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特表2022-504470フォトニック集積回路、光ファイバジャイロスコープ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】フォトニック集積回路、光ファイバジャイロスコープ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/126 20060101AFI20220105BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20220105BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20220105BHJP
   G02B 6/30 20060101ALI20220105BHJP
   G01C 19/72 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G02B6/126
G02B6/125 301
G02B6/12 371
G02B6/125
G02B6/30
G01C19/72 N
G01C19/72 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519142
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 US2019055849
(87)【国際公開番号】W WO2020077216
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】62/744,505
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501313311
【氏名又は名称】ケーブイエイチ インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】リーミン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ハルステッド
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ディー モンテ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エー キッツ ヴァン ヘイニンゲン
【テーマコード(参考)】
2F105
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2F105AA02
2F105BB02
2F105BB04
2F105BB14
2F105DD02
2F105DE01
2F105DE06
2F105DE08
2F105DE12
2F105DE21
2F105DE23
2F105DE27
2F105DF07
2H137AA14
2H137AB05
2H137AB06
2H137AB09
2H137BA05
2H137BA15
2H137BA35
2H137BA46
2H137BA51
2H137BB02
2H137BB14
2H137BC16
2H137BC42
2H137CA22A
2H137HA01
2H147AA03
2H147AB21
2H147BB02
2H147BD02
2H147BD17
2H147BE13
2H147BG06
2H147CA03
2H147CA05
2H147CA18
2H147CB02
2H147CD02
2H147EA02A
2H147FD19
2H147FD20
2H147GA25
(57)【要約】
光ファイバジャイロスコープ(FOG)の製造に適した多機能フォトニック集積回路(PIC)102が記載される。PIC102は、実質的に高い安定性及び精度のスケールファクタを示すように構成及び配置される。PIC102は、例えば、高い光複屈折率及び低い伝搬損失の導波路、低い波長依存性の分波比Y接合部114,116、高い消光比の線形偏光子118、並びに高い効率のファイバ-導波路モードサイズ変換器を備え得る。高いレベルのFOG性能を確保するための検討が、例えば、導波路構造、個々の構成要素の機能要件及び回路レイアウトの合成効果の最適化によって取り組まれる。偏波保持光ファイバコイル、光源及び光検出器を接続すると、ハイエンドで戦術的グレードのFOGが、開示のPICを用いて構築され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック集積回路(PIC)であって、
偏光子導波路を備えるとともに第1の偏光子ポート及び第2の偏光子ポートを有する偏光子であって、前記PICの動作波長の範囲内に少なくとも75dBの偏波消光比(PER)及び少なくとも0.012の複屈折率を有するように構成された偏光子と、
(i)偏波保持型(PM)であり、(ii)相互に対して所定の長さの差を有し、かつ(iii)光の単一横モードを維持するように構成された、ベース導波路、第1の分岐導波路及び第2の分岐導波路を有する干渉Y接合部と
を備えるフォトニック集積回路。
【請求項2】
前記偏光子導波路、前記ベース導波路、前記第1の分岐導波路及び前記第2の分岐導波路の各々のHパラメータが、-40dB/m未満である、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項3】
前記第1の分岐導波路と前記第2の分岐導波路の間の導波路長の差は、前記第1の分岐導波路及び前記第2の分岐導波路の偏光解消長よりも大きい、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項4】
前記偏光子導波路、前記第1の分岐導波路及び前記第2の分岐導波路は、各々SiOクラッド材料に囲まれたSiコアを備える、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項5】
前記コアは、少なくとも50の幅-高さアスペクト比を有する、請求項4に記載のフォトニック集積回路。
【請求項6】
前記導波路は、光学的に直列接続された複数の導波路屈曲部を備え、該複数の導波路屈曲部は第1の180度屈曲部、第2の180度屈曲部、及び少なくとも90度の少なくとも1つの追加屈曲部を備える、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項7】
前記導波路の側部に沿って形成された少なくとも1つのトレンチをさらに備え、該トレンチは、迷光が前記PICに結合するのを防止するように前記導波路から放射される光を前記PICから離れる方向に逸らすように構成された、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項8】
光源に接続されるように構成された第1のコネクタと、
光検出器に接続されるように構成された第2のコネクタと、
ファイバコイルの第1のポートに接続されるように構成された第3のコネクタと、
前記ファイバコイルの第2のポートに接続されるように構成された第4のコネクタと、
ベース導波路、第1の分岐導波路及び第2の分岐導波路を有するソースY接合部と
をさらに備え、
前記ソースY接合部の前記第1の分岐導波路は前記第1のコネクタに光学的に結合され、前記ソースY接合部の前記第2の分岐導波路は前記第2のコネクタに光学的に結合され、前記ソースY接合部の前記ベース導波路は前記第1の偏光子ポートに光学的に結合され、
