(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】チェーンベースネットワークを監視するための通信ネットワーク
(51)【国際特許分類】
H04B 3/46 20150101AFI20220105BHJP
【FI】
H04B3/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519128
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 IB2019001128
(87)【国際公開番号】W WO2020074963
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501106735
【氏名又は名称】タイコ・エレクトロニクス・ユーケイ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TYCO ELECTRONICS UK LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・チャールズ・ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ディ・ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】タウトビダス・ミクス
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ディ・ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・グレイス
(72)【発明者】
【氏名】イー・チュウ
(57)【要約】
チェーンベースネットワーク(102)内のノード状態を監視するための通信ネットワーク(100)は、ピン信号(112)を送信するように構成された第1の基地局(104)と、それぞれがピン信号を受信し、ピン信号の受信時に確認応答信号(304)を送信し、ピン信号を送信するように構成された複数のノード(108A~108J)とを含む。また、通信ネットワークは、ピン信号を受信し、ピン信号に基づいて、複数のノードに関連するデータを送信するように構成された第2の基地局(106)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンベースネットワーク(102)内のノード状態を監視するための通信ネットワーク(100)であって、
ピン信号(112)を送信するように構成された第1の基地局(104)と、
それぞれが、前記ピン信号を受信し、前記ピン信号の受信時に確認応答信号(304)を送信し、前記ピン信号を送信するように構成された複数のノード(108A~108J)と、
前記ピン信号を受信し、前記ピン信号に基づいて前記複数のノードに関連するデータを送信するように構成された第2の基地局(106)と、
を備える、通信ネットワーク(100)。
【請求項2】
前記複数のノード(108A~108J)のそれぞれは、チェーンベースネットワーク(102)の作動デバイス(110A~110J)に結合されるようにさらに構成されている、請求項1に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項3】
前記複数のノード(108A~108J)のそれぞれは、前記作動デバイス(110A~110J)が動作を停止すると、動作を停止するようにさらに構成されている、請求項2に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項4】
前記複数のノードは、第1ノード(108A)、第2ノード(108B)および第3ノード(108C)を含み、前記第1の基地局(104)から前記第2の基地局(106)への第1の通信ルートは、前記第1ノードおよび前記第2ノードを含み、前記第3ノードを含まない、請求項1に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項5】
少なくとも1つのノードは、前記少なくとも1つのノードが前記ピン信号を送信する前に、前記ピン信号(112)にデータを追加するように構成されたデータコレクタモジュール(206)を含む、請求項1に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項6】
少なくとも1つのノードは、前記少なくとも1つのノードに電力を供給する電力蓄積モジュール(208)を含む、請求項1に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項7】
前記電力蓄積モジュール(208)は、前記少なくとも1つのノードに結合された作動デバイス(110A~110J)から漏れ電力を受け取るように構成されている、請求項6に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項8】
前記第1の基地局(104)は、フレーム(300)の期間にわたって定期的に前記ピン信号(112)を送信するように構成されている、請求項1に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項9】
前記フレーム(300)は、複数のタイムスロット(302)を含む、請求項8に記載の通信ネットワーク(100)。
【請求項10】
少なくとも1つのノードは、前記フレーム(300)の様々なタイムスロット(302)で前記ピン信号(112)を受信するように構成されている、請求項9に記載の通信ネットワーク(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、チェーンベースネットワーク内のノードの状態を監視するための通信ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークを利用して、チェーンベースネットワーク内の故障や障害を監視する用途は数多くある。チェーンベースネットワークには、電力または伝送線、陸上および水中を含む河川/運河ネットワーク、陸上および水中ネットワークを含む海岸線ネットワーク、水中ケーブルネットワーク、道路/自動車道/高速道路ネットワーク、鉄道、丘/崖のそばのネットワーク、街灯ネットワーク、最小の偏差で類似の軌道にある連鎖した低電力衛星ネットワークを介して情報を渡すことなどが含まれ得る。
【0003】
用途の一例として、伝送線(電力線としても知られている)内での使用が挙げられる。伝送線は電力網の中にあり、送電塔から送電塔へと伸び、広い範囲に交流を伝導する。これらの電線のメンテナンスや使用には細心の注意を払う必要がある。落雷やサージ、伝送線の断線などで過電流状態が生じると、大きな影響が出る。
【0004】
避雷器(サージアレスタ)は、過電流状態による停電を防ぐために伝送線で使用され、電流を安全にアースに流すことで、電力網への影響を最小限に抑える。サージアレスタの寿命が尽きたり、サージアレスタが故障したりすると、多くの場合、離れた場所で発生し、何ヶ月も経たないと故障したアレスタに気づかなかったり、発見できなかったりする。そのため、故障したユニットが交換されるまで、ラインの一部が長期間保護されない状態になる。
【0005】
