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特表2022-504421ガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H02B 13/075 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
H02B13/075
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518943
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(85)【翻訳文提出日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 KR2019013403
(87)【国際公開番号】W WO2020091261
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0131206
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョンジン
(72)【発明者】
【氏名】イム、ウスン
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017BB03
(57)【要約】
本発明は、ガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチに関し、より詳細には、送風機構が備えられてアーク遮断性能が向上したガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチに関する。本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチは、筐体と、前記筐体の内部に設置され、下部には円周面に沿って通気孔が形成されるシリンダ部材と、前記シリンダ部材の内部に挿設され、駆動部から伝達された力で前進後退運動し、開放時に前記シリンダ部材の内部の空気を接点部に噴射するピストン部材とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に設置され、下部には円周面に沿って通気孔が形成されるシリンダ部材と、
前記シリンダ部材の内部に挿設され、駆動部から伝達された力で前進後退運動し、開放時に前記シリンダ部材の内部の空気を接点部に噴射するピストン部材とを含む、ガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項2】
前記シリンダ部材の下面には、前記ピストン部材が長手方向に移動することのできるシリンダ孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項3】
前記ピストン部材の中間部には、横方向孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項4】
前記ピストン部材には、前記横方向孔から下端部に至る縦方向孔が形成されることを特徴とする請求項3に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項5】
前記ピストン部材の中間部には、固定板が設置されることを特徴とする請求項4に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項6】
前記固定板は、前記横方向孔の下方に配置されることを特徴とする請求項5に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項7】
前記固定板には、複数の板貫通孔が形成されることを特徴とする請求項5に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項8】
前記固定板の上方に、前記ピストン部材に伴って摺動運動可能に流動板が配置されることを特徴とする請求項7に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項9】
前記流動板の外径は、前記固定板の外径より小さく形成されることを特徴とする請求項8に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項10】
前記流動板の外径は、前記流動板が前記固定板に接触したときに前記板貫通孔を完全に覆うことのできる大きさに形成されることを特徴とする請求項8に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項11】
前記流動板の中央孔には、所定高さのガイド部が形成されることを特徴とする請求項9に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【請求項12】
前記シリンダ部材とピストン部材の長手方向は、水平方向でない方向となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチに関し、より詳細には、送風機構が備えられてアーク遮断性能が向上したガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear)は、電気系統の電源側と負荷側の回路間に設置され、正常な電流状態において人為的に回路を開閉する場合や、回路に地絡や短絡などの異常電流が発生した場合に、電流を安全に遮断して電力系統及び負荷機器を保護する電気機器である。
