(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】脂肪組織から心血管疾患および治療有効性を査定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61B6/03 370Z
A61B6/03 377
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520384
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(85)【翻訳文提出日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 US2019056541
(87)【国際公開番号】W WO2020081686
(87)【国際公開日】2020-04-23
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513030879
【氏名又は名称】ハートフロー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラバット, マーク
(72)【発明者】
【氏名】テイラー, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】シャープ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フォンテ, ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】グラディー, レオ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA15
4C093CA37
4C093DA02
4C093FD03
4C093FD08
4C093FD09
4C093FD11
4C093FF16
4C093FF19
4C093FF22
4C093FF23
4C093FF28
4C093FF33
4C093FF42
4C093FG04
4C093FH02
4C093FH06
4C093FH07
(57)【要約】
システムおよび方法が、脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するために開示される。1つの方法は、患者の血管系内の着目血管床を識別するステップと、患者の識別される着目血管床の医療用画像を受信するステップと、受信される医療用画像内の脂肪組織を識別するステップと、患者の識別される着目血管床の表現を含む幾何学的血管モデルを受信するステップと、識別される脂肪組織を使用して、幾何学的血管モデルと関連付けられる、炎症指数を算出するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するための方法であって、前記方法は、
患者の血管系内の着目血管床を識別することと、
前記患者の識別される着目血管床の医療用画像を受信することと、
前記受信される医療用画像内の脂肪組織を識別することと、
前記患者の識別される着目血管床の表現を含む幾何学的血管モデルを受信することと、
前記識別される脂肪組織を使用して、前記幾何学的血管モデルと関連付けられる炎症指数を算出することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記着目血管床内の選択される脈管を受信することと、
前記脈管から定義される距離を受信することであって、前記定義される距離は、そこから脂肪組織が測定され得る前記選択される脈管からの距離である、ことと、
前記医療用画像に基づいて、前記脈管から前記定義される距離内の脂肪組織を検出することと、
前記検出される脂肪組織を定量化することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記定量化された検出される脂肪組織に基づいて、前記炎症指数を算出することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記医療用画像から、前記脈管から前記定義される距離内の脂肪組織の表現を含有するボクセルの割合を決定することと、
前記決定されるボクセルの割合に基づいて、前記検出される脂肪組織を定量化することと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記定量化された検出される脂肪組織に基づいて、前記炎症指数を算出することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記選択される脈管の中心線を検出することと、
前記選択される脈管の中心線に対して垂直である前記定義される距離に基づいて、前記脂肪組織を検出することと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記算出される炎症指数に基づいて、血流の算出を修正することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記算出される炎症指数に基づいて、患者疾患査定または治療評価を発生させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するためのシステムであって、前記システムは、
脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するための命令を記憶するデータ記憶デバイスと、
