(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】スマート・ベッド・システム
(51)【国際特許分類】
A61G 7/005 20060101AFI20220105BHJP
A61G 7/018 20060101ALI20220105BHJP
A61G 7/043 20060101ALI20220105BHJP
A47C 20/04 20060101ALI20220105BHJP
A47C 17/04 20060101ALI20220105BHJP
A47C 27/10 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61G7/005
A61G7/018
A61G7/043
A47C20/04 B
A47C17/04 C
A47C27/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520417
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(85)【翻訳文提出日】2021-06-05
(86)【国際出願番号】 AU2019051096
(87)【国際公開番号】W WO2020073091
(87)【国際公開日】2020-04-16
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521148452
【氏名又は名称】センタードアラウンドユー プロプライアタリーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【氏名又は名称】栗原 潔
(72)【発明者】
【氏名】ニキル アウター
(72)【発明者】
【氏名】ニック レイビー
【テーマコード(参考)】
3B096
4C040
【Fターム(参考)】
3B096AA02
3B096AB01
3B096AD03
4C040AA01
4C040AA05
4C040AA18
4C040BB01
4C040BB06
4C040CC03
4C040DD04
4C040EE02
4C040EE05
4C040GG15
(57)【要約】
本明細書では、既存の従来型ベッド・フレーム(102)および/またはマットレス(104)に関連して共に動作する、または独立して動作することができる多数の異なる要素を含む、スマート・ベッド・システム(100)について説明する。ベッド・システム(100)は、傾斜可能なベッド装置(200)を含み、この装置は、既存のベッド・フレーム(202)またはマットレス上に位置し、患者またはユーザーの選択的な傾斜/リクライニングを提供するように構成されている。センサー・マット・システム(300)は、マットレス(104)上に位置するように適合されている。センサー・マット・システム(300)は、患者の位置および動きを感知するための複数の異なる層を含む。膨張式ブラダー・システム(400)は、ベッド・システム(100)を使用する患者が経験する位置または圧力を選択的に調整するための、複数の膨張式セルを含む。支持レール・システム(900)は、ベッドの中でユーザーを支持する。マイクロコントローラー(600)は、ベッド・システム(100)に関連する様々な制御およびデータ処理動作を行う。ベッド・システム(100)の様々な制御のためのユーザー入力は、マイクロコントローラー(600)とデータ通信しているリモート・コントロール(700)から提供されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド・フレームまたはそのマットレスと支持的に係合するベースと、
前記ベースにヒンジ式に取り付けられ、ユーザーを支持するための支持基板と係合するように適合された支持アームと、
あらかじめ定義された複数の角度位置の間で、支持アームをベースに対して選択的に回転させるように構成された作動システムとを含む、
ベッド・フレーム上に設置されるように構成された傾斜可能なベッド装置。
【請求項2】
前記ベースは、前記ベッド・フレームの長さに沿って少なくとも部分的に延在する少なくとも1つの長手方向に延在するベース部材を含む、
請求項1に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項3】
前記支持アームは、前記ベッド・フレームの長さに沿って少なくとも部分的に延在する少なくとも1つの長手方向に延在する支持部材を含む、
請求項2に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項4】
前記ベースは、前記ベッド・フレームの長さに沿って少なくとも部分的に延在する複数の長手方向に延在するベース部材を含む
請求項3に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項5】
前記支持アームは、前記ベッド・フレームの長さに沿って少なくとも部分的に延在する複数の長手方向に延在する支持部材を含む
請求項4に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項6】
前記支持アームは、前記長手方向に延びる支持部材と離脱可能に係合する複数の実質的に平面状の支持パネルを含む、
請求項5に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項7】
前記平面状の支持パネルは、一方の側に係合開口部を含み、他方の側に係合突起を含み、前記係合開口部は、隣接する支持パネルから対応する係合突起を受け入れるように構成されている、
請求項6に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項8】
前記長手方向に延びるベース部材の少なくとも一部が、長手方向に長さを調整可能である、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項9】
前記長手方向に延びるベース部材の少なくとも一部が、伸縮自在に長さを調整可能である、
請求項8に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項10】
前記ベースは、平行に配置された3つの長手方向に延びるベース部材を含み、前記支持アームは、平行に配置された3つの長手方向に延びる支持部材を含む、
請求項4から9のいずれか1項に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項11】
2つの外側ベース部材が伸縮自在に長さを調整可能であることを特徴とする傾斜可能なベッド装置。
請求項10に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項12】
作動システムが2つの外側ベース部材の中間の中央ベース部材に取り付けられ、作動システムが2つの外側支持部材の中間の中央支持部材に機械的に接続されている、
請求項10または請求項11に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項13】
ベースが、ベッド・フレームの幅にわたって長手方向に延びるベース部材の間で横方向に延びる横方向ベース部材を含み、支持アームが、ベッド・フレームの幅にわたって長手方向に延びる支持部材の間で横方向に延びる横方向支持部材を含む、
請求項4から請求項12のいずれか一項に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項14】
横方向ベース部材および横方向支持部材は、横方向に長さが調整可能である、
請求項13に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項15】
前記側方ベース部材および前記側方支持部材は、伸縮自在に長さが調整可能であることを特徴とする傾斜可能な、
請求項13に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項16】
ベースがストラップによってベッド・フレームと係合している、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項17】
2つの前記外側ベース部材が、支持基板の端部を支持的に係合するための垂直に延びる足を含む、請求項8、請求項9、または、請求項11に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項18】
前記支持基材がマットレスである、請求項17に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項19】
前記支持基材が、複数の別々に膨張式セルを含む空気ブラダーである、
請求項17に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項20】
セルがベッド・フレームの表面を横切るように配置されていることを特徴とする、
請求項19に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項21】
前記セルが複数の垂直な層に配置されている、請求項19または請求項20に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項22】
前記作動システムが、前記ベースと前記支持アームとの間に接続されるアクチュエーター・アームを直線的に伸縮させるように構成された電動リニア・アクチュエーターを含む、
請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の傾斜可能なベッド装置。
【請求項23】
複数の膨張式セルと、
ガス供給源からのガスをセルに選択的に供給するガス供給システムであって、
ガス供給源に接続された1つまたは複数のポンプと、
前記1つまたは複数のポンプと前記膨張式セルの少なくとも一部との間に接続された複数のガス供給ラインと、
前記ガス供給ラインのそれぞれに配置され、電気制御信号に反応してバルブを選択的に開閉し、膨張式セルにガスを供給する複数の電気的に作動可能なバルブと、
前記電気制御信号を生成するように構成された膨張制御マイクロコントローラーとを
含む膨張式ブラダー・システム。
【請求項24】
複数の膨張式セルがグループに分けられ、各グループが、共通のガス供給ラインに沿ってグループ内のセルのそれぞれにガスを供給するように構成された対応する電気的に作動可能な弁を有する、請求項23に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項25】
グループ内の膨張式セルの少なくともサブセットが、第1のセルが所定の圧力閾値に達したときに第1のセルから第2のセルへのガスの流れを可能にする圧力弁によって分離されている、請求項24に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項26】
各セルは、各セルが独立して膨張するように、対応するガス供給ラインに沿ってガスを受け取るための対応する電気的に作動可能なバルブを含む、請求項23に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項27】
複数の膨張式セルが、垂直方向に分散した層に分割されている、請求項23から26のいずれか一項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項28】
複数の膨張式セルが、セルの2次元水平アレイに分割されている、請求項23から27のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項29】
複数の膨張式セルが、セルの3次元グリッドに分割されている、請求項28に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項30】
膨張制御マイクロコントローラーが、膨張式セル上に位置する対象者の重量または圧力を感知するように構成された1つまたは複数の重量または圧力センサーに応答する、請求項23から29のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項31】
前記マイクロプロセッサーは、前記電気制御信号を生成するためのユーザー入力に反応する、請求項23から30のいずれか一項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項32】
ユーザー入力が、遠隔制御装置から受信した無線信号を含む、請求項23から31のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項33】
ユーザー入力は、音声コマンドを含む、請求項23から32のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項34】
膨張制御マイクロコントローラーが、CPRオーバーライド信号に応答して、すべての膨張式セルを収縮させる、請求項23から33のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項35】
複数の膨張式セルの下に配置された剛性層を含む、請求項23から請求項35のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項36】
膨張式セルの少なくともサブセットが、隣接するセル間のガスの流れを可能にする内部電子弁または感圧弁を含む、請求項23から請求項35のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項37】
前記ガスは空気である、請求項23から請求項36のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項38】
膨張式ブラダー・システムをマットレスまたはベッド・フレームに係合するように構成された係合ストラップを含む、請求項23から請求項37のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システム。
【請求項39】
圧力に応じて第1の圧力信号を生成するように構成された複数の導電性要素に囲まれた圧電材料を含む第1の層と
加えられた力に応じて第2の圧力信号を生成するように構成された、複数の空間的に分散されたセンサーを含む第2の層と、
前記導電性素子および前記センサーと電気的に通信し、前記第1および第2の圧力信号を処理して、前記センサー・マット全体の圧力の空間分布を示す圧力データを生成するセンサー・マイクロコントローラーとを備える、
ベッド用センサー・マット・システム。
【請求項40】
