(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】光学機器の角度調整機構
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20210101AFI20220105BHJP
【FI】
G02B7/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519792
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2019120406
(87)【国際公開番号】W WO2020108413
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】201811426718.1
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520421994
【氏名又は名称】西安華科光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUANIC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】孫建華
(72)【発明者】
【氏名】趙蒙
【テーマコード(参考)】
2H043
【Fターム(参考)】
2H043AB04
2H043AB11
2H043AB16
2H043AB25
2H043AB37
(57)【要約】
本発明に係る光学機器の角度調整機構は、中空の柱状の微調整マウント(1)を含み、微調整マウント(1)の中空のキャビティ内には、軸方向に沿ってテーパ状の微調整用ネジ(3)とテーパ面(201)を有する取付マウント(2)とが対向するように設置され、取付マウント(2)のテーパ面(201)には、円周方向に沿って4つのストライプ状平面(202)が等間隔に設置され、隣接する2つのストライプ状平面(202)のそれぞれが2つのテーパ状の微調整用ネジ(3)のテーパ状面に当接し、テーパ状の微調整用ネジ(3)は、微調整マウント(1)の内壁及び取付マウント(2)のテーパ面により形成されたキャビティにおいて、それに当接するストライプ状平面(202)に沿って前進又は後退可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学機器の角度調整機構であって、
前記角度調整機構は、中空の柱状の微調整マウント(1)を含み、
前記微調整マウント(1)の中空のキャビティ内には、軸方向に沿ってテーパ状の微調整用ネジ(3)とテーパ面(201)を有する取付マウント(2)とが対向するように設置され、
前記取付マウント(2)のテーパ面(201)には、円周方向に沿って4つのストライプ状平面(202)が等間隔に設置され、隣接する2つのストライプ状平面(202)のそれぞれが2つのテーパ状の微調整用ネジ(3)のテーパ状面に当接し、
前記テーパ状の微調整用ネジ(3)は、前記微調整マウント(1)の内壁及び取付マウント(2)のテーパ面(201)により形成されたキャビティにおいて、それに当接するストライプ状平面(202)に沿って前進又は後退可能である
ことを特徴とする光学機器の角度調整機構。
【請求項2】
前記角度調整機構は、微調整弾性部材(4)をさらに含み、
前記微調整弾性部材(4)は、弾性弧状弾性シート(401)と弧状突起(403)を有する2つのスプリングシート(402)とを組み合わせて形成されたΠ状構造又は
状構造であり、
前記弾性弧状弾性シート(401)は、前記微調整マウント(1)の一端の端部縁に係合し、
前記2つのスプリングシート(402)における2つの前記弧状突起(403)は、それぞれ残りの2つのストライプ状平面(202)に当接する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項3】
前記スプリングシート(402)は、波形をなし、
前記弾性弧状弾性シート(401)に近接する波の山は、前記弧状突起(403)であり、
前記弧状突起(403)が位置する波の山は、前記弾性弧状弾性シート(401)の中心軸線に向かっている
ことを特徴とする請求項2に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項4】
前記微調整マウント(1)の柱状壁には、軸方向に沿って中空のキャビティにそれぞれ連通する2つのストリップ状の開口(101)が開設され、
前記スプリングシート(402)の前記弧状突起(403)は、前記ストリップ状の開口(101)を通過して前記ストライプ状平面(202)に接触される
ことを特徴とする請求項3に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項5】
前記微調整マウント(1)の一端は、開口され、前記弾性弧状弾性シート(401)が当該開口端(103)に係合し、
