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特表2022-504721工具マガジンを有する、薄板金のための曲げ機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】工具マガジンを有する、薄板金のための曲げ機械
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20220105BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B21D5/02 G
B23Q3/155 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519857
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 IB2019058590
(87)【国際公開番号】W WO2020075079
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】102018000009371
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507385752
【氏名又は名称】サルヴァニーニ イタリア エッセ.ピ.ア.
【氏名又は名称原語表記】SALVAGNINI ITALIA S.p.A.
【住所又は居所原語表記】VIA GUIDO SALVAGNINI, 51, I-36040 SAREGO (VI), ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】メネゲッロ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ファリーナ,ジュリオ
【テーマコード(参考)】
3C002
4E063
【Fターム(参考)】
3C002LL00
4E063AA01
4E063BA07
4E063DA14
4E063DA17
(57)【要約】
薄板金のための曲げ機械(1)は、ベースプレート(8)を備える支持フレーム(2)と、曲げ方向(A)に沿って位置合わせされる上部曲げ工具の少なくとも1つのセット(60)を支持するように適応されている打抜き手段(3)と、曲げ方向(A)に沿って位置合わせされる下部曲げ工具の少なくとも1つのセット(50)を支持するように適応されている金型手段(5)と、曲げ機械の内部区画(7)に位置しており、曲げ工具(51,61)を収容するように構成されている工具マガジン(10)と、内部区画(7)に位置しており、曲げ工具(51,61)を工具マガジン(10)から取り出し、打抜き手段(3)および/または金型手段(5)に取り付ける、および、その逆を実行するように構成されており、曲げ工具セット(50,60)の全体を引掛けると同時に移動させるように構成されている把持手段(21,22)を含む取替え装置(20)と、を含み、工具マガジン(10)は、それぞれの曲げ工具セット(50,60)を摺動可能に収容するように適応されている複数の支持ガイド(11)と、曲げ工具セット(50,60)を収容するように適応されており、第1駆動方向(X)に沿って、交換位置(S)と複数の装填位置(L)との間を移動可能な移送キャリッジ(15)であって、交換位置(S)では、移送キャリッジ(15)は、曲げ工具セット(50,60)を、把持手段(21,22)から受け取るか、または、把持手段(21,22)に渡すために、取替え装置(20)に隣接し、各装填位置(L)では、移送キャリッジ(15)は、曲げ工具セット(50,60)を支持ガイド(11)に移送するか、または、支持ガイド(11)から受け取るために、それぞれの支持ガイド(11)にほとんど位置合わせされている、移送キャリッジ(15)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板金のための曲げ機械(1)であって、
支持フレーム(2)であって、ベースプレート(8)を備えており、前記ベースプレート(8)は、前記曲げ機械(1)が配置される支持面(M)に当接するように適応されている、支持フレーム(2)と、
打抜き手段(3)であって、上部横材(4)を含み、前記上部横材(4)は、少なくとも1つの上部曲げ工具セット(60)を支持するように適応されており、上部曲げ工具(61)は、前記支持面(M)と平行な曲げ方向(A)に沿って位置合わせされる、打抜き手段(3)と、
金型手段(5)であって、下部横材(6)を含み、前記下部横材(6)は、少なくとも1つの下部曲げ工具セット(50)を支持するように適応されおり、下部曲げ工具(51)は、前記曲げ方向(A)に沿って位置合わせされる、金型手段(5)と、
工具マガジン(10)であって、前記支持フレーム(2)と前記打抜き手段(3)と前記金型手段(5)とによって画定されている内部区画(7)に位置しており、曲げ工具(51,61)を収容するように構成されている、工具マガジン(10)と、
取替え装置(20)であって、前記内部区画(7)に位置しており、曲げ工具(51,61)を前記工具マガジン(10)から取り出し、前記曲げ工具(51,61)を前記打抜き手段(3)および/または前記金型手段(5)に取り付ける、および、その逆を実行するように構成されている、取替え装置(20)と、
を含む、曲げ機械(1)において、
前記取替え装置(20)は、把持手段(21,22)を含み、前記把持手段(21,22)は、曲げ工具セット(50,60)の全体を引掛けると同時に移動させるように構成されており、
前記工具マガジン(10)は、複数の支持ガイド(11)を含み、前記支持ガイド(11)は、前記ベースプレート(8)に隣接するするとともに、前記ベースプレート(8)に支持されており、前記曲げ方向(A)と平行に配置されており、それぞれの曲げ工具セット(50,60)を摺動可能に収容するように適応されおり、
前記工具マガジン(10)は、移送キャリッジ(15)を含み、前記移送キャリッジ(15)は、前記ベースプレート(8)に隣接するとともに、前記ベースプレート(8)に支持されており、曲げ工具セット(50,60)を収容するように適応されており、
前記移送キャリッジ(15)は、前記曲げ方向(A)と直交し、前記支持面(M)と平行な第1駆動方向(X)に沿って、交換位置(S)と複数の装填位置(L)との間を移動可能であり、
前記交換位置(S)では、前記移送キャリッジ(15)は、曲げ工具セット(50,60)を、前記把持手段(21,22)から受け取るか、または、前記把持手段(21,22)に渡すために、前記取替え装置(20)に隣接し、
