(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】生化学反応容器の温度監視のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520338
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(85)【翻訳文提出日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 US2019056560
(87)【国際公開番号】W WO2020081700
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520356364
【氏名又は名称】クリプトス バイオテクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ソ,オースティン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジュン ホ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA27
4B029BB01
4B029BB20
4B029FA15
(57)【要約】
実施形態は、第1の材料で充填された第1の反応チャンバを有する反応容器と、第1の反応チャンバの内向面に接着された第1の光吸収領域と、第2の材料で充填された第2の反応チャンバと、第2の反応チャンバの内向面に接着された第2の光吸収領域と、第2の反応チャンバ内に配置された温度センサと、第1の光吸収領域および第2の光吸収領域に光を導くように構成された1つ以上のエネルギー源とを含む。プロセッサを用いて、温度センサによって測定された第2の材料の第2の温度から第1の材料の第1の温度を決定し得る。そのような反応容器を製造する方法も開示される。
【選択図】
図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器システムであって、
第1の材料で充填された第1のチャンバと、
前記第1のチャンバの第1の内向面に接着された第1の光吸収領域と、
前記第1の材料とは異なる第2の材料で充填された第2のチャンバと、
前記第2のチャンバの第1の内向面に接着された第2の光吸収領域と、
第2の温度を測定するために前記第2のチャンバ内に配置された温度センサと、
前記第1の光吸収領域および前記第2の光吸収領域において光を導くように構成された1つ以上のエネルギー源と、
前記温度センサによって測定された前記第2のチャンバの前記第2の温度に基づいて前記第1のチャンバの第1の温度を決定するように構成されたプロセッサと
を備える、反応容器システム。
【請求項2】
前記第2の光吸収領域に伝送されるエネルギーの量を減少させるように構成された1つ以上のエネルギー減衰機構をさらに備える、請求項1に記載の反応容器システム。
【請求項3】
前記1つ以上のエネルギー減衰機構が、光拡散層、光反射層、フィルタ層、または遮光層を備える、請求項2に記載の反応容器システム。
【請求項4】
前記1つ以上のエネルギー源が、前記第1の光吸収領域に光を導くように構成された第1のエネルギー源と、前記第2の光吸収領域に光を導くように構成された第2のエネルギー源とを含む、請求項1~3に記載の反応容器システム。
【請求項5】
前記第1の材料が、前記第2の材料とは異なる比熱を有する、請求項1~4に記載の反応容器システム。
【請求項6】
前記第2の材料が、ポリマー材料を含む、請求項5に記載の反応容器システム。
【請求項7】
励起光源アセンブリおよび発光検出センサアセンブリをさらに備え、前記励起光源アセンブリが、前記第1のチャンバ内の蛍光マーカーに蛍光を放射させるように構成された励起光を導くように構成された励起光源を備え、前記発光検出センサアセンブリが、放射された蛍光を検出するように構成された発光センサを備える、請求項1~6に記載の反応容器システム。
【請求項8】
前記第1のチャンバの第2の内向面に接着された第3の光吸収領域であって、前記第1のチャンバの前記第2の内向面が、前記第1のチャンバの前記第1の内向面に対向する、第3の光吸収領域と、
前記第2のチャンバの第2の内向面に接着された第4の光吸収領域であって、前記第2のチャンバの前記第2の内向面が、前記第2のチャンバの前記第1の内向面に対向する、第4の光吸収領域と、
前記第3の光吸収領域および前記第4の光吸収領域において光を導くように構成された1つ以上の追加のエネルギー源と
をさらに備える、請求項1~7に記載の反応容器システム。
【請求項9】
反応容器であって、
第1の材料で充填された第1のチャンバと、
前記第1のチャンバの第1の内向面に接着された第1の光吸収領域と、
前記第1の材料とは異なる第2の材料で充填された第2のチャンバと、
前記第2のチャンバの第1の内向面に接着された第2の光吸収領域と、
第2の温度を測定するために前記第2のチャンバ内に配置された温度センサと、
前記温度センサをプロセッサに結合するためのコネクタであって、前記温度センサが、前記第1のチャンバに対応する相関された第1の温度を決定するために、前記第2の温度に対応する信号を前記プロセッサに送信するように構成される、コネクタと、
を備え、前記第1の光吸収領域および前記第2の光吸収領域が、1つ以上の光源からのエネルギーを吸収するように構成される、反応容器。
【請求項10】
前記第2の光吸収領域に伝送されるエネルギーの量を減少させるように構成された1つ以上のエネルギー減衰機構をさらに備える、請求項9に記載の反応容器。
【請求項11】
前記1つ以上のエネルギー減衰機構が、光拡散層、光反射層、フィルタ層、または遮光層を備える、請求項10に記載の反応容器。
【請求項12】
前記第1の光吸収領域が、前記第1の光吸収領域に光を導くように構成された第1の光源からのエネルギーを吸収するように構成され、前記第2の光吸収領域が、前記第2の光吸収領域に光を導くように構成された第2の光源からのエネルギーを吸収するように構成される、請求項9~11に記載の反応容器。
【請求項13】
前記第1の材料が、前記第2の材料とは異なる比熱を有する、請求項9~12に記載の反応容器。
【請求項14】
前記第2の材料が、ポリマー材料を含む、請求項9~13に記載の反応容器。
【請求項15】
前記第1のチャンバが、励起光源アセンブリから励起光を受信するように構成され、前記励起光が、前記第1のチャンバ内の蛍光マーカーに蛍光を放射させるように構成され、前記第1のチャンバが、前記放射された蛍光を検出するように構成された発光検出センサに向かって蛍光が前記第1のチャンバから放射されることを可能にするようにさらに構成される、請求項9~14に記載の反応容器。
【請求項16】
前記第1のチャンバの第2の内向面に接着された第3の光吸収領域であって、前記第1のチャンバの前記第2の内向面が、前記第1のチャンバの前記第1の内向面に対向する、第3の光吸収領域と、
前記第2のチャンバの第2の内向面に接着された第4の光吸収領域であって、前記第2のチャンバの前記第2の内向面が、前記第2のチャンバの前記第1の内向面に対向する、第4の光吸収領域と、
をさらに備え、前記第3および第4の光吸収領域が、前記第3の光吸収領域および前記第4の光吸収領域において光を導くように構成された1つ以上の追加の光源からのエネルギーを吸収するように構成される、請求項9~15に記載の反応容器。
【請求項17】
反応チャンバ温度を監視する方法であって、
反応容器に関連する、ポッティング材料で充填される温度監視チャンバの第1の温度を測定することと、
前記第1の温度に対応する信号をプロセッサに伝送することと、
前記プロセッサによって、前記第1の温度に対応する第1の温度値を決定することと、
前記第1の温度値に基づいて、前記反応容器内の反応チャンバに関連する第2の温度値を推定することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記温度監視チャンバが、前記反応容器から分離されたモジュール中に収納される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記推定することが、前記温度監視チャンバに対応する複数の温度値を前記反応チャンバに対応する複数の温度値と相関させるルックアップテーブルにアクセスすることを含む、請求項17~18に記載の方法。
【請求項20】
前記推定することが、前記第2の温度値を生成するために前記第1の温度値に関数を適用することを含む、請求項17~19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポッティング材料が、前記反応チャンバ内の材料とは異なる比熱を有する、請求項17~20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の温度値に基づいて、前記反応チャンバを加熱するように構成されたエネルギー源の出力レベルを調整することをさらに含む、請求項17~21に記載の方法。
【請求項23】
反応容器を製造する方法であって、
複数の凹部を有する反応容器ハウジングの第1の部分を形成することと、
前記反応容器ハウジングの第2の部分を形成することと、
前記凹部が、反応チャンバおよび温度監視チャンバを備える複数のチャンバを少なくとも部分的に画定するように、前記反応容器ハウジングの前記第1の部分および第2の部分を互いに固定することと、
前記温度監視チャンバ内の所望の位置に温度センサを置くことと、
前記温度監視チャンバに液体材料を導入することと、
前記温度監視チャンバ内で前記液体材料を固化させることと
を含む、方法。
【請求項24】
前記液体材料が、ポリマー材料を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記液体材料が、シラン改質ポリマーを含み、前記液体材料を固化させることが、前記温度監視チャンバにUVエネルギーを導くことを含む、請求項23~24に記載の方法。
【請求項26】
前記反応容器ハウジングの前記第2の部分が、1つ以上の凹部を有する、請求項23~25に記載の方法。
【請求項27】
反応容器であって、
溶液で充填された反応チャンバを画定する複数の壁を有するハウジングと、
前記反応チャンバを画定する複数の壁の第1の壁の内向面に接着された光吸収領域と、
前記反応チャンバを画定する複数の壁の第2の壁内に埋め込まれた温度センサと、
前記光吸収領域において前記反応チャンバを通して光を導くように構成されたエネルギー源と
を備える、反応容器。
【請求項28】
前記第1の壁が、前記第2の壁とは異なる、請求項27に記載の反応容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2018年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/746,488号、発明の名称「METHOD AND SYSTEM FOR TEMPERATURE MONITORING OF A BIOCHEMICAL VESSEL」、および2018年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/746,492号、発明の名称「METHOD AND SYSTEM FOR REACTION VESSEL WITH MULTISIDED ENERGY SOURCES」の優先権を主張するものであり、これらの開示は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]以下の通常の米国特許出願(この米国特許出願を含む)は、同時に出願されており、他の出願の全開示は、すべての目的のために参照により本出願に組み込まれる:
・2018年10月16日に出願された出願第16/654,484号、発明の名称「METHOD AND SYSTEM FOR REACTION VESSEL WITH MULTISIDED ENERGY SOURCES」(代理人整理番号104587-000310 US-1156117)、および
・2018年10月16日に出願された出願第16/654,462号、発明の名称「METHOD AND SYSTEM FOR TEMPERATURE MONITORING OF A BIOCHEMICAL REACTION VESSEL」(代理人整理番号104587-000410 US-1156135)。
【背景技術】
【0003】
[0003]反応容器は、多くの場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびDNA配列決定などの操作を含むことができるDNA鎖に対して様々な操作を実行するために使用される。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、臨床検査室、農業科学、環境科学、および法科学の分野において不可欠な技術となっている。PCRは、特定の核酸標的配列を増幅するために、熱サイクル、または2つもしくは3つの別個の温度間の反復温度変化を必要とする。そのような熱サイクルを実現するために、従来のベンチトップ型サーマルサイクラーは、一般に、ペルチェ素子によって電力供給される金属加熱ブロックを使用する。残念なことに、反応容器内で材料を熱サイクルさせるこの方法は、所望よりも遅くなる可能性がある。これらの理由から、熱サイクルの速度および/または信頼性を改善する代替手段が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本開示は、温度制御または監視が望まれる反応、アッセイ、または実験での使用に適した方法および器具に関する。いくつかの反応容器およびシステムが、反応容器およびシステムを動作させる方法、ならびに反応容器を製造する方法と共に開示される。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態では、反応容器システムは、ハウジングと、ハウジングの対向する第1および第2の内向面によって画定された第1の反応チャンバと、ハウジングの第1の内向面に適合する第1の光吸収層と、ハウジングの第2の内向面に適合する第2の光吸収層とを備える反応容器を含み得る。反応容器システムは、第1の光吸収層でハウジングを通して光を導くように構成された第1のエネルギー源と、第2の光吸収層でハウジングを通して光を導くように構成された第2のエネルギー源とをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、ハウジングは、使用時に第1のエネルギー源と第2のエネルギー源との間に配置されるように構成される。いくつかの実施形態では、第1の光吸収層および第2の光吸収層は、同じ厚さおよび組成を有する。