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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】LEDアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/22 20100101AFI20220105BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20220105BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20220105BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01L33/22
H01L33/32
H01L21/20
G09F9/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519576
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 GB2019052843
(87)【国際公開番号】W WO2020074875
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】1816455.8
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507330176
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・シェフィールド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,タオ
【テーマコード(参考)】
5C094
5F152
5F241
【Fターム(参考)】
5C094AA46
5C094BA23
5C094CA19
5C094DA13
5C094DB04
5C094JA08
5F152LL05
5F152LL09
5F152LM02
5F152LM09
5F152LN32
5F152MM10
5F152NN03
5F152NN05
5F152NN09
5F152NN13
5F152NN14
5F152NP09
5F152NQ09
5F241AA02
5F241AA04
5F241CA05
5F241CA40
5F241CA65
5F241CA66
5F241CA74
5F241CB22
5F241CB33
5F241CB36
5F241FF06
(57)【要約】
発光ダイオード(LED)アレイを製造する方法は、III族窒化物材料の半導体層(100)を形成するステップと、半導体層を覆う誘電マスク層(104)を形成するステップであって、誘電マスク層は、半導体層の区域を各々が露出させる、その誘電マスク層を貫通する孔のアレイを有する、形成するステップと、孔の各々の中でLED構造(108)を成長させるステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)アレイを製造する方法であって、III族窒化物材料の半導体層を形成するステップと、前記半導体層を覆う誘電マスク層を形成するステップであって、前記誘電マスク層は、前記半導体層の区域を各々が露出させる、前記誘電マスク層を貫通する孔のアレイを有する、形成するステップと、前記孔の各々の中でLED構造を成長させるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記孔の各々の中でLED構造を成長させるステップは、前記孔の各々の中で、n型層と、少なくとも1つの活性層と、p型層とを成長させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの活性層は、前記誘電層の上面より下である上側表面を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記誘電マスク層を形成する前記ステップは、誘電材料の層を成長させるステップと、誘電材料の前記層内へと孔の前記アレイをエッチングするステップと、を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記孔の各々の中で前記LED構造を成長させるステップの前に、前記半導体層の前記露出された区域の各々をエッチングするステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体層は、前記LED構造のすべてに対する共通コンタクトを与える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