【0003】
一般に、このようなガス絶縁開閉装置(GIS)は、高圧電源から受電するブッシング(Bushing Unit)、ガス回路遮断器(Gas Circuit Breaker, CB)、断路器(Disconnector Switch)、接地スイッチ(Earthing Switch)、可動部、制御部などから構成されている。
【0004】
ここで、接地スイッチ(Earthing Switch)は、回路の一部に設置され、メンテナンス時に手動で主回路を接地する役割を果たし、機器のメンテナンス時に導体に残留している電流を除去する機器である。
【0005】
図1は従来技術によるガス絶縁開閉装置の内部構造図である。
【0006】
同図は、筐体1の内部に、断路器/接地スイッチ(DS/ES)2と、高速接地スイッチ(HSES)5、9、10とが設置されたものを示している。筐体1の外部には、駆動部又は操作部3が設けられる。
【0007】
高速接地スイッチ(高速接地開閉器)は、固定部と可動部に大別される。
【0008】
筐体1の内部に設けられる導体4に、固定部5が設けられる。固定部5は、固定接点5aと、固定接点ホルダ5bとを含む(図2参照)。
【0009】
可動部は、駆動部3に連結されて回転する可動軸6、可動軸6にクランク連結されるコネクタリンク7、筐体1の内部に固設される可動接点ホルダ8a及び可動接点8b、コネクタリンク7に連結されて前進後退運動することにより可動接点8bと固定接点5aを接離する可動子8cなどから構成される。また、可動部と接地端子10を接続するためのバスバー9が備えられる。バスバー9は、可動接点ホルダ8aと接地端子10を接続することができる。
【0010】
このように、高速接地スイッチは、固定部と、それに接離する可動部とから構成されており、主に電源引込端に設置され、線路の電流を放電させるために用いられる。高速接地スイッチは、静電誘導電流開閉性能、電磁誘導開閉性能、投入能力(E1 class 2回)、短時間通電性能などを備えなければならない。
【0011】
従来技術による高速接地スイッチは、開閉速度によって性能が左右され、絶縁ガスの種類によっては速度が速くても遮断に失敗することがある。例えば、空気(air)中での遮断は、SF6ガス中での遮断より失敗する可能性が高い。
【0012】
図2及び図3は従来技術によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図である。図2は開放状態を示し、図3は接地状態を示す。
【0013】
従来技術によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチは、駆動部3から伝達された動力により可動軸6が回転し、可動軸6に連結された可動子8cが前進後退運動することにより、接地回路を接続(投入)(可動接点と固定接点の接続)又は分離(開放)(可動接点と固定接点の分離)する。
【0014】
投入状態において、電流は、固定接点ホルダ5b、固定接点5a、可動子8c、可動接点8b、可動接点ホルダ8a、バスバー9、接地端子10を介して外部接地に流れる。
【0015】
しかし、従来技術によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチにおいては、絶縁ガスの種類によって、遮断の際にアーク持続時間(arcing time)が長くなることがあり、遮断に失敗することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、送風機構が備えられてアーク遮断性能が向上したガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチは、筐体と、前記筐体の内部に設置され、下部には円周面に沿って通気孔が形成されるシリンダ部材と、前記シリンダ部材の内部に挿設され、駆動部から伝達された力で前進後退運動し、開放時に前記シリンダ部材の内部の空気を接点部に噴射するピストン部材とを含む。
【0018】
また、前記シリンダ部材の下面には、前記ピストン部材が長手方向に移動することのできるシリンダ孔が形成されるようにしてもよい。
【0019】
さらに、前記シリンダ部材の下部には、円周面に沿って通気孔が複数形成されるようにしてもよい。
【0020】
さらに、前記ピストン部材の中間部には、横方向孔が形成されるようにしてもよい。
【0021】
さらに、前記ピストン部材には、前記横方向孔から下端部に至る縦方向孔が形成されるようにしてもよい。
【0022】
さらに、前記ピストン部材の中間部には、固定板が設置されるようにしてもよい。
【0023】
さらに、前記固定板は、前記横方向孔の下方に配置されるようにしてもよい。
【0024】
さらに、前記固定板には、複数の板貫通孔が形成されるようにしてもよい。
【0025】
さらに、前記固定板の上方に、前記ピストン部材に伴って摺動運動可能に流動板が配置されるようにしてもよい。
【0026】
さらに、前記流動板の外径は、固定板の外径より小さく形成されるようにしてもよい。
【0027】
さらに、前記流動板の外径は、前記流動板が前記固定板に接触したときに前記板貫通孔を完全に覆うことのできる大きさに形成されるようにしてもよい。
【0028】
さらに、前記流動板の中央孔には、所定高さのガイド部が形成されるようにしてもよい。
【0029】
さらに、前記シリンダ部材とピストン部材の長手方向は、水平方向でない方向となるように形成されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチによれば、開放時に固定部に風を送る送風機構が備えられるので、アークが迅速に消弧されるという効果がある。よって、絶縁ガスの種類に関係なく、アーク遮断性能が確保される。
