(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/84 20180101AFI20220105BHJP
F25B 43/00 20060101ALI20220105BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F24F11/84
F25B43/00 K
F25B1/00 304H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520919
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(85)【翻訳文提出日】2021-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2019078537
(87)【国際公開番号】W WO2020083823
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521154431
【氏名又は名称】プロフ インヴェストメント アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エンゲン, モルテン アンドレ
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA04
3L260FB07
3L260FB08
(57)【要約】
本発明は、レシーバータンクと、蒸発器と、圧縮機と、気体冷却器とを含む冷却システムを提供し、レシーバータンクは、流体入口と、液体出口と、気体出口とを含み、蒸発器は、蒸発器入口と、蒸発器出口とを含み、圧縮機は、圧縮機入口と、圧縮機出口とを含み、気体冷却器は、冷却器入口と、冷却器出口とを含み、レシーバータンクの液体出口は、第一の導管を介して蒸発器入口へと接続され、蒸発器出口は、第二の導管を介して圧縮機入口へと接続され、圧縮機出口は、第三の導管を介して冷却器入口へと接続され、冷却器出口は、第四の導管を介してレシーバーの流体入口へと接続され、第一の導管および第四の導管のうちの少なくとも1つは、圧力調節器を含み、レシーバータンクの気体出口は、第一の導管内の液体冷媒の流れが、使用中に気体流調節器を動作させることによって制御され得るように、第五の導管および気体流調節器を介して蒸発器入口へと接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却システム(1)であって、該冷却システム(1)は、レシーバータンク(2)と、蒸発器(3)と、圧縮機(4)と、気体冷却器(5)とを含み、
- 該レシーバータンク(2)は、流体入口(6)と、液体出口(7)と、気体出口(8)とを含み、
- 該蒸発器(3)は、蒸発器入口(9)と、蒸発器出口(10)とを含み、
- 該圧縮機(4)は、圧縮機入口(11)と、圧縮機出口(12)とを含み、
- 該気体冷却器(5)は、冷却器入口(13)と、冷却器出口(14)とを含み、
該レシーバータンク(2)の該液体出口(7)は、第一の導管(15)を介して該蒸発器入口(9)へと接続されており、該蒸発器出口(10)は、第二の導管(16)を介して該圧縮機入口(11)へと接続されており、該圧縮機出口(12)は、第三の導管(17)を介して該冷却器入口(13)へと接続されており、該冷却器出口(14)は、第四の導管(18)を介して該レシーバーの該流体入口(6)へと接続されており、
該第一の導管(15)および該第四の導管(18)のうちの少なくとも1つは、圧力調節器(19、25)を含み、
該レシーバータンクの該気体出口(8)は、該第一の導管(15)内の液体冷媒の流れが、使用中に気体流調節器(21、22)を動作させることによって制御され得るように、第五の導管(20)および該気体流調節器(21、22)を介して該蒸発器入口(9)へと接続されている、
冷却システム(1)。
【請求項2】
前記気体流調節器を動作させることによる前記第五の導管(20)内の気体冷媒の流れの低下が、前記第一の導管(15)内の前記液体冷媒の流れを増加させるように、前記気体流調節器(21、22)が配置されている、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記第五の導管(20)からの気体冷媒と、前記第一の導管(15)からの液体冷媒との混合物が、使用中に前記蒸発器入口(9)へと入り得るように、前記レシーバータンクの前記気体出口(8)が、前記第五の導管(20)および前記気体流調節器(21、22)を介して前記蒸発器入口(9)へと接続されている、請求項1または請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