各装填位置(L)では、前記移送キャリッジ(15)は、前記曲げ方向(A)と平行な移動方向(Z)に沿ってそれぞれの支持ガイド(11)を移動させることによって、曲げ工具セット(50,60)を、前記支持ガイド(11)に移送するか、または、前記支持ガイド(11)から受け取るために、前記支持ガイド(11)にほとんど位置合わせされている、
曲げ機械(1)。
【請求項2】
前記曲げ機械(1)の作業構成における前記上部横材(4)と前記下部横材(6)とは、それぞれ、複数の上部曲げ工具セット(60)と複数の下部曲げ工具セット(50)とを含み、
前記複数の下部曲げ工具(50,60)の前記曲げ工具(51,61)は、曲げ工具の任意の構成を形成し、工作物に対してそれぞれの加工を行なうために、前記曲げ方向(A)に沿って相互に位置決めが可能なそれぞれの横材(4,6)に取り付けられている、
請求項1に記載の曲げ機械(1)。
【請求項3】
前記取替え装置(20)は、前記把持手段(21,22)を、前記内部区画(7)において、第1把持位置(P1)と第2把持位置(P2)との間で支持し、移動させるための作動手段(25,26,27,28,29)を含み、
前記第1把持位置(P1)において、前記把持手段(21,22)は、曲げ工具セット(50,60)を、前記打抜き手段(3)および/または前記金型手段(5)から取り外すか、または、前記打抜き手段(3)および/または前記金型手段(5)に移送し、
前記第2把持位置(P2)において、前記把持手段(21,22)は、曲げ工具セット(50,60)を、前記移送キャリッジ(15)に移送するか、または、前記移送キャリッジ(15)から取り出す、
請求項1または2に記載の曲げ機械(1)。
【請求項4】
前記作動手段(25,26,27,28,29)は、前記把持手段(21,22)を、少なくとも、第1駆動方向(X)に沿って、および、第2駆動方向(R)に沿って、移動させるように構成されており、
前記第1駆動方向(X)は、実質的に、前記曲げ方向(A)と直交し、前記支持面(M)と平行であり、
前記第2駆動方向(R)は、実質的に、前記第1駆動方向(X)および前記曲げ方向(A)と直交する、
請求項3に記載の曲げ機械(1)。
【請求項5】
前記作動手段(25,26,27,28,29)は、少なくとも1つの直立部材(25)を含み、
前記直立部材(25)は、腕部(26)を摺動可能に支持しており、
前記腕部(26)は、前記第2駆動方向(R)に沿って移動可能であり、支持横材(27)を摺動可能に支持しており、
前記支持横材(27)は、前記第1駆動方向(X)に沿って移動可能であり、前記把持手段(21,22)を支持している、
請求項4に記載の曲げ機械(1)。
【請求項6】
前記直立部材(25)は、前記支持フレーム(2)に、特に前記金型手段(5)に、摺動可能に固定されており、前記第2駆動方向(R)に沿って移動可能である、
請求項5に記載の曲げ機械(1)。
【請求項7】
前記作動手段(25,26,27,28,29)は、一対の直立部材(25)を含み、前記一対の直立部材(25)は、互いに平行であり、それぞれの腕部(26)を摺動可能に支持しており、前記腕部(26)は、前記支持横材(27)を支持している、
請求項5または6に記載の曲げ機械(1)。
【請求項8】
前記把持手段(21,22)は、一対の把持要素(21,22)を含み、前記一対の把持要素(21,22)は、移動可能であり、把持構成(P)において、前記曲げ工具セット(50,60)の前記曲げ工具(51,61)の引掛け座部(52,62)と係合し、係止するように構成されている、
前述のいずれかの請求項に記載の曲げ機械(1)。
【請求項9】
前記工具マガジン(10)は、少なくとも1つの工具保持トレイ(12)を含み、
前記工具保持トレイ(12)は、前記複数の支持ガイド(11)を支持するように構成されており、前記ベースプレート(8)に摺動可能に接続され、支持されており、前記第1駆動方向(X)に沿って、動作位置(B1)と非動作位置(B2)との間を移動可能であり、
前記動作位置(B1)では、前記支持ガイド(11)が、曲げ工具(51,61)のそれぞれのセットを、前記移送キャリッジ(15)から受け取るか、または、前記移送キャリッジ(15)に渡すことを可能にするために、前記工具保持トレイ(12)は、完全に曲げ機械(1)内にあって、内部区画(7)にあり、
前記非動作位置(B2)では、それぞれの曲げ工具セット(50,60)を、前記支持ガイド(11)内に挿入するか、または、前記支持ガイド(11)から取り除くことを可能にするために、前記工具保持トレイ(12)は、曲げ機械(1)の外にあって、内部区画(7)の外にある、
前述のいずれかの請求項に記載の曲げ機械(1)。
【請求項10】
前記工具マガジン(10)は、一対の工具保持トレイ(12)を含み、
各工具保持トレイ(12)は、それぞれの複数の支持ガイド(11)を支持しており、
前記工具保持トレイ(12)は、前記移送キャリッジ(15)の両側において、前記ベースプレート(8)に摺動可能に接続され、支持されている、
請求項9に記載の曲げ機械(1)。
【請求項11】
前記工具マガジン(10)は、少なくとも1つの第1工具保持キャリッジ(16)と、少なくとも1つの第2工具保持キャリッジ(17)と、を含み、
前記第1工具保持キャリッジ(16)は、第1長手方向座部(46)を備えており、
前記第1長手方向座部(46)は、下部曲げ工具セット(50)を受け取り、支持するように構成されており、
前記第2工具保持キャリッジ(17)は、第2長手方向座部(47)を備えており、
前記第2長手方向座部(47)は、上部曲げ工具セット(60)を受け取り、支持するように構成されており、
前記工具保持キャリッジ(16,17)は、前記移送キャリッジ(15)内の、前記移動方向(Z)に沿って移動可能な前記支持ガイド(11)のいずれか1つに摺動可能に収容することができる、
前述のいずれかの請求項に記載の曲げ機械(1)。
【請求項12】
前記移送キャリッジ(15)は、移動手段(31,32)を含み、
前記移動手段(31,32)は、前記移送キャリッジ(15)に収容されている工具保持キャリッジ(16,17)を引掛け、前記工具保持キャリッジを支持ガイド(11)に移動させるか、または、支持ガイド(11)に収容されている工具保持キャリッジ(16,17)を引掛け、前記工具保持キャリッジを前記移送キャリッジ(15)に移動させるためのものである、
請求項11に記載の曲げ機械(1)。
【請求項13】
前記移動手段(31,32)は、移動スライド部(31)と引掛け手段(32)とを含み、
前記移動スライド部(31)は、前記移動方向(Z)に沿って、前記移送キャリッジ(15)上を移動可能であり、
前記引掛け手段(32)は、前記移動スライド部(31)に固定されており、引掛け構成(G2)と解放構成(G1)との間で駆動可能であり、
