(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】注入装置用の保持装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61M5/00 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519762
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 FR2019052396
(87)【国際公開番号】W WO2020074829
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506257331
【氏名又は名称】クロスジェクト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ヴィヴィアン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE06
4C066GG10
4C066LL22
(57)【要約】
本発明は、本体(4)の一端の上部フランジ(8)と前記本体(4)の他端の下部フランジ(6)とを有する注入装置の管(2)を保持するための保持装置(10)に関する。保持装置は、1つの管をそれぞれ支持するための複数のオリフィス(12)を備え、各オリフィスは、管および各フランジを通過可能に構成されている。保持装置は、上部フランジを介してオリフィスを通る管を保持可能に構成されている複数の保持手段(P)を備える。保持手段は、少なくとも1つの弾性的に変形可能な要素(22)を有している。弾性的に変形可能な要素は、オリフィスに合わせて配置された保持端(18)を含み、上部フランジがオリフィスを通過するときに変形し、オリフィスに挿入される場合にフランジを介して管を支持するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(4)の一端の上部フランジ(8)と、前記本体(4)の他端の下部フランジ(6)とを有するタイプの注入装置の管(2)を保持するために設けられる保持装置(10)であって、
前記保持装置(10)は、管(2)をそれぞれ支持するように設けられた複数のオリフィス(12)を備え、前記オリフィス(12)の各々は、前記管(2)および前記フランジ(6,8)の各々を通過可能に構成され、
前記保持装置(10)は、複数の保持手段(P)を含み、前記保持手段の各々は、前記上部フランジ(8)により前記オリフィス(12)の1つを通る前記管(2)の1つを保持可能に構成され、
前記保持手段(P)の各々は、弾性的に変形可能な要素(22)を有し、前記弾性的に変形可能な要素(22)は、前記オリフィス(12)に合わせて配置された保持端(18)を含み、
前記保持端(18)は、前記オリフィス(12)を前記上部フランジ(8)が通過しているときに変形可能に構成され、前記管が前記オリフィス(12)に挿入される場合に前記フランジ(8)によって前記管(2)を支持するように構成されている、保持装置。
【請求項2】
前記保持手段(P)が、前記管(2)が前記オリフィス(12)に挿入される場合に、少なくとも部分的に前記管(2)の前記本体(4)と接触する、請求項1の保持装置。
【請求項3】
前記保持手段(P)が上方に突出している、請求項1または2の保持装置。
【請求項4】
前記保持手段(P)が前記オリフィス(12)のための壁で構成され、前記壁が前記保持装置(10)から突出している、請求項1から3のいずれか1つの保持装置。
【請求項5】
前記壁(P)が、前記保持装置(10)と接触する近位端(16)と、前記オリフィス(12)に合わせて配置された前記保持端(18)を構成する遠位端とを有し、
前記保持端(18)が、前記オリフィス(12)を前記管(2)の前記上部フランジ(8)が通過しているときに変形するように構成され、前記オリフィス(12)に挿入されるときに前記フランジ(8)によって前記管(2)を支持するように構成された開口部(20)を構成する、請求項4の保持装置。
【請求項6】
前記弾性的に変形可能な要素(22)が、少なくとも2つ、好ましくは3から5の間、より好ましくは6つの脚部(22)を有する、請求項1から5のいずれか1つの保持装置。
【請求項7】
前記脚部(22)が前記壁(P)を構成する、請求項4または5、および、請求項4または5に従属する請求項6の保持装置。
【請求項8】
前記オリフィス(12)が前記上部フランジ(8)に対して相補的であるように構成されている、請求項1から7のいずれか1つの保持装置。
【請求項9】
