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特表2022-504538横方向補強システムおよび処理された梁を備えるモーメント・フレーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】横方向補強システムおよび処理された梁を備えるモーメント・フレーム
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20220105BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20220105BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20220105BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
E04H9/02 301
E04B1/58 508F
E04B1/24 J
E04H9/14 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519599
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 US2019055344
(87)【国際公開番号】W WO2020076915
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】62/743,176
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/595,940
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506244375
【氏名又は名称】シンプソン ストロング タイ カンパニー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン イー. プライヤー
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AB01
2E125AC15
2E125AG03
2E125AG04
2E125AG12
2E125AG32
2E125AG34
2E125BB02
2E125BB12
2E125BB22
2E125BB25
2E125BB37
2E125BD01
2E125BE02
2E125BE04
2E125BE08
2E125BF06
2E125BF08
2E125CA05
2E125CA09
2E125CA14
2E139AA01
2E139AA05
2E139AC33
2E139AD01
2E139BA06
(57)【要約】
柱および梁から形成される構造物であって、梁が、横方向補強システムによって柱に結合される上部および下部フランジと、上部フランジと下部フランジとの間のウェブと、を有する、構造物。横方向補強システムは、横方向部および縦方向部を備える柱装着プレートを具備し得、縦方向部が柱に取り付けられる。梁は、柱に対して梁が回転したとき梁フランジが柱装着プレートと拘着することを防止するために、ウェブの上部および下部の端部において処理され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物であって、
縦方向柱と、
上部フランジおよび下部フランジを備える横方向梁と、
長手方向が縦方向を向き、前記柱と前記梁との間、かつ前記梁の前記上部フランジと前記下部フランジとの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁との間に取り付けられた横方向補強システムと、を備え、
前記横方向補強システムが、前記梁の前記上部フランジおよび前記下部フランジにそれぞれ第1の座屈抑止アセンブリおよび第2の座屈抑止アセンブリを備え、
各前記座屈抑止アセンブリが、
横方向部および縦方向部を備える柱装着プレートであって、前記縦方向部が前記柱に取り付けられる、前記柱装着プレートと、
前記梁に装着される横方向部を備える梁装着プレートと、
前記柱装着プレートと前記梁装着プレートとの間に連結された降伏プレートであって、前記降伏プレートが前記柱装着プレートおよび前記梁装着プレートより狭い幅を有し、前記降伏プレートの前記狭い幅が前記柱装着プレートと前記梁装着プレートとの間で前記降伏プレートの両側に第1のノッチおよび第2のノッチを規定し、前記降伏プレートが前記梁および/または前記柱に横方向荷重が掛かると引張および圧縮において降伏して構造物内の応力を分散する、前記降伏プレートと、を備え、