前記干渉Y接合部の前記第1の分岐導波路は前記第3のコネクタに光学的に結合され、前記干渉Y接合部の前記第2の分岐導波路は前記第4のコネクタに光学的に結合され、前記干渉Y接合部の前記ベース導波路は前記第2の偏光子ポートに光学的に結合された、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項9】
前記ベース導波路及び前記分岐導波路は、少なくとも0.012の複屈折率を有する、請求項8に記載のフォトニック集積回路。
【請求項10】
前記ベース導波路及び前記分岐導波路は、0.5dB/cm未満の伝搬損失を有する、請求項8に記載のフォトニック集積回路。
【請求項11】
前記ベース導波路及び前記分岐導波路は、10nm以上100nm以下のコア厚及び1ミクロン以上10ミクロン以下のコア幅を有する薄型Si導波路を備える、請求項8に記載のフォトニック集積回路。
【請求項12】
前記偏光子導波路は、m字形状を形成するように相互に連続して結合された3個の180度曲線部を備える、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項13】
フォトニック集積回路(PIC)であって、
光源に光学的に結合されるように構成された第1のコネクタと、
光検出器に光学的に結合されるように構成された第2のコネクタと、
ファイバコイルの第1のポートに光学的に結合されるように構成された第3のコネクタと、
前記ファイバコイルの第2のポートに光学的に結合されるように構成された第4のコネクタと、
第1の分岐ポート、第2の分岐ポート及び共通ベースポートを有する第1のカプラと、
第1の分岐ポート、第2の分岐ポート及び共通ベースポートを有する第2のカプラと、
第1の偏光子ポート及び第2の偏光子ポートを有するとともに偏光子導波路を備える偏光子と
を備え、
前記第1のカプラの前記第1の分岐ポートは第1の導波路を介して前記第1のコネクタに光学的に結合され、前記第1のカプラの前記第2の分岐ポートは第2の導波路を介して前記第2のコネクタに光学的に結合され、前記第1のカプラの前記共通ベースポートは第3の導波路を介して前記第1の偏光子ポートに光学的に結合され、
前記第2のカプラの前記第1の分岐ポートは第4の導波路を介して前記第3のコネクタに光学的に結合され、前記第2のカプラの前記第2の分岐ポートは第5の導波路を介して前記第4のコネクタに光学的に結合され、前記第2のカプラの前記共通ベースポートは第6の導波路を介して前記第2の偏光子ポートに光学的に結合され、
前記偏光子導波路、前記第1の導波路、前記第2の導波路、前記第3の導波路、前記第4の導波路、前記第5の導波路及び前記第6の導波路は各々、
i)少なくとも0.012の複屈折率を有し、
ii)0.5dB/cm未満の伝搬損失を有し、かつ
iii)単一横モードの光を維持するように構成された、
フォトニック集積回路。
【請求項14】
前記第6の導波路は、該第6の導波路に関連付けられた偏光解消長よりも長い、請求項13に記載のフォトニック集積回路。
【請求項15】
前記第4の導波路の長さと前記第5の導波路の長さとの差は、前記第4の導波路及び前記第5の導波路に関連付けられた偏光解消長よりも長い、請求項13に記載のフォトニック集積回路。
【請求項16】
前記偏光子導波路、前記第1の導波路、前記第2の導波路、前記第3の導波路、前記第4の導波路、前記第5の導波路及び前記第6の導波路は各々、少なくとも50の幅-高さアスペクト比を有する、請求項13に記載のフォトニック集積回路。
【請求項17】
前記偏光子導波路、前記第1の導波路、前記第2の導波路、前記第3の導波路、前記第4の導波路、前記第5の導波路及び前記第6の導波路は各々、SiOクラッド材料に囲まれたSiコアを備える、請求項13に記載のフォトニック集積回路。
【請求項18】
前記導波路は光学的に直列接続された複数の導波路屈曲部を備え、該複数の導波路屈曲部は第1の180度屈曲部、第2の180度屈曲部、及び少なくとも90度の少なくとも1つの追加屈曲部を備える、請求項13に記載のフォトニック集積回路。
【請求項19】
前記偏光子導波路は、m字形状を形成するように相互に連続して結合された3個の180度曲線部を備える、請求項13に記載のフォトニック集積回路。
【請求項20】
干渉型光ファイバジャイロスコープ(IFOG)であって、
(i)少なくとも75dBの偏波消光比(PER)及び少なくとも0.012の複屈折率を有する偏光子、並びに(ii)偏波保持型であり、単一横モードの光を維持するように構成された導波路を備えるフォトニック集積回路(PIC)と、
第1の端部及び第2の端部を有する検知ファイバコイルと、
前記検知ファイバコイルの第1の端部に配置された位相変調器と
を備える干渉型光ファイバジャイロスコープ。
【請求項21】
干渉型光ファイバジャイロスコープ(IFOG)であって、
フォトニック集積回路(PIC)と、
第1の端部及び第2の端部を有する検知ファイバコイルと、
前記検知ファイバコイルの第1の端部に配置された位相変調器と
を備え、
前記PICは、
光源に光学的に結合されるように構成された第1のコネクタと、
光検出器に光学的に結合されるように構成された第2のコネクタと、
ファイバコイルの第1のポートに光学的に結合されるように構成された第3のコネクタと、
前記ファイバコイルの第2のポートに光学的に結合されるように構成された第4のコネクタと、
第1の分岐ポート、第2の分岐ポート及び共通ベースポートを有する第1のカプラと、
第1の分岐ポート、第2の分岐ポート及び共通ベースポートを有する第2のカプラと、
第1の偏光子ポート及び第2の偏光子ポートを有するとともに偏光子導波路を備える偏光子と
をさらに備え、
前記第1のカプラの前記第1の分岐ポートは第1の導波路を介して前記第1のコネクタに結合され、前記第1のカプラの前記第2の分岐ポートは第2の導波路を介して前記第2のコネクタに結合され、前記第1のカプラの前記共通ベースポートは第3の導波路を介して前記第1の偏光子ポートに結合され、
前記第2のカプラの前記第1の分岐ポートは第4の導波路を介して前記第3のコネクタに結合され、前記第2のカプラの前記第2の分岐ポートは第5の導波路を介して前記第4のコネクタに結合され、前記第2のカプラの前記共通ベースポートは第6の導波路を介して前記第2の偏光子ポートに結合され、
前記偏光子導波路、前記第1の導波路、前記第2の導波路、前記第3の導波路、前記第4の導波路、前記第5の導波路及び前記第6の導波路は各々、(i)少なくとも0.012の複屈折率を有し、(ii)0.5dB/cm未満の伝搬損失を有し、かつ(iii)単一横モードの光を維持するように構成された、干渉型光ファイバジャイロスコープ。
【請求項22】
前記偏光子導波路、前記第1の導波路、前記第2の導波路、前記第3の導波路、前記第4の導波路、前記第5の導波路及び前記第6の導波路は各々、SiOクラッド材料に囲まれたSiコアを備える、請求項21に記載の干渉型光ファイバジャイロスコープ。
【請求項23】
前記偏光子導波路、前記第1の導波路、前記第2の導波路、前記第3の導波路、前記第4の導波路、前記第5の導波路及び前記第6の導波路は各々、少なくとも50の幅-高さアスペクト比を有する、請求項21に記載の干渉型光ファイバジャイロスコープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年10月11日出願の米国仮特許出願第62/744,505号の利益を主張する。上記出願の教示全体が、参照によりここに取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