体層はドープされる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記半導体層は、第1のサブレイヤと、第2のサブレイヤとを含み、前記第1のサブレイヤと前記第2のサブレイヤとの間のヘテロ界面が、2次元電荷キャリアガスを形成するように配置構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記LED構造は、マイクロLED構造であり、前記アレイは、4μmから500μmのピッチを有する規則的なアレイである、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記LED構造を覆う複数のコンタクト層区域を形成するステップをさらに含み、前記コンタクト層区域の各々は、前記LED構造のそれぞれの群との電気的コンタクトを為す、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法によって、前記マスク層および前記LED構造を含むLEDアレイを製造するステップと、前記LEDアレイを含むLEDディスプレイを製造するステップと、を含む、LEDディスプレイを製造する方法。
【請求項12】
半導体層と、誘電層であって、前記半導体層の上方に広がり、前記誘電層を貫通する孔のアレイを有する、誘電層と、前記孔の各々の中に形成されるLEDデバイスと、を含むLEDアレイ。
【請求項13】
前記LEDデバイスの各々は、n型層と、少なくとも1つの活性層と、p型層と、を含む、請求項12に記載のLEDアレイ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの活性層は、前記誘電層の上面より下である上側表面を有する、請求項12または13に記載のLEDアレイ。
【請求項15】
前記半導体層は、LED構造のすべてに対する共通コンタクトを与える、請求項12から14のいずれか一項に記載のLEDアレイ。
【請求項16】
前記半導体層はドープされる、請求項12から15のいずれか一項に記載のLEDアレイ。
【請求項17】
前記半導体層は、第1のサブレイヤと、第2のサブレイヤとを含み、前記第1のサブレイヤと前記第2のサブレイヤとの間のヘテロ界面が、2次元電荷キャリアガスを形成するように配置構成される、請求項12から15のいずれか一項に記載のLEDアレイ。
【請求項18】
前記LED構造は、マイクロLED構造であり、前記アレイは、4μmから500μmのピッチを有する規則的なアレイである、請求項12から17のいずれか一項に記載のLEDアレイ。
【請求項19】
前記LED構造を超えて広がる複数のコンタクト層区域をさらに含み、前記コンタクト層区域の各々は、前記LED構造のそれぞれの群と電気的に接触している、請求項12から18のいずれか一項に記載のLEDアレイ。
【請求項20】
請求項12から19のいずれか一項に記載のLEDアレイを含むLEDディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)と、LEDアレイを製造する方法とに関係する。本発明は、マイクロメートルスケールでのLEDのアレイへの特定の用途を有する。
【背景技術】
【0002】
マイクロサイズのLED、または、さらにはマイクロLED(μLED)と呼称される、マイクロメートルスケールでのIII窒化物発光ダイオード(LED)の開発に対する著しく増大しつつある要望が存する。マイクロLEDは、新世代ディスプレイおよび可視光通信(VLC)用途に対する主たる構成要素である。III窒化物μLEDは、有機発光ダイオード(OLED)および液晶ディスプレイ(LCD)と比較して、ディスプレイ用途に対するいくつかの特有の特徴を呈する。LCDとは違い、μLEDが主要な構成要素であるIII窒化物マイクロディスプレイは、自発光である。μLEDを使用するモノクロディスプレイは、高解像度、高効率、および高コントラスト比を呈する。OLEDは、典型的には、妥当な寿命を維持するために、半導体LEDより数桁低い電流密度において動作させられる。結果として、OLEDのルミナンスは、相対的に低く、フルカラーディスプレイの場合に典型的には3000cd/mであり、一方で、III窒化物μLEDは、10cd/mより上の高いルミナンスを呈する。当然ながら、III窒化物μLEDは、本質的に、OLEDとの比較において、長い動作寿命、および化学的堅牢性を呈する。それゆえに、III窒化物μLEDは、潜在的可能性として、スマートフォンなどの、近い将来の広い範囲の用途における高解像度および高輝度ディスプレイに対して、LCDおよびOLEDに取って代わることができることが期待される。ディスプレイ用途に加えて、μLEDは、広域LEDと比較して、低減された寸法の結果として、有意に低減された接合容量を呈し、かくして、潜在的可能性として、VLC用途におけるGHz変調帯域幅による高速伝送につながる。
