(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】二次電池及びその製造方法、電極部材及びその製造方法、集電体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/70 20060101AFI20220105BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20220105BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220105BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20220105BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20220105BHJP
【FI】
H01M4/70 A
H01M4/66 A
H01M4/13
H01M4/139
H01M10/0587
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519770
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2019109961
(87)【国際公開番号】W WO2020073887
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】201821648165.X
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】梁成都
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼子格
(72)【発明者】
【氏名】薛▲慶▼瑞
(72)【発明者】
【氏名】李▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】李静
(72)【発明者】
【氏名】王鵬翔
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017AS10
5H017BB08
5H017BB11
5H017BB14
5H017BB15
5H017BB16
5H017CC03
5H017DD01
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE07
5H017HH05
5H029AJ11
5H029AK01
5H029AK03
5H029BJ14
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ05
5H029CJ22
5H029DJ07
5H029DJ17
5H029EJ01
5H029EJ12
5H050AA14
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA09
5H050DA02
5H050DA03
5H050DA04
5H050FA05
5H050FA19
5H050GA03
5H050GA07
5H050GA22
(57)【要約】
本発明は、二次電池及びその製造方法、電極部材及びその製造方法、集電体の製造方法を提供する。電極部材は、絶縁基体と、第1の導電層と、活物質層とを含み、第1の導電層は絶縁基体の表面に設けられており、活物質層は第1の導電層の絶縁基体から遠い側に設けられており、第1の導電層には、高さ方向に延びるストライプ状の溝が設けられている。前記トライプ状の溝は、第1の導電層の応力を解放するために用いられる。二次電池は、前記電極部材を含む電極組立体を備える。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基体(11)と、第1の導電層(12)と、活物質層(13)とを含み、
前記第1の導電層(12)は前記絶縁基体(11)の表面に設けられており、前記活物質層(13)は前記第1の導電層(12)の前記絶縁基体(11)から遠い側に設けられており、
第1の導電層(12)には、高さ方向(Z)に延びるストライプ状の溝(G)が設けられている、
ことを特徴とする二次電池の電極部材(1)。
【請求項2】
前記ストライプ状の溝(G)内に位置した第1の部分(141)を有する第2の導電層(14)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極部材(1)。
【請求項3】
前記第2の導電層(14)は、前記第1の導電層(12)の前記絶縁基体(11)から離れた面に設けられており、且つ前記第1の部分(141)に接続された第2の部分(142)をさらに備え、前記活物質層(13)は、前記第2部分(142)の前記第1の導電層(12)から離れた面に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の電極部材(1)。
【請求項4】
前記第1の導電層(12)は、前記活物質層(13)が塗布された本体部(121)と、前記本体部(121)から延びる、前記活物質層(13)が塗布されていない突部(122)とを含み、
前記ストライプ状の溝(G)は、前記突部(122)に形成された第1の溝(G1)を含み、且つ前記第2の部分(142)は、少なくとも一部が前記突部(122)の前記絶縁基体(11)から離れた面に位置している、
ことを特徴とする請求項3に記載の電極部材(1)。
【請求項5】
前記ストライプ状の溝(G)は、前記本体部(121)に形成された第2の溝(G2)をさらに含み、前記第1の溝(G1)と前記第2の溝(G2)とが連通している、
ことを特徴とする請求項4に記載の電極部材(1)。
【請求項6】
前記第2部分(142)の前記突部(122)から離れた表面に設けられており、且つ前記活物質層(13)に接続された保護層(15)をさらに含み、
