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特表2022-504445回転式医療装置のドライブシャフトに軌道運動を生じさせるための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】回転式医療装置のドライブシャフトに軌道運動を生じさせるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519108
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 US2019055122
(87)【国際公開番号】W WO2020076774
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】62/742,705
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/594,883
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508132034
【氏名又は名称】カーディオバスキュラー システムズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARDIOVASCULAR SYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1225 Old Highway 8 NW St. Paul MN 55112 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス,ジョセフ・ピィ
(72)【発明者】
【氏名】アイシャーズ,カイラ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,ジェフリー・アール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF21
4C160MM36
(57)【要約】
高速回転中に静止直径よりも大きな作動直径を実現し流体の循環を促進することを可能にする装置、方法およびシステムが記載される。ドライブシャフトの抗力係数が増し、いくつかの実施形態では質量が増大する。その他の利点のうち、結果として得られる、偏心要素が組み込まれたおよび/または装着されたドライブシャフトは、抗力係数を増すことなく軌道運動を実現するのに必要な回転速度よりも小さな回転速度で軌道運動を実現する。比較的低い回転速度で流体流量および/または流体攪拌を同時に増すことはさらに他の利点である。よって、これらの特徴は、小型のおよび/または非常に曲がりくねった容器では好都合である小径の研削要素の使用を可能にするであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有し高速回転中にその静止直径よりも大きな作動直径を実現するように適合されたドライブシャフトに作動的にかつ回転するように接続された原動機を有する回転式医療装置であって、前記回転式医療装置は、
前記ドライブシャフトに作動的に装着され、前記ドライブシャフトの回転軸から径方向にオフセットされた質量中心を含む、研削要素と、
前記ドライブシャフトの外面の少なくとも一部に形成された表面欠陥とを備え、前記表面欠陥は、前記研削要素の近位側および遠位側に形成され、前記表面欠陥は、前記ドライブシャフトの抗力係数を増すように適合されている、回転式医療装置。
【請求項2】
前記ドライブシャフトの抗力係数を調整するために前記ドライブシャフトの外面の少なくとも一部を覆うポリマー外層をさらに備える、請求項1に記載の回転式医療装置。
【請求項3】
前記表面欠陥はレーザデバイスで形成される、請求項1に記載の回転式医療装置。
【請求項4】
ドライブシャフトと、前記ドライブシャフトを回転させるように適合された作動的に接続された原動機と、前記ドライブシャフトに接続された研削要素とを有する、回転式医療装置であって、前記ドライブシャフトは外径と回転軸とを有し、前記回転式医療装置は、
前記ドライブシャフトを取囲み、前記ドライブシャフトの外径よりも大きな外径を有する近位ばね抗力要素を備える、回転式医療装置。
【請求項5】
前記ドライブシャフトを取囲み、前記ドライブシャフトの外径よりも大きな外径を有する遠位ばね抗力要素をさらに備える、請求項4に記載の回転式医療装置。
【請求項6】
前記研削要素は、偏心クラウンと、前記ドライブシャフトの回転軸から径方向に離隔した質量中心とを含み、前記近位ばね抗力要素は、前記ドライブシャフトの回転軸上に位置する質量中心を含む、請求項4に記載の回転式医療装置。
【請求項7】
前記研削要素は偏心クラウンを含み、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の双方が、前記ドライブシャフトの回転軸上に位置する質量中心を含む、請求項5に記載の回転式医療装置。
【請求項8】
前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素のうちの少なくとも一方の質量中心は、前記ドライブシャフトの回転軸から径方向に離隔している、請求項5に記載の回転式医療装置。
【請求項9】
前記偏心クラウン、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の質量中心は、共通の長手方向面上に位置する、請求項8に記載の回転式医療装置。
【請求項10】
前記研削要素の質量中心は、前記近位ばね抗力要素の質量中心から回転方向に離隔している、請求項8に記載の回転式医療装置。
【請求項11】
前記研削要素の質量中心は、前記遠位ばね抗力要素の質量中心から回転方向に離隔している、請求項9に記載の回転式医療装置。
【請求項12】
前記研削要素は、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素のうちの少なくとも一方から長手方向に離隔している、請求項5に記載の回転式医療装置。
【請求項13】
前記研削要素は、前記近位ばね抗力要素から長手方向に離隔している、請求項4に記載の回転式医療装置。
【請求項14】
前記研削要素と前記近位ばね抗力要素とは長手方向に離隔していない、請求項4に記載の回転式医療装置。
【請求項15】
前記研削要素と前記遠位ばね抗力要素とは長手方向に離隔していない、請求項5に記載の回転式医療装置。
【請求項16】
前記研削要素の長さは前記近位ばね抗力要素の長さよりも短い、請求項4に記載の回転式医療装置。
【請求項17】
前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の各々が質量を有する、請求項5に記載の回転式医療装置。
【請求項18】
ドライブシャフトと、前記ドライブシャフトを回転させるように適合された作動的に接続された原動機と、質量中心を有し前記ドライブシャフトに装着された研削要素とを有する、回転式医療装置であって、前記ドライブシャフトは外径と回転軸とを有し、前記回転式医療装置は、
近位ばね抗力要素を備え、前記近位ばね抗力要素は、前記ドライブシャフトを部分的に取囲み、前記ドライブシャフトの一部は取囲まれておらず、前記近位ばね抗力要素は、前記取囲まれていないドライブシャフトの一部と組み合わされて、前記ドライブシャフト単独の外径よりも大きな外径を有する、回転式医療装置。
【請求項19】
遠位ばね抗力要素をさらに備え、前記遠位ばね抗力要素は、前記ドライブシャフトを部分的に取囲み、前記ドライブシャフトの一部は取囲まれておらず、前記遠位ばね抗力要素は、前記取囲まれていないドライブシャフトの一部と組み合わされて、前記ドライブシャフトの外径よりも大きな外径を有する、請求項17に記載の回転式医療装置。
【請求項20】
前記研削要素は偏心クラウンであり、前記偏心クラウン、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の質量中心はすべて、前記ドライブシャフトの回転軸から径方向に離隔している、請求項18に記載の回転式医療装置。
【請求項21】
前記偏心クラウン、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の質量中心は、共通の長手方向面上に位置する、請求項19に記載の回転式医療装置。
【請求項22】
