(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】線状外科用ステープラのための閉鎖アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519739
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(85)【翻訳文提出日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 IB2019058689
(87)【国際公開番号】W WO2020075131
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シングス・ブライアン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ・ジェイソン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC23
4C160NN02
4C160NN15
(57)【要約】
外科用ステープラは、複数のステープル成形ポケットを支持する遠位部分を有する第1の細長い部材と、ステープルカートリッジを支持する遠位部分を有する第2の細長い部材と、第1の細長い部材及び第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材と、を含む。クランプロックアウト機構が、第1の細長い部材によって支持され、クランプロックアウト機構がクランプ部材の閉鎖を防止するロックアウト位置と、クランプロックアウト機構がクランプ部材の閉鎖を可能にする解放位置との間で移動可能である。作動機構が、第2の細長い部材によって支持され、第1の細長い部材及び第2の細長い部材の遠位部分の近接に応答して、クランプロックアウト機構をロックアウト位置から解放位置へと作動させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラであって、
(a)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの一方を支持するように構成された遠位部分を有する、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの他方を支持するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)クランプ部材であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材と、
(d)前記第1の細長い部材によって支持されるクランプロックアウト機構であって、前記クランプロックアウト機構が前記クランプ部材の閉鎖を防止するように構成されているロックアウト位置と、前記クランプロックアウト機構が前記クランプ部材の閉鎖を可能にするように構成されている解放位置との間で移動可能である、クランプロックアウト機構と、
(e)前記第2の細長い部材によって支持される作動機構であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材の前記遠位部分の近接に応答して、前記クランプロックアウト機構を前記ロックアウト位置から前記解放位置へと作動させるように構成されている、作動機構と、
を備える、外科用ステープラ。
【請求項2】
前記第1の細長い部材の前記遠位部分が、複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面を支持し、前記第2の細長い部材の前記遠位部分が、ステープルカートリッジを支持するように構成され、前記クランプロックアウト機構及び前記作動機構が、前記アンビル表面の近位に位置する、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項3】
前記クランプ部材が、連結要素によって前記第1の細長い部材に枢動可能に連結されたクランプレバーを含む、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項4】
前記連結要素が、前記クランプレバーの閉鎖に応答して、前記第1の細長い部材に対して並進するように構成されている、請求項3に記載の外科用ステープラ。
【請求項5】
前記第2の細長い部材が、前記クランプレバーの閉鎖に応答して、前記連結要素を捕捉するように構成されたスロットを含む、請求項4に記載の外科用ステープラ。
【請求項6】
前記クランプロックアウト機構が、前記ロックアウト位置と前記解放位置との間で前記第1の細長い部材の長手方向軸に沿って並進するように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項7】
前記ロックアウト位置が、遠位に配向され、前記解放位置が、近位に配向されている、請求項6に記載の外科用ステープラ。
【請求項8】
前記クランプロックアウト機構が、前記ロックアウト位置に向かって弾性的に付勢されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項9】
前記クランプロックアウト機構が、前記第1の細長い部材に対して横方向に延在するピンを含む、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項10】
前記作動機構が、傾斜面を含み、前記傾斜面が、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材の前記遠位部分の近接に応答して、前記クランプロックアウト機構を前記ロックアウト位置から前記解放位置まで長手方向にカム動作させるように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項11】
前記傾斜面が、前記第2の細長い部材内に形成されたノッチによって画定されている、請求項10に記載の外科用ステープラ。
【請求項12】
前記クランプ部材に連結されたリンクを更に備え、前記ロックアウト位置の前記クランプロックアウト機構が、前記リンクと係合して前記クランプ部材の閉鎖を防止するように構成され、前記解放位置の前記クランプロックアウト機構が、前記リンクを係合解除して前記クランプ部材の閉鎖を可能にするように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項13】
前記リンクの近位端が、前記第1の細長い部材に枢動可能に連結され、前記リンクの遠位端は前記クランプ部材に枢動可能に連結されている、請求項12に記載の外科用ステープラ。
【請求項14】
前記クランプ部材が、前記第1の細長い部材に枢動可能に連結されたクランプレバーを含み、前記リンクが、前記クランプレバーの自由端に解放可能に係合するように構成された突出部を含む、請求項12に記載の外科用ステープラ。
【請求項15】
前記リンクの近位端が、連結要素によって前記第1の細長い部材に連結され、前記外科用ステープラが、前記第2の細長い部材によって支持される移動可能な構造体を更に含み、前記移動可能な構造体が、前記連結要素を解放可能に捕捉することによって、前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端に連結するように構成されたラッチ機構を含む、請求項12に記載の外科用ステープラ。
【請求項16】
外科用ステープラであって、
(a)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの一方を支持するように構成された遠位部分を有する、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの他方を支持するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材の第1の部分に連結されたクランプ部材であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材と、
(d)リンクであって、前記リンクの第1の端部が、前記第1の細長い部材の第2の部分に連結され、前記リンクの第2の端部が、前記クランプ部材に連結されている、リンクと、
を備え、
前記リンクは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材から分離された時に、前記クランプ部材の閉鎖を防止するように動作可能であり、前記リンクは、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材の前記遠位部分の近接に応答して、前記クランプ部材の閉鎖を可能にするように動作可能である、
外科用ステープラ。
【請求項17】
前記リンクの前記第1の端部が、前記第1の細長い部材の前記第2の部分に枢動可能に連結され、前記リンクの前記第2の端部が、前記クランプ部材に枢動可能に連結されている、請求項16に記載の外科用ステープラ。
【請求項18】
ロックアウト位置と解放位置との間で移動可能なロックアウト機構を更に備え、前記ロックアウト位置の前記ロックアウト機構が、前記リンクと係合して前記クランプ部材の閉鎖を防止するように構成され、前記解放位置の前記ロックアウト機構が、前記リンクを係合解除して前記クランプ部材の閉鎖を可能にするように構成されている、請求項16に記載の外科用ステープラ。
【請求項19】
外科用ステープラであって、
(a)複数のステープル成形ポケットを有する遠位部分を有する第1のステープラ半体と、
(b)前記第1のステープラ半体と解放可能に連結するように構成された第2のステープラ半体であって、
(i)近位部分と、
(ii)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分と、
(iii)発射アセンブリと、
(iv)前記近位部分によって支持される移動可能な構造体であって、
(A)ラッチ機構と、
(B)発射ロックアウト機構と、
を含む移動可能な構造体と、
を含む第2のステープラ半体と、
を備え、
前記移動可能な構造体は、前記ラッチ機構が前記第1のステープラ半体の近位機構を捕捉し、前記発射ロックアウト機構が前記発射アセンブリの作動を可能にする第1の位置と、前記ラッチ機構が前記近位機構を解放し、前記発射ロックアウト機構が前記発射アセンブリの作動を防止する第2の位置と、の間で移動可能である、
外科用ステープラ。
【請求項20】
前記第1のステープラ半体及び前記第2のステープラ半体を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材を更に備え、前記移動可能な構造体は、前記クランプ部材が前記閉鎖位置にある時に、前記移動可能な構造体が前記第2の位置に移動することを防止するように構成された構造体ロックアウト機構を更に含む、請求項19に記載の外科用ステープラ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
