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特表2022-504584TCA回路中間体およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】TCA回路中間体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20220105BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 31/194 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220105BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P43/00 121
A61K31/194
A61P3/00
A61P7/00
A61P9/10
A61P25/08
A61P21/04
A61P25/00
A61P25/04
A61K47/18
A61K47/02
A61K47/26
A61K9/14
A61K31/198
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519665
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2019055643
(87)【国際公開番号】W WO2020077094
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】62/744,251
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/771,289
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/799,064
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/900,921
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519453777
【氏名又は名称】インブリア ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レビン, アンドリュー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】グロス, デイビッド-アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】パテル, ジャイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA30
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC01
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC21
4C076DD21Z
4C076DD51Z
4C076DD67
4C084AA20
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA58
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA06
4C084ZA08
4C084ZA36
4C084ZA51
4C084ZA94
4C084ZC21
4C084ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA36
4C206FA53
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA75
4C206MA78
4C206MA86
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA01
4C206ZA06
4C206ZA08
4C206ZA36
4C206ZA51
4C206ZA94
4C206ZC21
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、一般に、TCA回路中間体の非経口製剤、および代謝障害を処置するためにこのような製剤を使用する方法に関する。ある特定の実施形態では、本発明は、非経口投与のために製剤化されたスクシネートを含有する治療組成物、および代謝障害を処置するためにこのような組成物を使用する方法を提供する。本発明はまた、非経口投与のために製剤化されたスクシネートを含有する組成物、およびシトレートを含有する組成物(必要に応じて経口投与のために製剤化されている)を含む併用療法、ならびに代謝障害を処置するためにこのような併用療法を使用する方法を提供する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および
前記第1のTCA回路中間体とは異なる、第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩
を含む併用療法。
【請求項2】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、経口投与のために製剤化されている、請求項1に記載の併用療法。
【請求項3】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネートのプロドラッグ、アナログ、または誘導体であり、
前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、
請求項2に記載の併用療法。
【請求項4】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、非経口投与のために製剤化されている、請求項1に記載の併用療法。
【請求項5】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネート、またはスクシネートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項4に記載の併用療法。
【請求項6】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、経口投与のために製剤化され、
前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、非経口投与のために製剤化されている、
請求項1に記載の併用療法。
【請求項7】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネートのプロドラッグ、アナログ、または誘導体であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項6に記載の併用療法。
【請求項8】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネート、またはスクシネートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項6に記載の併用療法。
【請求項9】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、単一製剤で提供される、請求項1に記載の併用療法。
【請求項10】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、別個の製剤で提供される、請求項1に記載の併用療法。
【請求項11】
対象における代謝障害を処置する方法であって、代謝障害を有する対象に、
第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および
前記第1のTCA回路中間体とは異なる第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩
を提供するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、経口的に提供される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネートのプロドラッグ、アナログ、または誘導体であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、非経口的に提供される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネート、またはスクシネートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、経口的に提供され、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、非経口的に提供される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネートのプロドラッグ、アナログ、または誘導体であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩であり、
前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネート、またはスクシネートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、単一製剤で提供される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、別個の製剤で提供される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および
前記第1のTCA回路中間体とは異なる第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩
を含む組成物。
【請求項22】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、別個の製剤で提供される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、経口製剤として提供される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネートのプロドラッグ、アナログ、または誘導体であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、非経口製剤として提供される、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネート、またはスクシネートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、経口製剤として提供され、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、非経口製剤として提供される、請求項22に記載の組成物。
【請求項28】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネートのプロドラッグ、アナログ、または誘導体であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩であり、
前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネート、またはスクシネートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、
請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩、および前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、単一製剤で提供される、請求項21に記載の組成物。
【請求項31】
前記製剤が、経口製剤である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネートのプロドラッグ、アナログ、または誘導体であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記製剤が、非経口製剤である、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
前記第1のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、スクシネート、またはスクシネートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩であり、前記第2のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩が、シトレート、またはシトレートのプロドラッグ、アナログ、誘導体もしくは塩である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
非経口投与のために製剤化された、1種または複数種のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む組成物。
【請求項36】
前記1種または複数種のTCA回路中間体が、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
皮下または静脈内投与のために製剤化されている、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤をさらに含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約5gの濃度のスクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項40】
対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置する方法であって、変化したTCA回路代謝と関連する状態を有する対象に、非経口投与のために製剤化された、1種または複数種のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む組成物を提供するステップを含む、方法。
【請求項41】
前記1種または複数種のTCA回路中間体が、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が、皮下または静脈内投与のために製剤化されている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が、前記組成物のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体が、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約5gで提供される、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記状態が、POLG変異に関係する障害、エネルギー障害、グルタル酸血症1型または2型、長鎖脂肪酸酸化障害、メチルマロン酸血症(MMA)、ミトコンドリア関連疾患、ミトコンドリア脳筋症 乳酸アシドーシスおよび脳卒中様症候群(MELAS)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維(MERRF)、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア呼吸鎖欠損症、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィー)、神経障害、疼痛または疲労疾患、プロピオン酸血症(PA)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、難治性てんかん、ならびにスクシニルCoAリアーゼ欠損症からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置するための併用療法であって、
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む非経口製剤、および
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む製剤
を含む、併用療法。
【請求項47】
前記非経口製剤が、皮下または静脈内投与のために製剤化されている、請求項46に記載の併用療法。
【請求項48】
前記非経口製剤が、前記非経口製剤のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤を含む、請求項46に記載の併用療法。
【請求項49】
前記非経口製剤が、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約5gで含む、請求項46に記載の併用療法。
【請求項50】
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤が、経口製剤である、請求項46に記載の併用療法。
【請求項51】
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤が、前記製剤のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤を含む、請求項50に記載の併用療法。
【請求項52】
前記緩衝剤が、アミノ酸またはその誘導体および金属イオンからなる群から選択される緩衝剤を含む、請求項51に記載の併用療法。
【請求項53】
前記アミノ酸が、リシン、オルニチン、またはその誘導体である、請求項52に記載の併用療法。
【請求項54】
前記状態が、POLG変異に関係する障害、エネルギー障害、グルタル酸血症1型または2型、長鎖脂肪酸酸化障害、メチルマロン酸血症(MMA)、ミトコンドリア関連疾患、ミトコンドリア脳筋症 乳酸アシドーシスおよび脳卒中様症候群(MELAS)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維(MERRF)、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア呼吸鎖欠損症、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィー)、神経障害、疼痛または疲労疾患、プロピオン酸血症(PA)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、難治性てんかん、ならびにスクシニルCoAリアーゼ欠損症からなる群から選択される、請求項53に記載の併用療法。
【請求項55】
対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置する方法であって、変化したTCA回路代謝と関連する状態を有する対象に、
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む非経口製剤、および
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む製剤
を含む併用療法を提供するステップを含む、方法。
【請求項56】
前記非経口製剤が、皮下または静脈内投与によって提供される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記非経口製剤が、前記非経口製剤のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体が、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約5gで提供される、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤が、経口製剤である、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤が、前記製剤のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記緩衝剤が、アミノ酸またはその誘導体および金属イオンからなる群から選択される緩衝剤を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記アミノ酸が、リシン、オルニチン、またはその誘導体である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤が、1日当たり複数回投与で提供される、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記非経口製剤、およびシトレートを含む前記製剤が、逐次的に提供される、請求項55に記載の方法。
【請求項65】
前記非経口製剤が、最初に提供され、シトレートを含む前記製剤が、次に提供される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記非経口製剤が、ある期間にわたって複数回投与で提供され、シトレートを含む前記製剤が、第2の期間にわたって複数回投与で提供される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記状態が、POLG変異に関係する障害、エネルギー障害、グルタル酸血症1型または2型、長鎖脂肪酸酸化障害、メチルマロン酸血症(MMA)、ミトコンドリア関連疾患、ミトコンドリア脳筋症 乳酸アシドーシスおよび脳卒中様症候群(MELAS)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維(MERRF)、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア呼吸鎖欠損症、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィー)、神経障害、疼痛または疲労疾患、プロピオン酸血症(PA)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、難治性てんかん、ならびにスクシニルCoAリアーゼ欠損症からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
乳児用調製乳またはヒト母乳、
クエン酸の非塩形態、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体、および
前記組成物のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤
を含む組成物。
【請求項69】