前記微調整マウント(1)の他端には、端部カバー(102)が設置され、
前記端部カバー(102)には、テーパ状の微調整用ネジ(3)を通過させるための丸穴(104)が開設され、
前記端部カバー(102)の中心には、出射光を出射させるための中心孔が開設される
ことを特徴とする請求項4に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項6】
前記取付マウント(2)は、左から右への順に、直径が徐々に大きくなる円台区間(203)と、柱状の遷移区間(204)と、ドラム状区間(205)とを、有し、
前記4つのストライプ状平面(202)は、2つずつが対向するとともに、平行になるように円台区間(203)のテーパ面(201)に分布し、
前記4つのストライプ状平面(202)のうちの1つのストライプ状平面(202)には、位置決め小孔(206)が開設される
ことを特徴とする請求項4に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項7】
前記ドラム状区間(205)のドラム面には、位置規制部材(5)を収容するための凹溝(207)が開設され、
前記位置規制部材(5)は、前記取付マウント(2)のドラム状区間(205)と前記微調整マウント(1)の開口端(103)の内壁との間に位置する
ことを特徴とする請求項6に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項8】
前記テーパ状の微調整用ネジ(3)は、六角穴付き皿テーパネジである
ことを特徴とする請求項1に記載の光学機器の角度調整機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー計測の技術分野に属し、具体的に、光学機器の角度調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザーインジケーター、レーザーサイト、光学サイトなどの光学機器の出射光の方向に対する調整は、主にケーシングに取り付けられた水平調整用ネジ及び垂直調整用ネジを利用して、光学機器本体の左右角度又は上下角度に対する調整を実現することによって出射光の角度に対する調整を実現する。しかし、このような構造は、一般的に体積の大きいサイトに適用され、体積の小さい光学機器には適用されない。これは、その構造が復雑であり、調整に必要なスペースが大きいことが主因となる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来の光学機器における出射光の角度を調整するための構造が復雑であり、必要なスペースが大きいという問題を克服することを目的とする。
ここで、本発明は、光学機器の角度調整機構を提供する。光学機器の角度調整機構は、中空の柱状の微調整マウントを含む。前記微調整マウントの中空のキャビティ内には、軸方向に沿ってテーパ状の微調整用ネジとテーパ状面を有する取付マウントとが対向するように設置され、前記取付マウントのテーパ面には、円周方向に沿って4つのストライプ状平面が等間隔に設置され、ここで、隣接する2つのストライプ状平面は、2つのテーパ状の微調整用ネジのテーパ状面にそれぞれ当接し、また、前記テーパ状の微調整用ネジは、微調整マウントの内壁及び取付マウントのテーパ面により形成されたキャビティにおいて、それに当接するストライプ状平面に沿って前進又は後退可能に構成される。
【0004】
さらに、光学機器の角度調整機構は、微調整弾性部材をさらに含み、前記微調整弾性部材は、弾性弧状弾性シートと弧状突起を有する2つのスプリングシートとを組み合わせて形成されたΠ状構造又は
状構造であり、前記弾性弧状弾性シートは、微調整マウントの一端の端部縁に係合し、2つのスプリングシートにおける2つの弧状突起は、それぞれ残りの2つのストライプ状平面に当接する。
【0005】
好ましくは、前記スプリングシートは、波形をなし、弾性弧状弾性シートに近接する波の山は、弧状突起であり、且つ、弧状突起が位置する波の山は、前記弾性弧状弾性シートの中心軸線に向かっている。
【0006】
さらに、前記微調整マウントの柱状壁には、軸方向に沿って中空のキャビティとそれぞれ連通する2つのストリップ状の開口が開設され、前記スプリングシートの弧状突起は、ストリップ状の開口を通過してストライプ状平面に接触する。
【0007】
好ましくは、前記微調整マウントの一端は開口され、弾性弧状弾性シートは、当該開口端に係合し、微調整マウントの他端には、端部カバーが設置され、前記端部カバーには、テーパ状の微調整用ネジを通過させるための丸穴が開設され、端部カバーの中心には、出射光を出射せるための中心孔が開設される。
【0008】