【0031】
ここで、送風機構に適用されるピストン部材は、可動子に一体に形成されるので、部品や占有空間を特に増大することなく、アーク遮断性能を向上させることができる。
【0032】
また、送風機構は、固定板、前記固定板から離隔可能に配置される流動板、固定板及びシリンダ部材に形成される空気流動孔により、固定部に噴出する空気の流動を確保しながらも、可動子の役割を果たすピストン部材の移動速度の低下は防止する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来技術によるガス絶縁開閉装置の内部構造図である。
図2】従来技術によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、開放状態を示す。
図3】従来技術によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、投入(接地)状態を示す。
図4】本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の内部構造図である。
図5図4の高速接地スイッチの送風機構の切欠図である。
図6】本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、開放状態を示す。
図7】本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、投入作動状態を示す。
図8】本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、投入状態を示す。
図9】本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、開放作動状態を示す。
図10】本発明の他の実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、投入状態を示す。
図11】本発明の他の実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、開放状態を示す。
図12】本発明のさらに他の実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、投入状態を示す。
図13】本発明のさらに他の実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用図であり、開放状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明するが、これらは本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が発明を実施することができるように詳細に説明するためのものであり、本発明の技術的思想及び範囲を限定するものではない。
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチについて詳細に説明する。
【0036】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチは、筐体10と、筐体10の一部に設置される可動軸17と、可動軸17から離隔設置されるシリンダ部材30と、シリンダ部材30の内部に挿設され、可動軸17に連結されて前進後退運動することによりシリンダ部材30の内部の空気を接点部に噴射するピストン部材20とを含む。
【0037】
筐体(enclosure, tank)10は、箱型に形成され、断路器や接地スイッチなどを収容してもよい。筐体10は、上、下、左、右、前、後部の1つ以上が開放されてもよい。筐体10は、ガス絶縁開閉装置を構成する筐体全体の一部であってもよい。筐体10は、ガス絶縁開閉装置を構成する筐体全体のいくつかの区画のうちのいずれかの区画であってもよい。筐体10は、導体接続部(ソケット)を除いて、外部と絶縁を維持するように閉鎖的に構成してもよい。
【0038】
筐体10において、開放された部分には、スペーサ11、12、13がそれぞれ結合される。スペーサ11、12、13は、筐体10の境界を区分し、挿入される(貫通する)導体を支持する役割を果たす。
【0039】
筐体10の内部には、導体14、15が複数設置される。導体14、15は、回路の一部を構成するか、又は回路の一部に接続される。導体14、15は、スペーサ11、12、13に結合されて支持される。導体14、15は、第1スペーサ11に連結される第1導体14と、第2スペーサ12に連結される第2導体15とを含む。各導体は複数備えられてもよい。例えば、三相回路の場合、各導体14、15は、それぞれ3対備えられてもよい。
【0040】
第1導体14と第2導体15間には、断路器/接地スイッチ(DS/ES)16が備えられる。
【0041】
筐体10の内部には、高速接地スイッチが備えられる。高速接地スイッチは、固定部40と、可動部50とを含む。
【0042】
第1導体14には、高速接地スイッチの固定部40が設置される。高速接地スイッチの固定部40は、固定接点ホルダ41と、固定接点42と、固定部シールド43とを含む(図6参照)。ここで、固定接点42は、円形(放射状)に配列される複数のチップで構成されてもよい。
【0043】
第1導体14から離隔するように、可動部50が設置される。可動部50は、可動軸17と、可動子の役割を果たすピストン部材20と、可動部ホルダ51と、可動接点52とを含む。