【0003】
現在、III窒化物μLEDは、300μm×300μm、または、より一層大きい寸法の典型的なデバイス面積を伴う従来の広域LEDの製作と同様である、標準的なIII窒化物LEDウエハ上での、標準的なフォトリソグラフィ法、および、後続のドライエッチングプロセスを組み合わせることの手段により専ら製作される(Z.Y.Fan、J.Y.Lin、およびH.X.Jiang、J.Phys.D:Appl.Phys.41、094001(2008);H.X.JiangおよびJ.Y.Lin、Optical Express 21、A476(2013))。広域LEDとμLEDとの間のデバイス製作における唯一の主要な違いは、デバイス寸法である。典型的には、μLEDの直径は、50μmから数マイクロメートルに至る範囲に及ぶ。
【0004】
III窒化物μLEDの製作に対する現在の手法において、いくつかの根本的な問題点が存する。第1に、誘導結合プラズマ(ICP)ドライエッチング法などのドライングエッチングプロセスは、半導体業界において、広域LEDメサおよびμLEDメサの両方を画定するために広く使用されてきた。それゆえに、ドライエッチングプロセスにより持ち込まれる表面および側壁損傷は、非放射性再結合率を有意に高める(F.Olivier、A.Daami、C.Licitra、およびF.Templier、Appl.Phys.Lett.111、022104(2017);S.S.Konoplev、K.A.Bulashevich、およびS.Y.Karpov、Phys.Status Solidi A 215、1700508(2017);W.Chen、G.Hu、J.Lin、J.Jiang、M.Liu、Y.Yang、G.Hu、Y.Lin、Z.Wu、Y.Liu、およびB.Zhang、Appl.Phys.Express 8、032102(2015);C.-M.Yang、D.-S.Kim、Y.S.Park、J.-H.Lee、Y.S.Lee、およびJ.-H.Lee、Opt.Photonics J.2、185(2012);Y.Zhang、E.Guo、Z.Li、T Wei、J.Li、X.Ye、およびG.Wang、IEEE Photonics Technol.Lett.24、243(2012);P.Zuo、B.Zhao、S.Yan、G.Yue、H.Yang、Y.Li、H.Wu、Y.Jiang、H.Jia、J.Zhou、およびH.Chen、Opt.Quantum Electron.48、1(2016)。この問題点は、低減された寸法を伴うLEDにおいて、とりわけ、大きい表面積対嵩体積比を伴うμLEDに対して、より深刻になる。今までのところ、すべての報告は、ピーク外部量子効率(EQE)が、μLEDの寸法が減少するのに伴って減少するということを示している(D.Hwang、A.Mughal、C.D.Pynn、S.Nakamura、およびS.P.DenBaars、Appl.Phys.Express 10、032101(2017);P.Zuo、B.Zhao、S.Yan、G.Yue、H.Yang、Y.Li、H.Wu、Y.Jiang、H.Jia、J.Zhou、およびH.Chen、Opt.Quantum Electron.48、1(2016);F.Olivier、S.Tirano、L.Dupre’、B.Aventurier、C.Largeron、およびF.Templier、J.Lumin.191、112(2017);P.Tian、J.J.D.McKendry、J.Herrnsdorf、S.Watson、R.Ferreira、I.M.Watson、E.Gu、A.E.Kelly、およびM.D.Dawson、Appl.Phys.Lett.105、171107(2014))。
【0005】
この減少は、表面再結合、および、非放射性再結合に対する側壁欠陥を創出するドライエッチングからのメサの側壁損傷に起因する。誘電材料を使用する側壁パッシベーションは、LEDにおけるプラズマ誘起損傷の影響を、ある程度まで低減することができるが、標準的なプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)法の代わりに、先進的な原子層堆積(ALD)法が表面パッシベーションのために使用されるときでさえ、改善は最低限である。
【0006】