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態では、第1および第2の光吸収層はそれぞれ、ハウジングのそれぞれの第1および第2の内向面上に形成された金属膜を含む。いくつかの実施形態では、金属膜は、ハウジングの第1および第2の内向面上に形成され、その上に堆積され、それに接着され、または他の方法でその上に配置される。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態では、ハウジングの少なくとも一部は、第1および第2のエネルギー源によって放射される光の波長に対して光学的に透明である。いくつかの実施形態では、第1のエネルギー源は、可視光を放射するように構成された発光ダイオードである。いくつかの実施形態では、第1のエネルギー源は、赤外光を放射するように構成された発光ダイオードである。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態では、反応容器システムは、励起光源アセンブリおよび発光検出センサアセンブリを含み得、励起光源アセンブリは、第1の反応チャンバ内の蛍光マーカーに蛍光を放射させるように構成された励起光を導くように構成された励起光源を備え、発光検出センサアセンブリは、放射された蛍光を検出するように構成された発光センサを備える。反応容器システムは、第1の反応チャンバと発光センサとの間に配置された発光フィルタを含み得、発光フィルタは、放射された蛍光に対応する1つ以上の第1の波長の光を可能にし、1つ以上の第2の波長の光をフィルタリングして取り除くように構成され、1つ以上の第1の波長は、1つ以上の第2の波長とは異なる。反応容器システムは、第1の反応チャンバと励起光源との間に配置された励起フィルタを含み得、励起フィルタは、蛍光マーカーを励起するように構成された1つ以上の第3の波長の光を可能にし、1つ以上の第4の波長の光をフィルタリングして取り除くように構成され、1つ以上の第3の波長は、1つ以上の第4の波長とは異なる。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、第1および第2のエネルギー源は、エネルギー源とハウジングとの間の距離の少なくとも一部で放射された蛍光を運ぶ光ファイバをさらに備える。いくつかの実施形態では、第1のエネルギー源は、チップオンボードLED(COB LED)を備え、COB LEDは、個別に制御可能に構成された複数のLEDチップを備える。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、反応容器システムは、第2の反応チャンバと、第2の反応チャンバに隣接する第1の光吸収層においてハウジングを通して光を導くように構成された第3のエネルギー源と、第2の反応チャンバに隣接する第2の光吸収層においてハウジングを通して光を導くように構成された第4のエネルギー源と、を含み、第1、第2、第3、および第4のエネルギー源が、個別に制御可能である。いくつかの実施形態では、第1の光吸収層は、第1の反応チャンバに関連する第1の離散領域および第2の反応チャンバに関連する第2の離散領域を備え、第1のエネルギー源は、第1の離散領域に光を導くように構成され、第3のエネルギー源は、第2の離散領域に光を導くように構成される。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、第1のエネルギー源および第2のエネルギー源は、単一の前駆体エネルギー源に結合された光ファイバであり、単一の前駆体エネルギー源からのエネルギーは、第1のエネルギー源と第2のエネルギー源との間で分割される。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、第1および第2の光吸収層は、第1の反応チャンバの内部に向かって配向された内面と、第1の反応チャンバの内部から離れて配向された外面とを有し、第1および第2のエネルギー源は、第1および第2の光吸収層の外面に光を導くように構成される。
【0013】
[0013]温度制御された反応容器システムを動作させる方法が開示され、この方法は、第1の光吸収層および第2の光吸収層を備える第1の反応チャンバに試薬を導入することであって、第1および第2の光吸収層が、第1の反応チャンバの内部に向かって配向された内面および第1の反応チャンバの内部から離れて配向された外面を有する、導入することと、第1のエネルギー源によって、第1の光吸収層の外面に向けて、第1の光吸収層を加熱するように第1の光を導き、第2のエネルギー源によって、第2の光吸収層の外面に向けて、第2の光吸収層を加熱するように第2の光を導き、第1および第2の光吸収層からの熱を試薬に伝達させることとを含む。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、本方法は、第2の反応チャンバに試薬を導入することと、第3のエネルギー源に、第2の反応チャンバに隣接する第1の光吸収層の外面に向けて、第3の光を導かせることと、第4のエネルギー源に、第2の反応チャンバに隣接する第2の光吸収層の外面に向けて、第4の光を導かせることとを含む。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態では、第1の光吸収層は、第1の反応チャンバに関連する第1の離散領域と、第2の反応チャンバに関連する第2の離散領域とを備え、第1の光は、第1の離散領域に向けて導かれ、第3の光は、第2の離散領域に向けて導かれる。いくつかの実施形態では、第2の光吸収層は、第1の反応チャンバに関連する第1の離散領域と、第2の反応チャンバに関連する第2の離散領域とを備え、第2の光は、第1の離散領域に向けて導かれ、第4の光は、第2の離散領域に向けて導かれる。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、本方法は、第1の反応チャンバに向けて、励起光源からの励起光を導くことであって、励起光が、第1の反応チャンバ内の蛍光マーカーに蛍光を放射させるように構成される、導くことと、発光検出センサアセンブリによって、放射された蛍光を検出することとを含む。本方法は、第1の反応チャンバと発光センサとの間に配置された発光フィルタを用いて発光検出センサアセンブリに到達する光をフィルタリングすることを含み得、フィルタリングすることが、放射された蛍光に対応する1つ以上の第1の波長の光を可能にし、1つ以上の第2の波長の光をフィルタリングして取り除くことを含み、1つ以上の第1の波長が1つ以上の第2の波長とは異なる。本方法は、第1の反応チャンバと励起光源との間に配置された励起フィルタで励起光源からの光をフィルタリングすることであって、蛍光マーカーを励起するように構成された1つ以上の第3の波長の光を可能にし、1つ以上の第4の波長の光をフィルタリングして取り除くことを含み、1つ以上の第3の波長が1つ以上の第4の波長とは異なる、フィルタリングすることを含み得る。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態では、本方法は、温度センサによって、第1の反応チャンバに関連する温度を検出することと、検出された温度を表示する値および放射された蛍光に対応する値(例えば、蛍光発光量を定量化した値、または単に閾値量の蛍光発光があったか否かを表示する値)をメモリ内にロギングすることとを含む。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態では、反応容器システムは、第1の材料で充填された第1のチャンバと、第1のチャンバの第1の内向面に接着された第1の光吸収領域と、第1の材料とは異なる第2の材料で充填された第2のチャンバと、第2のチャンバの第1の内向面に接着された第2の光吸収領域と、第2の温度を測定するために第2のチャンバ内に配置された温度センサと、第1の光吸収領域および第2の光吸収領域に光を導くように構成された1つ以上のエネルギー源と、温度センサによって測定された第2のチャンバの第2の温度に基づいて第1のチャンバの第1の温度を決定するように構成されたプロセッサとを含み得る。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態では、反応容器システムは、第2の光吸収領域に伝送されるエネルギーの量を減少させるように構成された1つ以上のエネルギー減衰機構を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のエネルギー減衰機構は、光拡散層、光反射層、フィルタ層、または遮光層からなる群から選択される。
【0020】
[0020]いくつかの実施形態では、1つ以上のエネルギー源は、第1の光吸収領域に光を導くように構成された第1のエネルギー源と、第2の光吸収領域に光を導くように構成された第2のエネルギー源とを含む。
【0021】
[0021]いくつかの実施形態では、第1の材料は、第2の材料とは異なる比熱を有する。いくつかの実施形態では、第2の材料は、ポリマー材料、接着材料、または任意の他の好適な材料である。
【0022】
[0022]いくつかの実施形態では、反応容器システムは、励起光源アセンブリおよび発光検出センサアセンブリを含み、励起光源アセンブリは、第1のチャンバ内の蛍光マーカーに蛍光を放射させるように構成された励起光を導くように構成された励起光源を備え、発光検出センサアセンブリは、放射された蛍光を検出するように構成された発光センサを備える。
【0023】
[0023]いくつかの実施形態では、反応容器システムは、第1のチャンバの第2の内向面に接着された第3の光吸収領域であって、第1のチャンバの第2の内向面が、第1のチャンバの第1の内向面に対向する、第3の光吸収領域と、第2のチャンバの第2の内向面に接着された第4の光吸収領域であって、第1のチャンバの第2の内向面が、第1のチャンバの第1の内向面に対向する、第4の光吸収領域と、第3の光吸収領域および第4の光吸収領域に光を導くように構成された1つ以上の追加のエネルギー源とを含む。
【0024】
[0024]いくつかの実施形態では、反応容器は、第1の材料で充填された第1のチャンバと、第1の反応チャンバの第1の内向面に接着された第1の光吸収領域と、第1の材料とは異なる第2の材料で充填された第2のチャンバと、第2のチャンバの第1の内向面に接着された第2の光吸収領域と、第2の温度を測定するために第2のチャンバ内に配置された温度センサと、温度センサをプロセッサに結合するためのコネクタとを含み得、温度センサは、第1のチャンバに対応する相関された第1の温度を決定するために、第2の温度に対応する信号をプロセッサに送信するように構成される。第1の光吸収領域および第2の光吸収領域は、1つ以上の光源からエネルギーを吸収するように構成され得る。いくつかの実施形態では、反応容器は、第2の光吸収領域に伝送されるエネルギーの量を減少させるように構成された1つ以上のエネルギー減衰機構を含み得る。
【0025】
[0025]いくつかの実施形態では、反応チャンバ温度を監視する方法が開示される。本方法は、反応容器に関連する、ポッティング材料で充填される温度監視チャンバの第1の温度を測定することと、第1の温度に対応する信号をプロセッサに伝送することと、プロセッサによって、第1の温度に対応する第1の温度値を決定することと、第1の温度値に基づいて、反応チャンバに関連する第2の温度値を推定することとを含み得る。いくつかの実施形態では、温度監視チャンバは、反応容器から分離されたモジュールに収納される。
【0026】
[0026]いくつかの実施形態では、推定することは、温度監視チャンバに対応する複数の温度値を反応チャンバに対応する複数の温度値と相関させるルックアップテーブルにアクセスすることを含む。いくつかの実施形態では、推定することは、第2の温度値を生成するために第1の温度値に関数を適用することを含む。
【0027】
[0027]いくつかの実施形態では、ポッティング材料は、反応チャンバ内の材料とは異なる比熱を有する。
【0028】
[0028]いくつかの実施形態では、本方法は、第1の温度に基づいて、反応チャンバを加熱するように構成されたエネルギー源の出力レベルを調整することを含む。
【0029】
[0029]いくつかの実施形態では、反応容器を製造する方法が開示される。本方法は、複数の凹部を有する反応容器ハウジングの第1の部分を形成することと、反応容器ハウジングの第2の部分を形成することと、凹部が、反応チャンバおよび温度監視チャンバを備える複数のチャンバを少なくとも部分的に画定するように、反応容器ハウジングの第1および第2の部分を互いに固定することと、温度監視チャンバに液体材料を導入することと、温度監視チャンバ内の所望の位置に温度センサを置くことと、温度監視チャンバ内で液体材料を固化させることとを含み得る。
【0030】
[0030]いくつかの実施形態では、液体材料は、ポリマー材料である。いくつかの実施形態では、液体材料は、シラン改質ポリマーである。これらの例では、液体材料は、温度監視チャンバにUVエネルギーを導くことによって固化させ得る。
【0031】
[0031]いくつかの実施形態では、反応容器ハウジングの第2の部分は、1つ以上の凹部を有する。
【0032】
[0032]いくつかの実施形態では、反応容器は、溶液(例えば、1つ以上の化学物質または生物学的物質、試薬)で充填された反応チャンバを画定する複数の壁を有するハウジングと、反応チャンバを画定する複数の壁の第1の壁の内向面に接着された光吸収領域と、反応チャンバを画定する複数の壁の第2の壁内に埋め込まれた温度センサと、光吸収領域において反応チャンバを通して光を導くように構成されたエネルギー源とを含み得る。いくつかの実施形態では、溶液の温度は、温度センサによって行われた測定に基づいて決定され得る(例えば、プロセッサによって)。いくつかの実施形態では、第1の壁は、第2の壁とは異なる。
【0033】
[0033]本発明の他の態様および利点は、記載された実施形態の原理を例として図示する添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0034】
[0034]本開示は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明によって容易に理解され、同様の参照番号は、同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】記載された実施形態での使用に適した例示的な反応容器を示す図である。
【
図1B】記載された実施形態での使用に適した別の例示的な反応容器を示す図である。
【
図1C】空隙領域が、隣接する反応容器間の横方向の伝熱を低減する堅牢な障壁をどのように確立するかを示す図である。
【
