(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】可変位相及び周波数パルス幅変調技術
(51)【国際特許分類】
H03K 11/00 20060101AFI20220105BHJP
H03K 7/08 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H03K11/00
H03K7/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519573
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 GB2019052916
(87)【国際公開番号】W WO2020074928
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517084885
【氏名又は名称】ウルトラハプティクス アイピー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ULTRAHAPTICS IP LTD
【住所又は居所原語表記】The West Wing Glass Wharf Bristol BS2 0EL (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ロング,ベンジャミン ジョン オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ジブリー,ラフェル
(57)【要約】
フェーズドアレイシステムは、正確な搬送周波数の生成に依存して機能する。特定の振幅及び位相によるデジタル信号の再構成は、位相変化に伴う基本周波数からの周波数シフトを誘起することによって明確に達成される。個々の位相パルスのタイミングを保持しながら、デジタル制御されるフェーズドアレイの搬送周波数をシフトさせることにより、駆動信号の位相が時間の経過と共に動的に変化する場合の、より効率的なフェーズドアレイシステムの駆動が可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタの線形結合を用いて2の累乗因子によるアップサンプリングを達成するリアルタイムの累進的な多項式スプラインの演算によって定められる電気信号を備える、システム。
【請求項2】
前記多項式スプラインは、複数の区間を有し、
前記複数の区間のうちの少なくとも1つは、基本周波数の周期である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記多項式スプラインは、複数の区間を有し、
前記複数の区間のうちの少なくとも1つは、基本周波数の周期の2の累乗個分である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記多項式スプラインは、複数の区間を有し、
前記複数の区間のうちの少なくとも1つは、基本周波数の周期を2の累乗個に区分したものである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電気信号は、位相角を有し、
前記位相角は、外部環境観測センサによって定められる値によりインクリメントされるローリングカウンタによって修正される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電気信号は、位相角を有し、
前記位相角は、外部環境観測センサによって定められる値によりデクリメントされるローリングカウンタによって修正される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
カウンタの線形結合を用いて2の累乗因子によるアップサンプリングを達成するリアルタイムの累進的な多項式スプラインの演算によって、瞬時位相角が実質的に計算される電気信号を備える、システム。
【請求項8】
前記多項式スプラインは、複数の区間を有し、
前記複数の区間のうちの少なくとも1つは、基本周波数の周期である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記多項式スプラインは、複数の区間を有し、
前記複数の区間のうちの少なくとも1つは、基本周波数の周期の2の累乗個分である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記多項式スプラインは、複数の区間を有し、
前記複数の区間のうちの少なくとも1つは、基本周波数の周期を2の累乗個に区分したものである、
請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記電気信号は、位相角を有し、
前記位相角は、外部環境観測センサによって定められる値によりインクリメントされるローリングカウンタによって修正される、
請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記電気信号は、位相角を有し、
前記位相角は、外部環境観測センサによって定められる値によりデクリメントされるローリングカウンタによって修正される、
請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
基本周波数の周期における現在位置と瞬時位相角との差を、基本周波数の周期に存在する周期デューティ比と比較することにより状態が計算されるデジタル電気信号を備える、システム。
【請求項14】
複数の区間を有する多項式スプラインを更に備え、