前記梁が、前記柱に対して前記梁が回転したときに前記梁フランジが前記柱装着プレートと拘着することを防止するように処理されている、
構造物。
【請求項2】
前記梁が、前記上部フランジと前記下部フランジとの間にウェブを備え、前記ウェブの角部が、前記柱に対して前記梁が回転したとき前記ウェブが前記柱装着プレートと拘着することを防止するように、処理されている、請求項1に記載の構造物。
【請求項3】
前記梁が、前記上部フランジと前記下部フランジとの間にウェブを備え、前記ウェブが、前記柱に隣接する延長ウェブ部分を備え、前記延長ウェブが、前記柱と前記梁フランジとの間の角部で前記梁を処理することによって形成された傾斜部分を備える、請求項1に記載の構造物。
【請求項4】
前記梁フランジが、前記傾斜部分が前記梁フランジに交わる前記傾斜部分の第1の端部で終わる、請求項3に記載の構造物。
【請求項5】
前記傾斜部分が、前記せん断タブにおいて終わる第2の端部を有する、請求項4に記載の構造物。
【請求項6】
前記傾斜部分が、第1の傾斜部分を備え、前記角部が、前記上部フランジにおいて第1の角部を備え、前記延長部分が、前記柱と前記下部梁フランジとの間の第2の角部で前記梁を処理することによって形成された第2の傾斜部分をさらに備える、請求項3に記載の構造物。
【請求項7】
前記下部梁フランジが、前記第2の傾斜部分が前記下部梁フランジと交わる前記第2の傾斜部分の第1の端部で終わる、請求項6に記載の構造物。
【請求項8】
前記第2の傾斜部分が、前記せん断タブにおいて終わる第2の端部を有する、請求項7に記載の構造物。
【請求項9】
前記せん断タブがボルト孔を備え、前記処理された梁が、前記ボルト孔の中心を通る縦方向軸上で終わるフランジを備える、請求項1に記載の構造物。
【請求項10】
前記梁の処理が、前記梁フランジと40°~80°の角度を形成する、請求項1に記載の構造物。
【請求項11】
前記梁の処理が、前記梁フランジと60°の角度を形成する、請求項1に記載の構造物。
【請求項12】
構造物であって、
縦方向柱と、
上部フランジおよび下部フランジを備える横方向梁と、
長手方向が縦方向を向き、前記柱と前記梁との間、かつ前記梁の前記上部フランジと前記下部フランジとの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁との間に取り付けられた横方向補強システムと、を備え、
前記横方向補強システムが、前記梁の前記上部フランジおよび前記下部フランジにそれぞれ第1の座屈抑止アセンブリおよび第2の座屈抑止アセンブリを備え、であり、
各前記座屈抑止アセンブリが、
横方向部および縦方向部を備える柱装着プレートであって、前記縦方向部が前記柱に取り付けられる、前記柱装着プレートと、
前記梁に装着される横方向部を備える梁装着プレートと、
前記柱装着プレートと前記梁装着プレートとの間に連結された降伏プレートであって、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が掛かると引張および圧縮において降伏して構造物内の応力を分散する前記降伏プレートと、を備え、
前記梁が、前記上部フランジと前記下部フランジとの間のウェブと、前記柱に隣接する前記ウェブの一部を備える延長ウェブ部分と、を備え、前記延長ウェブ部分が、前記ウェブの上部および下部に第1の傾斜部分および第2の傾斜部分を備え、前記第1の傾斜部分および前記第2の傾斜部分が、前記柱に対して前記梁が回転したとき前記梁フランジが前記柱装着プレートと拘着することを防止するように構成されている、
構造物。
【請求項13】
前記上部梁フランジが、前記第1の傾斜部分の第1の端部で終わる、請求項12に記載の構造物。
【請求項14】
前記下部梁フランジが、前記第2の傾斜部分の第1の端部で終わる、請求項13に記載の構造物。
【請求項15】
前記第1の傾斜部分および前記第2の傾斜部分が、前記せん断タブにおいて終わる第2の端部を有する、請求項14に記載の構造物。
【請求項16】
前記せん断タブがボルト孔を備え、前記上部フランジおよび前記下部フランジが、前記ボルト孔の中心を通る縦方向軸上で終わる、請求項12に記載の構造物。
【請求項17】
前記第1の傾斜部分が、前記上部梁フランジと40°~80°の角度を形成する、請求項12に記載の構造物。
【請求項18】
前記第1の傾斜部分が、前記上部梁フランジと60°の角度を形成する、請求項12に記載の構造物。
【請求項19】
構造物を形成する方法であって、