図1D】反応チャンバ内に配置された温度センサを有するハウジング構成要素のうちの1つを有する、六角形のパターンで配列されたハウジング構成要素を示す図である。
【
図2A】薄い金属膜の形態をとることができる光吸収層を含む例示的な反応容器の断面概略図を示す図である。
【
図2B】2つの光吸収層を、反応チャンバを部分的に画定するハウジングの対向する内向面上にまたはそれに隣接して位置付けることができる方法を示す図である。
【
図3A】光吸収層の例示的な構成を示す図であり、光学素子を有するハウジングの対向する内向面の上またはそれに隣接して位置付けることができ、エネルギー源によって生成された光の特性を変更するために使用され得る。
【
図3B】複数の反応チャンバを反応容器のハウジング内にどのように位置付けることができるかを示す図である。
【
図4】エネルギー源が、反応容器のハウジングの比較的大きな領域にわたって均一に光を分配するのによく適し得るチップオンボード(COB)LEDの形態をとる例示的な実施形態を示す。
【
図5A】反応容器の反応チャンバの対向する側面を照らすために使用することができる複数のLEDを支持するPCBを有する例示的な実施形態を示す図である。
【
図5B】単一の前駆体エネルギー源(例えば、LED)からの光エネルギーが2本の光ファイバの間で分割されて、反応容器の反応チャンバの対向する側面を照らす例示的な実施形態を示す。
【
図5C】励起光源アセンブリおよび発光検出センサアセンブリを追加した、
図5Aに示すエネルギー源構成を示す図である。
【
図6A】片面から加熱されている反応チャンバ(片面加熱)および両面から加熱されている反応チャンバ(両面加熱)の温度プロファイルを比較する3つの連続した加熱および冷却試験サイクルからの実験データを示す図である。
【
図6B】片面から加熱されている反応チャンバ(片面加熱)および両面から加熱されている反応チャンバ(両面加熱)の温度プロファイルを比較する3つの連続した加熱および冷却試験サイクルからの実験データを示す図である。
【
図7】温度制御された反応容器システムを動作させるための例示的な方法を図示する図である。
【
図8A】溶液で充填することができる複数の反応チャンバを画定するハウジングおよび温度センサを含むチャンバを有する例示的な反応容器を示す図である。
【
図8B】少なくとも2つの反応チャンバを画定するハウジング、温度センサを含むチャンバ、および光拡散層を含む反応容器を示す図である。
【
図8C】反応チャンバとは異なるチャンバを画定するハウジングを有する反応容器を示す図である。
【
図8D】光拡散層および光反射層を有する例示的な反応容器を示す図である。
【
図8E】温度センサを反応容器のハウジング内に埋め込むことができる実施形態を示す図である。
【
図8F】温度センサが反応容器のハウジングとは別個の異なるモジュール内に配置される例示的な実施形態を示す図である。
【
図9A】温度センサを含有するチャンバを有する例示的な反応容器の断面の側面概略図を示す図である。
【
図9B】温度センサを有するチャンバがプロセッサに結合された、
図9Aに示す例示的な反応容器の断面の俯瞰概略図である。
【
図11A】ポリマー充填チャンバおよび水充填チャンバで行われた試験からの実験データを示す図である。
【
図11B】温度監視チャンバとしてポリマー充填基準チャンバを使用した45サイクルの24回の連続PCRからの実験データを示す図であり、これを参照して、24回の連続PCRすべてについてPCRサイクルの異なる工程を実行した。
【
図11C】異なる初期DNA鋳型濃度で、基準としてポリマー充填温度監視チャンバを使用して実行されたPCRからの実験データを示す図である。
【
図11D】異なる初期DNA鋳型濃度で、基準としてポリマー充填温度監視チャンバを使用して実行されたPCRからの実験データを示す図である。
【
図12】温度監視アセンブリを組み立てるための方法を示すブロック図である。
【
図13】反応容器を製造するための例示的な方法を図示する図である。
【
図14】反応チャンバ温度を監視するための例示的な方法を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[0064]以下の詳細な説明では、説明の一部を形成し、説明された実施形態による特定の実施形態を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が記載された実施形態を実施できるように十分に詳細に記載されているが、これらの例は、限定するものではないことが理解され、それにより、他の実施形態を使用してもよく、記載された実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく変更を行ってもよい。
【0037】
[0065]マイクロ流体システムまたは装置は、化学および生物学において広く使用されている。そのような装置では、流体は、輸送、混合、分離、または他の方法で処理される。多くのマイクロ流体装置では、様々な用途は、毛管力を使用する受動流体制御に依存している。他の用途では、流体の指向性輸送のために外部作動手段(例えば、回転駆動装置)が使用される。「能動的マイクロ流体」とは、マイクロポンプまたはマイクロバルブなどの能動的(マイクロ)構成要素による作動流体の定義された操作を指す。マイクロポンプは、流体を連続的に供給するか、または投与に使用される。マイクロバルブは、ポンプ輸送された液体の流れ方向または移動モードを決定する。実験室で通常実施されるプロセスは、効率および移動度を向上させ、試料および試薬の体積を減少させるために、単一チップ上で小型化することができる。マイクロ流体構造は、マイクロ空気圧システム、すなわち、オフチップ流体(液体ポンプ、ガスバルブなど)を取り扱うためのマイクロシステム、ならびにナノリットル(nl)およびピコリットル(pl)体積のオンチップで取り扱うためのマイクロ流体構造を含むことができる(Nguyen and Wereley,Fundamentals and Applications of Microfluidics,Artech House,2006)。
【0038】
[0066]マイクロ流体技術の進歩は、酵素分析(例えば、グルコースおよび乳酸アッセイ)、DNA分析(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応およびハイスループットシーケンシング)、ならびにプロテオミクスのための分子生物学的手順に革命をもたらしている。マイクロ流体バイオチップは、検出などのアッセイ動作、ならびに試料前処理および試料調製をワンチップに統合する(Herold and Rasooly,editors,Lab-on-a-Chip Technology:Fabrication and Microfluidics,Caister Academic Press,2009;Herold and Rasooly,editors,Lab-on-a-Chip Technology:Biomolecular Separation and Analysis,Caister Academic Press,2009)。バイオチップの新たな適用分野は、臨床病理学、特に疾患の即時ポイントオブケア診断である。加えて、いくつかのマイクロ流体ベースの装置は、生化学的毒素および他の危険な病原体について空気/水サンプルの連続サンプリングおよびリアルタイム試験が可能である。
【0039】
[0067]現在、多くのタイプのマイクロ流体アーキテクチャが使用されており、オープンマイクロ流体、連続流マイクロ流体、液滴ベースのマイクロ流体、デジタルマイクロ流体、紙ベースのマイクロ流体、およびDNAチップ(マイクロアレイ)が含まれる。
【0040】
[0068]オープンマイクロ流体では、システムの少なくとも1つの境界が除去され、流体を空気または別の界面(すなわち、液体)に曝露する(Berthier et al.,Open microfluidics,Hoboken,NJ:Wiley,Scrivener Publishing,2016;Pfohl et al.,Chem Phys Chem.4:1291-1298,2003;Kaigala et al.,Angewandte Chemie International Edition.51:11224-11240,2012)。オープンマイクロ流体の利点には、介入のための流動液体へのアクセス可能性、より大きな液体-気体表面積、および最小の気泡形成が含まれる(Berthier et al.,Open microfluidics,Hoboken,NJ:Wiley,Scrivener Publishing,2016;Kaigala et al.,Ange.Chemie Int.Ed.51:11224-11240,2012;Li et al.,Lab on a Chip 17:1436-1441)。オープンマイクロ流体の別の利点は、開放系を表面張力駆動流体流と統合する能力であり、これは、蠕動ポンプまたはシリンジポンプなどの外部ポンピング方法の必要性を排除する(Casavant et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 110:10111-10116,2013)。オープンマイクロ流体装置はまた、フライス加工、熱成形、および熱エンボス加工によって製作するのに安価である(Guckenberger et al.,Lab on a Chip,15:2364-2378,2015;Truckenmuller et al.,J.Micromechanics and Microengineering,12:375-379,2002;Jeon et al.,Biomed.Microdevices 13:325-333,2010;Young et al.,Anal.Chem.83:1408-1417,2011)。加えて、オープンマイクロ流体は、毛細管流に有害であり得る装置用のカバーを張り付けるまたは接合する必要性を排除する。オープンマイクロ流体の例には、オープンチャネルマイクロ流体、レールベースのマイクロ流体、紙ベース、およびスレッドベースのマイクロ流体が含まれる(Berthier et al.,Open microfluidics,Hoboken,NJ:Wiley,Scrivener Publishing,2016;Casavant et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 110:10111-10116,2013;Bouaidat et al.,Lab on a Chip 5:827,2005)。
【0041】
[0069]連続流マイクロ流体は、微細加工されたチャネルを通る連続液体流の操作に基づく(Nguyen et al.,Micromachines 8:186,2017;Antfolk and Laurell,Anal.Chim.Acta 965:9-35,2017)。液体流の作動は、外部圧力源、外部機械式ポンプ、一体型機械式マイクロポンプ、または毛管力と動電機構との組み合わせのいずれかによって実装される。連続流装置は、多くの明確で単純な生化学用途および化学分離などの特定のタスクに有用であるが、それらは、高度な柔軟性または流体操作を必要とするタスクにはあまり適していない。連続流システムにおけるプロセス監視能力は、ナノリットル範囲までの分解能を提供する微小電気機械システム(MEMS)技術に基づく高感度マイクロ流体流量センサによって実現することができる。
【0042】
[0070]液滴ベースのマイクロ流体は、低いレイノルズ数および層流レジームを有する非混和性相における離散体積の流体を操作する(Shembekar et al.,Lab on a Chip 8:1314-1331,2016;Zhao-Miao et al.,Chinese J.Anal.Chem.45:282-296,2017)の概説を参照。微小液滴は、好都合に流体の微小体積(μl~fl)の操作を可能にし、良好な混合、カプセル化、選別、および検知を提供し、高スループット用途に適している(Chokkalingam et al.,Lab on a Chip 13:4740-4744,2013)。
【0043】
[0071]閉路連続流システムの代替には、開放構造が含まれ、離散した独立して制御可能な液滴が電気湿潤を使用して基板上で操作される。離散した単位体積の液滴(Chokkalingam et al.,Appl.Physics Lett.93:254101,2008)を使用することにより、マイクロ流体機能は、繰り返される一連の基本動作、すなわち1単位の距離にわたって1単位の流体を移動させることに低減され得る。この「デジタル化」方法は、マイクロ流体バイオチップ設計のための階層的な細胞ベースのアプローチの使用を容易にする。したがって、デジタルマイクロ流体は、柔軟でスケーラブルなシステムアーキテクチャおよび高いフォールトトレランスを提供する。さらに、各液滴は、独立して制御することができるため、これらのシステムは、動的再構成可能性も有し、それによってマイクロ流体アレイ中の単位セルのグループは、一連のバイオアッセイの同時実行中にそれらの機能を変化するように再構成することができる。あるいは、液滴は、拘束されたマイクロ流体チャネル中で操作することができる。デジタルマイクロ流体のための1つの一般的な作動方法は、誘電体上の電気湿潤(EWOD)である(Nelson and Kim,J.Adhesion Sci.Tech.,26:12-17,1747-1771,2012で概説)。電気湿潤を使用したデジタルマイクロ流体パラダイム内で、多くのラボオンチップ用途が実証されている。しかしながら、最近では、磁力(Zhang and Nguyen,Lab on a Chip 17.6:994-1008,2017)、表面弾性波、光電湿潤、機械的作動(Shemesh et al.,Biomed.Microdevices 12:907-914,2010)などを使用して、液滴操作のための他の技術も実証されている。
【0044】
[0072]紙ベースのマイクロ流体(Berthier et al.,Open Microfluidics,John Wiley&Sons,Inc.pp.229-256,2016)は、多孔質媒体中の毛細管浸透の現象に依存している。紙などの多孔質基板における流体浸透を二次元および三次元で整調するために、マイクロ流体装置の細孔構造、濡れ性、および幾何学的形状を制御することができるが、液体の粘度および蒸発速度は、さらに重要な役割を果たす。そのような装置の多くは、生物学的反応が起こる出口に水溶液を受動的に輸送する親水性紙の疎水性障壁を特徴とする(Galindo-Rosales,Complex Fluid-Flows in Microfluidics,Springer,2017)。
【0045】