プロセッサであって、前記プロセッサは、前記命令を実行することにより、
患者の血管系内の着目血管床を識別することと、
前記患者の識別される着目血管床の医療用画像を受信することと、
前記受信される医療用画像内の脂肪組織を識別することと、
前記患者の識別される着目血管床の表現を含む幾何学的血管モデルを受信することと、
前記識別される脂肪組織を使用して、前記幾何学的血管モデルと関連付けられる、炎症指数を算出することと
を含む方法を実施するように構成される、プロセッサと
を備える、システム。
【請求項10】
前記システムはさらに、
前記着目血管床内の選択される脈管を受信することと、
前記脈管から定義される距離を受信することであって、前記定義される距離は、そこから脂肪組織が測定され得る前記選択される脈管からの距離である、ことと、
前記医療用画像に基づいて、前記脈管から前記定義される距離内の脂肪組織を検出することと、
前記検出される脂肪組織を定量化することと
を行うように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムはさらに、
前記定量化された検出される脂肪組織に基づいて、前記炎症指数を算出するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムはさらに、
前記医療用画像から、前記脈管から前記定義される距離内の脂肪組織の表現を含有するボクセルの割合を決定することと、
前記決定されるボクセルの割合に基づいて、前記検出される脂肪組織を定量化することと
を行うように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムはさらに、
前記定量化された検出される脂肪組織に基づいて、前記炎症指数を算出するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムはさらに、
前記選択される脈管の中心線を検出することと、
前記選択される脈管の中心線に対して垂直である前記定義される距離に基づいて、前記脂肪組織を検出することと
を行うように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムはさらに、
前記算出される炎症指数に基づいて、血流の算出を修正するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムはさらに、
前記算出される炎症指数に基づいて、患者疾患査定または治療評価を発生させるように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定する方法を実施するためのコンピュータ実行可能なプログラミング命令を含有するコンピュータシステム上での使用のための非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
患者の血管系内の着目血管床を識別することと、
前記患者の識別される着目血管床の医療用画像を受信することと、
前記受信される医療用画像内の脂肪組織を識別することと、
前記患者の識別される着目血管床の表現を含む幾何学的血管モデルを受信することと、
前記識別される脂肪組織を使用して、前記幾何学的血管モデルと関連付けられる炎症指数を算出することと
を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記方法はさらに、
前記着目血管床内の選択される脈管を受信することと、
前記脈管から定義される距離を受信することであって、前記定義される距離は、そこから脂肪組織が測定され得る前記選択される脈管からの距離である、ことと、
前記医療用画像に基づいて、前記脈管から前記定義される距離内の脂肪組織を検出することと、
前記検出される脂肪組織を定量化することと
を含む、請求項17に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記方法はさらに、
前記定量化された検出される脂肪組織に基づいて、前記炎症指数を算出することを含む、請求項18に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記方法はさらに、
前記医療用画像から、前記脈管から前記定義される距離内の脂肪組織の表現を含有するボクセルの割合を決定することと、
前記決定されるボクセルの割合に基づいて、前記検出される脂肪組織を定量化することと
を含む、請求項18に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、その開示全体が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2018年10月17日に出願された、米国仮出願第62/746,972号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示の種々の実施形態は、概して、心血管疾患の査定および関連付けられる方法に関する。より具体的には、本開示の特定の実施形態は、脂肪組織から心血管疾患および治療有効性を査定するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(序論)