胃腸吻合術などの一部の外科手術では、1つ又は2つ以上の組織層をクランプし、クランプされた層を切断し、層を通してステープルを同時に駆動することによって、切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的に封止することが望ましい場合がある。かかる手術で使用され得るこのような器具の1つは、線状外科用ステープラであり、「線状カッタ」とも称される。線状外科用ステープラは、一般に、ステープルカートリッジ(又は「再装填部」)を支持するように構成された遠位ジョーを有する第1の半体(「カートリッジ半体」又は「再装填部半体」と称される)と、ステープル成形機構を有するアンビル表面を支持する遠位ジョーを有する第2の半体(「アンビル半体」と称される)と、を含む。ステープラは、ステープラ半体を一緒に解放可能にクランプするように構成された移動可能なクランプレバーを更に含む。ステープラ半体は、クランプレバーが閉じられた時に、2つの遠位ジョーの間に組織を受容し、クランプするように、互いに対して枢動するように構成される。ステープラの発射アセンブリは、クランプされた層を切断するように作動し、切断線の両側の組織を通してステープルを同時に駆動するように構成される。ステープラを発射した後、クランプレバーを開放し、ステープラ半体を分離して、切断されステープル留めされた組織を解放することができる。
【0002】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書に組み込まれているとともにその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】ステープラのカートリッジ半体及びアンビル半体が完全閉鎖位置にあるカートリッジ半体のクランプレバーと一緒に連結された状態を示している、例示的な線状外科用ステープラの遠位斜視図を描写する。
【
図2】
図1の線状外科用ステープラの分解斜視図を描写する。
【
図3】
図1の線状外科用ステープラのステープルカートリッジアセンブリの断面斜視図を描写する。
【
図4A】ステープラ半体がそれらの近位端で開放位置にあるクランプレバーと一緒に連結された状態を示している、
図1の線状外科用ステープラの断面側面図を描写する。
【
図4B】ステープラ半体が部分的閉鎖位置にあるクランプレバーと一緒に連結された状態を示している、
図1の線状外科用ステープラの断面側面図を描写する。
【
図4C】ステープラ半体が完全閉鎖位置にあるクランプレバーと一緒に連結された状態を示している、
図1の線状外科用ステープラの断面側面図を描写する。
【
図5A】近位側の発射前位置にあるステープラのアクチュエータを示している、
図1の線状外科用ステープラの遠位斜視図を描写する。
【
図5B】遠位側の発射位置にあるアクチュエータを示している、
図1の線状外科用ステープラの遠位斜視図を描写する。
【
図6】別の例示的な線状外科用ステープラの斜視図を描写する。
【
図7】
図6の線状外科用ステープラの部分分解斜視図を描写する。
【
図8】
図6の線状外科用ステープラのアンビル半体の遠位端の斜視図を描写する。
【
図9】
図6の線状外科用ステープラのアンビル半体の側断面図を描写する。
【
図10A】アンビル半体の近位ロックアウトピンがロックアウト位置にある間に、ステープラ半体の遠位部分が互いに近接することを示している、
図6の線状外科用ステープラの側立面図を描写する。
【
図10B】ステープラ半体の遠位部分が更に近接し、それにより、カートリッジ半体の近位側カム傾斜面がアンビル半体の近位ロックアウトピンを近位方向に解放位置まで作動させることを示している、
図6の線状外科用ステープラの側立面図を描写する。
【
図10C】アンビル半体のクランプレバーが閉じると、アンビル半体の遠位ラッチピンがカートリッジ半体のカムスロット内で遠位方向に移動することを示している、
図6の線状外科用ステープラの側立面図を描写する。
【
図10D】完全閉鎖位置にあるクランプレバーを示している、
図6の線状外科用ステープラの側立面図を描写する。
【
図11A】クランプレバーが閉じている時に近位位置にあるカートリッジ半体のボタン部材を示している、別の例示的な線状外科用ステープラの近位部分の略側面図を描写する。
【
図11B】クランプレバーが開いた後に遠位位置へと作動されるボタン部材を示している、
図11Aの線状外科用ステープラの近位部分の略側面図を描写する。
【
図12】クランプレバーの閉鎖を防止する延伸した遮断位置にある遮断要素を示している、別の例示的な線状外科用ステープラのクランプ部分の斜視図を描写する。
【
図13A】延伸した遮断位置にある遮断要素を示している、
図12の線状外科用ステープラのクランプ部分の側立面図を描写する。
【
図13B】クランプレバーの閉鎖を可能にする後退位置にある遮断要素を示している、
図12の線状外科用ステープラのクランプ部分の側立面図を描写する。
【
図14】ステープラ半体を分離するためのクランプレバーの開放を容易にする補助要素を有する、別の例示的な線状外科用ステープラの略側面図を描写する。
【
図15A】補助レバーのロックアウト機構が発射アセンブリ部材の遠位並進を防止するように、クランプレバーが開いている時に第1の回転位置にある補助レバーを示す、
図14の線状外科用ステープラのクランプレバー、補助レバー、及び発射アセンブリ部材の略側面図を描写する。
【
図15B】補助レバーのロックアウト機構が発射アセンブリ部材の遠位並進を可能にするように、クランプレバーが閉じている時に第2の回転位置にある補助レバーを示す、
図14の線状外科用ステープラのクランプレバー、補助レバー、及び発射アセンブリ部材の略側面図を描写する。
【0004】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文とともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴/機構、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0006】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医のより近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタのより近くにかつ外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な配向及び位置で使用してもよいことが理解される。
【0007】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲の「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は集合が、本明細書で記載されているその本来の目的のために機能することを可能とするような好適な寸法の許容範囲を示すものである。
【0008】
I.例示的な線状外科用ステープラ
A.線状外科用ステープラの概説
図1及び
図2は、胃腸吻合手技などの様々な切断及びステープル留め手技において使用するのに好適な、例示的な線状外科用ステープラ(10)(「線状カッタ」とも称される)を示す。線状外科用ステープラ(10)は、それらの間に組織をクランプするために解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体(12)(「再装填部半体」とも称される)及びアンビル半体(14)を含む。カートリッジ半体(12)は、発射アセンブリ(34)の一部分を摺動可能に保持する近位フレーム部分(18)と、ステープルカートリッジ(80)(又は「再装填部」)を支持する遠位ジョー部分(20)と、それらの間に内側に配置された一対の直立側部フランジ(22)と、を有する、細長いカートリッジチャネル(16)を含む。
【0009】
カートリッジ半体(12)は、側部フランジ(22)とほぼ整列してカートリッジチャネル(16)の下面に枢動可能に連結されたクランプレバー(24)(「閉鎖ハンドル」としても知られている)を更に含む。クランプレバー(24)は、自由近位端と、枢動ピン(28)を用いてカートリッジチャネル(16)に枢動旋回可能に連結された遠位端と、を有する、細長いレバーアーム(26)を含む。一対の対向するジョー(30)(「フックラッチ」とも称される)は、カートリッジチャネル(16)のフランジ(22)に沿ってレバーアーム(26)の遠位端から遠位方向に延在する。各ジョー(30)は、閉鎖近位端及び開放遠位端を有し、アンビル半体(14)の対応のラッチ突出部(56)と係合するように構成された上側及び下側カム表面を画定する、対応の細長いスロット(32)を含む。以下に記載されるように、クランプレバー(24)は、開放位置と閉鎖位置との間でカートリッジチャネル(16)に対して枢動して、アンビル半体(14)をカートリッジ半体(12)に対して解放可能にクランプし、それによって、それらの間に組織層を捕捉するように動作可能である。
【0010】
図2に最もよく示されるように、カートリッジ半体(12)の発射アセンブリ(34)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部分(18)内に摺動可能に保持されたスライダブロック(36)と、スライダブロック(36)と移動可能に連結されたアクチュエータ(38)(又は「発射ノブ」)と、スライダブロック(36)から遠位方向に延在し、ステープルカートリッジ(80)内に収容されたスレッド(100)(
図3を参照)と連結するように構成された細長い作動ビーム(図示せず)と、を含む。本実施例のアクチュエータ(38)は、カートリッジ半体(12)の近位端の周りを枢動して、ステープラ(10)の「両側発射」を提供するように構成されている。具体的には、アクチュエータ(38)は、遠位発射ストロークを実行するためにカートリッジ半体(12)のいずれかの外側部に沿って位置付けられてよく、それにより、ステープラ(10)は、外科手技中に様々な配向で好都合に発射され得る。
【0011】
スライダブロック(36)は、
図2及び
図5Aに示される近位ホーム位置と、
図5Bに示される遠位発射位置との間で、アクチュエータ(38)によって近位フレーム部分(18)内で並進可能に駆動されるように構成されている。近位ホーム位置では、スライダブロック(36)は、カートリッジチャネル(16)の近位端に固定されたポスト(40)に当接する。ポスト(40)の自由端は、横方向に延在するピボットピン(42)を支持する。以下に記載されるように、アクチュエータ(38)は、ステープラ半体(12、14)が互いに完全に連結され、クランプレバー(24)が閉鎖された時に、遠位方向に駆動されてよい。ステープラ(10)の両外側部に沿ったアクチュエータ(38)の遠位前進は、スライダブロック(36)及び細長い作動ビームを遠位方向に駆動し、次いでスレッド(100)を、ステープルカートリッジ(80)を通して遠位方向に駆動する。以下に記載されるように、ステープルカートリッジ(80)を通ったスレッド(100)の遠位並進は、ステープラ半体(12、14)間にクランプされた組織の同時のステープル留め及び切断をもたらす。
【0012】
図1及び
