピル
(72)【発明者】
【氏名】オ, ユン セオク
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ウォン ビン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021AB06
5J021DB03
5J021GA04
5J021HA05
5J046AA01
5J046AA04
5J046AB13
5J046PA07
5J047AA01
5J047AA04
5J047AB13
5J047EF04
(57)【要約】
本発明の例示的な実施形態は、誘電層、及び誘電層の上面上に配置され、複数の放射パターンを含むアンテナ電極層を含むフィルムアンテナと、複数の放射パターンと電気的に接続された給電配線を含むフレキシブル回路基板とを含み、給電配線は、複数の放射パターンにそれぞれ接続される個別配線を含み、個別配線のうち隣り合う少なくとも一対の個別配線の長さが互いに異なるアンテナ構造体を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電層、及び前記誘電層の上面上に配置され、複数の放射パターンを含むアンテナ電極層を含むアンテナ素子と、
前記複数の放射パターンと電気的に接続された給電配線を含むフレキシブル回路基板とを含み、
前記給電配線は、前記複数の放射パターンのそれぞれに接続される個別配線を含み、前記個別配線のうち隣り合う少なくとも一対の個別配線の長さが互いに異なる、アンテナ構造体。
【請求項2】
前記給電配線は、前記個別配線を所定の単位でカップリングする接続配線をさらに含む、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記接続配線によって隣り合う個別配線が接続されて複数の給電単位が定義され、それぞれの前記給電単位内に含まれた前記個別配線の長さが互いに異なる、請求項2に記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
互いに異なる前記給電単位に含まれた前記個別配線のうち、前記隣り合う個別配線の長さが互いに異なる、請求項3に記載のアンテナ構造体。
【請求項5】
前記給電単位に接続された前記放射パターンの間に位相差が生成され、それぞれの前記給電単位から生成された前記位相差は一定である、請求項3に記載のアンテナ構造体。
【請求項6】
前記互いに異なる給電単位に含まれた前記個別配線のうち前記隣り合う個別配線によって前記位相差が生成され、前記位相差は、前記給電単位から生成された前記位相差と同じであり、
前記複数の放射パターンは、その配列方向に沿って一定に増加または減少する位相を有する、請求項5に記載のアンテナ構造体。
【請求項7】
それぞれの前記複数の給電単位内に含まれた前記個別配線のうちの少なくとも一つは、前記複数の給電単位の配列方向に沿って突出した屈曲部を含む、請求項3に記載のアンテナ構造体。
【請求項8】
前記アンテナ電極層は、前記複数の放射パターンと電気的に接続された信号パッドをさらに含み、
前記給電配線は、前記信号パッドと電気的に接続される、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項9】
前記フレキシブル回路基板は、コア層と、前記コア層の上面に配置された給電グランド層とをさらに含み、
前記給電配線は、前記コア層の下面上に配置される、請求項8に記載のアンテナ構造体。
【請求項10】
前記アンテナ電極層は、前記信号パッドの周辺に配置されたグランドパッドをさらに含み、
前記フレキシブル回路基板の前記給電グランド層は、前記グランドパッドと電気的に接続される、請求項9に記載のアンテナ構造体。
【請求項11】
前記給電グランド層と前記グランドパッドを電気的に接続するグランドコンタクトをさらに含む、請求項10に記載のアンテナ構造体。
【請求項12】
前記フレキシブル回路基板は、前記アンテナ素子の前記アンテナ電極層の上に配置される、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項13】
前記フレキシブル回路基板は、前記アンテナ素子の前記誘電層の底面の下に配置される、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項14】
前記アンテナ電極層は、前記誘電層の側壁に沿って屈曲して前記底面上に延長する、請求項13に記載のアンテナ構造体。
【請求項15】
前記フレキシブル回路基板は、前記アンテナ電極層と前記給電配線を電気的に接続する給電コンタクトをさらに含む、請求項14に記載のアンテナ構造体。
【請求項16】
前記アンテナ素子は、前記誘電層の底面上に配置されるアンテナグランド層をさらに含む、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項17】
前記フレキシブル回路基板上に配置され、前記給電配線を介して前記アンテナ電極層に電力を供給する駆動集積回路チップをさらに含む、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項18】