前記引掛け構成(G2)において、前記引掛け手段(32)は、前記工具保持キャリッジ(16,17)を前記移動スライド部(31)と接続させるために、前記工具保持キャリッジ(16,17)と係合し、
前記解放構成(G1)において、前記引掛け手段(32)は、前記工具保持キャリッジ(16,17)との係合を解除する、
請求項12に記載の曲げ機械(1)。
【請求項14】
各工具保持キャリッジ(16,17)は、それぞれの移動可能な第1係止手段(35)を含み、
前記第1係止手段(35)は、前記工具保持キャリッジ(16,17)を、支持ガイド(11)に固定するか、または、前記工具保持キャリッジが位置している支持ガイド(11)から外すために、各支持ガイド(11)のそれぞれの第2係止手段(36)と係合するか、または、係合を解除するためのものである、
請求項11から13のいずれか1項に記載の曲げ機械(1)。
【請求項15】
工具保持キャリッジ(16,17)の前記第1係止手段(35)は、前記工具保持キャリッジ(16,17)が位置している支持ガイド(11)の第2係止手段(36)の係合を解除するために、前記引掛け構成(G2)において動作する、前記移送キャリッジ(15)の前記引掛け手段(32)によって駆動される、
請求項13に従属する場合の請求項14に記載の曲げ機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルテープ、薄板金、金属型材を曲げ、変形させて、例えば半完成品および/または完成品を得るように構成されている曲げ機械に関する。特に、本発明は、工具マガジンと、曲げ工具を取り替えるためのシステムと、を備える曲げ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
上部工具(いわゆる、打抜き器)を移動させて、工作物が配置されている下部工具(いわゆる、金型)に当接させることができる、機械式または油圧式の作動プレス部を含む曲げ機械(曲げプレスとも呼ばれる)が知られている。打抜き器は、工作物に対して力を作用させて、上部および下部工具の構成によって決まる角度にしたがって、工作物を変形させ、曲げることができる。
【0003】
曲げ機械の1つの種類は、刃または曲げナイフによって形成されている打抜き器を含み、打抜き器と相互作用して工作物を曲げるように適応されている座部または長手方向の溝を備える反対側の金型に適切に位置している金属工作物を、既定の曲げラインに沿って変形させることができる。
【0004】
打抜き器は、一般に、垂直方向に移動する上部横材または工具保持ボードに取り付けられている上部曲げ工具または部分(segments)の一連、セット、またはグループから形成されており、モジュール方式で組み立て式の打抜き器を形成する。上部工具の数、寸法(幅)、および位置は、実際に、形成する曲げの長さ、および/または、工作物の大きさにしたがって選択する一方、工具の種類は、実行する曲げ加工の種類(角度、形状)にしたがって選択する。同様に、金型は、一般に固定されている下部横材または工具保持ボードに取り付けられている下部曲げ工具または部分(segments)の一連、セット、またはグループから形成されており、モジュール方式で組み立て式の金型を形成する。下部工具の数、寸法(幅)、および位置は、上部工具の数、寸法、および位置に対応し、所望の曲げを形成する。
【0005】
工作物に対して既定の長さの曲げ加工を行なうために、上部および下部工具保持ボードに取り付けられている工具のセットの中から、厳密に必要とする長さを得られる寸法(幅)の、互いに隣接する工具を選ぶ必要がある。工具の寸法は、既定の型(幅)にしたがって標準化されており、わずかずつ異なっている(典型的には、10mmピッチずつ)ので、必要とする曲げ加工を、その時に横材に取り付けられている一連の工具を用いて実現することは、常に可能であるわけではない。引き続く様々な作業サイクルを行なうために、工具保持ボードに取り付けられている曲げ工具を、少なくとも部分的に取り替えることが、しばしば必要になる。
【0006】
当初の工作物から所望の製品を得る(典型的には、平らな金属板から曲げ加工を有するパネルを製造する)のに、より多くの動作および処理を実行しなければならない場合、工作物は、例えば、線状に配置されているいくつかの曲げ機械に順に移送しなければならない。
【0007】
工作物が小型であれば、単一の曲げ機械で全ての動作を実行する、すなわち、先述の工作物を、機械の引き続く作業エリアを通って移動させて、同一の横材に取り付けられている曲げ工具によって必要な曲げ加工を行なう、ことが可能である。この場合、曲げ工具は、適切に選択し、それぞれの作業エリアで必要とする構成にしたがって横材に沿って配置することで、引き続く曲げ加工を行なうようにしなければならない。
【0008】
この場合も、作業サイクルに必要となる様々な工具構成を得るために、工具保持ボードに取り付けられている曲げ工具を、少なくとも部分的に、しばしば取り替えることが必要になる。
【0009】
工具マガジンと、曲げ工具を取り替えるためのシステムと、を備える曲げ機械が知られている。先述の取り替えシステムは、特に把持移送手段を含み、把持移送手段は、マガジンから取り出された工具を、工具保持ボードの所望の位置に取り付けること、および、取り替える工具を工具保持ボードから取り外して、マガジンに挿入すること、ができる。
【0010】
工具マガジンは、複数の支持部またはガイド部を含み、支持部またはガイド部は、様々な寸法および形状を有する工具のセットまたはグループを収容するように適応されている。
【0011】
工具マガジンは、外部に設けられていてもよい。すなわち、曲げ機械の外側に、典型的には、曲げ機械の側部に配置されて、曲げ機械の横方向の直立部材と隣接していてもよい。あるいは、工具マガジンは、内部に設けられていてもよい。すなわち、曲げ機械内の、曲げ機械の2つの横方向の直立部材の間の空間に配置されていてもよい。
【0012】
前者の場合、外部のマガジンは、工具保持支持部の移動手段を含み、把持移送手段は、外部操作器のロボットを含み、外部操作器は、移動手段によって交換位置に適切に配置されているマガジンの支持部から必要とする工具を取り出し、(上部および/または下部)工具保持ボードまたは横材に取り付けることができ、逆の動作を行なうこともできる。
【0013】
後者の場合、内部のマガジンは、工具保持支持部を含み、工具保持支持部は、一般に、上部ボードおよび/または下部ボード、もしくは横方向の直立部材の内壁に固定されており、把持移送手段は、操作器または接合機構を含み、操作器または接合機構は、回転および/または並進移動によって、一度に単一の工具を、上部または下部工具保持ボードに導入するか、または、上部または下部工具保持ボードから取り出す。
【0014】
