(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】1以上の含浸不織布層を含むコンベヤーベルトカーカス
(51)【国際特許分類】
B65G 15/34 20060101AFI20220105BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20220105BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20220105BHJP
D04H 3/04 20120101ALI20220105BHJP
【FI】
B65G15/34
B32B5/28 A
B32B5/02
D04H3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021519881
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(85)【翻訳文提出日】2021-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2019077429
(87)【国際公開番号】W WO2020074619
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591270796
【氏名又は名称】ハバシット アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100135770
【氏名又は名称】鈴木 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ブレント・ホワイトヘッド
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・タイラー
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル・ライト
【テーマコード(参考)】
3F024
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
3F024AA04
3F024AA11
3F024AA14
3F024BA01
3F024BA02
3F024BA04
3F024BA07
3F024CA02
3F024CA04
3F024CA09
3F024CB02
3F024CB09
3F024CB12
3F024CB19
3F024CB22
3F024CB29
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01D
4F100AK01E
4F100AL09A
4F100AL09B
4F100AL09D
4F100AL09E
4F100BA05
4F100BA07
4F100DC15A
4F100DC15C
4F100DC16A
4F100DC16C
4F100DG01A
4F100DG01C
4F100DG15A
4F100DG15B
4F100DG15D
4F100DG15E
4F100DH02A
4F100DH02B
4F100DH02D
4F100DH02E
4F100EJ82
4F100GB15
4F100JB13A
4F100JB13B
4F100JB13D
4F100JB13E
4F100JB16A
4F100JB16B
4F100JB16D
4F100JB16E
4L047AB03
4L047BD02
4L047CA02
4L047CA05
4L047CC14
4L047DA00
(57)【要約】
1以上の含浸層(21,22,23,24,25)を備えるベルトカーカス(1)であって、i)各含浸層(21,22,23,24,25)は、不織布(3,301,302,303,304,305,306,307,308)と、第一の熱可塑性物質、第一の熱可塑性エラストマ、第一のエラストマ、または第一の熱硬化性樹脂と、添加物と、を備え又はから実質的に成る含浸材料(4,401,402,403,404,405,406,407,408)と、を備え、または、から実質成り、これにより、仮に、2以上の当該含浸層(21,22,23,24,25)が存在するなら、それらは、互いに隣接しており、ii)仮に、ベルトカーカス(1)が、1以上の当該含浸層(21,22,23,24,25)を備えるなら、少なくとも部分的に一の所定の方向に延び、一のフィラメント層(51)の形である、強化フィラメントは、複数の含浸層(21)のちょうど一つの不織布(3)内に、埋め込まれ、または、仮に、ベルトカーカス(1)が、2以上の当該含浸層(21,22,23,24,25)を備えるなら、少なくとも部分的に一の所定の方向に延び、一のフィラメント層(52,53)の形である、強化フィラメントは、二つの隣接する当該含浸層(21/22,24/25)の間で、挟まれ、iii)ベルトカーカスは、織布を欠く、ことを特徴とする。当該ベルトカーカスは、長手方向ベルトに、または、円ディスクに、または、コーナベルトに、切断されることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1、2、または2より多い含浸層(21,22,23,24,25)を備えるベルトカーカス(1)において、
i.各含浸層(21,22,23,24,25)は、不織布(3,301,302,303,304,305,306,307,308)と、第一の熱可塑性物質、第一の熱可塑性エラストマ、第一のエラストマ、または第一の熱硬化性樹脂と、添加物と、を備え又はから実質的に成る含浸材料(4,401,402,403,404,405,406,407,408)と、を備え、または、から実質成り、これにより、仮に、2以上の当該含浸層(21,22,23,24,25)が存在するなら、それらは、互いに隣接しており、
ii.仮に、前記ベルトカーカス(1)が、1以上の当該含浸層(21,22,23,24,25)を備えるなら、少なくとも部分的に一の所定の方向に延び、一のフィラメント層(51)の形である、強化フィラメントは、複数の前記含浸層(21)のちょうど一つの不織布(3)内に、埋め込まれ、または、仮に、前記ベルトカーカス(1)が、2以上の当該含浸層(21,22,23,24,25)を備えるなら、少なくとも部分的に一の所定の方向に延び、一のフィラメント層(52,53)の形である、強化フィラメントは、二つの隣接する当該含浸層(21/22,24/25)の間で、挟まれ、
iii.前記ベルトカーカスは、織布を欠く、
ことを特徴とするベルトカーカス(1)。
【請求項2】
各不織布は、
前記含浸により、完全に、充たされている、
請求項1に記載のベルトカーカス(1)。
【請求項3】
前記フィラメント層(51)は、複数の前記含浸層(21)のまさに一つの前記不織布内に、埋め込まれており、1から8の含浸層(21,22,23,24,25)を備える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルトカーカス(1)。
【請求項4】
前記フィラメント層(52,53)は、二つの隣接する含浸層(21/22,24/25)の間に挟まれており、2から8の含浸層(21,22,23,24,25)を備える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルトカーカス(1)。
【請求項5】
前記フィラメント層(51,52,53)は、
平行強化フィラメントの第一のアレイである強化フィラメント形態を、備える、
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のベルトカーカス(1)。
【請求項6】
前記フィラメント層(51,52,53)は、
前記第一のアレイの前記フィラメントに対して垂直に走る、平行強化フィラメントの第二のアレイを、さらに備える、
請求項5に記載のベルトカーカス。
【請求項7】
前記フィラメント層(51,52,53)は、
正方形または長方形メッシュを有する強化フィラメントの格子の形である、
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のベルトカーカス(1)。
【請求項8】
前記フィラメント層(51,52,53)は、
ひし形メッシュを有する格子の形である、
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のベルトカーカス(1)。
【請求項9】
全ての含浸層(7,21,22,23,24,25)は、同じ含浸材料を含む、または、前記含浸層(7,21,22,23,24,25)は、異なる含浸材料を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載のベルトカーカス(1)。
【請求項10】
強化フィラメントが少なくとも部分的に延びる一の所定の方向が、切断された線形ベルの長さ方向であるように、ベルトカーカスから、所望の幅および長さの線形ベルトを切り取ることにより、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載のベルトカーカスから得られる、線形ベルト、特に搬送ベルト、コンベアベルト、機械テープ、電力伝送ベルト、またはスピンドルテープ。
【請求項11】
フィラメント層(51,52,53)が、正方形メッシュを有する強化フィラメントの格子の形状である、請求項7に記載のベルトカーカスから、円形セクションを切り取ることにより得られる、コーナベルト。
【請求項12】
1以上の含浸層(21,22,23,24,25)を備える請求項1に記載のベルトカーカスの製造工程であって、
i-1)第一の不織サブ層(31)と、第二の不織サブ層(32)と、強化フィラメントが、少なくとも部分的に一の所定の方向に延びている、フィラメント層(51)の形で、前記強化フィラメントとを、提供する、ステップと、
i-2)前記第二の不織サブ層(32)の上に、前記フィラメント層(51)を配置し、前記フィラメント層(51)の上に、前記第一の不織サブ層(31)を配置する、ステップと、
i-3)少なくとも部分的に前記一の所定のフィラメントの方向に延びる埋め込まれた強化フィラメント(51)を有する、第一の不織布(3)を形成するために、前記第一の不織サブ層(31)と前記第二の不織サブ層(32)を一緒に接合する、ステップと、
i-4)埋め込まれたフィラメント層(51)を有する第一の含浸層(21)を形成するために、第一の熱可塑性物質、第一の熱可塑性エラストマ、第一のエラストマ、または第一の熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから実質的に成る、第一の含浸材料(4)で、前記第一の不織布(3)を含浸する、ステップと、
i-5)任意にステップi-1)からi-4)までとは独立に、
i-5-a)1以上の更なる不織布(303,304,305)と、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性物質、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから実質的に成る、更なる含浸材料の1以上の更なるシート(403,404,405)とを、提供する、ステップと、