図2に最もよく示されるように、線状外科用ステープラ(10)のアンビル半体(14)は、近位フレーム部分(52)及び遠位ジョー部分(54)を有する細長いアンビルチャネル(50)を含む。アンビルチャネル(50)は、アンビルチャネル(50)の内側部分からカートリッジ半体(12)に向かう方向に、横方向に延在する一対の突出部(56)の形態のラッチ機構を更に含む。各ラッチ突出部(56)は、以下に記載されるように、アンビル半体(14)がカートリッジ半体(12)と連結され、クランプレバー(24)が開放位置から閉鎖位置へと枢動される時に、対応するクランプレバージョー(30)のスロット(32)内に捕捉されるように構成された円形回転キャップを含んでよい。一対のフック(58)は、フレーム部分(52)の近位端から近位方向に延在し、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)の両外側端を解放可能に捕捉するように構成されている。遠位ジョー部分(54)は、複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有するアンビルプレート(60)の形態のアンビル表面を支持し、更には遠位先端部材(62)を支持する。ステープラ(10)の他の変形形態では、アンビル表面は、アンビルチャネル(50)の遠位ジョー部分(54)と一体に形成されてよく、ないしは別の方法で堅固に接続されてよい。本形態では、アンビルチャネル(50)及びカートリッジチャネル(16)はそれぞれ、各ステープラ半体(12、14)に剛性を付与するステンレス鋼などの金属で形成されたモノリシック構造である。
【0013】
本実施例のアンビル半体(14)は、アンビルチャネル(50)の内側部分に装着されたステープル高さ調整機序(64)を更に含む。ステープル高さ調整機序(64)は、例えば1つ又は2つ以上のカム機構(図示せず)を介してアンビルプレート(60)と動作可能に連結され、ユーザにより係合可能な一対の突出部(66)を含む。複数の所定の位置の間で突出部(66)を長手方向に調整することにより、アンビルプレート(60)は、アンビルチャネル(50)の遠位ジョー部分(54)に対して横方向に移動する。これにより、形成されるステープルの高さを画定する、アンビルプレート(60)とステープルカートリッジ(80)のデッキ(94)との間の横方向間隙距離の調整が可能になる。より厚い組織をステープル留めする時には、より大きい間隙距離、したがってより大きいステープル高さが設定されてよい。逆に、より薄い組織をステープル留めする時には、より小さい間隙距離、したがってより小さいステープル高さが設定されてよい。ステープル高さ調整機序(64)は、いくつかの変形形態では省かれてよく、その場合、アンビル表面はアンビルチャネル(50)に対して固定されてよいことが理解されよう。例えば、アンビル表面は、遠位ジョー部分(54)と一体に形成されてよく、ないしは別の方法で固定されてよい。
【0014】
図1及び
図2に最もよく示されるように、線状外科用ステープラ(10)は、ステープラ(10)の選択部分を覆い、使用中に操作者によるステープラ(10)の効果的な把持及び操作を促進する複数のシュラウド(70、72、74)を更に含む。本実施例では、カートリッジ半体(12)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部分(18)の外向きの側面を覆う第1のシュラウド(70)を含む。カートリッジ半体(12)は、クランプレバー(24)の外向きの側面を覆い、カートリッジチャネル(16)及び第1のシュラウド(70)に対してクランプレバー(24)とともに枢動するように構成された第2のシュラウド(72)を更に含む。アンビル半体(14)は、近位フック(58)を含む、アンビルチャネル(50)の近位フレーム部分(52)の外向きの側面を覆う第3のシュラウド(74)を含む。各シュラウド(70、72、74)は、当業者に明らかな任意の好適な手段によって、ステープラ(10)のそれぞれの構成要素と連結されてよい。加えて、各シュラウド(70、72、74)は、1つ又は2つ以上の材料で形成されてもよく、外科手技中にステープラ(10)の安全かつ効率的な使用を可能にするために、操作者によってシュラウド(70、72、74)の効果的な把持を促進するのに好適なテクスチャリングが提供されてよい。
【0015】
図2及び
図3に示されるように、本実施例のステープルカートリッジ(80)は、カートリッジ本体(82)と、カートリッジ本体(82)の開放下側を覆うパン(84)と、カートリッジ本体(82)内に収容され、それぞれが対応のステープル(88)を駆動するように構成されている複数のステープルカートリッジ(86)と、を備えるアセンブリである。カートリッジ本体(82)は、カートリッジチャネル(16)の遠位ジョー部分(20)の対応する連結機構(図示せず)と解放可能に係合するように構成された連結機構(90)を有する近位端と、テーパ状ノーズ(92)を画定する遠位端と、を含む。カートリッジ本体(82)の上側は、長手方向スロット(96)及び複数のステープル空洞(98)が貫通している、概ね平面のデッキ(94)を画定する。各ステープル空洞(98)は、対応のステープルドライバ(86)及びステープル(88)を収容する。
図3に示すように、カートリッジ本体(82)の内部は、スレッド本体(102)及びナイフ部材(104)を含むスレッド(100)を摺動可能に収容する。スレッド本体(102)の外側部は、遠位方向に先細になる複数のカム傾斜面(106)を支持する。スレッド本体(102)の近位端は、ステープルカートリッジ(80)がステープラ(10)のカートリッジ半体(12)に装着された時に、発射アセンブリ(34)の細長い作動ビーム(又はナイフプッシャ)の遠位端と係止係合するように構成された下方へと延在するタブ(108)を含む。ナイフ部材(104)は、スレッド本体(102)の上側から上方に延在し、組織を切断するように構成された遠位側に面する切断縁部(110)を有する。
【0016】
スレッド(100)は、発射アセンブリ(34)の遠位作動に応答してカートリッジ本体(82)を通って遠位方向に並進するように構成されており、これにより、ナイフ部材(104)は、長手方向スロット(96)を通って遠位方向に並進して、ステープラ半体(12、14)間にクランプされた組織を切断する。同時に、カム傾斜面(106)は、カートリッジ本体(82)の対応の内部スロット(図示せず)を通って遠位方向に並進して、ステープルドライバ(86)及びステープル(88)を、ステープル空洞(98)を通って上方に作動させ、それにより、ステープル(88)の自由端がクランプされた組織を貫通し、アンビルプレート(60)のステープル成形ポケットに対して変形する。このようにして、発射アセンブリ(34)の遠位作動は、ステープラ半体(12、14)の遠位エンドエフェクタ部分間にクランプされた組織の同時切断及びステープル留めをもたらす。
【0017】
線状外科用ステープラ(10)及びステープルカートリッジ(80)は、2011年3月15日発行の「Surgical Stapling Instrument with Cutting Member Arrangement」と題された米国特許第7,905,381号;2011年6月7日発行の「Surgical Stapler with Apparatus for Adjusting Staple Height」と題された米国特許第7,954,686号;2013年1月8日発行の「Surgical Stapler Having A Closure Mechanism」と題された米国特許第8,348,129号;及び/又は2014年7月29日発行の「Linear Cutting and Stapling Device with Selectively Disengageable Cutting Member」と題された米国特許第8,789,740号の1つ又は2つ以上の教示に従って更に構成され、動作可能であってよい。これらの参考文献の各々の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
B.線状外科用ステープラの例示的な使用
図4A~
図4Cは、外科手技中のステープラ半体(12、14)の例示的な連結を示す。
図4Aに示すように、アンビル半体(14)の近位端は、カートリッジ半体(12)の近位端と位置合わせされ、それにより、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)は、アンビル半体(14)の近位フック(58)によって受容される。クランプレバー(24)が開放位置にある状態で、アンビル半体(14)は、次いで、近位枢動ピン(42)の周りでカートリッジ半体(12)に向かって枢動されて、アンビル半体(14)のラッチ突出部をクランプレバージョー(30)のスロット(32)内へと方向付ける。一旦ラッチ突出部(56)がクランプレバージョー(30)によって受容されると、クランプレバー(24)は、
図4Bに示される部分的閉鎖位置に向かって枢動される。クランプレバー(24)のこの部分的閉鎖位置では、アンビル半体(14)は、カートリッジ半体(12)で部分的にクランプされ、これにより、ステープラ(10)は、半体(12、14)が互いに不必要に分離することなく片手で保持されることが可能になる。加えて、この状態では、ステープラ半体(12、14)の遠位部分は、互いから離間したままで、遠位部分間の組織の位置決めを可能にする。組織は、この部分的にクランプされた状態の達成前又は達成時に、ステープラ半体(12、14)の遠位部分間に位置付けられ得ることが理解されよう。
【0019】
図4Cに示されるように、クランプレバー(24)は、次いで、クランプレバージョー(30)のカム表面が、クランプレバージョー(30)のスロット(32)の閉鎖近位端に対して近位方向にアンビル半体(14)のラッチ突出部を引くように、その完全閉鎖位置に向かって更に枢動され、それによって、それらの間にしっかりと位置付けられた組織とともにステープラ半体(12、14)を完全にクランプする。ステープラ(10)の半体(12、14)が完全にクランプされた状態になったら、アクチュエータ(38)は、ステープルカートリッジ(80)を発射するように操作されてよい。具体的には、
図5A及び
図5Bに示されるように、アクチュエータ(38)は、ステープラ(10)の外側部のうちの1つに重なるように、ステープラ(10)の近位端の周りを枢動する。アクチュエータ(38)は、次いで、上述の方法で発射アセンブリ(34)を作動させるように遠位方向に駆動され、それによってクランプされた組織を同時に切断及びステープル留めする。遠位発射ストロークが完了したら、アクチュエータ(38)は、
図2に示されるその近位ホーム位置に戻されてよく、次いで、クランプレバー(24)が、ステープラ半体(12、14)を互いに分離させ、ステープル留めされ切断された組織を解放するように開放されてよい。
【0020】
II.閉鎖ロックアウト機構を有する例示的な線状外科用ステープラ
線状外科用ステープラ(10)に関連して上述したように、アンビル半体(14)は、カートリッジチャネル(16)の側部フランジ(22)によって画定される垂直スロット内にアンビル半体(14)のラッチ突出部(56)が受容されるように、カートリッジ半体(12)と組み合わせられる。次に、クランプレバー(24)が開放位置から閉鎖位置へと枢動されて、ラッチ突出部(56)を捕捉し、それによって、アンビル半体(14)をカートリッジ半体(12)に対してクランプする。
図4Aに示すように、クランプレバー(24)は、早期閉鎖を防止するとともに、カートリッジチャネル(16)の垂直スロット及びクランプレバー(24)のジョー(30)によってラッチ突出部(56)が適切に受容されるように、ユーザによって手動で開放位置に維持されなければならない。
【0021】
ステープラ半体が十分に近接し、アンビル半体のラッチ突出部がカートリッジ半体の機構によって捕捉されるように配置されるまでは、クランプレバーが開放位置に自動的に維持され、閉鎖状態へと回転しないようにする機構を備えた線状外科用ステープラを提供することが望ましい場合がある。以下に記載する例示的な線状外科用ステープラ(200、300、400)はそれぞれ、そのような利益を提供する構成を有する。
