(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】骨髄アクセス装置及びその位置を特定する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61B10/02 110B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519727
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 US2019053920
(87)【国際公開番号】W WO2020076543
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519121094
【氏名又は名称】アパーチャー メディカル テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】リオ,ボブ
(57)【要約】
骨髄アクセス装置は、骨貫通部材及びキャップを含む。骨貫通部材は、管状挿入部、及び管状挿入部の基端に設けられた頭部を含む。頭部の断面形状は、管状挿入部の断面形状よりも広い。頭部には凹部が設けられており、頭部と管状挿入部とを貫いて内部通路が設けられている。キャップは、その中に骨貫通部材の頭部を収容する。キャップは、頭部の先端側の少なくとも一部を覆う下壁、及び頭部の凹部内に突出する突起を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄アクセス装置であって、
骨貫通部材、及び
キャップ、を備え、
前記骨貫通部材は、
管状挿入部、
前記管状挿入部の基端に設けられた頭部であって、前記頭部の断面形状が前記管状挿入部の断面形状よりも広い前記頭部、
前記頭部に設けられた凹部、及び
前記頭部及び前記管状挿入部を貫いて提供される内部通路、を備え、
前記キャップは、その中に前記骨貫通部材の頭部を収容するものであり、
前記キャップは、
前記頭部の先端側の少なくとも一部を覆う下壁、及び
前記頭部の前記凹部内に突出した突起、を備えている
骨髄アクセス装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記凹部は、前記頭部の全周に延在しており、
前記突起は、前記キャップの全周に延在している
装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記骨貫通部材の前記頭部は、前記頭部の先端にある底面、及び前記底面の周囲外側にあって前記底面に対して上方に凹んでいる段部、を備え、
前記凹部は、前記段部に設けられており、
前記キャップの前記下壁は、前記段部に取り付けられており、
前記突起は、前記下壁から前記凹部内に突出している
装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記段部は、前記頭部の全周に延在しており、
凹部は、前記頭部の全周にわたって延在しており、
突起は、前記下壁によって規定される全周にわたって延在している
装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記キャップは、さらに
前記骨貫通部材の前記頭部の基端側を覆う上壁、
前記骨貫通部材の前記頭部の周囲を覆う周壁、を備えている
装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記キャップの前記上壁は、自己修復隔壁を備えている
装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、前記キャップの前記上壁は、弁を備えている
装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記キャップは、前記下壁から先端側下方へ突出する突起を備える触覚フィードバック部材をさらに備えている
装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記骨貫通部材は、前記キャップとは別の構成要素であり、
前記骨貫通部材は、キャップと一緒に組み立てられて、前記骨髄アクセス装置を形成している
装置。
【請求項10】
骨髄アクセス装置であって、
骨貫通部材、及び
前記骨貫通部材に結合された触覚フィードバック部材、を備え、
前記骨貫通部材は、
管状挿入部、
前記管状挿入部の基端に設けられた頭部であって、前記頭部の断面形状が前記管状挿入部の断面形状よりも広い前記頭部、及び
前記頭部及び前記管状挿入部を貫いて提供される内部通路、を備え
前記触覚フィードバック部材は、前記骨貫通部材の前記頭部の先端側に設けられ、かつ前記骨貫通部材の前記頭部に対して先端側下方へ突出している
骨髄アクセス装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記骨貫通部材の前記頭部を収容するキャップをさらに備えており、
前記キャップは、前記頭部の先端側の少なくとも一部を覆う下壁を備えており、
触覚フィードバック部材は、前記下壁から先端側下方へ突出する突起を備えている
装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記突起は、前記キャップの前記下壁の底の全周の周りに連続的に延在している
装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置であって、前記触覚フィードバック部材は、前記キャップの前記下壁の底の周囲の周りに互いに間隔を空けて位置する複数の突起を備えている
装置。
【請求項14】
請求項11に記載の装置であって、前記触覚フィードバック部材の前記突起は、三角形の断面形状を有している
装置。
【請求項15】
請求項11記載の装置であって、前記骨貫通部材の前記頭部は、前記頭部の先端にある底面、及び前記底面の周囲外側にありかつ前記底面に対して上方に凹んだ段部を備え、
前記キャップの前記下壁は前記段部に取り付けられている
装置。
【請求項16】
請求項11に記載の装置であって、前記キャップは、さらに、
前記骨貫通部材の前記頭部の基端側を覆う上壁、及び
前記骨貫通部材の前記頭部の周囲を覆う周壁、を備えている
装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、前記キャップの前記上壁は、自己修復隔壁を備えている
装置。
【請求項18】
請求項16に記載の装置であって、前記キャップの前記上壁は、弁を備えている
装置。
【請求項19】
請求項11に記載の装置であって、前記骨貫通部材は、前記キャップとは別個の構成要素であり、
前記骨貫通部材は前記キャップと一緒に組み立てられて骨髄アクセス装置を形成している
装置。
【請求項20】
骨髄アクセス装置であって、
骨貫通部材であって、前記骨貫通部材の基端及び先端に開口部を有する内部通路を含む前記骨貫通部材、
位置特定部材、及び
前記位置特定部材が前記骨貫通部材に離れて近くに位置するように、前記位置特定部材を前記骨貫通部材に結合する結合構造、を備えている
骨髄アクセス装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、前記骨貫通部材の先端部分をその内部に収容するキャップをさらに備えている
装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置であって、結合構造は、前記位置特定部材を前記キャップに結合させている
装置。
【請求項23】
請求項21に記載の装置であって、前記位置特定部材は、前記キャップ及び前記骨貫通部材とは別個のものとして提供されるリングを備えている
装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置であって、前記結合構造は、前記キャップ及び前記リングに固定されたフィラメントを備えている
装置。
【請求項25】
請求項20に記載の装置であって、前記骨貫通部材の基部をその中に収容するキャップをさらに備えており、
前記キャップは、
前記骨貫通部材の前記基部に係合する骨貫通部材係合部、
前記骨貫通部材係合部の基部から近位に延びる延長部を備える前記結合構造、及び
前記延長部の基端に設けられる前記位置特定部材、を備えている
装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置であって、前記延長部は、前記骨貫通部材係合部の前記基部から上向きかつ外向きに延びる切頭円錐壁を備えており、
前記位置特定部材は環状であり、前記切頭円錐壁の基端に設けられている
装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、前記キャップは、前記骨貫通部材係合部の前記基部及び切頭円錐壁に結合されたリブをさらに備えている
装置。
【請求項28】
請求項26に記載の装置であって、前記骨貫通部材は、
管状挿入部、及び
前記管状挿入部の基端に設けられた頭部であって、前記頭部の断面形状が前記管状挿入部の断面形状よりも広い前記頭部、を備え、
前記内部通路は、前記頭部及び前記管状挿入部を通って提供され、
骨貫通部材係合部は、
前記骨貫通部材の前記頭部の基端側を覆う上壁、
前記骨貫通部材の前記頭部の周囲を覆う周壁、及び
前記頭部の先端側の少なくとも一部を覆う下壁、を備えている
装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置であって、前記切頭円錐壁は、前記上壁と前記周壁とが接する前記骨貫通部材の領域から延びている、
装置。
【請求項30】
請求項28に記載の装置であって、前記切頭円錐壁は、前記上壁の領域から延びており、該領域が前記上壁と前記周壁が接する前記骨貫通部材の領域に対して内側に位置している
装置。
【請求項31】
請求項26に記載の装置であって、前記切頭円錐壁の円錐角が20度から60度の範囲である
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、患者の骨髄への繰り返しのアクセスを提供できる骨髄アクセス装置、骨髄アクセス装置を取り付ける方法、及び取り付けられたときに骨髄アクセス装置の位置を特定する道具と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨髄は、血球を形成する主要な部位であり、誕生時には殆ど全ての骨の中に見られるが、思春期までに、主に躯幹骨(例えば、骨盤や大腿骨)の内部に位置するようになる。骨髄は、本明細書において骨髄腔と呼ぶ骨の内部に存在しており、最終的に赤血球、白血球及び血小板になる前駆幹細胞を含んでいる。
【0003】
骨髄穿刺や骨髄生検は、例えば白血病や他の血液疾患について骨髄を評価するために行われる一般的な試験である。骨髄腔から骨髄の標本採取を行うことにより、細胞数、細胞形状及び細胞の成熟度を判断できる。骨髄標本に特殊な病理学的染色を施して分子的に調べることで、確実な診断ができる。骨髄腔からの骨髄の標本採取は、患者の治療プログラム中に、経過を評価するために複数回行われる場合がある。
【0004】