前記偏心クラウンの質量中心は、前記近位ばね抗力要素の質量中心から回転方向に離隔している、請求項19に記載の回転式医療装置。
【請求項23】
前記研削要素の質量中心は、前記遠位ばね抗力要素の質量中心から回転方向に離隔している、請求項19に記載の回転式医療装置。
【請求項24】
前記研削要素は、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素のうちの少なくとも一方から長手方向に離隔している、請求項18に記載の回転式医療装置。
【請求項25】
前記研削要素は前記近位ばね抗力要素から長手方向に離隔している、請求項17に記載の回転式医療装置。
【請求項26】
前記研削要素と前記近位ばね抗力要素とは長手方向に離隔していない、請求項17に記載の回転式医療装置。
【請求項27】
前記研削要素と前記遠位ばね抗力要素とは長手方向に離隔していない、請求項18に記載の回転式医療装置。
【請求項28】
ドライブシャフトと、前記ドライブシャフトを回転させるように適合された作動的に接続された原動機と、質量中心を有し前記ドライブシャフトに装着された研削要素とを有する、回転式医療装置であって、前記ドライブシャフトは外径と回転軸とを有し、前記回転式医療装置は、
質量中心を含み前記研削要素の近位側において前記ドライブシャフトに作動的に装着された少なくとも1つの近位抗力要素と、質量中心を含み前記研削要素の遠位側において前記ドライブシャフトに作動的に装着された少なくとも1つの遠位抗力要素とをさらに備える、回転式医療装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトから径方向に延びる複数の径方向突出部を含む対称パドルホイールを含む、請求項28に記載の回転式医療装置。
【請求項30】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトから径方向に延びる複数の径方向突出部を含む非対称パドルホイールを含む、請求項28に記載の回転式医療装置。
【請求項31】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトから径方向に延びる複数の径方向突出部を含む非対称パドルホイールを含み、前記径方向突出部のうちの少なくとも1つは遠位端において湾曲部分を含む、請求項28に記載の回転式医療装置。
【請求項32】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトに回転しないように作動的に装着される、請求項28に記載の回転式医療装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトに回転するように作動的に装着される、請求項28に記載の回転式医療装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素の各々は、前記ドライブシャフトに作動的に装着された1つ以上のビードを含む、請求項28に記載の回転式医療装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素の各々は、前記ドライブシャフトに作動的に装着された1つ以上の小環を含む、請求項28に記載の回転式医療装置。
【請求項36】
ドライブシャフトに作動的にかつ回転するように接続された原動機を有する回転式アテレクトミー装置のための偏心研削クラウンであって、前記研削クラウンは前記ドライブシャフトに装着され、前記偏心研削クラウンは、
前記ドライブシャフトに作動的に接続された本体部と、前記本体部および前記ドライブシャフトから径方向に延びるハイドロフォイル延長部とを備え、前記ハイドロフォイル延長部は、屈曲部分を含み、前記本体部に対して屈曲することにより、送達位置を実現し作動位置を実現するように適合されている、偏心研削クラウン。
【請求項37】
前記ハイドロフォイル延長部の屈曲部分はヒンジを含む、請求項36に記載の偏心研削クラウン。
【請求項38】
前記ヒンジが付勢されて作動位置を実現する、請求項37に記載の偏心研削クラウン。
【請求項39】
前記ハイドロフォイル延長部は、前記作動位置を実現するように付勢される形状記憶材料を含む、偏心研削クラウン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者
ジョセフ・P・ヒギンス、米国民、ミネソタ州ミネトンカ在住
カイラ・J・アイシャーズ、米国民、ミネソタ州ミネアポリス在住
ジェフリー・R・ストーン、米国民、ミネソタ州ミネトンカ在住
関連出願の相互参照
本願は、2019年10月7日に出願されDEVICES AND METHODS FOR GENERATING ORBITAL MOTION IN DRIVE SHAFTS FOR ROTATIONAL MEDICAL DEVICESと題された米国実用特許出願第16/594883号に基づく利益を主張するとともに、2018年10月8日に出願されPREFORMED DRIVE SHAFT FOR ROTATIONAL MEDICAL DEVICES WITH NODE ANTI-NODE AND FLUID STIRRING ELEMENTSと題された米国仮特許出願第62/742705号に基づく優先権を主張し、これらの全体を本明細書に引用により援用する。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発の記載
該当なし
【背景技術】
【0003】
発明の背景
発明の分野
本発明は、軌道アテレクトミー装置およびシステムを含むがこれらに限定されない回転式医療装置に使用されるドライブシャフトに関する。
【0004】
関連技術の説明
回転式医療装置には、高回転速度で回転するドライブシャフトが必要である。回転式アテレクトミー装置の場合、研削要素がドライブシャフトに追加されることが知られており、この研削要素の質量中心はドライブシャフトの長手方向軸から径方向にオフセットされているので、高速回転中に軌道運動が実現される。軌道運動の特徴のうちの1つは、高速回転中に研削要素が実現する作動直径(working diameter)がこの研削要素の静止直径(resting diameter)よりも大きいことである。これら周知のシステムにおいて、径方向にオフセットされた質量中心を有する研削要素を「偏心している」と言う。質量中心が径方向にオフセットされているという意味での偏心は、研削要素を幾何学的に非対称にすること、研削要素をドライブシャフトに対して非対称に装着すること、および/または対称な研削要素の質量中心を、たとえば高密度材料プラグを研削要素に挿入するおよび/または研削要素の材料の一部を取り除くことにより、実現することができる。
【0005】
図1は、その長さにそって対称であるドライブシャフト20を含む先行技術の装置100を示す。対称かつ同心のバー(burr)12がドライブシャフト20の遠位端に装着され、バー12はドライブシャフト20の回転軸A上に位置する質量中心Cを有する。ドライブシャフトは、カテーテル13の内腔内で移動し、近位端において、ハンドル10内に位置する原動機に接続される。示されているガイドワイヤ15は、ドライブシャフト20の内腔を通りバー12によって画定される内腔を通って移動する。この場合、非対称性も偏心も存在しないので、病変のような非対称な物体に衝突して摂動しない限り、結果としてドライブシャフト20は軌道回転運動を実現しない。したがって、ドライブシャフトおよびバーの静止直径は、高速回転中の摂動していないドライブシャフトおよびバーの作動直径と事実上同一である。
【0006】
図2および図3に示されるように、この技術は進化してドライブシャフトの拡大された研削コーティング部分を形成し、このドライブシャフトのワイヤ巻線は当該技術で周知の成形マンドレルによって伸長されている。ドライブシャフトの拡大部分が対称かつ同心の場合、質量中心はドライブシャフトの回転軸に位置することになり軌道運動は生じない。これに代えて、ドライブシャフトの拡大部分が非対称かつ偏心の場合、質量中心はドライブシャフトの回転軸から径方向に離れた場所にある。後者の偏心は、偏心拡大ドライブシャフト部分の軌道運動を生じさせ、拡大部分が辿る作動直径はその静止直径よりも大きい。
【0007】