【0022】
A.アンビル半体上にクランプレバー及び閉鎖ロックアウトピンを有する例示的な線状外科用ステープラ
図6及び
図7は、以下に別途記載する点を除き、上述の線状外科用ステープラ(10)と概ね類似している、例示的な線状外科用ステープラ(200)(又は「線状カッタ」)を示す。線状外科用ステープラ(200)は、間に組織をクランプし、同時にクランプされた組織を切断してステープル留めするために、一緒に解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体(202)及びアンビル半体(230)を含む。
【0023】
ステープラ(200)のカートリッジ半体(202)は、近位フレーム部分(206)及び遠位ジョー部分(208)を有する細長いカートリッジチャネル(204)を含む。近位フレーム部分(206)は、発射ノブ(210)を有する発射アセンブリを摺動可能に保持し、一対の横方向に対向する直立した側部フランジ(212)を含む。各側部フランジ(212)は、側部フランジ(212)の近位端に配置された垂直スロット(214)と、垂直スロット(214)の遠位に配置されたV字形状のノッチ(216)と、側部フランジ(212)の遠位端に配置された湾曲したカムスロット(218)と、を含む。本形態では、側部フランジ(212)のうちの1つは、長手方向に延在する発射スロット(220)を更に含み、発射スロット(220)を通って発射ノブ(210)の一部分が内向きに延在し、発射アセンブリの並進部材(図示せず)と連結する。発射スロット(220)は、発射ノブ(210)が、カートリッジチャネル(204)に対して近位位置から遠位位置までの間で長手方向に並進して発射アセンブリを作動させることにより、遠位ジョー部分(208)内に装着されたステープルカートリッジ(図示せず)を発射することを可能にする。発射アセンブリ及びステープルカートリッジは、本明細書に参照により組み込まれる教示のうちの任意の1つ又は2つ以上に従って構成されてもよい。いくつかの形態では、ステープルカートリッジは、上述のステープルカートリッジ(80)と類似していてもよい。
【0024】
カートリッジ半体(202)は、カートリッジチャネル(204)の近位端の外側に連結された近位ラッチ部材(222)を更に含む。近位ラッチ部材(222)は、一対の垂直に突出するラッチフック(224)を含み、
図7に示す近位ラッチ位置と遠位解放部分との間でカートリッジチャネル(204)に対して並進するように構成されている。近位ラッチ位置では、各ラッチフック(224)は、アンビル半体(230)の近位枢動ピン(246)のそれぞれの側端を捕捉することにより、カートリッジ半体(202)及びアンビル半体(230)の近位端を一緒に連結するように構成されている。解放位置では、ラッチフック(224)は、近位枢動ピン(246)を解放し、ステープラ半体(202、230)の近位端が分離され得るようにする。本形態では、近位ラッチ部材(222)は、近位ラッチ位置に向かって弾性的に付勢されている。加えて、各ラッチフック(224)は、ステープラ半体(202、230)の近位端の連結中に近位枢動ピン(246)と最初に係合すると、近位ラッチ部材(222)を遠位方向にカム動作させるように構成された、近位方向に傾斜した上面を含む。
【0025】
線状外科用ステープラ(200)のアンビル半体(230)は、近位フレーム部分(234)及び遠位ジョー部分(236)を有する細長いアンビルチャネル(232)を含む。
図8に示すように、遠位ジョー部分(236)の下面は、カートリッジチャネル(204)の遠位ジョー部分(208)内に装着されたステープルカートリッジ(図示せず)によって排出されるステープルを成形するように構成された複数のステープル成形ポケット(240)(又は「アンビルポケット」)を有するアンビル表面(238)を支持する。本形態のアンビル表面(238)は、遠位ジョー部分(236)と一体的に形成されているが、他の変形形態では、アンビル表面(238)は、アンビルチャネル(232)とは別個に形成された後に、恒久的な又は解放可能な接合機構を介して遠位ジョー部分(236)に連結されてもよい。先細の遠位先端部材(242)が、遠位ジョー部分(236)から遠位方向に延在する。
【0026】
アンビルチャネル(232)の近位フレーム部分(234)は、カートリッジ半体(202)及びアンビル半体(230)が以下に記載の方法で一緒に連結されると、カートリッジチャネル側部フランジ(212)の間に受容されるように構成された、横方向に対向する一対の側部フランジ(244)を含む。アンビルチャネル側部フランジ(244)は、その近位端に配置された一対の開口部を含み、これらの開口部に、第1のピン(246)の形態の第1の連結要素(本明細書では「枢動ピン」とも称される)が横方向に貫通している。アンビルチャネル側部フランジ(244)は、第1のピン(246)の遠位に配置された第1の対の細長いスロット(248)を更に含み、これらのスロットに、第2のピン(250)の形態の第2の連結要素(本明細書では「ロックアウトピン」とも称される)が横方向に貫通し、これらのスロット内で長手方向に摺動可能である。第2の対の細長いスロット(252)がアンビルチャネル側部フランジ(244)の遠位端に配置されており、これらのスロットに、第3のピン(254)の形態の第3の連結要素(「クランプピン」又は「ラッチピン」とも称される)が横方向に貫通し、これらのスロット内で長手方向に摺動可能である。以下により詳細に説明するように、ロックアウトピン(250)及びクランプピン(254)は、それらのそれぞれの細長いスロット(248、252)内で長手方向に並進して、ステープラ半体(202、230)を一緒にクランプすることを容易にするように構成されている。
【0027】
図7及び
図9で最もよく分かるように、アンビル半体(230)は、近位ハンドル部分(262)と、近位フレーム部分(234)の遠位端にクランプピン(254)によって枢動可能に連結された遠位側の角度をなした部分(264)とを有する細長いクランプレバー(260)を更に含む。以下で説明するように、クランプレバー(260)は、アンビルチャネル(232)に対して開放位置から閉鎖位置へと枢動して、ステープラ半体(202、230)を一緒にクランプするように構成されている。アンビル半体(230)は、線状遠位リンク部分(268)及び角度をなした近位リンク部分(270)を有する細長い閉鎖リンク(266)を更に含む。遠位リンク部分(268)の遠位端は、横方向に延在するピン(272)によって、クランプレバーハンドル部分(262)の遠位端に枢動可能に連結されている。近位リンク部分(270)の近位端は、上述の枢動ピン(246)を有するアンビルチャネル(232)の近位端に枢動可能に連結されている。したがって、閉鎖リンク(266)は、クランプレバー(260)の開放位置と閉鎖位置との間での枢動に応答して、アンビルチャネル(232)及びクランプレバー(260)に対して枢動するように構成されている。
【0028】
閉鎖リンク(266)の近位リンク部分(270)と遠位リンク部分(268)との間の接合部は、上方へと延在するラッチフック(274)と、下方へと延在するタブ(276)と、を含む。
図10A~
図10Dに示すように、クランプレバー(260)が閉鎖されると、ラッチフック(274)は、クランプレバーハンドル部分(262)の近位端に形成された開口部を通して受容され、
図7に示す並進するラッチプレート(278)によって捕捉され、これにより、クランプレバー(260)を閉鎖位置にロックする。ラッチプレート(278)は、クランプレバーハンドル部分(262)の近位端に摺動可能に連結されており、近位ラッチ位置と遠位解放位置との間で長手方向に並進するように構成されている。ラッチプレート(278)は、近位ラッチ位置に向かって弾性的に付勢されており、クランプレバー(260)が閉鎖されると、ラッチフック(274)がラッチプレート(278)の細長いスロット内に捕捉されるように、ラッチフック(274)の傾斜した上面によって遠位方向にカム動作される。ラッチプレート(278)の近位端は、
図7に示すように、クランプレバー(260)の近位端を越えて近位方向に延在しており、ユーザによって遠位方向に作動されて、ラッチフック(274)をラッチプレート(278)から解放し、クランプレバー(260)の開放を可能にするように構成されている。
【0029】
図9に示すように、ロックアウトピン(250)は、近位並進クレビス(280)を通って横方向に延在し、クランプピン(254)は、遠位並進クレビス(282)を通って横方向に延在している。ロックアウトピン(250)及び近位クレビス(280)は遠位方向に弾性的に付勢され、クランプピン(254)及び遠位クレビス(282)は近位方向に弾性的に付勢されている。本実施例では、ロックアウトピン(250)及びクランプピン(254)は、近位端が近位クレビス(280)に連結し、遠位端が遠位クレビス(282)に連結している引張ばね(284)の形の共通の弾性部材によって、それぞれの方向に弾性的に付勢されている。他の変形形態では、各ピン(250、254)及びそのクレビス(280、282)は、それぞれの弾性部材によってそれぞれの方向に弾性的に付勢されてもよい。
【0030】
アンビル半体(230)のロックアウトピン(250)は、ステープラ半体(202、230)の近位端が一緒に連結され、遠位ジョー部分(208、236)が所定の程度まで互いに近接しない限り、閉鎖リンク(266)と係合してクランプレバー(260)の閉鎖を防止する閉鎖ロックアウト機構として機能するように構成されている。
図9に示すように、ロックアウトピン(250)及び近位クレビス(280)は、ロックアウトピン(250)が閉鎖リンク(266)の下方タブ(276)に当接する遠位ロックアウト位置に配置されている。この相互作用は、閉鎖リンク(266)の遠位端がカートリッジチャネル(204)に向かって枢動することを防止し、これにより、クランプレバー(260)が完全に閉鎖することを防止する。
図10A~
図10Dに関連して以下に説明するように、ロックアウトピン(250)は、ステープラ半体(202、230)の遠位ジョー部分(208、236)が十分に近接すると、カートリッジチャネル(204)のV字形ノッチ(216)によって、解放位置まで近位方向にカム動作されるように構成されている。ロックアウトピン(250)は、近位解放位置にある時に、閉鎖リンク(266)の下方タブ(276)を係合解除することにより、閉鎖リンク(266)の枢動及びクランプレバー(260)の閉鎖を可能にする。また、
図10A~
図10Dに関連して以下に説明するように、クランプレバー(260)の閉鎖は、クランプピン(254)をアンビルチャネル(232)の長手方向スロット(252)内及びカートリッジチャネル(204)の湾曲したカムスロット(218)内で遠位方向に駆動し、それによって、ステープラ半体(202、230)を一緒にクランプする。これに続いて、
図9に示すように、クランプレバー(260)が開き、ステープラ半体(202、230)が分離すると、引張ばね(284)が収縮し、ロックアウトピン(250)が遠位ロックアウト位置に戻り、クランプピン(254)が近位位置に戻る。
【0031】
図6及び
