(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ピリミジン及びピラジンHDAC1、2阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 213/81 20060101AFI20220105BHJP
C07D 409/12 20060101ALI20220105BHJP
C07D 417/12 20060101ALI20220105BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20220105BHJP
C07D 405/12 20060101ALI20220105BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20220105BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20220105BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20220105BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20220105BHJP
A61K 31/4436 20060101ALI20220105BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220105BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20220105BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220105BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20220105BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20220105BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220105BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220105BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220105BHJP
C07D 237/10 20060101ALI20220105BHJP
C07D 239/42 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C07D213/81
C07D409/12 CSP
C07D417/12
C07D409/14
C07D405/12
C07D401/12
A61K31/496
A61K31/501
A61K31/44
A61K31/4436
A61K31/4439
A61K31/444
A61K31/506
A61K31/497
A61P43/00 111
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/18
A61P25/24
A61P25/32
A61P25/36
A61P25/30
A61P25/22
A61P35/00
A61P35/02
C07D237/10
C07D239/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519834
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 US2019055397
(87)【国際公開番号】W WO2020076951
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519184664
【氏名又は名称】リージェナシー・ファーマシューティカルズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エイチ・ヴァン・ドゥーザー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・マジチェク
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ブラム
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ビー・ジャープ
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA58
4C055BB10
4C055CA02
4C055CA52
4C055CB10
4C055DA01
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB07
4C063BB09
4C063CC29
4C063CC62
4C063CC75
4C063CC92
4C063DD12
4C063DD28
4C063DD29
4C063DD34
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC41
4C086BC42
4C086BC47
4C086BC82
4C086GA06
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA12
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA29
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、化合物、かかる化合物を含む薬学的組成物、及びかかる化合物を使用して、HDAC1及び/またはHDAC2活性に関連する疾患または障害を治療する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
1が、アリール、ハロ、及びヘテロアリールからなる群から選択され、アリールが、任意選択でR
3で置換され、
R
2が、ヘテロシクロアルキル、OR
4、及びN(H)R
4からなる群から選択され、ヘテロシクロアルキルが、任意選択でR
4で置換され、
R
3が、C
1-C
4アルキル、または-OSO
2N(H)C
1-C
4アルキルであり、
R
4が独立して、各出現ごとに、C
1-C
4アルキル、-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)、-C(O)-C
1-C
4アルキル、及び-ヘテロシクロアルキル-C(O)-ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、C
1-C
4アルキルが、任意選択で-OHで置換され、
nが、1または2である、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1が、ハロ、フェニル、チアゾール、及びチエニルからなる群から選択され、フェニルが、任意選択でR
3で置換され、
R
2が、ヘテロシクロアルキル、OR
4、及びN(H)R
4からなる群から選択され、ヘテロシクロアルキルが、任意選択でR
4で置換され、
R
3が、C
1-C
4アルキル、または-OSO
2N(H)C
1-C
4アルキルであり、
R
4が独立して、各出現ごとに、C
1-C
4アルキル、-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)、-C(O)-C
1-C
4アルキル、及び-ヘテロシクロアルキル-C(O)-ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、C
1-C
4アルキルが、任意選択で-OHで置換され、
nが、1または2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1が、ハロ、フェニル、チエニル、及びチアゾールからなる群から選択され、フェニルが、任意選択でR
3で置換され、
R
2が、ピペラジン、OR
4、及びN(H)R
4からなる群から選択され、ピペラジンが、任意選択でR
4で置換され、
R
3が、メチル、または-OSO
2N(H)Meであり、
R
4が独立して、各出現ごとに、C
1-C
3アルキル、-(C
1-C
2アルキル)-O-メチル、-C(O)-メチル、及び-ピペラジン-C(O)-ピペラジンからなる群から選択され、C
1-C
3アルキルが、任意選択で-OHで置換され、
nが、1または2である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
式IIの化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
5が、アリールまたはヘテロアリールであり、
R
6が、ヘテロシクロアルキルまたはO-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)である、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
5が、フェニルまたはチエニルであり、
R
6が、ピペラジンまたはO-(C
1-C
2アルキル)-O-メチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式IIIの化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
8が、アリールまたはヘテロアリールであり、
R
9が、N(H)R
10またはヘテロシクロアルキルであり、ヘテロシクロアルキルが、任意選択でC
1-C
4アルキルで置換され、
R
10が、-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)であり、C
1-C
4アルキルが、任意選択でヘテロアリールで置換される、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
8が、フラニル、フェニル、及びチエニルからなる群から選択され、
R
9が、N(H)R
10またはヘテロシクロアルキルであり、ヘテロシクロアルキルが、任意選択でC
1-C
4アルキルで置換され、
R
10が、-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)であり、C
1-C
4アルキルが、任意選択でヘテロアリールで置換される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R
8が、フラニル、フェニル、及びチエニルからなる群から選択され、
R
9が、N(H)R
10 またはピペラジンであり、ピペラジンが、任意選択でメチルで置換され、
R
10が、-(C
1-C
2アルキル)-O-(C
1-C
2アルキル)であり、C
1-C
2アルキルが、任意選択でピリジンで置換される、請求項6または7に記載の化合物。
【請求項9】
式IVの化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記式I、前記式II、前記式III、または前記式IVの化合物が、
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
からなる群、またはその薬学的に許容される塩から選択される、請求項1~9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体と共に含む、薬学的組成物。
【請求項12】
HDAC1及び/またはHDAC2の活性を阻害することを必要とする対象における前記HDAC1及び/または前記HDAC2の活性を阻害する方法であって、請求項1~10のいずれかに記載の化合物、または請求項11に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項13】
HDAC1及び/またはHDAC2によって媒介される疾患を治療することを必要とする対象における前記HDAC1及び/または前記HDAC2によって媒介される疾患を治療する方法であって、請求項1~10のいずれかに記載の化合物、または請求項11に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
前記疾患が、神経変性疾患である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、老年認知症、血管性認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、及び進行性核上性麻痺からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
精神的疾患を治療することを必要とする対象における前記精神的疾患を治療する方法であって、請求項1~10のいずれかに記載の化合物、または請求項11に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項17】
前記精神的疾患が、統合失調症、大うつ病、物質使用障害、アルコール依存症、アヘン中毒、コカイン中毒、及び心的外傷後ストレス障害である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
がんを治療することを必要とする対象における前記がんを治療する方法であって、請求項1~10のいずれかに記載の化合物、または請求項11に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