光ファイバジャイロスコープ(FOG)、加速度計及びFOGによる慣性航法装置(INS)は、高精度自律車両(自動車など)の性能に必須の集積センサシステムの鍵となる部分を構成する。INSは、車両の位置及び向きを検知するのに使用される。車両位置推定のために、車両は、全地球測位システム(GPS)及びINSを組み合わせて用いることがある。GPSシステムの精度は、2000年以来大幅に改善されてきた。GPSシステムは、95%の確率で7.8m未満の全体平均ユーザ範囲誤差(URE)を容易化する信号を特定する。実際の性能は仕様を超えることが多いものの、GPS自体は自律車両のための位置推定値のための充分な精度を与えることができない。一方で、GPSは、位置測定における良好な長期安定性を与える。これに対して、INSは、短期的には高精度となり得るが、位置測定における長期ドリフトを受けてしまう。
【0003】
各個々の位置検知システムの不利な点を克服するのに、GPS及びINSが組み合わされて用いられることがある。GPSの精度は建物、橋及び樹木の近くで劣化するので、この組み合わされた動作は自律自動車用途において一層重要となる。このような環境では、GPS受信機は充分な数の衛星から信号を取得できなくなることがあり、劣化した性能がもたらされる。GPS可用性が非常に制限されてしまう「都会の渓谷」を超高層ビル群が形成する都会の地域では大きな懸念がある。INSは、GPSの精度を向上するとともに都会の渓谷によってもたらされるような性能の乖離を埋めるのに使用され得る。GPSに結合されたINSは、外部参照を必要とすることなく連続的に、現在位置に推測航法を行い、向き及び速度を計算することができる。
【0004】
自動車姿勢推定のために、INSセンサは、GPS信号と融合されて、移動する自動車のロール、ピッチ及びヘディングを瞬時に検出し得る。正確な回転角の特定は、自律車両制御システムが安全性を確保するために重要なタスクであり、それは自律車両に関連付けられたジャイロスコープの高精度でかつ安定したスケールファクタを要求する。
【発明の概要】
【0005】
ここに記載される幾つかの実施形態は、干渉型光ファイバジャイロスコープ(IFOG)に向けられる。IFOGの例示実施形態は、ここに記載されるように、所定の安定性閾値を超える安定性及び所定の精度閾値を超える精度を有するスケールファクタを示すように構成され得る。
【0006】
ここに記載される他の実施形態は、Siコア及びSiOを含むクラッド材料を有する高偏波保持(PM)導波路に基づくフォトニック集積回路(PIC)などのIFOG構成要素に向けられる。受動機能性FOG構成要素が、PICに集積されてもよい。そのような構成要素は、サニャック干渉計及び光源/検出器送受信機に使用される低損失カプラ、高偏波消光比(PER)偏光子、高効率ファイバ接続モードサイズ変換器、及び迷光の消去のための1以上の構成を備え得る。
【0007】
一態様では、本発明は、偏光子及び干渉Y接合部を備えるフォトニック集積回路(PIC)であり得る。偏光子は、偏光子導波路を備え、第1の偏光子ポート及び第2の偏光子ポートを有し得る。偏光子は、PICの動作波長の範囲内に少なくとも75dBの偏波消光比(PER)及び少なくとも0.012の複屈折率を有するように構成され得る。干渉Y接合部は、偏波保持(PM)型であるベース導波路、第1の分岐導波路及び第2の分岐導波路を有し、相互に対して所定の長さの差を有し、単一横モードの光を維持するように構成され得る。
【0008】
一実施形態では、偏光子導波路、ベース導波路、第1の分岐導波路及び第2の分岐導波路の各々のHパラメータは-40dB/m未満である。
【0009】
他の実施形態では、第1の分岐導波路と第2の分岐導波路との間の導波路長の差が、第1の分岐導波路及び第2の分岐導波路の偏光解消長よりも大きくてもよい。偏光子導波路、第1の分岐導波路及び第2の分岐導波路は、各々SiOクラッド材料に囲まれたSiコアを備え得る。コアは、少なくとも50の幅-高さのアスペクト比を有し得る。導波路は、光学的に直列接続される複数の導波路屈曲部を備え得る。複数の導波路屈曲部は、第1の180度屈曲部、第2の180度屈曲部、及び少なくとも90度の少なくとも1つの追加屈曲部を備え得る。
【0010】
一実施形態は、導波路の側部に沿って形成された少なくとも1つのトレンチをさらに備え得る。トレンチは、迷光がPICに結合するのを防止するように、導波路から放射された光をPICから離れる方向に逸らすように構成され得る。
【0011】
一実施形態は、光源に接続されるように構成された第1のコネクタ、光検出器に接続されるように構成された第2のコネクタ、ファイバコイルの第1のポートに接続されるように構成された第3のコネクタ、ファイバコイルの第2のポートに接続されるように構成された第4のコネクタ、並びにベース導波路、第1の分岐導波路及び第2の分岐導波路を有するソースY接合部をさらに備え得る。ソースY接合部の第1の分岐導波路は、第1のコネクタに光学的に結合され得る。ソースY接合部の第2の分岐導波路は、第2のコネクタに光学的に結合され得る。ソースY接合部のベース導波路は、第1の偏光子ポートに光学的に結合され得る。干渉Y接合部の第1の分岐導波路は、第3のコネクタに光学的に結合され得る。干渉Y接合部の第2の分岐導波路は、第4のコネクタに光学的に結合され得る。干渉Y接合部のベース導波路は、第2の偏光子ポートに光学的に結合され得る。
【0012】
ベース導波路及び分岐導波路は、少なくとも0.012の複屈折率を有し得る。ベース導波路及び分岐導波路は、0.5dB/cm未満の伝搬損失を有し得る。ベース導波路及び分岐導波路は、10nm以上100nm以下のコア厚、及び1ミクロン以上10ミクロン以下のコア幅を有する薄型Si導波路を備え得る。偏光子導波路は、m字形状を形成するように相互に連続して結合された3個の180度曲線部を備え得る。
【0013】
他の態様では、本発明は、光源に光学的に結合されるように構成された第1のコネクタ、光検出器に光学的に結合されるように構成された第2のコネクタ、ファイバコイルの第1のポートに光学的に結合されるように構成された第3のコネクタ、ファイバコイルの第2のポートに光学的に結合されるように構成された第4のコネクタ、第1の分岐ポート、第2の分岐ポート及び共通ベースポートを有する第1のカプラ、第1の分岐ポート、第2の分岐ポート及び共通ベースポートを有する第2のカプラ、並びに第1の偏光子ポート及び第2の偏光子ポートを有するとともに偏光子導波路を備える偏光子を備えるフォトニック集積回路(PIC)であり得る。第1のカプラの第1の分岐ポートは第1の導波路を介して第1のコネクタに光学的に結合され、第1のカプラの第2の分岐ポートは第2の導波路を介して第2のコネクタに光学的に結合され、第1のカプラの共通ベースポートは第3の導波路を介して第1の偏光子ポートに光学的に結合され得る。第2のカプラの第1の分岐ポートは第4の導波路を介して第3のコネクタに光学的に結合され、第2のカプラの第2の分岐ポートは第5の導波路を介して第4のコネクタに光学的に結合され、第2のカプラの共通ベースポートは第6の導波路を介して第2の偏光子ポートに光学的に結合され得る。偏光子導波路、第1の導波路、第2の導波路、第3の導波路、第4の導波路、第5の導波路及び第6の導波路は、各々少なくとも0.012の複屈折率を有し、各々0.5dB/cm未満の伝搬損失を有し、各々単一横モードの光を維持するように構成され得る。