従来、患者の骨髄にアクセスするためには、医師が骨髄にアクセスする必要が生じるたびに骨を穿刺しなければならない。これは患者にとって苦痛であると共に、医師及び医療資源にかなりの負担を強いる。骨を繰り返し穿刺する必要無しに、骨髄への繰り返しアクセスを可能にするため、治療過程中ずっと患者の皮下において骨の中に保持できる埋め込み可能な骨髄アクセス装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一実施の形態によれば、骨髄アクセス装置は、骨貫通部材とキャップとを含む。骨貫通部材は、管状挿入部と、管状挿入部の基端に設けられた頭部とを含み、頭部の断面形状は、管状挿入部の断面形状よりも広い。頭部には凹部が設けられており、内部通路が頭部と管状挿入部とを貫いて設けられている。キャップは、その中に骨貫通部材の頭部を収容する。キャップは、頭部の先端側の少なくとも一部を覆う下壁と、頭部の凹部内に突出した突起とを含む。
【0006】
別の実施の形態によれば、骨髄アクセス装置は、骨貫通部材と、骨貫通部材に結合された触覚フィードバック部材とを含む。骨貫通部材は、管状挿入部と、管状挿入部の基端に設けられた頭部とを含み、頭部の断面形状は、管状挿入部の断面形状よりも広く、頭部及び管状挿入部を貫いて内部通路が設けられている。触覚フィードバック部材は、骨貫通部材の頭部の先端側に設けられ、かつ骨貫通部材の頭部に対して先端側下方へ突出している。
【0007】
更なる実施の形態によれば、骨髄アクセス装置は、(i)骨貫通部材であって、骨貫通部材の基端及び先端に開口部を有する内部通路を含む骨貫通部材、(ii)位置特定部材、及び(iii)位置特定部材が骨貫通部材から離れて近くに位置するように、位置特定部材を骨貫通部材に結合する結合構造、を含む。
【0008】
以下の説明から理解されるように、実施形態の様々な態様は、互いに組み合わせたり、互いに別々に使用したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態による骨髄アクセス装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示された骨髄アクセス装置の正面図である。
【
図4】第1の実施の形態の骨貫通装置の骨貫通部材の正面図である。
【
図6】第1の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【
図7】第2の実施の形態による骨髄アクセス装置の斜視図である。
【
図8】
図7に示される骨髄アクセス装置の正面図である。
【
図10】
図7に示される骨髄アクセス装置の弁であって、開状態にある弁を示す断面図である。
【
図11】第2の実施の形態の変形例を示す断面図である。
【
図12】第3の実施の形態による骨髄アクセスの斜視分解図である。
【
図13】第3の実施の形態による骨髄アクセスの断面分解図である。
【
図14】第3の実施の形態の骨髄アクセスであって、組立状態にある骨髄アクセスを示す断面図である。
【
図15】第3の実施の形態による骨髄アクセス装置であって、位置特定手順の最中の取付状態にある骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図16A】第3の実施の形態による骨髄アクセス装置のキャップの正面図である。
【
図17A】第3の実施の形態による骨髄アクセス装置の別のキャップの正面図である。
【
図18A】第3の実施の形態による骨髄アクセス装置の別のキャップの正面図である。
【
図19A】第3の実施の形態による骨髄アクセス装置の別のキャップの正面図である。
【
図20】第3の実施の形態による骨髄アクセス装置であって、採取針挿入手順の最中の取付状態にある骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図21】第4の実施の形態の第1例による骨髄アクセスの斜視分解図である。
【
図22】第4の実施の形態の第1例による骨髄アクセスの断面分解図である。
【
図23】第4の実施の形態の第1例による骨髄アクセスであって、部分的に組立状態にある骨髄アクセスの断面図である。
【
図24】第4の実施の形態の第1例による骨髄アクセスであって、組立状態にある骨髄アクセスの断面図である。
【
図25】第4の実施の形態の第1例による骨髄アクセス装置であって、取付段階中の骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図26】第4の実施の形態の第1例による骨髄アクセス装置であって、位置特定手順の最中の取付状態にある骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図27】第4の実施の形態の第1例による骨髄アクセス装置であって、採取針挿入手順の最中の取付状態にある骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図28】第4の実施の形態の第2例による骨髄アクセスの斜視分解図である。
【
図29】第4の実施の形態の第2例による骨髄アクセスの断面分解図である。
【
図30】第4の実施の形態の第2例による骨髄アクセスであって、部分的に組立状態にある骨髄アクセスの断面図である。
【
図31】第4の実施の形態の第2例による骨髄アクセスであって、組立状態にある骨髄アクセスの断面図である。
【
図32】第4の実施の形態の第2例による骨髄アクセス装置であって、取付段階中の骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図33】第4の実施の形態の第2例による骨髄アクセス装置であって、位置特定手順の最中の取付状態にある骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図34】第4の実施の形態の第2例による骨髄アクセス装置であって、採取針挿入手順の最中の取付状態にある骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図35】第5の実施の形態による骨髄アクセスの斜視分解図である。
【
図36】第5の実施の形態による骨髄アクセスの断面分解図である。
【
図37】第5の実施の形態による骨髄アクセスであって、組立状態にある骨髄アクセスの断面図である。
【
図38】第5の実施の形態による骨髄アクセス装置であって、取付段階中の骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図39】第5の実施の形態による骨髄アクセス装置であって、位置特定手順の最中の取付状態にある骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図40】第5の実施の形態による骨髄アクセス装置の取り付けの効果を示す皮膚の図である。
【
図41】第5の実施の形態による骨髄アクセス装置であって、採取針挿入手順の最中の取付状態にある骨髄アクセス装置の断面図である。
【
図42】骨髄アクセス装置の位置特定に使用されるガイドクリップを有する超音波探針を示す図である。
【
図43】骨髄アクセス装置を示す超音波画像を表す図である。
【
図44】採取針を有する超音波探針を示す図である。
【
図45】骨髄採取手順の最中の採取針を有する超音波探針を示す図である。
【
図46】骨髄採取手順の最中の骨髄アクセス装置を示す超音波画像を表す図である。
【
図47】骨髄アクセス装置の位置特定に使用される照明器を示す図であって、照明器は袋内にあることを示す図である。
【
図48】骨髄アクセス装置の位置特定に使用される照明器を示す図であって、照明器を示すため、袋は透過的に示されている図である。
【
図49】骨髄アクセス装置の位置特定に使用される照明器であって、袋から取り出されており、かつ採取針クリップを有していない照明器の上面図である。
【
図50】骨髄アクセス装置の位置特定手順の最中の照明器を示す図である。
【
図51】骨髄アクセス装置の位置特定手順の最中の照明器を示す別の図である。
【
図52】骨髄アクセス装置の位置特定手順の最中の照明器を示す断面図である。
【
図53】骨髄採取手順の最中の照明器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明及び添付の図面において、同様な参照番号は、同一又は類似の要素を指す。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1から
図5は、本発明の第1の実施の形態による骨髄アクセス装置10を示し、
図6は、第1の実施の形態の変形例を示している。
図1から
図6に示されるように、骨髄アクセス装置10は、骨貫通部材12とキャップ14とを含む。骨貫通部材12は、皮質骨を横切って骨の内部に入り込むように構成されており、骨髄アクセス装置10の使用時に骨の内部の骨髄腔へのアクセスを可能にする。キャップ14は、骨貫通部材12を通しての骨髄腔へのアクセスを制御するように構成され、骨貫通部材12を部分的に覆っている。
【0012】
図1から
図6に示されるように、骨貫通部材12は、軸方向に延び、概略管状の挿入部16を含んでいる。骨貫通部材12はまた、管状部16の上端(基端)の頭部24を含んでいる(
図3から
図5参照)。頭部24は、挿入部16の断面形状よりも大きい(広い)断面形状(及び円形の場合には、より大きい径)を有している。頭部24は、骨貫通部材12の軸方向と直交する面内において、六角形の断面や円形の断面を有していてもよいし、四角、三角、六角星形等の他の断面形状を有していてもよい。骨髄アクセス装置10は、骨と関連して取り付けられることを意図している。ここで「骨と関連」の意味は、骨髄アクセス装置10の一部(例えば、骨貫通部材12の挿入部16)のみが骨の内部に位置し、他の部分(例えば、骨貫通部材12の頭部24)は、骨の上、上方、及び/又は外側に位置することである。本出願に述べられる他の骨髄アクセス装置は、同一の又は類似の方法で取り付けられる。
【0013】
図3から
図5に示されるように、頭部24は、挿入部16と隣接しそれを囲う底面(先端面)26と、底面16の周囲外側に位置してそれを囲う段部28とを有している。段部28は、頭部24の底面26に対して上方(基端側)へ凹んでおり、頭部24の外周面に窪みを与える。段部28は、また、段部28の底から上方(基端側)へ突出し、段部28全体の周りに延在する溝(凹部)56を有している(
図5参照)。頭部24の外側底部(先端部)の全体が底面26となり、溝56が、挿入部16と頭部24の底の外周縁との間に位置して底面26から上方へ突出するように、頭部24は、段部28を持たずに構成されてもよい。
【0014】
図1から
図3に示されるように、キャップ14は、骨貫通部材12の少なくとも一部、即ち
図3に示されるように少なくとも頭部24、を収容する大きさの内部空洞44を規定する一つ以上の壁で構成することができる。キャップ14は、頭部24の周囲外側に配置された周壁46を含んでいる。キャップ14が骨貫通部材12と動作可能に係合すると、周壁46は、骨貫通部材12の頭部24を完全に囲う。周壁46は、(骨髄アクセス装置10の軸と直交する面において)頭部24の外面と略同じ断面形状を有する内面を有している。キャップ14によって規定される内部空洞44は、キャップ14と骨貫通部材12とがぴったり合うサイズに作られている。例えば、骨髄アクセス装置10の軸と直交する面において、周壁46によって規定される領域は、頭部24の外周によって規定される領域よりもわずかに大きくてもよい。
【0015】
図2及び