前記がんが、肺癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、脳癌、腎臓癌、卵巣癌、胃癌、皮膚癌、及び骨癌からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記がんが、白血病またはリンパ腫である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記がんが、神経膠芽腫である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、ヒトである、請求項12~21のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年10月10日に出願された米国仮出願第62/743,885号の優先権を主張し、その内容が、全体に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
関心のある生物学的標的はヒストンデアセチラーゼ(HDAC)である(例えば、がんの治療のためのヒストンデアセチラーゼの阻害剤の使用に関する議論:Marks et al.Nature Reviews Cancer 2001,7,194、Johnstone et al.Nature Reviews Drug Discovery2002,287を参照されたい)。リシン残基のアセチル化及び脱アセチル化を介したタンパク質の翻訳後修飾は、それらの細胞機能を制御する上で重要な役割を果たす。HDACは、ヒストンタンパク質のN-アセチル-リジン残基、及び他の転写制御因子の脱アセチル化を介して遺伝子発現を調節する亜鉛加水分解酵素である(Hassig et al.Curr.Opin.Chem.Biol.1997,1,300-308)。HDACはシナプス形成を制御する神経経路に関与し、かつHDACは学習及び記憶において役割を果たす(Guan et al,Nature,2009,459(7243)55-60;
【0003】
補因子としてZnを使用する、11個のヒトHDACが同定されており(Taunton et al.Science1996,272,408-411、Yang et al.J.Biol.Chem.1997,272,28001-28007、Grozinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999,96,4868-4873、Kao et al.Genes Dev.2000,14,55-66.Hu et al.J.Biol.Chem.2000,275,15254-15264、Zhou et al.Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.2001,98,10572-10577、Venter et al.Science 2001,291,1304-1351)、これらのメンバーは、酵母オルソログとの配列相同性に基づいて3つのクラス(クラスI、II、及びIV)に分類される(O.Witt et al.Cancer Letters,2009,277,8-21)。クラスI HDACには、HDAC1、HDAC2、HDAC3、及びHDAC8が含まれ、「古典的な」HDACと称され、基にZn2+イオンを有する触媒ポケットを伴う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Marks et al.Nature Reviews Cancer 2001,7,194
【非特許文献2】Johnstone et al.Nature Reviews Drug Discovery2002,287
【非特許文献3】Hassig et al.Curr.Opin.Chem.Biol.1997,1,300-308
【非特許文献4】Guan et al,Nature,2009,459(7243)55-60
【非特許文献5】Taunton et al.Science1996,272,408-411
【非特許文献6】Yang et al.J.Biol.Chem.1997,272,28001-28007
【非特許文献7】Grozinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999,96,4868-4873
【非特許文献8】Kao et al.Genes Dev.2000,14,55-66
【非特許文献9】Hu et al.J.Biol.Chem.2000,275,15254-15264
【非特許文献10】Zhou et al.Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.2001,98,10572-10577
【非特許文献11】Venter et al.Science 2001,291,1304-1351
【非特許文献12】O.Witt et al.Cancer Letters,2009,277,8-21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
構造的に多様なHDAC阻害剤、特に特定のクラスのHDAC及び個々のHDACの強力な及び/または選択的な阻害剤を調製する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で提供されるのは、認知機能障害及び神経変性を含む、HDAC1またはHDAC2機能に関連する障害を治療するための化合物、及びこれらの化合物を使用する方法である。
【0007】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、式Iの化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
1が、アリール、ハロ、及びヘテロアリールからなる群から選択され、アリールが、任意選択でR
3で置換され、
R
2が、ヘテロシクロアルキル、OR
4、及びN(H)R
4からなる群から選択され、ヘテロシクロアルキルが、任意選択でR
4で置換され、
R
3が独立して、各出現ごとに、C
1-C
4アルキル、または-OSO
2N(H)C
1-C
4アルキルであり、
R
4が独立して、各出現ごとに、C
1-C
4アルキル、-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)、-C(O)-C
1-C
4アルキル、及び-ヘテロシクロアルキル-C(O)-ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、C
1-C
4アルキルが、任意選択で-OHで置換され、
nが、1または2である。
【0008】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、式IIの化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
5が、アリールまたはヘテロアリールであり、
R
6が、ヘテロシクロアルキルまたは-O-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)である。
【0009】
式IIの実施形態では、R
5が、フェニル及びチエニルからなる群から選択され、R
6が、ピペラジン及びO-(C
1-C
2アルキル)-O-メチルからなる群から選択される。
さらに別の態様では、本明細書に提供されるのは、式IIIの化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
8が、アリールまたはヘテロアリールであり、
R
9が、N(H)R
10またはヘテロシクロアルキルであり、ヘテロシクロアルキルが、任意選択でC
1-C
4アルキルで置換され、
R
10が、-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)であり、C
1-C
4アルキルが、任意選択でヘテロアリールで置換される。
【0010】
さらに別の態様では、本明細書に提供されるのは、式IVの化合物である。
【化4】
【0011】
本発明の別の態様は、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体と共に含む、薬学的組成物である。
【0012】
一態様では、本明細書で提供されるのは、HDAC1及び/またはHDAC2の活性を阻害することを必要とする対象におけるHDAC1及び/またはHDAC2の活性を阻害する方法であって、本明細書に記載されるいずれかの化合物または組成物を対象に投与することを含む、方法である。
【0013】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、HDAC1及び/またはHDAC2によって媒介される疾患を治療することを必要とする対象におけるHDAC1及び/またはHDAC2によって媒介される疾患を治療する方法であって、治療有効量の本明細書に記載されるいずれかの化合物または組成物を対象に投与することを含む、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で提供されるのは、化合物、例えば、式I、II、III、及びIVの化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、それらは、それを必要とする対象におけるがん、神経障害、骨髄異形成症候群、または異常ヘモグロビン症の治療に有用である。
【0015】
非限定的な態様では、これらの化合物は、ヒストンデアセチラーゼを阻害することができる。特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、HDAC1及び/またはHDAC2阻害剤と見なされる。したがって、一態様では、本明細書で提供される化合物は、HDAC1及び/またはHDAC2阻害剤として作用することにより、対象におけるがん、骨髄異形成症候群、または異常ヘモグロビン症の治療に有用である。
【0016】
A.定義
以下に列挙されるのは、本発明を説明するために使用される様々な用語の定義である。これらの定義は、個別に、またはより大きなグループの一部として、特定の場合に別途制限がない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して使用される用語に適用される。
【0017】
別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、概して、本発明が属する技術分野の専門家によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。概して、本明細書で使用される命名ならびに細胞培養、分子遺伝学、有機化学、及びペプチド化学における検査手技は、当該技術分野で周知であり、一般的に用いられるものである。
【0018】
本明細書で使用されるとき、冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法上の目的語のうちの1つまたは1つを超えるもの(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例として、「(an)要素」は、1つの要素または1つを超える要素を意味する。さらに、「含むこと(including)」という用語、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」等の他の形態の使用は、限定的でない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者によって理解され、それが使用される文脈によってある程度異なるであろう。本明細書で、量、時間的な持続期間等の測定可能な値を指すときに使用されるとき、「約」という用語は、開示される方法を行うためにかかる変動が適切であるように、明記される値から±5%、±1%、及び±0.1%を含む、±20%または±10%の変動を包含することを意味する。
【0020】
「治療(treat)」、「治療される(treated)」、「治療する(treating)」、または「治療(treatment)」という用語は、治療される状態、障害、もしくは疾患に関連する、またはそれらによって引き起こされる少なくとも1つの症状の軽減または緩和を含む。特定の実施形態では、治療は、がん、異常ヘモグロビン症、または骨髄異形成症候群に関連する状態に対して、有効量の本発明の化合物をHDAC1及び/またはHDAC2と接触させることを含む。
【0021】
本明細書で使用されるとき、「予防する」または「予防」という用語は、何も生じていなかった場合には障害もしくは疾患発症がないこと、または障害もしくは疾患の発症がすでに存在していた場合には更なる障害もしくは疾患発症がないことを意味する。また、障害または疾患に関連する症状の幾つかまたは全てを予防する能力も考慮される。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「患者」、「個体」、または「対象」という用語は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を指す。非ヒト哺乳動物は、例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、及びマウス哺乳動物等の家畜ならびにペットを含む。好ましくは、患者、対象、または個体は、ヒトである。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「有効量」、「薬学的有効量」、及び「治療有効量」という用語は、非毒性であるが、所望の生物学的結果を提供するのに十分な薬剤の量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、または原因の低減もしくは緩和、または生体系の任意の他の所望の変化であってもよい。任意の個々の症例における適切な治療量は、当業者によって、日常的な実験を使用して決定されてもよい。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物学的活性または特性を抑止せず、かつ比較的非毒性である担体または希釈剤等の物質を指し、すなわち、物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことも、それが含有される組成物の構成成分のいずれとも有害な様態で相互作用することもなく、個体に投与され得る。