前記アンテナ電極層は、メッシュ構造を含む、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項19】
前記アンテナ素子は、前記アンテナ電極層の周辺に配置されるダミーメッシュ層をさらに含む、請求項18に記載のアンテナ構造体。
【請求項20】
請求項1に記載のアンテナ構造体を含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造体及びそれを含むディスプレイ装置に関する。より詳細には、電極及び誘電層を含むアンテナ構造体、並びにそれを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会が進展するにつれて、ワイファイ(Wi-Fi)、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの無線通信技術がディスプレイ装置と結合され、例えばスマートフォンの形で実現されている。この場合には、アンテナが前記ディスプレイ装置に結合され、通信機能を実行することができる。
【0003】
最近では、移動通信技術が進化するにつれて、超高周波帯域の通信を行うためのアンテナが前記ディスプレイ装置に結合される必要がある。
【0004】
例えば、最近の5Gの高周波帯域の通信の場合には、波長がより短くなったことにより、信号の送受信が遮断される場合があり、また、送受信可能な周波数帯域が狭くて信号損失が発生することがある。このため、所望の指向性、ゲイン及び信号効率を有する高周波アンテナへの要求が高まっている。
【0005】
また、アンテナが搭載されるディスプレイ装置がより薄型、軽量化されることによって、前記アンテナが占めるスペースも減少し得る。このため、限られたスペースの中で、高周波、広帯域信号の送受信を同時に実現するには限界がある。
【0006】
例えば、韓国特許公開第2013-0095451号は、ディスプレイパネルに一体化されたアンテナを開示しているが、前述の問題に対しては解決策を提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、向上した信号効率および信頼性を有するアンテナ構造体を提供することである。
【0008】
本発明の課題は、向上した信号効率および信頼性を有するアンテナ構造体を含むディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1.誘電層、及び前記誘電層の上面上に配置され、複数の放射パターンを含むアンテナ電極層を含むアンテナ素子と、前記複数の放射パターンと電気的に接続された給電配線を含むフレキシブル回路基板とを含み、前記給電配線は、前記複数の放射パターンのそれぞれに接続される個別配線を含み、前記個別配線のうち隣り合う少なくとも一対の個別配線の長さが互いに異なる、アンテナ構造体。
【0010】
2.前記項目1において、前記給電配線は、前記個別配線を所定の単位でカップリングする接続配線をさらに含む、アンテナ構造体。
【0011】
3.前記項目2において、前記接続配線によって隣り合う個別配線が接続されて複数の給電単位が定義され、それぞれの前記給電単位内に含まれた前記個別配線の長さが互いに異なる、アンテナ構造体。
【0012】
4.前記項目3において、互いに異なる前記給電単位に含まれた前記個別配線のうち前記隣り合う個別配線の長さが互いに異なる、アンテナ構造体。
【0013】
5.前記項目3において、前記給電単位に接続された前記放射パターンの間に位相差が生成され、それぞれの前記給電単位から生成された前記位相差は一定である、アンテナ構造体。
【0014】
6.前記項目5において、前記互いに異なる給電単位に含まれた前記個別配線のうち前記隣り合う個別配線によって前記位相差が生成され、前記位相差は、前記給電単位から生成された前記位相差と同じであり、
前記複数の放射パターンは、その配列方向に沿って一定に増加または減少する位相を有する、アンテナ構造体。
【0015】
7.前記項目3において、それぞれの前記複数の給電単位内に含まれた前記個別配線のうちの少なくとも一つは、前記複数の給電単位の配列方向に沿って突出した屈曲部を含む、アンテナ構造体。
【0016】
8.前記項目1において、前記アンテナ電極層は、前記複数の放射パターンと電気的に接続された信号パッドをさらに含み、前記給電配線は、前記信号パッドと電気的に接続される、アンテナ構造体。
【0017】
9.前記項目8において、前記フレキシブル回路基板は、コア層と、前記コア層の上面に配置された給電グランド層とをさらに含み、前記給電配線は、前記コア層の下面上に配置される、アンテナ構造体。
【0018】
10.前記項目9において、前記アンテナ電極層は、前記信号パッドの周辺に配置されたグランドパッドをさらに含み、前記フレキシブル回路基板の前記給電グランド層は、前記グランドパッドと電気的に接続される、アンテナ構造体。
【0019】
