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特表2022-504455集電体、導体線および導体線システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】集電体、導体線および導体線システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/04 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B60L5/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519123
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(85)【翻訳文提出日】2021-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2019070006
(87)【国際公開番号】W WO2020088806
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018127304.5
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508237443
【氏名又は名称】コンダクティクス-バンプフラー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エンドラー,ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,バーンド
(72)【発明者】
【氏名】ウインター,ニコラス
【テーマコード(参考)】
5H105
【Fターム(参考)】
5H105AA20
5H105CC02
5H105CC12
5H105DD03
5H105DD12
5H105DD22
5H105EE12
(57)【要約】
本発明は、導体線(2)の導体プロファイル(3)と電気的接触を行うための少なくとも1つの滑り接点(12、12´)と、導体プロファイル(3)の導体線(2)の長手方向(L)に走る長手方向スロット(6)に挿入するための少なくとも1つのアンテナ(13)と、を有する集電体(10)に関し、ここで、滑り接点(12、12´)およびアンテナ(13)は、集電体(10)の給電装置と、細長い空洞(5)および前記空洞に隣接し、長手方向(L)に走る長手方向スロット(6)を有し、長手方向(L)に走る導体プロファイル(3)と、を有する導体線(2)を介して、給電方向(Z)に導体プロファイル(3)に向かって一緒に移動され、ここで、導体プロファイル(3)は、電気機器の集電体(10)の少なくとも1つの滑り接点(12、12´)が導体線(2)に沿って移動できるための少なくとも1つの滑り接点溝(8、8´)を有する。本発明は、滑り接点(12、12´)に対して給電方向(Z)に移動できるようにアンテナ(13)が取り付けられている集電体(10)と、導体プロファイル(3)が、集電体(10)の少なくとも1つのスペーサスライド(24、24´)のために、長手方向(L)に走る少なくとも1つのスペーサスライド面(9、9´)を有する導体線(2)と、それらに装備された導体線システム(1)と、を介して、均一で中断のないデータ送信を可能にするという問題を解決する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体線(2)の導体プロファイル(3)と電気的接触を行うための少なくとも1つの滑り接点(12、12´)と、前記導体プロファイル(3)の長手方向スロット(6)と係合するための少なくとも1つのアンテナ(13)とを有する集電体(10)であって、この長手方向スロットは前記導体線(2)の長手方向(L)に走り、前記滑り接点(12、12´)と前記アンテナ(13)は前記集電体(10)の給電装置によって給電方向(Z)に前記導体プロファイル(3)に向かって一緒に移動することができ、前記アンテナ(13)は前記滑り接点(12、12´)に対して前記給電方向(Z)に前記集電体(10)に移動可能に取り付けられていることを特徴とする、集電体(10)。
【請求項2】
前記アンテナ(13)は、前記滑り接点(12、12´)に対して前記給電方向(Z)に移動することができるアンテナホルダ(19)内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の集電体(10)。
【請求項3】
前記導体プロファイル(3)に沿ってスライドまたは転回するための少なくとも1つのスペーサ要素(24、24´)が前記アンテナホルダ(19)に配置されている、請求項2に記載の集電体(10)。
【請求項4】
前記アンテナ(13)の側面に沿って両側に配置された2つのスペーサスライド(24、24´)が前記アンテナホルダ(19)上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の集電体(10)。
【請求項5】
前記スペーサスライド(24、24´)が傾斜した前面を有することを特徴とする、請求項4に記載の集電体(10)。
【請求項6】