【0014】
第6の導波路は、第6の導波路に関連付けられた偏光解消長よりも長くてもよい。第4の導波路長と第5の導波路長との差は、第4及び第5の導波路に関連付けられた偏光解消長よりも長くてもよい。偏光子導波路、第1の導波路、第2の導波路、第3の導波路、第4の導波路、第5の導波路及び第6の導波路は、各々少なくとも50の幅-高さアスペクト比を有し得る。
【0015】
偏光子導波路、第1の導波路、第2の導波路、第3の導波路、第4の導波路、第5の導波路及び第6の導波路は、各々SiOクラッド材料に囲まれたSiコアを備え得る。導波路は、光学的に直列接続された複数の導波路屈曲部を備え得る。複数の導波路屈曲部は、第1の180度屈曲部、第2の180度屈曲部、及び少なくとも90度の少なくとも1つの追加屈曲部を備え得る。
【0016】
偏光子導波路は、「m」字形状を形成するように相互に連続して結合された3個の180度曲線部を備え得る。
【0017】
他の態様では、本発明は、フォトニック集積回路(PIC)、検知ファイバコイル及び位相変調器を備え得る干渉型光ファイバジャイロスコープ(IFOG)であり得る。PICは、少なくとも75dBの偏波消光比(PER)及び少なくとも0.012の複屈折率を有する偏光子を備え得る。PICは、偏波保持型であり、単一横モードの光を維持するように構成された導波路をさらに備え得る。検知ファイバコイルは、第1の端部及び第2の端部を有し得る。位相変調器は、検知ファイバコイルの第1の端部に配置され得る。
【0018】
他の態様では、本発明は、フォトニック集積回路(PIC)、第1の端部及び第2の端部を有する検知ファイバコイル、並びに検知ファイバコイルの第1の端部に配置された位相変調器を備える干渉型光ファイバジャイロスコープ(IFOG)であり得る。PICは、光源に光学的に結合されるように構成された第1のコネクタ、光検出器に光学的に結合されるように構成された第2のコネクタ、ファイバコイルの第1のポートに光学的に結合されるように構成された第3のコネクタ、ファイバコイルの第2のポートに光学的に結合されるように構成された第4のコネクタ、第1の分岐ポート、第2の分岐ポート及び共通ベースポートを有する第1のカプラ、第1の分岐ポート、第2の分岐ポート及び共通ベースポートを有する第2のカプラ、並びに第1の偏光子ポート及び第2の偏光子ポートを有するとともに偏光子導波路を備える偏光子をさらに備え得る。第1のカプラの第1の分岐ポートは、第1の導波路を介して第1のコネクタに結合され得る。第1のカプラの第2の分岐ポートは、第2の導波路を介して第2のコネクタに結合され得る。第1のカプラの共通ベースポートは、第3の導波路を介して第1の偏光子ポートに結合され得る。第2のカプラの第1の分岐ポートは、第4の導波路を介して第3のコネクタに結合され得る。第2のカプラの第2の分岐ポートは、第5の導波路を介して第4のコネクタに結合され得る。第2のカプラの共通ベースポートは、第6の導波路を介して第2の偏光子ポートに結合され得る。偏光子導波路、第1の導波路、第2の導波路、第3の導波路、第4の導波路、第5の導波路及び第6の導波路は、各々少なくとも0.012の複屈折率を有し、各々0.5dB/cm未満の伝搬損失を有し、各々単一横モードの光を維持するように構成され得る。
【0019】
偏光子導波路、第1の導波路、第2の導波路、第3の導波路、第4の導波路、第5の導波路及び第6の導波路は、各々SiOクラッド材料に囲まれたSiコアを備え得る。偏光子導波路、第1の導波路、第2の導波路、第3の導波路、第4の導波路、第5の導波路及び第6の導波路は、各々少なくとも50の幅-高さアスペクト比を有し得る。
【0020】
特許又は出願は、カラーで描かれた少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する当該特許又は特許出願公開公報のコピーは、請求及び必要な料金の支払に応じて特許庁によって提供される。
【0021】
上記は、異なる図の全体を通じて同様の符号が同じ部分を示す添付図面に示される以下の例示実施形態の、より詳細な説明から明らかなものとなる。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、実施形態の説明に際して強調が施されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態によって構成及び配置された干渉型光ファイバジャイロスコープ(IFOG)100の例示実施形態を示す。
図2A】本発明の実施形態による、偏光子のTMモード性能と比較したTEモード性能を示す。
図2B】本発明の実施形態による、偏光子のTMモード性能と比較したTEモード性能を示す。
図3A】PIC導波路のモードサイズ及びPMファイバのモードサイズと比較したファイバ接続点のモードサイズを示す。
図3B】PIC導波路のモードサイズ及びPMファイバのモードサイズと比較したファイバ接続点のモードサイズを示す。
図3C】PIC導波路のモードサイズ及びPMファイバのモードサイズと比較したファイバ接続点のモードサイズを示す。
図4】本発明の実施形態による、PIC導波路複屈折率及び偏光子のPERの測定のための設定を示す。
図5】本発明の実施形態による、PIC-ファイバ接合及びファイバ-ファイバ接合におけるPICにおける交差結合位置を示す白色光干渉計データを示す。
図6】2つのモード間での異なるパワー比について、TEモードとTMモードの間の偏光子のPERと干渉強度との間の関係を示す。
図7A】導波路コアの厚さ及び幅の関数としての導波路複屈折率を示す。
図7B】導波路が第1の高次TEモードを維持し始める閾値線を導波路複屈折の等高線図に重ねて示す。
図8A】導波路コアの厚さ及び幅の関数としての導波路伝搬損失を示す。
図8B】異なるコア高さにおける伝搬損失のコア幅依存性を示す。
図9】導波路コア高さの増加に対するモードフィールドを示す(図9(a)~9(c))。導波路コア幅の増加に対するモードフィールドを示す(図9(d)~9(f))。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例示実施形態の説明は、以下の通りである。
【0024】
全ての特許、公開された出願及びここに引用される文献の教示は、その全体において参照により取り込まれる。
【0025】
本発明の実施形態は、所定の安定性閾値を超える安定性及び所定の精度閾値を超える精度を有するスケールファクタを示すように構成された干渉型光ファイバジャイロスコープ(IFOG)を含み得る。例示実施形態は、Siコア及びSiOを含むクラッド材料を有する高偏波保持(PM)シングルモード導波路に基づくフォトニック集積回路(PIC)などのIFOG構成要素を含み得る。受動機能性IFOG構成要素が、サニャック干渉計及び光源/検出器送受信機に使用される低損失カプラ、高偏光消光比(PER)偏光子、高効率ファイバ接続モードサイズ変換器、及び迷光の消去のための1以上の構成などのPICに集積されてもよい。
【0026】