前記第1および第2の層の間に配置されたゲル材料を含む、請求項39に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項41】
前記センサーが、力感応抵抗器、ひずみゲージ、ロードセル、容量性変換器および/またはストレッチ・センサーのうちの1つまたは複数を含む、請求項39または請求項40に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項42】
前記センサー・マイクロコントローラーは、前記圧力データに基づいて、前記センサー・マット・システム上に寝ている被験者の位置を決定するように構成されている、請求項39から請求項41のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項43】
前記センサー・マイクロコントローラーは、前記圧力データに基づいて、前記センサー・マット・システム上に横たわる被験者の動作パターンを決定するように構成されている、請求項39から請求項42のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項44】
前記センサー・マイクロコントローラーは、前記圧力データに基づいて、前記センサー・マット・システム上に横たわる被験者の動作パターンを決定するように構成されている、請求項39から請求項43のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項45】
前記センサー・マイクロコントローラーは、前記圧力データに基づいて、前記センサー・マット・システム上に寝ている被験者の生理学的信号を決定するように構成されている、請求項39から請求項44のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項46】
前記マイクロコントローラーが、圧力データに基づいて、センサー・マット・システムに横たわっている被験者の潜在的な圧迫痛を予測するように構成されている、請求項39から請求項45のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項47】
前記センサー・マイクロコントローラーは、前記圧力データに基づいて、前記センサー・マット・システム上に横たわる対象者の潜在的な落下事象を検出するように構成されている、請求項39から請求項46のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項48】
1つまたは複数の埋め込まれた水分センサーを含む第3の層を含む、請求項39から請求項47のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項49】
圧力データをリモート・データベースに送信するための通信モジュールを含む、請求項39から請求項48のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項50】
マイクロコントローラーは、圧力データに基づいて第三者の警告を生成するように構成される、請求項39から請求項49のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項51】
前記センサー・マイクロコントローラーが、前記圧力データを、請求項23から請求項38のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システムの膨張制御マイクロコントローラーに送信するように構成されており、
前記電気制御信号が前記圧力データに基づいている、
請求項39から請求項50のいずれか一項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項52】
前記センサー・マイクロコントローラーが、請求項23から請求項38のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システムの膨張マイクロコントローラーから電子制御信号を受信するように構成されており、前記圧力データが、受信した電子制御信号に基づいて生成される、請求項39から51のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項53】
前記センサー前記センサー・マット・システムのセンサー・マイクロコントローラーと前記膨張式ブラダー・システムの膨張マイクロコントローラーとが同一である、請求項51または請求項52に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項54】
前記生理学的信号は、対象者の心拍数を含む、請求項45に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項55】
前記生理学的信号は、対象者の呼吸数を含む、請求項45に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項56】
前記生理学的信号は、前記圧力データのスペクトル分析を行うことによって得られる、請求項45、請求項54、または、請求項55のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項57】
前記マイクロプロセッサーは、前記圧力データに基づいて被験者の健康状態の予測を行うように構成されている、請求項39から請求項56のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項58】
前記健康状態は、睡眠時無呼吸症候群を含む、請求項57に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項59】
前記健康状態は、心停止を含む、請求項57または請求項58に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項60】
前記健康状態は、てんかんを含む、請求項57から請求項59のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項61】
前記第2の層が、温度計および/または紫外線センサーのうちの1つ以上を含む、請求項39から請求項60のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項62】
カメラ、紫外線検出器、またはレーダービーム生成装置のうちの1つ以上を含む、請求項39から60のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項63】
前記センサー・マイクロコントローラーが、機械学習アルゴリズムを利用して、圧力データに基づいて圧力痛検出のためのアラートを継続的に改善するクラウドベースのシステムに接続するように構成されている、請求項39から62のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項64】
前記センサー・マイクロコントローラーが、機械学習アルゴリズムを利用して、圧力データに基づいて転倒検知のアラートを継続的に改善するクラウドベースのシステムに接続するように構成されている、請求項39から62のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項65】
前記センサー・マイクロコントローラーが、機械学習アルゴリズムを利用して、圧力データに基づいて呼吸速度の低下に関連する悪条件に対するアラートを継続的に改善するクラウドベースのシステムに接続するように構成されている、請求項39から62のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項66】
前記センサー・マイクロコントローラーが、機械学習アルゴリズムを利用して、圧力データに基づいて変動する心拍数に関連する有害な状態に対する警告を継続的に改善するクラウドベースのシステムに接続するように構成される、請求項39から62のいずれか一項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項67】
前記センサー・マイクロコントローラーが、圧力データに基づいて睡眠パターンを継続的に監視する機械学習アルゴリズムを利用するクラウドベースのシステムに接続するように構成されている、請求項39から62のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システム。
【請求項68】
請求項1から22のいずれか1項に記載の傾斜可能なベッド装置と、
請求項23から38のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システムと、
請求項39から67のいずれか1項に記載のセンサー・マット・システムとから成るベッド・システム。
【請求項69】
ユーザーから音声コマンドを受信するためのマイクロフォンを含み、センサー・マイクロコントローラーまたは膨張制御マイクロコントローラーが、音声コマンドを、作動システムおよび電気的に作動可能な弁の一方または両方を制御するための対応する制御信号に変換するために、音声認識を実行するように構成されている、請求項68に記載のベッド・システム。
【請求項70】
1つまたは複数の係合形成部を介してベッド・フレームにシステムを固定するためにベッド・システム上に延びる1つまたは複数のカバー・シートを含み、1つまたは複数のカバー・シートは、ユーザーのための従来のベッド・シートとして機能することができる、請求項68または請求項69に記載のベッド・システム。
【請求項71】
膨張制御マイクロコントローラーまたはセンサー・マイクロコントローラーが、ユーザー入力コマンドを受信するための遠隔制御装置と電気または無線通信している、請求項または請求項69に記載のベッド・システム。
【請求項72】
膨張マイクロコントローラーまたはセンサー・マイクロコントローラーが、傾斜可能なベッド装置の作動システムを制御するためのユーザー入力コマンドに応答する、請求項71に記載のベッド・システム。
【請求項73】
音声情報をユーザーに伝えるように構成されたスピーカーシステムを含む、請求項68から請求項72のいずれか一項に記載のベッド・システム。
【請求項74】
電子機器を接続および/または充電するための1つまたは複数の電気ポートを含む、請求項68から請求項73のいずれか1項に記載のベッド・システム。
【請求項75】
ベッド・フレームと係合するための係合形成部と、
前記係合形成部に取り付けられた支持レールと、
前記係合形成部から下方に延びる1つ以上の支持脚であって、前記支持脚は、前記支持レールを動作可能な位置に維持するために前記ベッドに隣接する床と係合するように長さが調整可能であることを特徴とする支持脚とを含む、
ベッド用の支持レール・システム。
【請求項76】
前記1つ以上の支持脚は、伸縮自在に長さが調整可能であることを特徴とする請求項75に記載の支持レール・システム。
【請求項77】
前記1つまたは複数の支持脚は、制御信号に応答して電子的に伸縮自在に長さを調節できることを特徴とする請求項76に記載の支持レール・システム。
【請求項78】
前記支持レールは、高さが調整可能であることを特徴とする請求項75から請求項77のいずれか1項に記載の支持レール・システム。
【請求項79】
前記支持レールは、高さを伸縮自在に調整可能であることを特徴とする請求項78に記載の支持レール・システム。
【請求項80】
前記支持レールは、前記操作可能位置と前記折り畳み位置との間で、前記ヒンジ・ジョイントを介して前記係合形成部に対して相対的に回転可能である、請求項75から79のいずれか1項に記載の支持レール・システム。
【請求項81】
支持レールは、制御信号に応じて電子的に回転可能であることを特徴とする、請求項80に記載の支持レール・システム。
【請求項82】
前記支持レールは、前記動作可能位置において実質的に垂直に延びていることを特徴とする、請求項80または請求項81に記載の支持レール・システム。
【請求項83】
前記係合形成部は、ベッドのマットレスの下に配置されるように実質的に水平に延びる係合アームを含む、請求項75から請求項82のいずれか1項に記載の支持レール・システム。
【請求項84】
前記1つまたは複数の支持脚が、前記ベッドから下方および外方に延びている、請求項75から83のいずれか1項に記載の支持レール・システム。
【請求項85】
2つの支持脚を含む、請求項75から83のいずれか1項に記載の支持レール・システム。
【請求項86】
前記係合形成部が、操作可能な位置と折り畳み位置との間で回転可能である、請求項75から85のいずれか1項に記載の支持レール・システム。
【請求項87】
請求項23から38のいずれか1項に記載の膨張式ブラダー・システムと一緒に使用するマットレスであって、マットレスは、複数の膨張式セルに対応する位置で下面に配列された切り込みまたは穿孔を有するマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ベッド・システムに関し、特に、ベッド・フレーム上に位置するように構成された傾斜ベッド装置、膨張式ブラダー・システム、センサー・マット・システム、サポート・レール・システム、およびベッド・システムに関する。
【0002】
本発明の実施形態は、特に、病院や診療所などの治療施設の患者との使用に適している。しかし、本発明は、より広範な文脈で適用可能であり、家庭環境における日常的なユーザーとのような他の用途にも適用可能であることを理解されたい。
【背景技術】
【0003】
病院や治療施設に入院している患者は、しばしば転倒や床ずれなどの合併症に見舞われる。これらは、負傷した患者だけでなく、一時的または永続的な障害を持つ人や社会の高齢者にも共通する問題である。これらの問題は、人を傷つける最初の原因ではなく、その人が置かれている状況や治療環境が複雑に絡み合って発生するため、本来は二次的なものである。しかし、これらの問題は定期的に発生し、傷害、病院での回復期間の長期化、さらには死亡の原因となるため、一次的な重要性を持っている。
【0004】
このような合併症は、個人的な困難を引き起こすだけでなく、医療制度にも負担をかけ、医療費の増加や他の人が治療を必要とする際のリソースの減少にもつながる。
【0005】
現在、転倒や床ずれなどの予防可能な問題は、複雑な病院のベッド・システムと、専門家による定期的なモニタリングによって対処されている。しかし、これらの機器はコストが高く、メンテナンスも複雑である。さらに、操作やモニタリングには、通常、プライマリーまたはセカンダリーヘルスケアの専門家の立ち会いのもと、長時間の作業が必要となる。
【0006】