具体的には、サージアレスタが故障すると、電力網と地面とがショートして停電が発生し、少なくともシステム内のサーキットブレーカをリセットする必要がある。これが生じるのを防ぐために、サージアレスタと直列にディスコネクトが使用される。通常の動作ではディスコネクトは受動的であるが、サージアレスタが故障すると、サージアレスタを介して大電流がアースに流れる。この時点でディスコネクトは分裂し、伝送線をサージから保護すると同時に、サージアレスタや鉄塔からぶら下がっているアースストラップによってサージアレスタが故障したことを視覚的に示す。この最初のサージ状態ではサージアレスタの故障による損害や停電は防げるが、伝送線の一部ではサージアレスタが故障したままであり、伝送線はもはや雷現象やその他の過電流状態から保護されていない。
【0006】
そこで、サージアレスタを使用する必要性が生じる前にサージアレスタが交換され得るように故障したサージアレスタを検出するために、ヘリコプターなどの車両を使って目視検査を行い、バラバラになったディスコネクトを見つけてサージアレスタの故障を検出することが行われている。代替的に、電力会社は、故障したサージアレスタの報告を従業員以外に頼らなければならない。具体的には、吹き飛ばされたディスコネクトの破片が、このような目視検査で見つけられなければならない。これは結局、アレスタの修理や交換のタイミングを逸し、電線の故障や停止の原因となる。そのため、故障の迅速かつ自動的な通知を提供する、改良された電力線監視またはサージアレスタの故障の検出方法が必要とされている。このような改善された電力線監視検出は、大きなコストや電力消費を伴わないように求められている。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、チェーンベースネットワーク内のノードの状態を監視するための通信ネットワークが提供される。通信ネットワークは、ピン(ping)信号を送信するように構成された第1の基地局を含む。また、通信ネットワークは、複数のノードであって、複数のノードのそれぞれがピン信号を受信し、ピン信号の受信時に確認応答信号を送信し、ピン信号を送信するように構成された複数のノードと、ピン信号を受信し、ピン信号に基づいて複数のノードに関連するデータを送信するように構成された第2の基地局とを含む。
【0008】
別の実施形態では、チェーンベースネットワーク内のノードの状態を監視するための方法が提供される。方法は、第1の基地局からピン信号を定期的に送信することと、フレームの間、第1ノードに定期的に電力を供給することとを含み、電力が供給されているとき第1ノードはピン信号を受信する。フレーム中の第1ノードの電力供給は、第1ノードでのピン信号の受信時の、第1の基地局からのピン信号の定期的な送信と同期される。また、方法は、第1ノードでピン信号を受信したときに、第1ノードから第1の基地局に確認応答信号を送信することと、第1ノードでピン信号を受信したときに、第1ノードから第2ノードにピン信号を送信することとを含む。第2ノードの故障後に第1ノードでピン信号を受信すると、第1ノードから第3ノードへピン信号を送信し、ピン信号は第2の基地局で受信される。ピン信号が第2の基地局で受信されるとき、ピン信号は故障した第2ノードに関連するデータを含む。
【0009】
さらに別の実施形態では、サージアレスタのネットワークにおけるサージアレスタ内のノード状態を監視する方法が提供される。方法は、第1の基地局からピン信号を定期的に送信することと、第1サージアレスタを用いてフレーム中に第1ノードに定期的に電力を供給することとを含み、電力を供給されていると第1ノードはピン信号を受信する。また、本方法は、第1のノードでピン信号を受信するとフレーム中の第1ノードの電力を第1の基地局からのピン信号の定期的な送信に同期することと、第1ノードでピン信号を受信すると第1のノードから第2のサージアレスタによって電力を供給されている第2のノードにピン信号を送信することとを含む。また、本方法は、第2のサージアレスタの故障後に第1ノードでピン信号を受信すると第1ノードから第3のサージアレスタによって電力を供給されている第3ノードにピン信号を送信することと、第2の基地局でピン信号を受信することとを含む。ピン信号が第2の基地局で受信されると、ピン信号は故障した第2のサージアレスタに関連するデータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるチェーンベースネットワークに関連して利用される通信ネットワークの概略図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態によるノードの概略図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態によるフレームの概略図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態によるタイムスロットスキームの概略図である。
【
図5A】
図5Aは、例示的な実施形態による通信ネットワークの概略図である。
【
図5B】
図5Bは、例示的な実施形態による通信ネットワークの概略図である。
【
図5C】
図5Cは、例示的な実施形態による通信ネットワークの概略図である。
【
図5D】
図5Dは、例示的な実施形態による通信ネットワークの概略図である。
【
図5E】
図5Eは、例示的な実施形態による通信ネットワークの概略図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態によるコンテンションウィンドウの概略図である。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態によるチェーンベースネットワークに関連して利用される通信ネットワークの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
チェーンベースネットワーク内のノードを監視するための通信ネットワークが提供される。電力能力を低下させた無線センサノードがチェーンベースネットワークに沿って配置され、チェーンベースネットワークの機器から電力を受け取る。そして、第1の基地局がピン信号を送信し、システム内のノードによって受信され、第1の基地局から第2の基地局への通信経路を形成するようにルートノードのグループに沿って渡される。具体的には、ノードは非常に低いデューティサイクルのみで動作する。ノードは、低消費電力とシンプルなハードウェアによる、制限された通信範囲を有し、そのため、複数のホップ、またはシステム内のノード間の通信ポイントを介して、第2の基地局に情報、または信号を渡さなければならない。ノードは、ピン信号を受信するために動作する時間を変える。具体的には、各ノードは、ピン信号が受信されるまで、ピン信号が受信されるフレーム内の異なるタイムスロットに漸進的に進む。ノードがピン信号を受信すると、そのノードは第1の基地局に確認信号を送り返し、通信経路に参加するためにさらなる将来のピン信号を受信するためにタイミングを同期させ、第2の基地局または通信経路の一部となる別のノードが受信するようにピン信号を送信、または転送する。特に、あるタイムスロットでピン信号を受信するまで、フレーム内でピン信号を受信できる時間を連続的に進め、フレーム内のそのタイムスロットで常にピン信号を受信するように同期させた結果、通信経路が形成される。通信ルート上のノードに障害が発生した場合、ピン信号は未使用のノードにリルートし、通信経路を再形成する。このような場合、故障したノードが検出され、ノードの故障の原因となったデバイスの故障の可能性が示される。
