(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】消費者ベースの疾患の診断方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20220105BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20220105BHJP
【FI】
G16H50/20
G16H10/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519556
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 US2019055365
(87)【国際公開番号】W WO2020076928
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516316875
【氏名又は名称】ルシラ ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ ザ サード フランク ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ デブキショア
(72)【発明者】
【氏名】ワルデイセン ジョン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ディモフ アイバン クラステフ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA04
(57)【要約】
診断システムは、少なくとも光学特性修正デバイス及びモバイルデバイスを使用して疾患診断テストを実行する。使用者は、生物学的サンプルを光学特性修正デバイスに供給する。生物学的サンプルは、デバイスの反応チャンバ内で試薬と反応する。使用者は、モバイルデバイスを使用して光学特性修正デバイスの画像をキャプチャする。キャプチャされた画像の分析に基づいて、診断システムは疾患診断テストの結果を判定することができる。診断システムは、モバイルデバイスを介して使用者にテスト結果を提示する。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸ベースの診断テストを実行するように構成された光学特性修正デバイスであって、
生物学的サンプルを受け入れるように構成されたインターフェース、
前記生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応を実行するように構成された複数の反応チャンバ、及び
前記生物学的サンプルと少なくとも前記光学特性修正試薬との間の前記反応に基づく前記核酸ベースの診断テストの結果を提示するように構成された電子ディスプレイ
を備える、前記光学特性修正デバイス。
【請求項2】
前記電子ディスプレイが液晶ディスプレイである、請求項1に記載の光学特性修正デバイス。
【請求項3】
前記電子ディスプレイが有機発光ダイオードディスプレイである、請求項1に記載の光学特性修正デバイス。
【請求項4】
前記電子ディスプレイが電子ペーパーディスプレイである、請求項1に記載の光学特性修正デバイス。
【請求項5】
前記電子ディスプレイが1つまたは複数の発光ダイオードを備える、請求項1に記載の光学特性修正デバイス。
【請求項6】
診断テストの結果を判定するための方法であって、以下の工程を含む、方法:
診断テストを実行するように構成された光学特性修正デバイスの1つまたは複数の画像を受信する工程であって、
前記1つまたは複数の画像がモバイルデバイスの光学センサによってキャプチャされ、
前記光学特性修正デバイスが、
生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応を実行するように構成された複数の反応チャンバ、及び
前記生物学的サンプルと少なくとも前記光学特性修正試薬との間の前記反応に基づく前記診断テストの結果の表示を提示するように構成された電子ディスプレイ
を備える、前記受信する工程、
前記1つまたは複数の画像のうちのある画像が、前記光学特性修正デバイスの前記電子ディスプレイを描写していることを判定する工程であって、前記電子ディスプレイが前記診断テストの前記結果の前記表示をディスプレイする、前記判定する工程、
前記画像における、前記電子ディスプレイによってディスプレイされた前記表示、に少なくとも部分的に基づいて、前記診断テストの前記結果を判定する工程、及び
前記モバイルデバイスによる提示のために、前記診断テストの前記判定された結果を前記モバイルデバイスに提供する工程。
【請求項7】
前記診断テストの前記結果の前記表示が、人間が読める記号及び機械が読める記号のうちの1つまたは複数として提示される前記診断テストの前記結果を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記画像における、前記電子ディスプレイによってディスプレイされた前記表示、に少なくとも部分的に基づいて、前記診断テストの前記結果を判定する工程が、
前記画像における、前記電子ディスプレイによってディスプレイされた前記表示、に対して、光学パターンマッチング、光学テンプレートマッチング、及び光学文字認識のうちの少なくとも1つを実行して、前記診断テストの前記結果を判定すること
を含む、請求項6~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記モバイルデバイスの位置センサから前記モバイルデバイスの地理的位置を受信する工程、及び
前記地理的位置と前記地理的位置のタイムスタンプとを、前記診断テストの前記判定された結果と共に保存する工程
をさらに含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記診断テストの前記結果を判定する工程が、前記地理的位置及び前記タイムスタンプのうちの少なくとも1つにさらに基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記診断テストの前記結果、前記地理的位置、及び前記タイムスタンプを、患者の集団に関連付けられた複数のモバイルデバイスからの集約された診断テストの結果に基づく疫学データを含むサードパーティシステムに提供する工程
をさらに含む、請求項9~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
核酸ベースの診断テストを実行するように構成された光学特性修正デバイスであって、以下:
生物学的サンプルを受け入れるように構成されたインターフェース、及び
前記生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応を実行するように構成された複数の反応チャンバであって、前記複数の反応チャンバのレイアウトにより形成される幾何学的パターン、及び前記複数の反応チャンバ内の前記生物学的サンプルと少なくとも前記光学特性修正試薬との間の前記反応の色の少なくとも1つが、前記光学特性修正デバイスの外部の地点から見ることができるように、前記光学特性修正デバイスの表面に配置される、前記複数の反応チャンバ
を備える、前記光学特性修正デバイス。
【請求項13】
診断テストの結果を判定するための方法であって、以下の工程を含む、方法:
診断テストを実行するように構成された光学特性修正デバイスの1つまたは複数の画像を受信する工程であって、
前記1つまたは複数の画像がモバイルデバイスの光学センサによってキャプチャされ、
前記光学特性修正デバイスが、
前記光学特性修正デバイスの表面に配置された複数の反応チャンバであって、生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応を実行するように構成された、複数の反応チャンバ
を備える、前記受信する工程、
前記1つまたは複数の画像のうちのある画像が、前記光学特性修正デバイスに関連する既知の幾何学的特性及び既知の色の特性のうちの少なくとも1つを描写していることを判定する工程、
前記画像における、前記既知の幾何学的特性及び前記既知の色の特性の前記少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、前記診断テストの前記結果を判定する工程、及び
前記モバイルデバイスによる提示のために、前記診断テストの前記判定された結果を前記モバイルデバイスに提供する工程。
【請求項14】
前記既知の幾何学的特性が、前記光学特性修正デバイスの前記複数の反応チャンバのレイアウトによって形成された幾何学的パターンを含み、
前記既知の色の特性が、前記複数の反応チャンバ内の前記生物学的サンプルと少なくとも前記光学特性修正試薬の間の前記反応の色を含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記画像に描写された前記複数の反応チャンバのレイアウトによって形成された前記幾何学的パターンに基づいて、前記画像における前記複数の反応チャンバの各反応チャンバの位置を識別する工程、
前記画像における前記複数の反応チャンバの各反応チャンバの前記識別された位置での前記生物学的サンプルと少なくとも前記光学特性修正試薬との間の前記反応の前記色を判定する工程、及び
前記画像における各反応チャンバの前記識別された位置での前記画像の前記判定された色に少なくとも部分的に基づいて、前記診断テストの前記結果を判定する工程
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記モバイルデバイスの位置センサから前記モバイルデバイスの地理的位置を受信する工程、及び
前記地理的位置と前記地理的位置のタイムスタンプとを、前記診断テストの前記判定された結果と共に保存する工程
をさらに含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記診断テストの前記結果を判定する工程が、前記地理的位置及び前記タイムスタンプのうちの少なくとも1つにさらに基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記診断テストの前記結果、前記地理的位置、及び前記タイムスタンプを、患者の集団に関連付けられた複数のモバイルデバイスからの集約された診断テストの結果に基づく疫学データを含むサードパーティシステムに提供する工程
をさらに含む、請求項16~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
コンピュータプログラム製品であって、以下:
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
診断テストを実行するように構成された光学特性修正デバイスの1つまたは複数の画像を受信することであって、
前記1つまたは複数の画像がモバイルデバイスの光学センサによってキャプチャされ、
前記光学特性修正デバイスが、
生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応を実行するように構成された複数の反応チャンバ、及び
前記生物学的サンプルと少なくとも前記光学特性修正試薬との間の前記反応に基づく前記診断テストの結果の表示を提示するように構成された電子ディスプレイ
を備える、前記受信すること、
前記1つまたは複数の画像のうちのある画像が、前記光学特性修正デバイスの前記電子ディスプレイを描写していることを判定することであって、前記電子ディスプレイが前記診断テストの前記結果の前記表示をディスプレイする、前記判定すること、
前記画像における、前記電子ディスプレイによってディスプレイされた前記表示、に少なくとも部分的に基づいて、前記診断テストの前記結果を判定すること、及び
前記モバイルデバイスによる提示のために、前記診断テストの前記判定された結果を前記モバイルデバイスに提供すること
を行わせる、符号化された命令
を有する、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体