【0025】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される塩」という用語は、親化合物が既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸性塩、カルボン酸などの酸性残留物のアルカリまたは有機塩などが含まれるが、これらに限定されない。本発明の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機または有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性の塩が含まれる。本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、かかる塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、水中もしくは有機溶媒中、または2つの混合物中の化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。「薬学的に許容される塩」という句は、単一または1:1塩に限定されない。例えば、「薬学的に許容される塩」には、ビス塩酸塩などのビス塩も含まれる。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)内に見出され、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
本明細書で使用されるとき、「組成物」または「薬学的組成物」という用語は、本発明内で有用な少なくとも1つの化合物と、薬学的に許容される担体との混合物を指す。薬学的組成物は、化合物の、患者または対象への投与を容易にする。静脈内、経口、エアロゾル、非経口、眼内、肺、及び局所投与を含むが、これらに限定されない、化合物を投与する複数の技法が当該技術分野で存在する。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、本発明内で有用な化合物を、それがその意図される機能を行い得るように、患者内でまたは患者へと担持するまたは輸送することに関与する、液体または固体充填剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、またはカプセル封入物質等の、薬学的に許容される物質、組成物、または担体を意味する。典型的に、かかる構築物は、1つの臓器、または身体の部分から、別の臓器、または身体の部分へと担持または輸送される。各担体は、本発明内で有用な化合物を含む製剤の他の成分と適合性であり、かつ患者に有害でないという意味で、「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体としての役目を果たし得る物質のいくつかの例としては、乳糖、ブドウ糖、及びショ糖等の糖類;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等のデンプン;セルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース等のその誘導体;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター及び座剤ワックス等の賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油等の油;プロピレングリコール等のグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール等のポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤;界面活性剤;アルギン酸;発熱性物質除去水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに薬学的製剤に用いられる他の非毒性の適合性材料が含まれる。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される担体」はまた、本発明内で有用な化合物の活性と適合性であり、かつ患者にとって生理的に許容されるように、ありとあらゆるコーティング、抗菌剤及び抗真菌薬剤、ならびに吸収遅延剤を含む。補足的な活性化合物もまた、組成物中に組み込まれ得る。「薬学的に許容される担体」は、本発明内で有用な化合物の薬学的に許容される塩をさらに含み得る。本発明の実施において使用される薬学的組成物に含まれ得る他の追加の成分は、当該技術分野で既知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Genaro,Ed.,Mack Publishing Co.,1985,Easton,PA)に記載され、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
「HDAC」という用語は、ヒストンデアセチラーゼを指し、コアヒストンのリジン残基からアセチル基を除去し、凝縮して転写的にサイレンシングされたクロマチンを形成する酵素である。現在、18個の既知のヒストンデアセチラーゼが存在し、4つのグループに分類される。HDAC1、HDAC2、HDAC3、及びHDAC8を含むクラスI HDACは、酵母RPD3遺伝子に関連している。HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9、及びHDAC10を含むクラスII HDACは、酵母Hda1遺伝子に関連している。サーチュインとしても知られているクラスIII HDACは、Sir2遺伝子に関連しており、SIRT1-7が含まれる。HDAC11のみを含むクラスIV HDACには、クラスI及びIIの両方のHDACの機能を有する。「HDAC」という用語は、特に明記しない限り、18個の既知のヒストンデアセチラーゼのうちのいずれか1つ以上を指す。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「アルキル」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、表記される炭素原子の数を有する直鎖または分岐鎖炭化水素(すなわち、C1-C6-は、1~6個の炭素原子を意味する)を意味し、直鎖及び分岐鎖を含む。実施形態では、C1-C6アルキル基が、本明細書で提供される。例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、及びヘキシルが含まれる。C1-C6-アルキルの他の例には、エチル、メチル、イソプロピル、イソブチル、n-ペンチル、及びn-ヘキシルが含まれる。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、単独でまたは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子、好ましくは、フッ素、塩素、または臭素、より好ましくは、フッ素または塩素を意味する。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「ヘテロシクロアルキル」という用語は独立して、N、O、及びSから選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を含み、1、2、または3個の環を有し、かかる環が縮合し得、縮合が上記で定義される、非芳香族炭素環系を意味する。ヘテロシクロアルキルはまた、二環内の個々の環が3~8原子の範囲で変化し、0、1、もしくは2のN、O、またはS原子を含む、本質的に架橋またはスピロ環式の二環式構造を含む。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環状エステル(すなわち、ラクトン)及び環状アミド(すなわち、ラクタム)を含み、さらに特に、これらに限定されないが、エポキシジル、オキセタニル、テトラヒドロフランリル、テトラヒドロピラニル(すなわち、オキサニル)、ピラニル、ジオキサニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロリル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、チオモルホリニル、1,3-オキサジナニル、1,3-チアジナニル、2-アザビシクロ[2.1.1]-ヘキサニル、5-アザビシクロ[2.1.1]ヘキサニル、6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、2-アザビシクロ-[2.2.1]ヘプタニル、3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、2-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3-アザ-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、3-オキサ-7-アザビシクロ[3.3.1]ノナニル、3-オキサ-9-アザビシクロ-[3.3.1]ノナニル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、6-オキサ-3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、2-アザスピロ[3.3]ヘプタニル、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタニル、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタニル、2-オキサスピロ[3.5]ノナニル、3-オキサスピロ[5.3]ノナニル、及び8-オキサスピロ[3.2.1]オクタニルが含まれる。実施形態では、C2-C7ヘテロシクロアルキル基が、本明細書で提供される。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「芳香族」という用語は、1つ以上の多価不飽和環を含み、芳香族の特徴を有する、すなわち、(4n+2)非局在化π(パイ)電子を有する(nは、整数である)、炭素環または複素環を指す。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「アリール」という用語は、1、2、または3個の環を含み、かかる環が縮合し得、縮合が上記で定義される、芳香族炭素環系を意味する。環が縮合される場合、環の1つは完全に不飽和でなければならず、縮合した環(複数可)は完全に飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和であり得る。「アリール」という用語には、これらに限定されないが、フェニル、ナフチル、インダニル、及び1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレニルが含まれる。いくつかの実施形態では、アリール基は、6個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は、6~10個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は、6~16個の炭素原子を有する。一実施形態では、6~10員のアリール基が、本明細書で提供される。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「ヘテロアリール」という用語は独立して、N、O、及びSから選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を含み、1、2、または3個の環を有し、かかる環が縮合し得、縮合が上記で定義される、芳香族炭素環系を意味する。「ヘテロアリール」という用語には、これらに限定されないが、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[c]ピリジニル、1,4,5,6-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラゾリル、2,4,5,6-テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラゾリル、5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-b]ピラゾリル、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-b][1,2,4]トリアゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インダゾリル、及び4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インダゾリルが含まれる。一実施形態では、5~10員のヘテロアリール基が、本明細書で提供される。