少なくとも1つの補償要素(22、22´)が、前記滑り接点(12、12´)と前記アンテナ(13)との間に配置され、この補償要素が前記アンテナ(13)を、前記導体線(2)に向かって前記給電方向(Z)に押すことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の集電体(10)。
【請求項7】
前記滑り接点(12、12´)が滑り接点キャリア(11)内に配置され、前記補償要素(22、22´)が前記滑り接点キャリア(11)と前記アンテナ(13)および/または前記アンテナホルダ(19)との間に配置されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の集電体(10)。
【請求項8】
前記補償要素が、少なくとも1つの弾性補償要素および/または補償バネ(22、22´)を含むことを特徴とする、請求項7に記載の集電体(10)。
【請求項9】
前記滑り接点(12、12´)が、前記導体プロファイル(3)から離れる前記給電方向(Z)に前記導体プロファイル(3)上のその接触位置から偏向されるとき、前記給電装置が、前記滑り接点(12、12´)に前記導体プロファイル(3)に向かう前記給電方向に復元力を及ぼすことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の集電体(10)。
【請求項10】
前記給電装置がバネのアームを備えることを特徴とする、請求項9に記載の集電体(10)。
【請求項11】
前記アンテナ(13)が、少なくとも前記長手方向スロット(6)と係合することを意図された領域において、電気絶縁保護スリーブ(14)によって囲まれることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の集電体(10)。
【請求項12】
前記給電方向(Z)が前記集電体(10)の横断面に対して直角に走り、その横断面が前記長手方向(L)に沿って延びることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の集電体(10)。
【請求項13】
細長い空洞(5)および長手方向(L)に延びる隣接する長手方向スロット(6)を備えた、長手方向(L)に延びる導体プロファイル(3)を備えた導体線(2)であって、前記導体プロファイル(3)は、前記導体線(2)に沿って移動することができる電気負荷の集電体(10)の少なくとも1つの滑り接点(12、12´)のための少なくとも1つの滑り接点溝(8、8´)を有し、前記導体プロファイル(3)が、前記集電体(10)の少なくとも1つのスペーサスライド(24、24´)のための前記長手方向(L)に延びる少なくとも1つのスペーサスライド面(9、9´)を有することを特徴とする、導体線(2)。
【請求項14】
2つのスペーサスライド面(9、9´)が前記長手方向スロット(6)の前記側面に沿って両側に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の導体線(2)。
【請求項15】
前記スペーサスライド面(9、9´)が前記長手方向スロット(6)から斜めの角度で延びることを特徴とする、請求項14に記載の導体線(2)。
【請求項16】
前記空洞(5)および前記長手方向スロット(6)がスロット付き導波管(4)を形成することを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の導体線(2)。
【請求項17】
細長い空洞(5)および長手方向(L)に延びる隣接する長手方向スロット(6)を備えた、長手方向(L)に延びる導体線(2)と、前記長手方向スロット(6)と係合するための少なくとも1つのアンテナ(13)と、前記導体プロファイル(3)と電気的接触を行うための少なくとも1つの滑り接点(12、12´)とを有する集電体(10)と、を備える導体線システム(1)であって、前記滑り接点(12、12´)と前記アンテナ(13)は前記集電体(10)の給電装置によって給電方向(Z)に前記導体プロファイル(3)に向かって一緒に移動することができ、前記アンテナ(13)は前記滑り接点(12、12´)に対して前記給電方向(Z)に前記集電体(10)に移動可能に取り付けられていることを特徴とする、導体線システム(1)。
【請求項18】
前記集電体(10)が請求項1から12のいずれか一項と同様に構成される、および/または前記導体線(2)が請求項13から16のいずれか一項と同様に構成されることを特徴とする、請求項17に記載の導体線システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による集電体、請求項13の前文による導体線(conductor line)、および請求項17の前文による導体線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な特許文献1は、集電体の滑り接点(sliding contact)を介して導体線に沿って移動する電気負荷に電気エネルギーを供給する導体線を備えた導体線システムを開示している。