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特表2022-505039エアゾール容器に液体を充填するための充填装置
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  • 特表-エアゾール容器に液体を充填するための充填装置 図1
  • 特表-エアゾール容器に液体を充填するための充填装置 図2A
  • 特表-エアゾール容器に液体を充填するための充填装置 図2B
  • 特表-エアゾール容器に液体を充填するための充填装置 図2C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(54)【発明の名称】エアゾール容器に液体を充填するための充填装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/12 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
B65B3/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520934
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(85)【翻訳文提出日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2019077338
(87)【国際公開番号】W WO2020088903
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】18203769.7
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521099040
【氏名又は名称】ワイズスプレー インターナショナル オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パルヴィアイネン、イルッカ
(72)【発明者】
【氏名】ウェックマン、マーカス
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA01
3E118AB14
3E118BA06
3E118BA08
3E118BB16
3E118CA05
3E118CA15
3E118EA08
(57)【要約】
エアゾール容器(2)に塗料等の液体を充填する充填装置(1)は、底面に注入開口部が設けられた、エアゾール容器用の液体用のカップ(8)と、注入開口部を介してカップからエアゾール容器に液体を押し込む押し込み部材(4)と、カップからエアゾール容器に液体が移送される際に、カップ内の液体と接触するように押し込み部材の端部に着脱自在に固定され、液体移送作業中にカップの側壁に連続して接触するスクレーパを形成するピストンヘッド(7)と、を備え、液体移送作業を行った後に、ピストンヘッド(7)の着脱自在な固定により、押し込み部材(4)とともにカップ(8)からピストンヘッドを引き出し可能となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器(2)に塗料等の液体を充填するための充填装置(1)であって、
底面に注入開口部が設けられた、前記エアゾール容器用の液体用のカップ(8)と、
前記注入開口部を介して前記カップから前記エアゾール容器に液体を押し込む押し込み部材(4)と、
前記カップから前記エアゾール容器に液体が移送される際に、前記カップ内の液体と接触するように前記押し込み部材の端部に着脱自在に固定され、液体移送作業中に前記カップの側壁に連続して接触するスクレーパを形成するピストンヘッド(7)と、
を備え、
液体移送作業を行った後に、前記ピストンヘッド(7)の着脱自在な固定により、前記押し込み部材(4)とともに前記カップ(8)から前記ピストンヘッドを引き出し可能とすることを特徴とする充填装置(1)。
【請求項2】
前記押し込み部材(4)への前記ピストンヘッド(7)の着脱自在な固定は、連動形態で実施されることを特徴とする請求項1記載の充填装置(1)。
【請求項3】
前記ピストンヘッド(7)を前記押し込み部材(4)から取り外す手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の充填装置(1)。