図3に示されるように、第1の実施の形態において、キャップ14はまた、周壁46の上縁部に接続されかつ内側へ延びている上壁48と、周壁46の下縁部に接続されかつ内側へ延びている下壁又は下枠50とを含んでいる。キャップ14が骨貫通部材12と係合すると、上壁48の全部又は大部分は、骨貫通部材12の頭部24の上面の上方に位置し、下枠50の全部又は大部分は、段部28内に位置して、骨貫通部材12の頭部24の周縁部の下に位置する(
図3参照)。本実施の形態において、下枠50は、骨貫通部材12の全外周の周りに延在しており、段部28全体と係合している。下枠50は、下枠50の内側端側(内縁)に位置する突起54を含んでいる。突起54は、下枠50の内縁から上方(基端側)へ突出しており、キャップ14が頭部24と係合したときに溝56内に位置している(
図3参照)。本実施の形態において、突起54は骨貫通部材12の全外周の周りに延在しており、溝56全体と係合している。この構成により、キャップ14は、骨貫通部材12に確実に取り付けられる。
【0016】
段部28への下枠50の配置は、また、骨髄アクセス装置10が骨に取り付けられたとき、下枠50が骨貫通部材12の頭部24の一部と骨の表面との間に挟まれることを意味する。それによって、下枠50は、骨に対する緩衝効果を骨髄アクセス装置10に提供する。下枠50は、好ましくは圧縮可能な軟質エラストマーからなり、それによって、骨の表面に対する骨髄アクセス装置10の頭部24の衝撃を緩和する。
【0017】
骨髄アクセス装置10の取り付けと使用のための、骨貫通部材12へのキャップ14の確実な保持を提供するために、骨貫通部材12とキャップ14の様々な構造が考えられる。例えば、
図6に示されるように、溝56と突起54は、省かれてもよい。この場合、キャップ14Aは、段部28と下枠50との係合によって、及び上述したように骨貫通部材12の頭部24にキャップ14Aを取り付けることによって、骨貫通部材に固定される。加えて、上記のように、段部28は省かれてよく、溝56は頭部24の底面26から上方へ突出してよい。この場合、下枠50は、頭部24の底面26の全部又は一部と重なってよく、突起54は、下枠50から突出して、底面26から突出する溝56と係合してよい。この構成において、突起54は、下枠50の内縁でない部分、即ち、下枠50が周壁46に接している場合における下枠50の内縁と下枠50の外端との間のどこかから突出してよい。さらに、段部28と下枠50とは、それらが骨貫通部材を完全に囲う代わりに、骨貫通部材の周りに部分的にのみ延在するように構成されてもよい。段部28及び下枠50は、骨貫通部材12の周囲の周りに、いくつかの不連続のセグメントとして設けられてよい。同様に、溝56と突起54とは、骨貫通部材12を完全に囲う代わりに、骨貫通部材12の周りに部分的にのみ延在するように構成されてもよい。溝56と突起54は、骨貫通部材12の周囲の周りに、いくつかの不連続のセグメントとして設けられてもよい。溝56と突起54は、また、骨貫通部材12とキャップ14の別の位置に配置されてもよい。例えば、溝56は、骨貫通部材12の頭部24の外周面に設けられてよく、突起54は、キャップ14の周壁46から突出してよい。また、周壁46、上壁48及び/又は下枠50の代わりに、キャップ14を骨貫通部材12(骨貫通部材12の頭部24又は他の部分であるか否かに拘わらず)に固定するための他の構造が、本発明において用いられてよい。周壁46及び下枠50と同一又は類似の方法によって同一の機能を果たす代替固定構造は、本発明が属する技術分野の当業者によって容易に把握でき、本発明の範囲に含まれる。そのような全ての構造は、キャップを骨貫通部材に固定する固定手段という本明細書において使用される語句に含まれる。
【0018】
いくつかの実施の形態において、弁キャップ14の重要な一つの特徴は、少なくとも骨貫通部材12の頭部24の上方にある部分、即ち、上壁48の一部又は全部が、無傷性材料からなることである。好ましくは、無傷性として知られる軟質エラストマーを使用することができる。無傷性材料を使用することで、骨髄アクセス装置10が人体内に存在するとき、上方に位置する皮膚への損傷を防止できる。キャップ14全体を無傷性材料で形成してよい。無傷性材料の例示される特徴は、皮膚の爛れや劣化を防止し、皮膚と骨貫通部材12との間に緩衝層を提供する目的で、柔らかくて低デュロメータ硬さを有していることである。一方、好ましい実施の形態において、骨貫通部材12は、剛性生態的適合性材料からなる。適切な材料には、ステンレス鋼、チタン、ニチノール及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が含まれるが、これらに限られない。
【0019】
図1から
図5の実施の形態において、及び
図6に示される変形例において、キャップ14の上壁48は、自己修復する隔壁52を含むか又はそれによって形成されている。この構成を有する隔壁52は、自己修復膜又は自己修復隔壁52とも呼ばれる。この文脈における自己修復は、骨髄アクセス装置10が使用されている間に、隔壁52に採取針のような骨髄アクセス器具が刺し込まれ、採取が終わったときに取り除かれた後、隔壁52が採取針により形成された開口を閉じて、皮質層の内外への組織の流れを防止するシールを再形成することを意味する。隔壁52の自己修復特性は、隔壁52の中央に向かって径方向内側へ圧力が加わるようにキャップ14を構成することにより提供され又は強化される。自己修復隔壁52がキャップ14の上壁48に含まれる方法は、本明細書の開示に照らして、特に、好ましい実施の形態において、隔壁52と上壁48が同一の材料でできているので、本発明が属する技術分野の当業者によって容易に把握できる。
【0020】
本実施の形態において、骨髄アクセス装置10は、まず患者の骨に穴(ここでは、予穿孔穴又は下穴という)を空け、その後、予穿孔穴に骨髄アクセス装置10を手動でねじ込むことによって、取り付けられる。骨髄アクセス装置10を骨にねじ込むのを補助するため、骨髄アクセス装置10の外側(例えば、キャップ14の外側)を掴む道具を用いることができる。
図1から
図6に示されるように、骨貫通部材12の実質的に管状の挿入部16は、その外面20上に螺旋ねじ18を有している。螺旋ねじ18は、骨貫通部材12を回転させたとき、骨貫通部材12が皮質骨(下穴)に入り込こむようにする。即ち、螺旋ねじ18は、挿入部16が皮質骨にねじを切るか又はねじ込むことを可能にし、また、挿入部16の皮質骨内への確実な保持を提供する。それによって、骨髄装置10は、骨におけるその使用位置に確実に保持される。管状部16の底端(先端)において、挿入部16の外表面は、骨髄アクセス装置10の取り付けの最中に、皮質骨への切込みを助ける溝付き縁22を備えてもよい。溝付き縁22は、省いてもよい。挿入部16の外面20及び底端には、螺旋ねじ18及び/又は溝付き縁22に代えて、皮質骨への骨貫通部材12の挿入とそこでの保持を可能にするように機能する代替構造を設けてもよい。そのような代替構造は、本発明が属する技術分野の当業者に知られており、挿入部16が骨に挿入され、係合し、かつ保持されることを可能にするそのような構造の全てが、本明細書において使用される挿入及び保持手段という語句に含まれる。骨髄アクセス装置10の除去は、それがもはや必要でなくなったとき、手で又は骨髄アクセス装置10の外側(例えば、キャップ14の外側)を掴む道具を用いて、行うことができる。若しくは、隔壁52を通して道具を挿入し、骨貫通部材12の内部の座部と係合させて、その道具を用いて骨貫通部材12を緩めて骨から外すようにしてもよい。骨髄アクセス装置10に関しての道具の使用について、以下により詳細に述べる。本実施の形態において、道具は、その自己修復能力を超えて隔壁52を傷つける可能性があるので、その道具は、骨貫通部材12の(挿入ではなく)除去のためのみに、隔壁52を通して挿入されている間に使用されることが好ましい。骨髄アクセス装置10が除去されるとき、隔壁52の自己修復は問題ではない。
図3、
図5及び
図6に示されるように、内部通路30は、頭部24の上面にある開口32における内部通路30の基端34から、挿入部16の底にある開口36における内部通路30の先端38まで、骨貫通部材12を通して延びている。骨髄アクセス装置10が骨に挿入されかつ係合しているとき、通路30を通して、骨の骨髄腔から骨髄を取り出すことができる。骨髄腔からの骨髄の取り出しは、一般に、骨髄採取と言われる。骨髄アクセス装置10及びその内部通路30の他の用途は、当業者にとって明らかである。例えば、内部通路30を通して患者に流動体を送達することができる。流動体や化学療法薬などの薬剤の骨髄への送達については、アンワルル イスラム著、「シタラビンの骨髄内注射/投与による高齢患者における急性骨髄性白血病の導入治療:一事例の最初の報告」、臨床症例報告、2015、1026-1029頁(“Induction treatment of acute myeloid leukemia in an elderly patient with intramarrow injection/administration of cytarabine: first report of a case”, by Anwarul Islam, Clinical Case Reports, 2015, pages 1026-1029)に開示されている。加えて、ドクター バレリエ エー ロゼッティ等は、「骨内注入:小児血管内アクセスの代替ルート」、救急医療の年報、1985年9月、14:9(“Intraosseous Infusion: An Alternative Route of Pediatric Intravascular Access” by Dr. Valerie A. Rosetti et al., Annals of Emergency Medicine, 14:9 September 1985)において、小児の脛骨を介した骨内注入について説明している。
【0021】
内部通路30は、骨髄アクセス装置10を使用する際に骨髄採取を可能にする特定のサイズを有している。通路30は、大型針や他の標準的に使用される採取器具が挿入できるように、約2.0mmから約4.2mm(8~15G)の範囲の直径を有していればよい。通路30の寸法、即ちその長さ及び直径は、採取針を傾斜可能にして、繰り返し採取した後に骨髄腔の新たな領域に達することができるように選択される。したがって、針の傾斜角度は、針の直径、通路30の直径及び通路30の長さに依存する。一つの実施の形態において、通路30は、13Gのサイズを持つ針が通路の内部にあるとき、通路30の中心軸に対して全方向に約15度傾斜可能に寸法決めされ、それによって、総傾斜角度は約30度になる。別の実施の形態において、通路30は、15Gのサイズの針が各方向に約10度傾斜可能に寸法決めされ、それによって、総傾斜角度は約20度になる。15Gの針は、針吸引による細胞採取に使用でき、13Gの器具は、ワーム状組織試料を取り出すのに使用され、かつ、傾斜させることで、新たな採取領域の提供により役立つ。当然ながら、異なるサイズの針と通路30との様々な組合せに応じて、傾斜角度は変わる。骨髄アクセス装置10を使用する医師には、骨髄アクセス装置10の各サイズについて使用可能な針のサイズや傾斜可能角度を知らせればよい。加えて、他のサイズの針は、骨髄アクセス装置10の他の用途に適切であり得る。例えば、骨髄アクセス装置10が流動体の送達又は注入に使用されるならば、21~25Gの針が適切であり得る。