【0044】
駆動部(図示せず)は、筐体10の外部に備えられる。駆動部は、高速接地スイッチを作動させるための駆動力を供給する。
【0045】
筐体10には、可動軸17が貫設される。可動軸17は、前記駆動部に連結される。可動軸17は、駆動部から伝達される動力により回転する。ここで、可動軸17には、第1クランクレバー18が備えられる。
【0046】
第1クランクレバー18には、リンク19が連結される。リンク19は、一端が第1クランクレバー18に連結され、他端がピストン部材20に連結される。リンク19は、可動軸17の運動をピストン部材20に伝達する。可動軸17の回転運動は、第1クランクレバー18及びリンク19によりピストン部材20の直線運動に変換される。
【0047】
リンク19には、ピストン部材20が連結される。ピストン部材20は、前進後退運動(上下運動)する。ピストン部材20は、バー状の導体で構成される。
【0048】
筐体10には、接地端子45が設置される。接地端子45は、アルミニウム(Al)や銅(Cu)などの電気伝導性に優れた材料で作製してもよい。接地端子45は、筐体10を貫通するように挿設される。すなわち、接地端子45の内側端は筐体10の内部に配置され、接地端子45の外側端は筐体10の外部に配置される。接地端子45は、接地ブッシング(earth bushing)ともいう。接地端子45のうち、筐体10の外部に露出する部分は、絶縁部材により保護してもよい。接地端子45の外側は、外部接地端子(図示せず)に接続される。
【0049】
また、接地端子45とピストン部材20を接続するバスバー46が設けられる。
【0050】
バスバー46の一端部は接地端子45の内側端に接続され、バスバー46の他端部は可動部ホルダ51に接続される。
【0051】
可動部50を支持するために、支持部材55が設けられる。支持部材55は、筐体10の内部に固設される。
【0052】
可動部ホルダ51は、支持部材55に設置される。支持部材55には、可動部ホルダ51が貫設される。可動部ホルダ51の上端部には、バスバー46が接続される。可動部ホルダ51の下端部には、可動接点52が備えられる。可動接点52は、円形(放射状)に配列される複数のチップで構成されてもよい。可動部ホルダ51とピストン部材20間には、第1ウェアリング53が設けられる。
【0053】
ピストン部材20が下方に移動して固定部40に接触すると、第1導体14に残留している電流は、固定部40、ピストン部材20、可動接点52、可動部ホルダ51、バスバー46、接地端子45を介して外部に放出される。
【0054】
送風機構は、可動軸17(それ以外に、駆動部からピストン部材に力を伝達する機構が用いられてもよい)と、ピストン部材20と、シリンダ部材30と、固定板60と、流動板70とを含む。図4図6を主に参照する。
【0055】
支持部材55の下部には、シリンダ部材30が設置される。シリンダ部材30は、円筒状に形成されてもよい。シリンダ部材30は、ピストン部材20が挿入されて移動する空間を提供する。ピストン部材20は、シリンダ部材30を長手方向に貫通して直線運動する。
【0056】
シリンダ部材30の上面は、開放されて開放部31が形成される。この開放部31に、ピストン部材20、可動接点52、可動部ホルダ51、固定板60、流動板70などが挿設される。
【0057】
シリンダ部材30の下面には、ピストン部材20が長手方向(縦方向)に移動(出入)することのできるシリンダ孔32が形成される。ここで、シリンダ孔32には、第2ウェアリング35が備えられてもよい。ピストン部材20は、第2ウェアリング35により摩擦が減り、シリンダ孔32を介して摺動運動する。
【0058】
シリンダ部材30の下部には、円周面に沿って放射状に通気孔33が複数形成される。通気孔33を介して、シリンダ部材30の外部の空気がシリンダ部材30の内部に流入したり、シリンダ部材30の内部の空気がシリンダ部材30の外部に流出する。
【0059】
ピストン部材20は、円形のバー状に形成される。ピストン部材20は、第1クランクレバー18及びリンク19を介して可動軸17に連結され、前進後退運動する。ピストン部材20は、固定板60と流動板70を移動させ、空気を送出する動力を供給する。また、ピストン部材20は、可動接点52と固定接点42を接続する可動子の役割も果たす。すなわち、ピストン部材20は、可動子に一体に形成される。
【0060】
ピストン部材20の中間部には、横方向孔(lateral hole)21が形成される。よって、シリンダ部材30の内部で空気が横方向孔21を介して移動することができる。ここで、横方向孔21は、固定板60の上方に形成される。
【0061】
ピストン部材20には、横方向孔21から下端部に至る縦方向孔(longitudinal hole)22が形成される。よって、シリンダ部材30の内部の空気は、横方向孔21及び縦方向孔22を介してシリンダ部材30の外部に流出することができる。すなわち、横方向孔21と縦方向孔22は、空気の流動経路となる。
【0062】
ピストン部材20には、固定板60が設置される。固定板60は、ピストン部材20の中間部に設けられる。固定板60の装着を容易にするために、ピストン部材20の中間部に段差が形成されてもよい。固定板60は、横方向孔21の下方に形成される。よって、固定板60が上方に移動すると、固定板60の上側にあった空気が、横方向孔21及び縦方向孔22を介して、シリンダ部材30の内部からシリンダ部材30の外部(下方)に流出する。
【0063】
