(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】安全を可能にする機械式ブレーキを備えるトロリー用ホイール組立体
(51)【国際特許分類】
B62B 5/04 20060101AFI20220105BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20220105BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20220105BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B62B5/04 A
B60L15/20 Z
B60K1/04 Z
B62B3/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520299
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(85)【翻訳文提出日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 SE2019050980
(87)【国際公開番号】W WO2020076227
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521148304
【氏名又は名称】エレクトロ モビリティ ヨーロッパ アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】ELECTRO MOBILITY EUROPE AB
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】アンデション,ローランド
【テーマコード(参考)】
3D050
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB03
3D050GG00
3D050JJ01
3D235AA21
3D235CC42
5H125AA17
5H125AB01
5H125AC12
5H125BA04
5H125CA05
5H125EE52
5H125FF02
(57)【要約】
ホイール組立体(200)自走式トロリー(100)は以下を含む。ホイール(111,112)、ロッキング駆動パターンを実行するように構成された電動モータ(151,152)、バッテリ(156)にモータ(151、152)を接続するように構成された電気コネクタ(220)、および、ホイール(111,112)の回転運動が制限されるように作動可能な機械式ブレーキ(230)。本発明は、機械式ブレーキ(230)が、係合状態において、ホイール(111,112)が第1の回転制限位置と第2の回転制限位置との間の地上距離5~20cmにわたって、トロリー(100)に対して自由に回転できるように配置されることを特徴とする。移動制限は、ピンと相互作用するいくつかの長尺の同心円状トラックによって提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走式トロリー(100)のためのホイール組立体(200)であって、当該ホイール組立体(200)は、前記トロリー(100)に取り付けられるように構成され、前記ホイール組立体(200)は、
ホイール(111,112)と、
電動モータ(151,152)と、
前記電動モータ(151,152)に電力を供給するためのバッテリ(156)に前記モータ(151,152)を接続するように構成された電気コネクタ(220)であって、当該バッテリ(156)は、前記ホイール組立体(200)に含まれていても含まれていなくてもよい、電気コネクタと、
係合状態と非係合状態に関連付けられた係合部(231)を備える機械式ブレーキ(230)であって、当該係合状態では、前記機械式ブレーキ(230)が、前記ホイール(111, 112)の回転運動が前記機械式ブレーキ(230)によって制限されるように作動され、当該非係合状態では、前記機械式ブレーキ(230)が、前記ホイール(111,112)が自由に回転できるように非作動され、当該電動モータ(151,152)が前記トロリー(100)のロッキング駆動パターンを実行するように構成されている、機械式ブレーキと、を備え、
前記機械式ブレーキ(230)が、前記係合部(231)の前記係合状態において、前記ホイール(111,112)がトロリーに対して第1の回転限界位置と第2の回転限界位置との間であるが、当該第1および第2の回転限界位置を超えずに自由に回転することができる、ように構成され、前記第1および第2の回転限界位置は、前記トロリー(100)が、前記係合部の前記係合状態において、5~20cm間の地上距離にわたって自由に動くことができるように前記ホイール(111,112)の半径に関連して構成され、
前記係合部(231)は、前記係合状態を実現するために、対応する空洞(232)挿入されるように構成されるピンを備え、
前記空洞(232)は、前記ホイール(111,112)が前記トロリー(100)に取り付けられたときに、前記ホイール(111,112)と同心である1つの同じ円に沿って構成されたそれぞれの円弧形状の、少なくとも2つの長尺トラック(232c)を備え、
前記トラック(232c)の各々は、前記第1の回転限界位置を規定する、それぞれの第1の側壁(232a)と、前記第2の回転限界位置を規定する、ぞれぞれの第2の側壁(232b)とを備え、
前記トラック(232c)の各々は、前記ピンが前記係合状態において、前記第1の側壁(232a)と第2の側壁(232b)との間で当該トラック(232c)に沿って移動することを可能にするように構成される、ホイール組立体(200)。
【請求項2】
前記空洞(232)は、前記長尺トラック(232c)の4~8個を含むことを特徴とする請求項1に記載のホイール組立体(200)。
【請求項3】
前記長尺トラック(232c)は、それぞれ凹部の形態であることを特徴とする請求項1または2に記載のホイール組立体(200)。
【請求項4】
前記長尺トラック(232c)は、それぞれ貫通孔の形態であることを特徴とする請求項1または2に記載のホイール組立体(200)。
【請求項5】
前記係合部(231)は、前記ホイール組立体(200)が前記トロリー100に取り付けられたときに、前記トロリー(100)に対して静止している第1のホイール組立体部分上に構成された第1の係合手段と、前記ホイール(112)と共に回転するように構成された第2のホイール組立体部分上に構成された第2の係合手段とを備え、前記第1および第2の係合手段は、前記係合状態および非係合状態を実現するように協働するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のホイール組立体(200)。
【請求項6】
前記第1の係合手段は、前記ホイール(111, 112)が前記トロリー(100)に取り付けられたときに、前記係合状態および非係合状態を実現するように、前記ホイール(111,112)の回転平面と並行でない方向に前後に移動されるように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載のホイール組立体(200)。