図7に示すように、各ステープラ半体(202、230)は、ユーザによる線状外科用ステープラ(200)の効果的な把持及び操作を促進するように構成された、それぞれのシュラウドを含む。本実施例では、カートリッジ半体(202)は、カートリッジチャネル(204)の近位フレーム部分(206)の外表面に結合され、これに沿って長手方向に延在する第1のシュラウド(290)を含む。アンビル半体(230)は、クランプレバー(260)の近位ハンドル部分の外表面に結合され、これに沿って長手方向に延在する第2のシュラウド(294)を含む。本実施例の各シュラウド(290、294)は、ステープラ半体(202、230)の把持及び操作を更に改善するように構成されたそれぞれの遠位肩部(292、296)を含む。
【0032】
図10A~
図10Dは、線状外科用ステープラ(200)のステープラ半体(202、230)の例示的な閉鎖シーケンスを示す。
図10Aに示すように、ステープラ半体(202、230)は、アンビル半体(230)の近位枢動ピン(246)がカートリッジチャネル(204)の近位垂直スロット(214)内に受容されるように、互いに対して位置合わせされる。
図10A~
図10Dには示されていないが、枢動ピン(246)の対向する両端は、
図6に示すように、カートリッジ半体(202)の近位ラッチ部材(222)のラッチフック(224)によって捕捉され、それによって、ステープラ半体(202、230)の近位端を一緒にラッチする。更に、図示されていないが、ステープルカートリッジは、ステープラ半体(202、230)が一緒にされる前に、カートリッジチャネル(204)の遠位ジョー部分(208)内に装填される。
【0033】
図10Aに示す段階では、ロックアウトピン(250)が遠位ロックアウト位置にあるため、閉鎖リンク(266)が枢動することが防止され、したがって、クランプレバー(260)の閉鎖が防止される。次に、
図10A及び
図10Bに示すように、アンビル半体(230)は、近位枢動ピン(246)を中心としてカートリッジ半体(202)に向かって枢動され、これにより、ステープラ半体(202、230)の遠位ジョー部分(208、236)が互いに近接し、その結果、アンビル半体(230)の遠位クランプピン(254)は、カートリッジチャネル(204)の湾曲したカムスロット(218)の開いた近位端内へと導かれる。湾曲したカムスロット(218)の開いた近位端内へのクランプピン(254)の受容は、遠位ジョー部分(208、236)の近接の所定の程度に対応する。この近接により、カートリッジチャネル(204)のV字型ノッチ(216)の傾斜した遠位表面が、ロックアウトピン(250)の両端にカム係合接触し、ロックアウトピン(250)をその解放位置へと近位方向に作動させる。具体的には、V字形状のノッチ(216)の傾斜した表面がロックアウトピン(250)を近位方向に駆動することにより、ロックアウトピン(250)が閉鎖リンク(266)の下方タブ(276)を係合解除する。
【0034】
この結果、
図10Cに示すように、閉鎖リンク(266)はアンビルチャネル(232)に対して自由に枢動できるようになり、クランプレバー(260)はクランプピン(254)を中心としてその閉鎖位置に向かって枢動することができるようになる。
図10C及び
図10Dに示すように、クランプレバー(260)の閉鎖は、クランプピン(254)をカートリッジチャネル(204)のカムスロット(218)内で遠位方向に駆動し、それによって、アンビル半体(230)をカートリッジ半体(202)に対してクランプし、遠位ジョー部分(208、236)の間に配置された組織(図示せず)を圧縮する。上述のように、アンビルチャネル(232)の遠位側の細長いスロット(252)は、閉鎖リンク(266)が枢動し、これと同時にクランプレバー(260)が閉鎖することに応答して、クランプピン(254)がアンビルチャネル(232)に対して遠位方向に並進することを可能にする。したがって、ステープラ(200)の上述の構成は、クランプレバー(260)による機械的利点を提供する一方で、クランプレバー(260)の意図しない早期閉鎖を、ロックアウトピン(250)及び閉鎖リンク(266)によって規定されるクランプレバーロックアウトシステムによって回避する。
【0035】
B.発射ロックアウト及び近位ラッチ機構を提供するボタン部材を有する例示的な線状外科用ステープラ
クランプレバー(260)が完全に閉鎖されるまでは発射アセンブリの遠位作動を防止する更なる機構を備える線状外科用ステープラ(200)を提供することが望ましい場合がある。
図11A及び
図11Bは、そのような機構を含む例示的な代替的な線状外科用ステープラ(300)の近位端を示す。ステープラ(300)は、以下に別途記載する点を除いて同様の参照番号の使用によって示されるように、上述のカートリッジ半体(202)及びアンビル半体(230)と実質的に類似しているカートリッジ半体(302)及びアンビル半体(330)を含む。
【0036】
本実施例のカートリッジ半体(302)は、上述のステープラ(200)の外側に装着された近位ラッチ部材(222)を省略し、代わりに、カートリッジチャネル(204)の近位フレーム部分(206)の近位端内に配置された、内側に装着されたボタン部材(304)を含む。本実施例のボタン部材(304)は、ステープラ(300)の近位端の開口部を通して露出したプッシュボタン機構(308)を画定する近位端を有するブロック状の本体(306)を含む。ラッチフック(310)が、本体(306)の内側部分から上方に延在して近位方向に面しており、アンビル半体(330)の枢動ピン(246)と係合するように構成されている。ポスト(312)が本体(306)の遠位部分から上方に延在しており、閉鎖リンク(266)の下方タブ(276)の近位面と係合するように構成されている。遠位延長部(314)が本体(306)から遠位方向に延在しており、発射アセンブリ(318)のプッシャブロック(320)と係合するように構成された上方に延在するタブ(316)を含む。プッシャブロック(320)はノッチ(322)を含み、ステープルカートリッジを介してナイフ及びステープル駆動機構(図示せず)を駆動するように構成された細長い作動ビーム(324)(又は「ナイフプッシャ」)に連結されている。
【0037】
ボタン部材(304)は、カートリッジチャネル(204)内で長手方向に近位位置と遠位位置との間で移動可能であり、また横方向に上昇位置と下降位置との間で移動可能である。ボタン部材(304)の遠位延長部(314)は、ボタン部材(304)を近位方向に付勢する圧縮ばね(326)の形態の第1の弾性部材に連結されている。板ばね(328)の形態の第2の弾性部材が、ボタン部材(304)の下面に係合し、ボタン部材(304)を上方に付勢している。したがって、圧縮ばね(326)及び板ばね(328)は、協働して、ボタン部材(304)を近位上昇位置に向かって弾性的に付勢している。
【0038】
ボタン部材(304)が近位上昇位置にある状態では、ラッチフック(310)は、カートリッジチャネル(204)の垂直スロット(214)と長手方向に整列している。したがって、アンビル半体(330)の近位枢動ピン(246)が下方に垂直スロット(214)内へと導かれると、枢動ピン(246)は、ラッチフック(310)の傾斜した上面に対してカム動作し、ボタン部材(304)を遠位方向に駆動する。枢動ピン(246)がラッチフック(310)の上部を越えると、ボタン部材(304)は、圧縮ばね(326)によって近位方向に跳ね返り、その結果、ラッチフック(310)が枢動ピン(246)を捕捉し、ステープラ半体(302、330)の近位端の分離を防止する。クランプレバー(260)が閉鎖されると、閉鎖リンク(266)が下向きに枢動することにより、閉鎖リンク(266)の下方タブ(276)がボタン部材(304)に接触して、ボタン部材(304)を板ばね(328)の上方への付勢に抗して下方に付勢し、
図11Aに示す構成をもたらす。ボタン部材(304)のこの近位下降位置では、ポスト(312)は、下方タブ(276)の近位側に当接することによって、ボタン部材(304)を近位位置にロックし、クランプ部材(260)が閉じた状態である間は、枢動ピン(246)のラッチフック(310)からの解放を防止する。加えて、ボタン部材(304)が近位下降位置にある間に、遠位タブ(316)がプッシャブロック(320)から係合解除され、その結果、発射アセンブリ(318)が発射ノブ(210)(
図6を参照)によって遠位方向に作動されて、ステープラ(300)を発射することができるようになる。
【0039】
図11Bに示すように、発射後にクランプレバー(260)を再び開くと、閉鎖リンク(266)の下方タブ(276)は、ボタン部材(304)を係合解除することにより、ボタン部材(304)が板ばね(328)の付勢によって上昇することを可能にする。この結果、遠位タブ(316)はプッシャブロック(320)の下側のノッチ(322)と係合して発射アセンブリ(318)をロックアウトし、クランプレバー(260)が開いた状態で発射アセンブリ(318)が発射ノブ(210)によって遠位方向に作動されることを防止する。
図11Bに更に示すように、閉鎖リンク(266)の下方タブ(276)がボタン部材(304)のポスト(312)を係合解除すると、ユーザが押しボタン機構(308)を使用してボタン部材(304)を遠位方向に作動させることにより、ラッチフック(310)がアンビル半体(230)の近位枢動ピン(246)を解放して、ステープラ半体(302、330)の近位端を分離することができるようになる。
【0040】
C.カートリッジ半体上に閉鎖ロックアウト機構を有する例示的な線状外科用ステープラ
上述のように、線状外科用ステープラ(200、300)はそれぞれ、アンビル半体(230、330)上に配置されたロックアウトピン(250)の形態のクランプレバー(260)及び閉鎖ロックアウト機構を有する。しかしながら、線状外科用ステープラのクランプアーム及び閉鎖ロックアウト機構の両方をカートリッジ半体上に配置することが望ましい場合がある。
図12~
図13Bは、そのような構成を有する例示的な代替的な線状外科用ステープラ(400)を示す。ステープラ(400)は、以下に別途記載する点を除き、上記のステープラ(10、200、300)と類似している。
【0041】
図12に示すように、線状外科用ステープラ(400)は、間に組織をクランプし、同時にクランプされた組織を切断してステープル留めするために、一緒に解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体(402)及びアンビル半体(430)を含む。カートリッジ半体(402)は、発射アセンブリ(図示せず)を摺動可能に収容するように構成された近位フレーム部分(406)と、ステープルカートリッジ(図示せず)を受容するように構成された遠位ジョー部分(408)と、を有する、細長いカートリッジチャネル(404)を含む。近位フレーム部分(406)は、横方向に対向する一対の直立した側部フランジ(410)を含み、各フランジの遠位端に垂直スロット(412)が配置されている。クランプレバー(414)が近位フレーム部分(406)の遠位端に枢動可能に連結されており、ジョースロット(418)をそれぞれ有する一対の横方向に対向するジョー(416)を含む。本形態では、第1のシュラウド(420)がカートリッジチャネル(404)の近位フレーム部分(434)の下側に連結されており、第2のシュラウド(422)がクランプレバー(414)の近位アーム部分に連結されている。