i-5-b)各不織布の真隣りに、少なくとも一つの更なるシートが存在し、各更なるシートの真隣りに、少なくとも一つの更なる不織布が存在するように、前記第一の含浸層(21)に隣接して、および互いに隣接して、前記1以上の更なる不織布(303,304,305)と、前記1以上の更なるシート(403,404,405)とを、配置する、ステップと、
i-5-c)熱および圧力を用いて、同時に、各含浸層(21,22,23,24,25)を形成するために、不織布の真隣りの前記少なくとも一つの更なるシートからの含浸材料により、各更なる不織布を含浸し、各当該含浸層(21,22,23,24,25)と、前記第一の含浸層(21)とを、一緒に接合する、ステップと、
または、
i-5-d)1以上の更なる含浸層(22,23,24,25)を提供する、ステップと、各更なる含浸層は、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性物質、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから実質的に成る、更なる含浸材料で含浸された、更なる不織布を備え又はから成り、強化フィラメントを欠き、
i-5-e)前記第一の含浸層(21)に隣接して及び互いに隣接して、前記1以上の更なる含浸層(22,23,24,25)を配置し、熱および圧力を用いて、各当該更なる含浸層(22,23,24,25)と前記第一の含浸層(21)とを一緒に接合する、ステップとを、備える、
製造工程。
【請求項13】
2以上の含浸層(21,22,23,24,25)を備える請求項1に記載のベルトカーカスの製造工程であって、
ii-1)第一の不織布(301)と、第二の不織布(302)と、第一の熱可塑性物質、第一の熱可塑性エラストマ、第一のエラストマ、または第一の熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから実質的に成る、第一の含浸材料の第一のシート(401)と、第二の熱可塑性物質、第二の熱可塑性エラストマ、第二のエラストマ、または第二の熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから実質的に成る、第二の含浸材料の第二のシート(402)と、強化フィラメントが、少なくとも部分的に一の所定の方向に延びている、フィラメント層(52)の形で、前記強化フィラメントとを、提供する、ステップと、
ii-2)積層体(6)を形成するために、前記フィラメント層(52)の一方側において、前記第一の不織布(301)および前記第一のシート(401)が存在し、前記フィラメント層(52)の他方側において、前記第二の不織布(302)および前記第二のシート(402)が存在するように、一方における、前記第一の不織布(301)および前記第一のシート(401)と、他方における、前記第二の不織布(302)および前記第二のシート(402)と間で、前記フィラメント層(52)を挟むように、前記フィラメント層(52)と、前記第一の不織布(301)と、前記第二の不織布(302)と、前記第一のシート(401)と、前記第二のシート(402)とを、互いに隣接するように、配置する、ステップと、
ii-3)任意にステップii-1)からii-2)までとは独立に、
ii-3-a)1以上の更なる不織布(303,304,305)と、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性物質、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから実質的に成る、更なる含浸材料の1以上の更なるシート(403,404,405)とを、提供する、ステップと、
ii-3-b)各不織布の真隣りに、少なくとも一つの更なるシートが存在し、各更なるシートの真隣りに、少なくとも一つの更なる不織布が存在するように、前記積層体(6)に隣接して、および互いに隣接して、前記1以上の更なる不織布(303,304,305)と、前記1以上の更なるシート(403,404,405)とを、配置する、ステップと、
ii-3-c)熱および圧力を用いて、同時に、各含浸層(21又は22又は23又は24又は25、各々)を形成するために、不織布(401又は402又は403又は404又は405、各々)の真隣りの前記少なくとも一つの更なるシートからの含浸材料により、各不織布(301又は302又は303又は304又は305、各々)を含浸し、全ての当該含浸層(21,22,23,24,25)と、前記積層体(6)とを、一緒に接合する、ステップと、
または、
ii-3-d)1以上の更なる含浸層(22,23,24,25)を提供する、ステップと、各更なる含浸層は、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性物質、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから実質的に成る、更なる含浸材料で含浸された、更なる不織布を備え又はから成り、強化フィラメントを欠き、
ii-3-e)前記積層体(6)に隣接して及び互いに隣接して、前記1以上の更なる含浸層(22,23,24,25)を配置し、
ii-3-f)熱および圧力を用いて、各当該更なる含浸層(22,23,24,25)と前記積層体(6)とを一緒に接合する、ステップとを、備え、
前記フィラメント方向は、
前記ベルトの走行方向を形成する、
製造工程。
【請求項14】
2以上の含浸層(21,22,23,24,25)を備える請求項1に記載のベルトカーカスの製造工程であって、
iii-1)強化フィラメントが、少なくとも部分的に一の所定の方向に延びている、フィラメント層(53)の形で、前記強化フィラメントと、第一の熱可塑性物質、第一の熱可塑性エラストマ、第一のエラストマ、または第一の熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから実質的に成る、第一の含浸材料により含浸された、第一の不織布を備える又はから成るが、強化フィラメントを欠く、一つの第一の含浸層(21)とを、提供する、ステップと、
iii-2)
iii-2-a)1以上の更なる不織布(306,307,308)と、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性エラストマ、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから成る、更なる含浸材料の1以上の更なるシート(406,407,408)とを、提供する、ステップと、ここで、更なる不織布(406,307,308)の数は、更なるシート(406,407,408)の数と等しく、Kとして指定され、
iii-2-b)仮に、任意の前記フィラメント層(53)が設けられるなら、それが、一方での前記第一の含浸層(21)と、他方での前記更なる不織布(306)および前記更なるシート(406)とで、挟まれるように、前記第一の含浸層(21)の一方側で及びに隣接して、1つの更なる不織布(306)、一つの更なるシート(406)と、任意の前記フィラメント層(53)とを、配置する、ステップと、
iii-2-c)熱および圧力を用いて、同時に、更なる含浸層(22)を形成するために、前記更なるシート(406)からの含浸材料により、前記更なる不織布(306)を含浸し、接合された積層体(7)を形成するために、第一の含浸層(21)と、任意の挟まれたフィラメント層(53)と、更なる含浸層(22)とを、一緒に接合する、ステップと、
iii-2-d)ステップiii-2-b)およびiii-2-c)においておよびそれらの繰り返しにおいて、前記フィラメント層(53)が、合計でちょうど一度、使用されるという条件で、さらに更なる不織布と、さらに更なる熱可塑性物質、さらに更なる熱可塑性エラストマ、さらに更なるエラストマ、またはさらに更なる熱硬化性樹脂と、任意の添加剤との、さらに更なるシートとの、さらに更なる対(307/407,308,408)を用いて、前記接合された積層体(7)について、ステップiii-2-b)およびiii-2-c)をK-1回繰り返す、ステップと、
または、
iii-2-e)各々が、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性エラストマ、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、を備える又はから実質的に成る、更なる含浸材料で含浸された、更なる不織布を備える又はから成る、1以上の更なる含浸層(22,23,24,25)を提供する、ステップと、ここで、更なる含浸層(22,23,24,25)の数は、Kとして指定され、
iii-2-f)仮に、任意の前記フィラメント層(53)が設けられるなら、それが、一方での前記第一の含浸層(21)と、他方での更なる含浸層(22)とで、挟まれるように、前記第一の含浸層(21)の一方側で及びに隣接して、1つの更なる含浸層(22)を、配置する、ステップと、
iii-2-g)接合された積層体(7)を形成するために、熱および圧力を用いて、第一の含浸層(21)と、任意の挟まれたフィラメント層(53)と、更なる含浸層(22)とを一緒に接合する、ステップと、
iii-2-h)ステップiii-2-f)およびiii-2-g)においておよびそれらの繰り返しにおいて、前記フィラメント層(53)が、合計でちょうど一度、使用されるという条件で、各繰り返しにおいて、前記さらに更なる含浸層(23,24,25)の一つを用いて、前記接合された積層体(7)について、ステップiii-2-f)およびiii-2-g)をK-1回繰り返す、ステップとを、備える、
製造工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含浸層および強化フィラメントを含むベルトカーカス、特に、コンベヤーベルト、マシーンテープ、動力伝達ベルト、またはスピンドルテープのための、ベルトカーカスに関する。
【背景技術】
【0002】
織布ベースのベルトは、広く、たとえば、コンベヤーベルト、マシーンテープ、または動力伝達ベルトとして、使用されている。織布は、けん引層として作用する。織布は、また柔軟性を有する。ベルトの柔軟性は、小径のプーリで曲がることができるようにするために、必要とされる。しかしながら、常に、織布は、長手(ベルト走行)方向に、弾性を有するので、そのように生成されたベルトは、長手方向に、十分でない引張強さを持っていてもよい。それに対抗するために、ベルト内に、織布の代替えとしてまたはそれに加えて、ベルトの長手方向に延びる、高引張強さの強化フィラメントをさらに含むことも、提案されてきた。
【0003】
多くの場合において、織布は、ポリマー材料により、コーティングされる。当該コーティングは、周囲から当該布を密封する。このことは、布繊維により運ばれる物の汚染を防止し、仮に、ベルトがすり切れ始めており、コーティングがないなら、当該繊維汚染または織材の更なる劣化を防止するために、結果、追加の製造ステップとして、ベルトは、織布のエッジ封止を必要とする。コーティングは、意図する応用に適合するために、ベルトが有し得る後続するカバー層のサポートとして機能してもよく、さらに、幾何学的によく規定された面により、カバー層に、同じ幾何学的によく規定された面を、与えもする。
