(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】腹腔鏡検査におけるガス加湿用デバイスのための水タンク
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20220105BHJP
A61F 7/12 20060101ALI20220105BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20220105BHJP
A61M 31/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61B17/00
A61F7/12 Z
A61M37/00
A61M31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518916
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(85)【翻訳文提出日】2021-05-24
(86)【国際出願番号】 DE2019000257
(87)【国際公開番号】W WO2020074027
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】102018007981.4
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518248192
【氏名又は名称】ヴェー.オー.エム. ワールド オブ メディシン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C066
4C099
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066DD02
4C066LL02
4C066LL04
4C066LL20
4C066QQ82
4C099AA01
4C099CA13
4C099EA04
4C099PA01
4C160MM23
4C267AA80
4C267BB36
4C267BB62
4C267CC28
4C267EE05
4C267EE07
(57)【要約】
本発明は、ガス供給デバイス(吸入器)に接続するための水タンクを伴う腹腔鏡検査におけるガス加湿用デバイスのための水タンクに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給デバイス(吸入器)に接続するための腹腔鏡検査におけるガス加湿用デバイスであって、
選択式の第1の吸収加湿手段(3)を伴うプラスチックチャンバ(2)の水タンク(1)であって、
前記プラスチックチャンバはガス入口(4)及びガス出口(5)を含み、
前記ガス入口は吸入器に直接または選択式の管(6)を経由して接続され、前記ガス出口(5)はガス管(7)に通じる、水タンク(1)と、
第2の吸湿材から作られた1つ以上の実質的に円筒状の加湿手段(8)と、
ガスを患者に供給できるガス管(7)と、を含み、
少なくとも1つの円筒前面(9)を伴う第2の吸湿材から作られた1つ以上の実質的に円筒状の前記加湿手段(8)は前記水タンク(1)と接触し、他の円筒前面またはシリンダ胴(10)はガス流に位置付けられることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記第1の加湿手段(3)及び/または第2の前記加湿手段(8)は、毛管効果によって液体を搬送できる物質から作られることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記プラスチックチャンバ(2)は前記加湿手段(3,8)を加湿するためのアクセス部(12)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記プラスチックチャンバ(2)の前記ガス出口で加熱されたガス管(7)によって特徴付けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ガス管(7)の温度プローブによって特徴付けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記プラスチックチャンバ(2)は、1~5個の実質的に円筒状の加湿手段(8)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
1~5個の実質的に円筒状の前記加湿手段(8)は前記ガス流に位置付けられることにより、前記ガス流は円筒状前面(9)を介して供給されること、
または、
1~5個の実質的に円筒状の前記加湿手段(8)は前記ガス流に位置付けられることにより、前記ガス流はシリンダ胴表面(10)を介して供給されること、