【0012】
図1は、チェーンベースネットワーク102内のノードを監視するために使用される通信ネットワーク100の概略図である。チェーンベースネットワークには、電力線や伝送線、陸地と水域を含む河川/運河のネットワーク、陸地と水域のネットワークを含む海岸線のネットワーク、海底ケーブルのネットワーク、道路/自動車道/高速道路のネットワーク、鉄道、丘/崖のそばのネットワーク、街灯のネットワーク、最小の偏差で類似の軌道にある連鎖した低電力衛星ネットワークを介して情報を通過させることなどが含まれる。
【0013】
各通信ネットワーク102は、第1の基地局104、第2の基地局106、それぞれが対応するチェーンデバイス110A~110Jに結合されている複数のノード108A~108Jを含む。第1の基地局104と第2の基地局106のそれぞれは、決定を行い、信号を送信し、受信するためのプロセッサと無線モジュールを含む。同様に、複数のノード108A~108Jのそれぞれは、プロセッサと無線モジュールを含む。また、例示的な実施形態では、各ノード108A~108Jは、対応するチェーンデバイス110A~110Jからの低リーク電力によって電力供給される。別の実施形態では、エネルギハーベスティング、またはロングタームバッテリが各ノードの電源として使用される。第1の基地局からピン信号112が送信され、ピン信号112を第2の基地局104に中継する通信ルート114が形成される。特定のノード108A、108D、108G、および108Jは通信ルート114内にある、すなわちオンルートノードであるが、他のノード108B、108C、108E、108F、108H、および108Iは通信ルート114内になく、したがって非ルートノードとみなされる。これらの非ルートノード108B、108C、108E、108F、108H、および108Iは、ピン信号112を監視し続けるか、または受信しようとし、したがって、本明細書でさらに詳細に説明されるように、オンルートノード108A、108D、108G、または108Jが故障したときのためのバックアップノードである。その時点で、非ルートノード108B、108C、108E、108F、108Hおよび/または108Iは、本明細書でさらに詳細に説明されるように、オンルートノードになってもよい。
【0014】
図2は、第1の基地局と第2の基地局との間で情報を通信するために使用される例示的なノード200を示す。一例の実施形態では、ノード200は、
図1のノード108A~108Jのうちの少なくとも1つであり、第1の基地局および第2の基地局は、
図1の第1の基地局104および第2の基地局106である。ノード200は、プロセッサ202、送受信用の無線モジュール204、データを集約するデータコレクタモジュール206、および電力蓄積モジュール208を含む。例示的な実施形態では、プロセッサは低電力マイクロプロセッサであり、ノード200が最小限の電荷を蓄えるようになっている。別の例示的な実施形態では、電力蓄積モジュール208は、バッテリ、スーパーキャパシタなどである。ノード200を動作させるために必要な電力は、
図1の例示的な実施形態のように、いくつかの非常に低い電力掃引によって、また、バッテリが消耗するまでバッテリを使用することによって、蓄積され得る。具体的には、システム内の各ノード200は、システム内の基地局が個人によって使用されるデータを送信、または転送できる唯一のデバイスとなるように、最小の電力に保たれる。
【0015】
一例の実施形態では、データコレクタモジュール206は、基地局によって送信されるピン信号を検出するセンサである。ピンは、第1の基地局などの第1の通信デバイスから第2の基地局などの第2の通信デバイスに送信される信号であり、送信側の通信デバイスで返ってきて受信された信号からのエコーのトリップタイムを求めるものである。このようにして、回線の通信エラーを検出できる。
【0016】
各プロセッサ202は、ピンが受信されたときに、ピンの受信を応答するか、あるいは逆伝播の可能性があるとしてピンの受信を応答しないかを決定するアルゴリズムを利用する。このようにして、通信ルートが形成される。すべてのノードは最小限の電力とデューティサイクルを持っているため、ノードはほんのわずかな時間しかピンをリッスンする(待ち受ける)または検出する能力を持たない。製造時や配備時の各ノードには、あらかじめ期間が設定されている。同一ネットワーク上の各デバイスは、同じ期間またはフレームを採用する必要がある。各フレームはいくつかのスロットに分割されている。電源の空き状況や所望のデューティサイクルのフレームに応じて、期間やスロットサイズが調整され得る。具体的には、電力制限とデューティサイクルにより、各ノード200は、繰り返しフレームの一部しか受け取ることができない。
【0017】
図3は、第1の基地局と第2の基地局との間でノードを介して送信されたピンによるフレーム300を示す模式図である。ある例示的な実施形態では、第1の基地局は
図1の第1の基地局102であり、一方、第2の基地局は
図1の第2の基地局104である。フレーム300は、第1の基地局と第2の基地局との間に配置された複数のタイムスロット302を含み、タイムスロット302は、第1の基地局と第2の基地局との間に通信経路が形成される信号をノードが受信できる、フレーム300内で受信できる時間の期間を表す。例示的な実施形態では、各タイムスロット302は、等しい時間であり、ピン信号を受信して確認信号304を送信するのに十分な長さの持続時間である。
【0018】
このトポロジーを使用すると、ピン信号は第1の基地局から送信され得、ノードを介して伝搬してルートを形成し、第2の基地局で受信され得る。本実施形態では、特定のノードにピンを送信してもエコーが発生しない場合、ノード「ホップ無し(no hop)」、または応答のないノードであることの表示が示される。
【0019】
図4に示すように、繰り返しフレーム402で構成されるタイムスロットスキーム400が提供される。このようなスキームを持つことで、ネットワークを調整し、クロックドリフトを最小限に抑えることができる。また、このスキームは、タイムスロット406を利用し、衝突や干渉の可能性を減らすことで、ルートの編成を強化する。ある例示的な実施形態では、各タイムスロット406は、ピン信号が2つのノード間を移動している時間を表している。各区間またはタイムスロット406は、ピン送信とノードからの確認応答信号の返答との両方に十分な期間または時間を有する。そのため、ルートが形成されている場合、特定の宛先にピンが提供されるが、ルートがまだ形成中である場合、ピンは、ノードが応答しない「次のホップ無し(no next hop)」が存在することを意味する-1に設定される(
図3)。一例として、電力とノード数の要件に基づくある構成では、タイムスロット長が500ミリ秒の場合、フレーム402に400個のタイムスロット406が存在する。その結果、各フレームは200秒の長さになる。
【0020】