[0073]早期のバイオチップは、DNAマイクロアレイ、例えば、Affymetrix製のGeneChip DNAアレイの着想に基づいており、これは、DNA分子(プローブ)がアレイ状に固定されたガラス、プラスチック、またはシリコン基板のピースである。DNAマイクロアレイと同様に、タンパク質アレイは、多数の異なる捕捉剤、例えばモノクローナル抗体がチップ表面に堆積されるアレイである。捕捉剤は、生物学的試料、例えば血液中のタンパク質の存在および/または量を決定するために使用される。総説については、例えば、Bumgarner,Curr.Protoc.Mol.Biol.101:22.1.1-22.1.11,2013を参照されたい。
【0046】
[0074]マイクロアレイに加えて、バイオチップは、二次元電気泳動、トランスクリプトーム分析、およびPCR増幅のために設計されている。他の用途には、タンパク質およびDNA、細胞分離、特に血球分離、タンパク質分析、細胞操作、ならびに細胞生存率分析および微生物捕捉を含む分析のための様々な電気泳動および液体クロマトグラフィー用途が含まれる。
【0047】
[0075]反応容器は、多くの場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびDNA配列決定を含むDNA鎖に対する様々なタイプの動作を実行するために使用される。反応容器は、上記のマイクロ流体アーキテクチャの1つ以上を組み込むことができるが、反応容器は、マイクロ流体装置よりも大きくすることができ、そのため、上記のマイクロ流体アーキテクチャのいずれも組み込むことができないことを理解されたい。反応容器の動作は、多くの場合、反応容器内の温度を急速に変化させる必要性を含む。例えば、DNA鎖を含有するPCR動作溶液は、反応容器によって画定された反応チャンバ内に位置付けられる。加熱要素を使用して、様々な異なるタイプのDNAを分解および/または構築するために、溶液を熱サイクルさせる。残念ながら、溶液を熱サイクルさせる従来の手段は、多くの場合、所望よりも遅く、反応容器内の反応チャンバの特定の領域の温度を変動させることができない。
【0048】
[0076]この問題に対する1つの解決策は、光吸収特性(例えば、光吸収層によって吸収される任意の光においてフォトニックエネルギーの50~90%の吸収を可能にする)を有する反応容器の反応チャンバ内に光吸収層を位置付けることである。エネルギー源は、光吸収層に光を導くように構成することができ、これは、光吸収層に導かれた光の光子からエネルギーを効率的に吸収する。フォトニックエネルギーの吸収は、光吸収層の温度を急速に上昇させ得る。次いで、光吸収層によって受信されたこのエネルギーは、熱伝導および/または対流によって反応チャンバ内の溶液に伝達され得る。
【0049】
[0077]いくつかの実施形態では、光吸収層は、反応チャンバの上面および下面の両方にわたって延在する。この構成は、光吸収層が、1つ以上のエネルギー源によって光を受信することができるより大きな面積を有することを可能にする。例えば、エネルギー源は、反応チャンバの上方および下方の両方に位置付けることができる。光吸収層は、反応チャンバを形成する壁のいずれかを横切って延在させることができるが、光吸収層を上面および下面の両方を横切って延在させると、一般に、反応チャンバ内の溶液(例えば、1つ以上の試薬)に熱を導入する材料の量が2倍になる。記載された構成はまた、溶液を上面および下面の両方から加熱することができ、反応チャンバの中心の温度上昇が最も遅くなりやすいため、反応チャンバ内に形成される温度勾配を減少させる。
【0050】
[0078]いくつかの実施形態では、反応容器または反応チャンバのアレイを一緒にグループ化することができ、温度監視モジュールは、アレイを構成する反応容器または反応チャンバの温度を正確に監視するために、反応容器または反応チャンバのうちの1つを置き換えることができる。温度監視モジュールは、それを置き換える反応容器または反応チャンバと同様のサイズおよび形状を有することができる。温度監視モジュールは、例えば、熱電対、サーミスタ、または測温抵抗体(RTD)などの温度センサを含むことができる。温度センサは、他の反応容器または反応チャンバ内の溶液の比熱と同様の比熱を有する材料に懸濁することができる。このようにして、温度監視モジュール内の材料は、他の反応容器または反応チャンバ内の温度と厳密に一致させることができる。
【0051】
[0079]この構成の1つの利点は、これが、様々な化学的/生物学的動作を実行するために使用される反応容器または反応チャンバ内に温度センサを懸架する必要性を軽減することである。材料はまた、反応容器または反応チャンバ内の中心位置に温度センサを維持することができるポリマー材料でもあり得る。いくつかの実施形態では、これは、温度が光吸収層に直接固定され、温度センサからの読み取り値が反応容器または反応チャンバ内の平均温度を反映しない可能性がある活性反応容器または反応チャンバ内に温度センサを置くことが好ましくなり得る。
【0052】
[0080]これらおよび他の実施形態について以下に説明するが、当業者であれば、これらの図に関して本明細書で与えられる詳細な説明は説明目的のためのものにすぎず、限定として解釈されるべきではないことを容易に理解するであろう。
【0053】
[0081]
図1Aは、記載された実施形態での使用に適した例示的な反応容器100の斜視図を示す。特に、反応容器100は、反応チャンバ104を画定する光学的に透明な材料から形成されたハウジング部品102を含む。反応チャンバ104は、略円形の幾何学的形状を有するものとして示されているが、示されている反応チャンバ104の形状は、限定的であると解釈されるべきではなく、楕円形、菱形、および長方形などの他の形状も可能であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、ハウジング部品102を形成する光学的に透明な材料は、反応容器100を加熱するために使用される光の波長のみに対して光学的に透明であり得る。例えば、光学的に透明な材料は、光の可視、赤外、または紫外周波数のみを選択するために光学的に透明であり得る。反応チャンバ104は、反応チャンバ104内で加熱される液体を囲む第2のハウジング部品(図示せず)によって閉じることができる。このようにして、反応チャンバ104内の液体溶液中のDNA鎖は、急速な熱サイクルを受けることができ、溶液の任意の気化部分の少なくとも一部は、その後、熱サイクルの間または熱サイクルが完了した後に溶液中に凝縮して戻ることができる。光吸収層106は、反応チャンバ104の内向面上に形成され、その上に堆積され、それに接着され、または他の方法でその上に配置され得る。光吸収層106は、良好な光吸収特性を有し、反応チャンバ104内に配置された任意の液体と直接接触することができる。例えば、光吸収層106は、光吸収層106に入射するフォトニックエネルギーの約50~90%を吸収するように構成することができる。いくつかの実施形態では、光吸収層106は、元素状金、クロム、チタン、ゲルマニウム、または例えば金-ゲルマニウム、金-クロム、金-チタン、金-クロム-ゲルマニウム、および金-チタン-ゲルマニウムなどの金合金から形成された金属膜であり得る。いくつかの実施形態では、光吸収層106は、元素状金、クロム、チタン、ゲルマニウム、または例えば金-ゲルマニウム、金-クロム、金-チタン、金-クロム-ゲルマニウム、および金-チタン-ゲルマニウムなどの金合金から形成された多層金属膜であり得る。光吸収層106は、約5nm~200nmの厚さを有することができる。ハウジング部品102はまた、様々な化学物質、プライマー、DNA鎖、および他の生物学的材料を反応チャンバ104に出入りさせるために使用することができる入口チャネル108および出口チャネル110を画定する。いくつかの実施形態では、ハウジング部品152は、約7mm×14mmの寸法を有することができるが、このサイズは、変動し得ることを理解されたい。
【0054】
[0082]
図1Bは、別の例示的な反応容器150の斜視図を示す。反応容器150は、反応容器100と同様に、ハウジング部品152と、反応チャンバ104と、光吸収層106と、入口チャネル108と、出口チャネル110とを含む。装置ハウジング152は、空隙領域154および156を含むことを収容する幅広の中央領域を含む。空隙領域154および156は、隣接する反応容器への横方向の伝熱を妨げるために空のままにすることができる。いくつかの実施形態では、空隙領域154および156を通る熱の伝達は、空隙領域154および156から空気を除去することによってさらに低減することができる。いくつかの実施形態では、ハウジング部品152の直径は、約5mmであり得るが、このサイズは、変動し得ることを理解されたい。例えば、ハウジング部品152の直径は、2mm~15mmで変動し得る。
【0055】
[0083]
図1Cは、どのようにハウジング部品152の形状が反応容器150をハニカムまたは六角形のパターンに緊密に詰め込むことを可能にするかを示す。
図1Cはまた、空隙領域154および156が、隣接する反応容器150間の横方向の伝熱を低減する堅牢な障壁を確立することができる方法を示す。反応容器150の直径が約5mmである場合、反応チャンバ104は、約10μlの溶液を保持することができ、800μmの深さを有することができる。一般に、これらの装置は、200~1500μmの深さで2.5μl~500μlを保持するように構成される。
【0056】
[0084]
図1Dは、六角形のパターンで配列されたハウジング部品152を示し、ハウジング部品152のうちの1つは、チャンバ805内に配置された温度センサ158を有する。温度センサ158は、チャンバ805内に組み込まれてもよく、隣接する反応チャンバ104からの最小量の横方向に流れる伝熱と共に、光吸収層106によってチャンバ805に導入された熱を測定するために使用されてもよい。以下でさらに詳細に説明するように(例えば、
図8A~
図8Fに関連して)、チャンバ805内の温度センサ158によって測定された温度を使用して、近くの反応チャンバ104中の溶液の温度を概算し得る。
【0057】
[0085]
図2Aは、例示的な反応容器200の断面概略図を示す。図示のように、反応容器200は、反応チャンバ104およびハウジング202内に配置された光吸収層106を含み得る。光吸収層106は、反応チャンバ104に隣接する場所に配置され得る。例えば、光吸収層106は、ハウジング202の内向面に接着された金属薄膜の形態をとることができる(例えば、光吸収層106は、反応チャンバ104の内向面上に形成され、その上に堆積され、それに接着され、または他の方法でその上に配置されてもよい)。別の例として、光吸収層106は、反応チャンバ104に隣接して配置されてもよいが、基板で覆われてもよい。
図2Aに示される例示的な構成では、光吸収層106は、反応チャンバ104の一方の表面(例えば、底面)のみを覆う。この構成により、エネルギー源204によって放射された光の大部分を光吸収層106で吸収することが可能になり得る。光を構成する光子からのエネルギーは、熱エネルギーに変換され、次いで反応チャンバ104内の溶液に熱伝導される。
【0058】
[0086]いくつかの実施形態では、ただ1つの内向面に隣接する光吸収層106を有する反応チャンバ104内の溶液を加熱することにより、光吸収層106から最も遠い溶液の部分から光吸収層106に近接する溶液の部分まで反応チャンバ104内に温度勾配が生成され得る。例えば、光吸収層106から最も遠い溶液の第1の部分は、光吸収層106に近接する溶液の第2の部分よりもゆっくりと加熱され得る。いくつかの実施形態では、オペレータは、熱サイクルを特に迅速に実行したい場合があり、その場合、溶液の第1の部分(例えば、光吸収層106から最も遠い)内に位置するDNAまたは他の化学物質は、十分に迅速に加熱されず、それによって材料の浪費および/または収率の低下をもたらす場合がある。代替的または追加的に、溶液の第2の部分(例えば、光吸収層106に近接する)は、過熱される場合があり、その結果、溶液内の材料にある程度の漂白が発生する場合があり、これは動作の結果に悪影響を及ぼす可能性もある。この理由のために、いくつかの実施形態では、2つ以上の異なるエネルギー源(例えば、複数のLED、その放射されたエネルギーが複数の部分に分割されて反応容器の視点から複数の供給源を効果的に作り出す単一のLED)で反応容器の対向する側面を照らすことが有益であり得る。これは、反応チャンバの反対側に第2の光吸収層を追加することによって実装することができる。以下にさらに説明するように、第2の光吸収層を追加することにより、加熱の均一性が高まり、全体の加熱速度が高まり、かつ加熱のエネルギー効率が高まる。
【0059】
[0087]
図2Bは、2つの光吸収層106-1および106-2が、反応チャンバ104を部分的に画定するハウジング202の対向する内向面上またはそれに隣接してどのように位置付けられ得るかを示す。光吸収層106は、反応容器200の対向する側面に位置付けられたエネルギー源204-1および204-2(例えば、LED)から光を受信するように構成することができる。この構成は、反応チャンバのはるかに広い領域および対向する側面にわたって熱を導入することを可能にするので、反応チャンバ104内の溶液は、
図2Aの例示的な反応チャンバ(一面からのみ加熱される)と比較してはるかに小さい温度勾配を経験し得る。その結果、
図2Bに図示する構成における溶液の加熱は、
図2Aに図示する構成よりも均一であり得る。このため、任意の所与の点における反応チャンバ104内の溶液の過熱または過熱不足が起こりにくくなり得る。さらに、溶液を複数の面から(例えば、
図2Bに示すように2つの対向する側面から)加熱すると、溶液のより速い加熱をもたらすことができ、その結果、反応容器の全体的な処理量を増加させ得る。例えば、反応チャンバ104内の溶液が熱サイクルされる最大速度は、
図2Aに図示する構成の片面のみを照らすことによって実現可能な最大速度と比較して増加させることができる。熱サイクル速度のこの増加は、少なくとも部分的には、フォトニックエネルギーを受信する表面積および反応チャンバ104内の加熱されたフィルムの体積を倍増することができる結果である。いくつかの実施形態では、他の内向面の少なくとも一部を、フォトニックエネルギーを吸収するのに適した光吸収層で覆うことができる。例えば、反応チャンバ104を画定する側壁の内向面は、光吸収層によって少なくとも部分的に覆われ得る。いくつかの実施形態では、エネルギーを反応チャンバ104に注入することができる速度をさらに増加させるために、追加のエネルギー源204をこれらの追加の光吸収層に集束させることができる。いくつかの実施形態では、エネルギー源204-1および204-2は、それらが異なるエネルギーレベルを放射するように調整可能であってもよく、または他の方法で光吸収層106-1および106-2が異なる量のエネルギーを受信するように(例えば、エネルギー源の一方が他方よりも反応チャンバ104に近い場合)調整可能であってもよい。いくつかの実施形態では、代替的または追加的に、光吸収層106-1および106-2は、異なる量のエネルギーを吸収するように構成されるように異なっていてもよい(例えば、組成において、厚さまたは表面積などの寸法で)。