このように、図1と同様に図2も、ハンドル10と、細長い可撓性ドライブシャフト20と、ハンドル10から遠位方向に延びる細長いカテーテル13とを示す。拡大径部分28は、ドライブシャフト20のワイヤ巻線で形成されている。ドライブシャフト20は、螺旋状に巻き付けられたワイヤ巻線で形成または構成されている。当該技術では周知のように、ドライブシャフト20は、当該技術では周知の1層の螺旋巻きワイヤまたは2層の螺旋巻きワイヤ巻線または糸を含み得る。いくつかの場合において2層のワイヤ巻線の実施形態が反対方向に巻かれたコイルを含んでいてもよく、他の場合において2層のワイヤ巻線または糸が同一方向に巻かれていてもよい。このような実施形態はすべて本発明の範囲に含まれる。
【0008】
図2はさらに、ガイドワイヤ15と、冷却および/または潤滑液を導入するための流体供給ライン17とを示す。一対の光ケーブル25を設けることによって回転速度をモニタリングしてもよく、ハンドルはドライブシャフトを前進および/または後退させるための制御つまみ11を含み得る。
【0009】
図3は、図2の拡大ドライブシャフト部分28の一実施形態の破断斜視図である。ここでは、ドライブシャフト20の拡大されたワイヤ巻線または糸41を、ドライブシャフトに接着された具体例としての研削コーティング24と同様に、見ることができる。先に述べたように、拡大部分28の質量中心が回転軸Aの上にあるので同心であり高速回転中に軌道運動を生じさせるように適合されていない場合がある。これに代えて、拡大部分28の質量中心は、ドライブシャフト20の回転軸Aから径方向に離れていることで、高速回転中の軌道運動を実現するように適合されてもよい。
【0010】
図4は、当該技術では周知の別の代替例を示し、この例ではクラウン28Aがドライブシャフト20に装着されている。示されているクラウン28Aは偏心しているおよび/またはドライブシャフト28Aに偏心した状態で装着されることにより、ドライブシャフト20の回転軸Aから径方向に離れた場所にある質量中心Cをもたらす。図3および図4に関連して先に述べた偏心実施形態と同様、偏心クラウン28Aは、ドライブシャフト20の高速回転中、軌道運動するよう促され、回転中に辿るその作動直径はその静止直径よりも大きい。当業者が理解するように、質量中心Cの位置は、要素の数を変更することによって操作することが可能であり、これは、クラウン28Aの中に中空チャンバ30を設けることを含むがそれに限定される訳ではない。中空チャンバ30を設ける場合、その大きさおよび/または形状を変えることによって質量中心Cの位置を操作することができる。
【0011】
最後の具体例としての先行技術の実施形態が図5に示されており、軌道運動を生じさせる望ましい偏心は、ドライブシャフト20の予め湾曲させた部分28Bによって与えられる。この構成は、予め湾曲させた部分、および、図示のような研削コーティングであってもよく装着されたバーまたはクラウンであってもよい付随する研削部分24の質量中心Cを、ドライブシャフト20の回転軸Aから径方向に離れた場所にする。結果として、このドライブシャフト20の高速回転により、研削部分24が辿る作動直径はその静止直径よりも大きくなる。
【0012】
図6は、先行技術のドライブシャフト20のワイヤ巻線または糸41およびその中に画定された内腔Lの断面図を示す。概ね、この先行技術の装置は回転軸を中心として対称かつ同心であり、そのため、ドライブシャフトの長さに沿ういずれかの点にある質量中心Cは、ドライブシャフトの回転軸A上に位置し、何もなければ軌道運動は誘導または実現されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
周知の装置が可能にする回転速度よりも大幅に低い回転速度で軌道運動および/または改善された流体の流量を実現するためのメカニズムを提供することが望ましいであろう。
【0014】
本発明の各種実施形態は、これらの、特に問題に対処している。
さらに、以下の特許および出願の開示を提供する。これらの特許および出願の各々は、Cardiovascular Systems, Inc.に譲渡され、その全体を本明細書に援用し、各々が、本明細書に開示される主題の各種実施形態に使用し得るシステム、方法および/または装置を含み得る。
【0015】
米国特許第9,468,457号「ATHERECTOMY DEVICE WITH ECCENTRIC CROWN」
米国特許第9,439,674号「ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE WITH EXCHANGEABLE DRIVE SHAFT AND MESHING GEARS」
米国特許第9,220,529号「ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE WITH ELECTRIC MOTOR」
米国特許第9,119,661号「ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE WITH ELECTRIC MOTOR」
米国特許第9,119,660号「ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE WITH ELECTRIC MOTOR」
米国特許第9,078,692号「ROTATIONAL ATHERECTOMY SYSTEM」
米国特許第6,295,712号「ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE」
米国特許第6,494,890号「ECCENTRIC ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE」
米国特許第6,132,444号「ECCENTRIC DRIVE SHAFT FOR ATHERECTOMY DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURE」
米国特許第6,638,288号「ECCENTRIC DRIVE SHAFT FOR ATHERECTOMY DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURE」
米国特許第5,314,438号「ABRASIVE DRIVE SHAFT DEVICE FOR ROTATIONAL ATHERECTOMY」
米国特許第6,217,595号「ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE」
米国特許第5,554,163号「ATHERECTOMY DEVICE」
米国特許第7,507,245号「ROTATIONAL ANGIOPLASTY DEVICE WITH ABRASIVE CROWN」
米国特許第6,129,734号「ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE WITH RADIALLY EXPANDABLE PRIME MOVER COUPLING」
米国特許出願第11/761,128号「ECCENTRIC ABRADING HEAD FOR HIGH-SPEED ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICES」
米国特許出願第11/767,725号「SYSTEM, APPARATUS AND METHOD FOR OPENING AN OCCLUDED LESION」
米国特許出願第12/130,083号「ECCENTRIC ABRADING ELEMENT FOR HIGH-SPEED ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICES」
米国特許出願第12/363,914号「MULTI-MATERIAL ABRADING HEAD FOR ATHERECTOMY DEVICES HAVING LATERALLY DISPLACED CENTER OF MASS」
米国特許出願第12/578,222号「ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE WITH PRE-CURVED DRIVE SHAFT」
米国特許出願第12/130,024号「ECCENTRIC ABRADING AND CUTTING HEAD FOR HIGH-SPEED ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICES」