【0004】
織布に対するコーティングの最良の付着のために、少なくとも一部において、毛状機械取付点によりコーティングされた材料に対する付着を助ける、毛状の天然繊維を含む、または、当該毛状取付点を本質的に欠く合成繊維の場合には、付着促進剤を一緒に使用する、ことも可能である。しかしながら、製品応用、特に、極熱/冷および反復高圧力印加の要望とともに、付着促進剤の有効性は、後続の製造および合成繊維ベースのベルトの製造処理により、弱められ、製品の低い完全性および界面に沿った分離という結果となり、様々な、望まない(剥離/分離)製品パフォーマンス(耐久性、寿命)問題が生じる。
【0005】
上記コーティングおよび上記強化長手繊維をベルト内に有することにより、ベルトの使用の間およびプーリにおける曲げの間に、当該長手繊維が、コーティングされた材料を通して、長手方向に切開し始める、という問題を呈する。これは、早期のベルト破損につながり得る。そこで、織布内に埋め込まれ、織布により包み込まれた、上記強化繊維を有することが、提案されてきた。ここで、布の横断(横の)繊維は、少なくともある程度、上記長手方向の切開を防止する。特許文献1は、そのようなコンベヤーベルトを開示している。ここで、織布は、長手強化フィラメントを埋め込む。
【0006】
特許文献2は、ニードルフェルトであってもよく、さらに好ましくは一緒にニードルされた、少なくとも二つの不織層を有する、コンベヤーベルトを開示している。二つの不織層の一つは(好ましくは、両不織層は含浸されている)、エラストマ12と接触する。当該コンベヤーベルトは、強化フィラメントを欠く。
【0007】
特許文献3は、不織層、織層、および任意の第二の不織層を有する、コンベヤーベルトを開示しており、一緒にニードルされた不織層は、織層の反対側にある。織層と不織層とをかみ合わせるために、エラストマが使用される。所望および調整可能な程度で、エラストマは、カーカス内に、選択的に含侵されてもよい。一つの実施の形態において、結果として生じるカーカスの一方側は、エラストマ12により飽和されており、他方側は、生地のままである。例1は、不織材料と織スクリムのコア層との2層を有するコンベヤーベルトを開示しており、合成ゴム化合物のカバー層を有する。不織層自身は、強化フィラメントを欠く。
【0008】
特許文献4は、縦糸11および横糸12の複数層から成る基布3上に積層された、不織布層2を備える、耐熱コンベヤーベルトを開示している。不織布層2および基布3は、一緒に、ニードルされる。選択的に、基布3の他方側に、他の不織布層5があってもよい。基布3は、樹脂材料を含浸している。「高強度」であると言われている縦糸11を除いて、他の強化フィラメントは存在しない。
【0009】
特許文献5は、コンベヤーベルトであってもよい、長手方向に延びる連続平行フィラメントのアセンブリを含む強化剤を有する、エラストマ物品を開示している。当該エラストマ物品は、好ましくは、織布強化層をさらに備える。例3において、強化ベルトが開示されており、PET短繊維のカードウェブ(carded web)は、水分ラテックス散液で飽和されており、「平行フィラメントアセンブリの上に置かれ、接触している」。
【0010】
特許文献6は、ランダム配向した繊維および熱可塑性物質又は熱可塑性エラストマから本質的に成る混合物から成るシート材料、および、パンチングアプリケーションのサポートして、またはパンチングベルトにおける上層としての、その使用を、記載している。シート材料自身は、N幾何学的によく規定されたポリマーシートおよびKタイプ繊維から、成っていてもよい。各K-thタイプ繊維は、不織布のような、代表的な事前アセンブリのシートの形であってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】英国特許出願公告第1390603号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/078657号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0164127号明細書
【特許文献4】特開2007-137993号公報
【特許文献5】英国特許出願公告第1354689号明細書
【特許文献6】国際公開第2017/102768号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記全ての事実および問題を考慮した、異なるベルトタイプを用意するのに適した、改良されたベルトカーカスを提供することを求めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明は、次のことを特徴とする、1、2、または2より多い含浸層を備える、ベルトカーカスを提供する。
i. 各含浸層は、不織布と、第一の熱可塑性材、第一の熱可塑性エラストマ、第一のエラストマ又は第一の熱硬化性樹脂、および任意の添加剤、を備える、または、から本質的に成る含浸材と、を備える、または、から本質的に成る。これにより、もし、2以上の当該含侵層がある場合には、それらは、互いに隣接する。さらに、
ii. もし、当該ベルトカーカスが1以上の当該含浸層を備える場合には、そのときには、少なくとも部分的に一の所定の方向に延び、一つのフィラメント層の形である強化フィラメントは、複数の上記含浸層のうちのただ一つ不織層内に、埋め込まれ、または、
もし、当該ベルカカーカスが2以上の含浸層を備える場合には、そのときには、少なくとも部分的に一の所定の方向に延び、ただ一つのフィラメント層の形である強化フィラメントは、二つの隣接する上記含浸層の間に、挟まれる。
【0014】
ベルトカーカス、その製造のプロセス、およびそれから生成されるベルトの実施例の好ましい実施の形態は、特許請求の範囲に従う。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】強化フィラメントの異なる実施の形態の埋め込まれたフィラメント層を含む、ベルトの透明上面図を示す。
【
図2】強化フィラメントの埋め込まれたフィラメント層を含む不織層の準備の概略プロセスを示す。
【
図3】本発明のベルトカーカスを製造する異なるプロセスの実施の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
含浸不織布の1以上の層からベルトカーカスを構成することにより(ここで、含浸層のただ一つは、少なくとも部分的に所定のフィラメント方向に走る強化フィラメントを含む、ただ一つの埋込フィラメント層を、さらに備え、または、ここで、少なくとも部分的に所定のフィラメント方向に走る強化フィラメントを含むただ一つフィラメント層は、二つの当該含浸層の間で挟まれる)、上記フィラメント方向がベルトの走行方向を形成する態様で、当該ベルトカーカスから切断されたベルトは、織布および別の同一の構造を含むベルトに関して、同等の柔軟性を有する、ということを予想外に見出した。上記ただ一つのフィラメント層は、当該ベルトカーカスから切断された線形走行ベルトの一つの可能性のある中立面を形成する傾向がある、ということが観察された。小さいプーリ周りにおける容易な曲げを許容するため、埋込フィラメントを欠き、それらの間に更なる強化フィラメントを挟んでいない、残りの含浸層を有することは、ベルトの凹部側に最大の圧縮率を、およびベルトの凸側に最大の伸縮性、よって最大の柔軟性を、提供する、ということをさらに見出した。当該強化フィラメントを含浸層の不織布内に埋め込むことにより、または、各々が不織布を含む二つの隣接する含浸層間に当該強化フィラメントを挟むことにより、含浸層の含浸材料を介した上記長手方向の切開を、防止することができる、ということもさらに見出した。さらにまた、織布けん引層(traction layer(s))の同時使用なしで、本発明のベルトカーカスから作られたベルトは、織布けん引層を有するベルトに匹敵する引張強さを提供する、ということを見出した。さらにまた、引張強さの保持と含浸の層間剥離耐性とを同時に有する、本発明のベルトは、織模様(interlacement)ノードの完全欠損に原因があるかもしれない、転じて織布の不存在のために(特許文献3に説明されたノー「ウォッシュボード」効果)、稼働中のノイズレベルを低減する、ということを観測した。
【0017】
ここで使用される「ベルトカーカス」という用語は、全ての必要な層を含むシート状の複合積層を意味し、すなわち、一つのフィラメント層は、強化フィラメントと各々が不織布を含む1,2以上の含浸層を備えるが、上記シート状の複合積層は、コンベヤーベルトの寸法形状を必ずしも有していない。ここで使用される「ベルトカーカス」は、線形走行方向(以下において、また「線形ベルト」)専用のベルトの場合に、単一フィラメント層における上記フィラメント方向が、そのように生成された線形ベルトの結果的に意図された走行方向を形成するように、ベルトの切断がなされるという条件で、適切なサイズおよび幅の本発明の1以上のベルトに切断されることができる。
【0018】
本発明のベルトカーカスにおいて、強化フィラメントは、単一フィラメント層を形成する。単一フィラメント層は、単一含浸層の不織布内に埋め込まれるか、または、二つの隣接する含浸層の不織布の間に挟まれる。
【0019】
強化フィラメントは、フィラメント層を形成する。フィラメント層は、本発明のベルトカーカスの長さ(y)および幅(x)に平行な平面内にある(すなわち、ベルトカーカスの厚さzは、当該平面に垂直である)。もし、不織布内に埋め込まれている場合には、フィラメント層の垂直位置は、そこに含まれる不織布の厚さDmpの、好ましくは20から80%のレンジ内、より好ましくは、40から60%の範囲内である。ここで、Dmpは、以下で説明されるように、定義および測定される。以下で説明されるように、埋込強化フィラメントを有する不織布を形成するために、当該垂直位置は、化学熱ボンディングにより一緒に結合される、または機械的に一緒にニードルされる、またはハイドロ絡みにより結合され得る、第一の不織サブ層および第二の不織サブ層の厚さDmpを適切に選ぶことにより、簡単に制御される。
【0020】
一つのフィラメント層は、少なくともベルトの走行方向におけるベルトの引張強さを向上するように意図された、「強化フィラメント」を含む。これらの強化フィラメントは、好ましくは、互いに、組合さったり、織合わさったりせず、各強化フィラメントが、各々が略真直ぐに走る1以上のサブセクションを有し、湾曲せず、そのカーカスから切断された線形ベルトにおいて、ベルトの走行方向となる、一の所定の方向に少なくとも部分的に延設する、ということが把握される。
【0021】
本発明の目的に対して、「一つの所定の方向に少なくとも部分的に延設する」という用語は、次式(1)として、全ベルトに含まれる全ての強化フィラメントから計算される、指数rが、少なくとも0.5を与える、ということを意味する。
式(1)において、
-L