さらに、前記取付マウントは、左から右への順に、直径が徐々に大きくなる円台区間と、柱状の遷移区間と、ドラム状区間とを有し、前記4つのストライプ状平面は、2つずつのストライプ状平面が対向するとともに、平行になるように円台区間のテーパ面に分布し、その中のいずれか1つのストライプ状平面には、位置決め小孔が開設される。
【0009】
好ましくは、前記ドラム状区間のドラム面には、位置規制部材を収容するための凹溝が開設され、前記位置規制部材は、取付マウントのドラム状区間と微調整マウントの開口端の内壁との間に位置する。
【0010】
好ましくは、前記テーパ状の微調整用ネジは、六角穴付き皿テーパネジである。
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
本発明に係る光学機器の角度調整機構は、テーパ状の微調整用ネジのテーパ状面と取付マウントの平面とが互いに当接するという方式を採用することによって、テーパ状の微調整用ネジを押して移動させると、テーパ状の微調整用ネジが取付マウントの平面に沿って前進又は後退することができるとともに、前進及び後退の移動速度に対する制御が可能になるので、出射光の角度に対する精密な調整を実現することができる。このような構造は、特に、体積が小さい光学機器の出射光の角度に対する調整に適用されることができ、テーパ状の微調整用ネジを押して移動させることによって光学機器本体に対して水平方向及び垂直方向における微調整を実現できるので、出射光の角度に対する調整を実現することができる。
【0011】
以下、図面を併せて本発明をさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図8】
図7に示す微調整弾性部材の構造を有する角度調整機構の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、特定の具体的な実施例により本発明の実施形態を説明するが、当業者は、本明細書に開示された内容から本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。
なお、本発明において、図面における上、下、左、右は、本明細書に記載された光学機器の角度調整機構の上、下、左、右とみなすことができる。
【0014】
ここで、図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態を説明するが、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、ここで説明した実施例に限定されるものではない。本発明を詳細、完全に公開し、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるために、これらの実施例を提供する。図面に示す例示的な実施形態における用語は、本発明を限定するものではない。図面において、同じユニット/要素について同じ符号を付している。
【0015】
特に明記されていない限り、ここで使用される用語(技術用語を含む。)は、当業者にとって一般的に理解されるような意味を持つ。なお、通常使用される辞書で限定される用語は、その関連分野の文脈と一致する意味を持つものとして理解されるべきであり、理想化されたもの、或いは正式すぎる意味を持つものとして理解されるべきではない。
【0016】
なお、本発明に係る光学機器の角度調整機構は、光学サイト、レッドドットサイト、レーザーインジケーター及び機械軸と光軸とを同軸にしようとする構造などのような、光軸方向を調整する必要があるすべての光学機器に適用されるものである。以下のすべての実施例は、レーザーモジュールを一例として説明するが、これに限定されない。
【0017】
第1実施例
本実施例は、光学機器の角度調整機構を提供する。光学機器の角度調整機構は、
図1に示すように、中空の柱状の微調整マウント1を含む。前記微調整マウント1の中空のキャビティ内には、軸方向に沿ってテーパ状の微調整用ネジ3とテーパ面201を有する取付マウント2とが対向するように設置されている。前記取付マウント2のテーパ面201には、
図5に示すように、その円周方向に沿って4つのストライプ状平面202が等間隔に設置されている。ここで、隣接する2つのストライプ状平面202は、2つのテーパ状の微調整用ネジ3のテーパ状面にそれぞれ当接される。また、前記テーパ状の微調整用ネジ3は、微調整マウント1の内壁及び取付マウント2のテーパ面201により形成されたキャビティにおいて、それに嵌合するストライプ状平面202に沿って前進又は後退することができる。
【0018】
具体的に、微調整マウント1は、