を備える、前記コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記診断テストの前記結果の前記表示が、人間が読める記号及び機械が読める記号のうちの1つまたは複数として提示される前記診断テストの前記結果を含む、請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
前記画像における、前記電子ディスプレイによってディスプレイされた前記表示、に少なくとも部分的に基づいて前記診断テストの前記結果を判定するための命令が、
前記画像における、前記電子ディスプレイによってディスプレイされた前記表示、に対して、光学パターンマッチング、光学テンプレートマッチング、及び光学文字認識のうちの少なくとも1つを実行して、前記診断テストの前記結果を判定する、命令
をさらに含む、請求項19~20のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項22】
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が、以下:
前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記モバイルデバイスの位置センサから前記モバイルデバイスの地理的位置を受信すること、及び
前記地理的位置と前記地理的位置のタイムスタンプとを、前記診断テストの前記判定された結果と共に保存すること
を行わせる、さらなる命令
を有する、請求項19~21のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
前記診断テストの前記結果を判定するための前記命令が、前記地理的位置及び前記タイムスタンプのうちの少なくとも1つにさらに基づく、請求項22に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が、以下:
前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記診断テストの前記結果、前記地理的位置、及び前記タイムスタンプを、患者の集団に関連付けられた複数のモバイルデバイスからの集約された診断テストの結果に基づく疫学データを含むサードパーティシステムに提供すること
を行わせる、さらなる命令
を有する、請求項22~23のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
コンピュータプログラム製品であって、以下:
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
診断テストを実行するように構成された光学特性修正デバイスの1つまたは複数の画像を受信することであって、
前記1つまたは複数の画像がモバイルデバイスの光学センサによってキャプチャされ、
前記光学特性修正デバイスが、
前記光学特性修正デバイスの表面に配置された複数の反応チャンバであって、生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応を実行するように構成された、前記複数の反応チャンバ
を備える、前記受信すること、
前記1つまたは複数の画像のうちのある画像が、前記光学特性修正デバイスに関連する既知の幾何学的特性及び既知の色の特性のうちの少なくとも1つを描写していることを判定すること、
前記画像における、前記既知の幾何学的特性及び前記既知の色の特性の前記少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、前記診断テストの前記結果を判定すること、及び
前記モバイルデバイスによる提示のために、前記診断テストの前記判定された結果を前記モバイルデバイスに提供すること
を行わせる、符号化された命令
を有する、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体
を備える、前記コンピュータプログラム製品。
【請求項26】
前記既知の幾何学的特性が、前記光学特性修正デバイスの前記複数の反応チャンバのレイアウトによって形成された幾何学的パターンを含み、
前記既知の色の特性が、前記複数の反応チャンバ内の前記生物学的サンプルと少なくとも前記光学特性修正試薬の間の前記反応の色を含む、
請求項25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が、以下:
前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記画像に描写された前記複数の反応チャンバのレイアウトによって形成された前記幾何学的パターンに基づいて、前記画像における前記複数の反応チャンバの各反応チャンバの位置を識別すること、
前記画像における前記複数の反応チャンバの各反応チャンバの前記識別された位置での前記生物学的サンプルと少なくとも前記光学特性修正試薬との間の前記反応の前記色を判定すること、及び
前記画像における各反応チャンバの前記識別された位置での前記画像の前記判定された色に少なくとも部分的に基づいて、前記診断テストの前記結果を判定すること
を行わせる、さらなる命令
を有する、請求項26に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項28】
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が、以下:
前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記モバイルデバイスの位置センサから前記モバイルデバイスの地理的位置を受信すること、及び
前記地理的位置と前記地理的位置のタイムスタンプとを、前記診断テストの前記判定された結果と共に保存すること
を行わせる、さらなる命令
を有する、請求項25~27のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項29】
前記診断テストの前記結果を判定するための前記命令が、前記地理的位置及び前記タイムスタンプのうちの少なくとも1つにさらに基づく、請求項28に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項30】
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が、以下:
前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記診断テストの前記結果、前記地理的位置、及び前記タイムスタンプを、患者の集団に関連付けられた複数のモバイルデバイスからの集約された診断テストの結果に基づく疫学データを含むサードパーティシステムに提供すること
を行わせる、さらなる命令
を有する、請求項28~29のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年10月9日出願の米国特許出願第16/155,829号に対する優先権及び利益を主張し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
1. 技術分野
本明細書は、概して、疾患の診断、特に画像ベースの疾患診断テストを実行するための可搬式システムに関する。
【背景技術】
【0003】
2. 関連技術の説明
多くの疾患診断テストはベンチトップ機器を使用して検査室のセッティングで実行されるが、マイクロフルイディクスなどの医療技術の進歩により、使用者はより小型でより可搬性の高い機器を使用して診断テストを実行できるようになった。例えば、診断テストに対するイムノアッセイを完了するために必要なハードウェアは、ハンドヘルドデバイスに適合させることができる。しかし、従来型のテストプロセスでは、看護師、医師、検査技師などの訓練を受けた担当者がハンドヘルドデバイスを分析してテスト結果を判定する必要がある。したがって、例えば、患者は医療クリニックなどの施設を訪問する必要があるか、または、訓練を受けた担当者が患者の自宅まで患者を訪問する必要がある。あるいは、患者は、生物学的サンプルを使用してイムノアッセイを実行するために、患者の自宅で患者の生物学的サンプル(口腔または鼻孔スワブなど)を収集し、生物学的サンプルを検査室に郵送することができる。
【0004】
上記の例では、これらのプロセスには人(複数可)の移動または幾分かのテスト材料の輸送が必要なため、迅速なテスト結果は得られない。さらに、医療リソースと人員が不足している遠隔地では、従来型のテストプロセスを使用して診断テストを実行することは特に困難である。電気通信の発展は、遠隔での患者の診断を実現する遠隔医療技術の成長に拍車をかけてきた。しかし、患者が自宅で快適に完了できる、信頼性が高く可搬性のエンドツーエンドシステムを使用してポイントオブケアの診断テストを実行することは、依然として困難である。
【発明の概要】
【0005】
概要
診断システムは、少なくとも光学特性修正デバイス及びモバイルデバイスを使用して、疾患診断テスト(本明細書では「診断テスト」または「核酸疾患診断テスト」とも呼ばれる)を実行する。光学特性修正デバイスは、複数の反応チャンバを含む。反応チャンバは、生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、光学特性修正デバイスは、生物学的サンプルを受け入れるように構成されたインターフェースを含むことができる。診断システムは、モバイルデバイスを介して診断テストの指示を使用者に伝達できる。
【0006】
特定の実施形態では、複数の反応チャンバのレイアウトにより形成される幾何学的パターン、及び複数の反応チャンバ内の生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応の色の少なくとも1つは、光学特性修正デバイスの外部の地点から見ることができるように、複数の反応チャンバが光学特性修正デバイスの表面に配置され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、光学特性修正デバイスは、診断テストの結果の表示を表示するように構成された電子ディスプレイを含む。電子ディスプレイは、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ、及び/または1つまたは複数の発光ダイオード(LED)であり得る。いくつかの実施形態では、光学特性修正デバイスの電子ディスプレイによって提示される診断テストの結果の表示は、診断テストの実際の結果であり得る。表示は、テキストなどの人間が読める記号、バーコードなどの機械が読める記号、及び任意のその他の種類の記号として電子ディスプレイによって表示できる。
【0008】
使用者は、生物学的サンプルを光学特性修正デバイスに供給する。光学特性修正デバイスがインターフェースを含む実施形態では、使用者は、生物学的サンプルを光学特性修正デバイスのインターフェースに供給する。生物学的サンプルは、デバイスの反応チャンバ内で光学特性修正試薬と反応する。例えば、光学特性修正デバイスは、反応チャンバ内の生物学的サンプル及び光学特性修正試薬を含む溶液の色を変化させる核酸増幅アッセイを実行する。
【0009】
いくつかの実施形態では、使用者は、モバイルデバイスの光学センサ(例えば、カメラ)を使用して、光学特性修正デバイスの1つまたは複数の画像をキャプチャする。使用者によってキャプチャされた光学特性修正デバイスの画像は、光学特性修正デバイスの異なる部分を含むことができる。場合によっては、使用者がモバイルデバイスを画像にキャプチャされている光学特性修正デバイスの部分に位置合わせするのを助けるために、モバイルデバイスにディスプレイされる光学特性修正デバイスまたはユーザインターフェースは、視覚的マーカーを付与することができる。
【0010】