ik(in m)は、i番目のフィラメントのk番目のストレートサブセクションの長さであり(たとえば、個々のメッシュの個々のエッジの長さ、つまり、メッシュサイズ)、
-ρ
ik(in g/m
3)は、i番目のフィラメントのk番目のストレートサブセクションの材料密度であり、
-cos(α
ik)は、i番目のフィラメントのk番目のストレートサブセクションが、一の所定の方向に関して有する、角度のコサインであり、
-T
ik(in g/m)は、i番目のフィラメントのk番目のストレートサブセクションの線密度であり、
-kにおける和は、i番目のフィラメントの全てのkのストレートサブセクションに渡って走り、
-iにおける和は、ベルトに含まれる全てのI強化フィラメントに渡って走る。
【0022】
1又は2列の平行強化フィラメントの形状における強化フィラメントの層に対して(すなわち、各i番目のフィラメントは、i番目のフィラメントの全長に対応する長さL
iを有する、ただ一つの単一ストレートサブセクションを有する)、式(1)は、次のように、単純化される。
ここで、
-L
i(in m)は、i番目のフィラメントの全長であり、
-cos(α
i)は、i番目のフィラメントが、一の所定の方向に関して有する、角度のコサインであり、
-ρ
i(in g/m
3)は、i番目のフィラメントの材料密度であり、
-T
i(in g/m)は、i番目のフィラメントの線密度であり、
-iにおける和は、全てのI強化フィラメントに渡って走る。
【0023】
ベルトカーカスから切断された線形ベルトの実施の形態の透明上面図を示す、
図1のa)、b)、およびc)において、強化フィラメントが少なくとも一部において延設する上記一つの所定の方向、結果、線形ベルトの走行方向は、太い矢印で示される。
【0024】
特に、
図1のa)を参照して、当該線形ベルトは、まさにベルトの走行方向において全長に渡って走る単一列の平行強化フィラメントの形で、フィラメント層51又は52又は53を含む。上式(2)の定義において、結果、全てのコサインは1(ベルト走行方向に対する角度がゼロ)であり、したがって、式(2)からのrは、フィラメントの線密度、フィラメントの材料密度、およびフィラメント長に関係なく、1となる。さらに、線形ベルトの幅により割られた、式(2)に対して定義されているIは、ここでは、幅方向における強化フィラメントカウントとして、考えられてもよい。
【0025】
好ましくは、
図1のa)の実施の形態において、全ての強化フィラメントは、同一である。
【0026】
特に、
図1のb)を参照して、当該線形ベルトは、2列の平行強化フィラメントの形で、フィラメント層51又は52又は53を含む。強化フィラメントの第一列は、まさにベルトの走行方向に走り、第二列は、それに対してまさに垂直な方向に走る。上式(2)の定義において、第一列に対する全てのコサインは、1(ベルトの走行方向に対する角度はゼロ)であり、第二列に対する全てのコサインは、ゼロ(ベルトの走行方向に対する角度は、90°)である。したがって、式(2)は、次式となる。
ここで、
-L
i(in m)は、ベルトの走行方向に走るi番目のフィラメントの長さであり、ρ
i(in g/m
3)は、その材料密度であり、
-L
j(in m)は、ベルトの走行方向に対して垂直に走るj番目のフィラメントの長さであり、ρ
j(in g/m
3)は、その材料密度であり、
-T
iおよびT
j(in g/m)は、それぞれ、ベルトの走行方向に走るi番目のフィラメントの線密度であり、ベルトの走行方向に対して垂直に走るj番目のフィラメントの線密度であり、
-iにおける和は、ベルトの走行方向に走る全てのI強化フィラメントに渡って走り、
-jにおける和は、ベルトの走行方向に対して垂直に走る全てのJ強化フィラメントに渡って走り、
式(3)からのrが、少なくとも0.5となるように、L
i,L
j,T
i,T
j,I,およびJが、選択される。
【0027】
ここで、線形ベルトの長さにより割られたJは、長さ方向におけるベルトの強化フィラメントカウントであると考えられ得り、線形ベルトの幅で割られたIは、幅方向における強化フィラメントカウントであると考えられ得る。
【0028】
選択的に、また
図1のb)を参照して、当該線形ベルトは、正方形又は長方形格子の形で、フィラメント層51又は52又は53を含んでいてもよい。ここで、各正方向又は長方形のメッシュの二つの対向エッジは、まさにベルトの走行方向に走る。これらのエッジに対する全てのコサインは、1(ベルトの走行方向に対する角度は、ゼロ)である。各メッシュの他の二つの対向エッジは、ベルトの走行方向に対してまさに垂直な方向に走る。これらの他のエッジに対する全てのコサインは、ゼロ(ベルトの走行方向に対する角度は、90°)である。したがって、式(1)は、次式になる。
ここで、
-L
ik(in m)は、ベルトの走行方向に走る、i番目のフィラメントのk番目のストレートサブセクションの長さであり(たとえば、個々のメッシュの個々のエッジの長さ、つまり、メッシュサイズ)、ρ
ik(in g/m
3)は、その材料密度であり、
-L
jm(in m)は、ベルトの走行方向に対して垂直に走る、j番目のフィラメントのm番目のストレートサブセクションの長さであり(たとえば、個々のメッシュの個々のエッジの長さ、つまり、メッシュサイズ)、ρ
jm(in g/m
3)は、その材料密度であり、
-T
ik(in g/m)は、i番目のフィラメントのk番目のストレートサブセクションの線密度であり、
-T
jm(in g/m)は、j番目のフィラメントのm番目のストレートサブセクションの線密度であり、
-kにおける和は、ベルトの方向に走り、ベルトに十分に含まれている、i番目のフィラメントの全てのKのストレートサブセクションに渡って走り、
-mにおける和は、ベルトの方向に対して垂直な方向に走り、ベルトに十分に含まれている、j番目のフィラメントの全てのMのストレートサブセクションに渡って走り、
-jにおける和は、ベルトの方向に対して垂直な方向に走り、ベルトの幅全体に含まれる、全てのJ強化フィラメントに渡って走る。
【0029】
式(4)からのrが、少なくとも0.5となるように、Lik,Ljm,Tik,Tjm,I,J,KおよびMが、選択される。
【0030】
ここで、また、ベルトの長さにより割られたJは、長さ方向におけるベルトのフィラメントカウントであると考えられ得り、ベルトの幅で割られたIは、幅方向におけるフィラメントカウントであると考えられ得る。
【0031】
図1のb)の実施の形態において、好ましくは、ベルトの走行方向に走る全ての強化フィラメントは、同一であり、ベルトの走行方向に対して垂直な方向に走る全ての強化フィラメントは、同一である。
【0032】
特に、
図1のc)を参照して、当該線形ベルトは、ベルトの走行方向に対して斜めの方向に全てのメッシュエッジが走り、ベルトの走行方向と共に固定角度αを囲む、菱形メッシュを有する格子の形で、フィラメント層51又は52又は53を含む。したがって、式(1)は、次式になる。
これは、線密度、材料密度、およびエッジ長さに関係せず、また重ねて少なくとも0.5でなければならない。
【0033】
好ましくは、この実施の形態において、各菱形のメッシュは、長対角線および短対角線を有する。ここで、長対角線は、ベルトの走行方向に走り、短対角線は、ベルトの走行方向に対して垂直な方向に走る。
【0034】
特に、
図1のd)を参照して、本発明のベルトカーカスから環状に切断された当該コーナーベルトにおいて、
図1のd)において環状の矢印により示されているように、走行方向は、固定された線形でなく、環状であるので、フィラメント層は、如何なる方向においても引張強さを向上する、「強化フィラメント」を含んでいなければならない。ディスク又はコーナーベルトの各(x,y)点での局所走行方向は、上記環状走行方向へのタンジェントであり、3つの例となる(x,y)位置に対して、3つの太字矢印によって示される。四角メッシュを有する格子の形のフィラメント層は、ここで好ましい実施の形態として現れ、
図1のd)において、x(水平)およびy(垂直)方向に配列されている。当該格子の如何なる(i,k)四角メッシュに対して、x-方向に沿ったエッジの一つの対向対は、上記局所的なベルト走行方向に対して固定角αを有し、エッジの他の対向対は、上記局所的なベルト走行方向に対して対応する90°-αの固定角を有する。如何なる(i,k)四角メッシュは、常に、上記局所的なベルト走行方向にまさに平行な方向(α=0)から、上記局所的なベルト走行方向にまさに垂直な方向(α=90°)までの、何れかであるので、上記局所的なベルト走行方向に対する如何なる(i,k)四角メッシュの角度αは、常に、0°から90°までの範囲内で測定される。さらに、四角メッシュ格子において、全てのフィラメントエッジの線密度は等しく、結果Tであり、それらの材料密度は等しく、結果ρであり、それらの長さも等しく、結果Lである。エッジのダブルカウントを避けるために、各四角メッシュに対して、各対のたった一つのエッジは、和にあると考えられてもよい。さらにまた、I×Jの積は(ここで、IおよびJは、式(1)で規定されているとして)、環状のベルトセクションに完全に含まれる四角メッシュの数に、かなり近いと考えられてもよい。考えられている各エッジ対のたった一つのエッジで、式(1)におけるiに渡るおよびkに渡るダブルの和は、よって、必要に応じて、環状のベルトセクションに完全に含まれる全ての四角メッシュに渡る合計に等しい。
【0035】
よって、式(1)から、
を得、これは、0~90°の上記範囲におけるαに対して、1.0以上であり、結果0.5より大きく、T,L,ρに無関係である。
【0036】
図3のd)の第一の例となる位置に対して、各メッシュの垂直(y-線(running))対向エッジは、対応する局所的なベルト走行方向で、約35°の角度α
1を囲み、第二の例となる位置において、これらのエッジは、対応する局所的なベルト走行方向で、約30°の角度α
2を囲む。仮に、α
3が0°から90°までの範囲で測定されるなら、第三の例となる位置において、これらのエッジは、対応する局所的なベルト走行方向で、約40°の角度α
3を囲む。3つの例となる位置の対応する水平(x-線)格子エッジに対する各角度は、よって、各々、55°、60°、および50°である。
【0037】
本発明のベルト内の各含浸層は、好ましくは、本質的に、不織布および含浸材料のみから成り、場合により、強化フィラメントをもから成る。本発明の文脈において「本質的に成る」は、不織布、含浸材料、および強化フィラメント(もし存在するなら)の重量の合計が、好ましくは、含浸層の重さの、少なくとも97%を占める、ということを意味する。より好ましくは、各含浸層は、不織布と含浸材料と強化フィラメント(もし存在するなら)と、から成る。
【0038】