さらに、世界中の何百万人もの人々が、様々な原因で質の低い睡眠や不眠症に悩まされている。しかし、現在、睡眠中の人の動き、呼吸、心拍数などのパラメータをモニターすることは、睡眠ラボでの研究の場合は高価で手間がかかり、ホームモニターやウェアラブルデバイスの場合は侵襲的で不正確な単なる推定に過ぎない。
【0007】
本明細書中の背景技術に関する記述は、そのような技術が広く知られていること、または当該分野における一般的な知識の一部を形成していることを認めるものとは決してみなされない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の側面によれば、ベッド・フレーム上に配置されるように構成された傾斜可能なベッド装置が提供される。
ベッド・フレームまたはそのマットレスと支持的に係合するベースと
前記ベースにヒンジ式に取り付けられ、ユーザーを支持するための支持基板に係合するように適合された支持アーム;および
あらかじめ定義された複数の角度位置の間で、支持アームをベースに対して選択的に回転させるように構成された作動システム。
【0009】
いくつかの実施形態では、ベースは、ベッド・フレームの長さに沿って少なくとも部分的に延在する少なくとも1つの長手方向に延在するベース部材を含む。いくつかの実施形態では、支持アームは、ベッド・フレームの長さに沿って少なくとも部分的に延在する少なくとも1つの長手方向に延在する支持部材を含む。好ましくは、ベースは、ベッド・フレームの長さに沿って少なくとも部分的に延在する複数の長手方向に延在するベース部材を含む。好ましくは、支持アームは、ベッド・フレームの長さに沿って少なくとも部分的に延在する複数の長手方向に延在する支持部材を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、支持アームは、長手方向に延びる支持部材と解放可能に係合する複数の実質的に平面的な支持パネルを含む。いくつかの実施形態では、平面状の支持パネルは、一方の側に係合開口部、他方の側に係合突起部を含み、係合開口部は、隣接する支持パネルから対応する係合突起部を受け入れるように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、長手方向に延びるベース部材の少なくともサブセットは、長手方向に長さが調整可能である。いくつかの実施形態では、長手方向に延びるベース部材の少なくともサブセットは、長さが伸縮自在である。
【0012】
いくつかの実施形態では、ベースは、平行に配置された3つの長手方向に延びるベース部材を含み、支持アームは、平行に配置された3つの長手方向に延びる支持部材を含む。いくつかの実施形態では、2つの外側ベース部材は、伸縮自在に長さを調整可能である。
【0013】
いくつかの実施形態では、アクチュエーションシステムは、2つの外側ベース部材の中間にある中央ベース部材に取り付けられ、アクチュエーションシステムは、2つの外側支持部材の中間にある中央支持部材に機械的に接続される。
【0014】
いくつかの実施形態では、ベースは、ベッド・フレームの幅にわたって長手方向に延びるベース部材の間を横方向に延びる横方向ベース部材を含み、支持アームは、ベッド・フレームの幅にわたって長手方向に延びる支持部材の間を横方向に延びる横方向支持部材を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、側方ベース部材および側方支持部材は、横方向に長さが調整可能である。好ましくは、横方向ベース部材および横方向サポート部材は、伸縮自在に長さを調整可能である。
【0016】
いくつかの実施形態では、ベースはストラップを介してベッド・フレームと係合する。
【0017】
いくつかの実施形態では、2つの外側ベース部材は、支持基板の端部に支持的に係合するための垂直に延びる足を含む。一実施形態では、支持基材は、マットレスである。別の実施形態では、支持基材は、複数の別々に膨張式セルを含む空気ブラダーである。好ましくは、セルは、ベッド・フレームの表面の横方向に配置される。好ましくは、セルは、2つ以上の垂直な層に配置されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、アクチュエーションシステムは、ベースとサポートアームの間に接続されたアクチュエーター・アームを直線的に伸縮させるように構成された電動リニア・アクチュエーターを含む。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、膨張式ブラダー・システムが提供され、これは、以下を含む。
複数の膨張式セル、および
ガス供給源からセルにガスを選択的に供給するためのガス供給システムであって、該供給システムは以下を含む。
ガス供給源に接続された1つまたは複数のポンプと
前記1つまたは複数のポンプと前記膨張式セルの少なくとも一部との間に接続された複数のガス供給ラインと
前記ガス供給ラインのそれぞれに配置され、電気制御信号に反応してバルブを選択的に開閉し、膨張式セルにガスを供給する複数の電気的に作動可能なバルブ;および
前記電気制御信号を生成するように構成された傍聴制御マイクロコントローラー。
【0020】
いくつかの実施形態では、複数の膨張式セルがグループに分けられ、各グループは、共通のガス供給ラインに沿ってグループ内の各セルにガスを供給するように構成された対応する電気的に作動可能なバルブを有する。いくつかの実施形態では、グループ内の膨張式セルの少なくともサブセットは、第1のセルが所定の圧力閾値に達したときに第1のセルから第2のセルへのガスの流れを可能にする圧力弁によって分離される。いくつかの実施形態では、各セルは、各セルが独立して膨張可能であるように、対応するガス供給ラインに沿ってガスを受け取るための対応する電気的に作動可能なバルブを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、複数の膨張式セルは、垂直に分散された層に分割される。いくつかの実施形態では、複数の膨張式セルは、セルの2次元水平アレイに分割される。好ましくは、複数の膨張式セルは、3次元の格子状のセルに分割される。
【0022】
いくつかの実施形態では、膨張制御マイクロコントローラーは、膨張式セル上に位置する対象者の重量または圧力を感知するように構成された1つまたは複数の重量または圧力センサーに反応する。
【0023】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサーは、電気制御信号を生成するためのユーザー入力に反応する。ユーザー入力は、遠隔操作装置から受信した無線信号を含んでもよい。また、ユーザー入力は、音声コマンドを含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、膨張制御マイクロコントローラーは、CPRオーバーライド信号に応答して、すべての膨張式セルを収縮させる。
【0025】
いくつかの実施形態では、膨張式ブラダー・システムは、複数の膨張式セルの下に配置された剛性層を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、膨張式セルの少なくともサブセットには、隣接するセル間のガスの流れを可能にする内部電子バルブまたは感圧バルブが含まれている。
【0027】
好ましくは、ガスは空気である。
【0028】
いくつかの実施形態では、膨張式ブラダー・システムは、膨張式ブラダー・システムをマットレスまたはベッド・フレームに係合するように構成された係合ストラップを含む。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、ベッド用のセンサー・マット・システムが提供され、該センサー・マット・システムは以下を含む。
圧力に応じて第1の圧力信号を生成するように構成された複数の導電性要素に囲まれた圧電材料を含む第1の層と
加えられた力に応じて第2の圧力信号を生成するように構成された、複数の空間的に分散されたセンサーを含む第2の層、および
前記導電性素子および前記センサーと電気的に通信し、前記第1および第2の圧力信号を処理して、前記センサー・マット全体の圧力の空間分布を示す圧力データを生成するセンサー・マイクロコントローラーと
【0030】
いくつかの実施形態では、センサー・マット・システムは、第1および第2の層の間に配置されたゲル材料を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、センサーは、力覚抵抗器、ひずみゲージ、ロードセル、容量性変換器、および/またはストレッチ・センサーのうちの1つまたは複数を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、圧力データに基づいて、センサー・マット・システム上に寝ている被験者の位置を決定するように構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、圧力データに基づいて、センサー・マット・システム上に横たわる対象者の動作パターンを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、圧力データに基づいて、センサー・マット・システム上に横たわる対象者の動作パターンを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、圧力データに基づいて、センサー・マット・システム上に横たわっている対象者の生理学的信号を決定するように構成される。いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、圧力データに基づいて、センサー・マット・システム上に横たわっている対象者の潜在的な圧迫痛を予測するように構成される。いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、圧力データに基づいて、センサー・マット・システム上に横たわっている対象者の潜在的な落下事象を検出するように構成される。
【0034】
いくつかの実施形態では、センサー・マット・システムは、1つまたは複数の埋め込み水分センサーを含む第3の層を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、センサー・マット・システムは、圧力データをリモート・データベースに送信するための通信モジュールを含む。いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、圧力データに基づいてサードパーティ・アラートを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、圧力データを第2の態様の膨張式ブラダー・システムの膨張マイクロコントローラーに送信するように構成され、電気制御信号は圧力データに基づいている。いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、第2の態様の膨張式ブラダー・システムの膨張マイクロコントローラーから電子制御信号を受信するように構成され、圧力データは、受信した電子制御信号に基づいて生成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、センサー・マット・システムのセンサー・マイクロコントローラーと膨張式ブラダー・システムの膨張制御マイクロコントローラーは同一である。
【0037】
いくつかの実施形態では、生理学的信号は、被験者の心拍数を含む。いくつかの実施形態では、生理学的信号は、対象者の呼吸数を含む。いくつかの実施形態では、生理学的信号は、圧力データのスペクトル分析を行うことによって導出される。
【0038】
くつかの実施形態では、マイクロプロセッサーは圧力データに基づいて、被験者の健康状態の予測を実行するように構成されている。健康状態は、睡眠時無呼吸症候群を含んでもよい。また、健康状態は、心停止を含んでもよい。また、健康状態は、てんかんを含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、第2層は、温度計および/または紫外線センサーのうちの1つまたは複数を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、センサー・マット・システムは、カメラ、UV検出器、またはレーダービーム生成装置のうちの1つ以上を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、機械学習アルゴリズムを利用して、圧力データに基づいて圧力痛検出のアラートを継続的に改善するクラウドベースのシステムに接続するように構成されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、センサー・マイクロコントローラーは、機械学習アルゴリズムを利用して以下の1つ以上を実行するクラウドベースのシステムに接続するように構成される。
- 圧力データに基づいて、転倒検知のアラートを継続的に改善する。
- 圧力データに基づいて、呼吸数の低下に関連する有害な状態に対する警告を継続的に改善する。
- 圧力データに基づいて、心拍数の変動に関連する有害な状況に対する警告を継続的に改善する。
- 圧力データに基づいて、睡眠パターンを継続的に監視する。
【0043】
本発明の第4の側面によれば、以下を含むベッド・システムが提供される。
第1の局面による傾斜可能なベッド装置と
第2の局面による膨張式ブラダー・システムと
第3の態様によるセンサー・マット・システム。
【0044】
いくつかの実施形態では、ベッド・システムは、ユーザーから音声コマンドを受信するためのマイクロフォンを含み、センサー・マイクロコントローラーまたは膨張制御マイクロコントローラーは、音声コマンドを、作動システムおよび電気的に作動可能なバルブの一方または両方を制御するための対応する制御信号に変換するために、音声認識を実行するように構成されている。
【0045】
いくつかの実施形態では、ベッド・システムは、1つ以上のカバー・シートを含み、このカバー・シートは、1つ以上の係合形成を介してベッド・システムをベッド・フレームに固定し、1つ以上のカバー・シートは、ユーザーのための従来のベッド・シートとして機能することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、膨張制御マイクロコントローラーまたはセンサー・マイクロコントローラーは、ユーザー入力コマンドを受信するために、リモート・コントロール・デバイスと電気または無線通信する。
【0047】
いくつかの実施形態では、膨張制御マイクロコントローラーまたはセンサー・マイクロコントローラーは、傾斜可能なベッド装置の作動システムを制御するためのユーザー入力コマンドに反応する。