を特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
1~5個の実質的に円筒状の前記加湿手段(8)及び/または前記第1の加湿手段(3)は加熱されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の加湿手段(3)を伴う前記水タンクは前記ガス流を中心として同軸に配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ガス管(7)は電熱線(11)によって加熱されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡検査におけるガス加湿用デバイスのための水タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔及び腹腔の器官を視覚的に検査できる腹腔鏡検査は医学的介入である。この目的のために、通常、小さな皮膚切開(0.3~2cm)は腹腔壁で作られ、トロカールは、皮膚切開によって導入され、更に、光学デバイスを収容できる。特殊な内視鏡(腹腔鏡)を活用して、腹腔を検査できる。診断的腹腔鏡検査では、治療の手技において、腹腔だけを視覚的に検査し、また、手術的介入を行うことができる。
【0003】
通常、腹腔鏡検査の開始において、最初に、気腹を提供するように、腹腔はガスで満たされる。この目的のために、既に、空気、窒素、または二酸化炭素(CO2)等の様々なガスを使用している。二酸化炭素ガスの使用は、かなり成功していることが証明されている。具体的には、長い腹腔鏡の介入において、一方では、導入されるガスを加熱し、他方では、ガスを加湿することが合理的であることが発見されていた。ガスの加熱は、おそらく低温ガスの入力による局所冷却の結果である患者の痛みの広範性の感覚を回避するように、患者を冷却しない役割を果たす。加湿は、加湿によって発生する冷却も回避するために、腹腔の内面の乾燥を防止する役割を果たす。
【0004】
この目的のために、先行技術では、既に提案がなされている。米国特許第6,068,609号明細書では、例えば、腹腔鏡検査のためにガスの加熱及び加湿を可能にするデバイスが説明されている。本明細書では、抵抗加熱素子が設けられている別個のチャンバが説明されている。チャンバには、さらに、加湿できるスポンジ等の吸収材がある。
【0005】
腹腔鏡検査におけるガス加湿のためのデバイスの別の実施形態は、例えば、米国特許出願公開第2003/0181857号明細書に提示されている。本明細書では、ガス管の内部に、吸湿材(吸い取り材)がある。ガスが吸入器から管を通って流れるとき、同時に、ガスを加湿する。管に存在する材料が手術中に均一に湿度が高く保持される状態になる。この目的のために、本書では、管の上に配置される水を含むリザーバが提供されている。次に、管を通って、水は加湿材に運ばれる。
【0006】
さらなる先行技術の見解は、米国特許出願公開第2013/0239966号明細書、欧州特許出願公開第0934091号明細書、及び独国特許出願公開第19510710号明細書の特許文献に説明されている。
【0007】
実際に、湿度の均一供給は、この種類のガス加湿デバイスの基本的な問題であることが発見されている。手術の種類及び手術に必要なガス流に応じて、かなり多い水またはかなり少ない水のいずれかは、多くの場合、水タンクから供給される。
【0008】
したがって、ガス供給デバイスと、ガスを患者に供給するガス管とを含む、腹腔鏡検査に使用される吸引デバイスに関する問題があり、管は、随意に、加湿材を含み、含有水の量を流動ガスに均一に送達することが可能である水タンクを指定し得る。
【0009】
さらに、医療関係者が、デバイスの取り扱いが困難にならないことが望まれる。この目的のために、本発明は、水タンクが、進行時において吸引中に補給できることを可能にすることである。デバイスの近くに、または管セット付近の患者に対して一定距離においてのいずれかに、水タンクを配置できる。デバイスの近くに位置付ける利点は、水タンクは、処置中に干渉が少なくなり、患者の近くに位置付ける利点は管内の凝縮の発生が少なくなることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,068,609号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2003/0181857号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0239966号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0934091号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第19510710号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、上記の不利点を回避するガスを加熱及び加湿するための単純なデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的の解決策は特許請求項1の主題(すなわち、ガス供給デバイス(吸入器)に接続するための腹腔鏡検査におけるガス加湿用デバイス)によって達成され、ガス加湿用デバイスは、