米国特許出願第12/580,590号「ECCENTRIC ABRADING AND CUTTING HEAD FOR HIGH-SPEED ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICES」
米国特許出願第29/298,320号「ROTATIONAL ATHERECTOMY ABRASIVE CROWN」
米国特許出願第29/297,122号「ROTATIONAL ATHERECTOMY ABRASIVE CROWN」
米国特許出願第12/466,130号「BIDIRECTIONAL EXPANDABLE HEAD FOR ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE」、および
米国特許出願第12/388,703号「ROTATIONAL ATHERECTOMY SEGMENTED ABRADING HEAD AND METHOD TO IMPROVE ABRADING EFFICIENCY」。
【0016】
発明の簡単な概要
高速回転中に静止直径よりも大きな作動直径を実現し流体の循環を促進することを可能にする装置、方法およびシステムが記載される。ドライブシャフトの抗力係数が増し、いくつかの実施形態では質量が増大する。その他の利点のうち、結果として得られる、偏心要素が組み込まれたおよび/または装着されたドライブシャフトは、抗力係数を増すことなく軌道運動を実現するのに必要な回転速度よりも小さな回転速度で軌道運動を実現する。比較的低い回転速度で流体流量および/または流体攪拌を同時に増すことはさらに他の利点である。事実上、流体の攪拌が増すと、最終的には回転システムの管腔軌道周波数が増加し、軌道運動が広範囲にわたる回転速度で実現される場合、周知の軌道システムよりも遥かに増加率が高い。よって、これらの特徴は、小型のおよび/または非常に曲がりくねった容器では好都合である小径の研削要素の使用を可能にするであろう。
【0017】
抗力係数は、以下を含むがこれらに限定されない複数のメカニズムによって増加させることができる。
【0018】
ドライブシャフト、たとえばドライブシャフトの構造を形成する糸の外面の表面粗さの調節。
【0019】
ドライブシャフトに沿って抗力要素を追加し、これを、本願と同日に出願され同時係属中でありその開示全体を本明細書に引用により援用する米国特許出願第16/594834号に開示されているものを含むがこれらに限定されないクラウンまたはその他の手段のような偏心研削要素を用いて軌道運動を実現するように適合されたドライブシャフトと組み合わせる。
【0020】
追加されたこれらの抗力要素は、偏心研削要素がある場合はその近位におよび/または遠位に配置してもよく、ばね、コイル巻きされた糸質量部分、パドルまたはパドルホイールまたはブレード、ビード、小環などを含み得るものであり、ドライブシャフトに固定されてもよく、または自在に回転するものであってもよい。
【0021】
以下の図面および詳細な説明は、本発明のこれらおよびその他の実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】先行技術の装置の断面図である。
図2】先行技術の装置の斜視図である。
図3】先行技術の装置の破断斜視図である。
図4】先行技術の装置の破断断面図である。
図5】先行技術の装置の破断断面図である。
図6】先行技術のドライブシャフトをガイドワイヤとともに示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態の破断図である。
図8A】本発明の一実施形態の破断図である。
図8B】本発明の一実施形態の破断図である。
図8C】本発明のドライブシャフトの回転軸に沿った端面図であり、質量中心の具体例として位置を示す。
図9】本発明の一実施形態の実施例をグラフで示す図である。
図10A】本発明の一実施形態の正面図である。
図10B】本発明の一実施形態の正面図である。
図10C】本発明の一実施形態の正面図である。
図11】本発明の一実施形態の破断図である。
図12】本発明の一実施形態の実施例をグラフで示す図である。
図13】本発明の一実施形態の破断図である。
図14】本発明の一実施形態の破断図である。
図15A】本発明の一実施形態の斜視図である。
図15B】本発明の一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は各種修正形および代替形が可能であるが、その具体的事項は例示のために図面に示され本明細書で詳述される。しかしながら、記載されている特定の実施形態に本発明を限定することを意図しているのではない。反対に、本発明の精神および範囲に含まれるすべての変更、均等物および代替形を網羅することを意図している。
【0024】
回転式アテレクトミーシステムのような回転式医療装置の回転ドライブシャフトの各種実施形態が提供される。各実施形態は、装着された研削要素からではなくドライブシャフトと一体化された特徴物から得られる軌道運動を発生させる。
【0025】
最初に、本明細書で使用され本明細書によって定義される、「偏心」という用語およびその変形は、(1)ドライブシャフトの幾何学的中心とこのドライブシャフトの回転中心との差、または(2)ドライブシャフトの質量中心の位置とこのドライブシャフトの回転軸の位置との差を意味すると理解される必要がある。
【0026】
加えて、本明細書で使用され本明細書によって定義される、「軌道運動」という用語は、軌道を描いて回る要素、たとえばドライブシャフトが、その静止直径よりも大きな作動直径を実現することを意味し、この軌道運動は、ドライブシャフトの上にもしくは中にもしくはそれに沿って装着され、特定の実施形態ではドライブシャフトのワイヤ巻線もしくは糸の中にもしくはそれに沿ってもしくはその上に組み込まれた偏心要素、たとえば質量または偏心研削要素により、発生する。結果として得られる、軌道運動中のドライブシャフトの動きを、予測可能でカスタマイズ可能な長さおよび形状の定在波と呼ぶこともできる。
【0027】
流体内で回転するドライブシャフトの抗力係数を高めるためのメカニズム
1.表面粗さの変更または調整
表面の抗力係数を変更または調整することにより、表面粗さを増大および/または減少させることができ、特に結果として得られるレイノルズ数を基準として抗力係数を測定できることは、周知である。たとえば、レイノルズ数が4×10~4×10の領域にある場合、表面が平滑であるほど抗力係数は高くなり得る。レイノルズ数が4×10を上回る場合、表面が粗いほど抗力係数は高くなり易い。一般的に、表面粗さは、流線形の物体に対する乱流環境において抗力係数を高める。円筒形または球形のような物体の場合、表面粗さが増すと、抗力係数はレイノルズ数に応じて増大または減少し得る。
【0028】
たとえば、図4および図7に示される偏心クラウン28Aの形態の研削要素として実現された具体例としての偏心を含むドライブシャフト20の外面の少なくとも一部の上に、レーザまたはその他の装置を用いて表面欠陥を形成することができる。一般的に、表面欠陥は、外面の穴またはくぼみを含み得る。これに代えて、既存の表面欠陥の一部またはすべてを、(図7に点線で示されるように)ポリマーオーバーコートまたはジャケットのような外層160を適用することで、平滑にすることができる。水のような流体の中でスピンし軌道を描いて回るこのドライブシャフト20のレイノルズ数に応じて、抗力係数を高めると、当業者が認識するように、回転するドライブシャフトが軌道運動する傾向が高まる。
【0029】
流体の中で回転するドライブシャフト20の抗力係数を本明細書に記載のメカニズムによって高めると、特に以下のようになる。
【0030】
1.抗力係数がより低いドライブシャフト20と比較して、回転ドライブシャフト20の周りの、回転ドライブシャフト20の環境における流体の回転運動が向上する。
【0031】
2.上記1の流体循環の向上の結果、抗力係数が低いドライブシャフトと比較して、より低い回転速度で軌道運動を実現し、これは、ドライブシャフト20を回転軸Aから外れるように移動させて軌道運動させる傾向がある。
【0032】
3.上記1の流体循環の向上により圧力勾配が増した結果、抗力係数が低いドライブシャフト20と比較して、より低い回転速度で軌道運動を実現する。