図1に示すように、前段および後段に分けられている。テーパ状の微調整用ネジ3が微調整マウント1の前段のキャビティ内に位置し、取付マウント2が微調整マウント1の後段のキャビティ内に位置する。テーパ状の微調整用ネジ3のテール部のテーパ状面は、取付マウント2のテーパ面201上のストライプ状平面202に当接する。テーパ状の微調整用ネジ3の末端、取付マウント2の外壁及び微調整マウント1のキャビティは、空間を形成する。テーパ状の微調整用ネジ3は、当該空間において、ストライプ状平面202に沿って前進又は後退することができる。テーパ状の微調整用ネジ3の前進又は後退により、レーザー6の角度に対する調整を実現することができる。
【0019】
好ましい実施例において、取付マウント2は、
図5に示すようなテーパ状の構造である。当該テーパ状の構造における前段のテーパ面には、4つのストライプ状平面202が設置されている。
図5に示す方向に縦断する場合、その縦断面において、4つのストライプ状平面202と取付マウント2の中心は、十字状をなす。
【0020】
本実施例において、取付マウント2のテーパ面201には、平面が形成され、好ましくは、
図5に示すようなストライプ状平面202が設置されている。これは、テーパ状の微調整用ネジ3が前記ストライプ状平面202に沿って移動する時に、摩擦力が平面により低減されることができるので、テーパ状の微調整用ネジ3を押すことを容易にし、省力化を図るとともに、レーザー6の角度を精密に調整することができるからである。
【0021】
本実施例に係る光学機器の角度調整機構は、光軸方向を調整する必要がある光学サイト、レッドドットサイト、レーザーインジケーター及び機械軸と光軸とを同軸にしようとするすべての構造に適用されることができる。以下、レーザーモジュールを一例として、光学機器の角度調整機構の動作過程又は動作原理は、以下の通りである。
【0022】
出射光の方向を調整する必要がある場合、テーパ状の微調整用ネジ3を微調整マウント1内に挿入する。そして、
図1に示すように、テーパ状の微調整用ネジ3を取付マウント2のストライプ状平面202に当接させて配置した後、テーパ状の微調整用ネジ3をレンチでねじ込むと、テーパ状の微調整用ネジ3が押されて移動する。これにより、テーパ状の微調整用ネジ3をそのテーパ状面と当接する取付マウント2のストライプ状平面202に沿って前進させることで、
図1に示すように、取付マウント2が押圧されて下に向いて移動される。レーザー6が取付マウント2内に取り付けられているので、取付マウント2が下に向いて移動すると、レーザー6もそれに伴って下に向いて移動されることにより、レーザー6に対する微調整を実現することができる。
【0023】
本発明に係る光学機器の角度調整機構は、テーパ状の微調整用ネジのテーパ状面と取付マウントの平面とが互いに当接するという方式を採用することによって、テーパ状の微調整用ネジを押して移動させると、テーパ状の微調整用ネジが取付マウントの平面に沿って前進又は後退することができるとともに、前進及び後退の移動速度に対する制御が可能になるので、光学機器本体(例えば、レーザー)の角度に対する精密な調整を実現することができる。このような構造は、特に、体積が小さい光学機器の出射光の角度に対する調整に適用されることができ、テーパ状の微調整用ネジを押すことによって光学機器本体(例えば、レーザー)に対して水平方向及び垂直方向における微調整を実現することで、光学機器本体(例えば、レーザー)の左右角度又は上下角度に対する調整を実現できるので、出射光の角度に対する調整を実現することができる。
【0024】
第2実施例
本実施例は、光学機器の角度調整機構を提供する。光学機器の角度調整機構は、
図1に示すように、中空の柱状の微調整マウント1を含む。前記微調整マウント1の中空のキャビティ内には、軸方向に沿ってテーパ状の微調整用ネジ3とテーパ面201を有する取付マウント2とが対向するように設置されている。前記取付マウント2のテーパ面201には、
図5に示すように、その円周方向に沿って4つのストライプ状平面202が等間隔に設置されている。ここで、隣接する2つのストライプ状平面202は、2つのテーパ状の微調整用ネジ3のテーパ状面にそれぞれ当接する。また、前記テーパ状の微調整用ネジ3は、微調整マウント1の内壁及び取付マウント2のテーパ面201により形成されたキャビティにおいて、それに嵌合するストライプ状平面202に沿って前進又は後退することができる。
【0025】
本実施例に係る光学機器の角度調整機構は、微調整弾性部材4をさらに含む。前記微調整弾性部材4は、
図6に示すように、弾性弧状弾性シート401と弧状突起403を有する2つのスプリングシート402とを組み合わせて形成されたΠ状構造又は
状構造である。前記弾性弧状弾性シート401は、
図2に示すように、微調整マウント1の一端の端部縁に係合される。2つのスプリングシート402の2つの弧状突起403は、
図1に示すように、それぞれ残りの2つのストライプ状平面202に当接する。
【0026】