診断システムは、モバイルデバイス、またはモバイルデバイスと通信しているコンピュータサーバでキャプチャされた1つまたは複数の画像を分析する。第1に、いくつかの実施形態では、診断システムは、例えば、光学特性修正デバイスに関連することが知られている幾何学的特性及び/または色の特性に基づいて、光学特性修正デバイスが画像に含まれるかどうかを判定することができる。反応チャンバが光学特性修正デバイスの表面に配置される実施形態では、光学特性修正デバイスに関連することが知られている幾何学的特性は、例えば、光学特性修正デバイスの反応チャンバのレイアウトによって形成される幾何学的パターンを含むことができる。別の例として、反応チャンバが光学特性修正デバイスの表面に配置される実施形態では、光学特性修正デバイスに関連することが知られている色の特性は、例えば、反応チャンバ内の生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応の色を含むことができる。診断システムはまた、光学特性修正デバイスに関連することが知られている他のいずれかの幾何学的特性及び/または色の特性に基づいて、光学特性修正デバイスが画像に含まれるかどうかを判定することができる。
【0011】
さらなる実施形態では、診断システムは、光学特性修正デバイスの特定の部分がキャプチャされた画像に含まれるかどうかを判定することができる。例えば、診断システムは、光学特性修正デバイスの電子ディスプレイが画像に含まれているかどうかを判定することができる。診断システムは、スキュー、スケール、フォーカス、シャドウイング、またはホワイトバランスなどの因子に基づいて画像の質のレベルを判定することもできる。診断システムは、上記の判定のいずれかに基づいて、さらなる分析のためにキャプチャされた画像の1つまたは複数を選択することができる。例えば、診断システムは、さらなる分析のために、電子ディスプレイなどの光学特性修正デバイスの特定の部分を含むと判定されたキャプチャされた画像を選択することができる。
【0012】
次に、診断システムは、モバイルデバイスによってキャプチャされた光学特性修正デバイスの画像に少なくとも部分的に基づいて、診断テストの結果を判定する。診断テストの結果には、例えば、陽性の結果、陰性の結果、定量的結果、及び/または未判定の結果が含まれ得る。
【0013】
例えば、モバイルデバイスによってキャプチャされた画像が、診断テストの結果の表示を表示する光学特性修正デバイスの電子ディスプレイを描写する実施形態では、診断システムは、画像における、電子ディスプレイによってディスプレイされた表示の少なくとも一部に基づいて、診断テストの結果を判定する。具体的には、モバイルデバイスによってキャプチャされた画像が、実行された診断テストの結果の表示を表示する光学特性修正デバイスの電子ディスプレイを含み、キャプチャされた画像において電子ディスプレイによってディスプレイされた表示に基づいて診断テストの結果を判定する実施形態において、画像における、電子ディスプレイによってディスプレイされた表示のための光学パターンマッチング、光学テンプレートマッチング、及び光学文字認識のうちの少なくとも1つを実行することができる。
【0014】
同様に、モバイルデバイスによってキャプチャされた画像が、光学特性修正デバイスの表面に配置された複数の反応チャンバを描写する実施形態では、診断システムは、光学特性修正デバイスと関連付けられ、画像に描かれている既知の幾何学的特性及び既知の色の特性のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、診断テストの結果を判定する。具体的には、反応チャンバのレイアウトによって形成される幾何学的パターンなど、光学特性修正デバイスの既知の幾何学的特性に基づいて、画像の各反応チャンバの位置を識別することができる。次に、画像内の各反応チャンバの識別された位置での画像の色を判定することができる。各反応チャンバの識別された色は、診断テストの結果を判定するために、光学特性修正デバイスの既知の色の特性と比較することができる。
【0015】
診断システムは、診断テストの判定された結果を、モバイルデバイスを介して使用者に伝達することができる。さらに、いくつかの実施形態では、診断テストの結果に基づくスポンサー付きコンテンツを含むメッセージが生成され、モバイルデバイスを介して使用者に与えられる。診断システムはまた、判定された結果を、医師または薬局、政府機関、例えば米国疾病対策センター(CDC)、保険会社、遠隔医療パートナー、治療関連メーカー、及び疾患の予防及び/または治療を支援するその他いずれかのサードパーティシステムなどの医療提供者を含むサードパーティシステムに、提供することができる。例えば、診断テストの結果を薬局に提供することで、薬局は使用者の処方を履行することができる。別の例として、診断テストの結果は、医師が結果に関連する状態を治療するための推奨をすることができるように、使用者から所定の距離までに位置する医師に提供することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、モバイルデバイスの地理的位置及び/または地理的位置のタイムスタンプは、診断テストの実行前、実行後、及び/または実行中の1つまたは複数の時点で判定される。例えば、モバイルデバイスの地理的位置及び地理的位置のタイムスタンプは、診断テストの結果がモバイルデバイスを介して使用者に提供されるときに判定され得る。モバイルデバイスの地理的位置は、モバイルデバイスの全地球測位システム(GPS)センサなどの位置センサによって判定することができる。次に、特定の実施形態では、診断システムは、地理的位置及び/または地理的位置のタイムスタンプを、診断テストの判定された結果と共に格納することができる。いくつかのさらなる実施形態では、診断テストの結果は、判定された地理的位置及びタイムスタンプのうちの少なくとも1つに部分的に基づいて、判定される。例えば、いくつかの実施形態では、診断テストの結果の感度及び特異度は、疾患有病率の地理空間的及び季節的変動に基づいて調整することができる。さらなる実施形態では、地理的位置及びタイムスタンプのデータに加えて、またはその代わりに、メタデータを、診断テストの結果と共に、上記のサードパーティシステムの1つまたは複数に提供することができる。例えば、使用者の電子健康記録、使用者のバイタルサイン、及び他のいずれかの関連情報からのデータは、1つまたは複数のサードパーティシステムに提供され得る。
【0017】
モバイルデバイスの地理的位置及び/または地理的位置のタイムスタンプが判定される実施形態では、地理的位置及び/またはタイムスタンプは、診断テストの結果と共に、簡単に上記した通り、サードパーティシステムに提供され得る。例えば、診断テストの結果、地理的位置、及びタイムスタンプは、患者の集団に関連付けられた複数のモバイルデバイスからの集約された診断テストの結果に基づく疫学データを格納するサードパーティシステムに提供できる。この疫学データは、例えば、疾患の予防に使用できる。
【0018】
光学特性修正デバイス、モバイルデバイス、及び生物学的サンプル用のスワブや収集管などの他のいずれかのテスト機器はすべて可搬性である。したがって、患者は自宅で疾患診断テストの化学反応部分を完了することができるため、中央検査室で疾患診断テストを実行する必要はない。さらに、モバイルデバイス(またはモバイルデバイスと通信するコンピュータサーバ)が画像分析を実行して診断テストの結果を判定するため、診断システムは医療提供者からの入力を必要とせずに迅速な診断を供給できる。さらに、診断システムは、様々なタイプのモバイルデバイス及び光学センサからキャプチャされた画像を標準化するように構成されているため、診断システムによる診断テストの結果の判定は、モバイルデバイスハードウェアとは無関係である。したがって、診断システムは、患者が自宅から出たり、テスト物質を検査室に郵送したり、医療提供者に訪問してもらったりすることなく、自宅(または他の患者の場所)で診断テストを好都合にも完了することができるポイントオブケアシステムである。
【0019】
本開示の別の実施形態では、モバイルデバイスによってキャプチャされた光学特性修正デバイスの1つまたは複数の画像を使用して診断テストの結果を判定するのではなく、光学特性修正デバイスは、診断テストの結果を判定する際に診断システムによって使用させるために、1つまたは複数のデータストリームを診断システムに送信する。そのような実施形態では、光学特性修正デバイスは、光学特性修正デバイスからデータストリームを送信するように構成されたデータストリーム送信モジュールをさらに含む。データストリーム内で光学特性修正デバイスから診断システムに送信される情報は、モバイルデバイスが代替の実施形態で画像にキャプチャする情報のいずれか、またいくつかの実施形態ではさらなる情報さえをも含むことができる。データストリームは、電磁無線周波数送信(例えば、ブルートゥース)、超音波送信、及び/または音声送信を介して、光学特性修正デバイスから送信することができる。超音波送信を介してデータストリームを送信する利点には、特殊なRFハードウェアまたはソフトウェアのペアリングなしで大規模なデータ構造を迅速に送信できることが含まれる。
【0020】
本開示のさらに別の実施形態では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに上記の方法の任意の実施形態を実行させる命令を格納する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態による、疾患診断テストを実施するためのシステム環境の図である。
【
図2A】一実施形態による、モバイルデバイスと共に使用するための光学特性修正デバイスの図である。
【
図2B】別の実施形態による、モバイルデバイスと共に使用するための光学特性修正デバイスの図である。
【
図3】一実施形態による、診断システムのブロック図である。
【
図4-1】
図4Aは、一実施形態による、疾患診断テストのためのモバイルアプリケーションのユーザインターフェースを示す。
図4Bは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェースを示し、疾患診断テストに関する情報を含む。
図4Cは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェースを示し、スワブを使用するための指示を含む。
図4Dは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェースを示し、収集管を使用するための指示を含む。
図4Eは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェースを示し、カートリッジを使用するための指示を含む。
【
図4-2】
図4Fは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェースを示し、疾患診断テストの化学反応が完了するのを待つ指示を含む。
図4Gは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェースを示し、カートリッジをスキャンするための指示を含む。
図4Hは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェースを示し、疾患診断テストの結果を含む。
【
図5】
図5Aは、一実施形態による、従来のシステム環境において疾患診断テストを実施するためのデータフロー図である。
図5Bは、一実施形態による、診断システムを含むシステム環境において疾患診断テストを実施するためのデータフロー図である。
【
図6】一実施形態による、疾患診断テストのテスト結果を判定するためのプロセスを示すフローチャートである。
【0022】
これらの図は、例示のみを目的として、本発明の実施形態を示している。当業者は、本明細書において例示される構造及び方法の代替的実施形態が、本明細書に記載の本発明の原理から逸脱することなく採用され得ることを、以下の考察から容易に認識する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