【0036】
アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル部分が、異なる環原子を介して指定された部分に結合または他の方法で結合され得る場合(すなわち、特定の接続点を示すことなく表示または記載される)、その後、すべての可能な点が、炭素原子または、例えば、三価窒素原子を介するとして意図されることを理解されたい。例えば、「ピリジニル」という用語は、2-、3-、または4-ピリジニルを意味し、「チエニル」という用語は、2-または3-チオエニルを意味し、以下同様である。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「置換される」という用語は、原子または原子の基が、別の基と結合した置換基として水素を置換したことを意味する。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「任意選択で置換される」という用語は、参照される基が置換または非置換であり得ることを意味する。一実施形態では、参照される基は、任意選択でゼロ置換基で置換される、すなわち、参照される基は非置換である。
【0039】
化合物
別の態様では、本明細書に提供されるのは、式Iの化合物:
【化5】
またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
1が、アリール、ハロ、及びヘテロアリールからなる群から選択され、アリールが、任意選択でR
3で置換され、
R
2が、ヘテロシクロアルキル、OR
4、及びN(H)R
4からなる群から選択され、ヘテロシクロアルキルが、任意選択でR
4で置換され、
R
3が、C
1-C
4アルキル、または-OSO
2N(H)C
1-C
4アルキルであり、
R
4が独立して、各出現ごとに、C
1-C
4アルキル、-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)、-C(O)-C
1-C
4アルキル、及び-ヘテロシクロアルキル-C(O)-ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、C
1-C
4アルキルが、任意選択で-OHで置換され、
nが、1または2である。
【0040】
一実施形態では、R1が、ハロ、フェニル、チアゾール、及びチエニルからなる群から選択され、フェニルが、任意選択でR3で置換され、R2が、ヘテロシクロアルキル、OR4、及びN(H)R4からなる群から選択され、ヘテロシクロアルキルが、任意選択でR4で置換され、R3が、C1-C4アルキル、または-OSO2N(H)C1-C4アルキルであり、R4が独立して、各出現ごとに、C1-C4アルキル、-(C1-C4アルキル)-O-(C1-C4アルキル)、-C(O)-C1-C4アルキル、及び-ヘテロシクロアルキル-C(O)-ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、C1-C4アルキルが、任意選択で-OHで置換され、nが、1または2である。
【0041】
一実施形態では、R1が、ハロ、フェニル、チエニル、及びチアゾールからなる群から選択され、フェニルが、任意選択でR3で置換され、R2が、ピペラジン、OR4、及びN(H)R4からなる群から選択され、ピペラジンが、任意選択でR4で置換され、R3が、メチル、または-OSO2N(H)Meであり、R4が独立して、各出現ごとに、C1-C3アルキル、-(C1-C2アルキル)-O-メチル、-C(O)-メチル、及び-ピペラジン-C(O)-ピペラジンからなる群から選択され、C1-C3アルキルが、任意選択で-OHで置換され、nが、1または2である。
【0042】
さらに別の実施形態では、R1は、ハロである。さらに別の実施形態では、R1は、フェニルである。一実施形態では、R1は、チエニルである。別の実施形態では、R1は、チアゾールである。
【0043】
一実施形態では、R2は、ピペラジンであり、ピペラジンは、任意選択でR4で置換される。別の実施形態では、R2は、OR4である。さらに別の実施形態では、R2は、N(H)R4である。
【0044】
さらに別の実施形態では、R3は、メチルである。さらに別の実施形態では、R3は、-Hである。さらに別の実施形態では、R3は、メチルである。さらに別の実施形態では、R3は、-OSO2N(H)Meである。
【0045】
さらに別の実施形態では、R4は、C1-C3アルキルであり、C1-C3アルキルは、任意選択で-OHで置換される。実施形態では、R4は、-(C1-C2アルキル)-O-メチルである。別の実施形態では、R4は、-C(O)-メチルである。さらに別の実施形態では、R4は、-ピペラジン-C(O)-ピペラジンである。
【0046】
一実施形態では、nは1である。別の実施形態では、nは2である。
【0047】
別の実施形態では、アリールは、6~10員のアリールである。別の実施形態では、ヘテロアリールは、5~10員のヘテロアリールである。さらに別の実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、3~10員のヘテロシクロアルキルである。
【0048】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、式IIの化合物:
【化6】
またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
5が、アリールまたはヘテロアリールであり、
R
6が、ヘテロシクロアルキルまたはO-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)である。
【0049】
式IIの実施形態では、R5は、フェニルまたはチエニルであり、R6は、ピペラジンまたはO-(C1-C2アルキル)-O-メチルである。
【0050】
別の実施形態では、R5は、フェニルである。さらに別の実施形態では、R5は、チエニルである。
【0051】
さらに別の実施形態では、R6は、ピペラジンである。一実施形態では、R6は、O-(C1-C2アルキル)-O-メチルである。別の実施形態では、R6は、OCH2CH2OCH3である。さらに別の実施形態では、R6は、OCH2OCH3である。
【0052】
別の実施形態では、アリールは、6~10員のアリールである。別の実施形態では、ヘテロアリールは、5~10員のヘテロアリールである。さらに別の実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、3~10員のヘテロシクロアルキルである。
【0053】
さらに別の態様では、本明細書に提供されるのは、式IIIの化合物:
【化7】
またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
8が、アリールまたはヘテロアリールであり、
R
9が、N(H)R
10またはヘテロシクロアルキルであり、ヘテロシクロアルキルが、C
1-C
4アルキルで置換され、
R
10が、-(C
1-C
4アルキル)-O-(C
1-C
4アルキル)であり、C
1-C
4アルキルが、任意選択でヘテロアリールで置換される。
【0054】
一実施形態では、R8が、フラニル、フェニル、及びチエニルからなる群から選択され、R9が、N(H)R10またはヘテロシクロアルキルであり、ヘテロシクロアルキルが、任意選択でC1-C4アルキルで置換され、R10が、-(C1-C4アルキル)-O-(C1-C4アルキル)であり、C1-C4アルキルが、任意選択でヘテロアリールで置換される。
【0055】
別の実施形態では、R8が、フラニル、フェニル、及びチエニルからなる群から選択され、R9が、N(H)R10またはピペラジンであり、ピペラジンが、任意選択でメチルで置換され、R10が、-(C1-C2アルキル)-O-(C1-C2アルキル)であり、C1-C2アルキルが、任意選択でピリジンで置換される。
【0056】
さらに別の実施形態では、R8は、フラニルである。さらに別の実施形態では、R8は、フェニルである。一実施形態では、R8は、チエニルである。
【0057】
別の実施形態では、R9は、N(H)R10である。さらに別の実施形態では、R9は、ピペラジンであり、ピペラジンは、任意選択でメチルで置換される。
【0058】
さらに別の実施形態では、R10は、-(C1-C2アルキル)-O-C1-C2アルキル)であり、C1-C2アルキルは、任意選択でピリジンで置換される。
【0059】
別の実施形態では、アリールは、6~10員のアリールである。別の実施形態では、ヘテロアリールは、5~10員のヘテロアリールである。さらに別の実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、3~10員のヘテロシクロアルキルである。
【0060】
さらに別の態様では、本明細書に提供されるのは、式IVの化合物である。
【化8】
【0061】
さらに別の実施形態では、式I、式II、式III、または式IVの化合物は、表1の化合物からなる群から選択される。
【0062】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0063】
本発明の態様は、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体と共に含む、薬学的組成物である。
【0064】
一実施形態では、開示される化合物は、互変異性体として存在し得る。すべての互変異性体が、本明細書に提示される化合物の範囲内に含まれる。
【0065】
本明細書に記載される化合物はまた、1個以上の原子が、同じ原子番号を有する原子によって置き換えられているが、原子質量または質量数が、自然界で通常見出される原子質量または質量数とは異なる、同位体標識化合物を含む。本明細書に記載される化合物に含めるのに好適な同位体の例には、これらに限定されないが、2H、3H、11C、13C、14C、36Cl、18F、123I、125I、13N、15N、15O、17O、18O、32P、及び35Sが含まれる。別の実施形態では、同位体標識された化合物は、薬物または基質組織の分布研究に有用である。別の実施形態では、ジュウテリウム等のより重い同位体での置換は、より大きい代謝安定性(例えば、インビボでの半減期の増加または必要投薬量の低減)をもたらす。さらに別の実施形態では、本明細書に記載される化合物には、2H(すなわち、重水素)同位体が含まれる。
【0066】
さらに別の実施形態では、11C、18F、15O、及び13Nなどのポジトロン放出同位体での置換は、基質受容体占有を検査するためにポジトロン放出断層撮影(PET)研究において有用である。同位体標識化合物は、任意の好適な方法によって、または他の場合に用いられる非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用するプロセスによって、調製される。
【0067】
本明細書に記載される化合物、及び異なる置換基を有する本明細書に記載される式の以上により包括される他の化合物は、本明細書に記載される技法及び物質を使用して、ならびに例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1-17(John Wiley and Sons,1991)、Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1-5 and Supplementals(Elsevier Science Publishers,1989)、Organic Reactions,Volumes 1-40(John Wiley and Sons,1991),Larock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989),March,Advanced Organic Chemistry 4th Ed.,(Wiley 1992)、Carey and Sundberg,Advanced Organic Chemistry 4th Ed.,Vols.A and B(Plenum 2000,2001)、及びGreen and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Ed.,(Wiley 1999)に記載されるように、合成される(それらの全ては、参照によりかかる開示のために本明細書に組み込まれる)。本明細書に記載される化合物の調製のための一般方法は、本明細書に提供される式中で見出される種々の部分の導入のために、適切な試薬及び条件の使用によって修正される。
【0068】
本明細書に記載される化合物は、商業的供給源から入手可能な化合物から出発する任意の好適な手順を使用して合成されるか、または本明細書に記載される手順を使用して調製される。
【0069】
治療の方法
本明細書に開示される化合物は、対象における疾患または状態を治療する方法、本明細書に提供される化合物を対象に投与することを含む該方法、または化合物を含む薬学的組成物に使用することができる。
【0070】
一態様では、本明細書で提供されるのは、対象において他のHDAC(例えば、HDAC3及びHDAC6)よりもHDAC1及び/またはHDAC2を選択的に阻害する方法であって、式I、II、III、もしくはIVの化合物、または表1の化合物のうちのいずれか、またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法である。
【0071】
