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特表2022-504612近赤外(NIR)バンドパスフィルタ、NIRバンドパスフィルタの製造方法およびその使用
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  • 特表-近赤外(NIR)バンドパスフィルタ、NIRバンドパスフィルタの製造方法およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】近赤外(NIR)バンドパスフィルタ、NIRバンドパスフィルタの製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20220105BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20220105BHJP
   C03C 3/093 20060101ALI20220105BHJP
   C03C 3/097 20060101ALI20220105BHJP
   C03C 17/34 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G02B5/28
C03C3/091
C03C3/093
C03C3/097
C03C17/34 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519717
(86)(22)【出願日】2018-10-10
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2018109711
(87)【国際公開番号】W WO2020073252
(87)【国際公開日】2020-04-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512139847
【氏名又は名称】ショット グラス テクノロジーズ (スゾウ) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT GLASS TECHNOLOGIES (SUZHOU) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】79 Huoju Road, Science & Technology Industrial Park, Suzhou New District, Suzhou, Jiangsu 215009, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ シャオ
(72)【発明者】
【氏名】イカン リー
(72)【発明者】
【氏名】グアンジュン ジャン
【テーマコード(参考)】
2H148
4G059
4G062
【Fターム(参考)】
2H148GA09
2H148GA12
2H148GA60
4G059AA08
4G059AC09
4G059EA04
4G059EA05
4G059EA16
4G059EB04
4G059GA02
4G059GA04
4G059GA12
4G062AA01
4G062BB01
4G062DA06
4G062DA07
4G062DB01
4G062DB02
4G062DB03
4G062DC03
4G062DC04
4G062DD01
4G062DD02
4G062DD03
4G062DE01
4G062DE02
4G062DE03
4G062DE04
4G062DF01
4G062EA01
4G062EA02
4G062EA03
4G062EA04
4G062EA10
4G062EB01
4G062EB02
4G062EB03
4G062EB04
4G062EC01
4G062EC02
4G062EC03
4G062EC04
4G062ED01
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4G062ED03
4G062ED04
4G062EE01
4G062EE02
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4G062EG02
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4G062EG04
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4G062FA10
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4G062FL01
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4G062GA10
4G062GB01
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4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH07
4G062HH09
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM23
4G062NN29
4G062NN33
(57)【要約】
本発明は近赤外(NIR)バンドパスフィルタ、およびNIRバンドパスフィルタの製造方法に関する。本発明はさらに、そのようなNIRバンドパスフィルタの、特に、例えば物体認識のための、特に顔認識のための赤外線センサにおける使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外(NIR)バンドパスフィルタの製造方法であって、以下の段階:
a) 温度T0で長さL0,GLを有し、且つ1500kPa/K未満のスケール因子Iを有するガラス基材を準備する段階であって、前記Iは式
【数1】
[前記式中、Eはヤング率であり、νはポアソン比であり、且つαは20℃~300℃の範囲での熱膨張係数(CTE)である]
によって定義される、前記段階、
b) 前記ガラス基材の少なくとも片側上で、高屈折率材料と低屈折率材料との交互の層を含むNIRバンドパスコーティングを、前記高屈折率材料が前記ガラス基材と直接接触し、且つ長さLCT,HRFを有するように堆積する段階であって、ここで、前記コーティングの堆積の間に前記ガラス基材が最高温度TCTおよび最大長さLCT,GLに達する、前記段階、
c) コーティングされたガラス基材を温度T0に冷却させる段階であって、前記T0は30℃未満であり、且つ前記ガラスはT0に達した際に長さL0,GL-LTS,GLを有し、前記LTS,GLは仮想温度の低下に起因する長さの減少を示す、前記段階
を含み、コーティングされたガラス基材が、以下の特性:
・ 前記ガラスは、段階c)に続いて動作温度TOTに加熱された際に長さLOT,GL-LTS,GLを有し、T0<TOT<TCTである、および
・ 前記ガラス基材と直接接触している高屈折率材料は温度TOTで長さLOT,HRFを有し、ここで、
【数2】
の差が0.05未満である、
を有する、前記製造方法。
【請求項2】
前記高屈折率材料が2~4.5の範囲の屈折率を有し、且つ/または前記低屈折率材料が1.4~1.5の範囲の屈折率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高屈折率材料が、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)、TiO2、ZrO2、Nb25、Ta25およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ガラス基材の少なくとも片側上でNIRバンドパスコーティングを備える段階が、前記高屈折率材料をマグネトロンスパッタ法によって施与することを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