前記緩衝剤が、アミノ酸またはその誘導体および金属イオンからなる群から選択される緩衝剤を含む、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記アミノ酸が、リシン、オルニチン、またはその誘導体である、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置する方法であって、変化したTCA回路代謝と関連する状態を有する対象に、クエン酸の非塩形態、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体、および組成物のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤を含む経口製剤を提供するステップを含む、方法。
【請求項72】
前記緩衝剤が、アミノ酸またはその誘導体および金属イオンからなる群から選択される緩衝剤を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記アミノ酸が、リシン、オルニチン、またはその誘導体である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記対象が、5歳未満のヒトである、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記組成物が、乳児用調製乳またはヒト母乳をさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
対象におけるレーベル遺伝性視神経症を処置または防止する方法であって、レーベル遺伝性視神経症を有するか、またはレーベル遺伝性視神経症を発症するリスクがある対象に、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む非経口製剤を提供するステップを含む、方法。
【請求項77】
前記非経口製剤が、眼内に提供される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記非経口製剤が、全身に提供される、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記非経口製剤が、静脈内または皮下に提供される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記非経口製剤が、前記非経口製剤のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む製剤を提供するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤が、眼内に提供される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤が、経口的、皮下、または静脈内に提供される、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記非経口製剤、およびシトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤が、単一製剤として提供される、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
シトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤が、前記製剤のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項86】
前記緩衝剤が、アミノ酸またはその誘導体および金属イオンからなる群から選択される緩衝剤を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記アミノ酸が、リシン、オルニチン、またはその誘導体である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記非経口製剤、およびシトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む前記製剤の少なくとも1つが、1日当たり複数回投与で提供される、請求項81に記載の方法。
【請求項89】
クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体、
少なくとも1種のクエン酸塩、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体、および
アミノ酸緩衝剤
を含む製剤。
【請求項90】
クエン酸および少なくとも1種のクエン酸塩を含む、請求項89に記載の製剤。
【請求項91】
前記少なくとも1種のクエン酸塩が、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムからなる群から選択される、請求項90に記載の製剤。
【請求項92】
前記アミノ酸緩衝剤が、リシンである、請求項89に記載の製剤。
【請求項93】
クエン酸および少なくとも2種のクエン酸塩を含む、請求項89に記載の製剤。
【請求項94】
前記少なくとも2種のクエン酸塩が、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムを含む、請求項93に記載の製剤。
【請求項95】
糖を含む、請求項89に記載の製剤。
【請求項96】
前記糖が、スクロースである、請求項95に記載の製剤。
【請求項97】
水性媒体に可溶性である粉剤・散剤である、請求項89に記載の製剤。
【請求項98】
クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、リシン、およびスクロースを含む、請求項97に記載の製剤。
【請求項99】
約40質量%~約60質量%のクエン酸、
約1質量%~約10質量%のクエン酸一ナトリウム、
約0.1質量%~約5質量%のクエン酸一カリウム、
約30質量%~約40質量%のリシン、および
約10質量%~約15質量%のスクロース
を含む、請求項98に記載の製剤。
【請求項100】
約49.2質量%のクエン酸、
約2質量%のクエン酸一ナトリウム、
約0.3質量%のクエン酸一カリウム、
約37.5質量%のリシン、および
約11質量%のスクロース
を含む、請求項99に記載の製剤。
【請求項101】
約44.2質量%のクエン酸、
約8.3質量%のクエン酸一ナトリウム、
約2.3質量%のクエン酸一カリウム、
約33.8質量%のリシン、および
約11.5質量%のスクロース
を含む、請求項99に記載の製剤。
【請求項102】
クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体、
少なくとも1種のクエン酸塩、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体、および
アミノ酸
を含む製剤。
【請求項103】
クエン酸および少なくとも1種のクエン酸塩を含む、請求項102に記載の製剤。
【請求項104】
前記少なくとも1種のクエン酸塩が、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムからなる群から選択される、請求項103に記載の製剤。
【請求項105】
前記アミノ酸が、リシンまたはアルギニンである、請求項102に記載の製剤。
【請求項106】
クエン酸および少なくとも2種のクエン酸塩を含む、請求項102に記載の製剤。
【請求項107】
前記少なくとも2種のクエン酸塩が、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムを含む、請求項106に記載の製剤。
【請求項108】
糖をさらに含む、請求項102に記載の製剤。
【請求項109】
前記糖が、スクロースである、請求項108に記載の製剤。
【請求項110】
水性媒体に可溶性である粉剤・散剤である、請求項102に記載の製剤。
【請求項111】
クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、スクロース、ならびにリシンおよびアルギニンのうちの1つまたは複数を含む、請求項102に記載の製剤。
【請求項112】
対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置する方法であって、変化したTCA回路代謝と関連する状態を有する対象に、(i)クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体、(ii)少なくとも1種のクエン酸塩、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体、および(iii)アミノ酸を含む製剤を提供するステップを含み、治療効果が、前記製剤における成分(i)、(ii)、および(iii)の2つまたはそれよりも多い組合せの活性によって、前記対象において達成される、方法。
【請求項113】
前記アミノ酸が、前記対象の前記TCA回路に組み込まれ、前記対象において達成される前記治療効果に寄与する、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記状態が、POLG変異に関係する障害、エネルギー障害、グルタル酸血症1型または2型、長鎖脂肪酸酸化障害、メチルマロン酸血症(MMA)、ミトコンドリア関連疾患、ミトコンドリア脳筋症 乳酸アシドーシスおよび脳卒中様症候群(MELAS)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維(MERRF)、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア呼吸鎖欠損症、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィー)、神経障害、疼痛または疲労疾患、プロピオン酸血症(PA)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、難治性てんかん、ならびにスクシニルCoAリアーゼ欠損症からなる群から選択される、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
前記製剤が、クエン酸および少なくとも1種のクエン酸塩を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項116】
前記少なくとも1種のクエン酸塩が、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムからなる群から選択される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記アミノ酸が、リシンまたはアルギニンである、請求項112に記載の方法。
【請求項118】
前記製剤が、クエン酸および少なくとも2種のクエン酸塩を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項119】
前記少なくとも2種のクエン酸塩が、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムを含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記製剤が、糖をさらに含む、請求項112に記載の方法。
【請求項121】
前記糖が、スクロースである、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記製剤が、経口的に提供される、請求項112に記載の方法。
【請求項123】
前記製剤が、水性媒体に可溶性である粉剤・散剤である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記製剤が、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、スクロース、ならびにリシンおよびアルギニンのうちの1つまたは複数を含む、請求項112に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年10月11日出願の米国仮出願第62/744,251号、2018年11月26日出願の米国仮出願第62/771,289号、2019年1月31出願の米国仮出願第62/799,064号、および2019年9月16日出願の米国仮出願第62/900,921号の利益および優先権を主張するものであり、それぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、TCA回路中間体、および代謝障害を処置するためにこのような組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
遺伝性代謝障害、例えばプロピオン酸血症(PA)およびメチルマロン酸血症(MMA)は、発作、脳卒中、ならびに脳、心臓および肝臓への損傷を含めた生命を脅かす様々な症状を引き起こす。PAおよびMMAは、ある特定の脂肪およびアミノ酸を、トリカルボン酸(TCA)回路の中間体であるスクシネートに変換する身体の能力を損なう酵素的欠損から生じる。結果的に、PAまたはMMAを有する個体は、全生涯を通して低タンパク質食を維持しなければならず、一部の患者では、食事を厳守しても、神経学的損傷および他の症状を防止することができない。
【0004】
追加のスクシネートを提供することによって罹患している個体を処置するための努力は、報われていない。純正のスクシネートは、バイオアベイラビリティが低く、したがって代謝障害を治療するのに十分な量のスクシネートを提供することは困難である。したがって、PAおよびMMAのような代謝障害の分子基盤が理解されているにもかかわらず、これらの遺伝的障害は、依然として衰弱性が高く、しばしば致命的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、PAおよびMMAなどの代謝障害を処置するために治療有効用量のスクシネートを送達するという課題を、TCA回路の複数の中間体を含む併用療法を提供することによって克服する。本発明の組成物および方法は、2種またはそれよりも多いTCA回路中間体を対象に提供することによって、スクシネートレベルを回復する身体の自然代謝経路に頼り、単剤を用いて可能な量よりも多いスクシネートのボーラス送達を可能にする。さらに、本組成物は、様々なTCA回路中間体を提供することができるので、幅広い代謝性疾患、障害、および状態の処置に有用である。例えば、スクシネートおよびシトレートの組合せは、PAおよびMMAを処置するために有用であるが、他の組合せを使用して、様々な状態を処置することもできる。
【0006】
複数のTCA回路中間体の使用は、本発明の組成物の製剤化および投与に柔軟性を与える。各TCA回路中間体は、中間体の特定の形態に最適な投与経路によって、対象に独立に提供することができる。したがって、スクシネートを含有する組合せは、バイオアベイラビリティが改善された、スクシネートの非経口送達またはスクシネート誘導体の経口送達を含むことができる。さらに、スクシネート-シトレートの組合せでは、両方の中間体を経口的に与えることができ、両方を非経口的に与えることができ、または一方を経口で与えることができ、他方を非経口的に与えることができる。
【0007】
本発明はまた、非経口投与のために製剤化されたスクシネート含有組成物を提供する。皮下または静脈内投与のための製剤を含む組成物は、経口製剤よりも優れたバイオアベイラビリティを有する。スクシネートの非経口製剤は、本発明の併用療法において使用することができる。
【0008】
スクシネートまたは他のTCA回路中間体を含有する組成物は、新生児を含めた幼児に容易に投与することができる。PAおよびMMAなどの多くの代謝障害は、遺伝的欠陥に起因しており、したがって、誤った代謝の結果は、子どもがもはや母親からの栄養供給を利用しなくなった出生時において顕著になる。したがって、それらの結果が恒久的症状に至る前に代謝的不均衡を調整するためには、早期介入が必要である。本発明は、非経口投与のために製剤化されたスクシネート含有組成物を提供するので、このような組成物は、治療有効用量のスクシネートを送達するために、乳児からの活発な哺乳を必要としない。結果的に、幼児の処置を直ちに開始して、疾患症状の発症を防止する一助にすることができる。
【0009】
一態様では、本発明は、非経口投与のために製剤化された、1種または複数種のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する組成物を提供する。TCA回路中間体は、シトレート、イソシトレート、アルファ-ケトグルタレート、スクシニル-コエンザイムA、スクシネート、フマレート、マレート、またはオキサロアセテートであり得る。好ましくは、TCA回路中間体は、スクシネートである。
【0010】
別の態様では、本発明は、対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置する方法を提供する。その方法は、変化したTCA回路代謝と関連する状態を有する対象に、非経口投与のために製剤化された、1種または複数種のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含む組成物を提供するステップを含む。好ましくは、TCA回路中間体は、スクシネートである。
【0011】
組成物は、任意の非経口経路による投与のために製剤化することができる。例えば、組成物は、注射または注入のために製剤化することができる。注射または注入は、皮下、静脈内、動脈内、または筋肉内であり得る。組成物は、非経口経腸投与、例えば直腸投与のために製剤化することができる。
【0012】
組成物は、組成物の中性またはほぼ中性のpHを維持する緩衝剤を含むことができる。例えば、緩衝剤は、組成物のpHを、約3.0~約10.0、約3.0~約9.0、約3.0~約8.0、約3.0~約7.0、約3.0~約6.0、約4.0~約10.0、約4.0~約9.0、約4.0~約8.0、約4.0~約7.0、約4.0~約6.0、約5.0~約10.0、約5.0~約9.0、約5.0~約8.0、約5.0~約7.0、約6.0~約10.0、約6.0~約9.0、約6.0~約8.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、または約8.0~約10.0に緩衝するのに十分な量で存在することができる。
【0013】
TCA回路中間体は、任意の治療有効用量で提供することができる。例えば、TCA回路中間体は、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約500mg、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約200mg、または対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約100mgで提供することができる。
【0014】
状態は、変化したTCA回路代謝と関連する任意の疾患、障害、または状態であり得る。例えば、状態は、POLG変異に関係する障害、エネルギー障害、グルタル酸血症1型もしくは2型、長鎖脂肪酸酸化障害、メチルマロン酸血症(MMA)、ミトコンドリア関連疾患、ミトコンドリア脳筋症 乳酸アシドーシスおよび脳卒中様症候群(MELAS)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維(MERRF)、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア呼吸鎖欠損症、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィー)、神経障害、疼痛もしくは疲労疾患、プロピオン酸血症(PA)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、難治性てんかん、またはスクシニルCoAリアーゼ欠損症であり得る。好ましくは、状態は、MMAまたはPAである。
【0015】
別の態様では、本発明は、対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置するための併用療法を提供する。併用療法は、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤、およびシトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤を含む。
【0016】
別の態様では、本発明は、対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置する方法を提供する。その方法は、変化したTCA回路代謝と関連する状態を有する対象に、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤、およびシトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤を含む併用療法を提供するステップを含む。
【0017】
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤は、前述の通り、任意の非経口手段による投与のために製剤化することができる。
【0018】
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤は、前述の通り、緩衝剤を含有することができる。
【0019】
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤は、任意の治療有効用量で提供することができる。例えば、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体は、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約500mg、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約200mg、または対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約100mgで提供することができる。
【0020】
シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、任意の適切な手段による投与のために製剤化することができる。例えば、製剤は、経口、経腸、非経口、皮下、静脈内、動脈内、または筋肉内投与のために製剤化することができる。好ましくは、製剤は、経口投与のために製剤化されている。
【0021】
シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、緩衝剤を含有することができる。例えば、緩衝剤は、組成物のpHを約3.0~約10.0、約3.0~約9.0、約3.0~約8.0、約3.0~約7.0、約3.0~約6.0、約4.0~約10.0、約4.0~約9.0、約4.0~約8.0、約4.0~約7.0、約4.0~約6.0、約5.0~約10.0、約5.0~約9.0、約5.0~約8.0、約5.0~約7.0、約6.0~約10.0、約6.0~約9.0、約6.0~約8.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、または約8.0~約10.0に緩衝するのに十分な量で存在することができる。緩衝剤は、アミノ酸または金属イオンであり得る。アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸であり得る。アミノ酸は、リシン、オルニチン、またはその誘導体であり得る。
【0022】
シトレート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、任意の治療有効用量で提供することができる。例えば、シトレート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体は、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約500mg、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約200mg、または対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約100mgで提供することができる。
【0023】
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤、あるいはその両方は、1日当たり複数回投与で提供することができる。例えば、製剤の1つまたは複数は、1日当たり2回、3回、4回、5回、6回、またはそれよりも多い回数の投与で提供することができる。
【0024】
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤、およびシトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、同時に、いずれかの順序で逐次的に、または交互方式で提供することができる。逐次投与または交互投与は、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤を、ある期間にわたって排他的に提供し、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤を、ある期間にわたって排他的に提供することを含むことができる。逐次投与は、対象に、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤、およびシトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤の両方が提供される重複期間を含むことができる。排他的期間および重複期間は、独立に、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、12週間、3か月、4か月、5か月、6か月、8か月、10か月、12か月、18か月、または24か月であり得る。
【0025】
状態は、前述の通り、変化したTCA回路代謝と関連する任意の疾患、障害、または状態であり得る。
【0026】
別の態様では、本発明は、幼児のための栄養供給源、例えば乳児用調製乳またはヒト母乳;クエン酸の非塩形態、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体;および組成物のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤を含む組成物を提供する。
【0027】
緩衝剤は、組成物のpHを約3.0~約10.0、約3.0~約9.0、約3.0~約8.0、約3.0~約7.0、約3.0~約6.0、約4.0~約10.0、約4.0~約9.0、約4.0~約8.0、約4.0~約7.0、約4.0~約6.0、約5.0~約10.0、約5.0~約9.0、約5.0~約8.0、約5.0~約7.0、約6.0~約10.0、約6.0~約9.0、約6.0~約8.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、または約8.0~約10.0に緩衝するのに十分な量で存在することができる。緩衝剤は、アミノ酸または金属イオンであり得る。アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸であり得る。アミノ酸は、リシン、オルニチン、またはその誘導体であり得る。
【0028】
別の態様では、本発明は、対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置する方法を提供する。その方法は、変化したTCA回路代謝と関連する状態を有する対象に、シトレート、および組成物のpHを約3.0~約8.0に緩衝する量の緩衝剤を含有する経口製剤を提供するステップを含む。
【0029】
緩衝剤は、組成物のpHを約3.0~約10.0、約3.0~約9.0、約3.0~約8.0、約3.0~約7.0、約3.0~約6.0、約4.0~約10.0、約4.0~約9.0、約4.0~約8.0、約4.0~約7.0、約4.0~約6.0、約5.0~約10.0、約5.0~約9.0、約5.0~約8.0、約5.0~約7.0、約6.0~約10.0、約6.0~約9.0、約6.0~約8.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、または約8.0~約10.0に緩衝するのに十分な量で存在することができる。緩衝剤は、アミノ酸または金属イオンであり得る。アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸であり得る。アミノ酸は、リシン、オルニチン、またはその誘導体であり得る。
【0030】
状態は、前述の通り、変化したTCA回路代謝と関連する任意の疾患、障害、または状態であり得る。対象は、ヒトであり得る。ヒトは、子どもであり得る。例えば、子どもは、18歳未満、12歳未満、10歳未満、8歳未満、6歳未満、5歳未満、4歳未満、3歳未満、2歳未満、または1歳未満であり得る。
【0031】
別の態様では、本発明は、対象におけるレーベル遺伝性視神経症を処置または防止する方法を提供する。その方法は、レーベル遺伝性視神経症を有するか、またはレーベル遺伝性視神経症を発症するリスクがある対象に、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤を提供するステップを含む。
【0032】
非経口製剤は、眼内に提供することができる。非経口製剤は、全身に提供することができる。例えば、非経口製剤は、静脈内または皮下に提供することができる。
【0033】
非経口製剤は、組成物の中性またはほぼ中性のpHを維持する緩衝剤を含むことができる。例えば、緩衝剤は、組成物のpHを約3.0~約10.0、約3.0~約9.0、約3.0~約8.0、約3.0~約7.0、約3.0~約6.0、約4.0~約10.0、約4.0~約9.0、約4.0~約8.0、約4.0~約7.0、約4.0~約6.0、約5.0~約10.0、約5.0~約9.0、約5.0~約8.0、約5.0~約7.0、約6.0~約10.0、約6.0~約9.0、約6.0~約8.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、または約8.0~約10.0に緩衝するのに十分な量で存在することができる。
【0034】
対象におけるレーベル遺伝性視神経症を処置または防止する方法は、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤を提供するステップを含むことができる。非経口製剤、およびシトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、単一製剤であり得る。あるいは、非経口製剤、およびシトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、別個の製剤であり得る。
【0035】
シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、任意の投与経路によって提供することができる。例えば、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、経口的、眼内、皮下、または静脈内に提供することができる。
【0036】
シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、緩衝剤を含有することができる。例えば、緩衝剤は、組成物のpHを約3.0~約10.0、約3.0~約9.0、約3.0~約8.0、約3.0~約7.0、約3.0~約6.0、約4.0~約10.0、約4.0~約9.0、約4.0~約8.0、約4.0~約7.0、約4.0~約6.0、約5.0~約10.0、約5.0~約9.0、約5.0~約8.0、約5.0~約7.0、約6.0~約10.0、約6.0~約9.0、約6.0~約8.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、または約8.0~約10.0に緩衝するのに十分な量で存在することができる。緩衝剤は、アミノ酸または金属イオンであり得る。アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸であり得る。アミノ酸は、リシン、オルニチン、またはその誘導体であり得る。
【0037】
スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する非経口製剤、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤、あるいはその両方は、1日当たり複数回投与で提供することができる。例えば、製剤の1つまたは複数は、1日当たり2回、3回、4回、5回、6回、またはそれよりも多い回数の投与で提供することができる。
【0038】
別の態様では、本発明は、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体;1種または複数種のクエン酸塩、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体;およびアミノ酸緩衝剤を含有する製剤を提供する。
【0039】
クエン酸塩には、クエン酸一ナトリウムまたはクエン酸一カリウムが含まれ得る。
【0040】
アミノ酸緩衝剤は、リシンまたはオルニチンであり得る。
【0041】
製剤は、糖を含有することができる。糖は、スクロース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、またはラクトースであり得る。
【0042】
製剤は、水性媒体に可溶性である粉剤・散剤(powder)であり得る。製剤は、水性液剤であり得る。
【0043】
製剤、または製剤における可溶性成分は、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、リシン、およびスクロースを含有することができる。製剤は、約40質量%~約60質量%のクエン酸、約1質量%~約10質量%のクエン酸一ナトリウム、約0.1質量%~約5質量%のクエン酸一カリウム、約30質量%~約40質量%のリシン、および約10質量%~約15質量%のスクロースを含有することができる。製剤、または製剤における可溶性成分は、約49.2質量%のクエン酸、約2質量%のクエン酸一ナトリウム、約0.3質量%のクエン酸一カリウム、約37.5質量%のリシン、および約11質量%のスクロースを含有することができる。製剤、または製剤における可溶性成分は、約44.2質量%のクエン酸、約8.3質量%のクエン酸一ナトリウム、約2.3質量%のクエン酸一カリウム、約33.8質量%のリシン、および約11.5質量%のスクロースを含有することができる。製剤、または製剤における可溶性成分は、約50質量%~約60質量%のシトレート、クエン酸、またはその組合せ、約0.2質量%~約1質量%のナトリウム、約0.02質量%~約0.5質量%のカリウム、約30質量%~約40質量%のリシン、および約10質量%~約15質量%のスクロースを含有することができる。
【0044】
製剤は、経口投与に適することができる。
【0045】
製剤は、変化したTCA回路代謝と関連する状態、例えば前述の状態のいずれかを処置または防止するために、対象に与えることができる。
【0046】
別の態様では、本発明は、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体;少なくとも1種のクエン酸塩、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体;およびアミノ酸を含む製剤を提供する。製剤は、クエン酸および少なくとも1種のクエン酸塩を含むことができ、例えば、少なくとも1種のクエン酸塩は、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムからなる群から選択することができる。他の実施形態では、製剤は、クエン酸および少なくとも2種のクエン酸塩であってよく、例えば、少なくとも2種のクエン酸塩は、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムであり得る。
【0047】
製剤は、任意の天然または非天然アミノ酸を含むことができる。ある特定の実施形態では、アミノ酸は、カチオン性アミノ酸、例えばリシンまたはアルギニンである。製剤は、他の成分、例えば糖、例えばスクロースを含むことができる。
【0048】
製剤は、任意の投与経路によって提供することができ、好ましい経路は、経口である。例示的な経口製剤は、水性媒体に可溶性である粉剤・散剤である。特定の実施形態では、製剤は、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、スクロース、ならびにリシンおよびアルギニンのうちの1つまたは複数を含む。
【0049】
本発明の他の態様は、対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置する方法を提供する。このような方法は、変化したTCA回路代謝と関連する状態を有する対象に、(i)クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体、(ii)少なくとも1種のクエン酸塩、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体、および(iii)アミノ酸を含む製剤を提供するステップを含むことができ、治療効果は、製剤における成分(i)、(ii)、および(iii)の2つまたはそれよりも多い組合せの活性によって、対象において達成される。ある特定の実施形態では、アミノ酸は、対象のTCA回路に組み込まれ、対象において達成されるその治療効果に寄与する。
【0050】
例示的な状態として、POLG変異に関係する障害、エネルギー障害、グルタル酸血症1型もしくは2型、長鎖脂肪酸酸化障害、メチルマロン酸血症(MMA)、ミトコンドリア関連疾患、ミトコンドリア脳筋症 乳酸アシドーシスおよび脳卒中様症候群(MELAS)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維(MERRF)、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア呼吸鎖欠損症、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィー)、神経障害、疼痛もしくは疲労疾患、プロピオン酸血症(PA)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、難治性てんかん、またはスクシニルCoAリアーゼ欠損症が挙げられる。
【0051】
製剤は、クエン酸および少なくとも1種のクエン酸塩を含むことができ、例えば、少なくとも1種のクエン酸塩は、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムからなる群から選択することができる。他の実施形態では、製剤は、クエン酸および少なくとも2種のクエン酸塩であってよく、例えば、少なくとも2種のクエン酸塩は、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムであり得る。
【0052】
製剤は、任意の天然または非天然アミノ酸を含むことができる。ある特定の実施形態では、アミノ酸は、カチオン性アミノ酸、例えばリシンまたはアルギニンである。製剤は、他の成分、例えば糖、例えばスクロースを含むことができる。
【0053】
製剤は、任意の投与経路によって提供することができ、好ましい経路は、経口である。例示的な経口製剤は、水性媒体に可溶性である粉剤・散剤である。特定の実施形態では、製剤は、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、スクロース、ならびにリシンおよびアルギニンのうちの1つまたは複数を含む。製剤は、1日当たり1回または複数回投与で提供することができる。例えば、製剤の1つまたは複数は、1日当たり1回、2回、3回、4回、5回、6回、またはそれよりも多い回数の投与で提供することができる。
【0054】
シトレート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する製剤は、任意の治療有効用量で提供することができる。例えば、シトレート、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体は、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約500mg、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約200mg、または対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約100mgで提供することができる。
【0055】
製剤、または製剤における可溶性成分は、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、リシン、およびスクロースを含有することができる。製剤は、約40質量%~約60質量%のクエン酸、約1質量%~約10質量%のクエン酸一ナトリウム、約0.1質量%~約5質量%のクエン酸一カリウム、約30質量%~約40質量%のリシン、および約10質量%~約15質量%のスクロースを含有することができる。製剤、または製剤における可溶性成分は、約49.2質量%のクエン酸、約2質量%のクエン酸一ナトリウム、約0.3質量%のクエン酸一カリウム、約37.5質量%のリシン、および約11質量%のスクロースを含有することができる。製剤、または製剤における可溶性成分は、約44.2質量%のクエン酸、約8.3質量%のクエン酸一ナトリウム、約2.3質量%のクエン酸一カリウム、約33.8質量%のリシン、および約11.5質量%のスクロースを含有することができる。製剤、または製剤における可溶性成分は、約50質量%~約60質量%のシトレート、クエン酸、またはその組合せ、約0.2質量%~約1質量%のナトリウム、約0.02質量%~約0.5質量%のカリウム、約30質量%~約40質量%のリシン、および約10質量%~約15質量%のスクロースを含有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は、10mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0057】
図2図2は、10mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
【0058】
図3図3は、50mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0059】
図4図4は、50mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
【0060】
図5図5は、100mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0061】
図6図6は、100mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
【0062】
図7図7は、プロピオン酸血症(PA)を有する患者からの細胞における基礎呼吸に対するシトレートおよびスクシネートの効果を示すグラフである。
【0063】
図8図8は、10mg/kgの13C4-スクシネートの静脈内投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0064】
図9図9は、10mg/kgの13C4-スクシネートの静脈内投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
【0065】
図10図10は、50mg/kgの13C4-スクシネートの経口投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0066】
図11図11は、50mg/kgの13C4-スクシネートの経口投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
【0067】
図12図12は、10mg/kgの13C6-シトレートの静脈内投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C6-シトレートの血漿濃度のグラフである。
【0068】
図13図13は、10mg/kgの13C6-シトレートの静脈内投与後のラットにおける種々の時点での13C6-シトレートの平均血漿濃度のグラフである。
【0069】
図14図14は、50mg/kgの13C6-シトレートの経口投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C6-シトレートの血漿濃度のグラフである。
【0070】
図15図15は、50mg/kgの13C6-シトレートの経口投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
詳細な説明
本発明は、代謝障害の処置のために、TCA回路の中間体の効率的な送達を可能にする組成物および方法を提供する。特に、本発明の組成物および方法は、皮下または静脈内投与によってスクシネートの送達を可能にする。プロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症においてはスクシネートの合成に欠陥があり、これらの障害を有する患者における誤った代謝は、潜在的に致命的な様々な作用、例えば神経学的損傷、心筋症、および感染症をもたらす。スクシネートの非経口製剤は、従来の経口スクシネート製剤で達成することができるバイオアベイラビリティよりもかなり高いバイオアベイラビリティを有する化合物の送達が可能になる。結果的に、非経口製剤は、欠陥のあるTCA回路代謝の重篤な長期間の作用を防止するのに十分なレベルで、スクシネートを提供する。