記レシーバーの前記気体出口(8)からの気体冷媒が、使用中に前記蒸発器入口(9)へと入る前に、該レシーバーの前記液体出口(7)からの液体冷媒と混ぜられ得るように、前記第五の導管(20)が、該レシーバーの該気体出口(8)へと接続されている第一の端と、前記第一の導管(15)へと接続されている第二の端とを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記第一の導管および前記第五の導管が、第六の導管(23)を介して前記蒸発器入口へと接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記気体流調節器が二方弁(21)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記第一の導管と、前記第五の導管と、前記蒸発器入口(9)とが、該第五の導管(20)へと接続される第一の入口と、該第一の導管(15)へと接続される第二の入口と、該蒸発器入口(9)へと接続される出口とを特徴として有する三方連結器(24)によって相互接続されており、該第一の導管(15)内の液体冷媒に作用する、該第五の導管(20)からの気体冷媒流のエジェクター効果が使用中に最小限にされるように、該第二の入口が、該出口に対して角度(α)で配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記角度(α)が約90°である、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記気体流調節器が三方弁(22)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記三方弁(22)が、前記第一の導管(15)へと接続される第一の入口と、前記第五の導管(20)へと接続される第二の入口と、前記蒸発器入口(9)へと接続される出口とを含む、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記第二の導管(16)内に配置されている、第一の圧力センサー(27a)および第一の温度センサー(28a)と、圧力調節器(19、25)より上流で前記第四の導管内に配置されている、第二の圧力センサー(27b)および第二の温度センサー(28b)、または圧力トランスミッタ(29)とを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項12】
冷却システムを制御する方法であって、該冷却システムは、レシーバータンク(2)と、蒸発器(3)と、圧縮機(4)と、気体冷却器(5)とを含み、
該レシーバータンク(2)は、流体入口(6)と、液体出口(7)と、気体出口(8)とを含み、
該蒸発器(3)は、蒸発器入口(9)と、蒸発器出口(10)とを含み、
該圧縮機(4)は、圧縮機入口(11)と、圧縮機出口(12)とを含み、
該気体冷却器(5)は、冷却器入口(13)と、冷却器出口(14)とを含み、該レシーバータンク(2)の該液体出口(7)は、第一の導管(15)を介して該蒸発器入口(9)へと接続されており、該蒸発器出口(10)は、第二の導管(16)を介して該圧縮機入口(11)へと接続されており、該圧縮機出口(12)は、第三の導管(17)を介して該冷却器入口(13)へと接続されており、該冷却器出口(14)は、第四の導管(18)を介して該レシーバーの該流体入口(6)へと接続されており、
該第一の導管(15)および該第四の導管(18)のうち少なくとも1つは、圧力調節器(19、25)を含み、
該レシーバーの該気体出口(8)は、第五の導管(20)および気体流調節器(21、22)を介して該蒸発器入口(9)へと接続されており、該方法は、
- 該第一の導管(15)内の液体冷媒の低減された流れ、および該蒸発器(3)内の低減された冷却能力を得るために、該気体流調節器(21、22)を制御することによって、該第五の導管(20)内の気体冷媒の流れを増大させるステップ、または、
- 該第一の導管(15)内の液体冷媒の増大された流れ、および該蒸発器(3)内の増大された冷却能力を得るために、該気体流調節器(21、22)を制御することによって、該第五の導管(20)内の気体冷媒の流れを低減させるステップ
を含む、方法。
【請求項13】
前記第四の導管(18)が圧力調節器(19)を含み、前記気体冷媒の流れを増大させるステップが、前記冷却器出口(14)と、前記レシーバータンク(2)の前記流体入口(6)との間の圧力下降を減少させるために、該圧力調節器(19)を制御することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の導管(15)が圧力調節器(25)を含み、前記気体冷媒の流れを増大させるステップが、該第一の導管(15)にわたる圧力下降を増大させるために、該圧力調節器(25)を制御することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