あるいくつかの曲げ機械では、上部および/または下部曲げ工具の取り替えは、規制装置によって実行される。規制装置は、公知のように、曲げ加工の実行中、金型の正しい位置に工作物を配置し、維持するために設けられ、使用される。規制装置は、実際に、曲げラインを参照して横方向および/または長手方向に加工する工作物に当接するか、または、当接されるようになっている当接要素に加えて、曲げ工具を把持するための適切な手段を含むことができる。規制装置は、実際に、少なくとも2つの直交する方向に沿って移動させて、様々な形状および/または寸法を有する工作物を、工具に対して、および、形成する曲げにしたがって、位置決めすることができる。
【0015】
また、機械の後壁に固定されており、上部および下部工具保持ボードに面し、対向する複数の工具保持支持部を含む内部のマガジンを有する曲げ機械が知られている。
【0016】
外部の工具保持マガジンを備える公知の曲げ機械の不利な点は、特に、工具保持支持部の移動手段と、工具を把持し、移送するための手段(外部の操作器)と、の費用および複雑さに加えて、曲げ機械の外側のマガジンおよび操作器の存在による大きな寸法および嵩張りにある。
【0017】
内部の工具保持マガジンを備える公知の曲げ機械の不利な点は、特に、工具保持ボードまたは横方向の直立部材の内壁に固定されており、作業者が、処理において使用する工具のセットまたはグループを装填する、または、取り出すことができるようになっている場合、機械内に配置されている工具保持支持部に手が届きづらいことにある。さらに、安全性の理由で、作業者は、曲げ機械の動作中、工具保持支持部に触れることはできず、マガジン工具を装填する/取り出す動作を行なうことができるのは、機械の停止中のみである。
【0018】
公知の曲げ機械の他の不利な点は、一度に1つの工具を取り替えることを可能にする、工具を取り替えるためのシステムにある。工具を(マガジンから取り出して)取り付ける、および/または、工具を取り外す(そして、マガジンに戻す)ための動作には、長い時間を要し、その間、曲げ機械は停止させておかなければならず、これによって、製造が中断し、その生産性を減少させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的の1つは、工具マガジンと、曲げ工具を取り替えるためのシステムと、を備える公知の曲げ機械を改良することである。
【0020】
他の目的は、打抜き器および金型に取り付けられている曲げ工具を迅速かつ効率的に取り替えることを可能にすることで、停止時間を最小化する、工具マガジンと、工具を取り替えるための装置と、を備える曲げ機械を実現することである。
【0021】
さらなる目的は、機械の動作中であっても、作業者にとって、容易かつ迅速かつ安全に、曲げ工具のセットまたはグループを装填する、または取り出すために手が届く工具マガジンを備える曲げ機械を提供することである。
【0022】
他のさらなる目的は、構造が単純かつコンパクトであり、動作が効率的かつ信頼できる、工具マガジンと、工具を取り替えるための装置と、を備える曲げ機械を実現することである。
【0023】
これらの目的および他の目的は、以下に報告する請求項のうちの1つに係る曲げ機械によって達成できる。
【0024】
本発明は、例示的かつ非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照することにより、よりよく理解し、実施できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の曲げ機械の背面斜視模式部分破断図である。
図2図1の本発明の曲げ機械の前面斜視模式部分破断図である。
図3図1の曲げ機械の部分斜視背面図であって、作業工程における、金型手段と、工具マガジンと、金型手段に配置されている下部曲げ工具を取り替えるための装置と、をよりよく示すためにいくつかの部分を取り除いてある図である。
図4図3のような図であって、工作物の2つの規制ユニットが取替え装置と協働して曲げ工具を金型手段上で位置決めする様子を部分的に示す図である。
図5図3の曲げ機械の横断面である。
図6】工具マガジンの部分斜視拡大図であって、特に、工具保持トレイが複数の工具保持キャリッジと移送キャリッジとを支持する様子を示す図である。
図7】工具保持マガジンの移送キャリッジの部分斜視拡大図である。
図8図6の工具マガジンの詳細の部分斜視拡大図であって、移送キャリッジの移動手段と工具保持キャリッジの係止手段とを示す図である。
図9】下部曲げ工具セットを収容する第1工具保持キャリッジの拡大部分斜視図であって、引掛け手段が、それぞれ、解放位置と引掛け位置とにある図である。
図10】下部曲げ工具セットを収容する第1工具保持キャリッジの拡大部分斜視図であって、引掛け手段が、それぞれ、解放位置と引掛け位置とにある図である。
図11】より高い位置にある曲げ工具を収容する第2工具保持キャリッジの拡大部分図であって、引掛け手段が解放位置にある図である。
図12図11の第2工具保持キャリッジの側面図である。
図13】閉じ挿入/解放構成で配置されている、取替え装置の把持手段の斜視図である。
図14図13の把持手段の部分断面図であって、下部曲げ工具セットに関連付けられ、開き把持位置にある図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1から図14を参照すると、本発明に係る、薄板金のための曲げ機械1が示されている。曲げ機械1は、支持フレーム2を含む。支持フレーム2には、打抜き手段3と金型手段5とが接続されている。曲げ機械1は、ベースプレート8をさらに含む。ベースプレート8は、曲げ機械1が配置、支持されている場所の支持面Mに当接するように適応されている。ベースプレート8は、支持面M上に立設し、底部において、支持フレーム2の2つの外部の横壁を互いに接続する。支持面Mは、実質的に水平面であり、例えば、曲げ機械1が配置されている場所の床である。
【0027】
打抜き手段3は、支持フレーム2に摺動可能に接続されており、公知の作動手段(図示せず)によって、実質的に垂直の作業方向に沿って移動可能になっている。打抜き手段3は上部横材4を含み、上部横材4は、少なくとも上部曲げ工具の一連(series)、セット、またはグループ60を収容し、支持するように適応されている。ここで、一連(series)とは、あらかじめ決められた数の複数の上部曲げ工具を意味する。上部曲げ工具セット60の上部曲げ工具61は、上部横材4に取り付けられており、特に、上部横材4に沿って摺動し、移動可能に、長手方向の曲げ方向Aに沿って位置合わせされている。曲げ方向Aは、支持面Mに平行であり、特に、実質的に水平である。
【0028】