CTが200℃~500℃の範囲である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
OTが30℃~70℃の範囲である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、段階c)の前または段階c)に引き続き、コーティングされたガラス基材をダイシングするさらなる段階を含み、ここで、コーティングされたガラス基材は、T0≦TDT<TCTであるダイシング温度TDTでガラスが長さLDT,GL-LTS,GLを有し、且つガラス基材と直接接触している高屈折率材料が長さLDT,HRFを有し、
【数3】
の差が0.05未満であるという特性を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ダイシング温度TDTが15℃~25℃の範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ガラス基材と、少なくとも1つのコーティングとを含む近赤外(NIR)バンドパスフィルタであって、前記ガラス基材が1500kPa/K未満であるスケール因子Iを有し、前記Iは式
【数4】
[前記式中、Eはヤング率であり、νはポアソン比であり、且つαは20℃~300℃の範囲での熱膨張係数(CTE)である]
によって定義され、且つ動作温度TOTでの前記ガラス基材の最大内部応力が300MPa未満である、前記フィルタ。
【請求項10】
前記NIRバンドパスフィルタが、0.02mm~2mmの範囲の厚さdを有する、請求項9に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項11】
前記NIRバンドパスフィルタが、1×1mm2~100×100mm2の範囲の大きさを有する、請求項9または10に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項12】
前記NIRバンドパスフィルタが、NIRバンドパスフィルタの大きさ1mm2あたり0.02μm~2μmの範囲の相対歪みRWを有する、請求項9から11までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項13】
前記NIRバンドパスフィルタが、1μm~50mmの範囲の絶対歪みAWを有する、請求項9から12までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項14】
入射角90°での前記NIRバンドパスフィルタを通じた最大透過率(垂直透過)の波長が、810nm~940nmの範囲である、請求項9から13までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項15】
入射角90°での最大透過率(垂直透過)波長と、入射角30°での最大透過率波長との差の絶対値が、1nm~50nmの範囲である、請求項9から14までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項16】
前記NIRバンドパスフィルタが、最大透過率波長で少なくとも80%の全透過率を有する、請求項9から15までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項17】
前記NIRバンドパスフィルタが、最大透過率波長±150nmの波長で20%未満の全透過率を有する、請求項9から16までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項18】
前記NIRコーティングが、屈折率2~4.5を有する高屈折率材料と、屈折率1.4~1.5を有する低屈折率材料との交互の層を含む、請求項9から17までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項19】
前記高屈折率材料が、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)、TiO2、ZrO2、Nb25、Ta25およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9から18までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項20】
前記動作温度TOTが30℃~70℃の範囲である、請求項9から19までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項21】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法によって得られる、請求項9から20までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項22】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表1】
【請求項23】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表2】
【請求項24】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表3】
【請求項25】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表4】
【請求項26】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表5】
【請求項27】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表6】
【請求項28】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表7】
【請求項29】
例えば物体認識のための、赤外線センサにおける請求項9から28までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタの使用。
【請求項30】
物体認識が顔認識である、請求項29に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は近赤外(NIR)バンドパスフィルタ、およびNIRバンドパスフィルタの製造方法に関する。本発明はさらに、そのようなNIRバンドパスフィルタの、特に、例えば物体認識のための、特に顔認識のための赤外線センサにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、顔認識システムは、消費者用電子機器、特にスマートフォンにおいて広く搭載されている。一般に、顔認識システムは赤外線エミッタと赤外線センサとの組み合わせを利用する。例えば、現在のシステムの1つは、30000ドットの赤外光を顔の上およびまわりに投影し、次いで赤外線センサが反射を捉えて、各々のドットについて深さおよび角度を計算し、顔の深さのマップを構築する。
【0003】
より正確な反射を捉えるために、一般に、狭い近赤外(NIR)バンドパスフィルタを赤外線センサに適用して、信号品質を改善する。NIRフィルタは、設計された帯域幅内のIR信号を通過させる一方で、その帯域幅外の望ましくない/周囲の光を拒否/ブロックする。帯域幅が狭くなるほど、信号対ノイズ比は良好になる。
【0004】