【請求項7】
前記モータ(151,152)は、前記第1のホイール組立体部分に固定され、前記第1の係合手段を前記方向に自動的に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のホイール組立体(200)。
【請求項8】
前記バッテリ(156)によって電力が供給される電動モータ(151,152;1)によって駆動される少なくとも1つのホイール(111,112)と、少なくとも1つのトロリーホイール(111,112)の回転位置または回転速度を感知するように構成された回転位置または速度センサ(9)と、ユーザインターフェース(153)と、前記ユーザインターフェース(153)からの入力に基づいて、特定の駆動パターンに従って前記ホイール(111、112)の回転に影響を及ぼすように電動モータ(151,152;1)を調整するように構成された制御ユニット(150)とを備える自走式トロリー組立体 (100)であって、前記1つのホイールは、前記トロリー組立体 (100)上に組み立てられた、請求項1から7のいずれか1項に記載のホイール組立体であることを特徴とする自走式トロリー組立体。
【請求項9】
前記制御ユニット(150)は、前記ロッキング駆動パターンに加えて、少なくとも、前記位置または速度センサ(9)から読み取られた情報に基づいた、フィードバック支援推進駆動パターン、および/または、フリーホイール駆動パターンを実施するように構成され、
前記駆動パターンの全ては、異なる駆動電圧パターンを使用して、前記電動モータ(151,152;1)に実施され、
前記電動モータ(151,152;1)は、対応する数の回転子(3)極(7)の整数倍ではない複数の固定子(2)極(7)を備え、かつ、前記固定子(2)極(7)が、前記電動モータ(151,152;1)の角度方向の周りに次々に取り付けられる少なくとも3つの磁気的かつ電気的に同一のサブセット(8)に再分割されるタイプであることを特徴とする、請求項8に記載の自走式トロリー組立体(100)。
【請求項10】
前記トロリー組立体 (100)は、子供用ベビーカーまたは液体試料用の輸送トロリーであることを特徴とする請求項8または9に記載の自走式トロリー(100) 組立体。
【請求項11】
前記機械式ブレーキは、前記制御ユニット(150)によって作動されるように構成されることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の自走式トロリー組立体(100)。
【請求項12】
前記モータ(151,152;1)は、フリーホイールモードで駆動されるように構成され、前記制御ユニット(150)は、前記フリーホイール駆動パターンの実施中に前記フリーホイールモードを作動させるように構成されることを特徴とする、請求項8から11のいずれか1項に記載の自走式トロリー組立体(100)。
【請求項13】
前記フリーホイールモードは、前記モータ(151,152;1)に供給される電圧をオフに切り替えることによって実施されることを特徴とする請求項12に記載の自走式トロリー組立体 (100)。
【請求項14】
前記ロッキング駆動パターンは、時間の関数として所定の回転パターンに従ってトロリー組立体 (100)を後方および前方に推進させるように前記モータ(151,152;1)を制御する前記制御ユニット(150)によって実施されることを特徴とする、請求項8から13のいずれか1項に記載の自走式トロリー組立体 (100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロリー用のホイール組立体に関し、特に、子供用ベビーカーまたは液体試料用の輸送トロリーのような、自走式または他の方法で動力化されたトロリー用のホイール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
電動トロリーは、子供用ベビーカーのためにも、医療または製薬産業内で使用するためのような液体試料のための輸送トロリーのためにも、よく知られているようなものである。このような電動トロリーは、このようなトロリーの操縦においてユーザを補助する自走式(self-propelling)機能のような種々の機能を有し得る。自走(自己推進力)は、使用者側の必要な押圧力を減少させ、一般に、より少ない労力でそのようなトロリーを押すか引っ張ることを可能にする。
【0003】
さらに、輸送される子供または液体試料を揺動させるために、前者の場合には、子供を穏やかにするために、後者の場合には、例えば試料が沈降しないようにするために、トロリーがロッキング機能(rocking function)を備えて構成されることが知られている。
【0004】
従来技術のトロリーは、速度制御装置付きの子供用トロリーを開示する米国特許第8499898号明細書を含み、子供用トロリーと共に使用するためのロッキング機能を開示する国際公開第2014/013482号を含み、トロリー用のそれぞれの切断可能なモータを開示する米国特許第5937961号明細書及び米国特許第8033348号明細書を含み、駆動軸に配置されたモータを示す欧州特許出願公開第2019016号明細書を含む。
【0005】
特に、欧州特許出願公開第3322630明細書は、フィードバック支援推進駆動パターンと(feedback assisted propulsion drive pattern)ロッキング駆動パターン(rocking drive pattern)の両方と共にフリーホイールパターン(freewheeling pattern)を特徴とする、上記タイプのトロリーを開示している。これら、および潜在的に他のパターンを便利で効率的な方法で達成するために、特定のタイプの電動モータが考案される。
【0006】
しかしながら、特にロッキング駆動パターンの場合、セキュリティが問題となる。放置時のロッキングトロリーの挙動を制御することは困難である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上述したタイプのトロリーのロッキング駆動パターンを使用する場合に、セキュリティを高める問題を解決する。
【0008】
したがって、本発明は、自走式トロリーのためのホイール組立体に関し、このホイール組立体は、当該トロリーに取り付けられるように構成され、ホイールと、電動モータと、当該電動モータに電力を供給するためのバッテリに当該モータを接続するように構成された電気コネクタであって、当該バッテリはホイール組立体に含まれても含まれなくてもよい、電気コネクタと、係合状態と非係合状態に関連付けられた係合部を備える機械式ブレーキであって、当該係合状態では、機械式ブレーキがホイールの回転運動が機械式ブレーキによって制限されるように作動(アクティベート)され、非係合状態では、機械式ブレーキが、ホイールが自由に回転(rotate)できるように非作動(非アクティベート)され、電動モータがトロリーのロッキング駆動パターンを実行するように構成されている、機械式ブレーキを備え、当該ホイール組立体は、機械式ブレーキが、係合部の当該係合状態において、ホイールがトロリーに対して第1の回転限界位置と第2の回転限界位置との間であるが、当該第1および第2の回転限界位置を超えずに自由に回転(turn)することができる、ように構成され、当該第1および第2の回転限界位置は、トロリーが、係合部の当該係合状態において、5~20cm間の地上距離にわたって自由に動くことができるように、ホイールの半径に関連して構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下では、本発明の例示的な実施例および添付の図面に関連して、本発明を詳細に説明する。
