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特表2022-504577空気ホースポートを解放可能に封止するためのクロージャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】空気ホースポートを解放可能に封止するためのクロージャ
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61F7/00 320B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519657
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(85)【翻訳文提出日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 US2019053684
(87)【国際公開番号】W WO2020081219
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/745,673
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】307048044
【氏名又は名称】スミス メディカル エーエスディー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093067
【弁理士】
【氏名又は名称】二瓶 正敬
(72)【発明者】
【氏名】ベンケンドルフ、グレッチェン
(72)【発明者】
【氏名】レイシー、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ペターソン、ベン
(72)【発明者】
【氏名】シュルーター、ネイサン
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA11
4C099EA02
4C099GA30
4C099PA04
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】 リテーナから取り外し不能なクロージャ機構を備えたリテーナが、膨張可能な対流式サーマルブランケットの空気入口開口部のそれぞれに接合される。リテーナの底面は、オリフィスがブランケットへの開口部と整合するようにブランケットに接合される。クロージャはリテーナの上面に接着装着される可撓性層又はシートであってよい。リテーナのオリフィスから離れた可撓性層の端部は、ユーザが可撓性層の解放可能に固定された部分をリテーナから剥がして空気入口開口部を露出させるとき、可撓性層がリテーナに取り外し不能に取り付けられるようにリテーナにプレスカット又はダイカットされてよい。クロージャは、旋回移動してリテーナを覆うことができるようにリテーナにヒンジ接続されるリテーナの延長部であってもよい。クロージャは、リテーナのオリフィス開口部を覆うときに解放可能にリテーナに固定できる構成を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対流式ブランケットであって、
上層と、
少なくともそれぞれの周縁部で前記上層に接合されて膨張可能な構造を形成する下層と、
前記構造内部へつながる少なくとも2つの開口部と、
各前記開口部の上方で前記構造に接合されたリテーナであって、前記各開口部の上方にこれと整合して形成された空気入力ホースを受け入れるように適合されたオリフィスを備えたリテーナと、
各前記リテーナに解放可能に固定されて、前記各開口部を封止して前記各リテーナの前記オリフィスに対するバリア機能を果たすクロージャと、を備え、
前記クロージャが、空気ホースを前記各リテーナの前記オリフィスから前記各開口部に挿入できるように前記各リテーナの前記オリフィスから除去されるように適合され、前記オリフィスから離れた前記クロージャの一部分が前記リテーナに取外し不能に取り付けられ、
前記クロージャがさらに、前記空気ホースが前記各開口部から取り外された後に、前記各リテーナの前記オリフィスに対するバリア機能を果たすように、前記各リテーナに解放可能に再固定されるように適合された対流式ブランケット。
【請求項2】
前記各リテーナに対する前記クロージャが、前記クロージャを前記各リテーナに解放可能に固定して、前記各リテーナの前記オリフィス及び前記オリフィスの下にある前記構造の前記開口部を封止するように、前記各リテーナと接触する前記クロージャの表面に塗布された接着剤を有し、前記クロージャが、ユーザが剥がす動きによって前記各リテーナの前記オリフィスから前記クロージャを除去可能にするタブを備え、前記クロージャが前記各リテーナに解放可能に再固定されて前記オリフィスを再封止するように適合された、請求項1のブランケット。
【請求項3】
前記2つの開口部に接合された前記各リテーナが、前記クロージャが前記各リテーナの前記オリフィスを封止する位置にあるときに、前記各リテーナに対する前記クロージャを解放可能に固定するための接着剤塗布面を備え、前記クロージャが、ユーザが前記各リテーナの前記接着剤塗布面から前記クロージャを剥がすのに十分な力を加えることによって、前記各リテーナの前記オリフィスから除去可能である、請求項1のブランケット。
【請求項4】
前記2つの開口部に接合された前記各リテーナのための前記クロージャが、前記クロージャを前記各リテーナに解放可能に固定する接着剤塗布面を備え、前記クロージャが、前記空気ホースを前記オリフィスと、前記オリフィスと整合した前記開口部とに嵌合できるように、前記各リテーナから一部分が剥がされて前記各リテーナの前記オリフィスを露出させるように適合され、前記クロージャが、前記空気ホースが前記各リテーナの前記オリフィスに嵌合されている間、前記各リテーナのある部分に取り付けられ続ける前記各リテーナの前記オリフィスから離れた部分を有し、前記クロージャの剥がされた部分が、前記空気ホースが前記構造への前記開口部及び前記各リテーナの前記オリフィスから取り外されるときに、前記各リテーナに解放可能に再固定されて前記オリフィスを再封止するように適合された、請求項1のブランケット。
【請求項5】
前記クロージャが、ポリプロピレン、ポリエチレン、セロファン、又は前記各リテーナの前記オリフィスのための解放可能かつ再封止可能なカバーを形成するのに適した任意の他の高分子材料から形成され得る可撓性層を備える、請求項1のブランケット。