【0033】
2.シャフトに沿って抗力要素を追加することにより抗力係数を高める
一般的に、抗力要素を回転ドライブシャフトの外側に追加することで、流体内で回転しているときの抗力係数を高めることができる。場合によっては、図8に示されるように、抗力要素は少なくとも1つのばね200を含み得る。このばね200は、少なくとも1つのばね200が装着されているドライブシャフト20の外径D2よりも大きい外径D1を有する。この実施形態におけるばね200は、好ましくは可撓性が高く、よって、ドライブシャフトの合成は目に見えて増加する訳ではない。さらに、ばねを比較的軽量にすることで、ばねによる質量増加を最小にすることができる。このように、本実施形態は、主としてばねの直径および表面「粗さ」を増すことによって抗力係数を高めるように機能する。
【0034】
したがって、図8は、ドライブシャフト20に固定された近位ばね200Pを提供し、この近位ばね200Pは、ドライブシャフト20に動作可能に装着された偏心クラウン28Aとして示される偏心研削要素に対して近位側に配置される。さらに、任意の遠位ばね200Dが、偏心クラウン28Aの遠位側でドライブシャフト20に固定された状態で示されている。両方の場合において、ばね200P、200Dは、偏心クラウン28Aから長手方向に離隔して示されている。しかしながら、ばね200P、200Dの一方または両方は、偏心クラウン28Aに接触していてもよく、したがって偏心クラウン28Aから離隔しなくてもよいことが理解されるであろう。さらに、ばね200Pおよび200Dは、ドライブシャフト20と動作可能に接続されたとき、ドライブシャフト20の周りに周方向に巻かれたものとして示されている。一般的に、ばね200Pおよび200Dは同心でもよい、すなわち、質量中心CおよびCは、ばね200Pおよび/または200Dの長さに沿うドライブシャフト20の回転軸A上に位置し、偏心クラウンの質量中心Cは、回転軸Aから径方向にオフセットされている。
【0035】
これに代えて、ばね200P、200Dのうちの一方または両方は部分的にドライブシャフト20の周りに周方向に巻き付けられていてもよい。この場合、部分的に巻き付けられたばねの質量中心は、部分的に巻き付けられたばねの長さに沿うドライブシャフトの回転軸Aから径方向にオフセットされている。図8Bは、一例としてのドライブシャフトを、部分的に巻き付けられた近位ばね200Pおよび遠位ばね200Dと、それぞれの質量中心CP、CDの位置と、偏心クラウン28Aの質量中心Cの位置とともに、示す。さらに注目すべきことは、部分的に巻き付けられたばね200P、200Dと組み合わせたドライブシャフト20の外径D3が、ドライブシャフトの外径D2よりも大きいことである。図8Bは、質量中心C、CおよびCが共通する長手方向の面に沿って位置する、すなわち、質量中心C、CおよびCの位置の間に回転角がない、一例としての装置を示す。
【0036】
図8Aの実施形態を、ばね200P、200Dの質量を径方向に非対称に分布するよう増大させて質量中心CおよびCの一方または両方をドライブシャフト20の回転軸Aから径方向に遠ざかるように移動させることで修正し得ることを、当業者は理解するであろう。これらの質量中心C、CおよびCの位置は、共通の長手方向の面に沿っていてもよい、すなわち、質量中心C、CおよびCの位置の間に回転角はない。
【0037】
図8Cは、図8Aまたは8Bに示す実施形態のいずれかの質量中心C、C、およびCの具体例としての位置を示す。ここで、具体例としての回転角度αおよびβが、それぞれ、(1)偏心クラウンの質量中心Cの位置と近位ばね質量中心Cとの間、および、(2)偏心クラウンの質量中心Cと遠位ばねの質量中心Cとの間に、設けられている。これらの実施形態において、質量中心C、CおよびCは長手方向および回転方向において離隔しており、これを、増大した直径D1および/またはD3と組み合わせて、修正されていないドライブシャフトよりも低い回転速度での軌道運動の促進を支援することができる。
【0038】
したがって、特定の実施形態において、研削要素、たとえば、クラウンは、偏心している必要はなく、代わりに、ドライブシャフト20の回転軸上の質量中心と同心であってもよく、径方向にオフセットされ、場合によっては回転方向において離隔した質量中心Cおよび/またはCを、上記増大した抗力係数と組み合わせて、ドライブシャフト20を軸から外して駆動して軌道運動させる。
【0039】
最後に、図面に示されるように、一般的に、ばね200、200の長さを、偏心研削要素、すなわち偏心クラウン28Aの長さよりも大きくすることにより、結果として生じる抗力の増加を最大化および/または最適化することが、好ましい。他の実施形態において、ばね200、200の一方または両方を、同じ長さにしてもよく、または異なる長さにしてもよい。さらに、ばね200および/または200の長さは、偏心クラウン28Aまたは偏心研削要素の長さと同じであってもよく、またはそれよりも短くてもよい。
【0040】
図8Aに示される実施形態について以下でさらに説明する。
実施例1
図8に示されるように、図8Aの近位ばね200および遠位ばね200を、回転ドライブシャフト20に沿って1.25mmの偏心クラウン28Aの近位側および遠位側に配置し、その後さまざまな速度で回転させた(修正デバイス)。次に、ばねがなく1.25mmの偏心クラウン28Aを有する既知の回転ドライブシャフト20を同じ速度で回転させた(非修正デバイス)。2セットの状態の軌道運動の周波数をテスト回転速度でモニタリングした。
【0041】
図9は実施例1の測定結果を示す。
非修正デバイス、すなわちばねのないデバイスは、比較的低速(1000Hz)または中程度の回転速度(1,500Hz)では軌道運動を実現することができず、指定された2,000Hzの高速でのみ非常に低い周波数の軌道運動を実現した。
【0042】
一方、修正デバイスは、すべてのテスト速度において、遥かに高い軌道周波数で軌道運動を実現した。データは、回転速度と軌道周波数との間の線形関係を示す。
【0043】
これらのデータに基づく最も重要な結論の1つは、比較的かさが低いがドライブシャフト20の外径D2より大きい外径D1を有するばね200、200の追加が、ドライブシャフト20の抗力係数を増大させ、その結果、非修正ドライブシャフトと偏心クラウンとの組み合わせと比較して、著しく低い回転速度および著しく高い軌道周波数で軌道運動を生じさせることである。
【0044】
したがって、本明細書で使用される抗力要素は、抗力係数を増大するためのメカニズムとして、ドライブシャフト20の直径を増加させ、結果として、周知のデバイスまたはシステムにおいて可能なものよりも低い回転速度でより高い周波数の軌道運動を実現することができる。
【0045】
ドライブシャフトの抗力係数を増大させ、実施例のようにドライブシャフトの外径を増大させること、および/または結果として得られる大きさの増大、および/または結果として得られる質量中心の相対位置に依存し得る、多くの可能なメカニズムが存在する。抗力係数を増大させるためにドライブシャフトに追加可能なさらに他の具体例としての抗力要素は以下の通りである。
【0046】
2A.回転しないようにシャフトに固定された抗力要素を追加する
図10A~10Cに示されるように、具体例としてのパドルホイール300(図10A)として、径方向外向きに延びるアームまたは径方向突出部302を有する具体例としての抗力要素を、ドライブシャフト20に追加してもよい。しかしながら、直線状および/または湾曲状および/またはカップ状の径方向突出部を含む任意の抗力要素が、流体循環をさらに改善して抗力係数を増加させるように機能する場合もある。
【0047】
図10Aは、径方向突出部302の対称なセットを提供し、質量中心Cは、ドライブシャフト20に取り付けられたときにドライブシャフト20の回転軸A上にある。この場合、抗力係数、および、結果としてドライブシャフト20が軌道運動を行うよう促されることは、回転中の流体流量の増加によるものである。隣接する径方向突出部302は、ドライブシャフト20の周りに等間隔に離隔している。代替案は、隣接する径方向突出部302の間の不均等な間隔を含み得る。
【0048】
図10Bは、質量中心Cをドライブシャフトの公称回転軸または静止回転軸Aから径方向にオフセットさせることで流体流量の改善に加えて軌道運動の実現に寄与する、パドルホイール抗力要素320の周りの径方向突出部302の非対称分布を含む。