【0048】
いくつかの実施形態では、ベッド・システムは、音声情報をユーザーに伝えるように構成されたスピーカーシステムを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、ベッド・システムは、電子機器を接続および/または充電するための1つまたは複数の電気ポートを備える。
【0050】
本発明の第5の態様によれば、ベッド用の支持レール・システムが提供され、この支持システムは以下を含む。
ベッド・フレームと係合するための係合形成部と
前記係合形成部に取り付けられた支持レールと
前記係合形成部から下方に延びる1つ以上の支持脚であって、前記支持脚は、前記支持レールを動作可能な位置に維持するために前記ベッドに隣接する床と係合するように長さが調整可能である、支持脚。
【0051】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の支持脚は、伸縮自在に長さを調節することができる。好ましくは、1つまたは複数の支持脚は、制御信号に応じて電子的に伸縮自在に長さを調節できる。
【0052】
いくつかの実施形態では、支持レールは高さが調整可能である。好ましくは、支持レールは伸縮自在に高さを調節できる。
【0053】
いくつかの実施形態では、支持レールは、操作可能な位置と折り畳まれた位置との間で、ヒンジ・ジョイントを介して係合形成部に対して相対的に回転可能である。好ましくは、支持レールは、制御信号に応じて電子的に回転可能である。いくつかの実施形態では、支持レールは、動作可能な位置で実質的に垂直に延びる。
【0054】
いくつかの実施形態では、係合形成部は、ベッドのマットレスの下に配置されるように実質的に水平に延びる係合アームを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の支持脚は、ベッドから下方および外側に向かって延びる。好ましくは、支持レール・システムは、2つの支持脚を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、係合形成部は、操作可能な位置と折り畳まれた位置との間で回転可能である。
【0057】
本発明の第6の態様によれば、第2の態様による膨張式ブラダー・システムと共に使用するためのマットレスが提供され、このマットレスは、複数の膨張式セルに対応する位置で下面に切り込みまたは穿孔のアレイを有する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
次に、本開示の例示的な実施形態について、例示のみを目的として、以下の添付図面を参照して説明する。
【
図1】複数の相互動作または独立したコンポーネントを含むスマート・ベッド・システムの分解斜視図である。
【
図2】ベッド・フレームとマットレスの間に配置された傾斜可能なベッド装置を有するベッドの分解透視図である。
【
図3】ベッド・フレームとマットレスの間の動作位置に設置された
図2の傾斜可能なベッド装置の昇降透視窓図である。
【
図4】
図2および
図3の傾斜可能なベッド装置を、ベッド・フレームとマットレスの間に設置した状態の立面透視図である。
【
図5】
図2から
図4の傾斜可能なベッド装置を部分的に傾斜させた状態で示す正面図である。
【
図6】
図5の部分的に傾斜した位置にある傾斜可能なベッド装置の側面図である。
【
図7】
図5および
図6の部分的に傾斜した位置にある傾斜可能なベッド装置の下面図である。
【
図8】
図5から
図7の部分的に傾斜した位置にある傾斜可能なベッド装置の立面透視図である。
【
図9】
図5から
図8の部分的に傾斜した位置にある傾斜可能なベッド装置の代替的な透視図であり、作動システムの拡大した挿入図を示している。
【
図10】傾斜可能なベッド装置の分解斜視図であり、作動システムの接続部を示す挿入図である。
【
図11】ほぼ完全に傾斜した位置にある傾斜可能なベッド装置の立面透視図であり、ヒンジ・ジョイントの拡大挿入図を示している。
【
図12A】
図11に示したヒンジ・ジョイントのベアリングの正面図である。
【
図13】傾斜可能なベッド装置の上昇した透視図であり、格納式アームがベース部材から延びる伸長位置にある状態を示している。
【
図14】装置の幅を調整するための横方向のベース部材および支持部材の横方向の調整可能性を示す、傾斜可能なベッド装置の透視図である。
【
図15】傾斜可能なベッド装置の平面図であり、装置の幅を調整するための側部ベースおよび支持部材の横方向の調整可能性を示している。
【
図16】
図1のスマート・ベッド・システムに使用されるセンサー・マット・システムの分解図である。
【
図17】圧電材料層を横切って延びる導電性素子のグリッド構造を示す、
図16のセンサー・マット・システムの切断図である。
【
図18】
図16および
図17のセンサー・マット・システムの異なる層を示す立面側透視図である。
【
図19】
図16から
図18のセンサー・マット・システムの一部を構成する、垂直に配列された導電性エレメントの2つのサブレイヤーの平面図である。
【
図20】
図16から
図19のセンサー・マット・システムの圧力センサー層の平面図であり、圧力センサー層は、その中に埋め込まれたセンサーのアレイを有する。
【
図21】
図1のスマート・ベッド・システムで使用される膨張式ブラダー・システムの透視図である。
【
図22】ガス供給システムを示す、
図21の膨張式ブラダー・システムの断面図である。
【
図23】複数の取り外し可能な支持パネルを有する代替的な傾斜可能なベッド装置の立面透視図である。
【
図24】追加の支持パネルを設置した拡張構成における、
図23の傾斜可能なベッド装置の透視図である。
【
図25】ベッド用の支持レール・システムの透視図である。
【
図27】ベッド・フレームとマットレスの間の動作可能な位置に配置された
図25および26の支持レール・システムの側面図である。
【
図28】
図22および
図23の膨張式ブラダー・システムの第1の例のプロファイルの側面図である。
【
図30】
図22および
図23の膨張式ブラダー・システムの第2の例のプロファイルの側面図である。
【
図32】例示的な寸法を示す、
図28および29の第1の例示的なプロファイルの側面図である。
【
図33】膨張式セルまたはセル群の例示的な寸法を示す、
図22および23の膨張式ブラダー・システムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1に、スマート・ベッド・システム100の分解図が示されている。ベッド・システム100は、既存の従来のベッド・フレーム102および/またはマットレス104に関連して共に動作する、または独立して動作することができる多数の異なる要素を含む。ベッド・システム100は、本明細書では、病院、診療所、介護施設、または他の介護施設などの治療施設のベッドに後付け可能なシステムを参照して説明する。これに関連して、本明細書では、システム100のユーザーを「患者」と呼ぶことにする。しかし、ベッド・システム100は、家庭環境での日常的な消費者の使用など、はるかに広い文脈での応用が可能であることが理解されるであろう。したがって、より一般的には、患者は単にシステムの「ユーザー」と呼ばれることがある。
【0060】
ベッド・システム100は、既存のベッド・フレーム102またはマットレス上に位置し、患者またはユーザーの選択的な傾斜/リクライニングを提供するように構成された、
図2から
図15に示された傾斜可能なベッド装置200を含む。傾斜可能なベッド装置200は、患者/ユーザーを所望の位置に支持するために、マットレス104または他の支持構造を支持するように適合される。代替的な実施形態の傾斜可能なベッド装置800が、
図23および24に示されている。
【0061】
ベッド・システム100は、マットレス104上に位置するように適合された、
図16から20に図示されたセンサー・マット・システム300も含む。センサー・マット・システム300は、患者の位置および動きを感知するために、以下に説明するような複数の異なる層を含む。
【0062】
ベッド・システム100は、
図21および
図22に示される、患者/ユーザーの位置またはベッド・システム100を使用する患者またはユーザーが経験する圧力を選択的に調整するための複数の膨張式セルを有する、膨張可能なブラダー・システム400をさらに含む。
【0063】
ベッド・システム100は、
図25から
図27に示されているように、ベッドにいるユーザーを支持するための支持レール・システム900をさらに含む。
【0064】
最後に、ベッド・システム100は、以下に説明するように、ベッド・システム100に関連する様々な制御およびデータ処理動作を実行するためのマイクロコントローラー600を含む。システム100の様々な制御のためのユーザー入力は、マイクロコントローラー600とデータ通信しているリモート・コントローラー700から提供されてもよい。
【0065】
次に、ベッド・システム100の個々の要素について説明する。
【0066】
(傾斜可能なベッド装置)
図2から15に、傾斜可能なベッド装置200の様々な図が示されている。
図2から
図4に最もよく示されているように、装置200は、マットレス104の下のベッド・フレーム102上に位置するように構成されている。ベッド・フレーム102とマットレス104との間の動作位置に設置されたとき、
図4に図示されているように、装置200はほとんど目につかない。
【0067】
図5から
図9に示すように、装置200は、ベッド・フレーム102またはそのマットレスと支持的に係合するためのベース202を含む。ベッド・フレーム102は、従来のベッドまたは病院ベッドのような調節可能なベッドであってもよい。支持アーム204は、後述のヒンジ式接続部を介してベース202にヒンジ式に取り付けられており、ユーザーを支持するためにマットレス104または後述のエア・ブラダー・システムなどの支持基材と係合するように適合されている。ベース202は、装置200が設置されたときにベッド・フレームの長さに沿って少なくとも部分的に延びる、平行に配置された3つの長手方向に延びるベース部材206、207、208を含む。同様に、支持アーム204は、3つの平行に配置された長手方向に延びる支持部材210、211、212を含む。支持部材210-212およびベース部材206-208は、ベッド・フレームを横切って延びる横方向の寸法において、実質的に均等に離間している。支持部材210-212は、ベース部材206-208に対して横方向の寸法で対応するような位置に配置されている。
【0068】
他の実施形態では、ベース202および/または支持アーム204は、少なくとも1つのベース部材を含み、スラットの形態で長手方向に延びる多数(例えば10個)の部材を含んでもよい。一実施形態では、ベース202および/または支持アーム204は、実質的に平面であり、関連するベッド・フレームの幅の少なくとも半分を横切って横方向に延びる単一の部材で形成される。他の実施形態では、ベース202および/または支持アーム204は、複数の角度のついたクロスメンバーまたは他の同様の支持構造を含んでもよい。
【0069】
ベース202は、ベッド・フレームの幅にわたってベース部材206-208の間を横方向に延びる横方向ベース部材214を含む。同様に、支持アーム204は、ベッド・フレームの幅にわたって支持部材210-212の間を横方向に延びる横方向支持部材216を含む。横方向ベース部材214は、ネジ、ボルト、スポット溶接、リベットまたは他の締結手段によって、縦方向に延びるベース部材206-208に固定されてもよい。同様に、横方向支持部材216は、ネジ、ボルト、スポット溶接、リベットまたは他の締結手段によって、長手方向に延びる支持部材210-212に固定されていてもよい。
【0070】
他の実施形態では、ベース202および/または支持アーム204は、異なる点で長手方向に延びる部材と接続する、または長手方向に延びる部材と接触する、ロッドまたはスラットなどの複数の横方向に延びる部材を含んでいてもよい。
【0071】
図23および
図24に、代替的な実施形態の傾斜可能なベッド装置800を図示する。装置200の対応する特徴は、装置800において同様の参照数字で指定される。ここで支持アーム204は、複数の実質的に平面的な支持パネル802-804を含み、これらは、長手方向に延びる支持部材および横方向の支持部材216と解放可能に係合する。装置800では、支持アーム204とベース202との間に延びる追加の横方向支持部材808が含まれる。支持パネル802-804は、支持部材216および808のCチャネル溝または他のガイド形成に摺動可能に挿入することができ、支持パネル802-804のためのフレームとして機能する。
図24に最もよく示されているように、平面支持パネル802-804は、一方の側に係合開口部(図示せず)を含み、他方の側に係合突起部(例えば810)を含む。係合開口部は、
図24の挿入図に示すように、互いにスライド可能に係合したときに、隣接する支持パネルから対応する係合突起を受容するように配置および構成される。長手方向支持部材210-212も同様に、支持パネル802-804とスライド式に係合するための係合開口部(例えば812)を含む。
【0072】
ベース202および支持アーム204が横方向に伸長可能であるため、異なる幅の追加の支持パネル(例えばパネル804)をモジュール式に追加して、装置800の調整可能な幅に対応することができる。支持パネルのサイズおよび数は、異なる実施形態において変化してもよいことを理解されたい。また、他の実施形態では、支持パネルは、ベッドスラットと同様の方法で、その長さに沿って間隔を空けた位置で横方向部材216および808と係合してもよいことを理解されたい。
【0073】
支持パネルは、プラスチック(例えば、アクリルまたはPVA)、金属または木材などの任意の剛性または半剛性の材料で作ることができる。動作時には、支持パネル802-804は、装置800に敷設されたマットレスまたは他の支持基板を追加的に支持して、ユーザーをよりよく支持する。
【0074】
図9に最もよく示されているように、装置200は、ベッドの中でユーザーを異なる傾斜角度で支持するために、あらかじめ定義された多数の角度位置の間でベース202に対して支持アーム204を選択的に回転させるように構成されたアクチュエーター・システム218を含む。好ましくは、アクチュエーター・システム218は、0度(伏臥位または仰臥位に対応する)から90度(正座に対応する)の間の角度範囲でユーザーを支持するように構成される。アクチュエーター・システム218は、一端が横方向ベース部材214に隣接する中央ベース部材207に取り付けられ、他端が支持部材211とベース部材207とを接続するヒンジ・ジョイント222に隣接する中央支持部材211に機械的に接続される油圧アーム220を含む。油圧アーム220は、支持アーム204をベース202に対して角度的に傾斜させるために、長さを選択的に調整可能なテレスコピック部材を含む。