【0022】
骨貫通部材12の挿入部16の軸方向の長さは、頭部24が所定骨の表面上にあるときに、少なくともその骨の骨髄腔に達するように寸法決めされる。即ち、骨貫通部材12の挿入部16には、複数の異なる高さのものがあり、骨貫通部材12が取り付けられる骨、可能であれば患者の骨のサイズに基づいて、適切な高さが選択される。また、挿入部16の高さとねじ18の寸法とは、骨貫通部材12を骨に保持できるように選択される。
【0023】
例えば、骨髄アクセス装置10が、骨表面から骨髄腔までの距離が短い位置に取り付けられる場合、挿入部16は比較的低い高さを持ち得る。一例において、挿入部16の高さは約0.62インチであり、キャップ14の高さは約0.28インチであり、骨髄アクセス装置10の全体の高さは、約0.90インチである。別の例において、挿入部16の高さはせいぜい約0.52インチであり、キャップ14の高さは約0.28インチであり、骨髄アクセス装置10の全体の高さは、約0.80インチである。換言すると、骨髄アクセス装置10の全体の高さは、0.90インチ以下、又は0.80インチ以下であり得る。これらの例示的な寸法は、いかなる方法でも限定するものではなく、より薄い厚さの骨に対処するために、骨貫通部材12の挿入部16のより低い高さを提供する可能性を例示するためのものである。
【0024】
上述した実施の形態において、骨貫通部材12及びキャップ14は、別個の構成要素として形成され、骨髄アクセス装置10を使用するために安全な方法で互いに係合しているように示されている。この骨貫通部材12とキャップ14との係合は、骨髄アクセス装置10を購入者又はエンドユーザー(例えば、医師)に提供する以前に、製造段階で実施できる。したがって、骨髄アクセス装置10は、単一の統合されたユニットとしてユーザーに提供され得る。そのような実施の形態において、骨貫通部材12は、ユニットの骨貫通部分と見なされ得、キャップ14は、ユニットの被覆部分と見なされ得る。骨貫通部材12とキャップ14との接続は、下枠50が頭部24の段部28内に押し込まれかつ突起54が溝56内に押し込まれるまで、骨貫通部材12の頭部24を、下枠50によって規定される開口を通して、内部空洞46内に押し込むことによってなし得る。頭部24は、キャップ14によって規定される内部空洞44内にぴったりとはまる必要がある。本出願に記載された他の骨髄アクセス装置は、同一又は類似の方法で事前に組み立てられているか、又は組み立てられ得る。
【0025】
骨貫通部材12とキャップ14とが別個の要素としてエンドユーザーに提供されることも想定される。この場合、骨貫通部材は、骨貫通部材用の穴が事前に開けられているか否かに拘わらず、第2の実施の形態に関して以下に述べる道具を使用して骨に挿入(ねじ込み)することができる。一旦骨貫通部材12が骨に実質的に又は完全にねじ込まれると、キャップ14を骨貫通部材の頭部24上に位置させることができ、そのとき、突起54(存在する場合)を溝56(存在する場合)に係合させることができる。
【0026】
骨貫通部材12は、キャップ14がなくても使用可能である。換言すると、
図4及び
図5に示される骨貫通部材12は、キャップ14が無くても、それ自身で骨髄アクセス装置として使用できる。骨貫通部材がキャップ14無しで使用される場合、骨貫通部材12は、上述したように予穿孔を利用して、又は第2の実施の形態に関して以下に述べる道具を使用して、骨貫通部材12のための穴を事前に開けるか又は空けることなく、骨に取り付けることができる。キャップ14無しの骨貫通部材12の様々な使用は、本明細書の開示に照らして、本発明が属する技術分野の当業者によって容易に把握できる。このように、骨貫通部材12は、単独で、若しくはキャップ14と共に、又は他の装置と共に又はその内部で使用され得る。
【0027】
(第2の実施の形態)
図7から
図10は、本発明の第2の実施の形態による骨髄アクセス装置100を示し、
図11は、第2の実施の形態の変形例を示している。
図7から
図10に示されるように、骨髄アクセス装置100は、骨貫通部材120とキャップ140とを含む。
【0028】
骨貫通部材120は、骨貫通部材120の頭部124の内部空間(弁緩衝空間42)が、第1の実施の形態の骨貫通部材12の頭部24の対応する空間よりも深いことを除いて、第1の実施の形態の骨貫通部材12と実質的に同じである。加えて、骨貫通部材120において、内部通路30の一部は、頭部124の上面の下方に位置する座部40として形成されている(
図9参照)。座部40は、以下においてより詳細に説明するように、一つ以上の道具と協働して、骨貫通部材120を骨にねじ込むことができかつ骨から骨髄アクセス装置10を取り外すことが容易にできるように設計されている。座部40はまた、第1の実施の形態に存在してもよく(
図3、
図5、及び
図6参照)、例えば、骨貫通部材がキャップ14無しで単独で使用される場合に、骨貫通部材12を骨に取り付けるために使用されてよく、及び/又は骨髄アクセス装置の使用が完了した後に骨貫通部材12を除去するために使用されてもよい。
【0029】
キャップ140は、三つの顕著な例外を除いて、第1の実施の形態のキャップ14と実質的に同じ特徴を有する。第1に、上壁48は、第1の実施の形態の隔壁52の代わりに、骨貫通部材120の真上に位置する弁60を含んでいる。したがって、キャップ140は、弁キャップと呼ばれ得る。第2に、キャップ140は、その底面に突起64を有している。第3に、キャップ140は、第1の実施の形態のキャップ14よりも背高であってよい。
【0030】
第1及び第2の実施の形態の様々な態様は、互いに組み合わせるか、又は互いに代えて使用することができる。例えば、
図9に示されるように、骨貫通部材の頭部124は、
図3に示される溝56ではなく段部28を有しており、第2の実施の形態におけるキャップ140は、
図3に示される第1の実施の形態の突起54ではなく下枠50を有している。即ち、頭部124の底は、
図6に示される頭部24の底とその形状が対応している。しかしながら、第2の実施の形態の頭部124は、
図3に示される第1の実施の形態の溝56を含んでいてもよく、第2の実施の形態のキャップ140は、
図3に示される突起54を含んでいてもよい。溝56と突起54とは、第1の実施の形態における方法と同じ方法で、骨貫通部材120にキャップ140をさらにしっかり固定するように、互いに係合することができる。加えて、第2の実施の形態のキャップ140の突起64は、第1の実施の形態のキャップ14と共に使用することができる。
【0031】
図7、
図8、及び
図10に示されるように、弁60は、通路30へのアクセスを制御する開口部62を有している。即ち、閉状態にある弁60は、骨への及び骨からの細胞の流れを許容せず、それによって、例えば、骨髄アクセス装置100からの骨髄の漏れを防ぐ。弁開口部62は、初期状態において閉じており、骨貫通部材120の通路30を閉じて、骨髄アクセス装置100への及びからの物質の流れを防止する。弁開口部62は、例えば、採取針を弁開口部62を通して通路30に挿入することによって、開状態(
図10参照)に開くことができる。
【0032】
弁60は、弁開口部62を開状態と閉状態の間で繰り返し切り替え可能とする構成を有している。例えば、弁60は、
図7に示されるような単一スリット弁であってもよいし、あるいは、交差又は十字スリット弁であってもよい。そのようなスリット弁は、初期の閉状態において互いに接しており、開口を形成するために互いに引き離され得る小片を有する。例えば、通路30に挿入され、通路30を通して骨の骨髄腔に導入された採取針によって互いに引き離されると、小片は、骨髄アクセス装置100が使用される間、通路30の内側へ押され、骨貫通部材120の頭部124内の弁緩衝空間42に収容される。
【0033】
図7に示されるようなスリット弁の代わりに、弁60はダックビル弁であってもよい。また、
図7に示されるように、キャップ140は、単一弁のみを含んでいるが、キャップ140は、一つ以上のバルブを含むことができる。一般に、弁60は、完全性を失うことなく又はその破片を散らすことなく、開口部62の開閉を繰り返せるように設計される。弁60がキャップ140の上壁48に含まれる方法は、本明細書の開示に照らして、特に、好ましい実施の形態において、弁60とキャップ140の上壁48とが同一の材料からなるので、本発明が属する技術分野の当業者によって容易に把握できる。
【0034】
図11に示される第2の実施の形態の変形例において、弁60Aは、上壁48以外のキャップ140Aの一部に配置され得ることも想定される。例えば、
図11に示されるように、弁60Aは、骨貫通部材120の通路30内に入り込むように(又は入った所に)配置され得る。
【0035】
弁60(又は60A)は、一般に、通路30へのアクセスを制御するアクセス制御部品の代表的なものである。本明細書に記載される弁60と同一の機能を発揮する別のアクセス制御部品が、弁60に代えて使用されてもよい。弁60と同一の又は類似の方法によって同じ機能を発揮するそのような代替アクセス制御構造及び細胞流動防止構造は、本発明が属する技術分野の当業者によって容易に把握でき、かつ本発明の範囲内にある。本明細書において使用される(通路30へのアクセスを制御するための)アクセス制御手段という語句には、弁及びそのような全ての同等なアクセス制御部品が含まれる。
【0036】
図9に示すように、骨髄アクセス装置100において、内部通路30の一部は、頭部124の上面の下方に位置する座部40として形成されている。座部40は、一つ以上の道具との協働により、骨貫通部材120を骨にねじ込むことができ、かつ骨髄アクセス装置100を骨から容易に取り外すことができるように設計されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2018/067255参照。座部40は、道具が骨貫通部材120の座部40と嵌合したときに、その道具を回転させることで骨貫通部材120を回転させることができる、特定の形状又は構造を有していればよい。例えば、座部40は、道具のフランジの六角形に対応する多角形、例えば六角形とすることができる。
【0037】
取り付けの前に(一般に、しかし必ずではないが、製造段階において)、骨貫通部材120とキャップ140とは、第1の実施の形態に関して上述したように、骨髄アクセス装置100を構成するように組み立てられる。骨髄アクセス装置100を取り付けるために、デリバリ道具(WO2018/067255参照)が、弁60の開口部62を通して挿入され、骨髄アクセス装置100の座部40と嵌合される。骨髄アクセス装置100が取り付けられたデリバリ道具は、患者の皮膚の切開部を通して案内され、骨貫通部材120の挿入部16を、骨に開けられた下穴に挿入する。下穴を使用する代わりに、デリバリ道具と骨髄アクセス装置100とが、セルフタッピング挿入を行えるよう構成され得る。骨貫通部材120の骨への挿入は、骨貫通部材120の挿入部16の外面20上のねじ18によって補助される。下穴が使用される場合、ねじ18は、下穴を規定している骨皮質の表面を把持する。道具を回転させると、骨貫通部材120がさらに骨に挿入される。道具の回転は、骨皮質を通る骨髄腔内への通路が完成し、キャップ140の下枠50の下面が骨の表面上に載るまで続けられる。骨髄アクセス開口100が取り付けられた後、道具を上方へ移動させて、骨髄アクセス装置100との係合を解除し、弁60の開口部62を通してその道具を取り去ると、開口部62が閉じる。装置100の上の組織は、その後、外科的に閉じられる。なお、骨髄アクセス装置100を取り付けるために、接着剤やその他の粘着材は必要ではない。一旦骨髄アクセス装置100が骨に関して取り付けられると、それは、使用される器具に応じて生検であろうと吸引であろうと採取が望まれるときはいつでも、骨髄の採取に使用できる。