提供されるタイムスロットスキーム400では、多数の横並びのタイムスロット406が、フレーム402の間にピン信号をリッスンする、または受信できる。そして、異なるフレームでは、リスティングのタイムスロット406は、前のフレームのタイムスロット406と重なっているものの、シフトする。具体的には、フレーム402の間にリッスンするタイムスロット406の数(この例示的な実施形態では4つ(4))は、個々のノードに提供される電力に依存する。より多くのタイムスロット406が利用されるほど、より速く信号が受信され、ルートが形成される。図示されたフレームにおけるタイムスロット406のオーバラップが必要なのは、ノードが近隣のノードにロックオンするまで、ノードは特定のタイムスロットが時間的にどこで始まり、どこで終わるかを知らないからである。したがって、オーバラップがないと、前のノードからのピン信号が境界近くに送られてきた場合に見逃してしまう可能性がある。
【0021】
さらに、「形成」ルートへの参加を待っているノードは、電力の制約のため、ブロードキャストピンに常に利用できるわけではない。したがって、ノードは、少数のタイムスロット406についてピン信号を検出し、受信できる。具体的には、ノードはフレーム402ごとにこのタイムスロットウィンドウ408をシフトさせ、最終的にはそのウィンドウの間に範囲内で送信しているノードがピン信号を受信する。簡単に言えば、第1のノードが各繰返しフレーム402内の設定されたタイムスロット406でピンメッセージを送信すると、第2のノードがリッスンしており、各フレーム402内のその時間にピン信号を受信できるようにタイムスロット406を調整する。
【0022】
(動作とロジック)
ノードは、複数の論理状態またはプロセスを持ち、それらに従って動作し、それらの間で切り替わると考えられる。ノードのスイッチが入ると、検索プロセスを開始したり、ピン信号を受信する機能を持ったりする。その後、ノードは所定の時間、検索を行い、所定の時間が経過すると低電力、またはスリープ状態に切り替わる。このようにして、最小限の電力しか消費しない。次にノードのスイッチが入れ直されると、ノードは再び同じ所定の時間を検索するが、フレーム内の期間だけが前にシフトする。この作業を何度か繰り返すと、複数回の検索でフレーム全体がカバーされる。
【0023】
検索中に、ノードが宛先を指定しないピン信号を検出した場合、ノードはピン信号の確認応答を検討する。ピン信号は、ノードの検出アクティビティが、最近の検索でそのエリアの閾値アクティビティ量を下回った場合にのみ確認応答される。具体的には、所定の期間内に確認応答できる送り先とのピン信号の最大量または閾値量を決定するために、カウントリミット(ConLimit)がノードによって提供される。これにより、ノードに沿って逆伝播するルートが形成される可能性が最小限になる。このように、ノードが検索スケジュールをフレーム内で前方に移動させると、ピン信号が検出される。検出されると、ノードは、カウントリミットに基づいて、ピン信号を確認応答するかどうかを決定する。
【0024】
次のノードのためにピン信号が確認されて送信される、または転送されると、次のノードは今度はピン信号が予想されるタイムスロットで探索を開始する。次のノードがピン信号を受信した後、再び、確認応答プロセスが発生する。次のノードは、グローバルに決定された数のタイムスロットを待ち、ピン信号を渡す。このように、誤動作や干渉などによって、ピン信号が確認応答されなかったり、ノードが見つからなかったりしても、ある時点でノードは、宛先なしで送信されたピン信号を受信する。その結果、ネクストホップが得られ、次のフレームでは、ピン信号を確認応答するノードによってピン信号が受信される。
【0025】
ノードがオンルートの場合、周期的なピン信号の受信を予想しているフレーム内のタイムスロットでのみピン信号を検索する。ピン信号が受信されると、ピン信号は、そのノードによって確認され、次のノードに渡される。ピン信号を受信して渡すまでの間、各オンルートノードは、任意のタイムスロットにおいて、ペイロードを渡したい他の非ルートノードからのレポート信号を検索する。ピン信号が送信されると、ノードは宛先ノードからの確認応答の受信を予期するように構成される。そのため、信号はノードを介して流れる。さらに、各ピン信号には、割り当てられたバイト数がある。バイトが空いていれば、ノードは、バイトまたは他の受信した累積ペイロードをピン信号に追加し、ピン信号を転送する。
【0026】
失敗の場合、一例の実施形態では、ノードが予期されるピン信号を受信しない場合、ノードは、ノードがピン信号を送信したであろう通常の時間に新しいピン信号を作成する。これにより、残りのルートが維持され、システムを可能な限り同期させることができる。具体的には、ノードが所定の閾値数連続してピン信号を受信しないまで、ノードは自動ピンを継続する。所定の閾値に達した後、ノードは再び検索を開始する。
【0027】
代替的に、ノードが予想される時間に別のノードからピン信号を受信すると、その前のホップ情報を更新し、有効なメッセージとして受け入れる。これは、故障したり失われたりした前のホップが、バックアップまたは新しいノードで置き換えられた場合と考えられる。
【0028】
障害が発生すると、ノードは、ネクストホップの宛先から期待される確認応答を連続して聞かないので、宛先を持たないフォワードピン信号を提示するプロセスに戻ることになる。このようなノードが安定したバックアップノードを持っている場合、宛先のないフォワードピンを持っているノードは、そのノードのネクストホップを次のノードに更新し、このノードにピン信号を送信することで、通信経路の障害ノードとなることを回避する。
【0029】
別の例のノード障害では、ノードは検索プロセスに戻る。指定された、または閾値の、フレーム数以内にネクストホップが得られない場合、ノードは前のホップにドロップメッセージを送信する。その後、ノードは検索のプロセスに切り替わる。
【0030】
ノードがドロップメッセージを受信すると、そのノードは、宛先のないピン信号を送信する処理に切り替わる。同期の問題を解決するために、ノードはピン信号が予想される所定の時間前に信号の受信を開始し、クロックドリフトを考慮し、通信経路を改善できる。
【0031】
オンルートではないノードは、ピン信号の間にペイロードを送信できる。これらのノードは、ピン信号を継続的に探索し、ピン信号を受信するまで、フレーム内の期間、またはノードでピン信号を受信できる時間の区間、をシフトする。ピン信号を受信すると、ノードはルートノードに参加する。そのため、これらのスロットは、他のノードがペイロードを通過してルートノードになる可能性があるためのコンテンションスロットとして使用される。具体的には、ルートノードはキューを持ち、空きスペースがあればペイロードメッセージを伝達中のピン信号に載せる。
【0032】