【
図1】
図1は、本発明によるトロリーの概観図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すタイプのトロリーに使用するのに適した、本発明による第1の例示的なホイール組立体の概観図である。
【
図3】
図3は、同じく
図1に示すタイプのトロリーでの使用に適した、本発明による第2の例示的なホイール組立体を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明によるトロリー組立体において有用な電動モータの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~
図3は、同じまたは対応する部分について同じ参照番号を共有する。
【0011】
図1は、本発明によるトロリー100を簡単な概観で示す。トロリー100は、以下でさらに詳細に説明するタイプの、本発明によるホイール組立体200を備える。上述のように、トロリー100は、子供用トロリーまたはベビーカーであってもよく、あるいは医療、医薬または生化学分野で使用するための生物学的または化学的試験管サンプルなどの液体試料(サンプル)用の輸送トロリーであってもよい。前者の場合、トロリー100の本体120は、チャイルドシート又はベッドを含むことができ、後者の場合、本体120は、エッセイチューブ又は同様のものための部分を含むことができることが理解される。
【0012】
トロリー100は、バッテリ156と、少なくとも1つのそれぞれの電動モータ151、512によって駆動される少なくとも1つのホイール軸(車輪軸)110とを備える自走式トロリー組立体を構成し、この電動モータ151、152は、バッテリ156によって電力を供給される。トロリー100の背面から図示されている
図1では、1つのホイール軸110のみが示されている。しかしながら、典型的には、2つのホイール軸が存在することが実現され、その各々は、1つまたは2つのモータを使用して駆動されてもよい。あるいは、1つの電動モータが軸110全体を推進する(propel)こともできる。1つのホイールのみが連結されている軸線を推進するモータは、当の推進ホイールに関連して配置することができる。一方、1つのホイールと同じ軸線を共有して2つのホイールを相互連結する軸線を推進する電動モータは
図1に例示されているように、当のホイールの間に配置することができる。
【0013】
回転位置または速度センサ(
図4参照)は、好ましくは当該モータ151、152の少なくとも1つに、好ましくは各モータ151、152に取り付けられて、当該モータ151、152の位置または速度を個別に測定し、少なくとも1つのトロリー100のホイール111、112または軸110の回転位置または回転速度を感知するように構成される。
【0014】
好ましくは、機能スイッチ157、デッドマン(dead man’s)スイッチ154及びユーザ速度設定制御装置155を含むユーザインタフェース153は、好ましくはトロリー100のハンドルバー130上に配置される。デッドマンスイッチ154は、好ましくは後述するように、モータ151、152動力を使用して推進されるトロリーのために保持されるか、又は押し込まれなければならない。レバー、回転可能ハンドルまたは同様のものであってもよい速度設定制御155は、ユーザが所望のトロリー100の速度、例えば連続許容間隔内の特定の値、または所定のそのような速度の離散的なセットからの1つの値などを設定できるように配置される。
【0015】
トロリー100はまた、当該本体120とシャシー101とを含む。
【0016】
トロリー100の制御ユニット150は、当該ユーザインタフェース153からの入力に基づいて電動モータ151、152を調整して、好ましくは少なくとも3つの数である駆動パターンのセットの特定の1つに従って、当該1つまたは複数のホイール111、112の回転に影響を及ぼすように構成される。
【0017】
より正確には、制御部150は、以下に説明するように、ロッキング駆動パターンを実施(実装)するように構成される。このロッキング駆動パターンに加えて、制御ユニット150は、当該位置または速度センサまたはセンサs9から読み取られた情報に基づく、フィードバック支援推進駆動パターン、および/または、フリーホイール駆動パターンを実施するように構成されてもよい。また、以下に例示するように、さらなる駆動パターンがあってもよい。
【0018】
更に、当該駆動パターンの全ては、当の電動モータ151、152に供給されている電圧パターンを制御することによって制御ユニット150によって実施(実装)されることができ、その結果、異なる駆動パターンに対して異なる駆動電圧パターンが電動モータ151、152に提供される。このような駆動電圧パターンは、好ましくは制御ユニット150内に配置された一般にプログラム可能なハードウェア回路内のソフトウェア内に実装され、このハードウェア回路はメモリ、マイクロプロセッサ、および電気通信手段を備える。制御ユニット150は、無線または有線デジタルインターフェースのような従来の通信手段を使用して、ユーザインタフェース153、モータ151、152などと通信することが理解される。
【0019】
重要なことは、電動モータ151、152、および特にトロリー100のホイール111、112の1つまたはいくつかを推進するために使用されるすべての電動モータは、好ましくは以下に説明するタイプのものであってもよいことである。すなわち、固定子(stator)が、対応する数の回転子極(rotor poles)の整数倍ではない数の固定子極(固定極)(stator poles)を含み、固定子極が電動モータ151、152の角度方向の周りに次々に(交互に、順々に)取り付けられる少なくとも3つの磁気的かつ電気的に同一のサブセットに再分割されるタイプであってもよい。
【0020】
このようなトロリー組立体は、非常に単純で堅牢な(ロバストな)構造を提供し、それでも、駆動機能性、従ってユーザの快適性の柔軟で幅広いフロアを提供し得る。同時に、安心して使用することができ、従来の非駆動トロリーとしても、そのように望まれる場合には、容易に使用することができる。特に、モータ151、152は、ギアボックスを必要とせず、これが好ましい。
【0021】
図2は、上記タイプの自走式トロリー100用のホイール組立体200を図示しており、このホイール組立体200は、当該トロリー100に搭載されるように配置され、そこに当のトロリー100の駆動ホイールを構成している。トロリー100は、1つ、1対、3つ、またはさらに4つのこのようなホイール組立体を備えることができるが、1つまたはいくつかの追加の非駆動ホイールをさらに備えることができる。トロリー100はまた、本明細書に記載されるようなホイール組立タイプの一部ではない1つまたは複数の駆動ホイールを備えることができる。従って、以下に説明する機械式ブレーキは、トロリー100上で使用される一組のゼロ又は数個の非駆動ホイールに加えて、一組又は数組の1つ又は数個の駆動ホイールに適用することができる。