【請求項6】
前記リテーナが、厚紙、プラスチック、又は可撓性及び曲げ性のある材料でできたシートを含む、請求項1のブランケット。
【請求項7】
前記リテーナが、そのほぼ中央に前記オリフィスが形成された主部と、前記主部の縁部からヒンジ式に延びる前記クロージャを形成する副部とを有するシートを含み、前記副部が、細長部と、前記細長部の各側から折り畳み可能な側部とを有し、前記副部が、前記主部の上に横たわって前記細長部が前記オリフィスの上方にこれを越えて延びて前記オリフィスの大部分を覆うように折曲可能であり、前記側部が前記オリフィスに挿入可能となるように前記細長部に対して前記主部に向かって折り畳み可能として、前記細長部により覆われていない前記オリフィスの残りの部分をほぼ閉鎖し、前記副部を前記主部に解放可能にかつしっかりと連結する、請求項1のブランケット。
【請求項8】
膨張可能なブランケットであって、
少なくともそれぞれの周縁部同士が接合されて膨張可能な構造を形成する上層及び下層と、
空気ホースを受け入れるように適合された前記構造への少なくとも1つの開口部と、
前記1つの開口部の上方で前記構造に接合された底面を有するリテーナであって、上面と、前記1つの開口部の上方にこれと整合して形成されたオリフィスとを備えたリテーナと、
前記リテーナに取り外し不能に取り付けられたクロージャであって、前記オリフィスを閉鎖し、前記1つの開口部を封止するために解放可能に前記リテーナに固定するように構成された表面を備え、前記空気ホースを前記オリフィス及び前記1つの開口部に嵌合できるように、前記リテーナに取り付けられたまま前記リテーナの前記オリフィスから除去されるように適合され、さらに、前記空気ホースが前記1つの開口部及び前記オリフィスから取り外された後に、前記リテーナに解放可能に再固定されて前記オリフィスを閉鎖し、前記開口部を再封止するように適合されたクロージャと、を備えた膨張可能なブランケット。
【請求項9】
前記クロージャを前記リテーナに固定するように適合された前記クロージャの前記表面が、前記表面が前記リテーナの前記上面と接触したときに、前記クロージャを前記リテーナに解放可能に固定して前記リテーナの前記オリフィスを閉鎖する接着剤コーティングを有し、前記クロージャが、ユーザが剥がす動きで前記クロージャを前記リテーナの前記オリフィスから除去できるようにするタブを備え、前記クロージャが前記リテーナの前記上面に解放可能に再固定されるように適合された、請求項8のブランケット。
【請求項10】
前記クロージャが、前記構造が十分に膨張したときに、前記構造内の空気の内圧によって前記クロージャが前記リテーナから分離することを防ぐのに十分な保持力で前記リテーナに固定され、前記クロージャが、ユーザが前記保持力より大きい、前記リテーナの前記上面から前記クロージャを剥がす力を加えることによって、前記リテーナの前記オリフィスから除去可能である、請求項8のブランケット。
【請求項11】
前記リテーナの前記上面が、前記オリフィスを閉鎖するために前記クロージャを前記上面に解放可能に固定するための接着剤コーティングを備え、前記クロージャが、ユーザが前記リテーナの前記上面から前記クロージャを剥がすのに十分な力を加えることによって、前記リテーナの前記オリフィスから除去可能である、請求項8のブランケット。
【請求項12】
前記クロージャが、前記リテーナの前記オリフィスの周囲で前記各リテーナに接着固定された可撓性層を備え、前記可撓性層が、前記リテーナから離れる剥離方向に引っ張られることによって前記リテーナから除去可能であり、後に前記オリフィスを封止するために前記リテーナに再封止可能である、請求項8のブランケット。
【請求項13】
前記クロージャが、ポリプロピレン、ポリエチレン、セロファン、又は前記リテーナの前記オリフィスのための解放可能かつ再封止可能なカバーを形成するのに適した任意の他の高分子材料から形成され得る可撓性層を備える、請求項8のブランケット。
【請求項14】
前記リテーナが、そのほぼ中央に前記オリフィスが形成された主部と、前記主部の縁部からヒンジ式に延びる前記クロージャを形成する副部とを有するシートを含み、前記副部が、細長部と、前記細長部の各側から折り畳み可能な側部とを有し、前記副部が、前記主部の上に横たわって前記細長部が前記オリフィスの上方にこれを越えて延びて前記オリフィスの大部分を覆うように前記縁部に沿って折曲可能であり、前記側部が前記オリフィスに挿入可能となるように前記細長部に対して折り畳み可能として、前記オリフィスの残りの部分をほぼ閉鎖し、前記副部を前記主部に解放可能にかつしっかりと連結する、請求項8のブランケット。
【請求項15】
膨張可能なブランケットを製造する方法であって、
上層及び下層を少なくともそれぞれの周縁部で接合して膨張可能な構造を形成するステップと、
空気ホースを前記構造内に受け入れるように適合された少なくとも1つの開口部を設けるステップと、
前記1つの開口部の上方でリテーナの底面を前記構造に接合するステップであって、前記リテーナが、上面と、前記1つの開口部の上方にこれと整合して形成された、空気ホースを受け入れるように適合されたオリフィスとを備えたステップと、
前記リテーナにクロージャを取り外し不能に取り付けるステップと、
前記オリフィスを閉鎖し、前記1つの開口部を封止するために、前記クロージャの表面が、前記クロージャを解放可能に前記リテーナに固定するように構成するステップと、
前記空気ホースを前記オリフィス及び前記1つの開口部に嵌合できるように、前記クロージャを、前記リテーナに取り付けられたまま前記リテーナの前記オリフィスから除去できるように構成するステップであって、前記クロージャがさらに、前記空気ホースが前記1つの開口部及び前記オリフィスから取り外された後に、前記リテーナに解放可能に再固定されて前記オリフィスを閉鎖し、前記1つの開口部を再封止するように構成されたステップと、を含む方法。
【請求項16】
前記クロージャの前記表面に接着剤コーティングを設けるステップであって、接着剤塗布面が、前記クロージャの前記接着剤塗布面が前記リテーナの前記上面と接触したときに、前記クロージャが前記リテーナに解放可能に固定されて前記リテーナの前記オリフィスを閉鎖するように前記リテーナの前記上面と接触するように適合されたステップと、