心血管疾患は、世界全体において、主要な死因である。患者が、血管疾患を患うと、疾患の重症度および種々の治療に対するその疾患の反応性の理解が、深まり得る。血流予備量比(FFR)等の診断メトリックが、コンピュータ断層撮影画像(FFRct)から計算されることができる。これらの診断メトリックは、病変の重症度を査定するために使用され得る、機能情報を提供し得る。血管疾患の査定および治療のための技術における進歩にもかかわらず、いくつかの隔たりが、残っている。例えば、CT画像から計算されるFFRctは、患者から侵襲的に測定されるFFRと合致しない場合がある。さらに、異なる患者の疾患が、異なるレートで進行し得る(時として、プラーク破裂につながる)。患者はまた、内科および侵襲的療法に異なるように応答し得る。
【0004】
最近の研究の1つの領域は、心外膜脂肪組織(EAT)と種々の臨床的変数との間の関係を理解することに焦点を当てている。故に、脂肪組織の知識を使用して、心血管疾患の査定および治療における既存の隔たりを埋めるための願望が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
本開示のある側面によると、システムおよび方法が、脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するために開示される。脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定する1つの方法は、患者の血管系内の着目血管床を識別するステップと、患者の識別される着目血管床の医療用画像を受信するステップと、受信される医療用画像内の脂肪組織を識別するステップと、患者の識別される着目血管床の表現を含む、幾何学的血管モデルを受信するステップと、識別される脂肪組織を使用して、幾何学的血管モデルと関連付けられる、炎症指数を算出するステップとを含む。
【0006】
別の実施形態によると、システムが、脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するために開示される。本システムは、脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するための命令を記憶する、データ記憶デバイスと、患者の血管系内の着目血管床を識別するステップと、患者の識別される着目血管床の医療用画像を受信するステップと、受信される医療用画像内の脂肪組織を識別するステップと、患者の識別される着目血管床の表現を含む、幾何学的血管モデルを受信するステップと、識別される脂肪組織を使用して、幾何学的血管モデルと関連付けられる、炎症指数を算出するステップとを含む、方法を実施するための命令を実行するように構成される、プロセッサとを含む。
【0007】
さらに別の実施形態によると、脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定する方法を実施するためのコンピュータ実行可能なプログラミング命令を含有する、コンピュータシステム上での使用のための非一過性コンピュータ可読媒体が、開示される。本方法は、患者の血管系内の着目血管床を識別するステップと、患者の識別される着目血管床の医療用画像を受信するステップと、受信される医療用画像内の脂肪組織を識別するステップと、患者の識別される着目血管床の表現を含む、幾何学的血管モデルを受信するステップと、識別される脂肪組織を使用して、幾何学的血管モデルと関連付けられる、炎症指数を算出するステップとを含む。
【0008】
本開示される実施形態の付加的な目的および利点が、部分的には、続く説明に記載され、部分的には、説明から明白となる、または本開示される実施形態の実践によって習得され得る。本開示される実施形態の目的および利点は、特に、添付の請求項において指摘される要素および組み合わせを用いて実現および達成されるであろう。
【0009】
前述の一般的説明および以下の詳細な説明が両方とも、例示的かつ説明的であるにすぎず、請求されるように、開示される実施形態を制限するものではないことを理解されたい。
【0010】
本明細書の一部に組み込まれ、その一部を構成する、付随の図面は、種々の例示的実施形態を図示し、説明とともに、開示される実施形態の原理を解説する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示のある実施形態による、脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するための例示的システムおよびネットワークのブロック図である。
【0012】
【
図2】
図2は、本開示のある実施形態による、患者の炎症指数を算出するための例示的方法である。
【0013】
【
図3】
図3は、本開示のある実施形態による、脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するための例示的方法である。
【0014】
【
図4】
図4は、本開示のある実施形態による、血流モデルの境界条件のための基礎を提供する、例示的血管モデルを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態の説明)
その実施例が付随の図面に図示される、本開示の例示的実施形態が、ここで、詳細に参照されるであろう。可能な限り、同一の参照番号が、同一または同様の部分を指すために、図面の全体を通して使用されるであろう。本明細書で使用されるように、用語「例示的(exemplary)」は、「理想的(ideal)」ではなく「例示的(example)」の意味で使用される。