【0022】
図2に示すように、ホイール組立体200は、ホイール112を備えており、このホイール組立体は、トロリー100が従来のように前後に転がることを可能にするように配置されている。ホイール112は、当該ホイール軸110に強固に(rigidly)接続されており、このホイールは当のホイール112に特異的であってもよく、あるいは、上述したように、ホイールの対における別のホイールと共有されていてもよい。
【0023】
ホイール組立体200はさらに、当該ホイール軸110を中心にしてホイール112を強制的に回転させ、トロリー100を前後方向に推進させるように構成された電動モータ152を備える。
【0024】
また、ホイール組立体200は、電動モータ152に電力を供給するために、電動モータ152をバッテリ156に接続するように構成された電気コネクタ220を備える。バッテリ156は、ホイール組立体200において備えることができるが、ホイール組立体200の一部ではなくてもよい(後者は
図1および
図2に図示されている)。
【0025】
さらに、ホイール組立体200は、係合(engagement)によってホイール112と機械的に相互作用(interact)するように構成された機械式ブレーキ230を備える。より詳細には、機械式ブレーキは、係合状態に関連付けられた係合部231を備え、係合状態では、機械式ブレーキ230が、ホイール112の回転運動が機械式ブレーキ230によって制限されるように作動(アクティベート)され、非係合状態では、機械式ブレーキ230が、ホイール112が自由に回転できるように非作動(非アクティベート)される。
【0026】
以上のように、電動モータ152は、トロリー100のロッキング駆動パターンを実行するように構成されている。
【0027】
電気的に推進されるトロリー100と共に使用するための機械式ブレーキは、そのようなものとして知られている。しかしながら、本発明によれば、機械式ブレーキ230は、係合部231の当該係合状態において、ホイール112がトロリー100に対して自由に回転できるように構成されている。この回転運動の自由度は、第1の回転限界位置と第2の回転限界位置との間に存在するが、当該第1および第2の限界位置を超えることはない。換言すれば、機械式ブレーキ230の係合にもかかわらず、ホイール112は依然として、当該第1及び第2の回転位置の間で自由に回転することが可能であり、事実上、トロリー100が、当該第1及び第2の回転位置によって間接的に画定(規定)される前方/後方変位間隔内で前方/後方に転がることを可能にする。
【0028】
特に、本発明によれば、第1及び第2の回転制限位置は、ホイール112の半径に関連して構成され、トロリー100は、係合部231の当該係合状態において、トロリー100の前方/後方に、5~20cm、好ましくは5~10cmの地上距離にわたって自由に動くことができる。
【0029】
これは、トロリー100の効率的なロッキング機能を達成しながら、完全な安全性を提供する。さらに、この解決策は簡単であり、したがって安価であり、製造が容易な方法で設計することが可能である。
【0030】
特に、係合部231は、ピン(
図3参照)を備えてもよく、このピンは当該係合状態を実現(達成)するために、対応する空洞(cavity)232(例えば、凹部(recession)または貫通孔)に挿入されるように構成される。
【0031】
空洞232は、任意の適切な構造要素において形成されてもよい。例えば、電動モータ(electric motor)152の固定子は、ホイール112と共に回転するように構成されてもよく、一方、電動モータ152の回転子(rotor)は、軸110を駆動してもよい。この場合、空洞232は、軸110に関して固定された構造において構成することができる。しかしながら、
図2及び
図3に示す例では、電動モータ152の固定子がトロリー100の残りの部分に固定されており、電動モータ152の回転子がホイール112を駆動するように配置されている。この場合、空洞232は、例えばホイール112ハブ113の一部として、ホイール112構造に構成されてもよい。あるいはこの後者の場合、空洞232は、ホイール112に強固に接続され、回転する何らかの他の構造に構成されてもよい。
【0032】
特に、空洞232がホイール112のハブ113において構成されている場合、ホイール112のハブ113は、空洞232がハブ113構造の一体化された部分で押出成形または任意の他の適切な方法で形成された、プラスチック材料の接続された部品から形成されてもよい。
【0033】
特に、
図3に示すように、空洞232は、係合状態にあるピンとの係合によって当該第1の回転限界位置を規定する、第1の側壁232aと、係合状態にあるピン231との係合によって当該第2の回転限界位置を規定する、第2の側壁232bとを含むことができる。
【0034】
さらに、空洞232は、円弧形状の長尺(elongated)トラック232cを備えることができ、これは、当該ピンが当該係合状態において、当該第1の側壁232aと第2の側壁232bとの間で当該トラック232cに沿って移動することを可能にするように構成される。このようにして、長尺トラック232cは、その円弧長が側壁232a、232bによって画定され、機械式ブレーキ230が作動されるときのホイール112に対する運動の上述の回転自由度を画定する。
【0035】
好ましくは、
図3に例示されているように、空洞232は、ホイール112がトロリー100に取り付けられたときに、ホイール112と同心(同心円)である1つの同じ円(1つ及び同じ円)に沿って構成(配置)された、それぞれの円弧形状の長尺トラックで好ましくは4~8個の間(
図3では、好ましい6個の場合)で少なくとも2個を備えることができる。これにより、機械式ブレーキ230に対するホイール112の現在の回転位置に関係なく、機械式ブレーキ230を容易に作動させることができ、すなわち、ピンが空洞232の当該補助空洞(sub cavities)の1つの前に配置されるか、または、例えば、トロリーをほんのわずかに押したり引いたりすることによって、ホイール112の小さな回転整列がピンを当該補助空洞の1つと整列させる。
【0036】
その作動(アクティベーション)を単純化するために、機械式ブレーキ230は、トロリー100のホイール111、112のうちの1つとのみ係合するように構成されてもよい。
【0037】
一般的に、係合部231は、当のホイール組立体200がトロリー100に取り付けられたときに、トロリー100に対して静止している第1のホイール組立体200部分上に構成された第1の係合手段(
図3のピンなど)と、ホイール112と共に回転するように構成された第2のホイール組立体200部分上に構成された第2の係合手段(
図3の空洞232など)とを含む。次いで、第1および第2の係合手段は、当該係合状態および非係合状態を実現(達成)するように協働するように構成される。
【0038】