前記第1の溝(G1)が前記保護層(15)からはみ出しない、
ことを特徴とする請求項4に記載の電極部材(1)。
【請求項7】
前記第2の導電層(14)の剛性は、前記第1の導電層(12)の剛性よりも小さい、
ことを特徴とする請求項2に記載の電極部材(1)。
【請求項8】
前記ストライプ状の溝(G)は、厚さ方向(Y)に沿って前記第1の導電層(12)を貫通し、前記第2の導電層(14)の前記第1の部分(141)が前記絶縁基体(11)に接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の電極部材(1)。
【請求項9】
前記ストライプ状の溝(G)が複数であり、複数の前記ストライプ状の溝(G)が幅方向(X)に間隔を空けて配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電極部材(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電極部材(1)を含む電極組立体を備える、
ことを特徴とする二次電池。
【請求項11】
絶縁基体(11)を準備することと、
導電性材料を前記絶縁基体(11)の表面に固着することで第1の導電層(12)を形成し、且つ前記第1の導電層(12)に高さ方向(Z)に延びるストライプ状の溝(G)が設けられていることと、
を含むことを特徴とする集電体の製造方法。
【請求項12】
前記導電性材料は、気相成長法または無電解めっきにより絶縁基体(11)の表面に固定されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の集電体の製造方法。
【請求項13】
導電性スラリーを前記第1の導電層(12)の表面の一部の領域に塗布し、前記導電性スラリーをストライプ状の溝に充填することと、
前記導電性スラリーの硬化後に第2の導電層(14)を形成することと、を更に含む、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の集電体の製造方法。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の製造方法により製造された集電体を準備することと、
前記第1の導電層(12)の表面の一部の領域に活物質を含むスラリーを塗布し、前記活物質を含むスラリーを前記ストライプ状の溝(G)に充填させることと、
前記活物質を含むスラリーの硬化後に活物質層(13)を形成して、前記活物質層(13)をロールプレスすることと、
前記第1の導電層の前記活物質層(13)が塗布されていない領域に金属箔材を溶接することと、
前記金属箔材の一部と前記集電体の一部とを取り除いて、間隔が設けられた複数の導電構造(16)と間隔が設けられた複数の電気ガイド部(P)とを形成することと、
を備えることを特徴とする電極部材の製造方法。
【請求項15】
前記第1の導電層(12)の表面の一部の領域に、絶縁材料を含むスラリーを塗布し、前記絶縁材料を含むスラリーの硬化後に保護層(15)を形成することと、
前記保護層(15)は、前記金属箔材を溶接する前に形成することと、を備える、
ことを特徴とする請求項14に記載の電極部材の製造方法。
【請求項16】
正極部材(2)と負極部材(3)とダイアフラム(4)とを準備し、前記正極部材(2)と前記ダイアフラム(4)と前記負極部材(3)とを一体に巻き回して電極組立体を形成し、前記正極部材(2)及び前記負極部材(3)の少なくとも一方は、請求項14または15に記載の電極部材の製造方法により製造されることと、
アダプタ片(8)を準備し、前記電極組立体の複数の導電構造(16)を積層してアダプタ片(8)に溶接することと、
トップカバー板(6)と、トップカバー板(6)に固定された電極端子(7)とを準備し、前記アダプタ片(8)を前記電極端子(7)に溶接することと、
ケース(5)を準備し、前記電極組立体を前記ケース(5)内に配置して、前記トップカバー板(6)を前記ケース(5)に接続することと、
を備えることを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項17】
請求項13に記載の製造方法により製造された集電体を準備することと、
活物質を含むスラリーを前記第2の導電層(14)の表面の一部の領域に塗布することと、
前記活物質を含むスラリーの硬化後、活物質層(13)を形成して、前記活物質層(13)をロールプレスすることと、
前記第1の導電層(12)の前記第2の導電層(14)が塗布されていない領域に金属箔材を溶接することと、
前記金属箔材の一部と前記集電体の一部とを取り除いて、間隔が設けられた複数の導電構造(16)と間隔が設けられた複数の電気ガイド部(P)とを形成することと、
を備えることを特徴とする電極部材の製造方法。
【請求項18】
前記第2の導電層(14)の表面の一部の領域に、絶縁材料を含むスラリーを塗布した後、前記絶縁材料を含むスラリーを硬化させて保護層(15)を形成することと、
前記保護層(15)は、前記金属箔材を溶接する前に形成することと、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項17に記載の電極部材の製造方法。
【請求項19】
正極部材(2)と負極部材(3)とダイアフラム(4)とを準備し、前記正極部材(2)と、前記ダイアフラム(4)と前記負極部材(3)とを一体に巻き回して電極組立体を形成し、前記正極部材(2)及び前記負極部材(3)の少なくとも一方は、請求項17または18に記載の電極部材の製造方法により製造されることと、
アダプタ片(8)を準備し、前記電極組立体の複数の導電構造(16)を積層して前記アダプタ片(8)に溶接することと、
トップカバー板(6)と、トップカバー板(6)に固定された電極端子(7)とを準備し、前記アダプタ片(8)を前記電極端子(7)に溶接することと、