【0075】
油圧アーム220は、
図10に示されるように、ヒンジ機構によってベース部材207および支持部材211に取り付けられる。油圧アーム220は、ロック・ネジ230を受け入れるための対応する開口部を有する突出したフランジ228を有するヒンジ機構226によってベース部材207に取り付けられる。ネジ230は、フランジ228を貫通して油圧アーム220の対応する開口部(図示せず)に突出し、ロックナット(図示せず)を用いて油圧アーム220をベース部材207に回転可能に固定する。油圧アーム220は、同様に、一対の同様のフランジ234および236を有するヒンジ機構232によって支持部材211に取り付けられる。各フランジは、ロックナット(図示せず)を用いて油圧アーム220を支持部材211に回転可能に固定するためのロックネジ(図示せず)を受け入れるための対応する開口部を含む。所定の位置に固定されると、油圧アーム220の端部238が支持部材211の内面に突き当たり、支持アーム204を所望の傾斜位置に維持するのに十分な力を発揮する。
【0076】
代替的な実施形態では、油圧アーム220は、ネジ、ボルト、スポット溶接、リベットなどの従来の固定手段を用いて、ベース部材214および支持部材211に取り付けられてもよい。
【0077】
図10はまた、ベース202および支持アーム204を形成するために使用される様々な部材の1つの好ましい形態を示している。特に、長手方向の部材206-208および210-212は、C断面のチャネル部材から形成され、横方向の部材214および216は、L字型の部材から形成される。各部材は、好ましくは、アルミニウム合金6060のような剛性はあるが軽量の材料で形成される。これは、中程度の強度の熱処理可能な合金であり、軽量化されている。C断面のチャネル・デザインは、重量を支える主要な部材である長手方向の部材に、より大きな重量を支えるための強度を与える一方で、機器全体の重量を削減する。他の実施形態では、よりプレミアムなモデルは、チタン、スチール、カーボン・ファイバーなどのより高価な素材を使用してよい。さらに、いくつかの実施形態では、様々な部材が、正方形の断面積を持つ部材など、より堅固な構造で形成されていてもよい。
【0078】
図6、
図8、および、
図9に最もよく示されているように、アクチュエーター・システム218は、関連するマイクロコントローラー600(
図1参照)から提供される作動信号に応答して、油圧アーム220を直線的に伸長または収縮させるように構成された電動リニア・アクチュエーター224も含む。作動信号は、支持アーム204をベース202に対して複数の角度位置のうちの1つで傾斜させるために、リニア・アクチュエーター224に油圧アーム220を複数のあらかじめ定義された位置の間で移動させる一連の電圧信号のうちの1つを含むことができる。リニア・アクチュエーター224のストローク長は、ユーザーを最大で90度の高さまで持ち上げるように設計されている。90度の傾斜は、脳卒中を患ったユーザーが窒息することなく食事ができるようにするため、特に重要である。
【0079】
いくつかの実施形態では、アクチュエーター・システム218は、リニア・アクチュエーター224の後ろに取り付けられる自動強度バネ(図示せず)を含む。このバネは、緊急電源停止の場合にリニア・アクチュエーター224の解放を制御することと、装置の梃をより効率的に動きに移すことによって力を最小にすることの両方に作用する。他の実施形態では、リニア・アクチュエーター224の代わりに、異なるタイプの電気機械式アクチュエーターを使用してもよい。
【0080】
図11および
図12に、ヒンジ・ジョイント222がより詳細に図示する。ヒンジ・ジョイントは、支持部材211のC-セクションチャネルの間に延びる対応するヒンジ・ピン244を受け入れるための実質的に円形の開口部242を有するベアリング240を含む。ベアリング240は、
図11の挿入図に示すように、ベース部材207のC-セクションチャネル内に取り付けられ、支持部材211の回転運動を容易にしながら、支持部材211の重量および支持アーム204の関連する負荷を部分的に伝達する。同様のヒンジ・ジョイントが、ベース部材206と支持部材210との間、およびベース部材208と支持部材212との間に配置されている。
【0081】
図13に示すように、異なる長さのマットレス(または他の支持基材)を収容するために、ベース部材206および208は、長手方向に長さが調整可能であり、それぞれの延長アーム246および248を含む。延長アーム246および248は、部材206および208の長さに沿って、ベッド・フレームの足元に向かう方向に伸縮自在に延びる。他の実施形態では、ベース部材207も長さを伸縮自在に拡張可能である。
【0082】
図13の挿入
図Aに示すように、延長アーム246および248は、同様のCセクションチャネル構造を含むが、わずかに広いチャネルを有し、それによって、ベース部材206および208の周りに伸縮自在にスリーブすることができる。内部ロック機構253は、下向きに延びるロックピン(図示せず)を延長アーム246の長手方向に間隔を空けた複数のロック開口部(図示せず)の1つに作動させて、アーム246を特定の長手方向位置にロックすることを可能にする。同様のロック機構は、延長アーム248にも存在する。他の実施形態では、ロック機構253は、スプリングロックまたは他のタイプのロック装置を含む。
【0083】
図13の挿入
図Bに示されているように、延長アーム246および248は、マットレス(または他の支持基材)の端部に接触するための上向きに回転可能な脚250および252を含む。足250および252は、ベース部材206および208のチャネル内に格納された位置と、
図13に示されている垂直な動作位置との間で、それぞれのヒンジ・ジョイント254および256を中心に回転可能である。作動位置では、脚250および252は、装置200の支持アーム204上でマットレス(または他の支持基材)を支持するための長手方向のアバットメントとして機能する。
【0084】
次に
図14および
図15を参照すると、異なる幅のマットレス(または他の支持基材)を収容するために、横方向ベース部材214および横方向支持部材216は、横方向に伸縮可能な長さである。特に、横方向支持部材216は、Cセクションチャネル構造で形成され、横方向支持部材216の全体的な幅を調整するために部材216のL字型構造内で横方向にスライドするように適合された中間セクション258、260を含む。図示されているように、中間セクション258および260は、複数の長手方向に間隔を空けた開口部(例えば262および264)を含み、これらの開口部は、横方向支持部材216の残りのセクションの対応する開口部(例えば266および268)と整列することができ、セクションを固定幅で所定の位置にロックするためにそれぞれのロックピン(図示せず)を受容するように適合されるようになっている。同様の調整は、同様の中間セクションおよび開口部(図示せず)を有する横方向ベース部材202に提供される。
【0085】
上述の傾斜可能なベッド装置200は、脚250および252がそれらの格納位置に回転し、延長アームが対応するベース部材206および208内にスリーブ状に収納され、横方向の支持部材およびベース部材がそれらの最小位置に横方向に格納され、支持アーム204がベース202に対してリクライニングされた状態で、コンパクトな構成で格納することができる。この位置では、装置200の空間的なフットプリントは非常に小さく、ベッドの下やクローゼットの中に収納することができる。
【0086】
装置200を使用するために、まず、既存の従来のベッドのベッド・フレームまたはマットレスの上に(
図2に図示されているように、マットレスの上または下のいずれかに)置かれる。次に、横方向のベース部材214および横方向の支持部材216は、既存のベッド・フレームまたはマットレスの幅に合わせて(
図14および15に示すように)横方向の長さを調整し、所定の位置にロックされる。横方向部材が所定の位置にロックされた状態で、延長アーム246および248をベース部材206および208からスライド式に伸ばし、ロックし、脚250および252を上方に回転させて動作位置にしてもよい。次いで、マットレスまたは膨張式ブラダー・システム(後述)またはそれらの組み合わせなどの支持基板を装置200の上に配置することができる。足250および252は、マットレスまたは基板が長手方向にスライドしないように支持する。
【0087】
装置200をベッド・フレームにしっかりと支持するために、追加の係合装置を含めることもできる。一実施形態では、1つまたは複数の調整可能または弾性ストラップが、装置200をベッド・フレームに固定するために、ベース202および/またはベッド・フレームと係合可能である。好ましくは、力の伝達を最大化するために、多数の点で器具を任意のベッド・フレームに取り付ける複数のストラップシステムが提供される。ストラップは、患者の不快感を最小限にするために、好ましくは、柔らかい布材料で形成される。同様に、ストラップなどの係合装置は、マットレスや支持基板を装置200に固定するために使用してもよい。
【0088】
別の実施形態では、ベルクロまたは他の材料を備えた、弾性アウトレイを有する重ね合わせシートを使用して、ベース202に取り付けられた適切なタブおよびフックを用いて装置200上にシートダウンを取り付けてもよい。このようなシートは、装置200をベッド・フレームに固定するだけでなく、シートの交換を簡単な手順で行うことができる。
【0089】
さらなる実施形態では、装置200をその上に配置されたマットレスに接続するマットレス接着剤フックが提供されてもよい。さらなる実施形態では、内蔵されたフックを介して装置200に取り付けるカスタムマットレスを製造してもよい。
【0090】
従来のベッドで動作する場合、装置200は、従来のベッドを、高価な病院のベッドに代わる手頃な代替品に変えることができる。以下に説明する追加要素と組み合わせて、装置200は、上述の問題に少なくとも部分的に対処するためのスマート・ベッド・システムとして動作することができる。例えば、装置200は、障害のある患者が動き回ることを容易にすることができる。
【0091】
リニア・アクチュエーター224は、マイクロコントローラー600を介して制御することができ、ユーザー(例えば、医師、臨床医または患者)が支持アーム204の傾斜角度を制御することができる。ユーザー入力は、リモート・コントローラー700またはコントロールパネルからの電気信号または無線信号によって提供されてもよいし、マイクロフォンによって受信され、マイクロコントローラー600によって処理される音声コマンドによって提供されてもよい。例えば、ユーザーは、「ベッドアップ」、「ベッドダウン」、「ベッドフルアップ」、「ベッドフルダウン」、「ストップ」のような音声コマンドを提供することができるかもしれない。マイクロコントローラー600はまた、セキュリティ目的で特定のユーザーを識別するために、音声認識を可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロコントローラー600は、ユーザー/患者のスマートフォンと(Bluetooth、Wi-Fiなどを介して)無線通信しており、装置200を制御するためのソフトウェアアプリケーションを介してユーザーインプットを提供することができる。
【0092】
マイクロコントローラー600は、さらに、後述するセンサー・システムのセンサーから得られた入力から、リニア・アクチュエーター224に制御信号を提供することができてもよい。マイクロコントローラー600は、リモートデバイスまたは関連するセンサー・システムから様々なデータを収集し、APIを提供するための通信デバイスを含んでもよく、そこから入力をリニア・アクチュエーター224に提供することができる。通信デバイスは、Bluetooth、赤外線、Wi-Fi、Li-Fi、および他の様々な通信プロトコルのうちの1つ以上、ならびに装置200への直接接続を介して、データ通信を促進してもよい。
【0093】
マイクロコントローラー600はまた、ヘルスケア・スタッフおよび他の関係者への音声通話を可能にするために、関連するデータまたは電話ネットワークと統合してもよい。マイクロコントローラー600は、医療従事者や家族などの第三者に接続するために、患者側の中継点としても機能することができる。これにより、家族などの他の関係者は、専用のソフトウェアアプリケーションを使用して、電話、タブレット、パーソナルコンピュータなどのデバイスを介して、患者の状態を監視することができる。
【0094】
マイクロコントローラー600およびリニア・アクチュエーター224は、主電源および/またはバッテリーモジュールへの電気接続(図示せず)によって電力供給される。
【0095】
マイクロコントローラー600のさらなる機能性については、以下で説明する。
【0096】
いくつかの実施形態では、リニア・アクチュエーター224を手動でオーバーライドし、ラチェット-クランク、またはプーリー・システムによって支持アーム204を手動で傾斜させてもよい。これにより、電気に接続されていないとき(例えば、停電中)、またはバッテリーが消耗したときに、手動で介入することができる。ユーザーを腹臥位にするためにすべての電子制御を解除する手動CPRオーバーライドを提供してもよい。
【0097】
説明されるように、傾斜可能なベッド装置200は、センサー・マット・システム300、膨張式ブラダー・システム400、および、マイクロコントローラー600と連携して動作可能であり、スマート・ベッド・システム100を提供する。
【0098】
(患者センサー・システム)
図16から
図20を参照すると、ベッド内でのユーザーの位置および動作を検知するためのセンサー・マット・システム300が示されている。センサー・マット・システム300は、ユーザーの真下、またはマットレスもしくは以下に説明する膨張式ブラダー・システムのような他の支持基材の下に配置されるように適合されている。センサー・マット・システム300は、上述の装置200の支持アーム204上に配置されてもよい。
【0099】
図16に示されているように、センサー・マット・システム300は、複数の導電性要素306および308によって囲まれた圧電材料304を含む圧電感知層302を含む。圧電感知層302は、圧電材料304と上下の導電性素子306、308という3つの個別のサブレイヤーで形成されている。動作時には、