NIRフィルタは低屈折率および高屈折率を有する材料の別個の層を堆積することによって製造される。最も一般的に使用される低屈折率材料はSiO2であり、約1.45の屈折率を有する。高屈折率材料についてはさらに多数の選択肢があり、例えばTiO2、ZrO2、Nb25、Ta25などであり、約2.3の屈折率を有する。それらの高屈折率材料は一般に、従来の電子/熱蒸着堆積法を通じて堆積される。約4.0の屈折率を有する水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)を高屈折率材料として適用することもできる。
【0005】
フィルタの分光透過率特性は、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜が交互になったこの積層構造の基本構造に依存する。透過率ピークのより鋭い立ち上がりおよびエッジの落下を有する小さな帯域幅ほど、一般に、この薄膜の交互の多数の層を有する複雑な構造を必要とし、そのことにより、製造がより困難且つ高コストになる。
【0006】
信号品質に妥協することなく、このフィルタ構造を単純化する効率的な方法は、高屈折率材料と低屈折率材料との間の屈折率のコントラスト/差を増加することによる。しかしながら、低屈折率材料/高屈折率材料としてSiO2/a-Si:Hを使用する現在のNIRフィルタは、まだ約30~50層の薄膜を有する。
【0007】
先行技術に関連する大きな問題がある。第1に、現在のNIRフィルタの製造歩留まりは高くなく、なぜなら、ガラス基材をコーティングした後に通常適用されるダイシングの間に、フィルタが破損することが比較的多いからである。例えば、77×77mm2の大きさを有するコーティングされたガラス基材は、7×7mm2または4×4mm2または3×3mm2の大きさを有するより小さい片にダイシングされることがある。ダイシングの間の基材の破損が製造歩留まりを下げる。第2に、ガラス基材の屈折率は、高められた動作温度でNIRフィルタが使用される場合、変わることが多く、そのことがフィルタの中心波長のシフトをもたらしかねない。このほかに、比較的高いフィルタの歪みおよび角度のシフトに伴う問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、先行技術の問題を解消することである。特に、本発明の課題は、NIRバンドパスフィルタの製造方法であって、良好な製造歩留まりを有する方法を提供することである。本発明のさらなる課題は、改善された特性、例えば高められた温度で特に低い屈折率シフトを有するNIRバンドパスフィルタを提供することである。低い歪みおよび/または低い角度シフトも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題は、特許請求の範囲の主題によって解決される。前記の課題は、具体的には、近赤外(NIR)バンドパスフィルタの製造方法であって、以下の段階:
a) 温度T0で長さL0,GLを有し且つ1500kPa/K未満のスケール因子Iを有するガラス基材を準備する段階であって、前記Iは式
【数1】
[前記式中、Eはヤング率であり、νはポアソン比であり、且つαは20℃~300℃の範囲での熱膨張係数(CTE)である]
によって定義される、前記段階、
b) 前記ガラス基材の少なくとも片側上で、高屈折率材料と低屈折率材料との交互の層を含むNIRバンドパスコーティングを、前記高屈折率材料が前記ガラス基材と直接接触し且つ長さLCT,HRFを有するように堆積する段階であって、ここで、コーティングの堆積の間に前記ガラス基材が最高温度TCTおよび最大長さLCT,GLに達する、前記段階、
c) コーティングされたガラス基材を温度T0に冷却させる段階であって、前記T0は30℃未満であり、且つ前記ガラスはT0に達した際に長さL0,GL-LTS,GLを有し、前記LTS,GLは仮想温度の低下に起因する長さの減少を示す、前記段階
を含み、コーティングされたガラス基材が、以下の特性:
・ 前記ガラスは、段階c)に続いて動作温度TOTに加熱された際に長さLOT,GL-LTS,GLを有し、T0<TOT<TCTである、および
・ 前記ガラス基材と直接接触している高屈折率材料は温度TOTで長さLOT,HRFを有し、ここで、
【数2】
の差が0.05未満である、
を有する、前記製造方法によって解決される。
【0010】
前記の課題は、ガラス基材と、少なくとも1つのコーティングとを含む近赤外(NIR)バンドパスフィルタであって、前記ガラス基材が1500kPa/K未満であるスケール因子Iを有し、前記Iは式
【数3】
[前記式中、Eはヤング率であり、νはポアソン比であり、且つαは20℃~300℃の範囲での熱膨張係数(CTE)である]
によって定義され、且つ動作温度TOTでの前記ガラス基材の最大内部応力は500MPa未満、好ましくは400MPa未満、または300MPa未満である、前記フィルタによっても解決される。最大内部応力は以下の式(1)を使用して計算してもよいし、または偏光応力計を使用して測定してもよい。
【0011】
NIRバンドパスフィルタを製造するためのガラス基材をコーティングするために蒸着法によるSiO2/TiO2が使用されるか、またはマグネトロンスパッタ法によるSiO2/a-Si:Hが使用されるかにはかかわらず、膜とガラスとの機械的特性および熱的特性の不整合に起因して、膜とガラス基材との間で相互作用応力が誘導される。特に重要な2つの相互作用応力がある。
【0012】
第1に、相互作用応力は、コーティングされたガラス基材をコーティング温度TCTからダイシング温度TDTに冷却する際に生じる。コーティングされたガラス基材は一般に、上述のとおり、コーティングに続いてより小さなサイズにダイシングされる。ダイシング温度とは、そのようなダイシングが行われる際の温度である。ダイシング温度がコーティング温度よりも低いので、ダイシングの間、ガラス基材とコーティングとの両方が収縮した形態で存在する。収縮の程度はとりわけ、材料の熱膨張係数(CTE)に依存する。一般に、ガラスはコーティング材料に比して高CTEを有する。従って、ガラス基材はコーティングに比してより多く収縮するので、相互作用応力が生じる。本願明細書において、熱膨張係数は「CTE」として、または「α」として同義的に称される。特段記載されない限り、本願内で参照される熱膨張係数は線熱膨張係数である。CTEは好ましくはISO 7991:1987(E)に準拠して測定される。
【0013】
膜とガラス基材との間の相互作用応力の増加は潜在的に製造工程の低い歩留まりをもたらすことがあり、なぜなら、以下でより詳細に説明されるとおり、相互作用応力に起因して、ガラス基材がダイシングの間に損傷され得るからである。従って、ガラスおよびコーティングのCTEが整合しており、相互作用応力を低減し、ひいては歩留まりを高める場合が有利である。
【0014】
しかしながら、本発明者らは、相互作用応力に関して他の因子が関連することも見出した。コーティングされた後、ガラス基材は上述の相互作用応力に起因して曲がる。その曲げ半径は以下の式:
【数4】
[前記式中、fはコーティングされた膜を表し、sは基材、つまりガラスを表し、d=厚さ、E=ヤング率、ν=ポアソン比、σ=膜と基材との間の相互作用応力である]
を使用して見積もることができる。コーティングされた膜は高屈折率材料と低屈折率材料との交互の層を含む。コーティングされた膜のポアソン比は、
【数5】
として計算でき、ここでνi=コーティングされた膜の各々の層のポアソン比であり、且つVi=それぞれの材料の体積分率である。コーティングされた膜のヤング率は、
【数6】
として計算でき、ここでEi=コーティングされた膜の各々の層のヤング率であり、且つVi=それぞれの材料の体積分率である。
【0015】
温度変化に起因する相互作用応力は、以下の式:
【数7】
[前記式中、α=熱膨張係数、ΔT=温度変化である]
を使用して計算できる。
【0016】
従って、相互作用応力はいくつかの因子、例えばヤング率、ポアソン比および熱膨張係数の複雑な相互作用に依存する。本発明者らは、ガラスがコーティングされた後に受ける相互作用応力の程度を記載するスケール因子Iを定義した:
【数8】
【0017】
相互作用応力は、ダイシング工程の歩留まりに多大な影響を及ぼし得る。ダイシング工程の間、コーティングされたガラスを通してブレードが鋸引きしているので、相互作用応力はクラックの伝搬を助けることがあり、なぜなら、既に張力がかかっている領域を通じてクラックが伝搬する場合、低いエネルギーしか必要とされないからである。従って、この観点から、相互作用応力の低減が望ましい。
【0018】
相互作用応力は上述のヤング率とポアソン比とCTEとの相互作用に依存するだけではないことに留意すべきであり、なぜなら、ガラス基材の収縮または縮みという他の因子も重要な役割を果たすからである。例えばコーティングの間のガラスの加熱は収縮を引き起こすことがあるので、ガラス試料は最初の長さよりも短くなり得る。このさらなる収縮を低減し、相互作用応力を低減することが有利である。
【0019】
さらには、張力はガラス基材とコーティングされた膜との間の相互作用応力のみから生じるのではなく、コーティング工程の間の不均一な冷却速度に起因するガラスの外側層と内側層との間の「相互作用応力」からも生じることに留意する必要がある。従って、この冷却速度もより均一に調整される場合が有利である。特に、コーティングされたガラス基材が、コーティング後に非常に急速に冷却されない場合が有利である。好ましくは、コーティングされたガラス基材を室温T0に冷却させる段階c)の平均冷却速度は最大500K/秒、より好ましくは最大200K/秒、より好ましくは最大150K/秒、より好ましくは最大100K/秒、より好ましくは最大75K/秒である。
【0020】
特に、相互作用応力はコーティング温度とダイシング温度との間の温度差に起因して生じるだけではない。関連性の高い相互作用応力の第2の群は、コーティング温度TCTと動作温度TOTとの間の温度差に基づく。そのような相互作用応力の基礎を成す現象は、コーティング温度とダイシング温度との温度差に基づく相互作用応力について上述したものと基本的に同じである。しかしながら、動作温度はダイシング温度とは異なるので、熱膨張挙動を動作温度に関しても最適化すべきである。動作温度とは、NIRフィルタを使用する間、例えば顔認識の間の温度である。
【0021】
動作温度での相互作用応力とダイシング温度での相互作用応力との間の他の重要な違いは、それぞれの応力の異なる影響である。上述のとおり、コーティング温度とダイシング温度との温度差に基づく相互作用応力は、ダイシングの際のガラス基材の破損に起因して製造工程の歩留まりに悪影響を及ぼす。コーティング温度とダイシング温度との間の温度差に基づく相互作用応力に関し、他の現象が非常に重要である。つまり、相互作用応力はガラス基材の屈折率nに影響することがあり、なぜならガラスは光弾性材料であるからである。以下の式に示されるとおり、屈折率の変化は、内部応力σと応力光学係数(SOC)との積として計算できる。
【0022】
【数9】
【0023】
ガラスが相互作用応力500MPaで30(nm/cm)/MPaのSOCを有すると仮定して、見かけ上の屈折率は0.0015だけ変化し得る(これはおそらく肉眼でわかる)。従って、光弾性効果からの影響を最小化する効率的な方法は、相互作用応力を低減することであり得る。さらに、ガラスが小さなSOCを有する場合が有利である。好ましくは、SOCは20~40(nm/cm)/MPa、より好ましくは20~35(nm/cm)/MPa、より好ましくは20~30(nm/cm)/MPa、より好ましくは20~25(nm/cm)/MPaの範囲である。SOCは好ましくはASTM C770に準拠して測定される。
【0024】
内部応力σはガラス基材とコーティングとの間の相互応力に依存する。内部応力σは実際にはガラスのバルクにわたる応力のプロファイルである。実際に、内部応力はガラス基材の表面上で最も高く、ガラス基材内部に向かって徐々に減少する。従って、内部応力σは関数σ(x)であり、ここでxは深さの位置である。本発明によれば、且つ上記の観点で、「最大内部応力」との用語は、ガラス基材の表面での、特にNTRコーティングと、特にこのコーティングの高屈折率材料と接触しているガラス基板の表面での内部応力を示し、なぜなら、これはσ(x)がその最大値を有する位置であるからである。ガラス基材の表面での内部応力が、ガラス基材とコーティングとの間の相互作用応力によって引き起こされる最大内部応力であるので、相互作用応力の値と最大内部応力の値は、本発明によれば同一である。例えば、ガラス基材とコーティングとの間に250MPaの相互作用応力があれば、そのガラス基材の最大内部応力も250MPaである。特に、Δnは上述のとおり内部応力に比例するので、Δnはガラスの表面で最大であり、内部応力がガラスの中心に向かって減少するに従って、徐々に減少する。
【0025】
スケール因子Iは、ガラスがコーティング後に受ける相互作用応力の程度と相関する。異なるガラスについて、それらは同じ設定でコーティングされる(且つコーティング材料が小さいCTE、つまりガラスよりも小さいCTEを有する)場合、より大きなスケール因子Iがより大きな相互作用応力と相関し、より小さなスケール因子Iがより小さな相互作用応力と相関する。本発明は非常に低いスケール因子Iを有するガラスを提供するので、そのガラスはNIRフィルタ用途のための基材ガラスとして非常に有利である。好ましくは、スケール因子Iは1300kPa/K未満、より好ましくは1200kPa/K未満、より好ましくは1100kPa/K未満、より好ましくは1000kPa/K未満である。
【0026】
好ましくは、コーティングは500μm以下、より好ましくは最大250μm、より好ましくは最大100μm、より好ましくは最大50μm、より好ましくは最大20μm、より好ましくは最大10μmの厚さを有する。薄いコーティングが特に有利であり、なぜなら、本発明のNIRバンドパスフィルタを使用できる製品、例えば携帯電話はより小さな/より薄い方向に向かう傾向があるからである。
【0027】
好ましくは、ガラス基材のヤング率は50GPa~90GPa、より好ましくは60GPa~85GPaの範囲である。そのようなヤング率は、比較的低い相互作用応力を達成するために特に有利である。ヤング率は好ましくは超音波検査法により、特にASTM C623に準拠して測定される。
【0028】
好ましくは、ガラス基材のポアソン比は0.18~0.3、より好ましくは0.2~0.25の範囲である。そのようなポアソン比は、比較的低い相互作用応力を達成するために特に有利である。ポアソン比νは、好ましくはν=E/(2G)-1により計算され、ここでEはヤング率であり、且つGはせん断弾性率である。EとGとの両方が、好ましくは超音波検査法により、特にASTM C623に準拠して測定される。
【0029】
好ましくは、ガラス基材のCTEは3ppm/K~11ppm/K、より好ましくは3.1ppm/K~10ppm/K、より好ましくは3.2ppm/K~9ppm/K、より好ましくは3.25ppm/K~8.7ppm/Kの範囲である。そのようなCTEは、比較的低い相互作用応力を達成するために特に有利である。
【0030】