前記オリフィス(12)の寸法が、15mmから20mmの間、例えば、16mmである、請求項1から8のいずれか1つの保持装置。
【請求項10】
前記開口部(20)の寸法が、10mmから15mmの間、例えば、12mmである、請求項5から9のいずれか1つの保持装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つの保持装置(10)と、
本体(4)の一端の上部フランジ(8)および前記本体(4)の他端の下部フランジ(6)をそれぞれ有する複数の注入装置の管(2)であって、前記保持装置(10)のオリフィス(12)に挿入されるようにそれぞれ構成された複数の管(2)と
を備える、アセンブリ。
【請求項12】
薬剤注入装置の管(2)を保持するための請求項1から11のいずれか1つの保持装置(10)を実施するための方法であって、管(2)を前記保持装置(10)の前記オリフィス(12)の各々に垂直に挿入する、方法。
【請求項13】
管(2)を前記保持装置(10)の底から前記オリフィス(12)の各々に垂直に挿入する、請求項3および請求項3に従属する請求項4から10のいずれか1つの保持装置(10)を実施するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤注入装置の管を保持するための装置、および、薬剤注入装置の管を保持するための装置を実施するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
針を有する注入装置に通常使用され操作者により押されるピストンで構成されているシリンジは、一般的に、上端と呼ばれる端部にフランジが設けられた管を含んでいる。
【0003】
本文中の残りの部分では、「上」、「下」、「横」、「縦」、「上」、「下」などの用語は、限定されることなく、使用する位置にあるデバイスに関連して使用される。
【0004】
特にFR-A1-3038232に開示されている別のタイプの既知の注入装置は、人間の医学または獣医学の治療用に、液体に含まれる有効成分を針なしで皮内、皮下、または筋肉内に注入する。液体は、ゲルまたは粘性の高い液体であることもある。これらの装置は単回使用で、加圧ガス発生器などのエネルギー源を含む。エネルギー源は、両端にフランジを持つガラス管で形成されたシリンダー内に調整されたピストンに突然放出されるガスを供給し、このピストンの下に含まれる流体を皮膚に接触する注射ノズルに押し出して、この皮膚の下に流体を注入する。フランジは一般的に同じ直径を持っている。
【0005】
注入装置、特にニードルレス注入装置用のガラス管は、その準備段階で、制御された空気環境の中で、洗浄、乾燥、シリコーン蒸着、脱パイロジェン、および、最終滅菌という一連のサイクルを経験する。
【0006】
シングルフランジを含む管を準備するサイクルでは、管は、トレイに形成された円形の保持オリフィスに挿入され、シングルフランジがオリフィス上にエッジベアリングを形成し、これらの管を垂直に形成する。このようにして、同じトレイに配置された一連の管は、異なる装置で容易に操作され、連続した準備作業を実行する。管は、簡単に、素早く、確実に操作することができる。
【0007】
このタイプの保持装置は、両端に異なる寸法のフランジを有し上端のフランジの寸法が下端のフランジの寸法よりも大きい管の準備のサイクルにも使用できる。
【0008】
しかし、特にガラス製で、同様の寸法を有する両端のフランジを含む管では、管のフランジを支持するのに十分な直径を持つ円形の保持オリフィスが、上端のフランジを保持できなかったため、このようなトレイを使用することができない。
【0009】
このため、管の本体をそれぞれ支持するように設けられたオリフィスを備えるトレイが知られている。このトレイでは、各オリフィスは、フランジよりも小さい寸法の保持部を有し、管の上端のフランジを垂直に塞ぐことができる。保持部は、フランジの通過を可能にする挿入部によって横方向に延びている。
【0010】
このタイプの保持装置は、作業者が、各管の下端のフランジを挿入部に挿入し、このチューブを保持部に向かって垂直にスライドさせることができる。管は、ボアの上に保持されるその上側フランジによって垂直に保持される。
【発明の概要】
【0011】
このようなトレイは、全体としては満足できるものであるが、特に、生産能力を向上させるため、保持装置によって保持されるチューブの数を増やして、準備サイクル中に準備されるチューブの数を増やすことを目的として、改善される可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、特に、このような先行技術の不利益を回避することにある。
【0013】