【0016】
心血管疾患は、世界全体において、主要な死因である。心血管疾患のための診断メトリック(例えば、FFRct)が、CT画像、例えば、コンピュータ断層撮影血管造影検査(CTA)画像から計算され得る。患者画像(例えば、CTA)もまた、狭窄の程度、その狭窄と関連付けられるプラーク組成、および局所血管床内に存在する脂肪組織の量および組成を含む、患者の疾患に関する実質的な情報を明らかにし得る。本開示は、患者の脂肪組織に関する情報を活用し、心血管疾患の査定および治療を改良することを目的とする。本実施形態は、計算されたFFRctが、侵襲的に取得されたFFRとより良好に合致し得るように、患者の脂肪組織に関する情報を使用し、血流メトリックの正確度(例えば、FFRct計算の正確度)を改良するためのシステムおよび方法を説明する。本実施形態はまた、患者の脂肪組織に関する情報を使用し、患者の疾患進行度および療法への応答をより良好に予測するためのシステムおよび方法も含む。
【0017】
特に、本システムおよび方法は、患者の脂肪組織の体積、場所、組成、および他の臨床的変数との関係の表現としての役割を果たし得る、患者固有の炎症指数を算出するステップを説明する。各患者の炎症指数は、患者の疾患を査定する、治療に対する患者の反応性を予測する、および患者のためのFFRct算出の正確度を改良することに役立ち得る。
【0018】
ここで図を参照すると、
図1は、脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するための例示的システムおよびネットワークのブロック図を描写する。具体的には、
図1は、そのうちのいずれかが、1つ以上のコンピュータ、サーバ、および/またはハンドヘルドモバイルデバイスを通してインターネット等の電子ネットワーク100に接続され得る、複数の医師102およびサードパーティプロバイダ104を描写する。医師102および/またはサードパーティプロバイダ104は、1つ以上の患者の心臓系および/または血管系の画像を生成または別様に取得し得る。医師102および/またはサードパーティプロバイダ104はまた、年齢、医療履歴、血圧、血液粘度等の患者固有の情報の任意の組み合わせを取得し得る。医師102および/またはサードパーティプロバイダ104は、電子ネットワーク100を経由してサーバシステム106に心臓/血管画像および/または患者固有の情報を伝送し得る。サーバシステム106は、医師102および/またはサードパーティプロバイダ104から受信される画像およびデータを記憶するための記憶デバイスを含み得る。サーバシステム106はまた、記憶デバイス内に記憶される画像およびデータを処理するための処理デバイスも含み得る。代替として、または加えて、本開示(または本開示のシステムおよび方法の一部)は、外部サーバまたはネットワークがない状態で、ローカル処理デバイス(例えば、ラップトップ)上でも実施され得る。
【0019】
図2および3は、患者の炎症指数を算出および適用するステップのフローチャートを描写する。特に、
図2は、医療用画像データおよび患者の解剖学的構造の血管モデルに基づいて、患者のための炎症指数を算出する例示的方法200のフローチャートである。
図3は、算出される炎症指数を使用し、患者の疾患または治療に対する反応性を査定するための例示的方法300のフローチャートである。
図2および3の方法は、電子ネットワーク100を経由して医師102および/またはサードパーティプロバイダ104から受信される情報、画像、およびデータに基づいて、サーバシステム106によって実施され得る。
【0020】
図2は、本開示の例示的実施形態による、炎症指数を算出するための例示的方法200のフローチャートである。一実施形態では、ステップ201は、電子記憶媒体を使用して、患者の着目血管床の医療用画像を受信するステップを含み得る。例えば、ステップ201は、患者および患者の血管系内の着目血管床を識別するステップを含み得る。着目血管床の医療用画像が、次いで、受信され得る。受信される医療用画像は、1つ以上の心位相および1つ以上の画像再構成における、冠状動脈コンピュータ断層撮影血管造影検査(CTA)画像、1つ以上の心位相および1つ以上の画像再構成における、非造影心臓コンピュータ断層撮影法(CT)画像、造影の有無を問わない、二重エネルギー(または多重エネルギー、スペクトル式)心臓CT、1つ以上の心位相および1つ以上の撮像プロトコルにおける、心臓磁気共鳴画像(MRI)等を含み得る。頭部、頸部、胸部、腹部、骨盤、または脚部等の他の血管床に関する類似CT、CTA、またはMRI画像もまた、患者の着目血管床の医療用画像として受信され得る。
【0021】
例示的ステップ203は、受信される医療用画像内の脂肪組織を識別するステップを含み得る。識別は、例えば、既知の脂肪画像強度範囲内で受信される画像を閾値化すること、脂質/水分分離システムをMRI受信画像に適用し、MRI内の脂肪組織の場所を識別すること、受信される画像内の脂肪組織の場所を識別するように機械学習分類器を訓練すること等の方法を介して実施され得る。既知の脂肪画像強度範囲内で画像を閾値化するステップは、例えば、ハウンスフィールド単位(HU)の形態において、信号強度に基づいて、受信される医療用画像内の脂肪組織を記載するステップを含み得る。いくつかの形態の撮像では、脂肪組織は、負のHU密度値によって表され得る一方、非脂肪組織構造は、正のHU範囲内にあり得る。例えば、-190~-30HUの負の範囲の表示閾値をプロンプトすることが、ステップ203の例示的実施形態において、CT走査スライス内の脂肪組織の推測値を示し得る。