(a)横方向補強システムを用いて梁を柱に取り付けるステップであって、前記梁が、上部フランジおよび下部フランジと、前記上部フランジに隣接する第1の端部および前記下部フランジに隣接する第2の端部を有するウェブと、を備え、前記横方向補強システムが、横方向部および縦方向部を備える柱装着プレートを具備し、前記縦方向部が、前記柱に取り付けられる、ステップと、
(b)前記柱装着プレートの前記縦方向部に対する空間を設けるために、前記ウェブの第1の部分を前記第1の端部において前記柱から離すように処理する、ステップと、
を含む方法。
【請求項20】
さらに、第2の横方向補強システムが、第2の横方向部および第2の縦方向部を備える第2の柱装着プレートを具備し、前記第2の縦方向部が、前記柱に取り付けられる、方法であって、前記第2の柱装着プレートの前記第2の縦方向部に対する空間を設けるために、前記ウェブの第2の部分を前記第2の端部において前記柱から離すように処理するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年10月9日出願の米国特許仮出願第62/743,176号、題名「MOMENT FRAME INCLUDING LATERAL BRACING SYSTEM AND COPED BEAM」、および2019年10月8日出願の米国特許非仮出願第16/595,940号、題名「MOMENT FRAME INCLUDING LATERAL BRACING SYSTEM AND COPED BEAM」の優先権を主張するものであり、それら出願は、全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、軽量フレーム型構造物に用いられる構造体のヒステリシス減衰に関し、特に、エネルギーが軽量フレーム型構造物内において低変位閾値で分散されるように、高い初期剛性と共にヒステリシス減衰による高いエネルギー分散度を実現するよう構成された横方向補強システムに関する。
【背景技術】
【0003】
地震活動や強風などの自然現象に起因するせん断応力は、軽量フレーム型構造物の構造上の健全性に破壊的な影響を及ぼすことがある。そのような自然現象の際に生じる横方向力が、壁の下部に対して壁の上部を横方向に動かすことがあり、その動きの結果として、壁の損傷または構造的破損が生じ得、場合によっては、建物が倒壊し得る。
【0004】
住宅や小型ビルなどの構造物において、横方向補強システムが、軽量フレーム型構造物の構造上の健全性に対するせん断応力の潜在的な破壊的影響に対抗するよう開発された。様々な設計が知られているが、ある形式の横方向補強システムは、互いに間隔を置いて配置された縦方向スタッドおよびそれらスタッドに取り付けられ、それらスタッド間に延在する横方向梁を備える。それら梁は、横方向荷重下における連結部の構造的性能を増大させることを目的としてスタッドに取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の多くの横方向補強システムは、横方向荷重下において当初良好に働くが、大きな地震活動や強風の際に生じることの多い繰り返し横方向荷重を受けると、降伏したり破損したりする。横方向補強システムに降伏または破損が認められると、そのシステム全体を交換しなければならない。
【0006】
別の考慮事項は、横方向荷重を受けて梁が柱に対して回転するときの構成要素相互間の間隙に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態による横方向補強システムによって柱に連結された梁の前面図である。
【0008】
図2】本発明の実施形態による横方向補強システムによって柱に連結された梁の透視図である。
【0009】
図3】本発明の実施形態による横方向補強システムおよびせん断タブによって柱に連結された梁の前面図である。
【0010】
図4】本技術の実施形態による梁の処理を示す、柱に隣接する梁の状態の前面図である。
【0011】
図5】本技術の実施形態による梁、柱、およびせん断タブの部分拡大前面図である。
【0012】
図6】本技術の実施形態による座屈抑止アセンブリおよび処理された梁の分解組立透視図である。
【0013】