【0060】
[0088]
図3Aは、光吸収層106-1および106-2を、エネルギー源204-1および204-2によって生成された光の特性を変更するために使用され得る光学素子302-1および302-2を用いて、ハウジング202の対向する内向面上にまたはそれに隣接して位置付けることができる例示的な構成を示す。いくつかの実施形態では、ハウジング202のこれらの内向面は、反応チャンバ104を画定し得、光吸収層106は、光吸収層106が反応チャンバ104内の溶液と直接接触し得るように、内向面上に(例えば、その上に形成され、その上に堆積され、それに接着され、または他の方法でその上に配置される)位置付けられ得る。あるいは、溶液と直接接触しないように、光吸収層106-1および106-2のうちの1つ以上の上に基板が配置され得る。
図3Aはまた、エネルギー源204-1および204-2が、エネルギー源204-1および204-2によって生成された光を吸収層106-1および106-2上に集光するように構成された1つ以上の光学素子302-1および302-2をどのように含むことができるかを示す。光学素子302-1および302-2は、エネルギー源204-1および204-2によって生成された光を少なくとも部分的に平行にする1つ以上のレンズ、光パイプ、またはバッフルの形態をとることができる。例えば、光学素子302-1および302-2は、それらのそれぞれのエネルギー源によって生成された光を集束させるように機能する凸レンズを含み得る。別の例として、光学素子302-1および302-2は、それらのそれぞれのエネルギー源によって生成された光を集束させるように構成されたバッフル(例えば、反射器要素を用いて)を含み得る。光学素子302-1および302-2は、廃棄光(例えば、ほとんどすべての光が光吸収層106-1および106-2に入射するようにエネルギー源204-1および204-2によって放射された光を集束させることによって)の発生を低減し、反応チャンバ104内の溶液に添加するために利用可能な電力量を最大化するのを助け得る。いくつかの実施形態では、エネルギー源204-1および204-2から反応チャンバ104に向かって均一な光を導くのを助けるために、他の光学素子を使用することができる。例えば、光パイプを使用して、エネルギー源204-1および204-2からの光を反応チャンバ104上の様々な場所に直接輸送することができる。光パイプは、光吸収層106-1および106-2の特定の領域により大量の光を送達するように有利に成形することができる。いくつかの実施形態では、光パイプは、ハウジング202内に少なくとも部分的に延在することができる。いくつかの実施形態では、上述したように、エネルギー源204-1および204-2は、調整可能であってもよく、光吸収層106-1および106-2は、異なっていてもよく、かつ/または光学素子302-1および302-2は、異なっていてもよく、それにより、光吸収層106-1および106-2による光の吸収は、微整調され得る。
【0061】
[0089]
図3Bは、複数の反応チャンバ104-1、104-2、および104-3を反応容器300のハウジング304内にどのように位置付けることができるかを示す。いくつかの実施形態では、溶液は、ハウジング304によって画定することができる内部チャネルによって、隣接する反応チャンバ104-1、104-2、および104-3の間で伝達することができる。このようにして、1つの溶液流は、複数の反応チャンバ104-1、104-2、および104-3を横断することができる。あるいは、反応チャンバ104-1、104-2、および104-3は、物理的障壁によって分離されていなくてもよく、したがってチャネルを必要としなくてもよい。例えば、
図3Bに図示する反応チャンバ104-1、104-2、および104-3は、反応容器300の単一のチャンバ内に仕切りなしで配置され得る。いくつかの実施形態では、
図3Bに図示するように、反応チャンバは、いくつかの離散領域(例えば、106-1a、106-1b、および106-1c、106-2a、106-2b、および106-2c)で構成された光吸収層を有し得る。いくつかの実施形態では、これらの離散領域は、互いに分離されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの離散領域のいずれかは、それらが異なる温度プロファイルを有するように、異なる特性を有し得る。例えば、離散領域106-1aおよび106-2aは、離散領域106-1bおよび106-2bとは異なる厚さおよび/または組成を有することができ、反応チャンバ104-2と比較して、反応チャンバ104-1内の溶液により迅速にエネルギーを吸収することを可能にする。代替的または追加的に、異なる反応チャンバ104間のエネルギー吸収は、エネルギー源302の出力レベルを調整することによって変動し得る。反応チャンバ104-1、104-2、および104-3の間でエネルギー吸収を変動させることは、そのうちの1つ以上が異なる温度を必要とする多段階反応が必要な場合に有益であり得る。例えば、単一のPCRサイクルは、異なる温度を必要とする複数の工程(例えば、DNAの変性、アニーリング、および伸長のために)を有する。
【0062】
[0090]いくつかの実施形態では、反応チャンバ104-1、104-2、および104-3内の温度は、複数のエネルギー源を各反応チャンバ104に割り当てることによって変動し得る。これは、エネルギー源204がオン状態およびオフ状態のみを有し得る場合に特に有利であり得る。例えば、3つのエネルギー源204を単一の反応チャンバ104-1に割り当ててもよい。これらのエネルギー源204のうちの1つ以上をオンにしてもよく、オンであるエネルギー源204の数は、反応チャンバ104-1に送達されるエネルギーの量を決定する。個々のエネルギー源204をオンおよびオフにすることにより、反応チャンバ104内の温度は、スケールに沿って変動し得る。この例では、3つのエネルギー源204のすべてをオンにすると温度値が最も高くなり得、エネルギー源204のうちの2つをオンにすると温度値が中間になり得、エネルギー源204のうちの1つをオンにすると温度値が低くなり得る。いくつかの実施形態では、
図3Bに図示するように、エネルギー源204の効果は、単一の反応チャンバ(例えば、反応チャンバ104-1)に限定されなくてもよい。例えば、
図3Bに図示する最も左側のエネルギー源は、104-1および104-2の両方にエネルギーを送達し得る。したがって、チャンバ104-1、104-2、および104-3のいずれか1つによって受信されるエネルギーは、図示のエネルギー源204をオンまたはオフにすることによって(例えば、勾配にわたって)変動し得る。いくつかの実施形態では、エネルギー源204はまた、エネルギー源204のそれぞれによって放射される光の量が大きく変動することを効果的に可能にする種々のデューティサイクルを適用することを可能にするコントローラを装備することもできる。例えば、パルス制御信号をエネルギー源204のうちの1つに提供することができ、その結果、エネルギー源204は、時間の50%だけ光を透過し、それによって、時間の100%で光を透過する異なるエネルギー源204と比較して、光吸収層に透過される光の量を効果的に半減する。
【0063】
[0091]
図4は、エネルギー源が、反応容器300のハウジング304の比較的大きな領域にわたって均一に光を分配するのによく適し得るチップオンボード(COB)LED402の形態をとる例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態では、COB LED402は、プリント回路基板(PCB)に表面実装された複数のLEDチップから構成することができる。これらの実施形態では、LEDチップ(またはそのサブセット)のそれぞれは、出力される光エネルギーの量および/または光エネルギーが出力される方向が制御され得るように個別に制御され得る(
図3Bと同様)。COB LEDの1つの利点は、個々のエネルギー源を再配列する必要なく、反応チャンバ104を任意の間隔またはパターンで分離できることである。このタイプの構成はまた、特定の反応チャンバ104を標的とする光学素子の必要性も低減する。しかしながら、いくつかの実施形態では、COB LED402および404は、COB LED402および404から放射された光がハウジング304の両側に迂回されるのを防止するように構成されたバッフルまたは光学素子を含むことができる。
【0064】
[0092]
図5Aは、反応容器506の反応チャンバ104の対向する側面を照らすために使用することができる複数のLED504を支持するPCB502を有する例示的な実施形態を示す。LED504によって放射された光は、光ファイバ508によって伝送することができ、これは、その光をほとんどまたは全く損失なく受信し、反応容器506のハウジング510の外面の真上の点まで伝送することができる。光ファイバ508は、それぞれ光を効率的に集めて伝送するように構成された受信端507および伝送端509を含み得る。
図5Aは、反応チャンバの対向する側面を照らす2つのLEDを支持するPCBを図示しているが、本開示は、反応容器の任意の数の好適な領域を照らす任意の数のLEDを支持するPCBを企図している。
【0065】
[0093]
図5Bは、単一の前駆体エネルギー源(例えば、LED204)からの光エネルギーが2本の光ファイバ508の間で分割されて、反応容器506の反応チャンバ104の対向する側面を照らす例示的な実施形態を示す。図示の例では、LED204は、光ファイバ508の受信端507が結合されたLEDハウジング505内に収納されている。LEDハウジング505は、光伝送効率を最大化するために、光学素子および/または反射器(例えば、その内向面に沿って配置される)で最適化され得る。
図5Bは、反応チャンバの対向する側面を照らすために1つのLEDからの光エネルギーを2つの光ファイバの間で分割することを図示しているが、本開示は、反応容器の任意の数の好適な領域を照らすために、任意の数の光ファイバのうちの任意の数のLEDからの光エネルギーを分割することを企図している。
【0066】
[0094]
図5Cは、励起光源アセンブリおよび発光検出センサアセンブリを追加した、
図5Aに示すエネルギー源構成を示す。いくつかの実施形態では、励起光源アセンブリは、励起LED512を含むことができる。いくつかの実施形態では、励起LED512は、反応チャンバ104内に存在する任意の蛍光マーカー(例えば、DNA鎖またはヌクレオチドに結合した蛍光マーカー)に蛍光を放射させることができる可視スペクトル光を放射するように構成することができる。いくつかの実施形態では、蛍光マーカーを励起する波長範囲外にある励起LED512によって生成された光の任意の波長を除去するために、励起フィルタ514を任意選択で使用してもよい。いくつかの実施形態では、励起フィルタ514の波長範囲は、特定の実験または反応に使用されている蛍光マーカーと一致するように調整することができる。いくつかの実施形態では、発光検出センサアセンブリは、励起LED512からの光に応答して反応チャンバ内の蛍光マーカーによって放射される蛍光を検出するように構成された発光検出センサ515を含むことができる。いくつかの実施形態では、発光フィルタ516は、任意選択で、発光検出センサ515に伝送される光を最適化する(例えば、フィルタを増幅する)ために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、発光検出センサ515は、反応チャンバ510内の蛍光マーカーからの発光を受信することができるフォトダイオード、CMOS、またはCCDセンサの形態をとることができる。これらの実施形態のいくつかでは、蛍光マーカーの存在を認識することに加えて、反応チャンバ104内の蛍光マーカーの位置も決定できるように、フォトダイオード、CMOS、またはCCDセンサを較正することができる。発光検出センサアセンブリは、いくつかの実施形態では、反応チャンバ104の励起光源アセンブリとは反対側にあるものとして示されているが、2つのアセンブリは、互いに対して任意の好適な場所(例えば、反応チャンバ104の同じ側面)に位置付けできることに留意されたい。例えば、励起光源アセンブリは、同じ側面に位置付けることができるが、横方向に約30度オフセットされる。いくつかの実施形態では、発光フィルタ516(特定の波長のみを通過させることが可能であり得る)は、発光検出センサ515のセンサ読み取り値が蛍光に基づいており、光ファイバ508からの光によって損なわれないように、光ファイバ508によって放射された光が励起アセンブリ(例えば、励起LED512)からの光と混ざり合わないように、光ファイバ508によって放射された光を遮断またはフィルタリングして取り除くように機能し得る。例えば、発光フィルタは、蛍光に対応する1つ以上の波長の光を可能にし、かつ1つ以上の他の波長の光を遮断またはフィルタリングして取り除く(例えば、それによって、光ファイバ508からの光をフィルタリングして取り除くか、もしくは少なくとも著しく減少させる)ように構成され得る。さらに、少なくともいくつかの実施形態では、光吸収層106を照らすために使用される光ファイバ508からの光のすべてまたは大部分は、一般に、光吸収層106によって反応チャンバ104に入ることが防止され得る。したがって、これらの実施形態では、相互混合は、それほど大きな問題ではない場合がある。いくつかの実施形態では、反応容器と関連するシステムは、閾値量の蛍光が検出されたという表示(例えば、蛍光色素からのバックグラウンドアーチファクト信号を上回る量)、放射された蛍光の量を定量化する値、蛍光が検出された反応容器またはチャンバ内の位置、蛍光が検出された時点、および蛍光が検出された時点での関連する反応チャンバの温度のうちの1つ以上を(例えば、メモリ内に)ログし得る。これらの実施形態では、ログされたデータを使用して、反応、アッセイ、または実験に関する情報を合成することができる。例えば、アッセイまたは反応(例えば、PCR)中の温度および蛍光プロファイルを図示するグラフを分析のためにマッピングし得る。
【0067】
[0095]
図6A~