【0072】
本発明はまた、スクシネートの非経口製剤、およびTCA回路の別の中間体であるシトレートの経口製剤を含む、併用療法を提供する。スクシネートとは対照的に、シトレートは、治療有効用量で経口投与することができる。したがって併用療法は、異なる手段によって、異なるTCA回路中間体の送達を提供する。スクシネートの非経口製剤およびシトレートの経口製剤は、逐次的にまたは同時に提供することができる。逐次的な併用療法により、患者、特に幼児は、治療有効量のシトレートを摂取するのに十分成長したら、非経口治療から経口投与に移行することができる。このような治療により、新生児における早期介入が可能になる一方で、医療専門家がいなくても投与することができる長期ケアが可能になる。同時の併用療法は、臨床的問題、例えば嘔吐、皮膚発疹などにより、いずれかの投与方法によって送達することができる中間体の量が制限される場合に、有用である。
【0073】
TCA回路および関連障害
TCA回路は、以下に例示される。
【化1】
【0074】
異常なTCA回路代謝は、様々な状態と関連する。TCA回路の遺伝性代謝障害、例えば2-オキソグルタル酸尿症、フマラーゼ欠損症、およびスクシニル-CoAシンテターゼ欠損症において、遺伝子変異は、TCA回路の酵素または関連反応を触媒する酵素に影響を及ぼす。結果的に、TCA回路の個々の反応が損なわれて、その回路が進行するのに必要な中間体が枯渇する。このような疾患は、典型的に、重症の症状、例えば精神遅滞、小頭症、聴覚消失、および低血圧を伴って早期に現れ、幼児期においてしばしば致命的となる。
【0075】
他の代謝障害は、他の代謝産物、例えば脂肪酸およびアミノ酸がTCA回路の中間体に変換される経路に影響を及ぼす。例えば、プロピオニル-CoAは、奇数鎖の脂肪酸の酸化、ならびにアミノ酸イソロイシン、バリン、トレオニンおよびメチオニンの分解によって生じ、次にスクシニル-CoAに変換される。プロピオニル-CoAからスクシニル-CoAへの変換は、以下の反応順を伴う。
【化2】
【0076】
プロピオン酸血症(PA)は、プロピオニル-CoAカルボキシラーゼの欠損から生じる。PAを有する患者では、過剰のプロピオニル-CoAがプロピオン酸に変換され、それが血流中に蓄積する。同じように、メチルマロン酸血症(MMA)は、メチルマロニルCoAムターゼの欠損から生じる。MMAを有する患者では、過剰のメチルマロニル-CoAがメチルマロン酸に変換され、それが血流中に蓄積する。PAおよびMMAでは、共に、血中の高レベルの酸が、様々な潜在的に致命的な作用、例えば臓器損傷、脳卒中、および発作をもたらす。
【0077】
PAおよびMMAの処置は、酸の蓄積を誘発するアミノ酸を回避するための食事管理に重点が置かれる。結果的に、PAまたはMMAを有する患者は、誘発性アミノ酸の摂取を最小限に抑えるために、低タンパク質食を厳密に守らなくてはならない。PAまたはMMAを有する患者におけるアミノ酸摂取の制限は、ミトコンドリア膜を介する脂肪酸の輸送に関与する第四級アンモニウム化合物であるL-カルニチンの不足をしばしばもたらす。結果的に、PAまたはMMAを有する患者は、典型的に、追加のL-カルニチンを受ける。また、PAまたはMMAを有する幼児の低タンパク質食では、乳児は細菌感染のリスクに曝されるので、予防的に抗生物質を与えられる場合がある。
【0078】
PAおよびMMAは、常染色体劣性遺伝的障害である。プロピオニル-CoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子であるPCCAまたはPCCBのいずれかにおけるホモ接合性変異は、PAを引き起こす。MMAは、メチルマロニル-CoAムターゼをコードするMUTにおけるホモ接合性変異から生じ得る。メチルマロニル-CoAムターゼは、補因子としてビタミンB12を必要とし、ビタミンB12代謝に関与する遺伝子、例えばLMBRD1、MCEE、MMAA、MMAB、MMACHC、およびMMADHCにおける変異も、MMAを引き起こし得る。ビタミンB12の食事性欠乏も、MMAをもたらし得る。
【0079】
TCA回路の代謝経路に遺伝的に直接関連しない他の疾患においても、異常なTCA回路代謝が観察される。例えば、神経変性障害、例えば筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、またはハンチントン病、および多種多様ながんにおいて、変化したTCA代謝が観察される。この多様な一群の疾患の症状(the symptoms this diverse set of diseases)は様々であるが、多くの場合、特異的TCA酵素の活性の低下またはミトコンドリアATP生成の低下が観察されており、TCA回路中間体のレベルを高めることにより、それらの症状を軽減し、予後を改善することができると考えられる。
【0080】
本発明は、変化したTCA回路代謝と関連しており、またはTCA回路の中間体を提供することによって改善し得る、任意の疾患、障害、または状態を処置するための方法を提供する。状態は、遺伝性障害、例えばPA、MMA、2-オキソグルタル酸尿症、フマラーゼ欠損症、またはスクシニル-CoAシンテターゼ欠損症であり得る。状態は、神経変性障害、例えば筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、またはハンチントン病であり得る。状態は、がん、例えば膵臓がん、腎臓がん、子宮頸がん、前立腺がん、筋肉がん、胃がん、結腸がん、膠芽腫、神経膠腫、傍神経節腫、白血病、肝臓がん、乳がん、癌、および神経芽細胞腫であり得る。
【0081】
本発明の組成物または方法を用いて処置することができる、さらなる代謝性疾患、障害、または状態には、急性狭心症、急性腎臓傷害、急性飢餓、副腎白質ジストロフィー(ALD)、副腎脊髄ニューロパチー(AMN)、加齢に伴う疾患、アルパース病(進行性乳児ポリオジストロフィー)、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、心房細動、自閉症および自閉症スペクトラム障害(ASD)、バース症候群(致死性乳児心筋症)、ベータ-酸化欠陥、生体エネルギー代謝欠損症、双極性障害、カルニチン-アシル-カルニチン欠損症、カルニチン欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPT I)欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII(CPT II)欠損症、脳血管発作、慢性進行性外眼筋麻痺症候群)(CPEO)、コエンザイムQ10欠損症、複合体I欠損症(NADHデヒドロゲナーゼ(NADH-CoQレダクターゼ)欠損症)、複合体II欠損症(コハク酸デヒドロゲナーゼ欠損症)、複合体III欠損症(ユビキノン-チトクロムcオキシドレダクターゼ欠損症、複合体IV欠損症/COX欠損症、複合体V欠損症(ATPシンターゼ欠損症)、冠動脈閉塞、COX欠損症、クレアチン欠損症候群(例えば、大脳クレアチン欠損症候群(CCDS)、グアニジノ酢酸(guanidinoaceteate)メチルトランスフェラーゼ欠損症(GAMT欠損症)、L-アルギニン:グリシンアミジノトランスフェラーゼ欠損症(AGAT欠損症)、およびSLC6A8に関係するクレアチン輸送体欠損症(SLC6A8欠損症))、糖尿病、POLG変異に関係する障害、内毒血症、エネルギー障害、てんかん、フリードライヒ失調症(FRDAまたはFA)、グルタル酸尿症II型、ハンチントン病、低酸素症、虚血、カーンズ-セイヤー症候群(KSS)、乳酸アシドーシス、長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCAD、VLCAD、VLCADD)、長鎖3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCHAD)、リー疾患または症候群(亜急性壊死性脳脊髄症)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、ルフト病、黄斑変性、男性不妊症、中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD)、ミトコンドリア関連疾患、ミトコンドリア細胞症、ミトコンドリア脳筋症 乳酸アシドーシスおよび脳卒中様症候群(MELAS)、ミトコンドリア脳症(脳筋症、脳脊髄症を含む)、ミトコンドリアDNA枯渇症、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS)、ミトコンドリア呼吸鎖欠損症、多臓器不全症候群、気分障害、運動ニューロン疾患、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィー)、心筋梗塞、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維(MERRF)、筋神経胃腸(myoneurogastointestinal)障害および脳症(MNGIE)、神経障害、運動失調、および網膜色素変性症(NARP)、パーキンソンと関連する神経変性障害、ピアソン症候群、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、難治性てんかん、尿細管性アシドーシス、呼吸鎖欠損症、統合失調症、敗血症、短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCAD)、短鎖ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCHAD、SCHADD)、脳卒中、スクシニルCoAリアーゼ欠損症、全身性炎症反応症候群、ならびに極長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD)が含まれる。
【0082】
疾患、障害、または状態は、別の疾患、障害、または状態に続発しているか、またはそれらと関連している場合がある。例えば、疾患、障害または状態は、心疾患、胃腸管障害、虚血再灌流傷害(ischemia reperfusion injury)、中毒、肝疾患、運動制御喪失、筋力低下および疼痛、ミトコンドリアゲノムの変異、神経学的疾患、障害もしくは状態、疼痛もしくは疲労疾患、発作、感音(sensineural)難聴、嚥下障害、耳鳴、または視覚/聴覚障害と関連し得る。
【0083】
変化したTCA回路代謝と関連する疾患、障害、および状態は、高いエネルギー需要を有する臓器、組織、および系、例えば脳、蝸牛、内分泌系、心臓、腎臓、肝臓、呼吸器系、網膜、および骨格筋に、しばしば影響を及ぼす。したがって、本発明の組成物および方法は、これらの臓器、組織、または系の1つまたは複数に影響を及ぼす疾患、障害、または状態を処置するために使用することができる。
【0084】
別の臨床的に重要な代謝経路は、ミトコンドリアの電子伝達鎖である。電子伝達鎖は、複雑な一連の酸化還元反応を使用して、ミトコンドリア内膜を横切るプロトン勾配を作り出し、プロトン勾配からの化学浸透ポテンシャルが、アデノシン三リン酸(ATP)合成を駆動するために使用される。電子伝達鎖は、ミトコンドリア内膜において、呼吸鎖複合体Iとも呼ばれるNADHデヒドロゲナーゼ、呼吸鎖複合体IIとも呼ばれるコハク酸デヒドロゲナーゼ、呼吸鎖複合体IIIとも呼ばれるコエンザイムQ:チトクロムcレダクターゼ、および呼吸鎖複合体IVとも呼ばれるチトクロムcオキシダーゼの4種の酵素複合体を伴う。電子は、2通りの道筋のいずれかで伝達鎖に入る。まず、NADHデヒドロゲナーゼが、NADHから、鎖における第1の中間体電子キャリアであるユビキノンに電子を伝達することができる。あるいは、スクシネートからの電子が、コハク酸デヒドロゲナーゼによってユビキノンに伝達され得る。電子伝達鎖の次のステップでは、電子は、コエンザイムQ:チトクロムcレダクターゼによって、ユビキノンから第2の中間体電子キャリアであるチトクロムcに伝達される。最終ステップで、チトクロムcオキシダーゼが、電子をチトクロムcから分子酸素に伝達して、電子伝達の純生成物である水を形成する。コハク酸デヒドロゲナーゼは、TCA回路および電子伝達鎖の両方に関与する唯一の酵素である。
【0085】
レーベル遺伝性視神経症(LHON)は、電子伝達鎖における欠陥によって引き起こされた網膜変性状態である。LHONは、NADHデヒドロゲナーゼの成分をコードするミトコンドリア遺伝子、例えばMT-ND1、MT-ND4、MT-ND4L、およびMT-ND6の変異から生じる。LHONを引き起こす変異は、精子からではなく卵子から胚に伝えられるミトコンドリアゲノムにおける遺伝子によってコードされるので、LHONは、母系遺伝性だけとなり得る。
【0086】
スクシネートはLHONの処置に有用であるというのが、本発明の見識である。NADHデヒドロゲナーゼ活性の低下に起因して、LHONを有する患者では、電子伝達およびATP合成が低下する。特に、鎖における第1の中間体電子キャリアであるユビキノンの形成が減少する。しかし、電子伝達活性は、電子を供与してコハク酸デヒドロゲナーゼを介してユビキノンを形成することができる追加のスクシネートを提供することによって、回復することができる。したがって、LHONを有する患者における電子伝達鎖のための電子供与体として働く追加のスクシネートを提供することは、NADHからの電子伝達不足を代償する。
TCA回路中間体を含有する組成物
【0087】
本発明は、非経口投与のために製剤化された、1種または複数種のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する組成物を提供する。TCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体は、例えば、それに限定されるものではないが、シトレート、cis-アコニテート、D-イソシトレート、α-ケトグルタレート、スクシネート、フマレート、マレート、オキサロアセテート、アセトン、アセトアセテート、β-ヒドロキシブチレート、β-ケトペンタノエート、またはβ-ヒドロキシペンタノエートであり得る。好ましくは、TCA回路中間体は、スクシネートである。TCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体は、遊離酸、塩、または非塩形態として提供され得る。
【0088】
1種または複数種のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する組成物は、任意の非経口経路による投与のために製剤化することができる。組成物は、例えば、それに限定されるものではないが、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、または直腸投与のために製剤化することができる。好ましくは、組成物は、静脈内または皮下投与のために製剤化されている。
【0089】
プロドラッグは、投与後に薬理学的に活性な薬物に代謝される(すなわち、体内で変換される)、医薬または化合物である。プロドラッグ自体は、薬理学的に不活性であってもよい。プロドラッグは、薬が吸収され、分布し、代謝され、排出される方法を改善するために使用することができる。プロドラッグは、活性薬物が胃腸管から吸収されにくい場合に、活性薬物のバイオアベイラビリティを改善することができる。プロドラッグは、薬物が、その意図された標的ではない細胞またはプロセスと選択的に相互作用する方法を改善し、それによって、意図されない望ましくない副作用を低減することができる。プロドラッグは、細胞内(I型プロドラッグ)または細胞外(II型プロドラッグ)で生物活性形態に変換され得る(生物活性を有することができる)。プロドラッグは、胃腸管内、全身循環内、標的組織以外の代謝組織内、または標的組織内で生物活性を有することができる。
【0090】
TCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体は、薬学的に許容される塩、例えば非毒性の酸付加塩として提供することができ、それらは、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸を用いて、または有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸を用いて、またはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されたアミノ基の塩である。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩には、それに限定されるものではないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩は、アルカリ塩である。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩である。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩は、アルカリ土類金属塩である。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩には、適切な場合、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、1~6個の炭素原子を有するアルキルイオン、スルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成された、非毒性アンモニウムカチオン、第四級アンモニウムカチオン、およびアミンカチオンが含まれる。
【0091】
スクシネートのプロドラッグは、当技術分野で公知であり、例えば、国際公開第1997/047584号、同第2014/053857号、同第2015/155230号、同第2015/155231号、同第2015/155238号、同第2017/060400号、同第2017/060418号、および同第2017/060422号、EP2903609号、EP3129016号、EP3129364号、EP3129058号、およびEP3391941号、ならびに米国特許出願公開第2017/0100359号、米国特許出願公開第2017/0105960号、および米国特許出願公開第2017/0105961号に記載されており、それらの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの文書からの代表的な化合物を、以下に提供する。
【0092】
式(I)および(IA)の化合物
【化3】
または薬学的に許容されるその塩[式中、AとBの間の点線で示された結合は、閉環構造を形成するように、必要に応じた結合を示し、
式が式(I)である場合、Zは、-CH2-(例えば、マロン酸に由来する)、-CH2-CH2-CH2(例えば、グルタル酸に由来する)、-CH=CH2-(例えば、フマル酸に由来する)、-CH2-CH(OH)-(例えば、リンゴ酸に由来する)、-CH(OH)-CH2-(例えば、リンゴ酸に由来する)、CH2C(OH)(COOH)-CH2-(例えば、クエン酸に由来する)、-C(O)-CH2-CH2-(例えば、アルファケトグルタル酸に由来する)、-CH2-CH2-C(O)-(例えば、アルファ-ケトグルタル酸に由来する)、-CH2-C(COC(OH)-C(COOH)-CHOH)=CH-(例えば、アコニット酸に由来する)、-CH=C(COOH)-CH2-(例えば、アコニット酸に由来する)、-CH(OH)-CH(COOH)-CH2-(例えば、イソクエン酸に由来する)、-CH2-CH(COOH)-CH(OH)-(例えば、イソクエン酸に由来する)、-CH2-CH(COOH)-C(=O)-(例えば、オキサロコハク酸に由来する)、-C(=O)-CH(COOH)-CH2-(例えば、オキサロコハク酸に由来する)、-C(=O)-CH2-(例えば、オキサロ酢酸に由来する)、-CH2-C(=O)-(例えば、オキサロ酢酸に由来する)から選択され、あるいは
式が式(IA)である場合、Zは、-CH(OH)-CH2(OH)から選択され、nは、0であり(例えば、グリセリン酸に由来する)、またはZは、存在しないか、もしくは-CH2-であり、nは、1であり、Bは、アルキル基であり(例えば、それぞれ、ピルビン酸またはアセト酢酸に由来する)、
AおよびBは、独立に、異なっているかまたは同じであり、-OR、-OR’、-NHR’’、-SR’’’または-OHから選択され、Rは、
【化4】
であり、あるいは化合物が式(IA)に従うような場合には、Bは、分岐または直鎖C1~C4-アルキルであり、好ましくはRは、Meであり、
R’は、以下の式(II)、(V)または(IX)
【化5】
から選択され、
AおよびBが共に-OHであることはなく、
R’、R’’およびR’’’は、独立に、異なっているかまたは同一であり、以下の式(VII~VIII)
【化6】
から選択され、
R1およびR3は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキル、CH2CH2CH2OC(=O)CH2CH2COX6R8または
【化7】
から選択され、
Xは、O、NH、NR6、Sから選択され、
R2は、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、C(O)CH3、C(O)CH2C(O)CH3、C(O)CH2CH(OH)CH3から選択され、
pは、整数であり、1または2であり、
R6は、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、または式(II)、または式(VIII)から選択され、
X5は、-H、-COOH、-C(=O)XR6、CONR1R3または式
【化8】
の一方から選択され、
R9は、H、Me、EtまたはO2CCH2CH2COXR8から選択され、
R10は、Oアシル、NHアルキル、NHアシル、またはO2CCH2CH2COX6R8から選択され、
X6は、OまたはNR8であり、R8は、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、スクシニル、または式(II)、または式(VIII)から選択され、
R11およびR12は、独立に、同じであるかまたは異なっており、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、スクシニル、アシル、-CH2Xアルキル、-CH2Xアシルから選択され、Xは、O、NR6またはSから選択され、
R13、R14およびR15は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、-COOH、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキルから選択され、