11.前記項目10において、前記給電グランド層と前記グランドパッドを電気的に接続するグランドコンタクトをさらに含む、アンテナ構造体。
【0020】
12.前記項目1において、前記フレキシブル回路基板は、前記アンテナ素子の前記アンテナ電極層の上に配置される、アンテナ構造体。
【0021】
13.前記項目1において、前記フレキシブル回路基板は、前記アンテナ素子の前記誘電層の底面の下に配置される、アンテナ構造体。
【0022】
14.前記項目13において、前記アンテナ電極層は、前記誘電層の側壁に沿って屈曲して前記底面上に延長する、アンテナ構造体。
【0023】
15.前記項目14において、前記フレキシブル回路基板は、前記アンテナ電極層と前記給電配線を電気的に接続する給電コンタクトをさらに含む、アンテナ構造体。
【0024】
16.前記項目1において、前記アンテナ素子は、前記誘電層の底面上に配置されるアンテナグランド層をさらに含む、アンテナ構造体。
【0025】
17.前記項目1において、前記フレキシブル回路基板上に配置され、前記給電配線を介して前記アンテナ電極層に電力を供給する駆動集積回路チップをさらに含む、アンテナ構造体。
【0026】
18.前記項目1において、前記アンテナ電極層は、メッシュ構造を含む、アンテナ構造体。
【0027】
19.前記項目18において、前記アンテナ素子は、前記アンテナ電極層の周辺に配置されるダミーメッシュ層をさらに含む、アンテナ構造体。
【0028】
20.前記項目1~19のいずれかに記載のアンテナ構造体を含む、ディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施形態に係るアンテナ構造体では、互いに異なる放射パターンに接続される個別配線を長さが異なるように調節することができる。これにより、隣接する放射パターンの間に位相差を形成することができ、ビーム・チルティング(Beam tilting)を行うことができる。これにより、アンテナのビーム・カバレッジ(Beam coverage)を拡張できる。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記フレキシブル回路基板は、前記給電配線の上層に配置される給電グランドをさらに含むことができる。これにより、前記給電配線自体からの放射(自体放射)をさらに遮蔽または低減することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記アンテナ電極層の少なくとも一部をメッシュ構造に形成することにより、アンテナ構造体の透過率を向上させることができる。例えば、前記アンテナ構造体は、3G~5G高周波帯域の送受信が可能な移動通信機器を含むディスプレイ装置に適用され、放射特性および透過度のような光学特性を共に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、例示的な実施形態に係るアンテナ構造体を示す概略断面図である。
図2図2は、例示的な実施形態に係るアンテナ構造体のアンテナ電極層の構造を説明するための概略平面図である。
図3図3は、例示的な実施形態により給電配線と放射パターンが接続された様子を示す概略平面図である。
図4図4は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ構造体を示す概略断面図である。
図5図5は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ構造体のアンテナ電極層の構造を説明するための概略平面図である。
図6図6は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を示す概略平面図である。
図7図7は、例示的な実施形態に係る放射パターンの位相差を示す概略平面図である。
図8図8は、図7のアンテナ構造体のビーム形成分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の例示的な実施形態は、複数の放射パターンを含むアンテナ素子と、放射パターンと電気的に接続された給電配線を含むフレキシブル回路基板とを含み、給電配線は、複数の放射パターンにそれぞれ接続される個別配線を含み、個別配線のうち隣り合う少なくとも一対の個別配線の長さが互いに異なる、アンテナ構造体を提供する。前記アンテナ構造体は、向上した信号効率及びビーム・カバレッジ(Beam coverage)を有することができる。
【0034】
前記アンテナ構造体又は前記アンテナ素子は、例えば、透明フィルムの形で製作されるマイクロストリップパッチアンテナ(microstrip patch antenna)であってもよい。前記アンテナ構造体は、例えば、3G~5G移動通信のための通信機器に適用できる。
【0035】
また、本発明の実施形態は、前記アンテナ構造体を含むディスプレイ装置を提供する。
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0037】