この目的のため、本体の一端の上部フランジと、本体の他端の下部フランジとを有するタイプの注入装置の管を保持するために設けられる保持装置であって、管をそれぞれ支持するように設けられた複数のオリフィスを備える、保持装置を提案する。保持装置は、各オリフィスが、管およびそのフランジの各々を通過可能に構成されている点において優れ、複数の保持手段を含み、各保持手段が、上部フランジによりオリフィスを通る管を保持可能に構成され、各保持手段が、少なくとも1つの弾性的に変形可能な要素を有し、弾性的に変形可能な要素は、オリフィスに対して垂直に位置する保持端を含み、保持端は、オリフィスを上部フランジが通過しているときに変形可能に構成され、オリフィスに挿入される場合に前記フランジによって前記管を支持するように構成されている点において優れている。
【0014】
保持装置は、例えば、トレイである。
【0015】
本願明細書の残りの記載において、「トレイ」という用語は、任意の保持装置を意味する。
【0016】
保持装置は、複数の保持手段を備え、各保持手段は、オリフィスの1つを通過する管の1つをその上部フランジで保持するように構成されていることが理解される。
【0017】
保持装置は、オリフィス保持手段を備えることが理解される。言い換えれば、各保持手段はオリフィスと関連している。
【0018】
エレメントは弾性的に変形可能であり、上部フランジによって機械的に押圧されて、その通路で変形するように構成される。
【0019】
保持端は、機械的圧力が除去されるときに、その上部フランジによって管を支持するように構成される。
【0020】
それは有利にも保持面を定義する。
【0021】
「オリフィスに対して垂直に配置されている」とは、オリフィスに挿入されるときに、保持端がオリフィス内に配置されているか、または、管の経路上に配置されていることを意味する。
【0022】
保持手段は、オリフィスを介して支持位置で管を保持するように構成される。
【0023】
より詳細には、保持手段は管を垂直に保持するように構成されており、管の上部フランジは保持端にある。
【0024】
このトレイの利点は、シンプルで迅速かつ効率的な方法で、作業者が各管をオリフィスに挿入でき、管がその上部フランジで垂直に保持されることである。
【0025】
さらに、このトレイのオリフィスは、従来の技術と比較して、トレイのスペースを節約し、追加の管を収納できるようになっている。
【0026】
本発明によるトレイは、以下の特徴のうちの1以上を含むことができる。これらの特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0027】
例えば、保持装置は、好ましくは平らなプレートで構成される。オリフィスはそのプレートに形成される。
【0028】
特に、保持手段は、管がオリフィスに挿入されるときに、少なくとも部分的に管の本体と接触して、管を追加的に保持可能に構成される。
【0029】
ある特徴によれば、保持手段はトレイに固定されている。より具体的には、保持手段の各々がプレートに固定される。
【0030】
保持手段とトレイは1つの部材(one piece)で形成されている。より具体的には、保持手段およびプレートの各々は一体に形成される。
【0031】
一実施形態では、保持手段は上方に突出する。
【0032】
例えば、保持手段の各々はプレートから突出する。
【0033】
ある特徴によれば、保持手段はオリフィスのための壁を形成する。壁はトレイから突出する。より具体的には、壁はプレートから突出する。
【0034】
一態様によると、各保持手段は、オリフィスの1つを囲む壁を形成する。
【0035】
「壁」は、オリフィスを取り囲む突出した要素を意味する。この要素は空間を含むことでオープンワーク(openwork)にできる。
【0036】
壁は、オープンワークにできる。
【0037】
壁は、管をトレイに保持する力を高める。言い換えれば、壁は管をトレイに保持する力を向上させることができる。
【0038】
ある特徴によれば、壁が、トレイと接触する、より詳しくはプレートと接触する近位端と、オリフィスに対して垂直に配置された保持端を構成する遠位端とを有する。保持端は、管の上部フランジがオリフィスを通過中に変形するように構成され、オリフィスに挿入されるときにフランジによって管を支持するように構成された開口部を構成する。
【0039】
開口部は、オリフィスよりも小さい寸法で、管の上部フランジよりも小さい寸法になるように構成される。
【0040】
壁は、上部フランジの通過中に逸脱するように構成されるように弾性的に変形可能である。
【0041】
有利には、弾性的に変形可能な要素は、少なくとも2つの脚、好ましくは3~10の脚、より好ましくは6つの脚を有する。