含浸材料それ自身は、好ましくは、本質的に、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマ、エラストマ、または熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、から成る。たとえば、ある色を与えるため(染料または顔料)、フィラーとして機能するように、摩耗抵抗を向上させるために、CoF(摩擦係数)を増加または減少させるために、難燃性を提供するために、および/または、光学(発光)および/または金属可検出性を提供するために、添加剤を含浸材料に加えてもよく、または、可塑剤の機能に加えてもよい。添加剤の種類および量が、含浸材料を、ある高温化で柔らかく又は溶かすことができる、または、柔らかく、溶けた、または液化した含浸材料を有する不織布を含浸するのに要する少なくとも時間の間、液化する(たとえば、溶液内で溶解または分散することにより)ことができる、というようなものであるという条件で、所定の機能を有するこれらの指定された添加剤の量は、含浸材料に基づいて、重量の75%まで占めてもよいが、典型的には、含浸材料に基づいて、重量の1から25%の範囲である。
【0039】
含浸材料が、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマ、エラストマ、または熱硬化性樹脂と、任意の添加剤と、から「本質的に成る」ということは、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマ、エラストマ、または熱硬化性樹脂と、上記で説明された任意の添加剤との、重量の和が、含浸材料の重量の少なくとも95%を、好ましくは占めるということを、ここでは好ましくは意味しており、これにより、残りは、たとえば不純物のような他の指定されていない構成要素である。より好ましくは、含浸材料は、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマ、エラストマ、または熱硬化性樹脂と、上記で説明された任意の添加剤と、から成る。
【0040】
本発明のベルトカーカスで使用される不織布は、従来品のようなものである。第一に、それらは特に、ガラス、玄武岩、カーボン、またはアラミドなどのような、無機繊維から構成されていてもよい。第二に、それらは、ポリエステル(たとえば、PETまたはPBT)、ポリオレフィン繊維(たとえば、ポリプロピレンまたはポリエチレン)、ポリアミド(たとえば、ナイロン-6,6)、ビスコース、ポリフェニレンスルホン繊維などのような、合成有機繊維から構成されていてもよく、または、高融タイプの繊維および低融タイプの繊維を有する複合繊維、または、高融コアおよび低融シースを有するコア-シース繊維である。たとえば、不織の繊維の総重量に基づいて重量の50から100%の量において、複合繊維の使用または共使用は、不織の引裂抵抗および伸長抵抗(引張強さ)、結果、その不織を含む本発明のベルトの引裂抵抗および伸長抵抗(引張強さ)を向上する。第三に、不織布は、ウール、コットン、麻、カラムシ、ジュート、サイザル麻、または亜麻などのような、自然有機繊維から構成されていてもよい。仮に、ベルトカーカス内に、複数の不織布が存在するなら、そのとき、全ての不織内の繊維の方向は、主に同一方向にある、ということが好ましい。それらが、ベルトカーカス内に、浸透し、組み込まれる前に、不織布をカード(carding)することにより、このことを容易に達成することができる。
【0041】
これらの不織布の各々の単位面積当たりの重さは、50から1500g/m2の範囲、より好ましくは50から400g/m2の範囲にある。
【0042】
不織布の繊維は、3から50デシテックス(dtex)、より好ましくは5から30dtexの線密度を好ましくは有し、当該繊維の材料密度は、好ましくは、0.9~1.3g/cm3の範囲にある。たとえば、不織の繊維の総重量に基づいて重量の50から100%の量にある、および、たとえば3から20デシテックスの範囲にあるこれらの範囲の低部の滴定濃度を有する、繊維の存在又は共存は、不織、結果その不織を含む本発明のベルトの、柔軟性および伸長抵抗(引張強さ)を向上する。他方、たとえば、不織の繊維の総重量に基づいて重量の50から100%の量にある、および、たとえば30から50デシテックスの範囲にあるこれらの範囲の高部の滴定濃度を有する、繊維の存在又は不存在は、不織、結果その不織を含む本発明のベルトの、引裂抵抗を向上する。不織布又はそのサブ層における個々の繊維の長さは、好ましくは15から150mmの範囲にあり、より好ましくは30から100mmの範囲にある。このことは、全ての繊維の平均長さでなく、各繊維の個々の長さを、意味する。したがって、繊維試料のほぼ全て、すなわち少なくとも95%は、当該長さを有する、ということが意図されている。含浸層における含浸に対する不織布の重量比は、好ましくは、30:70から80:20の範囲にある。
【0043】
本発明の文脈において、幾何学的によく規定された層又はシートの厚さD(これは、孤立した含浸層および本発明のベルトカーカス全体を含む)は、その層又はシートについて直接測定され、結果Dmとして指定される。本発明のベルトカーカスの厚さDmは、好ましくは0.3から5mmの範囲にあり、より好ましくは0.4から2mmの範囲にある。
【0044】
不織布又は不織サブ層の厚さは、不織布の表面について垂直に及ぼされる超過気圧(すなわち、大気圧を超える)下で、決定される。当該超過気圧は、たとえば、測定ゲージ自身により、または、シート状層又は不織布を圧縮する追加の第により、及ぼされてもよい。不織布又はそのサブ層それ自体の厚さを測定する目的において、当該超過気圧は、0.2バールであることが選択されてもよい。しかしながら、採用される含浸材料の正確な量を規定する目的において、厚さ測定において適用される超過気圧は、熱及び圧力を用いた対応する含浸ステップ(下記参照)において使用される、超過気圧と同一である。印加される圧力下で測定される厚さは、下記において、Dmpとして指定される。
【0045】
含浸材料の量は、不織布内の空隙のみが排出されるようなものであり、これにより、不織布は、含浸材料で完全に充たされることが好ましく、しかし、他方、過剰な含浸材料を使用されず、これが、不織布を欠く完成品のベルトカーカスゾーンまたは層内で生じる、ことが好ましい。このことは、含浸ステップにおいて適用される超過気圧の考慮を、要する。これは、溶かされ又は液化された含浸材料により含浸される前、または含浸されるときに、不織布の厚さDmpは、その圧力に強く依存するからである。
【0046】
含浸材料の要求される量を正確に選択するために、次式(7)は、次のように示される。
ここで、
-A(in m
2)準備される含浸層の幾何学的面であり、
-
wD
mp(in m)は、含浸の間に適用されるものと同じ超過気圧下で測定される、w番目の不織布の厚さであり、仮に、含浸が熱および圧力を用いてなされるなら、
wD
mpを測定するために使用される超過気圧は、その熱および圧力含浸の間に使用される超過気圧と同じであり、または、含浸が含浸材料の水性分散液を用いてなされるなら、
wD
mpを測定するために使用される超過気圧は、たった0.2バールであり、
-
wW(in g/m
2)は、w番目の不織布の単位面積当たりの重量であり、
-
wρ(in g/m
3)は、含浸において使用される温度での、w番目の不織布の繊維材料の密度であり、
-wにおける和は、使用される全ての不織布に渡って走り、
-
sV(in m
3)は、含浸で使用される温度での、使用されるs番目の含浸材料の体積であり、
-sにおける和は、全てのS使用含浸材料に渡って走る。
【0047】
よって、本発明のベルトカーカスを単一のステップ内で形成するために、もし、複数の不織布の1ステップの含浸/接合が選択されるなら、上記Aは、形成されるカーカスの幾何学的面でもある。
【0048】
または、もし、1の一連のビルドアップが選択されるなら、そのとき、上式(7)は、不織布および、一連の含浸/ビルドアップステップで使用される1つの含浸材料に対してのみ、適用されためのものである。WおよびSは、よって、1に等しい。
【0049】
含浸材料のための例となる熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマは、i)スチレン系ブロック共重合体(TPE-s)、ii)熱可塑性(co)ポリオレフィン系およびその混合(TPO)、iii)エラストマ合金(TPE-vまたはTPV)、iv)熱可塑性ポリウレタン(TPU)、v)熱可塑性コポリエステル、およびvi)熱可塑性ポリアミドの、通例知られているサブグループの一つから、選択されてもよい。
【0050】
含浸材料に対する例となるエラストマは、自然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ポリウレタン、およびアクリレートゴムである。好ましくは、含浸材料として使用されるとき、エラストマは、まだ、加硫処理または架橋処理がなされていないが、その含浸ステップの間、特に熱および圧力を用いるとき、加硫処理または架橋処理がなされていてもよい。そうするとために、エラストマは、適切な量で、事前に混ぜられた加硫剤を、含んでいてもよい。含浸層内におけるウェイト量の計算の目的のために、当該加硫剤は、所定の機能を有する任意の添加剤として、考えられる。
【0051】
含浸材料に対する例となる熱硬化性樹脂は、熱で架橋および硬化するポリマーまたは樹脂であるが、上記エラストマ以外である。例としては、エポキシ(たとえば、エピクロルヒドリン)を有するフェノール-/クレゾール-ホルムアルデヒド(ノボラック)、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド、ビスマレイミド、およびベンゾオキサジンの、付加物である。これらの樹脂は、好ましくは、未硬化A-ステージで、または部分硬化B-ステージで、使用され、含浸の間、C-ステージに対する効果が起こらない硬化が取られる。開始樹脂の分子量および硬化の度合いは、好ましくは、硬化樹脂が、まだ十分に柔軟性があるように、制御されるべきである。
【0052】
他方、より好ましいものは、TPU’s(たとえば、1)樹脂族鎖延長剤(たとえば、C2-C6-ジオール(たとえば、エチレン・グリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、および3-メチルペンタン-1,5-ジオール)、または、グリコールエーテル(たとえば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびトリプロピレングリコール)、およびアミノアルコール(たとえば、エタノールアミンおよびN-メチルジエタノールアミン))を有する、芳香族ジイソシアネート(たとえば、異性体 2,2’-,2,4’または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート)を反応させることにより得られるハードセグメントと、2)ソフトセグメントとしても、脂肪族ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールと、から成るもの)、または、TPO’s(たとえば、ii-1)ホモ-および構造XHC=CH2のビニル単量体の共重合体(ここで、Xは、クロロ、アセトキシ、フェニル、およびシアノ、から選択され、(共重合体に対する)共重合モノマは、エチレンおよび/またはプロペンである)と、ii-2)エチレン-アルファ-オレフィン系共重合体(ここで、アルファ-オレフィンは、好ましくは、プロペン、1-ブテン、1-ヘキサン、1-ヘプタン、および1-オクタン、から成るグループから選択される)と、から成るグループから選択されたもの)、である。