前記複数の区間のうちの少なくとも1つは、基本周波数の周期である、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
複数の区間を有する多項式スプラインを更に備え、
前記複数の区間のうちの少なくとも1つは、基本周波数の周期の2の累乗個分である、
請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
複数の区間を有する多項式スプラインを更に備え、
前記複数の区間のうちの少なくとも1つは、基本周波数の周期を2の累乗個に区分したものである、
請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記デジタル電気信号は、位相角を有し、
前記位相角は、外部環境観測センサによって定められる値によりインクリメントされるローリングカウンタによって修正される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記デジタル電気信号は、位相角を有し、
前記位相角は、外部環境観測センサによって定められる値によりデクリメントされるローリングカウンタによって修正される、
請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2018年10月12日に出願された米国特許仮出願第62/744,656号に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、全般に、位相変化に伴う基本周波数からの周波数シフトを誘起することによって、特定の振幅及び位相によるデジタル信号の再構成を行うことに関する。
【背景技術】
【0003】
フェーズドアレイシステムは、正確な搬送周波数の生成に依存して機能する。システムを単純化するには、システムを時不変として扱えるように、関連する全ての時間中に搬送周波数が発せられるようにすることがしばしば想定される。このような時不変性は、アレイ素子トランスデューサへの入力信号を複素値として扱う上で必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関連する全ての時間にわたり、所定の位相オフセットを有した定周波パルス幅変調(PWM)デジタル信号を生成するのは、ありふれたことである。しかし、フェーズドアレイシステムの状態の変更は、素子の位相角の変更を伴う場合が多く、時不変性の要件に反するものである。これは、周波数のシフトを含む多くの副作用をもたらす。デジタル信号生成は、基本周波数(基本位相角が指定される周波数)が、関連する全ての時間にわたり、搬送周波数に等しいと仮定するので、これにより、各アレイ要素トランスデューサに出力されるデジタル信号にエラーが生じる。従って、振幅及び位相の自由な選択を適用してデジタル信号を生成可能な信号生成システムの開発が必要である。このシステムは、搬送周波数を変化させながら、一定の基本周波数に対して振幅及び位相を保持する、実質的にエラーのない信号を生成するために使用される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する解決策は、特定の振幅及び位相を使用し、位相変化に伴う基本周波数からの周波数シフトを明確に誘起するデジタル信号を再構成する。個々の位相パルスのタイミングを保持しながら、デジタル制御されるフェーズドアレイの搬送周波数をシフトさせることにより、駆動信号の位相が時間の経過と共に動的に変化する場合の、より効率的なフェーズドアレイシステムの駆動が可能となる。
【0006】
添付の図面は、同様の参照番号が、個々の図を通して同一または機能的に同様の要素を示しており、下記の詳細な説明と共に、本明細書に組み込まれ、その一部を形成するものであって、特許請求の範囲に記載された発明を含む技術思想の実施形態を更に例示し、それら実施形態の様々な原理及び利点を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】標準的なアプローチを用い、急速に移動する焦点からの出力を示す図である。
【
図2】
図1と同様であるが、新規なアプローチを用い、急速に移動する焦点からの出力を示す図である。
【
図4】基本周波数の3/2を有したシステムの幾何学的動作を示す図である。
【
図5】正確に基本周波数を有したシステムの幾何学的動作を示す図である。
【
図6】基本周波数に対して緩やかに増加する位相を有したシステムの幾何学的動作を示す図である。
【
図7】基本周波数に対して位相角の任意の関係を有したシステムの幾何学的動作を示す図である。
【
図8】周波数が上昇した場合の正しい動作を立証する幾何学的構成を示す図である。
【
図9】周波数が低下した場合の正しい動作を立証する幾何学的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
当業者は、図中の要素が、単純性と明瞭性を目的として例示されており、必ずしも同じ尺度で記載されていないことを理解するであろう。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解の向上を補助するために、他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0009】
装置及び方法の構成要素は、適切である限りは、本発明の実施形態を理解するのに適切な特定部分の詳細のみを示しながら、一般的な記号によって図面中に示されており、本明細書の記載から恩恵を受ける当業者にとって直ちに明白となるような詳細部分で開示が不明瞭とならないようにしている。