ケース(5)を準備し、前記電極組立体を前記ケース(5)内に配置して、前記カバープレート(6)を前記ケース(5)に接続することと、
を備えることを特徴とする二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池分野に関し、特に、二次電池及びその製造方法、電極部材及びその製造方法、集電体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の電極部材は、一般的に、集電体と、集電体の表面に塗布された活物質層とを含む。二次電池の安全性能を向上させるために、一部の電極部材は、多層構造の集電体を選択し、
図1乃至
図3に示すように、前記集電体は、絶縁基体11と、絶縁基体11の表面に接続された導電層12とを含み、活物質層13は、導電層12の表面に塗布されている。
【0003】
電極部材の製造過程において、活物質層13を薄くして、エネルギー密度を高めるように、活物質層13をロールプレスする必要がある。絶縁基体11は比較的柔らかい材質(例えばPETプラスチック)であるが、導電層12は通常、金属材質であり、絶縁基体11の弾性率は導電層12の弾性率よりも小さいため、絶縁基材11の延性は、導電層12の延性よりも高い。絶縁基体11が展延する過程において、絶縁基体11は導電層12に力を加えるが、絶縁基体11と導電層12との間の接続力は小さいため、導電層12がある程度まで展延すると、導電層12が絶縁基体11の表面から外れて、電極部材の性能に影響を及ぼすおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、背景技術における問題点に鑑みてなされたものであり、応力集中を低減し、導電層が外れるリスクを減少し、電極部材の性能を確保することができる二次電池及びその製造方法、電極部材及びその製造方法、集電体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、二次電池の電極部材を提供する。
【0006】
前記電極部材は、絶縁基体と、第1の導電層と、活物質層とを含む。前記第1の導電層は、前記絶縁基体の表面に設けられており、前記活物質層は、前記第1の導電層の前記絶縁基体から遠い側に設けられている。前記第1の導電層には、高さ方向に延びるストライプ状の溝が設けられている。
【0007】
前記電極部材は、さらに、前記ストライプ溝内に位置した第1の部分を有する第2の導電層を含む。
【0008】
前記第2の導電層は、前記第1の導電層の前記絶縁基体から離れた面に設けられており、且つ前記第1の部分に接続された第2の部分をさらに備え、前記活物質層は、前記第2部分の前記第1の導電層から離れた面に設けられている。
【0009】
前記第1の導電層は、前記活物質層が塗布された本体部と、前記本体部から延びる、前記活物質層が塗布されていない突部とを含む。前記ストライプ状の溝は、前記突部に形成された第1の溝を含み、且つ前記第2の部分は、少なくとも一部が前記突部の前記絶縁基体から離れた面に位置している。
【0010】
前記ストライプ状の溝は、前記本体部に形成された第2の溝をさらに含み、前記第1の凹溝と前記第2の凹溝とが連通している。
【0011】
前記電極部材は、前記第2部分の前記突部から離れた表面に設けられており、且つ前記活物質層に接続された保護層をさらに含み、前記第1の溝が前記保護層からはみ出しない。
【0012】
前記第2の導電層の剛性は、前記第1の導電層の剛性よりも小さい。
【0013】
前記ストライプ状の溝は、厚さ方向に沿って前記第1の導電層を貫通し、前記第2の導電層の前記第1の部分が前記絶縁基体に接続されている。
【0014】
前記ストライプ状の溝が複数であり、複数の前記ストライプ状の溝が幅方向に間隔を空けて配置されている。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、さらに二次電池を提供する。前記二次電池は、前記電極部材を含む電極組立体を備える。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、さらに集電体の製造方法を提供する。前記集電体の製造方法は、絶縁基体を準備することと、導電性材料を前記絶縁基体の表面に固着することで第1の導電層を形成し、且つ前記第1の導電層に高さ方向に延びるストライプ状の溝が設けられていることと、を含む。
【0017】
前記導電性材料は、気相成長法または無電解めっきにより絶縁基体の表面に固定されている。
【0018】
前記集電体の製造方法は、導電性スラリーを前記第1の導電層の表面の一部の領域に塗布し、前記導電性スラリーをストライプ状の溝に充填すること、を更に含む。前記導電性スラリーの硬化後に第2の導電層を形成する。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、さらに電極部材の製造方法を提供する。前記電極部材の製造方法は、前記集電体の製造方法により製造された集電体を準備することと、前記第1の導電層の表面の一部の領域に活物質を含むスラリーを塗布し、前記活物質を含むスラリーを前記ストライプ状の溝に充填させることと、前記活物質を含むスラリーの硬化後に活物質層を形成して、前記活物質層をロールプレスすることと、前記第1の導電層の前記活物質層が塗布されていない領域に金属箔材を溶接することと、前記金属箔材の一部と前記集電体の一部とを取り除いて、間隔が設けられた複数の導電構造と間隔が設けられた複数の電気ガイド部とを形成することと、を備える。
【0020】
前記電極部材の製造方法は、前記第1の導電層の表面の一部の領域に、絶縁材料を含むスラリーを塗布し、前記絶縁材料を含むスラリーの硬化後に保護層を形成すること、を更に備える。前記保護層は、前記金属箔材を溶接する前に形成する。
【0021】