- 前記蒸発器(3)内部の前記液体冷媒の沸騰温度に関連する示差温度曲線を得るために前記第二の導管(16)内の冷媒温度を測定し、該示差温度曲線が下降示差温度を示すか上昇示差温度を示すかに依存して、それぞれ前記第五の導管(15)内の気体冷媒の流れを増大または低減させる、初期のステップ
を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、冷却システム、より具体的にはCO2-冷凍媒体の直接膨張冷却システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
直接膨張(DX)冷却システムは、蒸気圧縮冷凍サイクルを用いた、一般的な冷却システムである。
【0003】
典型的な先行技術DX冷却システムが
図1に示されている。DX冷却システムでは、蒸発器3へと提供される液体冷媒の圧力および温度は、一般的に、レシーバータンク2と蒸発器3との間に配置されている膨張弁25、例えば調整制御弁または圧力調節器、を用いることによって制御されている。冷媒が気体冷却器5から出て遷臨界であるとき、さらなる膨張弁19が気体冷却器5とレシーバータンク2との間に必要であり、これによりレシーバータンク2において亜臨界状態が保証されて、気相および液相への冷媒の分離を可能とする。遷臨界DX冷却システムでは、冷媒は、レシーバーと気体冷却器との間に配置されている膨張弁19を出るときには亜臨界状態にあり、圧縮機4を出るときには遷臨界状態にある。亜臨界DX冷却システムでは、冷媒はシステム全体を通して亜臨界状態にあり、レシーバータンク2の手前に配置される膨張弁19は必要とされない。
【0004】
一般的に、蒸発器3の能力は、気体冷却器5とレシーバータンク2との間に配置されている膨張弁19および圧縮機4の効果によって制御される。
【0005】
先行技術DX冷却システムは、特に、より低い冷却能力が要求されるときに、冷却能力の制御に関する様々な不利点を有している。
【0006】
本発明の目的は、先行技術冷却システムの不利点の少なくともいくつかを軽減または取り除くDX冷却システムを提供することである。より具体的には、本発明は、蒸発器の改善された利用だけでなく、改善された冷却能力、改善されたエネルギー効率も有するDX冷却システムを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明は、添付の特許請求の範囲によっておよび以下において定義される。
第一の側面において、本発明は、レシーバータンクと、蒸発器と、圧縮機と、気体冷却器とを含む冷却システムを提供し、
- レシーバータンクは、流体入口と、液体出口と、気体出口とを含み、
- 蒸発器は、蒸発器入口と、蒸発器出口とを含み、
- 圧縮機は、圧縮機入口と、圧縮機出口とを含み、
- 気体冷却器は、冷却器入口と、冷却器出口とを含み、
レシーバータンクの液体出口は、第一の導管を介して蒸発器入口へと接続されており、蒸発器出口は、第二の導管を介して圧縮機入口へと接続されており、圧縮機出口は、第三の導管を介して冷却器入口へと接続されており、冷却器出口は、第四の導管を介してレシーバータンクの流体入口へと接続されており、
第一の導管および第四の導管のうちの少なくとも1つは、圧力調節器を含み、
レシーバータンクの気体出口は、第一の導管内の液体冷媒の流れが、使用中に気体流調節器を動作させることによって制御され得るように、第五の導管および気体流調節器を介して蒸発器入口へと接続されている。すなわち、第一の導管を介して蒸発器入口へと入る液体冷媒の流れは、使用中に気体流調節器を動作させることによって制御され得る。
【0008】
言い換えると、レシーバータンクの気体出口は、レシーバータンクからの気体冷媒の流れが使用中に蒸発器へと入り得るように、第五の導管および気体流調節器を介して蒸発器入口へと接続されている。
【0009】
冷却システムは、遷臨界冷却システムまたは亜臨界冷却システムとして動作され得る。遷臨界冷却システムでは、圧力状態および温度状態は、冷媒が、気体冷却器内では遷臨界であり、レシーバータンク内では亜臨界であるように整えられる。亜臨界冷却システムでは、冷媒は、冷却システム全体を通して亜臨界である。亜臨界冷却システムでは、気体冷却器は、気体凝縮器とも称され得る。
【0010】
気体流調節器は、調整気体制御弁として定義され得る。圧力調節器は、調整流体制御弁であり得る。遷臨界冷却システムでは、圧力調節器は、調整高圧制御弁とも称され得る。