好ましくは、ガラス基材は0.02mm~2mm、より好ましくは0.05mm~1.5mm、より好ましくは0.1mm~1mm、より好ましくは0.15mm~0.7mm、より好ましくは0.2mm~0.5mmの範囲の厚さを有する。薄いガラス基材が特に有利であり、なぜなら、本発明のNIRバンドパスフィルタを使用できる製品、例えば携帯電話はより小さな/より薄い方向に向かう傾向があるからである。他方で、非常に薄いガラスは取り扱い、コーティングおよび/またはダイシングがより困難であることがある。従って、ガラス基材が、両方の要求に関してバランスの取れた上記で示された範囲内の厚さを有する場合が有利である。
【0031】
好ましくは、ガラス基材のガラスは、シリケートガラス(特にソーダライムガラス)、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、およびアルミノホウケイ酸ガラスからなる群から選択される。ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラスおよびソーダライムガラスが特に好ましい。
【0032】
本発明の好ましい実施態様において、ガラスは好ましくは以下の成分を示された範囲(質量%)で含む::
【表1】
【0033】
本発明の好ましい実施態様において、ガラスは好ましくは以下の成分を示された範囲(質量%)で含む::
【表2】
【0034】
本発明の好ましい実施態様において、ガラスは好ましくは以下の成分を示された範囲(質量%)で含む::
【表3】
【0035】
本発明の好ましい実施態様において、ガラスは好ましくは以下の成分を示された範囲(質量%)で含む::
【表4】
【0036】
本発明の好ましい実施態様において、ガラスは好ましくは以下の成分を示された範囲(質量%)で含む::
【表5】
【0037】
本発明の好ましい実施態様において、ガラスは好ましくは以下の成分を示された範囲(質量%)で含む::
【表6】
【0038】
本発明の好ましい実施態様において、ガラスは好ましくは以下の成分を示された範囲(質量%)で含む::
【表7】
【0039】
上述のガラス組成物において、As23、Sb23、SnO2、SO3、Cl、Fおよび/またはCeO2を清澄剤として0~2質量%の量で使用できる。
【0040】
小さなスケール因子Iに加えて、本発明のガラス基材はNIRバンドパスフィルタのために非常に有利なガラス基材であり、なぜなら、差
【数10】
が非常に小さいからである。これは、動作温度での屈折率シフトの減少と関連する。
【0041】
上述のとおり、本発明の方法は、ガラス基材の少なくとも片側上で高屈折率材料と低屈折率材料との交互の層を含み、前記高屈折率材料がガラス基材と直接接触し且つ長さLCT,HRFを有するように、NIRバンドパスコーティングを準備する段階を含み、ここで、前記ガラス基材はコーティングの供給の間に最高温度TCTおよび最大長さLCT,GLに達する。コーティング温度TCTは温度T0よりも高い。好ましくは、TCTは200℃を上回り、より好ましくは250℃を上回り、より好ましくは少なくとも300℃である。特定の好ましい実施態様において、TCTは少なくとも350℃、少なくとも400℃、またはさらには500℃までの高さである。特に、非常に好ましいコーティング法が、高いコーティング温度と関連することに留意すべきである。
【0042】
重要なことに、高められた温度では、ガラス基材の仮想温度の低下が生じることがあるので、ガラスは最初の長さよりも短くなる。ガラス基材の仮想温度のこの低下は、製造の間のガラスの熱履歴によって影響され得る。ガラスは一般にガラス原料を溶融することによって製造される。引き続き、ガラス溶融物を冷却させる。転移領域を急速に通って冷却されるガラスは比較的高い仮想温度および低い密度を有するので、転移領域をより低い冷却速度で通って冷却されるガラスに比して、再加熱に際する縮みの可能性がより高い。
【0043】
これに関し、ガラスの冷却状態をガラスの冷却の間の状況についての尺度として導入できる。慣例的に、溶融物から非常に急速に冷却された「急冷」ガラスは、高い冷却状態を有する。そのようなガラスにおけるイオンは、比較的無秩序な状態で「凍結」されている。つまりその際、溶融物からの急速な冷却により、そのガラスは高いエネルギーレベルで「凍結」されている。
【0044】
ガラスが高められた温度に再加熱されると、仮想温度の低下が生じ得る。仮想温度の低下の程度は、2つの異なる現象に依存する。第1に、比較的高い冷却状態を有するガラスは、他の条件が同一であれば、比較的低い冷却状態を有するガラスよりも強い仮想温度の低下を示す。第2に、高められた温度がガラスの徐冷点に近づくほど、ガラス基材の仮想温度がより低下する。ガラスの徐冷点は、その粘度が1013ポアズである温度である。そのような粘度で、ガラスは、破損することなく顕著な外部変形するにはまだ固すぎるが、微視的な流れによる内部歪みの急速な緩和のためには十分に柔らかく、従ってガラスの仮想温度の低下を可能にする。重要なことに、仮想温度の低下を引き起こすために、ガラスが実際に徐冷点に再加熱される必要はない。むしろ仮想温度の低下は、より遅い速度ではあるが、徐冷点より十分に低い温度で生じる。従って、高められた温度がガラスの徐冷点に近づくほど、仮想温度の低下は速くなる。その結果、同じ時間間隔で同じ温度に再加熱される場合、徐冷点が再加熱温度に近いガラスほど、仮想温度の低下は大きい。
【0045】
上記の第1の減少は、縮みの可能性として記載され得る熱力学的な現象である。転移領域を通じた急速な冷却は、高いエネルギーレベルでガラスが「凍結」されることをもたらし、該エネルギーレベルが再加熱の際に低下され得るので、仮想温度の比較的強い低下が生じ得る。他方で、第2の現象は動力学的な現象である。高められた温度がガラスの徐冷点に近づくほど、他の条件が同一であれば、より急速に、ひいてはより多く仮想温度が低下する。
【0046】
重要なことに、仮想温度の低下は、密度の上昇および長さの減少と関連する。従って、動作温度およびダイシング温度でのガラス基材の長さは、基礎をなす2つの異なる現象に依存する。一方で、特定の温度範囲内では、ガラス基材の長さが温度に依存し、温度が高いほどガラスの長さがより大きくなることは明らかである。例えば、ガラスのコーティング温度は動作温度またはダイシング温度よりも高いので、ガラスの長さは、動作温度またはダイシング温度では、コーティング温度に比して少ない。他方で、上述のように、仮想温度の低下に起因してガラス基材について推定されるさらなる長さの減少が、ガラス基材のさらにより短い長さをもたらす。
【0047】
本発明は、
【数11】
の差が比較的小さいことに関する。前記
【数12】
は、コーティング温度TCTに比した、動作温度TOTでの高屈折率材料(HRF)の相対的な長さの減少を示す。コーティング温度TCTは動作温度TOTよりも高い。その結果、TOTでの高屈折率材料の長さLOT,HRFは、TCTでの高屈折率材料の長さLCT,HRFよりも少ない。同じことがガラスにも該当する。ガラスの温度に伴う長さの変化は通常、温度TOTおよびTCTに関して、高屈折率材料に比してより強いので、
【数13】
の比は通常、
【数14】
の比よりも大きい。これは相互作用応力をもたらす。さらには、上記で詳述されたガラスの仮想温度の低下と関連するさらなる長さの減少に起因して、TOTでのガラス基材の長さは、より正確にはLOT,GL-LTS,GLによって記載され、ここでLTS,GLはコーティング温度TCTへの加熱に際する仮想温度の低下に起因するガラスのさらなる長さの減少を示す。特に、高められたコーティング温度で生じるこのさらなる長さの減少は、より低い温度、例えばT0、TOTまたはTDTで存在するままである。従って、さらなる長さの減少は、動作温度TOTでの、コーティング温度TCTに比した高屈折率材料の相対的な長さの減少と、ガラス基材の相対的な長さの減少との差を増加させるので、仮想温度の低下に起因するさらなる長さの減少は、相互作用応力の増加に寄与する。
【0048】