【0042】
カートリッジ半体(402)は、カートリッジチャネル(404)の垂直スロット(412)の1つの中に摺動可能に配置されたブロック要素(424)の形態の閉鎖ロックアウト機構を更に含む。圧縮ばね(426)の形態で示される弾性部材は、ブロック要素(424)を第1のシュラウド(420)の一部分に連結し、ブロック要素(424)を垂直スロット(412)の上部の開放端に向かって横方向に付勢する。
図12及び
図13Aに示すように、ブロック要素(424)は、各クランプレバージョー(416)の遠位先端に当接することにより、ステープラ半体(402、430)が十分に近接していない状態でのクランプレバー(414)の閉鎖を防止するように構成されている。
【0043】
図13A~
図13Bに示すように、アンビル半体(430)は、近位フレーム部分(434)と、上述のアンビル表面(240)のステープル成形ポケット(238)と類似していてもよい複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有するアンビル表面(438)を支持するように構成された遠位ジョー部分(436)と、を有する、細長いアンビルチャネル(432)を含む。アンビル半体(430)は、近位フレーム部分(434)の遠位端を通って横方向に延在するピン(440)を更に含み、ピン(440)は、カートリッジ半体(402)及びアンビル半体(430)が一緒に連結されると、カートリッジチャネル(404)の垂直スロット(412)内に受容されるように構成されている。
【0044】
図13Aは、アンビルピン(440)の対向する両端がブロック要素(424)の上側に係合するように、近位端で互いに連結され、近位端を中心として互いに向かって枢動された後のステープラ半体(402、430)を示す。アンビル半体(430)の遠位ジョー部分(436)がカートリッジチャネル(404)の遠位ジョー部分(408)に向かって更に近接すると、アンビルピン(440)は、圧縮ばね(426)を圧縮することによって、ブロック要素(424)を垂直スロット(412)内で下向きに付勢する。
図13Bに示すように、ステープラ半体(402、430)の更なる近接により、ブロック要素(424)がクランプレバージョー(416)の遠位先端を係合解除して、クランプレバー(414)を枢動閉鎖し、クランプレバー(414)がアンビルピン(440)の対向する両端をジョースロット(412)内に捕捉することができるようにする。したがって、ブロック要素(424)は、アンビルピン(440)がカートリッジチャネルスロット(412)の開放端と十分に位置合わせされて開放端の中に受容された後にのみクランプレバー(414)が閉鎖することを可能にすることにより、ピン(440)の垂直スロット(412)内への受容を防止するクランプレバー(414)の早期閉鎖を防止する。クランプレバー(414)を再び開いてアンビルピン(440)をカートリッジチャネルスロット(412)から解放すると、圧縮ばね(426)が広がり、ブロック要素(424)を
図13Aに示す上昇した遮断位置に戻す。
【0045】
III.クランプレバーを開くための補助レバーを有する例示的な線状外科用ステープラ
ステープラ半体がより大きなクランプ力でより厚い組織断片に対してクランプされる時に特に有利であり得る、クランプレバーの開放を補助する機構を有する線状外科用ステープラを提供することが望ましい場合がある。
図14~
図15Bは、このような利益を提供する補助レバー(510)を有する例示的な線状外科用ステープラ(500)を示す。ステープラ(500)は、以下に別途記載する点を除き、上記のステープラ(10、200、300、400)と類似している。
【0046】
図14に示すように、線状外科用ステープラ(500)は、間に組織をクランプし、同時にクランプされた組織を切断してステープル留めするために、一緒に解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体(502)及びアンビル半体(520)を含む。カートリッジ半体(502)は、
図15A及び
図15Bに示す細長い作動部材(504)を含む発射アセンブリを摺動可能に収容するように構成された近位フレーム部分を有する細長いカートリッジチャネル(504)を含む。カートリッジチャネル(504)の遠位ジョー部分(506)は、ステープルカートリッジ(図示せず)を受容するように構成されている。カートリッジ半体(502)は、カートリッジチャネル(504)に枢動可能に連結され、開放位置と閉鎖位置との間で枢動して、アンビル半体(520)をカートリッジ半体(502)に対してクランプするように構成されたクランプレバー(508)を更に含む。
【0047】
カートリッジ半体(502)は、カートリッジ半体(502)の近位部分に枢動可能に連結された補助レバー(510)を更に含む。本実施例の補助レバー(510)は、近位ヘッド(512)と、ヘッド(512)から遠位方向に角度をなして下方に延在する細長いアーム(514)と、レバーアーム(514)の遠位端から角度をなして上方に延在する遠位フィンガー(516)と、を含む。
図14に示すように、レバーフィンガー(516)は、クランプレバー(508)の近位端の下側に係合するように配置されている。したがって、クランプレバー(508)が閉鎖されると、クランプレバー(508)は遠位フィンガー(516)と係合して補助レバー(510)を第1の方向に枢動し、その結果、近位ヘッド(512)が上昇する。ユーザがクランプレバー(508)を開くことを望む時に、ユーザは近位ヘッド(512)を押し、これによって補助レバー(510)が第2の方向に枢動して、遠位フィンガー(516)をクランプレバー(508)の近位端の下側と当接させ、それにより、クランプレバー(508)がわずかに開く。
【0048】
図15A及び
図15Bに示すように、本実施例の補助レバー(510)は、レバーアーム(514)から下方に延在する発射ロックアウトタブ(518)を更に含む。
図15Aに示すように、クランプレバー(508)が開くと、補助レバー(510)は、ロックアウトタブ(518)が発射アセンブリ作動部材(504)の近位端と係合することにより、作動部材(504)の遠位方向への作動を阻止して発射を防止する枢動位置となるように構成されている。
図15Bに示すように、クランプレバー(508)が閉鎖されると、クランプレバー(508)は、レバーアーム(514)と係合して補助レバー(510)を枢動させ、その結果、ロックアウトタブ(518)が発射アセンブリ作動部材(504)から係合解除されて、ステープラ(500)の発射が可能となる。
【0049】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0050】
外科用ステープラであって、(a)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの一方を支持するように構成された遠位部分を有する、第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの他方を支持するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、(c)クランプ部材であって、第1の細長い部材及び第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材と、(d)第1の細長い部材によって支持されるクランプロックアウト機構であって、クランプロックアウト機構がクランプ部材の閉鎖を防止するように構成されているロックアウト位置と、クランプロックアウト機構がクランプ部材の閉鎖を可能にするように構成されている解放位置との間で移動可能である、クランプロックアウト機構と、(e)第2の細長い部材によって支持される作動機構であって、第1の細長い部材及び第2の細長い部材の遠位部分の近接に応答して、クランプロックアウト機構をロックアウト位置から解放位置へと作動させるように構成されている、作動機構と、を備える、外科用ステープラ。
【実施例2】
【0051】
第1の細長い部材の遠位部分が、複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面を支持し、第2の細長い部材の遠位部分が、ステープルカートリッジを支持するように構成され、クランプロックアウト機構及び作動機構は、アンビル表面の近位に位置する、実施例1に記載の外科用ステープラ。
【実施例3】
【0052】
クランプ部材が、連結要素によって第1の細長い部材に枢動可能に連結されたクランプレバーを含む、実施例1又は2のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例4】
【0053】
連結要素が、クランプレバーの閉鎖に応答して、第1の細長い部材に対して並進するように構成されている、実施例3に記載の外科用ステープラ。
【実施例5】
【0054】
第2の細長い部材が、クランプレバーの閉鎖に応答して連結要素を捕捉するように構成されたスロットを含む、実施例3~4のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例6】
【0055】
クランプロックアウト機構が、ロックアウト位置と解放位置との間で第1の細長い部材の長手方向軸に沿って並進するように構成されている、実施例1~5のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例7】
【0056】
ロックアウト位置が、遠位に配向され、解放位置が、近位に配向されている、実施例1~6のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例8】
【0057】
クランプロックアウト機構が、ロックアウト位置に向かって弾性的に付勢されている、実施例1~7のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例9】
【0058】
クランプロックアウト機構が、第1の細長い部材に対して横方向に延在するピンを含む、実施例1~8のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例10】
【0059】
作動機構が、傾斜面を含み、傾斜面が、第1の細長い部材及び第2の細長い部材の遠位部分の近接に応答して、クランプロックアウト機構をロックアウト位置から解放位置まで長手方向にカム動作させるように構成されている、実施例1~9のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例11】
【0060】
傾斜面が、第2の細長い部材内に形成されたノッチによって画定されている、実施例10に記載の外科用ステープラ。
【実施例12】
【0061】
クランプ部材に連結されたリンクを更に備え、ロックアウト位置のクランプロックアウト機構が、リンクと係合してクランプ部材の閉鎖を防止するように構成され、解放位置のクランプロックアウト機構が、リンクを係合解除してクランプ部材の閉鎖を可能にするように構成されている、実施例1~11のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例13】
【0062】
リンクの近位端が、第1の細長い部材に枢動可能に連結され、リンクの遠位端はクランプ部材に枢動可能に連結されている、実施例12に記載の外科用ステープラ。