一実施形態では、本明細書のいずれかの式(例えば、式I、II、III、またはIV)の化合物は、他のHDACよりも5~1000倍のHDAC1及び/またはHDAC2に対する選択性を有する。
【0072】
別の実施形態では、本明細書のいずれかの式(例えば、式I、II、III、IV)の化合物は、他のHDACよりも約5~1000倍のHDAC酵素アッセイで試験した場合、HDAC1及び/またはHDAC2に対して選択性を有する。
【0073】
特定の実施形態では、化合物は、他のHDACよりも15~40倍のHDAC1及び/またはHDAC2に対する選択性を有する。
【0074】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、HDAC1及び/またはHDAC2によって媒介される疾患を治療する方法であって、対象において、式II、III、IVの化合物、または表1の化合物のうちのいずれかを投与することを含む、方法である。
【0075】
一態様では、化合物は、異常ヘモグロビン症に罹患する、またはそれに感受性である対象を治療することが可能である。一実施形態では、化合物は、鎌状赤血球症またはベータサラセミアを治療することが可能である。
【0076】
別の態様では、本明細書で提供される化合物は、骨髄異形成症候群の治療に有用である。
【0077】
別の実施形態では、疾患は、がんである。
【0078】
さらに別の実施形態では、がんは、肺癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、脳癌、腎臓癌、卵巣癌、胃癌、皮膚癌、骨癌、胃癌、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、肝細胞癌、乳頭状腎癌、頭頸部扁平上皮癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、網膜芽細胞腫、子宮頸がん、黒色腫、及び/または皮膚癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、食道癌、固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、肺癌、結腸癌、乳癌、神経芽細胞腫、白血病、またはリンパ腫である。他の実施形態では、がんは、肺癌、結腸癌、乳癌、神経芽細胞腫、白血病、またはリンパ腫である。さらなる実施形態では、がんは、非小細胞肺癌(NSCLC)または小細胞肺癌である。
【0079】
さらに別の実施形態では、がんは、膠芽腫である。
【0080】
一実施形態では、がんは、白血病またはリンパ腫などの血液癌である。特定の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である。特定の実施形態では、白血病は、骨髄性、リンパ球性、骨髄球性、リンパ芽球性、または巨核球性白血病である。
【0081】
別の実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病及び巨核球性白血病である。
【0082】
さらに別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、神経変性疾患を治療することを必要とする対象における神経変性疾患を治療する方法であって、治療有効量の式I、II、III、IVの化合物、表1の化合物、またはその薬学的に許容される塩をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法である。
【0083】
一実施形態では、神経変性疾患が、アルツハイマー病、老年認知症、血管性認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、及び進行性核上性麻痺からなる群から選択される。
【0084】
さらに別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、精神的疾患を治療することを必要とする対象における精神的疾患を治療する方法であって、治療有効量の式I、II、III、IVの化合物、表1の化合物、またはその薬学的に許容される塩をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法である。
【0085】
一実施形態では、精神的疾患が、統合失調症、大うつ病、物質使用障害、アルコール依存症、アヘン中毒、コカイン中毒、及び心的外傷後ストレス障害からなる群から選択される。
【0086】
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、鎌状赤血球症、ベータサラセミア、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、神経芽細胞腫、及び巨核球性白血病からなる群から選択される治療を必要とする対象における鎌状赤血球症、ベータサラセミア、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、神経芽細胞腫、及び巨核球性白血病からなる群から選択される疾患を治療するための方法であって、治療有効量の式I、II、III、IVの化合物、表1の化合物、またはその薬学的に許容される塩をそれを必要とする対象に投与することを含む、方法である。
【0087】
したがって、別の態様では、HDAC1及び/またはHDAC2によって媒介される疾患の治療のための方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載されるように、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含むことを提供する。特定の実施形態では、対象は、かかる治療を必要とすると特定されている。特定の実施形態では、疾患の治療のための方法は、治療有効量の本明細書に開示される化合物、または本明細書に開示される化合物を含む薬学的組成物を、それを必要とする対象に、所望の結果を達成するために必要な量及び時間で投与することを含むことを提供する。
【0088】
特定の実施形態では、本方法は、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象(ヒトまたは動物を含むがこれらに限定されない)(必要であると特定された対象を含む)に投与することを含む。
【0089】
投与/投薬量/製剤
別の態様では、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される少なくとも1つの化合物を、薬学的に許容される担体と共に含む、薬学的組成物である。
【0090】
本明細書で論じられる薬学的組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、患者に対して毒性にならずに特定患者、組成物、及び投与形態に対する所望の治療反応を達成するために有効な活性成分の量を得るように異なり得る。
【0091】
特に、選択される投薬レベルは、用いられる特定の化合物の活性、投与時間、化合物の排泄率、治療の持続期間、その化合物と併用される他の薬物、化合物、または物質、治療されている患者の年齢、性別、体重、病態、全身の健康状態、及び以前の病歴、ならびに医療分野で周知の同様の要因を含む、多様な要因に依存するであろう。
【0092】
当該分野において通常の技術を有する医学博士、例えば、医師または獣医は、必要とされる薬学的組成物の有効な量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで開示された化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで、投薬量を徐々に増加することができる。
【0093】
特定の実施形態では、投与の容易性及び投薬量の均一性のために、化合物を単位剤形で製剤化することはとりわけ有利である。本明細書で使用される単位剤形とは、患者を治療するために、単位の投薬(unitary dosages)として適した物理的に個別的な単位を指し、ここで各単位は、必要とされる薬剤ビヒクルに関連して所望の治療効果を生み出すように算出された、既定量の開示される化合物を含有する。単位剤形は、(a)開示される化合物の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)患者における疼痛、うつ病性障害、または薬物中毒の治療のためにかかる開示される化合物を調合する/製剤化する技術分野の本質的な限界によって決定付けられ、またそれに直接依存する。
【0094】
一実施形態では、本明細書で提供される化合物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を使用する薬学的組成物として製剤化される。一実施形態では、薬学的組成物は、治療有効量の開示される化合物及び薬学的に許容される担体を含む。
【0095】
本明細書に開示される組成物のいずれの投与経路にも、経口、鼻腔、直腸、膣内、非経口、頬側、舌下、または局所が含まれる。本明細書に開示される化合物は、経口または非経口、例えば、経皮、経粘膜(例えば、舌下、舌側、(経)頬側、(経)尿道、膣(例えば、経膣及び膣周囲に(perivaginally))、鼻腔(内)及び(経)直腸)、膀胱内、肺内、十二指腸内、胃内、髄腔内、皮下、筋肉内、皮内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入、及び局所投与等の、任意の好適な経路による投与のために製剤化され得る。一実施形態では、好ましい投与経路は経口である。
【0096】
好適な組成物及び剤形には、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、丸薬、ゲルカプセル、トローチ、分散剤、懸濁液、溶液、シロップ、顆粒、ビーズ、経皮パッチ、ゲル、粉末、ペレット、マグマ、ロゼンジ、クリーム、ペースト、膏薬、ローション、ディスク、座剤、鼻腔または経口投与のための液体スプレー、吸入のための乾燥粉末またはエアロゾル化した製剤、膀胱内投与のための組成物及び製剤等が含まれる。製剤及び組成物は、本明細書に記載される特定の製剤及び組成物に限定されないことが理解されるべきである。
【0097】
経口適用のために、特に好適なのは、錠剤、糖衣錠、液体、ドロップ、座剤、またはカプセル、カプレット、及びゲルキャップである。経口使用のために意図される組成物は、当該技術分野で既知の任意の方法に従って調製され得、かかる組成物は、錠剤の製造に好適である不活性で非毒性の薬学的賦形剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含有し得る。かかる賦形剤には、例えば、乳糖等の不活性希釈剤;トウモロコシデンプン等の造粒剤及び崩壊剤;デンプン等の結合剤;ならびにステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤が含まれる。錠剤は、コーティングされなくてもよく、またはそれらは、洗練性のため、もしくは活性成分の放出を遅延させるために、既知の技法によってコーティングされてもよい。経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性希釈剤と混合されている硬質ゼラチンカプセルとして提示されてもよい。
【0098】
非経口投与の場合、開示される化合物は、注射または注入、例えば、静脈内、筋肉内、もしくは皮下注射または注入のために、あるいはボーラス用量または連続注入での投与のために製剤化され得る。油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、または乳濁液、任意選択で懸濁剤、安定剤、または分散剤などの他の調合剤を含むものを使用することができる。
【0099】
当業者であれば、本明細書に記載される特定の手順、実施形態、特許請求の範囲、及び実施例に対する多数の均等物を認識するか、または確認することができるであろう。かかる均等物は、本発明の範囲内にあり、本明細書に添付される特許請求の範囲によって網羅されるように見なされた。当該技術分野で認識される代替物により、ほんの日常的な実験を使用した、例えば、反応時間、反応サイズ/容量、及び溶媒等の実験用試薬、触媒、圧力、大気条件、例えば、窒素大気、ならびに還元/酸化剤を含むが、これらに限定されない反応条件における修正が、本出願の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0100】
値及び範囲が本明細書で提供される場合は常に、これらの値及び範囲に包括されるすべての値及び範囲が、本開示の範囲内に含まれることを意味することを理解されたい。さらに、これらの範囲内にあるすべての値、ならびに値の範囲の上限または下限もまた、本出願に企図される。
【0101】
以下の実施例は、本開示の態様をさらに説明する。しかしながら、それらは、記載されている本出願の教示または開示を決して制限するものではない。
【実施例】
【0102】
本出願は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これはさらなる限定と解釈されるべきではない。本開示の実施は、他に示されない限り、当技術分野の技術の範囲内である、有機合成、細胞生物学、細胞培養、及び分子生物学の従来の技術を使用する。
【表2】
【0103】
合成手順
実施例1-化合物001の合成:
【化9】
【0104】
ステップ1:
化合物1(171mg、1mmol)、tert-ブチル-2-ニトロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニルカルバメート(364mg、1mmol)、Pd(dppf)Cl2(41mg、0.05mmol)、及びK2CO3(276mg、2mmol)を、1,4-ジオキサン(10mL)及びH2O(3mL)中で組み合わせた。混合物を90℃で一晩撹拌した。粗製物質をCombiFlash(登録商標)(PE/EA=2/1)で精製して、化合物2(280mg、85%)を黄色の固体として得た。
【0105】
ステップ2:
化合物2(280mg、0.85mmol)、FeCl3(15mg、0.09mmol)、及び活性炭(30mg)を、EtOH(10mL)中で組み合わせた。反応混合物を60℃に加熱し、N2H4
.H2O(2mL)を滴下した。反応混合物を3時間撹拌した。反応が完了したら、粗製物質を濾過し、濃縮し、Et2Oで洗浄した。化合物3を白色の固体(211mg、83%)として単離した。
【0106】
ステップ3:
化合物3(100mg、0.34mmol)、5-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピコリン酸(104mg、0.34mmol)、及びEDCI(196mg、1.02mmol)を、Py(5mL)中で組み合わせた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に濃縮した。粗製物質を次のステップに繰り越した(200mg、粗製)。
【0107】
ステップ4:
化合物4(200mg、0.34mmol)を、DCM(4mL)中に溶解した。次に、TFA(2mL)を室温で加え、混合物を2時間撹拌した。完了したら、反応物を濃縮し、Prep-HPLC(基本の方法)で精製した。白色の固体を化合物001(24mg、18%)として得た。LCMS:m/z=388.3(M+H)+。1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.88(s、1H)、8.37(d、J=2.5Hz、1H)、7.95(d、J=8.8Hz、1H)、7.88(d、J=1.8Hz、1H)、7.45(d、J=8.2Hz、3H)、7.27-7.17(m、3H)、6.89(d、J=8.3Hz、1H)、4.99(s、2H)、3.31-3.25(m、4H)、2.89-2.78(m、4H)、2.31(s、3H)。
【0108】
実施例2-化合物002の合成:
【化10】
ステップ1:
化合物1(699mg、3mmol)、Boc
2O(1.96g、9mmol)、及びDMAP(37mg、0.3mmol)を、DCM(10mL)中に溶解した。反応物を室温で一晩撹拌した。粗製物質をCombiFlash(登録商標)(PE/EA=2/1)で精製して、化合物2(1.2g、92%)を白色の固体として得た。
【0109】
ステップ2:
化合物2(217mg、0.5mmol)、チオフェン-2-イルボロン酸(64mg、0.5mmol)、Pd(PPh3)4(30mg、0.025mmol)、及びCs2CO3(326mg、1mmol)を、1,4-ジオキサン(10mL)及びH2O(3mL)中で組み合わせた。反応混合物を90℃で一晩撹拌し、CombiFlash(登録商標)(PE/EA=2/1)で精製して、化合物3(110mg、50%)を白色の固体として得た。
【0110】
ステップ3:
化合物3(90mg、0.21mmol)、FeCl3(3mg、0.02mmol)、及び活性炭(20mg)を、EtOH(10mL)中で組み合わせた。反応混合物を60℃に加熱し、N2H4
.H2O(1mL)を滴下した。反応物を3時間撹拌した。完了したら、反応物質を濾過し、濃縮し、Et2Oで洗浄した。化合物4を白色の固体として単離した(30mg、48%)。
【0111】
ステップ4:
化合物4(30mg、0.1mmol)、5-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピコリン酸(31mg、0.1mmol)、及びEDCI(58mg、0.3mmol)を、Py(3mL)中に溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に濃縮し、CombiFlash(登録商標)(PE/EA=1/1)で精製して、化合物5(30mg、52%)を白色の固体として得た。
【0112】
ステップ5:
化合物5(30mg、0.05mmol)を、DCM(2mL)中に溶解した。次に、TFA(1mL)を室温で加え、反応混合物を2時間撹拌した。反応が完了したら、粗製物質を濃縮し、Et2Oで洗浄した。黄色の固体を化合物002(23mg、TFA塩)として得た。LCMS:m/z=398.1(M+H)+。1H NMR(400MHz、DMSO)δ 9.86(s、1H)、9.02(s、2H)、8.44(s、1H)、8.00(d、J=8.7Hz、1H)、7.74(d、J=8.4Hz、1H)、7.56(d、J=8.8Hz、1H)、7.48(d、J=5.1Hz、1H)、7.29(s、1H)、7.11(d、J=4.2Hz、1H)、6.70(d、J=13.1Hz、1H)、3.60(d、J=4.7Hz、4H)、3.28(s、4H)。
【0113】
実施例3-化合物003の合成:
【化11】
ステップ1:
化合物1(1g、5.81mmol)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(1.1g、5.81mmol)、及びDIPEA(2.3g、17.43mmol)を、DMF(20mL)中で組み合わせた。反応溶液を100℃に加熱し、一晩撹拌した。粗製物質をシリカゲル上のカラムクロマトグラフ(200~300メッシュ、DCM/EtOAc=1:1で溶出する)を介して精製して、化合物2を黄色の固体(1.7g、91%)として得た。
【0114】
ステップ2:
化合物2(1.7g、5.28mmol)及びLiOH(333mg、7.92mmol)を、MeOH(3mL)、THF(20mL)、及びH2O(5mL)中で組み合わせた。反応物を室温で一晩撹拌した。反応物のpHを、HCl(3N)を使用して7未満になるように調整した。次に、反応混合物を真空中で濃縮して、化合物4を黄色の固体(2.1g、粗製)として得た。
【0115】
ステップ3:
Py(3ml)中の化合物3(100mg、0.33mmol)及びtert-ブチル3-アミノビフェニル-4-イルカルバメート(77mg、0.27mmol)の溶液に、EDCI(156mg、0.81mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次にシリカゲル上のカラムクロマトグラフ(200~300メッシュ、石油エーテル/EtOAc=1:1で溶出する)により精製して、化合物4を白色の固体(85mg、55%)として得た。
【0116】
ステップ4:
DCM(2ml)中の化合物4(85mg、0.15mmol)の0℃の溶液に、TFA(1.5mL)を滴下して加えた。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空中で濃縮し、エーテルで洗浄して、化合物003を灰色の固体(38mg、TFA塩)として得た。LCMS:m/z=375.2(M+H)+。1H NMR(400MHz、DMSO)δ 10.26(s、1H)、9.03(s、2H)、8.05(d、J=9.5Hz、1H)、7.80(d、J=2.0Hz、1H)、7.55(dd、J=17.0、8.5Hz、3H)、7.45-7.33(m、3H)、7.27(t、J=7.4Hz、1H)、6.97(d、J=8.3Hz、1H)、4.03-3.96(m、4H)、3.28(s、4H)。
【0117】
実施例4-化合物004の合成:
【化12】
ステップ1:
化合物1(350mg、2.29mmol)、1-クロロ-2-メトキシエタン(238mg、2.52mmol)、及びK
2CO
3(473mg、3.42mmol)を、DMF(8mL)中で組み合わせた。反応物を120℃で一晩撹拌した。水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、化合物2(572mg、粗製)を得た。
【0118】
ステップ2:
化合物2(572mg、粗製)及びLiOH(107mg、2.5mmol)を、THF(10mL)、CH3OH(1.5mL)、及び水(3mL)中で合組み合わせた。反応物を室温で1時間撹拌した。THF及びCH3OHを真空中で除去した。水相をpH7に調整し、真空中で濃縮して、化合物3(720mg、粗製)を得た。
【0119】
ステップ3:
化合物3(180mg、粗製)、tert-ブチル-(2-アミノ-4-(チオフェン-2-イル)フェニル)カルバメート(147mg、0.51mmol)、及びEDCI(194mg、1.01mmol)を、ピリジン(4mL)中で組み合わせた。反応物を室温で一晩撹拌し、真空中で濃縮した。粗製物質をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(200~300メッシュ、石油エーテル/EtOAc=1:1で溶出する)を介して精製して、化合物4(175mg、40.8%)を得た。
【0120】
ステップ4:
化合物4(175mg、0.37mmol)及びTFA(2mL)を、DCM(2mL)中で組み合わせ、室温で1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。粗製混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わせた有機層を飽和NaHCO3(20mL)で洗浄し、NaSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製残留物を水から再結晶化し、凍結乾燥により乾燥させて、化合物004(54mg、39.2%)を得た。LCMS:m/z=370.1(M+H)+。1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.96(s、1H)、8.42(d、J=2.8Hz、1H)、8.11(d、J=8.7Hz、1H)、7.82(d、J=2.0Hz、1H)、7.63(dd、J=8.7、2.9Hz、1H)、7.40-7.34(m、1H)、7.30-7.23(m、2H)、7.06(dd、J=5.0、3.6Hz、1H)、6.85(d、J=8.3Hz、1H)、5.12(s、2H)、4.34-4.27(m、2H)、3.75-3.68(m、2H)、3.33(d、J=1.7Hz、3H)。
【0121】
【0122】
ステップ1:
化合物1(217mg、1mmol)、1-メチルピペラジン(200mg、2mmol)、Pd2(dba)3(46mg、0.05mmol)、及びRuPhos(47mg、0.1mmol)を、トルエン(10mL)に加えた。混合物を95℃で一晩撹拌し、次に濃縮し、次のステップ(300mg、粗製)に繰り越した。
【0123】
ステップ2:
化合物2(300mg、1.27mmol)及びLiOH.H2O(100mg、2.54mmol)を、MeOH(10mL)に加えた。混合物を60℃に加熱し、3時間撹拌し、次に濃縮し、次のステップ(300mg、粗製)に繰り越した。
【0124】
ステップ3:
化合物3(300mg、1.35mmol)、tert-ブチル2-アミノ-4-(チオフェン-2-イル)フェニルカルバメート(290mg、1mmol)、及びEDCI(576mg、3mmol)を、Py(10mL)に加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に濃縮し、次のステップ(200mg、粗製)に繰り越した。
【0125】
ステップ4:
化合物4(200mg、0.40mmol)を、DCM(4mL)中に溶解した。TFA(2mL)を室温で加え、混合物を2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、分取HPLC(酸法)で精製した。白色の固体を化合物006(46mg、TFA塩)として得た。LCMS:m/z=395.1(M+H)+。1H NMR(400MHz、MeOD) δ 8.65(s、2H)、7.80(d、J=2.0Hz、1H)、7.37(dd、J=8.3、2.1Hz、1H)、7.28-7.23(m、2H)、7.05(dd、J=5.1、3.6Hz、1H)、6.95(d、J=8.3Hz、1H)、3.67(s、4H)、3.14(d、J=4.7Hz、4H)、2.74(s、3H)。
【0126】
実施例6-化合物007の合成:
【化14】
ステップ1:
化合物1(30mg、0.10mmol)及びHATU(68mg、0.18mmol)を、DMF(2mL)中で組み合わせ、室温で15分間撹拌した。tert-ブチル-2-アミノ-4-(チオフェン-2-イル)フェニルカルバメート(28mg、0.10mmol)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応物をH
2O(5mL)で希釈し、化合物2を白色の固体(54mg、93%)として沈殿させた。
【0127】
ステップ2:
DCM(2mL)中の化合物2(54mg、0.10mmol)の0℃の溶液に、TFA(1mL)を滴下して加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に真空中で濃縮した。得られた黄色の固体をエーテルで濯ぎ、水(10mL)に溶解し、水から再結晶化し、凍結乾燥により乾燥させた。化合物007を黄色の固体(43mg、TFA塩)として単離した。LCMS:m/z=381.1(M+H)+。1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.95(s、1H)、8.63(s、2H)、7.78(d、J=2.0Hz、1H)、7.38(dd、J=5.1、1.0Hz、1H)、7.31-7.19(m、2H)、7.06(dd、J=5.1、3.6Hz、1H)、6.85(d、J=8.3Hz、1H)、5.14(s、2H)、3.49(s、4H)、3.00(s、4H)。