【0053】
一つの実施の形態において、本発明のカーカスの全ての含浸層は、同じ含浸材料を含み、好ましくは、熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマ、特にTPUをも含む。
【0054】
本発明のベルトカーカスの準備は、複数の方法、
図1,2,3を参照して下記で例示されている3つの好ましい方法で、なされてもよい。これらの図は、含浸材料の事前に形成されたシートを有する不織布を含浸する、好ましい方法を図示している。しかしながら、下記において、可能な他の含浸方法を、代替えとして説明される。
【0055】
一般的に、
図3の全ての変形例に対して、左下から右上へのハッチングは、含浸材料のシートを通った断面を示し、左上から右下へのハッチングは、不織布を通った断面を示し、クロスハッチングは、ゾーン又は層を示す。ここで、不織布は、含浸材料により含浸された、または含浸されている。太い垂直方向の矢印は、熱および圧力の使用による接合を示している。
【0056】
図3の第一の変形例i)(クレーム12)は、一つ含浸層21に埋め込まれたまさに一つのフィラメント層51が使用される場合の、プロセスを例示している。当該変形例は、次のステップを備える。
【0057】
ステップi-1)まず、少なくとも部分的に一の所定の方向に延びる、第一の不織サブ層31、第二の不織サブ層32、および強化フィラメントを含むフィラメント層51が、提供される。二つのサブ層31,32は、不織布に適した上記の繊維を含み、従来型のものである。それらは、より均一な繊維方向を与えるために、選択的にカード(carded)されてもよく、好ましくはこれにより、二つのサブ層31,32における繊維方向は、同じである。強化フィラメントは、事前に方向づけされており、これにより、それれは、少なくとも部分的に一の所定の方向に方向づけされ、または当該方向で直接的に提供される。
【0058】
ステップi-2)、i-3)
図2をまた参照して、フィラメント層51は、第二の不織サブ層32の上に配置、特に置かれ、フィラメント層51の上に、第一の不織サブ層31が配置される。第一の不織サブ層31、フィラメント層51、および第二の不織サブ層32は、たとえば二つの加圧ロール91,92を用いて、一緒にプレスされる。結果、それらを一緒に結合することは、たとえばそして好ましくは、
図2に示されているように、針通し装置10による針通しにより、行われてもよい。または、それらは、化学の手段(熱硬化接着)により、熱接合(ホットメルト接着)、または機械的に(ステッチまたは機械的に一緒に結合される)、接合されてもよく、また、いわゆる水流交絡により、一緒に接合されてもよい。針通し又は水流交絡は、z方向(不織布の長さ(y)および幅(x)に垂直)における不織布の方向を、さらにランダム化する。
【0059】
ステップi-4)において、埋込フィラメント層51を有する第一の含浸層21を形成するために、第一の熱可塑性物質、第一の熱可塑性エラストマ、第一のエラストマ、または熱硬化性樹脂と、上記で概説された任意の添加物と、を備える又は、から実質的に成る、第一の含浸材料4で、第一の不織布3を含浸する。当該含浸ステップは、第一の含浸材料の事前に形成されたシートを用いて(
図3に示すように)、または、カレンダ又は押出機を用いて、なされてもよい。それは、第一の含浸材料の水分散液を用いて、なされてもよい。ここで、不織布を十分に浸透するために、熱および圧力および/または真空により、第一の含浸材料を任意に柔らかくする前に、各アプリケーションの後の中間乾燥を伴う、たとえばドクターブレード、キスコーティング、スプレー、またはディピングにより、水分散液の複数の連続するアプリケーションが、適用されてもよい。さらに更なる代替として、含浸材料は、パウダーとして、または、不織布3上への軟凝集により、適用されてよく、含浸材料の堆積粒子は、その後、一緒に焼結され、熱および任意の圧力を用いて、不織布3内に含浸される。
【0060】
ステップi-5)内において、二つのサブ変形が存在する。第一のサブ変形は、ステップi-5-a)からi-5-c)を備え(
図3に図示されていないが、
図3に示された実施の形態ii)に類似する)、第二のサブ変形は、ステップi-5-d)からi-5-e)を備える。
【0061】
第一のサブ変形において、ステップi-5-a)は、更なる含浸材料の、1以上の更なる不織布と1以上の更なるシートを提供することであり、各々は、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性物質、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、上記で例示された任意の添加物と、を備える又は、から実質的に成る。全ベルトカーカスにおいて、たった一層の強化フィラメントがあり、これらは、ステップi-2)およびi-3)において、すでに導入されているので、したがって、当該更なる不織布は、強化フィラメントを欠く。更なるシートにより提供される含浸材料の全体積、単位面積当たりの重さ、厚さDmpおよび、各不織布の材料密度は、好ましくは、すべての更なる不織布の全空隙量が、ゾーンを形成することなく、または不織布の欠いた層なしに(上式(7)による計算参照)、含浸材料で満たされるように、選ばれる。一つの実施の形態において、このことは、更なる不織布の数が、そうである必要はないが、更なるシートの数に等しい、ということを意味する。
【0062】
ステップi-5-b)は、上記1以上の更なる不織布と、上記第一の含浸層21および互いに隣接した、上記1以上の更なるシートとを、配置しており、これにより、不織布の真隣りに少なくとも一つの更なるシートが存在し、更なるシートの真隣りに、少なくとも一つの更なる不織布が存在する。少なくとも一つの隣接シートからの含浸材料により、このことは、不織布の均一で完全な含浸を、促進する。更なるシートの総数、それらが提供する含浸材料の全体積、単位面積当たりの重さ、厚さDmpおよび、すべての更なる不織布の材料密度は、好ましくは、第一の含浸層21の一方側におけるすべての更なる不織布の全空隙量が、含浸材料で満たされることができるように(上式(7)による計算参照)、選ばれる。同様に、更なるシートの総数、それらが提供する含浸材料の全体積、単位面積当たりの重さ、厚さDmpおよび、すべての更なる不織布の材料密度は、好ましくは、第一の含浸層21の他方側におけるすべての更なる不織布の全空隙量が、含浸材料で満たされることができるように、選ばれる。ここで、再度、このことは、シートおよび不織布の数が、第一の含浸層21の二つの側の各々において、等しい、ということを意味する。
【0063】
熱および圧力の使用を伴うステップi-5-c)において、更なる不織布は、その不織層の真隣りの少なくとも一つの更なるシートからの含浸材料により、含浸される。このことは、通常、カレンダ、高熱プレス、またはロートキュアを使用することを、意味する。適用される超過気圧は、好ましくは、Dmpの上記決定において使用されるようなものである。熱および圧力による同時の含浸および相互接合は、また、単なる軟化というよりは、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマ、またはB-ステージ樹脂が溶けるほどの、十分に高い温度で、なされる。含浸層を形成するために、含浸材料が実質溶かされる場合に限り、それは、隣接する不織布内ですべてのボイドが貫通するような、十分に低い粘性を有する。「実質溶かされる」は、本発明の文脈において、好ましくは、選択された含浸温度で、その溶解は、少なくとも20g/10分、好ましくは少なくとも30g/10分、最も好ましくは30から60g/10分についての8.7kgで、MFIを有する、ということを意味してもよい。各場合において、このことは、温度は、含浸材料の分解を避けるために、十分に低く維持されるという条件であり、もし、熱硬化性樹脂が含浸材料内で使用される場合には、含浸は、C-ステージなく、B-ステージまでよりもさらに進んで硬化しない熱硬化性樹脂により、実質完成する。
【0064】
第二のサブ変形であるステップi-5-d)において、事前に形成された、1以上の更なる含浸層22,23,24,25は、直接的に提供され、各々は、更なる含浸材料で含浸された更なる不織布を備える、またはから成る。当該更なる含浸材料は、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性エラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、上記で概説された任意の添加物と、を備える、またはから実質的に成る。ステップi-4)に対して上記で概説された工程の何れかにより、これらは、各不織布および含浸材料から、事前に形成されてもよい。ベルトカーカス全体において、たった1層の強化フィラメントが存在し、これらは、ステップi-2)およびi-3)にすでに導入されているので、したがって、当該更なる含浸層22,23,24,25は、強化フィラメントを欠く。
【0065】
ステップi-5-e)において、1以上の更なる含浸層22,23,24,25は、第一の含浸層21に隣接して、互いに隣接して配置される。更なる含浸層22,23,24,25および第一の含浸層21は、熱および圧力の使用により、一緒に結合される。ステップステップi-5-c)下で、条件および装置は、上記で概説されたようなものであってもよい。もし、A-またはB-ステージにある熱硬化性樹脂を含む含浸材料から、含浸が構成されるなら、最終Cステージまで硬化することは、ここで起こることが許されてもよい。
【0066】
ステップi-5)において、第一の含浸層21の各サイドに存在する、不織布の数(第一のサブ変形)または含浸層の数(第二のサブ変形)は、好ましくは、ベルトが使用中であるとき、埋込フィラメント層51を含む第一の含浸層21が、好ましくは、ベルトカーカスから切出された線形ベルトの中立面で又は近くにある、ように選択される。このことは、たとえば、すべての他の含浸層22,23,24,25が、好ましくは、第一の含浸層21の外側に配置され、プーリから離れて面しているのに対して、すべてのプーリに面する同じベルト面を常に有する線形ベルトに対して、第一の含浸層が、好ましくは、ベルトの内凹面にあり、プーリに面する、ということを意味する。
【0067】
図3の第二の変形ii)(クレーム3)は、ベルトカーカス1が、二つの含浸層21,22の間に挟まれる、まさに一つのフィラメント層52を用いて形成されている場合の、プロセスを例示している。当該変形は、次のステップを備える。
【0068】