【実施例14】
【0063】
クランプ部材が、第1の細長い部材に枢動可能に連結されたクランプレバーを含み、リンクが、クランプレバーの自由端に解放可能に係合するように構成された突出部を含む、実施例12~13のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例15】
【0064】
リンクの近位端が、連結要素によって第1の細長い部材に連結され、外科用ステープラが、第2の細長い部材によって支持される移動可能な構造体を更に含み、移動可能な構造体が、連結要素を解放可能に捕捉することによって第1の細長い部材の近位端を第2の細長い部材の近位端に連結するように構成されたラッチ機構を含む、実施例12~14のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例16】
【0065】
外科用ステープラであって、(a)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの一方を支持するように構成された遠位部分を有する、第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの他方を支持するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材の第1の部分に連結されたクランプ部材であって、第1の細長い部材及び第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材と、(d)リンクであって、リンクの第1の端部が、第1の細長い部材の第2の部分に連結されており、リンクの第2の端部が、クランプ部材に連結されている、リンクと、を備え、リンクは、第1の細長い部材が第2の細長い部材から分離された時に、クランプ部材の閉鎖を防止するように動作可能であり、リンクは、第1の細長い部材及び第2の細長い部材の遠位部分の近接に応答して、クランプ部材の閉鎖を可能にするように動作可能である、リンクと、を備える、外科用ステープラ。
【実施例17】
【0066】
リンクの第1の端部が、第1の細長い部材の第2の部分に枢動可能に連結され、リンクの第2の端部が、クランプ部材に枢動可能に連結されている、実施例16に記載の外科用ステープラ。
【実施例18】
【0067】
ロックアウト位置と解放位置との間で移動可能なロックアウト機構を更に備え、ロックアウト位置のロックアウト機構が、リンクと係合してクランプ部材の閉鎖を防止するように構成され、解放位置のロックアウト機構が、リンクを係合解除してクランプ部材の閉鎖を可能にするように構成されている、実施例16~17のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例19】
【0068】
外科用ステープラであって、(a)複数のステープル成形ポケットを有する遠位部分を有する第1のステープラ半体と、(b)第1のステープラ半体と解放可能に連結するように構成された第2のステープラ半体であって、(i)近位部分と、(ii)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分と、(iii)発射アセンブリと、(iv)近位部分によって支持される移動可能な構造体であって、(A)ラッチ機構と、(B)発射ロックアウト機構と、を含む移動可能な構造体と、を含む第2のステープラ半体と、を備え、移動可能な構造体は、ラッチ機構が第1のステープラ半体の近位機構を捕捉し、発射ロックアウト機構が発射アセンブリの作動を可能にする第1の位置と、ラッチ機構が近位機構を解放し、発射ロックアウト機構が発射アセンブリの作動を防止する第2の位置と、の間で移動可能である、外科用ステープラ。
【実施例20】
【0069】
第1のステープラ半体及び第2のステープラ半体を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材を更に備え、移動可能な構造体は、クランプ部材が閉鎖位置にある時に移動可能な構造体が第2の位置に移動することを防止するように構成された構造体ロックアウト機構を更に含む、実施例19に記載の外科用ステープラ。
【0070】
V.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0071】
更に、本明細書に記載する教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ又は2つ以上を、以下で説明する教示、表現、実施形態、実施例などのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる;特許米国出願第15/889,363号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Release Mechanism for Linear Surgical Stapler」;米国出願第15/889,370号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Lockout Assembly for Linear Surgical Stapler」;米国出願第15/889,374号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Features to Align and Close Linear Surgical Stapler」;米国出願第15/889,376号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Releasable Coupling Features for Proximal Portions of Linear Surgical Stapler」;米国出願第15/889,388号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Firing Lever Assembly for Linear Surgical Stapler」;米国出願第15/889,390号、2018年2月6日に出願された、発明の名称「Clamping Mechanism for Linear Surgical Stapler」;米国出願第16/102,164号、2018年8月13日に出願された、発明の名称「Firing System for Linear Surgical Stapler」;米国出願第16/102,170号、2018年8月13日に出願された、発明の名称「Clamping Assembly for Linear Surgical Stapler」;及び、米国出願[代理人整理番号END8624USNP]、本願と同日出願の発明の名称「Anvil Assembly for Linear Surgical Stapler」。これらの出願の各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるいかなる特許、公報、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載される他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0073】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手技における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手技における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日に交付された「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる、1998年10月6日発行の、「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」と題する米国特許第5,817,084号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1999年3月2日発行の「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」と題する米国特許第5,878,193号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年5月15日発行の「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」と題する米国特許第6,231,565号、その開示は参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月31日発行の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題する米国特許第6,783,524号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年4月2日発行の「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」と題する米国特許第6,364,888号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2009年4月28日発行の「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」と題する米国特許第7,524,320号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年4月6日発行の「Platform Link Wrist Mechanism」と題する米国特許第7,691,098号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年10月5日発行の「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」と題する米国特許第7,806,891号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年9月30日発行の「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」と題する米国特許第8,844,789号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年9月2日発行の「Robotically-Controlled Surgical Instruments」と題する米国特許第8,820,605号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年12月31日発行の「Shiftable Drive Interface for Robotically-Controlled Surgical Tool」と題する米国特許第8,616,431号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年11月5日発行の「Surgical Stapling Instruments with Cam-Driven Staple Deployment Arrangements」と題する米国特許第8,573,461号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年12月10日発行の「Robotically-Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」と題する米国特許第8,602,288号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2016年4月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」と題する米国特許第9,301,759号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月22日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年8月12日発行の「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許出願公開第8,800,838号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年11月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号。