図6Bは、片面から加熱されている反応チャンバ(片面加熱)および両面から加熱されている反応チャンバ(両面加熱)の温度プロファイルを比較する3つの連続した加熱および冷却試験サイクルからの実験データを示す。早期の予測とは対照的に、両面加熱は、単に反応チャンバが片面加熱の2倍の速度で加熱されるという結果にはならない。実際、予測できないことに、両面加熱によるランプアップ時間は、片面加熱によるランプアップ時間の2倍をはるかに超える速度で発生する。例えば、
図6Aのグラフおよび
図6Bの対応する表に図示するように、両面加熱を使用して反応チャンバを室温から約95℃(すなわち、第1の試験サイクル)に加熱するのに6.81秒かかったが、片面加熱を使用して同じ温度上昇に27.43秒かかった。したがって、このサイクルにおける両面加熱は、片面加熱よりも約4倍速かった。同様に、第2および第3の試験サイクルのランプアップ時間は、
図6A~
図6Bに示すように、両面加熱の場合に4倍超速くなった。さらに予測できないことにクールダウン時間(例えば、その間、反応チャンバの光吸収層にエネルギーが伝送されず、反応チャンバの温度が低下しなかった)も影響を受けた。例えば、
図6A~
図6Bの第1の試験サイクルを参照すると、両面加熱を使用して加熱された反応チャンバでは、反応チャンバが約95℃から約65℃まで下降するのに4.71秒かかったが、片面加熱を使用して加熱された反応チャンバでは、同じ温度低下に7.47秒かかった。したがって、両面加熱された反応チャンバの冷却は、このサイクルでは約1.6倍速かった。他のサイクルにおけるクールダウン時間は、両面加熱で加熱された反応チャンバで同様に速かった。これらの予測不可能な結果は、少なくとも部分的には、両面加熱により、反応チャンバを所望の温度まで上昇させながら、反応チャンバの光吸収層から反応チャンバを取り囲むハウジングへの放熱が少なくなるという事実に起因する。例えば、両面からの加熱は、反応チャンバを始まりからより迅速に加熱する。このより迅速な加熱化合物の効果は、加熱に費やされる時間が少ないことが、反応チャンバの周りのハウジングへの熱の損失を少なくすることにつながるので、加熱期間にわたって相乗的に生じる(片面加熱では、反応チャンバ中で所望の温度を実現するために加熱期間中に追加の熱損失を補償する必要がある)。加えて、対向する側面から熱を導入することは、反応チャンバ内に熱を閉じ込めるように作用し、それにより、熱の損失を再び低減する。例えば、片面加熱では、第2の(加熱された)側面に配置された光吸収層に対向する第1の側面は、反応チャンバからの熱が第1の側面を介して逃げるのを容易にする温度勾配を可能にし得る。対照的に、そのような勾配は、両面加熱には存在せず、それによってチャンバ内に熱を閉じ込め、それによって加熱を加速する。より迅速なクールダウン時間に関しては、これも少なくとも部分的には両面加熱における熱損失の低減に起因する。例えば、両面加熱中に取り囲むハウジングによって吸収される熱が少ないため、反応チャンバの吸収層を逃がすためにエネルギーが伝送されなくなると、より多くの熱を反応チャンバから反応チャンバを取り囲むハウジングに放散することができる。対照的に、片面加熱では、ハウジングがより多くの熱放散のために既に比較的高い温度を有するので、反応チャンバと取り囲むハウジングとの間の温度勾配は、はるかに小さい。これにより、反応チャンバからの熱伝達が遅くなり、クールダウン時間が遅くなる場合がある。
【0068】
[0096]
図7は、温度制御された反応容器システムを動作させるための例示的な方法700を図示する。本方法は、試薬が第1の反応チャンバに導入される工程710で始まってもよく、第1の反応チャンバは、第1の光吸収層および第2の光吸収層を含み、第1および第2の光吸収層は、第1の反応チャンバの内部に向かって配向された内面と、第1の反応チャンバの内部から離れて配向された外面とを有する。工程720において、第1のエネルギー源は、第1の光吸収層を加熱するように第1の光吸収層の外面に向けて第1の光を導き得る。工程730において、第2のエネルギー源は、第2の光吸収層を加熱するように第2の光吸収層の外面に向けて第2の光を導き得る。工程740において、第1および第2の光吸収層からの熱を試薬に伝達し得る。
【0069】
[0097]特定の実施形態は、適切な場合には、
図7の方法の1つ以上の工程を繰り返し得る。本開示は、
図7の方法の特定の工程を特定の順序で発生するものとして説明および図示しているが、本開示は、任意の好適な順序で発生する
図7の方法の任意の好適な工程を企図している。さらに、本開示は、
図7の方法の特定の工程を含む、温度制御された反応容器システムを動作させるための例示的な方法を説明および図示しているが、本開示は、温度制御された反応容器システムを動作させるための任意の好適な方法を企図し、適切な場合には、
図7の方法の工程のすべて、一部を含み得、またはいずれも含まない任意の好適な工程を含む。さらに、本開示は、
図7の方法の特定の工程を実施する特定の構成要素、装置、またはシステムを説明および図示しているが、本開示は、
図7の方法の任意の好適な工程を実施する任意の好適な構成要素、装置、またはシステムの任意の好適な組み合わせを企図している。
【0070】
[0098]
図8Aは、溶液で充填することができる複数の反応チャンバ104を画定するハウジング802および温度センサ158を含むチャンバ805を有する例示的な反応容器800を示す。いくつかの実施形態では、溶液(例えば、ヌクレオチドまたは試薬を含有するもの)を反応容器800の反応チャンバ104-1および104-2に導入することができる。図示のように、反応容器800はまた、温度センサ158を含むチャンバ805を含み得る。いくつかの実施形態では、チャンバ805は、粘性流体(例えば、液体ポリマー)で充填され得る。粘性流体は、温度センサ158を反応チャンバ805内の固定位置に保つ助けをし得る。いくつかの実施形態では、粘性流体は、チャンバ805内の温度センサ158の動きをさらに防止するために硬化(および固化)することができる液体ポリマーまたは接着剤の形態をとることができる。反応チャンバ104と同様に、チャンバ805は、反応チャンバ104と共にチャンバ805を加熱するように構成された1つ以上の光吸収層と関連し得る。例えば、
図8Aに図示するように、反応容器800は、離散領域106-1a、106-1b、および106-1cを含む第1の光吸収層と、離散領域106-2a、106-2b、および106-2cを含む第2の光吸収層とを有し得る。この例では、離散領域106-1a、106-1c、106-2a、106-2cは、反応チャンバ104-1、104-2に関連し、離散領域106-1b、106-2bは、反応チャンバ805に関連している。いくつかの実施形態では、温度センサ158は、チャンバ805の平均温度を集めることを可能にする反応チャンバ805の中央領域内に置かれてもよい。いくつかの実施形態では、平均温度は、反応チャンバ805の絶対中心になくてもよく、この位置は、所望の温度センサ読み取り値を実現するために(例えば、光吸収層により近いか、またはそれからより遠い)シフトされてもよいことに留意されたい。いくつかの実施形態では、反応チャンバ104-1、104-2、および805のそれぞれは、同様のサイズであってもよく、エネルギー源204からほぼ同じ量の光を受信してもよい。したがって、それぞれがほぼ同じ量のフォトニックエネルギーを受信してもよく、場合によっては、反応チャンバ104-1、104-2、および805内の温度が実質的に同じになる。これにより、単一の温度センサ158のみを使用して、複数の反応チャンバ内の温度を正確に測定することが可能になる。チャンバ内に温度センサを有することは、場合によっては、特に熱伝達速度が非常に迅速な場合(本明細書に記載の光吸収層を伴う加熱機構の場合のように)、特に有利であり得る。反応容器の外側(例えば、反応容器が実装されるプラットフォームシステム内)に温度センサを置く従来の温度監視システムは、典型的には、そのような急速加熱機構では効果的ではなく、不正確なリアルタイム測定のために、過熱または過熱不足の問題を引き起こす可能性がある。例えば、そのようなシステムは、反応チャンバと温度センサとの間の効率的な熱伝達のために、多すぎる材料ならびに/または複数の層(例えば、反応容器のハウジングおよび/もしくはプラットフォームシステム)を含み得る。したがって、温度変化を正確に検出するのに遅延が生じる場合がある。この遅延は、反応チャンバが比較的ゆっくりと加熱される場合には許容され得るが、加熱が急速に起こる場合には許容され得ない。反応チャンバ内の条件を近似するようにチャンバ内に温度センサを置くことにより、リアルタイム測定が正確になり得る。
【0071】
[0099]
図8Bは、少なくとも2つの反応チャンバ104を画定するハウジング822と、温度センサ158を含むチャンバ805と、光拡散層806とを含む反応容器820を示す。温度センサ158は、チャンバ805内の内部温度を測定することができ得る。いくつかの実施形態では、反応チャンバ104およびチャンバ805は、同じ寸法(例えば、同じサイズおよび形状)を有するように構成されてもよく、実質的に同じである離散領域106-2a、106-2b、および106-2cを有してもよい。他の実施形態では、これらの特性のいずれかを変動し得る。いくつかの実施形態では、反応チャンバ104の内容物は、チャンバ805と異なっていてもよい。他の箇所で説明するように、チャンバ805は、チャンバ805内のセンサ158の移動を防止または低減するように、チャンバ805を予め充填するように構成され得るポッティング材料(例えば、粘性流体または硬化ポリマー材料)で充填することができる。例えば、チャンバ805は、熱またはUV硬化動作を受けることによって固体に変換することができるシラン改質ポリマーまたは液体接着剤などのポリマー材料で充填され得る。
【0072】
[0100]ポッティング材料でチャンバ805を充填することは、温度センサ158を反応チャンバ104内の所定の位置に固着し、光吸収材料から温度センサに熱を伝達する能力を提供し、その結果、温度測定がより精密になる。反応チャンバ104中の溶液をより厳密に模倣し得る水系溶液ではなくポッティング材料を使用することは、便利な再利用性を提供するという追加の利点を有する。例えば、いくつかの実施形態では、反応容器820は、多数の異なる動作の過程で再使用されるように構成され得る。これらの実施形態では、チャンバ805は、多数の熱サイクルに耐えることを可能にする材料特性を有するポッティング材料(例えば、ポリマー材料)で充填され得る。チャンバ805が、例えば、水または水系溶液で充填された場合、水または水系溶液は、温度読み取り値が経時的に精密ではないように、経時的に(例えば、特に反応容器内の多くの反応が高温で行われ得ることを考慮して)蒸発し得る。さらに、空気は、効率的な熱伝達を可能にする媒体ではなく、したがって正確な温度測定を可能にしないため、チャンバ805を空気で充填することができない。したがって、ポリマー材料などのポッティング材料が特に効果的である。
【0073】
[0101]ポッティング材料は、他の反応チャンバ104中の溶液の熱伝導率および比熱と一致するように選定することもできるが、場合によっては、正確な一致は、不可能であり得る。例えば、チャンバ805の温度プロファイルが反応チャンバ104の温度プロファイルと異なり得るように、チャンバ805中のポリマー材料の比熱は、反応チャンバ104の内容物(例えば、DNA、ポリメラーゼ酵素を含む水性PCR溶液)よりも実質的に低くなり得る。その結果、この例では、チャンバ805中のポリマー材料は、たとえ光源204a、204b、および204cが反応チャンバ104およびチャンバ805に向けて同じ量のエネルギーを導き得たとしても、他の反応チャンバ104中の水系溶液よりも速く加熱し得る。したがって、この例では、温度センサ158によって検出された温度値は、反応チャンバ104内の温度の正確な表現ではない場合がある。加熱速度のこの差を修正するために、エネルギー源とチャンバ805との間の反応容器に光拡散層806を追加することができる。例えば、
図8Bに図示するように、光拡散層806は、エネルギー源(例えば、エネルギー源204b)からの光エネルギーが離散領域106-2bに当たる前に光拡散層806を通過しなければならないように、ハウジング822の表面に沿って配置され得る。いくつかの実施形態では、光拡散層は、光拡散層に入射する光の一部を反射または散乱するように構成された材料であり得る。いくつかの実施形態では、光拡散層806は、チャンバ805中のポッティング材料の比熱と他の反応容器104内の(例えば、水系)溶液との間の差を説明するように計算された量だけ、光吸収層106-2bに入射する光の量を減少させるように特に整調することができる。これにより、光吸収層106-2bで受信する光の量が減少し、チャンバ805中のポッティング材の低い比熱を補償するのを助けることができる。いくつかの他の実施形態では、光拡散層の代わりに遮光層を使用し得る。例えば、遮光層は、エネルギー源によって伝送された光のセグメントがチャンバ805に向かって通過するのを防止する1つ以上の不透明部分を含み得る。他の実施形態では、フィルタ層を通過する光のエネルギーが低下するように、フィルタ層を用いて特定の波長の光をフィルタリングして取り除いてもよい。
図8Bに示すような構成では、チャンバ805内のポッティング材料の熱特性を補償するのを助けるために、離散領域106-2bに導かれたエネルギー源204bの出力も低減することができる。本開示は、反応チャンバ104の内容物よりも低い比熱を有するチャンバ805内のポッティング材料に焦点を当てているが、本開示は、反応チャンバ104の内容物よりも高い比熱を有するチャンバ805内のポッティング材料を有する実施形態も企図している。これらの実施形態では、反応容器は、差を補償するようにチャンバ805の熱エネルギーの吸収を増加させるように変動し得る。
【0074】
[0102]
図8Cは、反応チャンバ104とは異なるチャンバ805を画定するハウジング854を有する反応容器850を示す。図示のように、チャンバ805は、所定位置(例えば、固化したポリマー材料によって)に取り囲まれて固着された温度センサ158を含む。反応チャンバ104は、例えば、様々な化学物質および/または生物学的材料を含む溶液で充填することができる。反応チャンバ104は、エネルギー源808によって放射された光子からのエネルギーを、次いで反応チャンバ104内の熱伝導および/または対流によって熱を分配するために使用される熱エネルギーに変換するための光吸収層の離散領域106-2aおよび106-2cを含み得る。チャンバ805は、チャンバ805に熱を分配するための離散領域106-2bを含み得る。示すように、エネルギー源808は、広い領域にわたって均一に光を分配するのによく適し得るチップオンボード(COB)LEDの形態をとることができる。
【0075】
[0103]