金型手段5は、支持フレーム2に固定されており、下部横材6を含む。下部横材6は、少なくとも下部曲げ工具の一連(series)、セット、またはグループ50を支持するように適応されている。ここで、一連(series)とは、あらかじめ決められた数の複数の下部曲げ工具を意味する。下部曲げ工具セット50の下部曲げ工具51は、下部横材6に取り付けられており、特に、下部横材6に沿って摺動し、移動可能に、曲げ方向Aに沿って位置合わせされている。
【0029】
曲げ機械1の作業構成において、上部横材4と下部横材6とは、それぞれ、複数の、例えば3つの上部曲げ工具セット60と、複数の、例えば3つの下部曲げ工具セット50と、を収容する。3つの曲げ工具セット50,60の各々は、既定の数の工具51,61を含み、工具51,61は、既定の長さの、例えば1メートルの工具列を形成するように適応されている。よって、3つの上部曲げ工具セット60と下部曲げ工具セット50とは、それぞれ、打抜き手段3と金型手段5とに、必要とする加工を工作物に対して行なうことができるようにする曲げ工具の完全な装備を形成する。それぞれの横材4,6に取り付けられる曲げ工具51,61は、曲げ方向Aに沿って相互に位置決めが可能であり、曲げ工具の任意の構成を形成し、工作物に対して様々な加工を行なうことができる。
【0030】
各曲げ工具セットの工具は、互いに同様のものであってもよいが、型が異なっていてもよい。すなわち、異なる幅を有することで、適切にグループ化され、間隔を空けた、複数の工具構成を実現することもできる。
【0031】
上部曲げ工具61と下部曲げ工具51とは、曲げ機械1の特定の移動手段によって、それぞれの横材4,6に沿って、単独で、またはグループで、移動させることができる。上部曲げ工具61は、例えば、一対のキャリッジによって移動させることができ、前記一対のキャリッジは、上部横材4に沿って曲げ方向Aと平行に移動可能であり、決められた上部曲げ工具を引掛けるために、それぞれの接続手段を備えており、前記上部曲げ工具と、隣接する他の工具と、を移動させるようになっている。そのようなソリューションは、同じ出願人によるEP3104990に開示されている。
【0032】
これに対して、下部曲げ工具51は、移動可能な一対の規制ユニット9によって、下部横材6に沿って移動して、金型手段5に対して工作物を当接させ、位置決めすることが可能である。また、一対の規制ユニット9は、それぞれの引掛け要素を含み、少なくとも1つの下部曲げ工具51と係合し、下部横材5上を曲げ方向Aに沿って、前記下部曲げ工具51と、隣接する他の工具と、を移動させるようになっている(図4)。
【0033】
本発明の曲げ機械1は、工具マガジン10を含む。工具マガジン10は、支持フレーム2と打抜き手段3と金型手段5とによって画定される内部区画7に位置しており、曲げ工具51,61を収容するように構成されている。
【0034】
曲げ機械1は、取替え装置20をさらに含む。取替え装置20もまた、内部区画7に位置しており、曲げ工具51,61を工具マガジン10から取り出し、打抜き手段3および/または金型手段5に取り付け、また、逆の動作を行なう、すなわち、曲げ工具51,61を打抜き手段3および/または金型手段5から取り外し、工具マガジン10に移送する、ように構成されている。
【0035】
取替え装置20は、把持手段21,22を含む。把持手段21,22は、曲げ工具セット50,60の全体を引掛けると同時に支持するように構成されている。取替え装置20は、作動手段25,26,27,28,29をさらに含む。作動手段25,26,27,28,29は、把持手段21,22を、内部区画7において、第1把持位置P1と第2把持位置P2との間で支持し、移動させる。第1把持位置P1において、把持手段21,22は、曲げ工具セット50,60の全体を、打抜き手段3および/または金型手段5から取り外すか、または、打抜き手段3および/または金型手段5に移送する、ことができる。第2把持位置P2において、把持手段21,22は、曲げ工具セット50,60の全体を、工具マガジン10に移送するか、または、工具マガジン10から取り出す、ことができる。
【0036】
作動手段25,26,27,28,29は、把持手段21,22を、第1駆動方向Xと第2駆動方向Rとに沿って移動させるように構成されている。第1駆動方向Xは、実質的に、曲げ方向Aと直交し、支持面Mと平行である。第2駆動方向Rは、実質的に、第1駆動方向Xおよび曲げ方向Aと直交する。
【0037】
作動手段25,26,27,28,29は、少なくとも1つの直立部材25を含む。直立部材25は、腕部26を摺動可能に支持する。腕部26は、第2駆動方向Rに沿って移動可能であり、支持横材27を摺動可能に支持するように構成されている。支持横材27は、第1駆動方向Xに沿って移動可能であり、把持手段21,22を支持する。
【0038】
直立部材25は、さらに、支持フレーム2に、特に金型手段5に摺動可能に固定されており、第2駆動方向Rに沿って移動可能である。
【0039】
図示する実施形態において、作動手段25,26,27,28,29は、一対の直立部材25を含む。一対の直立部材25は、互いに平行であり、支持横材27を摺動可能に支持するそれぞれの腕部26を摺動可能に支持する。2つの直立部材25は、曲げ機械1の中心面に対して実質的に対称的に取り付けられており、それぞれの第1並進キャリッジ28によって金型手段5の内壁に摺動可能に固定されており、第2駆動方向Rに沿って移動可能になっている。2つの腕部26は、第2並進キャリッジ29によって、それぞれの直立部材25に摺動可能に取り付けられている。
【0040】
第1作動手段71が、支持フレーム2に固定されている第1並進キャリッジ28に対して2つの直立部材25を移動させ、同時的に、腕部26が固定されている第2並進キャリッジ29を直立部材25に沿って移動させるために設けられ、これによって、腕部26は、第2駆動方向Rに沿って、全体として入れ子式に移動する。
【0041】
第1作動手段71は、例えば電動機を含み、前記電動機は、ベルト車と歯付ベルトとによって、第1および第2並進キャリッジ28,29を作動させて、直立部材25と腕部26とを第2駆動方向Rに沿って移動させるように構成されている。
【0042】
第2作動手段72が、各腕部26に設けられており、腕部26に摺動可能に取り付けられ、把持手段21,22を支持する支持横材27を、第1駆動方向Xに沿って移動させる。
【0043】
第2作動手段72は、例えば一対の電気モータを含み、各電気モータは、腕部26に関連付けられており、例えば、ベルト車によって支持される歯付ベルトまたは同様の部材を介して、支持横材27の一端を移動させる。第2作動手段72の2つの電気モータは、支持横材27を、第1駆動方向Xに沿って、曲げ方向Aと平行に移動させるように制御される。