【0074】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は手技の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0075】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、手技の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の他の任意の技術を用いて滅菌してもよい。
【0076】
以上、本発明の様々な実施形態を図示及び記載したが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような潜在的な修正のうちのいくつかについて述べたが、他の修正も当業者には明らかになるであろう。例えば、上で考察される実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0077】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープラであって、
(a)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの一方を支持するように構成された遠位部分を有する、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの他方を支持するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)クランプ部材であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材と、
(d)前記第1の細長い部材によって支持されるクランプロックアウト機構であって、前記クランプロックアウト機構が前記クランプ部材の閉鎖を防止するように構成されているロックアウト位置と、前記クランプロックアウト機構が前記クランプ部材の閉鎖を可能にするように構成されている解放位置との間で移動可能である、クランプロックアウト機構と、
(e)前記第2の細長い部材によって支持される作動機構であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材の前記遠位部分の近接に応答して、前記クランプロックアウト機構を前記ロックアウト位置から前記解放位置へと作動させるように構成されている、作動機構と、
を備える、外科用ステープラ。
(2) 前記第1の細長い部材の前記遠位部分が、複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面を支持し、前記第2の細長い部材の前記遠位部分が、ステープルカートリッジを支持するように構成され、前記クランプロックアウト機構及び前記作動機構が、前記アンビル表面の近位に位置する、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(3) 前記クランプ部材が、連結要素によって前記第1の細長い部材に枢動可能に連結されたクランプレバーを含む、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(4) 前記連結要素が、前記クランプレバーの閉鎖に応答して、前記第1の細長い部材に対して並進するように構成されている、実施態様3に記載の外科用ステープラ。
(5) 前記第2の細長い部材が、前記クランプレバーの閉鎖に応答して、前記連結要素を捕捉するように構成されたスロットを含む、実施態様4に記載の外科用ステープラ。
【0078】
(6) 前記クランプロックアウト機構が、前記ロックアウト位置と前記解放位置との間で前記第1の細長い部材の長手方向軸に沿って並進するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(7) 前記ロックアウト位置が、遠位に配向され、前記解放位置が、近位に配向されている、実施態様6に記載の外科用ステープラ。
(8) 前記クランプロックアウト機構が、前記ロックアウト位置に向かって弾性的に付勢されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(9) 前記クランプロックアウト機構が、前記第1の細長い部材に対して横方向に延在するピンを含む、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(10) 前記作動機構が、傾斜面を含み、前記傾斜面が、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材の前記遠位部分の近接に応答して、前記クランプロックアウト機構を前記ロックアウト位置から前記解放位置まで長手方向にカム動作させるように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
【0079】
(11) 前記傾斜面が、前記第2の細長い部材内に形成されたノッチによって画定されている、実施態様10に記載の外科用ステープラ。
(12) 前記クランプ部材に連結されたリンクを更に備え、前記ロックアウト位置の前記クランプロックアウト機構が、前記リンクと係合して前記クランプ部材の閉鎖を防止するように構成され、前記解放位置の前記クランプロックアウト機構が、前記リンクを係合解除して前記クランプ部材の閉鎖を可能にするように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(13) 前記リンクの近位端が、前記第1の細長い部材に枢動可能に連結され、前記リンクの遠位端は前記クランプ部材に枢動可能に連結されている、実施態様12に記載の外科用ステープラ。
(14) 前記クランプ部材が、前記第1の細長い部材に枢動可能に連結されたクランプレバーを含み、前記リンクが、前記クランプレバーの自由端に解放可能に係合するように構成された突出部を含む、実施態様12に記載の外科用ステープラ。
(15) 前記リンクの近位端が、連結要素によって前記第1の細長い部材に連結され、前記外科用ステープラが、前記第2の細長い部材によって支持される移動可能な構造体を更に含み、前記移動可能な構造体が、前記連結要素を解放可能に捕捉することによって、前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端に連結するように構成されたラッチ機構を含む、実施態様12に記載の外科用ステープラ。
【0080】
(16) 外科用ステープラであって、
(a)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの一方を支持するように構成された遠位部分を有する、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジ又は複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面のうちの他方を支持するように構成された遠位部分を有する、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材の第1の部分に連結されたクランプ部材であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材と、
(d)リンクであって、前記リンクの第1の端部が、前記第1の細長い部材の第2の部分に連結され、前記リンクの第2の端部が、前記クランプ部材に連結されている、リンクと、
を備え、
前記リンクは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材から分離された時に、前記クランプ部材の閉鎖を防止するように動作可能であり、前記リンクは、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材の前記遠位部分の近接に応答して、前記クランプ部材の閉鎖を可能にするように動作可能である、
外科用ステープラ。
(17) 前記リンクの前記第1の端部が、前記第1の細長い部材の前記第2の部分に枢動可能に連結され、前記リンクの前記第2の端部が、前記クランプ部材に枢動可能に連結されている、実施態様16に記載の外科用ステープラ。
(18) ロックアウト位置と解放位置との間で移動可能なロックアウト機構を更に備え、前記ロックアウト位置の前記ロックアウト機構が、前記リンクと係合して前記クランプ部材の閉鎖を防止するように構成され、前記解放位置の前記ロックアウト機構が、前記リンクを係合解除して前記クランプ部材の閉鎖を可能にするように構成されている、実施態様16に記載の外科用ステープラ。
(19) 外科用ステープラであって、
(a)複数のステープル成形ポケットを有する遠位部分を有する第1のステープラ半体と、
(b)前記第1のステープラ半体と解放可能に連結するように構成された第2のステープラ半体であって、
(i)近位部分と、
(ii)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分と、
(iii)発射アセンブリと、
(iv)前記近位部分によって支持される移動可能な構造体であって、
(A)ラッチ機構と、
(B)発射ロックアウト機構と、
を含む移動可能な構造体と、
を含む第2のステープラ半体と、
を備え、
前記移動可能な構造体は、前記ラッチ機構が前記第1のステープラ半体の近位機構を捕捉し、前記発射ロックアウト機構が前記発射アセンブリの作動を可能にする第1の位置と、前記ラッチ機構が前記近位機構を解放し、前記発射ロックアウト機構が前記発射アセンブリの作動を防止する第2の位置と、の間で移動可能である、
外科用ステープラ。
(20) 前記第1のステープラ半体及び前記第2のステープラ半体を一緒に解放可能にクランプするように、開放位置から閉鎖位置へと移動可能である、クランプ部材を更に備え、前記移動可能な構造体は、前記クランプ部材が前記閉鎖位置にある時に、前記移動可能な構造体が前記第2の位置に移動することを防止するように構成された構造体ロックアウト機構を更に含む、実施態様19に記載の外科用ステープラ。
【国際調査報告】