【0049】
最後に、図10Cは、質量中心がそれぞれドライブシャフトの回転軸A上にあるまたは径方向に離隔しているドライブシャフト20の周りに対称にまたは非対称に配置することができる、具体例としてのカップ状または湾曲状の径方向突出部330のセットを提供する。
【0050】
図10A~10Cの実施形態において、さらなる非対称性および結果として得られる回転軸Aから径方向にオフセットされた質量中心は、径方向突出部の長さのいくつかを修正して、すべて等しくならないようにする、および/または径方向突出部のうちの1つ以上の質量を増加させることにより、実現することができる。
【0051】
図10A~10Cの実施形態は、回転しないようにドライブシャフト20に固定されてもよい。これらの抗力要素のうちの1つ以上をドライブシャフト20に固定してもよい。偏心研削要素がドライブシャフトに装着される場合、1つ以上の抗力要素を偏心研削要素の近位側および/または遠位側に固定してもよい。ドライブシャフトが、ドライブシャフトの糸状構造自体からまたは糸の中に挿入された質量プラグのような他の手段から偏心を得る場合、抗力要素をドライブシャフト20に組み込まれた偏心領域の近位側および/または遠位側に同様に固定してもよい。
【0052】
これに代えて、径方向突出部を含む抗力要素は、ドライブシャフト20の個々の糸状体41の外面から形成されてもよく、抗力要素はそこから延びる。先に述べたように、径方向に突出する抗力要素は、ドライブシャフト20から恒久的に径方向に遠ざかるように延びていてもよく、または、抗力要素を径方向に延ばして抗力係数に影響を及ぼすしきい値速度でドライブシャフト20が回転されるまで、偏った平坦な輪郭を有していてもよい。
【0053】
抗力係数の調整は、抗力要素の個々の径方向突出部の表面積、各抗力要素上の径方向突出部の数、径方向突出部の形状および/または曲率によって行われてもよい。さらに、径方向突出部は作動構成を実現するように適合されていてもよく、この場合、径方向突出部は、ドライブシャフト20の外面に対して実質的に平坦になるように、および/またはドライブシャフト20の周りに巻かれるように付勢される。そうすると、ドライブシャフト20の回転は、径方向突出部をそれらの作動位置に動かして作動構成を実現することができる。
【0054】
2B.シャフトに回転動作可能に装着された抗力要素を追加
抗力係数を高めてまたは調整して最適化するための実施形態は、径方向突出部の実施形態をドライブシャフト20に回転動作可能に装着し得ることを除いて、図10A図10Cの実施形態と同様である。
【0055】
2C.ドライブシャフトに沿って質量および外径を増大
ドライブシャフト20に沿って質量を増大させると、旋回するドライブシャフトの定在波を適所に保持する遠心力が増し、旋回するシャフト20のたわみまたは作動直径の大きさが強調される。旋回直径またはたわみが大きいほど、回転して循環する流体が多くなり、したがって、修正されていない周知のドライブシャフトよりも低い回転速度で軌道運動を発生させる。記載されている目的のために質量を増加させる具体例としてのメカニズムは次の通りである。
【0056】
偏心クラウンを有するシャフトに装着されたコイル状ワイヤまたは糸状質量要素
偏心クラウンと組み合わせて、コイル状ワイヤまたは糸状質量もしくはばね200、たとえば巻回ばねを含む抗力要素を、偏心クラウン28Aの遠位側および/または近位側のポイントで、ドライブシャフト20の少なくとも一部の上またはその周りを覆うように配置してもよい。すべての場合において、出願人は、偏心クラウン28Aに近接して質量体またはばね200を配置することによって最良の結果が得られることを発見した。最も好ましくは、少なくとも近位および/または遠位質量またはばねが、偏心クラウンと接触する。図11は、具体例としての近位ばね200の長さがドライブシャフト20に装着された偏心クラウン28Aの長さよりも大きい構成を示す。この具体例としての図では、遠位抗力要素またはばね200は装着されていない。近位ばね200は、偏心クラウン28Aの長さの少なくとも2倍以上の長さを有してもよく、図11のように、偏心クラウン28Aの長さの5倍以上の長さを有してもよい。ばね200として示される抗力要素は、コイル状糸質量またはその他同様の構造の形態を取ることもできる。
【0057】
実施例2
図11からわかるように、近位ばね200は、偏心クラウン28Aの近位側において偏心クラウン28Aから離隔するようにドライブシャフト20に配置され(修正デバイス)、偏心クラウン28Aのみを備えるドライブシャフト20(非修正デバイス)と比較される。
【0058】
実施例2の結果を図12にグラフで示す。
非修正デバイスは、約700Hzの回転速度で非常に低い旋回周波数(約20Hz)を実現し、非常に遅く低い増加率で、約1850Hzの回転速度で約90Hzの最大旋回周波数に達する。
【0059】
一方、修正デバイスは、約700Hzの最低回転速度で50Hzを超える旋回周波数に達し、非修正デバイスよりも高い旋回周波数増加率を示す。修正デバイスは、約1850Hzの回転速度で200Hzを超える旋回周波数に達する。
【0060】
近位抗力要素200の追加により、所与の回転速度で、非修正デバイスよりも高い旋回周波数が得られ、非修正デバイスよりも低い回転速度で軌道運動が生じることが、わかる。
【0061】
偏心クラウンなしのドライブシャフトに装着されたコイル状ワイヤまたは糸状質量要素
コイル状ワイヤまたは糸状コイルもしくはばね抗力要素は、上述のように、ドライブシャフト20の周りに部分的に巻かれる、および/または、偏心または非対称の径方向質量分布を有することにより、局所質量中心Cを回転軸から径方向にずらし高速回転中の軌道運動を生じさせることで、必要な偏心を提供してもよい。いずれの場合においても、抗力要素の材料は、好ましくは、タングステンのような緻密な材料、すなわち、ステンレス鋼でもよいドライブシャフトの材料よりも緻密な材料である。これに代えて、ステンレス鋼のような中程度の密度の材料、またはチタン(ドライブシャフトの材料よりも密度が低い)のような比較的低密度の材料でさえも使用することができる。抗力要素のワイヤまたは糸および/またはドライブシャフトのワイヤ巻線もしくは糸41の外面のうちの少なくとも一部を、この実施形態では研削材で被覆してもよい。
【0062】
他の実施形態において、特に抗力要素が長手方向に離隔している場合、抗力要素の質量の増加および外径の増加は、軌道運動を生じさせるのに十分であろう。
【0063】
偏心クラウンを有するドライブシャフト上に配置された編組質量要素
質量体を含む別の抗力要素は、偏心クラウンの近位側および/または遠位側においてドライブシャフトの周りに少なくとも部分的に巻き付けられた編組構造を備えていてもよい。ばね200の実施形態と同様に、編組抗力要素は、同心であってドライブシャフトの回転軸上に質量中心を有してもよく、または偏心であってもよく、質量非対称性は、編組要素における偏心または非対称径方向質量分布によって、またはドライブシャフト20に部分的に巻かれることによって、導入されてもよい。
【0064】
偏心クラウンなしのドライブシャフト上に配置された編組質量要素
先に述べたように、編組質量抗力要素をドライブシャフト20の周りに部分的に巻くことにより、局所質量中心Cを回転軸の径方向にずらして必要な偏心を与え、高速回転中の軌道運動を生じさせることができる。この場合、偏心研削要素またはたとえばクラウン28Aは必要とされない場合がある。この実施形態では、編組質量要素の編組および/またはドライブシャフトワイヤ巻線もしくは糸41の外面のうちの少なくとも一部を研削材で被覆してもよい。
【0065】
上述のように、特定の実施形態において、編組質量抗力要素の質量の追加および外径の増大は、特に、2つ以上の編組抗力要素が提供され長手方向に離隔される場合、軌道運動を生じさせるのに十分であろう。
【0066】
本明細書で説明される理由から、本明細書に記載のこの実施形態およびすべての実施形態は、偏心クラウン28Aのような偏心研削要素を必要としてまたはその支援により、ドライブシャフト20の軌道運動を生じさせることができる。
【0067】
偏心クラウンを有するドライブシャフト上に配置されたビード