ステップii-1)において、第一の不織布301、第二の不織布302、第一の含浸材料の第一のシート401、第二の含浸材料の第二のシート402、および1の所定の方向に少なくとも部分的に延びる、フィラメント層52の形の強化フィラメントが、提供される。第一の含浸材料は、第一の熱可塑性物質、第一の熱可塑性エラストマ、第一のエラストマ、または第一の熱硬化性樹脂と、上記で概説された任意の添加物と、を備える又はから実質的になる。第二の含浸材料は、第二の熱可塑性物質、第二の熱可塑性エラストマ、第二のエラストマ、または第二の熱硬化性樹脂と、上記で概説された任意の添加物と、を備える又はから実質的になる。強化フィラメントは、1の所定の方向に少なくとも部分的に指向され、または、当該方向で直接提供されるように、前もって指向される。好ましくは、第一および第二のシート401,402により提供される含浸材料の全体積、単位面積当たりの重さ、厚さDmpおよび、二つの不織布301,302の材料密度は、二つの含浸層301,302の全空隙量が、含浸材料で満たされることができるように(上式(7)による計算参照)、選ばれる。
【0069】
ステップii-2)において、積層体6を形成するために、フィラメント層52,第一および第二の不織布301,302、および第一および第二のシート401,402は、互いに隣接するように配置され、これにより、一方で、第一の不織布301と第一のシート401との間で、他方で、第二の不織布302と第二のシート402との間で、第一のフィラメント層52を挟むように、フィラメント層52の一方側において、少なくとも一つの第一の不織布301と少なくとも一つの第一のシート401とが存在し、フィラメント層52の他方側において、少なくとも一つの第二の不織布302と少なくとも一つの第二のシート402とが存在する。好ましくは、第一および第二のシート401,402は、フィラメント層52の方に面しており、第一および第二の不織布301,302は、第一のシート401/フィラメント層52/第二のシート402の組合せを挟み、第一および第二のシート401,402により提供される含浸材料の全体積、単位面積当たりの重さ、厚さDmpおよび、二つの不織布301,302の材料密度は、二つの含浸層301,302の全空隙量が、第一および第二のシート401,402からの含浸材料で満たされることができるように(上式(7)による計算参照)、選ばれる。このことは、熱および圧力を伴う後の含浸/接合ステップii-3-c)の間、溶かされた含浸材料により、フィラメント層52が囲まれており、その状態を維持する、ということを保証しており、よって、隣接する不織布による、フィラメント層52の歪または分裂を避ける。
【0070】
ステップii-3)において、二つのサブ変形が存在する。第一のサブ変形は、ステップii-3-a)からii-3-c)までを含み、第二のサブ変形は、ステップii-3-d)からii-3-f)までを含む。
【0071】
第一のサブ変形において、ステップii-3-a)は、任意に、1以上の更なる不織布303,304,305と、更なる含浸材料の1以上の更なるシート403,404,405とを、備えることである。更なる含浸材料は、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性物質、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、上記で例示された任意の添加物と(
図3において直接示されるように)、を備え、またはから実質成る。すべての更なるシート403,404,405の総数、それらが提供する含浸材料の全体積、単位面積当たりの重さ、厚さD
mpおよび、すべての更なる不織布303,304,305の材料密度は、好ましくは、すべての更なる不織布303,304,305の全空隙量が、含浸材料で満たされるように、選ばれる(上式(7)による計算参照)。このことは、更なる不織布303,304,305の数が、これに限定されないが、更なるシート403,404,405の数に等しい、ということを意味してよい。
【0072】
ステップi-3b)は、任意の1以上の更なる不織布303,304,305と、1以上の更なるシート403,404,405とは、ステップii-2)の積層体6および互いに隣接して、配置しており、これにより、不織布の真隣りに少なくとも一つの更なるシートが存在し、更なるシートの真隣りに、少なくとも一つの更なる不織布が存在する。少なくとも一つの隣接シートからの含浸材料により、このことは、不織布の均一で完全な含浸を、促進する。好ましくは、ここで、積層体6の各サイドにおいて、更なる不織布の数は、更なるシートの数に、等しい。
【0073】
ステップii-3-c)において、熱および圧力を用いて、各含浸層21または22または23または24または25を形成するために、同時に、不織布301または302または303または304または305は、各々、熱および圧力を用いて、その不織布401または402または403または404または405の真隣りの少なくとも一つの更なるシートからの含浸により、含浸される。さらに、すべての当該含浸層21,22,23,24,25および上記積層体6は、一緒に結合される。条件および装置は、ステップi-5-c)下において、上記概説されるようなものであってもよい。もし、含浸が、A-またはB-ステージにある熱硬化性樹脂を備える含浸材料から成るなら、最終Cステージまで硬化することは、ここにおいて、起こることを許容されてもよい。
【0074】
第二のサブ変形において、ステップii-3-c)は、1以上の更なる含浸層を任意に提供することである。各更なる含浸層は、更なる含浸材料で含浸された、更なる不織布、を備え、またはから成り、各々は、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性物質、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、上記で例示された任意の添加物と、を備え、またはから実質成り、強化フィラメントを欠く。当該サブ変形は、
図3のii)において、直接的には示されていないが、
図3に示されている変形i)の含浸された更なる層22,23,24,25の準備に類似する。これらの任意の更なる含浸層22,23,24,25は、ステップi-4)に対して上記で概説された工程により、前もって、用意されていてもよい。
【0075】
ステップii-3-e)は、ステップii-2)の積層体6および互いに隣接する、任意の1以上の更なる含浸層22,23,24,25を配置することである。ステップii-3-f)において、当該任意の更なる含浸層22,23,24,25および上記積層体6は、熱および圧力を用いて、一緒に結合される。条件および装置は、ステップi-5-c)下において、上記で概説されたようなものであってもよい。もし、含浸が、A-またはB-ステージにある熱硬化性樹脂を備える含浸材料から成るなら、最終Cステージまで硬化することは、ここにおいて、起こることを許容されてもよい。
【0076】
上記のステップi-5)におけるように、ステップii-3)において、ステップi-5)下における上記概説された理由から、積層体6の各サイド上に配置された、更なる不織布(第一の変形)の数または更なる含浸繊維(第二の変形)の数は、フィラメント層52が、最終ベルトおよびベルトの意図された最終使用の、中立面にあるように、またはその近くにあるように、選ばれてもよい。
【0077】
図3の第三の変形iii)(クレーム14)は、ベルトカーカス1が、二つの含浸層22,23の間に挟まれた、まさに1つのフィラメント層53を用いて形成され、含浸層の所望の数または所望のベルトカーカスの厚さに達するまで、ベルトカーカスを連続して作り上げる場合の、プロセスの例である。第一の含浸層21および接合された積層体7は、エンドレスロープとして形成されてもよいので、当該変形は、本発明のエンドレスベルトカーカスの直接的な形成を可能とする。当該エンドレスループ上に対して、後続の含浸層が、巻かれ、接合される。当該第三の変形は、次のステップを備える。
【0078】
ステップiii-1)において、少なくとも一部において一の所定の方向に延びる、フィラメント層53の形で、強化フィラメントと、第一の含浸層で含浸された第一の不織布を備えるまたはから成る、一つの第一の含浸層21とが提供されている。第一の含浸材料は、第一の熱可塑性物質、第一の熱可塑性エラストマ、第一のエラストマ、または第一の熱硬化性樹脂と、上記で概説された任意の添加物と、を備える又はから実質的になるが、強化フィラメントを欠く。強化フィラメントは、予め方向づけされており、これにより、少なくとも一部において一の所定の方向に向けられ、または当該方向で直接的に提供される。使用された不織布は、強化フィラメントを欠くという条件で、含浸層21は、ステップi-4)において上記説明された工程により、前もって用意されてもよい。
【0079】
ステップiii-2)内において、二つのサブ変形が存在する。第一のサブ変形は、ステップiii-2-a)からiii-2-d)を備え、第二のサブ変形は、ステップiii-2-e)からiii-2-h)を備える。
【0080】
第一のサブ変形において、ステップiii-2-a)は、1以上の更なる不織布306,307,308および更なる含浸材料の1以上の更なるシート406,407,408を、提供することである。更なる含浸材料は、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性エラストマ、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、上記で例示された任意の添加物と、を備え、またはから実質成る。ここで、接合された積層体7に固着した一連の更なる含浸層形成するために、まさに一つの更なる不織布306,307,308とまさに一つの更なるシート406,407,408を用いた各作り上げサイクルにより、ベルトが連続して作り上げられるので、更なる不織布306,307,308の数は、更なるシート406,407,408の数に等しくなければならない。当該数は、整数Kとして指定され、少なくとも1でなければならず、任意に高くなってもよい。しかしながら、好ましくは、Kは、1から5までの範囲にある。
【0081】
ステップiii-2-b)において、複数の更なる不織布306のうちの一つ、複数の更なるシート406のうちの一つ、および任意の上記フィラメント層53は、第一の含浸層21、の一方側に配置され、これに隣接しており、これにより、もし、フィラメント層53が配設されるなら、それは、一方で上記第一含浸層21と、他方で更なる不織布306と更なるシート406とで、挟まれる。好ましくは、更なるシート406により提供された含浸材料の体積、単位面積当たりの重さ、厚さDmpおよび、二つの不織布306の材料密度は、更なる不織層306の空隙量が、更なるシート406からの含浸材料で満たされることができるように(上式(7)による計算参照)、選ばれる。ここで、好ましくは、フィラメント層53の一方側において、第一の含浸層21が存在し、他方側において、更なるシート406が存在し、更なる不織布306は、更なるシート406上にあり、フィラメント層53から離れて面するような、任意のフィラメント層53の挟み込みが、なされる。このことは、熱および圧力を伴う、同時の含浸および付着ステップiii-3-c)の間(すぐ下参照)、フィラメント層53が、軟化した含浸材料により囲繞され、それが維持される、ということを保証しており、よって、隣接する不織布によるフィラメント層53の歪または分裂を避ける。