【0010】
搬送周波数は、本明細書において、出力デジタル信号パルスによって生じる瞬時周波数として定義される。基本周波数は、本明細書において、不動の、即ち一定の位相信号によって示される中心周波数として定義される。信号中のなんらかの位相変化も、周波数シフトとなることが知られている。この場合、搬送周波数が基本周波数からシフトすることによって生じる。フェーズドアレイの素子を対象とした入力との互換性を保持するため、この方法に対する入力データは、パルス幅変調の位相及びデューティサイクルであるとみなされる。これは、基本周波数の固定ソースである定常基準信号と関連して測定される。
【0011】
I.時間と位相の精度を保持した状態での搬送周波数のシフト
【0012】
従来の解決策は、定められた搬送周波数(常に基本周波数に等しい)を想定するものであって、この周波数からのなんらかの変動(位相のなんらかの変化を含む)によってエラーが生じる。真の搬送周波数が基本周波数に近い場合、このエラーは小さいが、フェーズドアレイの焦点を移動させる場合(例えば)には、常に存在する。
【0013】
図1は、標準的なアプローチを用い、急速に移動する焦点からの出力を示す図である。正方形の16×16素子フェーズドアレイにおける各トランスデューサの駆動は、白黒データの列によって表される。水平のグレーのバーは、基本周波数の各周期の開始を表しており、行は、トランスデューサの状態を記述する2進数を出力すべき各クロックティックである。黒または白のデータの各方形は、電気入力信号の2進状態を記述し、従って、時間経過における、そのクロックティックでのトランスデューサ素子を記述する。搬送周波数の各周期は、振幅に対応した正しい位相とデューティサイクルを伴う基本周波数で、独立して生成される。
【0014】
即ち、
図1は、アレイの焦点が急速に移動しているときの、標準的な技術によるデジタルパルス幅変調出力の可視化画像100である。各トランスデューサへの入力は、水平に配置され(160)、時間150は、図の下から上へと経過する。基本周波数の周期は、161,162,163,164で示されており、1つの周期が終わり、次の周期が始まる位置を示している。パルス110,120,130,140を誤って繰り返すことは、ここでは、基本周波数から、より低い搬送周波数への周波数シフトを示すことが分かる。標準的な技術は、基本周波数の各周期が、少なくとも1つのパルス領域110,120,130,140を含むことを必要とする。しかし、正しい動作は、基本周波数の周期当たりで1つ未満のパルス領域を含む必要があり、システムが基本周波数より低い周波数を生成しようとしていることを示すことが分かる。これは、フェーズドアレイにおける焦点に影響を与えるために必要なパルスの非直線的傾向によって理解することができる。集束プロセスによって形成されるこれらパルスの傾向は、各周期のエッジにおいて誤った不連続性を有する。このような傾向は、基本周波数の周期当たり1つのパルス領域を有するという暗黙の要件を満たすために、時間の経過と共に繰り返される不連続なずれを有するように見えるものとして識別することができる。
【0015】
新しいアルゴリズムは、その出力が
図2に示されており、振幅生成パルスのタイミング及び位相の精度を保持しながら、搬送周波数が基本周波数から離れることを可能にする。アレイの焦点が急速に移動しているときの、新しい技術によるデジタルパルス幅変調出力の可視化画像200が示されている。各トランスデューサへの入力は、水平に配置され(260)、時間250は、図の下から上へと経過する。基本周波数の周期は、261,262,263,264で示されており、1つの周期が終わり、次の周期が始まる位置を示している。このとき、二重パルス210,220,230,240は、もはや問題ではない。位相は、基本周波数のそれぞれの周期の開始時点において、標準的なアプローチと正確に一致するが、基本周波数の周期当たりのパルス領域の数は概して1未満である。これらの特徴を総合すると、搬送周波数が正しく低下されていることを示している。
【0016】
両アプローチによる出力の間の詳細な違いは、
図3A及び
図3Bに示されている。
図3Aは、
図1の左上隅の部分の詳細画像300である。
図3Bは、
図2の左上隅の部分の詳細画像350である。両技術の波形は、基本周波数の各周期162,262の開始時点で同等であるので、旧技術(
図3A)において基本周波数で生成しようとしたパルスは、変動する位相シフトに起因して、その代わりに二重パルス310を生成した。現実には、二重パルスが不適当であるだけでなく、その周波数成分がシステムの動作を妨害することになる。これは、2つのパルス間の時間的隔たりが、基本周波数と意図する搬送周波数とのいずれにも近くない非常に高い周波数の含有を意味するからである。
【0017】
新技術(
図3B)では、基本周波数の2つの周期にわたって(261と262の間、及び262と263の間)補正された位置に対応する、より低い周波数で、単一パルス360が生成されている。単一パルス360は、所定のデューティサイクルのパーセンテージが意味する離散ティック数の変化を考慮するため、時間的に更に引き延ばされている。これは、310で示す等価パルスよりも多くのパルス要素(白い方形)の占有によって示される。
【0018】
II.適切なPWM出力を生成するためのハードウェア技術
【0019】