図18に示すように、これらの3つのサブレイヤーを接着して1つの層を形成する。圧電感知層302は、センサー・マット・システム300に敷くユーザーによる印加圧力に応答して、第1の圧力信号を生成するように構成される。
【0100】
センサー・マット・システム300はまた、印加された力に応答して第2の圧力信号を生成するように構成された複数の空間的に分散されたセンサー(例えば312)を含む圧力センサー層310を含む。これらのセンサーは、力感応抵抗器、ひずみゲージ、ロードセル、容量性トランスデューサおよび/またはストレッチ・センサーのうちの1つ以上であってもよく、これらは、戦略的な位置で位置入力を提供するように設計されており、また、上記圧電層を較正するように設計されている。追加のセンサーは、温度計、紫外線(UV)光検出器のうちの1つまたは複数など、センサー層310内に埋め込まれてもよい。
【0101】
図16に示されるように、センサー・マット・システム300はまた、電気配線を介して導電性要素306および308ならびにセンサー312と電気的に通信するマイクロコントローラー600を含む。代替実施形態では、導電性要素306および308、ならびにセンサー312は、マイクロコントローラー600と無線で通信することができる。
【0102】
マイクロコントローラー600は、第1および第2の圧力信号を受信および処理して、センサー・マット全体の圧力の空間的分布を示す圧力データを生成するように構成される。特に、マイクロコントローラー600は、圧力データに基づいて、センサー・マット・システムに横たわる対象者の位置および動作パターンを決定するように構成される。好ましくは、マイクロコントローラー600は、患者の移動パターンなどの時間依存性および履歴分析を行うために、圧力データを時間の関数として生成することができる。これに基づいて、さらに高度な分析を行うことができ、これについては後述する。
【0103】
マイクロコントローラー600は、装置200に関連して上述したものと同じであると説明されているが、いくつかの実施形態では、スマート・ベッド・システム100の異なる要素に別個のマイクロコントローラーが使用されることを理解されたい。いくつかの実施形態では、別のコンピュータ装置がマイクロコントローラー600の代わりに機能してもよい。
【0104】
センサー・マット・システム300はまた、圧電感知層302と圧力センサー層310との間に配置されたゲル層314と、導電性要素308の上(別個のマットレスまたは支持基板に隣接する)に配置されたさらなるゲル層316とを含む。これらのゲル層は、センサー上に伝達される重量(したがって、ストレッチ)の伝達および分配を増加させると共に、ユーザーの快適性を高めることができる。ゲル層314は、要求の高い領域(例えば、圧迫痛領域の腸骨/腰骨)の周りに集中している可能性のある圧力センサー層310の位置をシフトするために使用することもできる。
【0105】
図16、
図17および
図19に示すように、導電性要素306および308は、非導電性基板を横切って平行に配列されたワイヤー318および320のような複数の導電性要素を含む。他の実施形態では、ワイヤー318および320は、導電性テープ、布、糸、塗料またはインクなどの他の導電性材料で置き換えてもよい。ワイヤーの典型的な間隔は、ミリメートルまたはセンチメートルのオーダーであり、間隔は規則的であっても不規則であってもよい。導電性要素306のワイヤー318は、導電性要素306の横方向の幅に渡って配置され、一方、導電性要素308のワイヤー320は、導電性要素308の縦方向の長さに沿って配置されている。このように、2つの導電性要素306、308の配線は、互いに直交して配置されている。
【0106】
圧電材料304は、人工セラミックスや一部の半導体材料など、ピエゾ抵抗効果を示す市販の任意の材料を含んでもよい。別の適切な材料は、3M社によって製造された製品であるVelostat(登録商標)である。ピエゾ抵抗材料は、応力や圧力に応じてピエゾ材料の電気抵抗が変化するという特性を持つ。特に、その電気抵抗は、材料にかかる圧力の増加と共に減少する。
【0107】
導電性要素307および308は、ポリ塩化ビニル(PVC)またはエチレンビニルアセテート(EVA)ベースのポリマー材料などの非導電性接着材料や、他の布テープまたは接着剤を介して、圧電材料304の両側に接着されている。動作時には、垂直な導電性ワイヤー318および320が集合してグリッド電極構造を定義し、ワイヤーに小さな電流を流すと、ワイヤー全体で検出された電圧レベルに基づいて圧力の空間的検知が可能になる。電流は、マイクロコントローラー600、またはバッテリーや主電源などの別の電源から供給されてもよい。
【0108】
図20に示すように、センサー層310は、力感応抵抗器、ひずみゲージ、ロードセル、容量性トランスデューサおよび/またはストレッチ・センサーのうちの1つまたは複数であってもよい圧力センサー312の規則的な配列を含む。センサー312は、好ましくは、センサー層310のサイズおよび形状を規定する柔軟な布材料内に埋め込まれる。この柔軟な布材料は、PVCまたはEVAベースのポリマー材料で形成されてもよい。図示していないが、各センサーは、電気毛布と同様の方法で、柔軟な布材料内に埋め込まれた内部電気ワイヤーに接続されている。これらの内部電気ワイヤーは、マイクロコントローラー600に伝達される第2の圧力信号を伝達する。
【0109】
センサー層310は、ユーザーの腸骨/腰骨の周りの小さな領域に局在するように図示されているが、これは圧迫痛の焦点となる領域である。しかし、センサー層310は、層310にわたってより広範囲に分散されたセンサーのより広いアレイを含んでもよく、50個または100個のセンサーなどのかなりの数のセンサーが組み込まれてもよいことが理解されるであろう。さらに、層301は、潜在的な落下事象を検出するために、ユーザーの肩、腸骨/腰骨などの特定の関心領域の周り、さらに層310の縁の周りに、より高い密度でクラスタ化されたセンサーを含んでもよい。一般に、層310内のセンサーの分布および密度は、特定の用途およびコスト要件に応じて変化させることができる。
【0110】
圧電検出層302を圧力センサー層310と一緒に使用することで、両方のピエゾ抵抗材料の入力と、埋め込まれた力感応抵抗器(または同様のもの)の入力とを組み合わせて、患者の動きの圧力マップを生成する。このようにセンサー層を組み合わせることで、時間と共に伸びやコンダクタンスが変化するピエゾ抵抗圧力に、より正確なコンテキストを与えることができる。このより正確な情報は、特定の場所にどれだけの力が加わっているかをより正確に検出し、ユーザーの動き、心拍数、呼吸数、および筋緊張などの他の生理学的入力を予測するために使用できる。ピエゾ抵抗層は、その材料特性に起因する伸びにより、時間の経過と共に測定値が変化することがある。センサー層310の測定値とセンサー間の距離のより一定した性質を利用して、圧電層302の入力を経時的に較正することができる。
【0111】
圧電層304の製造に使用される特定の材料の正確な性質に応じて、層は異なる程度の弾性または伸縮性を有することができる。
【0112】
上述した層に加えて、センサー・マット・システム300は、ストレッチを測定するために、バネ秤に似た調整された方法で使用される一連の弾性スレッドおよびプーリーも含むことができる。例えば、複数のスレッドは、センサー・マット・システム300の周辺に位置する開口部を介してループされ、ストレッチを測定するために、それぞれのスプリングスケールまたはストレインゲージに接続されてもよい。多数のスプリングスケールからの調整された入力を使用して、患者の位置および動きのデータを生成または補強することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、システム300は、圧力データを補強するために、1つ以上の埋め込まれた水分センサーおよび/または他のタイプのセンサーを含むさらなる層を含む。水分感知層は、汗または尿の存在を感知することができ、これは第三者に警告されてもよい。
【0114】
より高度な機能を提供するために、さらなるデバイスをセンサー・マット・システム300に組み込み、マイクロコントローラー600に接続してもよい。例えば、マイクロフォン、カメラ、レーダービーム発生器、UV検出器、温度計、および他のデバイスの組み合わせにより、任意の時間におけるセンサー・マット・システム300のユーザーの包括的なビューを提供する。マイクロフォンは、脳卒中のモニタリングを目的として、いびきや、言葉の乱れなどの雑音の検出に使用することができる。紫外線検出器は、理想的な睡眠環境をユーザーに知らせるのに有用である。
【0115】
層302および310からの圧力データの組み合わせは、マイクロコントローラー600がユーザーの動きの圧力マップを生成するだけでなく、以下に説明される他の様々な高度なステップを実行することを可能にする有用な入力を提供する。
【0116】
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラー600は、センサーによって受信された圧力データに基づいて、センサー・マット・システム300に敷設された対象者の呼吸数または心拍数などの生理学的信号を決定するように構成される。これは、ユーザーの肺および/または心臓の領域周辺の圧力に関連する動的データセットに対して周波数分析を実行することによって達成され得る。患者/ユーザーの呼吸サイクルまたは心臓サイクルは、圧力に規則的な変化をもたらし、これらの変化は、センサー・マット・システム300によって得られた圧力データにおけるスペクトルシグネチャとして表され得る。ピーク周波数をこれらの信号から分離して、ユーザーの呼吸数および心拍数を推定することができる。
【0117】
マイクロコントローラー600はまた、圧力データに基づいて、センサー・マット・システム300に横たわるユーザーの潜在的な圧迫痛を予測するように構成されてもよい。例えば、マイクロコントローラー600は、潜在的な圧迫痛イベントをトリガーする所定の圧力および時間の閾値を用いてあらかじめプログラムされてもよい。患者が特定の期間、特定の場所に圧力をかけている場合、これがイベント検出のトリガーとなる可能性がある。マイクロコントローラー600によるそのような検出は、臨床データに基づくデータのルックアップテーブルに基づいてもよい。
【0118】
マイクロコントローラー600はまた、圧力データに基づいて、センサー・マット・システム上に横たわるユーザーの潜在的な落下イベントを検出するように構成されてもよい。患者の検出された圧力分布が、患者がベッドの端の近くに横たわっていることを示している場合、マイクロコントローラー600は、潜在的な落下事象を検出し、任意にユーザーまたは第三者に警告を発するようにプログラムされてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラー600は、圧力データおよび/または他のデータを、さらなる処理のためにリモート・データベースに送信するための、イーサネットポート、Wi-Fiアダプタ、またはBluetoothデバイスなどの通信モジュール(図示せず)を含む。例えば、動的圧力マップデータは、さらなる処理を行うクラウド・データベースに送信されてもよい。また、クラウド・データベースは、転倒の可能性がある事象や褥瘡の可能性などの状況を医療専門家や恋人に警告するなどの機能を実行するように構成されていてもよい。
【0120】
マイクロコントローラー600は、圧力データに基づいて様々な異なるサードパーティの警告を生成するように構成されてもよい。これは、マイクロコントローラー600によって直接実行されてもよいし、クラウド・データベースおよび/またはモバイルデバイスもしくはコンピュータデバイス上の関連するソフトウェアインターフェースを介して(ソフトウェアアプリケーションを介して)間接的に実行されてもよい。このようなソフトウェアインターフェースは、アラートだけでなく、圧力データ、および派生する生理学的信号データへのアクセスに関する第三者へのアクセスを提供することもできる。また、ソフトウェアアプリケーションおよびシステムは、過去の潜在的または実際の転倒イベント、褥瘡、またはユーザーの動作パターンに関する洞察を提供することができる。これらのパターン、特に睡眠時間中のパターンは、マイクロコントローラー600またはクラウド・データベースを介してアクセス可能な関連するリモート・サーバーによって使用され、睡眠時無呼吸症候群のような状態を予測し、その治療に対する反応を測定することができる。
【0121】
マイクロコントローラー600または関連するクラウド・サーバーによって機械学習を採用し、警告システムを改善し、モバイルデバイス上のソフトウェアアプリケーションを介して医療従事者または愛する人による患者の遠隔監視を可能にすることもできる。クラウド・サーバーの処理は、機械学習を介して、センサー・マット・システム300からの読み取り値を双方向に較正することもできる。例として、褥瘡、転倒、呼吸停止などの緊急事態に対するアラートの精度とパーソナライズ、および睡眠、人間工学的な姿勢のアドバイスの精度とパーソナライズを時間をかけて改善するセンサー・マット・システム300からの入力を取る機械学習アルゴリズムを採用してもよい。適切な機械学習アルゴリズムには、教師付きまたは教師なしの決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、ナイーブベイズ分類器、線形回帰または論理回帰、または人工ニューラルネットワークが含まれる。また、この機械学習システムは、血圧モニターなどの他のデバイスからの入力を受けて、他の病気の警告やモニタリングを行うこともできる。
【0122】
圧力データを監視することにより、てんかんや心停止などのより深刻な状態の予測を、マイクロコントローラー600によってローカルに、またはクラウド・サーバーによってリモートに実行することができる。このようなより高度な予測には、圧力センサー層310の正確なセンサーを、特に最も必要とする領域に集中して高密度に配置する必要があるかもしれない。例えば、胸部周辺のセンサーを増やして心拍数や呼吸の検出を支援したり、肩や腰の下のセンサーを増やして褥瘡の検出を支援したり、ベッドの端に沿ってセンサーを増やして転倒の検出を支援したりする。したがって、マイクロコントローラー600またはクラウド・サーバーは、スペクトル分析、データフィルタリング、ノイズ除去、線形回帰およびデータ補間のような様々な信号処理機能を圧力データに対して実行するように構成されてもよい。
【0123】