【0044】
曲げ機械1の変形例(図示せず)において、第2作動手段72は、2つの腕部26のうちの1つに取り付けられた単一の電気モータを含み、例えば、ベルト車によって支持された歯付ベルトによって、支持横材27を移動させるようになっていてもよい。把持手段21,22は、一対の把持要素21,22を含む。把持要素21,22は、移動可能であり、把持構成Pにおいて、曲げ工具セット50,60の曲げ工具51,61の全体の引掛け座部52,62と係合し、係止するように構成されている。
【0045】
図13に示すように、把持要素21,22は、曲げ方向Aに沿って伸長し、曲げ工具セット50,60の長さに対応する長さを有する要素である。
【0046】
把持要素21,22は、それぞれの成形端21a,22aを有している。成形端21a,22aは、閉じ挿入構成において、曲げ工具セット50,60の曲げ工具の全体の引掛け座部52,62内に嵌合し、よって、開き把持構成Pにおいて、引掛け座部52,62と係合し、係止することで、曲げ工具セット50,60の全体を把持し、よって、持ち上げて移送することを可能にするように適応されている。
【0047】
把持手段21,22は、公知の種類の第3作動手段73(詳細は図示せず)によって、閉じ挿入構成と開き把持構成Pとの間で移動させる、すなわち、相互に離れ、または近づく。特に、第3作動手段73は、2つの把持要素21,22を移動させて、第2駆動方向Rに実質的に平行な方向に沿って、直線的に近づく、または離れるようにする。
【0048】
各下部曲げ工具51は、それぞれの第1引掛け座部52を備える。第1引掛け座部52は、図9および図10に示すように、工具本体の内部フランクに実現された(すなわち、内部区画7側に向けられた)、対応する形成空隙を含む。
【0049】
あるいは、各下部曲げ工具51の第1引掛け座部52は、工具内部フランクに固定された接続要素に形成されていてもよい。
【0050】
各上部曲げ工具61は、それぞれの第2引掛け座部62を備える。第2引掛け座部62は、図11に示すように、工具の内部フランクに固定された(すなわち、内部区画7側に向けられた)接続要素63に設けられた、対応する形成空隙を含む。
【0051】
工具マガジン10は、複数の支持ガイド11を含む。支持ガイド11は、ベースプレート8に隣接するとともに、ベースプレート8に支持されている。支持ガイド11は、互いに隣接して、曲げ方向Aに(および、支持面Mに)平行に配置されている。支持ガイド11は、それぞれの曲げ工具セット50,60を摺動可能に収容するように適応されている。工具マガジン10は、移送キャリッジ15をさらに含む。移送キャリッジ15は、ベースプレート8に隣接するとともに、ベースプレート8に支持されている。移送キャリッジ15は、第1駆動方向Xに沿って、交換位置Sと複数の装填位置Lとの間を移動可能である。交換位置Sでは、移送キャリッジ15は、曲げ工具セット50,60を、把持手段21,22から受け取るか、または、把持手段21,22に渡すために、取替え装置20に隣接する。各装填位置Lでは、移送キャリッジ15は、曲げ工具セット50,60を、支持ガイド11に移送するか、または、支持ガイド11から受け取るために、支持ガイド11を、曲げ方向Aに平行な移動方向Zに沿って移動させることによって、それぞれの支持ガイド11に位置合わせされる。
【0052】
移送キャリッジ15は、両端において一対の支持ガイド18によって摺動可能に支持されている。支持ガイド18は、支持フレーム2のベースプレート8に固定されており、互いに平行に、第1駆動方向Xに平行に配置されている。
【0053】
第4作動手段74が、移送キャリッジ15を支持ガイド18に沿って移動させるために設けられている。第4作動手段74は、例えば一対の電気モータを含み。各電気モータは、支持ガイド18に関連付けられており、歯付ベルトとそれぞれのベルト車とによって、移送キャリッジ15の一端を移動させる。第4作動手段74の2つの電動機は、移送キャリッジ15を、第1駆動方向Xに沿って移動させるように制御される。
【0054】
工具マガジン10は、少なくとも1つの工具保持トレイ12を含む。工具保持トレイ12は、複数の支持ガイド11を支持するように構成されており、曲げ方向Aと支持面Mとに隣接し、平行になるように位置しており、支持フレーム2のベースプレート8に、摺動可能に接続され、支持されている。工具保持トレイ12は、第1駆動方向Xに沿って、動作位置B1と非動作位置B2との間を移動可能である。動作位置B1では、支持ガイド11が、曲げ工具51,61のそれぞれのセットを、移送キャリッジ15から受け取るか、または、移送キャリッジ15に渡すことを可能にするために、工具保持トレイ12は、完全に曲げ機械1内にあって、内部区画7にある。非動作位置B2では、作業者が、例えば、曲げ工具セット50,60を、支持ガイド11内に挿入するか、または、支持ガイド11から取り除くことを可能にするために、工具保持トレイ12は、曲げ機械1の外にあって、内部区画7の外にある。特に、工具保持トレイ12は、支持フレーム19によってベースプレート8に摺動可能に接続されている。支持フレーム19は、例えば、入れ子式の支持フレームであり、非動作位置B2において、外側に向かって伸長可能である。図示する実施形態において、工具保持トレイ12は、停止ユニット76を解除してから、手動で取り出す、すなわち、非動作位置B2に移動させる。停止ユニット76は、例えば、工具保持トレイ12を動作位置B1に係止する空気式のロールを含む。
【0055】
曲げ機械1の1つの変形例(図示せず)において、工具保持トレイ12は、動作位置B1と非動作位置B2との間を、例えば、空気式の直線アクチュエータを含むそれぞれの作動手段によって移動する。
【0056】
図示する実施形態において、工具マガジン10は、一対の工具保持トレイ12を含む。一対の工具保持トレイ12は、移送キャリッジ15の両側において、支持フレーム2のベースプレート8に摺動可能に接続され、支持されている。各工具保持トレイ12は、複数の支持ガイド11を支持するとともに、それぞれの支持フレーム19によってベースプレート8に摺動可能に接続されており、それぞれの動作位置B1と非動作位置B2との間を移動可能になっている。
【0057】