PICにおける超薄型(例えば、100nm以下)のSi導波路の使用は、幾つかの利点を与える。例えば、Si導波路は830nm波長域の光を伝送し、IFOGは、具体的なファイバ長及びコイルサイズを考慮して、短い動作波長などの、より大きなスケールファクタを有する。また、0.02程の大きさの複屈折率がSi導波路において実現され、高い複屈折率の導波路は実質的な位相誤差抑制を与え得る。超高アスペクト比を有するように構成されたSi導波路は、非常に低い伝搬損失を示し得る。Siの非結晶の性質は、光源カプラをPICに含めることを容易化し、迷光が再結合することを防止することに資する形状に対する回路レイアウトを容易化する。またさらに、Siはマイクロエレクトロニクス業界において充分に確立された材料であり、それは電気回路における電気及び熱絶縁体として使用されている。Si加工に関連する製造ラインは、非常に成熟しており、公知の性能歴を有する。Siはまた、集積プラットフォームへのフォトニックデバイスの集積を必要とする多数の用途に対して理想の選択肢となる光学特性の集合を特徴とする。
【0027】
図1は、本発明によって構成及び配置されたIFOG100の例示実施形態を示す。IFOG100は、PIC102、ファイバアレイ104、検知ファイバコイル106、PZT変調器108、光源110及び光検出器112を備える。PIC102は、ソースY接合部114、干渉Y接合部116及び偏光子118を備える。各Y接合部は、一対の分岐導波路に分離するベース導波路を備える。ベース及び分岐導波路は、高PMシングルモード導波路である。Y接合部は、ここではカプラともいうものとする。導波路は、(i)高複屈折性であり、かつ(ii)低散乱性を有することによって「高偏波保持」である特性を有する。複屈折及び散乱の具体値の範囲がここに記載され、それはPMの具体的閾値に対応する。
【0028】
図1に示すように、検知ファイバコイル106の2つのファイバ端がPIC102における干渉Y接合部116の2本の分岐導波路の端部にファイバアレイ104を介して接続されると、サニャック干渉計が構成される。偏光子118は、ソースY接合部114のベース導波路と干渉Y接合部116のベース導波路とを接続する。この例示実施形態では、偏光子118は「m字」形状を有するが、他の形状が代替的に用いられてもよい。偏光子118は、ソースY接合部114を介して入来する光源110からの入力光を偏光する。偏光子118はまた、偏光子の高PERに起因してTMモードを消滅させることによって検知ファイバコイル106から戻る光における交差結合された誤差のある信号をフィルタ除去する。
【0029】
ファイバ巻き発振型チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)ディスクによって実現される位相変調器108は、コイル/変調アセンブリ120を構成するように、検知ファイバコイル106の一端付近に位置して検知ファイバコイル106に含まれる。正弦波変調信号が、安定したサニャック位相シフト読取りに適した変調/復調処理による制御された態様で位相変調器108に印加され得る。
【0030】
偏光子118、干渉Y接合部116及びコイル/変調アセンブリ120の組合せが、IFOG光学系のいわゆる「最小構成」を構成する。時計回り(CW)経路に沿う光及び反時計回り(CCW)経路に沿う光は干渉Y接合部116において同じ1回の反射及び1回の透過を受け、サニャック干渉計は非常に安定したIFOGに必要な光学的相反性を有して動作するように構成される。サニャック干渉計への入力光及びサニャック干渉計からの出力光である光は、同じ偏光子118及びシングルモード導波路を通過する。したがって、この例示実施形態は、シングルモード単一偏波フィルタを構成する。入力とは異なる状態(例えば、空間モード又は偏波モードのいずれかにおいて異なる状態)にあるいずれの信号も望ましくなく、シングルモード単一偏波フィルタによって実質的に排除される。
【0031】
誤差のある非相反位相シフトを生成するメカニズムは、サニャック位相シフトを摂動させ得る。記載の実施形態は、PIC設計におけるそのようなメカニズムを軽減又は排除するように作用する。そのような誤差のある位相シフト信号は、例えば、PICにおけるY接合部のわずかな非相反性によってもたらされ得る。Y接合部は、相互に対して所定角度で配置された一対の導波路として効果的に動作し、接合点付近では2モード導波路としてみなすことができる。Y接合部のベース導波路からの入力光がY接合部の結合領域に達する場合、エバネセント波が2モード導波路に重畳し、基本対称モードが二次反対称モードに変換され、モードフィールドの2つのローブが分割されて2本の分岐導波路にほぼ完全に導波される。結合領域に入来する2つの戻り信号について、基本モードはベース導波路によって形成及び導波される一方で、導波路のカットオフよりも高い二次反対称モードは基板に放射される。対称モードと反対称モードの間には残差損失があるため、異なる方向に接合部を介して伝送される光は(特定の方向に応じて)異なる損失を受けるので、Y接合部のベースポートにおけるスプリアス位相シフトが、Y接合部におけるわずかな非相反性に起因して発生する。干渉Y接合部のベース導波路に配置されるシングルモード単一偏光子フィルタは、反対方向に伝送される光波の位相を等化するように動作する。PICアーキテクチャで構築された最小構成の利点は、偏光子118が、その間のシングルモード導波路フィルタで干渉Y接合部116と実質的に整列され得ることである。高PER偏光子及びシングルモード導波路が干渉Y接合部116のベース導波路の後に実装される場合、接合部において更なる位相誤差生成は発生しない。
【0032】
誤差のある位相信号は、動作偏波モードからその直交モードに結合された光に起因しても発生し得る。PMファイバ及びPIC導波路は各々2つの偏波モードを維持し、サニャック干渉計は2本の平行な光経路を提供し、不要な偏波モードに結合するいずれかの光が非相反性の寄生経路を生成し得る。交差結合点の大部分はファイバコイルに存在するが、交差結合はファイバ-PIC導波路接合において及び/又はPICにおける(例えば、干渉Y接合部における)経路内にも発生し得る。そのような非相反性の寄生経路を阻止するために、シングルモード単一偏光子フィルタにおける偏光子は、実質的に高いPERを有するように構成される。
【0033】
一方で、高PERフィルタは、ファイバの偏光解消長内で、ほぼ同じ距離で配置された2点による交差結合によって生成されるスプリアス位相誤差を、干渉Y接合部116から排除することができない。IFOG PICの例示実施形態では、導波路の高い複屈折性が優れた偏波保持性を与えるので、干渉Y接合部における偏波交差結合は無視できる。大部分の偏波結合は、PICへのコイルファイバの接続点で起こる。接続点において生成される位相誤差を回避するために、干渉Y接合部の分岐導波路の一方は、接続点間に固定の位相シフタを提供するように他方の分岐よりも長くなるように構成される。位相シフタの長さは、例示実施形態では約1.8mmの偏光解消長よりも長くなるように構成される。
【0034】
接続界面及び干渉Y接合部における2回の反射がマイケルソン干渉計を構成するため、2つの接続点における反射が、誤差のある位相信号を生成することも可能である。同様に、2本の分岐導波路の経路差がデコヒーレンス長よりも長い場合、誤差のある位相は回避され得る。例示実施形態の導波路のデコヒーレンス長は約28μmであるので、2本の分岐導波路の経路差は少なくとも28μmとなるように構成される。
【0035】