従って、相互作用応力を減少させるために、LTS,GLが小さいので
【数15】
の差も小さい場合が有利である。LTS,GLが大きいほどガラスの冷却状態が大きく、且つ上述のとおり、コーティング温度TCTがガラスの徐冷点により近くなる。従って、比較的低い冷却状態を有するガラス、および/または徐冷点が比較的高く、従って徐冷点とコーティング温度TCTとの差も大きいガラスを使用することにより、小さい差の
【数16】
を達成できる。特に、非常に好ましいコーティング方法は高いコーティング温度と関連するので、コーティング温度を低下することは原理的には他の選択肢であるが、しかしあまり好ましくない。
【0049】
本発明によれば、
【数17】
の差は0.05未満である。好ましくは
【数18】
の差は最大0.04、より好ましくは最大0.03、より好ましくは最大0.02、より好ましくは最大0.01、より好ましくは最大0.005、より好ましくは最大0.002、より好ましくは最大0.001、より好ましくは最大0.0005、より好ましくは最大0.0002、より好ましくは最大0.0001である。
【0050】
好ましくは、高屈折率材料は2~4.5、より好ましくは2.5~4の範囲の屈折率を有する。好ましくは、高屈折率材料は、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)、TiO2、ZrO2、Nb25、Ta25およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、高屈折率材料の屈折率は、低屈折率材料の屈折率よりも高い。
【0051】
好ましくは、低誘電率材料の屈折率は2未満である。より好ましくは、低誘電率材料の誘電率は1.4~1.5の範囲である。好ましくは、低誘電率材料はSiO2である。本発明によれば、「屈折率」との用語は特段記載されない限り屈折率ndに関する。
【0052】
好ましくは、ガラス基材の少なくとも片面上にNIRバンドパスコーティングをもたらす段階は、高屈折率材料をマグネトロンスパッタ法によって、または電子/熱蒸着法によって施与することを含む。マグネトロンスパッタ法がより好ましく、なぜなら、特に高い屈折率ゆえに有利であるa-Si:Hの堆積のために特に適しているからである。
【0053】
好ましくは、コーティング温度TCTは200℃~500℃、より好ましくは200℃~400℃、より好ましくは250℃~300℃の範囲である。
【0054】
動作温度TOTは、例えば、主に周囲の温度および動作方式に依存して、30℃~70℃、例えば30℃~50℃、または30℃~40℃の範囲であってよい。特に動作温度は一般に、例えば物体認識、特に顔認識のためにNIRバンドパスフィルタが使用されるデバイス、例えばスマートフォンによって生成される熱に起因して周囲の温度よりも高い。上述のとおり、温度T0は30℃未満である。好ましくは、温度T0は0℃より高い。
【0055】
好ましくは、本発明の方法は、段階c)の前または段階c)に引き続き、コーティングされたガラス基材をダイシングするさらなる段階を含み、ここで、コーティングされたガラス基材はT0≦TDT<TCTであるダイシング温度TDTで、ガラスが長さLDT,GL-LTS,GLを有し且つガラス基材と直接接触している高屈折率材料が長さLDT,HRFを有し、ここで
【数19】
の差は0.05未満であるという特性を有する。好ましくは
【数20】
の差は最大0.04、より好ましくは最大0.03、より好ましくは最大0.02、より好ましくは最大0.01、より好ましくは最大0.005、より好ましくは最大0.002、より好ましくは最大0.001、より好ましくは最大0.0005、より好ましくは最大0.0002、より好ましくは最大0.0001である。
【0056】
コーティング後のガラス基材をダイシングすることは合理的であり、なぜなら、より大きな表面へのコーティングの施与を可能にするので、より経済的であるからである。しかしながら上述のとおり、ダイシング温度TDTでの、コーティング温度TCTに比した高屈折率材料とガラス基材との相対的な長さの減少における差が相互作用応力をもたらし、そのことが製造工程の歩留まりを下げ、なぜならダイシング工程の間に破損の確率が上がるからである。従って、
【数21】
の差が小さいことが有利である。上記で
【数22】
の差について述べたとおり、比較的低い冷却状態を有するガラスおよび/または徐冷点が比較的高く、従って徐冷点とコーティング温度TCTとの差も大きいガラスを使用することにより、
【数23】
の小さな差も達成できる。
【0057】
ダイシングの間の非常に高い温度を避けるために、ダイシング工程は好ましくは水冷しながら行われる。好ましくは、ダイシング温度TDTは15℃~25℃、例えば21℃~25℃の範囲である。
【0058】
上述のとおり、本発明は、ガラス基材と、少なくとも1つのコーティングとを含む近赤外(NIR)バンドパスフィルタであって、前記ガラス基材が1500kPa/K未満であるスケール因子Iを有し、前記Iは式
【数24】
[前記式中、Eはヤング率であり、νはポアソン比であり、且つαは20℃~300℃の範囲での熱膨張係数(CTE)である]
によって定義され、且つ動作温度TOTでの前記ガラス基材の最大内部応力が300MPa未満である、前記フィルタにも関する。好ましくは、本発明のNIRバンドパスフィルタは上記で詳述された本発明の方法によって得ることができるか、または得られる。
【0059】
好ましいガラス組成、スケール因子I、およびパラメータのヤング率、ポアソン比および20℃~300℃の範囲のCTEに関しては、上記の記載が参照される。
【0060】
上述のとおり、相互作用応力はガラス基材の屈折率nに影響することがあり、なぜならガラスは光弾性材料であるからである。これは以下の式に要約され、前記式によれば、屈折率の変化は、内部応力σと応力光学係数(SOC)との積として計算できる。
【0061】
【数25】
【0062】
従って、光弾性効果からの影響を最小化する効率的な方法は、相互作用応力を低減することであり得る。本発明によれば、動作温度TOTでのガラス基材の最大内部応力は、300MPa未満、好ましくは250MPa未満、より好ましくは200MPa未満である。最大内部応力とは、ガラス基材の表面での、特にNTRコーティングと、特にこのコーティングの高屈折率材料と接触しているガラス基板の表面での内部応力を示し、なぜなら、これはσ(x)がその最大値を有する位置であるからである。最大内部応力は例えば、偏光応力計を用いて測定できる。上述のとおり、相互作用応力および最大内部応力の値は本発明によれば同一である。従って、最大内部応力は、ガラス基材およびコーティングの厚さ、ヤング率およびポアソン比、並びにガラス基材の間の相互作用応力によって誘導される曲げ半径が既知であれば、上記の式(1)に基づいて計算することもできる。
【0063】
好ましくは、ガラスは20~40(nm/cm)/MPa、より好ましくは20~35(nm/cm)/MPa、より好ましくは20~30(nm/cm)/MPa、より好ましくは20~25(nm/cm)/MPaの範囲であるSOCを有する。SOCは好ましくはASTM C770に準拠して測定される。
【0064】
好ましくは、NIRバンドパスフィルタは0.02mm~2mm、より好ましくは0.05mm~1mm、より好ましくは0.1mm~0.7mm、より好ましくは0.2mm~0.5mmの範囲の厚さdを有する。
【0065】
好ましくは、NIRバンドパスフィルタは、1×1mm2~100×100mm2、より好ましくは2×2mm2~10×10mm2、より好ましくは3×3mm2~5×5mm2の範囲、より好ましくは約4×4mm2の大きさを有する。
【0066】