【0022】
代替として、または加えて、ステップ203のための脂肪組織を識別するステップは、分離システムを受信される画像に適用するステップを含み得る。分離システムは、脂質/水分分離システム、例えば、脂質分画マップを備え得る。例示的脂質分画は、MR信号強度係数、例えば、脂質からの水素陽子の密度、可動脂質と関連付けられる陽子信号、種々の陽子種からの水素陽子密度等に基づく、陽子密度脂質分画マップを含み得る。他の形態の脂肪組織区画化が、自動化または半自動化アルゴリズムおよび機械学習技法を採用し、受信される画像内の脂肪組織を検出し得る。バイアス場補正、クラスタリング、閾値化、分類、エッジ検出、およびマスキングステップ/アルゴリズムが、機械学習を採用し得る、自動化脂肪組織区画化において使用され得る。
【0023】
一実施形態では、ステップ203は、受信される医療用画像の着目領域(ROI)内の脂肪組織を識別するステップを含み得る。着目領域は、受信される医療用画像全体を含み得る。ある場合には、医療用画像全体が、具体的なROIがユーザまたは他のデフォルト設定によって入力されない場合、デフォルトROIとして設定されてもよい。別の例示的ROIは、心内膜の内部、心膜の内部、外側脈管壁、他の筋肉(例えば、脚筋肉、腕筋肉等)、または他の器官(例えば、脳、腎臓、肝臓、腸、脾臓等)等の着目血管床を含み得る。さらに別のROIは、ユーザ、自動化機械学習アルゴリズム、サードパーティソフトウェアパッケージ、デフォルト設定等によって識別/入力される、受信される医療用画像の面積または小区分を含み得る。脂肪組織を識別するステップに加えて、ステップ203は、ROI内の脂肪組織の場所を識別および記憶するステップを含み得る。例えば、ステップ203は、受信される医療用画像またはROIをグリッドまたは座標系と関連付けるステップと、脂肪組織の場所を、受信される医療用画像のグリッド/座標系に対して記載するステップとを含み得る。
【0024】
ステップ205は、電子記憶媒体を使用して、受信される医療用画像内の場所と関連付けられる、パラメータ化された幾何学的血管モデルを受信するステップを含み得る。幾何学的血管モデルは、患者の識別される着目血管の表現を含み得る。血管モデルは、管腔、内/外弾性板、プラーク堆積物、または外壁等の着目脈管/血管床の任意の成分を表す、脈管モデルを含み得る。1つの例示的パラメータ化は、各中心線の場所が、加えて、脈管半径によってパラメータ化される、脈管中心線場所の座標によってパラメータ化された、血管モデルを含み得る。別の例示的パラメータ化は、脈管と関連付けられる、受信される医療用画像内のボクセルを識別することによってパラメータ化される、血管モデルを含み得る。
【0025】
ステップ207は、識別される脂肪組織を使用して、幾何学的血管モデルと関連付けられる、炎症指数を計算または算出するステップを含み得る。例えば、ステップ207は、(例えば、ステップ203の)受信される医療用画像内の脂肪組織に関する情報を使用して、(例えば、ステップ205の)幾何学的血管モデル(または脈管中心線)内の1つ以上の場所と関連付けられる(またはそれに対応する)、炎症指数を計算するステップを含み得る。炎症指数は、EAT肥大およびEAT炎症の両方を考慮することを含む、EAT組成を考慮し得る。CT画像から抽出されるEAT体積が、EAT肥大を測定するために使用されることができ、EATの画像強度が、EAT炎症のステータスに関する情報を提供することができる。1つの事例において、炎症指数は、抽出されるEAT体積/肥大に基づいて増加され、別の要因によって、EAT炎症のステータスに基づいて増加され得る。1つの例示的場合として、患者は、大きいが比較的に炎症を起こしていない体積、または小さい炎症を起こした体積を有し得る。そのようなシナリオにおいて、患者の炎症指数は、大きいEAT体積を反映するように増加され得るが、その体積が比較的に炎症を起こしていないため、第2の要因によって増加されない場合がある。EAT体積がまた、炎症を起こしている場合、炎症指数は、炎症を反映するように、第2の要因によって増加され得る。当業者は、他の実施形態が、EAT体積/肥大またはEAT炎症ステータスが炎症指数の低減を伴い得るように、炎症指数を定義するステップを含み得ることを認識し得る。
【0026】
炎症組織の分布が、患者にとって不均質であり得るため、患者の炎症指数は、受信される画像内の着目領域、着目血管床、着目血管床内の規定/選択される血管場所または脈管、および識別される脂肪組織の面積に応じて変動し得る。患者は、その身体の異なる面積および場所に関して異なる炎症指数を有し得る。
【0027】
本炎症指数は、複数の方法で計算され得る。1つの方法は、着目血管床内の選択される脈管を受信するステップと、脈管からの定義される距離を受信するステップと、(受信される医療用画像に基づいて)脈管から定義される距離内の脂肪組織を検出するステップと、検出される脂肪組織を定量化するステップとを含み得る。
【0028】