【0082】
ステップiii-2-c)において、更なる含浸層22を形成するために、熱および圧力を用いて、更なる不織布306が、更なるシート406からの含浸材料により同時に含浸され、接合積層体7を形成するために、第一の含浸層21、任意の挟まれたフィラメント層53、および更なる含浸層22は、互いに接合される。条件および装置は、ステップi-5-c)下において、上記で概説されたようなものであってもよい。
【0083】
ステップiii-2-b)およびステップiii-2-c)および下記繰り返しにおいて、フィラメント層53が、トータルちょうど1度において、使用される、という条件において、ステップiii-2-d)は、更なる不織布の更なる対307/407,308/408および更なる含浸材料の更なるシートを用いて、上記接合積層体7に対して、上記ステップ111-2-b)およびiii-2-c)を、K-1回、繰り返すことである。好ましくは、各更なるシート407,408により提供された含浸材料の全体積、単位面積当たりの重さ、厚さDmpおよび、各対応する更なる不織布307,308の材料密度は、各更なる不織層307,308の空隙量が、各更なるシート407,408からの含浸材料で満たされることができるように(上式(7)による計算参照)、選ばれる。ここで、再度、もし、ステップ111-2-b)およびiii-2-c)の繰り返しにおいて、フィラメント層53が使用されるなら、好ましくは、フィラメント層53の一方側において、接合された積層体7が存在し、他方側において、更なるシート407または408が存在し、更なる不織布306または307は、更なるシート407または408上にあり、フィラメント層53から離れて面するような、任意のフィラメント層53の挟み込みが、なされる。当該層順序の理由は、上記iii-2-b)に対して与えられるようなものである。Kは少なくとも1であるので、K-1の繰り返しを実施することは、ゼロ回の繰り返しを意味してもよい。K=1の場合において、フィラメント層53は、ステップiii-2-b)およびiii-2-c)自身で、採用されなければならなかった。
【0084】
もし、含浸が、A-またはB-ステージにおいて、熱硬化性樹脂を含む含浸材料から構成されるなら、ステップiii-2-c)の後(もし、K=1なら)またはステップiii-2-b)およびiii-2-c)の最後の繰り返しの間(もし、K>1なら)、最終Cステージへの硬化が、ここで起こることが許容されてもよい。
【0085】
第二のサブ変形において、ステップiii-2-e)は、各々が、更なる含浸材料により含浸された更なる不織布、を備えるまたはから成る、1以上の更なる含浸層22,23,24,25を、備えることである。更なる含浸材料は、更なる熱可塑性物質、更なる熱可塑性エラストマ、更なるエラストマ、または更なる熱硬化性樹脂と、上記で例示された任意の添加物と、を備え、またはから実質成る。当該サブ変形は、
図3のiii)に直接的に示されていないが、
図3に示された変形i)において、含浸された更なる層22,23,24,25の準備に類似している。これらの更なる含浸層22,23,24,25は、ステップi-4)において上記説明された工程により、前もって用意されてもよい。ベルトは、全体で、フィラメント層53である、強化フィラメントの唯一の層を備えるので、すべてのこれらの更なる含浸層は、強化フィラメントを欠く。提供された更なる含浸層の数は、Kとして指定される。Kは、少なくとも1以上でなければならず、任意に高くなってもよい整数である。しかしながら、好ましくは、Kは、1から5までの範囲にある。
【0086】
ステップiii-2-f)において、一つの更なる含浸層22は、第一の含浸層21の一方側に、およびこれに隣接して、配置され、これにより、もし、フィラメント層53も配設されるなら、それは、一方における第一の含浸層21と、他方における第二の含浸層22との間で、挟まれる。
【0087】
ステップiii-2-g)において、接合積層体7を形成するために、熱および圧力を用いて、第一の含浸層21、任意の挟まれたフィラメント層53、および更なる含浸層21は、互いに接合される。条件および装置は、ステップi-5-c)下において、上記で概説されたようなものであってもよい。
【0088】
ステップiii-2-f)およびステップiii-2-g)および下記繰り返しにおいて、フィラメント層53が、トータルちょうど1度において、使用される、という条件において、ステップiii-2-h)は、上記更なる含浸層23,24,25の一つを各繰り返しで用いて、上記接合積層体7に対して、上記ステップ111-2-f)およびiii-2-g)を、K-1回、繰り返すことである。このことは、ベルト全体において、フィラメント層53であるたった1層の強化フィラメントを有する、という観点である。Kは少なくとも1であるので、K-1の繰り返しを実施することは、ゼロ回の繰り返しを意味してもよい。K=1の場合において、フィラメント層53は、ステップiii-2-f)およびiii-2-g)で、採用されなければならなかった。もし、含浸が、A-またはB-ステージにおいて、熱硬化性樹脂を含む含浸材料から構成されるなら、ステップiii-2-g)の後(もし、K=1なら)またはステップiii-2-f)およびiii-2-g)の最後の繰り返しの間(もし、K>1なら)、最終Cステージへの硬化が、ここで起こることが許容されてもよい。
【0089】
図3の第三の変形iii)において、ステップi-5)下の上記で概説した理由により、好ましくは、その使用の間、フィラメント層53が、ベルトカーカスから切出された線形ベルトの中立面の近くに、またはそこにある、挟まれたフィラメント層53を提供する、連続の作り上げステップで、使用される。
【0090】
本発明の全てのプロセス変形において、最初のフィラメント層51,52,53内に存在していたフィラメント方向は、ベルトの長手方向、つまりベルトの走行方向を形成する。このことは、もし、たとえば、所望のベルト幅だけ空間を隔てた二つの側面を有するため、本発明に従って形成されたベルトが、サイズに切断される必要がるなら、当該側面切断は、上記フィラメント方向に平行であるように、なされなければならない、ということを意味する。ここで、上記フィラメント方向は、上記ベルトの走行方向を形成する。
【0091】
図3の全ての3つの変形i),ii),iii)において、接着剤の共使用なしに、熱および圧力により、隣接する層は、互いに接合されてもよい。もし、一緒に接合されるための含浸が、化学的に相溶性のある、熱可塑性物質又は熱可塑性エラストマから成るなら、このことは、特に可能性がある。または、二つの科学的に相溶性がない含浸を一緒に接合するために、接着剤またはプライマーを用いてもよい。
【0092】
本発明のベルトカーカスは、それから、所定の長さおよび幅を有する、線形コンベアベルト、マシーンテープ、電力伝送ベルト、またはスピンドルテープを、切断、スタンピング、またはパンチングに適している。それは、それから、回転搬送ディスクまたはコーナベルトを、切断、スタンピング、またはパンチングするのにも、適している。線形ベルトの場合において、本発明のベルトカーカスのフィラメント層内における強化フィラメントが、少なくとも部分的に延びる、所定の方向が、線形ベルトの長手走行方向である、または当該長手走行方向となるように、切断が実施される。ここで、強化フィラメントが、上式(1)を満たす、という条件において、フィラメント層の形状が、そのような形状となってもよい。円形ディスクまたはコーナベルトに対して、ベルトカーカスは、矩形メッシュの格子の形において、フィラメント層を含むということは、好ましい。
【0093】
本発明のベルトカーカスまたはそれから得られるベルト又はディスクは、ベルトまたはベルトカーカスに適切な利点となる特性を与える上カバー層で、選択的にさらに、コーティングされてもよい。当該特性は、たとえば、耐化学性、抗菌特性、疎水性、異なる摩擦係数、またはこれらの組合せ、である。当該上カバー層は、好ましくは、相互接合されるための材料と相性がいい、たとえばポリウレタン、ゴム、ゴム混合物、およびフェノールホルムアルデヒド樹脂などの、熱硬化性(架橋)接着剤を用いて、ベルトカーカスまたはそこから得られるベルトに、接着されてもよい。代替え又は追加として、ベルトカーカスまたはベルトの最外含浸層の表面(搬送される物に面する表面)は、各適用に対して必要とされる特性(特に、接着および/または摩擦特性)を、その表面に与える、エンボス加工または表面プロファイルにより、提供されることができる。当該エンボス加工またはプロファイルは、特に、個別の、異なる静摩擦係数を有する長手方向に走る表面セクションの準備を伴ってもよい。上記表面セクションは、互いに隣接して、ベルトの横断方向に、配置される。当該上カバー層と、プロファイル又はエンボス加工の適用は、したがって、従来のものであり、当業者において周知である。
【0094】
本発明のベルトは、当該技術において知られているエンド接続技術(たとえば、熱溶融接着剤としての1以上の含浸層からの、熱可塑性物質または熱可塑性エラストマ材料を用いた、または、そのような熱溶融接着剤の共使用による、機械接続またはフィンガ接続技術)を用いて、エンドレスに、なされてもよい。
【0095】
本発明のベルトは、たとえば、コンベアベルト、機械テープ、電力伝送ベルト、またはスピンドルテープなどの、従来技術ベルトが使用されてきた、あらゆる搬送アプリケーションにおいて、使用されることができる。
【0096】
しかしながら、第一の好ましいアプリケーションは、いわゆる「転送ベルト」である。これは、第一のメインベルトの近くにおいて(しかしながら第一のメインベルトの真隣りでない)、一つの第一のメインベルトから他のメインベルトまで、物を運ぶベルトである。こうするために、転写ベルトは、いわゆる「転送テイル」の形で二つの端部を有する搬送サポート上に、慣習的に載置される。たとえば、転送ベルトが、上記メインベルトから及びまでのかなり近くまで、物を運ぶことができるように、転送テイルは、上側において、極小直径のプロセス、または唯一のノーズバーを有する、ベルトのターニングポイントである。
【0097】
第二の好ましいアプリケーションは、いわゆる「コーナベルト」である。これは、所定のセクション角度βを有する円弧セクションとして、円形ベルが、本発明のベルトカーカスから切断され、エンドレスコーナベルトを製造するために、弧セクションの端部が接続される場合の、アプリケーションである。最終のコーナベルトは、使用において、上記円弧に沿って動く円形ベルト走行方向を有し、その経路長さは、β/2だけ乗じられた円弧の半径に、近い。すなわち、たとえば、ベルトカーカスから、β=π(180°)と所定の半径rとを有する円弧セクションを切出し、端部を接続することは、π/2*rに近い経路長さを有する、円形コーナベルトを提供する。当該アプリケーションに対して、本発明のベルトカーカスは、矩形メッシュを有するウェブの形で、一のフィラメント層を、好ましくは含む。
【国際調査報告】