図8Cはまた、ポッティング材料の比熱が他の反応チャンバ104内の溶液の比熱と異なる実施形態では、チャンバ805の寸法がどのように変動し得るかを示す。例えば、より低い比熱を有するポリマー材料を使用してチャンバ805を充填する場合、チャンバ805のサイズを増加し得る。チャンバ805のサイズを増加すると、離散領域106-2bから放出された熱エネルギーによって加熱されなければならない領域およびその中のポッティング材料の量が増加し、それによってチャンバ805の温度上昇速度を遅くし得る。チャンバ805の寸法を増加させると、温度センサ158に到達するために熱が移動しなければならない距離も増加し、それによって検出される温度上昇速度をさらに減少させ得る。いくつかの実施形態では、示すように、離散領域106-2bの寸法または組成は、離散領域106-2bが離散領域106-2aおよび106-2cよりも少ないエネルギーを吸収するように変動し得る。例えば、離散領域106-2bは、離散領域106-2aおよび106-2c(例えば、200nm)と比較して、低減された厚さ(例えば、100nm)を有し得る。この例では、離散領域106-2bを構成する材料の体積が減少し、これにより、貯蔵されてチャンバ805に熱伝導され得る熱の量が減少し得る。その結果、チャンバ805にエネルギーを導入できる速度が低下し、それによって反応チャンバ104よりも低い比熱を有するチャンバ805のポッティング材料の特性が補償される。別の例として、離散領域106-2bは、離散領域106-2aおよび106-2cと比較して低い速度で光エネルギーを吸収する材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、温度センサ158の位置を変動させて、温度プロファイルの差を補償することができる。例えば、温度センサ158は、温度センサ158によって測定された加熱速度を低下させるために、離散領域106-2bから離れるように付勢され得る。
【0076】
[0104]
図8Dは、光拡散層806および光反射層810を有する例示的な反応容器870を示す。反応容器870は、複数の反応チャンバ104を画定するハウジング874と、ポッティング材料(例えば、固化したポリマー材料)および温度センサ158(例えば、固化したポリマー材料によって取り囲まれ、適所に固着される)を含むチャンバ805とを含み得る。反応チャンバ104は、様々な化学物質および/または生物学的材料を含み得る溶液で充填することができる。反応容器870は、エネルギー源808によって放射された光子からのエネルギーを、次いで反応チャンバ104内の熱伝導および/または対流によって分配される熱エネルギーに変換するための複数の離散領域106-2a、106-2b、および106-2cを含む光吸収層を含み得る。
図8Dに図示するように、温度センサ158の位置は、温度センサ158によって測定される加熱速度を低下させるために離散領域106-2bから離れるように付勢することができる。
【0077】
[0105]
図8Dは、光拡散層806を示し、これは、上述したように、離散領域106-2bに到達する光の量を調整するように整調することができる。図示の例では、光拡散層806は、ハウジング部品874に入り、かつ離散領域106-2bを照らすことができる光の量を減少させる。離散領域106-2bに到達する光の量を調整するための1つのさらなる方法は、(代替的または追加的に)すべての光がハウジング874の領域を通過するのを遮断する光反射層810を含むことである。いくつかの実施形態では、示すように、光反射層を温度センサ158の真下に位置付けてもよく、これにより、温度センサ158に到達する熱量をさらに低減することができる。また、光拡散層806に入って通過できる光の量をより均一に低減する市松模様または縞模様を含む、光反射層の他の構成も可能である。いくつかの実施形態では、光拡散層806および光反射層810は、単一層に組み込むことができる。示された反応容器構成のいずれも、
図8B~
図8Dのいずれかに図示され、関連する説明に記載されたエネルギー減衰機構(例えば、光拡散層、光反射層、遮光層、フィルタ)の任意の組み合わせを含むことができることに留意されたい。示される反応容器は、エネルギー減衰機構がハウジングの外部にある(例えば、
図8Dを参照すると、光拡散層806および光反射層810は、ハウジング874の外部にある)ことを表示しているが、エネルギー減衰機構は、ハウジング内(例えば、
図8Dを参照すると、離散領域106-2bとエネルギー源808との間のハウジング874内に位置する)を含む任意の好適な場所に配置され得る。
【0078】
[0106]
図8Eは、温度センサを反応容器880のハウジング884内に埋め込むことができる実施形態を示す。温度センサは、チャンバの外側の種々の異なる位置に埋め込むことができる。例えば、
図8Eを参照すると、温度センサは、示すように、位置159-1および/または159-2でハウジング884内に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、温度センサの上に光吸収層を直接接着することによって、温度センサを位置159-2に埋め込むことができる。温度センサをこれらの位置のいずれかに埋め込むことは、温度センサがポリマー材料などのポッティング材料で充填されたそれ自体のチャンバ(例えば、
図8A~
図8Dに示すチャンバ805)内にある必要がないので、示された反応チャンバ104のすべてが通常の動作を行うことを可能にし得る。温度センサ158は、いずれの反応チャンバ104内の溶液とも直接接触していないため、温度センサが所定の動作温度範囲にわたって反応チャンバ104のうちの1つの内部の溶液の正確な温度読み取り値を提供することができるように、較正関数をその読み取り値に適用することができる。いくつかの実施形態では、温度センサは、ハウジング884に孔を開け、温度センサおよび関連する回路(例えば、導線)を挿入し、かつ孔を封止することによって、ハウジング884内に埋め込まれ得る。他の実施形態では、温度センサは、ハウジング884に直接成形され得る。
【0079】
[0107]
図8Fは、温度センサ158が反応容器880のハウジング884とは別個の異なるモジュール890内に配置される例示的な実施形態を示す。図示のように、温度センサ158は、モジュール890のチャンバ805内に配置され得る。チャンバ805は、モジュール890のハウジング892の壁によって画定され、上述のようにポッティング材料で充填することができる。このようにして、容器890は、別個の温度検知アセンブリの形態をとることができる。温度検知アセンブリをそれ自体のモジュールとして有することにより、温度センサ158の適正な較正を実現するために必要に応じて温度検知アセンブリを反応容器880に対して異なる位置に操ることが可能になる。例えば、モジュール890は、温度センサ158を取り囲むポッティング材料と反応容器104内の溶液との間の比熱の差を説明するために、エネルギー源808の近くまたはそれの遠くに位置付けることができる。別個の温度検知アセンブリを有することにより、はるかに大きな反応容器880内に組み込まれた温度センサを置き換えまたはトラブルシューティングする必要なく、温度検知アセンブリを置き換えることも可能になる。したがって、このモジュール分離は、コストを削減し、温度監視に関連する問題に対するより便利な修正を提供するのに機能し得る。いくつかの実施形態では、反応容器880およびモジュール890は、反応容器とエネルギー源808との間に明確に規定された距離(例えば、取り付け機構によって定義されるように)を実現するために(例えば、取り付け機構によって互いに直接固定される)互いに結合することができる。
図8Fに図示する例示的な実施形態では、エネルギー源808は、反応容器880およびモジュール890の両方に向かってエネルギーを導き得る。したがって、エネルギー源808が反応容器880およびモジュール890に向かってエネルギーを導くと、モジュール890の離散領域106-2bならびに反応容器880の離散領域106-2a、106-2d、および106-2cは、エネルギーを吸収し、それによって反応チャンバ104およびチャンバ805を加熱し得る。いくつかの実施形態では、複数のエネルギー源(例えば、反応容器880用の1つ以上のLEDおよびモジュール890用の別個のLED)を使用し得る。
【0080】
[0108]
図8B~
図8Fは、ただ1つの光吸収層を含む例示的な反応容器を図示しているが、本開示は、任意の数の光吸収層(例えば、
図8Aに図示するような2つの光吸収層)を企図している。さらに、任意の好適な数の光源を使用し得る(例えば、反応容器の対向する側面)。さらに、
図8A~
図8Fは、複数の離散領域を含む光吸収層を有する例示的な反応容器を図示し、各離散領域は、1つのチャンバに対応するが、本開示は、単一の光吸収層が複数のチャンバに対応し得ることを企図し、さらに、複数の離散領域が単一のチャンバに対応し得ることを企図している。
【0081】
[0109]
図9Aは、温度センサ158を含有するチャンバ805を有する例示的な反応容器980の断面の側面概略図を示す。いくつかの実施形態では、温度センサ158は、熱電対、サーミスタ、測温抵抗体(RTD)、または温度を決定するために使用され得る任意の他の好適なセンサであり得る。図示のチャンバ805は、本明細書の他の箇所で説明するようにポッティング材料(例えば、硬化ポリマー材料)で充填され得る。いくつかの実施形態では、反応容器980は、反応容器980の様々な構成要素を一緒に形成および取り付けることによって形成され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング900は、例えば射出成形のプロセスによって形成され得る。例えば、ハウジング900の頂部900-1および底部900-2を別々に射出成形し得る。この例では、両方の部分は、部分が互いに固定されたときに反応チャンバ(例えば、
図9Aには見えない反応チャンバ104)および/または温度監視チャンバ(例えば、チャンバ805)を画定する凹部を有し得る。あるいは、第1の部分のみが凹部を有してもよく、この場合、第2の部分は、第1の部分の凹部を単に重ね合わせてチャンバを作り出してもよい。頂部900-1および底部900-2が互いに固定されたときに、光吸収層が結果として生じるチャンバ(例えば、図示するようなチャンバ805)の長い内向面であるように、光吸収層(例えば、離散領域106-1および106-2を含む)を間隙上に接着またはめっきし得る。温度センサ158は、チャンバ805内の所望の位置に位置付けられ得る。いくつかの実施形態では、ポリマー材料(または任意の他の好適なポッティング材料)は、チャンバ805に注入され得る。温度センサ158が所望の位置にある間、温度センサ158が所望の位置に固着されるように、ポリマー材料を硬化および固化させ得る。頂部900-1および底部900-2は、任意の好適な手段(例えば、ねじ、接着剤、スナップ嵌め)によって互いに固定され得る。いくつかの実施形態では、
図9Aに図示するように、光拡散層806-1および806-2などのエネルギー減衰機構は、温度センサ(例えば、温度センサ158)を有するチャンバ(例えば、チャンバ805)に隣接するハウジング900に接着または他の方法で取り付けられ得る。
【0082】
[0110]
図9Bは、温度センサ158を有するチャンバ805がプロセッサ910に結合された、
図9Aに示す例示的な反応容器980の断面の俯瞰概略図を示す。図示のように、温度センサ158は、とりわけ、温度センサ158によって引き付けられる温度信号に基づいて温度値を決定するように構成され得るプロセッサ910に結合され得る。いくつかの実施形態では、温度センサ158とプロセッサ910との間に物理的接続が存在し得る。他の実施形態では、無線接続を使用して、温度センサ158からプロセッサ910に温度信号を伝送し得る。
図9Bはまた、反応容器980がチャンバ805の近くに反応チャンバ104を含み得ることを図示し、その内部温度は、チャンバ805の内部温度によって近似され得る。いくつかの実施形態では、
図9Bに図示するように、プロセッサ910は、外部にあってもよく、反応容器のハウジング900から分離する。他の実施形態では、プロセッサ910は、ハウジング900内にあってもよく、またはハウジング900に取り付けられてもよい。
【0083】
[0111]
図10は、反応容器システム1000の簡略概略図を示す。図示のように、PCB1010(例えば、
図9Bで参照されるプロセッサ910を含み得る)は、反応容器システム1000の様々な要素とインターフェースし得る。例えば、PCB1010は、1つ以上のLEDを駆動し得るLEDドライバ1020とインターフェースし得る。
図10に図示する例示的なシステムでは、LEDドライバ1020は、LED1025-1および1025-2を駆動する。この例では、LED1025-1は、温度センサ158を備えるチャンバ805に光を導くように構成され、LED1025-2は、反応チャンバ104に光を導くように構成される。チャンバ805および反応テーブル104は、反応容器のハウジング内にあってもよく、または分離されていてもよい(例えば、チャンバ805は、別個のモジュール中にあってもよい)。反応チャンバ104内で1つ以上の反応を発生し得、反応チャンバ104内の温度は、LED1025-2を調整することによって調節し得る。LED1025-1は、チャンバ805で測定された温度が反応チャンバ104内の温度を推定するために使用され得るように、LED1025-2と共に調整され得る。チャンバ805内の温度センサ158は、PCB1010(例えば、PCB1010内にあり得る
図9Bに関して説明したプロセッサ910に対して)に結合され得る。いくつかの実施形態では、
図10に図示するように、増幅器1040または任意の他の好適な回路を間に配置して、温度センサ158からの信号を適切に変調し得る。いくつかの実施形態では、
図10に図示するように、LEDドライバ1030を使用して励起LED1035を駆動してもよく、これは、反応チャンバ104内の任意の蛍光マーカー(例えば、標的分子に結合し得、したがって所与の時間におけるチャンバ104内の標的分子の存在を決定するための指標として使用され得る)に蛍光を放射させるように構成された励起光を放射するように構成され得る。放射された蛍光は、フォトダイオード1028(または任意の他の好適な発光センサ)によって検出され得る。いくつかの実施形態では、