ユーザが剥がす動きで前記クロージャを前記リテーナの前記オリフィスから除去できるようにするタブを前記クロージャに形成するステップと、を含む請求項15の方法。
【請求項17】
前記接着剤コーティングを前記クロージャの前記表面に設けて、前記構造が十分に膨張したときに、前記構造内の空気の内圧によって前記クロージャが前記リテーナから分離することを防ぐのに十分な保持力で前記クロージャを前記リテーナに解放可能に固定するステップであって、前記クロージャが、ユーザが前記保持力より大きい、前記リテーナの前記上面から前記クロージャを剥がす力を加えることによって、前記リテーナの前記オリフィスから除去可能であるステップを含む、請求項15の方法。
【請求項18】
前記クロージャを、前記リテーナの前記オリフィスを解放可能かつ再封止可能に覆う可撓性層として設けるステップと、
前記可撓性層をポリプロピレン、ポリエチレン、セロファン、又は任意の他の好適な高分子材料から形成するステップと、を含む請求項15の方法。
【請求項19】
前記リテーナを、そのほぼ中央に前記オリフィスが形成された主部と、前記クロージャを形成する副部とを有するシートから構成するステップと、
前記副部を前記主部の縁部からヒンジ式に延ばすステップと、
前記副部が、細長部と、前記細長部の各側から折り畳み可能な側部とを有するように構成するステップであって、前記副部が、前記主部の上に横たわって前記細長部が前記オリフィスの上方にこれを越えて延びて前記オリフィスの大部分を覆うように折曲可能であり、前記側部が前記オリフィスに挿入可能となるように前記細長部に対して折り畳み可能として、前記オリフィスの残りの部分をほぼ閉鎖し、前記副部を前記主部に解放可能にかつしっかりと連結するステップと、を含む請求項15の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対流式ブランケットに係り、具体的には、対流式ブランケットの空気入口ポートに接合されたリテーナのための、空気入口ポートの封止に用いられるように適合され、取り外されると、空気入口ポートを再封止するのにすぐに使用できるようにブランケットに取り付けられたままのクロージャ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
膨張可能な対流式サーマルブランケットが周知である。対流式のアンダーボディブランケットは、患者を支持し、ブランケットの上層に形成された開口から患者に加熱空気を出力することによって患者を温めるのに使用される。対流式のオーバーボディブランケットは患者を覆うのに使用され、同様に覆われた患者に温風を出力する。対流式ブランケットは大抵手術中に使用され、患者が低体温症になるのを防ぐ。加熱空気は、ブランケットに形成された少なくとも1つの空気入口ポートによって対流式ブランケットに入力される。
【0003】
対流式ブランケットの空気入口ポートに空気ホースを固定できるように、空気ホースの出力ノズルを受け入れるように開口しているポートにリテーナシートを設ける。1つのこのようなリテーナ機構が、本出願と同じ譲受人に譲渡された米国特許第7658756号に開示されている。’756特許の開示は、本出願の開示に参照によって組み込まれる。’756特許の例示的なリテーナについて、図6を参照すると、リテーナは本体部56と、円形の切れ目60により画され、リテーナから容易に取り外されてブランケットへのオリフィス開口部を露出可能な中央部分58とを有することが示されている。そして、空気ホースの出口ノズルは、リテーナを越えてブランケット開口部に挿入される。そして、ブランケットは、空気ホースを介して入力された加熱空気によって膨張することができる。取り外されると、中央部分は通常廃棄され、リテーナの開口部はもはや覆われていないため、患者への処置を提供するのにブランケットの異なる空気入口ポートを使用したい場合、臨床医は廃棄された中央部分を探し、それをリテーナにテープで貼り直さなければならない。最初に空気ホースを開口部から取り外す必要があり、開口部を貼り直し、他の空気入口開口部のリテーナの中央部分を取り外すのに時間がかかることを考慮すると、貴重な時間が浪費される可能性があり、かなりの量の空気がブランケットから漏出して患者に被害を与える可能性がある。関連米国特許第6666879号、第6309408号、第6241755号及び第5997572号はそれぞれ、開口部を塞ぐためにブランケットの開いた空気入口ポートに合うように形づけられた、ブランケットから分離する入口ポートプラグを開示する。このプラグは、空気入口開口部に挿入されてプラグを開口部に保持する延長部を備えた異なる形状を有することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に開示されている発明は、対流式ブランケットの空気入口ポート又は空気入力ポートに係り、より具体的には、ブランケットを膨張させるための空気ホースを受け入れる又はつなぎ止めるように設けられたリテーナに関する。本発明のリテーナは、リテーナがブランケットを膨張させるために空気ホースのノズルが挿入される開口部の上方でブランケットに接合されるときに、リテーナに留まることによってブランケットに間接的に取り付けられる、リテーナに取り付けられたクロージャ機構を有する。このため、クロージャは、リテーナに取り付けられたまま、上方でリテーナの底面が接合されるブランケット層の開口部と整合する開口部又はオリフィスを封止する又は覆うバリア機能を果たすように、リテーナに面する表面に接着剤が塗布された可撓性層であってよい。クロージャはまた、ブランケット開口部の周囲に接合された第1の部分すなわち主部と、第1の部分に移動可能に取り付けられ、第1の部分と同一平面上に整列した位置から旋回して第1の部分に形成されたオリフィス開口部を覆うことができる第2の部分すなわち副部とを有するシートであってよい。第2の部分は、第1の部分に取り付けられ、リテーナの第1の部分に形成されたオリフィス開口部を覆い、かつ除去可能に固定されるように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、本発明のリテーナ及びそのクロージャ機構の第1の実施形態は、シート、膜及び/又はその両方の組み合わせであり得る可撓性層の形態を取り得るクロージャを有する。可撓性層は医療品質の厚紙、プラスチック又は高分子材料から作られる。