さらに一般的には、第1の係合手段は、ホイール112がトロリー100に取り付けられたときに、当該係合状態および非係合状態を実現(達成)するように、ホイール112の回転平面と並行でない方向に前後に移動されるように構成されてもよい。例えば、
図3に示すピンは、ホイール112の主平面に垂直または少なくとも実質的に垂直な方向に、空洞232と係合したり、係合から外れたりするように配置されている。
【0039】
特に、この後者の場合、電動モータ152が第1のホイール組立体200部分に固定され、第1の係合手段231を当該方向に自動的に移動させるように構成されることが好ましい。次いで、第1の係合手段 231に加えられる力は、好ましくは電動モータ152によって生成され得る。このようにして、ユーザは、当該ロッキングパターンでトロリー100を作動させることに関連して機械式ブレーキ230を作動または停止させるために、いかなる手動力も加える必要がない。例えば、機械式ブレーキ230は、ロッキング駆動パターンの作動に関連して、制御ユニット150によって、第1の係合手段 231に運動を与えることによって、自動的に作動されてもよい。
図3に図示したいくつかの補助空洞(sub cavities)を有する好ましい場合には、トロリー100のロッキング移動がそのようなロッキング動作の間、空洞232に対してピンがピンの経路に沿ったどこかで常に補助空洞の少なくとも1つに位置合わせされるように、十分に長い前後のトロリー100ロッキング振幅を有することが好ましい。次いで、制御ユニット150は、ホイール112の回転運動制限を検出し、側壁232a、232bによって規定される回転運動制限内に完全に収まるようにロッキング運動を適応させるように構成されてもよい。このような適合は、位置センサ9からの読み取り値に基づいてフィードバック方式で行われてもよい。
【0040】
いずれにせよ、ロッキング駆動パターンの振幅は、回転運動の自由度の対応する振幅よりも小さく、起動された機械式ブレーキ230によって制限されることなく、ロッキング駆動パターンが完全に実施されることを可能にする。
【0041】
本発明者は、機械式ブレーキ230がロッキング機能の振幅に対して外側限界を定め、その動作中に機械式ブレーキ230に干渉しないようにロッキング機能を実装した制動機能を考案した。同時に、機械式ブレーキ230が作動して、トロリー100の位置を固定するのに作動する制動機能を規定する。
【0042】
上述したように、ホイール組立体200は、ホイール112と機械式ブレーキ230と同様に、電動モータ152を備えることができる。この場合、ホイール組立体は、電気的に推進される任意の手動式トロリー100を後付けするために使用することができ、特に、機械式ブレーキ230によって自動的に提供される完全なセキュリティを有するロッキング駆動パターンを含む、ここに記載される駆動パターンを使用して組み込むことができる。この場合、制御ユニット150は、当該組み込みの一部として設置され、適切な方法でモータ152に接続されてもよい。
【0043】
特に、ホイール組立体200は、自己完結型パッケージとして提供することができ、これは、従来のホイール組立体200を従来のホイール組立体としてホイール軸110に直接取り付けるだけで取り付けることができる。この場合、バッテリ156は、ホイール組立体200内に一体化されてもよい。さらに、これおよび他の実施例では、制御ユニット150は、ホイール組立体200に一体化されてもよく、例えば、ハンドルバー130または任意の他の好適な場所に取り付けられてもよいインターフェース153と、無線または有線によって通信するように構成されてもよい。代替として、制御ユニット150は、Bluetooth(登録商標)またはWiFiなどの適切な無線インターフェースを介して、スマートフォンなどの携帯型ユーザデバイスと直接通信するように構成されてもよい。
【0044】
好ましい実施例では、本発明は、特定の種類の電動モータ、すなわち多数の固定子極を含む固定子と多数の回転子極を含む回転子を有するブラシレス電動モータを使用することができる。このタイプのモータでは、固定子が、対応する数の回転子極の整数倍でない多数の固定子極を備え、固定子極は、電動モータの角度方向の周囲に次々に取り付けられる少なくとも3つの磁気的及び電気的に同一のサブセットに細分される。好ましくは、固定子極が固定子周囲に沿って等距離に配置される。これに対応して、回転子極は、好ましくは回転子周縁に沿って等距離に配置される。
【0045】
好ましくは、モータ152は、トロリー100のそれぞれのホイール111、112を直接駆動するように構成される。例えば、モータ156は、ホイール軸110上に取り付けられ、前記軸110に対してホイール111、112を駆動することができ、この場合、好ましくは実質的に同一である2つのモータを、軸110のいずれかの側に取り付けることができ、それぞれ1つのホイール111、112を駆動する。この場合、本明細書に記載されたフィードバック制御機構は、そのような従動輪111、112の各々に対して、当該ホイール111、112に係る位置センサ9データを用いて個々に実行され、トロリー100を回すときにも十分な自動推進(auto-propulsion)を提供することが望まれる。あるいは、2つのホイール111、112を同時に推進するようにホイール軸110を駆動するように、当該タイプのモータ152を取り付けることもできる。複数のホイール軸110上のホイール111、112も、対応する方法で駆動することができる。従って、1と少なくとも4との間のモータ151、152は、1つのトロリー100と共に使用することができることが予測される。好ましくは全てのモータ151、152は、同じ制御ユニット150によって制御され、これと通信する。これらのそれぞれの場合において、各々のそのような電動モータ152は、本タイプのそれぞれのホイール発明200の一部として一体化されてもよいことに留意されたい。
【0046】
本タイプのトロリー100組立体を推進するためのこのような電動モータ152の使用は、多くの利点を達成する。
【0047】
第一に、このようなモータはモータの非常に低いコギングを提供し、これはホイールのスムーズな回転を提供する。
【0048】
第二に、モータは、モータ自体からの回転位置フィードバックを考慮に入れたフィードバックアルゴリズムに基づいて、回転速度及びパターンの広いスペクトルにわたって精密に制御することができる。
【0049】
第三に、モータは、発生した電流を使用してバッテリを再充電しながらトロリーをモータ制動するための発電機として使用されることを可能にする。
【0050】
第四に、モータはまた、本タイプのフリーホイール機能を可能にする。
【0051】
同時に、従来のステッピングモータまたは任意の他のタイプの従来のブラシレスモータのような、一般に自走式トロリー組立体での使用に適したような多くのタイプの電動モータが存在する。本発明者らはこれとは対照的に、当該特定のタイプのモータ152が本明細書に記載される様々なトロリー機能に特によく適しており、可動部品および摩耗細部を最小限に抑えた、非常に単純であるが堅牢な構造を提供することを発見した。
【0052】
上述のタイプのモータは欧州特許第0996217号明細書から知られているようなものであり、モータ自体に関する情報について本明細書で特に言及される。欧州特許第0996217号明細書の
図2は本出願の