上記目的を達成するために、本発明は、さらに二次電池の製造方法を提供する。前記二次電池の製造方法は、正極部材と負極部材とダイアフラムとを準備し、前記正極部材と前記ダイアフラムと前記負極部材とを一体に巻き回して電極組立体を形成し、前記正極部材及び前記負極部材の少なくとも一方は、前記電極部材の製造方法により製造されることと、アダプタ片を準備し、前記電極組立体の複数の導電構造を積層してアダプタ片に溶接することと、トップカバー板と、トップカバー板に固定された電極端子とを準備し、前記アダプタ片を前記電極端子に溶接することと、ケースを準備し、前記電極組立体を前記ケース内に配置して、前記トップカバー板を前記ケースに接続することと、を備える。
【0022】
上記目的を達成するために、本発明はさらに別の電極部材の製造方法を提供する。前記電極部材の製造方法は、前記集電体の製造方法により製造された集電体を準備することと、活物質を含むスラリーを前記第2の導電層の表面の一部の領域に塗布することと、前記活物質を含むスラリーの硬化後、活物質層を形成して、前記活物質層をロールプレスすることと、前記第1の導電層の前記第2の導電層が塗布されていない領域に金属箔材を溶接することと、前記金属箔材の一部と前記集電体の一部とを取り除いて、間隔が設けられた複数の導電構造と間隔が設けられた複数の電気ガイド部とを形成することと、を備える。
【0023】
前記電極部材の製造方法は、前記第2の導電層の表面の一部の領域に、絶縁材料を含むスラリーを塗布した後、前記絶縁材料を含むスラリーを硬化させて保護層を形成することを、さらに備える。前記保護層は、前記金属箔材を溶接する前に形成する。
【0024】
上記目的を達成するために、本発明はさらに別の二次電池の製造方法を提供する。前記二次電池の製造方法は、正極部材と負極部材とダイアフラムとを準備し、前記正極部材と、前記ダイアフラムと前記負極部材とを一体に巻き回して電極組立体を形成し、前記正極部材及び前記負極部材の少なくとも一方は、前記の別の電極部材の製造方法により製造されることと、アダプタ片を準備し、前記電極組立体の複数の導電構造を積層して前記アダプタ片に溶接することと、トップカバー板と、トップカバー板に固定された電極端子とを準備し、前記アダプタ片を前記電極端子に溶接することと、ケースを準備し、前記電極組立体を前記ケース内に配置して、前記カバープレートを前記ケースに接続することと、を備える。
【発明の効果】
【0025】
本願は、以下の有益の効果を有する。本願では、第1の導電層にはストライプ状の溝が形成されているため、ストライプ状の溝が第1の導電層にかかる力を効果的に解放し、応力集中を低減し、第1の導電層が絶縁基体の表面から外れるリスクを効果的に減少し、電極部材の性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】
図1の電極部材をロールプレスする過程における模式図である。
【
図3】
図1の電極部材の絶縁基材及び導電層のロールプレス前の模式図である。
【
図4】
図1の電極部材の絶縁基材及び導電層のロールプレス後の模式図である。
【
図7】本発明による電極部材の第1の実施例の模式図である。
【
図10】
図7の電極部材の成形中の別の模式図である。
【
図11】
図10の第1の導電層のロールプレス後の模式図である。
【
図12】
図7の電極部材の成形中のさらに別の模式図である。
【
図14】本発明による電極部材の第2の実施例の模式図である。
【
図17】本発明による電極部材の第3の実施例の模式図である。
【
図19】本発明による電極部材の第4の実施例の模式図である。
【
図22】本発明による電極部材の第5の実施例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願の実施例における技術案については、本願の実施例における図面を参照して以下に明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、すべての実施例ではなく、本願の実施例の一部にすぎない。少なくとも1つの例示的な実施例の以下の説明は、実際には単なる例示的なものであり、本願及びその用途又は使用を限定するものではない。本願の実施例に基づいて、創造的な作業を行うことなく当業者によって得られる他のすべての実施例は、本願の保護範囲に含まれる。
【0028】
本願の記載において、「第1」、「第2」等の用語を用いて部品を限定するのは、当該部品の区別を容易にするためのものであり、特に断りのない限り、上記の用語は、特に意味するものではないので、本願の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0029】
本発明の二次電池は、電極組立体を備え、
図6を参照して、電極組立体は、正極部材2と、負極部材3と、正極部材2と負極部材3との間に設けられたダイアフラム4とを含む。正極部材2、ダイアフラム4及び負極部材3は、積層されて扁平状に巻き回されている。電極組立体は、二次電池の充放電機能を実現するためのコア部品である。
【0030】
本発明の二次電池は、正極部材2、ダイアフラム4及び負極部材3が巻き回されてなる電極組立体が直接包装袋に封入されたソフトパック電池であってもよい。当該包装袋は、アルミプラスチックフィルムであってもよい。
【0031】
もちろん、本願の二次電池は、ハードシェル電池であってもよい。具体的には、
図5を参照すると、二次電池は、電極組立体と、ケース5と、トップカバー板6と、電極端子7と、アダプタ片8とを主に備えている。
【0032】
ケース5は、六面体形状又は他の形状を有してもよい。ケース5の内部には、電極組立体及び電解液を収容するための空洞が形成されている。ケース5は、一端に開口部を形成しており、電極組立体は、上記開口部を介してケース5の収容室に配置されてもよい。ケース5は、アルミニウムやアルミニウム合金等の導電金属の材料で作成されていてもよいし、プラスチック等の絶縁材料で作成されていてもよい。