他の誤差のある位相信号は、LiNbO基板上に作製された多機能光学集積回路(MIOC)に特有なものとなる。LiNbO MIOCは、市販のFOG製品において広範に使用されている。しかし、結晶性LiNbO基板の面内複屈折が光学回路レイアウトの自由度を制限するので、2つのY接合部が直線に配置されなければならないため、2つのY接合部を単一の回路に嵌め込むことによってその集積度を高めることは成功していない。(干渉Y接合部からの非対称モードに起因してY接合部のベース導波路に沿って発生する)導波されない放射は、ソースY接合部の分岐導波路の各々によって受光される。スプリアス再結合から入来する寄生信号は、主信号に付加されて位相誤差となる。ソースY接合部がFOG PICにおける反対称モードからの放射光を受光することを防止するために、導波路は、図1に示すように、180度経路ループを形成するように構成されたベース導波路を接続する。実際に、ソースY接合部114を干渉Y接合部116に接続する偏光子118は、2つのY接合部が同じ方向に配向されることを可能とする「m字」形状に構成される。
【0036】
例示実施形態では、1本以上のトレンチが、迷光を平面から逸らすことによって、若しくは迷光を吸収することによって(例えば、トレンチが吸収材で充填されるように構成することによって)又はその双方によって、入来する迷光を軽減又は排除するようにPIC(不図示)の導波路とともにエッチングされ得る。
【0037】
超薄型Si導波路が、高PERかつ低損失の偏光子を生産するのに使用され得る。曲線及びs字形状の種々の組合せで非常に緩く閉じ込められた導波路は、TMモードにおいて高い伝搬損失をもたらし得る一方で、TEモード損失を低く維持する。3.5μmのコア幅及び40nmのコア高のs字屈曲導波路の半周期を備える平面偏光子の例示実施形態は、1600nmにおいて測定される75dBのPERを示す。この例示の導波路は、1550nm波長において0.011~0.014の複屈折率を有する。
【0038】
例示実施形態の偏光子118は、緩く閉じ込められて830nm波長において0.015の群複屈折率を有する超薄型Si導波路を備える。m字形状屈曲部を構成するs字屈曲部の1.5周期が、2つのY接合部114、116の間に含まれる。図2Aに示すように、m字屈曲偏光子118の例示実施形態は、m字屈曲導波路に沿って8.1mmの伝搬距離の後に、830nm波長において、TEモードにおける0.15dBの損失及びTMモードにおける71.9dBの損失を示し得る。
【0039】
図2Bは、例示実施形態の「m字」屈曲偏光子118のTE及びTMモードの波長依存損失を示す。800nmと850nmの間の波長窓におけるTMモードの平均損失は67.5dBである一方で、波長窓におけるTEモードの平均損失は0.2dBのみである。図1に示すように、m字屈曲偏光子長の間隔での2つのY接合部の平行配置は、PICの残余部分が干渉Y接合部から放射された反対称モードの非導波光と再結合することを効果的に防止する。
【0040】
PICの各個々の出力ポートは、対応する外部構成要素ファイバに接続するファイバアレイ104に配置される。例示実施形態では、ファイバは、4.5±0.5μmのモードフィールド径を有するパンダ型PMファイバである。ファイバは、PIC上の導波路アレイと、同じピッチのv字溝基板に整列される。各ファイバは、PIC TEモード方向に一致する遅軸と整列される。PIC導波路は緩く閉じ込められるが、それでもモードフィールドサイズはファイバのものよりも小さい。例示実施形態は、ファイバのモードフィールドへの実質的一致を容易化する最適化サイズに断熱的にモードフィールドを拡大するように面内反転テーパーを利用する。ファイバ接続点におけるモードフィールドは、より円形の分布に押し込められ、ベースPIC導波路(図3Bに示す)よりも大きなモードサイズのもの(図3Aに示す)となる。接合部における導波路のモードフィールドとファイバモードフィールドとの間のモード重複の程度は、η=0.92となる(図3C参照)。一方、ファイバが、楕円モード分布(図3B参照)を有するベースPIC導波路と直接接続される場合、結合係数はη=0.81となる。
【0041】
そのような簡素な構造が作製コストを低く維持するので、例示実施形態は面内テーパー変換器を実装し、結合効率は850±50nmの動作波長において0.48dB程度に高くなり得る。
【0042】
図4は、PIC導波路複屈折率及び偏光子118のPERの測定のための設定を示す。導波路複屈折は、白色光干渉計(WLI)又は光コヒーレンス・ドメイン・ポラメトリ(OCDP)を用いて測定される。
【0043】
WLIは、調査中のPM光学系の、2本のアームがそれぞれ2本の偏波経路に対応するマイケルソン干渉計の光源としてインコヒーレント光を利用する。移動ミラーが、2つの偏波モード間の相対経路差を変化させる。光源は非常に短いコヒーレンス長を有するので、干渉ピークは、移動ミラーが固定アームの光路に均等に沿ってスキャンする場合に交差偏波結合が起こる位置に出現する。交差結合点の強度及び位置が測定され、それは光学系の交差偏波結合、成分消失及び導波路複屈折情報を明らかとする。ピグテール化スーパールミネッセントダイオード(SLD)である同じ光源がWLI測定及びIFOG光源110の双方に使用されるので、測定は正確かつ実用的である。この方法で測定された群複屈折率及びPERは、対応するIFOGにおける構成要素の役割を完全に反映する。
【0044】
図4に示すように、ピグテール化SLD402は、ファイバアレイ104のソースポートファイバ404にスプライスされる。出力部は、WLI408の入力部となるファイバコイルポートの1つに接続されたファイバ406である。測定WLIデータは、図5に示すように、5個の大きな交差結合位置を示す。ゼロに近い交差結合位置502は、WLIの45度偏波アナライザ410の位置である。第2の交差結合位置504は、コイルポートの1つへのファイバ接続において交差偏波結合によって生成される。第3の交差結合位置506は、ソースファイバの接続点において交差結合によって誘発される。第4の交差結合位置508は、PICに接続するファイバとSLD光源にピグテール化されたファイバとの間のスプライスに由来する。第5の交差結合位置510は、光学系を通じるSLD光源の透過光である。第2のピーク504と第3のピーク506との間の距離dは、PIC導波路のTEモードとTMモードとの光路差である。導波路複屈折率は、導波路の長さに対する2つのピーク間の距離dの比によって求めることができる。例示実施形態では、導波路群複屈折率は0.015であり、それは、導波路の偏光の短い1.8mmデコヒーレンス長及び28μmのコヒーレンス解消長iを示す。
【0045】
我々は、2つの異なる方法、回転解析法及びWLI法を用いてソースポートからコイルポートへのPERを測定した。我々はPICの半分、したがって追加の2つのY接合部を伴う回路のPERを測定したが、直線の導波路及び2つのY接合部は、TE及びTMモードの双方における低損失伝搬を維持し、偏波交差結合は60dB未満であるので、偏波効果の大部分はm字形状偏光子に由来するものである。WLI測定では、SLD光源からの光は、TEモード及びTMモードが回路伝送後の異なる減衰を受けるPIC回路に、TEモード及びTMモードの双方の光を出射する。2つの導波が重畳される位置に移動ミラーが存在する場合の速い導波と遅い導波の間の干渉強度である正規化WLI信号は、
【数1】