導体線の1つの導体プロファイル(conductor profile、導体の形材)は、接地導体プロファイルと、電気負荷との間でデータを伝送するためのスロット付き導波管とを含むアセンブリとして構成される。この目的のために、関連する集電体は、一方では接地導体プロファイルと接触するための滑り接点、および他方ではスロット付き導波管に挿入するためのアンテナを含み、これらはアセンブリを形成するように構成される。滑り接点は、導体プロファイルとの接触が途切れないようにするために、バネ力によって接地導体プロファイルの方向に連続的に押される。滑り接点は時間の経過とともに摩耗するため、アンテナはスロット付き導波管にますます深く押し込まれ、それによりスロット付き導波管の伝送特性が連続的に変化し、データの伝送が損なわれる可能性がある。さらに、導体線は、たとえば、電化モノレールシステムにおいて、複数の電気負荷に電力を供給することが多く、これは、電気負荷のアンテナのスロット付き導波管への貫通の深さが連続的に変化するため、減衰特性を変化させ、その結果、たとえば、過負荷の場合や低負荷の場合にデータの伝送に悪影響が及ぶ場合がある。
【0003】
可撓性無線アンテナ用の付属品の分野に関連する特許文献2は、可撓性取り付けユニットの近くに停止ユニットを備える装置を開示し、この停止ユニットは、車両などの構造体に統合されているキャリアに対する可撓性無線アンテナの動きを制限する。停止ユニットには、取り付けユニットのレベルでアンテナを囲む金属製のシリンダがある。シリンダの底部には軸方向孔が形成されており、アンテナを中央に配置してキャリアに取り付けることができる。取り付けユニットは、ナットによってキャリアに取り付けられたベースに接続されたバネを備えている。
特許文献3は、押し出されたスロット付き中空プロファイルによって形成された導体レールを有する導体線を開示し、側壁はスロット付き空洞を区切っており、導体レールは、導体線に沿って移動することができる集電体キャリッジの少なくとも1つの走行面および/またはガイド面を形成し、エネルギーおよび/またはデータを伝達するための少なくとも1つの電気バスバーは、空洞を境界付ける中空プロファイルの少なくとも1つの側壁の内面に配置され、少なくとも1つの電気スロット付き導波管は、空洞または少なくとも1つの側壁に配置または統合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許第10 2014 107 466 A1号
【特許文献2】フランス特許第2 952 237 A1号
【特許文献3】ドイツ特許第10 2016 102 912A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明によって解決されるべき問題は、集電体、導体線、および導体線システムを利用可能にすることであり、これらは、上記の欠点を克服し、可能な限り最も均一で中断のないデータ伝送を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、請求項1の特徴を有する集電体(current collector)、請求項13の特徴を有する導体線、および請求項17の特徴を有する導体線システムを用いて本発明によって解決される。本発明の有利な改良および実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明によれば、上記の集電体は、滑り接点に対して給電方向に移動できるように、アンテナが集電体に取り付けられていることを特徴とする。滑り接点が導体線に向かって給電方向に移動する場合、アンテナは、好ましくは、反対方向に、すなわち、導体線から離れる給電方向に移動できるように取り付けることができる。これにより、一方では、滑り接点を導体プロファイルに押し付けることが可能になり、それによって信頼性の高い電気的接触が保証され、他方では、アンテナについて、滑り接点の高さが摩耗により減少し、その結果と滑り接点が導体線に近づき続ける場合に、滑り接点が導体線に向かって給電方向に移動するのを回避することができる。
【0008】
アンテナは、好ましくは、滑り接点に対して給電方向に移動することができるアンテナホルダ(antenna holder)内に配置することができる。アンテナの長手方向のスロット(slot、細穴)および/または導体プロファイルの空洞(cavity)への貫通の深さが定義されたままであり、可能な限り一貫性を保ち続けることを確実にするために、少なくとも1つのスペーサ要素、特に導体プロファイル上でのスライドまたは転回用のスペーサスライド(spacer slide)またはスペーサローラを、アンテナホルダに配置することができる。滑り接点とスペーサを導体プロファイルに対して押すことにより、アンテナホルダとは、滑り接点およびアンテナに対して回避運動をする可能性があり、その運動は滑り接点が導体プロファイルに近づくのを防ぐために滑り接点に対して給電方向に向けられているため、アンテナを所望の一定の侵入深さに有利に維持することが可能である。
【0009】
好ましくは、アンテナの側面に配置された2つのスペーサスライドは、アンテナホルダの両側に配置することができ、スペーサスライドは、好ましくは、長手方向(longitudinal direction)に向けられている。スペーサスライドは、好ましくは、長手方向スロットの外側端部で相補的な傾斜したスペーサスライド面上をスライドする傾斜した前面を有することができる。