第2に、標準的なフォトリソグラフィ法、および、後続のドライエッチングプロセスの組み合わせの利用を必然的に含む、現在の手法は、通常は、エピウエハの莫大な区域の無駄使いにつながる。例えば、12μmの直径および15μmのピッチ距離を伴うμLEDアレイを製作するために(現在のフォトリソグラフィ法によってピッチ距離をさらに低減することは非常に難題である)、エピウエハの50%材料がエッチングで除かれる必要があり、そのことは、エピウエハの50%が無駄にされていることを意味する。
【0007】
第3に、マイクロディスプレイを含む将来のスマートディスプレイ、およびVLCは、超高応答速度によって動作させられることを必要とする。それゆえに、超高速の速度による電気チャネルが、LED駆動トランジスタと、個々のLED構成要素との間の相互接続に対して必要である。
【0008】
現在のμLEDアレイは、III窒化物LEDウエハのn-GaNによって電気的に接続され、その場合、μLEDアレイに対する典型的な製作手順は、ドライエッチングプロセスを使用して、LEDウエハを、すべてのμLEDを接続するための唯一の電気チャネルであるn-GaNに至るまでエッチングすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえに、これらの問題点に対処するために、μLEDアレイの成長、および次いで製作に対する異なる手法を開発することが望ましい。産業界の要求を満たすためには、いかなる新しい手法も、スケーラブルな基礎を基に築かれなければならないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、発光ダイオード(LED)アレイを製造する方法であって、III族窒化物材料の半導体層を形成するステップと、半導体層を覆う誘電マスク層を形成するステップであって、誘電マスク層は、半導体層の区域を各々が露出させる、その誘電マスク層を貫通する孔のアレイを有する、形成するステップと、孔の各々の中でLED構造を成長させるステップと、を含む、方法を提供する。
【0011】
LED構造は、半導体層の露出された区域上で成長させられ得る。成長は全体的に上向き方向となり、なぜならば、孔の誘電側壁からの成長は起こらないからである。孔の中でのLED構造の上向き成長は、それゆえに、層状LED構造を結果的に生じさせ得るものであり、層の各々は、全体的に平坦または平面的であり、実質的に一定の厚さである。
【0012】
半導体層は、例えばGaNなどのIII族窒化物の、または、サファイア、ケイ素(Si)炭化ケイ素(SiC)の、または、ガラスの基板上に形成され得る。
【0013】
孔の各々の中でLED構造を成長させるステップは、孔の各々の中で、n型層と、少なくとも1つの活性層と、p型層とを成長させるステップを含み得る。少なくとも1つの活性層は、n型層とp型層との間にあり得る。少なくとも1つの活性層は、少なくとも1つの量子井戸層を含み得、多重量子井戸層を含み得る。これらは、例えば、InGaN、または、別の適したIII族窒化物材料から形成され得る。n型層およびp型層は、さらには、GaN、InGaN、またはAlGaNなどのIII族窒化物材料からなり得る。
【0014】
少なくとも1つの活性層は、誘電層の上面より下である上側表面を有し得る。1つの量子井戸層のみが存する場合、上側表面は、その量子井戸層の上側表面である。複数の量子井戸層が存する場合、上側表面は、最も上側の量子井戸層の上側表面である。上向き方向は、半導体層の、および/または、LED構造の成長の方向と定義され得る。
【0015】
誘電マスク層を形成するステップは、誘電材料の層を成長させるステップと、例えばフォトリソグラフィを使用して、誘電マスク層を覆うマスクを形成するステップと、マスクを使用して、誘電材料の層内へと孔のアレイをエッチングするステップとを含み得る。代替的には、誘電層は、誘電層の成長の間に、例えば、後続の成長および/またはエッチングを伴うフォトリソグラフィにより形成されるマスクを使用して、後で孔を形成する区域の周囲で成長させられ得る。
【0016】
方法は、孔の各々の中でLED構造を成長させるステップの前に、半導体層の露出された区域の各々をエッチングするステップをさらに含み得る。
【0017】
半導体層は、LED構造のすべてに対する共通コンタクトを与え得る。
【0018】