リテーナの上面と接触することになる可撓性層の表面は、可撓性層をリテーナの上面に取り付ける接着剤コーティングを有する。コーティングのための接着剤は、対流式ブランケットが十分に膨張し、ブランケット内の空気圧が最大のときにも可撓性層をリテーナに取り付けられたままにする接着力を有するものが選ばれる。膨張可能な対流式ブランケットの最大圧力は容易に測定することができ、ブランケットを膨張させるために空気加温器から出力される加熱空気などの流体の量及び速度に依存する。リテーナのオリフィスから離れた可撓性層の端部の近くに、複数の圧力カット又はダイカットを設けて、その可撓性層の端部がユーザがリテーナから可撓性層を剥がすときに容易にはリテーナから除去されないようにリテーナに圧着されたままにすることができる。リテーナのオリフィスを覆う可撓性層の部分を除去すると、空気ホース、より具体的にはそのノズルをブランケットの開口部に挿入又は嵌合することができる。可撓性層はリテーナの一端部に取り付けられたままであるため、臨床医がブランケットに空気を入力するためにブランケットの別の空気入力ポートを使用することにした場合、オリフィス、ひいてはブランケットへの開口部は、可撓性層をリテーナに再取り付けすることによって再封止することができる。
【0006】
本発明のリテーナ及びそのクロージャ機構の第2の実施形態は、リテーナ部と、永久的であるが移動可能にリテーナ部に取り付けられたクロージャ部とを有するように構成された1枚のシートから作られる。リテーナ部の中央部分は、中央部分が打ち抜かれる又は除去されてリテーナのオリフィスを提供するように外周切れ目によって画される。リテーナは、中央部分により形成されたオリフィスがブランケットへの開口部と整合するように対流式ブランケットに接合され、その結果、空気ホース、より具体的にはそのノズルをブランケットの開口部に挿入又は嵌合することができる。クロージャ部は、細長部と、細長部の各長手方向側部から延びる2つのウイングとを有するように構成され、そのためクロージャは「クローバー」形状を有することがある。ウイングは、細長部がリテーナの方に移動して、その後端及び先端がオリフィスを越えて延びてオリフィスの上部に横たわってオリフィス開口部の大部分を覆うときにオリフィスに挿入できるようにリテーナの方向に折り畳み可能である。細長部に対するウイングの可撓性を考慮すると、ウイングは、オリフィスに挿入されると元の位置に戻ってオリフィス開口部の残りの部分に対するバリア機能を果たす。クロージャ部が永久的にリテーナ部に取り付けられていないと仮定すると、クロージャ部は、空気ホースをブランケットの空気入口ポートに挿入したいときはいつでもリテーナ部から取り外すことができる。
【0007】
したがって、本発明は、対流式ブランケットであって、上層と、少なくともそれぞれの周縁部で上層に接合されて膨張可能な構造を形成する下層と、構造への少なくとも2つの開口部と、各開口部の上方で構造に接合されたリテーナであって、各開口部の上方にこれと整合して形成された空気入力ホースを受け入れるように適合されたオリフィスを備えたリテーナと、各リテーナに解放可能に固定されて各リテーナのオリフィスに対するバリア機能を果たして開口部を封止するクロージャと、を備え、クロージャが、空気ホースを各リテーナのオリフィスから各開口部に挿入できるように各リテーナのオリフィスから除去されるように適合され、オリフィスから離れたクロージャの一部分がリテーナに取外し不能に取り付けられ、クロージャがさらに、空気ホースが各開口部から取り外された後に、各リテーナのオリフィスに対するバリア機能を果たすように、各リテーナに解放可能に固定されるように適合された対流式ブランケットに関する。
【0008】
本発明はさらに、膨張可能なブランケットであって、それぞれの周縁部同士が互いに接合されて膨張可能な構造を形成する上層及び下層と、空気ホースを受け入れるように適合された構造への少なくとも1つの開口部と、1つの開口部の上方で構造に接合された底面を有するリテーナであって、上面と、1つの開口部の上方にこれと整合して形成されたオリフィスとを備えたリテーナと、リテーナに取り外し不能に取り付けられたクロージャであって、オリフィスを閉鎖し、1つの開口部を封止するために解放可能にリテーナに固定するように構成された表面を備え、空気ホースをオリフィス及び1つの開口部に嵌合できるように、リテーナに取り付けられたままリテーナのオリフィスから除去されるように適合され、さらに、空気ホースが1つの開口部及びオリフィスから取り外された後に、リテーナに解放可能に再固定されてオリフィスを閉鎖し、開口部を再封止するように適合されたクロージャと、を備えた膨張可能なブランケットに関する。
【0009】
本発明はさらにまた、膨張可能なブランケットを製造する方法であって、
上層及び下層を少なくともそれぞれの周縁部で接合して膨張可能な構造を形成するステップと、
空気ホースを構造内に受け入れるように適合された少なくとも1つの開口部を設けるステップと、
1つの開口部の上方でリテーナの底面を構造に接合するステップであって、上記リテーナが、上面と、1つの開口部の上方にこれと整合して形成された、空気ホースを受け入れるように適合されたオリフィスとを備えたステップと、
上記リテーナにクロージャを取り外し不能に取り付けるステップと、
オリフィスを閉鎖し、1つの開口部を封止するために、上記クロージャの表面を、上記クロージャを解放可能に上記リテーナに固定するように構成するステップと、
空気ホースをオリフィス及び1つの開口部に嵌合できるように、上記クロージャを、上記リテーナに取り付けられたまま上記リテーナのオリフィスから除去できるように構成するステップであって、上記クロージャがさらに、空気ホースが1つの開口部及びオリフィスから取り外された後に、上記リテーナに解放可能に再固定されてオリフィスを閉鎖し、1つの開口部を再封止するように構成されたステップと、を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、本発明の以下の説明を添付の図面と共に参照することによって明らかになり、非常によく理解されるであろう。
【0011】
図1】患者の上に置かれた状態を示す本発明の例示的なブランケットの上面図である。
図2図1のブランケットの切断線2-2に沿った断面図である。
図3】本発明のブランケットのリテーナの第1の実施形態の図である。