さらに、より高いレベルのセンシング精度は、睡眠の質についての洞察を提供することができ、睡眠時無呼吸症候群の患者における首や頭などの重要な領域における入力を提供することができる。センサー・マット・システム300は、どの枕が自分に合うかという洞察、腰痛エリアのような一般的な痛みのエリアの検出、レストレスレッグシンドロームなどをユーザーに提供することができる。
【0124】
センサー・マット・システム300は、ベッドで使用されることに加えて、長時間にわたって単一の空間に座っているトラック運転手を監視するために車両の座席で使用するなど、他の用途でも使用することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラー600は、圧力データに応答して、支持アーム204を適切に傾斜またはリクライニングさせるように装置200を選択的に作動させる。
【0126】
(膨張式ブラダー・システム)
ここで、
図21および
図22を参照すると、膨張式ブラダー・システム400が図示されている。ブラダー・システム400は、標準的なマットレス(マットレスの上または下のいずれかに位置する)の代わりに、またはそれと組み合わせて使用されてもよく、また、スマート・ベッド・システム100の一部として、独立した装置として、または装置200およびセンサー・マット・システム300の一方または両方と組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ブラダー・システム400は、マットレスの内部に組み込まれてもよい。
【0127】
図21に最もよく示されているように、膨張式ブラダー・システム400は、複数の膨張式セル402を含み、これらのセルは、3つの垂直に分散された層404、406、408に分割されている。各層は、セルの2次元水平アレイに分割され、膨張式セルの3次元グリッドを形成する。セルは、共通の体積を有していてもよいし、体積が異なっていてもよい。図示されているように、より大きなサイズのセル(例えば405)は、追加の頭部サポートを提供するために、システムのヘッドエンドに設けられている。ブラダーおよび膨張式セル402の外側ケーシングは、好ましくは、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、またはエチレンジアミン(EDA)ベースのポリマーなどの柔軟なポリマー材料から形成される。膨張式ブラダー・システム400の外層はまた、ユーザーの快適性を提供する布地または他の材料を含んでもよい。異なる快適性モデルは、異なる材料で作られてもよい。
【0128】
膨張式セルの特定の数は可変であり、他の実施形態では、より少ないまたはより多い数の層または層内のセルの数が含まれてもよいことが理解されよう。例として、膨張式セルの数は、16から300の範囲であってもよい。
【0129】
システム400はまた、ガス供給源412から膨張式セル402にガスを選択的に供給するための、
図22に最もよく示されているガス供給システム410を含む。ガス供給システム410は、ガスを複数のガス供給ライン(例えば416)に送出するために、ガス供給源412に接続されたポンプ414を含む。図示の実施形態では、単一のガス供給ライン418が、ポンプ414とポンプ・マニホールド420との間に接続されている。マニホールド420は、ガス供給ライン416のそれぞれのものに配置され、膨張式セル402にガスを供給するために弁を選択的に開閉するための電気制御信号に応答する、複数の電気的に作動可能なソレノイド弁422を含む。各セル402は、ガスの侵入を可能にするが、ガス供給ライン416への逆流を制限するための感圧弁421を含む。他の実施形態では、ガス供給システム410は、水などの流体をシステム400に選択的に送出するための同等の流体送出システムで置き換えてもよい。
【0130】
最後に、膨張式ブラダー・システム400は、膨張式セル402の選択的な膨張を制御するための電気制御信号を生成するように構成されたマイクロコントローラー600を含む。マイクロコントローラー600は、上述した装置200およびセンサー・マット・システム300のものと同じであると図示されている。しかし、いくつかの実施形態では、別々のマイクロコントローラーを使用してもよい。制御信号は、制御ライン424を介してソレノイド弁422に送られる。マイクロコントローラー600はまた、ソレノイド弁422の制御と連動して、制御ライン426によってポンプ414の活性化および非活性化を制御する。
【0131】
ポンプ414、マイクロコントローラー600、マニホールド420およびソレノイド弁422は、システム400に隣接して配置されたポンプおよびコントローラー・ハウジング(図示せず)内に統合されることが好ましい。ブラダー・システム400がマットレスの下に配置される場合、隣接するマットレスは、製造元およびモデルに応じて、セルと整列して底部に作られた切り込みまたは穿孔を有し、関連するリフトへの空気室の充填を可能にすると共に、リフトをより均一にすることができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、膨張式ブラダー・システム400は、構造的支持を提供するために、複数の膨張式セルの下に配置された剛性または半剛性の層を含む。膨張式ブラダー・システム400はまた、膨張式ブラダー・システムをマットレスまたはベッド・フレームに係合させるように構成された係合ストラップ(図示せず)を含んでもよい。弾性シートを膨張式ブラダー・システム400の上に重ねて適用し、圧力痛を生じさせる可能性のある皺形成のリスクを最小化してもよい。特定の設計のマットレスをブラダー・システム400の上に重ねてもよく、このマットレスは、褥瘡を引き起こす可能性のある圧迫点を最小化するように設計されている。これは、異なるセグメントに対して様々な密度の材料(主に発泡体)を用いて達成される。例えば、ベッドが曲げられるように、リフトの開始点に近い部分には柔らかいが厚い層が使用され、一方、ベッドに入って約10cmのところにある背中の小さな部分を支えるためには、より硬いフォームが使用される。
【0133】
好ましくは、ガスは空気であり、ガス供給源412は、ポンプ414上の単純な空気吸入口を含む。しかし、膨張式ブラダー・システム400は、他の種類のガスまたは流体を利用してもよいことが理解されるであろう。
【0134】
使用時には、膨張式ブラダー・システム400のセル402は、マイクロコントローラー600が制御ライン424に沿ってソレノイド弁422に制御信号を発行し、制御ライン426に沿ってポンプ414に制御信号を発行することによって膨張する。制御信号は、どのソレノイド部弁を開くべきかを示し、また、以下のような他のパラメータを示してもよい。
- ソレノイド弁422を開き、ポンプ414を起動するための所望の時間。
- 異なるセル402を膨張させるための所望の圧力。
- ポンプ414がマニホールド420に空気を供給するための希望圧力。
- ポンプ414を作動させるための所望の速度/動力。
- 異なるセル402に送られるべき所望の空気の量。
【0135】
ポンプ414の起動時には、空気がガス供給源412から供給され、第1の圧力でマニホールド420に送られる。どのソレノイド弁422が開いているかに応じて、空気は、対応するガス供給ライン416に沿って、第1の圧力よりも高い第2の圧力で所望のセル402に送られる。所望の量のガスが供給されると、ソレノイド弁422が閉じられ、ポンプ414が非活性化される。各セルの感圧弁421は、ガスが所望の圧力でセル内に維持されることを保証する。
【0136】
システム400のセルを膨らませるために、マイクロコントローラー600は、制御ライン424に沿って制御信号を送り、所望のセルに対応する特定のソレノイ弁422を開く一方、逆モードで制御ライン426を介してポンプ414を作動させる。しかし、他の実施形態では、代替の収縮手段を利用してもよい。例えば、マイクロコントローラー600は、セル402の個別の排出バルブを制御して収縮を行うこともできる。
【0137】
上述の方法で、各セル402は、複数の事前定義された圧力レベルのうちの1つに個別に膨張および収縮させることができる。他の実施形態では、膨張式セル402は、グループに分けられ、各グループは、そのグループに共通する対応する電気的に作動可能なソレノイド弁422を有する。このようにして、マイクロコントローラー600によってソレノイド弁422が開かれると、グループ内の各セルに共通のガス供給ラインに沿って、またはそのソレノイド弁に共通の別々のガスラインに沿って、ガスが均等に供給される。さらに、グループ内の膨張式セルの一部または全部は、第1のセルが所定の圧力閾値に達したときに、第1のセルからグループ内の第2のセルへのガスの流れを可能にする内部電子弁または感圧弁によって分離されてもよい。例えば、グループは、層404、406、408の3つの垂直方向に隣接するセルで構成されていてもよい。ガスは、専用の供給ラインによって層404のセルに直接供給されてもよく、このセルがあらかじめ定義された閾値に達すると、内部圧力バルブ(図示せず)が作動し、空気が層406のすぐ下のセルに分配される。同様のプロセスが、層406と408のセルの間で起こってもよい。いくつかの実施形態では、内部バルブは、セル間の空気の高度な流れを提供するために、マイクロコントローラー600によって制御されてもよい。
【0138】
他の実施形態では、ガス供給システム410は、マニホールド420を含まず、ガス供給ライン416は、ポンプ414とセル402との間で直接接続される。
【0139】
電気制御信号は、リモート・コントローラー700または膨張式ブラダー・システム400に関連する制御パネルを介したユーザーの入力によって提供されてもよい。また、ユーザーは、マイクロフォン(図示せず)への音声コマンドを介して入力を提供することができるかもしれない。例えば、ユーザーは、セルの異なる組み合わせを膨張または部分的に膨張させる複数の異なる事前定義された膨張設定のうちの1つを選択することができる場合がある。リモート・コントローラー700は、膨張式ブラダー・システム400の視覚的表現を提供し、ユーザーが膨張させるためのセルを選択できるようにするタッチ・スクリーン・ディスプレイを含んでいてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、電気制御信号は、上述したセンサー・マット・システム300から受信した圧力データに基づいている。このようにして、ブラダーの膨張は、センサー・マット・システム300によって検出された患者の位置および動きに基づいて制御される。膨張用マイクロコントローラーがセンサー・マイクロコントローラーと異なる実施形態では、センサー・マイクロコントローラー600は、圧力データを膨張制御マイクロコントローラーに送信して、患者の位置および動きに基づいてブラダーの膨張を制御するように構成される。
【0141】
また、電気的な制御信号は、健康の専門家による調査入力(褥瘡のリスクが高いかどうかを評価する)や、快適性や安全性が高いと思われる位置関係のパターンを学習する機械学習システムを介して提供されることもある。
【0142】
センサー・マット・システム300および膨張式ブラダー・システム400の制御を統合することにより、マイクロコントローラー600は、圧力持続を最小限にして圧力痛を回避するために、ユーザーの位置を操作するために様々なセルの膨張を指示することができる。センサー・マット・システム300から得られた過去の圧力データは、膨張式ブラダー・システム400からの(電子制御信号を介した)現在または過去の膨張状態情報と組み合わせて処理され、さらなる膨張パターンを指示することができる。この処理は、マイクロプロセッサー600によって行われてもよいし、外部のクラウド・サーバーによって行われてもよい。
【0143】
上述したように、マイクロプロセッサー600または外部クラウド・サーバーは、センサー・マット・システム300からの入力を受けて、システム400の適切な制御信号を決定する機械学習プロトコルを活用してもよい。この機械学習は、褥瘡、転倒、呼吸停止などの緊急事態の発生を低減すると共に、睡眠の質や人間工学的な姿勢のアドバイスを長期的に改善する。この機械学習は、患者、ユーザー、または医療専門家からの入力を受けて、より正確さを増し、与えられる警告やアドバイスをさらにパーソナライズすることができる。また、血圧計などの他の機器からの入力を活用して、システム400を適切に動的に調整するための追加のコンテキストを提供することもできる。
【0144】
セル402の膨張パターンを動的に調整することで、以下のことが可能になる。
- ユーザーの深部静脈瘤をマッサージしたり,動かない筋肉をマッサージしたりするマッサージ機能を実行する。
- 褥瘡(じょくそう)の発生を抑制するために、ユーザーの圧迫箇所を移動させる。
- ベッドの端にバリアを作り、転倒の可能性を減らす。
- 利用者がベッドに座るのを手伝うなど、利用者の動作を補助する。
- 大きなセル405の圧力を調整することで、首のサポートを調整し、頭の後ろをより高くする。
- 背中に問題を抱えているユーザーや、そうでない人でも特定の部分をサポートすることで安心感を得たり、より良い睡眠を得たりすることができるような快適性を提供する。
- 圧力センサーやユーザーの入力に応じて、ベッド(または椅子)にいる人に人間工学的なサポートを提供する。
【0145】
膨張式ブラダー・システムは、センサー・マット・システム300と一体化していることに加えて、傾斜可能なベッド装置200と連動して動作することもできる。このようにして、セル402に適用される特定の膨張パターンは、ユーザーが伏臥位または仰臥位であるか、傾斜位置であるか、または座位の直立位置であるかを考慮してもよい。
【0146】
さらに、マイクロコントローラー600は、センサー・システム300によってユーザーの圧力分布を決定する際に、ブラダーの膨張の現在の状態に対する洞察を提供する電子制御信号を考慮してもよい。したがって、圧力データは、受信した電子制御信号に基づいて生成されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラー600は、CPRオーバーライド信号に応答して、すべての膨張式セルを収縮させる。このオーバーライド信号は、関連付けられたマスターオーバーライドボタンによって受信されてもよいし、あらかじめ定義された心停止イベントが検出される圧力データから導出されてもよい。
【0148】
セルの異なる組み合わせを膨張させることによって生じる膨張式ブラダー・システム400の例示的な膨張プロファイルを、
図28から
図33に示す。
図28、29、32および33は、第1の例示的な膨張プロファイルに関するものであり、一方、
図30および31は、第2の例示的な膨張プロファイルに関するものである。例示的なブラダーの寸法は、
図32および33に示されている。
【0149】