【0038】
骨髄アクセス装置の取り付けは、WO2018/067525に詳細に記載されている。WO2018/067525において論じられている骨髄アクセス装置が骨髄アクセス装置100(及び/又は、本出願に記載されたような他の骨髄アクセス装置)と異なる場合、当業者は、WO2018/067525において論じられている技術を本出願で述べられている骨髄アクセス装置に適合させる方法を理解するであろう。
【0039】
上述したように、取り付け中に、デリバリ道具は、弁60の開口部62を通して挿入され、骨髄アクセス装置100の座部40と嵌合する。弁60の小片は、道具によって内側(先端側)に押され、骨貫通部材120の頭部124内の弁緩衝空間42に収容される(
図10参照、開状態における弁小片の位置を示している)。小片を収容するため、弁緩衝空間42は、第1の実施の形態の骨貫通部材12内の対応する空間よりも大きい。例えば、弁キャップ140と共に使用される骨貫通部材120用の弁緩衝空間42は、キャップ14(弁を欠く)と共に使用される骨貫通部材12における対応する空間よりも、約0.08インチ深い。より大きい弁緩衝空間42は、道具を座部40と係合させた後、弁60の小片が基端側へスナップバックして、道具を押し付けて保持することを可能にする。道具に対する弁60の小片の圧力は、道具が骨貫通部材120を骨にねじ込む間を含め、道具を座部40と係合させ続けるのを助ける。
【0040】
弁緩衝空間42の寸法は、弁60及びその小片のパラメータ、並びに座部40及び座部40と共に使用される道具の寸法に基づいて決定することができる。本実施の形態において、例えば、弁緩衝空間42のせいで、キャップ140の高さは約0.34インチ(これは第1の実施の形態のキャップ14よりも高い)である。骨貫通部材120の挿入部16は、例えば、約0.63インチの長さを有し、骨髄アクセス装置100に約0.97インチの全高を与える。約0.52インチ又は0.62インチの高さを持つ挿入部16も使用することができる。
【0041】
骨への骨髄アクセス装置100の取り付けを改善するために、突起64は、下枠50(下枠50は、周壁46の下のキャップ140の部分を含む)の下において、キャップ140の下面から通路30の先端に向かって下方へ延びている。突起64は、キャップ140の全周囲の周りに延在してもよいし、又はキャップ140の周囲の周りに部分的にのみ延在してもよい。突起64は、
図9に示されるように、下枠50の一部のみの下に提供されてもよいし、又は下枠50(下枠50は、周壁46の下のキャップ140の部分を含む)の全て又は実質的に全てにわたって提供されるようにより広くてもよい。また、単一の突起64の代わりに、突起64の複数の円周方向のセグメントを、それらの間にスペースを置いて設けてもよい。
【0042】
突起64は、実質的に三角形の断面を有する(
図9参照)。突起64の三角形の形状は、突起64が骨に係合するにつれて、突起64は骨髄アクセス装置100の挿入に対する抵抗を増加させるので、骨髄アクセス装置100の取付者に、骨髄アクセス装置100の適切な取り付けに関する感覚的な指標(触覚フィードバック)を与える。したがって、突起64は、本明細書において、触覚フィードバック部材と呼ばれ得る。特に、骨髄アクセス装置100を取り付けている間、骨貫通部材120は、骨貫通部材120と係合した挿入道具を回転させることによって骨にねじ込まれ、三角形の突起64の先端は、最終的に骨の表面に接触する。この時点の後、挿入道具の回転を継続すると、突起64のより多くの原料が圧縮され、挿入道具の継続的な回転と骨髄アクセス開口100の更なる挿入がより困難になる。この困難さは、骨髄アクセス開口100が骨に適切に取り付けられていることを示している。
【0043】
骨髄アクセス装置100の取付者に、適切な取付状態に近づきつつあること及びその後到達したことを知らせるために、触覚フィードバック部材は、三角形の突起64の代わりに、キャップ140の平坦な下面よりも、より触覚フィードバックを提供するため、骨髄アクセス装置100の取り付けの最中にエネルギーを方向付けるのに役立つ代替の形状を備え得る。こうして、取付者は、挿入道具の回転を停止し、骨髄アクセス開口100が骨に適切に取り付けられていると見なすことができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
図12から
図20は、本発明の第3の実施の形態による骨髄アクセス装置200を示している。
図12から
図14に示されるように、骨髄アクセス装置200は、骨貫通部材220とキャップ240とを含んでいる。
【0045】
骨貫通部材220は、第1の実施の形態の骨貫通部材12に実質的に対応している。
図13及び
図14に示されるように、第1の実施の形態の骨貫通部材12とは異なり、骨貫通部材220は、第2の実施の形態に関して上述した弁緩衝空間42及び座部40を含んでいる。弁緩衝空間42及び座部40は、説明を目的として(第1の実施の形態の態様と組み合わされている第2の実施の形態の態様を説明するために)のみ示され、省略され得る。すなわち、骨貫通部材220は、第1の実施の形態の骨貫通部材12と同一であり得る。骨貫通部材220は、第2の実施の形態の骨貫通部材120の構成等、他の構成(骨貫通部材に適合するように適切に修正されているキャップ240を有する)を有し得る。
【0046】
キャップ240が、キャップ14に対応する構造の上部から延びる延長部66を含むという点で、キャップ240は、第1の実施の形態のキャップ14と異なっている。延長部66は、ユーザー(例えば、医師)が皮膚の下の骨髄アクセス装置200を位置特定するのを支援する(
図15参照)。延長部66を備えるキャップ240は、第1の実施の形態のキャップ14の上面と皮膚との間の間隔が約2.0cmよりも大きい場合に特に有用である。この深さで、キャップ14の触感は減少する。その結果、キャップ14は容易に触知できず、例えば骨髄を採取するためにそれを探すときにキャップ14の位置を特定することは困難である。(ただし、
図42から
図53に関して以下に説明するように、触れる以外の方法で骨髄アクセス装置の位置を特定する方法は存在する。)
【0047】
延長部66は、通常、(触知、即ち、触れることによる位置特定と、少なくともいくつかの状況下における視覚的位置特定とを可能にする)位置特定部材68と、位置特定部材68をキャップ240の周壁46、上壁48及び下壁又は枠50の一つ以上に結合する結合構造70とを含んでいる。これらのキャップ240の壁46、48、及び50(第1の実施の形態のキャップ14における符号と同一の符号で示された部分と同一の構造を有している)の組合せは、キャップ240の骨貫通部材係合部72と呼ばれる。本実施の形態は、第1の実施の形態のキャップ14の構造に追加で備えられた延長部66について説明するが、延長部66は、第2の実施の形態のキャップ140(弁キャップ)の構造に追加で設けることもできる。延長部66はまた、第1の実施の形態の特徴(例えば突起54)と第2の実施の形態の特徴(例えば弁60及び/又は突起64)とを組み合わせた構成を含む、第1及び第2の実施の形態のキャップの変形例と組み合わせて使用することができる。
【0048】
一般に、位置特定部材68は、骨貫通部材係合部72の上方に位置し、骨貫通部材係合部72よりも皮膚に近い構造を提供する。位置特定部材68は、骨貫通部材係合部72に対して位置固定され、隔壁52(又は弁60)の位置特定を容易にできるようにする。延長部66が弁キャップ140と共に使用される場合、例えば、弁60を位置特定部材68の略中心に位置合わせすることができ、その結果、位置特定部材68の中心を位置特定することによって、弁60の中心を認識することができる。隔壁52は、略どこでも貫くことができるので、その中心を位置特定することはそれほど重要ではない。
【0049】
位置特定部材68は、
図12にリングとして示されているが、環状構造の他の形状も想定される。リングは、様々な熱可塑性プラスチックや軟質ポリマーなど、硬質又は軟質の材料で作られてよい。本明細書において使用される環状とは、位置特定部材68が、内部開口部を有する閉じた構造であることを意味し、閉じた構造の形状は、図示されるような円形の構造に限定されず、楕円などの他の閉じた構造を含むものである。
【0050】
結合構造70は、異なる構成を有し得る。
図12から
図15において、結合構造70は、骨貫通部材係合部72の上面の外縁から(周壁46と上壁48とが接する部位から)上方かつ外側に延びる切頭円錐壁74である。円錐壁74が骨貫通部材係合部72から延びている位置は、本発明にとって重要ではなく、周壁48と上壁50とが接する部位とは異なっていてよい(以下に説明される
図16Aから
図19B参照)。この実施の形態において、位置特定部材68、結合構造70及び骨貫通部材係合部72は、一体構造を有している。これは、位置特定部材68、結合構造70及び骨貫通部材係合部72が、単一ユニット又は単一部品として形成されていることを意味する。延長部66は、この単一構造の延長部分であると見なせる。単一の延長部及び骨貫通部材係合部は、コーンキャップと呼ばれることがある。延長部66は、その全体を、骨貫通部材係合部72と実質的に同一の軟質ポリマー又はエラストマーで作製することができる。例えば、延長部66は、シリコーン製又はポリウレタン製であってよい。本明細書の開示に照らして、本発明が属する技術分野の当業者によって容易に決定できるように、他の材料を使用することができる。これに関連して、結合構造70は、骨髄アクセス装置200が取り付けられている患者が、その上に寄りかかった場合に負傷するのを防ぐために、皮膚の下において固いものであってはならず、位置特定部材68は、容易に位置特定できかつ把持できるように、しっかりしている必要がある。それゆえ、位置特定部材68と結合構造70とは、異なる材料で作ってもよい。
【0051】
したがって、切頭円錐壁74は、柔らかい材料から製造されてよい。切頭円錐壁74のデュロメータ硬さは、様々な特性を考慮して選択される。第1に、切頭円錐壁74は、骨髄アクセス装置200が取り付けられている患者がその上に寄りかかった場合に傷つけてしまうかもしれないので、過度に硬いものであってはならない。換言すると、切頭円錐壁74は、患者がその上に寄りかかった場合に、折りたためることが好ましい。他方、切頭円錐壁74は、骨髄アクセス装置200を使用して骨髄を採取するときに、医師が採取針を挿入することができる安定した導管を形成できなければならないので、柔らかすぎてはならない。また、切頭円錐壁74は、好ましくは、採取針によって容易に穿刺されるほど柔らかいものであってはならない。切頭円錐壁74のために様々な範囲のデュロメータ硬さが可能であり、例えば、5から約50ショアA、約20から約70ショアA、約40から約70ショアAが可能である。当業者は、本明細書に開示される要件に基づいて、切頭円錐壁74の適切なデュロメータ硬さを決定することができる。一般に、切頭円錐壁74を含む結合構造70の材料は、半径方向の特性において、しなやかでかつ柔らかくなければならないが、軸方向の特性においては、ある程度硬くなければならない。この軸方向又は縦の強度は、位置特定手順の最中に一つ又は複数の指によって押し下げられたときに延長部66がつぶれるのを防ぎ、それによって触覚の手ごたえを与える。好ましいデュロメータ硬さは、約30ショアAから約50ショアAであり、それは柔らかくて硬い結合構造70を提供する。