【0011】
実施形態では、冷却器出口は、第四の導管および圧力調節器を介して、レシーバータンクの流体入口へと接続されている。
【0012】
冷却システムの実施形態では、気体流調節器は、気体流調節器を動作させることによる第五の導管内の気体冷媒の流れの低下が、第一の導管内の液体冷媒の流れを増大させるように配置される。言い換えると、気体流調節器を動作させることによる第五の導管内の気体冷媒の流れの低下は、レシーバータンク内の圧力を増大させ、従って第一の導管内の液体冷媒の流れを増大させる。
【0013】
冷却システムの実施形態では、レシーバータンクの気体出口は、第五の導管からの気体冷媒と、第一の導管からの液体冷媒との混合物が、使用中に蒸発器入口へと入り得るように、第五の導管および気体流調節器を介して蒸発器入口へと接続されている。
【0014】
冷却システムの実施形態では、第五の導管は、レシーバータンクの気体出口からの気体冷媒が、使用中に蒸発器入口へと入る前にレシーバータンクの液体出口からの液体冷媒と混ぜられ得るように、レシーバータンクの気体出口へと接続されている第一の端と、第一の導管へと接続されている第二の端とを含む。
【0015】
冷却システムの実施形態では、レシーバータンクの液体出口は、レシーバータンク内の気体冷媒の増大された圧力が、使用中に液体出口を介して液体をレシーバータンクの外へと追いやるように配置されている。
【0016】
冷却システムの実施形態では、第一の導管および第五の導管は、第六の導管を介して蒸発器入口へと接続されている。
【0017】
冷却システムの実施形態では、第五の導管は、第一の導管を介して蒸発器入口へと接続されている。
【0018】
冷却システムの実施形態では、第六の導管は、第一の導管の断面積より広い内断面積を有する。
【0019】
冷却システムの実施形態では、気体流調節器は二方弁である。二方弁は調整制御弁であり得る。
【0020】
冷却システムの実施形態では、二方弁は、第五の導管内に配置されるか、または第五の導管の一部を構成する。
【0021】
冷却システムの実施形態では、第一の導管と、第五の導管と、第六の導管とが、第五の導管へと接続されている第一の入口と、第一の導管へと接続されている第二の入口と、蒸発器入口または第六の導管へと接続されている出口とを特徴として有する三方連結器によって相互接続されており、第二の入口は、第一の導管内の液体冷媒に作用する、第五の導管からの気体冷媒流のエジェクター効果が使用中に最小限にされるように、出口に対してある角度で配置されている。角度は約90°であり得る。
【0022】
冷却システムの実施形態では、気体流調節器は三方弁である。三方弁は調整制御弁であり得る。
【0023】
冷却システムの実施形態では、三方弁は、第一の導管へと接続されている第一の入口と、第五の導管へと接続されている第二の入口と、蒸発器入口または第六の導管へと接続されている出口とを含む。
【0024】
実施形態では、冷却システムは、第二の導管内に配置されている、第一の圧力センサーおよび第一の温度センサー、ならびに、第四の導管内に配置されている、第二の圧力センサーおよび第二の温度センサーを含む。第二の圧力センサーおよび第二の温度センサーは、第四の導管内の圧力調節器より上流で第四の導管内に配置され得る。
【0025】
冷却システムの実施形態では、第二の圧力センサーおよび第二の温度センサーは、圧力トランスミッタによって置き換えられ得る。圧力トランスミッタを特徴として有する実施形態では、冷却システムは亜臨界冷却システムであり得る。圧力トランスミッタは、気体冷却器/凝縮器ファンまたは気体冷却器/凝縮器ポンプのいずれかへと接続され得る。
【0026】
第二の側面において、本発明は冷却システムを制御する方法を提供し、冷却システムは、レシーバータンクと、蒸発器と、圧縮機と、気体冷却器とを含み、
レシーバータンクは、流体入口と、液体出口と、気体出口とを含み、
蒸発器は、蒸発器入口と、蒸発器出口とを含み、
圧縮機は、圧縮機入口と、圧縮機出口とを含み、
気体冷却器は、冷却器入口と、冷却器出口とを含み、
レシーバータンクの液体出口は、第一の導管を介して蒸発器入口へと接続されており、蒸発器出口は、第二の導管を介して圧縮機入口へと接続されており、圧縮機出口は、第三の導管を介して冷却器入口へと接続されており、冷却器出口は、第四の導管を介してレシーバーの流体入口へと接続されており、
第一の導管および第四の導管のうちの少なくとも1つは、圧力調節器を含み、
レシーバータンクの気体出口は、第五の導管および気体流調節器を介して蒸発器入口へと接続されており、方法は、