RcおよびRdは、独立に、CH2Xアルキル、CH2Xアシル(ここで、X=O、NR6またはSであり、アルキルは、例えば、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチルであり、アシルは、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル(byturyl)、tert-ブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル、スクシニルなどである)であり、
Rf、Rg、およびRhは、独立に、Xアシル、-CH2Xアルキル、-CH2X-アシルおよびR9から選択され、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルから選択され、アシルは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル ペンタノイル、ベンゾイル、スクシニルなどから選択され、
R20およびR21は、独立に、異なっているかもしくは同一であり、H、低級アルキル、すなわちC1~C4アルキルから選択され、またはR20およびR21は、一緒になって、C4~C7シクロアルキルもしくは芳香族基を形成することができ、それらは共に、ハロゲン、ヒドロキシルもしくは低級アルキルで必要に応じて置換されていてもよく、あるいは
R20およびR21は、
【化9】
またはCH2X-アシル、F、CH2COOH、CH2CO2アルキルであってよく、
AとBの間に環式結合が存在する場合、その化合物は、
【化10】
であり、アシルおよびアルキルは、必要に応じて置換されていてもよい]。
【0093】
式(I)および(IA)の化合物、または薬学的に許容されるその塩[式中、AとBの間の点線で示された結合は、閉環構造を形成するように、必要に応じた結合を示し、
Aは、-OR1であり、R1は、Hもしくは薬学的に許容される塩、または必要に応じて置換されているアルキル基または式(II)の基であり、式(I)のBは、-OR2であり、R2は、独立に、式(II)による基であり、式(II)は、
【化11】
であり、
R3およびR4は、独立に、H、必要に応じて置換されているC1~C3アルキルであり、または一緒になって連結して環を形成し、R5は、R1に連結して環を形成し、またはR5は、OCORa、OCOORb、OCONRcRd、SO2Re、OPO(ORf)(ORg)もしくはCONRcRdから選択され、Raは、必要に応じて置換されているアルキルまたは必要に応じて置換されているシクロアルキルであり、Rbは、必要に応じて置換されているアルキルであり、RcおよびRdは、独立に、H、必要に応じて置換されているアルキルであり、または一緒になって連結して環を形成し、その環は、1個または複数のさらなるヘテロ原子を含有することができ、Reは、必要に応じて置換されているアルキルであり、RfおよびRgは、独立に、H、メチル、エチルであり、または一緒になって連結して環を形成し、
式(IA)のBは、分岐または直鎖のC1~C4アルキルであり、
式が式(I)である場合、Zは、-CH2-(例えば、マロン酸に由来する)、-CH2-CH2-CH2(例えば、グルタル酸に由来する)、-CH=CH2-(例えば、フマル酸に由来する)、-CH2-CH(OH)-(例えば、リンゴ酸に由来する)、-CH(OH)-CH2-(例えば、リンゴ酸に由来する)、CH2C(OH)(COOH)-CH2-(例えば、クエン酸に由来する)、-C(O)-CH2-CH2-(例えば、アルファ-ケトグルタル酸に由来する)、-CH2-CH2-C(O)-(例えば、アルファ-ケトグルタル酸に由来する)、-CH2-C(COC(OH)-C(COOH)-CHOH)=CH-(例えば、アコニット酸に由来する)、-CH=C(COOH)-CH2-(例えば、アコニット酸に由来する)、-CH(OH)-CH(COOH)-CH2-(例えば、イソクエン酸に由来する)、-CH2-CH(COOH)-CH(OH)-(例えば、イソクエン酸に由来する)、-CH2-CH(COOH)-C(=O)-(例えば、オキサロコハク酸に由来する)、-C(=O)-CH(COOH)-CH2-(例えば、オキサロコハク酸に由来する)、-C(=O)-CH2-(例えば、オキサロ酢酸に由来する)、-CH2-C(=O)-(例えば、オキサロ酢酸に由来する)から選択され、あるいは
式が式(IA)である場合、Zは、-CH(OH)-CH2(OH)から選択され、nは、0であり(例えば、グリセリン酸に由来する)、またはZは、存在しないか、もしくは-CH2-であり、nは、1であり、Bは、アルキル基である(例えば、それぞれピルビン酸またはアセト酢酸に由来する)]。
【0094】
式(I)および(IA)の化合物、または薬学的に許容されるその塩[式中、AとBの間の点線で示された結合は、閉環構造を形成するように、必要に応じた結合を示し、
式が式(I)である場合、Zは、-CH2-(例えば、マロン酸に由来する)、-CH2-CH2-CH2(例えば、グルタル酸に由来する)、-CH=CH2-(例えば、フマル酸に由来する)、-CH2-CH(OH)-(例えば、リンゴ酸に由来する)、-CH(OH)-CH2-(例えば、リンゴ酸に由来する)、CH2C(OH)(COOH)-CH2-(例えば、クエン酸に由来する)、-C(O)-CH2-CH2-(例えば、アルファケトグルタル酸に由来する)、-CH2-CH2-C(O)-(例えば、アルファ-ケトグルタル酸に由来する)、-CH2-C(COC(OH)-C(COOH)-CHOH)=CH-(例えば、アコニット酸に由来する)、-CH=C(COOH)-CH2-(例えば、アコニット酸に由来する)、-CH(OH)-CH(COOH)-CH2-(例えば、イソクエン酸に由来する)、-CH2-CH(COOH)-CH(OH)-(例えば、イソクエン酸に由来する)、-CH2-CH(COOH)-C(=O)-(例えば、オキサロコハク酸に由来する)、-C(=O)-CH(COOH)-CH2-(例えば、オキサロコハク酸に由来する)、-C(=O)-CH2-(例えば、オキサロ酢酸に由来する)、-CH2-C(=O)-(例えば、オキサロ酢酸に由来する)から選択され、あるいは
式が式(IA)である場合、Zは、-CH(OH)-CH2(OH)から選択され、nは、0であり(例えば、グリセリン酸に由来する)、またはZは、存在しないか、もしくは-CH2-であり、nは、1であり、Bは、アルキル基であり(例えば、それぞれピルビン酸またはアセト酢酸に由来する)、
Aは、-SR、-ORおよびNHRから選択され、Rは、
【化12】
であり、
ZがCH2であり、RがMe、Et、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルまたはスクシニルである場合には、X5、R15、R14およびR13すべてがHになることはできず、
Zが-CH2-CH2-CH2、-CH=CH-、-CH2-CH(OH)-、-CH(OH)-CH2-、-CH2C(OH)(COOH)-CH2-、-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-、-CH2-C(COOH)=CH-、-CH=C(COOH)-CH2-、-CH(OH)-CH(COOH)-CH2-、-CH2-CH(COOH)-CH(OH)-、-CH2-CH(COOH)-C(=O)-、-C(=O)-CH(COOH)-CH2-、-C(=O)-CH2-、または-CH2-C(=O)-であり、R1がMe、オクチルまたはスクシニルである場合には、X5、R15、R14およびR13すべてがHになることはできず、
R1は、モチーフ-CH2CH2N-アシルを含有することができず、R1は、グルタメートになることはできず、式(IA)において、Zが-CH(OH)-CH2(OH)であり、nが0であるか、またはZが存在せず、nが1であり、Bがアルキル基である(例えば、ピルビン酸に由来する)場合には、R1は、X5が-COOH、または-C(=O)XR6であるときにMeになることはできず、
Bは、-O-R’、-NHR’’、-SR’’’または-OHから選択され、R’は、以下の式(II)~(IX)から選択され、
【化13】
あるいは化合物が式(IA)に従うような場合には、Bは、分岐または直鎖C1~C4-アルキルであり、好ましくはRは、Meであり、
R’、R’’およびR’’’は、独立に、異なっているかまたは同一であり、以下の式(VII~VIII)から選択され、
【化14】
R1およびR3は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、-CH2Xアルキル、-CH2X-アシル、F、-CH2COOH、-CH2CO2アルキルから選択され、
Xは、O、NH、NR6、Sから選択され、
R2は、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、-C(O)CH3、-C(O)CH2C(O)CH3、-C(O)CH2CH(OH)CH3から選択され、
pは、整数であり、1または2であり、
R6は、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、または式(II)、または式(VIII)から選択され、
X5は、-H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、-COOH、-C(=O)XR6、CONR1R3から選択され、または式
【化15】
であり、
X7は、R1、-NR1R3から選択され、
R9は、H、Me、EtまたはO2CCH2CH2COXR8から選択され、
R10は、-Oアシル、-NHアルキル、-NHアシル、またはO2CCH2CH2COX6R8から選択され、
X6は、O、NR8、NR6R8から選択され、R6およびR8は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、または式(II)、または式(VIII)から選択され、
R11およびR12は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、-CH2Xアルキル、-CH2Xアシルから選択され、Xは、O、NR6またはSであり、
RcおよびRdは、独立に、異なっているかまたは同一であり、CH2Xアルキル、CH2Xアシルから選択され、X=O、NR6またはSであり、
R13、R14およびR15は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、-COOH、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキルから選択され、
R13およびR14またはR13およびR15上の置換基は、架橋して環式系を形成して、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ラクトンまたはラクタムを形成することができ、
Rf、Rg、およびRhは、独立に、異なっているかまたは同一であり、Xアシル、-CH2Xアルキル、-CH2X-アシルおよびRgから選択され、
アルキルは、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチルから選択され、
アシルは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル(buturyl)、tert-ブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル、スクシニルから選択され、
アシルおよび/またはアルキルは、必要に応じて置換されていてもよく、
AとBの間の点線で示された結合が存在する場合、式(I)による化合物は、
【化16】
であり、
X4は、-COOH、-C(=O)XR6、
【化17】
から選択される]。
【0095】
式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩[式中、AとBの間の点線で示された結合は、閉環構造を形成するように、必要に応じた結合を示し、
Zは、-CH2-CH2-または>CH(CH3)から選択され、
Aは、-SR、-ORおよびNHRから選択され、Rは、
【化18】
であり、
Bは、-O-R’、-NHR’’、-SR’’’または-OHから選択され、R’は、以下の式(II)~(IX)
【化19】
から選択され、
R’、R’’およびR’’’は、独立に、異なっているかまたは同一であり、以下の式(IV~VIII)
【化20】
から選択され、
R1およびR3は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキル、CH2X-アシル、F、CH2COOH、CH2CO2アルキルから選択され、
Xは、O、NH、NR6、Sから選択され、
R2は、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、C(O)CH3、C(O)CH2C(O)CH3、C(O)CH2CH(OH)CH3から選択され、
pは、整数であり、1または2であり、
R6は、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、または式(II)、または式(VIII)から選択され、
X5は、-H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、-COOH、-C(=O)XR6、CONR1R3から選択され、または式
【化21】
であり、
X7は、R1、-NR1R3から選択され、
R9は、H、Me、EtまたはO2CCH2CH2COXR8から選択され、
Rioは、Oアシル、NHアルキル、NHアシル、またはO2CCH2CH2COX6R8から選択され、
X6は、O、NR8、NR6R8から選択され、R6およびR8は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、または式(II)、または式(VIII)から選択され、
R11およびR12は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、-CH2Xアルキル、-CH2Xアシルから選択され、Xは、O、NR6またはSであり、
RcおよびRdは、独立に、異なっているかまたは同一であり、CH2Xアルキル、CH2Xアシルから選択され、X=O、NR6またはSであり、
R13、R14およびR15は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、-COOH、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキルから選択され、
R13およびR14またはR13およびR15上の置換基は、架橋して環式系を形成して、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ラクトンまたはラクタムを形成することができ、
Rf、Rg、およびRhは、独立に、異なっているかまたは同一であり、Xアシル、-CH2Xアルキル、-CH2X-アシルおよびRgから選択され、
アルキルは、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチルから選択され、
アシルは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、tert-ブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル、スクシニルから選択され、
アシルおよび/またはアルキルは、必要に応じて置換されていてもよく、
AとBの間の点線で示された結合が存在する場合、式(I)による化合物は、
【化22】
であり、
X4は、-COOH、-C(=O)XR6、
【化23】
から選択される]。
【0096】
式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩[式中、AとBの間の点線で示された結合は、閉環構造を形成するように、必要に応じた結合を示し、
Zは、-CH2-CH2-または>CH(CH3)から選択され、
AおよびBは、独立に、異なっているかまたは同じであり、-OR、-OR’、-NHR’’、-SR’’’または-OHから選択され、Rは、
【化24】
であり、
R’は、以下の式(II)、(V)または(IX)
【化25】
から選択され、
AおよびBが共に-OHであることはなく、
R’、R’’およびR’’’は、独立に、異なっているかまたは同一であり、以下の式(VII~VIII)
【化26】
から選択され、
R1およびR3は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキル、CH2CH2CH2OC(=O)CH2CH2COX6R8または
【化27】
から選択され、
Xは、O、NH、NR6、Sから選択され、
R2は、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、C(O)CH3、C(O)CH2C(O)CH3、C(O)CH2CH(OH)CH3から選択され、
pは、整数であり、1または2であり、
R6は、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、または式(II)、または式(VIII)から選択され、
X5は、-H、-COOH、-C(=O)XR6、CONR1R3または式
【化28】
の1つから選択され、
R9は、H、Me、EtまたはO2CCH2CH2COXR8から選択され、
R10は、Oアシル、NHアルキル、NHアシル、またはO2CCH2CH2COX6R8から選択され、
X6は、OまたはNR8であり、R8は、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、スクシニル、または式(II)、または式(VIII)から選択され、
R11およびR12は、独立に、同じであるかまたは異なっており、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、スクシニル、アシル、-CH2Xアルキル、-CH2Xアシルから選択され、Xは、O、NR6またはSから選択され、
Ris、RMおよびRI5は、独立に、異なっているかまたは同一であり、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、-COOH、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキルから選択され、
RcおよびRdは、独立に、CH2Xアルキル、CH2Xアシルであり、ここで、X=O、NR6またはSであり、アルキルは、例えば、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、t-ブチルであり、アシルは、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、tert-ブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル、スクシニルなどであり、
Rf、Rg、およびRhは、独立に、Xアシル、-CH2Xアルキル、-CH2X-アシルおよびR9から選択され、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルから選択され、アシルは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル ペンタノイル、ベンゾイル、スクシニルなどから選択され、
R20およびR21は、独立に、異なっているかもしくは同一であり、H、低級アルキル、すなわちC1~C4アルキルから選択され、またはR20およびR21は、一緒になって、C4~C7シクロアルキルもしくは芳香族基を形成することができ、それらは共に、ハロゲン、ヒドロキシルもしくは低級アルキルで必要に応じて置換されていてもよく、または
R20およびR21は、
【化29】
CH2X-アシル、F、CH2COOH、CH2CO2アルキルであってよく、
AとBの間に環式結合が存在する場合、その化合物は、
【化30】
であり、アシルおよびアルキルは、必要に応じて置換されていてもよい]。
【0097】
式(A)の化合物
【化31】
[式中、およびR2は、同じであるかまたは異なっており、式(B)
【化32】
から選択され、R3は、H、または必要に応じて置換されているC1~C3アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルまたはイソ-プロピルなどから選択され、R5は、-OC(=O)Raであり、Raは、メチルまたは式(C)
【化33】
である]。
【0098】
式(XX)の化合物
【化34】
[式中、R-\は、Hまたは薬学的に許容される塩、または必要に応じて置換されているアルキル基または式(II)の基であり、R2は、独立に、式(II)による基であり、式(II)は、
【化35】
であり、
R3およびR4は、独立に、H、必要に応じて置換されているC1~C3アルキルであり、または一緒になって連結して環を形成し、R5は、R1に連結して環を形成し、またはR5は、OCORa、OCOORb、OCONRcRd、SO2Re、OPO(ORf)(ORg)もしくはCONRcRdから選択され、Raは、必要に応じて置換されているアルキルまたは必要に応じて置換されているシクロアルキルであり、Rbは、必要に応じて置換されているアルキルであり、RcおよびRdは、独立に、H、必要に応じて置換されているアルキルであり、または一緒になって連結して環を形成し、その環は、1個または複数のさらなるヘテロ原子を含有することができ、Reは、必要に応じて置換されているアルキルであり、RfおよびRgは、独立に、H、メチル、エチルであり、または一緒になって連結して環を形成し、その化合物は、コハク酸ビス(2,2-ジメチルプロピオニルオキシメチル)エステル、コハク酸ジブチリルオキシメチルエステル、またはコハク酸ビス-(1-ブチリルオキシ-エチル)エステルではない]。
【0099】
本発明はまた、TCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する組成物も含む併用療法の1つの成分として、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する治療組成物を提供する。シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログもしくは誘導体を含有する組成物は、経口投与のために製剤化されてもよく、または非経口投与のために製剤化されてもよい。
【0100】
本発明の組成物は、緩衝剤を含有していてもよい。任意の好適な緩衝剤を使用してもよい。緩衝剤は、アミノ酸またはその誘導体であってもよい。例えば、アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンであり得る。好ましくは、アミノ酸は、リシンまたはオルニチンである。緩衝剤は、金属イオンであってもよく、または金属イオンを含有していてもよい。例えば、金属イオンは、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、またはCu2+であり得る。