図7】本技術の実施形態による座屈抑止アセンブリの分解組立透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次いで、本発明が諸図面を参照して説明され、それら図面は、諸実施形態における、高い初期剛性を有し、かつ横方向過重下で横方向補強システム内に生じるエネルギーを効果的に分散することが可能な降伏リンクを備える横方向補強システムに関する。本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではないことが理解される。むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全であり、本発明を当業者に完全に伝えるように提供される。実際、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲および概念内に含まれる、これらの実施形態の代替、修正、および均等物を包含することが意図される。さらに、本発明の以下の詳細な説明では、本発明の網羅的な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本発明がそのような特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0015】
ここで、たとえば図1~3、および7を参照すると、縦方向柱104に取り付けられた横方向梁102の一部からなるフレーム100が示される。梁102および柱104のそれぞれは、中央ダイヤフラムまたはウェブによって連結された対向する対のフランジを備える。梁102は、たとえば、フランジ110およびウェブ112を備え得る。縦方向柱および横方向梁と称しているが、柱と梁とは、代替実施形態では、90°以外の角度で互いに取り付けてもよいことを理解されたい。梁102および柱104は、I字型梁、W字形梁、または他の構造鋼要素でよい。
【0016】
梁102は、横方向補強システム300を用いて柱104に取り付けられる。横方向補強システムは、梁102の上部および下部フランジ110に1つずつの1対の座屈抑止型補強装置302から構成される。各座屈抑止型補強装置302は、梁102のフランジ110にその第1の端部でボルト止め、溶接、または接着され、柱104のフランジにその第2の端部でボルト止め、溶接、または接着された平らで「ドッグ・ボーン」形状の降伏部材304(図7)を備え得る(「ドッグ・ボーン」形状では、降伏部材が両端部より中央部312で細くなっている)。座屈抑止ブロック316が、各降伏部材304の中央部を覆っている。ブロック316は、梁102のそれぞれのフランジ110にボルト止め、溶接、または接着される。
【0017】
せん断タブ222を、梁102と柱104との間にさらに設けることができる。せん断タブ222は、ボルト止め、溶接、接着などによって柱104のフランジに、ボルト止めなどによって梁102の中央ダイヤフラム112に取り付けることができる。図示のように、せん断タブ222は、中央ボルト孔228aおよび1対の端部ボルト孔228bを含むボルト孔228を備え得る。中央ボルト孔228aは円形であり得、他方、端部のボルト孔228bは、組み立てられたとき長さ寸法が梁102のフランジ110に対して平行に配置される長円であり得る。下記で説明するように、十分な大きさの横方向荷重が掛かると、梁102は、中央のボルト孔228aを通る軸周りに回転し得る。長円の端部ボルト孔228bは、梁102が柱104に対して回転すると、梁102の中央ダイヤフラムに取り付けられたボルトが端部ボルト孔内で移動することを可能にする。
【0018】
作動中、対の座屈抑止型補強装置302は、横方向荷重下での柱に対する梁の回転(すなわちせん断タブ222の中央孔228a周りの回転)に対抗するよう連係して働く。第1の方向に回転しようとすると、第1の装置302は引っ張られ、第2の装置は圧縮される。反対方向に回転しようとすると、第1の装置は圧縮され、第2の装置は引っ張られる。
【0019】
それぞれの装置302の降伏部材304は、横方向荷重下の柱104と梁102との相対運動に対して高い初期剛性および引張抵抗を発揮するが、予測可能かつ制御できるレベルを超える横方向荷重下では、安定した降伏およびエネルギー分散を行う。特に、柱および梁の曲げ強さは、降伏部材304、特に降伏部材304のより細い中央部のモーメント容量を超えるように設計され得る。それによって、降伏部材304が、柱または梁の降伏または破損前に横方向荷重下で降伏し、いかなる損傷も、容易に取り外し交換することができる降伏リンクに限定される。座屈抑止ブロック316が、圧縮荷重下での降伏部材の座屈を防止する。せん断タブ222は、縦方向荷重下の、または補強システムの横方向負荷に際して生じる縦方向せん断力(すなわち柱104の長手方向の)に対抗するように設けられる。せん断タブ222は、また、補強システムの横方向荷重下での軸方向力(すなわち梁102の長手方向の)に対抗するように設けられる。
【0020】