I.例示的なシステムの概要
図1は、一実施形態による、疾患診断テストを実施するためのシステム環境の図である。システム環境は、診断サーバ150、モバイルデバイス110、光学特性修正デバイス120、及び1つまたは複数の医療提供者130を含む。診断サーバ150、モバイルデバイス110、及び医療提供者130は、ネットワーク140を介して互いに接続することができる。他の実施形態では、異なる及び/または追加のエンティティをシステム環境に含めることができる。
図1の様々なエンティティによって実行される機能は、異なる実施形態において変動し得る。
【0024】
モバイルデバイス110は、少なくともモバイルデバイス110(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータなど)及び光学特性修正デバイス120を使用して使用者によって実行される疾患診断テストのテスト結果を判定するための診断システム100を含む電子デバイスである。モバイルデバイス110及び光学特性修正デバイス120は可搬式であるため、使用者は、疾患診断テストのために、患者の自宅、または病院または中央検査室などの医療施設の外の任意の他の適切な場所で、疾患診断テストを実行することができる。診断サーバ150は、いくつかの実施形態では、診断システム100のいくつかまたはすべての機能を実行することができるコンピュータサーバである。
【0025】
モバイルデバイス110の使用者は、モバイルアプリケーションを介して診断システム100と対話する。モバイルアプリケーションは、診断システム100からの情報を通信する。例えば、モバイルアプリケーションは、モバイルデバイス110の電子ディスプレイにディスプレイされるグラフィカルユーザインターフェース上で、疾患診断テストの命令または結果を提示することができる。別の例として、モバイルアプリケーションは、音声信号または触覚フィードバックを介して情報を提供する(例えば、モバイルデバイス110を振動させる)。モバイルデバイス110で実行されているモバイルアプリケーションは、モバイルデバイス110のセンサから診断システム100にデータを提示することができる。例えば、モバイルデバイス110は、光学特性修正デバイス120の画像をキャプチャするためのカメラなどの光学センサを含む。モバイルデバイス110は、さらなる処理のために、キャプチャされた画像を診断システム100に提示することができ、これは、
図3を参照してさらに説明される。他の例として、モバイルデバイス110はまた、全地球測位システム(GPS)センサなどの位置センサ、加速度計、ジャイロスコープ、または慣性測定ユニットなどのモーションセンサ、近接センサ、または温度センサを含むことができる。
【0026】
モバイルデバイス110は、ネットワーク140を介して診断サーバ150及び医療提供者130と通信することができ、ネットワーク140は、有線または無線通信リンクを使用するローカルエリア及びワイドエリアネットワークの任意の組み合わせを含むことができる。一実施形態では、ネットワーク140は、標準的な通信技術及びインターネットプロトコルを使用する。いくつかの実施形態では、ネットワーク140の通信リンクのすべてまたは一部を暗号化して、例えば、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)への準拠のための技術的保護手段を提供することができる。
【0027】
本開示を通して、光学特性修正デバイス120からモバイルデバイス110、医療提供者130、及び/または診断サーバ150への情報の送信は、画像ベースの送信として説明される。具体的には、本開示全体を通して、情報は、光学特性修正デバイス120からモバイルデバイス110、医療提供者130、及び/またはモバイルデバイス110によってキャプチャされた光学特性修正デバイス120の画像を介して診断サーバ150に送信されるものとして論じられる。しかし、追加または代替の実施形態では、光学特性修正デバイス120から、モバイルデバイス110によってキャプチャされた画像を介してシステム環境の他のモジュールに情報を送信するのではなく、光学特性修正デバイス120は、データを1つ以上の代替手段、例えば電磁無線周波数送信(Bluetooth、WiFiなど)、超音波送信、音声送信、またはその他のタイプの非画像ベースの送信を介して、システム環境の他のモジュールに直接送信することができる。例えば、いくつかの実施形態では、光学特性修正デバイス120は、直接光学特性修正デバイス120からデータを送信するように構成されたデータ送信モジュールを含むことができる。したがって、そのような実施形態では、診断システムは、モバイルデバイス110から受信した画像とは対照的に、光学特性修正デバイス120から直接受信したデータに基づいて診断テストの結果を判定することができる。データ送信のこれらの代替の実施形態は、本開示の残りの部分では論じられないが、いくつかの実施形態では、データ送信のこの代替のモードは、画像ベースのデータ送信の代わりにまたはそれに加えて実施され得ることに留意されたい。
【0028】
図1に戻ると、医療提供者130は、薬局、中央検査室(例えば、疾患診断テストのための化学反応を完了するため)、病院、他のタイプの医療用施設などの医療提供者、または医療サービスの他のいずれかの適切な提供者に関連するコンピュータサーバである。例示的な使用例として、診断システム100は、患者の疾患診断テストの結果を薬局に提示する。その結果に基づいて、薬局は患者に適切な処方箋を判断する。
【0029】
図2Aは、一実施形態による、モバイルデバイス110と共に使用するための光学特性修正デバイス120の図である。
図2Aに示す実施形態では、光学特性修正デバイス120(本明細書では「カートリッジ」とも呼ばれる)は、収集管インターフェース230、1つまたは複数の反応チャンバ240、インジケータ250、及びQRコード260を含む。代替の実施形態では、光学特性修正デバイス120は、
図2Aに示されるものよりも少ないまたは追加の構成要素を含むことができる。
【0030】
疾患診断テストを実施するために、使用者は、光学特性修正デバイス120を使用して、患者の生物学的サンプル(例えば、核酸を含む)を、反応チャンバ240内の光学特性修正試薬と反応させる。いくつかの実施形態では、光学特性修正デバイス120は、収集管インターフェース230を介して収集管200から生物学的サンプルを受け入れることができる。疾患診断テストを実行している間、モバイルデバイス110は、例えば、
図4A~Hを参照して以下でさらに説明するように、モバイルデバイス110のグラフィカルユーザインターフェースを介して、テストのための指示を使用者に提供することができる。
【0031】
インジケータ250は、光学特性修正デバイス120によって実行されている疾患診断テストの状態の表示をもたらす発光ダイオード(LED)であり得る。例えば、インジケータ250は、テストがまだ開始されていないことを示す赤色の光、テストが進行中であることを示す黄色の光、及びテストが完了したことを示す緑色の光を表示することができる。他の実施形態では、インジケータ250は、LED(例えば、オーディオインジケータ)とは異なる別のタイプのインジケータであり得、光学特性修正デバイス120は、任意の数のインジケータ250(ゼロを含む)を含むことができる。
【0032】
上記のように、
図2Aに示される光学特性修正デバイス120の実施形態は、QRコード260を含む。QRコード260は、テストのタイプまたはテストの有効期限などの疾患診断テストのための情報に関連付けることができる。診断システム100は、モバイルデバイス110の光学センサによってスキャンされたQRコード260の画像を処理することによって、疾患診断テストのための情報を判定することができる。QRコード260はまた、バーコード、他の識別子、または機械可読署名などの別のタイプのコードであり得る。光学特性修正デバイス120の実施形態はQRコード260を含むが、いくつかの代替実施形態では、光学特性修正デバイス120はQRコードを含まない。
【0033】
1つの使用例では、光学特性修正デバイス120は、生物学的サンプル中の特定の遺伝子標的の存在または量を判定するために、反応チャンバ240を使用して、核酸(複数可)、例えば核酸の増幅を含む一種の疾患診断テストを実行する。例えば、光学特性修正デバイス120は光学特性修正試薬を受け入れるように構成され、これは対象の生物に特異的な標的核酸配列と特異的である、核酸酵素及びプライマーを含む溶液である。生物学的サンプル内のこの標的核酸配列の存在または量は、患者が特定の病原体に感染しているか、または特定の遺伝病を患っていることを示し得る。さらに、光学特性修正試薬は、標的増幅時に色を変化させるかまたは蛍光を発する色素を含み、その結果、溶液の色の特性に目に見える変化をもたらす。したがって、診断システム100は、生物学的サンプル及び光学特性修正試薬の溶液の色の特性を分析して、疾患診断テストの結果を判定することができる。いくつかの実施形態では、光学特性修正デバイス120は、イムノアッセイまたは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの他のテストを実行することができる。
【0034】
図2Aに示される光学特性修正デバイス120の実施形態では、反応チャンバ240は、光学特性修正デバイス120の表面に配置され、その結果、反応チャンバ240及びそれらの内容物は、光学特性修正デバイス120の表面から少なくとも部分的に見える。そのような実施形態では、モバイルデバイス110は、反応チャンバ240及びそれらの内容物の画像をキャプチャすることができる。さらに、反応チャンバ240が光学特性修正デバイス120の表面に配置されるそのような実施形態では、画像が光学特性修正デバイス120を描写していることを判定するために、画像が光学特性修正デバイス120の反応チャンバ240に関連していることが既知である色の特性及び幾何学的特性の1つまたは複数を描写していることを判定することができる。光学特性修正デバイス120の反応チャンバ240に関連していることが既知である幾何学的特性は、反応チャンバのレイアウトによって形成された幾何学的パターンを含むことができる。光学特性修正デバイス120の反応チャンバ240に関連していることが既知である色の特性は、デバイスの反応チャンバ内の生物学的サンプルと光学特性修正試薬との間の反応の色を含むことができる。
【0035】
診断システムはまた、光学特性修正デバイス120の反応チャンバ240の画像で識別される色の特性及び幾何学的特性の1つまたは複数を使用して、光学特性修正デバイス120によって実行される診断テストの結果を判定することができる。より具体的には、光学特性修正デバイス120の既知の幾何学的特性を使用して、各反応チャンバの位置を画像内で識別することができる。次に、画像内の各反応チャンバの識別された位置での画像の色を判定することができる。これらの識別された色は、光学特性修正デバイス120の既知の測色の特性と比較して、光学特性修正デバイス120によって実行された診断テストの結果を判定することができる。このようにすると、モバイルデバイス110を使用して光学特性修正デバイス120の画像をキャプチャすることにより、光学特性修正デバイス120によって実行された診断テストの結果の判定が可能になる。
【0036】
代替の実施形態では、
図2Bに関して以下で実施形態で論じられるように、反応チャンバ240は、光学特性修正デバイス120の表面からは見えず、したがって、反応チャンバ240の内容物はまた見えない。
図2Bに関して以下で論じられるように、そのような実施形態では、光学特性修正デバイス120によって実行される診断テストの結果を判定する代替手段を使用することができる。
【0037】
光学特性修正デバイス120は、複数の疾患診断テストを並行してまたは連続して実行することができる。