【0101】
緩衝剤は、組成物のpHを中性または、ほぼ中性に維持することができる。例えば、限定されないが、緩衝剤は、組成物のpHを、約3.0~約10.0、約3.0~約9.0、約3.0~約8.0、約3.0~約7.0、約3.0~約6.0、約4.0~約10.0、約4.0~約9.0、約4.0~約8.0、約4.0~約7.0、約4.0~約6.0、約5.0~約10.0、約5.0~約9.0、約5.0~約8.0、約5.0~約7.0、約6.0~約10.0、約6.0~約9.0、約6.0~約8.0、約7.0~約10.0、約7.0~約9.0、または約8.0~約10.0に維持し得る。
【0102】
別の態様では、本発明は、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体;少なくとも1種のクエン酸塩、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体;およびアミノ酸を含む製剤を提供する。製剤は、クエン酸および少なくとも1種のクエン酸塩を含んでもよく、例えば、少なくとも1種のクエン酸塩は、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムからなる群から選択され得る。他の実施形態では、製剤は、クエン酸および少なくとも2種のクエン酸塩であってもよく、例えば、少なくとも2種のクエン酸塩は、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムであり得る。
【0103】
製剤は、任意の天然または非天然アミノ酸を含み得る。ある特定の実施形態では、アミノ酸は、リシンまたはアルギニンなどのカチオン性アミノ酸である。製剤は、糖、例えばスクロースなどの他の成分を含んでもよい。
【0104】
製剤は、任意の投与経路によって提供することができ、好ましい経路は経口である。例示的な経口製剤は、水性媒体に可溶性である粉剤・散剤である。特定の実施形態では、製剤は、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、スクロース、ならびにリシンおよびアルギニンのうちの1つまたは複数を含む。
【0105】
本発明の他の態様は、対象における変化したTCA回路代謝と関連する状態を処置する方法を提供する。そのような方法は、変化したTCA回路代謝と関連する状態を有する対象に、(i)クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体;(ii)少なくとも1種のクエン酸塩、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体;および(iii)アミノ酸を含む製剤を提供するステップを含み得、治療効果は、製剤における成分(i)、(ii)、および(iii)の2つまたはそれより多い組合せの活性によって対象において達成される。ある特定の実施形態では、アミノ酸は、対象のTCA回路に組み込まれ、対象において達成される治療効果に寄与する。
【0106】
例示的な状態としては、POLG変異に関係する障害、エネルギー障害、グルタル酸血症1型または2型、長鎖脂肪酸酸化障害、メチルマロン酸血症(MMA)、ミトコンドリア関連疾患、ミトコンドリア脳筋症 乳酸アシドーシスおよび脳卒中様症候群(MELAS)、ミオクローヌスてんかんおよび赤色ぼろ線維(MERRF)、ミトコンドリアミオパチー、ミトコンドリア呼吸鎖欠損症、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびベッカー型筋ジストロフィー)、神経障害、疼痛または疲労疾患、プロピオン酸血症(PA)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、難治性てんかん、またはスクシニルCoAリアーゼ欠損症が挙げられる。
【0107】
製剤は、クエン酸および少なくとも1種のクエン酸塩を含んでもよく、例えば、少なくとも1種のクエン酸塩は、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムからなる群から選択され得る。他の実施形態では、製剤は、クエン酸および少なくとも2種のクエン酸塩であってもよく、例えば、少なくとも2種のクエン酸塩は、クエン酸一ナトリウムおよびクエン酸一カリウムであり得る。
【0108】
製剤は、任意の天然または非天然アミノ酸を含み得る。ある特定の実施形態では、アミノ酸は、リシンまたはアルギニンなどのカチオン性アミノ酸である。製剤は、糖、例えばスクロースなどの他の成分を含んでもよい。
【0109】
製剤は、任意の投与経路によって提供することができ、好ましい経路は経口である。例示的な経口製剤は、水性媒体に可溶性である粉剤・散剤である。特定の実施形態では、製剤は、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、スクロース、ならびにリシンおよびアルギニンのうちの1つまたは複数を含む。製剤は、1日当たり1回または複数回投与で提供してもよい。例えば、1つまたは複数の製剤は、1日当たり1、2、3、4、5、6回またはそれより多い投与で提供してもよい。
【0110】
シトレート、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する製剤は、任意の治療有効用量で提供することができる。例えば、シトレート、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体は、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約500mg、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約200mg、または対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約100mgで提供し得る。
【0111】
製剤、または製剤内の可溶性成分は、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、リシン、およびスクロースを含有し得る。製剤は、約40質量%~約60質量%のクエン酸;約1質量%~約10質量%のクエン酸一ナトリウム;約0.1質量%~約5質量%のクエン酸一カリウム;約30質量%~約40質量%のリシン;および約10質量%~約15質量%のスクロースを含有し得る。製剤、または製剤内の可溶性成分は、約49.2質量%のクエン酸、約2質量%のクエン酸一ナトリウム、約0.3質量%のクエン酸一カリウム、約37.5質量%のリシン、および約11質量%のスクロースを含有し得る。製剤、または製剤内の可溶性成分は、約44.2質量%のクエン酸、約8.3質量%のクエン酸一ナトリウム、約2.3質量%のクエン酸一カリウム、約33.8質量%のリシン、および約11.5質量%のスクロースを含有し得る。製剤、または製剤内の可溶性成分は、約50質量%~約60質量%のシトレート、クエン酸、またはその組合せ;約0.2質量%~約1質量%のナトリウム;約0.02質量%~約0.5質量%のカリウム;約30質量%~約40質量%のリシン;および約10質量%~約15質量%のスクロースを含有し得る。
【0112】
本発明の製剤は、1種または複数種のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体の水性懸濁液を含有し得る。水性懸濁液は、水性懸濁剤の製造に好適な賦形剤と混合して、TCA回路中間体を含有し得る。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガム;分散剤もしくは湿潤剤、例として、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、または酸化アルキレンと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、または酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、または酸化エチレンと脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例として、ポリオキシエチレンと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである。水性懸濁剤はまた、1つまたは複数の防腐剤、例えばp-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の香味剤、および1つまたは複数の甘味剤、例として、スクロースまたはサッカリンを含有していてもよい。
【0113】
油性懸濁剤は、TCAサイクル中間体を、植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油、または液体パラフィンなどの鉱物油中に懸濁することによって製剤化してもよい。油性懸濁剤は、増粘剤、例えば蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含有していてもよい。上述のような甘味剤、および香味剤を添加して、口当たりの良い経口調製物を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を添加することによって保存してもよい。
【0114】
水の添加による水性懸濁液の調製に好適な分散性散剤および顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1つまたは複数の防腐剤と混合してTCA回路中間体を提供する。好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤が例示され、例えば、甘味剤、香味剤、および着色剤もまた存在し得る。
【0115】
本発明の組成物はまた、水中油型エマルションの形態であり得る。油相は、植物油、例えばオリーブ油もしくは落花生油、または鉱物油、例えば液体パラフィン、またはこれらの混合物であり得る。好適な乳化剤は、天然に存在するガム、例えば、アカシアガムまたはトラガカントガム;天然に存在するホスファチド、例えば、大豆、レシチン、ならびに脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されたエステルまたは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ならびに前記部分エステルと酸化エチレンとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルションは、甘味剤および香味剤を含有していてもよい。
【0116】
本発明の組成物は、他の薬学的に許容される担体、例として、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび座薬ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝溶液;ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ酸無水物、ならびに医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質を含んでいてもよい。
【0117】
TCA回路中間体を含有する組成物は、経口使用に好適な形態であり得る。例えば、経口製剤としては、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、速溶剤(fast-melt)、水性もしくは油性懸濁剤、分散性粉剤・散剤もしくは顆粒剤、エマルション、硬質もしくは軟質カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤を挙げることができる。経口使用を目的とする組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、薬学的に優れており口当たりの良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤から選択される1種または複数種の剤を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合してシトレートまたはクエン酸を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例として、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア、ならびに滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであり得る。錠剤は、非コーティングであってもよく、または、胃での崩壊を遅延させ、胃腸管における吸収を低下させ、それによって長期間にわたる持続作用をもたらすために、公知の手法によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いてもよい。錠剤はまた、制御放出のための浸透性治療用錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号、同第4,166,452号、および同第4,265,874号に記載された手法でコーティングされていてもよい。
【0118】
経口使用のための製剤はまた、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体が不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンとその中で混合される硬質ゼラチンカプセルとして、または化合物が水もしくは油性媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油とその中で混合される軟質ゼラチンカプセルとして、提示されてもよい。
【0119】
シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体の胃腸管加水分解の制御が求められる場合、本発明の化合物を腸溶コーティングで被包した制御放出製剤を使用することによって、代替的な経口製剤を得ることができる。
【0120】
シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体の経口投与用のシロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、またはスクロースなどの甘味剤とともに製剤化してもよい。そのような製剤はまた、粘滑剤、防腐剤、ならびに香味および/または着色のための剤を含有していてもよい。医薬組成物は、注射用減菌水性または油性懸濁剤の形態であり得る。この懸濁剤は、前述の好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化することができる。注射用滅菌調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射用滅菌液剤または懸濁剤、例えば、1,3-ブタンジオール中の液剤としてであってもよい。使用することができる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌不揮発性油は、従来、溶媒または懸濁化媒体として使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の低刺激性不揮発性油を使用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用されている。
【0121】
本発明の方法は、眼内製剤として提供される組成物を含む。眼内製剤としては、眼への薬剤の送達に好適な任意の製剤が挙げられる。例えば、限定されないが、眼内製剤としては、水性ゲル剤、コンタクトレンズ、デンドリマー、エマルション、エマルション、点眼薬、インプラント、インサイチュ感熱性ゲル剤、リポソーム剤、マイクロニードル剤、ナノミセル剤、ナノ粒子剤、ナノ懸濁剤、軟膏剤、および懸濁剤が挙げられる。眼の製剤は当技術分野において公知であり、例えば、Patel, A., et al., Ocular drug delivery systems: An overview, World J Pharmacol. 2013; 2(2): 47-64. doi:10.5497/wjp.v2.i2.47;米国特許第9,636,347号;米国特許出願公開第2017/0044274号および同第2009/0148527号;ならびに国際公開第2015/105458号に記載されており、これらのそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
本発明はまた、以下の成分、すなわち、非塩形態のシトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体;乳児用調製乳またはヒト母乳などの幼児用の栄養源;および緩衝剤を含有する治療用組成物を提供する。組成物は、ヒトの幼児への経口投与に好適であり、基本的栄養とシトレートまたはクエン酸の補足的源の両方を提供する。
【0123】
栄養源には、脂肪源、炭水化物源、およびタンパク質またはアミノ酸の源のうちの1つまたは複数が含まれ得る。タンパク質源には、ホエイおよび/またはカゼインが含まれ得る。タンパク質源には、ラクトースが含まれ得る。脂肪源には、植物油が含まれ得る。栄養源には、ビタミンおよび/またはミネラルが含まれ得る。
【0124】
栄養源は、PAまたはMMAなどの代謝障害を有する幼児の食事の必要性を満たすように設計することができる。例えば、タンパク質またはアミノ酸の源には、バリン、イソロイシン、トレオニン、およびメチオニンが実質的に含まれていなくてもよい。脂肪源には、奇数鎖脂肪酸が含まれていなくてもよい。栄養源は、カルニチンまたは抗生物質により補充してもよい。栄養源は、健康な幼児の推奨値と比較して、タンパク質および/もしくはアミノ酸の含有量が少なくてもよく、または栄養源にはタンパク質および/もしくはアミノ酸が実質的に含まれていなくてもよい。
【0125】
非塩形態のシトレートまたはクエン酸および栄養源を含有する組成物中の緩衝剤には、上記のものなどの任意の緩衝剤が含まれ得る。好ましくは、緩衝剤は、リシンまたはオルニチンなどのアミノ酸である。緩衝剤は、金属イオンであってもよく、または金属イオンを含有していてもよい。
【0126】
本発明の組成物は、1つまたは複数の抗生物質を含有し得る。
【0127】
本発明はまた、過剰量のミネラルも金属イオンも提供することなく、変化したTCA回路代謝と関連する疾患、障害、および状態を治療するのに十分な量でシトレートを経口送達することが可能となる製剤を提供する。製剤は、製剤をヒトに投与する場合に、ヒトに提供される各塩のカチオン性成分がその成分の毎日の推奨量を超えない量のクエン酸塩を含有する。好ましい実施形態では、製剤は、各クエン酸塩中のカチオンの1日あたりの推奨量を超えない量でそのクエン酸塩を含有する。代替的または追加的に、製剤は、対象の体内に放出される各クエン酸塩の量が、そのクエン酸塩中のカチオンの毎日の推奨量を超えない製剤を含み得る。
【0128】
好ましくは、製剤は、以下の成分、すなわち、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体;1種または複数種のクエン酸塩、またはそのプロドラッグ、アナログ、誘導体;およびアミノ酸(活性剤、緩衝剤、またはその両方として)を含有する。
【0129】
製剤は、水性媒体に可溶性である粉剤・散剤であり得る。例えば、製剤を、水を加えて対象によって経口的に消費され得る水性液剤または懸濁剤を得ることができる乾燥粉剤・散剤として提供してもよい。あるいは、製剤を、水性液剤として提供してもよい。製剤を、単回投与または複数回投与の形式で提供してもよい。
【0130】
アミノ酸は、上記のもののいずれかなどの任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、アミノ酸は、リシン、アルギニン、またはオルニチンである。
【0131】
任意の好適なクエン酸塩またはクエン酸塩の組合せを、製剤に使用することができる。塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、またはマンガンが含まれ得る。塩には、一塩基性、二塩基性、または三塩基性状態のシトレートが含まれ得る。好ましくは、塩は、クエン酸一ナトリウムまたはクエン酸一カリウムである。
【0132】
好ましい製剤としては、クエン酸、およびクエン酸一ナトリウムとクエン酸一カリウムの組合せなどのクエン酸塩の組合せが挙げられる。このような組合せにより、個々の金属イオンを過剰に供給することなく種々のイオン化状態で十分なシトレートを送達することができる。
【0133】
塩またはミネラルの1日あたりの推奨量は、1日でヒトが摂取するのに好適であると決定された任意の量であり得る。1日あたりの推奨量は、摂取する必要のある最小量、超えてはならない最大量、または2つの間の値または値の範囲であり得る。1日あたりの推奨量は、民間、政府機関、医療機関、または保健機関によって公表された基準など、当技術分野で公知の基準に対応し得る。例えば、限定されないが、基準は、食糧農業機関および世界保健機関によって発行された許容一日摂取量(ADI);オーストラリア食品食料品協議会によって発行された毎日の摂取ガイド(the daily intake guide)(DIG);カナダ保健省によって発行された1日摂取量(DV)および基準1日摂取量(RDI);米国食品医薬品局(FDA)によって発行された1日摂取量(DV)もしくは基準1日摂取量(reference daily intake)(RDI);米国国立アカデミーの医学研究所(IOM)によって発行された、食事基準摂取量(dietary reference intake)(DRI)、推定平均必要量(EAR)、もしくは推奨食事/1日許容量(RDA);英国保健省によって発行された食事基準値(DRV)、下限栄養素摂取基準値(LRNI)、もしくは栄養素摂取基準値(RNI);欧州連合の欧州食品安全機関によって発行された食事基準値(DRV)、下限栄養素摂取基準値(LRNI)、もしくは栄養素摂取基準値(RNI);食料品流通研究所によって発行された一日の栄養摂取量ガイドライン(GDA);または米国国立衛生研究所によって発行された目安量(adequate intake)(AI)であり得る。
【0134】