本実施例は、第1実施例の好ましい実施例であり、本実施例における第1実施例と類似する部分については、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施例は、第1実施例に比べて、微調整弾性部材4を追加している。微調整弾性部材4は、係合方式によって微調整マウント1に接続されることができる。具体的に、弾性弧状弾性シート401は、微調整マウント1の後段の端部縁に係合し、
図2に示すように、2つのスプリングシート402の中間部の弧状突起403は、取付マウント2のストライプ状平面202に当接する。
【0027】
例えば、4つのストライプ状平面202は、順次にストライプ状平面A、ストライプ状平面B、ストライプ状平面C及びストライプ状平面Dと番号付けられる。好ましい実施例において、ストライプ状平面A及びストライプ状平面Bは、それぞれ2つのテーパ状の微調整用ネジ3のテーパ状面に嵌合され、ストライプ状平面C及びストライプ状平面Dは、それぞれ2つのスプリングシート402の2つの弧状突起403に当接される。テーパ状の微調整用ネジ3をねじ込む場合、テーパ状の微調整用ネジ3が押されてそのテーパ状面に当接するストライプ状平面A及びストライプ状平面Bに沿って前進されることにより、
図1に示すように、取付マウント2が押圧されて下に向いて移動される。この時、ストライプ状平面C及びストライプ状平面Dのそれぞれは、それらに当接する弧状突起403を押圧する。弧状突起403を備えるスプリングシート402が弾性を有する構造であるので、押圧力の一部が打ち消され、取付マウント2の下への移動速度が落とされる。即ち、取付マウント2の位置が規制されるので、取付マウント2に設置されたレーザー6に対する精密な調整を実現することができる。
【0028】
特に、ストライプ状平面Aとストライプ状平面Bが90度をなすので、それらに嵌合する2つのテーパ状の微調整用ネジ3も90度をなす。互いに90度をなす2つのテーパ状の微調整用ネジ3を押して移動させる場合、レーザー6の水平移動及び垂直移動を実現することができる。
図1に示すように、レーザー6を上下又は前後に移動させ(紙面に垂直になる。)、即ち、レーザー6の角度に対する調整を実現することができる。
【0029】
好ましい実施例において、微調整弾性部材4は、弾性弧状弾性シート401と弧状突起403を有する2つのスプリングシート402とを結合させて形成されたΠ状構造である。前記スプリングシート402は、波形をなす。
図6に示すように、弾性弧状弾性シート401に近接する波の山は、弧状突起403であり、また、弧状突起403が位置する波の山は、前記弾性弧状弾性シート401の中心軸線に向かっている。
【0030】
好ましい実施例において、微調整弾性部材4は、弾性弧状弾性シート401と弧状突起403を有する2つのスプリングシート402とを結合させて形成された
状構造である。
図7に示すように、2つのスプリングシート402の同じ側の端部は、弾性弧状弾性シート401の中間部に接続され、また、2つのスプリングシート402の他方側の端部は、互いに接触されることにより、2つのスプリングシート402が弾性弧状弾性シート401の中点に対して対称になる。即ち、2つのスプリングシート402は、
図7に示すV形をなす。
状の微調整弾性部材4は、微調整マウント1に取り付けられると、
図8に示すようになる。
【0031】
第3実施例
第2実施例に基づいて、
図3及び
図4に示すように、スプリングシート402を取付マウント2のストライプ状平面202に容易に当接させるために、前記微調整マウント1の柱状壁には、軸方向に沿って中空のキャビティにそれぞれ連通される2つのストリップ状の開口101が開設される。これにより、前記スプリングシート402の弧状突起403は、ストリップ状の開口101を通過してストライプ状平面202に接触する。
【0032】
選択的に、前記微調整マウント1の一端は、開口されている。弾性弧状弾性シート401が当該開口端103の端部縁に係合される。微調整マウント1の他端には、端部カバー102が設置されている。前記端部カバー102には、テーパ状の微調整用ネジ3が通過させるための丸穴104が開設されている。端部カバー102の中心には、出射光を出射するための中心孔が開設されている。
【0033】
第4実施例
第3実施例に基づいて、好ましい例として、
図5に示すように、前記取付マウント2は、左から右への順に、直径が徐々に大きくなる円台区間203と、柱状の遷移区間204と、ドラム状区間205とを有する。前記4つのストライプ状平面202は、2つずつが対向するとともに、平行になるように円台区間203のテーパ面201に分布されている。製造プロセスを容易にするために、4つのストライプ状平面202のうちのいずれか1つのストライプ状平面202には、位置決め小孔206が開設されている。
【0034】
前記ドラム状区間205のドラム面には、
図5に示すように、位置規制部材5を収容するための凹溝207が開設されている。前記位置規制部材5は、取付マウント2のドラム状区間205と微調整マウント1の開口端103の内壁との間に位置する。