【請求項4】
前記押し込み部材(4)への前記ピストンヘッド(7)の取り付けを検出する装置を備える、請求項1から3のいずれかに記載の充填装置(1)。
【請求項5】
前記押し込み部材(4)への前記ピストンヘッド(7)の取り付けが検出されない場合に、該装置の作動または使用を防止する手段を備える、請求項4に記載の充填装置(1)。
【請求項6】
前記エアゾール容器(2)を前記装置内に挿入し、該装置から該エアゾール容器を取り外すためのドア構造体(10)を備え、前記ドア構造体は、前記エアゾール容器用の支持体(11)を備える、請求項1から5のいずれかに記載の充填装置(1)。
【請求項7】
前記ドア構造体(10)は、液体用の前記カップ(8)または前記カップを支持する部品(9)用の支持体(12、17)を備えることを特徴とする請求項6に記載の充填装置(1)。
【請求項8】
前記ドア構造体(10)における前記エアゾール容器(2)用の支持体(11)は、前記容器の下端領域から前記エアゾール容器を支持し、前記エアゾール容器用の支持体は、支持面の垂直位置を調整する機構(11a、11b、14、15、16)を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の充填装置(1)。
【請求項9】
前記ドア構造体(10)は、前記充填装置(1)の残りの部分から着脱可能な構造体として構成され、該充填装置に前記ドア構造体を挿入する前に、前記エアゾール容器(2)および液体用の前記カップ(8)の構造体が取り付け可能である、請求項6から8のいずれかに記載の充填装置(1)。
【請求項10】
ドア構造体(10)内のエアゾール容器(2)用の支持体(11)は、少なくとも1つの磁石を備える、請求項6から9のいずれかに記載の充填装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に塗料等の液体を充填する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器に液体を充填するための様々な種類の装置が、従来から知られている。これらの公知の充填装置は、一般的に、移送される液体用のカップが最初にエアゾール容器の上端に取り付けられ固定されるように操作される。これは、カップの底部に形成された充填開口を介して、液体がエアゾール容器内に移送されてしまうので、カップを最初にエアゾール容器に接続することによって、一旦カップに投与された液体が、充填開口を介して漏出するのを防止するためである。カップがエアゾール容器に接続されている場合、充填開口はエアゾール容器のバルブに対して配置される。次いで、移送される液体がカップ内に注入され、カップとエアゾール容器を含む構造体が、充填装置の内部に手動で挿入される。エアゾール容器のサイズは様々であるため、ボトルとカップを支持する底面の高さ設定は、サイズ毎に手動で設定する必要がある。一旦、カップとともにエアゾール容器が充填装置の内部に適切に配置されると、垂直可動ピストンが、カップの充填開口とエアゾール容器のバルブを介してカップからエアゾール容器に液体を押し出す、移送プロセスが実行される。液体の移送が行われた後、ピストンはカップから引き出され、充填されたエアゾール容器がカップと一緒に充填装置から取り出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エアゾール容器に充填される液体の種類、例えば塗料の色が変わる場合に、液体をエアゾール容器に移送するために用いられる装置の部品である、一般的に、少なくともカップとピストンをクリーニングする必要があり、これは、例えば、時間がかかり、問題のある廃棄物を生じる。これらの公知の充填装置に関する他の問題として、カップと共にエアゾール容器を手動で充填装置の内部に挿入するときに、カップ内の液体をこぼすことや、エアゾール容器のサイズを誤って手動でした支持設定が、例えば、充填装置の内部全体の大幅な洗浄操作につながることがある。
【0004】