受信された定義される距離は、そこから脂肪組織が測定され得る、選択される脈管からの距離から成り得る。例えば、定義される距離は、そこから脂肪が測定され得る、選択される脈管の中心線からの半径を含み得る。本定義される距離は、脂肪組織が、脈管に直接隣接していない、または、例えば、脈管壁によって脈管の範囲内に境界されない場合があるため、定義され得る。むしろ、心外膜脂肪組織は、患者の心臓の心外膜面と患者の心膜の臓側面との間に存在する、患者の心膜嚢によって完全に封入されている、冠状動脈を囲繞している、患者の心臓の近傍にある、または患者の縦隔内にある、またはそれらの組み合わせであり得る。本明細書における実施形態は、心外膜脂肪組織を、任意の心膜脂質堆積物を含むものとして言及し得、外膜層に近接する、または血管の外側における、傍心臓、胸腔内、縦隔の脂質および任意の他の脂肪組織堆積物を含むように拡張されることができる。故に、距離範囲は、脂肪組織が観察され得る面積を、選択される脈管または着目血管床に影響を与えるものとして定義するために使用され得る。定義される距離は、脂肪組織が観察され得る面積を特徴付け得る。定義される距離は、ユーザによって入力される、または自動的に提供され得る。定義される距離は、所望の炎症指数に応じて変動し得る。例えば、所与の治療を評価するための血管モデル内の具体的場所に関する炎症指数は、短い定義された距離を含み得る。血管床全体を評価するための炎症指数は、所与の治療を評価するための定義される距離に対して、長い定義される距離を含み得る。
【0029】
ステップ207は、規定される距離内の脂肪組織の量を定量化するステップを含み得る。代替として、または加えて、ステップ207は、割合に対する各脂肪の場所の寄与が、その選択される脈管までの距離によって加重される、定義される距離内の脂肪組織の加重量を定量化するステップを含み得る。例えば、脂肪組織は、選択される脈管に近接近して5倍、および抽出または識別されるEAT体積の限界または境界において1倍に加重され得る。「近接近性」は、事前に設定される、自動的に決定される、またはユーザ入力される距離範囲によって定義され得る。炎症指数は、定量化された検出される脂肪組織に基づいて算出され得る。
【0030】
ステップ207の別の実施形態は、脂肪組織を含有する、定義される距離内のボクセルの割合を定量化するステップ、および/または脂肪組織を含有する、定義される距離内のボクセルの加重された割合を定量化するステップを含み得、ボクセルの割合に対する各ボクセルの寄与が、脈管までの距離によって加重される。例えば、ステップ207は、医療用画像から、脈管から定義される距離内の脂肪組織の表現を含有する、ボクセルの割合を決定するステップを含み得る。検出される脂肪組織は、次いで、ボクセルの決定される割合に基づいて、本ステップ207のために定量化され得る。ステップ207は、定量化された検出される脂肪組織に基づいて、炎症指数を算出するステップを含み得る。
【0031】
ステップ207はまた、選択される脈管の脈管中心線を使用し、脂肪組織に対して法線(例えば、垂直)である脈管の中心線からの距離を計算するステップを含み得る。本脈管法線を使用して、法線方向の脂肪組織の距離加重または距離非加重の割合または絶対量が、算出され得る。例えば、ステップ207は、選択される脈管の中心線を検出または受信するステップと、選択される脈管の中心線に対して垂直である定義される距離に基づいて、脂肪組織を検出するステップとを含み得る。方法200は、着目血管床内の1つ以上の脈管場所に関する炎症指数を計算するステップを含み得る。炎症指数は、任意の定義される距離を使用して、炎症を計算するための任意の方法を使用して算出され得る。
【0032】
図3は、本開示の例示的実施形態による、脂肪組織に基づいて心血管疾患および治療有効性を査定するための例示的方法300のフローチャートである。方法200は、患者体内の脂肪組織のインジケータとして、炎症指数を算出するステップを議論した。方法300は、これらの算出される炎症指数に基づいて、血流の算出を改良するステップを伴う。方法300はさらに、改良された血流の算出を使用し、患者の疾患および治療を査定するステップを伴う。
【0033】
一実施形態では、ステップ301は、具体的には患者の着目血管床と関連付けられる、物理ベースの計算流体動態モデルを含む、血流モデルを受信するステップを含み得る。例えば、血流モデルは、(例えば、ステップ205からの)パラメータ化された幾何学的血管モデルに基づき得る。そのようなシナリオにおいて、血流モデルは、患者固有であり得、血流モデルが、例えば、幾何学的血管モデルからの患者の解剖学的構造と直接関連付けられ得ることを意味する。各患者は、血流モデルが、患者の一意の解剖学的構造によって決定され得るため、明確に異なる血流モデルを有し得る。血流モデルの種々の実施形態が、例えば、「Method and System for Patient-Specific Modeling of Blood Flow」と題され、2012年11月20日に発行された、米国特許第8,315,812号(参照することによってその全体として組み込まれる)に開示されている。
【0034】
ステップ301の血流モデルは、境界条件を含み得る。境界条件は、その境界、例えば、流入境界422(
図4)、流出境界424(
図4)、脈管壁境界426(