【0052】
円錐壁74の内面の迎え角は、好ましくは、骨髄採取の最中に針を先端側へと進めているとき、円錐壁74から針に削られる材料の発生を最小限にするように、十分に急な勾配になるように設計される。(迎え角は、切頭円錐壁74の円錐角に関連して本明細書に記載されている。)採取中、医師は、切頭円錐壁74を押しつぶして導管を形成することができ、位置特定部材68を通り隔壁52(又は弁60)に至る直線経路を決定することができる。迎え角(円錐角)が小さいほど、針に適した導管を形成するために押しつぶす必要がなくなる。延長部66における切頭円錐壁74のために、約20度から60度の間の任意の円錐角を与えることができる。約20度から約30度の範囲において、採取針が結合構造70から材料を削らないことが分かった。切頭円錐壁74の高さもまた、異なる患者の骨と皮膚との間の様々な距離に対応するために変更可能である。
【0053】
また、付加的な縦の強度を与えるために、一つ以上のリブ等の強化構造を延長部に含ませてもよい。したがって、切頭円錐壁の異なる円錐角や、切頭円錐壁の異なる高さを備え、かつ切頭円錐壁に縦強度を与えるリブを備えるか又は備えない、様々なキャップ240が想定される。
図16Aから
図19Bは、
図12から
図15に示されるキャップ240の構造のそのような様々な例を示す。これに関連して、リブを備えるキャップ240は、リブがキャップ240に追加の強度を与えるので、リブを備えていないキャップ240よりも柔らかい材料で形成され得ることが想定される。
【0054】
図16A及び
図16Bは、単一又は一体構造を有する延長部66Aと骨貫通部材係合部72とを有するキャップ240を示しており、それにおいて、延長部66Aの切頭円錐壁74Aは、比較的短く(約1インチの高さ)、かつ上壁48の外縁の内側の部位から上方かつ外側へ延びている。この部位は、(弁60及び弁開口部62が存在する場合に)弁開口部62を塞ぐことなく、弁60のすぐ外側にあってもよい。延長部66Aはリブを含んでおらず、その円錐角76Aは約50度である。
【0055】
図17A、
図17B及び
図17Cは、延長部66Bと骨貫通部材係合部72とを含み、また単一構造を有するキャップ240を示している。延長部66Bは、リブ78Bを備えかつ約50度の円錐角76Bを有する低背切頭円錐壁74B(高さ約1インチ)を有している。この実施の形態において、切頭円錐壁74Bの周囲の周りには、等角に間隔を置いた、即ち90度間隔で間隔を置いた四つのリブ78Bがある。より少ない又は追加のリブを備えてもよく、リブ間の角度間隔は任意に決定してよい。また、
図17Cは、下枠50から延び、かつ骨貫通部材係合部72の内側の周りに円周方向に延在する突起54を含むキャップ240の内部図を提供する。この例において、延長部66Bは、骨貫通部材係合部72の上壁48の部位から延びており、その部位は、周壁46が上壁48と接している部位に対して上壁48の内側にある。
【0056】
図18A及び
図18Bは、単一構造を有する延長部66C及び骨貫通部材係合部72を示している。延長部66Cは、リブのない、約30度の円錐角76Cを有する背高切頭円錐壁74C(高さ約1.5インチ)を有している。
【0057】
図19A及び
図19Bは、単一構造を有する延長部66D及び骨貫通部材係合部72を示している。延長部66Dは、四つの等角間隔のリブ78Dを備え、かつ約30度の円錐角76Dを有する背高円錐壁74D(高さ約1.5インチ)を含んでいる。この例において、延長部66Dは、骨貫通部材係合部72の上壁48の部位から延びており、その部位は、周壁46が上壁48と接する部位に対して上壁48の内側にある。
【0058】
骨髄アクセス装置200の取り付け(及び最終的除去)は、(キャップ240が第1の実施の形態のように隔壁52を含むか、又は第2の実施の形態のように弁60を含むかに応じて)第1の実施の形態又は第2の実施の形態に関して上述したのと同じ方法で実行される。一旦骨髄アクセス装置200が取り付けられ、装置上の組織が閉じられると、延長部66は、皮膚の下の骨髄アクセス装置の位置特定を助ける。延長部66無しで第1及び第2の実施の形態を使用する場合、医師(例えば、外科医)は、キャップ14又は140を触って確かめるため、骨髄アクセス装置の大体知られている領域の皮膚を押さなければならない。これは、キャップ14又は140が患者の皮膚から約2cm以上離れていると、困難な場合がある。したがって、延長部66(又は66A、66B、66C、66D)を備えることにより、医師がキャップ240の位置を直接特定するのではなく、位置特定部材68の位置を特定し、それによって位置特定部材68をその一部とする装置の位置を特定できるようにすることで、キャップ240の位置特定が著しく容易になる。
【0059】
具体的には、骨髄の採取のたびに、医師は位置特定部材68の位置を探す。これは、骨髄アクセス装置200が配置されている既知の領域において(位置特定部材68の中心を示す)窪みを単純に探すこと、及び/又は位置特定部材68によって生成されたクレーターなどの不整を触って知るために、骨髄アクセス装置200が配置されている既知の領域において皮膚を押すことを含み得る(
図15参照)。それから、医師は、位置特定部材68の対向する縁を押しつぶして、採取針80(
図20参照)又は他の器具を隔壁52(又は弁60)に通すことができる導管84を形成する。骨髄採取を行うために、医師は、採取針80を、皮膚82を通し、延長部66によって形成された導管84を通し、隔壁52を通して通路30に挿入し、それから骨8の骨髄腔2に挿入する(又は弁60の開口部62を通して、通路30に挿入し、それから骨8の骨髄腔2に挿入する)。
図20参照。
【0060】
代替のキャップ位置特定手順として、医師は、位置特定部材68の位置を特定した後、目標領域の中心、例えば、位置特定部材68の中心に気付き、その中心に外科用マーカーで印をつけることができる。次に、医師は、採取針80の先端を皮膚の印の上に置き、皮膚82を通して隔壁52(又は弁60)に達するまで、できるだけ垂直に針を押す。
【0061】
使用される選択された採取針80、又は別のタイプの器具は、通路30に適合するサイズ(ゲージ)を有するものである。採取針80又は他の器具の骨髄腔への差込深さもまた、医師によって変更可能である。真っ直ぐな採取針80が選択される場合、採取針80を傾けて、骨髄のために骨髄腔の新たな領域を採取することができる。真っ直ぐな採取針及び代替の曲がった採取針の使用に関する付加的な詳細は、WO2018/067525に記載されている。使用される採取針のタイプに関係なく、採取が完了した後、針80は通路30から取り出され、隔壁52(又は弁60)及び皮膚を通って引き抜かれる。隔壁52は、針が取り去られると(又は弁60がその開口部62を閉じると)自己修復し、それにより、骨髄腔2に出入りする物質の流れを防止する。
【0062】
(第4の実施の形態)
図21から
図34は、本発明の第4の実施の形態による骨髄アクセス装置300A及び300Bを示している。
図21から
図27は、第4の実施の形態の第1例による骨髄アクセス装置300Aを示し、
図28から
図34は、第4の実施の形態の第2例による骨髄アクセス装置を示す。
【0063】
第3の実施の形態の骨髄アクセス装置200が二つの部品のみから組み立てられ又は構成されているのに対して、骨髄アクセス装置300A及び300Bは三つの部品から組み立てられ又は構成されているという点を除いて、第4の実施の形態の骨髄アクセス装置300A及び300Bは、第3の実施の形態の骨髄アクセス装置200と同様である。
【0064】
図21から
図27に示されるように、骨髄アクセス装置300Aは、骨貫通部材320、キャップ314A、及び第3の実施の形態に関して上述した延長部66と位置特定部材68とを含む延長キャップ340Aを含む。
【0065】
図28から
図34に示されるように、骨髄アクセス装置300Bは、骨貫通部材320、キャップ314B、及び第3の実施の形態に関して上述した位置特定部材68を含む延長部66を含む延長キャップ340Bを含む。
【0066】
図21から
図34に示されるように、第4の実施の形態の骨貫通部材320は、第3の実施の形態の骨貫通部材220と同一である。第3の実施の形態に関して上述したように、骨貫通部材320は、第1の実施の形態の骨貫通部材12と同一であり得る。骨貫通部材320は、他の構成、例えば第2の実施の形態の骨貫通部材120の構成(キャップ340A又は340Bが骨貫通部材に適合するように適切に修正されている)を有することができる。
【0067】
また、
図21から
図34に示されるように、第4の実施の形態のキャップ314A及び314Bは、第1の実施の形態のキャップ14と同様であり、キャップ14が第1の実施の形態の骨貫通部材12に取り付け可能であるのと同じ方法で、骨貫通部材320に取り付け可能である。したがって、例えば、キャップ314A及び314Bは、隔壁52を有する上壁48、周壁46、及び貫通部材320の頭部24の段部28に位置するか又は係合する下壁又は下枠50を含む。また、下枠50は、骨貫通部材320の頭部24の溝(凹部)56内に突出する突起54を有する。キャップ314A及び314Bは、代替の構成を有することができる。例えば、キャップ314A及び314Bは、第2の実施の形態のキャップ140の弁60及び/又は突起64を含むことができる。キャップ314A及び314Bはまた、第1の実施の形態の変形例のキャップ14Aと同様の方法で、突起54を省略することができる。したがって、キャップ314A及び314Bは、本明細書に記載された骨髄アクセス装置のキャップの特徴の様々な組合せを備えた様々な構成を有することができる。
【0068】
図21から
図27に示されるように、第4の実施の形態の第1例のキャップ314Aは、キャップ314Aが周壁46の外側から突出するねじ316を有しているという点で、第1の実施の形態のキャップ14と異なっている。ねじ316は、キャップ340Aがキャップ314A及び骨貫通部材320に取り付けられるように、延長キャップ340Aの底部の内側に形成されたねじ318と係合することができる(
図23及び24参照)。
【0069】
また、
図21から
図27に示されるように、延長キャップ340Aは、その中に形成されたねじ318を備えたキャップ嵌合部350Aを含んでいる。キャップ嵌合部350Aは、延長キャップ340Aがキャップ314Aに取り付けられたときに、キャップ314Aの上壁48の周囲を覆う上壁348を有している(
図24参照)。上壁348は、キャップ314Aの上壁48の中央部分を覆っていない(
図24参照)。延長キャップ340Aは、上壁348の内周から突出する延長部66を含む。延長部66は、その基端にある位置特定部材68と、位置特定部材68を上壁348に結合する結合構造70とを含む。