【0010】
好ましくは、滑り接点とアンテナとの間には少なくとも1つの補償要素(compensating element)が配置されており、これはアンテナを導体線に向かって給電方向に押すが、同時にアンテナおよび適切な場合にはスペーサホルダ[アンテナホルダ]が、滑り接触に対して、導体線に向かう給電方向とは反対に回避運動をするのを可能にする。
【0011】
滑り接点が導体プロファイルに接近しても、アンテナは導体プロファイルの長手方向のスロットおよび/または空洞内で同じ侵入深さに留まる。これは、アンテナおよび必要に応じて給電方向のアンテナホルダが導体線に対して同じ位置に留まる間に導体線に向かって給電方向に移動するのは滑り接点だけだからである。滑り接点は、好ましくは滑り接点キャリア(sliding contact carrier)内に配置することができ、滑り接点キャリアとアンテナおよび/またはアンテナホルダとの間には補償要素が配置されている。滑り接点ホルダ[滑り接点キャリア]は、滑り接点とともに、導体プロファイルに対して給電方向に押され、一方、アンテナホルダおよび給電方向のアンテナは、導体プロファイルに対して同じ位置に留まる。したがって、補償要素は、特に給電方向において、滑り接点キャリアとアンテナまたはアンテナホルダとの間の間隔を変更することを可能にする。
【0012】
補償要素は、好ましくは、少なくとも1つの弾性要素および/または、滑り接点と滑り接点ホルダとの間およびアンテナとアンテナホルダとの間にそれぞれ作用する補償バネを含むことができる。弾性要素は、好ましくはゴム、特に軟質ゴムで作ることができる。
【0013】
有利な改良において、滑り接点が、導体プロファイルから離れる給電方向に導体プロファイル上のその接触位置から偏向されるとき、給電装置は、滑り接点および滑り接点キャリアに導体プロファイルに向かう給電方向に復元力を及ぼすことができる。給電装置は、好ましくは、当技術分野で既知のバネのアーム(spring arm)を含むことができる。
【0014】
有利な改良では、アンテナ、または長手方向スロットに挿入されるアンテナの少なくとも一部は、長手方向スロットとの電気的接触を回避するために、電気絶縁保護スリーブ(electrically insulating protective sleeve)によって囲まれ得る。
【0015】
給電方向は、集電体の横断面に対して直角に有利に延びることができ、その横断面は、長手方向を通る。より具体的には、給電方向は、長手方向スロット(longitudinal slot)、特にその高さ、および長手方向によって形成されるスロット平面内に実質的に延びることができる。
【0016】
本発明によれば、上記の導体線は、導体プロファイルが、集電体の少なくとも1つのスペーサスライドに対して、長手方向に延びる少なくとも1つのスペーサスライド面(spacer slide surface)を有することを特徴とする。2つのスペーサスライド面を、長手方向スロットの側面に沿って両側に有利に配置することができる。スペーサスライド面は、好ましくは、長手方向スロットの外縁が傾斜するように、長手方向スロットから斜めの角度で外向きに延びることができる。空洞および長手方向スロットは、好ましくは、スロット付き導波管(slotted waveguide)を形成することができる。有利な高度な修正では、スペーサスライド面は、導体プロファイルの滑り接点ナット上またはそれによって構成することもでき、その場合、スペーサスライドは、滑り接点の上流および/または下流に長手方向に配置される。導体プロファイルは、好ましくは、接地導体プロファイルであり得る。
【0017】
導体プロファイルおよびスロット付き導波管は、好ましくは、同じ材料から一体的に作製されるアセンブリを形成することができる。しかしながら、導体プロファイルおよびスロット付き導波管はまた、別個の構成要素であり得、別個の部品またはアセンブリを形成するために異なる材料で作製され得る。導体プロファイルおよびスロット付き導波管は、好ましくは、導電性材料で作製することができ、および/または導電性コーティングを有することができる。特に、スロット付き導波管の内面は、導電性コーティングでコーティングすることができる。スロット付き導波管はまた、異なる適切な断面を有する。
【0018】
本発明によれば、上記の導体線システムは、アンテナが、滑り接点に対して給電方向に、集電体に移動可能に取り付けられていることを特徴とする。滑り接点が給電方向に導体線に向かって移動する場合、アンテナは好ましくは反対方向に、すなわち導体線から離れる給電方向に移動可能に取り付けることができる。この目的のために、上記および以下にさらに説明されるような集電体および/または導体線を好適に使用することができる。
本発明は、添付の図面を参照して、詳細な実施形態の例に基づいて以下に説明される。
図は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による導体線システムの断面の正面図を示す。
図2】左から見た図1に示す導体線システムの側面図を示す。