これに代えて、図13に示されるように、1つ以上のビードが、具体例としての偏心研削要素である偏心クラウン28Aの近位側および遠位側においてドライブシャフトに装着されてもよい。クラウン28Aに隣接するビードは、クラウン28Aと接触していてもよいし、クラウン28Aから離隔していてもよい。2つ以上のビードがクラウン28Aの近位側および/または遠位側に設けられる場合、隣接するビードは接触していてもよいし、離隔していてもよい。隣接するビードは、可撓性を維持するために互いに固定されない。偏心クラウン28Aの近位側に近接するビードの数は、偏心クラウン28Aの遠位側に近接するビードの数と等しくても異なっていてもよい。図示のように、質量が等しいビードが使用されるが、質量が等しくないものが使用されてもよい。さらに、図13では、6つの近位ビードおよび5つの遠位ビードが示されており、すべてのビードの質量が等しく、したがって、全遠位ビードの合計遠位質量は、全近位ビードの合計近位質量より大きい。
【0068】
偏心クラウンなしのドライブシャフト上に配置されたビード
上記他の実施例と同様に、近位および/または遠位ビードは、(質量または装着または幾何学的形状によって)偏心であってもよく、または同心であってもよく、結果として、それぞれ、ドライブシャフトの回転軸から径方向に離隔した質量中心、または、回転軸上に位置する質量中心をもたらす。いずれの場合においても、ドライブシャフト20を、本明細書で説明される理由から、具体例としてのクラウン28Aのような偏心研削要素を必要とすることなくまたはその支援を受けずに、軌道運動させることができる。
【0069】
本明細書に記載の他の抗力要素と同様に、ビードは、ドライブシャフトに回転不能にまたは回転動作するように装着することができる。ビードは、球形でも、非同心の幾何学的形状でもよい。
【0070】
偏心クラウンを有する/有しないドライブシャフト上に配置された低プロファイルの小環
図14は、ビードの代わりに小環が使用される、図13の変形例を示す。図13に関連して述べた他のすべての特徴、代替形態、および機能は、図14の修正された小環にも当てはまる。
【0071】
回転ドライブシャフトの抗力係数を高めるとともに送達および作動構成を有するヒンジ付きハイドロフォイル
最後に、図15Aおよび図15Bは、さらに流体力学の原理を適用することにより、回転ドライブシャフトに装着された回転研削要素を同心回転スピンからずらし、研削要素を軌道運動するよう駆動することを示し、この場合、高速回転中に辿る作動直径は、その静止直径よりも大きい。したがって、図15は、ドライブシャフト20に取り付けてしきい値回転速度で回転させると軌道運動が生じるハイドロフォイル研削要素を示す。ハイドロフォイル研削要素の最大直径は、シースまたは送達カテーテルを通して送達するために減じることができ、また、屈曲点を、たとえば示されているヒンジを設けることにより、ハイドロフォイル延長部をハイドロフォイル研削要素の本体の周りに折り畳むことで、より小さいおよび/または蛇行した血管を収容することができる。送達カテーテルまたはシース管腔の外に送達されると、ハイドロフォイル延長要素を、ドライブシャフトを第1の回転方向に回転させることによって拡張することができる。ハイドロフォイル延長部が流体の力によって拡張され、流体内で回転し、作動位置に固定されると、ドライブシャフトは、流体力学が軌道運動を引き起こす第2の反対の回転方向に回転させることができる。これに代えて、ハイドロフォイル拡張ヒンジが作動位置まで拡張するように付勢されてもよい。
【0072】
これに代えて、ハイドロフォイル延長部は形状記憶材料を含み得る。これは、付勢されて拡張して作動位置に入り、そうすると、ハイドロフォイル延長部は、低いプロファイルで送達するために送達カテーテルまたはシースの管腔内で折り畳まれ、カテーテルまたはシースの管腔から出ると、ハイドロフォイル延長部が拡張するように付勢されて、回転を可能にし軌道運動を生じさせてもよい。ハイドロフォイル延長部は、ハイドロフォイル研削要素をカテーテルまたはシース管腔内に近位方向に移動させることにより、引き抜くために再度折り畳まれてもよい。
【0073】
実施形態の説明および本明細書に記載の実施形態の用途は、例示であると理解されるべきものであって、本開示の範囲を限定することを意図する訳ではない。本開示の範囲の中で各種実施形態の特徴を他の実施形態および/または特徴と組み合わせてもよい。本開示を検討すれば、本明細書に開示されている実施形態の変形および修正形が可能であり、実施形態の各種要素の代替要素および均等要素は、当業者によって理解され当業者には明らかになるであろう。本明細書に開示される実施形態のこのような変形および修正形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく行うことができる。したがって、当業者には明らかになるであろうすべての代替形、変形、修正形は、本開示の範囲に含まれると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
【手続補正書】
【提出日】2021-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有し高速回転中にその静止直径よりも大きな作動直径を実現するように適合されたドライブシャフトに作動的にかつ回転するように接続された原動機を有する回転式医療装置であって、前記回転式医療装置は、
前記ドライブシャフトに作動的に装着され、前記ドライブシャフトの回転軸から径方向にオフセットされた質量中心を含む、研削要素と、
前記ドライブシャフトの外面の少なくとも一部に形成されたくぼみの穴を含む表面欠陥とを備え、前記表面欠陥は、前記研削要素の近位側および遠位側に形成され、前記表面欠陥は、前記ドライブシャフトの抗力係数を増すように適合されている、回転式医療装置。
【請求項2】
前記ドライブシャフトの抗力係数を調整するために前記ドライブシャフトの外面の少なくとも一部を覆うポリマー外層をさらに備える、請求項1に記載の回転式医療装置。
【請求項3】
前記表面欠陥はレーザデバイスで形成される、請求項1に記載の回転式医療装置。
【請求項4】
前記ポリマー外層は、前記ポリマー外層で覆われた前記ドライブシャフトの外面の表面粗さを下げるように適合されている、請求項2に記載の回転式医療装置。
【請求項5】
ドライブシャフトと、前記ドライブシャフトを回転させるように適合された作動的に接続された原動機と、前記ドライブシャフトに接続された研削要素とを有する、回転式医療装置であって、前記ドライブシャフトは外径と回転軸とを有し、前記回転式医療装置は、
前記ドライブシャフトを取囲み、前記ドライブシャフトの外径よりも大きな外径を有する近位ばね抗力要素を備える、回転式医療装置。
【請求項6】
前記ドライブシャフトを取囲み、前記ドライブシャフトの外径よりも大きな外径を有する遠位ばね抗力要素をさらに備える、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項7】
前記研削要素は、偏心クラウンと、前記ドライブシャフトの回転軸から径方向に離隔した質量中心とを含み、前記近位ばね抗力要素は、前記ドライブシャフトの回転軸上に位置する質量中心を含む、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項8】
前記研削要素は偏心クラウンを含み、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の双方が、前記ドライブシャフトの回転軸上に位置する質量中心を含む、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項9】
前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素のうちの少なくとも一方の質量中心は、前記ドライブシャフトの回転軸から径方向に離隔している、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項10】
前記偏心クラウン、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の質量中心は、共通の長手方向面上に位置する、請求項8に記載の回転式医療装置。
【請求項11】
前記研削要素の質量中心は、前記近位ばね抗力要素の質量中心から回転方向に離隔している、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項12】