【0128】
実施例7-化合物009の合成:
【化15】
ステップ1:
窒素下で、化合物1(275mg、1.48mmol)、メチル-5-ブロモピリミジン-2-カルボキシレート(165mg、0.76mmol)、Ruphos(33mg、0.07mmol)、Pd
2(dba)
3(17mg、0.018mmol)、及びCs
2CO
3(748mg、2.29mmol)を、トルエン(8mL)中で組み合わせ、100°Cで一晩加熱した。粗製残留物を、石油エーテル/EtOAc(1:1)を用いた分取TLC(シリカゲル、GF254 10~40u、25*25cm)で精製して、化合物2を白色の固体(80mg、40%)として得た。
【0129】
ステップ2:
化合物2(80mg、0.25mmol)及びLiOH(10mg、0.25mmol)を、MeOH(0.3mL)、THF(2mL)、及びH2O(1mL)中で組み合わせ、0°Cで3時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、化合物3を白色の固体(30mg、40%)として得た。
【0130】
ステップ3:
化合物1(30mg、0.10mmol)及びHATU(68mg、0.18mmol)を、DMF(2mL)中に溶解し、室温で15分間撹拌した。tert-ブチル-3-アミノビフェニル-4-イルカルバメート(28mg、0.10mmol)を加え、反応物を室温で3時間撹拌した。粗製混合物をH2O(5mL)で希釈し、沈殿した固体を濾過して、化合物4を黄色の固体(50mg、88%)として得た。
【0131】
ステップ4:
DCM(2mL)中の化合物4(50mg、0.087mmol)の0℃の溶液に、TFA(1mL)を滴下して加えた。反応物を室温で2時間撹拌し、次に真空中で濃縮した。次に、粗製固体をエーテルで濯ぎ、H2O(50mL)に加えた。黄色の固体を水から再結晶化し、凍結乾燥により乾燥させて、化合物009を黄色の固体(47mg、TFA塩)として得た。LCMS:m/z=375.2(M+H)+1H NMR(400MHz、DMSO) δ 10.03(s、1H)、9.20(s、2H)、8.70(s、2H)、7.81(s、1H)、7.57(d、J=7.6Hz、2H)、7.41(t、J=7.5Hz、2H)、7.37-7.20(m、2H)、6.94(d、J=8.2Hz、1H)、3.70(s、4H)、3.28(s、4H)。
【0132】
実施例8-化合物010の合成:
【化16】
ステップ1:
DCM(10mL)中の化合物1(500mg、1.56mmol)の溶液に、TFA(2mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を濃縮し、エーテルで濯いだ。得られた固体を濾過して、化合物2を白色の固体(500mg、粗製)として得た。
【0133】
ステップ2:
DCM(10mL)中の化合物2(500mg、粗製)の溶液に、塩化アセチル(1.5当量)及びDIPEA(3.0当量)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、混合物をDCM/水で抽出し、濃縮して、化合物3を黄色の固体(430mg、粗製)として得た。
【0134】
ステップ3:
MeOH及びTHF(10Ml、v/v=1)中の化合物3(430mg、粗製)の溶液に、NaOH(1.5当量、2N)を加えた。混合物を60℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を濃縮して、化合物4を黄色の固体(371mg、粗製)として得た。
【0135】
ステップ4:
Py(8mL)中の化合物4(371mg、粗製)の溶液に、EDCI(2.0当量)及びtert-ブチル2-アミノ-4-(チオフェン-2-イル)フェニルカルバメート(1.0当量)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、粗製物質をカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物5を白色の固体(226mg、28%、4ステップ)として得た。
【0136】
ステップ5:
DCM(5mL)中の化合物5(226mg、0.43mmol)の0℃の溶液に、TFA(1mL)を滴下して加えた。反応物を室温で2時間撹拌し、真空中で濃縮した。粗製物質を飽和NaHCO3で中和し、得られた固体をエーテルで濯いで、化合物010を黄色の固体(118mg、65%)として得た。LCMS:m/z=422(M+H)+1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.88(s、1H)、8.41(s、1H)、8.10-7.74(m、2H)、7.61-6.70(m、6H)、5.10(s、2H)、3.62(s、4H)、3.50-3.35(m、4H)、2.06(s、3H)。
【0137】
実施例9-化合物011の合成:
【化17】
ステップ1:
化合物1(221mg、1mmol)、tert-ブチル3-アミノ-4-ヒドロキシビフェニル-4-イルカルバメート(300mg、1mmol)、及びEDCI(382mg、2mmol)を、Py(5mL)中で組み合わせ、反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物2(250mg、50%)を黄色の固体として得た。
【0138】
ステップ2:
DMA(5mL)中の化合物2(250mg、0.5mmol)の溶液に、NaH(鉱油中60%、80mg、2mmol)及び塩化メチルスルファモイル(129mg、1mmol)を加えた。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、次に水(30mL)で希釈し、濾過して、化合物3(209mg、70%)を黄色の固体として得た。
【0139】
ステップ3:
化合物3(298mg、0.5mmol)及びTFA(2mL)を、DCM(5mL)中で組み合わせ、室温で1時間撹拌した。反応混合物を黄色の固体として化合物011(198mg、80%)に濃縮した。LCMS:m/z=497(M+H)+ 1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.89(s、1H)、8.39(d、J=2.7Hz、1H)、7.96(d、J=8.8Hz、1H)、7.88(d、J=2.0Hz、1H)、7.63(d、J=8.7Hz、2H)、7.48(dd、J=8.9、2.8Hz、1H)、7.35-7.21(m、3H)、6.91(d、J=8.3Hz、1H)、5.08(s、2H)、3.44-3.35(m、4H)、2.73(s、3H)、2.46(d、J=4.9Hz、4H)、2.24(s、3H)、1.78(s、2H)。
【0140】
実施例10-化合物012の合成:
【化18】
ステップ1:
化合物1(546mg、3.3mmol)、tert-ブチル-2-ニトロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニルカルバメート(1092mg、3mmol)、Pd(dppf)Cl
2(123mg、0.15mmol)、及びK
2CO
3(828mg、6mmol)を、1,4-ジオキサン(10mL)及びH
2O(3mL)に加えた。混合物を90℃で一晩撹拌し、次にCombiFlash(登録商標)(PE/EA=2/1)で精製して、化合物2(240mg、50%)を黄色の固体として得た。
【0141】
ステップ2:
化合物2(240mg、0.75mmol)、FeCl3(13mg、0.08mmol)、活性炭(30mg)を。EtOH(10ml)に加えた。混合物を60℃に加熱し、N2H4
.H2O(2mL)を滴下した。反応物を3時間撹拌し、次に濾過し、濃縮して、Et2Oで濯いだ。化合物3を白色の固体(210mg、96%)として得た。
【0142】
ステップ3:
化合物3(62mg、0.21mmol)、5-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピコリン酸(64mg、0.21mmol)、及びEDCI(121mg、0.63mmol)を、Py(5mL)に加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に濃縮し、CombiFlash(登録商標)(PE/EA=1/1)で精製して、化合物4(40mg、34%)を得た。
【0143】
ステップ4:
化合物4(40mg、0.07mmol)を、DCM(2mL)中に溶解した。TFA(1 mL)を室温で加え、反応物を2時間撹拌した。次に、反応物を濃縮し、Et2Oで濯いだ。黄色の固体を化合物012(46mg、TFA塩)として得た。LCMS:m/z=381.2(M+H)+。1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.94(s、1H)、8.95(s、3H)、8.45(d、J=2.6Hz、1H)、8.08(s、1H)、8.02(d、J=8.8Hz、1H)、7.83(d、J=2.0Hz、1H)、7.57(dd、J=8.8、2.8Hz、1H)、7.32(dd、J=8.3、2.0Hz、1H)、6.90(d、J=8.3Hz、1H)、3.61(d、J=5.2Hz、4H)、3.28(s、4H)。
【0144】
実施例11-化合物013の合成:
【化19】
ステップ1:
THF(15mL)中の5-フルオロピコリノニトリル(366mg、3mmol)及び(S)-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタノール(528mg、4mmol)の溶液に、0°CでNaH(鉱油中60%、160mg、4mmol)を加えた。反応物を60℃に加熱し、4時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)で希釈し、濾過して、精製せずに化合物2(700mg)を得た。
【0145】
ステップ2:
化合物2(700mg、粗製)を、HCl(37%、10mL)に加え、80℃で一晩撹拌した。混合物を濃縮した。粗製物質をEA(20mL)で濯ぎ、濾過して、化合物3(400mg、2ステップで57%)を黄色の固体として得た。
【0146】
ステップ3:
化合物3(213mg、1mmol)、tert-ブチル-2-アミノ-4-(チオフェン-2-イル)フェニルカルバメート(290mg、1mmol)、及びEDCI(382mg、2mmol)を、Py(5mL)中に溶解し、室温で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物4(400mg、70%)を黄色の固体として得た。
【0147】
ステップ4:
化合物4(485mg、1mmol)及びTFA(2mL)を、DCM(5mL)中で組み合わせ、室温で1時間撹拌した。混合物を濃縮して、化合物013(250mg、65%)を黄色の固体として得た。LCMS:m/z=386(M+H)+1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.97(s、1H)、8.41(d、J=2.5Hz、1H)、8.11(d、J=8.7Hz、1H)、7.82(s、1H)、7.62(dd、J=8.7、2.7Hz、1H)、7.37(d、J=4.8Hz、1H)、7.27(dd、J=11.4、2.7Hz,、2H)、7.11-6.96(m、1H)、6.85(d、J=8.3Hz、1H)、5.21-5.02(m、3H)、4.76(t、J=5.6Hz、1H)、4.21(dd、J=10.1、3.6Hz、1H)、4.07(dd、J=10.1、6.2Hz、1H)、3.85(dd、J=9.6、5.3Hz、1H)、3.48(t、J=5.5Hz、2H)。
【0148】
実施例12-化合物014の合成:
【化20】
ステップ1:
メチル-5-ブロモピコリネート(3.35g、15.50mmol)、tert-ブチル-4-アミノピペリジン-1-カルボキシレート(3.1g、15.48mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(341mg、0.37mmol)、RuPhos(600mg、0.66mmol)、及び炭酸セシウム(10.08g、30.92mmol)を、トルエン(100mL)中で組み合わせ、100°Cで18時間加熱した。反応物を室温に冷却し、濾過した。濾過物を真空中で濃縮し、粗製残留物をPE/EAで濯いで、化合物2を淡黄色の固体(1.22g、収率:23%)として得た。
【0149】
ステップ2:
化合物2(1.22g、3.62mmol)及びLiOH(456mg、10.86mmol)を、THF(54mL)、水(18mL)、及びMeOH(9mL)中で組み合わせ、反応が完了するまで50℃で撹拌した。粗製混合物を真空中で濃縮し、水相を0℃で2M HClを加えることによりpH6に中和した。沈殿物を収集し、真空中で乾燥させて、化合物3を淡黄色の固体(735mg、収率:63%)として得た。
【0150】
ステップ3:
化合物3(645mg、2.04mmol)、tert-ブチル2-アミノ-4-(チオフェン-2-イル)フェニルカルバメート(590mg、2.04mmol)、及びEDCI(780mg、4.07mmol)を、ピリジン(20mL)に溶解し、室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、粗製物質を水で洗浄し、真空中で乾燥させて、粗製化合物4(1.40g)を得た。
【0151】