上述の洗浄問題を克服するための公知の解決策の1つが、欧州特許第1943146号に開示されている。この解決策では、塗料等の液体がエアゾール容器に充填されるように、充填装置にカップが設けられ、そこから、取り外し可能なピストンヘッドを備えた押し込み部材によって液体がエアゾール容器内に押し込まれる。一旦プレスが行われると、ピストンヘッドはカップ内に残され、このカップはピストンヘッドと共に、次いで、充填されたエアゾール容器のキャップとして使用され得る。したがって、液体と接触する部品は全て充填装置から取り除かれ、廃棄されるか、キャップとして利用されるので、充填装置の洗浄の必要性はなくなる。しかし、この解決策は、容器を充填するたびに、カップとピストンヘッドの交換を必要とする。
【0005】
本発明は、交換可能な部品で洗浄操作なしに使用することができる充填装置を提供するものであり、交換可能な部品は、エアゾール容器内に充填される液体の変更のみで変更する必要がある。従って、いくつかのエアゾール容器は、充填装置の必要な部品の洗浄又は変更に関する余分な工程なしに、同じ液体で迅速に充填することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エアゾール容器に塗料等の液体を充填するための本発明の充填装置は、底面に注入開口部が設けられた、エアゾール容器用の液体用のカップと、注入開口部を介してカップからエアゾール容器に液体を押し込むための押し込み部材と、カップからエアゾール容器に液体が移送される際にカップ内の液体と接触するように押し込み部材の端部に着脱自在に固定され、液体移送作業中に、カップの側壁に連続して接触するスクレーパを形成するピストンヘッドと、を備え、液体移送作業を行った後に、ピストンヘッドの着脱自在な固定により、押し込み部材とともにカップからピストンヘッドを引き出すことができるようになっている。
【0007】
本発明の充填装置の実施形態において、押し込み部材へのピストンヘッドの着脱可能な固定は、連動形態で実施される。
【0008】
本発明の充填装置の実施形態において、装置は、ピストンヘッドを押し込み部材から取り外す手段を備える。有利には、これは、好適な対向面を用いて実施することができ、この対向面に対して、ピストンヘッドの端は、押し込み部材のさらなる移動に伴ってセットされ、押し込み部材がさらに移動されると、対向面は、ピストンヘッドを押し込み部材から強制的に分離させる。
【0009】
本発明の充填装置の実施形態において、装置は、押し込み部材へのピストンヘッドの取り付けを検出するための装置を備える。この実施形態では、充填装置は、押し込み部材へのピストンヘッドの取り付けが検出されない場合に、装置の作動または使用を防止する手段も有利に備える。
【0010】
本発明の充填装置の実施形態では、装置は、エアゾール容器を装置内に挿入し、装置からエアゾール容器を取り外すためのドア構造体を備え、このドア構造体は、エアゾール容器用の支持体を備える。
【0011】
上記実施形態では、ドア構造体は、液体用のカップまたはカップを支持する部品用の支持体も備えることが好ましい。
【0012】
本発明の充填装置の実施形態では、ドア構造体におけるエアゾール容器用の支持体は、容器の下端領域から、好ましくは少なくともエアゾール容器の底面および/または底端から、エアゾール容器を支持し、エアゾール容器用の支持体は、支持面の垂直位置を調節する機構を備える。エアゾール容器の底部は、ここでは、エアゾール容器の弁が配置されている端部とは反対側の端部の領域を意味する。また、エアゾール容器用の支持体の支持面の垂直位置を調整する機構は、調整性を得るためにバネを用いることが好ましい。
【0013】
本発明の充填装置の実施形態において、フレームおよび/またはドア構造体は、液体用のカップ又は液体用のカップを支持する部品を支持する適切な支持面を備えている。このように、ピストンの下方への移動によって生じる垂直力は、これらの支持面によって伝わり、充填装置のフレームに伝わるので、この力は、充填されるエアゾール容器に直接伝達されることはない。したがって、上記実施形態で述べたエアゾール容器の下端領域の支持表面を調整する機構は、エアゾール容器の内側の噴射剤によって生じる、移送プロセス中のエアゾール容器の内側への液体の導入に耐える著しく小さい力を担持するだけでよい。液体用のカップを支持する部品の支持面は、その底面を介して、カップを支持する部品と接触する。
【0014】
ドア構造体を有する本発明の充填装置の実施形態において、ドア構造体は、充填装置の残りの部分から着脱可能な構造体として構成され、充填装置にドア構造体を挿入する前に、液体用のエアゾール容器およびカップの構造体が取り付け可能である。