【0070】
骨髄アクセス装置300Aは、最初にキャップ314Aを骨貫通部材320の頭部24に取り付け、キャップ314Aの突起54を頭部24の溝56に係合させることによって組み立てられる(
図23)。それから、キャップ嵌合部350Aのねじ318とキャップ314Aのねじ316とを用いて、延長キャップ340Aのキャップ嵌合部350Aをキャップ314A上にねじ込むことにより、延長キャップ340Aは、キャップ314A及び骨貫通部材320に取り付けられる(
図24)。これにより、延長キャップ340Aは、ねじ316及び318の係合によって、キャップ314A及び骨貫通部材320に固定される。
【0071】
図28から
図34に示されるように、第4の実施の形態の第2例のキャップ314Bは、キャップ314Bが周壁46の外側から突出する突起317を有している点で、第1の実施の形態のキャップ14及び第4の実施の形態の第1例のキャップ314Aと異なっている。突起317は、延長キャップ340Bの底部の開口部319と係合するように構成されている。突起317は、延長キャップ340Bの底部が突起317を越えて滑らせることができるように、その上端(基端)で傾斜している。突起317は、その底端(先端)で四角にされている。したがって、突起317は、キャップ延長キャップ340Bがキャップ314Bに取り付けられた後、延長キャップ340Bがキャップ314Bから滑り落ちるのを防ぐように、開口部319内に突出して係合できる。
【0072】
また、
図28から
図34に示されるように、延長キャップ340Bは、その中に形成された開口部319を備えるキャップ嵌合部350Bを含んでいる。キャップ嵌合部350Bは、延長キャップ340Bがキャップ314Bに取り付けられたときに、キャップ314Bの上壁48の周囲を覆う上壁348を有している(
図31参照)。上壁348は、キャップ314Bの上壁48の中央部分を覆っていない(
図31参照)。延長キャップ340Bは、上壁348の内周から突出する延長部66を含む。延長部66は、その基端にある位置特定部材68と、位置特定部材68を上壁348に結合する結合構造70とを含む。
【0073】
骨髄アクセス装置300Bは、まずキャップ314Bを骨貫通部材320の頭部24に取り付け、キャップ314の突起54を頭部24の溝56に係合させることによって組み立てられる(
図30)。それから、キャップ314Bの突起317がキャップ嵌合部350Bの開口部319に係合するまで、キャップ嵌合部分350Bをキャップ314B上で滑らせることによって、延長キャップ340Bは、キャップ314B及び骨貫通部材320に取り付けられる(
図31)。それにより、延長キャップ340Bは、突起317と開口部319の係合によって、キャップ314B及び骨貫通部材320に固定される。
【0074】
結合構造70及び位置特定部材68を含んでいる延長キャップ340A及び延長キャップ340Bの延長部66は、第3の実施の形態の延長部66、66A、66B、66C、及び66Dに関して上述した全ての構成を含む様々な構成を有することができる。単なる例として、延長キャップ340A及び延長キャップ340Bの延長部66は、第3の実施の形態の延長部66B及び66Dに関して上述したようなリブを含むことができ、また延長キャップ340A及び延長キャップ340Bの延長部66は、第3の実施の形態の延長部66、66A、66B、66C、及び66Dに関して上述したような様々な円錐角及び様々な高さを持つことができる。延長キャップ340A及び延長キャップ340Bを形成するために用いられる一つ又は複数の材料は、延長部66の形成のために上述したものと同じであり得る。延長キャップ340A及び延長キャップ340Bの延長部66の硬度に関して考慮すべき事項は、第3の実施の形態の延長部66、66A、66B、66C、及び66Dに関して上述したものと同一であるか又は類似する。
【0075】
第4の実施の形態の構造は、骨貫通部材320及びキャップ314A又は314B(一般に、しかし必ずしもそうではないが、骨貫通部材320とキャップ314A又は314Bとが予め組み立てられて)及び延長キャップ340A又は340Bを含むキットとして購入者又はエンドユーザー(例えば、医師)に引き渡され得る。
【0076】
骨髄アクセス装置300A又は300Bの取り付けの第1段階は、(キャップ314A又は314Bが、第1の実施の形態の場合のように隔壁52を含むか、又は第2の実施の形態の場合のように弁60を含むかに依存して)第1の実施の形態又は第2の実施の形態に関して上述したのと実質的に同じ方法で実行される。即ち、骨貫通部材320とキャップ314Aとの組立体(
図23及び
図25参照)、又は骨貫通部材320とキャップ314Bとの組立体(
図30及び
図32参照)が、第1の実施の形態又は第2の実施の形態に関して上述したのと実質的に同じ方法で、最初に骨に取り付けられる(
図25及び
図32)。骨髄アクセス装置300A又は300Bの取り付けは、第2段階を含むことで、第1及び第2の実施の形態で述べた取り付けとは異なる。第2段階において、骨貫通部材320及びキャップ314A又は314Bの組立体が骨8に取り付けられた後(
図25及び
図32)、延長キャップ340Aがキャップ314Aに取り付けられる(
図24、
図26及び
図27参照)か、又は延長キャップ340Bがキャップ314Bに取り付けられる(
図31、
図33及び
図34参照)。骨髄アクセス装置300A又は300Bの最終的除去は、第1又は第2の実施の形態に関して上述したように実施できる。
【0077】
骨貫通部材320、キャップ314A、及び延長キャップ340Aの係合、又は骨貫通部材320、キャップ314B、及び延長キャップ340Bの係合は、骨髄アクセス装置300A又は300Bを購入者又はエンドユーザー(例えば、医師)に提供する前の製造段階において実施され得ることもまた想定される。したがって、骨髄アクセス装置300A又は300Bは、単一の統合されたユニットとしてユーザーに提供され得る。この場合、骨髄アクセス装置300A又は300Bの取り付けは、上述した第3の実施の形態の場合と同じ方法で実施される。
【0078】
第3の実施の形態に関して上述したのと同じ方法で、一旦骨髄アクセス装置300A又は300Bが取り付けられ、その装置の上の組織が閉じられると(
図26及び
図33)、延長部66は、皮の下の骨髄アクセス装置の位置特定を助ける。具体的には、骨髄の採取のたびに、医師は位置特定部材68の位置を探すことになる。これは、骨髄アクセス装置300A又は300Bが配置されている既知の領域の窪み(位置特定部材68の中心を示す)を単純に探すこと、及び/又は位置特定部材68によって生成されるクレーターなどの不整を触って知るために、骨髄アクセス装置300Aが配置されている既知の領域の皮膚を押すことを含み得る(
図26及び
図33参照)。それから、医師は、位置特定部材68の対向する縁部を押しつぶして、採取針80(
図27及び
図34)又は他の器具を隔壁52(又は弁60)に通すことができる導管84を形成する。骨髄採取を行うために、医師は、採取針80を、皮膚82を通し、延長部66によって形成された導管84を通し、隔壁52を通して通路30に挿入し、それから骨8の骨髄腔2に挿入する(又は弁60の開口部62を通して、通路30に挿入し、それから骨8の骨髄腔2に挿入する)。
図27及び
図34参照。
【0079】
代替のキャップ位置特定手順として、医師は、位置特定部材68の位置を特定した後、目標領域の中心、例えば、位置特定部材68の中心に気付き、その中心に外科的マーカーで印をつけることができる。次に、医師は、採取針80の先端を皮膚の印の上に置き、皮膚82を通して隔壁52(又は弁60)に達するまで、できるだけ垂直に針80を押す。
【0080】
使用される選択された採取針80、又は他のタイプの器具は、通路30に適合するサイズ(ゲージ)を有するものである。採取針80又は他の器具の骨髄腔への差込深さもまた、医師によって変更可能である。真っ直ぐな採取針80が選択される場合、採取針80を傾けて、骨髄のために骨髄腔の新たな領域を採取することができる。真っ直ぐな採取針及び代替の曲がった採取針の使用に関する付加的な詳細は、WO2018/067525に記載されている。使用される採取針のタイプに関係なく、採取が完了した後、針80は通路30から取り出され、隔壁52(又は弁60)及び皮膚を通って引き抜かれる。隔壁52は、針が取り去られると(又は弁60がその開口部62を閉じると)自己修復し、それにより、骨髄腔2に出入りする物質の流れを防止する。
【0081】
(第5の実施の形態)
図35から
図43は、本発明の第5の実施の形態による骨髄アクセス装置400を示している。
図35から
図43に示されるように、骨髄アクセス装置400は、骨貫通部材420、キャップ440、リング88、及び結合構造90を含む。
【0082】
骨貫通部材420は、第3の実施の形態の骨貫通部材220及び第4の実施の形態の骨貫通部材320と同一である。したがって、第3及び第4の実施の形態に関して上述したように、骨貫通部材420は、第1の実施の形態の骨貫通部材12と同一であり得る。骨貫通部材420は、第2の実施の形態の骨貫通部材120の構成(キャップ440が骨貫通部材420に適合するように適切に変更されている)などの他の構成を有し得る。
【0083】
キャップ440は、第1の実施の形態のキャップ14と同一であるが、代わりに、第2の実施の形態のキャップ140と同一であり得る。また、キャップ440は、第1の実施の形態の特徴(突起54など)と第2の実施の形態の特徴(弁60及び/又は突起64など)とを組み合わせた構成を含む他の構成を有することができる。
【0084】
リング88は、第3の実施の形態の位置特定部材68と同様の方法で位置特定部材として機能する。即ち、リング88は、骨貫通部材420及びキャップ440が触覚的及び/又は視覚的位置特定によって容易に位置特定されることを可能にする位置特定部材として機能する。第3及び第4の実施の形態の位置特定部材68とは異なり、第5の実施の形態のリング88は、キャップ440とは別個の(統合されていない)構成要素である。図示されるように、リング88はOリングであるが、他の形状のリングを使用することができる。リング88はシリコーン製であってよい。
【0085】
結合構造90(
図38、
図39及び
図41参照)は、リング88を骨貫通部材420又はキャップ440に結合し、リング88を骨貫通部材420の上面及びキャップ440から離れて位置させる。図示される実施の形態において、結合構造90は、キャップ440を通して、かつリング88を通すか又はその周りに糸でつながれている。結合構造90は、縫合糸(又は傷を閉じるのに使用される別の材料)、糸、腸線、針金、又は、リング88を通すか又はその周りのみならず周壁46、上壁48、及び/又は下枠50を通すことができる任意の細い又は糸状の構成物であり得るフィラメント92であり得る。
【0086】
第5の実施の形態の構造は、骨貫通部材420及びキャップ440(一般に、しかし必ずしもそうではないが、骨貫通部材420とキャップ440とが予め組み立てられて)及びリング88を含むキットとして購入者又はエンドユーザーに引き渡され得る。結合構造90(フィラメント92)は、そのようなキットに任意に含まれてよい。
【0087】