ステップ4及び5:
0℃で、DCM(10mL)中の化合物4(1.4g)の溶液に、TFA(10mL)を加えた。それを0℃で2時間撹拌し、次に真空中で濃縮した。粗製残留物を0℃で飽和NaHCO3水溶液でpH8近くまで中和した。沈殿物を収集し、真空中で乾燥させて、N-(2-アミノ-5-(チオフェン-2-イル)フェニル)-5-(ピペリジン-4-イルアミノ)ピコリンアミド(946mg)を得た。DMF(6mL)中の上記の生成物(200mg、0.51mmol)、tert-ブチル-4-(クロロカルボニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(126mg、0.51mmol)、及びTEA(70.6uL、0.51mmol)を、室温で18時間撹拌した。粗製物質を分取HPLCで精製して、化合物014を白色の固体(122mg)として得た。LCMS:m/z=506.2(M+H)+。1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.77(s、1H)、8.07(d、J=2.4Hz、1H)、7.89(s、1H)、7.87(d、J=7.6Hz、1H)、7.37(dd、J=5.0、1.0Hz、1H)、7.25-7.23(m、2H)、7.10(dd、J=8.6、2.6Hz、1H)、7.05(dd、J=5.0、3.4Hz、1H)、6.85(d、J=8.4Hz、1H)、6.61(d、J=7.6Hz、1H)、5.06(s、2H)、3.56(d、J=12.0Hz、3H)、3.07(s、4H)、2.66(brs、3H)、1.92(m、2H)、1.36(m、2H)。
【0152】
実施例13-化合物015の合成:
【化21】
ステップ1:
化合物1(160mg、0.53mmol、リチウム塩)及びHATU(225mg、0.60mmol)をDMF(5mL)中で組み合わせ、反応物を室温で15分間撹拌した。tert-ブチル-2-アミノ-4-(フラン-3-イル)フェニルカルバメート(90mg、0.33mmol)を加えた。混合物を室温で4時間撹拌し、次に水(10mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾過して、化合物2を黄色の固体(180mg、96%)として得た。
【0153】
ステップ2:
DCM(2ml)中の化合物2(180mg、0.32mmol)の0℃の溶液に、TFA(2ml)を滴下して加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に真空中で濃縮した。粗製残留物をエーテルで濯ぎ、次に水(50mL)で洗浄した。赤色の固体を水から再結晶化し、凍結乾燥によって乾燥させて、赤色の固体の化合物015(149mg、TFA塩)を得た。LCMS:m/z=365.2(M+H)+ 1H NMR(400MHz、DMSO) δ 10.02(s、1H)、9.18(s、2H)、8.69(s、2H)、7.99(s、1H)、7.68(d、J=7.4Hz、2H)、7.27(d、J=8.1Hz、1H)、6.97-6.64(m、2H)、3.69(s、4H)、3.29(s、4H)。
【0154】
実施例14-化合物016の合成:
【化22】
ステップ1:
DCM(20mL)中のピリジン-3-イルメタノール(6.55g、60.04mmol)の溶液に、0℃でSOCl
2(7.3mL、100.86mmol)を加えた。反応物を室温まで温め、15分間撹拌した。次に反応物を60℃に加熱し、1時間撹拌し、次に真空中で濃縮した。粗製残留物を次のステップで使用した。
【0155】
ステップ2:
DMSO(20mL)中のtert-ブチル2-ヒドロキシエチルカルバメート(2.75g、17.07mmol)及びKOH(1.92g、34.13mmol)の溶液に、3-(クロロメチル)ピリジン塩酸塩(2.00g、12.19mmol)を加えた。反応物を室温で6時間撹拌し、次に0℃で、水で希釈した。得られた混合物をEAで抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、真空中で濃縮した。粗製物質をカラムクロマトグラフィー(PE/EA=2/1~1/1)で精製して、化合物3を無色の油(2.22g、収率:72%)として得た。
【0156】
ステップ3:
水-MeOH(15mL)中のtert-ブチル2-(ピリジン-3-イルメトキシ)エチルカルバメート(2.22g、8.80mmol)及び濃HCl(5mL)の混合物を、50°Cで2時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残留物をNaOH水溶液を加えることによりpH7に調整した。混合物をEAで抽出した。組み合わせたEA層を真空中で濃縮して、粗製化合物4を無色の油(700mg、収率:52%)として得た。
【0157】
ステップ4:
N2で、2-(ピリジン-3-イルメトキシ)エタンアミン(380mg、2.50mmol)、5-フルオロピリミジン-2-カルボニトリル(369mg、3.00mmol)、及びDIEA(1.24mL、7.49mmol)を、150°Cで1時間加熱した。反応物を室温に冷却し、水で希釈した。得られた混合物をEAで抽出した。組み合わせたEA層を真空中で濃縮し、粗製物質を分取TLCで精製して、化合物5を褐色の固体(547mg、収率:82%)として得た。
【0158】
ステップ5:
N2下で、MeOH(13mL)及び水(13mL)中の5-(2-(ピリジン-3-イルメトキシ)エチルアミノ)ピリミジン-2-カルボニトリル(527mg、2.06mmol)及びNaOH(248mg、6.19mmol)の混合物。(13mL)を、100°Cで18時間加熱した。反応物を室温に冷却し、MeOHを真空中で除去した。粗製水性物質をpH7に調整し、次に真空中で濃縮して、粗製化合物6を薄褐色の固体(1.082g、NaClを含む)として得た。
【0159】
ステップ6:
ピリジン(18mL)中の5-(2-(ピリジン-3-イルメトキシ)エチルアミノ)ピリミジン-2-カルボン酸(300mg、0.59mmol)、tert-ブチル-3-アミノビフェニル-4-イルカルバメート(168mg、0.59mmol)、及びEDCI(226mg、1.18mmol)の混合物を、室温で18時間撹拌した。次に反応物を真空中で濃縮し、粗製生成物を精製せずに次のステップで使用した。
【0160】
ステップ7:
DCM(2mL)中の粗製tert-ブチル-3-(5-(2-(ピリジン-3-イルメトキシ)エチルアミノ)-ピリミジン-2-カルボキサミド)ビフェニル-4-イルカルバメート(粗製、0.66mmol)の混合物に、0°CでTFA(2mL)を加えた。反応物を室温に温め、2時間撹拌した。粗製物質を真空中で濃縮し、分取HPLCで精製して、化合物016を黄色の固体(53.6mg、収率:19%、ロットSP-0018434-062)として得た。LCMS:m/z=441.1(M+H)+。1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.87(s、1H)、8.56(d、J=1.8Hz、1H)、8.50(dd、J=4.7、1.4Hz、1H)、8.32(s、2H)、7.82(d、J=2.0Hz、1H)、7.76(d、J=7.8Hz、1H)、7.56(d、J=7.5Hz、2H)、7.44-7.34(m、3H)、7.31-7.20(m、2H)、6.90(t、J=6.0Hz、2H)、5.05(s、2H)、4.59(s、2H)、3.67(t、J=5.2Hz、2H)、3.48-3.43(m、2H)。
【0161】
実施例15-化合物017の合成:
【化23】
ステップ1:
tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(3.72g、20mmol)、メチル5-クロロピラジン-2-カルボキシレート(1.72g、10mmol)、及びDIPEA(2.02g、20mmol)を、1,4-ジオキサン(15mL)中で組み合わせた。混合物を100℃で一晩撹拌した。反応が終了したら、それをEAで希釈し、ブラインで洗浄した。粗製物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EA、100%)で精製した。固体2を単離した(6g、不純)。
【0162】
ステップ2:
メチル5-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピラジン-2-カルボキシレート(2g)を、EtOH(5mL)/THF(5mL)の溶液中のNaOH水溶液(5mL、2M)と組み合わせた。混合物を60℃で2時間撹拌した。反応が終了したら、pHを1に調整し、粗製物質をEAで抽出した。化合物3をピンク色の固体(300mg、15%収率)として得た。
【0163】
ステップ3:
5-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピラジン-2-カルボン酸(200mg、0.65mmol)、tert-ブチル2-アミノ-4-(チオフェン-2-イル)フェニルカルバメート(157mg、0.54mmol)、及びEDCI(311mg、1.62mmol)を、Py(5mL)に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了したら、それを濃縮し、Et2Oで洗浄した。化合物4を黄色の固体(310mg、65%の収率)として単離した。
【0164】
ステップ4:
tert-ブチル4-(5-(2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-5-(チオフェン-2-イル)フェニルカルバモイル)ピラジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(300mg、0.52mmol)を、DCM(2mL)に溶解した。次にTFA(2mL)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応が終了したら、それをpH10に調整し、EAで抽出した。有機抽出物を濃縮し、得られた固体をEt2Oで洗浄して、黄色の固体の化合物017(140mg、69%収率)を得た。LCMS:m/z=381.2(M+H)+。1H NMR(400MHz、DMSO) δ 9.68(s、1H)、8.72(s、1H)、8.34(s、1H)、7.79(s、1H)、7.37(d、J=4.7Hz、1H)、7.26(d、J=8.7Hz、2H)、7.06(s、1H)、6.84(d、J=8.1Hz、1H)、5.10(s、2H)、3.68(s、4H)、2.83(s、4H)。
【0165】
実施例16-薬物動態:
雄のSDラットを一晩絶食させた。本発明の化合物を最終濃度の10倍でジメチルアセトアミドに溶解し、次にSolutol HS 15(BASF)を10%の最終濃度で加えた。最後に80%生理食塩水を加え、ボルテックスして透明な溶液にした。IV投薬では、3匹の動物に1mg/kgの化合物を足の背静脈から注射した。PO投薬では、5mg/kgの化合物を経口からの経管栄養により送達した。血液を、投薬の5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間後に尾静脈を介してK2EDTAチューブに採取した。血液を2000gで5分間、4℃で遠心分離して血漿を得た。血漿をアセトニトリルで抽出し、化合物のレベルをLC/MS/MSで分析した。血漿中の化合物のレベルを、ラット血漿中の標準曲線から計算した。IVクリアランス(L/h/kg)及び曲線下面積(h*ng/mL)を、WinNonLinソフトウェアを使用して計算した。IV及び経口投薬の曲線下の用量調整面積を使用して、経口バイオアベイラビリティを計算した。
【0166】
薬物動態特性を、ラットカセット投薬実験で評価した。IVクリアランス(IV Clr.)は、L/時間/kgの単位である。経口最大血漿濃度(PO Cmax)は、ng/mlの単位である。経口血漿半減期(PO T1/2)は、時間の単位である。曲線下の経口領域(PO AUC)は、時間*ng/mlの単位である。経口経路によって吸収される分画(F%)は、曲線下のIV領域に対する曲線下の経口領域の割合であり、用量を調整した。結果の要約を以下の表2及び表3に示す。
【表3】
【表4】
【0167】
実施例17-HDAC酵素アッセイ:
試験用の化合物をDMSOで最終濃度の50倍に希釈し、10ポイントの3倍希釈系列を作製した。化合物をアッセイ緩衝液(50mM HEPES、pH7.4、100mM KCl、0.001%Tween-20、0.05%BSA、20μM TCEP)で希釈して、最終濃度の6倍にした。HDAC酵素(BPS Biosciencesから購入)をアッセイ緩衝液で最終濃度の1.5倍に希釈した。最終濃度0.05μMのトリペプチド基質及びトリプシンを、最終濃度の6倍のアッセイ緩衝液で希釈した。これらのアッセイで使用した最終酵素濃度は、3.3ng/ml(HDAC1)、0.2ng/ml(HDAC2)、及び0.08ng/ml(HDAC3)である。使用した最終基質濃度は、16μM(HDAC1)、10μM(HDAC2)、及び17μM(HDAC3)である。
【0168】
5μlの化合物及び20μlの酵素を、黒色の不透明な384ウェルプレートのウェルに二重に加えた。酵素及び化合物を、室温で10分間一緒にインキュベートした。5μlの基質を各ウェルに加え、プレートを60秒間振盪し、Victor2マイクロタイタープレートリーダーに配置した。蛍光の発生を60分間モニタリングし、反応の線形速度を計算した。IC
50を、Graph PadPrismを使用して4つのパラメータ曲線当てはめによって決定した。
【表5】
【国際調査報告】