図2Aの例に示す光学特性修正デバイス120は、5つの反応チャンバ240を含むが、他の実施形態では、反応チャンバの数は異なり得る。各反応チャンバは、別の反応チャンバに連結できる場合とできない場合がある。さらに、所与の疾患診断テストは、1つまたは複数の反応チャンバに関連付けることができる。例えば、
図2Aに示す光学特性修正デバイス120は、反応チャンバの2つに関連するインフルエンザA型テスト、反応チャンバの1つに関連するインフルエンザB型テスト、反応チャンバの1つに関連する陽性の内的コントロールテスト、及び反応チャンバの1つに関連する陰性の内的コントロールテストを実行するために使用される。いくつかの実施形態では、複数のテストが少なくとも1つの共通の反応チャンバに関連付けられ、これは、光学特性修正デバイス120に必要な数の反応チャンバを統合するのに有利であり得る。
【0038】
図2Aには示されていないが、いくつかの実施形態では、光学特性修正デバイス120は、タブ、ボタン、またはスイッチといったユーザコントロールを含むことができる。そのような実施形態では、光学特性修正デバイス120は、使用者がユーザコントロールと相互作用するときに、疾患診断テストの化学反応を開始する。例えば、使用者がタブを引くか、ボタンを押すか、またはスイッチを作動させると、光学特性修正デバイス120は、光学特性修正試薬を生物学的サンプルと混合し始め、反応チャンバの温度を適切な設定温度ポイントに調節することができる。他の実施形態では、光学特性修正デバイスは、生物学的サンプルが提示されると、反応チャンバの混合及び温度の調整を自動的に開始することができる。
【0039】
収集管200は、生物学的サンプルを貯蔵するように構成され、カートリッジインターフェース210及びキャップ220を含む。使用者は、例えば、スワブを使用して、生物学的サンプルを収集管200に供給することができる。キャップ220は、収集管200内の生物学的サンプルを封入している。使用者は、収集管200のカートリッジインターフェース210を光学特性修正デバイス120の収集管インターフェース230に物理的に接触させることによって、収集管200を光学特性修正デバイス120に取り付けることができる。取り付けられると、収集管200は、インターフェース210及び230を介して、保存された生物学的サンプルを光学特性修正デバイス120に供給することができる。
図2Aに示す収集管200は、円筒形の管であり、他の実施形態では、収集管200は、長方形のプリズムなど、異なる全体的な形状または形状因子を有することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、収集管は、生物学的サンプルを光学特性修正デバイス120に供給するために使用されない。
【0040】
図2Bは、別の実施形態による、モバイルデバイス110と共に使用するための光学特性修正デバイス120の図である。
図2Aに示される光学特性修正デバイス120の実施形態とは異なり、
図2Bに示される光学特性修正デバイス120の実施形態において、デバイスの反応チャンバは、デバイスの表面に配置されておらず、したがって、光学特性修正デバイス120の外部の地点からは見えない。
【0041】
代わりに、
図2Bに示される光学特性修正デバイス120の実施形態では、光学特性修正デバイス120は、表面上に電子ディスプレイ270を含む。電子ディスプレイ270は、他のタイプのディスプレイの中でも、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ、または1つまたは複数の個別の発光ダイオード(LED)であり得る。電子ディスプレイ270は、光学特性修正デバイス120によって実行される診断テストの1つまたは複数の結果の表示を提示するように構成される。より具体的には、電子ディスプレイ270は、光学特性修正デバイス120の反応チャンバ内の生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応に基づく診断テストの1つまたは複数の結果の表示を提示するように構成される。いくつかの実施形態では、電子ディスプレイ270によって提示される診断テストの結果の表示は、人間が読める記号(例えば、英数字またはグラフィックス)及び機械の読み取り可能な記号(例えば、バーコードやQRコード)の1つまたは複数として提示される、診断テストの実際の判定された結果を含むことができる。例えば、
図2Bに示される実施形態では、電子ディスプレイ270は、診断テスト「インフルエンザA陽性」の実際の判定された結果を、人間が読める記号で提示する。
【0042】
電子ディスプレイ270によって提示される診断テストの結果の表示は、反応チャンバの色の特性及び幾何学的特性の1つまたは複数に基づくことができる。ソフトウェアアルゴリズムは、反応チャンバの色の特性及び幾何学的特性の1つまたは複数に基づいて、電子ディスプレイ270によってディスプレイされる表示を判定することができる。上記のように、色の特性は、例えば、反応チャンバ内の生物学的サンプルと少なくとも光学特性修正試薬との間の反応の色を含むことができる。幾何学的特性は、例えば、光学特性修正デバイス120の反応チャンバのレイアウトによって形成される幾何学的パターンを含むことができる。
【0043】
光学特性修正デバイス120によって実行される診断テストの結果の表示が光学特性修正デバイス120の電子ディスプレイ270上に提示されるそのような実施形態では、モバイルデバイス110は、電子ディスプレイ270の画像をキャプチャすることができる。例えば、
図2Bに示されるように、モバイルデバイス110は、光学特性修正デバイス120の上に配置されて、光学特性修正デバイス120の電子ディスプレイ270の写真またはビデオをスキャンまたは撮影することができる。次に、診断システムは、画像認識プロセスを使用して、画像にキャプチャされた電子ディスプレイ270によって提示された表示に基づいて診断テストの結果を判定することができる。画像認識プロセスは、例えば、当業者に知られている光学パターンマッチング、光学テンプレートマッチング、または光学文字認識(OCR)アルゴリズムを含むことができる。例として、
図2Bに示されるように、診断システムは、モバイルデバイス110によってキャプチャされた光学特性修正デバイス120の電子ディスプレイ270の画像が、インフルエンザAの陽性診断を示すメッセージを提示することを認識することができる。認識に応答して、モバイルデバイス110は、使用者に対し次のステップのためのさらなる解釈またはオプションを提供することができる。
【0044】
図2Aに示される光学特性修正デバイス120の実施形態は、光学特性修正デバイス120の表面に配置され、電子ディスプレイを備えていない反応チャンバ240を含み、
図2Bに示される光学特性修正デバイス120の実施形態は、電子ディスプレイ270、及び光学特性修正デバイス120の表面に配置されていない反応チャンバを含むが、代替の実施形態では、
図2A~Bに示される光学特性修正デバイス120の実施形態の特徴は、任意の組み合わせで生じ得る。例えば、光学特性修正デバイス120の別の実施形態は、電子ディスプレイ270と、光学特性修正デバイス120の表面に配置された反応チャンバ240の両方を含み得る。
【0045】
II.例示的なシステムの構成
図3は、一実施形態による、診断システム100のブロック図である。診断システム100は、使用者データストア310、画像処理エンジン320、画像分析エンジン330、診断テストエンジン340、及びテストデータストア350を含む。他の実施形態では、診断システム100は、様々な用途のための追加の、より少ない、または異なる構成要素を含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、診断システム100の機能のいくつかまたはすべては、モバイルデバイス110の代わりに診断サーバ150によって実行されるか、または診断サーバ150上で実装され得る。例えば、モバイルデバイス110は、画像処理エンジン320を使用して光学特性修正デバイス120の画像を取得し、画像分析エンジン330によるさらなる処理のために画像を診断サーバ150に提示することができる。次に、モバイルデバイス110は、診断サーバ150によって判定されたテスト結果を受信し、テスト結果を使用者に伝達することができる。画像分析エンジン330は、画像処理エンジン320またはモバイルデバイス110の診断システム100の他のコンポーネントと比較して、より多くの計算リソースを必要とし得るので、これは有利であり得る。
【0047】
使用者データストア310は、診断テストを完了した、または完了する予定の患者など、診断システム100の使用者に関する情報を格納する。情報には、名前、人口統計、家族データ、地理的位置、タイムスタンプデータ、連絡先の情報、または生理学的データなどの使用者の情報を含めることができる。この情報は、処方箋、健康状態、遺伝子データ、医療提供者への訪問、過去または現在の医療サービスまたは施された介入、または以前に完了した診断テストなどの使用者の医療歴を、テストが行われた日付及び/または時刻などの関連する詳細や、テスト結果と共に描写できる。
【0048】
画像処理エンジン320は、モバイルデバイス110から画像を取得して処理する。画像処理エンジン320は、異なるタイプのフィルタを使用するノイズ低減、スキュー補正、サイズ変更、再スケーリング、回転、等化、集束/シャープニング、またはエッジ検出などの当業者に知られている画像処理技術を実装することができる。画像処理エンジン320はまた、光学特性修正デバイス120または光学特性修正デバイス120の特定の部分が、光学特性修正デバイス120に関連する既知の幾何学的特性及び/または色の特性に基づいて画像に含まれるかどうかを判定することができる。
【0049】
上記のように、光学特性修正デバイス120の反応チャンバがデバイスの表面に配置される実施形態では、光学特性修正デバイス120の既知の幾何学的特性は、光学特性修正デバイス120の表面の反応チャンバのレイアウトによって形成される幾何学的パターンを含むことができる。光学特性修正デバイス120が電子ディスプレイを含む実施形態では、光学特性修正デバイス120の既知の幾何学的特性は、電子ディスプレイの寸法を含むことができる。別の例として、
図2A及び
図2Bに示されるQRコード260は、光学特性修正デバイス120、光学特性修正デバイス120のバッチ(例えば、製造日に基づいて特定の有効期限を有する)、または特定のタイプの診断テストに固有の幾何学的特性であり得る。他のタイプの幾何学的特性には、例えば、光学特性修正デバイス120の境界、二次元(2D)または三次元(3D)のバーコード、位置合わせマーカー(例えば、
図2Aに示される反応チャンバ240、インジケータ250、例示的なテキスト「インフルエンザA + Bテスト」)、または画像内の基準点となり得る他のいずれかのタイプの基準マーカーが含まれる。
【0050】
画像処理エンジン320は、幾何学的特性、言い換えれば、画像処理エンジン320によって判定された画像の空間データに基づいて、取得された画像を変換(例えば、平行移動、傾斜、スケーリング、または回転)することができる。あるいは、画像処理エンジン320は、画像を変更せずに残すことができるが、代わりに、画像内の分析のために、対象領域を識別するために使用する座標を変換する。一例として、光学特性修正デバイス120の基準マーカーは、基準方向及び/またはサイズを有する。例えば、
図2Aに示されるQRコード260は、1センチメートルの長さ及び幅(例えば、正方形の寸法)を有し、光学特性修正デバイス120にラベル付けされた「インフルエンザA + Bテスト」というテキストで方向付けられることが既知である。画像処理エンジン320が、QRコード260が基準サイズに基づいて予想よりも小さくまたは大きく見えると判断した場合、画像処理エンジン320は、画像をそれぞれ拡大または縮小することができる。画像処理エンジン320が、画像に示されるQRコード260が形状が歪んでいる(例えば、台形または菱形)と判定した場合、画像処理エンジン320は、QRコード260が予想される正方形の形状としてより綿密にレンダリングされるように画像の歪曲を調整することができる。画像処理エンジン320が、画像に示されるQRコード260が基準方向に位置合わせされていないと判断した場合(例えば、画像が45度、60度、または90度回転した場合)、画像処理エンジン320は基準方向に画像を回転させることができる。さらに、画像処理エンジン320は、QRコード260及び別の基準マーカーなどの光学特性修正デバイス120の2つ以上の特徴を分解することによって、画像の焦点のレベルを判定することができる。