上述のとおり、本発明のNIRバンドパスフィルタは比較的低い相互作用応力を特徴とする。これはまた、少ない歪みの達成を可能にするので有利である。
【0067】
好ましくは、NIRバンドパスフィルタは、NIRバンドパスフィルタの大きさ1mm2あたり0.02μm~2μm、より好ましくはNIRバンドパスフィルタの大きさ1mm2あたり0.05μm~1μm、より好ましくはNIRバンドパスフィルタの大きさ1mm2あたり0.1μm~0.5μmの範囲の相対歪みRWを有する。
【0068】
好ましくは、NIRバンドパスフィルタは1μm~50mm、より好ましくは2μm~10mm、より好ましくは5μm~1mm、より好ましくは10μm~100μmの範囲の絶対歪みAWを有する。
【0069】
好ましくは、入射角90°でのNIRバンドパスフィルタを通じた最大透過率(垂直透過)の波長は810nm~940nmの範囲である。それらの波長は物体認識の所望の用途のために特に有利である。
【0070】
本発明のNIRバンドパスフィルタの他の利点は、非常に低い角度シフトを有することである。従って、最高透過率の波長(最大透過率波長)は、光が90°から異なる入射角、例えば30°で入る場合、あまり大きくシフトしない。これは、種々の角度で入る光の検出を可能にするので有利である。好ましくは、入射角90°での最大透過率波長(垂直透過)と、入射角30°、より好ましくは30°未満、より好ましくは25°未満、より好ましくは20°未満、より好ましくは15°未満、より好ましくは10°未満での、最大透過率波長との差の絶対値は、1nm~50nmの範囲である。
【0071】
好ましくは、NIRバンドパスフィルタは、最大透過率波長で少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の全透過率を有する。「透過率」および「透過」との用語は、本発明によれば同義的に使用される。
【0072】
好ましくは、NIRバンドパスフィルタは、20%未満の全透過率を、最大透過率波長±150nm、より好ましくは±100nm、より好ましくは±75nm、より好ましくは±50nmの波長で有する。
【0073】
本発明は、本発明のNIRバンドパスフィルタの、例えば物体認識のための、特に顔認識のための赤外線センサにおける使用にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1図1は、種々の基材ガラスに基づいて得られた本発明のNIRバンドパスフィルタの全透過率を示す。図1Aは650nm~1200nmの範囲の透過率を示す。図1Bは少なくとも85%の透過率についてのそれぞれの透過率曲線を示す。
図2図2は、種々の例のNIRバンドパスフィルタについて、垂直透過および入射角30°での透過の比較を示す。
図3図3は、NIRフィルタがダイシング後に分類され得る「無損傷」(左)、「小さな欠け」(中央)、および「大きなクラック」(右)の分類のNIRフィルタの代表的な例を示す。
図4図4は、全体の片に対する無損傷の片の割合を、スケール因子Iの関数として示す。実線は実験データを示す一方で、点線は実験データにフィッティングされた関数を示す。
図5図5は、種々の例のNIRフィルタについてのボール・オン・リング破壊試験の結果を示す。特に、結果は試験の間の試料の向きに依存する。ガラス-ARはARコーティングされた側がプッシュピンに向いて面していることを示す一方で、ガラス-SiはSiO2/a-Si:Hコーティングされた側がプッシュピンに向いて面していることを示す。ARコーティングは反射防止コーティングを意味する。以下のとおり、左から右へと示される14の異なる試料の種類がある: ガラス#1-AR、ガラス#1-Si、ガラス#2-AR、ガラス#2-Si、ガラス#3-AR、ガラス#3-Si、ガラス#4-AR、ガラス#4-Si、ガラス#5-AR、ガラス#5-Si、ガラス#6-AR、ガラス#6-Si、ガラス#7-AR、ガラス#7-Si。
【実施例
【0075】
中心が940nmのNIRバンドパスフィルタを目的としたスパッタリング法について、7つの群のガラス(表1)を選択した。77×77mm2の大きさのガラス片を片側上でSiO2/a-Si:Hにより、合計厚さ5730nmでコーティングした。各々のガラス片の歪みをプラグゲージで測定し、その結果を表1に示す。歪みの程度は一般に、薄いガラスのCTEが大きいほど(この実験において使用されたコーティング材料はより小さなCTEを有するので)、大きな歪みを示す傾向に従う。好都合にも、製造者は通常、SiO2/a-Si:Hコーティングを2つに分けてガラスの両側をコーティングする。この方法により、両側での相互作用応力が釣り合うので、歪みが著しく低減され得るのだが、相互作用応力は除去されない。
【0076】
【表8】
【0077】
それらのガラスを次に、他の側の上でAR(反射防止)コーティングし、各々の群の透過を650nm~1200nmの範囲で測定した(図1)。全ての群は、当該範囲において同様の透過を示した。入射角30°での透過も測定し、図2に示すように10nm~20nmのシフトが観察された。
【0078】
77×77mmのガラス片を次に、7×7mm2の大きさを有する小さな片にダイシングして、各々の群についてダイシング工程の実現可能性を評価した。完全性に基づき、図3において左から右へとそれぞれ示されるように、試料を一般に「無損傷」、「小さな欠け」および「大きなクラック」に細分化できる。全ての片に対する無損傷の片の割合を、スケール因子I(式4によって定義)の関数としてプロットした(図4)。上述のとおり、同じコーティングの設定については、Iが大きいほど相互作用応力が大きい。図4は一般にIが大きいほど、無損傷の割合(つまり歩留まり)が小さいことを示す。その際、Iはダイシング工程の歩留まりに反比例することが容易に導出できる。
【0079】
また、それらの小さな片を、ボール・オン・リング試験で、ガラスを6mmの穴の上に設置し、直径1mmを有するピンによって1mm/分の速度で押すことによって試験した。破壊負荷を図5にまとめた。ガラス-ARはARコーティングされた側がプッシュピンに向いて面していることを示す一方で、ガラス-SiはSiO2/a-Si:Hコーティングされた側がプッシュピンに向いて面していることを示す。破壊負荷はガラスの特性の関数としての明確な傾向を示さなかった。しかしながら、図5が明らかに示すとおり、SiO2/a-Si:Hコーティングがリング(ガラス-AR試料)に面している場合、破壊負荷は著しく低下され、これは相互作用応力および表面欠陥に起因し得る。特に、SiO2/a-Si:Hコーティングとガラス基材との縮みが異なることに起因して生成される相互作用応力は、破壊負荷の低下についての主たる因子であったと考えられる。これは、相互作用応力がダイシングの歩留まりに及ぼす悪影響を実証する。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外(NIR)バンドパスフィルタの製造方法であって、以下の段階:
a) 温度T0で長さL0,GLを有し、且つ1500kPa/K未満のスケール因子Iを有するガラス基材を準備する段階であって、前記Iは式
【数1】
[前記式中、Eはヤング率であり、νはポアソン比であり、且つαは20℃~300℃の範囲での熱膨張係数(CTE)である]
によって定義される、前記段階、
b) 前記ガラス基材の少なくとも片側上で、高屈折率材料と低屈折率材料との交互の層を含むNIRバンドパスコーティングを、前記高屈折率材料が前記ガラス基材と直接接触し、且つ長さLCT,HRFを有するように堆積する段階であって、ここで、前記コーティングの堆積の間に前記ガラス基材が最高温度TCTおよび最大長さLCT,GLに達する、前記段階、