従来技術の項で指摘したように、本技術の一利点は、横方向荷重下で梁102が柱104に対して回転するとき、構成要素同士の干渉および拘着を回避することである。たとえば、一実施形態では、梁102は、柱104に隣接する端部に傾斜部分114(たとえば図4に番号記載)を設けるよう処理されている。下記に説明されるように、各降伏部材304は、柱104に装着される縦方向プレート308aを備え得る。諸実施形態では、傾斜部分114は、梁102の上部および下部フランジ110の一部分を取り除いており、そうしないと、それら部分は、梁102が回転したとき、降伏部材304の柱装着プレート308と干渉または拘着する場合がある。
【0021】
傾斜部分114は、せん断タブ222がボルト止めされる延長ウェブ部分112aを形成する。各傾斜部分114は、たとえば60°など、40°~80°で変わり得るフランジ110との角度θを形成し得るが、角度θは、別の実施形態では、それより小さくても大きくてもよい。諸実施形態では、フランジは、各フランジ110が延長ウェブ部分112aの先端から、たとえば、3インチの端点110aで終わり得る(かつ傾斜部分114が始まる)ように処理され得る。この位置は、中央ボルト孔228aの中心点を通る、フランジ110の面に直交する横断(縦方向)軸tに沿って整列されている。ただし、各フランジ110の端点110aが、横断軸tから前方または後方に離隔する点で終わり得ることも可能である。たとえば、各フランジは、横断軸tから1/8インチまたは1/16インチ前方または後方の点で終わってもよい。フランジ110の端点110aは、別の実施形態では、横断軸tから別の距離だけ離隔する点で終わってもよい。
【0022】
梁102をこのように処理することは、梁102に上記の処理を施さなければフランジ110が柱装着プレート308に当接、干渉、または拘着することがあるので、利点をもたらす。プレート308が、この作用に対してかなりの規模の抵抗を呈し得るので、せん断タブ222のボルトに望ましくない追加のせん断力を生じる力が、梁内に発生する。さらに、柱装着プレート308に当接することによって、望ましくない力が、柱装着プレート308および降伏部材304、ならびに柱装着プレート308を柱104に固定するボルト、溶接部、または接着部に発生する。
【0023】
しかしながら、本明細書に説明されるように梁102を処理することによって、これら問題が回避される。図5は、梁が中央ボルト孔228a周りに回転するとき、フランジ110の端点110aが従う半径rを示す。図示のように、本明細書に説明されたように処理されている場合、梁がどちらの方向に回転しても、柱装着プレート308と接触することはない。
【0024】
図6および7は、横方向補強システム300および降伏部材304のより細部を示す。各降伏部材304は、柱装着プレート308と、梁装着プレート310と、柱装着プレートと梁装着プレートとの間に連結された降伏プレート312と、を備える。柱装着プレート308は、直角に一体に溶接され得る縦方向部308aおよび横方向部308bを有し得る。縦方向部308aおよび横方向部308bは、他の手段によって互いに結合してもよく、または別の実施形態では単体として鋳造してもよい。
【0025】
横方向部308bは、平坦な、梁装着プレート310および降伏プレート312と一体の構造体として形成され得る。横方向部308bならびにプレート308、310および312は、たとえば、1/4インチ鋼の単一片から形成することができる。別の実施形態では、横方向部308bならびにプレート308、310および312は、たとえば、別の厚さに形成することができる。
【0026】
柱装着プレート308および梁装着プレート310は、それぞれ、たとえば7.00インチなど、梁102の幅にほぼ等しい幅(梁102のフランジの幅を横切る)を有し得る。降伏プレート312は、プレート308、310の幅より小さい幅(梁102のフランジの幅を横切る)を有し得る。プレート312の幅は、ある実施形態では1~6インチ、別の実施形態では1~3インチ、別の実施形態では2~3インチであり得る。降伏プレート312の幅は、降伏プレートが柱および梁装着プレート308、310より小さい幅を有しさえすれば、別の寸法でもよい。
【0027】
座屈抑止型アセンブリ302は、座屈抑止部材316および1対のスペーサ・ブロック318(それらブロックの1つは明瞭さのために図7から省略されている)をさらに備える。座屈抑止部材316は、長さ(梁102の長手方向の)が降伏プレート312の長さにほぼ等しい平坦なプレートであり得る。座屈抑止部材316は、別の実施形態では、降伏プレート312より長くても短くてもよい。座屈抑止部材316は、1/4インチ鋼であり得るが、別の実施形態では、より厚くても薄くてもよい。
【0028】