【0033】
トップカバー板6は、ケース5に設けられてケース5の開口部を覆うことで、電極組立体をケース5内に閉じ込める。電極端子7はトップカバー板6に設けられ、電極端子7の上端はトップカバー板6の上側に突出し、下端はトップカバー板6を貫通してケース5内に延びている。アダプタ片8は、ケース5内に設けられて電極端子7に固定されている。電極端子7とアダプタ片8はいずれも2つであり、正極部材2は一方のアダプタ片8を介して一方の電極端子7に電気的に接続されており、負極部材3は他方のアダプタ片8を介して他方の電極端子7に電気的に接続されている。アダプタ片8は、電極端子7に溶接されている。
【0034】
二次電池では、正極部材2及び負極部材3の少なくとも一方に、後述する電極部材1が用いられている。
【0035】
図7~
図13は、本発明に係る電極部材1の第1の実施例の模式図である。
図7及び
図8を参照して、第1実施例の電極部材1は、絶縁基体11と、第1の導電層12と、活物質層13とを備える。第1の導電層12は絶縁基体11の両面に設けられ、活物質層13は第1の導電層12の絶縁基体11から遠い側に設けられている。
【0036】
絶縁基材11の材質は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやPP(ポリプロピレン)フィルムであるもよい。
【0037】
第1の導電層12の材料は、金属導電材料、炭素系導電材料のうちの少なくとも1種であり、金属導電材料は、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、銀、ニッケル銅合金、アルミニウムジルコニウム合金のうちの少なくとも1種であることが好ましく、前記炭素系導電材料は、黒鉛、アセチレンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブの少なくとも1種であることが好ましい。
【0038】
第1の導電層12は、気相成長法(vapor deposition)、無電解めっき法(electroless plating)の少なくとも1つにより絶縁基体11の表面に形成することができる。その中で、気相成長法において、物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD)、例えば、熱蒸着法(Thermal Evaporation Deposition)が好ましい。
【0039】
活物質層13は、塗布によって第1の導電層12の表面に設けることもできる。活物質層13は、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム等の活物質、接着剤、導電剤、溶媒をスラリーとした後、スラリーを二つの第1の導電層12の外表面に塗布し、スラリーを硬化させることで、形成することができる。
【0040】
図9を参照すると、第1の導電層12には、ほぼ高さ方向Zに沿って延び、且つ第1の導電層12の応力を解放するためのストライプ状の溝Gが設けられている。ストライプ溝Gの幅方向Xに沿った長さは、0.001mm~1mmであり、且つストライプ状の溝Gの高さ方向Zに沿った長さよりも十分に短い。ストライプ状の溝Gは、直線状であっても曲線状であってもよく、全体としてほぼ高さ方向Zに沿って延びていればよく、即ち、ストライプ状の溝Gの延在方向と高さ方向Zとの間に小さな角度が存在してもよい(例えば、当該角度は10°未満であってもよい)。
【0041】
絶縁基体11の厚さは1μm~20μmとすることができ、第1の導電層12の厚さは0.1μm~10μmとすることができる。第1の導電層12が薄いため、電極部材1を切断する際に第1の導電層12に発生するバリが小さく、十数μmのダイアフラム4を突き破ることが困難であり、短絡を避けて安全性能を向上させることができる。また、異物が二次電池の電極部材1を突き破る際に、第1の導電層12の厚みが小さいため、第1の導電層12の異物が突き破る箇所に発生するバリは小さく、ダイアフラム4を突き破ることが困難であり、これにより短絡を避けて安全性能を向上させることができる。
【0042】
第1の導電層12は、活物質層13が塗布された本体部121と、活物質層13が塗布されていない本体部121から延びる突部122とを有する。なお、活物質層13は、本体部121の表面に直接塗布されてもよい。もちろん、代わりとして、本体部121と活物質層13との間に他の物質が設けられていてもよい。
【0043】
絶縁基体11の突部122に対応する部分と突部122とは、電気ガイド部Pを形成している。複数の電気ガイド部Pは、幅方向Xにおいて間隔を空けて配置されていてもよい。
図13を参照して、電極部材1が巻回成形されると、上記複数の電気ガイド部Pが厚さ方向Yにおいて積層されて配置される。
【0044】
電極部材1は、さらに、突部122の絶縁基体11から遠い側に設けられ、且つ活物質層13に接続された保護層15を備えている。
【0045】
保護層15は、接着剤及び絶縁材料を含む。上記絶縁材料は、三酸化アルミニウム及びオキシ水酸化アルミニウムの少なくとも一方を含む。接着剤、絶縁材料及び溶媒を混合して、突起122の表面に塗布し、硬化させた後に保護層15を形成するスラリーを製成する。保護層15の硬さは、突部122の硬さよりも大きい。
【0046】
電極部材1は、さらに、突起122の保護層15によって覆われていない領域に溶接された導電構造16を含む。
図7及び
図8を参照して、各電気ガイド部Pの厚さ方向Yに沿った両側には、いずれも導電構造16が固定されている。
図13を参照すると、電極部材1を巻回成形した後、全ての導電構造16が積層されて設けられ、アダプタ片8に同時に溶接される。