図4】空気ホースがオリフィスからブランケットの空気入口開口部に挿入できるようにリテーナのオリフィスを覆うクロージャの一部が取り外された状態の、図3に示された本発明のリテーナの図である。
図5】空気ホースがブランケットの入口ポートから取り外された後のリテーナのオリフィスの再封止を示す図である。
図6】患者の上に置かれた状態を示す本発明の別の例示的なブランケットの上面図である。
図7】本発明のリテーナ及びリテーナのオリフィスに空気ホースを受け入れるためのクロージャの第2の実施形態を示す。
図8】取り付けられたクロージャによりリテーナのオリフィスを閉じる様子を示す図である。
図9】オリフィスがクロージャにより封止された本発明のリテーナを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、本発明のリテーナ及びクロージャ機構を備えた対流式ブランケット2が示されている。知られているように、図1に示されるような対流式加温ブランケットは、少なくとも周縁部同士が接合して膨張可能な構造を形成する、第1の層、すなわち上層と、第2の層、すなわち下層とを有する。図2は、図1の切断線2-2に沿ったブランケット2の断面図で、膨張可能なブランケットの上層4及び下層6、並びに各周縁部4a及び6aを示している。ブランケット2の複数のシール8a~8gは、入力ポート開口部10からブランケットに空気が入力されてブランケットを膨張させるとき、ブランケットを複数の膨張したチューブ10a~10hに分割する。図1に示すように、ブランケット中のシールは、ブランケットを膨張させるためにブランケット内に入力された空気などの流体がブランケットの全体を循環するようにシール間に通路を設けて配置される。図示されていないが、患者3と接触するブランケットの層は、ブランケットを膨張させるためにブランケット内に入力された加熱空気が患者を温めるために出ていく複数の開口を有する。図1に示したオーバーボディブランケットの場合、この開口はブランケットの底層に設けられる。患者が上に置かれるアンダーボディブランケットの場合、この開口はブランケットの上層に設けられてブランケット上に横たわる患者を温める。
【0013】
図1に示したブランケットでは、ブランケットの上層4に2つの開口部が設けられる。各開口部10は、開口部の周辺領域に接合されたリテーナ12をブランケットの上層4に有する。図1の例示的なブランケットには2つのリテーナ12が示されているが、1つだけの開口部、又は3つ以上の開口部及びこれに対応するリテーナが対流式ブランケットに設けられてもよいことが理解されるべきである。複数の開口部がブランケットに設けられる理由の1つは、外科医が、ブランケットが処置中継続的に患者の上/下に置かれた状態で、患者に対して異なる位置で患者への処置を行うことが必要になることがあるためである。つまり、図1に示した患者3を基準にして、外科医が患者の右側から患者を手術する必要がある場合、空気ホースはリテーナ12b側の開口部によってブランケットに挿入する必要がある。そして、外科医が患者の左側から患者を手術する必要がある場合は、リテーナ12b側の開口部は、空気ホースが取り外された後に閉鎖されなければならない。その後、空気ホースは、外科医の邪魔にならないようにリテーナ12a側の開口部に挿入される。別の理由は、対流式ブランケットに空気を入力するための空気加温器の空気ホースが、空気加温器によって異なる位置にあるためである。したがって、空気ホースを1つの特定の空気加温器からブランケット上の所与の開口部に接続し、別の特定の空気加温器からブランケット上の別の開口部に接続することがより好都合なことがある。
【0014】
本発明のリテーナ及びそのクロージャ機構の第1の実施形態が図3に示されている。示されているように、リテーナ12は、上面12cと底面12b(図2)とを有し、底面12bは、従来既知の方法のいずれかによって、図1に示したブランケット2の上層4に接合される。リテーナ12は、オリフィス開口部又はオリフィス12dをそのほぼ中央に備える本体12aを有することが示されている。オリフィス12dの周囲には、空気ホース14(図4)、より正確には空気ホースのノズル14aをオリフィス開口部12dに挿入できるようにする複数の切れ目12eが設けられる。考察を容易にするために、オリフィス開口部12dはブランケットへの開口部10と同じと見なすべきである。したがって、オリフィス又はオリフィス開口部という用語はブランケットへの開口部と同じと見なすべきである。リテーナは、空気ホースをブランケット開口部10につなぎ止める又は保持するように作用する。リテーナ12の主部12aの両側から延びる2つのフラップ又はウイング12fがある。フラップ12fは、空気ホースに装着され得る対応するタブ(図示せず)に取り付けるために主部12aから上方に折り曲げることができる。リテーナによる空気ホースの保持については、参照により組み込まれている上記の‘756特許の図9及び10から得ることができる。リテーナ12は、医療品質の厚紙、又はプラスチック、又は可撓性及び曲げ性を提供するような他の何らかの材料で作成されたシートであってよい。
【0015】
クロージャ16は、医療用の可撓性厚紙、プラスチック材料、ポリプロピレン、ポリエチレン、セロファンを含む高分子材料、又はリテーナ12のオリフィス12d用の解放可能かつ再封止可能なカバーを形成するのに適した任意の他の高分子材料から形成された可撓性層若しくは可撓性シート、又は膜層であってよい。考察を容易にするために、リテーナのためのクロージャ、可撓性層、薄層又はカバーという用語は、本出願の開示の残りの部分では交換可能に使用することができる。
【0016】
図3に示されるように、可撓性層16はリテーナ12の主部12aをほぼ覆うことができる寸法を有する。図3に手の親指と人差し指により掴まれることが示された可撓性層16の部分はタブ16bと呼ぶことがある。タブ16bから可撓性層の後端16cにわたって、リテーナ12の上面12cに接触する可撓性層の表面は、リテーナ12の上面12aと接触する可撓性層16の表面16bに接着剤コーティングが存在するように接着剤が塗布される。複数のプレスカット若しくは圧力カット、又はダイカット16eが可撓性層16の後端16cの近くのリテーナ12の主部12a内に設けられる。ダイカット16eは、可撓性層の一部がリテーナ12の主部12aに圧入されてできたものであり、ユーザがリテーナの可撓性層を誤って剥がし過ぎることを防ぐように作用する。換言すれば、ダイカット16eは、可撓性層16がリテーナ12に取り外し不能に取り付けられることを確実にする。