半導体層は、ドープされ得る。例えば、その半導体層は、n型またはp型III族窒化物材料の単一層を含み得る。代替的には、半導体層は、第1のサブレイヤ(sub-layer)と、第2のサブレイヤとを含み得、それらの第1のサブレイヤと第2のサブレイヤとの間のヘテロ界面が、ヘテロ界面において2次元電荷キャリアガスを形成するように配置構成される。サブレイヤは、バッファ層およびバリア層を形成し得る。2次元電荷キャリアガスは、例えば、2次元電子ガス(2DEG)であり得る。2次元正孔ガス(2DHG)が、さらには使用され得るが、典型的には、これらは、より低い電荷キャリア密度および/または移動度を有する。例えば、GaNの層、および、AlGaNもしくはInGaNの層、または、より一般的には、異なるAl含有量を伴うAlGaNの2つの層、もしくは、異なるIn含有量を伴うInGaNの2つの層を含むヘテロ構造が、2つの層の間の界面において2DEGを形成することができ、2DEG内の電子密度は、AlGaN層のAl含有量、または、InGaN層のIn含有量を含むいくつかの要因によって変動するということがよく知られている。他のIII族窒化物ヘテロ界面が、同じ効果を伴って使用され得る。
【0019】
方法は、LED構造を覆う1つまたは複数のコンタクト層区域を形成するステップをさらに含み得る。その、または各々のコンタクト層区域は、LED構造のうちの少なくとも1つと電気的に接触するように、LED構造のうちの少なくとも1つを超えて広がり得る。コンタクト層区域は、互いから電気的に絶縁され得る。
【0020】
孔、およびゆえにLED構造は、規則的なアレイをなして配置構成され得る。アレイは、正方形アレイであり得、または、そのアレイは、長方形アレイもしくは六角形アレイであり得る。アレイは、4μmから500μmのピッチ、すなわち、孔またはLEDの各々の最も近い対の中心の間の距離を有し得る。孔、およびゆえに、さらにはLED構造は、1から500μm、または、5から500μmの最大直径を有し得る。
【0021】
本発明は、本発明によるLEDアレイを含むLEDディスプレイを製造することをさらに提供する。
【0022】
本発明は、半導体層と、誘電層であって、半導体層を超えて広がり、その誘電層を貫通する孔のアレイを有する、誘電層と、孔の各々の中に形成されるLEDデバイスとを含むLEDアレイをさらに提供する。
【0023】
本発明は、含むLEDディスプレイ、および、本発明によるLEDアレイをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1aは、本発明の第1の実施形態によるプロセスにおいて形成された、成長させられた状態の(as-grown)テンプレートを示す図である。図1bは、図1aのテンプレートであって、マスキングパターンがそのテンプレートのマスク層内に形成された、図1aのテンプレートを示す図である。図1cは、マイクロLEDがマスク層内の孔内で成長させられた、図1aのテンプレートを示す図である。図1dは、図1cのテンプレートであって、電気的コンタクトがそのテンプレート上に形成された、図1cのテンプレートを示す図である。
図2図2aは、本発明の第2の実施形態によるプロセスにおいて形成された、成長させられた状態のテンプレートを示す図である。図2bは、図2aのテンプレートであって、マスキングパターンがそのテンプレートのマスク層内に形成された、図2aのテンプレートを示す図である。図2cは、マイクロLEDがマスク層内の孔内で成長させられた、図2aのテンプレートを示す図である。図2dは、図2cのテンプレートであって、電気的コンタクトがそのテンプレート上に形成された、図2cのテンプレートを示す図である。
図3図2dのテンプレートのLED構造を通る断面の図である。
図4】本発明の実施形態によるLEDアレイの走査電子顕微鏡画像の図である。
図5】本発明の実施形態によるLEDアレイのエレクトロルミネセンススペクトルを示す図である。
図6】LED直径の関数としての、本発明の実施形態の内部量子効率の変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1aを参照すると、本発明の第1の実施形態において、半導体層、例えば、標準的なn型GaN(n-GaN)層100が、初期に基板102上で成長させられる。基板102は、GaN基板であり得、または、サファイア、ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、もしくはガラスまでもなどの、任意の異種基板であり得る。GaN層100は、有機金属気相エピタキシャル(MOVPE)もしくは分子ビームエピタキシャル(MBE)のいずれか、または、任意の他の適した成長法を使用する、任意の標準的なGaN成長方法の手段により成長させられ得る。結果的に生じる「成長させられた状態のn-GaNテンプレート」は、10μmより上の厚さを有し得るが、典型的には、厚さは、500nmから10μmの範囲内である。引き続いて、二酸化ケイ素(SiO)もしくは窒化ケイ素(SiN)、または、任意の他の適した誘電材料などの誘電層104が、PECVD、または、任意の他の適した堆積法を使用することにより、n-GaN層100上に堆積させられる。誘電層の厚さは、20nmから500μmの範囲内であり得る。
【0026】