工具マガジン10は、1または複数の第1工具保持キャリッジ16をさらに含む。各第1工具保持キャリッジ16は、下部曲げ工具セット50を受け取り、支持するように構成されている第1長手方向座部46を備える。工具マガジン10は、1または複数の第2工具保持キャリッジ17をさらに含む。各第2工具保持キャリッジ17は、それぞれの上部曲げ工具セット60を受け取り、支持するように構成されている第2長手方向座部47を備える。より具体的には、各第1工具保持キャリッジ16は、第1細長体16aを含み、第1細長体16aは、2つの平行な、間隔を空けた第1薄板16bを備える。第1薄板16bは、第1長手方向座部46を形成し、第1長手方向座部46は、下部横材6に設けられた座部に実質的に対応しており、下部曲げ工具セット60を固定して堅固に収容するようになっている。同様に、各第2工具保持キャリッジ17は、第2細長体17aを含み、第2細長体17aは、2つの平行な、間隔を空けた第2薄板17bを備える。第2薄板17bは、第2長手方向座部47を形成し、第2長手方向座部47は、上部曲げ工具61のフランクに固定された接続要素63を固定して堅固に受け取ることができる。
【0058】
工具保持キャリッジ16,17は、移送キャリッジ15内の、移動方向Zに沿って移動可能な支持ガイド11のうちのいずれか1つに摺動可能に収容することができる。より具体的には、第1および第2工具保持キャリッジ16,17は、例えば、支持ガイド11と同数であり、図6に例示する曲げ機械1の動作構成において、各摺動ガイド11は、それぞれの工具保持キャリッジ16,17を支持し、工具保持キャリッジ16,17は、それぞれの下部または上部曲げ工具セット50,60を支持することができる。特に、工具保持トレイ12の1つ(図4および図5において、移送キャリッジ15の右側に位置する工具保持トレイ12)は、複数の支持ガイド11を含み、これら支持ガイド11には、相対的な下部曲げ工具セット50を受け取ることを意図するそれぞれの第1工具保持キャリッジ16が関連付けられている。残りの工具保持トレイ12は、複数の支持ガイド11を含み、これらの支持ガイド11には、相対的な上部曲げ工具セット60を受け取ることを意図するそれぞれの第2工具保持キャリッジ17が関連付けられている。
【0059】
各工具保持キャリッジ16,17は、細長体を有しており、細長体は、両端において複数のホイール41を備えており、ホイール41は、支持ガイド11、または、移送キャリッジ15に取り付けられたレール45と摺動可能に係合するようになっている。レール45と支持ガイド11とは、実際に、工具保持キャリッジ16,17を、曲げ方向Aと平行な移動方向Zに沿って移動させることができる形状を有しており、各工具保持キャリッジ16,17を移送キャリッジ15から支持ガイド11に移送し、また、その逆を実行し、先述の曲げ方向Aと直交する方向に沿った、例えば、第1駆動方向Xに沿った、意図しない変位を避けるようになっている。
【0060】
以下の記載においてよりよく説明するように、第1および第2工具保持キャリッジ16,17を用いることの効果は、曲げ工具セット50,60を、工具保持トレイ12の支持ガイド11から移送キャリッジ15に移送し、また、その逆を実行することにより、曲げ機械1の打抜き手段3と金型手段5とに取り付けられている曲げ工具セット50,60の全体を、容易に取り替えられるようにすることである。
【0061】
この目的のために、移送キャリッジ15は、移動手段31と引掛け手段32とを含む。移動手段31と引掛け手段32とは、移送キャリッジ15に収容されている工具保持キャリッジ16,17を引掛け、支持ガイド11に移動させるか、または、支持ガイド11に収容されている工具保持キャリッジ16,17を引掛け、移送キャリッジ15に移動させ、移送するように構成されている。
【0062】
詳細には、移動手段31は、移動方向Zに沿って移送キャリッジ15上を移動可能な移動スライド部31を含む。移動スライド部31は、第5作動手段75によって、移送キャリッジ15に沿って作動する。第5作動手段75は、電動機を含み、前記電動機は、ベルト車によって支持されているベルトによって、先述の移動スライド部31を移動させるように適応されている。
【0063】
引掛け手段32は、移動スライド部31によって支持されており、解放構成G1と引掛け構成G2との間で作動させることができる。引掛け構成G2において、引掛け手段32は、工具保持キャリッジ16,17を移動スライド部31と接続させるために、工具保持キャリッジ16,17と係合することで、工具保持キャリッジ16,17を移動スライド部31とともに移動方向Zに沿って移動させるようになっている。解放構成G1において、引掛け手段32は、逆に、工具保持キャリッジ16,17との係合を解除する。
【0064】
引掛け手段は、特に、引掛けピン32を含む。引掛けピン32は、直線アクチュエータ33によって、引掛け構成G2と解放構成G1との間を移動する。引掛け構成G2において、引掛けピン32は、各工具保持キャリッジ16,17に形成された、相補的な形状の空隙に係合する。直線アクチュエータ33は、例えば、空気式の直線アクチュエータであり、移動スライド部31に固定されている。
【0065】
各工具保持キャリッジ16,17は、それぞれの移動可能な第1係止手段35を含み、各支持ガイド11に設けられたそれぞれの第2係止手段36と係合するか、または、係合を解除することで、工具保持キャリッジ16,17を支持ガイド11に固定するか、または、工具保持キャリッジ16,17が位置している支持ガイド11から工具保持キャリッジ16,17を外すようになっている。工具保持キャリッジ16,17の第1係止手段35は、先述の工具保持キャリッジ16,17が位置している支持ガイド11の第2係止手段36の係合を解除するために、引掛け構成G2において動作させると、移送キャリッジ15の引掛け手段32によって駆動される。
【0066】
特に図8から図10を参照すると、各工具保持キャリッジ16,17の第1係止手段35は、係止要素35を含み、係止要素35は、工具保持キャリッジの端部の下部の、ホイール41の箇所に、摺動可能に固定されている。係止要素35は、実質的に垂直方向に沿って移動可能であり、停止歯部35aを含む。停止歯部35aは、第2係止手段36の相補的な形状の凹部と係合するようになっている。第2係止手段36は、係止板36を含み、係止板36は、図8から図11に示すように、各摺動ガイド11内に固定されており、前記凹部を有している。係止要素35は、係止位置に維持され(垂直方向に下方に押され)、第2係止手段36の凹部と係合し、弾性手段によって、工具保持キャリッジ16,17の端部の下部に固定される。これによって、収納構成において、工具保持キャリッジ16,17は、それぞれの支持ガイド11に収容されており、さらに、それぞれの支持ガイド11に係止されており、動かすことができない。
【0067】
係止要素35は、(垂直方向に上方に)移動させて外し位置に入ると、係止板36の凹部との係合が解除され、移送キャリッジ15の引掛けピン32との係合が解除される。
【0068】