ルート上にないノードも、ある条件を満たすとバックアップノードになることができる。通常の状態では、ノードは受信期間を前方に移動させ、近くの空間を探索する。ノードが3つ(3)の連続したルートノードからピン信号を受信すると、そのノードはバックアップノードとなる。そして、このノードは、これらの連続する3つのノードのうち、第1のノードに信号を送信し、第1のノードが次のホップのためにバックアップを持つ必要があるかどうかを判断する。そして、ルートの第1のノードは、このバックアップノードをルートノードとして追加するために信号をバックアップノードに送信する。第1のノードのバックアップである非ルートノードは、シフトを止め、代わりに第1のノードに向けられたピン信号の受信のみを試み、ピン信号がルートに沿って確実に受信および送信されるようにする。基本的にこれにより、非ルートノードまたはバックアップノードは、通信経路に支障をきたすことなく、ルート上の障害ノードを置き換えることができる。
【0033】
このようにして、第1の基地局は、すべてのフレームでピン信号を形成し、そのフレームの第1のスロットでピン信号を送信する。最初、第1の基地局は、特定の宛先なしに、あるいは特定のノードに向けてピン信号を送信する。確認応答が第1の基地局によってノードから受信された場合、ピン信号の宛先が確認応答をしたノードに送信される。そして、上述のようにピン信号が適宜送信される。最初のピン信号の送信中に、第1基地局がドロップメッセージを受信した場合、またはピン信号を送信したときから連続した数のタイムスロットで確認応答が第1の基地局によって受信されなかった場合、第1の基地局は宛先を持たないピン信号の送信に切り替える。
【0034】
一方、第2の基地局、または受信基地局は、ノードを介してルーティングされている送信されたピン信号の受信を継続的に試みる。第2の基地局が最初のピン信号を受信すると、ノードと同様に、第2の基地局は、確認応答信号を第1の基地局に返送し、ピン信号を次のノードに送信する。このようにして、第2の基地局がネクストホップになる。ノードとは異なり、第2の基地局は、最初のピン信号のデータを分離された通信ネットワークで関係者に送信することもある。同様に、第1の基地局は、第2の基地局が最初のピン信号を受信したという信号またはデータを受信する。
【0035】
例示的な実施形態では、第1の基地局と第2の基地局との間の送受信プロセスの間に、プロセスを高速化または改善するためにさらなるロジックが使用され得る。具体的には、第1の基地局は、第2の基地局の確認応答を受信するまで、ピン信号を継続して送信できる。そして、第1の基地局は、送信されたピン信号のタイミングを調整して、第2の基地局によるピン信号の受信確率を高めるために、すべてのフレームの確認済みのタイムスロットにさらなるピン信号を生成できる。このようにして、経路候補のノードに送信を受けるためのスケジュールを変更させるのではなく、第1の基地局自体がピン信号のタイミングを調整する。
【0036】
さらに、第1の基地局は、他の非ルートノードがネットワークを介してパラレルルートを形成できるように、フレーム内で間隔をあけて複数のピン信号を開始できる。これは、ノードが受信したピン信号に応答して信号の受信を開始するだけなので、ノードに何の調整も必要ない。このように、第1の基地局と第2の基地局との間の伝送時間を長くするために、非ルートノードが代用されてもよい。
【0037】
各ノードは、ピン信号が送信されている総時間のうちのほんの一部でピン信号を定期的に受信しようとするので、すべてのノードは期間内に予め決められている。さらに、個々のノードは、ノードがピン信号を受信しようとするフレーム内で、位相をずらすことができる。その結果、ノードは送信を開始する必要がなく、各ノードが消費する電力量を節約できる。その代わり、ノードは受信したピン信号にのみ反応し、それに対応する。ある例では、ノードが宛先のないピン信号またはデータのパケットを受信すると、ノードはピン信号を確認し、確認応答信号を送信元の基地局またはノードに返送する。あるノードが、そのノードに向けられたピン信号を受信すると、そのノードはルートの一部となる。そのため、ノードはピン信号を確認した後、さらに所定のタイムスロットにこのピン信号を送信する。ノードがピン信号を送信し、確認応答信号を受信すると、そのノードは前のホップとネクストホップの両方の情報を持つルートに完全に統合される。このロジックを使うと、いくつかのノードが配置され、第1の基地局が開始のピン信号を開始し、第2の基地局が終了のピン信号を受信するとルートが形成される。
【0038】
具体的には、システムは、通信経路の各端に少なくとも2つ(2)の基地局を含む。第1の基地局、または送信基地局は、毎フレーム内に定期的にピン信号を開始する。そのため、ノードがピン信号を受信できる期間をずらすと、ノードは、ルート上のノードが確実にピン信号を受信できるようにシフトする。ピン信号を受信した各ノードは、ルートに参加し、ピン信号が第2の基地局、または受信基地局に到達するまで、ピン信号を送信してネクストホップ、または次のノードを見つけようと試みる。
【0039】
このプロセスでは、ノードが迅速かつ効率的にルートを形成できるように、ピン信号を確認するための制約が設けられている。ノードがピン信号を受信する周期をずらすと、そのノードはピン信号に加えて、通信チェーン内を通過するすべてのメッセージを受信できる。これには、通信チェーンを介して逆伝播する確認応答信号やピン信号が含まれる。したがって、信号数を制限する為に利用されるカウントリミットまたはConLimitの例示的な実施形態において、ノードは、所定の期間または時間の区間の間に応答する。このように、区間中にピン信号が受信されると、さらなる信号が受信されても、ノードはさらなる信号、またはカウントリミットの閾値を超える信号には応答せず、ピン信号の逆伝播を最小限に抑える。また、これにより、フレームアウトと呼ばれる、いくつもの期間でノードがネクストホップを見つけられなかった場合、確認応答信号の代わりにドロップ信号を送信することで、ノードがルートから脱落するというロックアップを最小限に抑え、回避できる。
【0040】
ルートが形成されると、データ転送を最大化するために、各ピン信号またはパケット内の所定の位置にあるペイロード信号が解析される。ルート上にいないノードは、ピン信号の直後のタイムスロットを使用する。このピン信号は、コンテンション専用のこのスロットの宛先とともに受信される。ノードがペイロード信号を受信し、かつルート上にある場合、ノードはペイロードをキューに入れ、いくつかの例では、ピン信号のペイロード信号を増強する。
【0041】
ルート形成の効率を高めるために、システムにさらなるノードやバックアップノードが追加されてもよい。特に、チェーンベースネットワークの稼働デバイスが不足していて、エリア内のチェーンベースネットワークがわずかなエリアでは、効率を高め、常に通信ルートが形成されることを確実にするために、さらなるノードがこのようなエリアの通信ネットワークに追加され得る。このように、さらなる効率化が図られる。
【0042】
全体的に、ルートは、一例がピン信号である伝達通信信号を使用して作成される。ペイロード信号は、伝達ピン信号の空き領域に追加することで解析される。一度整理されると、動作が非常に予測しやすくなる。第1の基地局がピンを開始し、オンルートにあるノードは当該ピンを次に渡す。また、これらのノードは、予想されるピンで同期する。したがって、ピン信号はネットワークを伝わり、第2の基地局または受信基地局に到達し、そこでデータを収集し、関係者にデータを送信する。
【0043】