高次多項式補間関数の演算結果として示される位相のアップサンプリングの生成というハードウェア効率の良い方法も新規である。その目的は、絶対位相及び位相変化をも保持しながら、周波数の変化を尊重し、正しく解釈するPWM出力を生成することである。一般性を失うことなく、この技術も、記載の技術から角度における「符号フリップ」を生成する位相遅延で再記述されるようにしてもよい。
【0020】
変動位相角は、位相・周波数変調波に関する等価式と見なすことができる。
【0021】
【0022】
ここで、θ'(t)は、位相の時間依存関数であり、ω'(t)は、周波数の時間依存関数である。dθ'(t)/dtは、基本周波数からの搬送周波数の偏差であることが分かる。これは、角度とωとの両方を正規化すること(基本周波数及び2πラジアンで除算、このときθは回転数で計測)によって簡略化することができ、結果としてω=1が得られる。
【0023】
位相遅延θ'(t)を記述することは、後続の基本周波数のステップにおいて生成される位相オフセットを、多項式により補間することによって達成してもよい。何故ならば、その周波数がエンドポイント上で定義され、連続的である上で有益であるからである。周波数は以下のように定義される。
【0024】
【0025】
ここで、位相角の一次時間微分も、瞬時搬送周波数に寄与し、従って、2つの微分拘束を形成する。
【0026】
【0027】
【0028】
また、角度における間隔の2つのエンドポイントにも、更に別の拘束条件がある。
【0029】
【0030】
【0031】
搬送周波数に対する拘束条件と併せ、合計4つの拘束条件がある。これにより、このレベルの連続性について3次多項式補間が必要となる。図示のように、ω'(0)及びω'(1)の定義は、後方差分を使用して達成することができ、従って、将来に向けて必要となるサンプルの数を制限し、待ち時間を減縮する。これはまた、必要とされる即時利用可能なサンプルの総数を減少させ、意図する信号の位相角及びデューティサイクルの4つの予め計算されるサンプルを3つにする。
【0032】
後方差分から形成される補間スプライン多項式の3次形式は、以下のとおりである。
【0033】
【0034】
これは、周期毎に繰り返される。
【0035】
更に、位相は、より低次の多項式によって表してもよい。これは連続性条件のいくつかを犠牲にすることになるかもしれないが、合理的なアプローチは、いずれにせよ、周波数に不連続性を生成することである(但し、更に重要なことに、位相の時間導関数のみが不連続であるので、位相の連続性は維持される)。周波数の不連続性があっても、このような補間関数を使用する技術は、標準の技術に比べて著しい精度向上をもたらす。このような方法についての線形補間は、次のように記述することができる。
【0036】
【0037】
実施の複雑性は増加するものの、一般性を失うことなく、より高次の補間多項式を同様に使用することができる。デジタル信号のオン時間は、信号の振幅に比例すると考えられるデューティサイクルによって記述される。これが、「パルス幅変調」という名前の理由である。これは、基本周波数でのパルス幅のパーセンテージとして符号化された信号のデューティサイクル値Δに補間を加えることで実現できる。
【0038】
【0039】
素子に入る出力信号を、デジタル近似として以下のように定義する。
【0040】
【0041】
従って、基本周波数に対する時間変動θ位相オフセットは、実質的には基本信号周波数ωからの偏差、即ち、事実上dθ'(t)/dtと見なしてもよい。パルスの位置を求めるには、コサイン関数への角度入力のゼロ(2πの倍数でもある)を見出す必要がある。これらは、波形のピーク及びデジタル信号のハイポイントに対応する。これを達成するために、角度とωとの両方が正規化され(周波数及び2πラジアンで除算、θは全て回転数で測定)、結果としてω=1が得られる。従って、探索される条件は以下のとおりである。
【0042】
【0043】
これは、各ステップでのパルスの中心を表している。
【0044】
中心点の周りのパルスの範囲を見出すために、値|t-θ'(t)|が計算される。これが、振幅を表す所定の値よりも小さければ、時間的な点は、デジタル信号のハイ領域であるパルス内にある。一方、そうでなければ、時間的な点は、デジタル信号のロー領域であるパルス外にある。
【0045】
図4~
図7は、この値が、適切なパルスを生成するΔ'(t)/2よりも小さいことを、どのようにして調べるかを幾何学的に示す。
【0046】
図4は、基本周波数の3/2のエッジケースに対する幾何学的動作400を示す。このグラフにおいて、ΔはΔ(t)であり、y軸410は正規化された角度(回転数)θを表し、x軸420は正規化された時間(基本周波数の周期)tを表す。この
図4は、斜めの位相線440a,440b,440cによって表される基本周波数に対し、緩やかに減少する位相(微分係数が-1/2、右下方に向かう負の勾配)に適用された場合の、PWM生成の幾何学的解釈である。
【0047】
2組の反復曲線の隔たりは、時間的に繰り返す複数の場所450a,450b,450c,450d,450e,450f,450g,450hにおけるΔ/2(デューティサイクル量の半分として定義)の隔たりよりも小さくなる境界を横切る。これらの2組の曲線は、対時間定位相線460a,460b,460c,460d,460eである(θ=tまたはθ=ωt、但し、ωが1に正規化されているので、回転数と基本周波数の周期とでラップアラウンドされている)。これは、ゼロ位相オフセット動作を有した基本周波数を表し、図の右上方に向けて延びる。補間位相曲線(θ'(t))は、位相440a,440b,440cにおけるこの信号への加算である所望の動作を表す。2つの曲線が、十分に密接に(Δ/2未満)位相が「整合」する場合、これらの領域は、パルス信号430のパルス部分を表す。Δ/2の隔たり部分450a,450b,450c,450d,450e,450f,450g,450hから引かれる破線は、Δ/2の隔たり値に達したことで2進状態が変化し、パルスエッジを生成するようなPWM信号430上の場所を示している。