【0042】
脚は、有利には、壁を構成する。
【0043】
このようにして、壁は、脚の間に配置された空間を有し、上部フランジがオリフィスを通過中に、壁を逸脱できる。
【0044】
ある特徴によれば、オリフィスは上部フランジと相補的に構成される。
【0045】
「相補的」とは、オリフィスの形状が、上部フランジの形状に実質的に一致しているが、その寸法が、管がオリフィスに挿入されるときにフランジが通過できるようにわずかに大きいことを意味する。言い換えれば、オリフィスおよび管の上部フランジは、形を合わせて協働する(cooperate in a form-fitting manner)ように構成されている。
【0046】
この方法では、トレイのスペースが無駄にならないため、生産能力の最適化を図ることができる。
【0047】
有利なことに、トレイは、射出成形された液晶ポリマーで構成されたプラスチック材料を含む。プラスチック材料は、良好な剛性、異なる化学物質に対する耐性、および、高温の乾式滅菌に対する耐性を備えている。
【0048】
前述のトレイは、本体の上端のシングルフランジを含むタイプの管、および/または、上部フランジおよび下部フランジを含み上部フランジは下部フランジよりも大きいか等しい寸法を有するタイプの管を保持するように構成されることに留意すべきである。
【0049】
いくつかの実施形態では、オリフィスの直径は15~20mmの間で、例えば16mmで構成される。
【0050】
いくつかの実施形態では、開口部の直径は、10~15mmの間で、例えば、12mmで構成される。
【0051】
本発明は、さらにアセンブリに関する。このアセンブリは、前述のいずれか1つの特徴を有する保持装置と、本体の一端の上部フランジおよび本体の他端の下部フランジを有する注入装置の管であって保持装置のオリフィスに挿入されるように構成された管とを備える。
【0052】
また、本発明は、薬剤注入装置の管を保持するための、既述のトレイを実施するための方法であって、管がトレイの各オリフィスに垂直に挿入される方法に関する。
【0053】
保持手段が上方に突出している実施形態では、トレイを実施する方法は、トレイの底部から各オリフィスに管を挿入するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明の他の特徴や利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで明らかになる。
【
図1】
図1は、本体の両端にフランジを有するタイプのニードルレス注入装置の管の概略透視側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の管を支持するために設けられた、本発明のオリフィスを有するトレイの概略透視上面図である。
【
図3】
図3は、
図2のトレイのオリフィスを示す模式的な透視図である。
【
図5】
図5は、
図2のトレイの詳細を示す模式的な側面図で、管がオリフィスに挿入されている。
【発明を実施するための形態】
【0055】
「上」、「下」、「前」、「後」、「上」、「下」、およびそれらの派生語は、要素またはコンポーネントの位置または向き(方向付け)に対する言及であり、この位置または向きは、トレイが使用構成(use configuration)にあるときに考慮される。
【0056】
図1は、注入装置用のガラス管2を表している。管2は、一端の下部フランジ6および他端の上部フランジ8を有する円筒状の本体4を備えている。下部フランジ6および上部フランジ8の各々は、本体の主軸まわりに回転する外側ビード(outer bead)を形成している。
【0057】
上部フランジ8および下部フランジ6は、円形状である。
【0058】
ガラス管2は、特に、上述の先行技術文献FR-A1-3038232に示されている注入装置で使用され得る。
【0059】
【0060】
有利なことに、トレイ10は、「LCP」と呼ばれる、液晶ポリマーで構成されたプラスチック材料を射出成形することで作製される。「LCP」は、240℃のドライヒートサイクル、および、異なる化学薬品に耐性を有する高い機械的性能を持つ材料である。
【0061】
トレイ10は、対向する2つの側面の中央に、このトレイの操作を容易にするノッチ14を有する平板24を含む。
【0062】
トレイ10は、ノッチ14を含む側面に対して平行である、7つの円形オリフィス12の8つの同一列を含む。
【0063】
各オリフィス12は、このトレイに対して垂直な軸を有することにより(
図5)、垂直に保持されたガラス管2を支持するように設けられている。
【0064】