以下では、例えば、誘電層110の上面に平行であり、互いに交差する二つの方向を第1方向及び第2方向と定義する。例えば、前記第1方向及び第2方向は、互いに垂直に交差することができる。誘電層110の上面に対して垂直な方向は、第3方向と定義される。例えば、前記第1方向は前記アンテナ構造体の長さ方向(伝送線路が延長する方向)、前記第2方向は前記アンテナ構造体の幅方向、前記第3方向は前記アンテナ構造体の厚さ方向に相当し得る。
【0038】
図1は、例示的な実施形態に係るアンテナ構造体を示す概略断面図である。
【0039】
図1を参照すると、前記アンテナ構造体は、アンテナ素子(例えば、フィルムアンテナ)100とフレキシブル回路基板(例えば、FPCB)200とを含むことができる。前記アンテナ構造体は、フレキシブル回路基板200を介してアンテナ素子100と電気的に接続される駆動集積回路(IC)チップ280をさらに含むことができる。
【0040】
アンテナ素子100は、誘電層110と、誘電層110の上面上に配置されたアンテナ電極層120とを含むことができる。いくつかの実施形態では、誘電層110の底面上にアンテナグランド層130を配置することができる。
【0041】
誘電層110は、例えば透明樹脂物質を含むことができる。例えば、誘電層110は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラル系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂などの熱可塑性樹脂を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂からなる透明フィルムを誘電層110として活用することもできる。いくつかの実施形態では、さらに、光学透明粘着剤(Optically clear Adhesive:OCA)、光学透明樹脂(Optically Clear Resin:OCR)などの粘接着フィルムが誘電層110に含まれ得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、誘電層110は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ガラスなどの無機絶縁物質を含むことができる。
【0044】
一実施形態において、誘電層110は実質的に単層で提供され得る。一実施形態において、誘電層110は少なくとも2層以上の複層構造を含むこともできる。
【0045】
誘電層110によって、アンテナ電極層120とアンテナグランド層130との間で静電容量(capacitance)またはインダクタンス(inductance)が形成され、アンテナ素子100が駆動又はセンシングできる周波数帯域を調整することができる。いくつかの実施形態において、誘電層110の誘電率は約1.5~12の範囲に調節することができる。前記誘電率が約12を超えると、駆動周波数が減少しすぎて、所望の高周波帯域での駆動を実現できないことがある。
【0046】
アンテナ電極層120は、放射パターンを含むことができる。例示的な実施形態によると、アンテナ電極層120は、伝送線路およびパッド電極をさらに含み、前記伝送線路によって前記パッド電極と前記放射パターンを互いに電気的に接続することができる。前記パッド電極は、信号パッドとグランドパッドとを含むことができる。アンテナ電極層120の構成及び構造については、図2で詳細に後述する。
【0047】
アンテナグランド層130は、誘電層110の前記底面上に配置することができる。いくつかの実施形態において、アンテナグランド層130は、平面方向でアンテナ電極層120と全体的に重畳するように配置することができる。
【0048】
アンテナ電極層120及びアンテナグランド層130は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)又はこれらの合金を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて用いることができる。例えば、低抵抗の実現のために、銀(Ag)または銀合金(例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金)を用いることができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、アンテナ電極層120及びアンテナグランド層130は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(ITZO)、亜鉛酸化物(ZnOx)のような透明金属酸化物を含むこともできる。
【0050】
フレキシブル回路基板200は、アンテナ素子100と電気的に接続されるようにアンテナ電極層120上に配置することができる。フレキシブル回路基板200は、コア層210と給電配線220と給電グランド層230とを含むことができる。コア層210の上面及び下面の上には、それぞれ、配線保護のために上部カバーレイ(coverlay)フィルム250及び下部カバーレイフィルム240を形成することができる。