ルート上にないノードは、ピン信号に指定されたフレームのタイムスロットの間に、フレームのコンテンションスロットで情報または信号を渡す。これらの非ルートノードもピン信号で同期する。そのため、すべてのノードは、近接するノードの位置や識別情報に関係なく、近接する別のノードを追いかけるだけで同期できる。故障したノードへの対応や、故障したノードが取る作用により、バックアップノードの有無にかかわらず、故障からの自動回復が行われる。しかし、バックアップノードを使用することで、故障したノードからシステムを回復する速度が向上する。
【0044】
図5A~5Cは、第1の基地局502と第2の基地局504との間に配置された複数のノード506B~506Gを介して、第1の基地局502と第2の基地局504との間に通信経路500(
図5C)が形成される様子を模式的に示している。各
図5A~5Cは、同時のフレーム開始510A~510Iから期間が経過する一連のフレーム508A~508Iを示している。したがって、各図示ノード506B~506Gの幅512は、ノード506B~506Gがピン信号514を受信するために動作している、各個別フレーム508A~508H間の期間を表している。
【0045】
図5Aを参照すると、第1フレーム508Aにおいて、ピン信号514は、第1の基地局、または送信基地局502から送信されるが、送信されたピン信号514を受信する動作状態にあるノード506B~506Gはない。その結果、確認応答は受信されない。
【0046】
時間の経過とともに、第1の基地局502はピン信号514を提供し続け、ただ時間が経つにつれて、ノード506B~506Gがピン信号を受信できる期間は、第2フレーム508B内で移動している。当該第2フレーム508Bにおいて、第5ノード506Fは、第1の基地局502がピン信号514を送信している間に、ピン信号514を受信できるが、物理的には、第5ノード506Fは、第1の基地局502からの距離が遠すぎて、信号を受信できない。このようにして、再び、確認応答は受信されない。
【0047】
第3フレーム508Cの間、ノードは、それぞれがピン信号514を受信できる期間を再び変更している。このとき、第1ノード506Bは、ピン信号514が送信されるタイミングで、ピン信号514を受信できる。さらに、第1ノード506Bは、第1の基地局502の範囲内にあり、その結果、第1ノード506Bは、ピン信号514を受信し、第1の基地局502に確認応答信号を送り返す。このとき、第1ノード506Bは、ピン信号514の受信を認識し、第1基地局502がピン信号514を送信するタイミングで、ピン信号514を受信するように動作を継続する。このようにして、第1ノード506Bは、第1の基地局502によるピン信号514の送信に同期して、通信ルートに加わる、または通信ルートの一部となる。さらに、第1ノード506Bがピン信号514を受信すると、確認応答信号の送信に加えて、第1ノード506Bがピン信号514を送信しているタイミングに、受信範囲内でピン信号514を受信するように動作している別のノード506C~506Gが受信するように、ピン信号514を送信、または転送する。一方、他のノード506C~506Gは、送信されたピン信号514を受信するように、ピン信号514を受信する期間を変化させ続けている。
【0048】
第4フレーム508Dおよび第5フレーム508Eの間、第1ノード506Bは、ピン信号514が送信されているタイミングでピン信号514を受信できる他のノード506C~506Gがない状態で、ピン信号514を送信し続ける。そして、第6フレーム508Fにおいて、第3ノード506Dは、第1ノード506Bからピン信号514が送信されているタイミングで、そのピン信号514を受信できる。その結果、第3ノード506Dは、ピン信号514を受信し、確認信号を第1ノード506Bに送り返し、第1ノード506Bからのピン信号514を受信するように受信期間を同期させ、別の未知のノード506E~506Gに向けてピン信号514を送信する。このようにして、第2ノード506Cがスキップされ、第3ノード506Dが通信ルートに加わる、または、通信ルートの一部となる。
【0049】
第7フレーム508Gの間、第6ノード506Gは、第3ノード506Dからピン信号514が送信されているタイミングで、ピン信号514を受信できる。その結果、第6ノード506Gは、ピン信号514を受信し、確認応答信号を第3ノード506Dに送り返し、第3ノード506Dからのピン信号514を受信するように受信期間を同期させ、ピン信号を第2基地局504に送信してルートを完了する。このようにして、第4ノード506Eと第5ノード506Fの両方がスキップされ、形成されるルートは、第1の基地局502から、第1ノード506Bに、そして第3ノード506D、そして第6ノード506G、そして最後に第2の基地局504へと至る。そして、第8フレーム508Hおよび第9フレーム508Iで示されるように、これらのスキップされたノードは、新しいルートが形成される場合に備えて、ピン信号514を受信する期間を継続的に変更する。
【0050】
図5Dおよび
図5Eは、ルート内のノードの1つが故障した場合に、
図5A~5Cに示された通信経路500がどのように再構成されるかを模式的に示している。具体的には、フレーム508J~508Oがこのプロセスを示している。
【0051】
第10フレーム508Jでは、通信経路は、第8フレーム508H及び第9フレーム508Iで図示されたものと同様に、スキップされたノードが、ピン信号514を受信するようにフレーム内での期間または受信を継続的に変更することを継続する。第11フレーム508Kにおいて、第3ノード506Dは、第6ノード506Gへのピン信号514の送信に失敗する。第6ノード506Gは、第3ノード506Dからのピン信号514の受信を継続しようとして、所定の期間、同じ受信期間を維持する。この時間が経過した後、第12フレーム508Lにおいて、第1ノード506Bは、第3ノード506Dへのピン信号514の送信を停止し、新たなノードへのピン信号514の送信を試みる。第13フレーム508M(
図5E)において、第2ノード506Cは、ピン信号514を受信し、第5ノード506Fにピン信号を送信しており、第5ノード506Fは、ピン信号514を第2の基地局504に送信する。したがって、新しいルートは、第1の基地局502から、第1ノード506B、第2ノード506C、第5ノード506F、そして第2の基地局504である。したがって、第14フレーム508N、および第15フレーム508Oに示されているように、第4ノード506Eおよび第6ノード506Gは、現在、ピン信号514を受信しようとする期間を連続的に変化させている。このように、ノードが故障すると、通信経路500はリルートし、このリルートが第1の基地局502および第2の基地局504で報告され、例示的な実施形態では、ノードがサージアレスタなどの機器の一部であるとき、アレスタが故障してノードの故障の原因となっているかどうかを物理的に確認できる。これにより、故障した機器を早期に発見できる。
【0052】
図5Eの例の第4ノード506Eおよび第6ノード506Gなどの非ルートノードがさらに機能不全でないように、これらのノードは、ネットワークのスループット能力の限界の下で、可能な限り頻繁に信号を送信する。このように、各非ルートノードは、最後に送信された信号または報告からの経過時間を記録し、その時間が所定の報告期間を超えると、ノードはピン信号514を受信した後、直ちに信号を送信する。この信号/報告メカニズムは、コンテンションレベルが低いため、比較的疎なネットワークでよく機能する。