1日あたりの推奨量は、年齢、性別、体重、妊娠状態、授乳状態、または閉経状態など、個体に関連する状態を考慮することができる。例えば、カルシウム、鉄、およびカリウムなどのいくつかのミネラルの1日あたりの推奨量は、妊娠中および/または授乳中の女性の方が、妊娠していない、授乳していない女性よりも高い。ミネラルの必要量が異なる場合がある他の患者群には、子ども(すなわち、小児患者)、閉経後の女性、および高齢者が含まれる。
【0135】
例えば、限定されないが、特定のミネラルの1日あたりの推奨量は、以下の通り、すなわち、約700mg、約800mg、約1000mg、約1200mg、約1300mg、約1500mg、約2000mg、または約2500mgのカルシウム;約0.2mg、約0.22mg、約0.34mg、約0.44mg、約0.7mg、約0.89mg、約0.9mg、約1mg、約1.3mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mg、または約10mgの銅;約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約13mg、約16mg、約18mg、約24mg、約27mg、約30mg、約36mg、約40mg、または約45mgの鉄;約80mg、約150mg、約200mg、約250mg、約310mg、約320mg、約350mg、約360mg、約400mg、または約420mgのマグネシウム;約1.2mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.8mg、約1.9mg、約2mg、約2.2mg、約2.3mg、約2.6mg、約3mg、約4mg、約6mg、約8mg、約10mg、または約11mgのマンガン;約3000mg、約3500mg、約3800mg、約4000mg、約4500mg、約4700mg、または約5100mgのカリウム;約1500mg、約2000mg、約2300mg、または約2400mg、約3000mg、または約3400mgのナトリウム;および約8mg、約9.4mg、約11mg、約12mg、約13mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、または約40mgの亜鉛であり得る。製剤は、製剤が対象に経口的に与えられる場合に、風味を改善するために1種または複数種の糖を含有していてもよい。例えば、限定されないが、糖は、スクロース、フルクトース、ガラクトース、マルトース、またはラクトースであり得る。
【0136】
製剤、または製剤内の可溶性成分は、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸一カリウム、リシン、およびスクロースを含有し得る。製剤は、約40質量%~約60質量%のクエン酸;約1質量%~約10質量%のクエン酸一ナトリウム;約0.1質量%~約5質量%のクエン酸一カリウム;約30質量%~約40質量%のリシン;および約10質量%~約15質量%のスクロースを含有し得る。製剤、または製剤内の可溶性成分は、約49.2質量%のクエン酸、約2質量%のクエン酸一ナトリウム、約0.3質量%のクエン酸一カリウム、約37.5質量%のリシン、および約11質量%のスクロースを含有し得る。製剤、または製剤内の可溶性成分は、約44.2質量%のクエン酸、約8.3質量%のクエン酸一ナトリウム、約2.3質量%のクエン酸一カリウム、約33.8質量%のリシン、および約11.5質量%のスクロースを含有し得る。製剤、または製剤内の可溶性成分は、約50質量%~約60質量%のシトレート、クエン酸、またはその組合せ;約0.2質量%~約1質量%のナトリウム;約0.02質量%~約0.5質量%のカリウム;約30質量%~約40質量%のリシン;および約10質量%~約15質量%のスクロースを含有し得る。
代謝障害を処置する方法
【0137】
本発明は、非経口投与用に製剤化された1種または複数種のTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を提供することによって、代謝障害、疾患、または状態を処置する方法を提供する。組成物は、任意の非経口経路によって投与することができる。例えば、限定されないが、組成物は、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、または直腸に投与することができる。好ましくは、組成物を、皮下または静脈内に投与する。
【0138】
非経口投与用に製剤化されたTCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する組成物は、上記のもの、例としてシトレート、cis-アコニテート、D-イソシトレート、α-ケトグルタレート、スクシネート、フマレート、マレート、オキサロアセテート、アセトン、アセトアセテート、β-ヒドロキシブチレート、β-ケトペンタノエート、またはβ-ヒドロキシペンタノエートのいずれかであり得る。好ましくは、TCA回路中間体は、スクシネートである。
【0139】
代謝障害、疾患、または状態は、変化したTCA回路代謝と関連するか、または上記のいずれかなどのTCA回路の中間体を提供することによって改善することができる任意の疾患、障害、または状態であり得る。
【0140】
TCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体は、任意の治療有効用量で提供することができる。例えば、限定されないが、TCA回路中間体、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体は、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約5g、または対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約500mg、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約200mg、または対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約100mgで提供することができる。
【0141】
組成物は、任意の好適なスケジュールに従って提供することができる。例えば、限定されないが、組成物を、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、またはそれより長い期間ごとに単回投与として提供してもよい。各製剤は、1日1回、2回、3回、4回、またはそれより多く提供することができる。
【0142】
組成物は、ある期間にわたって提供することができる。例えば、限定されないが、組成物は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、12週間、3か月、4か月、5か月、6か月、8か月、10か月、12か月、18か月、または24か月間提供してもよい。期間の1つまたは複数の境界は、患者の年齢によって定義してもよい。例えば、限定されないが、組成物を提供する期間は、患者の出生時、1週齢、2週齢、3週齢、4週齢、6週齢、8週齢、10週齢、12週齢、生後3か月、生後3か月、生後4か月、生後5か月、生後6か月、生後8か月、生後10か月、生後12か月、生後18か月、または生後24か月で開始または終了してもよい。
【0143】
本発明は、代謝障害、疾患、または状態を処置するための併用療法を提供する。併用療法は、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する非経口製剤、およびシトレート、クエン酸、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する別の製剤を提供することを含む。非経口製剤は、任意の非経口経路により投与することができる。例えば、限定されないが、非経口製剤は、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、または直腸に投与することができる。好ましくは、非経口製剤を、皮下または静脈内に投与する。シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する製剤は、経口、経腸、非経口、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、または直腸などの任意の経路で投与することができる。好ましくは、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する製剤を、経口的に提供する。
【0144】
本発明の併用療法を使用して、変化したTCA回路代謝に関連するか、または上記のいずれかなどのTCA回路の中間体を提供することによって改善することができる任意の疾患、障害、または状態を処置することができる。
【0145】
本発明の併用療法では、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体と、シトレート、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体のそれぞれを、治療有効用量で提供する。例えば、それぞれを独立して、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.1mg~対象の体重1kg当たり約5g、対象の体重1kg当たり約0.2mg~対象の体重1kg当たり約2g、対象の体重1kg当たり約0.5mg~対象の体重1kg当たり約1g、対象の体重1kg当たり約1mg~対象の体重1kg当たり約500mg、対象の体重1kg当たり約2mg~対象の体重1kg当たり約200mg、または対象の体重1kg当たり約5mg~対象の体重1kg当たり約100mgで提供することができる。
【0146】
本発明の併用療法では、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する非経口製剤と、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する他の製剤とを、任意の時間的関係で提供することができる。例えば、2つの製剤を、同時に、いずれかの順序で逐次的に、または交互に、のいずれかで提供してもよい。好ましい方法では、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する非経口製剤を最初に提供し、その後シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する製剤を提供する。
【0147】
本発明の併用療法では、各製剤を、上記のように、任意の好適なスケジュールに従って独立して提供してもよい。
【0148】
本発明の併用療法では、各製剤を、上記のように、ある期間にわたって独立して提供してもよい。
【0149】
本発明の併用療法では、スクシネート、またはそのプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する非経口製剤と、シトレート、クエン酸、またはシトレートもしくはクエン酸のプロドラッグ、アナログ、もしくは誘導体を含有する他の製剤とを、異なる期間、併存期間、または重複期間にわたって提供することができる。したがって、併用療法は、一方の製剤が提供される期間から他方の製剤が提供される期間への移行を含み得る。移行は個別的であっても、両方の製剤が提供される期間を含んでいてもよい。移行は段階的であってもよく、第1の製剤の投与量の減少および第2の製剤の投与量の増加を含み得る。
【実施例
【0150】
(実施例1)
スクシネートの皮下投与
概要
13C4-スクシネートの生物学的利用能を、雄性Sprague-Dawleyラットに皮下(SC)投与した後に決定した。13C4-スクシネートを、10mg/kg、50mg/kg、および100mg/kgで皮下投与した。血液試料を、投与後8時間までに収集し、試験品の血漿濃度をLC-MS/MSによって決定した。薬物動態パラメーターを、Phoenix WinNonlin(v8.0)ソフトウェアを使用して決定した。
【0151】
13C4-スクシネートを10mg/kgでSC投与した後、投与後15分に最大血漿濃度(平均3480±1512ng/mL)が観察された。皮下投与後の平均半減期を決定することはできなかった、しかし、あるラットの半減期は0.453時間であった。用量正規化AUClastに基づく平均曝露量は、160±55.4時間*kg*ng/mL/mgであった。以前の研究からのIVデータに基づくと、10mg/kgでの13C4-スクシネートの平均生物学的利用能は74.4±25.7%であった。
【0152】
13C4-スクシネートを50mg/kgでSC投与した後、投与後15分に最大血漿濃度(平均17333±2214ng/mL)が観察された。相関係数(r2)が0.85未満であったため、皮下投与後の平均半減期を決定することができなかった。用量正規化AUClastに基づく平均曝露量は、210±41.0時間*kg*ng/mL/mgであった。以前の研究からのIVデータに基づくと、50mg/kgでの13C4-スクシネートの平均生物学的利用能は97.6±19.0%であった。
【0153】
13C4-スクシネートを100mg/kgでSC投与した後、投与後15分に最大血漿濃度(平均31000±7451ng/mL)が観察された。皮下投与後の平均半減期は1.07時間であった。用量正規化AUClastに基づく平均曝露量は、216±52.9時間*kg*ng/mL/mgであった。以前の研究からのIVデータに基づくと、100mg/kgでの13C4-スクシネートの平均生物学的利用能は100±24.6%であった。
13C4-スクシネートを10、50、および100mg/kgで皮下投与した後、用量の増加に伴って曝露量が非線形に増加した。より高用量の曝露量は用量比例的であったが、低用量の曝露量に対する用量比よりも大きかった。
観察および有害反応
【0154】
雄性Sprague-Dawleyラットに13C4-スクシネートを皮下投与した後、有害反応は観察されなかった。
投与溶液分析
【0155】
投与溶液を、LC-MS/MSで分析した。測定された投与溶液濃度を表1に示す。投与溶液をラット血漿に希釈し、三連で分析した。濃度はすべて、遊離塩基のmg/mLとして表される。名目投与レベルを、すべての計算において使用した。
表1.測定された投与溶液濃度(mg/mL)
【表1】
定量的血漿試料分析
【0156】
血漿試料を、試料抽出のセクションで後述する方法を使用して抽出し、分析した。個々の血漿濃度および平均血漿濃度を表2~表4に示す。データはすべて、遊離塩基のng/mLとして表される。定量下限を下回った試料は、平均の計算には使用しなかった。濃度対時間のデータを、図1図6にプロットしている。
データ分析
【0157】
薬物動態パラメーターを、血漿濃度の時間経過から計算して、表2~表4に示す。薬物動態パラメーターを、非コンパートメントモデルを使用して、Phoenix WinNonlin(v8.0)ソフトウェアを用いて決定した。SC投与後の最大血漿濃度(Cmax)および最大血漿濃度に達するまでの時間(tmax)を、データから観察した。濃度-時間曲線下面積(AUC)を、線形台形法を使用して、最終定量可能データポイントまで計算し、該当する場合は無限大まで外挿して計算した。血漿半減期(t1/2)は、0.693/終末消失相の傾きから計算した。平均滞留時間MRTは、モーメント曲線下面積(AUMC)をAUCで割ることによって計算した。生物学的利用能は、個々の用量正規化PO AUClast値を研究18CARNP11からの平均用量正規化IV AUClast値で割ることによって決定した。定量限界(1.00ng/mL)未満の試料は、薬物動態データ分析ではゼロとして処理した。
表2.雄性Sprague-Dawleyラットに10mg/kgで皮下投与した後の13C4-スクシネートの個々の血漿濃度および平均血漿濃度(ng/mL)
【表2】
Cmax:最大血漿濃度;tmax:最大血漿濃度の時間;t1/2:半減期、半減期の決定に使用されたデータポイントを、太字で示す;MRTlast:最終観測可能時点まで計算された平均滞留時間;AUClast:最終観測可能時点まで計算された曲線下面積;AUC∞:無限大まで外挿された曲線下面積;ND:決定されず;BLOQ:定量限界(1ng/mL)未満。
1パラメーターをmg/kg単位の名目用量で割ることにより用量正規化した。
2個々の経口用量正規化AUClast値を、以前の研究からの平均IV用量正規化AUClast値215時間*kg*ng/mL/mgで割ることによって決定された生物学的利用能。
3終末消失相を定義する線がr2<0.85であるため、決定されていない。
【0158】
図1は、10mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0159】
図2は、10mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
表3.雄性Sprague-Dawleyラットに50mg/kgで皮下投与した後の13C4-スクシネートの個々の血漿濃度および平均血漿濃度(ng/mL)
【表3】
Cmax:最大血漿濃度;tmax:最大血漿濃度の時間;t1/2:半減期、半減期の決定に使用されたデータポイントを、太字で示す;MRTlast:最終観測可能時点まで計算された平均滞留時間;AUClast:最終観測可能時点まで計算された曲線下面積;AUC∞:無限大まで外挿された曲線下面積;ND:決定されず;BLOQ:定量限界(1ng/mL)未満。
1パラメーターをmg/kg単位の名目用量で割ることにより用量正規化した。
2個々の経口用量正規化AUClast値を、以前の研究からの平均IV用量正規化AUClast値215時間*kg*ng/mL/mgで割ることによって決定された生物学的利用能。
3終末消失相を定義する線がr2<0.85であるため、決定されていない。
【0160】
図3は、50mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0161】
図4は、50mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
表4.雄性Sprague-Dawleyラットに100mg/kgで皮下投与した後の13C4-スクシネートの個々の血漿濃度および平均血漿濃度(ng/mL)
【表4】
Cmax:最大血漿濃度;tmax:最大血漿濃度の時間;t1/2:半減期、半減期の決定に使用されたデータポイントを、太字で示す;MRTlast:最終観測可能時点まで計算された平均滞留時間;AUClast:最終観測可能時点まで計算された曲線下面積;AUC∞:無限大まで外挿された曲線下面積;ND:決定されず;BLOQ:定量限界(1ng/mL)未満。
1パラメーターをmg/kg単位の名目用量で割ることにより用量正規化した。
2個々の経口用量正規化AUClast値を、以前の研究からの平均IV用量正規化AUClast値215時間*kg*ng/mL/mgで割ることによって決定された生物学的利用能。
3終末消失相を定義する線がr2<0.85であるため、決定されていない。
【0162】
図5は、100mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0163】
図6は、100mg/kgの13C4-スクシネートの皮下投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
投与溶液の調製および動物のデータシート
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
分析用原液の調製
【0164】
分析用原液(1.00mg/mLの遊離薬物)を、DMSOで調製した。
標準品の調製
【0165】
標準品を、抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを含有するSprague-Dawleyラット血漿で調製した。作業溶液を、50:50のアセトニトリル:水で調製し、次いでラット血漿に加えて、最終濃度が2000、1000、500、100、50.0、10.0、5.00、および1.00ng/mLになるように較正標準品を作製した。標準品を、研究試料と同様に処理した。
試料抽出
【0166】
表5に概説されているように、96ウェルプレート中でアセトニトリルを使用して、血漿試料を手作業で抽出した。
表5.血漿試料の調製
【表5】
【0167】
HPLC条件
機器:Waters Acquity UPLC(登録商標)
カラム: Waters HSS T3、50×2.1mm id、1.8μm
水性リザーバー(A):水中の0.1%ギ酸
有機リザーバー(B):アセトニトリル中の0.1%ギ酸
勾配プログラム
【表26-1】
流速:800μL/分
注入容量:10μL
実行時間:1.0分
カラム温度:40℃
試料温度:8℃
強力なオートサンプラー洗浄: 1:1:1(体積:体積:体積)水:メタノール:イソプロパノール(0.2%ギ酸を含む)
弱いオートサンプラー洗浄 4mM ギ酸アンモニウム
質量分析計の条件
機器:PE Sciex API4000
インタフェース:エレクトロスプレー(「ターボイオンスプレー」)
モード:多重反応モニタリング(MRM)
ガス:CUR30、CAD10、GSI50、GS2 50
ソース温度:500℃
監視される電圧およびイオン*
【表26-2】
IS:イオンスプレー電圧、DP:デクラスタリング電位;EP:入口電位;CE:コリジョンエネルギー;CXP:コリジョンセル出口電位;*設定はすべてボルト単位である。
(実施例2)
基礎呼吸に対するシトレートおよびスクシネートの効果
【0168】
図7は、プロピオン酸血症(PA)を有する患者からの細胞における基礎呼吸に対するシトレートおよびスクシネートの効果を示すグラフである。正常患者からの線維芽細胞(試料826)およびPAを有する患者からの線維芽細胞を、示されるように、培養培地単独、0.2mMシトレートを補充した培養培地、または4mMスクシネートを補充した培養培地中で、72時間培養した。酸素消費率(OCR)を、XFe96細胞外フラックスアナライザー、Seahorse Bioscienceを用いて測定した。示されているデータは平均値±SDであり、タンパク質の量の平均値に正規化されている。示されている群間で比較された****P<0.0001、**P<0.01は、GraphPad Prism 7で、単一の生物学的複製および8つの技術的複製由来の試料について対応のないt検定を使用して計算される。
(実施例3)
経口投与されたシトレートまたは静脈内投与されたスクシネートの薬物動態、排泄、および組織分布
概要
【0169】
14C-標識シトレートの単回経口投与または14C-標識スクシネートの単回経口投与後の血漿時間経過、排泄の経路および速度、ならびに放射能の組織分布をラットで分析した。
投与製剤および調製
【0170】
14C-スクシネートおよび14C-シトレートを、経口投与用の脱イオン水または静脈内注射用の0.9%塩化ナトリウムのいずれかに溶解した。製剤を、投与前日に調製した。
試験システム
【0171】
CD(登録商標)ラットを、Charles River Laboratoriesから入手した。動物は、研究の開始時に9~11週齢であった。