【0035】
光学機器の角度調整機構を組み立てる場合、微調整マウント1の開口端103を介してレーザー6を取付マウント2に挿入し、そして、開口端103においてレーザー締付リング7を利用して取付マウント2を締め付ける。
図1に示すように、位置規制部材5は、レーザー締付リング7と取付マウント2との間に位置し、取付マウント2に対して位置規制の作用を奏する。これにより、テーパ状の微調整用ネジ3が取付マウント2を押して右(
図1における方向)に移動させる時、取付マウント2が微調整マウント1からスライドして脱落されることを防止する。
【0036】
なお、位置規制部材5は、位置規制ボール又は位置規制円柱などであり、本実施例では、好ましくは位置規制ボールであるが、これに限定されるものではない。
第5実施例
好ましい例として、レンチで容易にテーパ状の微調整用ネジ3をねじ込むために、
図9に示すように、前記テーパ状の微調整用ネジ3は、六角穴付き皿テーパネジである。
【0037】
特に、本発明に係る光学機器の角度調整機構の具体的な応用は、以下の通りである。
光学機器の角度調整機構により光学機器の取付角度を調整する方法は、以下のようなステップを含む。
【0038】
ステップ1:微調整マウント1の開口端103を介してレーザー6を取付マウント2に挿入し、そして、開口端103においてレーザー締付リング7を利用して取付マウント2を締め付けることにより、レーザー6の出射光が微調整マウント1の端部カバー102における中心孔から出射される。
【0039】
ステップ2:出射光の方向を調整する必要がある場合、テーパ状の微調整用ネジ3を端部カバー102における丸穴104に通過させて微調整マウント1に挿入し、テーパ状の微調整用ネジ3を微調整マウント1のストライプ状平面202に当接させ、その後、レンチでテーパ状の微調整用ネジ3をねじ込むことにより、テーパ状の微調整用ネジ3を押してそのテーパ状面と当接する微調整マウント1のストライプ状平面202に沿って前進させることで、取付マウント2が押圧されてスプリングシート402に向かって移動し、これにより、スプリングシート402における弧状突起403が取付マウント2の外壁に当接するとともに、取付マウント2の外壁を弾性支持することによって位置規制する。
【0040】
ステップ3:取付マウント2を前進させすぎることにより出射光の方向がずれた場合、テーパ状の微調整用ネジ3を逆方向にねじ込むことにより、テーパ状の微調整用ネジ3を後退させる。
【0041】
ステップ4:ステップ2及びステップ3を繰り返し、テーパ状の微調整用ネジ3のねじ込みを繰り返すことにより、レーザー6の出射光の方向が予め設定された要求を満たすまで、取付マウント2におけるレーザー6に対して水平調整及び垂直調整を行う。
【0042】
上記のように、本発明に係る光学機器の角度調整機構は、テーパ状の微調整用ネジのテーパ状面と取付マウントの平面とが互いに当接するという方式を採用することによって、テーパ状の微調整用ネジを押して移動させると、テーパ状の微調整用ネジが取付マウントの平面に沿って前進又は後退することができるとともに、前進及び後退の移動速度に対する制御が可能になるので、レーザーの角度に対する精密な調整を実現することができる。このような構造は、特に、体積が小さい光学機器の角度調整機構におけるレーザーの角度に対する調整に適用されることができ、テーパ状の微調整用ネジを押すことによってレーザーの水平方向及び垂直方向における微調整を実現することで、レーザーの左右角度又は上下角度に対する調整を実現できるので、出射光の角度に対する調整を実現することができる。
【0043】
以上の例は、本発明を一例として挙げて説明するものであり、本発明の保護範囲に対する限定として構成されない。本発明と同じ又は類似する設計は、いずれも本発明の保護範囲内に属する。本実施例において詳述していない部品及び構造は、当分野の公知の部品及び通常使用される構造又は通常使用される手段であり、ここで詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0044】
1、微調整マウント;2、取付マウント;3、テーパ状の微調整用ネジ;4、微調整弾性部材;5、位置規制部材;6、レーザー;7、レーザー締付リング;101、ストリップ状の開口;102、端部カバー;103、開口端;104、丸穴;201、テーパ面;202、ストライプ状平面;203、円台区間;204、遷移区間;205、ドラム状区間;206、位置決め小孔;207、凹溝;401、弾性弧状弾性シート;402、スプリングシート;403、弧状突起。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学機器の角度調整機構であって、
前記角度調整機構は、中空の柱状の微調整マウント(1)を含み、