図3に詳細を示すように、各オリフィス12は、トレイから上方に突出する6つの脚22を含み、脚22の間の空間13によってオープンワークである、オリフィスの壁Pを形成する。
【0065】
6つの脚22は、30度に方向付けられている。
【0066】
図示されていないバリエーションでは、オリフィスが、3つまたは4つの脚を有する。6つの脚の存在は、管をより良く保持できるという点で有利である。
【0067】
このオープンワーク壁Pは、
図5に関して詳細に説明するように、その上部フランジ8によって、オリフィス12を通るチューブ2を保持するように構成されている。
【0068】
壁Pは、管を保持するための手段である。
【0069】
各脚部22は、オリフィス12の輪郭でトレイ10のプレート24と接触する近位端16と、オリフィス12に対して垂直に位置する保持端18と呼ばれる遠位端とを有する。
【0070】
したがって、各脚22はトレイ10に固定され、保持端18はオリフィスを通って挿入されるときの管2の経路上に位置している。
【0071】
各脚部22は、近位端16から保持端18への上部フランジ8の通過中に変形し、
図5に示されるように、管2がオリフィス12を通って挿入されるときに上部フランジ8を支持するように、弾性的に変形可能である。
【0072】
このため、各脚は、上部フランジ8によって機械的に押圧され、その通路上で変形するように構成されている。
【0073】
保持端18は、機械的応力が除去されたときに、その上部フランジ8によって管2を支持するように構成されている。
【0074】
オリフィス12の各脚22の保持端18は、オリフィスに対して垂直に位置する保持面を規定している。
【0075】
保持面は、オリフィス12に対して垂直に位置する開口部20(
図4)を形成し、
図5に示すように、上部フランジ8の通過中に変形し、オリフィス12を通って挿入されるときに、その上部フランジ8によって管2を支持するように構成されている。
【0076】
さらに、各脚22は、近位端16からオリフィス12の内側に向かう、斜め上向きの近位部26と、近位部26から保持端18に向かう、垂直上向きの遠位部28とを有している。
【0077】
さらに、各脚22の高さは、オリフィス12に挿入された管2を確実に垂直に保持するために、10~25mm、好ましくは18.5mmで構成されている。
【0078】
近位部26の高さは10~15mmの間、好ましくは13mmで構成され、遠位部28の高さは3~5mmの間、好ましくは4mmで構成される。
【0079】
図4に示すように、開口部20の直径「d」は12.2mmであり、オリフィス12の直径「D」は16mmである。
【0080】
そのため、開口部20はオリフィス12よりも小さい寸法となっている。
【0081】
さらに、上部フランジ8は、14mmの範囲の直径を有している。そのため、オリフィス12と相補的な寸法でありながら、開口部20よりも大きな寸法となっている。
【0082】
図5は、前述のようにオリフィス12に挿入された管2を含むトレイ10の一部を示している。トレイ10は、ガラス管2を処理するための異なる装置に配置できる、「タブ(Tub)」とも呼ばれる輪郭を形成する標準化された支持体30に調整されている。
【0083】
トレイ10は、支持体30から取り出す際にトレイを把持するために用いられる「鍵穴」の形をしたルーメン17を含んでいる。
【0084】
各オリフィス12は、管2およびそのフランジ6,8の各々を通過するように構成されている。
【0085】
脚部22によって形成されたオリフィス12の壁Pは、オリフィス12を通る支持位置の管2を保持するように構成されている。
【0086】
したがって、各管2は垂直に保持され、上部フランジ8は脚22の保持端18に載る。
【0087】
脚22は、オリフィス12に挿入された管2の本体4と少なくとも部分的に接触するように構成され、管の追加的な保持を可能にする。
【0088】
脚22の遠位部28が、オリフィス12に挿入されたときに、管2の本体4と接触する。
【0089】
遠位部28は、ガラス管2の本体4の周りで実質的に調整される。
【0090】
オリフィス12内への管2の挿入ため、管2は、トレイ10の底面から、オリフィス12内に垂直に挿入される。
【0091】
管2がトレイ10のオリフィス12に挿入されると、完全なトレイ10は、その支持体30と共に袋に入れられる。この袋は、管の滅菌を行うため密封される。
【0092】
プラスチック材料で作製されたバッグは、高密度ポリエチレンを使用して使用され、湿気の通過を減らし、熱伝導がよく、微生物バリアが強く、機械的強度、特に穿孔に対する耐性が高くなる。高密度ポリエチレンは、特に、登録商標「Tyvek」として販売されている素材を使用できる。