図3図2に示す線B-Bを通る導体線システムの断面図を示す。
図4図1に示す線A-Aを通る導体線システムの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明による導体線システム1の断面の正面図を示しており、導体線2は長手方向Lに延び、その上で、導体線の電気負荷、たとえば、コンテナクレーンを当技術分野で既知の方法で長手方向Lに移動させることができる。これらの電気負荷には、図面に示されていない相導体プロファイルを介して電気エネルギーが供給され、本発明は、主にそのような相導体プロファイルで使用可能である。
【0021】
図面に示されている細長い(elongated)導電性接地導体プロファイル3は、導体線システム1の電気的負荷を接続するのに役立つ。接地導体プロファイル3は、データ送信を目的とした空洞5を有する本質的にT字形のスロット付き導波管4を形成し、この空洞は、図面において、下向きに開いた長手方向スロット6に合流する。しかしながら、接地導体プロファイル3は、側面に開いた長手方向スロット6とともに使用することもできる。
【0022】
図面において、接地導体プロファイル3およびスロット付き導波管4は、同じ材料から一体的に作製され、したがってアセンブリを形成されるので、構築および設置が平易となる。しかしながら、接地導体プロファイル3およびスロット付き導波管4はまた、別個の構成要素であり得、および/または別個の部品またはアセンブリを形成するために異なる材料から作製され得る。接地導体プロファイル3およびスロット付き導波管4は、導電性材料でできているか、または導電性コーティングでコーティングされている。特に、スロット付き導波管4の内面は、導電性コーティングでコーティングすることができる。スロット付き導波管4はまた、異なる適切な断面を有する。
【0023】
長手方向スロット6に隣接する側に配置され、接地導体プロファイル3は両側に長手方向クロスピース7、7´をさらに有し、クロスピースの中に長手方向スロット6から離れて長手方向Lに延びる滑り接点溝8、8´(sliding contact groove)が配置されている。長手方向スロット6の外側長手方向縁部に沿って直接配置されているのは、外向きに傾斜したスペーサスライド面9、9´である。
【0024】
電気負荷(図面には示さず)上で、集電体10は、当技術分野で既知の方法で配置され、集電体は、滑り接点キャリア11に含まれる2つの滑り接点12、12´を有する。滑り接点12、12´は、滑り接点キャリア11の中心から外れて長手方向Lに平行に配置され、それらの自由なくさび形の端部は、滑り接点溝8および8´と係合する。しかしながら、くさび形の構成の代わりに、滑り接点溝8、8´および滑り接点12、12´の異なる断面を使用することができる。
【0025】
集電体10は、滑り接点溝8、8´と滑り接点12、12´との間の確実な接触を保証するために、当技術分野で既知の給電装置(図面には示さず)によって導体線2の方向に連続的に押される。摩耗した滑り接点12、12´は、給電装置または他の手段を介して導体線2から離れるように移動することができる。
【0026】
集電体10の導電性アンテナ13は、長手方向スロット6を通って、スロット付き導波管4の空洞5内に延びる。図4に明確に示されているように、アンテナ13は、アンテナ13とスロット付き導波管4との間の電気的接触を回避するために、絶縁保護スリーブ14によって囲まれている。導体線2とは反対側に、アンテナ13は、アンテナ線17のアンテナプラグ16を差し込むためのアンテナソケット15をさらに有する。アンテナ線17は、集電体10の貫通開口部18を通って電気負荷およびそのコントローラまで延びる。
【0027】
滑り接点12、12´の摩耗が絶え間なく進むことで、アンテナ13が集電体10によってスロット付き導波管4の空洞5にますます深く押し込まれるのを防ぐために、アンテナ13はアンテナホルダ20内に配置され、アンテナホルダ20は、滑り接点キャリア11に対して、導体線2への給電方向Zに移動可能である。アンテナホルダ20はまた、保護スリーブ14を備える。
【0028】
アンテナホルダ20は、アンテナ13の上流および下流の長手方向Lに配置され、かつ導体線2から離れた面にそれぞれくぼみの形のバネ座21、21´を有する2つのバネブロック20、20´を備える。ここではらせんバネの形で構成された補償バネ22、22´の一端がバネ座21、21´のそれぞれに挿入され、補償バネ22、22´のそれぞれの他端は、滑り接点キャリア11上の各スリーブ形状のバネ座23、23´に挿入される。しかしながら、バネ座21、21´および23、23´はまた、異なるように、たとえば、補償バネ22、22´の端部が配置されるマンドレルの形態で構成され得る。ただし、他のタイプの補償バネ22、22´も使用できる。必要に応じて、補償バネを1つだけ提供することもできる。
【0029】