【0051】
コア層210は、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)などの柔軟性を有する樹脂物質を含むことができる。
【0052】
給電配線220は、例えば、コア層210の底面上に配置することができる。給電配線220は、駆動集積回路(IC)チップ280からアンテナ電極層120に電力を分配する配線で提供され得る。
【0053】
例示的な実施形態によると、給電配線220は、導電性仲介構造物を介してアンテナ電極層120(例えば、図2に示す信号パッド126)と電気的に接続することができる。
【0054】
前記導電性仲介構造物は、例えば、異方性導電フィルム(ACF)から製造することができる。この場合には、前記導電性仲介構造物は、樹脂層内に分散された導電性粒子(例えば、銀粒子、銅粒子、カーボン粒子など)を含むことができる。
【0055】
図1に示すように、アンテナ電極層120及び給電配線220の結合領域によってボンディング領域(BA)が定義できる。
【0056】
例えば、下部カバーレイフィルム240を部分的に切断または除去して、ボンディング領域(BA)に対応するサイズの給電配線220部分を露出させることができる。露出した給電配線220部分とアンテナ電極層120を加圧ボンディングして、ボンディング領域(BA)でのボンディング構造を実現することができる。いくつかの実施形態によると、給電配線220とアンテナ電極層120との間に前記導電性仲介構造物を介在することができる。
【0057】
コア層210の上面上には、給電グランド層230を配置することができる。給電グランド層230は、ライン形状またはプレート形状を有することができる。給電グランド層230は、給電配線220から発生するノイズ又は自体放射を遮蔽または抑制するバリアとして機能することができる。
【0058】
給電配線220及び給電グランド層230は、アンテナ電極層120で説明した金属及び/又は合金を含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、給電グランド層230は、コア層210を貫通するグランドコンタクト235を介してアンテナ電極層120のグランドパッド123,125(図2を参照)と電気的に接続することができる。
【0060】
いくつかの実施形態によると、給電グランド層230とグランドパッド123,125は、複数のグランドコンタクト235を介して電気的に接続することができる。グランドコンタクト235は、直径が30μm以上であってもよく、隣接するグランドコンタクト235間の距離は、前記直径の2倍以上であってもよい。前記規格及び配列を満足する複数のグランドコンタクト235は、給電グランド層230とグランドパッド123,125の通電効率を大幅に向上させることができる。これにより、放射パターン122または給電配線220からのノイズを効果的に除去できる。グランドコンタクト235は、直径が200μm以下であってもよく、隣接するグランドコンタクト235間の距離は、前記直径の4倍以下であってもよい。より好ましくは、グランドコンタクト235は、直径が50~100μmであってもよく、隣接するグランドコンタクト235間の距離は、前記直径の2~3倍であってもよい。
【0061】
フレキシブル回路基板200上には、駆動ICチップ280を配置することができる。駆動ICチップ280から給電配線220を介してアンテナ電極層120に電力を供給することができる。例えば、フレキシブル回路基板200内には、駆動ICチップ280と給電配線220を電気的に接続する回路又はコンタクトをさらに含むことができる。
【0062】
図2は、例示的な実施形態に係るアンテナ構造体のアンテナ電極層の構造を説明するための概略平面図である。
【0063】
図2を参照すると、前述のように、図1に示すアンテナ電極層120は、放射パターン122と伝送線路124とパッド電極とを含むことができる。前記パッド電極は、信号パッド126とグランドパッド123,125とを含むことができる。
【0064】
伝送線路124は、放射パターン122から分岐して前記第1方向に延長することができる。一実施形態において、伝送線路124は、放射パターン122と実質的に一体に接続され、単一の部材として提供され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、伝送線路124の末端部を信号パッド126で提供することができる。前記グランドパッドは、第1グランドパッド123と第2グランドパッド125とを含むことができる。第1グランドパッド123と第2グランドパッド125は、信号パッド126を挟んで互いに前記第2方向に向かい合うように配置することができる。
【0066】
平面方向で信号パッド126及びグランドパッド123,125をカバーする領域を、図1で説明したフレキシブル回路基板200との接続が行われるボンディング領域(BA)で提供できる。
【0067】