である。なお、(E/E=γ・Γであり、Eは導波路の速い(TM)モードの電界を表し、Eは導波路の遅い(TE)モードの電界を表し、γはSLD光源の2つの偏波モード間のパワー比を表し、Γは偏光子のPERを表す。図6に、異なる値のγにおけるΓとRの間の関係がプロットされる。例示実施形態のWLI測定の設定では、SLD光源402のγ値は-6.8dBであり、光源のR値はソース構造体510(図5参照)における最高ピークから-49.2dBと読み取られ、したがって、偏光子のPER(Γ)は-42.4dBである。
【0046】
PICの同じポート-ポートPERが、回転偏波解析法を用いて代替的に測定されてもよい。ソースポートからの線形偏光が、主偏波軸に対して45度の偏波平面で出射された。低歪大口径レンズを用いてコリメートされたコイルポートからの出力光は、50dBのPERのグラントムソン偏光子である偏波アナライザに通され、光パワーメータで受光される。PERは、アナライザが360度にわたって回転される際の最大パワーと最小パワーとの差を特定することによって測定される。例示実施形態のPICにおける測定ポート-ポートPERは-45.3dBであり、これはここに記載されるWLI測定と一致する。2つの方法による3.1dBのPERの相違は、2つのファイバ-PIC接続において完全とはならないアライメントによって説明され得る。
【0047】
例示実施形態のPIC導波路の伝搬損失は、その透過スペクトルを測定することによって特定され得る。入力光は、0.02nmの半値全幅(FWHM)を有していた波長掃引レーザによって供給され得る。レーザは、PMファイバに結合され、インラインファイバ偏光子で線形に偏光され得る。ファイバ先端からの光出力は、導波路のTMモードのみを出射するように配列され得る。ファイバ先端は、局所的なファブリーペロー効果を回避するように導波路小平面から約0.2mm離れて配置され得る。透過光は、その出力光がパワーメータによって受光される第2のPMファイバに近接結合されてもよい。レーザ波長は、830nmから830.6nmまで0.02nmのステップサイズでスキャンされる。各波長ステップでの平均パワーが記録され、透過スペクトルのフーリエ変換値が理論スペクトルと比較される。例示実施形態のPIC導波路の伝搬損失は、0.24dB/cmと推定される。IFOG動作に対する波長域では、伝搬損失の強い変動はない。
【0048】
広帯域3dB分波比(すなわち、Y接合部の基部からその分岐へのパワーの均等な50-50分波)を有する導波路Y接合部は、サニャック干渉計の重要な構成要素である。動作波長域における50-50分波比を維持することは、ノイズ低減並びにバイアス及びスケールファクタ安定性に関して重要である。ファイバコイルにおいて生成される後方散乱信号によって誘発される位相誤差は、その50-50カプラ比で除去可能となる。FOG最小構成における50-50分波比を示さないY接合部は、(i)干渉Y接合部からベース導波路の方向に放射される、より反対称なモードを生成することがあり、(ii)より多くの迷光を回路に再結合させることがあり、かつ(iii)より多くの位相誤差を生成することがある。50-50分波比を示さないY接合部を有するサニャック干渉計はまた、50-50分波比を有するY接合部の使用時と比較して小さなスケールファクタを有し得る。分波比が波長とともに変化する場合、SLDの重心波長が温度とともに変化するので、追加のスケールファクタ誤差が導入され得る。
【0049】
記載のPICの実施形態は、その小型性、製造誤差に対する良好な許容度、及びLiNbO基板上のFOGアプリケーションに対するこのタイプのカプラの成功のために、簡素な対称Y接合部を用いる。PIC Y接合部の例示実施形態は、816nm~846nmの波長域に0.5±0.0068の分波比を示す。全ジャイロ動作波長域における50-50に非常に近い分波比は、IFOG PICにおける集積Y接合部を用いることの有利な効果を示す。この正確な分波比は、これらのPIC IFOGプロトタイプにおけるジャイロスコープバイアス及びスケールファクタの良好な温度安定性に寄与する。
【0050】
モードフィールドサイズを拡大する反転テーパーを有するPIC導波路に対するPMファイバの理論結合効率は、0.48dBである。記載の実施形態は、ここに記載されるファイバアレイの整列方法を用いてピグテール化されるPICでの接続あたり0.9dBの結合効率を常に達成する。伝搬損失は0.24dB/cmとして既知であるので、ピグテール損失は、2つの接続が同じ結合効率を有するものとして容易に推定可能となる。
【0051】
ファイバ接続端におけるPIC導波路の測定モードフィールドは、1/eのピークパワーに対して4.3μm(縦)×4.3μm(横)のサイズを有する。モードフィールド測定のために、線形偏光が、導波路のTEモードのみを励起するようにPICのソースポートに結合された。コイルポートの1つからの出力パターンが、大口径低歪レンズを用いてCCDカメラの検知面上に投影された。モードフィールドの実際のサイズは、校正された顕微鏡を用いてその外径が測定されたPMパンダファイバを用いて校正された。校正について、開裂されたファイバ先端がPIC出力部と同じ場所に配置され、ファイバ端画像が同じ光学系を用いてCCDカメラの表面に投影された。
【0052】
IFOGの高い性能を達成するためには、光学的相反性が、ファイバサニャック干渉計において保持されなければならない。最も賢明な偏波構成は、1つの線形偏波モードで動作する干渉計全体を制御することである。この目的のため、干渉計を構成する各構成要素及び接続は、偏波保持でなければならない。いずれの交差偏波結合及び他の種類の非相反性効果も、誤差のある信号をサニャック信号に付加する。例えば、寄生干渉が、サニャック干渉計における交差偏波結合に起因して、隣接する構成要素若しくは接続からの非導波迷光の再結合に起因して、又は非平滑導波路及び接続における後方反射若しくは後方散乱に起因して生成され得る。IFOG PICの高い集積度は、高密度の光学構成要素が狭い領域に配置されることによる非相反性効果を抑制するという新たな課題をもたらす。回路における構成要素及び接続の各々は、動作偏波モードの光を直交偏波モードに結合し、又は後続の回路及び隣接する構成要素によって容易に受光される非導波迷光を生成する欠点として作用し得る。交差偏波結合の場合、交差結合した光が主偏波モードであり、偏光解消長よりも短い導波路長内で主光と合流すると、干渉のために誤差のある比信号が真の信号に付加される。そのような寄生干渉の形成を防止するために、2つの交差結合点間の導波路長は、デコヒーレンス長よりも長くなければならない。迷光再結合の場合、再結合光路と主光路との差は、コヒーレンス解消長よりも長くなければならない。幸いに、集積導波路は、非常に高い複屈折率を有するように構成可能であるので、非常に短いデコヒーレンス長及びコヒーレンス解消長がPIC導波路に与えられる。シングルモードPM導波路を830nm波長において高い複屈折率及び低い伝搬損失とするために、大きな幅-高さ比(少なくとも50)のSi/SiO導波路が理想のプラットフォームを与える。
【0053】