固定板60は、シリンダ部材30の内部に備えられるので、ピストン部材20が縦方向に直線運動すると、シリンダ部材30の内部の空気を押して上方又は下方に移動させる。
【0064】
固定板60には、複数の板貫通孔61が形成される。板貫通孔61は、シリンダ部材30の縦方向に形成される。よって、ピストン部材20が縦方向に直線移動すると、空気は板貫通孔61から抜け出す。
【0065】
固定板60の外径は、シリンダ部材30の内径に近接する大きさに形成されることが好ましい。固定板60の外周面に沿って周溝(符号なし)が形成され、その周溝には第3ウェアリング65が備えられる。第3ウェアリング65により、固定板60は、シリンダ部材30の内面に沿って円滑に摺動移動する。
【0066】
固定板60の上方には、流動板70が配置される。流動板70は、輪(ディスク)の形態を有する板状に形成されてもよい。流動板70の外径は、固定板60の外径より小さく形成される。よって、流動板70は、シリンダ部材30の内面と摩擦することなく自由に移動することができる。
【0067】
また、流動板70の外径は、流動板70が固定板60に接触したとき、板貫通孔61を完全に覆うことのできる大きさに形成される。よって、ピストン部材20が下降する場合は、板貫通孔61を介して流れる空気の圧力により流動板70が固定板60から離隔され、ピストン部材20が上昇する場合は、流動板70が板貫通孔61を閉鎖した状態で固定板60と共に移動する。
【0068】
流動板70には中央孔(符号なし)が形成され、ピストン部材20が貫設される。流動板70は、ピストン部材20に沿って摺動移動する。
【0069】
流動板70の中央孔には、周囲に沿ってガイド部71が形成される。ガイド部71は、所定高さの壁で形成される。ガイド部71は、流動板70がピストン部材20に沿って円滑に摺動運動するように案内する。
【0070】
流動板70は、固定板60の上方に設置され、自重により固定板60と共に上下運動する。固定板60が上方に移動する場合、流動板70は、固定板60に押されて固定板60に接したまま移動する。固定板60が下方に移動する場合、流動板70は、固定板60の板貫通孔61を介して流れる空気の圧力により、固定板60から所定距離離隔した状態で下方に移動する。固定板60の移動が停止した場合、空気による圧力もないので、流動板70は、固定板60に接する。
【0071】
前述したシリンダ部材30とピストン部材20の長手方向(作動方向)は、水平方向でない方向となるように形成される。シリンダ部材30とピストン部材20の長手方向は、垂直方向となるように形成されることが好ましい。よって、投入作用又は開放作用が完了すると、すなわち空気圧の作用がなくなると、流動板70は、固定板60に接して板貫通孔61を閉鎖した状態になる。
【0072】
以下、図6図9を参照して、本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチの作用について説明する。
【0073】
まず、投入作用について説明する。
【0074】
図6は開放状態を示す。可動子の役割を果たすピストン部材20は可動軸17により上方に移動した状態にあるので、ピストン部材20は固定接点42から分離した状態にある。すなわち、可動接点52と固定接点42の接続は分離され、接地回路は開放された状態にある。
【0075】
ピストン部材20の下端部はシリンダ部材30のシリンダ孔32の位置に置かれ、固定板60はシリンダ部材30の上部に置かれた状態にある。流動板70は、固定板60の上部に接した状態にある。
【0076】
図7は投入進行状態を示す。可動軸17が回転すると、ピストン部材20は、下方に移動する。ピストン部材20と共に固定板60が下方に移動すると、固定板60の下側の空気は、通気孔33からシリンダ部材30の外部に抜け出す。また、固定板60の下側の空気は、板貫通孔61を介して上方に移動して流動板70を押し上げる力として作用する。よって、流動板70は、固定板60から所定距離離隔した状態で下方に移動する。このように、ピストン部材20が下方に移動する際に、すなわち投入時に、シリンダ部材30の内部の空気のうち固定板60の下側の空気がシリンダ孔32及び板貫通孔61から抜け出すので、ピストン部材20に作用する反作用が最小限に抑えられる。
【0077】
図8は投入完了状態を示す。ピストン部材20の下端部は固定接点42に接し、接地回路は接続された状態にある。固定板60の移動は停止し、流動板70は固定板60の上部に接した状態となる。ここで、固定板60の位置は、シリンダ部材30の下端部の近くになるが、シリンダ孔32の位置より上方になる。
【0078】
次に、開放作用について説明する。
【0079】
図8は投入状態を示す。接地回路は、接続された状態にある。流動板70は、固定板60の上部に接した状態にある。固定板60は、シリンダ部材30の下端部の近くではあるが、シリンダ孔32の位置より上方に配置されている。
【0080】
図9は開放進行状態を示す。可動軸17が逆方向に回転すると、ピストン部材20は、上方に移動する。ピストン部材20と共に固定板60が上方に移動する。流動板70は固定板60の上部に接した状態にあるので、固定板60の板貫通孔61は閉鎖される。よって、固定板60及び流動板70の上側の空気は、ピストン部材20の横方向孔21及び縦方向孔22を介してシリンダ部材30の外部(下方)に抜け出す。すなわち、シリンダ部材30の内部の空気がピストン部材20の下方に送出され、接点部、とりわけ固定部40に風を吹き付ける。よって、ピストン部材20と固定接点42の分離により発生するアークが消弧されることになり、アーク遮断性能が向上する。