図4として編集されたバージョンで示されており、固定子2および回転子3を有するこのようなモータ1を概略的に示している。
図4では回転子3が固定子2を取り囲んでいるが、状況を逆転させることもできることが実現されている。
【0053】
固定子2には固定子極7が配置され、回転子3には回転子極6が配置されている。極6、7の間には、空隙のような空隙があり、極6、7は互いに物理的に接触しない。これにより、モータ1は、実質的に摩擦なく回転することができる。
【0054】
回転子極7は、好ましくは永久磁石の形成で、交互にS極4とN極5の回転子極の対に分割される。
【0055】
モータは、好ましくはモータ内部AC/DCコンバータを使用して、または制御装置の一部として配置されたコンバータ、または制御装置によって制御される外部部品を使用して、交流を供給されるように配置される(以下を参照)。
図4に示す例示的な場合において、モータは、三相交流モータである。
【0056】
より正確には、固定子極7は、当該AC/DCコンバータ(移相回路を含むことができる)によって、以下に従うDC電圧を供給される:
極の参照 位相
-----------------------------------------------------------------------
A1, A3 0°
A2 180°
B1, B3 120°
B2 300°
C1, C3 240°
C2 60°
-----------------------------------------------------------------------
【0057】
一般に、文献、欧州特許出願公開第0291219号明細書には、モータ1の磁極配置及び磁極への給電の詳細に関して、ここで具体的に言及されているが、このような位相値、固定子極数7及び回転子極数6の選択方法が記載されている。
【0058】
同じ参照(A1、A3、A2など)を有するすべての極は直列に、または好ましくは並列に接続することができる。
【0059】
本目的にとって重要なことは、固定子2は、対応する数の回転子極6(本例では40個の極6)の整数倍ではない多数の固定子極7(本例では45個の極7)を備え、固定子極7がモータ1の角度方向の周りに次々に取り付けられる少なくとも3つの磁気的及び電気的に同一のサブセット8又はコヒーレントゾーンに細分されることである。これはまた、固定子2がその極7に対して5回転対称に配置されるように表現することができる。
図4ではサブセット8は5つの数であるが、少なくとも3つ限り、それより多くても少なくてもよいことが理解される。
【0060】
このような異なる数の極6、7を使用する組み合わせは、このようなサブセット8に固定子極7を配置すると共に、本発明者による実用的なテストで、特に効率、平滑性、騒音レベル及び厳密性の点で非常に有利であることが証明されている方法で、このような目的のためにこのようなモータの所望の特徴の全てを支持しながら、モータ1における低コギングを提供する。
【0061】
さらに、モータ1は、
図4に概略的に示されるホール位置センサ9を使用して支持する。位置センサ9は、モータの回転位置を感知するように構成されてもよく、または現在の回転速度の値を直接提供するように論理(logic)を備えてもよい。
【0062】
好ましい実施例によれば、位置または速度センサ9は、制御ユニット150に、回転モータ位置または速度を提供するように配置されたホール効果センサである。
【0063】
上述したように、制御ユニット150は、当該少なくとも1つの電動モータ151、152を介してトロリー100のホイール111、112に力を付与することによって、トロリー100の多数の駆動パターンを実施するように構成されている。
【0064】
そのような駆動パターンの1つは、ユーザが設定可能な速度駆動パターンである。好ましくは、このパターンでは、ユーザが制御155を介して、所望のトロリー回転速度または回転速度を設定する。例えば、当該制御155が設定されることによって、および/または別個の電力制御がオンに切り換えられることによってアクティブであるとき、制御ユニット150は、センサ9を使用してトロリー100の回転速度を連続的に測定し、当該ユーザ設定回転速度または回転速度を達成するようにフィードバックループに従ってバッテリ156からモータ151、152に供給される電圧を調整することによって、それを当該ユーザ設定回転速度と比較する。ユーザ設定速度は「5m/s」のような数値として制御155を使用して、または例えば、「低」、「中」、「高速」から値を選択することによって指定することができ、この値は次いで、特定のトロリー100速度に変換される。
【0065】
このユーザ設定可能な速度駆動パターンフィードバックループは好ましくは読み出し速度が減少するとき及び/又はユーザ設定速度よりも低いとき、及びその逆のときに、各モータ151、152に供給される電圧を上昇させることを含む。好ましくは、PID制御ループのような制御ループが制御ユニット150内に実装された上述のソフトウェアによって実装され、制御ループはユーザ設定速度にできるだけ近いトロリー100速度を維持することを目的とする。そのようなフィードバックループの実施は、それ自体従来のものとすることができる。
【0066】
しかしながら、制御ユニット150は、上述したように、各固定子2極7に印加される電圧を制御してモータ151、152を制御し、上述したように各極に印加される位相差を有する可変電圧を用いている。これは、滑らかで連続的に調整可能なフィードバック制御を提供し、その結果、良好なユーザ体験をもたらす。
【0067】
当該電圧制御フィードバック制御ループの下流など、当該電圧制御フィードバック制御ループと並列に、または好ましくは直列に、ユーザ設定可能速度駆動パターンフィードバック制御ループは、電流の検出された本モータ151、152使用量に基づいて、モータ151、152電力消費量を調整するフィードバックループをさらに含み、その結果、電流使用量が増加すると、電力消費量が増加する。この追加のフィードバック制御ループは、従来のものであってもよいが、好ましくはモータ151、152自体内のモータ151、152制御回路内に実装される。
【0068】
したがって、制御ユニット150は、ユーザ設定速度を達成するように、モータ151、152に供給される電圧を連続的に調整する。同時に、モータ151、152の電流使用が監視され、瞬間的に使用される電流に基づいてモータ151、152の瞬間的な電力消費が調整される。これら2つのフィードバック制御ループの組み合わせにより、トロリー100の速度を非常に効率的であるが滑らかに制御することができる。モータ151、152の電力消費の後者のフィードバック制御ループは、モータ151、152電力がアクティブである限り、他の駆動パターンでも使用されることが好ましい。同じモータ電流対電力フィードバックループは、実際には制御ユニット150によって現在実施されている駆動パターンのタイプにかかわらず、同じ方法でアクティブにすることができる。
【0069】