【0048】
対時間定位相線(θ=tまたはθ=ωt)は、図の右上方に向けて延び、ゼロ位相オフセット動作を有した基本周波数を表すものであり、基本周波数の周期毎に繰り返される。垂直方向の繰り返しは、角度における全ての整数の回転数について真であることを示す。従って、この方法を実施するために使用されるカウンタの数値的なラップアラウンドを考慮しても、真である。これにより、基本周波数の2分の3である搬送周波数のPWM信号が生成される(周波数倍率は、補間位相線θ'(t)の瞬時微分係数(-1/2)を、対時間定位相線θ=ωtの微分係数(1)から差し引いたものなので、1-(-1/2)=3/2)。図の下部には、2組の曲線がΔ/2未満の隔たりで離れている全ての点から構成されて、素子を駆動する最終デジタル信号430が示されている。
【0049】
図5は、正確に基本周波数に対する幾何学的動作500を示す。このグラフにおいて、ΔはΔ(t)であり、y軸510は正規化された角度(回転数)θを表し、x軸520は正規化された時間(基本周波数の周期)を表す。斜めの位相線540a,540b,540cによって表される基本周波数に対し、変化しない平坦な一定の位相角θ'(t)(時間における微分係数ゼロを有する水平な線)に適用された場合の、PWM生成の幾何学的解釈が示されている。
【0050】
ここでも、Δ/2の隔たり550a,550b,550c,550d,550e,550fは、パルス信号における2つの状態間の遷移点を表す。従って、補間位相曲線が水平であり、一定の位相角を表すので、2つの曲線は、基本周波数の周期毎に、正確に1回交差する。これにより、基本周波数に正確に等しい搬送周波数を有したPWM信号が生成される(ここでも、周波数倍率は、対時間定位相線θ=ω(t)の微分係数(1)から、補間位相線θ'(t)の瞬時微分係数(0)を減算することによって得られるので、1-0=1)。破線は、パルス信号のパルスエッジを示す。ここでも、図の下部には、2組の曲線がΔ/2未満の隔たりで離れている点の全てから構成されて、素子を駆動する最終デジタル信号530が示されている。
【0051】
図6は、基本周波数の1/2のエッジケースに対する幾何学的動作600を示す。このグラフにおいて、ΔはΔ(t)であり、y軸610は正規化された角度(回転数)を表し、x軸620は正規化された時間(基本周波数の周期)を表す。ここでも、Δ/2の隔たり650a,650bは、パルス信号における2つの状態間の遷移点を表す。
【0052】
斜めの位相線640a,640b,640cによって表される基本周波数に対し、増加する位相θ'(t)(微分係数が1/2)に適用された場合の、PWM発生の幾何学的解釈が示されている。これにより、基本周波数の半分である搬送周波数を有したPWM信号が生成される(周波数倍率は、対時間定位相線θ=ωtの微分係数(1)から、補間位相線θ'(t)の瞬時微分係数(+1/2)を減算することによって得られるので、1-(+1/2)=1/2)。ここでも、図の下部には、2組の曲線がΔ/2未満の隔たりで離れている点の全てから構成されて、素子を駆動する最終デジタル信号630が示されている。
【0053】
図7は、勾配、即ち周波数が時間の経過と共に大きく変化するような補間関数の例が、この幾何学的記述にどのように適合するかについての幾何学的動作700を示している。このグラフにおいて、ΔはΔ(t)であり、y軸710は正規化された角度(回転数)を表し、x軸720は正規化された時間(基本周波数の周期)tを表す。斜めの位相線(θ'(t)またはθ=ωt)740a,740b,740c,740d,740e,740f,740g,740h,740j,740kによって表される基本周波数に対し、より任意に定義された位相角の関数に適用された場合の、PWM発生の幾何学的解釈が示されている。ここでも、Δ/2の隔たり750a,750b,750c,750d,750e,750f,750g,750h,750j,750k,750m,750n,750p,750q,750r,750s,750t,750u,750v,750wは、パルス信号のエッジを表す。但し、ここでは、それらはy軸上の同じΔ/2の隔たりを表しているが、x軸上の変化するパルス長に対応している。水平方向の波状の線745a,745b,745cは、この例では、補間位相線θ'(t)である。
【0054】
θ'(t)の微分係数の変動は、より低い周波数で、より長いパルスを生成する正の微分係数と、より高い周波数で、より短いパルスを生成する負の微分係数との間で生じる。これは、Δ/2より短いy軸方向の隔たりと、Δ/2より長いy軸方向の隔たりとの間で横切って、相対的な隔たりが変化するためである。図の下部には、素子を駆動するための最終デジタル信号730が示されており、信号のy軸方向の隔たりが閾値Δ/2を横切るときにパルスエッジが生成される。
【0055】
デューティサイクル値Δ'(t)/2は、このように使用された場合、このスキームの周波数に応じて適切にスケーリングされることも証明できる。
【0056】