【0017】
可撓性層16の表面16dに塗布された接着剤は、有利には構造が完全に膨張したときでも、構造内部の空気圧に対してリテーナに接着固定された可撓性層又はクロージャを維持する接合強度を有する、すなわち完全に膨張した構造内の空気によりもたられる圧力に耐えるのに十分な接合強度を有する、当技術分野で周知の任意の接着剤であってよい。ただし、接着剤コーティングの接合強度は、クロージャのオリフィスを覆う部分を、ユーザがクロージャをリテーナから剥がす少なくとも所定の剥離力を加えることによってリテーナから分離できるものである。対流式サーマルブランケットが耐えられる、つまりクロージャにかかる最大空気圧は、各タイプの対流式ブランケットを製造するために考慮に入れなければならない設計特性であるため従来既知である。図3は、ユーザがブランケットの開口部への空気ホース14の嵌合に備えて、リテーナ12の上面12cからクロージャ16の一部分を剥がしてオリフィス12dを露出する様子を示す。図1の例示的なブランケットに示されるように、使用前はリテーナ12がクロージャ16によって覆われている。
【0018】
図4は、空気ホース14をオリフィス開口部12dに嵌合できる位置までクロージャ又は可撓性層16を剥がした後、空気ホース14のノズル14aがオリフィス12dを通ってブランケットの開口部に挿入又は嵌合される様子を示している。
【0019】
図5は、ユーザが、空気ホースをリテーナ12のオリフィス12dから、すなわちブランケットの開口部から取り外した後、クロージャ可撓性層16の接着剤塗布面16dをリテーナ12の上面12cに再取り付けすることによってオリフィス12dを再封止する様子を示している。このようなリテーナの再封止によって、臨床医は、以上で考察したように患者に対する位置を変える必要がある場合に、空気ホースをブランケットの別の空気入力ポートに嵌着することができる。
【0020】
本発明のリテーナの第2の実施形態は、図6に示された例示的なブランケット2に取り付けられる。リテーナ及びそのクロージャ以外は、図6に示された例示的なブランケットは図1に示されたブランケットと同じである。したがって、これらの図に示された同じ構成部品又は要素には同じ番号指定が用いられる。本発明のリテーナ及びクロージャは、異なる構成だけではなく、異なるサイズ及び寸法のブランケットに使用されるように適合されており、したがって、図1及び6に示された例示的なオーバーボディブランケットとの使用のみに限定されないことが理解されるべきである。
【0021】
図7に示されたリテーナ及びクロージャの実施形態は、同様に医療品質の厚紙、プラスチック、又は可撓性及び曲げ性を提供する他の何らかの材料のシートから作られ得るリテーナ20を有する。リテーナ20は、上面20aと底面(図示せず)とを有し、底面は、図2に示された実施形態のリテーナと同様、開口部を有するブランケットの層の領域に接合される。使用される前、リテーナ20はリテーナのほぼ中央に切れ目20cにより形成された中央部分を有してよい。第1の実施形態のリテーナと同様に、複数の切れ目20dが中央部分の周囲に設けられ、中央部分がリテーナから除去され、中央部分の除去により形成されたオリフィス開口部に空気ホースノズルが挿入されると、リテーナへの空気ホースノズルの挿入及び保持を容易にする。代替的に、中央部分は、使用前にリテーナ20から中央部分を除去する必要がないように、ブランケットが運ばれる前に除去されてもよい。以下の考察では、中央部分がリテーナ20から除去されていること、及び図7に示されたリテーナ20の中央がオリフィス開口部20gであることが仮定される。折り目20gがリテーナ20の本体を横切って延びて、結果としてリテーナを接合することが必要なブランケットの上層及び下層の対応する縁部へのリテーナの接合に対応するようにリテーナを折り曲げることができる。このようなリテーナの縁部接合の1つは、参照により組み込まれている上記の‘756特許の図5から得ることができる。
【0022】
リテーナ20の縁部20fにヒンジ線22によってクロージャ24が取り付けられる。クロージャ24は、リテーナ20の延長部であるため、同様にリテーナと同じ材料でできたシートであってよい。図7から図9に示されるように、クロージャ24はヒンジ線22から延びる細長部24aを有する。細長部24aは、半円頭部24’と、ヒンジ線22を介してリテーナ縁部20fに旋回可能に接続された拡大後部24a’’とを有する。細長部24aの長手方向側部からは、図8に示されるように、オリフィス20gに向かって細長部24aに対して各長手方向側部に沿って折り畳み可能な半円ウイング24b’及び24b’’が延びている。したがって、図7に示された実施形態のリテーナは、リテーナ20である主部と、クロージャ24である副部とを有するシートと見なすことができる。
【0023】
図7は、ブランケットを膨張させるために、空気ホース14がオリフィス開口部20g、すなわち対流式ブランケットの空気入口開口部に挿入される様子を示す。空気ホース14のノズル14aは、リテーナ20によって、具体的には、オリフィス開口部20gを囲む複数の切れ目20dを有する内側を向いた周縁縁部によって保持されることになる。空気ホースがリテーナ20に嵌合されるとき、クロージャ24は、リテーナ20の延長部であるためリテーナ20と同一平面上に整列し続ける。
【0024】
図8は、空気ホース14がリテーナ20のオリフィス開口部20gから取り外された後、オリフィス開口部20gをクロージャ24により封止する様子を示す図である。オリフィス20gを環境に対して封鎖する必要がある1つの考えられる理由は、臨床医がブランケットを膨張させるために空気ホースをブランケットの別の空気入力ポートに挿入することを望むためである。別の理由は、臨床医が、空気が患者と接触するブランケットの層にある開口から出力されているにもかかわらずブランケットを完全に膨張させることを望み、空気ホースをブランケットに再接続する前に、患者の別の場所、すなわち患者の別の体の部分を覆うことを望むためである。示されているように、臨床医は、オリフィス20gへの挿入のためにウイングがリテーナ20に向かって折り畳まれるように、クロージャ24のウイング24b’及び24b’’を親指と人差し指で押しつまんでいる。