【0051】
上記のように、既知の色の特性はまた、光学特性修正デバイス120に関連付けることができる。具体的には、画像処理エンジン320は、光学特性修正デバイス120の表面(または基準マーカー)が特定の色(複数可)であることが既知であることを示す情報を有する。上記のように、光学特性修正デバイス120の反応チャンバがデバイスの表面に配置される実施形態では、光学特性修正デバイス120の既知の色の特性は、光学特性修正試薬または反応溶液などの光学特性修正デバイス120の反応チャンバの1つまたは複数の内容物の色を含むことができる。光学特性修正デバイス120の追加の色の特性は、例えば、
図2Aに示されるインジケータ250の色など、光学特性修正デバイス120自体の構成要素の色を含むことができる。
【0052】
別の例として、光学特性修正デバイス120の表面は、均一な色(例えば、ほぼ白色)を有することが知られ得る。しかし、光学特性修正デバイス120の画像は、画像がキャプチャされたときの照明の条件に応じて、暖色(例えば、赤)または寒色(例えば、青)で着色することができる。画像処理エンジン320は、ホワイトバランス(例えば、カラーバランス)を使用して、画像の照明条件を判定し、画像の色を調整することができる。したがって、画像処理エンジン320は、光学特性修正デバイス120の表面の既知の白色を、調整される画像と適切に整合させることができる。画像処理エンジン320はまた、シャドウイング技術を使用して、画像の特定の部分の色を歪ませる可能性がある画像内の影を除去するかさもなければ含まれるようにすることができる。例えば、画像処理エンジン320は、光学特性修正デバイス120の表面の既知の色の均一性を測定して、画像内の影を識別する。
【0053】
いくつかの実施形態では、画像処理エンジン320は、モバイルデバイス110の光学センサによってキャプチャされた画像を継続的に監視する。例えば、モバイルデバイス110は、光学センサによってキャプチャされた画像のライブストリーム(例えば、光学センサの視野を表す)を表示して、使用者が、画像化されている光学特性修正デバイス120とモバイルデバイス110とを位置合わせするためのリアルタイムの視覚ガイドを提供する。監視している間、画像処理エンジン320は、各画像の画質のレベルを判定することができる。画質のレベルが閾値のレベルを満たす場合、画像処理エンジン320は、さらなる処理のために画像を選択する。画像処理エンジン320は、例えば、焦点、シャドウイング、ホワイトバランスレベル、または画像の照明レベルに基づいて、質のレベル及び閾値のレベルについて判定することができる。
【0054】
さらに、上記の技術及びパラメータを使用して画像を調整することにより、画像処理エンジン320は、異なる技術仕様を有するモバイルデバイス110によってキャプチャされた画像を標準化することができる。これは、使用者が異なるタイプのモバイルデバイス110を有する可能性が高いため、有利である可能性がある。例えば、あるモバイルデバイスには、別のモバイルデバイスよりも強い白色フラッシュライトを備えた高解像度カメラが搭載されている。これらの2つのモバイルデバイスからキャプチャされた画像を標準化することにより、画像処理エンジン320は、モバイルデバイスの特定の仕様に関係なく、画像を効果的に処理することができる。
【0055】
画像分析エンジン330は、画像処理エンジン320によって取得及び処理された画像を分析する。具体的には、光学特性修正デバイス120が、光学特性修正デバイス120の表面に配置された反応チャンバを含み、反応チャンバの内容物が、光学特性修正デバイス120の画像において少なくとも部分的に可視であるようにする実施形態では、画像分析エンジン330は、画像内の反応チャンバを分析する。他方、光学特性修正デバイス120が、光学特性修正デバイス120によって実行された診断テストの結果の表示を表示する電子ディスプレイを含む実施形態では、画像分析エンジン330は、光学特性修正デバイス120のキャプチャされた画像内の電子ディスプレイによってディスプレイされた表示を分析する。画像分析エンジン330による画像分析の両方の実施形態について、以下で順番に説明する。
【0056】
まず、画像分析エンジン330が、光学特性修正デバイス120の表面に配置された反応チャンバを含む画像を分析する実施形態に目を向けると、画像分析エンジン330は、画像の反応チャンバの1つまたは複数の色の特性、例えば、反応チャンバの色、透明性、半透明性、不透明性、または均一性、及び/または反応チャンバ内の内容物を判定する。例として、画像分析エンジン330は、反応チャンバの色の特性に関する情報、例えば、各反応チャンバに対応する画像のピクセル群の色の平均及び分散を判定する。画像分析エンジン330は、RGB(赤緑青)色モデル、色相飽和値(HSV)色モデル、またはいずれかの他の適切な色モデルに基づいて、色の平均及び分散(または他のいずれかの統計分析)を判定することができる。画像分析エンジン330は、サイズ、形状、向き、または識別用基準マークなどの光学特性修正デバイス120の既知の幾何学的特性に基づいて、これらの色の特性を識別する。例えば、画像分析エンジン330は、テストデータストア350からカラー画像を検索し(例えば、基準画像として使用するために)、カラー画像内のQRコードのサイズ及び方向を識別し、既知のサイズ(例えば、1x1cm)のQRコードとQRコードに対する5つの反応チャンバの既知の相対位置(例えば、右と上に2cm、1cm増大させて間隔を空けて)を用い、各反応チャンバの色の平均と分散を抽出する。
【0057】
画像分析エンジン330は、反応チャンバの判定された色情報を、1つまたは複数の色の範囲を示す基準情報(例えば、RGBまたはHSV色モデルに基づく)と比較することによって、疾患診断テストのテスト結果を判定することができる。色の範囲は、反応チャンバに関連する疾患診断テストの診断に対応させることができる。したがって、画像分析エンジン330は、反応チャンバの判定された色が含まれる色の範囲に基づいてテスト結果を判定することができる。言い換えれば、画像分析エンジン330は、反応チャンバの色の変化を特定のテスト結果に整合させることができる。例えば、画像分析エンジン330は、判定された色を第1の色の範囲(例えば、黄色から緑色)に整合させることに応答して陰性の疾患診断を判定し、判定された色を第2の色の範囲(例えば、青色から紫色)に整合させることに応答して陽性の疾患診断を判定し、判定された色を第3の色の範囲(またはいずれかの指定範囲内にもないいずれかの色)に整合させることに応答して疾患の未判定(例えば、「判定不可」または「不明」)の診断を判定する。
【0058】
あるいは、画像分析エンジン330は、色の平均または分散の点推定ではなく、反応チャンバの画像を構成する個々のピクセルの色の分布及びクラスタリングに基づいてテスト結果を判定することができる。例えば、画像分析エンジン330は、反応チャンバの画像内の各ピクセルを、上記の3つの色の範囲のうちの1つに含まれるものとして分類することができる。複数のピクセルが第1の色の範囲内にある場合、画像分析エンジン330は、陰性の疾患診断を判定する。複数のピクセルが第2の色の範囲内にある場合、画像分析エンジン330は、陽性の疾患診断を判定する。複数のピクセルが第3の色の範囲内にある場合、画像分析エンジン330は、疾患の未判定の診断を判定する。このように、画像分析エンジン330は、例えば、反応チャンバ内の溶液とは実質的に異なる色であり、溶液の色を判定するための点推定ベースのアプローチを混乱させ得るチャンバのエッジからの反射を表す白黒ピクセルに対してロバストである。
【0059】
いくつかの実施形態では、画像分析エンジン330は、色情報を基準情報と比較することに基づいて、疾患の重症度のレベルまたはテスト結果の信頼レベルを判定する。例えば、明色と比較して、特定の色の範囲内の暗色は、疾患の診断がより重症のものであること、または信頼レベルが高いことを示し得る。収集管200または光学特性修正デバイス120の欠陥、キャプチャされた画像の変動性、または使用者または患者による人為的エラー、例えば、診断テストに提供された生物学的サンプルの汚染、または診断テストの化学反応が完了するのに十分な時間待機していない(または長すぎる)などという様々な要因により、未判定のテスト結果が生じる可能性がある。
【0060】
いくつかの実施形態では、画像分析エンジン330は、欠陥検出アルゴリズムを実装して、光学特性修正デバイス120の画像を分析する。例えば、画像分析エンジン330は、光学特性修正デバイス120の反応チャンバ内の気泡、または反応チャンバの内側または外側のデブリまたは引っかき傷などの他のタイプの欠陥を識別することができる。欠陥の識別に基づいて、画像分析エンジン330は、画像処理技術を使用して、画像から欠陥を除去することができ、例えば、欠陥に対応するピクセルのクラスターを除去することができる。したがって、画像分析エンジン330は、色情報(例えば、平均及び分散)の判定から異常な色の値を除外することができ、これにより、対応するテスト結果の精度を向上させることができる。
【0061】
次に、画像分析エンジン330が、光学特性修正デバイス120の電子ディスプレイによってディスプレイされる診断テストの結果の表示を含む画像を分析する実施形態に目を向けると、画像分析エンジン330は、電子ディスプレイによってディスプレイされる表示を解釈することによって診断テストの結果を判定する。上記のように、電子ディスプレイによってディスプレイされる診断テストの結果の表示は、診断テストの実際の結果を含むことができる。そのような実施形態では、表示は、テキストなどの人間が読める記号、バーコードなどの機械が読める記号、及び任意の他のタイプの記号として電子ディスプレイによって提示することができる。電子ディスプレイによってディスプレイされる表示を解釈するために、画像分析エンジン330は、パターンマッチング、テンプレートマッチング、または当業者に知られている別の技術を実行することができる。
【0062】
画像分析エンジン330はまた、いくつかの実施形態では、分析された画像以外の情報に基づいて、テスト結果をさらに判定することができる。例えば、画像分析エンジン330は、診断テストの地理的位置及び/またはタイムスタンプに部分的に基づいて、テスト結果を判定することができる。特に、特定の疾患は、特定の地理的地域(例えば、熱帯の気候または乾燥の気候の地域)または特定の時間の範囲(例えば、夏または冬の季節の間)で、より蔓延する可能性がある。いくつかの実施形態において、検証力(例えば、感度対特異度)は、疾患の有病率などの既知の疫学的要因に基づいて調整することができ、その結果、有病率が低いときに、テストの感度を低下させて、偽陽性のテスト結果になるのを防ぐことができる。
【0063】
診断テストエンジン340は、疾患診断テストのために、モバイルデバイス110及び医療提供者130に情報を提供し、及び/またはそれらから情報を受信する。例えば、診断テストエンジン340は、モバイルデバイス110に診断テストのための命令を与えることができる。診断テストエンジン340は、テストデータストア350から診断テストのための命令(例えば、テキスト、グラフィックス、オーディオ、または他のメディアコンテンツを含む)を検索することができる。
【0064】