c) コーティングされたガラス基材を温度T0に冷却させる段階であって、前記T0は30℃未満であり、且つ前記ガラスはT0に達した際に長さL0,GL-LTS,GLを有し、前記LTS,GLは仮想温度の低下に起因する長さの減少を示す、前記段階
を含み、コーティングされたガラス基材が、以下の特性:
・ 前記ガラスは、段階c)に続いて動作温度TOTに加熱された際に長さLOT,GL-LTS,GLを有し、T0<TOT<TCTである、および
・ 前記ガラス基材と直接接触している高屈折率材料は温度TOTで長さLOT,HRFを有し、ここで、
【数2】
の差が0.05未満である、
を有する、前記製造方法。
【請求項2】
前記高屈折率材料が2~4.5の範囲の屈折率を有し、且つ/または前記低屈折率材料が1.4~1.5の範囲の屈折率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高屈折率材料が、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)、TiO2、ZrO2、Nb25、Ta25およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ガラス基材の少なくとも片側上でNIRバンドパスコーティングを備える段階が、前記高屈折率材料をマグネトロンスパッタ法によって施与することを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
CTが200℃~500℃の範囲である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
OTが30℃~70℃の範囲である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、段階c)の前または段階c)に引き続き、コーティングされたガラス基材をダイシングするさらなる段階を含み、ここで、コーティングされたガラス基材は、T0≦TDT<TCTであるダイシング温度TDTでガラスが長さLDT,GL-LTS,GLを有し、且つガラス基材と直接接触している高屈折率材料が長さLDT,HRFを有し、
【数3】
の差が0.05未満であるという特性を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ダイシング温度TDTが15℃~25℃の範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ガラス基材と、少なくとも1つのコーティングとを含む近赤外(NIR)バンドパスフィルタであって、前記ガラス基材が1500kPa/K未満であるスケール因子Iを有し、前記Iは式
【数4】
[前記式中、Eはヤング率であり、νはポアソン比であり、且つαは20℃~300℃の範囲での熱膨張係数(CTE)である]
によって定義され、且つ動作温度TOTでの前記ガラス基材の最大内部応力が300MPa未満である、前記フィルタ。
【請求項10】
前記NIRバンドパスフィルタが、0.02mm~2mmの範囲の厚さdを有する、請求項9に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項11】
前記NIRバンドパスフィルタが、1×1mm2~100×100mm2の範囲の大きさを有する、請求項9または10に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項12】
前記NIRバンドパスフィルタが、NIRバンドパスフィルタの大きさ1mm2あたり0.02μm~2μmの範囲の相対歪みRWを有する、請求項9から11までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項13】
前記NIRバンドパスフィルタが、1μm~50mmの範囲の絶対歪みAWを有する、請求項9から12までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項14】
入射角90°での前記NIRバンドパスフィルタを通じた最大透過率(垂直透過)の波長が、810nm~940nmの範囲である、請求項9から13までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項15】
入射角90°での最大透過率(垂直透過)波長と、入射角30°での最大透過率波長との差の絶対値が、1nm~50nmの範囲である、請求項9から14までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項16】
前記NIRバンドパスフィルタが、最大透過率波長で少なくとも80%の全透過率を有する、請求項9から15までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項17】
前記NIRバンドパスフィルタが、最大透過率波長±150nmの波長で20%未満の全透過率を有する、請求項9から16までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項18】
前記NIRコーティングが、屈折率2~4.5を有する高屈折率材料と、屈折率1.4~1.5を有する低屈折率材料との交互の層を含む、請求項9から17までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項19】
前記高屈折率材料が、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)、TiO2、ZrO2、Nb25、Ta25およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9から18までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項20】
前記動作温度TOTが30℃~70℃の範囲である、請求項9から19までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項21】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法によって得られる、請求項9から20までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ。
【請求項22】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表1】
【請求項23】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表2】
【請求項24】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表3】
【請求項25】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表4】
【請求項26】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表5】
【請求項27】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表6】
【請求項28】
前記ガラスが以下の成分を示された範囲(質量%)で有する、請求項9から21までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタ:
【表7】
【請求項29】
外線センサにおける請求項9から28までのいずれか1項に記載のNIRバンドパスフィルタの使用。
【請求項30】
物体認識のための、請求項29に記載のNIRバンドパスフィルタの使用。
【請求項31】
物体認識が顔認識である、請求項30に記載の使用。
【国際調査報告】