【0025】
図9に示されるように、オリフィス20gに挿入されると、ウイング24b’及び24b’’は元の位置に戻る一方、これと同時に細長部24aは、半円頭部24aがオリフィス開口部20gの縁部を越えて延びてオリフィス20gと重なってリテーナ20の上面20aに載る。ウイング24b’及び24b’’が元の位置に戻り、細長部24aがリテーナ20の上面24aに載ると、オリフィス開口部20gはクロージャ24によって封止され、後部24a’’及び頭部24a’が上面20aに載り、ウイング24b’及び24b’’がリテーナ20の下側を上方に押すことによってしっかりと保持される。ユーザは、頭部24a’をタブとして使用し、上方に剥がす動きによってクロージャ24をリテーナ20から除去することができる。
【0026】
本発明のリテーナクロージャ機構には、従来技術に優る複数の利点がある。第1に、リテーナのオリフィス開口部の封止を、単にクロージャを旋回してリテーナを覆うことによって片手操作で行うことができる。これに対して、上記で考察した‘879特許のポートプラグでは、どちらかといえば多分、プラグを保持し、折り曲げ、リテーナの開口部に挿入するのに両手操作が必要である。第2に、ホースが1つの空気入力ポートから切断され、別の空気入力ポートに接続される間に外科用アクセスブランケットを膨張させ続けることによって、外科医又は臨床医は作業している場所の周囲領域の視野を維持することが可能になる。これは、手術中に外科医は拡大鏡を着用することが多く、奥行き知覚画像や周辺視野画像が重要であることから有利である。第3に、多くの場合、以上で考察したポートプラグのようなリテーナから分離するクロージャは廃棄されたり、例えば手術中又は患者が異なる場所や空気ホースの位置が異なる送風機を有する部屋に搬送されるときに無くなったりする。これらの場合、古いブランケットを捨て、新しいブランケットに取り替える必要がある。
【0027】
以上で開示された本発明は、細部に多くの変形、修正及び変更を受けやすい。例えば、図1から図5の実施形態では、リテーナと接触する可撓性層の表面に接着剤コーティングを有する代わりに、接着剤は、リテーナにおける開口部のクロージャの機能を果たす可撓性層が解放可能にリテーナに固定されるように、可撓性層が接触するリテーナの表面に塗布することができる。上記で考察したのと同様、可撓性層は、ユーザがリテーナの接着剤塗布面から可撓性層を剥がすのに十分な力を加えることによって、リテーナのオリフィスから除去することができる。それ故、本明細書全体を通じて説明し、添付の図面で図示したことは全て例示にすぎず、制限的な意味はないと解釈されるものとする。したがって、本発明は添付の請求項の趣旨及び範囲によってのみ制限されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
図1に示したブランケットでは、ブランケットの上層4に2つの開口部が設けられる。各開口部10は、開口部の周辺領域に接合されたリテーナ12をブランケットの上層4に有する。図1の例示的なブランケットには2つのリテーナ12が示されているが、1つだけの開口部、又は3つ以上の開口部及びこれに対応するリテーナが対流式ブランケットに設けられてもよいことが理解されるべきである。複数の開口部がブランケットに設けられる理由の1つは、外科医が、ブランケットが処置中継続的に患者の上/下に置かれた状態で、患者に対して異なる位置で患者への処置を行うことが必要になることがあるためである。つまり、図1に示した患者3を基準にして、外科医が患者の右側から患者を手術する必要がある場合、空気ホースはリテーナ12側の開口部によってブランケットに挿入する必要がある。そして、外科医が患者の左側から患者を手術する必要がある場合は、リテーナ12b側の開口部は、空気ホースが取り外された後に閉鎖されなければならない。その後、空気ホースは、外科医の邪魔にならないようにリテーナ12側の開口部に挿入される。別の理由は、対流式ブランケットに空気を入力するための空気加温器の空気ホースが、空気加温器によって異なる位置にあるためである。したがって、空気ホースを1つの特定の空気加温器からブランケット上の所与の開口部に接続し、別の特定の空気加温器からブランケット上の別の開口部に接続することがより好都合なことがある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明のリテーナ及びそのクロージャ機構の第1の実施形態が図3に示されている。示されているように、リテーナ12は、上面12と底面12図2)とを有し、底面12gは、従来既知の方法のいずれかによって、図1に示したブランケット2の上層4に接合される。リテーナ12は、オリフィス開口部又はオリフィス12dをそのほぼ中央に備える本体12を有することが示されている。オリフィス12dの周囲には、空気ホース14(図4)、より正確には空気ホースのノズル14aをオリフィス開口部12dに挿入できるようにする複数の切れ目12eが設けられる。考察を容易にするために、オリフィス開口部12dはブランケットへの開口部10と同じと見なすべきである。したがって、オリフィス又はオリフィス開口部という用語はブランケットへの開口部と同じと見なすべきである。リテーナは、空気ホースをブランケット開口部10につなぎ止める又は保持するように作用する。リテーナ12の本体12の両側から延びる2つのフラップ又はウイング12fがある。フラップ12fは、空気ホースに装着され得る対応するタブ(図示せず)に取り付けるために本体12から上方に折り曲げることができる。リテーナによる空気ホースの保持については、参照により組み込まれている上記の‘756特許の図9及び10から得ることができる。リテーナ12は、医療品質の厚紙、又はプラスチック、又は可撓性及び曲げ性を提供するような他の何らかの材料で作成されたシートであってよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
クロージャ16は、医療用の可撓性厚紙、プラスチック材料、ポリプロピレン、ポリエチレン、セロファン、その他の適切な高分子材料により形成された可撓性層又は膜層若しくは可撓性シートより形成され得るものであり、リテーナ12のオリフィス12d用の解放可能かつ再封止可能なカバーを形成する考察を容易にするために、リテーナのためのクロージャ、可撓性層、薄層又はカバーという用語は、本出願の開示の残りの部分では交換可能に使用することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