導波路コア寸法を最適化するために、TEモード及びTMモードの有効屈折率が、市販のシミュレーションツールを用いてSiの幅及び高さの関数としてそれぞれ計算される。そして、導波路複屈折率が、2つの偏波モードの屈折率差として計算される。Si高さ-幅平面上において、導波路複屈折率は、0.03μmと0.04μmの間のSi高さ範囲において滑らかなリッジプロファイルを示すが(図7A参照)、2つのモードの屈折率は導波路の幅及び高さに対して単調増加する。「谷」の逆側における、より大きな導波路高さの領域では(図7A及び7B参照)、複屈折率は導波路高さに対して比較的急峻に増加する。Siコアの幅の選択は、導波路が第1の高次TEモードを維持し始める閾値によって制限される。伝搬損失は高次モードにおいて急激に増加するので導波路幅はシングルモード領域に位置していなければならず、偏波保持の特性は高次モードを維持する導波路に対しては保持されなくなる。マゼンタ色の実線は、シミュレーションされた閾値線である。したがって、最適導波路コア寸法は、図7Bの、複屈折率の0.012の輪郭線及び高次モードの閾値線によって包囲された領域内、又は右下角部の領域にある。
【0054】
伝搬損失は、導波路最適化に関する他の導波路特性である。一般に、光導波の減衰は、リークのない直線導波路に対する2つのメカニズムである表面散乱及びバルク吸収に主に帰することとなる。LPCVD Siコア材料及びSiOクラッド材料は非常に低い材料損失及び広い透過波長窓(例えば、0.4~6.7μm)を有するので、導波路損失についての支配的なメカニズムは、SiコアとSiOクラッドの間の導波路壁の表面粗さによる散乱から生じる放射損失である。側壁の粗さに起因する散乱損失の排除は、3次元(3D)導波構造が考慮されるように開発されてきた。顕著な結果は、上部界面及び底部界面が、Siコアの高さが約20nm~100nmの間にある場合の側壁を要因とするものよりも約3,4桁高い散乱損失をもたらすことである。
【0055】
以下の式は、対称シングルモード導波路における表面粗さ散乱によって生成される放射損失の係数として使用され得る。
【数2】
なお、
【数3】
はコア/クラッド界面における正規化電界強度であり、n及びnはコア及びクラッド材料の屈折率であり、kは自由空間波数であり、
【数4】
は指数的自己相関関数であり、なお、σは平均平方偏差であり、Lは底部界面及び上部界面の粗さの相関長であり、
【数5】
であり、なお、βはモード伝搬係数である。我々のシミュレーションでは、対称導波路が想定されており、それは上部界面及び底部界面からの寄与が同じであり、σ=0.8nm及びL=80nmであることを意味する。異なるコア高さ及び幅における、
【数6】
の値は、導波路モードフィールドを特定するのにビーム伝搬法を利用する市販の導波路シミュレーションツールを用いて特定され得る。伝搬損失は所望のコア寸法範囲においてコア高さ及び幅の双方に対して単調増加することを示すことができる。例えば、3.7μmの固定幅においてコア高さが10nmから60nmに増加する場合、損失は0.031dB/cmから0.524dB/cmに増加する(図8A参照)。
【0056】
高精度かつ高感度のFOGとするための重要な対策は、サニャック干渉計における交差偏波結合を最小化することである。これは、PIC FOGにおいては、集積導波路がより高い材料応力及びより多い光散乱を受けることになるとともに機能構成要素間の距離が近くなるので、より重要となる。FOG PICの導波路を「非常に」偏波保持的とすることは、交差偏波結合を軽減するのに重要である。非常に偏波保持的な導波路を作製するために、導波路は超高複屈折性及び超低散乱のものとなるように設計される必要がある。それらにより、導波路は、導波路材料(高複屈折率)における応力に起因して及び導波路界面(低散乱)における光散乱に起因して直交偏波状態に結合される動作偏光を有し難くなる。偏波状態を保持する能力の評価のためのパラメータはHパラメータ、すなわち、保持パラメータであり、それは、
【数7】
として定義される。ただし、Pは動作偏波状態における光パワーであり、Pは導波路の部分において直交偏波状態に交差結合される累積合計光パワーであり、Lは導波路部分の長さである。図5における測定WLIデータにおいて、前方ピグテール点(504)と後方ピグテール点(506)の間のノイズフロアは主に-63dB未満であり、累積合計P/Pは-60dB未満である。2つのピグテール点間の導波路長は3.3cmである。したがって、例示実施形態の導波路のHパラメータは、H~-45dB/mである。
【0057】
図9(a)、図9(b)及び図9(c)は、固定導波路幅において、図9(a)~図9(c)へ増加する導波路高さでの、シミュレーションされたモードフィールドを示す。モードフィールドは、横方向及び縦方向の双方における10nmコア高さにおいてSiOクラッドに劇的に押し込められる。これは、コア/クラッド界面における正規化電界強度
【数8】
を非常に小さな値とするので、導波路はそれに対応して低い伝搬損失を有する。より高い60nmのコア高さ及び同じ3.7μmの幅において、モードフィールドは横方向及び縦方向の双方においてSiコアストリップにより集中することになり(図9(c)参照)、より大きな
【数9】
の値及びより高い損失の導波路をもたらす。モードフィールドの変化は、図9(d)、図9(e)及び図9(f)に示すように、高さに対する変化よりも導波路幅に対して大幅に遅い。コアが固定の高さを有する場合にモードフィールドはコア幅の増加に対して略線形に横方向に拡張する一方で、モード高さはほとんど変化しない。この過程において、
【数10】
の値は増加し、より大きな導波路幅に対してはほとんど飽和するので、伝搬は図8Bに示すようになる。
【0058】
我々は、図7Bに示す複屈折率の等高線図及び図8Aにおける損失の等高線図を考慮して、導波路に対する最適なコア寸法に対する選択を行うことができる。我々は、導波路が高い複屈折率及び低い伝搬損失の双方を有するようにしたい。まず、図7Bにおける導波路複屈折率マップを検討する。シングルモード領域では、2つの候補位置があり、一方は複屈折率マップの中央の複屈折率の尾根の上部にあり、他方は右下角部における急峻な複屈折率勾配の稜線にある。2つの位置における複屈折率は、それぞれ0.015及び0.019である。0.019は、0.015から27%増加している。一方、図8Aの伝搬損失については、2つの対応する位置での損失は0.22dB/cm及び0.52dB/cmである。損失は、0.22dB/cmから0.52dB/cmの損失へと2倍超(136%)となる。我々は、滑らかな尾根領域において複屈折率が作製誤差に対してより安定かつ許容可能となること及び検知コイルのファイバモードフィールドへのより良好な一致を有するモードフィールド寸法をより薄型のSiコアが達成可能となることをさらに考慮して、複屈折率の尾根の上部に位置する導波路寸法を選択する。
【0059】
例示実施形態が具体的に図示及び記載されたが、添付の特許請求の範囲によって包含される実施形態の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の種々の変形がここになされ得ることは当業者には理解されるはずである。
【符号の説明】
【0060】
100 :IFOG
102 :PIC
104 :ファイバアレイ
106 :検知ファイバコイル
108 :PZT変調器
110 :光源
112 :光検出器
114 :ソースY接合部
116 :干渉Y接合部
118 :偏光子
120 :コイル/変調アセンブリ
402 :SLD(スーパールミネッセントダイオード)
404 :ソースポートファイバ
406 :ファイバ
408 :WLI(白色干渉計)
410 :アナライザ
502 :中心ピーク
504 :前方ピグテール
506 :後方ピグテール
508 :スプライス
510 :ソース構造体
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
【国際調査報告】