図5を参照すると、電極部材1内の電流は、アダプタ片8及び電極端子7を介して外部に出力することができる。
【0047】
第1の実施例の電極部材1は、以下の工程で成形することができる。
【0048】
(1)絶縁基材11の表面に気相成長法または無電解めっき法により第1の導電層12を形成して複合テープ材料を作成する。
図9に示すように、成形工程において、第1の導電層12にはストライプ状の溝Gが予め形成されている。
【0049】
(2)
図10を参照して、第1の導電層12の表面に活物質層13と保護層15とを同時に塗布する。
【0050】
(3)活物質層13をロールプレスして、活物質層13を圧密化し、密度を高める。
【0051】
(4)
図12を参照して、ロールプレスした後、第1の導電層12に金属箔材(例えば、アルミニウム箔)を溶接した後、
図12中の破線に沿って複数の電気ガイド部Pと複数の導電構造16とを切り出し、さらに
図7に示す電極部材1を得ることができる。
【0052】
工程(1)において、第1の導電層12は、気相成長法または無電解めっき法により絶縁基体11の表面に形成することができるので、第1の導電層12と絶縁基体11との間の接続力が小さく、外力により第1の導電層12が絶縁基体11の表面から剥がれやすくなるおそれがある。
【0053】
絶縁基体11の弾性率は、第1の導電層12の弾性率よりも小さいので、絶縁基体11の延性は、第1の導電層12の延性よりも高い。工程(3)では、絶縁基体11が加圧されて展延し、絶縁基体11の延性が高いため、絶縁基体11が第1の導電層12に力を加える。従来技術では、第1の導電層12にかかる力を解放することができないため、第1の導電層12がある程度まで展延すると、第1の導電層12にかかる力は、絶縁基体11と第1の導電層12との間の接続力よりも大きくなり、絶縁基体11と第1の導電層12とが相対的にスライドし、第1の導電層12が絶縁基体11の表面から外れ、電極部材1の性能に影響を及ぼす。
【0054】
本願では、第1の導電層12にストライプ状の溝Gが形成されているが、ストライプ状の溝Gは、第1の導電層12にかかる力を効果的に解放し、応力集中を低減し、第1の導電層12にかかる力が大きすぎることを回避して、第1の導電層12が絶縁基体11の表面から外れるリスクを効果的に減少し、電極部材1の性能を確保する。
【0055】
具体的には、
図11は、第1の導電層12がロールプレスされた状態を示しており、破線は、ストライプ状の溝Gがロールプレスされる前の状態を示している。工程(3)のロールプレス工程では、第1の導電層12にかかる力がストライプ状の溝Gに徐に集中し、第1の導電層12にかかる力が大きい場合には、第1の導電層12は、力によってストライプ状の溝Gに沿って裂けるので、応力が速やかに解放され、第1の導電層12にかかる力が絶縁基体11と第1の導電層12との間の接続力より大きいことを回避することができ、絶縁基体11と第1の導電層12とが相対的にスライドする確率が低減され、電極部材1の性能が確保される。
【0056】
二次電池の使用には、活物質層13で発生した電流が本体部121を介して突部122に流れ、即ち、第1の導電層12には、電流が略高さ方向Zに沿って流れるため、第1の導電層12の過電流面積は、第1の導電層12の高さ方向Zに垂直な断面の面積に依存する。本願において、ストライプ状の溝Gは、概ね高さ方向Zに沿って延びており、幅方向Xの長さが小さい。即ち、ストライプ状の溝Gの高さ方向Zに沿った寸法は、ストライプ状の溝Gの幅方向Xに沿った寸法よりも大きい。このため、第1の導電層12がロールプレスされる過程でストライプ状の溝Gに沿って裂けた場合に、ストライプ状の溝Gが第1の導電層12の過電流面積に与える影響が少なく、ひいては第1の導電層12の過電流能力を十分に確保することができる。
【0057】
工程(3)では、ロールプレスの進行に伴って、第1の導電層12にかかる力が徐に大きくなり、
図11を参照して、電極部材1が幅方向Xに沿って一定の長さでロールプレスされたときに、第1の導電層12にかかる力は、第1の導電層12をストライプ状の溝Gに沿って裂け、応力が速やかに解放される。第1の導電層12は、幅方向Xの長さが長いため、ストライプ状の溝Gは、複数であり、幅方向Xにおいて間隔を置いて配置されていることが好ましい。前記複数のストライプ状の溝Gはロールプレス中に段階的に応力を解放することができ、第一導電層12にかかる力が絶縁基体11と第一導電層12との間の接続力よりも大きくなることを回避して、絶縁基体11と第1の導電層12とが相対的にスライドする確率が低減され、電極部材1の性能が確保される。
【0058】
図8及び
図9を参照すると、ストライプ状の溝Gは、第1の導電層12を厚さ方向Yに貫通しており、即ち、ストライプ状の溝Gの深さは、厚さ方向Yにおいて第1の導電層12の厚さと等しい。このとき、第1の導電層12は、ロールプレス中にストライプ状の溝Gに沿って裂けやすくなり、応力が速やかに解放される。
【0059】
工程(2)では、活物質層13をストライプ状の溝Gに充填することができるので、活物質層13上の電流がストライプ状の溝Gの周壁を介して第1の導電層12に流すことができ、これにより、第1の導電層12の集電性が向上することができる。工程(3)において、第1の導電層12がストライプ状の溝Gに沿って裂けても、活物質層13は、ロールプレスの力によって裂けた箇所まで充填される。
【0060】
絶縁基体11の弾性率が小さいため、工程(3)では、本体部121に対応する絶縁基体11が突部122の下側に展延し、突部122の内側の絶縁基体11が膨らんで変形することを生じて、突部122が絶縁基体11の作用力によって変形しやすくなり、クラックが発生する。一方、本願では、保護層15は、高い強度を有しており、電極部材1をロールプレスする過程で突部122に支持力を与え、突部122の変形を規制し、突部122にクラックが発生する確率を小さくし、電極部材1の過電流能力を改善することができる。