図4)等における、血流モデルに関する情報を提供し得る。流入境界422は、それを通して流動が、大動脈基部の近傍の大動脈の端部等における、幾何学的血管モデル400の解剖学的構造の中に指向される、境界を含み得る。各流入境界422は、例えば、心臓モデルおよび/または集中定数モデルを境界等に結合することによって、速度、流率、圧力、または他の特性に関して処方値またはフィールドを割り当てられ得る。流出境界424は、それを通して流動が、大動脈弓の近傍の大動脈の端部および主冠動脈の下流端部およびそこから延在する分枝部等の3次元モデルの解剖学的構造から外向きに指向される、境界を含み得る。各流出境界は、例えば、集中定数または分散(例えば、一次元波動伝搬)モデルを結合することによって割り当てられ得る。流入および/または流出境界条件に関する処方値は、限定ではないが、心拍出量(心臓からの血流の体積)、血圧、心筋質量等の患者の生理的特性を非侵襲的に測定することによって決定され得る。脈管壁境界は、幾何学的血管モデル400の大動脈、主冠動脈、および/または他の冠状動脈または脈管の物理的境界を含み得る。
【0035】
ステップ303は、(例えば、ステップ207の)算出される炎症指数に基づいて、血流の算出を修正するステップを含み得る。一実施形態では、血流モデルの1つ以上の境界条件は、充血の間の微小血管の応答の減少を反映するように修正され得る。ステップ303に関して、次いで、微小血管抵抗の境界条件が、脈管内の平均(中央値、最大)炎症指数に基づいて減少され、化学的に誘発される充血または運動からの拡張を表し得る。微小血管抵抗はまた、炎症指数に基づいて増加され、脈管内の狭小化、閉塞、または狭窄を表し得る。
【0036】
患者の炎症指数に基づいて修正される境界条件を有する血流モデルは、血流メトリック、例えば、(FFRctを含む)血流予備量比を算出するために使用され得る。代替として、または加えて、ステップ303は、修正される境界条件を使用し、血流メトリック、例えば、FFRct値を再算出するステップを含み得る。再計算される血流メトリックは、炎症指数の含有が診断の正確度を改良するかどうかを決定するために評価され得る。例えば、再算出されるFFRが、侵襲的に測定されたFFRと比較され得る。患者の炎症指数に基づいて修正される境界条件を使用することを用いて再算出されたFFRが、炎症指数に基づいて修正される境界条件を用いずに算出されたFFRとより密接に合致する場合、炎症指数が、非侵襲的FFR算出の正確度を改良するために使用され得るという1つの結論が、成され得る。そのような評価は、FFR以外の血流メトリックのために行われ、炎症指数が、例えば、脈管壁の剪断応力、軸方向力、血圧、血圧勾配、経管的減衰勾配、プラーク破裂リスク、塞栓のリスク等の血流メトリクスの非侵襲的な、シミュレートされた、または予測された算出を改良し得るかどうかを決定し得る。機械学習方法が、生理学的境界条件における炎症指数パラメータを調節するために使用され得る。例えば、機械学習技法が、測定される血流メトリックに対する算出される血流メトリック、例えば、(侵襲的に)測定されるFFRデータに対する算出されるFFRの予期される正確度を最適化するために使用され得る。
【0037】
ステップ305は、算出される炎症指数に基づいて血流の算出を実施するステップを含み得る。例えば、ステップ305は、ステップ303の修正された血流の算出を実施するステップを含み得る。ステップ307は、炎症指数を使用し、患者の心血管疾患および治療に対する応答を査定するための複数の方法を含み得る。例えば、ステップ307は、(例えば、方法200から算出される)炎症指数に基づいて、患者の疾患査定または治療有効性の測定値を決定するステップを含み得る。ステップ307はまた、患者の疾患査定または治療有効性の決定される測定値をディスプレイまたは電子記憶デバイスに出力するステップを含み得る。電子記憶デバイスは、例えば、サーバシステム106、サードパーティプロバイダ104、および/または医師102を含む、
図1の当事者のうちの1つ以上のものによってアクセスされ得る。ステップ307のいくつかの事例または患者の疾患または治療を査定するための算出される炎症指数の使用が、下記に含まれる。これらのステップのいずれかが、方法200の例示的ステップと併せて使用され得る。
【0038】
一実施形態では、方法200および/または300は、充血の間の微小血管の応答の減少を反映するように、血流モデルの境界条件を修正するステップを含み得る。具体的には、脈管内の平均(中央値、最大)炎症指数が、使用され、選択される脈管内の微小血管抵抗の値を含む境界条件を増加または減少させ、化学的に誘発される充血または運動からの拡張を反映し得る。例えば、脂肪組織のタイプ、体積、または組成が、安静条件下で血管収縮している、または増加した血流に伴って血管収縮していない脈管と関連付けられ得る。より大きい脈管が、脂肪組織から、安静条件下で血管収縮し得る。それに応答して、微小血管抵抗が、低下し、大きい脈管の収縮を補償し得る。次いで、充血または運動の間、微小血管抵抗は、微小血管抵抗が、典型的または健康な患者の安静状態では、すでに微小血管抵抗より低いため、炎症を起こしていない、または低脂肪組織面積/患者より(安静状態の微小血管抵抗から充血/運動状態まで)低く減少し得る。算出される炎症指数は、患者の脂肪組織を反映するため、選択される脈管内の微小血管抵抗は、患者の算出される炎症指数に基づいて、脈管の収縮機能に対応するように調節され得る。血流の算出が、次いで、修正される境界条件を伴う血流モデルを使用して実施され得る。いくつかの実施形態では、血流の算出は、FFRct計算を含み得る。この場合、疾患査定の測定値が、修正された、結果として生じるFFRctスコアとなるであろう。
【0039】
別の実施形態では、ステップ307は、算出される炎症指数に基づいて、診断血流メトリックの解釈または閾値を修正するステップを含み得る。(炎症指数によって示される、定量化される、または測定される)心外膜脂肪組織が、冠状動脈疾患に結び付けられ得るため、患者の算出される炎症指数は、その他の診断血流メトリックが解釈される方法に影響を及ぼし得る。