- 第一の導管内の液体冷媒の低減された流れ、および蒸発器(3)内の低減された冷却能力を得るために、気体流調節器を制御することによって、第五の導管内の気体冷媒の流れを増大させるステップ、または、
- 第一の導管(15)内の液体冷媒の増大された流れ、および蒸発器(3)内の増大された冷却能力を得るために、気体流調節器(21、22)を制御することによって、第五の導管(20)内の気体冷媒の流れを低減させるステップ
を含む。
【0027】
気体冷媒の流れを増大させるステップは、レシーバータンク内の気体冷媒の圧力を低下させることによって、第一の導管内の液体冷媒の低減された流れを提供する。
【0028】
気体冷媒の流れを低減させるステップは、レシーバータンク内の気体冷媒の圧力を上昇させることによって、第一の導管内の液体冷媒の増大された流れを提供する。
【0029】
第二の側面の方法は、冷却システムの冷却能力を調節する方法とも称され得る。
【0030】
第二の側面に従った方法の実施形態では、第四の導管は圧力調節器を含み、気体冷媒の流れを増大させるステップは、冷却器出口と、レシーバータンクの流体入口との間の圧力下降を減少させるために、圧力調節器を制御するステップを含む。言い換えると、気体冷媒の流れを増大させるステップは、気体冷却器からレシーバータンクへの冷媒の流れを増大させるために、圧力調節器を制御することを含む。
【0031】
第二の側面に従った方法の実施形態では、第一の導管は圧力調節器を含み、気体冷媒の流れを増大させるステップは、第一の導管にわたる圧力下降を増大させるために、圧力調節器を制御することを含む。
実施形態では、第二の側面に従った方法は、
- 蒸発器内部の液体冷媒の沸騰温度に関連する示差温度曲線を得るために第二の導管内の冷媒温度を測定し、示差温度曲線が下降示差温度を示すか上昇示差温度を示すかに依存して、それぞれ第五の導管内の気体冷媒の流れを増大または低減させる、初期のステップ
を含む。
【0032】
第三の側面において、本発明は遷臨界冷却システムを制御する方法を提供し、冷却システムは、レシーバータンクと、蒸発器と、圧縮機と、気体冷却器とを含み、
レシーバータンクは、流体入口と、液体出口と、気体出口とを含み、
蒸発器は、蒸発器入口と、蒸発器出口とを含み、
圧縮機は、圧縮機入口と、圧縮機出口とを含み、
気体冷却器は、冷却器入口と、冷却器出口とを含み、
レシーバータンクの液体出口は、第一の導管を介して蒸発器入口へと接続されており、蒸発器出口は、第二の導管を介して圧縮機入口へと接続されており、圧縮機出口は、第三の導管を介して冷却器入口へと接続されており、冷却器出口は、第四の導管および圧力調節器を介してレシーバーの流体入口へと接続されており、
レシーバータンクの気体出口は、第五の導管および気体流調節器を介して蒸発器入口へと接続されており、方法は、
- 冷却器出口と、レシーバータンクの流体入口との間の圧力下降を減少させるために、圧力調節器を制御することによって、第五の導管内の気体冷媒の流れを増大させるステップ、または、
- 冷却器出口と、レシーバータンクの流体入口との間の圧力下降を増大させるために、圧力調節器を制御することによって、第五の導管(20)内の気体冷媒の流れを低減させるステップ
を含む。
【0033】
言い換えると、冷却器出口と、レシーバータンクの流体入口との間の圧力下降を減少または増大させるために圧力調節器を制御することによって、それぞれ、レシーバータンクの冷媒の流れは増大または減少し、レシーバータンク内の気体冷媒の圧力は増大または減少する。
【0034】
第二の側面および第三の側面に従った方法の冷却システムは、第一の側面に従った冷却システムの特徴のいずれかを含み得る。
【0035】
発明の側面のうちのいずれかの実施形態では、冷却システムは、好ましくは冷媒としてのCO2の直接膨張のための、直接膨張冷却システムである。CO2が冷媒として用いられるとき、冷却システムは遷臨界状態で動作し、第四の導管は圧力調節器を含む。
【0036】
「蒸発器入口」という用語は、冷媒が蒸発器の熱伝達領域へと入るために通過しなければならない入口を意味することを意図されている。蒸発器入口は、第一の導管および第二の導管が接続される蒸発器ユニットの内側に配置される入口、または、第六の導管が接続される外側の入口であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、例のみによって、および、以下の図面を参照しながら、以降詳細に説明される。
【0038】
【
図1】
図1は、先行技術DX冷却システムの略図である。
【0039】
【
図2】
図2は、本発明に従った冷却システムの第一の例となる実施形態の略図である。
【0040】
【
図3】
図3は、本発明に従った冷却システムの第二の例となる実施形態の略図である。
【0041】
【
図4】