【0061】
二次電池の動作時には、振動等により突部122が外れるおそれがあるため、保護層15を活物質層13に接続することにより、保護層15を活物質層13に固定することができ、保護層15の電極部材1への結合力を大きくして耐震能力を高め、保護層15が突部122とともに外れることを回避することができる。同時に、突部122は、活物質層13の根元付近(即ち、突部122と本体部121との境界)で最も膨らみやすいので、保護層15と活物質層13とがつながったときに、突部122の変形を小さくし、クラックが発生する確率が低減され、電極部材1の過電流能力を改善することができる。
【0062】
次に、他の4つの実施例について説明する。説明を簡単にするために、以下では、他の4つの実施例の、第1の実施例と異なる部分のみについて主に説明し、説明していない部分については第1の実施例を参照して理解されたい。
【0063】
図14~
図16は、本発明に係る電極部材の第2実施例を示す模式図である。
図14及び
図16を参照すると、厚さ方向Yに沿って、ストライプ状の溝Gの深さは、第1の導電層12の厚さよりも小さい。第1の実施例と比較して、第2の実施例の第1の導電層12は、過電流面積が大きい。ストライプ状の溝Gの断面は、U字状であってもV字状であってもよい。
【0064】
図17及び
図18は、本発明に係る電極部材の第3の実施例を示す模式図である。
図17及び
図18を参照すると、第3の実施例の電極部材1は、第1の実施例と比較して、ストライプ状の溝G内に位置する第1の部分141を有する第2の導電層14をさらに含む。第1の部分141は、ストライプ状の溝G内に充填され、ストライプ状の溝Gの周囲の電流が第1の部分141を介して伝送することができる。換言すれば、第1の部分141は、第1の導電層12の導電エリアを修復させ、過電流面積を増大させ、電極部材1の全体の過電流能力を確保することができる。
【0065】
第1の実施例では、活物質層13がストライプ状の溝G内に充填されているため、活物質層13の分布が均一ではなく、即ち、ストライプ状の溝Gにおける活物質層13の厚さは、他の箇所の厚さよりも厚くなっている。二次電池の動作中において、活物質層13は、ストライプ状の溝Gに対応する位置でリチウムを溶出することがある。第3の実施例では、第1の部分141がストライプ状の溝G内に充填されることにより、第1の導電層12の平坦性が確保され、活物質層13の分布の均一性が改善され、リチウム溶出のリスクが低減される。
【0066】
第2の導電層14は、第1の導電層12の絶縁基体11から離れた面に設けられ、第1の部分141に接続された第2の部分142をさらに含み、活物質層13は、第2部分142の第1の導電層12から離れた表面に設けられている。
【0067】
第2の導電層14は、金属材料であってもよいし、非金属材料であってもよい。第2の導電層14は、異物が電極部材1に突き破る際に発生するバリを小さくするために、バリが発生しにくい非金属材料であることが好ましい。具体的には、まず、導電性カーボン、接着剤及び溶剤をスラリーとした後、スラリーを第1の導電層12に塗布し、スラリーを硬化させて第2の導電層14を形成することができる。塗布中において、スラリーは、ストライプ状の溝G内に充填されて第1の部分141が形成される。
【0068】
工程(2)において、第2の導電層14のスラリーを第1の導電層12に塗布してから、活物質層13のスラリーと保護層15のスラリーとを第2の導電層14の表面に塗布してもよい。
【0069】
工程(3)では、第1の導電層12がストライプ状の溝Gに沿って裂けても、第2の部分142がロールプレスの力によって裂けた箇所まで充填され、これにより、第1の導電層12の導電エリアが修復され、過電流面積が増大し、電極部材1の全体の過電流能力が確保される。
【0070】
第2の導電層14が第1の導電層12の表面のみに設けられている場合、第2の導電層14の電流は、第1の導電層12の表面を介して第1の導電層12に伝導されるだけである。本願では、第2の導電層14の第1の部分141が第1の導電層12のストライプ状の溝Gに埋め込まれているので、第1の導電層12の表面を介して第1の導電層12に電流を伝導するだけでなく、ストライプ溝Gの周壁を介して伝導することにより、複数の導通経路を増加させ、複数の箇所の導電エリアを形成し、電極部材1の導電性能を改善し、電極部材1及び二次電池の分極を減少し、二次電池の高倍率の充放電性能を改善することができる。
【0071】
第2の部分142は、少なくとも一部が突出部122の絶縁基体11から離れた表面に配置される。保護層15は、第2の部分142の突起122から離れたの表面に設けることができる。導電構造16は、突部122の第2の部分142によって覆われていない領域に溶接されている。
【0072】
工程(3)では、本体部121は絶縁基材11によって展延されるが、突部122はほとんど展延されない。本体部121と絶縁基体11は、展延時に突部122に力を加えるが、突部122が薄いため、力によって突部122にマイクロのクラックを発生する。これに対し、本願では、第2の部分142が突部122の表面に設けられているので、突部122がロールプレスされる過程でクラックを発生しても、クラックでの電流が第2の部分142を介して外部に流すことができ、これにより、導電エリアの修復が実現され、電極部材1の全体の過電流能力が確保される。
【0073】
第2の導電層14の剛性は、第1の導電層12の剛性よりも低い。つまり、力が加わられるときに第2の導電層14が変形しやすくなる。突部122が変形すると、突部122に伴って第2部分142も変形し、突部122が変形しすぎて裂けたとしても、第2部分142が裂けることはなく、電流の伝達が確保される。
【0074】