【0015】
ドア構造体を有する本発明の充填装置の実施形態において、ドア構造体内のエアゾール容器用の支持体は、少なくとも1つの磁石を備える。磁石は、好ましくは、ドア構造体におけるエアゾール容器の固定を補助し、他のタイプの容器をドア構造体に固定することを可能にする。
【0016】
より正確には、本発明による充填装置を定義する特徴は、請求項1に提示される。従属クレームは、本発明の有利な特徴及び実施形態を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の充填装置の一実施形態を断面図として概略的に示す図である。
図2A図1の充填装置のドア構造体の一実施形態を概略的に示す図である。
図2B図1の充填装置のドア構造体の一実施形態を概略的に示す図である。
図2C図1の充填装置のドア構造体の一実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の例示的な実施形態とその利点を、実施形態という意味で、添付図面を参照して、以下により詳細に説明する。
【0019】
図1は、エアゾール容器2に液体を充填する充填装置1を断面図として概略的に示す図である。充填装置1は、装置の外側境界を画定し、装置の他の部分に適切な支持と固定面を提供し、ならびに充填プロセス中にユーザをカバーし、保護するためのフレーム3を備える。
【0020】
フレーム3は、フレームで制限された内部領域を上下に分割する支持部6を備える。フレーム3の囲まれた上部は、一般的にシリンダ形状で軸対称な部品である押し込み部材4と、図中の両方向矢印で示された方向に押し込み部材を移動させるための装置5を備える。押し込み部材4は、フレーム3の上部から支持部6を介してフレームの下部に延びている。押し込み部材4を移動させるための装置5として、油圧または空気圧駆動のような直線的な前後移動を提供するのに適した任意の装置を用いることができるが、好ましくは、回転移動を直線移動に変換する機構を備えた電気モータを用いる。フレーム3に囲まれた上部には、充填装置1を作動させるために必要な電子回路および論理回路(図示せず)も含まれる。また、充填装置1は、手動で操作することができ、ここで、例えば、レバーを手動で動かすことによって、エアゾール容器2の充填作業中に、押し込み部材が充填装置の内部で動かされ、フレーム3の外側に延びるレバーを備える機構によって、押し込み部材4の直線的な前後移動が達成される。
【0021】
フレーム3の下部は、支持部6の下方に位置し、下部の内部にアクセスできるような適接に閉鎖可能な開口部を備えている。フレーム3の下部の内側には、押し込み部材4の端部が固定され、ピストンヘッド7とされている。この実施形態では、押し込み部材4に対して着脱可能に固定されたピストンヘッド7は、このピストンヘッドに形成された縁部突起を介して固定され、この縁部突起は、押し込み部材の側面に形成された対向溝にセットされ、かくして、連動形態を介して固定される。
【0022】
また、フレーム3の下部の内側には、塗料等の液体用のカップ8が配置されており、このカップは、支持片9の内側に配置されている。カップ8および支持片9は、本実施形態では、開口した上面および底面を有する中空の円筒形片の形態である。カップ8が支持片9にセットされると、カップの外側面が支持片の内側面に対してセットされ、カップの外側底面が支持片の底部内面に対してセットされる。カップ8上の底部の中央領域には、カップの底面から外側に延びる突起を有する注入開口部が形成され、この穴を通して、カップ内の液体がエアゾール容器2の内側に押圧される。支持片9の底部にも対応する開口部が形成されている。
【0023】
充填装置1のフレーム3には、支持片9の底面を支持する支持体17も備えているのが好ましい。これらの支持体17によって、ピストン4の下方への移動によって生じる力は、充填装置1のフレーム3に伝えられ、エアゾール容器2の構造には伝わらない。エアゾール容器2は、カップからエアゾール容器への液体の移送中、カップ8及び支持片9と接触したままとなるように、その下部を介して支持される。
【0024】
支持片9の底部外面には、カップ8の底部にある注入開口部との突起がエアゾール容器のバルブに接触するように支持片をエアゾール容器2に接続するための好適な手段がある。
【0025】