試験設計
【0172】
処置群を表6に示す。
表6.処置群
【表6】
【0173】
経口14C-シトレートを受けた動物を、投与前の8時間および投与後の4時間絶食状態に保った。14C-シトレートを、強制経口投与した。静脈内14C-スクシネートを受けた動物は、絶食状態に保たれなかった。14C-スクシネートを、尾静脈注射により投与した。
試料の収集および分析
【0174】
経口投与の後、チューブおよび投与部位をガーゼで拭き、ガーゼを、その後の放射線分析のために収集した。IV投与の後、針および投与部位をガーゼで拭き、ガーゼを、その後の放射線分析のために収集した。SOP ADMEに従って、投与部位ワイプの総放射能を、投与された総線量から差し引いて、線量損失を決定した。
【0175】
血液および血漿を、投与後0.5、1、2、4、8、および24時間で最終収集のために心臓穿刺によって収集した。血液を、遠心分離するまで氷塊またはウェットアイス上に保存して、血漿を得た。三連のアリコートを秤量し、シンチレーションカクテルと混合し、LSCによって計数した。
【0176】
尿および糞便を、投与後0~24時間で収集し、ウェットアイス上に保存した。MPI Research SOPに従って、2N NaOHを含有するトラップから空気を吸引することにより、投与後0~8時間および8~24時間で呼気CO2を収集した。試料を周囲温度で保存して、秤量した。アリコートを、放射線分析のために提出した。
【0177】
投与後24時間で、ケージを1%リン酸三ナトリウム(TSP)溶液ですすぎ、ガーゼパッドで拭いた。最終ケージリンス試料およびケージワイプ試料を別個の適切な容器に収集し、各ケージリンスおよびケージワイプの重量を記録した。
【0178】
液体シンチレーション計数法(LSC)により、試料の放射能を少なくとも5分間または100,000の累積計数で分析した。試料を三連で分析した。
【0179】
投与後0.5、1、2、4、8、および24時間で、最終採血後、MPI Research SOP IMG-23に従って、安楽死させた動物をヘキサン/ドライアイス浴で凍結し、5%カルボキシメチルセルロースマトリックスに包埋した。
【0180】
包埋した死体を、MPI Research SOP EQP-145に従って、-10~-30℃を維持するように設定されたLeica CM3600クライオミクロトーム(Cyromacrotome)で切片化した。矢状面で約30μmの厚さの切片を採取した。ブロックにおける目的の種々のレベルで選択された適切な切片を、可能な場合は以下の組織、臓器、および体液:副腎、膀胱および内容物(尿)、血液(心臓)、骨、骨髄、脳、精巣上体、眼、脂肪(褐色)、脂肪(白色)、心臓、腎臓、大腸/盲腸および内容物、肝臓、肺、筋肉、膵臓、前立腺/子宮、唾液腺、皮膚、小腸および内容物、脾臓、胃および内容物、精巣/卵巣、胸腺、甲状腺、および腸間膜リンパ節が含まれるように収集した。MPI Research SOP EQP-146に従って、Storm860画像取得システムを使用して、切片をマウントし、フォスフォイメージングスクリーンに曝露し50μmでスキャンした。
【0181】
較正標準品と比較した定量を、MPI Research SOP IMG-24に従って、MCID(商標)画像分析ソフトウェアを使用した画像デンシトメトリーによって実施した。検量線を、積分応答(MDC/mm2)および[14C]較正標準品の名目濃度から構築した。放射能の濃度をμCi/gとして表し、投与された[14C]試験品投与製剤の比放射能を使用して、試料1グラム当たりの[14C]試験品のμgまたはng当量(ng当量/gまたはμg当量/g)に変換した。定量下限(LLOQ)を、データに適用した。LLOQは、検量線を生成するために使用された最低の較正標準品の放射能濃度を、投与製剤の比放射能(μCi/mg)で割ったものを使用して決定した。消化管の内容物が除去されて生成されたものなどのアーティファクトを、画像分析中の分析から除外した。
【0182】
試料を、表7に示すように保存した。
表7.試料保存条件
【表7】
【0183】
結果
【0184】
経口14C-シトレートの単回投与または静脈内14C-スクシネートの単回投与のいずれかで処置後24時間に屠殺した動物からの種々の試料において回収された放射能のパーセンテージを、表8に示す。
表8.放射線量の回収パーセンテージ
【表8】
【0185】
経口14C-シトレートの単回投与または静脈内14C-スクシネートの単回投与のいずれかで処置したラットにおける放射性物質の血漿濃度を、表9に示す。
表9.放射性物質の血漿濃度
【表9-1】
【表9-2】
【0186】
静脈内14C-スクシネートの単回投与で処置したラットの血液および組織における放射能濃度を、表10に示す。
表10. IV 14C-スクシネートで処置したラットの組織における放射能
【表10-1】
【表10-2】
BLQ:定量限界未満(<320ng当量試験品/g)。
ND:非検出(試料形状が背景や周囲組織から識別できない)。
NR:非表示(組織が切片上に表示されていない)。
【0187】
経口14C-シトレートの単回投与で処置したラットの血液および組織中の放射能濃度を、表11に示す。
表11.経口14C-シトレートで処置したラットの組織における放射能
【表11-1】
【表11-2】
BLQ:定量限界未満(<320ng当量試験品/g)。
ND:不検出(試料形状が背景や周囲組織から識別できない)。
NR:非表示(組織が切片上に表示されていない)。
(実施例4)
スクシネートの経口生物学的利用能
概要
【0188】
13C4-スクシネートの経口生物学的利用能を、雄性Sprague-Dawleyラットにおいて評価した。13C4-スクシネートを、静脈内(IV)および経口(PO)投与経路により、それぞれ10mg/kgおよび50mg/kgで投与した。血液試料を、投与後8時間までに収集し、試験品の血漿濃度をLC-MS/MSによって決定した。薬物動態パラメーターを、Phoenix WinNonlin(v8.0)ソフトウェアを使用して決定した。
【0189】
10mg/kgでの13C4-スクシネートのIV投与後、平均半減期は2.46±2.04時間であった。その平均クリアランス速度は、4.61±0.341L/時間/kgであった。平均分布容積は、0.982±0.584L/kgであった。13C4-スクシネートを50mg/kgでPO投与した後、投与後15分に最大血漿濃度(平均211±186ng/mL)が観察された。相関係数(r2)が0.85未満であったか、またはCmaxに続く定量可能データポイントが不足しているため、経口投与後の平均半減期を決定することができなかった。用量正規化AUClastに基づく平均曝露量は、1.84±1.58時間*kg*ng/mL/mgであった。50mg/kgで投与した後の13C4-スクシネートの平均経口生物学的利用能は、0.854±0.735%であった。
観察および有害反応
【0190】
雄性Sprague-Dawleyラットにおいて、13C4-スクシネートを静脈内および経口投与した後、有害反応は観察されなかった。
投与溶液分析
【0191】
投与溶液を、LC-MS/MSで分析した。測定された投与溶液濃度を表12に示す。投与溶液をラット血漿に希釈し、三連で分析した。濃度はすべて、遊離塩基のmg/mLとして表される。名目投与レベルを、すべての計算において使用した。
表12.測定された投与溶液濃度(mg/mL)
【表12】
*5%デキストロース溶液
定量的血漿試料分析
【0192】
血漿試料を、試料抽出のセクションに記載の方法を使用して抽出し、分析した。個々の血漿濃度および平均血漿濃度を、表13および表14に示す。データはすべて、遊離塩基のng/mLとして表される。定量下限を下回った試料は、平均の計算には使用しなかった。濃度対時間のデータを、図8~11にプロットしている。
データ分析
【0193】
薬物動態パラメーターを、血漿濃度の時間経過から計算して、表13および表14に示す。薬物動態パラメーターを、非コンパートメントモデルを使用して、Phoenix WinNonlin(v8.0)ソフトウェアを用いて決定した。IV投与後の最大血漿濃度(C0)を、最初の2つの時点をt=0に外挿することによって推定した。PO投与後の最大血漿濃度(Cmax)および最大血漿濃度に達するまでの時間(Tmax)を、データから観察した。濃度-時間曲線下面積(AUC)を、線形台形法を使用して、最終定量可能データポイントまで計算し、該当する場合は無限大まで外挿して計算した。血漿半減期(t1/2)は、0.693/終末消失相の傾きから計算した。平均滞留時間MRTは、モーメント曲線下面積(AUMC)をAUCで割ることによって計算した。クリアランス(CL)を、用量/AUCから計算した。定常状態の分布容積(Vss)を、CL*MRT(平均滞留時間)から計算した。生物学的利用能は、個々の用量正規化PO AUClast値を平均用量正規化IV AUClast値で割ることによって決定した。定量限界(1ng/mL)未満の試料は、薬物動態データ分析ではゼロとして処理した。
表13.雄性Sprague-Dawleyラットに10mg/kgで静脈内投与した後の13C4-スクシネートの個々の血漿濃度および平均血漿濃度(ng/mL)ならびに薬物動態パラメーター
【表13】
C0:t=0まで外挿された最大血漿濃度;tmax:最大血漿濃度の時間;t1/2:半減期、半減期の決定に使用されたデータポイントを、太字で示す;MRTlast:最終観測可能時点まで計算された平均滞留時間;CL:クリアランス;Vss:定常状態の分布容積;AUClast:最終観測可能時点まで計算された曲線下面積;AUC∞:無限大まで外挿された曲線下面積;ND:決定されず;BLOQ:定量限界(1ng/mL)未満。
1t=0まで外挿。
2パラメーターをmg/kg単位の名目用量で割ることにより用量正規化した。
【0194】
図8は、10mg/kgの13C4-スクシネートの静脈内投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0195】
図9は、10mg/kgの13C4-スクシネートの静脈内投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
表14.雄性Sprague-Dawleyラットに50mg/kgで経口投与した後の13C4-スクシネートの個々の血漿濃度および平均血漿濃度(ng/mL)
【表14】
Cmax:最大血漿濃度;tmax:最大血漿濃度の時間;t1/2:半減期、半減期の決定に使用されたデータポイントを、太字で示す;MRTlast:最終観測可能時点まで計算された平均滞留時間;AUClast:最終観測可能時点まで計算された曲線下面積;AUC∞:無限大に外挿された曲線下面積;ND:決定されず;BLOQ:定量限界(1ng/mL)未満。
1パラメーターをmg/kg単位の名目用量で割ることにより用量正規化した。
2個々の経口AUClast値を、平均IV AUClast値で割ることによって決定された生物学的利用能。
3終末消失相を定義する線がr2<0.85であるため、決定されていない。
4Cmaxに続く定量可能データポイントが不足しているため、決定されていない。
【0196】
図10は、50mg/kgの13C4-スクシネートの経口投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの血漿濃度のグラフである。
【0197】
図11は、50mg/kgの13C4-スクシネートの経口投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
投与溶液の調製および動物のデータシート
【表27】
【表28】
【表29】
分析用原液の調製
【0198】
分析用原液(1.00mg/mLの遊離薬物)を、DMSOで調製した。
標準品の調製
【0199】
標準品を、抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを含有するSprague-Dawleyラット血漿で調製した。作業溶液を、50:50のアセトニトリル:水で調製し、次いでラット血漿に加えて、最終濃度が2000、1000、500、100、50.0、10.0、5.00、2.50、および1.00ng/mLになるように較正標準品を作製した。標準品を、研究試料と同様に処理した。
試料抽出
【0200】
表15に概説されているように、96ウェルプレート中でアセトニトリルを使用して、血漿試料を手作業で抽出した。
表15.血漿試料の調製
【表15】
【0201】
HPLC条件
機器:Waters Acquity UPLC(登録商標)
カラム: Waters HSS T3、50×2.1mm id、1.8μm
水性リザーバー(A):水中の0.1%ギ酸
有機リザーバー(B):アセトニトリル中の0.1%ギ酸
勾配プログラム
【表30-1】
流速:800μL/分
注入容量:10μL
実行時間:1.0分
カラム温度:40℃
試料温度:8℃
強力なオートサンプラー洗浄: 1:1:1(体積:体積:体積)水:メタノール:イソプロパノール(0.2%ギ酸を含む)
弱いオートサンプラー洗浄 4mM ギ酸アンモニウム
質量分析計の条件
質量分析計の条件
機器:PE Sciex API4000
インタフェース:エレクトロスプレー(「ターボイオンスプレー」)
モード:多重反応モニタリング(MRM)
ガス:CUR30、CAD10、GSI50、GS2 50
ソース温度:500℃
監視される電圧およびイオン*
【表30-2】
IS:イオンスプレー電圧、DP:デクラスタリング電位;EP:入口電位;CE:コリジョンエネルギー;CXP:コリジョンセル出口電位;*設定はすべてボルト単位である。
(実施例5)
シトレートの経口生物学的利用能
概要
【0202】
13C6-シトレートの経口生物学的利用能を、雄性Sprague-Dawleyラットにおいて評価した。13C6-シトレートを、静脈内(IV)および経口(PO)投与経路により、それぞれ10mg/kgおよび50mg/kgで投与した。血液試料を、投与後8時間までに収集し、試験品の血漿濃度をLC-MS/MSによって決定した。薬物動態パラメーターを、Phoenix WinNonlin(v8.0)ソフトウェアを使用して決定した。
【0203】
13C6-シトレートを10mg/kgでIV投与した後、平均半減期は2.34±0.207時間であった。その平均クリアランス速度は、2.96±0.345L/時間/kgであった。平均分布容積は、1.75±0.223L/kgであった。13C6-シトレートを50mg/kgでPO投与した後、投与後15分時点で最大血漿濃度(平均1580±191ng/mL)が観察された。経口投与後の平均半減期を決定することはできなかった、しかし、あるラットの半減期は0.865時間であった。用量正規化AUClastに基づく平均曝露量は、33.2±10.9時間*kg*ng/mL/mgであった。50mg/kgで投与した後の13C6-シトレートの平均経口生物学的利用能は、9.86±3.24%であった。
観察および有害反応
【0204】
雄性Sprague-Dawleyラットにおいて、13C6-シトレートを静脈内投与および経口投与した後、有害反応は観察されなかった。
投与溶液分析
【0205】
投与溶液を、LC-MS/MSで分析した。測定された投与溶液濃度を表16に示す。投与溶液をラット血漿に希釈し、三連で分析した。濃度はすべて、遊離塩基のmg/mLとして表される。名目投与レベルを、すべての計算において使用した。
表16:測定された投与溶液濃度(mg/mL)
【表16】
*5%デキストロース溶液
定量的血漿試料分析
【0206】
血漿試料を、試料抽出のセクションに記載の方法を使用して抽出し、分析した。個々の血漿濃度および平均血漿濃度を、表17および表18に示す。データはすべて、遊離塩基のng/mLとして表される。定量下限を下回った試料は、平均の計算には使用しなかった。濃度対時間のデータを、図12~15にプロットしている。
データ分析
【0207】
薬物動態パラメーターを、血漿濃度の時間経過から計算して、表17および表18に示す。薬物動態パラメーターを、非コンパートメントモデルを使用して、Phoenix WinNonlin(v8.0)ソフトウェアを用いて決定した。IV投与後の最大血漿濃度(C0)を、最初の2つの時点をt=0に外挿することによって推定した。PO投与後の最大血漿濃度(Cmax)および最大血漿濃度に達するまでの時間(Tmax)を、データから観察した。濃度-時間曲線下面積(AUC)を、線形台形法を使用して、最終定量可能データポイントまで計算し、該当する場合は無限大まで外挿して計算した。血漿半減期(t1/2)は、0.693/終末消失相の傾きから計算した。平均滞留時間MRTは、モーメント曲線下面積(AUMC)をAUCで割ることによって計算した。クリアランス(CL)を、用量/AUCから計算した。定常状態の分布容積(Vss)を、CL*MRT(平均滞留時間)から計算した。生物学的利用能は、個々の用量正規化PO AUClast値を平均用量正規化IV AUClast値で割ることによって決定した。定量限界(1ng/mL)未満の試料は、薬物動態データ分析ではゼロとして処理した。
表17.雄性Sprague-Dawleyラットに10mg/kgで静脈内投与した後の13C6-シトレートの個々の血漿濃度および平均血漿濃度(ng/mL)ならびに薬物動態パラメーター
【表17】
C0:t=0まで外挿された最大血漿濃度;tmax:最大血漿濃度の時間;t1/2:半減期、半減期の決定に使用されたデータポイントを、太字で示す;MRTlast:最終観測可能時点まで計算された平均滞留時間;CL:クリアランス;Vss:定常状態の分布容積;AUClast:最終観測可能時点まで計算された曲線下面積;AUC∞:無限大まで外挿された曲線下面積;ND:決定されず;BLOQ:定量限界(1ng/mL)未満。
1t=0まで外挿。
2パラメーターをmg/kg単位の名目用量で割ることにより用量正規化した。
【0208】
図12は、10mg/kgの13C6-シトレートの静脈内投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C6-シトレートの血漿濃度のグラフである。
【0209】
図13は、10mg/kgの13C6-シトレートの静脈内投与後のラットにおける種々の時点での13C6-シトレートの平均血漿濃度のグラフである。
表18.雄性Sprague-Dawleyラットに50mg/kgで経口内投与した後の13C6-シトレートの個々の血漿濃度および平均血漿濃度(ng/mL)
【表18】
Cmax:最大血漿濃度;tmax:最大血漿濃度の時間;t1/2:半減期、半減期の決定に使用されたデータポイントを、太字で示す;MRTlast:最終観測可能時点まで計算された平均滞留時間;AUClast:最終観測可能時点まで計算された曲線下面積;AUC∞:無限大に外挿された曲線下面積;ND:決定されず;BLOQ:定量限界(1ng/mL)未満。
1パラメーターをmg/kg単位の名目用量で割ることにより用量正規化した。
2個々の経口AUClast値を、平均IV AUClast値で割ることによって決定された生物学的利用能。
3終末消失相を定義する線がr2<0.85であるため、決定されていない。
【0210】
図14は、50mg/kgの13C6-シトレートの経口投与後の個々のラットにおける種々の時点での13C6-シトレートの血漿濃度のグラフである。
【0211】
図15は、50mg/kgの13C6-シトレートの経口投与後のラットにおける種々の時点での13C4-スクシネートの平均血漿濃度のグラフである。
投与溶液の調製および動物のデータシート
【表31】
【表32】
【表33】
分析用原液の調製
【0212】
分析用原液(1.00mg/mLの遊離薬物)を、DMSOで調製した。
標準品の調製
【0213】
標準品を、抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを含有するSprague-Dawleyラット血漿で調製した。作業溶液を、50:50のアセトニトリル:水で調製し、次いでラット血漿に加えて、最終濃度が2000、1000、500、100、50.0、10.0、5.00、2.50、および1.00ng/mLになるように較正標準品を作製した。標準品を、研究試料と同様に処理した。
試料抽出
【0214】
表19に概説されているように、96ウェルプレート中でアセトニトリルを使用して、血漿試料を手作業で抽出した。
表19.血漿試料の調製
【表19】
【0215】
HPLC条件
機器:Waters Acquity UPLC(登録商標)
カラム:Acquity UPLC(登録商標) HSS T3、50×2.1mm id、1.8μm
水性リザーバー(A):水中の0.1%ギ酸
有機リザーバー(B):アセトニトリル中の0.1%ギ酸
勾配プログラム
【表34-1】
流速:800μL/分
注入容量:10μL
実行時間:1.0分
カラム温度:40℃
試料温度:8℃
強力なオートサンプラー洗浄: 1:1:1(体積:体積:体積)水:メタノール:イソプロパノール(0.2%ギ酸を含む)
弱いオートサンプラー洗浄 4mM ギ酸アンモニウム
質量分析計の条件
機器:PE Sciex API4000
インタフェース:エレクトロスプレー(「ターボイオンスプレー」)
モード:多重反応モニタリング(MRM)
ガス:CUR30、CAD10、GSI50、GS2 50
ソース温度:500℃
監視される電圧およびイオン*
【表34-2】
IS:イオンスプレー電圧、DP:デクラスタリング電位;EP:入口電位;CE:コリジョンエネルギー;CXP:コリジョンセル出口電位;*設定はすべてボルト単位である。
(実施例6)
リシン緩衝溶液中のクエン酸の溶解度
【0216】
種々のpH値でのクエン酸の溶解度に対するリシン緩衝液の影響を分析した。結果を表20に示す。
表20.リシン緩衝溶液中のクエン酸の溶解度
【表20】
(実施例7)
シトレート含有製剤
【0217】
本発明の実施形態によるシトレート含有製剤(citrate-containing containing formulation)を表21に提供する。
表21.シトレート含有製剤
【表21】
参照による組み込み
【0218】
特許、特許出願、特許公開、定期刊行物、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書の参照および引用は、本開示を通してなされてきた。そのような文書はすべて、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
均等物
【0219】
本明細書に示され記載されたものに加えて、本発明の種々の修正およびその多くのさらなる実施形態は、本明細書に引用された科学文献および特許文献への参照を含む、本文書の全内容から当業者に明らかになる。本明細書の主題は、その種々の実施形態およびその均等物における本発明の実施に適合させることができる重要な情報、例示および指針を含有する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】