図1bを参照すると、孔106のアレイが、次いで、誘電層104内に形成される。孔106は、典型的には、マイクロメートルスケールであり、それゆえに、マイクロ孔と呼称される。このことは、手段、フォトリソグラフィ法、および次いで、エッチングプロセス(ドライエッチングまたはウェットエッチングであり得る)により行われ得る。フォトリソグラフィの使用は有利であり、なぜならば、そのことは、孔、およびゆえに、それらの孔内に形成されるLEDが、所望される位置、形状、およびサイズを伴って、正確に形成されることを可能とするからである。マイクロ孔106を形成することにおいて、誘電層104は、n-GaN層100の上側表面に至るまで、その誘電層104の厚さ全体を貫通してエッチングされる。マイクロ孔直径は、1μmから500μm、または、3μmから500μmであり得、ピッチ距離、すなわち、最も近い近接するマイクロ孔の中心の間の距離は、例えば、4μmから500μmであり得る。マイクロ孔区域の中のみの、n-GaN層100のさらなるエッチングが、残った誘電層104をマスクとして使用して実行され得る。n-GaNエッチング深さは、n-GaN層厚さに依存して、ゼロ(GaNエッチングがないことを意味する)から10μmであり得る。典型的には、最適なエッチング方法または条件は、n-GaN層に対しては、誘電層に対してとは異なることになる。例えば、SFエッチングは、誘電層104をエッチングするために使用され得るが、n-GaN層100はエッチングしないことになる。それゆえに、誘電層104を貫通する進路のすべてをエッチングし、半導体層100の上面表面において停止することが、達成するのに簡単である。このことは、さらには、孔106内で成長させられるLED構造の品質に対する利点を有する。
【0027】
孔106は、示される実施形態において、丸みのある、具体的には円形の断面であるが、他の断面、例えば卵形または正方形が使用され得る。
【0028】
次に、図1cを参照すると、標準的なIII窒化物LED構造が、GaN層100の露出された区域上で成長させられる。しかしながら、GaN層100の離散的な区域のみが、誘電層またはマスク内のマイクロ孔106により露出されるので、LED構造は、マイクロ孔106の間の誘電層104の残っている部分により分離される、離散的なLED108のアレイとして形成される。LED構造108は、MOVPEもしくはMBE法のいずれか、または、任意の他の適した成長法により成長させられる。成長は、GaN(または他の半導体)層の露出された区域から上向きに起こり、孔106の側壁からは起こらない。それゆえに、層状LED構造が、孔106の各々の内側で築き上げられ得、層の各々は、実質的に平坦または平面的である。LED構造は、n-GaN層110と、活性領域112と、次いで、最終的なpドープされたGaN層114とを含み得る。活性領域112は、InGaN予備層(prelayer)と、InGaNベースの多重量子井戸(MQW)と、ブロッキング層としての薄いp型AlGaN層(示されない)とを含み得る。LED構造の例が、図3を参照して下記でより詳細に説明される。上記で述べられたように、誘電マスク104に起因して、LED構造は、μLEDアレイを形成して、図1cにおいて示されるように、マイクロ孔106の中でのみ成長させられ得る。
【0029】
InGaN MQW112の最も上側の層は、誘電層104の上側表面より上で広がるべきでないことが重要であり、広がると、テンプレートが最終的なμLEDアレイとして製作された後に短絡効果を生じさせることがある。また、マイクロ孔区域の各々の中の過成長させられた状態の(overgrown)n-GaN110は、すべての個々のμLEDが、誘電マスク104の下方のエッチングされない部分のn-GaN層100によって互いに電気的に接続されるように、誘電マスク104の下方のテンプレートのエッチングされない部分の中のn-GaN層100に直接的に接触することも、重要である。
【0030】
図1dを参照すると、LEDアレイ構造が完成させられると、アレイに対する電気的コンタクトの形成を含む、さらなるデバイス製作が遂行される。例えば、上側コンタクト層116が、誘電マスク層104の上方に、および、個々のマイクロLEDデバイス108の上側p-GaN層の上方に形成され得る。上側コンタクト層116は、それゆえに、LEDデバイス108のすべてに対する共通pコンタクトを形成する。上側コンタクト層116は、ITOまたはNi/Au合金から形成され得る。アノード118が、次いで、pコンタクト層116上に形成され得る。例えば、誘電層104の一部分が、エッチングで除かれ得、次いで、エッチングされた誘電層セクション上のLED構造の一部分が、さらには、n-GaNに至るまでエッチングされ得、そのことが、n-GaN100の区域120を露出させ、カソード122が、n-GaNのその露出された区域120上に形成され得る。