診断テストエンジン340はまた、モバイルデバイス110の光学センサによってキャプチャされた光学特性修正デバイス120の画像及び/またはモバイルデバイス110の地理的位置、キャプチャされた画像のタイムスタンプ、光学センサを説明する情報(ピクセル解像度、開口部、フラッシュなど)、患者の電子健康記録データ、患者のバイタルサイン、及びその他いずれかの関連情報などのメタデータなどのデータを、モバイルデバイス110から受信する。診断テストエンジン340は、画像処理エンジン320及び/または画像分析エンジン330によって処理及び分析された画像に基づいて、診断テストの情報(例えば、診断テストのタイプまたは診断テストの結果)を判定する。
【0065】
診断テストの結果の識別に続いて、診断テストエンジンは、モバイルデバイス110及び/またはサードパーティシステム、例えば医療提供者130にテスト結果を提供することができる。さらに、診断テストエンジン340は、上記のメタデータの1つまたは複数と共に、テスト結果をテストデータストア350または使用者データストア310に格納することができる。
【0066】
上記のように、いくつかの実施形態では、診断テストエンジン340は、医師または薬局、政府機関、例えば米国疾病対策センター(CDC)、保険会社、遠隔医療パートナー、治療関連メーカー、及び疾患の予防及び/または治療を支援するその他いずれかのサードパーティシステムなどの医療提供者130を含むサードパーティシステムのコンピュータサーバに、テスト結果及び上記のメタデータの1つまたは複数を提供することができる。サードパーティシステムは、人々の集団の集約された健康情報を保存し、地理的位置に基づいて、及び/またはタイムスタンプに基づいて、健康情報を整理することができる。したがって、サードパーティシステムは、複数のモバイルデバイス110及び患者の集団からの集約されたテスト結果に基づいて疫学データをレンダリングすることができる。疫学データは、様々なパラメータ(人口統計、地理的位置、時間情報、疾患の種類など)に基づいて整理し、特定の疾患の危険因子や予防策を判定するために使用できる。例えば、CDCは、テスト結果と健康情報を使用して、インフルエンザなどの疾患の拡大や蔓延を監視するなど、政府の管轄内の人口の健康について評価できる。さらなる例として、疫学データを使用して、地理的位置の一部に基づいて、特定の疾患のリアルタイムの定量的、定性的、または半定量的重症度指数を開発することができる。例えば、視覚的なヒートマップを生成して、地理的な疾患の有病率を示すことができる。さらに別の例として、疾患の有病率は、過去の疾患の平均、リアルタイムの診断結果、使用者の地理的な経緯、天気、交通パターン、または予測アルゴリズムを使用するその他いずれかの関連する統計に基づいて予測できる。判定された地理的な疾患の傾向は、製薬会社、小売店、政府機関、および保険会社などのサードパーティシステムに提供して、治療関連のサプライチェーンとリソース割り当ての決定を導くことができる。さらに、疾患の地理的な傾向を個々の使用者や、ソーシャルメディアプラットフォーム、旅行プロバイダ、広告代理店などの他のサードパーティシステムに提供して、個々の使用者の行動を知らせることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、診断テストエンジン340は、診断テストのテスト結果に基づいて、スポンサー付きコンテンツをモバイルデバイス110を介して使用者に通信することができる。例えば、スポンサー付きコンテンツは、モバイルデバイス110のユーザインターフェースにディスプレイされるコンテンツ項目である。スポンサー付きコンテンツの例には、診断システム100によってテストされた疾患の治療の一助となり得る商品またはサービスのベンダーからの情報が含まれる。例えば、ベンダーは処方薬、市販薬、理学療法、リハビリテーションサービスなどを提供している。
【0068】
さらなる実施形態では、診断テストエンジン340は、モバイルデバイス110を介して使用者にアラートを通信することができる。これらのアラートは、地域の疾患の有病率を描写し、疾患の予防、診断、及び治療のための推奨事項を提示できる。アラートは、使用者の位置の履歴と昨今疾患に曝された潜在可能性に基づくことができる。
【0069】
III.例示的なモバイルアプリケーションのユーザインターフェース
図4Aは、一実施形態による、疾患診断テストのためのモバイルアプリケーションのユーザインターフェース400をディスプレイする。ユーザインターフェース400は、光学特性修正デバイス120の画像405を示している。画像405は、ユーザインターフェース400を表示するモバイルデバイス110のカメラの視界である。光学特性修正デバイス120のエッジがユーザインターフェース400のエッジ、及び拡張するとモバイルデバイス110にほぼ平行であるため、画像405がモバイルデバイス110と整列するように配向されている。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース400は、画像405をキャプチャするためにモバイルデバイス110を光学特性修正デバイス120に位置合わせする際にモバイルデバイス110の使用者を補助するために、視界をオーバーレイする1つまたは複数の位置合わせマーカーを含む。例えば、位置合わせマーカーは、使用者が物理的光学特性修正デバイス120と重なり合うために使用することができる光学特性修正デバイス120の半透明のグラフィックである。別の例として、位置合わせマーカーは、光学特性修正デバイス120の幾何学的特性(例えば、QRコード260)、または光学特性修正デバイス120のエッジと位置合わせされるべき線に対応する。
【0070】
図4Bは、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェース410を示し、一実施形態による、疾患診断テストに関する情報を含む。画像処理エンジン320及び画像分析エンジン330は、
図4Aに示される光学特性修正デバイス120の画像405を処理する。処理に基づいて、診断テストエンジン340は、光学特性修正デバイス120の疾患診断テストを判定し、表示のために疾患診断テストに関する情報を提供する。特に、ユーザインターフェース410は、テストのタイプ(例えば、インフルエンザA型及びB型)、有効期限(例えば、2020年1月30日)、テストの説明、期間(例えば、テストの20分間の化学反応)、及び光学特性修正デバイス120のカートリッジID(例えば、0x34E)を示す。
【0071】
図4Cは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェース415を示し、スワブ420を使用するための指示を含む。ユーザインターフェース415は、
図4Bに示される疾患診断テストの例示的なステップの指示を示す。このステップでは、使用者は、スワブ420を無菌パッケージ425から取り出し、疾患診断テストを受けている患者の鼻孔をスワブして、患者の生物学的サンプルを収集するように指示される。
【0072】
図4Dは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェース430を示し、収集管200を使用するための指示を含む。ユーザインターフェース430は、
図4Bに示される疾患診断テストの例示的なステップの指示を示す。このステップでは、使用者は、スワブ420を収集管200に挿入し、スワブ420を10秒間回転させるように指示される。その後、スワブ420は廃棄されるべきである。スワブ420を内部に挿入できるように、収集管200のキャップ220が取り外されている。
【0073】
図4Eは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェース435を示し、カートリッジを使用するための指示を含む。ユーザインターフェース435は、
図4Bに示される疾患診断テストの例示的なステップの指示を示す。このステップのために、使用者は、収集管200をカートリッジ(光学特性修正デバイス120)の上に配置し、キャップ220を閉じるように指示される。特に、カートリッジインターフェース210は、患者の生物学的サンプルを光学特性修正デバイス120に供給する収集管インターフェース230に連結されるべきである。使用者はまた、光学特性修正デバイス120のタブを引いて、疾患診断テストの化学反応を開始するように指示される。
【0074】
図4Fは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェース440を示し、疾患診断テストの化学反応が完了するのを待つ指示を含む。ユーザインターフェース440は、
図4Bに示される疾患診断テストの化学反応が完了すべきときまでの残り時間を示すタイマーを表示する。この例示的な疾患診断テストの合計時間は20分であるが、他の実施形態では、時間は、例えば1分から60分の間で変動し得る。
【0075】
図4Gは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェース445を示し、カートリッジをスキャンするための指示を含む。ユーザインターフェース445は、
図4Bに示される疾患診断テストの例示的なステップの指示を示す。このステップのために、使用者は、カートリッジ(光学特性修正デバイス120)をスキャンする(1つまたは複数の画像を撮る)ように指示される。疾患診断テストの化学反応は、テストの期間待機した後に完了するので、画像化された光学特性修正デバイス120の反応チャンバの色の特性は変化を遂げている。
図4A~Hに示される光学特性修正デバイス120が
図2Aに示される光学特性修正デバイス120の実施形態であるため、反応チャンバは、光学特性修正デバイス120の表面に配置されており、したがって、反応チャンバの内容物は、
図4A~Hに示される光学特性修正デバイス120の画像において少なくとも部分的に可視である。したがって、光学特性修正デバイス120の画像450は、患者の生物学的サンプルが光学特性修正試薬と反応した結果として、反応チャンバ455及び460の2つが少なくとも色において変化したことを示している。
【0076】
図4A~Hに示される光学特性修正デバイス120が、
図2Bに示される光学特性修正デバイス120の実施形態である代替の実施形態では、反応チャンバは、光学特性修正デバイス120の表面に配置されず、そのため、反応チャンバの内容物は、
図4A~Hに示される光学特性修正デバイス120の画像において可視ではない。むしろ、
図4A~Hに示される光学特性修正デバイス120が
図2Bに示される光学特性修正デバイス120の実施形態である代替の実施形態では、光学特性修正デバイス120は、診断テストの結果の表示をディスプレイする電子ディスプレイを含む。
【0077】
図4Hは、一実施形態による、
図4Aに示されるモバイルアプリケーションの別のユーザインターフェース465を示し、疾患診断テストの結果を含む。画像処理エンジン320及び画像分析エンジン330は、
図4Gに示される光学特性修正デバイス120の画像445を処理及び分析する。分析に基づいて、診断テストエンジン340は、疾患診断テストのテスト結果を判定し、ユーザインターフェース465に表示するためのテスト結果に関連する情報を提供する。特に、ユーザインターフェース465は、患者がインフルエンザAについて陽性であり、インフルエンザBについて陰性であると分析したことを示す。ユーザインターフェース465はまた、使用者または患者が治療ホットラインを呼び出すためのオプションを示す。例えば、治療ホットラインは、インフルエンザを治療するための医薬品やその他の医療サービスを提供できる医療提供者の電話番号である。
【0078】
いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース465は、テスト結果を修正、検証/確認、またはキャンセルするためのオプションを使用者に提示し、それは診断システム100が(診断テストエンジン340を介して)テスト結果を医療提供者130などに提供する前に実行することができる。テスト結果が医療提供者130に提供された後にテスト結果が更新される場合、診断テストエンジン340は、更新されたテスト結果も自動的に提供することができる。一実施形態では、テスト結果が陽性である場合、診断テストエンジン340は、テスト結果に関して患者に代わって医療提供者130に連絡することを示す、モバイルデバイス110に表示するための通知をする。例えば、診断テストエンジン340は、テスト結果を医師に提供する。診断テストエンジン340は、テスト結果を提供することに応答して、医療提供者130から推奨(例えば、ビタミンまたは薬物の服用)を受信し、推奨を使用者に伝達することができる。