したがって、ユーザ設定可能な速度フィードバック制御は、ユーザ設定トロリー100の速度に自動的に到達し、これを維持する。しかし、ユーザがトロリー100をユーザ設定回転速度よりも速く押そうとするとき、または下り坂を走行し、トロリー100がユーザ設定回転速度よりも速く回転速度を拾うとき、当該ユーザ設定可能回転速度駆動パターン内のフィードバック制御ループも電気的に働く制動機構に係合することを含むことが好ましい。機械式ブレーキ230と同じではないこの制動機構は、好ましくはユーザ設定速度が所定の相対値または絶対値だけ超えたときに自動的に作動される。ある実施例では所定の値は絶対値「ゼロ」であってもよく、これはトロリー100の検出された速度がユーザ設定速度を超えると直ちに制動機構が自動的に作動することを意味する。再度、トロリー回転速度をセンサ9を用いて読み取ることができることが実現される。
【0070】
このような電気制動機構の好ましい一例では、モータ151、152は、発電機モードで駆動されるように構成される。この発電機モードは、モータ151、152に関連して構成されたモータ151、152制御回路および/または制御ユニット150による能動(アクティブ)制御を含み、能動制御は、モータ151、152固定子2に対するモータ151、152回転子3の強制回転による誘導電流の方向を能動的に制御し、バッテリ156を再充電するために当該電流をバッテリ156に供給する制御ユニット150を含む。つまり、制御ユニット150は、モータ151、152の駆動時に供給される電流に相当するモータ151、152の回転に応じて、固定子2極7から正味の電流を引き出してバッテリ156に供給して再充電することができるように、固定子2極7への電流方向をパターン状に設定するように構成されている。したがって、この好ましい場合の当該電気制動機構は、制御ユニット150がモータ151、152を発電機モードに切り替え、発生した電気電圧を使用してバッテリ156を再充電することを含む。
【0071】
もちろん、機械式ブレーキ230は、トロリー100(当該制限された運動自由度内での)停止を保証するように、制御ユニット150によって作動されるように構成されてもよい。
【0072】
好ましくは、発電機モード制動機構が機械式ブレーキ230と組み合わされ、発電機モード制動機構が作動しているがトロリー100の回転速度がまだある所定の値を超えている場合に機械式ブレーキ230が作動するようにし、この値はユーザ設定の回転速度に依存することができる。
【0073】
別の駆動パターンは、フリーホイール駆動パターンであり、制御ユニット150は、ホイール111、112に推進力を与えず、同時に、モータ151、152の内部駆動摩擦を最小限に抑えるように構成される。これにより、トロリー100は、従来の非モータ推進式トロリーのように動作する。フリーホイール駆動パターンは、好ましくはモータ151、152に供給される電圧を単にオフに切り替えることによって、モータ151、152に対応するフリーホイール駆動モードを実現する制御ユニット150によって作動される。
【0074】
特に、フリーホイール駆動パターンは、モータ151、152自体のような任意の部分を機械的に離脱させることによって開始されないことが好ましい。その代わりに、回転子3は、トロリー100がフリーホイールの場合に固定子2に対して回転するように構成されていることが好ましい。
【0075】
特に好ましい実施例によれば、制御ユニット150への主電源が切られている限り、フリーホイール駆動パターンは有効である。これは、モータが上述のタイプであることによって達成され、極6、7電圧を供給しないときに、非常に低摩擦のフリーホイーリングを提供する。また、フリーホイール駆動パターンは、制御ユニット150への一般的な電力がオンになったときにもスイッチを能動的に操作することによって作動させることができる。駆動ユニット150への電力がスイッチオンされる結果として、フィードバック支援駆動パターンが自動的に起動されることがさらに好ましい。
【0076】
一般に、ユーザが設定した速度がゼロに設定された場合、制御ユニット150は、トロリー100に少なくとも1つの制動機構を適用して、何らかの力で押ったり引っ張ったりせずに動かないようにするか、またはユーザが設定した速度をゼロ以外の値に設定するように構成されることが好ましい。
【0077】
好ましくは、少なくとも1つのホイール軸110がそのような軸110上の各ホイール111、112に対して1つのモータ151、152を備える場合、そのような各モータ151、152は、フィードバック制御推進モードの間、当のホイール111、112に対する当該ユーザ設定速度を維持するように、制御ユニット150によって個々に制御される。
【0078】
フィードバック制御推進駆動パターンには、例えば、制御157を使用して選択可能な異なるタイプがあり得る。例えば、最小速度駆動パターンは、上述のユーザ設定速度駆動パターンに対応する方法で、制御ユニット150によって実現されてもよい。
【0079】
さらに、好ましい実施例では、モータ151、152駆動力は、制御ユニット150の制御によって、少なくとも部分的に、インターフェース153に含まれる回転ハンドルバーなどのユーザ制御に適用される非ゼロトルクに関する情報を制御ユニット150に提供するトルクセンサに基づいて加えられる。この場合、制御ユニット150は、ゼロ以外のトルクが検知されている限りゼロ以外の駆動力を印加するようにモータ151、152を制御する。好ましくは、このように適用された(ユーザによる)トルクがトロリー100の現在の回転速度よりも高い速度と解釈する制御ユニット150内の翻訳アルゴリズムによって、選択された速度に翻訳される。つまり、ユーザは設定されたトロリー速度を、現在測定されているトロリー速度と比較して相対的に、多かれ少なかれトルクを加えることによって制御することができる。
【0080】
これに代えて、またはこれに加えて、トロリー100のハンドルバー130に構成されたような押し力センサは、ユーザによってトロリー100に加えられた押し力を直接感知するように構成されてもよく、このような押し力がユーザによってゼロでない場合には制御ユニット150がモータ151、152を介してホイール111、112に駆動力を加えることのみを可能にする。押し力センサは、デッドマンスイッチと同じであってもよいし、後者の代わりに使用されてもよい。また、上記制動機構は、トロリー100が駐車しているときの安全機構として、少なくとも所定の最低限の大きさのこのようなトルク又は押し込み力が加わっていない場合にも作動させることができる。
【0081】
1つの好ましい実施例では、当該トルクセンサは、後方および前方に向けられたトルクを区別するように構成され、それによって、その/各モータ151、152は、トルクセンサによって感知された方向に応じて、当該フィードバックアシスト推進駆動パターン中に後方または前方に駆動されるように構成される。
【0082】
これに代えて、またはこれに加えて、制御ユニット150は、好ましくは当該位置または速度センサ9によって提供される情報に基づいてトロリー100の転がり方向を感知し、当該感知された転がり方向に当該フィードバック支援推進駆動パターンを実施するように構成されてもよい。
【0083】