【0031】
LEDアレイがディスプレイ内で使用される場合、連続的なコンタクト層116は、各々がLED構造108のそれぞれの群を覆う、いくつかの別個のコンタクト層区域により置き換えられ得る。各々の群は、ただ1つのLED構造108を含み得るか、または、その群は、例えば2もしくは3もしくは4の、複数のLED構造を含み得る。コンタクト層区域は、例えば互いから間をおいて離隔されることにより、互いから電気的に絶縁される。このことは、LED構造の各々の群が、アドレス指定可能であること、すなわち、他のものから独立にオンおよびオフにスイッチングされることを可能とする。具体的には、コンタクト層区域の各々は、LEDの各々またはLEDの群が画素を形成するディスプレイを形成するように、それぞれのスイッチングデバイスに接続され得る。フォトリソグラフィにより与えられるLED構造の場所およびサイズおよび形状の正確な制御は、コンタクト層区域がLED構造と正しく位置合わせされることが、それらのLED構造が個々にアドレス指定されることを可能にするために行われ得ることを確実にすることにおいて重要である。
【0032】
LED構造の過成長は、マイクロ孔区域106の中でのみ生起するので、LEDデバイスの形成の間の成長率は、何らのパターニング特徴も伴わない平面的なテンプレート上で、同一の条件のもとで成長させられるものと比較して、一部の事例においては約4倍高速に、有意に増大されるということが見いだされた。
【0033】
上記で説明された実施形態に対する様々な変形が可能であるということが認識されよう。例えば、1つの変形例においては、構造が反対にされ、p-GaN層が基板上で成長させられ、誘電層により覆われ、次いで、LEDデバイス108のp-GaN層が最初に形成され、多重量子井戸層、および次いで、n-GaN層が後に続く。nコンタクト層が、次いで、pコンタクト層に代わって誘電層の上面の上方に形成され、アノードおよびカソードの位置が逆にされる。
【0034】
図1aから図1dの構成において、マイクロ孔106の中の過成長させられた状態のn-GaN110は、すべての個々のμLED108がn-GaN層100によって互いに電気的に接続されるように、誘電マスク104の下方のn-GaN層100のエッチングされない部分のn-GaNと一致しなければならない。誘電マスク104の下方のエッチングされないn-GaN部分のn-GaN100を、電気的に接続されるチャネルとして使用する代わりに、さらなる実施形態において、ヘテロ接合において2次元電子ガス(2DEG)を伴うIII族窒化物ヘテロ構造が、n-GaN層の代わりに、半導体層として使用される。この実施形態において、標準的なAlGaN/GaN HEMT構造が使用される。HEMT構造のAlGaNバリアとGaNバッファとの間の界面において形成される、高いシートキャリード密度(sheet carried density)、および、高い電子移動度を伴う電子ガス(2DEG)が、電気的に接続されるチャネルとして使用される。
【0035】
図2aから図2dを参照すると、そのようなデバイスを製造するために、標準的なAlGaN/GaN HEMT構造が、最初に、MOVPEもしくはMBE法のいずれかまたは任意の他のエピタキシャル法を使用する、任意の標準的なGaN成長手法の手段により、GaN、基板、または、サファイア、Si、SiC、もしくはガラスまでもなどの、任意の異種基板上で成長させられる。具体的には、この実施形態において、バッファ層を形成するGaN層200が、基板202上で成長させられ、次いで、バリア層を形成するAlGaN層201が、GaN層200上で成長させられる。この構造は、本明細書において「成長させられた状態のHEMTテンプレート」と呼称される。引き続いて、例えば2nmから500μmの範囲内の厚さを伴う、SiOもしくはSiN、または、任意の他の誘電材料などの誘電層204が、PECVD、または、任意の他の適した堆積法を使用することにより、成長させられた状態のHEMTテンプレート上に堆積させられる。そのことの後に、フォトリソグラフィ法、および次いで、エッチングプロセス(ドライエッチングまたはウェットエッチングであり得る)の手段により、誘電層204は、誘電層204内にマイクロ孔アレイ206を形成するために、HEMT構造の表面に至るまでエッチングされ、その場合、マイクロ孔直径は、数μmから500μmであり得、近接する孔中心の間のピッチ距離は、10μmから500μmの範囲内であり得る。マイクロ孔区域の中で、成長させられた状態のHEMTをさらにエッチングすることが、誘電層204の残った領域をマスクとして使用して実行され得る。成長させられた状態のHEMTエッチング深さは、成長させられた状態のHEMTテンプレートのAlGaNバリア位置に依存して、ゼロ(エッチングが全くないことを意味する)から10μmであり得る。しかしながら、一般的には、エッチングは、LED構造の各々と2DEGとの間の良好な電気的接触を与えるように、少なくとも、成長させられた状態のHEMT構造の2つの層200、201の間のヘテロ界面と同じほど遠方に、下向きに延びることになる。