【0040】
例えば、FFRctの診断血流メトリックに関して、0.75または0.8より低いFFRctスコアが、一般的には、虚血が、侵襲的または介入的測定が推奨され得る重症度レベルにある、患者体内の虚血のインジケータであると見なされる。侵襲的測定は、血管形成またはステント留置を含み得る。0.8より高いFFRctスコアは、健康な患者、または少なくとも侵襲的介入を正当化するほど十分に重症ではない脈管閉塞を示すものとして見なされ得る。ステップ307のいくつかの実施形態では、算出される炎症指数は、従来の血流メトリック閾値を「較正」するために使用され得る。例えば、0.8が、一般的に使用されるFFRct閾値である場合、1つのシナリオは、FFRct閾値スコアを、患者の算出される炎症指数に照らして、0.83まで調節するステップを伴い得る。
【0041】
言い換えると、本特定の患者に関して、0.83(またはより低い)FFRctスコアが、侵襲的治療が0.8またはより低いFFRctスコアを伴う患者のみのために提案され得るFFRctの現在の使用と対照的に、侵襲的治療のための推奨をプロンプトし得る。1つの特定の実施形態は、例えば、ユーザ/患者の母集団に関して計算される炎症指数に基づいて、閾値炎症指数を決定するステップを含み得、閾値炎症指数は、「高」炎症指数対「低」炎症指数間の客観的区分を表し得る。高炎症指数は、患者の心外膜脂肪組織が、その冠状動脈疾患の発生を増加させている、脂肪組織の数量または場所を示し得る一方、低炎症指数は、患者の心外膜脂肪組織が、その冠状動脈の健全性に悪影響を及ぼしていない場所を示し得る。本実施形態では、ユーザの算出される炎症指数が、決定される閾値炎症指数を超過している場合、そのFFRct閾値スコアもまた、0.8の従来の閾値から調節され得る。例えば、調節されたFFRct閾値スコアは、患者の炎症指数が閾値炎症指数を超過している場合、(0.8ではなく)0.83であり得る。
【0042】
ある場合には、診断メトリック調節は、炎症指数の関数を診断メトリック(例えば、炎症指数が決定される脈管内の計算されるFFRct)に加算または減算するステップを伴い得る。ステップ307のこの場合、患者の疾患査定のための測定値は、修正される診断メトリック閾値スコア(例えば、調節されるFFRct閾値)に対する患者の血流メトリック(例えば、算出されるFFRct)を含み得る。
【0043】
ステップ307の別の実施形態は、機械学習を使用し、脈管内の炎症指数が心臓疾患に対応する様子を理解するステップを含み得る。例えば、ステップ307は、機械学習および脈管内の算出される炎症指数を使用し、患者の選択される脈管内のプラークの局所的な進行または退行を予測するステップを含み得る。機械学習技法を訓練するための1つのアプローチは、局所炎症指数が第1の炎症指数閾値を上回る場合、プラークが進行している、および局所炎症指数が第2の炎症指数閾値を下回る場合、プラークが退行していると予測するステップを含み得る。第1の炎症指数閾値および第2の炎症指数閾値は、事前設定される、ユーザによって入力される、機械学習プロセスから学習される、母集団データによって立証される、またはそれらの組み合わせであり得る。この場合、治療有効性の測定値を示す、例示的出力は、患者が治療されていない場合のプラークの進行/退行の予測を含み得る。
【0044】
ステップ307のさらに別の実施形態は、炎症指数を使用し、プラーク破裂(プラーク脆弱性)の尤度を査定するステップを含み得る。本査定は、プラークに局所的な炎症指数に関して機械学習を使用し、破裂を予測することによって実施され得る。代替として、または加えて、本査定は、プラーク壁強度と比較してプラーク応力(軸方向、壁剪断等)を算出または計算するステップを含み得る。そのようなシナリオにおいて、プラーク壁強度は、患者が高炎症指数を有する場合、算出上、低下されたものとして扱われ得る。前述で説明されたように、「高炎症指数」は、患者の算出される炎症指数が所定の「高」炎症指数閾値を超過する場合であり得る。ある場合には、プラーク壁強度は、高炎症指数が識別されると、事前設定される量だけ低下され得る。他の算出では、プラーク壁強度は、患者の炎症指数が高炎症指数閾値を超過する範囲に対応する量だけ低下され得る。
【0045】
手短に言えば、ステップ307は、算出される炎症指数に基づいて、患者の疾患査定または治療評価を発生させるステップを包含し得る。炎症指数、患者の疾患査定、または治療評価の精密な使用は、上記に詳述されるものを含む、多くの形態をとり得る。
【0046】
要約すると、患者の心外膜脂肪組織は、その心血管疾患のリスクに影響を及ぼし得る。心外膜脂肪組織はまた、治療に対する患者の反応性にも影響を及ぼし得る。開示されるシステムおよび方法は、患者体内の心外膜脂肪組織の影響を考慮することによって、これまでの心血管疾患査定および治療を改良する。特に、開示される実施形態は、患者毎に炎症指数を算出し、患者の心外膜脂肪組織を表すステップを説明する。本開示はさらに、算出される炎症指数を使用し、心血管の診断、予測、および治療推奨を改良するための方法を説明する。
【0047】
本発明の他の実施形態も、本明細書に開示される発明の明細書および実践の考慮から当業者に明白となるであろう。本明細書および実施例が、例示的にすぎないものとして見なされ、本発明の真の範囲および精神が、以下の請求項によって示されていることが意図されている。
【国際調査報告】