選択式の第1の吸収加湿手段(3)を伴うプラスチックチャンバ(2)の水タンク(1)であって、
プラスチックチャンバはガス入口(4)及びガス出口(5)を含み、
ガス入口は吸入器に直接または選択式の管(6)を経由して接続され、ガス出口はガス管(7)に通じる、水タンク(1)と、
第2の吸湿材から作られた1つ以上の実質的に円筒状の加湿手段(8)と、
ガスを患者に供給できるガス管(7)と、を含み、
少なくとも1つの円筒前面(9)を伴う第2の吸湿材から作られた1つ以上の実質的に円筒状の加湿手段(8)は水タンク(1)と接触し、他の円筒前面またはシリンダ胴(10)はガス流に位置付けられることによって特徴付けられる。
【0013】
好ましくは、少なくとも1つの加湿手段は、加熱素子と接続される、または電熱線(11)によって巻着される。加湿チャンバには、選択式補給ポート(12)が設けられている。
【0014】
利点をもたらす改善は従属請求項の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】電熱線(11)によって巻着される実質的に円筒状の加湿手段(8)を伴う、本発明に従ったガス加湿デバイスの断面を示す。第1の加湿手段はガス流(矢印)を中心として同軸に配置される円形プラスチックチャンバである。
【
図2】ガス流におけるいくつかの(ここでは、3個の)円筒状の加湿手段(8)の可能な構成を示す。円筒状の加湿手段(8)はガス流に平行に配置されることにより、ガス流がシリンダを連続的に通過する。
【
図3】ガス流におけるいくつかの(ここでは、2個の)円筒状の加湿手段(8)の別の可能な構成を示す。円筒状の加湿手段(8)は相互に対して90°の角度に配置される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の核心は、ガス供給デバイス(吸入器)と患者に通じる管との間に配置される水含有チャンバである。このチャンバは液状の水を含み得る。好ましくは、水は加湿材(例えば、詰め綿、スポンジ等)に貯蔵される。チャンバから、水は、第2の加湿手段(例えば、綿のタンポン)の毛管効果によってガス流に伝導される(
図1参照)。毛管効果による湿度移動はかなり均一であることが発見されている。加湿材の表面の水を蒸発することで、消費に応じて、均一に再供給される。結果として、かなり均一のガス流の加湿が達成される。好ましくは、第2の加湿手段は実質的に円筒形状を有する。しかしながら、円筒形状と異な形状(例えば、六角柱のような形状)を有し得る。また、円柱またはシリンダの端は、各々、丸みを帯び得る。
【0017】
給送されるガスの量に応じて、異なる水の量を消費する。より高いガス流量(20~50l/min)の吸入器が、チャンバと熱ユニットとの間でいくつかの接続部(例えば、3~4個の円筒状加湿手段(例えば、1~2のセンチメートルの直径及び4~6cmの長さのタンポン))を提供する利点があり得ることが発見されている。
【0018】
低いガス流量の吸入器に関して、1~2個の係る要素で十分であり得る。
【0019】
多くの場合、十分な加湿(図に示されない)を達成するために、ガス流が加湿手段(例えば、タンポン)の円筒状前面を通って供給されるとき十分である。他の場合、
図1に示されるように、ガス流は、円筒状加湿手段のシリンダ胴表面を介して直接供給される。好ましくは、タンポンは電熱線に直接巻着され、追加の加熱ユニットとして働く。
【0020】
随意に、円筒状加湿手段は、例えば、電気抵抗加熱によって加熱される電熱線の周りに含まれるまたは巻着されることによって加熱され得る。
図1では、電熱線によるタンポンの螺旋状の巻着が示される。
【0021】
随意に、また、ガス管は、加湿材(例えば、ガス管内に含まれるビスコースフリースストリップ)を含み得る。この場合、物質が円筒状加湿手段と直接接触するとき、適切である。この場合、毛管効果により増加する水は、ビスコースフリースストリップにわたって伝導できる。管を通って伝導されるガスを加熱するガス管の加熱デバイスを同時に提供することが可能である。その加熱により、含有ビスコースフリースストリップを同時に加熱でき、ひいては、ガスの熱及び加湿を安定させる。
【0022】
代替の実施形態では、水タンクは、また、ガス流を中心として同軸に配置され得る(
図1~