本発明の曲げ機械1の工具マガジン10および取替え装置20の動作は、(例えば、3つの下部曲げ工具セット50によって形成された)下部曲げ工具50の全装備を金型手段5に取り付ける手順において、工具保持トレイ12の既定の摺動ガイド11に収容されているそれぞれの第1工具保持キャリッジ16に位置する第1既定下部曲げ工具セット50を識別することと、移送キャリッジ15を移動させて、移動方向Zに沿って位置合わせすることと、移送キャリッジ15を移動させて、それぞれの装填位置Lにおいて、先述の摺動ガイド11に対して、移動方向Zに沿って位置合わせすることと、を可能にする。これによって、移送キャリッジ15の引掛け手段32は、引掛け構成G2において、先述の既定の摺動ガイド11に収容されている第1工具保持キャリッジ16を引掛けることができる。移動スライド部31を作動させることによって、第1工具保持キャリッジ16を移動させ、摺動ガイド11から移送キャリッジ15に移送することが可能である。
【0069】
移送キャリッジ15は、その後、第4作動手段74によって、第1駆動方向Xに沿って、装填位置Lから交換位置Sに移動させる。交換位置Sでは、取替え装置20の把持手段21,22は、第2把持位置P2において、作動手段25~29によって、移送キャリッジ15によって支持されている第1工具保持キャリッジ16から下部曲げ工具セット50の全体を取り出すよう構成されている。そのような動作は、閉じ挿入構成に構成されている把持要素21,22の成形端21a,22aを、第1工具保持キャリッジ16に収容されている下部曲げ工具セット50の下部曲げ工具51の第1引掛け座部52内に挿入することによって行なう。
【0070】
把持手段21,22は、その後、第3作動手段73によって移動させて開き把持構成Pとすることで、下部曲げ工具51の第1引掛け座部52と係合し、固定する。よって、把持手段21,22は、作動手段25~29によって、第1および第2駆動方向X,Rに沿って移動させて第1把持位置P1とすることで、下部曲げ工具セット50を移送キャリッジ15から取り出し、下部曲げ工具セット50を金型手段5の下部横材6に位置させ、解放して中央位置に位置させることができる。中央位置とは、曲げ機械1の中心面が通過する、下部横材6の中央部分である。
【0071】
そのような動作取付けシーケンス(operating mounting sequence)は、第2下部曲げ工具セット50についても繰り返す。第2下部曲げ工具セット50は、移送キャリッジ15によって、工具保持キャリッジ12のそれぞれの摺動ガイド11から取り出したそれぞれの第1工具保持キャリッジ16に配置されており、移送キャリッジ15は、対応する装填位置Lにおいて、先述の摺動ガイド11に位置合わせされている。よって、第2下部曲げ工具セット50は、取替え装置20の把持手段21,22によって、下部横材6に位置させ、解放して中央位置とする。その間に、すでに下部横材6に解放されている以前の第1下部曲げ工具セット50は、規制ユニット9の1つによって、下部横材6に沿って移動させてあり、先述の下部横材6の中央部分を解放するために、下部横材6の端部に配置されている。
【0072】
同様に、動作取付けシーケンスは、第3曲げ工具セット51についても繰り返す。第3曲げ工具セット51は、工具マガジン10から取り出され、下部横材6に配置されて、下部曲げ工具51の完全な装備を形成する。これによって、曲げ機械1は、工作物に対して複数の加工を実行することが可能となる。
【0073】
上述したものと実質的に同一の取付け動作シーケンス(mounting operating sequence)を行なって、工具マガジン10の対応する支持ガイド11に収容されているそれぞれの工具保持キャリッジ17から取り出された3つの上部曲げ工具セット60を、金型手段3の上部横材4に取り付ける。
【0074】
下部曲げ工具セット50または上部曲げ工具セット60を取り外す、または、取り替える手順は、前記取付け手順の工程を逆の順番で行なう。この場合、移送キャリッジ15は、交換位置Sに配置され、空の工具保持キャリッジ16,17を支持する。工具保持キャリッジ16,17は、取替え装置20の把持手段21,22によって、下部横材6または上部横材4から取り外された曲げ工具セット50,60を受け取ることができる。続いて、移送キャリッジ15は、第1駆動方向Xに沿って移動させて、あらかじめ決められた摺動ガイド11に合わせる。当該摺動ガイド11は空であり、工具保持キャリッジ16,17および相対的な曲げ工具セット50,60を受け取るように適応されている。
【0075】
本発明の曲げ機械1によって、打抜き手段3および金型手段5に取り付けられた曲げ工具51,61を迅速かつ効率的に取り替えることが可能であり、これにより、機械停止時間を最小化できる。
【0076】
取替え装置20および工具マガジン10は、実際に、下部または上部曲げ工具セットの全体、すなわち、下部横材6および上部横材4にそれぞれの曲げ工具の完全な装備を形成する3つの曲げ工具セット50,60、を単一の動作で取り替えることを可能にする。この曲げ工具の完全な装備によって、最小値から開始する明確なピッチを有する、連続的に異なる長さの(既定の曲げ形状、角度、および形状寸法(geometry)を有する)工作物に対して、細かい曲げ加工を行なうことが可能になる。曲げ工具51,61は、曲げ方向Aに沿って相互に位置決めが可能なそれぞれの横材6,4に取り付けられ、分離しグループ化が可能であることで、工作物に対して様々な加工を実行するのに必要となるあらゆる曲げ工具構成を形成することができる。
【0077】
したがって、打抜き手段3および金型手段5に取り付けられた工具セットは、工具マガジン10の支持ガイド11に収容された他の工具セット50,60に迅速に取り替えることができる。前記工具セットは、工作物に対して、様々な曲げ形状および/または形状寸法(geometry)の曲げ加工を行なうように構成されている。
【0078】
第1駆動方向Xに沿って移動させて、曲げ機械1および内部区画7の外の非動作位置B2とすることが可能な、マガジン10の工具保持トレイ12のおかげで、さらに、その後の加工のために機械を準備するべく、容易かつ迅速かつ安全に、曲げ工具セット50,60を挿入する、または、支持ガイド11から取り除くことが可能である。そのような動作は、本発明の曲げ機械1が動作中であっても、作業者が安全に行なうことができ、したがって、曲げ機械1を停止する必要がなく、生産性に利する。
【0079】
最後に、以下は注目に値する。すなわち、取替え装置20の把持手段21,22および作動手段25~29によって、工具セットを正確かつ確実に把持し、移動させることができ、工具マガジン10と同様に、構造を単純かつコンパクトにし、効率的かつ信頼できる動作を実現できる。
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【国際調査報告】