充填装置1を用いると、カップ8が支持片9にセットされ、この支持片がエアゾール容器のバルブの領域でエアゾール容器2の上端に接続され、エアゾール容器内に移送される液体がカップ内で測定されて加算される。これらの操作は、適切な順序で行うことができる。
【0026】
次いで、エアゾール容器2、支持片9、カップ8および液体を含む構造体は、フレーム3の下部の内側に配置され支持される。この配置の後、充填装置1の内側に配置される上述した構造体の開口部は閉鎖され、移送プロセスは、押し込み部材4を下方に移動させるように装置5を作動させ、このように注入開口部を介してエアゾール容器2内にカップ8から液体を押し込むことによって開始することができる。押し込み部材4の下方への移動は、ピストンヘッド7の外面がカップ8の底部内面と実質的に接触するまで継続され、従って、実質的に全ての液体がカップからエアゾール容器2に移送されることを確実にする。
【0027】
ピストンヘッド7は、ピストンヘッドの側端がそれ自体をカップ8の内側側面に密着してセットするように形成され、寸法決めされており、かくして、カップの側面からそれと共に実質的に全ての液体を削り取る。これは、また、カップ8の注入開口部を介して、かつ、エアゾール容器2の内部に液体を注入するために、液体に必要な圧力を維持するのにも役立つ。
【0028】
いったん移送作業が行われると、押し込み部材4が、ピストンヘッド7とともに装置5を備えたカップ8の内側から引き出され、フレーム3の下部へのアクセスを可能にする開口部が開放され、エアゾール缶2、支持片9およびカップ8を含む構造体が充填装置1から取り出される。充填されたエアゾール容器2からカップ8とともに支持片9が取り外された後、充填されたエアゾール容器は梱包の準備が整う。
【0029】
新しいエアゾール容器に同じ液体が充填される場合には、新しいエアゾール容器2を支持片9に取り付け、カップ8内に新しい量の液体を加えるだけで、上述のプロセスが繰り返される。
【0030】
例えば、異なる色の塗料のような異なる液体であれば、新しいエアゾール容器2で新しい充填プロセスを開始する前に、ピストンヘッド7とカップ8を交換する必要があるので、新しい液体の混入が回避される。ピストンヘッド7の交換は、この実施形態において、次のような方法で有利に行われる。最後の充填プロセスの終了後、ピストンヘッド7の上縁が支持部6の下面にセットされるまで、押し込み部材4が引き上げられ、次いで、押し込み部材は、支持部の下面がピストンヘッド7を強制的に変形させて、押し込み部材から外すように、より引き上げられる。このピストンヘッド7の離脱処理のために、離脱されたピストンヘッド7用の別個の容器が、好ましくは、充填装置1からカップ8と支持片9を一緒に取り除いた後に、充填されたエアゾール容器2の場所に挿入され、その容器に、押し込み部材4から離脱されたピストンヘッド7が落下する。新しい充填プロセスが開始される前に、新しいピストンヘッド7が押し込み部材に取り付けられる。
【0031】
押し込み部材4上のその位置にピストンヘッド7がない状態で充填装置1を使用すると、充填装置の大幅なクリーニング作業につながるため、充填装置は、ピストンヘッド7が押し込み部材4に取り付けられていることを検出するための適切な手段(図には示されていない)を有利に備える。また、これらの検出手段は、ピストンヘッド7がその位置にない充填装置1の作動を防止する手段を備えるか、またはそれに接続されるのが好ましい。これらの検出手段は、例えばマイクロスイッチのような取り付けられたピストンヘッドの存在を検出する、充填装置1の任意の剛性部分に取り付けられた適切な従来技術の検出装置を用いて実施することができる。
【0032】
図2A図2Cは、図1の充填装置1用のドア構造体10の一実施形態を概略的に示す図である。図2Aは、エアゾール容器2と支持片9を備えたドア構造体10の斜視図を示し、図2Bは、図2Aの断面図を示し、図2Cは、図2Bの領域Bの拡大図を示す。
【0033】
図2A図2Cに示すドア構造体10は、ドア板13と、下部支持部11と、上部支持体12とを備える。下部支持部11は、ドア板13の内側側面の下端領域から延設され、上部支持体12は、ドア板の内側側面の上端領域から延設されている。
【0034】