ストライプ状の溝Gは、第1の導電層12を厚さ方向Yに貫通しており、第2の導電層14の第1の部分141は、絶縁基体11に接続されている。第1部分141は、ストライプ状の溝Gに嵌め込まれて絶縁基体11に接着されることで、第1の導電層12、第2の導電層14及び絶縁基体11の接続強度を高める。
【0075】
図19~
図21は、本発明に係る電極部材の第4実施例を示す模式図である。
図19~
図21を参照して、第4の実施例のストライプ状の溝Gは、第3の実施例と比較して、突部122に形成された第1の溝G1を含む。
【0076】
工程(3)では、絶縁基体11の本体部121に対応する部分がロールプレスされて展延され、絶縁基体11の本体部121に対応する部分は、絶縁基体11の突部122に対応する部分に力を加えることで、絶縁基体11の突部122に対応する部分を展延させる。一方、突部122は、保護層15によって規制されているため、ほとんど展延することができず、絶縁基体11の突部122に対応する部分は、展延時に突部122に力を加え、かかる力が絶縁基体11と突部122との接続力よりも大きいと、突部122が絶縁基体11から外れやすくなる。これに対し、本願では、第1の凹溝G1は、突部122にかかる力を効果的に解放し、応力集中を低減し、突部122にかかる力が過大になることを回避し、突部122が外れる確率を効果的に減少し、電極部材1の性能が確保される。
【0077】
好ましくは、第1の溝G1は、活物質層13から離れる方向において保護層15からはみ出しない。突部122の保護層15で覆われている領域が最も大きい応力を受けるため、第1の溝G1は突部122の保護層15で覆われている領域に設ければよい。一方、突部122の保護層15で覆われていない領域が受ける力は小さく、外れのおそれがないが、第1の溝G1が突部122の保護層15で覆われていない領域まで延びていれば、逆に突部122の過電流能力が低下してしまう。
【0078】
ストライプ状の溝Gは、本体部121に形成されている第2溝G2を更に含み、第1の溝G1と第2溝G2とが連通している。
【0079】
工程(3)において、本体部121は、絶縁基体11がかかる力を受けて展延する。突部122は保護層15によって規制されており、突部122はほとんど展延しないため、本体部121の突部122に近い領域は突部122の反力を受けることになる。つまり、本体部121の突部122に近いの領域が絶縁基体11と突部122の作用力を同時に受けるので、本体部121の突部122に近い領域が絶縁基体11から外れやすい。これに対し、本願では、第2の溝G2が本体部121の突部122に近い領域まで延びていることにより、本体部121にかかる力が効果的に解放され、応力集中が低減され、絶縁基体11と本体部121とが相対的にスライドする確率が効果的に減少され、電極部材1の性能が確保される。
【0080】
ストライプ状の溝Gは、本体部121に形成された、幅方向Xに間隔を空けて配置された複数の第3の溝G3を備えている。幅方向Xにおいて、各第3の溝G3が隣り合う2つの第2の溝G2の間に位置し、高さ方向Zにおいて、第3の溝G3と第2の溝G2とが互いにずれている。
【0081】
図22~
図24は、本発明に係る電極部材の第5実施例を示す模式図である。
図22~
図24を参照して、第5の実施例のストライプ状の溝Gは、本体部121に形成された第3の溝G3と第4の溝G4とを含む。第3の溝G3は、複数であり、幅方向Xに間隔を空けて配置されており、第4の溝G4は、複数であり、幅方向Xに間隔を空けて配置されている。
【0082】
幅方向Xにおいて、各第3の溝G3は、隣り合う2つの第4の溝G4の間に位置している。高さ方向Zにおいて、第3の溝G3と第4の溝G4とは、互いにずれている。第3の溝G3及び第4の溝G4は、幅方向X及び高さ方向Zに分散して配置されており、応力が解放される効果を向上させ、均一性を向上させることができる。
【0083】
本願は、さらに二次電池の安全性能を向上させることができる二次電池の製造方法を提供する。二次電池の製造方法は、正極部材2、負極部材3及びダイアフラム4を準備し、上記正極部材2、上記ダイアフラム4及び上記負極部材3を一体に巻き回して電極組立体を形成し、上記正極部材2及び上記負極部材3の少なくとも一方には、上記の電極部材1が用いられることと、アダプタ片8を準備し、上記電極組立体の複数の導電構造16を積層して上記アダプタ片8に溶接することと、トップカバー板6と、トップカバー板6に固定された電極端子7とを準備し、上記アダプタ片8を上記電極端子7に溶接することと、ケース5を準備し、上記電極組立体を上記ケース5内に配置して、上記トップカバー板6を上記ケース5に接続することとを備える。
【0084】
作製した二次電池に用いられる電極部材1は、第1の導電層12の厚みが薄く、異物が二次電池の電極部材1を突き破った際に、第1の導電層12は、異物が突き破った箇所に発生するバリが小さく、ダイアフラム4を突き破ることが困難であるので、短絡を回避して安全性能を向上させる。また、第1の導電層12には、ストライプ状の溝Gが形成されており、ストライプ状の溝Gは、第1の導電層12にかかる力を効果的に解放し、応力集中を低減し、第1の導電層12が絶縁基体11の表面から外れるリスクを効果的に減少し、電極部材1及び二次電池の性能を確保することができる。
【符号の説明】
【0085】
なお、以下では、図面符号を説明する。
1 電極部材、5 ケース、11 絶縁基体、6 トップカバー板、12 第1の導電層、7 電極端子、121 本体部、8 アダプタ片、122 突部、9 ローラ、13 活物質層、G ストライプ状の溝、14 第2の導電層、G1 第1の溝、141 第1の部分、G2 第2の溝、142 第2の部分、G3 第3の溝、15 保護層、G4 第4の溝、16 導電構造、P 電気ガイド部、2 正極部材、X 幅方向、3 負極部材、Y 厚み方向、4 ダイアフラム、Z 高さ方向。
【国際調査報告】