図10に図示するように、1つ以上の光学系(例えば、光学系1027および1037)を使用して、上述のように光信号をフィルタリングまたは他の方法で改質し得る。信号モニタ1029などの回路は、フォトダイオード1028からの信号を処理するために使用されてもよく、得られた信号をPCB1010に伝送してもよい。いくつかの実施形態では、PCB1010内のプロセッサは、それが受信した様々な信号(例えば、信号モニタ1029および増幅器1040から)をさらに処理して、ユーザインターフェース/ユーザ体験装置1060(例えば、ディスプレイ装置)に送信され得る出力を決定し得る。例えば、ユーザインターフェース/ユーザ体験装置1060は、温度センサ158で検出された温度、温度センサ158で検出された温度に基づく反応チャンバ104の推定温度値(例えば、以下に説明するように較正された関数を使用して検出された温度を調整することによって)、放射された蛍光信号の存在および/または場所の表示、ならびに任意の他の好適なパラメータまたは値のうちの1つ以上を表示するための命令を受信し得る。いくつかの実施形態では、PCB1010は、反応容器内の温度を監視および調節することができるフィードバックループを駆動し得る。例えば、PCB1010は、温度センサ158から温度情報を連続的または半連続的に受信し得、温度を所望の温度範囲内に保つようにLED1025-1および1025-2を調整し得る。いくつかの実施形態では、PCBはまた、ファン1050(または他の好適な冷却装置)を動作させ得、これは、例えばクールダウン期間(例えば、より低い温度を必要とする反応またはアッセイの工程のために)中に反応容器を冷却するのを助けるために使用され得る。
図10は、PCB1010とは別個のものとしていくつかの要素を図示しているが、本開示は、これらの要素のうちの1つ以上がPCB1010の一部であってもよいことを企図している。例えば、LEDドライバ1020および1030、信号モニタ1029、ならびに増幅器1040は、PCB1010上に存在し得る。
図10は、特定の数の温度監視チャンバ(チャンバ805)、および反応チャンバ(反応チャンバ104)、LED、発光検出器などを図示しているが、本開示は、任意の数のそのような要素(例えば、温度監視用の複数のチャンバ805、複数の反応チャンバ104、複数のLED)を企図している。
【0084】
[0112]
図11Aは、ポリマー充填チャンバおよび水充填チャンバ(典型的な反応チャンバ、例えば、DNAを含む水性溶液の条件を近似すること)で行われた試験からの実験データを示す。上述したように、温度監視チャンバ(例えば、
図8A~
図8Dおよび
図8Fに図示するように、チャンバ805)内のポッティング材料(例えば、ポリマー材料)の比熱は、反応チャンバ(例えば、
図8A~
図8Dおよび
図8Fに図示するように、反応チャンバ104)内の溶液と同一の温度プロファイルを有さなくてもよい。
図11Aに見られるように、ポリマー充填チャンバおよび水充填チャンバの温度プロファイルは、一般に互いに追従するが、わずかに異なる。例えば、試験されたポリマーは、水よりも低い比熱を有し、その結果、ポリマー充填チャンバは、水充填チャンバよりも迅速に加熱される(かつ水充填チャンバよりも迅速に冷却される)。上述したように、システムは、温度監視チャンバ(例えば、チャンバもしくは光吸収層の対応する離散領域の組成もしくは寸法を変動することによって、チャンバに導かれる光を変動することによって、エネルギー減衰機構を追加することによって)に伝達されるおよび/またはそれによって吸収されるエネルギーの量を調整することによって、この温度プロファイル差を補償し得る。
【0085】
[0113]追加的または代替的に、システムは、それに応じてシステムを較正することによって温度プロファイル差を補償し得る。例えば、
図11Aに反映されたデータを得た実験などの実験を実行して、温度監視チャンバと反応チャンバとの間の差を決定し得る。次いで、これらの差を考慮してシステムは、較正され得る。例えば、システムは、温度監視チャンバ中で検出された温度値を特定の反応チャンバの推定温度値に変換するための関数を決定し得る。いくつかの実施形態では、容易な変換のために1つ以上のルックアップテーブルを構築し得る。例えば、特定の温度監視チャンバ中の100℃の温度は、特定の反応チャンバ中の97℃の温度に対応すると決定し得る。
【0086】
[0114]
図11Bは、温度監視チャンバとしてポリマー充填基準チャンバを使用した45サイクルの24回の連続PCRからの実験データを示し、これを参照して、24回の連続PCRすべてについてPCRサイクルの異なる工程を実行した。この実験では、ポリマー充填チャンバ内の温度センサから収集された温度情報を使用して、各サイクル中に様々なPCR工程のために周囲の反応チャンバをいつどれだけ加熱するかを決定した。この方法論を使用して、反応チャンバ中で24回の連続PCRを実行した。
図11Bに反映されるように、各連続PCRについて45サイクルを経るのに要した時間は、比較的一貫したままであり、標準偏差は、わずか+/-1.08秒であった。この一貫性は、多数の連続PCRサイクルの間、温度を監視するためにポリマー充填チャンバを繰り返し使用する信頼性の証拠である。対照的に、水充填チャンバ(温度センサを水性溶液を含有するチャンバ内に配置した)を温度監視チャンバとして使用すると、同じ一貫した信頼できる結果は提供されなかった。水充填チャンバに基づいた温度情報に基づいてPCRサイクルを実行すると、PCRを繰り返してPCR熱サイクル時間が大幅に変化した。これは、少なくとも部分的には、初期酵素活性化および変性温度(例えば、一般に95℃より高くてもよい)の温度がチャンバ内に気泡を生成するのに十分高く、温度の不正確な測定を引き起こしたためである。その結果、そのような温度測定値に依存すると、一貫性のない非最適な期間にわたって加熱および冷却工程が実行されることになる。例えば、所与の時点において、水充填温度監視チャンバ内の温度センサは、周囲の反応チャンバの温度より低い温度を不正確に記録する場合がある。したがって、この不正確な情報に基づいて、反応チャンバは、必要以上に長く加熱され得る。水充填温度監視チャンバを基準として使用する実験で連続的なPCRを実行したため、測定された温度は、大幅に変動し、各PCRに一貫性のない時間が生じる。
図11Bに示すように、これは、ポリマー充填温度監視チャンバの場合ではなく、24回のPCRのそれぞれは、約513.35秒かかり、標準偏差は、わずか1.08秒であった。
【0087】
[0115]
図11C~
図11Dは、異なる初期DNA鋳型濃度で、基準としてポリマー充填温度監視チャンバを使用して実行されたPCRからの実験データを示す。
図11C~
図11Dは、検出された蛍光レベルをPCRサイクルの数の関数として示す。異なる初期DNA鋳型濃度で実験を実行した。
図11Dは、
図11Cと同じデータを図示し、蛍光値は、対数スケールに沿ってグラフ化されている。
図11C~
図11Dに見られるように、10
1,10
2、10
3,10
4、10
5の初期DNA鋳型濃度および鋳型なし対照(NTC)で実験を行った。NTCは、PCR増幅なしで(蛍光色素からのバックグラウンドアーチファクトシグナルと比較して)蛍光シグナルの増加が検出されないことを証明するための対照として実行されたにすぎず、これは事実であり、
図11C~
図11Dに図示するように、この対照について蛍光シグナルの増加は検出されなかった。実験では、
図11C~
図11Dに図示するように、PCRを各初期DNA鋳型濃度について3回実行した。異なる初期DNA鋳型濃度の閾値サイクル値などの異なるデータポイントの平均を、従来のPCR法の同様のデータポイントと比較し、データが一貫して一致することが分かった。
図11C~
図11Dに図示するグラフは、一般に、試験された異なる初期DNA鋳型濃度を用いた従来のPCRについて文献が示すものと同様である。これは、本明細書に開示される反応容器の高速加熱機構によって可能にされる高速PCRが高品質の結果を提供することを図示している。すなわち、開示された高速機構を使用して異なるPCR工程を迅速に実行することは、様々なPCR工程を損なうようには見えない。その結果、より遅い従来のPCR装置と同等の堅牢な結果を有する、はるかに高いスループットのPCRが得られる。
【0088】
[0116]
図12は、温度監視アセンブリを組み立てるための方法を図示するブロック図を示す。1202において、温度センサは、反応容器の反応チャンバ内に置かれる。いくつかの実施形態では、温度センサは、反応チャンバの中央領域内に温度センサを位置付ける固着装置によって所定の位置に一時的に保持することができる。いくつかの実施形態では、複数の温度センサを単一の反応チャンバ内に位置付けることができる。これは、反応チャンバの温度が反応チャンバの異なる領域で変動すると予想される実装において有用であり得る。1204において、液体接着剤またはポリマー材料は、反応チャンバに注入され、反応チャンバを充填する。いくつかの実施形態では、液体接着剤は、シラン硬化接着剤の形態をとることができる。1206において、液体接着剤またはポリマー材料は、液体接着剤またはポリマー材料を固化させる硬化動作を受けることができる。固着装置は、ポリマー材料または接着材料に対する温度センサの位置が確立されると、硬化操作の前または間に温度センサから解放することができる。1208において、温度センサを較正することができる。温度センサの較正は、多くの方法で達成することができる。例えば、光拡散または光反射層は、反応チャンバに関連する光吸収層と、光吸収層を照らすように構成されたエネルギー源との間に置くことができる。いくつかの実施形態では、温度センサの較正は、温度センサからの読み取り値を、較正動作中に隣接する反応チャンバ内の溶液の温度を監視するために使用される較正温度センサによって取得された読み取り値と相関させるルックアップテーブルを作成することになり得る。反応チャンバのサイズおよび反応チャンバ内の温度センサの位置は、温度センサの所望の熱プロファイルを実現するために、組立動作中の様々な時点で調整することもできることを理解されたい。
【0089】
[0117]特定の実施形態は、適切な場合には、
図12の方法の1つ以上の工程を繰り返し得る。本開示は、
図12の方法の特定の工程を特定の順序で発生するものとして説明および図示しているが、本開示は、任意の好適な順序で発生する
図12の方法の任意の好適な工程を企図している。さらに、本開示は、
図12の方法の特定の工程を含む、温度監視アセンブリを組み立てるための例示的な方法を説明および図示しているが、本開示は、任意の好適な工程を含む、反応容器を製造するための任意の好適な方法を企図しており、適切な場合には、
図12の方法の工程のすべて、一部を含み得、またはいずれも含まなくてもよい。さらに、本開示は、
図12の方法の特定の工程を実施する特定の構成要素、装置、またはシステムを説明および図示しているが、本開示は、
図12の方法の任意の好適な工程を実施する任意の好適な構成要素、装置、またはシステムの任意の好適な組み合わせを企図している。
【0090】
[0118]
図13は、反応容器を製造するための例示的な方法1300を図示する。本方法は、反応容器ハウジングの第1の部分が形成され得、反応容器ハウジングの第1の部分が複数の凹部を有する工程1310で始まり得る。工程1320において、反応容器ハウジングの第2の部分は、形成され得る。工程1330において、反応容器ハウジングの第1および第2の部分は、凹部が複数のチャンバを少なくとも部分的に画定するように互いに固定され得、複数のチャンバは、反応チャンバおよび温度監視チャンバを備える。工程1340において、温度センサは、温度監視チャンバ内の所望の位置に置かれ得る。工程1350において、液体材料は、温度監視チャンバに導入され得る。工程1360において、液体材料は、温度監視チャンバ内で固化させ得る。
【0091】
[0119]特定の実施形態は、適切な場合には、
図13の方法の1つ以上の工程を繰り返し得る。本開示は、
図13の方法の特定の工程を特定の順序で発生するものとして説明および図示しているが、本開示は、任意の好適な順序で発生する
図13の方法の任意の好適な工程を企図している。さらに、本開示は、
図13の方法の特定の工程を含む、反応容器を製造するための例示的な方法を説明および図示しているが、本開示は、任意の好適な工程を含む、反応容器を製造するための任意の好適な方法を企図しており、適切な場合には、
図13の方法の工程のすべて、一部を含み得、またはいずれも含まなくてもよい。さらに、本開示は、
図13の方法の特定の工程を実施する特定の構成要素、装置、またはシステムを説明および図示しているが、本開示は、
図13の方法の任意の好適な工程を実施する任意の好適な構成要素、装置、またはシステムの任意の好適な組み合わせを企図している。
【0092】
[0120]
図14は、反応チャンバ温度を監視するための例示的な方法1400を図示する。本方法は、反応容器に関連する温度監視チャンバにわたる第1の温度が測定される工程1410で始まり得る。温度監視チャンバは、ポッティング材料で充填され得る。工程1420において、第1の温度に対応する信号がプロセッサに伝送され得る。工程1430において、プロセッサは、第1の温度に対応する第1の温度値を決定し得る。工程1440において、反応チャンバに関連する第2の温度値は、第1の温度値に基づいて推定され得る。
【0093】
[0121]特定の実施形態は、適切な場合には、
図14の方法の1つ以上の工程を繰り返し得る。本開示は、
図14の方法の特定の工程を特定の順序で発生するものとして説明および図示しているが、本開示は、任意の好適な順序で発生する
図14の方法の任意の好適な工程を企図している。さらに、本開示は、
図14の方法の特定の工程を含む、反応チャンバ温度を監視するための例示的な方法を説明および図示しているが、本開示は、任意の好適な工程を含む、反応チャンバ温度を監視するための任意の好適な方法を企図しており、適切な場合には、
図14の方法の工程のすべて、一部を含み得、またはいずれも含まなくてもよい。さらに、本開示は、
図14の方法の特定の工程を実施する特定の構成要素、装置、またはシステムを説明および図示しているが、本開示は、
図14の方法の任意の好適な工程を実施する任意の好適な構成要素、装置、またはシステムの任意の好適な組み合わせを企図している。
【0094】
[0122]前述の説明は、説明の目的のために、記載された実施形態の完全な理解を提供するために特定の命名法を使用した。しかしながら、記載された実施形態を実施するために特定の詳細が必要とされないことは、当業者には明らかであろう。したがって、特定の実施形態の前述の説明は、図示および説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、または記載された実施形態を開示された精密な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮すると、多くの修正および変形が可能であることが当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】