【0081】
一方、シリンダ孔32からシリンダ部材30の外部の空気がシリンダ部材30の内部に流入し、固定板60の下側の減圧が防止される。よって、ピストン部材20の移動速度の低下が防止される。
【0082】
開放作用が完了すると、図6の開放完了状態となる。
【0083】
本発明の一実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチによれば、開放時に固定部に風を送る送風機構が備えられるので、アークが迅速に消弧されるという効果がある。よって、絶縁ガスの種類に関係なく、アーク遮断性能が確保される。
【0084】
ここで、送風機構に適用されるピストン部材は、可動子に一体に形成されるので、部品や占有空間を特に増大することなく、アーク遮断性能を向上させることができる。
【0085】
また、送風機構は、固定板、前記固定板から離隔可能に配置される流動板、固定板及びシリンダ部材に形成される空気流動孔により、固定部に噴出する空気の流動を確保しながらも、可動子の役割を果たすピストン部材の移動速度の低下は防止する。
【0086】
(第2実施形態)
以下、図10及び図11を参照して、本発明の他の実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチについて説明する。
【0087】
この実施形態が第1実施形態と特に異なる点は、ピストン部材160が可動子120とは別個に構成されるという点である。
【0088】
固定部ホールド141と、固定接点142と、固定部シールド143とを含む固定部140は、第1導体114に設置される。
【0089】
可動部ホールド151と、可動接点152と、可動部シールド153とを含む可動部150は、第1支持部材155に設置される。可動部150は、固定部140から離隔した状態で設置される。
【0090】
バスバー146は、筐体110に設置された接地端子(接地ブッシング)145及び可動部ホールド151に接続される。
【0091】
可動子120は、第1クランクレバー117を介して可動軸116に連結される。可動子120は、可動部150に貫設される。可動子120は、可動軸116の回転に伴って可動部150と固定部140を接離することにより、接地回路を開閉する。
【0092】
シリンダ部材130は、第2支持部材156(又は第1支持部材の他側)に設置される。シリンダ部材130は、可動子120から所定距離離隔した所に設置される。シリンダ部材130の下部には、噴射孔131が形成される。噴射孔131は、固定部140が設置された方向を向くように形成される。
【0093】
ピストン部材160は、シリンダ部材130に挿設される。ピストン部材160は、可動軸116に設置される第2クランクレバー118に連結されるピストンロッド161と、ピストンロッド161の下端部に結合され、シリンダ部材130の内部で摺動運動するピストン板162とを含む。
【0094】
第2クランクレバー118が第1クランクレバー117とは逆方向に突出するので、可動子120の移動方向とピストン部材160の移動方向は逆になる。すなわち、可動軸116が時計方向に回転すると、可動子120は下方に動き、ピストン部材160は上方に動く。それとは逆に、可動軸116が反時計方向に回転すると、可動子120は上方に動き、ピストン部材160は下方に動く。
【0095】
以下、この実施形態における開放作用について説明する。
【0096】
図10の投入状態において、可動軸116が反時計方向に回転して可動子120が上方に移動すると、可動子120は固定部140から分離される。よって、接地回路は開放される。ここで、ピストン部材160は下方に移動し、シリンダ部材130の内部の空気は噴射孔131から固定部140に噴射される。固定部140と可動子120間に発生するアークは、噴射孔131から噴射される空気により消弧される。
【0097】
(第3実施形態)
以下、図12及び図13を参照して、本発明のさらに他の実施形態によるガス絶縁開閉装置の高速接地スイッチについて説明する。
【0098】
この実施形態が第1実施形態と異なる点は、ピストン部材220が主回路である第1導体214に接続され、固定部240が接地端子245に接続されるという点である。ピストン部材220、シリンダ部材30の構成は、第1実施形態と略同様である。
【0099】
ピストン部材(可動子)220は、可動軸217の回転に伴って可動部250と固定部240を接離することにより、接地回路を開閉する。
【0100】
固定板260及び流動板270は、第1実施形態と同様に、ピストン部材220に設置される。
【0101】
この実施形態における投入及び開放作用は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。開放作用時にピストン部材160から送出される空気により、固定部240に発生するアークが消弧される。
【0102】
前述した実施形態は本発明を実現する実施形態であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な変更及び変形が可能であろう。よって、本発明の実施形態は本発明の技術思想を説明するためのものであり、これらの実施形態に本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。すなわち、本発明の保護範囲は請求の範囲により解釈されるべきであり、それと均等の範囲内にあるあらゆる技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】