【0036】
次に、標準的なIII窒化物LED構造が、MOVPEもしくはMBE法のいずれか、または、任意の他のエピタキシャル法により、マイクロ孔によって特徴付けられる、誘電マスクをパターニングされたHEMTテンプレート上で成長させられる。このことは、例えば、n-GaN層、InGaN予備層、活性領域としてのInGaNベースのMQW、および次いで、ブロッキング層としての薄いp型AlGaN、および次いで、最終的なpドープされたGaNを成長させることを含み得る。誘電マスクに起因して、LED構造は、図2cにおいて示されるように、離散的なマイクロLEDデバイス208をマイクロ孔の中に形成して、マイクロ孔206の中でのみ成長する。
【0037】
図1aから図1dの実施形態と同様に、重要な点は、InGaN MQW212の上側表面は、最終的なμLEDアレイとして製作された後に、短絡効果を回避するように、誘電層204の上側表面より下であるべきであるということである。
【0038】
図3を参照すると、図1aから図1d、および、図2aから図2dのLEDアレイ内のLED構造は、任意の適した構造を有し得るが、1つの例において、それらのLED構造は、n-GaN層310と、n-GaN層310の上方に形成されるInGaN予備層316と、予備層316の上方に形成されるいくつかのInGaN量子井戸層312と、例えばp-AlGaNの、pドープされたブロッキング層318と、次いで、p-GaN層314とを含み得る。この構造は、いくつかの手立てで変動させられ得るということが認識されよう。上記で指摘されたように、量子井戸層312のうちの最も上側のものの上面は、誘電層の上面より下であることが好ましい。ブロッキング層318の上面は、さらに誘電層の上面より下であることが、さらには好ましい。
【0039】
別の重要な点は、マイクロ孔区域の中の過成長させられたn-GaNは、すべての個々のμLEDが、誘電マスクの下方のHEMT構造(すなわち、エッチングされない部分)のAlGaNバリアとGaNバッファとの間の界面において形成される2DEGによって電気的に接続されるように、誘電マスク204の下方のエッチングされない部分の、初期に成長させられた状態のHEMT構造のAlGaNバリアとGaNバッファとの間の界面に直接的に接触するということである。LED構造が完成させられると、任意の適した標準的なデバイス製作が、図1aから図1dの実施形態と同様に遂行され得、各々のデバイスは、図2dにおいて示されるように、いくつかの個々のμLED構成要素を含むことになり、その場合、各々のデバイスにおける短絡をなくすために、残った誘電マスク204により分離される、すべての個々のμLED208は、共通pコンタクト216を共有する。
【0040】
図2aから図2dの実施形態において、任意の標準的なLED製作ステップより前に、誘電マスク204の選択的エッチングが、HEMT構造の表面の一部分が露出されるようにするために必要とされ得、その場合、カソードコンタクト222が、図2dにおいて示されるように、露出されたHEMTの表面上に製作されるということが留意されるべきである。選択的エッチングは、ドライエッチングまたはウェットエッチングであり得る。
【0041】
例として、図4は、各々のμLEDの直径が40μmである場合の、上記で説明されたように製造される、μLEDアレイエピウエハの典型的な走査顕微鏡画像を示す。
【0042】
例として、図5は、注入電流の関数としての、40μmの直径を伴うμLEDのエレクトロルミネセンススペクトルを示す。
【0043】
図6は、μLEDの直径の関数として測定される、上記で説明されたように形成されるμLEDの内部量子効率(IQE)を示す。この図は、LEDのIQEが、μLEDの直径を減少することによって増大するということを示す。結果は、従来の手法を使用して製作されるすべての以前のμLEDの結果とは異なる。このことは、上記で説明された方法が、典型的には従来の製作プロセスの間に生成される、ドライエッチング誘起側壁損傷を回避したということを示唆する。
図1a-1d】
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】