ドア構造体10が充填装置1内のその位置に配置されると、ドア板13は、充填装置1のフレーム3の下部に形成された閉鎖可能な開口部の全域を覆う。また、ドア構造体10の外側側面は、充填装置1の下部の一方の側壁を形成することが好ましく、これにより、充填装置は、その垂直縦軸に対して垂直に正方形の断面を有することが好ましい。さらに、ドア構造体は、好ましくは、充填装置1の残りの部分から完全に取り外すことができる構造体であるので、エアゾール容器2、カップ8および支持片9の挿入および取り外し、ならびにカップ8への液体の充填を、充填装置1の構造の残りの部分から妨害することなく行うことができる。
【0035】
ドア構造体10の下部支持部11は、充填されるエアゾール容器2の底部を支持するように形成されており、上部支持体12は、支持片9の上側面及び上面を支持するように形成されている。
【0036】
充填装置1で充填されるエアゾール容器2の外形寸法は様々であり得るので、下部支持部11は、上部11bと下部11aとの垂直距離が適宜調整可能な2つの部品11aと11bにより構成されている。この調節機能は、部品11aと11bとの間のバネ式連結部によって達成される。本実施の形態では、下部11aと上部11bとのバネ式連結部は、部品11aと11bとの間に配置された4本のバネ14と、2本の水平方向に延びるねじ15とで構成されている。上部11bに形成された開口部16にそれらの端部がセットされるように、下部11aの上下に延びるねじ穴にねじ15がねじ込まれる。開口部16は、それらの垂直寸法が下部11aと上部11bとの間の最大垂直調整性を規定するように寸法決めされている。無負荷の状態では、ねじ15の端部にセットされた開口部16の下部内面は、部品11a及び11bを十分に支持して互いに固定された状態を維持する。
【0037】
エアゾール容器2をその上端に固定された支持片9とともにドア構造体10に挿入すると、下部支持部11の上部11bが下方に押圧されて、エアゾール容器2の底部を上部11bの上面に形成された窪みにセットされ、同時に支持片9の上側面と上面とがドア構造体10の上部支持体12の対応する支持面に対してセットされる。一旦、エアゾール容器2が支持片9とともに適切に位置決めされると、上部11bが解放され、バネ14からのスプリング力によって、エアゾール容器と支持片とがドア構造体10に対してそれらの位置に保たれる。このように、ドア構造体10は、エアゾール容器2および支持片9と共に、一緒に取り扱うことができる構造体を構成し、これは、充填装置1内に液体を充填したカップ8と共に、エアゾール容器および支持片の挿入を助ける。この挿入は、好ましくは、充填装置1の残りの部分に対するこの構造体の単に水平方向の移動によって行われる。
【0038】
ドア構造体の上部支持体12は、支持面が上部支持体に対する支持片9の適切な位置決めをするように構成され、それによって、上部支持体12が、ドア構造体10内のその位置にセットされたときに、支持片9内の液体と共にカップ8の挿入を可能にする。
【0039】
また、ドア構造体10は、支持片9の底面を支持するための、図1に示す支持体17のような、適当な支持体(図示せず)を備えていてもよい。これらの支持体は、図1に示す支持体17のように充填装置1のフレーム3に、ドア構造体10に、あるいはその両方に形成されていてもよい。
【0040】
ドア構造体の下部支持部11の上部11bには、一般的には適切な金属材料であるエアゾール容器2のドア構造体10の下部支持部11への固定を強化するよりも、1以上の磁石(図示せず)を備えることも好ましい。さらに、これらの磁石は、例えば、ピストンヘッドを交換する必要がある場合に、取り外されたピストンヘッド7を受け入れるための回収容器をその場所に保持するのにも役立つ。
【0041】
上述したドア構造体10は、充填装置1による充填プロセスの改善された準備および実施を可能にし、充填プロセス前および充填プロセス中に移送される液体がこぼれる可能性を最小化することができる。
【0042】
図に示された本発明の具体的な例示的な実施形態および上述したことは、限定的なものと解釈されるべきではない。当業者は、添付された請求の範囲内で多くの明示的な方法で説明された発明の実施形態を補正及び修正することができる。したがって、本発明は、単に上述した実施形態に限定されるものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
【国際調査報告】