いくつかの実施形態において、フレキシブル回路基板200の給電配線220は、信号パッド126と選択的に接続することができる。この場合、ボンディング領域(BA)は、図2での信号パッド126をカバーする領域としても定義できる。
【0068】
図3は、例示的な実施形態により給電配線と放射パターンが接続された様子を示す概略面である。
【0069】
図3を参照すると、誘電層110の上面上に複数の放射パターン122が形成される。放射パターン122は、第1放射パターン122aと第2放射パターン122bと第3放射パターン122cと第4放射パターン122dとを含むことができる。給電配線220は、第1個別配線222と第2個別配線224と第3個別配線226と第4個別配線228とを含む複数の個別配線を含む。
【0070】
例えば、図3に示すように、放射パターン122は、第2方向に配列することができる。隣接する放射パターン122間の間隔は制限されず、隣接する放射パターン122が互いに直接短絡されない間隔の範囲内で離隔して配置することができる。前記間隔は異なっていても、一定であってもよい。前記間隔が一定であると、各放射パターン122から放出される信号間の干渉が低減することや、干渉パターンが単一化されることによって、信号効率が向上できる。
【0071】
いくつかの実施形態において、複数の放射パターン122では、隣接する放射パターン122同士が異なる位相を有することができる。隣接する放射パターン122間の位相差によって、ビームの角度がチルティング(tilting)できる。これにより、アンテナ素子100のビーム・カバレッジが拡張できる。
【0072】
例示的な実施形態において、給電配線220は、複数の放射パターン122にそれぞれ接続される複数の個別配線を含む。前記個別配線とは、給電配線220の接続配線221a,221bから分岐して複数の放射パターン122に接続されるそれぞれの配線を意味し得る。
【0073】
前記複数の個別配線のうち、隣り合う少なくとも一対の個別配線の長さは異なっている。例えば、図3に示すように、第2個別配線224に対して第1個別配線222及び第3個別配線226は、異なる長さを有してもよい。また、第1個別配線222、第2個別配線224、第3個別配線226及び第4個別配線228は、その長さがそれぞれ異なっていてもよい。
【0074】
前記個別配線の長さの差によって、隣接する放射パターン122のそれぞれから放出される信号の位相に差が発生し得る。いくつかの実施形態において、前記位相差は下記数式1で表すことができる。
【0075】
[数式1]
位相差(φ)=βsinθ+φ
(β=2π/λ、λ:共振波長、θ:ビーム方向、φ:初期位相)
【0076】
前記ビーム方向(Beam Direction)とは、例えば、アンテナパターンが指向する角度を意味し、下記数式2で表すことができる。
【0077】
[数式2]
ビーム方向(θ)=-sin-1(1-(mλ/d))
(m:アレイ(array)の数、λ:共振波長、d:アンテナ間の中心間の距離)
【0078】
例えば、アンテナ間の中心間の距離dはλ/2であってもよい。
【0079】
これにより、隣接する個別配線の長さの差を調整して放射パターンに位相差を形成することができ、アンテナのビーム・チルティング角度を変更できる。
【0080】
いくつかの実施形態において、給電配線220は、前記個別配線を所定の単位でカップリングする接続配線221a,221bを含むことができる。第1接続配線221aは、第1個別配線222と第2個別配線224をカップリングすることができる。第2接続配線221bは、第3個別配線226と第4個別配線228をグルーピングすることができる。第1接続配線221a及び第2接続配線221bは、再び互いにカップリングされて接続配線単位を形成することができ、前記接続配線単位がさらにカップリングされて給電配線220を形成することができる。
【0081】
例示的な実施形態において、前記接続配線によって隣り合う2つの個別配線が接続され、複数の給電単位を定義することができる。例えば、第1接続配線221aによってカップリングされた第1個別配線222と第2個別配線224によって第1給電単位を定義できる。前記第1給電単位は、例えば、第1放射パターン122a及び第2放射パターン122bと接続することができる。同様に、第2接続配線221bによってカップリングされた第3個別配線226と第4個別配線228によって第2給電単位を定義できる。
【0082】
前記それぞれの給電単位内に含まれた前記個別配線の長さは互いに異なっていてもよい。例えば、前記第1給電単位に含まれた第1個別配線222と第2個別配線224は、長さが異なっていてもよく、前記第2給電単位に含まれた第3個別配線226と第4個別配線228は、長さが異なっていてもよい。前記個別配線の長さの差によって、それぞれの給電単位に含まれた放射パターンの間に位相差が発生し得る。
【0083】
いくつかの実施形態によると、互いに異なる給電単位に含まれた前記個別配線のうち隣り合う個別配線は、長さが異なっていてもよい。例えば、前記第1給電単位及び第2給電単位に含まれた個別配線のうち隣り合う第2個別配線224と第3個別配線226は、長さが異なっていてもよい。これにより、それぞれの給電単位内だけでなく、隣り合う給電単位の間でも放射パターンの位相差が発生し得る。