図3に示されるように、可撓性層16はリテーナ12の本体12をほぼ覆うことができる寸法を有する。図3に手の親指と人差し指により掴まれることが示された可撓性層16の部分はタブ16bと呼ぶことがある。タブ16bから可撓性層の後端16cにわたって、リテーナ12の上面12に接触する可撓性層の表面は、リテーナ12の上面12と接触する可撓性層16の表面16に接着剤コーティングが存在するように接着剤が塗布される。複数のプレスカット若しくは圧力カット、又はダイカット16eが可撓性層16の後端16cの近くのリテーナ12の本体12内に設けられる。ダイカット16eは、可撓性層の一部がリテーナ12の本体12に圧入されてできたものであり、ユーザがリテーナの可撓性層を誤って剥がし過ぎることを防ぐように作用する。換言すれば、ダイカット16eは、可撓性層16がリテーナ12に取り外し不能に取り付けられることを確実にする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
可撓性層16の表面16dに塗布された接着剤は、有利には構造が完全に膨張したときでも、構造内部の空気圧に対してリテーナに接着固定された可撓性層又はクロージャを維持する接合強度を有する、すなわち完全に膨張した構造内の空気によりもたられる圧力に耐えるのに十分な接合強度を有する、当技術分野で周知の任意の接着剤であってよい。ただし、接着剤コーティングの接合強度は、クロージャのオリフィスを覆う部分を、ユーザがクロージャをリテーナから剥がす少なくとも所定の剥離力を加えることによってリテーナから分離できるものである。対流式サーマルブランケットが耐えられる、つまりクロージャにかかる最大空気圧は、各タイプの対流式ブランケットを製造するために考慮に入れなければならない設計特性であるため従来既知である。図3は、ユーザがブランケットの開口部への空気ホース14の嵌合に備えて、リテーナ12の上面12からクロージャ16の一部分を剥がしてオリフィス12dを露出する様子を示す。図1の例示的なブランケットに示されるように、使用前はリテーナ12がクロージャ16によって覆われている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
図5は、ユーザが、空気ホースをリテーナ12のオリフィス12dから、すなわちブランケットの開口部から取り外した後、クロージャ可撓性層16の接着剤塗布面16dをリテーナ12の上面12に再取り付けすることによってオリフィス12dを再封止する様子を示している。このようなリテーナの再封止によって、臨床医は、以上で考察したように患者に対する位置を変える必要がある場合に、空気ホースをブランケットの別の空気入力ポートに嵌着することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
図7に示されたリテーナ及びクロージャの実施形態は、同様に医療品質の厚紙、プラスチック、又は可撓性及び曲げ性を提供する他の何らかの材料のシートから作られ得るリテーナ20を有する。リテーナ20は、上面20aと底面(図示せず)とを有し、底面は、図2に示された実施形態のリテーナと同様、開口部を有するブランケットの層の領域に接合される。使用される前、リテーナ20はリテーナのほぼ中央に切れ目20cにより形成された中央部分を有してよい。第1の実施形態のリテーナと同様に、複数の切れ目20dが中央部分の周囲に設けられ、中央部分がリテーナから除去され、中央部分の除去により形成されたオリフィス開口部に空気ホースノズルが挿入されると、リテーナへの空気ホースノズルの挿入及び保持を容易にする。代替的に、中央部分は、使用前にリテーナ20から中央部分を除去する必要がないように、ブランケットが運ばれる前に除去されてもよい。以下の考察では、中央部分がリテーナ20から除去されていること、及び図7に示されたリテーナ20の中央がオリフィス開口部20gであることが仮定される。折り目20がリテーナ20の本体を横切って延びて、結果としてリテーナを接合することが必要なブランケットの上層及び下層の対応する縁部へのリテーナの接合に対応するようにリテーナを折り曲げることができる。このようなリテーナの縁部接合の1つは、参照により組み込まれている上記の‘756特許の図5から得ることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
リテーナ20の縁部20fにヒンジ線22によってクロージャ24が取り付けられる。クロージャ24は、リテーナ20の延長部であるため、同様にリテーナと同じ材料でできたシートであってよい。図7から図9に示されるように、クロージャ24はヒンジ線22から延びる細長部24aを有する。細長部24aは、半円頭部24’と、ヒンジ線22を介してリテーナ縁部20fに旋回可能に接続された拡大後部24a’’とを有する。細長部24aの長手方向側部からは、図8に示されるように、オリフィス20gに向かって細長部24aに対して各長手方向側部に沿って折り畳み可能な半円ウイング24b’及び24b’’が延びている。したがって、図7に示された実施形態のリテーナは、リテーナ20である主部と、クロージャ24である副部とを有するシートと見なすことができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図9に示されるように、オリフィス20gに挿入されると、ウイング24b’及び24b’’は元の位置に戻る一方、これと同時に細長部24aは、半円頭部24aがオリフィス開口部20gの縁部を越えて延びてオリフィス20gと重なってリテーナ20の上面20aに載る。ウイング24b’及び24b’’が元の位置に戻り、細長部24aがリテーナ20の上面2aに載ると、オリフィス開口部20gはクロージャ24によって封止され、後部24a’’及び頭部24a’が上面20aに載り、ウイング24b’及び24b’’がリテーナ20の下側を上方に押すことによってしっかりと保持される。ユーザは、頭部24a’をタブとして使用し、上方に剥がす動きによってクロージャ24をリテーナ20から除去することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【国際調査報告】