【0093】
最終包装は、充填準備が整った滅菌済み管を配送するためのシステムのパッケージを指定する、フランス規格「NF ISO 11040-7」に従って行われる。
【0094】
管2を洗浄した後、シリコーンコーティングが施され、乾熱加熱工程を有するパイロジェン低減法により殺菌されて、発熱物質であるエンドトキシンを強力に低減させる。
【0095】
特に、240℃での乾熱加熱サイクルは、シリコーンの架橋が同時に行われ、ガラス管 2に充填した後、および、患者への注入装置の最終使用中における、薬剤へのこのシリコーンの放出を実質的に防ぐという利点がある。さらに、この方法は、有毒な物質を導入するエチレンオキシドによる滅菌を回避する。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(4)の一端の上部フランジ(8)と、前記本体(4)の他端の下部フランジ(6)とを有す
る注入装置の管(2)を保持するため
の保持装置(10)であって、
前記保持装置(10)は
、複数のオリフィス(12)を備え、前記オリフィス(12)の各々は、
管(2)を支持するように設けられていると共に、前記管(2)および前記フランジ(6,8)の各々を通過可能に構成され、
前記保持装置(10)は、複数の保持手段(P)を含み、前記保持手段の各々は、前記上部フランジ(8)により前記オリフィス(12)の1つを通る前記管(2)の1つを保持可能に構成され、
前記保持手段(P)の各々は、弾性的に変形可能な要素(22)を有し、前記弾性的に変形可能な要素(22)は、前記オリフィス(12)に合わせて配置された保持端(18)を含み、
前記保持端(18)は、前記オリフィス(12)を前記上部フランジ(8)が通過しているときに変形可能に構成され、前記管が前記オリフィス(12)に挿入される場合に前記フランジ(8)によって前記管(2)を支持するように構成されている、保持装置。
【請求項2】
前記保持手段(P)が、前記管(2)が前記オリフィス(12)に挿入される場合に、少なくとも部分的に前記管(2)の前記本体(4)と接触する、請求項1の保持装置。
【請求項3】
前記保持手段(P)が上方に突出している、請求項1または2の保持装置。
【請求項4】
前記保持手段(P)が前記オリフィス(12)のための壁で構成され、前記壁が前記保持装置(10)から突出している、請求項1から3のいずれか1つの保持装置。
【請求項5】
前記壁(P)が、前記保持装置(10)と接触する近位端(16)と、前記オリフィス(12)に合わせて配置された前記保持端(18)を構成する遠位端とを有し、
前記保持端(18)が、前記オリフィス(12)を前記管(2)の前記上部フランジ(8)が通過しているときに変形するように構成され、前記オリフィス(12)に挿入されるときに前記フランジ(8)によって前記管(2)を支持するように構成された開口部(20)を構成する、請求項4の保持装置。
【請求項6】
前記弾性的に変形可能な要素(22)が、少なくとも2つ、好ましくは3から5の間、より好ましくは6つの脚部(22)を有する、請求項1から5のいずれか1つの保持装置。
【請求項7】
前記脚部(22)が前記壁(P)を構成する、請求項4または5、および、請求項4または5に従属する請求項6の保持装置。
【請求項8】
前記オリフィス(12)が前記上部フランジ(8)に対して相補的であるように構成されている、請求項1から7のいずれか1つの保持装置。
【請求項9】
前記オリフィス(12)の寸法が、15mmから20mmの間、例えば、16mmである、請求項1から8のいずれか1つの保持装置。
【請求項10】
前記開口部(20)の寸法が、10mmから15mmの間、例えば、12mmである、請求項5から9のいずれか1つの保持装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つの保持装置(10)と、
本体(4)の一端の上部フランジ(8)および前記本体(4)の他端の下部フランジ(6)をそれぞれ有する複数の注入装置の管(2)であって、前記保持装置(10)のオリフィス(12)に挿入されるようにそれぞれ構成された複数の管(2)と
を備える、アセンブリ。
【請求項12】
薬剤注入装置の管(2)を保持するための請求項1から11のいずれか1つの保持装置(10)を実施するための方法であって、管(2)を前記保持装置(10)の前記オリフィス(12)の各々に垂直に挿入する、方法。
【請求項13】
管(2)を前記保持装置(10)の底から前記オリフィス(12)の各々に垂直に挿入する、請求項3および請求項3に従属する請求項4から10のいずれか1つの保持装置(10)を実施するための方法。
【国際調査報告】