前記微調整マウント(1)の中空のキャビティ内には、軸方向に沿ってテーパ状の微調整用ネジ(3)とテーパ面(201)を有する取付マウント(2)とが対向するように設置され、
前記取付マウント(2)のテーパ面(201)には、円周方向に沿って4つのストライプ状平面(202)が等間隔に設置され、隣接する2つのストライプ状平面(202)のそれぞれが2つのテーパ状の微調整用ネジ(3)のテーパ状面に当接し、
前記テーパ状の微調整用ネジ(3)は、前記微調整マウント(1)の内壁及び取付マウント(2)のテーパ面(201)により形成されたキャビティにおいて、
前記テーパ状面に当接するストライプ状平面(202)に沿って前進又は後退可能である
ことを特徴とする光学機器の角度調整機構。
【請求項2】
前記角度調整機構は、微調整弾性部材(4)をさらに含み、
前記微調整弾性部材(4)は、弾性弧状弾性シート(401)と弧状突起(403)を有する2つのスプリングシート(402)とを組み合わせて形成されたΠ状構造又は
状構造であり、
前記弾性弧状弾性シート(401)は、前記微調整マウント(1)の一端の端部縁に係合し、
前記2つのスプリングシート(402)における2つの前記弧状突起(403)は、それぞれ残りの2つのストライプ状平面(202)に当接する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項3】
前記スプリングシート(402)は、波形をなし、
前記弾性弧状弾性シート(401)に近接する波の山は、前記弧状突起(403)であり、
前記弧状突起(403)が位置する波の山は、前記弾性弧状弾性シート(401)の中心軸線に向かっている
ことを特徴とする請求項2に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項4】
前記微調整マウント(1)の柱状壁には、軸方向に沿って中空のキャビティにそれぞれ連通する2つのストリップ状の開口(101)が開設され、
前記スプリングシート(402)の前記弧状突起(403)は、前記ストリップ状の開口(101)を通過して前記ストライプ状平面(202)に接触される
ことを特徴とする請求項3に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項5】
前記微調整マウント(1)の一端は、開口され、前記弾性弧状弾性シート(401)が
前記微調整マウント(1)の開口端(103)に係合し、
前記微調整マウント(1)の他端には、端部カバー(102)が設置され、
前記端部カバー(102)には、テーパ状の微調整用ネジ(3)を通過させるための丸穴(104)が開設され、
前記端部カバー(102)の中心には、出射光を出射させるための中心孔が開設される
ことを特徴とする請求項4に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項6】
前記取付マウント(2)は、左から右への順に、直径が徐々に大きくなる円台区間(203)と、柱状の遷移区間(204)と、ドラム状区間(205)とを、有し、
前記4つのストライプ状平面(202)は、2つずつが対向するとともに、平行になるように円台区間(203)のテーパ面(201)に分布し、
前記4つのストライプ状平面(202)のうちの1つのストライプ状平面(202)には、位置決め小孔(206)が開設される
ことを特徴とする請求項4に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項7】
前記ドラム状区間(205)のドラム面には、位置規制部材(5)を収容するための凹溝(207)が開設され、
前記位置規制部材(5)は、前記取付マウント(2)のドラム状区間(205)と前記微調整マウント(1)の開口端(103)の内壁との間に位置する
ことを特徴とする請求項6に記載の光学機器の角度調整機構。
【請求項8】
前記テーパ状の微調整用ネジ(3)は、六角穴付き皿テーパネジである
ことを特徴とする請求項1に記載の光学機器の角度調整機構。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
ステップ2:出射光の方向を調整する必要がある場合、テーパ状の微調整用ネジ3を端部カバー102における丸穴104に通過させて微調整マウント1に挿入し、テーパ状の微調整用ネジ3を取付マウント2のストライプ状平面202に当接させ、その後、レンチでテーパ状の微調整用ネジ3をねじ込むことにより、テーパ状の微調整用ネジ3を押してそのテーパ状面と当接する取付マウント2のストライプ状平面202に沿って前進させることで、取付マウント2が押圧されてスプリングシート402に向かって移動し、これにより、スプリングシート402における弧状突起403が取付マウント2の外壁に当接するとともに、取付マウント2の外壁を弾性支持することによって位置規制する。
【国際調査報告】