【0053】
密なネットワークでは、多くの非ルートノードが同じピン信号514を受信し、その後報告できるため、コリジョンの確率が著しく高まる。そのため、コンテンションマネジメントメカニズムがこれらの信号のコリジョンを防ぐために利用され、報告成功率を向上させる。具体的には、強化学習(RL)をコンテンションコントロールに適用し、各ノードが送信成功/衝突の履歴から学習し、報告するのに最適なタイミングを決定する。
【0054】
RLの基本的な概念として、行動(action)、重み(weight)、報酬(reward)の3つがある。このアプリケーションでは、行動は非ルートノードの信号、またはあるタイムスロット内で受信したレポートと定められている。各行動には、その行動を選択することの信頼性を表す関連重みがある。重みは、報酬によって更新され、報酬は、ある行動をとった後の結果であり、当該行動は、一例では成功/失敗の報告である。メモリ容量を節約するために、重みは最大値を与えられ得る。
【0055】
一例の実施形態では、非ルートノードが反復可能な行動を有することを保証するために、非ルートノードは、ピン信号が受信されると、連続するフレームでノードがピン信号を受信しないまで、フレームごとに4つ(4)のタイムスロットを進めるのではなく、同じ4つ(4)のタイムスロットでピン信号を受信できるように継続する。これを「ルートフレームアウト」または「ルートクワイエット」と呼ぶ。この変更により、非ルートノードは他のノードと競合して、同じオンルートノードに繰り返しかつ定期的に報告できるようになる。
【0056】
図6に関連して図示されるような別の例示的な実施形態では、第1コンテンションウィンドウ602および第2のコンテンションウィンドウ604が利用される。具体的には、第1コンテンションウィンドウ602および第2コンテンションウィンドウ604は、コンテンションレベルを制御し、1つの非ルートノードが一定数のフレーム606A~606Fごとに1回報告することを可能にする。
【0057】
図6の例示的な実施形態では、同じオンルートノード(図示せず)に報告しようとする3つの非ルートノード608A~608Cがある。第1コンテンションウィンドウ602は、3つのフレーム606A~606Cに構成されている。行動は、非ルートノードが3つのフレーム606A~606Cのいずれかで報告することと定められている。第1コンテンションウィンドウ602におけるノードの行動は、第1コンテンションウィンドウ602の最初に、3つの行動の重みに応じて決定される。最大の重みを持つ行動が選択され、最大の重みに関連する行動が複数ある場合はランダムな行動が選択される。
【0058】
第1コンテンションウィンドウ602では、3つの非ルートノード608A~608Cすべての3つの行動の重みが0に初期化される。そのため、第1コンテンションウィンドウ602では、ピン信号の送信はランダムアクセスと同等となる。第3非ルートノード608Cは、第1フレーム606Aにおいて正常に報告しているので、第3非ルートノード608Cの関連重みw(1)は、報酬+1 612によって更新される。第1非ルートノード608Aおよび第2非ルートノード608Bは、共に第2フレーム606Bをランダムに選択して報告し又は信号を送信したため、コリジョンが発生し、その結果、第1非ルートノード608Aおよび第2非ルートノード608Bは共に-1報酬614を受け取る。
【0059】
第2コンテンションウィンドウ604では、非ルートノード608A~608Cは、更新された重みに基づいて報告するフレーム606D~606Fを選択する。第1非ルートノード608Aにとって第5フレーム606Eは、w(2)の重みが最も小さいため選択されず、第1非ルートノード608Aは、第6フレーム606Fをランダムに選択して報告し、報告は成功する。第2非ルートノード608Bは、第1非ルートノード608Aと同じ重みを持ち、第2コンテンションウィンドウ604において、第4フレーム606Dをランダムに選択して報告する。第3非ルートノード608Cは、w(1)が最大の重みを持っているため、同じフレームを使用して報告を続けるが、今度は第2非ルートノード608Bと衝突し、両者は-1報酬614を受け取る。RLアルゴリズムは、送信履歴に基づいて報告する又は信号を提供するようにフレーム606A~606Fを更新し続け、時間が経過すると、非ルートノード608A~608Cが報告するためのコリジョンのないフレームを見つける確率が大きく向上する。この例示的な実施形態では、6つのフレームを持つ2つのコンテンションウィンドウを利用することを説明したが、ノードがコンテンションするためにコンテンションウィンドウ内に十分なフレームがあることを保証するために、コンテンションウィンドウのサイズはネットワークの密度に基づいて構成され、サイズを大きくしたり小さくしたりできる。
【0060】
図6の例示的な実施形態では、非ルートノード608A~608Cがコリジョンのない報告を提供するように向かうために時間が必要であり、当該時間はコンテンションウィンドウサイズに応じて変化するからである。そのため、
図6の例示的な実施形態では、ネットワーク全体に1ホップのクラスタを効果的に構築し、各クラスタはオンルートノードを含み、非ルートノードは当該オンルートノードに報告する。そのため、クラスタにより、オンルートノードで集中制御の利用ができ、収束時間を改善できる。
【0061】
具体的には、非ルートノードは、
図6に関して示したのと同じRLアルゴリズムを、わずかに異なる報酬で実行する。非ルートノードが最初の成功報告を得ると、オンルートノードは次のピン信号にそのIDまたはMACアドレスを含めることで、当該非ルートノードのために現在のフレームを予約する。非ルートノードがそのIDを持つピン信号を受信すると、関連重みは+10の報酬を受け取り、現在のフレームが自分のために予約されていることを示す。非ルートノードが他のノードのIDを持つピン信号を受信した場合、-1の報酬を受け取り、このピン信号の後のスロットで争うことはない。現在のフレームがまだどの非ルートノードにも予約されていない場合、オンルートノードは、このフレームが自由に競合できることを示す0をノードIDとして含み、この0のIDを受信した非ルートノードは、非ルートノードがこのフレームで競合する確率を高めるために+1の報酬を受け取る。オンルートノードが一定数の連続したコンテンションウィンドウで報告を受信しなかった場合、オンルートノードは予約したフレームを解放できる。
【0062】
この手法は、ノードID/MACを送信するためのピン信号のペイロードスペースを費やして、各非ルートノードがコリジョンのない報告のフレームを見つけるために必要な時間を大幅に改善する。しかし、当該手法は、ネットワークが定常状態に収束したときの成功率の報告には影響しない。そのため、ピンパケットのスペースを解放するために、収束後に手法は中止され得る。これにより、密なネットワークでの信号ルーティングが改善され、ペイロードスペースの損失を最小限に抑えることができる。
【0063】