好ましくは、ユーザ設定可能なフィードバック推進フィードバックパターンが前方または後方推進のために、完全にまたは実質的に同一に実施(実装)される。従って、ユーザがトロリー100を前方に搬送しており、引っ張り力を用いて、トロリー100を停止させた後、さらに引っ張って、トロリー100を後方運動にさせる場合、制御ユニット150はこの転がり方向の変化を自動的に検出し、代わりに、トロリー100の後方運動を達成し、維持することを目的として、モータ151、152を制御する。目標後進運動速度は、ユーザが設定した前進速度と同じであってもよいし、または前進推進の場合のユーザが設定した速度に予め決定されているか、または比例していてもよいより低い速度であってもよい。これに対応して、ユーザがトロリー100を再び停止させ、前方への押し込みを開始すると、制御ユニット150はこれを再び自動的に検出し、上述したように、ユーザが設定した前進速度を目標とする調整に再び切り替わる。
【0084】
プログラムスイッチ157は、異なる駆動パターンの間で切り替えるためにユーザによって使用され得ることが好ましい。このような駆動パターンの1つには、上記のロッキング駆動パターンもある。このロッキング駆動パターンは、少なくとも1つのモータ151、152を制御する制御ユニット150によって実施(実装)され、時間の関数として所定の回転パターンに従ってトロリー100を後方および前方に推進させる。
【0085】
好ましくは、トロリー100が一旦停止状態になると、スイッチ157を使用して選択可能であるなど、利用可能な幾つかのこのようなロッキング駆動パターンが存在する。このような各ロッキング駆動パターンは、好ましくはトロリー100をある距離だけ前方または後方に一方向に駆動し、次いでトロリー100をある距離だけ逆方向に駆動し、以下同様に、ユーザがスイッチ157を使用するなどしてロッキング駆動パターンを終了するまで、無期限に、または所定の最大期間の間、駆動することを含む。
【0086】
好ましくは、このような異なるロッキング駆動パターンは、両方向における駆動距離、駆動方向および駆動速度を切り替えるときの加速度の異なる組み合わせを含む。1つの好ましい実施例によれば、円滑なゆっくりとしたロッキングパターンから、好ましくは両方向に比較的長い駆動距離を有するものから、好ましくは両方向に比較的短い駆動距離を有する、より厳しく、速く、きついロッキングパターンまで、次第に変化する少なくとも3つの異なったロッキング駆動パターンがある。好ましくは、5cm未満の前方/後方運動から10cmを超える前方/後方運動まで変化する一連のロッキングプログラムを実施することができ、好ましくは関連するロッキング周波数の減少、好ましくはターン間の回転速度の減少も伴う。
【0087】
全てのロッキング駆動パターンに対して、当のロッキング駆動パターンの全トロリー100前方/後方振幅は、上述したように、機械式ブレーキ230によって規定される回転運動振幅の対応する自由度よりも小さいことが好ましい。好ましくは、機械式ブレーキ230によって許容される移動間隔にわたってトロリーが移動できる距離は、全てのロッキング駆動パターンについて、少なくとも2cm、好ましくは少なくとも5cm、全ロッキング駆動パターン振幅よりも長い。この原理は、機械式ブレーキ230によって影響を受ける各個々のホイール111、112にも適用される。
【0088】
即ち、ロッキング駆動パターンは、通常、トロリー100の直進及び後進の駆動動作を含もう。1つの好ましい実施例によれば、少なくとも1つのロッキング駆動パターンは、しかしながら、好ましくはトロリー100の速い方向転換(quirk)の形で側方(横方向)の回転動作を達成するために、おそらく反対のホイール151または複数のホイールを別の速度または他の方向に駆動しながら、一方のホイール151またはトロリー100の片側のホイールを一方向に駆動することを含んでいる。このような側方回転は、それ自体でロッキング駆動パターンとして実施することができるが、純粋な前方/後方運動に基づく別のロッキング駆動パターンの一部として実施することが好ましい。例えば、5つの前方/後方の揺れごとに、または不規則な間隔で、制御ユニット150によって、1つまたは複数の側方の揺れがトロリー100に与えられる。これはより予測しにくく、一様なロッキング機能を提供し、これは子供、生物学的サンプルなどの両方にとって有利であり得る。
【0089】
これらのプログラム間の機能の違いに関係するように、本明細書で説明されるすべての駆動パターンの場合のように、当該ロッキング駆動パターンは、ソフトウェアで、好ましくは純粋にソフトウェアで実施され、同じハードウェアを使用して制御ユニット150によって実行されることが好ましい。
【0090】
上述したように、トロリー100は、好ましくはデッドマンスイッチ154を備えて構成される。制御ユニット150は、制御ユニット150に電力が供給され、当該位置または速度センサからの情報がトロリーが現在移動していることを示すときに、デッドマンスイッチ154が作動される場合に、当該タイプのブレーキ機構を適用するように構成される。
【0091】
以上、好ましい実施例について説明した。しかし、開示された実施例には基本的な考え方から逸脱することなく、多くの修正を加えることができることは当業者には明らかである。
【0092】
例えば、上述した機能の多く、少なくともバッテリ156及びホイール組立体200は、軸110内に含まれ(encapsulated)、次いで、ハンドルバー130上に取り付けるために、外部ユーザインタフェース153に適切な方法で接続される。そうすれば、既存のトロリーの既存の軸線を、本発明の機能性を提供する軸線に置き換えることができる。その結果、既存のトロリーを容易にアップグレードして、本発明によるトロリー100にすることができる。
【0093】
上述のものとは別に、より多くの駆動パターンがあってもよい。例えば、1つの駆動パターンが作動されると、トロリー100を所定の距離だけ前方に推進させ、停止させることができる。ダイブパターンは、WiFiインターネット接続を介して無線で制御ユニット150を使用するなど、従来の方法でソフトウェアをアップグレードすることによってトロリー100に追加することができる。
【0094】
ロッキング駆動パターンを実施(実装)する際にトロリー100がその駐車位置からあまりにも大きく変位しないようにするために、このようなロッキング駆動パターンは、30分以下の最大時間期間中に常に実施されることが好ましい。
【0095】
さらに、交換可能な本体120を有するトロリー100を同じシャシー101上に配置することが可能であり、これにより、ユーザは、異なる組の駆動パターンのためのサポートを必ずしも設置することなく、子供のサポート本体120とショッピングカート本体120との間で切り替えることが可能になる。
【0096】
一般に、モータに外部から印加されるトルクを感知するため、および推進フィードバック機構内で使用するためのような、モータ内に設置されるトルクセンサがないことが好ましい。この理由は、上述のモータ電流対電力フィードバックループが間接的に感知された外部から印加されたモータトルク、すなわち測定されたモータ電流を介して間接的に測定されたトルクに基づいて作用するフィードバックループとして効果的に働くからである。
【0097】
したがって、記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲内で変更することができる。
【国際調査報告】