膨張式ブラダー・システム400をセンサー・マット・システム300と組み合わせて使用する場合、センサー・マット・システム300のセンサーがユーザーの位置や動きを正確にマッピングできるように、抵抗となるプラスチック、金属、木、布のシートをシステム400の下に配置してもよい。
【0150】
(格納式ベッドレール・システム)
図25から
図27に、ベッド用の支持レール・システム900を示す。支持レール・システム900は、ベッド・フレーム901と係合するための係合形成部902を含む。係合形成部902は、
図27に最もよく示されているように、ベッドのマットレス903の下に配置されるように実質的に水平に延びる係合アーム904を含む。図示されているように、係合アーム904は、平行部材910および912によって相互に連結された平行部材906および908を含む実質的に矩形のフレームで形成されている。しかし、他の実施形態では、係合形成部902は、単一の実質的に平面的なパネル、一対の係合アーム、または他の係合手段で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、部材906および908は、マットレス903の異なる幅を横切って延びるように、長さを伸縮可能にしている。
【0151】
また、支持レール・システム900は、部材910上または隣接する係合形成部902に取り付けられた支持レール914を含む。支持レール914は、動作可能な位置では実質的に垂直に延び、2つ以上の高さ位置の間で高さを伸縮自在に調整可能である。伸縮調整は、一対の伸縮アーム916および918を介して行われ、これらのアームは、摺動軸に沿って互いに相対的に摺動するわずかに異なる直径の2つ以上の伸縮スリーブ状要素を含む。図示していないが、テレスコピックアーム916および918は、ロックピン(図示せず)および一連の長手方向にずれたロック開口部(図示せず)を介して、いくつかの高さ位置のうちの1つにロックするように動作可能である。ロックピンは、トラベルケースのテレスコピックハンドルと同様に、対応するリリース機構(図示せず)を介して、ロック開口部と解放可能に係合する。他の実施形態では、伸縮アーム916および918は、マイクロコントローラー600または他の制御装置から受信した制御信号(例えば、Bluetooth、音声コマンド、Wi-Fi)に応答する電子アクチュエーターによって電子的に調整可能である。
【0152】
支持レール914は、平坦な下縁922および湾曲した上縁924を有する実質的に平面的な垂直パネル920の形態である。支持レール914はまた、レールを垂直に伸ばしたり引っ込めたりするためのハンドホールドを提供するための開口部926-928を含む。
【0153】
支持レール914は、ヒンジ・ジョイント930、932を介して、
図25から
図27に示される動作可能位置と折り畳み位置との間で、係合形成部902に対して相対的に回転可能である。回転は、回転解除機構(図示せず)を介して手動で行うことができる。しかし、他の実施形態では、支持レール914は、マイクロコントローラー600または他の制御装置によって発行された制御信号(例えば、Bluetooth、音声コマンド、Wi-Fi)に応答する電子アクチュエーターによって電子的に回転可能である。
【0154】
最後に、一対の支持脚934および936は、垂直に対して15度から75度の範囲の角度で、係合形成部902から実質的に下方およびわずかに外側に延びている。しかし、他の実施形態では、支持脚934および936は、実質的に垂直に下向きに配置される。支持脚934および936は、ベッドに隣接する床と係合して、支持レール914をマットレス903に対して動作可能な位置に維持するために、長さが調整可能である。各支持脚は、床との摩擦係合を提供するために、ゴムまたは類似の材料で形成されたアバットメント形成部938および940を含む。この摩擦係合は、支持脚934および936のわずかな外向きの傾斜と共に、ユーザーの体重が支持レール914にかかった場合でも、ユーザーをベッドに保持するのに十分な力を提供する。
【0155】
支持脚934および936は、複数の伸縮可能なスリーブ状の要素(例えば、942および944)で形成されており、脚の長さを伸縮自在に調整できるようになっている。これにより、異なる高さのベッドに対して脚部を調整することができる。
【0156】
上述の伸縮アーム916および918と同様に、支持脚934および936のテレスコピック調整は、解放可能なロックピン(図示せず)を一連の長手方向に変位したロック開口部(これも図示せず)の1つに手動で作動させて、脚を多数の高さ位置の1つにロックすることによって行われる。ロックピンは、トラベルケースのテレスコピックハンドルと同様に、対応するリリース機構(図示せず)を介して、ロック開口部に解放可能に係合する。いくつかの実施形態では、ロックピンの作動は、マイクロコントローラー600または同様の制御装置からの制御信号(例えば、Bluetooth、音声コマンド、Wi-Fi)に応答する電子アクチュエーターによって電子的に実行されてもよい。
【0157】
支持レール・システム900の様々なコンポーネントは、プラスチック、金属、または他の剛性の高い材料で形成されてもよい。
【0158】
使用時において、支持レール・システム900は、ベッドの側部に沿って、またはベッドの頭部もしくは足部に配置されてもよい。システム900は、表面層をシステム900に取り付ける柔軟なシートまたは平面ファスナーおよび/または他の材料によって、傾斜ベッド装置200と関連付けられてもよい。複数の支持レール・システムは、ベッドの複数の側面/端部の周りでユーザーに支持を提供するために、互いに関連して使用されてもよい。作動位置に設置されると、サポート・レール・システム900は、ユーザーの体重がかかるマットレス903の重量を利用して、転倒の可能性を低減する。
【0159】
ベッドから出るためには、ユーザーは、支持レール914を、支持レールが支持脚934および936に隣接して実質的に垂直に下方に延びる折り畳み位置に折り畳む。いくつかの実施形態では、支持レール914は、ユーザーがベッドから出ることを可能にするために、係合形成部902から取り外し可能であってもよい。支持レール914は、マイクロコントローラー600と通信する中央アプリを介して、(上述したような)ボタンの起動によって、音声コマンドによって、またはユーザーもしくは医療従事者による遠隔制御によって、手動で折り畳まれてもよい。支持脚934および936はまた、支持レール914が動作位置から収納位置に移動されるときに引っ込むことができる。脚部は、支持レール914の横に配置する位置に折り畳むことができ、ユーザーがベッドから出るときに脚部で転んだりつまずいたりするリスクを低減することができる。
【0160】
他の実施形態では、支持レール・システム900は、単一の支持脚のみ、または2つ以上の支持脚を含むことが理解されるであろう。別の実施形態では、支持レール・システム900は、関連するトレイテーブル、ボトル/カップホルダ、および/または、ユーザーがベッドにいる間に電気機器を充電するための電気充電ポートなどの追加機能を含む。
【0161】
(結論)
上記のシステムは、患者の怪我からの回復を支援し、転倒や床ずれの事例を減らすための手頃な代替ベッド・システムを提供する。別々に説明したが、本発明の上記の各側面は、単一のスマート・ベッド・システムに構成することができる。このスマート・ベッド・システムは、以下の目的で使用することができる。
- 患者や体の弱い人を持ち上げて、家の中で安全で快適な生活を提供する。
- ベッドで仕事をしたり、ノートパソコンを使ったりしたい人を快適に持ち上げ、それによって仕事に関連した病気になる可能性を減らす。
- 睡眠に問題のある人を(関連するソフトウェアのアルゴリズムやアプリケーションによって決定される)異なる量で持ち上げ、傾斜睡眠療法を提供する。
- 転倒や床ずれのような予防可能な事故を減らす。
- 回復を早め、入院期間を短縮することができる。
【0162】
既存のベッド・フレームに取り付けた場合、上記の傾斜可能なベッド・システムのベッドは、身体の不自由な患者がより簡単に移動できるようになる。バネを使用した設計ではないため、摩耗や破損の原因となる機械部品が少なくて済む。作動可能なブラダー・システムは、リモコン、音声入力、および/またはセンサー・システムからのフィードバックによるユーザー入力によって、患者の快適性を高め、より高度な調整を可能にする。
【0163】
また、スマート・ベッド・システムは、マイクロコントローラーを介して、モニタリング機器からスマートライト/ブラインドまで、他のデバイスやセンサーと接続することができる。
【0164】
(語句の解釈)
特に明記しない限り、以下の説明から明らかなように、本明細書では、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「分析」などの用語は、電子的な量などの物理的な量として表現されたデータを操作および/または変換して、同様に物理的な量として表現された他のデータに変換する、コンピュータまたはコンピューティングシステム、あるいは同様の電子コンピューティングデバイスの動作および/またはプロセスを意味していることを理解されたい。
【0165】
同様に、「コントローラー」または「プロセッサー」という用語は、電子データを処理する装置または装置の一部を指す場合がある。例えば、レジスターおよび/またはメモリーからの電子データを処理して、その電子データを、例えばレジスターおよび/またはメモリーに保存される可能性のある他の電子データに変換する。コンピュータ」、「コンピューティングマシン」、「コンピューティングプラットフォーム」は、1つまたは複数のプロセッサーを含むことがある。
【0166】
本明細書において「1つの実施例」、「いくつかの実施例」または「1つの実施例」とは、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な場所で「1つの実施形態で」、「いくつかの実施形態で」、または「1つの実施形態で」というフレーズが現れても、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、本開示から当業者に明らかになるように、任意の適切な方法で、1つまたは複数の実施形態に組み合わせることができる。
【0167】
本明細書では、特に指定のない限り、「第1」、「第2」、「第3」などの序列形容詞を使用して共通の対象物を説明することは、単に同種の対象物の異なる事例が参照されていることを示すだけであり、説明される対象物が時間的、空間的、順位的、またはその他の方法で所定の順序でなければならないことを意味するものではない。
【0168】
以下の特許請求の範囲および本明細書において、comprising、comprised of、またはwhich comprises(備える、含む、から成る)という用語のいずれか1つは、少なくとも後続の要素/機能を含むが、他を排除しないことを意味するオープンな用語である。したがって、特許請求の範囲で使用される場合、comprisingという用語は、その後に列挙される手段または要素またはステップに限定されると解釈されるべきではない。例えば、AとBからなるデバイスという表現の範囲は、要素AとBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。本明細書で使用されているincludingまたはwhich includesまたはthat includesという用語のいずれか1つは、その用語に続く要素/特徴を少なくとも含むが、他を排除しないことも意味するオープンな用語でもある。したがって、includingは、comprisingと同義であり、構成されることを意味する。
【0169】
本開示の例示的な実施形態に関する上記の説明において、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化し、様々な発明的側面の1つ以上の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図、またはその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかし、このような開示方法は、特許請求の範囲が各請求項に明示的に記載されている以上の特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明的側面は、単一の前述の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ないものにある。したがって、詳細な説明に続く請求項は、各請求項が本開示の別個の実施形態として独立している状態で、ここに明示的に本詳細な説明に組み込まれる。
【0170】
さらに、本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、他の特徴を含まないが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、当業者に理解されるように、本開示の範囲内で、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の請求項において、請求された実施形態のいずれかを任意の組み合わせで使用できる。
【0171】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、本開示の実施形態は、これらの具体的な詳細がなくても実施することができることを理解されたい。他の例では、よく知られた方法、構造、および技術は、本説明の理解を不明瞭にしないために、詳細に示されていない。
【0172】
同様に、特許請求の範囲で使用されている「coupled」という用語は、直接的な接続のみに限定して解釈されるべきではないことに注意されたい。用語「coupled」(結合された)および「connected」(接続された)は、その派生語と共に使用することができる。これらの用語は、互いに同義語として意図されていないことを理解すべきである。Aの出力とBの入力の間に経路が存在することを意味し、この経路は他の装置または手段を含む経路であってもよい。"結合”とは、2つ以上の要素が物理的、電気的、または光学的に直接接触していること、または2つ以上の要素が互いに直接接触していなくても、互いに協力または相互作用していることを意味する。
【0173】
本明細書で説明した実施形態は、本発明の任意の適応または変形をカバーすることを意図している。本発明を特定の例示的な実施形態の観点から説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲内にある追加の実施形態が容易に想定できることを理解されたい。
【国際調査報告】