このように、極めて低いデューティサイクルのチェーンネットワークを横断するルートを効果的に形成し、自己組織化および自己修復能力を提供する、近隣の、すなわち短距離のノードおよび基地局にピン信号を発見、受信、送信できるノードのためのシステムおよび方法が提示されている。時間が経つにつれ、フレームアウトおよび新しいルート編成の結果、故障したノードは新しいノードに自動的に置き換えられる。提供されるロジックは、単純で、使いやすく、導入しやすいものとなっている。さらに、本システムおよび方法は、ノードの操作を簡素化する。
【0064】
このような方法は、位相シフト、カウントリミット、フレームアウト、単純な逆流、リカバリなどを備えたピン信号を利用して、改善された通信ネットワークを形成する。さらに、何ら調整することなく、さらなるピン信号を導入することで、通信チェーンのいずれかの方向に複数のパラレルルートを形成できる。これにより、ロバスト性、耐障害性、およびスループットのいずれもが向上する。その結果、サージアレスタなどの故障した機器を特定する必要がある例示的な実施形態においてこのようなネットワークが利用されると、ネットワークルートの変更によって故障したアレスタが特定され、故障を特定するための時間とコストが節約され、迅速な修理が可能になる。このように、改良されたネットワークが提供されている。
【0065】
図7は、伝送線システム内の誤動作している作動デバイスを識別するために通信ネットワーク702を利用する伝送線システム700の例示的な実施形態を示している。
【0066】
伝送線システム700は、送電塔706、伝送線708、サージアレスタ710、およびサージアレスタディスコネクト712を含む。通信ネットワークは、第1の基地局714、第2の基地局716、および複数のノード718を含み、各ノードは、各ノードがサージアレスタ710によって電力を供給されるように、サージアレスタ710に結合されている。一例では、対応するサージアレスタ710からの漏れ電力が各ノード718に電力を供給する。このように、サージアレスタ710が故障すると、対応するノードも同様に電源を失い、通信経路から切断される。
【0067】
例示的な実施形態では、伝送線システムが提供されているが、他の実施形態では、陸上および水中を含む河川/運河ネットワーク、陸上および水中を含む海岸線ネットワーク、水中ケーブルネットワーク、道路/自動車道/高速道路ネットワーク、丘/崖側ネットワーク、街灯ネットワーク、最小の偏差で類似の軌道にある連鎖した低電力衛星ネットワークを介して監視情報を渡すことなどが、通信ネットワーク702を利用する。
【0068】
動作時、第1の基地局714および第2の基地局716はそれぞれ、モノのインターネット720、Wi-Fi(登録商標)、セルラネットワーク、マイクロ波、衛星などからの無線送信を含む、電波および送信を検出および受信するためのレシーバおよびトランスポンダを有する。また、イーサネットまたは光ファイバケーブルなどを用いて有線通信ネットワークを利用して送信および受信することも可能である。具体的には、第1の基地局714は、第2の基地局716とデータおよび情報を通信、送信および受信する。第1の基地局714および第2の基地局716のみが図示されているが、伝送線システム700内では、必要に応じて多数の基地局が設けられてもよい。さらに、第1の基地局714と第2の基地局716のそれぞれは、最も近い送電塔706から何マイルも離れており、互いに離れている。
【0069】
一例の送電塔706は、一般的に、伝送線708が送電塔706の間に延びるように伝送線708を受ける金属製の格子である。例示的な実施形態では、伝送線システム700の第1の送電塔706から最終の送電塔までの距離は、五(5)マイルから五百(500)マイルの間であり得る。同様に、個々のタワー706の間の距離は変化し得る。一例では、伝送線システム700は、増加した人口レベルを有する地域の周りに、クラスタ化された、または、増加した密度を有する送電塔706を含む。そのため、人口が増加している地域では、個々のタワー706間の距離は短くされ、または人口が減少している若しくはある地域より少ない場合の個々のタワー706間の距離より小さくなる。具体的には、送電塔間の距離は、連続する2つの送電塔706から半径5マイル内に位置する人間の数に反比例する。
【0070】
伝送線708は、一般に、送電塔706の間に延びる金属ケーブルである。一例では、伝送線708は、少なくとも100,000ボルトを有する高圧送電線であり、別の例では、送電線708の電圧は、100,000ボルトと800,000ボルトとの間の範囲にある。
【0071】
サージアレスタ710は、送電塔706のそれぞれの伝送線708に配置され、過電流を地面に短絡させることで過電流状態に対する保護を行う。各サージアレスタ710には、サージアレスタ710が故障したときにさらなる保護を提供するために、サージアレスタディスコネクト712が接続されている。サージアレスタ710の故障や誤動作が発生し、電流がサージアレスタディスコネクト712を流れようとすると、サージアレスタディスコネクト712がサージの結果としての損傷を防ぎ、吹き飛んで、故障や誤動作したサージアレスタ710の視覚的証拠を提供する。
【0072】
ノード718は、上述したように、通信ネットワーク702内の第1の基地局714および第2の基地局716と相互に作用する。このように、ルートノードは、第1の基地局714と第2の基地局716との間の通信経路を提供する。サージアレスタ710が故障すると、サージアレスタ710から電力を受けている対応するノード718が電力を受けなくなるため、対応するノード718が故障する。バックアップノードを通じて、上記のように通信ルートは再形成される。第1の基地局714および第2の基地局716は、故障したノードを、故障したノードに関連するサージアレスタ710の点検および交換を確実に行うことができる個人に送信する。その結果、故障したアレスタ710は直ちに検出され、故障を認識するための時間を最小限にし、交換時間を短縮できる。
【0073】
上記の説明は例示を目的としており、制限的しないことが理解される。例えば、上述した実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の状況や材料に適応させるために、多くの修正が行われ得る。本明細書に記載されている寸法、材料の種類、様々な構成要素の向き、および様々な構成要素の数と位置は、特定の実施形態のパラメータを定めることを意図しており、決して限定するものではなく、単なる例示的な実施形態である。特許請求の範囲の趣旨と範囲内での他の多くの実施形態と修正は、上記の説明を確認すると、当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して定められるべきであり、また、そのような特許請求の範囲に含まれる均等物の全範囲も参照する必要がある。添付の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「in which」という用語は、「備える(comprising)」および「wherein」というそれぞれの用語のプレインイングリッシュでの同等物として使用されている。さらに、以下の請求項において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単なるラベルとして使用されており、その対象に数値的な要件を課すことを意図していない。
【国際調査報告】