図4は、本発明に従った冷却システムの第三の例となる実施形態の略図である。
【0042】
【
図5】
図5は、本発明に従った冷却システムの第四の例となる実施形態の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(発明の詳細な説明)
本発明は大いに有利なDX冷却システムを提供し、蒸発器の冷却能力は改善されたやり方で統制/制御され得る。発明に関係する冷却システムで使用される、特に好ましい冷媒はCO
2である。
図1-5に示されている冷却システムの、対応または類似した特徴は同一の参照番号で表されている。
【0044】
本発明に従った、第一の例となる冷却システムが
図2に示されている。冷却システムは、レシーバータンク2、蒸発器3、圧縮機4および気体冷却器5を特徴として有している。レシーバータンク2は、流体入口6、液体出口7および気体出口8を有している。蒸発器3は、蒸発器入口9および蒸発器出口10を有している。圧縮機4は、圧縮機入口11および圧縮機出口12を有しており、気体冷却器5は、冷却器入口13および冷却器出口14を有している。
【0045】
レシーバータンク2の液体出口7は、第一の導管15を介して蒸発器入口9へと接続されており、蒸発器出口10は、第二の導管16を介して圧縮機入口11へと接続されており、圧縮機出口12は、第三の導管17を介して冷却器入口13へと接続されており、冷却器出口14は、第四の導管18および圧力調節器19を介してレシーバータンクの流体入口6へと接続されている。
【0046】
冷却システムが遷臨界システムであるとき、冷却システムの冷媒は、圧縮機出口12と圧力調節器19との間で遷臨界状態である。圧力調節器19は、気体冷却器5を出た遷臨界冷媒流の圧力を低下させるために配置された調整制御弁である。このやり方で、冷媒は、亜臨界状態を得て、レシーバータンク2内で気相および液相へと分離する。また、冷却システムは、冷却システム全体を通して亜臨界状態のもとで動作され得る。圧力調節器19の機能は、冷却システムの残りの部分との関連で、気体冷却器の中の高圧力を調節することによって、気体冷却器内の熱の除去を最適化することである。さらに、圧力調節器19は、レシーバータンク2内の冷媒が亜臨界であることを保証する。レシーバータンクは冷媒緩衝器として機能し、これは気体冷却器5および蒸発器3内の冷媒の量が変化することから要求されることである。
【0047】
レシーバータンクの気体出口8は、第五の導管20および二方気体弁21(すなわち気体流調節器)を介して、蒸発器入口9へと接続されている。このやり方で、二方気体弁21を動作させることにより、レシーバータンク2内の圧力、および結果として第一の導管15内の液体冷媒の流れが、調節/制御され得る。
【0048】
蒸発器2への液体冷媒の流れを制御するために、随意に圧力調節器19の制御と併用しながら、二方気体弁21を用いることの有意な利点は、冷却システムが先行技術より高い蒸発温度および圧力で動作し得ることである。このやり方で、吸引圧、すなわち圧縮機の吸引側の圧力が維持され、高圧力側、すなわち圧縮機出口と圧力調節器19との間の冷却システムの区域は、より低い圧力を有し得る。
【0049】
レシーバータンク2内の冷却気体が蒸発器3内で冷媒として利用されるため、冷媒流の改善された制御の提供に加えて、発明の冷却システムは最適なエネルギー効率も保証する。気体冷媒は約2-5%の小規模な追加の冷却効果を提供し、これを先行技術冷却システムで得ることは可能でない。
【0050】
液体冷媒と気体冷媒とを、蒸発器3へと入る前に混合することによって引き起こされる乱流は、蒸発器内の冷媒の最適な分布および蒸発器3の熱伝達領域の最適な利用を提供する。特に、より低い冷却能力、すなわち蒸発器3への液体冷媒の弱い流れでは、乱流は先行技術システムと比較して有意な利点を提供する。先行技術システムでは、より低い冷却能力は一般的に液体冷媒の一様でない分布に結び付き、ひいては蒸発温度および圧力を低下させる。低下した蒸発温度は、意図された使用のためには低すぎる蒸発器の外側の温度を引き起こし得るので、例えば冷却されるべき品が凍り得るなど、問題となり得る。
【0051】