骨髄アクセス装置400の取り付け(及び最終的な除去)は、(キャップ440が第1の実施の形態の場合のように隔壁52を含むかどうか、又は第2の実施の形態のように弁60含むか否かに応じて)第1の実施の形態又は第2の実施の形態に関して上述したのと実質的に同じ方法で行われる。その取り付けは、骨貫通部材420及びキャップ440の組立体が骨8に取り付けられた後(
図38参照)、皮下層の真下のリング88に適するように組織が切開されるという点で異なる。リング88の高さは、リング88をキャップ440に対して所望の長さで結びつけることによって調整できる(
図38参照)。リング88は、皮膚82の下かつ組織の上にあってもよい(
図39参照)。皮膚が閉じられた後、皮膚における不整が視認及び/又は触知可能であり、その不整は、皮膚の隆起した輪又は不自然な窪みのいずれかであり得る(
図40参照)。
【0088】
骨髄の採取が求められるたびに、医師は皮膚82の外観の不整を触れて知ったり探したりし(
図40参照)、皮膚82を押し下げて、リング88によって引き起こされる皮膚82の真ん中のクレーターを触れて知ることができる(
図39参照)。医師は、リング88の中心に気付き、必要に応じて、その位置の皮膚82に外科用マーカーで印をつける。それから、医師は、採取針80の先端をリング88の中心又は皮膚の印の上に置き、皮膚82を通して隔壁52(又は弁60)に達するまで、できるだけ垂直に針を押す(
図41参照)。
【0089】
リング88はまた、キャップ無しで使用される骨貫通部材と組み合わされて使用されてもよい。この場合、リング88は、例えば、段部28の下及び骨貫通部材の周りにフィラメント92を巻き付けることによって、骨貫通部材に固定することができる。
【0090】
(第6の実施の形態)
図42から
図46に示される第6の実施の形態は、骨髄アクセス装置の位置を特定するための技術、特に、第3又は第4の実施の形態の延長部66又は第5の実施形態のリング88を含まない骨髄アクセスに有用な技術、を提供する。例えば、第6の実施の形態の技術は、第1及び第2の実施の形態の骨髄アクセス装置10及び100、又はキャップのない骨貫通部材である骨髄アクセス装置と共に使用できる。この技術は、WO2018067525に開示されているものなど、他の骨髄アクセス装置と共に使用することもできる。便宜上、以下の説明は骨髄アクセス装置10に言及している。
【0091】
図42に示されるように、クリップ96が取り付けられた超音波プローブ94が提供される。クリップ96は、道具ガイド98を有している。超音波プローブ94へのクリップ96の取付位置は、モニター上の超音波画像において骨髄アクセス装置10が適切な形状に見えるときに、正確な軌道を提供するように調整される(
図43参照)。
【0092】
骨髄アクセス装置10の位置を特定するために、医師は、
図43に示されるようにそれが現れるまで、骨髄アクセス装置10が位置していると予想される大体の領域の皮膚82上で、超音波プローブ94を移動させる。骨髄アクセス装置10、又は骨髄アクセス装置10の少なくとも一部(キャップ14及び/又は骨貫通部材12)は、超音波画像化されたとき組織及び骨とは異なって見えるシリコーン、プラスチック及び/又は金属などの材料からなるので、超音波画像は、周囲の組織及び骨の間の骨髄アクセス装置10を明らかにする。
【0093】
骨髄採取のために、医師は、超音波プローブ94を移動させて骨髄アクセス装置の位置を特定する前又は後に、採取機器の動作端、例えば、採取針80の先端を道具ガイド98に挿入する(
図44参照)。そして、医師は、道具ガイド98を所定位置に保持し、医師がキャップ14との接触からの触覚フィードバックを感知するまで、採取針80の先端を骨髄アクセス装置10に向かって押す(
図45参照)。このとき、超音波画像は、
図46に示されるように見えるはずである。それから、医師は、採取針80の先端を、骨髄アクセス装置10を通して骨髄腔2内に押し入れ、骨髄採取を行う。この位置特定技術はまた(本出願において説明される他の位置特定技術及び構造と同様に)、流動体、薬剤、又は他の物質を骨髄腔2に送達する送達機器を挿入する目的で、骨髄アクセス装置10を位置特定するために使用できる。
【0094】
(第7の実施の形態)
図47から
図53に示される第7の実施の形態は、骨髄アクセス装置の位置を特定する別の技術、特に第3又は第4の実施の形態の延長部66又は第5の実施の形態のリング88を含まない骨髄アクセスに有用な技術、を提供する。例えば、第7の実施の形態の技術は、第1及び第2の実施の形態の骨髄アクセス装置10及び100と共に、又はキャップのない骨貫通部材である骨髄アクセス装置と共に使用することができる。この技術は、WO2018/067525に開示されているものなど、他の骨髄アクセス装置と共に使用することもできる。便宜上、以下の説明は骨髄アクセス装置10に言及している。
【0095】
図47から
図53に示されるように、静脈照明器500は、骨髄アクセス装置10を標的とし、採取針80が骨髄アクセス装置10へ向かうのを確実にするように提供される。照明器500は、1つ又は複数のセンタリング穴504を備えた使い捨てのU字形クリップ502を配置することが可能な、開口506(
図49)を有している。照明器500と患者との間に無菌バリアを提供するために、袋508、例えば、ポリ袋を照明器500の周りに配置することができる(
図47及び48参照)。
図47は、ポリ袋が不透明又は半透明であることを示している。
図48は、袋が透明であることを示している。しばしばビニール袋又はポーチと呼ばれるポリ袋は、本明細書では、薄くて柔軟なプラスチックフィルム、不織布、又はプラスチック繊維でできたタイプの、しばしば使い捨ての、容器だと考えられる。
【0096】
骨髄アクセス装置10の位置を特定するために、袋508が照明器500にかぶせられ、その後クリップ502が照明器500の開口506内に挿入される(
図47から
図51参照)。医師は、照明器500を作動させてLEDライトを点灯し、照明器500を、骨髄アクセス装置10が存在するとされる大体の領域の皮膚82上に位置させる(ここでは、皮膚と照明器500の周りの袋508との間の接触は、照明器500と皮膚82との間の接触を構成すると見なされる)。
図50から
図52参照(明確化のため、
図52から袋408は省略され、照明器500と皮膚82との間に空間が示されている)。それから、照明器500は、好ましくは、皮膚82との接触を維持したまま、皮膚82に沿って移動させられる。静脈照明器500による照明下では、骨髄アクセス装置10は、例えば、より暗い色の円510として
図50に示されるように、視覚的に異なって見える。この視覚的な違いは、色の違いや色の変化の違いに限定されない。骨髄アクセス装置10と周辺領域との間の視覚的識別を提供する他の技術を、本発明において使用してもよい。
【0097】
医師は、照明器500を移動させて、骨髄アクセス装置10を開口506の中心に位置させ、より暗い色の円510をクリップ502のセンタリグ穴504と位置合わせすることにより、クリップ502のセンタリング穴504を骨髄アクセス装置10と位置合わせする(
図51参照)。クリップ502の穴504は、
図53に示されるように、採取針80が、隔壁52(又は弁60)が位置している骨髄アクセス装置10の中心へ向かうのを確実にする。
【0098】
骨髄アクセス装置の位置を特定するための技術は、第6及び第7の実施の形態において説明したものに限定されない。例えば、骨髄アクセス装置は、透視法を用いて、又は(原理的には、スタッドファインダーと同様の)磁気又は電磁ロケーターを用いて位置特定することができる。さらなる技術は、当業者には明らかであろう。
【0099】
上述され及び図面に示された実施の形態の変形及び組合せは、本発明の範囲内にあると見なされ、したがって、本発明の範囲は、上述した例ではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって決定されるべきである。
【0100】
加えて、2014年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/062,105号、2016年10月5日に出願された米国仮特許出願第62/404,551号、2016年3月24日に出願された米国非仮特許出願第15/024,522号、米国特許第9,770,425号、2017年4月13日に出願された米国特許非仮出願第15/486,870号、及び2017年4月13日に出願された米国被仮特許出願第15/486,886号に開示されている装置及び方法は、上述した発明に組み込まれ、及び/又は共に使用され得るものであり、これらの出願の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄アクセス装置であって、
骨貫通部材、及び
キャップ、を備え、
前記骨貫通部材は、
管状挿入部、
前記管状挿入部の基端に設けられた頭部であって、前記頭部の断面形状が前記管状挿入部の断面形状よりも広い前記頭部、
前記頭部に設けられた凹部、及び
前記頭部及び前記管状挿入部を貫いて提供される内部通路、を備え、
前記キャップは、その中に前記骨貫通部材の頭部を収容するものであり、
前記キャップは、
前記頭部の先端側の少なくとも一部を覆う下壁、及び
前記頭部の前記凹部内に突出した突起、を備えている
骨髄アクセス装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記凹部は、前記頭部の全周に延在しており、
前記突起は、前記キャップの全周に延在している
装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記骨貫通部材の前記頭部は、前記頭部の先端にある底面、及び前記底面の周囲外側にあって前記底面に対して上方に凹んでいる段部、を備え、
前記凹部は、前記段部に設けられており、
前記キャップの前記下壁は、前記段部に取り付けられており、
前記突起は、前記下壁から前記凹部内に突出している
装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記段部は、前記頭部の全周に延在しており、
凹部は、前記頭部の全周にわたって延在しており、
突起は、前記下壁によって規定される全周にわたって延在している
装置。
【請求項5】
請求項1
から請求項5までのいずれか一つに記載の装置であって、前記キャップは、さらに
前記骨貫通部材の前記頭部の基端側を覆う上壁、
前記骨貫通部材の前記頭部の周囲を覆う周壁、を備えている
装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記キャップの前記上壁は、自己修復隔壁を備えている
装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、前記キャップの前記上壁は、弁を備えている
装置。
【請求項8】
請求項1
から請求項7までのいずれか一つに記載の装置であって、前記キャップは、前記下壁から先端側下方へ突出する突起を備える触覚フィードバック部材をさらに備えている
装置。
【請求項9】
請求項1
から請求項8までのいずれか一つに記載の装置であって、前記骨貫通部材は、前記キャップとは別の構成要素であり、
前記骨貫通部材は、キャップと一緒に組み立てられて、前記骨髄アクセス装置を形成している
装置。
【国際調査報告】