【0084】
例示的な実施形態によると、それぞれの給電単位から生成される位相差は一定であってもよい。例えば、第1給電単位の第1放射パターン122aと第2放射パターン122bとの間の位相差と、第2給電単位の第3放射パターン122cと第4放射パターン122dとの間の位相差は、同一であってもよい。前記「一定」または「同一」は、「実質的に一定」または「実質的に同一」であることを含み、例えば±10%の誤差を含むことができる。
【0085】
例示的な実施形態において、前記隣接する放射パターンから放出される信号間の位相差は一定に維持できる。例えば、第1放射パターン122a及び第2放射パターン122bから放出される信号間の位相差は、第2放射パターン122b及び第3放射パターン122cから放出される信号間の位相差、並びに第3放射パターン122c及び第4放射パターン122dから放出される信号間の位相差と同じであってもよい。前記位相差を一定に維持する場合には、ビーム・チルティングをより効果的に行うことができる。
【0086】
いくつかの実施形態によると、複数の放射パターン122は、配列された方向に一定に増加または減少する位相を有することができる。
【0087】
複数の放射パターン122の位相が一定に増加または減少する場合には、隣接する放射パターンがそれぞれカップリングされてビーム形成角度をチルティングできる。例えば、複数の放射パターン122が全体的にカップリングされ、ビーム形成角度が効果的にチルティングできる。
【0088】
図7は、例示的な実施形態に係る放射パターンの位相差を示す概略図である。
【0089】
図7を参照すると、本発明の例示的な実施形態に係るアンテナ構造体において、8つの放射パターンの位相は、最右側の放射パターンを基準(Phase0°)で左方向に120°ずつ増加する傾向を持つことができる(Phase360°は、Phase0°と同じ。)。例えば、隣り合う放射パターン間の位相差は120°と一定であってもよい。
【0090】
図8は、図7のアンテナ構造体のビーム形成分布を示す概略図である。
【0091】
図8を参照すると、図7のアンテナ構造体の場合には、ビーム形成のメインピークが-40°であることが示されている。このことから、個別配線の長さが同じで、各放射パターン間に位相差がない比較例に比べて、メインビーム形成角度が40°チルティングしたことが分かった。
【0092】
いくつかの実施形態によると、隣り合う放射パターンから放出された信号間の位相差は30°~270°であってもよい。前記範囲内であると、アンテナ構造体のビーム・カバレッジを効果的に拡張できる。より好ましくは、前記位相差は60°~180°であってもよい。
【0093】
前記各個別配線の端部は、ボンディング領域(BA)で放射パターン122と電気的に接続することができる。例えば、ボンディング領域(BA)における前記末端部を除いた前記個別配線部分が位置する領域を位相変化領域(Phase Shift Area、PSA)で提供できる。
【0094】
いくつかの実施形態によると、それぞれの給電単位内に含まれた個別配線のうちの少なくとも一つは、複数の給電単位の配列方向に沿って突出した屈曲部を含むことができる。例えば、前記屈曲部は、第2方向に突出することができる。前記屈曲部を複数の給電単位の配列方向に沿って形成することにより、例えば、アンテナ構造体の長さ(第1方向の長さ)を増加させないまま、個別配線の間に長さの差を形成することができる。これにより、アンテナ構造体のサイズを減少させることができる。
【0095】
いくつかの実施形態において、前記屈曲部が形成されている個別配線と、前記屈曲部が形成されていない個別配線との間に長さの差が生じ得る。例えば、第1個別配線222と第2個別配線224との間に第1個別配線222の屈曲部の長さだけの長さの差が生じ得る。また、それぞれ屈曲部が形成されている一対の個別配線において、各屈曲部の長さによって個別配線の長さの差が生じ得る。例えば、第3個別配線226の場合には、第4個別配線228に比べて屈曲部の長さが長く、屈曲部の長さの差だけ個別配線間に長さの差が生じ得る。これにより、電気的経路に長さの差が発生し、複数の放射パターン122から放出される信号の位相が異なり得る。
【0096】
例示的な実施形態によると、前記複数の個別配線のうちの少なくとも一つは、位相変化領域(PSA)内で複数の放射パターン122が配列された方向に突出した屈曲部を含むことができる。
【0097】
例えば、位相変化領域(PSA)に前記屈曲部を形成して個別配線の長さを調節する場合には、放射パターン122の配列及び間隔を調節することなく、容易に位相差を調節することができる。
【0098】