第五の導管20内の気体流が第一の導管15内の液体冷媒上で有し得る、いずれのエジェクター効果も最小限にするために、第五および第一の導管は約90°の角度αで接続されている。混合された冷媒流は、共通の導管23(すなわち第六の導管)を介して蒸発器3へと接続されている。さらに冷却システムを最適化するために、第五の導管20および第一の導管15は、ミキシングチャンバー26へと接続されており、蒸発器へと入る前に気体冷媒および液体冷媒の最適なミキシングを得る。本実施形態では、ミキシングチャンバー26は、第一の導管15の断面積より広い断面積を有する三方パイプ接続である。断面積の違いは、液体冷媒のわずかな圧力降下を提供し、蒸発器内の最適な蒸発状態を保証する。ミキシングチャンバーを特徴として有さない実施形態では、共通の導管の断面積が第一の導管の断面積より広いことを保証することによって、わずかな圧力降下が得られ得る。なお、冷媒が蒸発器へと入る前に冷媒においてわずかな圧力降下を得るために、専用の配置またはデバイスを有することは、不可欠ではない。動作状態によっては、第一の導管および/または共通の導管内の流れの抵抗によって引き起こされるわずかな圧力降下は、充分であり得る。
【0052】
先行技術を考慮して、液体出口7と蒸発器3との間に配置される膨張弁が要求されないことから、本発明による冷却システムは、より高い対費用効果もある。膨張弁は高価であり、全体のシステム費用の有意なパーセンテージを占める。
【0053】
冷却システム内の冷媒の状態は、蒸発器出口10付近に配置されている圧力センサー27aおよび温度センサー28a、ならびに、冷却器出口14と圧力調節器19との間に配置されている圧力センサー27bおよび温度センサー28bによって監視される。
【0054】
冷却システムは、圧力センサー27a、b、温度センサー28a、bおよび随意の外的な温度データからの入力に応じて圧力調節器19および気体弁21を制御し得る制御システムを、特徴として有し得る。
【0055】
冷却システムは、蒸発器3内部の液体冷媒の沸騰温度に関連する示差温度曲線を得るために、第二の導管16内の冷媒温度を測定することによって制御され得る。示差温度曲線が下降示差温度を示すか上昇示差温度を示すかに依存して、二方気体弁および/または圧力調節器19を調節することによって、第五の導管15内の気体冷媒の流れは増大または低減され得、液体冷媒の流れはそれぞれ低減または増大される。先行技術DX冷却システムでは、示差温度曲線が上昇している(すなわち増大した冷媒の過熱を示す)とき、液体冷媒の流れも増大し、示差温度曲線が減少しているとき、液体冷媒の流れも減少するが、蒸発器へと入る気体冷媒の流れは制御されない場合がある。
【0056】
蒸発器3は、空気または液体といった、任意の適切な外部媒体を冷却するために用いられ得る。同様に、任意の適切な外部媒体が、気体冷却器5内の要求される冷却効果を得るために用いられ得る。
【0057】
動作状態は、冷媒の種類に依存する温度および圧力の広い範囲内で変化し得る。適切な動作状態は、本開示に基づいて、当業者にとって明白である。
【0058】
本発明に従った、第二の例となる冷却システムが
図3に示されている。第二の例となる冷却システムは、
図2の冷却システムに実質的に類似しており、上で説明したものと同じ利点を提供する。第二の例となる冷却システムは、第一の導管15内にある第二の調整制御弁25を特徴として有する。第二の制御弁は冷却システムを制御するためには不可欠ではないが、液体冷媒の圧力および温度は第五の導管からの気体冷媒と混ぜられる前に制御され得るので、第二の制御弁は追加の制御方策を提供し得る。さらに、第二の調整制御弁25は、冷却システムが運転停止されたときに、蒸発器内での冷媒の凝縮を防ぐために用いられ得る。
【0059】
本発明に従った、第三の例となる冷却システムが
図4に示されている。第三の例となる冷却システムの機能は、
図3の冷却システムに実質的に類似しており、上で説明したものと同じ利点を提供する。しかしながら、第三の例となる冷却システムでは、
図3の二方気体弁21および第二の調整制御弁25は、単一の三方制御弁22に置き換えられている。
【0060】
本発明に従った、第四の例となる冷却システムが
図5に示されている。圧力調節器19が取り除かれており、第二の圧力センサーおよび第二の温度センサーが圧力トランスミッタ29に置き換えられていることを除いて、冷却システムの大抵の特徴は、
図3に示されている冷却システムに類似している。冷却システムは、冷却システム全体を通して亜臨界状態を有する冷媒との使用に適合されており、
図2-4に示されている圧力調節器19は、結果として、レシーバータンク2へと入る前に冷媒の圧力を低下させるためには要求されない。さらに、圧力トランスミッタ29は、気体冷却器の冷却能力を調節するための気体冷却器(または気体凝縮器)弁またはポンプを制御するために、配置され得る。液体冷媒内の要求される圧力降下は、調整制御弁25(すなわち圧力調節器)または任意の適切な膨張弁/デバイスによって提供され得る。冷却システムは、
図2および
図3内の冷却システムに対して説明されたように、二方気体弁21を用いて、および随意に調整制御弁25を用いて、第五の導管20内の気体流を調節することによって、制御され得る。
【国際調査報告】