図8は、周波数が上昇した場合の、正しい動作を証明する幾何学的構成800を示す。y軸810は正規化された角度(回転数)θを表し、x軸820は正規化された時間(基本周波数の周期)tを表す。ここでも、Δ/2の隔たり844は、トランスデューサ駆動信号の状態変化を表す。但し、この状況では、曲線θ'(t)が負の導関数dθ'(t)/dtを有すると仮定され、その結果、周波数は高くなる。導関数dθ'(t)/dtが、より小さな負の値になるほど、周波数は高くなり、隔たりXが大きくなるはずである。
【0057】
更に、
図8は、周波数によるパルスの振幅の正しいスケーリングの幾何学的証明を示している。これは、基本周波数に対して増加した搬送周波数の測定アプローチの更なる効果である。これは、最終パルスの幅の半分であるp/2(836,838)が、周波数シフトと共に適切に時間的にスケーリングすることを示すことによって実証される。更に、一定の傾斜で負の傾斜の位相曲線834であるθ'(t)は、正に傾斜した曲線832であるθ=tと830で交差する。p/2 836,838(より高い新たな周波数のパルスの半分の長さ)を見出すために、角度α(840)は、次のように見出すことができる。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
これは、以下である場合の、周波数シフトによる適切なパルス幅変化の定義である。
【0065】
【0066】
まとめると、
図8は、パルスエッジの基準としてy軸方向の隔たりΔ/2が使用される場合、周波数倍率1+|dθ'(t)/dt|に対し、この状況において半パルス幅が適切にスケーリングされることを示している。これは、まさに必要とされる周波数逓倍器である。
【0067】
図9は、周波数が減少した場合の、正しい動作を証明する幾何学的構成900を示す。y軸910は正規化された角度(回転数)を表し、x軸920は正規化された時間(基本周波数の周期)tを表す。ここでも、Δ/2の隔たり944は、トランスデューサ駆動信号の状態変化を表す。但し、この状況では、曲線θ'(t)が、正の導関数dθ'(t)/dtを有すると仮定され、その結果、周波数は低くなる。導関数dθ'(t)/dtが、より大きな正の値になるほど、周波数は低くなり、隔たりXは大きくなるはずである。
【0068】
更に、
図9は、周波数によるパルスの振幅の正確なスケーリングの幾何学的証明を示している。これは、基本周波数に対して増加した搬送周波数の測定アプローチの更なる効果である。これは、最終パルスの半分の幅であるp/2(936,942)が、周波数シフトと共に適切に時間的にスケーリングすることを示すことによって実証される。
【0069】
更に、一定傾斜で正の傾斜の位相曲線934であるθ'(t)は、正に傾斜した曲線932であるθ=tと930で交差する。p/2(936,942、新たな低い周波数にあるパルスの半分の長さ)を見出すために、角度940であるαは、前述と同様の構成を使用し、以下のように見出すことができる。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
これは、以下である場合の、周波数シフトによる適切なパルス幅変化の定義である。
【0077】
【0078】
まとめると、
図9は、パルスエッジの基準としてy軸方向の隔たりΔ/2が使用される場合、周波数倍率1-|dθ'(t)/dt|に対し、この状況において半パルス幅が適切にスケーリングされることを示している。これは、まさに必要とされる周波数逓倍器である。
【0079】
結論として、ブール判定
【数26】
は、パルスの最良近似を生成することが保証され、多項式補間関数の累進的な演算が、効率的なハードウェアアルゴリズムを用いて達成されることが必須である。
【0080】
III.カウンタアーキテクチャ
【0081】
スプライン補間関数の演算を行うための一様に進行する要件により、多項式の演算に対する直感的で低コストのアプローチが可能となる。時間を進めていくことにより、一連のカスケード接続されたカウンタを使用して、シンプレックス数を導出し、従って、必要なtの累乗を導出することができる。搬送周波数の周期毎に、tは、スプライン多項式の演算を行うために、間隔0~1の範囲にある必要がある。
【0082】
各スプライン区間は、0から2INT_BITS-1までのkの離散部分区間ステップをカウントする。各カウンタをインクリメントすることによって、各カウンタはkの累乗に対応する項を演算することができる。kの累乗を分数として解釈し直すことにより、tの累乗が計算される。これは、例えば定数bをとるなど、スプライン曲線毎の定数を最初に確立することによって行われる。次に、第1のカウンタ(bにtの線形次数項を乗じたものに比例する)は、次のように定義される。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
このカウンタから、INT_BITSによって和を直ちにシフトするビットは、増分btを乗算したtの1回目の累乗を生じることが明らかである。線形補間のみが必要とされる場合、それらは、補間の一定部分に初期化するときに、このカウンタを適用することによって演算してもよいことに留意されたい。例えば、bt+fが必要であれば、以下のとおりである。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
高次補間を続けると、次のカウンタ(bにtの2次項を乗じたものに比例する)は、「三角」数によって次のように定義される。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
線形部分は、2の累乗の差であるため、予め減算しておく必要がある。次に、分数を表すように調整すると、これによりtの2次項bt2が得られる。