【0079】
別の例として、診断テストエンジン340は、薬局にテスト結果を提供して、薬局が、テスト結果に関連する、疾患を治療するための患者の処方を履行できるようにする。診断テストエンジン340は、地理的情報、例えば、診断テストが行われた場所または患者の住所に基づいて、患者の近くに(例えば、閾値半径10kmなどの所定の距離内に)位置する薬局を判定することができる。
【0080】
IV.例示的なデータフロー図
図5Aは、一実施形態による、従来のシステム環境において疾患診断テストを実施するためのデータフロー図である。例示的なプロセスとして、ステップ1において、疾患診断テストの完遂を望む患者500が、病院または診療所の医師510を訪問する。医師510は、患者500の生物学的サンプルを収集する。ステップ2において、医師510は、実験装置及び生物学的サンプルを使用して疾患診断テストの化学反応部分を実行するスタッフと共に中央検査室530に生物学的サンプルを提供する。ステップ3において、中央検査室530は、疾患診断テストのテスト結果を医師510に提供する。ステップ4において、医師510は、テスト結果を患者500に提供する。患者が疾患のテストで陽性だった場合、テスト結果は投薬または別の種類の治療の処方を示している可能性がある。ステップ5において、医師510は、薬局520に処方箋を提示する。場合によっては、薬局520は、処方を検証または明確にするために医師510と相談する。ステップ6において、患者500は、処方箋に対する薬剤を求めるために薬局520を訪問する。ステップ7において、薬局520は、患者500に薬剤を渡すことによって処方を履行する。
【0081】
図5Bは、一実施形態による診断システム100を含むシステム環境において疾患診断テストを実施するためのデータフロー図である。例示的なプロセスのために、ステップ1において、疾患診断テストの完遂を望む患者500は、例えば、
図4A~Hに示されるような疾患診断テストのステップを完了することによって、診断システム100を使用する。診断システム100が疾患診断テストのテスト結果を判定すると、診断システム100は、ステップ2A及び2Bにおいて、テスト結果を患者500と薬局520に同時に提供することができる。例えば、
図4Hに示されるように、診断システム100は、モバイルアプリケーションのユーザインターフェースに表示するテスト結果を提供する。さらに、いくつかの実施形態では、診断システム100は、患者500(及び/または医師510)からのさらなる入力を必要とせずに、または患者500からのテスト結果の確認を受信したことに応答して、テスト結果を薬局520に自動的に提供することができる。ステップ3において、薬局520は、テスト結果に基づいて患者500の処方箋を履行する、例えば、薬局520は、患者500の自宅に薬剤を送達するか、または患者500が近くの場所で受け取るよう薬剤を調製する。
【0082】
医師の相談が必要な場合、診断サーバ150は、患者が医師を指定したり、当該の診察を手動で円滑にしたりすることを必要とせずに、自動化された方法で医師510の診察を受けることができる。いくつかの実施形態では、1人または複数の医師510は、診断サーバ150に属している。いくつかの実施形態では、診断システム100はまた、例えば、患者による要求に応答して、医師510にテスト結果を提供することができる。したがって、患者500が疾患の治療を求めるために医師510を訪問する場合、医師510は、テスト結果に基づいて適切な治療を判定することができる。
【0083】
図5Aに示される従来のシステム環境とは対照的に、
図5Bに示される診断システム100を含むシステム環境は、患者500が疾患診断テストを完了させ、患者500が陽性であると分析された場合に疾患を治療するための適切な投薬を受けるために、プロセスがより少ないステップを必要とするよう促す。ステップ数を減らすことにより、診断システム100は、患者がより迅速に疾患の治療を受けることを可能にする。また、
図5Bに示すシステム環境は、診断システム100が、患者500が光学特性修正デバイス120を使用して自宅で疾患診断テストの化学反応部分を完了することを可能にするので、中央検査室530が必要ではない。これは、最も近い中央検査室530から遠く離れて、例えば、農村地域または発展途上国に居住している患者にとって、特に有利であり得る。
【0084】
V. 例示的なプロセスフロー
図6は、一実施形態による、疾患診断テストのテスト結果を判定するためのプロセス600を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、プロセス600は、
図1のシステム環境内において、診断システム100-例えば、
図3を参照して説明された診断システム100のモジュール-によって使用される。プロセス600は、いくつかの実施形態で、
図6に関連して説明されたものとは異なるまたは追加のステップを含むことができ、または
図6に関連して説明した順序とは異なる順序でステップを実行することができる。
【0085】
一実施形態では、画像処理エンジン320は、モバイルデバイス110の光学センサによってキャプチャされた核酸疾患診断テストのために、光学特性修正デバイス120の画像のセットを受信する610。光学特性修正デバイス120が電子ディスプレイを含む実施形態では、画像処理エンジン320は、セット内の各画像について、光学特性修正デバイス120の電子ディスプレイが画像に示されているかどうかを判定する620。画像処理エンジン320は、光学特性修正デバイス120の電子ディスプレイを示すと判定されたセットの1つまたは複数の画像を選択する630。画像分析エンジン330は、1つまたは複数の画像に基づいて、核酸疾患診断テストのテスト結果を判定する640。診断テストエンジン340は、モバイルデバイス110に表示するためのテスト結果を提供する650。
【0086】
光学特性修正デバイス120の反応チャンバが光学特性修正デバイス120の表面に配置される実施形態では、ステップ620はまた、または代わりに、セット内の各画像について、光学特性修正デバイス120の反応チャンバが画像に示されているかを判定することを含むことができる。さらに、ステップ630はまた、または代替的に、光学特性修正デバイス120の反応チャンバを示すと判定されたセットの1つまたは複数の画像を選択することを含むことができる。
【0087】
VI.代替の実施形態
本開示を閲読すれば、当業者は、本明細書において開示される原理を用いたさらに追加的な代替の構造的及び機能的設計を理解するであろう。よって、特定の実施形態及び適用が説明及び記載されたが、開示された実施形態は本明細書に開示される正確な構造及びコンポーネントに制限されないことが理解されるものとする。当業者に明白な種々の修正、変更及び変形は、添付の特許請求の範囲に定義される精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書において開示される方法及び装置の配置、動作及び詳細においてなされ得る。
【0088】
本明細書で用いられる場合、「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」へのあらゆる言及は、その実施形態と関係して記載される特定の要素、機能、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の種々の場所において出現する「一実施形態では」という語句は、必ずしもすべて同一の実施形態を参照しない。
【0089】
いくつかの実施形態は、「連結される」及び「接続される」という表現及びこれらの派生語を用いて記載され得る。例えば、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が物理的または電気的に直接接触していることを示す「連結される」という用語を用いて、記載され得る。ただし、「連結」という用語は、2つ以上の要素が相互に直接接触状態にはないが、相互に連携または相互作用することも意味していてもよい。本実施形態は、他に明示的に述べられていなければ、この文脈に限定されない。
【0090】
本明細書で使用される、「含む (comprises)」、「含む (comprising)」、「含む (includes)」、「含む (including)」、「有する (has)」、「有する (having)」、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することが意図されている。例えば、要素のリストを含む工程、方法、項目、または装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されず、かかる工程、方法、項目、または装置に明示的に列挙または内在されない他の要素を含み得る。さらに、明示的に反対に述べられない限り、「または(or)」は包括のまたはを指し、排他のまたはではない。例えば、条件AまたはBは、Aが真(または存在する)でありBが偽(または存在しない)である、Aが偽(または存在しない)でありBが真(または存在する)である、及びAならびにBの両方が真(または存在する)のうちのいずれの1つによっても満たされる。
【0091】
加えて、「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、本明細書に記載の実施形態の要素及びコンポーネントについて記載するために採用される。これは単に便宜のため、及び本発明の大まかな要旨を付与するために行われるものである。本明細書は、1つまたは少なくとも1つを含むように読み取られるべきであり、また単数は、そうでないことが意味されていることが明白でない限り、複数を含む。
【0092】
本明細書の一部分は、アルゴリズム及び情報に対する操作の記号表現の観点から、本発明の実施形態を説明している。これらのアルゴリズムの説明及び表現は、データ処理技術の当業者によって一般的に使用されて、当業者に自らの仕事の実体を効果的に伝える。これらの操作は、機能的、計算的、または論理的に説明されているが、コンピュータプログラムまたは同等の電気回路、マイクロコードなどによって実装されると理解されている。さらに、一般性を失うことなく、これらの操作の構成をモジュールと呼ぶことが好都合であると判明する場合がある。説明された操作及びそれらに関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせで具現化することができる。
【0093】
本明細書に記載のステップ、操作、またはプロセスのいずれも、単独で、または他のデバイスと組み合わせて、1つまたは複数のハードウェアまたはソフトウェアモジュールを使用して実行または実装することができる。一実施形態では、ソフトウェアモジュールは、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読非一時的媒体を含むコンピュータプログラム製品で実装され、これは、説明されたステップ、操作、またはプロセスのいずれかまたはすべてを実行するためにコンピュータプロセッサによって実行され得る。
【0094】
本発明の実施形態はまた、本明細書に記載のコンピューティングプロセスによって生成される製品に関するものであり得る。そのような製品は、情報が非一時的で有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されるコンピューティングプロセスから生じる情報を含むことができ、コンピュータプログラム製品または本明細書に記載の他のデータの組み合わせの任意の実施形態を含むことができる。
【国際調査報告】