スペーサ・ブロック318は、座屈抑止型アセンブリ302が下記に説明されるように一体に組み立てられたとき、柱装着プレート308の横方向部308bと梁装着プレート310との間で降伏プレート312の両側に嵌め込まれるように寸法設定されている。スペーサ・ブロック318は、降伏部材304と同じ厚さを有し得る。
【0029】
柱装着プレート308、梁装着プレート310、および降伏プレート312を備える降伏部材304は、現場または現場以外のどちらでも柱104に取り付けることができる。一実施形態では、縦方向部308aは、ボルト322(図6)を受け入れる孔320(図7)を横方向部308bの上下に備え、それによって、降伏部材304を柱104にボルト止めすることができる。別の実施形態では、別法として、降伏部材304を溶接または接着によって柱104に取り付け得ることが考えられる。
【0030】
その後、現場で、梁装着プレート310を、複数のボルト326を介して梁102にボルト止めすることができる。図は6本のボルト326を示すが、別の実施形態ではそれより多くても少なくてもよい。この時点で、降伏部材304は、梁102および柱104の両方に取り付けられる。梁と柱とは、さらに、上記のようにせん断タブ222によって互いに取り付けることができる。せん断タブ222は、柱104のフランジへの溶接、接着、ボルト止めなどによって柱104に、ボルトなどによって梁102のウェブに取り付けることができる。
【0031】
諸実施形態では、座屈抑止アセンブリ302およびせん断タブ222は、現場でボルトのみを用いて梁102を柱104に取り付け、それにより、溶接を省くことによって建造を簡略化することができる。しかしながら、別の実施形態では、梁装着プレート310および/またはせん断タブ222を、溶接または接着によって梁102に取り付けることができる。別の実施形態では、降伏部材304を、事前または現場のどちらででも、先ず梁102に取り付け、次いで柱104に取り付けることができる。
【0032】
本発明を本明細書で詳細に説明してきたが、本発明は、本明細書に開示された実施形態に限定されないことを理解されたい。様々な変形、代替、および変更を、添付の特許請求の範囲によって記述されかつ定義された本発明の思想または範囲から逸脱することなく、当業者によってそれら実施形態に加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
本発明を本明細書で詳細に説明してきたが、本発明は、本明細書に開示された実施形態に限定されないことを理解されたい。様々な変形、代替、および変更を、添付の特許請求の範囲によって記述されかつ定義された本発明の思想または範囲から逸脱することなく、当業者によってそれら実施形態に加えることができる。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
[項目1]
構造物であって、
縦方向柱と、
上部フランジおよび下部フランジを備える横方向梁と、
長手方向が縦方向を向き、前記柱と前記梁との間、かつ前記梁の前記上部フランジと前記下部フランジとの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁との間に取り付けられた横方向補強システムと、を備え、
前記横方向補強システムが、前記梁の前記上部フランジおよび前記下部フランジにそれぞれ第1の座屈抑止アセンブリおよび第2の座屈抑止アセンブリを備え、
各前記座屈抑止アセンブリが、
横方向部および縦方向部を備える柱装着プレートであって、前記縦方向部が前記柱に取り付けられる、前記柱装着プレートと、
前記梁に装着される横方向部を備える梁装着プレートと、
前記柱装着プレートと前記梁装着プレートとの間に連結された降伏プレートであって、前記降伏プレートが前記柱装着プレートおよび前記梁装着プレートより狭い幅を有し、前記降伏プレートの前記狭い幅が前記柱装着プレートと前記梁装着プレートとの間で前記降伏プレートの両側に第1のノッチおよび第2のノッチを規定し、前記降伏プレートが前記梁および/または前記柱に横方向荷重が掛かると引張および圧縮において降伏して構造物内の応力を分散する、前記降伏プレートと、を備え、
前記梁が、前記柱に対して前記梁が回転したときに前記梁フランジが前記柱装着プレートと拘着することを防止するように処理されている、
構造物。
[項目2]
前記梁が、前記上部フランジと前記下部フランジとの間にウェブを備え、前記ウェブの角部が、前記柱に対して前記梁が回転したとき前記ウェブが前記柱装着プレートと拘着することを防止するように、処理されている、項目1に記載の構造物。
[項目3]
前記梁が、前記上部フランジと前記下部フランジとの間にウェブを備え、前記ウェブが、前記柱に隣接する延長ウェブ部分を備え、前記延長ウェブが、前記柱と前記梁フランジとの間の角部で前記梁を処理することによって形成された傾斜部分を備える、項目1に記載の構造物。