【0096】
次のカウンタ(及び、bにtの3次項を乗算したものに比例する、3次補間に必要な最終カウンタ)は、「四面体」数によって次のように定義される。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
より高いtの累乗の式のいくつかの実施形態では、前に置かれた2の累乗の違いのために、誤差項のtの累乗と所望の項のtの累乗とが数桁c離れているときには、補正を省略することが可能となる場合がある。この状況は、十分に大きいcの場合に、許容可能なレベルの誤差を生じることがある。これは、代わりに、反復のk-1回目を使用し、以下を生成するものと記述することができる。
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
スプライン多項式の構成に応じ、潜在的に異なって代入されるbを伴う場合もあるが、これらのtの累乗を組み合わせることにより、単純なカウンタを使用して、任意の高次多項式からなるスプラインを生成してもよい。インクリメントされたカウンタは、時間変数tを順方向にインクリメントする役割を果たし、このような作動の際に、意図する信号の次の離散タイムスライスを生成する。
【0106】
例えば、補間スプライン
【数44】
及びデューティサイクル補間
【数45】
が与えられると、必要なカウンタは、次のようになる。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
Δ'(t)(基本周波数で必要な出力電力を達成するデューティサイクル)と、θ'(t)(基本周波数に対する瞬時位相オフセット)とをまとめるため、これらを以下のように組み合わせてもよい。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
これらは、普通に加算され、減算されて、出力信号を駆動するブール条件を生成する。
【0118】
IV.大きな周波数帯域幅に対する低帯域幅動作
【0119】
カウンタアーキテクチャの2の累乗の動作の故に、基本周波数の周期を2INT_BITS個の離散的なステップに細分したものだけでなく、基本周波数の周期の2の累乗回分の区間とした位相サンプル及び振幅サンプルに、これを適用してもよいことにも留意されたい。これは、いくつかの実施形態において、アドレス可能なデータ使用及び基本周波数付近の周波数範囲の両方において、より低い帯域幅のインターフェースを提供するために使用してもよい。同様に、いくつかの実施形態では、位相サンプル及び振幅サンプルが、基本周波数の周期毎に2の累乗のサンプルを有するように増加され、代わりに搬送周波数の付近に追加の周波数帯域幅を提供するようにしてもよい。
【0120】
基本周波数付近の減少した周波数帯域幅を犠牲にして、より低いデータ転送速度を達成するには、スプライン補間区間が、基本周波数の周期の2の累乗回分をカバーするように生成されなければならない。これは、補間によって得られる精度のビット数の増加、またはタイマカウンタの精度のビット数の減少を含むようにすることで、2INT_BITSが複数の周期にわたるようにしてもよい。それぞれは、INT_BITSの最上位ビットによってアドレス可能である。更に、ラップアラウンドされるθ=tの線の複数の進行は、この動作モードにおいて、スプライン区間内に維持されなければならず、事実上の0≦t<2Nのスプライン区間を生成する。これにより、追加位相の最大角度移動、πラジアンが、このとき2N個の基本周波数周期にわたって分散されるので、アクセス可能な周波数範囲が減少する。これにより、可能な最大周波数シフトが減少する。
【0121】
データ転送速度の増加を犠牲にして、基本周波数の付近の周波数帯域幅を増加させるには、スプライン補間区間を減少して、基本周波数の周期の負の指数(分数)部分を有する2の累乗のみをカバーするようにしなければならない。これは、補間によって得られる精度のビット数の減少、またはタイマカウンタの精度のビット数の増加を含んでもよい。これらの余分なデータ点の追加により、0≦t<2-Nのスプライン区間が効果的に生成される。これにより、πラジアンの追加位相の最大角度移動が、このときには基本周波数の周期の2-Nの断片に限定されるので、アクセス可能な周波数範囲が増大する。これにより、達成可能な最大周波数シフトが増加する。
【0122】
V.環境補償
【0123】
周波数逓倍器、分周器、及び位相同期ループ(PLL)のような伝統的な技術では、搬送周波数に小さなまたは動的な変更を行うことは困難である。フェーズドアレイの動的制御には正確な位相情報が必要であるため、ハードウェアが十分に機能する場合、正確な動作を規定するアナログソリューションよりも、デジタルアプローチの方が適切であることを意味する。従って、その動作は、他の問題の中でも遅延及び不安定性のためにこのレベルの同期を達成すべくアナログインフラストラクチャを使用するシステムと比較して、確定的であり、モデル化が容易であり、予測可能である。システムが明確に位相関数を演算するので、出力信号の周波数成分をモデル化することにより、トランスデューサインパルス応答を予測し、考慮することができる。更に、本明細書に記載する技術を用い、位相角入力にアキュムレータを加えることによって、上述の信号発生器は、未知の方法で相対位相に影響を及ぼすことなく容易に制御可能な周波数シフトを生成する。環境変化が生じた場合、波長を一定に保つために、周波数は、そのような小さな変化を必要とする場合がある。次に、システムの残りの部分は、パイプラインの終わりに駆動システムによって補償されることを保証しながら、波長単位で動作し続けることができる。全てのトランスデューサの位相に加えられるアキュムレータは、(例えば)温度、湿度、及び高度/密度センサなどの1つ以上のセンサから得られる値を使用してインクリメントまたはデクリメントされる。