アンテナホルダ19は2つのスペーサ要素をさらに備え、これは長手方向Lおよび給電方向Zに対して横方向に、すなわち横方向Qに配置され、スペーサスライド24、24´の形態で構成され、スペーサスライド面9、9´に沿ってスライドする。スペーサスライド24、24´は、好ましくは、スペーサスライド面9、9´に当接する可能な限り滑らかな滑り面を有し、たとえば、PTFE、セラミック材料、当技術分野で既知の金属合金などの低摩擦材料でコーティングするか、またはそれで完全に作製することができる。スペーサスライド24、24´は、スペーサスライド24、24´の摩耗によるアンテナ13の空洞5へのさらなる侵入を可能な限り遅らせるように、好ましくは、耐摩耗性材料で作製することもできる。同様に、スペーサスライド面9、9´は、滑らかにスライドする、低摩擦および/または耐摩耗性の材料でコーティングされるか、またはそれで作製することができる。
【0030】
スペーサスライド24、24´は、長手方向Lおよび給電方向Zに沿って、ならびに長手方向スロット6またはアンテナ13を通って延びるスロット平面またはアンテナ平面の両側に、好ましくは対称的に配置される。スペーサスライド24、24´の前面は、一方では、相補的に傾斜したスペーサスライド面9、9´と相互作用して、長手方向スロット6におけるアンテナ13の心出しを改善するために、他方では、スペーサスライド面9、9´に加えられるスペーサスライド24、24´の圧力によって生成される摩擦を補償バネ22、22´によって低減するために、内面から外面に向かって傾斜している。
【0031】
本発明の代替の実施形態(図面には示さず)では、2つの対称的に構成されたスペーサスライド24、24´の代わりに、この場合、好ましくは相補的に構成された単一のスペーサスライド溝と係合するスペーサスライドのみを使用することが可能である。このスペーサスライド溝は、該当する場合、単一のスペーサスライドがスペーサスライド溝から飛び出すのを防ぐために、滑り接点溝と同様に構成することができる。ただし、図2および図4に示す2つのスペーサスライド24、24´には、アンテナの自己心出しを保証し、前述の飛び出しのリスクを回避するという利点がある。
【0032】
代替としてまたは追加として、スペーサ要素はまた、スペーサローラ(複数可)の形態で構成することができる。次に、スペーサローラは傾斜したスペーサスライド面9、9´に沿って転がることができ、またはスペーサスライド面9、9´は完全に省略できる。したがって、クロスピース7、7´は、給電方向に対して直角に構成された転回面を形成することができ、それに沿って、スペーサローラは転回することができる。スペーサローラには、スペーサスライド24、24´とは対照的に、スライド運動によって引き起こされる摩耗が発生しないという利点がある。
【0033】
手元の実施形態の例では、アンテナホルダ19は、スナップアクション接続によって、給電方向Zで滑り接点キャリア11に移動可能に接続されており、手元のこのケースでは、アンテナホルダ19の戻り止めラグ25、25´は、Z方向に向けられた相補的な戻り止め開口部26、26´と係合する。給電方向において、戻り止め開口部26、26´は十分に長いので、滑り接点キャリア11が給電方向Zで導体線2に向かって移動すると、戻り止めラグ25、25´は反対方向に回避的に移動することができ、戻り止めラグ25、25´は、戻り止め開口部26、26´に向かって外向きに跳ね返り、アンテナホルダ19が滑り接点キャリア11から外れるリスクがないことを保証する。
【0034】
滑り接点12、12´の高さが摩耗により給電方向Zで減少すると、給電装置は、滑り接点溝8、8´と滑り接点12、12´との間の連続的な電気的接触を確実にするために、集電体10全体、特に滑り接点キャリア23、23´を、接地導体プロファイル3に対して導体線2に向かって押す。しかしながら、従来の集電体とは対照的に、アンテナ13は、滑り接点12、12´と共に導体線2に向かって移動せず、空洞5に深さを増しながら貫通していかずに、スペーサスライド24、24´によって空洞5から同じ距離におよびそれに対して同じ位置で維持され、アンテナ13は、滑り接点12、12´および滑り接点キャリア11に対して給電方向Zに移動できるように取り付けられている。
【0035】
このようにして、スロット付き導波管4のデータ伝送特性は、長期間にわたって本質的に一定に保つことができ、劣化は、スペーサスライド面9、9´および/またはスペーサスライド24、24´が摩耗した後にのみ発生する。
【符号の説明】
【0036】
参照符号のリスト
1 導体線システム
2 導体線
3 接地導体プロファイル
4 スロット付き導波管
5 空洞
6 長手方向スロット
7,7´ 長手方向のクロスピース
8,8´ 滑り接点溝
9,9´ スペーサスライド面
10 集電体
11 滑り接点キャリア
12,12´ 滑り接点
13 アンテナ
14 アンテナ用保護スリーブ
15 アンテナソケット
16 アンテナプラグ
17 アンテナ線
18 アンテナ線貫通開口部
19 アンテナホルダ
20,20´ バネブロック
21,21´ アンテナホルダ用のバネ座
22,22´ アンテナホルダ用の補償バネ
23,23´ 滑り接点キャリア用のバネ座
24,24´ スペーサスライド
25,25´ 戻り止めラグ
26,26´ 戻り止め開口部
L 導体線の長手方向
Q 横断面の長手方向に対する横方向
Z 横断面に対して直角の滑り接点の給電方向
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】