[項目4]
前記梁フランジが、前記傾斜部分が前記梁フランジに交わる前記傾斜部分の第1の端部で終わる、項目3に記載の構造物。
[項目5]
前記傾斜部分が、前記せん断タブにおいて終わる第2の端部を有する、項目4に記載の構造物。
[項目6]
前記傾斜部分が、第1の傾斜部分を備え、前記角部が、前記上部フランジにおいて第1の角部を備え、前記延長部分が、前記柱と前記下部梁フランジとの間の第2の角部で前記梁を処理することによって形成された第2の傾斜部分をさらに備える、項目3に記載の構造物。
[項目7]
前記下部梁フランジが、前記第2の傾斜部分が前記下部梁フランジと交わる前記第2の傾斜部分の第1の端部で終わる、項目6に記載の構造物。
[項目8]
前記第2の傾斜部分が、前記せん断タブにおいて終わる第2の端部を有する、項目7に記載の構造物。
[項目9]
前記せん断タブがボルト孔を備え、前記処理された梁が、前記ボルト孔の中心を通る縦方向軸上で終わるフランジを備える、項目1に記載の構造物。
[項目10]
前記梁の処理が、前記梁フランジと40°~80°の角度を形成する、項目1に記載の構造物。
[項目11]
前記梁の処理が、前記梁フランジと60°の角度を形成する、項目1に記載の構造物。
[項目12]
構造物であって、
縦方向柱と、
上部フランジおよび下部フランジを備える横方向梁と、
長手方向が縦方向を向き、前記柱と前記梁との間、かつ前記梁の前記上部フランジと前記下部フランジとの間に取り付けられたせん断タブと、
前記柱と前記梁との間に取り付けられた横方向補強システムと、を備え、
前記横方向補強システムが、前記梁の前記上部フランジおよび前記下部フランジにそれぞれ第1の座屈抑止アセンブリおよび第2の座屈抑止アセンブリを備え、であり、
各前記座屈抑止アセンブリが、
横方向部および縦方向部を備える柱装着プレートであって、前記縦方向部が前記柱に取り付けられる、前記柱装着プレートと、
前記梁に装着される横方向部を備える梁装着プレートと、
前記柱装着プレートと前記梁装着プレートとの間に連結された降伏プレートであって、前記梁および/または前記柱に横方向荷重が掛かると引張および圧縮において降伏して構造物内の応力を分散する前記降伏プレートと、を備え、
前記梁が、前記上部フランジと前記下部フランジとの間のウェブと、前記柱に隣接する前記ウェブの一部を備える延長ウェブ部分と、を備え、前記延長ウェブ部分が、前記ウェブの上部および下部に第1の傾斜部分および第2の傾斜部分を備え、前記第1の傾斜部分および前記第2の傾斜部分が、前記柱に対して前記梁が回転したとき前記梁フランジが前記柱装着プレートと拘着することを防止するように構成されている、
構造物。
[項目13]
前記上部梁フランジが、前記第1の傾斜部分の第1の端部で終わる、項目12に記載の構造物。
[項目14]
前記下部梁フランジが、前記第2の傾斜部分の第1の端部で終わる、項目13に記載の構造物。
[項目15]
前記第1の傾斜部分および前記第2の傾斜部分が、前記せん断タブにおいて終わる第2の端部を有する、項目14に記載の構造物。
[項目16]
前記せん断タブがボルト孔を備え、前記上部フランジおよび前記下部フランジが、前記ボルト孔の中心を通る縦方向軸上で終わる、項目12に記載の構造物。
[項目17]
前記第1の傾斜部分が、前記上部梁フランジと40°~80°の角度を形成する、項目12に記載の構造物。
[項目18]
前記第1の傾斜部分が、前記上部梁フランジと60°の角度を形成する、項目12に記載の構造物。
[項目19]
構造物を形成する方法であって、
(a)横方向補強システムを用いて梁を柱に取り付けるステップであって、前記梁が、上部フランジおよび下部フランジと、前記上部フランジに隣接する第1の端部および前記下部フランジに隣接する第2の端部を有するウェブと、を備え、前記横方向補強システムが、横方向部および縦方向部を備える柱装着プレートを具備し、前記縦方向部が、前記柱に取り付けられる、ステップと、
(b)前記柱装着プレートの前記縦方向部に対する空間を設けるために、前記ウェブの第1の部分を前記第1の端部において前記柱から離すように処理する、ステップと、
を含む方法。
[項目20]
さらに、第2の横方向補強システムが、第2の横方向部および第2の縦方向部を備える第2の柱装着プレートを具備し、前記第2の縦方向部が、前記柱に取り付けられる、方法であって、前記第2の柱装着プレートの前記第2の縦方向部に対する空間を設けるために、前記ウェブの第2の部分を前記第2の端部において前記柱から離すように処理するステップをさらに含む、項目19に記載の方法。
【国際調査報告】