いくつかの実施形態によると、前記個別配線の周辺に給電グランドパッドを配置することができる。前記給電グランドパッドは、前記個別配線を中央に置いて一対として向かい合うように配置することができる。例えば、第2方向に向かい合って形成することができる。また、前記給電グランドパッドは、第3方向を基準に給電配線220および個別配線と同じレベルに配置することができる。前記給電グランドパッドは、アンテナ電極層120のグランドパッド123,125と接触して配置することができ、グランドパッド123,125と一体に形成することができる。前記給電グランドパッドは、グランドコンタクト235に貫通することができる。前記給電グランドパッドにより、個別配線から提供される電気信号のノイズを効果的に低減できる。
【0099】
図4は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ構造体を示す概略断面図である。
【0100】
図4を参照すると、フレキシブル回路基板200は、アンテナ素子100aの下に配置してもよい。例えば、フレキシブル回路基板200は、誘電層110の底面側でアンテナ素子100aと結合することができる。
【0101】
この場合、図4に示すように、給電配線220は、給電コンタクト260を介してアンテナ電極層120aと電気的に接続することができる。いくつかの実施形態において、アンテナ電極層120aは、誘電層110の側壁に沿って屈曲して誘電層110の底面上に延長することができる。例えば、アンテナ電極層120aの信号パッドが誘電層110の前記底面上に配置され、これにより、給電コンタクト260による給電配線220との接続を容易に実現することができる。
【0102】
アンテナ電極層120aのグランドパッドもまた、誘電層110の側面に沿って屈曲して誘電層110の前記底面まで延長され、フレキシブル回路基板200の給電グランド層230と電気的に接続することができる。一実施形態において、誘電層110の前記底面に延長されたグランドパッド部分は、アンテナグランド層130aと一体に接続することができる。
【0103】
図5は、いくつかの例示的な実施形態に係るアンテナ構造体のアンテナ電極層の構造を説明するための概略平面図である。
【0104】
図5を参照すると、アンテナ電極層120は、メッシュ構造を含むこともできる。図5に示すように、放射パターン122、伝送線路124、信号パッド126及びグランドパッド123,125は、いずれもメッシュ構造を含むことができる。
【0105】
いくつかの実施形態において、抵抗の増加による信号損失を防止するために、信号パッド126及びグランドパッド123,125は、中身が詰まった(solid)パターンで形成することもできる。
【0106】
アンテナ電極層120が前記メッシュ構造を含むことにより、アンテナ素子100の透過率が向上できる。いくつかの実施形態において、アンテナ電極層120の周辺には、ダミーメッシュ層129を配置することができる。ダミーメッシュ層129により、アンテナ電極層120の周辺(例えば、放射パターン122の周辺)の電極配列を均一化し、アンテナ電極層120がディスプレイ装置のユーザに視認されることを防止することができる。
【0107】
例えば、メッシュ金属層が誘電層110上に形成され、前記メッシュ金属層が所定の領域に沿ってエッチングされ、ダミーメッシュ層129を放射パターン122、伝送線路124などから電気的、物理的に隔離することができる。
【0108】
図6は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を示す概略平面図である。例えば、図6は、ディスプレイ装置のウインドウを含む外部形状を示している。
【0109】
図6を参照すると、ディスプレイ装置300は、表示領域310及び周辺領域320を含むことができる。周辺領域320は、例えば、表示領域310の両側部及び/又は両端部に配置することができる。
【0110】
いくつかの実施形態において、前述したアンテナ構造体に含まれるアンテナ素子100は、ディスプレイ装置300の周辺領域320にパッチの形で挿入することができる。いくつかの実施形態において、アンテナ素子100のパッド電極123,125,126は、ディスプレイ装置300の周辺領域320に対応するように配置することができる。
【0111】
周辺領域320は、例えば、画像表示装置の遮光部又はベゼル部に相当し得る。例示的な実施形態によると、前記アンテナ構造体のフレキシブル回路基板200は、周辺領域320に配置され、ディスプレイ装置300の表示領域310での画像劣化を防止することができる。
【0112】
また、周辺領域320には駆動ICチップ280を併せて配置することができる。アンテナ素子100のパッド電極123,125,126を周辺領域320内でフレキシブル回路基板200及び駆動ICチップ280と隣接するように配置することにより、信号の送受信経路を短縮させて信号損失を抑制することができる。
【0113】
アンテナ素子100の放射パターン122は、表示領域310と少なくとも部分的に重畳していてもよい。例えば、図5に示すようにメッシュ構造を利用して、放射パターン122がユーザに視認されることを低減することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】