前記研削要素の質量中心は、前記遠位ばね抗力要素の質量中心から回転方向に離隔している、請求項10に記載の回転式医療装置。
【請求項13】
前記研削要素は、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素のうちの少なくとも一方から長手方向に離隔している、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項14】
前記研削要素は、前記近位ばね抗力要素から長手方向に離隔している、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項15】
前記研削要素と前記近位ばね抗力要素とは長手方向に離隔していない、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項16】
前記研削要素と前記遠位ばね抗力要素とは長手方向に離隔していない、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項17】
前記研削要素の長さは前記近位ばね抗力要素の長さよりも短い、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項18】
前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の各々が質量を有する、請求項に記載の回転式医療装置。
【請求項19】
ドライブシャフトと、前記ドライブシャフトを回転させるように適合された作動的に接続された原動機と、質量中心を有し前記ドライブシャフトに装着された研削要素とを有する、回転式医療装置であって、前記ドライブシャフトは外径と回転軸とを有し、前記回転式医療装置は、
近位ばね抗力要素を備え、前記近位ばね抗力要素は、前記ドライブシャフトを部分的に取囲み、前記ドライブシャフトの一部は取囲まれておらず、前記近位ばね抗力要素は、前記取囲まれていないドライブシャフトの一部と組み合わされて、前記ドライブシャフト単独の外径よりも大きな外径を有する、回転式医療装置。
【請求項20】
遠位ばね抗力要素をさらに備え、前記遠位ばね抗力要素は、前記ドライブシャフトを部分的に取囲み、前記ドライブシャフトの一部は取囲まれておらず、前記遠位ばね抗力要素は、前記取囲まれていないドライブシャフトの一部と組み合わされて、前記ドライブシャフトの外径よりも大きな外径を有する、請求項19に記載の回転式医療装置。
【請求項21】
前記研削要素は偏心クラウンであり、前記偏心クラウン、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の質量中心はすべて、前記ドライブシャフトの回転軸から径方向に離隔している、請求項20に記載の回転式医療装置。
【請求項22】
前記偏心クラウン、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素の質量中心は、共通の長手方向面上に位置する、請求項21に記載の回転式医療装置。
【請求項23】
前記偏心クラウンの質量中心は、前記近位ばね抗力要素の質量中心から回転方向に離隔している、請求項21に記載の回転式医療装置。
【請求項24】
前記研削要素の質量中心は、前記遠位ばね抗力要素の質量中心から回転方向に離隔している、請求項20に記載の回転式医療装置。
【請求項25】
前記研削要素は、前記近位ばね抗力要素および前記遠位ばね抗力要素のうちの少なくとも一方から長手方向に離隔している、請求項20に記載の回転式医療装置。
【請求項26】
前記研削要素は前記近位ばね抗力要素から長手方向に離隔している、請求項19に記載の回転式医療装置。
【請求項27】
前記研削要素と前記近位ばね抗力要素とは長手方向に離隔していない、請求項19に記載の回転式医療装置。
【請求項28】
前記研削要素と前記遠位ばね抗力要素とは長手方向に離隔していない、請求項20に記載の回転式医療装置。
【請求項29】
ドライブシャフトと、前記ドライブシャフトを回転させるように適合された作動的に接続された原動機と、質量中心を有し前記ドライブシャフトに装着された研削要素とを有する、回転式医療装置であって、前記ドライブシャフトは外径と回転軸とを有し、前記回転式医療装置は、
質量中心を含み前記研削要素の近位側において前記ドライブシャフトに作動的に装着された少なくとも1つの近位抗力要素と、質量中心を含み前記研削要素の遠位側において前記ドライブシャフトに作動的に装着された少なくとも1つの遠位抗力要素とをさらに備える、回転式医療装置。
【請求項30】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトから径方向に延びる複数の径方向突出部を含む対称パドルホイールを含む、請求項29に記載の回転式医療装置。
【請求項31】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトから径方向に延びる複数の径方向突出部を含む非対称パドルホイールを含む、請求項29に記載の回転式医療装置。
【請求項32】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトから径方向に延びる複数の径方向突出部を含む非対称パドルホイールを含み、前記径方向突出部のうちの少なくとも1つは遠位端において湾曲部分を含む、請求項29に記載の回転式医療装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトに回転しないように作動的に装着される、請求項29に記載の回転式医療装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素は、前記ドライブシャフトに回転するように作動的に装着される、請求項29に記載の回転式医療装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素の各々は、前記ドライブシャフトに作動的に装着された1つ以上のビードを含む、請求項29に記載の回転式医療装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの近位抗力要素および前記少なくとも1つの遠位抗力要素の各々は、前記ドライブシャフトに作動的に装着された1つ以上の小環を含む、請求項29に記載の回転式医療装置。
【請求項37】
ドライブシャフトに作動的にかつ回転するように接続された原動機を有する回転式アテレクトミー装置のための偏心研削クラウンであって、前記研削クラウンは前記ドライブシャフトに装着され、前記偏心研削クラウンは、
前記ドライブシャフトに作動的に接続された本体部と、前記本体部および前記ドライブシャフトから径方向に延びるハイドロフォイル延長部とを備え、前記ハイドロフォイル延長部は、屈曲部分を含み、前記本体部に対して屈曲することにより、送達位置を実現し作動位置を実現するように適合されている、偏心研削クラウン。
【請求項38】
前記ハイドロフォイル延長部の屈曲部分はヒンジを含む、請求項37に記載の偏心研削クラウン。
【請求項39】
前記ヒンジが付勢されて作動位置を実現する、請求項38に記載の偏心研削クラウン。
【請求項40】
前記ハイドロフォイル延長部は、前記作動位置を実現するように付勢される形状記憶材料を含む、請求項39に記載の偏心研削クラウン。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
図4は、当該技術では周知の別の代替例を示し、この例ではクラウン28Aがドライブシャフト20に装着されている。示されているクラウン28Aは偏心しているおよび/またはドライブシャフト20に偏心した状態で装着されることにより、ドライブシャフト20の回転軸Aから径方向に離れた場所にある質量中心Cをもたらす。図3および図4に関連して先に述べた偏心実施形態と同様、偏心クラウン28Aは、ドライブシャフト20の高速回転中、軌道運動するよう促され、回転中に辿るその作動直径はその静止直径よりも大きい。当業者が理解するように、質量中心Cの位置は、要素の数を変更することによって操作することが可能であり、これは、クラウン28Aの中に中空チャンバ30を設けることを含むがそれに限定される訳ではない。中空チャンバ30を設ける場合、その大きさおよび/または形状を変えることによって質量中心Cの位置を操作することができる。
【国際調査報告】