図3)。この目的のために、例えば、吸収材(例えば、綿)は、実質的に円形チャンバに配置され得、ガス流はチャンバのコアを通って軸方向に供給される。この場合も、円筒状加湿手段(例えば、タンポン)を通るチャンバの含有物質によって、ガス流に湿度を伝導できる。この場合、タンポンは、例えば、ガス流に直角に配置され、これにより、ガス流は、円筒状タンポンの外胴表面を通って供給される。この場合も、例えば、タンポンを中心に螺旋状に巻かれた電熱線によって実現される電気抵抗加熱素子を提供し得る。この場合も、タンポンの毛管効果は、ガス流のかなり均一の加湿を提供する。本実施形態の利点は、加湿力がチャンバの位置と無関係であることである。いくつかのタンポンは、ガス流に連続的に位置付けられ得る。ここでは、タンポンは相互に並行して配置され得る(
図2)。
【0023】
しかしながら、タンポンは相互に並行して配置されないのが好ましい。しかし、角度aは、a=180°であり、nについて、nはタンポンの個数である。2つのタンポンについて、90°の角度が最適であることを証明しており(
図3)、3つのタンポンについて、それぞれ、60°の角度が最適であることを証明している。
【0024】
いずれの場合、チャンバには、加湿手段のための対応する保持要素が設けられている。
【0025】
当然ながら、相応に設計されたチャンバは、例えば、シリンジによって満たされるスタブによって形成される補給デバイスを含み得る。
【0026】
当然ながら、ここでの加湿デバイスのチャンバは正確な円形である必要はないが、例えば、四角形、六角形、または八角形の実施形態等の他の実施形態も可能であることは当業者に明らかである。
【0027】
全ての実施形態では、腹腔鏡の介入を開始する前に、全ての構成要素(すなわち、水タンクとして働く加湿材及びタンポン)の十分な加湿を安定させる必要があることは当然である。本発明に従った水タンクは、通常、乾燥状態で貯蔵され、送られる。したがって、手術を開始する前に、液体で充填することを行う必要がある。通常、これは、接続された隔膜を伴う充填スタブまたは補給スタブによって発生する。代替として、水タンクだけが加湿され得、タンポンが完全に浸かるまで、水タンクは待機する必要がある。手術を開始する前に、同様に、該当する場合、手術中に、供給される液体を殺菌する必要があることは、当業者は当然わかる。
【0028】
随意に、例えば、物質を加湿するとき、色変化を示す湿度指示剤を伴う水タンク及び/またはタンポンを提供する可能性がある。この場合、手術を開始する前に、同一色になるのを待つ必要がある。
【0029】
本発明に従った水タンクは、吸入器のガス出口のすぐ傍に設置できる、または患者に通じる管に取り付けできるのいずれかである。多くの場合、普通の吸入器モデルは、このガス出口に、別個のフィルタを含む。この場合、リザーバは、フィルタのすぐ傍に位置付けられ、フィルタ及びリザーバを保持するための連続的筐体部を形成できる。代替として、吸入器のガス出口は、管によって、リザーバのガス入口に接続できる。
【0030】
水タンクのためのチャンバは、例えば、射出成形または3D印刷によって、医療技術(例えば、PVC、PE、PP等)で使用される従来の物質から作られ得る。また、目視検査を可能にするために、チャンバまたはチャンバの一部を透明に作ることができる。
【0031】
水タンクのガス出口端に、加熱管が位置付けられる。すぐ傍に、加熱管を接着または溶接し得る。別の可能性として、チャンバのガス出口側はスタブに形成され、実際のガス管はスタブに適合及び固定される。
【0032】
ガス管自体はプラスチックの普通の様式で作られている。
【0033】
先行技術のいくつかの説明を考慮して、ここでは、別の説明は必要ない。
【0034】
当然ながら、例えば、加熱管の全長にわたってガス流の均一加熱プロセスを安定させる電熱線を伴うガス管を提供することが可能である。ガス管の遠位端(患者側)において、医療器具の接続が提供され、これにより、ガスを本体(例えば、ベレス針またはトロカール)に伝導する。
【0035】
さらに、随意に、ガス管には、結果として生じるガス温度を監視するために、例えば、ガス管の患者側の端に温度センサが設けられ得る。
【符号の説明】
【0036】
1)水タンク
2)プラスチックチャンバ
3)第1の吸収加湿手段
4)プラスチックチャンバに入るガス入口
5)プラスチックチャンバから出るガス出口
6)吸入器からプラスチックチャンバ(2)のガス入口(4)までの選択式管
7)プラスチックチャンバ(2)のガス出口(5)から患者までの管
8)第2の吸収加湿手段(実質的に円筒状)
9)実質的に円筒状の第2の加湿手段(8)の円筒状前面
10)実質的に円筒状の第2の加湿手段(8)のシリンダ胴表面
11)電熱線
12)加湿手段を加湿するためのプラスチックチャンバ(2)への選択式アクセス部
【国際調査報告】