【0124】
VI.更なる説明
【0125】
以下では、本発明の更なる説明を行う。
【0126】
1.カウンタの線形結合を用いて2の累乗因子によるアップサンプリングを達成するリアルタイムの累進的な多項式スプラインの演算によって定められるデジタル電気信号またはアナログ電気信号を備える、システム。
【0127】
2.カウンタの線形結合を用いて2の累乗因子によるアップサンプリングを達成するリアルタイムの累進的な多項式スプラインの演算によって、瞬時位相角が実質的に計算されるデジタル電気信号またはアナログ電気信号を備える、システム。
【0128】
3.基本周波数における現在位置と瞬時位相角との間の差を、基本周波数に存在する周期デューティ比と比較することにより、状態が計算されるデジタル電気信号を備える、システム。
【0129】
4.前記多項式スプラインの区間は、基本周波数の周期である、前記1項、2項、または3項に記載のシステム。
【0130】
5.前記多項式スプラインの区間は、基本周波数の周期の2の累乗個分である、前記1項、2項、または3項に記載のシステム。
【0131】
6.前記多項式スプラインの区間は、基本周波数の周期を2の累乗個に区分したものである、前記1項、2項、または3項に記載のシステム。
【0132】
7.前記位相角は、環境を観測する外部センサによって定められる値によりインクリメントされるローリングカウンタによって修正される、前記1~6項のいずれかに記載のシステム。
【0133】
8.前記位相角は、環境を観測する外部センサによって定められる値によりデクリメントされるローリングカウンタによって修正される、前記1~6項のいずれかに記載のシステム。
【0134】
VII.結び
【0135】
これまでの説明は、特定の値を開示しているが、同様の結果を達成するために、それとは異なる任意の特定の値を使用してもよい。更に、前述の実施形態の様々な特徴は、改善されたハプティックシステムの多くの変形を生成するように選択し、組み合せてもよい。
【0136】
これまでの説明では、特定の実施形態が記載されている。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱せずに、種々の変更及び変形を行えることが理解できよう。従って、本明細書及び図面は、限定的ではなく例示的な意味で認識されるべきであり、全てのそのような変形は、本教示の範囲内に含まれると解釈される。
【0137】
更に、本明細書において、第1及び第2、上及び下といった関係を示す用語は、1つの存在物または動作を、別の存在物または動作から区別するためだけに使用される場合があり、そのような存在物間または動作間における実際のそのような関係または順序を、必ずしも必要とするものではなく、また意味するものでもない。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「包含する(includes)」、「包含している(including)」、「含む(contains)」、「含んでいる(containing)」、またはそれ以外のなんらかの変形は、非排他的な包含を含むことを意図しており、列挙された要素を備える、有する、含む、包含するプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみを備えるものではなく、明示的に列挙されていない別の要素、またはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置が本来有するような別の要素を備えていてもよい。「comprises a」、「has a」、「includes a」、「contains a」が先行して記載された要素は、更なる制約がなくても、当該要素を備えるプロセス、方法、物品、または装置における更なる同一の要素の存在を排除しない。用語「a」及び「an」は、本明細書において特に明記しない限り、1つまたは複数として定義される。用語「実質的に」、「本質的に」、「ほぼ」、「約」、またはそれ以外のなんらかの類語は、当業者によって理解できる程度に近似するものとして定義される。本明細書で使用する用語「結合された」は、必ずしも直接的ではなく、また必ずしも機械的ではないが、接続されたものとして定義される。ある方法によって「構成される」デバイスまたは構造は、少なくともそのように構成されるが、列挙されていない方法で構成されるようにしてもよい。
【0138】
要約書は、読者が技術的開示の本質を迅速に確認可能とするために提供される。この要約書は、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されるものではないとの理解のもとで提出されている。更に、前述の詳細な説明では、本開示を合理化する目的で、様々な特徴が種々の実施形態において一緒にまとめられている。このような開示方法は、請求項に記載された態様が、各請求項に明示的に列挙された特徴より多くの特徴を必要とするとの意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項に示すように、発明の主題は、開示した単一の実施形態の全ての特徴より少ない特徴にある。従って、以下の請求項は、本明細書によって詳細な説明に組み込まれ、請求項は、別個に特許請求される主題として自立している。
【国際調査報告】